JP5824350B2 - 海水・河川水からの採熱システムおよび採熱方法 - Google Patents

海水・河川水からの採熱システムおよび採熱方法 Download PDF

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本発明は、海水や河川水から温熱を採取するシステムと方法に関し、特に、雪や氷が浮遊する寒冷地において海水や河川水から温熱を採取して、暖房や給湯の熱源に利用する技術に関する。
ヒートポンプを使って暖房や給湯を行う場合、蒸発器を室外に設置し、冷媒回路中の低温冷媒と室外の空気または水などと熱交換させることで、室外環境から温熱を採取する技術が実用化されている。しかし、蒸発器の冷媒蒸発温度が着霜する温度以下になる運転条件で室外の空気から採熱すると、蒸発器の外表面に結氷や着霜が発生し、時間とともに伝熱効率が低下するため、定期的に除霜運転を行う必要がある。このとき暖房運転は一時的に停止させることになるため、快適性を著しく損なうという問題がある。また、外気温度が低下するにしたがってCOPは低下し、極端に低い場合には暖房運転ができなくなることもある。
一方、寒冷地で身近に存在する比較的高温の熱源として、海水や河川水などがある。例えば、特許文献1には、河川水を蒸発器に流通させて温熱を採取する技術が開示されている。また、特許文献2には、地下水や工場で使用された排水等を熱源水として、給湯装置の冷媒に蒸発熱源を与える技術が開示されている。
特開平11−118288号公報 特開2010−281552号公報
しかし、海水や河川水を熱源として利用する場合、次のような問題がある。すなわち、寒冷地では、雪や氷が混合して海水や河川水が凝固点付近になっていることも多く、このような水から採熱を行うと採熱後の水は過冷却状態になる。このため採熱後の水を海や川にそのまま戻すと、外界の氷粒と過冷却水との接触によって急激な相変化が起こり、排水口が閉塞してしまう。また、いったん排水された過冷却水がそのまま取水されるとヒートポンプ系内での凍結を引き起こす。さらに、取水にわずかでも雪や氷が混入すると相変化が起こり、配管や機器が閉塞し、運転を継続することができなくなる。
ここで、上記特許文献1には、蒸発器に流通させる河川水の入口温度が7℃未満になったときは流量を増加させて、蒸発器用チューブでの凍結を回避することが開示されている。また、上記特許文献2には、ヒートポンプサイクルを構成する圧縮機の吐出圧力が所定値となるように冷媒循環量を調整することが開示されている。しかしながら、これら特許文献1、2のように河川水の流量や冷媒の循環量の調整のみでは凍結を効果的に回避し難く、特に、雪や氷が混合する海水や河川水から安定して温熱を採取できる方法の出現が望まれていた。
本発明は、これらの問題を解決するためのものであり、気温や水温にかかわらず海水や河川水などから安定的に温熱を採熱するシステムと方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明によれば、蒸発器に導入された海水もしくは河川水から温熱を採取するヒートポンプを備えた採熱システムであって、前記蒸発器に海水もしくは河川水を導入する取水管と、前記蒸発器から排出された海水もしくは河川水を排水する排水管を備え、前記取水管に送水ポンプと氷核フィルタを備え、かつ、前記送水ポンプの下流側に前記氷核フィルタが配置され、前記氷核フィルタから前記蒸発器の入口までの管路部分における水の滞在時間tが、前記送水ポンプの出力によらず常に下記式(1)を満たすように、前記配管部分の容積が設定され、前記排水管に過冷却の解除器が設けられ、前記解除器に解除エネルギーを付加するエネルギー源を備えることを特徴とする、海水・河川水からの採熱システムが提供される。
t≧a×D/P (1)
但し、aは前記氷核フィルタのろ材によって決まる定数、Dは前記氷核フィルタの透過可能な氷核の最大粒子径、Pは前記送水ポンプの出入口差圧である。
