JP5826223B2 - 金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結雰囲気制御方法及びそれを実施する装置を備えた金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置 - Google Patents
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Description
(1)一つは、金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結雰囲気制御方法であって、上部開口側がレーザ光透過基板で塞がれた筒状のレーザ光ガイドの上部側に、該レーザ光ガイドのその他の部分よりも径を大きくした不活性ガス導入室が設けられ、下部側には、該ガイドの直下にある基板上の金属ナノ粒子ペーストのレーザ照射部位を覆うスカート部が設けられ、このスカート部の下部周縁と前記金属ナノ粒子ペーストを有する基板との間には環状隙間が確保されている。
(2)もう一つは、不活性ガスを基板上の金属ナノ粒子ペーストを取り囲むように吹き出して、金属ナノ粒子ペースト周辺を低酸素濃度のレーザ焼結雰囲気にしながらレーザ光を前記金属ナノ粒子ペーストに照射して、前記金属ナノ粒子ペーストを焼結するレーザ焼結装置において、レーザから出射されるレーザ光を透過させるレーザ光透過基板と、筒状の内部通路に前記レーザ光を通し且つ前記不活性ガスを導入してレーザ光照射位置に案内するためのレーザ光ガイドと、前記レーザ光照射位置の周辺を覆って前記不活性ガスによる低酸素濃度の前記レーザ焼結雰囲気を形成するスカート部と、を備える。また、前記ガイドの上部開口を塞ぐように前記レーザ光透過基板が設けられ、且つ該ガイドの上部側に該ガイドのその他の部分よりも径を大きくした不活性ガス導入室が設けられ、下部側には前記スカート部が設けられて、前記レーザ光透過基板、不活性ガス導入室及びスカート部が前記ガイドと一体化してなる。且つ前記不活性ガス導入室の側面に不活性ガス導入管を設けてこの不活性ガス導入管を介して外部より不活性ガスを前記不活性ガス導入室に導入して、該不活性ガス導入室から前記ガイド及びスカート部を介して前記レーザ光照射位置に向けて直上から吹き出し、この吹き出し不活性ガスにより、レーザ焼結時に前記金属ナノ粒子ペーストから生じるガスを、前記スカート部の下部周縁と前記基板との間に確保される環状隙間を通して排出しつつレーザ焼結雰囲気を酸素濃度0.1容量%以下にし得る構成としたことを特徴とする。
(3)なお、上記構成において、任意に採用可能な種々の副次的な構成、例えば前記スカート部に設けた雰囲気ガス吸引口の位置調整機構、前記スカート部の装着態様、前記スカート部の移動調整機構の具体例、前記ガイド本体と光学系ユニットとの結合したものなども、提案されるが、これらについては、発明の実施の形態において説明する。
1.レーザ光/不活性ガスのガイドユニットを通る不活性ガスが、金属ナノ粒子ペーストレーザ焼結部の発生ガスを良好に排出し、また大気中からの酸素の侵入を抑制できるレーザ照射ノズル構造を呈することで、低酸素濃度のレーザ焼結雰囲気の最適化を図ることができる。
2.金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結ノズル構造を実現するガイドユニットが、レーザガイドと不活性ガス供給ノズル、雰囲気ガス吸引ノズルが一体化されており、酸素濃度測定値が安定する。
(使用例1)
本実施例のレーザ照射装置を用いて、銀ナノ粒子ペーストをレーザ焼結する場合の一例を説明する。特許文献1に示したように、銀ナノ粒子ペースト(溶媒に銀ナノ粒子を分散させたもの)を銅などの金属基板に印刷し、レーザ照射して銀ナノ粒子を焼結するには、金属基板との優れた密着性を得るためには、酸素濃度を0.1容量%以下に維持する必要がある。これを達成するために、本実施例におけるレーザ光/不活性ガスガイド22を用いて、不活性ガス8としてアルゴンガスを供給し、酸素濃度計16を接続してアルゴンガス供給下での実際の酸素濃度の連続測定を行った。なお、本使用例における酸素濃度測定は、金属基板に金属ナノ粒子ペーストを塗布し、レーザ焼結に先立って行われたものである。酸素濃度計には泰榮エンジニアリング株式会社製の酸素濃度計「OXYMAN(登録商標)」を用いた。