JP5827764B1 - 締結部品 - Google Patents
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Abstract
Description
このとき、最初にナット11の雌螺子部12とボルト10の雄螺子部13が噛み合わないまま指でナット11を少し回したあと指を離してしまい、ナット11を床に落下させてしまうことが多い。脚立やカゴ車を用いて高所で作業者がパイプ6を手で持ちながら配設作業をしているときなど、床に落下させたナット11を探すのが非常に面倒な作業となっていた。
雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体化して突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、弾性部材から成る圧接部材をナット本体に着脱自在に装着してナットを構成し、
圧接部材に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
圧接部材の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項2記載の発明では、
雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体化して突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、弾性部材から成る圧接部材をナット本体に着脱自在または固着して装着してナットを構成し、
圧接部材に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
圧接部材の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、最初は、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明では、
雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体化して突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、密接部材をナット本体に着脱自在に装着してナットを構成し、
密接部材に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
密接部材の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部にナット誘導部が挿入されて密接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明では、
雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体化して突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、弾性部材から成る密接部材をナット本体に着脱自在または固着して装着してナットを構成し、
密接部材に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
密接部材の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、最初は、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部にナット誘導部が挿入されて密接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項5記載の発明では、
前記圧接部材の全部または一部を磁石部材により形成し、
ナット誘導部付ボルトの内、少なくともナット誘導部を磁性体により形成したこと、
を特徴としている。
請求項6記載の発明では、
ナット誘導部付ボルトまたはナット本体に磁石を組み込むようにしたこと、
を特徴としている。
請求項7記載の発明では、
前記密接部材の全部または一部を磁石部材により形成し、
ナット誘導部付ボルトの内、少なくともナット誘導部を磁性体により形成したこと、
を特徴としている。
請求項8記載の発明では、
ナット誘導部付ボルトまたはナット本体に磁石を組み込むようにしたこと、
を特徴としている。
請求項9記載の発明では、
前記圧接部材の全部または一部を磁性体により形成し、
ナット誘導部付ボルトまたはナット本体または圧接部材に、磁石を組み込むようにしたこと、
を特徴としている。
請求項10記載の発明では、
