JP5826083B2 - 車両用空気調和装置及びこれを備えた鉄道車両 - Google Patents

Description

本発明は、ヒートポンプ式（冷暖用）の車両用空気調和装置及びこれを備えた鉄道車両に関する。

従来、通勤電車や地下鉄等の鉄道車両の屋根部に搭載されている空気調和装置は、冷房専用として使用されており、吸込部と吹出部が車両天井に設けられているのが一般的である。このような空気調和装置を備えた鉄道車両として例えば、夏場の冷房時には、空気調和装置から供給された冷気を天井ダクトを介して客室内に吹き出して客室内の温度を低下させ、冬場の暖房時には、空気調和装置を稼動させずに、客室内の座席下に設けた電気ヒータにより賄っている（客室内の温度を上昇させている）ものがある（例えば特許文献１）。そして、特許文献１では、天井ダクトを介して客室内に供給された空気が、客室天井に設けられた電気扇により撹拌され、客室内の温度バランスが保たれている。

また、従来の空気調和装置を備えた鉄道車両として例えば、「……元ダクトを介して空調装置に接続された加圧ダクトと、該加圧ダクトに接続された冷気ダクトと、該加圧ダクトと集中配置された連結ダクトによって接続され、かつ、台枠下面の車体長手方向に設けられた床下集中ダクトによって前記送風ダクトを構成し、前記加圧ダクトに冷気ダクトおよび床下集中ダクトへの調和空気供給を切換えるダンパを設けた」ものがある（例えば特許文献２）。

特開平９−２０７５４１号公報（［０００６］、図１） 特開平１−３７３０８号公報（第１頁、第２頁、第２図、第３図）

しかしながら、特許文献１の構成では、鉄道車両の屋根部にヒートポンプ式（冷暖用）の空気調和装置を搭載した場合、冬場の暖房時に暖気が客室内上部に滞留する（篭る）ことになり、乗客の足元まで暖気が十分行き渡らず、暖感を保つのが難しい。

また、特許文献２の構成では、天井から客室内床部に暖気を供給するために、客室内の鉄道車両側面部に連結ダクト（立ち上がりダクト）を設けることが必要となる。そのため、ダクト構成の複雑化や客室内空間の狭小化が生じてしまうことがある。

本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、空気調和装置の用途（冷房専用、冷暖用）に関わらず、立ち上がりダクトを設けることなく、従来構成（吸込部と吹出部を車両天井に設けた鉄道車両）のままでも暖気を床面側に送出することが可能であり、客室内空間の広さを維持することができる、車両用空気調和装置及びこれを備えた鉄道車両を提供することを目的とする。

本発明に係る車両用空気調和装置は、鉄道車両本体の屋根部に搭載され、該鉄道車両本体の客室内を空調する空調手段と、前記鉄道車両本体の屋根部に搭載され、前記空調手段によって空調された空気を、前記鉄道車両本体の上部の両側部に長手方向に沿って連続して設けられた一対の天井ダクトを介して、前記客室内に長手方向に分配して吐出させる一対の送風機と、前記鉄道車両本体の長手方向に沿って配置され、暖房運転時には、風向きが前記客室の側部方向に固定され、前記天井ダクトを介して前記送風機から吐出した空気を、前記客室の側部に向けてそれぞれ送出する一対のラインフローファンとを備え、前記ラインフローファンは、前記天井ダクトよりも前記鉄道車両の幅方向中央側に設けられているものである。

本発明に係る鉄道車両は、本発明に係る車両用空気調和装置を備えたものである。

本発明によれば、暖房運転時に、天井ダクトを介して送風機から吐出された空気は、ラインフローファンにより客室の側部に向けてそれぞれ送出される構成としている。このため、送風機から吐出された空気は、客室の側部に沿って床面側に送出される。このようなことから、本発明においては、空気調和装置の用途（冷房専用、冷暖用）に関わらず、立ち上がりダクトを設けることなく、従来構成（吸込部と吹出部を車両天井に設けた鉄道車両）のままでも、暖気を床面側に送出することが可能であり、また、客室内空間の広さを維持することができる。

本発明の一実施の形態に係る鉄道車両の客室内側面図である。 図１の縦断面図である。

図１は、本発明の一実施の形態に係る鉄道車両１０の客室内側面図である。図２は、図１の縦断面図である。
図１及び図２に示されるように、鉄道車両１０は、鉄道車両本体１０Ａ及び鉄道車両本体１０Ａの上部に設けられた屋根部１Ａを備えている。鉄道車両本体１０Ａは、天井ダクト３、客室４等を備えている。天井ダクト３は、客室４の両肩部分に一対設けられており、上部に設けられた吹出口３ａ、３ｂを介して屋根部１Ａと連通し、下部に設けられた吹出口３ｃ、３ｄを介して客室４と連通している。天井ダクト３は、このように構成されており、後述の送風機１ａから送出された風を鉄道車両本体１０Ａの長手方向に分配する。

