JP5831698B2 - ろ過装置 - Google Patents
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Description
ろ材層を構成するろ材の一例として、内部に空隙性のある不定形の粒状繊維ろ材で一定の厚さのろ材層を形成し、そのろ材内部・表面で被処理液に含まれている懸濁物質を捕捉するろ過装置が、特許文献1において本出願人より提案されている。
比重や粒度の異なる砂やアンスラサイト等の粒状物を多層に構成し、有効径の大きな粒子で形成した大きな間隙で大きな懸濁物質を捕捉し、有効径の小さな粒子で形成した小さな間隙で小さな懸濁物質を捕捉するろ過装置が特許文献2において提案されている。
また、2種類の粒径の異なるろ材(粒径aと粒径3〜5a)を適量混ぜ合わせてろ材層を形成することにより、ろ過圧力をあまり増大せず、ろ過能力を長時間維持させることができるろ過方法が特許文献3において提案されている。
ろ材内部を構成する繊維間の通水路が狭い繊維ろ材を用いると、懸濁物質を大量に捕捉する清澄ろ過が可能となる。しかし、懸濁物質をろ材層表面付近のろ材で大量に捕捉する表層ろ過となり、早期に目詰まりし、ろ過圧力が上昇する。所定のろ過圧力あるいは所定のろ過継続時間に基づいて洗浄工程に移行する。しかし、ろ材層の最深部まで有効にろ過作用に利用していないので、懸濁物質の捕捉量に対して洗浄工程の回数が増加し、処理量が減少する。
ろ材内部を構成する繊維間の通水路が広い繊維ろ材や、ろ過圧力で圧密しないだけの強度を有する繊維ろ材を用いると、ろ材層の最深部まで捕捉帯が進行する深層ろ過が可能となる。ろ過圧力はあまり上昇しないが、処理液の水質が悪く、ろ過開始の初期から被処理液に含まれている懸濁物質が処理液とともに流出(ブレイクスルー現象)する。
2種類の粒径の異なるろ材(粒径aと粒径3〜5a)を適量混ぜ合わせたろ材層は、ろ材同士の間隙分布を調整し、ろ材層全体で効率よく懸濁物質の捕捉を行うものである。大きな粒径(3〜5a)のみのろ材層では、ろ材同士の間隙が大きいため深層ろ過となるが、懸濁物質の捕捉量が少なくブレイクスルー現象が発生しやすくなる。逆に小さな粒径(a)のみのろ材層では、懸濁物質の捕捉量が多いが、ろ材同士の間隙が狭いため表層ろ過となり、短時間でろ過圧力が上昇し、頻繁にろ材洗浄が必要となる。しかし、大小の粒径を混ぜ合わせることで、ろ材同士の間隙は平均となり、結局、2種類の平均粒径で構成したろ材層と同等のろ過性能となる。
この発明は、被処理液に合わせたろ材を選定することなく、ろ過継続時間の長い深層ろ過を行いながらブレイクスルー現象が発生し難く、且つ清澄ろ過が可能なろ過装置を提供する。
ろ材層3を形成して被処理液を通水する際、内部に空隙を有する繊維ろ材4が適度に圧縮されて充填されるため、ろ材4,4同士の間隙を均一に保つことができ、効率よくろ過することができる。
図5は他の実施例の不定形のろ材であって、ろ材を球状に形成している。矩形状繊維ろ材4aと同様に、繊維で構成しているので、球状繊維ろ材4b表面の立毛繊維あるいは球状繊維ろ材4b内部の繊維間で懸濁物質を捕捉できる。
図7は他の実施例の不定形のろ材であって、ろ材4を筒状に形成している。矩形状繊維ろ材4aと同様に、繊維で構成しているので、円筒状繊維ろ材4d表面の立毛繊維あるいは円筒状繊維ろ材4d内部の繊維間で懸濁物質を捕捉できる。
ろ材層3表面で多くの懸濁物質を捕捉しても、ろ材層3内部に適度にろ過助材5が混在しているので、ろ材層3内部への通水路が確保でき、ろ過圧力が上昇し難い。ろ過助材5がろ材層3内部に被処理液を導いて、ろ材層3内部での深層ろ過を促進させる。1回のろ過時間を長く設定でき、処理量が増大する。
ろ過助材5の内部はろ材4よりはるかに大きな空隙を有し、その内部に通じる開口は少なくとも2以上を有している。ろ過助材5の内部空隙および開口は、懸濁物質を含む被処理液が通過するのに十分な大きさである。懸濁物質を含む被処理液は、ろ過助材5の一方の開口から内部に流入し、内部の空隙を通って他方の開口から流出する。開口からろ過助材5の内部空隙を通り、ろ材層3の下流側に通水できる大きさであれば形状、大きさ等は特定しない。内部と外部を連通させる開口は、対称位置に2以上を設けることが望ましい。
ろ過助材5を構成する部材は、ろ材層3内部で圧密されても、容易に圧縮による変形がない。そのため、ろ過運転中でもろ材層3はろ過助材5内部の空隙による通水路を常時確保できる。