前記密接部材の全部または一部を磁性体により形成し、
ナット誘導部付ボルトまたはナット本体または密接部材に、磁石を組み込むようにしたこと、
を特徴としている。
請求項11記載の発明では、
雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体化して突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにした圧接部をナット本体と一体に設け、
圧接部に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
圧接部の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、最初は、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項12記載の発明では、
雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体化して突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにした密接部をナット本体と一体に設け、
密接部に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
密接部の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、最初は、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部に密接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項13記載の発明では、
ナット誘導部付ボルトまたはナット本体に、磁石を組み込むようにしたこと、
を特徴としている。
請求項14記載の発明では、
圧接部材の通し口部近傍の表面の内、ナットを底面側からナット誘導部に挿入したときナット誘導部の表面と接触する個所に粘着層を付加したこと、
を特徴としている。
請求項15記載の発明では、
密接部材の通し口部近傍の表面の内、ナットを底面側からナット誘導部に挿入したときナット誘導部の表面と接触する個所に粘着層を付加したこと、
を特徴としている。
請求項16記載の発明では、
圧接部の通し口部近傍の表面の内、ナットを底面側からナット誘導部に挿入したときナット誘導部の表面と接触する個所に粘着層を付加したこと、
を特徴としている。
請求項17記載の発明では、
密接部の通し口部近傍の表面の内、ナットを底面側からナット誘導部に挿入したときナット誘導部の表面と接触する個所に粘着層を付加したこと、
を特徴としている。
請求項18記載の発明では、
ナット誘導部の少なくとも先端部の表面に粘着層を付加したこと、
を特徴としている。
請求項19記載の発明では、
ナット誘導部の先端部に軸に垂直な方向に大きくした膨大部を設け、
ナットの通し口部にナット誘導部に挿通する際、通し口部が膨大部により通し押し開かれたのち、ナット誘導部に圧接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項20記載の発明では、
密接部材を弾性部材により形成するとともに、
ナット誘導部の先端部に軸に垂直な方向に大きくした膨大部を設け、
ナットの通し口部にナット誘導部に挿通する際、通し口部が膨大部により押し開かれたのちナット誘導部に密接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項21記載の発明では、
ナット誘導部の先端部に軸に垂直な方向に大きくした膨大部を設け、
ナットの通し口部にナット誘導部に挿通する際、通し口部が膨大部により押し開かれたのちナット誘導部に密接するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項22記載の発明では、
ナット誘導部の全部または一部の表面に軸周りの溝を形成したこと、
を特徴としている。
また、他の発明によれば、ナットの頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、弾性部材から成る圧接部材をナット本体に着脱自在または固着して装着し、圧接部材に通し口部を設け、この通し口部は、ナットを底面側から通し口部に挿入すると、最初は、ナットの雌螺子孔がボルト本体の雄螺子部に当たる前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたことにより、ナットをナット誘導部に挿通し圧接部材をナット誘導部に対し圧接状態にすると、雄螺子部にナットを螺合させる前に、誤ってナットから指を放してしまいナットが圧接部材とともにナット誘導部から抜けようとしても、摩擦力でナットの移動が拘束されるので、ナットの落下が防止される。また、ナットをボルトに螺合し終えたあとは、圧接部材が雄螺子部の外周に圧接するのでナットの緩み防止が可能となる。