この採熱システムにおいて、前記取水管の取水口が、前記排水管の排水口よりも流れの上流側に配置されていることが望ましい。また、海水もしくは河川水中における前記取水管の取水口の水深が、前記排水管の排水口の水深よりも深いことが望ましい。また、前記排水管が分岐されて、複数の排水口が設けられていても良い。海水や河川水には流れが生じている場合が多いが、取水管の取水口と排水管の排水口の位置関係をこのように設定すれば、排水口から放出されて浮遊していく氷が、取水管に再び流れ込むことを回避できる。
また、本発明によれば、この採熱システムを用いた採熱方法であって、前記蒸発器の出口での、海水の温度とその凝固点と偏差、もしくは、河川水の温度とその凝固点との偏差を0℃以上の目標値に維持するように、前記送水ポンプの出力を調整する非製氷モードと、前記蒸発器の出口での、海水の温度とその凝固点との偏差、もしくは、河川水の温度とその凝固点との偏差を0℃以下の目標値に維持するように、前記送水ポンプの出力を調整し、前記解除器に解除エネルギーを付加する製氷モードとを有し、前記非製氷モード中に、前記送水ポンプの出力が設定上限値になっている時間が所定時間継続した場合は、前記製氷モードに切り替え、前記製氷モード中に、前記送水ポンプの出力が設定下限値になっている時間が所定時間継続した場合は、前記非製氷モードに切り替えることを特徴とする、海水・河川水からの採熱方法が提供される。
本発明によれば、気温や水温にかかわらず海水や河川水などから安定的に温熱を採熱できるようになる。特に、寒冷地などにおいて、排水口や配管、機器等を閉塞させることなく、雪や氷が混合する海水や河川水からも安定して温熱を採取することが可能となり、ヒートポンプを使って暖房や給湯を行うことができるようになる。
本発明の実施の形態にかかる採熱システムの説明図である。 非製氷モード(モード1)と製氷モード(モード2)における蒸発器入口水温に対する出口水温と流量の関係を示すグラフである。 取水管の取水口が、排水管の排水口よりも流れの上流側に配置された実施の形態の説明図である。 取水管の取水口の水深が、排水管の排水口の水深よりも深い実施の形態の説明図である。 排水管が分岐されて、複数の排水口が設けられた実施の形態の説明図である。
以下、本発明の実施の形態の一例を図面を参照にして説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に示すように、空調空間1の内部にヒートポンプ2の凝縮器(熱交換器)10が設置されている。ファン11の稼働により、空調空間1内の室内空気11がこの凝縮器10に熱的に接触して加熱され、空調空間1内の暖房空調が行われる。
ヒートポンプ2の冷媒回路15には、凝縮器10の他に、膨張弁16、蒸発器(熱交換器)17、圧縮器18が設けられている。圧縮器18の出力は、演算器20およびインバータ21で制御されており、空調空間1内の温度計22で測定された室内空気11の温度と室内設定温度との偏差によって、圧縮器18の出力が制御され、室内空気11を設定温度に維持する暖房空調が行われている。なお、凝縮器10は空気対冷媒熱交換器としたが、地域暖房施設、その他の大規模施設での暖房には、凝縮器10を水対冷媒熱交換器とし、ポンプで水を複数の暖房負荷まで循環供給させる。
ヒートポンプ2の蒸発器17には、採熱システム3によって、海水もしくは河川水26(以下、「河川水等26」という)が導入されている。すなわち、蒸発器17には、取水管25と排水管27が接続されており、取水管25を通じて蒸発器17に河川水等26が導入されている。また、蒸発器17に導入され、ヒートポンプ2の冷媒との熱交換を行なった後の河川水等26が、排水管27を通じて海もしくは河川に排水される。取水管25の取水口28と、排水管27の排水口29は、いずれも河川水等26の水中に配置されている。
取水管25には、送水ポンプ30、氷核フィルタ31、流量計32が設けられており、送水ポンプ30の下流側に氷核フィルタ31が配置され、氷核フィルタ31の下流側に流量計32が配置されている。そして、送水ポンプ30の稼働により、河川水等26が取水管25を通じて蒸発器17に導入され、排水管27を通じて海もしくは河川に排水される。