測定条件はアルゴンガス流量を1L/min、基板とスカート部の下面との間隔19を2mm、吸引ガスの吸引流量を0.2L/minとした。アルゴンガス流量は、アルゴンガス専用の流量計を用いて厳密に流量を管理した。また吸引ポンプ15にはダイヤフラム式のエアーポンプを使用した。また吸引ガス流量の測定には、堀場製の微量流量計Film Flow Meter/VP−3(測定可能流量範囲20〜1000ml/min)を用いた。この条件におけるスカート部(雰囲気制御室)2内の酸素ガス濃度測定結果を図7に示す。酸素濃度は容量%で表示している。アルゴンガス供給開始前の初期の酸素濃度は、大気中の酸素濃度である21容量%を示すが、アルゴンガス供給後30秒程度で酸素濃度は0となり、その後3分経過後も安定している。本使用例におけるアルゴンガス流量は、金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結によって発生する分解ガス(溶剤や分散剤の蒸発成分や分解生成物)をレーザ焼結反応系から追い出すために見合った流量である。この酸素濃度測定結果から、本実施例のレーザ焼結装置によれば、金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結によって発生する分解ガスをレーザ焼結反応系から追い出すアルゴンガス流量の下でも、レーザ焼結雰囲気の乱れを防止し、ひいては酸素を含む外気を巻き込むことを防止できることが理解できる。
(使用例2)
使用例2では、スカート部・基板間隔19を3mmとして行った。ほかの条件は、使用例1と同様である。この条件におけるスカート部(雰囲気制御室)2内の酸素ガス濃度測定結果を図8に示す。スカート部・基板間隔19を3mmの条件でも30秒程度で酸素濃度は0となった。このことから本発明のレーザ光/不活性ガスガイド22の使用によって、基板1の厚さが薄くなり、スカート部・基板間隔19が1mm程度大きくなったとしても、雰囲気制御室内の酸素濃度は安定して維持できることがわかる。
(使用例3)
使用例3では、スカート部・基板間隔19を3mmと固定し、アルゴンガス流量を1〜2L/minの範囲で変化させた。この条件において、雰囲気ガス吸引量を0.03、0.15、0.25L/minにそれぞれ変化させたときのスカート部2(雰囲気制御室)内の酸素濃度を測定した。測定の結果を図9に示す。本発明のレーザ光/不活性ガスガイド22によれば、図9に示すように、アルゴンガス流量1〜2L/minの変動範囲においても、酸素濃度は安定して0容量%になることを示している。本使用例における酸素濃度測定も、使用例1、2同様に、金属基板に金属ナノ粒子ペーストを塗布し、レーザ焼結に先立って行われたものであるが、この酸素濃度測定結果からも、本実施例のレーザ焼結装置によれば、金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結によって発生する分解ガスをレーザ焼結反応系から追い出すアルゴンガス流量の下でも、レーザ焼結雰囲気の乱れを防止し、ひいては酸素を含む外気を巻き込むことを防止できることが理解できる。
1.レーザ光/不活性ガスのガイドユニット22を通る不活性ガス8が、金属ナノ粒子ペーストレーザ焼結部の発生ガスを良好に排出し、またスカート部2への大気中からの酸素の侵入を抑制できるレーザ照射ノズル構造を呈することで、低酸素濃度のレーザ焼結雰囲気の最適化を図ることができる。
2.金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結ノズル構造を実現するガイドユニットは、レーザガイド22と不活性ガス供給ノズル、雰囲気ガス吸引ノズルが一体化されており、酸素濃度測定値が安定する。
3.レーザガイド先端にスカート部2による雰囲気ガス制御室を有し、レーザ照射部のガス濃度が安定する。
4.雰囲気制御室と基板の距離(環状隙間)19の調整により、少ない不活性ガスの流量で低酸素濃度を得ることができる。
Claims (8)
- 金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結雰囲気制御方法であって、