また、他の発明によれば、ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにした圧接部をナット本体と一体に設け、圧接部に通し口部を設け、この通し口部は、ナットを底面側から通し口部に挿入すると、最初は、ナットの雌螺子孔がボルト本体の雄螺子部に当たる前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたことにより、ナットをナット誘導部に挿通し圧接部をナット誘導部に対し圧接状態にすると、雄螺子部にナットを螺合させる前に、誤ってナットから指を放してしまいナットが圧接部とともにナット誘導部から抜けようとしても、摩擦力でナットの移動が拘束されるので、ナットの落下が防止される。また、ナットをボルトに螺合し終えたあとは、圧接部が雄螺子部の外周に圧接するのでナットの緩み防止が可能となる。
図2において、20は鋼、磁性ステンレス鋼などの磁性体で形成されたボルト本体であり、六角形の頭部21の下面中央から軸方向に雄螺子部22が一体的に延設されている。雄螺子部22の先端には、六角形のナットの雌螺子孔(図3、図4の符号60、61参照)に挿脱自在に遊挿可能な棒状のナット誘導部40が軸方向に突設されている。ナット誘導部40は先端側が丸棒状に形成されるとともに基部がテーパ状に形成されている。ナット誘導部40の丸棒部42の直径L1は雄螺子部22の谷径(ナット60の山径)Lより小さく形成されている。テーパ部41の径は丸棒部42の基端の径L1から雄螺子部22の先端の谷径Lまで徐々に大きくなっている。テーパ部41と丸棒部42はここではボルト本体20と同じ材質により、ボルト本体20と一体的に形成されているものとする(例えば、先端まで雄螺子部が形成された通常の鋼、磁性ステンレス鋼などから成るボルトの先端部に切削加工などを施して形成されている)。
ナット誘導部40の長さW1は、ナット60の底面側の端面63から後述する圧接部材の通し孔の底面側入り口までの高さ(図3の符号100、101、H参照)より長く形成されているが、好ましくは、ナット60の底面側の端面63から通し孔の頂面側の出口までの高さ(図3の符号H1参照)と同じか、H1より長く形成するとよく、ここでは一例としてH1の1.2倍以上に形成されているものとする。
ボルト本体20とナット誘導部40により、ナット誘導部付きボルト24(以下、単に「ボルト」という)が構成されている。
上記のように構成されたナット60は図2のボルト24と組み合わせて使用される。
ナット60をボルト24に螺合する場合、左手の指でボルト24の頭部21を上から押さえながら、まず右手の指でナット60を掴み、圧接部材100とは反対の底面側の端面63からナット60の雌螺子孔61をボルト24のナット誘導部40に合わせて挿通していく(図5(1))。ナット誘導部40の丸棒部42の先端が圧接部材100の通し孔101に当たると、磁力で圧接部材100の通し孔101の周縁が丸棒部42の先端に磁着し(図5(2))、ナット60を軸方向上方(ボルト24の頭部21の方向)へ少し移動すると、丸棒部42の先端部により通し孔101が押し開かれて圧接部材100の弾性で通し孔101の周縁が丸棒部42の先端の周面に圧接する(図5(3))。更にナット60を軸方向上方へ少し移動すると丸棒部42の先端が通し孔101から外側へ少し出る(図6(1))。この際、まだ、ナット本体64の底面側の端面63や雌螺子孔61はボルト本体20の雄螺子部22の先端には当接していない。通し孔101が丸棒部42の先端部により押し開かれて、圧接部材100の弾性で通し孔101の周縁が丸棒部42の先端の周面に圧接した状態になると、ナット60から誤って指を離してしまいナット60が重力で落下しようとしても、圧接部材100の通し孔101と丸棒部42の間に生じる大きな摩擦力及び磁力により、圧接部材100がナット誘導部40の丸棒部42に固定されるので、ナット60は落下しない。
ナット60の底面側の端面63が雄螺子部22の先端に来たところで、ナット60の雌螺子部62を雄螺子部22に押し当て、少し回して噛み合わせながらナット60の雌螺子部62を雄螺子部22に少し螺合し、次に、指をナット60から放して指の姿勢を元に戻したのち再びナット60を指で掴んで少し回し、雄螺子部22に対するナット60の螺合を進めるという動作を繰り返す(図7(1)参照)。