送水ポンプ30の出力は、演算器33およびインバータ34で制御されている。後述するように、非製氷モードでは、蒸発器17の出口での河川水等26の温度と、それらの凝固点との偏差を0℃以上の目標値に維持するように、送水ポンプ30の出力が調整される。すなわち、非製氷モードでは、蒸発器17の出口において、河川水等26は、それらの凝固点以上に調整される。また、製氷モードでは、蒸発器17の出口での河川水等26の温度と、それらの凝固点との偏差を0℃以下の目標値に維持するように、送水ポンプ30の出力が調整される。すなわち、製氷モードでは、蒸発器17の出口において、河川水等26は、その凝固点以下(過冷却状態)に調整される。また、流量計32で測定された河川水等26の流量は、演算器33に入力される。
氷核フィルタ31は、透過可能な氷核の最大粒子径Dが既知のものとして、例えばパンチング板からなる濾材、フォトエッチングなどによって直径のそろった孔が開けられた濾材、ワイヤが等間隔に入ったメッシュからなる濾材、ディスクフィルタ(濾材)を備えている。デイスクフイルタとして、例えばドーナツ状の板に放射状に溝を彫ったものを多数積層させて濾材として使用する構成のArkal社ディスクフィルタが使用される。例えば寒冷地などでは、雪や氷が混合する河川水等26が取水されるが、粒子径Dを超える氷核は氷核フィルタ31ですべて捕捉される。このため、氷核フィルタ31以降では、取水管25に粒子径Dを超える氷核は入り込むことがない。なお、不織布、紙や綿のように、繊維が絡まったもの、焼結体のように、粒子同士を融着させたもの、カイメンやスポンジなど不規則な細孔が入くんだ多孔質体などは、透過可能な最大粒子径Dが不定であるので、本発明の氷核フィルタ31には不適当である。
また、氷核フィルタ31から蒸発器17の入口までの管路部分35における河川水等26の滞在時間tが、送水ポンプ30の出力によらず常に下記式(1)を満たすように、管路部分35の容積が設定されている。
t≧a×D/P (1)
ここで、氷核フィルタ31から蒸発器17の入口までの管路部分35とは、取水管25の内、氷核フィルタ31と蒸発器17の間に位置する部分である。送水ポンプ30の稼動により、取水管25を通じて蒸発器17に供給される河川水等26は、その途中で、氷核フィルタ31を通過した後、この管路部分35を経て、蒸発器17に導入される。また、管路部分35における河川水等26の流量Qが、流量計32で測定されて、演算部33に入力される。管路部分35における河川水等26の滞在時間tとは、氷核フィルタ31を通過した後から蒸発器17に供給されるまでの間の時間であり、その間、河川水等26は管路部分35に滞在している。上述したように、本発明では、氷核フィルタ31の透過可能な氷核が最大粒子径Dとなっており、かかる最大粒子径Dの氷核は、管路部分35を流れている間に(滞在時間tの間に)、送水ポンプ30の発熱を利用して昇温した河川水等26によって融解されるように、管路部分35の容積が設定されている。
式(1)において、aは氷核フィルタ31の濾材によって決まる定数であり、氷核の形状などの不確定要因を補正するための定数である。この定数aは、予め実験で求めておく。氷核の形状などの不確定要因は、濾材の開口形状が例えば四角形であったりするために、実際の氷核が完全な球からずれることが原因であるが、その値(定数a)は氷核の観察結果から決定するのではなく、製氷実験を通じたフィッティングにて求める。例えば、使用する氷核フィルタ31を確定した後にさまざまな運転条件で製氷実験を行い、安定運転ができた(P、D、t)の組み合わせから式(1)を用いてaを求め、この値(定数aの最小値)を設計に用いる。
式(1)において、Pは、送水ポンプ30の出入口差圧によって決まる定数である。本発明では、氷核フィルタ31から蒸発器17に至る管路部分35において、送水ポンプ30の発熱を利用して河川水等26を昇温させ、管路部分35において氷核を融解させる。送水ポンプ30による発熱は、送水ポンプ30の出入口差圧P(送水ポンプ30が河川水等26に与えた仕事)だけで決まる。なお、これ以外の要因で水温が上昇しても(例えば保温からの漏れ熱や、モーターの発熱)、氷核の融解への悪影響は無い。