上部開口側がレーザ光透過基板で塞がれた筒状のレーザ光ガイドの上部側に、該レーザ光ガイドのその他の部分よりも径を大きくした不活性ガス導入室が設けられ、下部側には、該ガイドの直下にある基板上の金属ナノ粒子ペーストのレーザ照射部位を覆うスカート部が設けられ、このスカート部の下部周縁と前記金属ナノ粒子ペーストを有する基板との間には環状隙間が確保されており、
かようにして構成されるガイドユニットにおいて、外部のレーザ光学系ユニットからのレーザ光を、前記レーザ光透過基板を介して前記ガイドの中心部に通して前記金属ナノ粒子ペーストに導き、且つ前記不活性ガス導入室の側面に接続した不活性ガス導入管を介して外部より不活性ガスを前記不活性ガス導入室に導入してこの不活性ガス導入室を正圧に維持することにより、不活性ガスを前記不活性ガス導入室から前記ガイド及びスカート部を介して前記金属ナノ粒子ペーストに向けて直上から吹き出し、この吹き出し不活性ガスにより、レーザ焼結時に前記金属ナノ粒子ペーストから発生するガスを、前記環状隙間を通して排出しつつレーザ焼結雰囲気を酸素濃度0.1容量%以下に保つことを特徴とするレーザ焼結雰囲気制御方法。 - 前記スカート部に設けた雰囲気ガス吸引口からレーザ焼結雰囲気ガスの一部を吸引し酸素濃度計に導入して、レーザ焼結雰囲気が最適な条件になるように不活性ガス流量を、流量制御手段を介して調整する請求項1記載の金属ナノ粒子ペーストのレーザ焼結雰囲気制御方法。
- 不活性ガスを基板上の金属ナノ粒子ペーストを取り囲むように吹き出して、金属ナノ粒子ペースト周辺を低酸素濃度のレーザ焼結雰囲気にしながらレーザ光を前記金属ナノ粒子ペーストに照射して、前記金属ナノ粒子ペーストを焼結するレーザ焼結装置において、
レーザから出射されるレーザ光を透過させるレーザ光透過基板と、筒状の内部通路に前記レーザ光を通し且つ前記不活性ガスを導入してレーザ光照射位置に案内するためのレーザ光ガイドと、前記レーザ光照射位置の周辺を覆って前記不活性ガスによる低酸素濃度の前記レーザ焼結雰囲気を形成するスカート部と、を備え、
前記ガイドの上部開口を塞ぐように前記レーザ光透過基板が設けられ、且つ該ガイドの上部側に該ガイドのその他の部分よりも径を大きくした不活性ガス導入室が設けられ、下部側には前記スカート部が設けられて、前記レーザ光透過基板、不活性ガス導入室及びスカート部が前記ガイドと一体化してなり、
且つ前記不活性ガス導入室の側面に不活性ガス導入管を設けてこの不活性ガス導入管を介して外部より不活性ガスを前記不活性ガス導入室に導入して、該不活性ガス導入室から前記ガイド及びスカート部を介して前記レーザ光照射位置に向けて直上から吹き出し、この吹き出し不活性ガスにより、レーザ焼結時に前記金属ナノ粒子ペーストから発生するガスを、前記スカート部の下部周縁と前記基板との間に確保される環状隙間を通して排出しつつレーザ焼結雰囲気を酸素濃度0.1容量%以下にし得る構成としたことを特徴とする金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置。 - 前記スカート部に雰囲気ガス吸引口を設け、この雰囲気ガス吸引口からレーザ焼結雰囲気ガスの一部を吸引し酸素濃度計に導入して、レーザ焼結雰囲気が最適な条件になるように不活性ガス流量を、流量制御手段を介して調整可能に構成した請求項3記載の金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置。
- 前記スカート部に設けた前記雰囲気ガス吸引口は、吸引口の位置を可変調整し得る機構を備える請求項4記載の金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置。
- 前記スカート部は、前記ガイドの下部にねじ込み式により装着され、ねじ込み量を調整することで前記スカート部を上下方向に移動可能にしてなる請求項3ないし5のいずれか1項記載の金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置。
- 前記スカート部は、下部に向けて広がりを持つテーパー形状を呈している請求項3ないし6のいずれか1項記載の金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置。
- 前記ガイドと前記レーザを含む光学系ユニットとが一体に結合されている請求項3ないし7のいずれか1項記載の金属ナノ粒子ペースト用のレーザ焼結装置。
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