ナット60の螺合を進めて行くと、圧接部材100はテーパ部41や雄螺子部22の先端に当たって、ナット本体64から剥がれる(図7(2)参照)。剥がれた圧接部材100はそのまま放置してもよいし、締結作業の邪魔であれば手でナット誘導部40から抜いて外せば良い。
なお、ナット本体64と圧接部材100との接着力が弱くナット60をナット誘導部40に沿って移動中に剥がれたとき(図7(3)参照)、圧接部材100が丸棒部42に圧接したり、磁着したりして固定しているため、ナット本体64を雄螺子部22に螺合する前にナット本体64から指を離してしまっても、ナット本体64がナット誘導部40と圧接部材100に引っ掛かって落下しない(図8参照)。
ナット60は最終的にレンチを使って規定のトルクで締める。
ここではボルト24を下向きに配設する場合につき説明したが、水平横向きに配設する場合にも、同様にしてナット60の落下防止を図ることができる。
雄螺子部22の先端部にナット本体64の雌螺子部62を螺合した後、ナット本体64の螺合を進めると、圧接部材100の通し孔101がテーパ部41に引っ掛かったり、圧接部材100が雄螺子部22の先端に当たったりして圧接部材100だけ移動出来なくなり、ナット本体64から剥がれる。剥がれた圧接部材100が不要であれば圧接部材100を下方へ押し下げることでナット誘導部40から容易に外すことができる。
また、ナット60をナット誘導部40に挿入後、軸方向上方へ移動させるとテーパ部41によりナット60の軸とボルト24の軸が自動的に合って来るので、軸合わせをするためにナット60をボルト24の軸に対し垂直方向へ移動調整しなくて済む。
上記した第1実施例では圧接部材をナット本体に弱く接着して通し孔が径の大きなテーパ部に挿通されたり、通し孔周縁が雄螺子部の先端に当たると、圧接部材がナット本体から剥がれるようにしたが、第2実施例は、圧接部材をナット本体に着脱自在に強く接着したり或いは完全に固着し、通し孔がナット誘導部のテーパ部に挿通されたり、雄螺子部に当たって押し開かれても剥がれないようにしたものである。
図9において、24Aは鋼、磁性ステンレス鋼などの磁性体からなるナット誘導部付きボルトであり、ナット誘導部40Aは長さは第1実施例と同じW1であるが、丸棒部42Aの径L1’は雄螺子部22の谷径Lより小さい範囲で第1実施例より少し太く形成してある。図10において、60Aはナットであり、弾性を有する高磁力ネオジシートなどのマグネットシートから成る円盤状の圧接部材100Aの中央に、ナット誘導部40Aの丸棒部42Aの径L1’より少しだけ小さい径L2’の通し口部としての通し孔101Aを有し、ナット本体64の内、雌螺子孔61の開いた頂面側の端面65に雌螺子孔61の一端を閉塞するようにして着脱自在に強く接着されているか、または着脱不能に完全に固着されている。
上記のように構成されたナット60Aは図9のボルト24Aと組み合わせて使用される。その他の構成部分は第1実施例と全く同様に構成されている。
ナット60Aをボルト24Aに螺合する場合、左手の指でボルト24Aの頭部21を上から押さえながら、まず右手の指でナット60Aを掴み、圧接部材100Aとは反対の底面側の端面63からナット60Aの雌螺子孔61をボルト24Aのナット誘導部40Aに合わせて挿通していく(図5(1)参照)。最初は第1実施例と同様にして、ナット誘導部40Aの丸棒部42Aの先端が圧接部材100Aの通し孔101Aに当たると、磁力で圧接部材100Aの通し孔101Aの周縁が丸棒部42Aの先端に磁着し(図5(2)参照)、ナット60Aを軸方向上方(ボルト24Aの頭部21の方向)へ少し移動すると、丸棒部42Aの先端部により通し孔101Aが押し開かれて圧接部材100Aの弾性で通し孔101Aの周縁が丸棒部42Aの先端の周面に圧接する(図5(3)参照)。更にナット60Aを軸方向上方へ少し移動すると丸棒部42Aの先端が通し孔101Aから外側へ少し出る(図6(1)参照)。
この際、まだ、ナット本体64の底面側の端面63や雌螺子孔61はボルト本体20の雄螺子部22の先端には当接していない。通し孔101Aが丸棒部42Aの先端部により押し開かれて、圧接部材100Aの弾性で通し孔101Aの周縁が丸棒部42Aの先端の周面に圧接した状態になると、ナット60Aから誤って指を離してしまいナット60Aが重力で落下しようとしても、圧接部材100Aの通し孔101Aと丸棒部42Aの間に生じる大きな摩擦力及び磁力により、圧接部材100Aがナット誘導部40Aの丸棒部42Aに固定されるので、ナット60Aは落下しない。