滞在時間tは、送水ポンプ30の発熱を利用して管路部分35において氷核を融解させ、蒸発器17への氷核の混入を回避できる時間であり、式(1)で求められる。この滞在時間tが、送水ポンプ30の出力の変化と、それに伴う流量の変化によらずに、常に式(1)を満たすように、管路部分35の容積を決定する。管路部分35の容積は、例えば以下の手順1、2、3によって決定される。
(手順1)氷核フィルタ31の透過可能な氷核の最大粒子径Dを決定する。(例えば透過可能最大粒子径D=100μm)
(手順2)送水ポンプ30の最小出力での出入口差圧Pと最大粒子径Dから、管路部分35における河川水等26の滞在時間tを決定する。
(手順3)送水ポンプ30の最小出力での流量Qから、管路部分35の容積V=Qtを決定する。
管路部分35の容積Vを所定のものにするためには、管路部分35の全長はそのままで、管径を太くする、管路部分35の太さはそのままで、全長を長くする、管路部分35の途中にタンクを設ける、などの方法が考えられる。
例えば寒冷地などでは、雪や氷が混合する河川水等26が取水されるが、取水口28から取水管25に取水された河川水等26には大小さまざまな大きさの氷核が混入している場合がある。そして、氷核が混入している河川水等26は送水ポンプ30を通過する際に、ポンプ発熱によって僅かに上昇する。河川水等26の液相の温度上昇幅は、送水ポンプ30の軸動力や、モータ発熱がどの程度水に伝わるかによって決まるが、概ね0.05〜0.1℃である。
このポンプ発熱によって僅かに昇温した河川水等26は、次に、送水ポンプ30の下流に配置された氷核フィルタ31に流入する。本発明で使用する氷核フィルタ31は濾材の透過可能な最大粒子径Dが均一あるいは、透過可能な最大粒子径Dが予めわかっているものを使用するため、最大粒子径D以下の氷核は氷核フィルタ31の濾材を透過するが、最大粒子径Dよりも大きな氷核は氷核フィルタ31の濾材に捕捉される。なお、氷核フィルタ31の濾材に補足された氷核もやがては濾材表面で融解し、最大粒子径D以下になったところで濾材を透過する。以上の結果、氷核フィルタ31を通過した後の氷核の粒度分布は、最大粒子径Dを最大値とする分布となる。そして、管路部分35に流入した氷核(最大粒子径Dの氷核)は、上述した管路部分35の容積の設定により、送水ポンプ30の最小出力での流量Qにおいても、管路部分35を流れている間に(滞在時間tの間に)、送水ポンプ30の発熱を利用して昇温した河川水等26によって融解されることとなる。
一方、排水管27には、温度計40、伝播防止器41、過冷却の解除器42が設けられており、温度計40の下流側に伝播防止器41が配置され、伝播防止器41の下流側に過冷却の解除器42が配置されている。そして、蒸発器17の出口での河川水等26温度が温度計40で測定されて、演算部33に入力される。
解除器42には、超音波振動子45が取り付けられており、超音波振動子45に超音波を付加するエネルギー源としての超音波発振器46が接続されている。解除器42は、例えば密閉室内において河川水等26に超音波を加える方式であり、後述するように、製氷モードでは、超音波発振器46の発振によって、超音波振動子45から解除器42に解除エネルギーとしての超音波が付加され、河川水等26の過冷却状態を超音波で確実に解除して安定製氷を行うことができる。こうして、製氷モードでは、解除器42で製氷されたシャーベット状の氷55が、排水管27の排水口29から放出される。なお、超音波の発振は製氷のトリガーとして氷核を生成するときにのみ行えば足りる。氷核を生成されれば、以降は、超音波が無くても連続製氷が可能なため、超音波発振器46の稼動を停止させることができる。
以上のように構成された採熱システム3において、送水ポンプ30の稼働により、河川水等26が取水管25を通じて蒸発器17に導入される。そして、ヒートポンプ2では、冷媒回路15を循環する冷媒が蒸発器17に導入されて、河川水等26と熱交換が行われる。こうして、蒸発器17において、ヒートポンプ2の冷媒が、河川水等26から熱を吸収して蒸発し、冷媒蒸気となる。そして、この冷媒蒸気が圧縮器18で圧縮されて昇温し、凝縮器10で空調空間1内の室内空気11に温熱が与えられる。そして、凝縮器10で凝縮して液となった冷媒が、膨張弁16を通過して、再び蒸発器17に戻る。こうして、河川水等26から温熱を採取するヒートポンプ2によって、空調空間1内の暖房空調が行われる。また、蒸発器17において温熱を採取された河川水等26は、排水管27を通じて海もしくは河川に放流される。