ろ過助材5の大きさを、ろ材4とほぼ同等とすると、ろ材4,4同士の間隙とろ材4とろ過助材5の間隙がほぼ同等となり、ろ材層3内で懸濁物質の捕捉量が偏るようなろ過(偏重ろ過)が発生し難い。
図9は他の実施例の不定形のろ材であって、ろ材助材5を球状に形成している。球状繊維ろ材4bと同様に生成しているが、球状ろ過助材5bは繊維間を粗く構成している。
図11は他の実施例の不定形のろ材であって、ろ材助材5を筒状に形成している。円筒状繊維ろ材4dと同様に生成しているが、円筒状ろ過助材5dは繊維間を粗く構成している。
ろ材層3に被処理液を通水すると、ろ材層3表面付近に位置するろ材4で多量の懸濁物質が捕捉される。懸濁物質を取り除かれた処理液と一部の懸濁物質を含む被処理液は、ろ材4,4同士の間隙、ろ材4内部の空隙、ろ材4とろ過助材5の間隙、あるいはろ過助材5内部の空隙を通過してろ材層3内部へと流入する。その際に、ろ材4内部の空隙あるいはろ材4,4同士の間隙で懸濁物質が捕捉される。したがって、ろ材層3における懸濁物質の捕捉量は、ろ材層3の上流から下流に向かって減少する。
ろ材層3にはろ過助材5が混在しており、被処理液はろ過助材5内部を容易に通過できる。ろ過助材5を通過した後、下流側にろ材4があれば、ろ材4の空隙あるいはろ材4,4同士の間隙に応じて懸濁物質が捕捉される。さらに、被処理液はろ材4,4同士の間隙、ろ材4内部の空隙、ろ材4とろ過助材5の間隙、あるいはろ過助材5内部の空隙を通過してろ材層3内部へと流入し、ろ材層3内部のろ材4によって懸濁物質を捕捉される。
このようにして、ろ過助材5を介してろ材層3内部に懸濁物質を含む被処理液を通水させることで、ろ材層3内部でも効率よくろ過を行い、ろ材層3全体を有効に利用できる深層ろ過とすることができる。
上記のように、ろ材4とろ過助材5とで比重差を少なく設定し、さらに、同形状のろ材4とろ過助材5を用いた場合、図1に示すように、洗浄攪拌を行っても均等に混在してろ材層3を形成する均等分散となる。
具体的には、図13に示すように、ろ過助材5をろ材層3の上流側に偏重させた表層分散とすると、ろ材4の目詰まりが発生しやすい表層付近のろ過圧力の上昇を防止でき、積極的にろ材層3の内部に被処理液を流入させて懸濁物質を捕捉できる。
比重がともに1.0以上の場合は、ろ材層3aはろ過槽1a下部に沈殿するので、下向流により被処理液を通水させる。比重がともに1.0未満の場合は、ろ材層3bはろ過槽1b上部に浮上するので、下向流により被処理液を通水させる。
被処理液供給管7は、ろ材層3aの上側へ被処理液を供給するように、ろ過槽2に接続されている。
洗浄装置8は、供給するエアーでろ材層3aを構成するろ材4を攪拌して洗浄できるように、ろ材層3aの下側部分に対応する、すなわち、ろ材流出防止スクリーン6の上側部分に対応するろ過槽2に接続されている。
ろ過槽2のろ材流出防止スクリーン6よりも下側部分には、被処理液(被処理水)などを排出する排出管9が接続されている。
被処理液供給管7からろ過槽2内に被処理液を供給することにより、被処理液はろ材層3a内を下降してろ過され、排出管9を介して排出される。
そして、例えば、ろ材層3aで捕捉した懸濁物質による目詰まりにより、ろ過圧力が上昇した場合、または、累積稼働時間が所定時間に達したならば、または、処理液が所定の基準に達しなくなったならば、洗浄装置8からエアーを供給する。
このように、ろ過槽2内に被処理液およびエアーを供給すると、エアーによってろ材4が攪拌されることにより、ろ材4が洗浄され、ろ材4が捕捉している懸濁物質が剥離、沈降し、排出管9を介して排出される。ろ材4とろ過助材5の大きさ、比重等はほぼ同様であるので、ろ材4の洗浄時にはろ過助材5も同様に攪拌される。なお、ろ材4を洗浄する場合、ろ過槽2内へ供給する洗浄液(洗浄水)は、所定の基準に達して洗浄水、例えば、処理液(処理水)を供給してもよい。
図3において、1bは上向流方式のろ過装置である。ろ過槽2内には、ろ過槽2の下方にろ材が流出するのを防止するろ材流出防止下側スクリーン6aが設置されるとともに、ろ過槽2の上方にろ材4が流出するのを防止するろ材流出防止上側スクリーン6bが設置されている。そして、ろ材流出防止上側スクリーン6bの下側に、ろ材4およびろ過助材5によって所定の厚さのろ材層3bが形成されている。
被処理液供給管7は、ろ材流出防止下側スクリーン6aの下側へ被処理液を供給するように、ろ過槽2に接続されている。