ナット60Aは最終的にレンチを使って規定のトルクで締める。若し、締結後のナット60Aをボルト24Aから外したい場合、圧接部材100Aがナット本体64に着脱自在に装着されている場合には、先に圧接部材100Aをナット本体64から分離し、雄螺子部22、ナット誘導部40Aから外し、しかるのちナット本体64を雄螺子部22から螺退させることで、容易にナット60Aを取り外すことができる。
ここではボルト24Aを下向きに配設する場合につき説明したが、水平横向きに配設する場合にも、同様にしてナット60Aの落下防止を図ることができる。
また、圧接部材100Aの通し孔101Aをナット誘導部40Aに挿通すると、ナット60Aの軸とボルト24Aの軸がほぼ一致するので、螺合時にナット60Aとボルト24Aの軸合わせをするためにナット60Aをボルト24Aの軸に対し垂直方向へ移動調整しなくて済む。
また、雄螺子部22へのナット60Aの螺合が進み、圧接部材100Aの通し孔101Aがテーパ部41、更に雄螺子部22に当たっても圧接部材100Aがナット本体64に強く接着されていたり、固着されているため、剥がれることなくテーパ部41、雄螺子部22に押し開かれるので、螺合の妨げにはならない。通し孔101Aはテーパ部41により徐々に拡げられるので、円滑に螺合作業を行うことができる。締結後は圧接部材100Aと雄螺子部22との摩擦力及び磁着力により、ナット60Aの緩み防止機能が発揮される。
また、上記した第1、第2実施例ではボルト本体に対しナット誘導部を一体的に形成する例を挙げたが、ボルト本体とは別に磁性体によりナット誘導部を形成しておき、ボルト本体の先端に着脱自在に嵌着または螺合して一体化したり、接着、溶接等により固着して一体化するようにしても良い。
但し、図13(1)の場合、通し孔101の径はナット誘導部の径より小さくする。切り込み102の長さは、第1実施例の如く圧接部材100Bが雄螺子部の先端に当たるとナット本体64から外れるようにする場合は短くても良く、第2実施例の如く圧接部材100Bが雄螺子部の先端に当接してもナット本体64から外れず、螺合後、雄螺子部の外周に圧接するようにする場合は、ナット本体64の雌螺子孔61の周端近くか、周端を越えるまで所まで延ばしても良い。
図13(2)の場合、切り込み103の圧接部材100Cの中心からの長さは、第1実施例の如く圧接部材100Cが雄螺子部の先端に当たるとナット本体から外れるようにする場合はナット誘導部の半径と同じか少し長い程度でも良く、第2実施例の如く圧接部材100Cが雄螺子部の外周に圧接するようにする場合は、ナット本体64の雌螺子孔61の周端近くか、周端を越えるまで所まで延ばしても良い。
図13(3)、(4)の場合、圧接部材100D、100Eの中心から爪部104、105の先端までの距離R、R’はナット誘導部の半径より短くする。爪部104、105の長さM、M’は、第1実施例の如く圧接部材100D、100Eが雄螺子部の先端に当たるとナット本体64から外れるようにする場合は短くても良く、第2実施例の如く圧接部材100D、100Eが雄螺子部の外周に圧接するようにしたい場合は、爪部104、105の基端をナット本体64の雌螺子孔61の周端近くか、周端を越える所まで延ばしても良い。また図13(3)、(4)の爪部104、105の数を3つとしたり、5個以上としても良い。
図14(1)に示す如くナット60Dの底面側端面63の側から雌螺子孔61をボルト24Aのナット誘導部40Aに合わせて挿通していき、ナット誘導部40Aの丸棒部42Aの先端が圧接部材100Dの中央付近に当たると、磁力で圧接部材100Dが丸棒部42Aの先端に磁着し(図14(2))、ナット60Dを軸方向上方(ボルト24Aの頭部21の方向)へ少し移動すると、丸棒部42Aの先端部により爪部104が撓みながら押し開かれて圧接部材100Dの弾性で、爪部104の先端部分が丸棒部42Aの先端の周面に圧接する(図14(3))。更にナット60Dを軸方向上方へ少し移動すると丸棒部42Aの先端が爪部104の間から外側へ少し出る(図15(1))。この際、まだナット本体64の底面側の端面63や雌螺子孔61はボルト本体20の雄螺子部22の先端には当接していない。爪部104が丸棒部42Aの先端部により押し開かれて、圧接部材100Dの弾性で爪部104の近傍が丸棒部42Aの先端の周面に圧接した状態になると、ナット60Dから誤って指を離してしまいナット60Dが重力で落下しようとしても、圧接部材100Dの爪部104と丸棒部42Aの間に生じる大きな摩擦力及び磁力により、圧接部材100Dがナット誘導部40Aの丸棒部42Aに固定されるので、ナット60Dは落下しない。