屋根部１Ａには、ヒートポンプから構成される空調手段（図示せず）、送風機１ａ等が搭載されている。送風機１ａは、一対の天井ダクト３にそれぞれ対応して設けられており、空調手段により空調された空気を天井ダクト３に送出する。 天井ダクト３に対して車両中央寄りには、一対の首振り式のラインフローファン２が、車両のドア部付近を含め車両の長手方向に均一にそれぞれ配置されている。

また、客室４の上部には、屋根部１Ａに連通する吸入口４ａ，４ｂが形成されている。吸入口４ａ，４ｂは、鉄道車両本体１０Ａの幅方向（枕木方向）に対して略中央上方に形成されており、その両側に上記の一対の首振り式のラインフローファン２が配置されている。このラインフローファン２は、冷房運転時には送風方向が固定されないが（首振り動作をする）、暖房運転時には送風方向が車両の側部方向（窓側）になるように固定されるものとする。

なお、上記の空調手段、送風機１ａ及びラインフローファン２が本発明の車両用空気調和装置１を構成している。

次に、上記の車両用空気調和装置１の暖房運転時の動作を説明する。
空調手段により空調された空気（暖気）は、送風機１ａにより吹出口３ａ，３ｂを通じてそれぞれ天井ダクト３内部に吹き出され、更に、吹出口３ｃ，３ｄを通じて客室４に吹き出される。そして、客室４に吹き出された空気は、ラインフローファン２により鉄道車両本体１０Ａの側部方向（窓側）に送出され、鉄道車両本体１０Ａの側部に沿って流れて下降し、鉄道車両本体１０Ａの床面部近傍を流れる。こうして、吹出口３ｃ，３ｄから吹き出された空気は、鉄道車両本体１０Ａの床面部中央近傍で衝突して上方に舞い上がり、吸入口４ａ，４ｂを通って屋根部１Ａの内部に供給される。このようにして、空調手段により空調された空気（暖気）は、その気流方向が調整され、客室４の側部（窓側）及び床面部近傍を流れて屋根部１Ａの内部に戻り、暖気が循環する。

以上のように、本実施の形態に係る車両用空気調和装置１によれば、暖房運転時に、天井ダクト３を介して送風機１ａから吐出された空気は、ラインフローファン２により客室４の側部（窓側）に向けてそれぞれ送出される。このため、送風機１ａから吐出された空気は、客室４の側部に沿って床面側に送出されることとなる。このようなことから、空気調和装置１の用途に関わらず、立ち上がりダクトを設けることなく、従来構成（車両）のままでも空調された空気を客室４の床面側に送出することができ、客室内空間の広さを維持することができる。

また、本実施の形態に係る車両用空気調和装置１によれば、ラインフローファン２は、暖房運転時にはその風向きが固定されている。このため、ショートサーキット（車両用空気調和装置１から吹出された暖気をそのまま、車両用空気調和装置１が吸い込む）による車両用空気調和装置１の運転停止（サービス停止）を回避でき、暖房時の乗客の不快感（客室４内に存在する乗客の頭部に暖風が直接当たる）を抑制する効果も期待出来る。

なお、本実施の形態では、ラインフローファン２は首振り式のものを採用しているが、これに限定されない。例えば、暖房運転のみを行う場合には、ラインフローファン２の送風方向は常に固定されているため、首振り式でなくともよい。

１ 車両用空気調和装置、１Ａ 屋根部、１ａ 送風機、２ ラインフローファン、３ 天井ダクト、３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ 吹出口、４ 客室、４ａ，４ｂ 吸入口、１０ 鉄道車両、１０Ａ 鉄道車両本体。

Claims (2)

1. 鉄道車両本体の屋根部に搭載され、該鉄道車両本体の客室内を空調する空調手段と、
   前記鉄道車両本体の屋根部に搭載され、前記空調手段によって空調された空気を、前記鉄道車両本体の上部の両側部に長手方向に沿って連続して設けられた一対の天井ダクトを介して、前記客室内に長手方向に分配して吐出させる一対の送風機と、
   前記鉄道車両本体の長手方向に沿って配置され、暖房運転時には、風向きが前記客室の側部方向に固定され、前記天井ダクトを介して前記送風機から吐出した空気を、前記客室の側部に向けてそれぞれ送出する一対のラインフローファンとを備え、
   前記ラインフローファンは、
   前記天井ダクトよりも前記鉄道車両の幅方向中央側に設けられている
   ことを特徴とする車両用空気調和装置。
2. 請求項１に記載の車両用空気調和装置を備えた
   ことを特徴とする鉄道車両。

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