洗浄装置8は、供給するエアーでろ材層3bを構成するろ材4を攪拌して洗浄できるように、ろ材流出防止下側スクリーン6aの上側部分に対応するろ過槽2に接続されている。
ろ過槽2のろ材流出防止下側スクリーン6aよりも下側部分には、被処理液(被処理水)などを排出する排出管9が接続されている。
ろ過槽2のろ材流出防止上側スクリーン6bよりも上側部分には、処理液(処理水)を排出する処理液排出管10が接続されている。
なお、このろ過装置1bに使用するろ材4およびろ過助材5は、比重が1.0未満のろ材4およびろ過助材5を使用する。
被処理液供給管7からろ過槽2内に被処理液を供給することにより、被処理液はろ材層3b内を上向してろ過され、処理液排出管10を介して排出される。
そして、例えば、ろ材層3bで捕捉した懸濁物質による目詰まりにより、ろ過圧力が上昇した場合、または、累積稼働時間が所定時間に達したならば、または、処理液が所定の基準に達しなくなったならば、洗浄装置8からエアーを供給する。
このように、ろ過槽2内に被処理液およびエアーを供給すると、エアーによってろ材4が攪拌されることにより、ろ材4が洗浄され、ろ材4が捕捉している懸濁物質が剥離、沈降し、排出管9を介して排出される。なお、ろ材4を洗浄する場合、ろ過槽2内へ供給する洗浄液(洗浄水)は、所定の基準に達して洗浄水、例えば、処理液(処理水)を供給してもよい。
また、このろ材4は、密閉式の上向流方式のろ過装置にも適用可能で、同様のろ過性能を発揮するとともに、撹拌翼によるろ材洗浄でも同様の洗浄効果を得ることができる。
被処理液 :凝集させた池水 or 藻類を含む池水
ろ材 :モール状繊維ろ材4c
ろ過助材 :モール状ろ過助材5c
本体槽高さ:4000mm
本体槽内径:Φ600mm
通水速度 :40m/h
一方、本発明のろ材4とろ過助材5を混在させて形成しているろ材層3では、ろ過圧力が上昇するまでの時間が飛躍的に長くなった。
具体的には、ろ材4を90%、ろ過助材5を10%として均等に混在させたろ材層3’では、4.5時間でろ過圧力が6〜7kPaまでしか上昇しない。15kPaまでろ過圧力が上昇するのに7時間を要する。なお、7時間後のろ過処理後の処理液中のSS濃度は、従来技術と本発明とで差異はなかった。
また、ろ材4を80%、ろ過助材5を20%として均等に混在させたろ材層3’’では、15kPaまでろ過圧力が上昇するのに8.5時間を要する。しかし、4時間が経過すると、ろ過処理後の処理液中のSS濃度が急上昇し、ブレイクスルー現象が確認できた。
一方、ろ材4とろ過助材5を混在させて形成しているろ材層3では、被処理液がろ過助材5を通じてろ材層3内部へと通水される。特に、ろ過助材5を10%混入したろ材層3では、ろ材層3表面付近のろ材4により懸濁物質を捕捉しても、適度にろ過助材5を通じてろ材層3内部へと通水する通路が確保される。そして、ろ過助材5を通じて通水される被処理液は、ろ過助材5の下流側のろ材4により懸濁物質が捕捉される。結果的にろ材層3全体を有効に利用することになるので、ろ過面積が大きく、ろ過圧力の上昇が緩やかとなる。
なお、ろ過助材5の割合を増加させると、ろ材層3の下流側で多くの懸濁物質を捕捉することがあり、ブレイクスルー現象が発生しやすくなる。また、ろ材層3の上流から下流までろ過助材5が連結して通水路を形成する場合があり、処理液中のSS濃度が高くなることがある。
ろ材4とろ過助材5の混合比率は、被処理液の性状や処理水量、ろ過装置に応じて適宜選択してよい。
3 ろ材層
4 ろ材
5 ろ過助材
Claims (3)
- 不定形ろ材で構成したろ材層に被処理液を通水してろ過処理を行うろ過装置において、
ウェーブ状のフィラメントを互いに接着して内部に多大な空隙を有し、繊維間が緻密で懸濁物質を捕捉する繊維状のろ材(4)と、
強度を有した繊維間が粗く、ろ過運転中にろ材(4)より大きい内部空隙を有し、被処理液に含まれる懸濁物質を通水させるろ過助材(5)が、混在した状態でろ材層(3)を形成している
ことを特徴とするろ過装置。 - 前記ろ材(4)とろ過助材(5)とをろ材層(3)に均等に混在させた
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。 - 前記ろ過助材(5)をろ材層(3)の上流側表層に多く混在させた
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
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