図13(1)、(2)、(4)の圧接部材を第2実施例の圧接部材と置き換えた場合も、図14乃至図16と同様にして、ナット落下防止、緩み止め機能を発揮する。
なお、第1、第2実施例及び図13に示す各種の圧接部材の外形を円形としたが、ナット本体の外形に合わせて六角形状、四角形状などの多角形状としても良い。
また、図18に示す如く、ナット本体64Aの頂面側に、雌螺子孔61の谷径(雄螺子部の山径)より径の大きな円盤状の段孔66を雌螺子孔61と同軸に刻設し、この段孔66にマグネットシート製で円盤状の圧接部材100Gを雌螺子孔61の一端を塞ぐようにして接着剤で接着するなどして着脱自在に装着するかまたは固着して装着し、圧接部材100Gの中央に放射状の爪部104(図13(3)参照)などの通し口部を設けておくようにしても良い。
また、図20に示す如く、マグネットシート製で雌螺子孔101と同径な円盤状の圧接部材100Iの中央に通し孔101などの通し口部を設け、ナット本体64の頂面側の雌螺子孔61の中に雌螺子孔61の一端部を塞ぐようにして圧接部材100Iの外周面を弱い接着剤でナット本体64に接着したり、圧接部材100Iを雌螺子孔61に嵌合するなどして雌螺子孔61に着脱自在に装着するようにしても良い。
例えば、図21に示す如く、ナット本体64Bの頂面近くに、雌螺子孔61の谷径(雄螺子部の山径)より溝底径L10の大きな円盤状の溝孔67を雌螺子孔61と同軸に刻設し、この溝孔67にマグネットシート製で円盤状の圧接部材100Jを雌螺子孔61の一端を塞ぐようにして接着剤で接着するなどして着脱自在に装着するかまたは固着して装着し、圧接部材100Jの中央に放射状の爪部104(図13(3)参照)などの通し口部を設けておくようにしても良い。この場合、図22に示す如く、ナット本体64Bに形成した溝孔67に圧接部材100Jを圧入することにより圧接部材100Jの周縁部を溝孔67に嵌入させるようにして形成してもよい。
また、ナット本体の頂面近くに、雌螺子孔の端を閉塞するようにして圧接部材をカシメで固着するようにしても良い。この場合、まず図23(1)に示す如く、切削加工などによりナット本体64Cの頂面側に雌螺子孔61の谷径(雄螺子部の山径)より径の大きな円盤状の段孔68を雌螺子孔61と同軸に刻設するとともに段孔68の周端から軸方向外側に突設した薄い肉厚の円筒部69を形成しておく。次に段孔68に圧接部材100Kを嵌めたあと(図23(2)、(3))、ナット本体64Cを軸回りに回転しながら治具70により円筒部69を軸の中心方向へ押圧して圧接部材100Kの周縁部をカシメて固着すれば良い(図23(4)、(5))。
また、ナット誘導部付ボルトの側にも磁石を組み込むようにしても良い。例えば、図24(1)、(2)に示す如くボルト本体20の頭部21の頂面23に円盤状の磁石80を磁着または接着等で装着したり、図25(1)、(2)に示す如くボルト本体20の頭部21の1または複数の側面24に方形板状の磁石82を磁着または接着等で装着したり、図26(1)、(2)に示す如くボルト本体20の頭部21の下面25にリング状の磁石83を磁着または接着等で装着したりしても良い。
また、図27に示す如くボルト本体20Aの雄螺子部22の先端寄りの軸芯に沿って棒状の磁石84を内蔵させても良い。具体的には、図28の如く、磁性体から成るボルト本体20Aの先端側の中心部に軸芯に沿って円柱状の長孔26を穿設し、この長孔26に丸棒状の磁石84を嵌め込み、接着したり磁着したりするなどして装着したのち、磁石84を塞ぐようにしてボルト本体20Aの先端にナット誘導部40を接着したり、溶接したりして一体化する。
このようにすれば、ナット誘導部付ボルトに組み込まれた磁石により、圧接部材をより強くナット誘導部に磁着させることができる。図27、図29、図30の例は、ボルト本体の部分が非磁性ステンレス鋼などの非磁性体から形成されている場合に適している。
このように、ボルトまたはナットに磁石を組み込む場合、圧接部材または密接部材を単に弾性を有する磁性体シートなどの磁性体部材により形成したり、密接部材を単に硬質の磁性体シートなどの磁性体部材により形成することもできる。
また、上記した各実施例及び変形例における圧接部材、密接部材、圧接部、密接部の通し口部近傍の表面の内、ナット誘導部に挿入されたときのナット誘導部表面との接触面に予め粘着剤層を形成しておくか、またはナット誘導部に挿入されたときのナット誘導部表面との接触面と雄螺子部に挿入されたときの雄螺子部表面との接触面に予め粘着剤層を形成しておき、ナット誘導部の表面またはナット誘導部の表面と雄螺子部の表面に対し、圧接部材、密接部材、圧接部、密接部が圧接または密接したり、圧接または密接と磁着したりするのに加えて、圧接部材または密接部材がナット誘導部に粘着もするようにして、より一層ナットが落下しにくくすることもできる。
また、ナット誘導部の表面をサンドペーパで磨くなどして粗面としたり、ナット誘導部の表面の全部または一部の軸周りに溝を形成するようにしても良く、例えば、図36(1)に示す如く多数のリング状の溝46を軸方向に多数並べて刻設したり、図36(2)に示す如く螺旋状の溝47を刻設したりして、圧接部材、密接部材、圧接部、密接部との間の摩擦が大きくなるようにしても良い。また、ナット誘導部の表面に薄く粘着剤を塗布して粘着層を形成して、圧接部材、密接部材、圧接部、密接部の通し口部の周りが粘着するようにしても良い。
21 頭部
22 雄螺子部
24 ナット誘導部付きボルト
40 ナット誘導部
60 ナット
64 ナット本体
100 圧接部材
101 通し孔
Claims (8)
- 雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体的に突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、弾性部材から成る圧接部材をナット本体に着脱自在に装着してナットを構成し、
圧接部材に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
圧接部材の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接するようにしたこと、
を特徴とする締結部品。 - 雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体的に突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにして、弾性部材から成る圧接部材をナット本体に着脱自在または固着して装着してナットを構成し、
圧接部材に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
圧接部材の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、最初は、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたこと、
を特徴とする締結部品。 - 雌螺子孔を有するナット本体と、雄螺子部を有するボルト本体とを備え、
前記ボルト本体の雄螺子部側の先端に、前記ナット本体の雌螺子孔に挿脱自在なナット誘導部を前記ボルト本体の軸方向に着脱自在に突設するかまたは一体的に突設してナット誘導部付きボルトを構成し、
ナット本体の雌螺子孔の頂面側の一端または一端部または軸方向の延長部分を閉塞するようにした圧接部をナット本体と一体に設け、
圧接部に通し口部を設けるとともに、ナット誘導部の長さをナットの底面側の端面から通し口部までの高さより長くし、
圧接部の通し口部は、ナットを底面側からナット誘導部に挿入するとき、最初は、ナットの雌螺子孔の底面側がボルト本体の雄螺子部に当たる以前に、通し口部がナット誘導部により押し開かれて該ナット誘導部に圧接し、更にナットを雄螺子部に螺合すると、通し口部が雄螺子部により押し開かれて該雄螺子部に圧接するようにしたこと、
を特徴とする締結部品。 - 圧接部材の通し口部近傍の表面の内、ナットを底面側からナット誘導部に挿入したときナット誘導部の表面と接触する個所に粘着層を付加したこと、
を特徴とする請求項1または2記載の締結部品。 - 圧接部の通し口部近傍の表面の内、ナットを底面側からナット誘導部に挿入したときナット誘導部の表面と接触する個所に粘着層を付加したこと、
を特徴とする請求項3記載の締結部品。 - ナット誘導部の少なくとも先端部の表面に粘着層を付加したこと、
を特徴とする請求項1乃至5の内のいずれか一項記載の締結部品。 - ナット誘導部の先端部に軸に垂直な方向に大きくした膨大部を設け、
ナットの通し口部にナット誘導部に挿通する際、通し口部が膨大部により通し押し開かれたのち、ナット誘導部に圧接するようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2または3記載の締結部品。 - ナット誘導部の全部または一部の表面に軸周りの溝を形成したこと、
を特徴とする請求項1乃至7の内のいずれか一項記載の締結部品。
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