こうして空調空間1内の暖房空調が行われるに際し、採熱システム3では、以下に説明する非製氷モードと製氷モードとが、自動的に切り替えて行われる。なお、非製氷モード(モード1)と製氷モード(モード2)における蒸発器入口水温に対する出口水温と流量の関係を図2に例示する。
「非製氷モード(モード1)」
非製氷モードでは、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2と、それらの凝固点との偏差を0℃以上の目標値X1に維持するように、送水ポンプ30の出力が調整される。蒸発器17の出口における河川水等26温度は、温度計40で測定され、演算部33に入力される。
そして、演算部33は、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2と、それらの凝固点との偏差が、常に0℃以上の目標値X1(例えば+0.3℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させる。例えば、河川水等26が海水である場合、海水の凝固点は−2℃程度である。したがって、海水である場合は、温度T2と−2℃との偏差が常に0℃以上の目標値X1(例えば+0.3℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させる。また例えば、河川水等26が河川水である場合、河川水の凝固点は0℃程度である。したがって、河川水である場合は、温度T2と0℃との偏差が常に0℃以上の目標値X1(例えば+0.3℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させる。このように送水ポンプ30の出力を上げ、河川水等26の取水流量を増加させれば、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2が上昇する。逆に、送水ポンプ30の出力を下げ、河川水等26の取水流量を減少させれば、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2が下降する。したがって、送水ポンプ30の出力を変化させることにより、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2と、それらの凝固点との偏差を、常に0℃以上の目標値X1(例えば+0.3℃)に維持することが可能である。このように、非製氷モードでは、蒸発器42の出口において、河川水等26は常に凝固点以上の温度に維持される。その結果、河川水等26は凍結することがなく、排水管27を通じて海もしくは河川に排水される。
そして、このように非製氷モードで運転中に、送水ポンプ30の出力が設定上限値になっている時間が所定時間継続した場合は、次に説明する製氷モードに切り替えられる。
「製氷モード(モード2)」
製氷モードでは、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2を0℃以下の目標値X2に維持するように、送水ポンプ30の出力が調整される。蒸発器17の出口における河川水等26温度は、温度計40で測定され、演算部33に入力される。
そして、演算部33は、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2と、それらの凝固点との偏差が、常に0℃以下の目標値X2(例えば−2℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させる。例えば、河川水等26が海水である場合、温度T2と−2℃(海水の凝固点)との偏差が常に0℃以下の目標値X2(例えば−2℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させる。また例えば、河川水等26が河川水である場合、温度T2と0℃(河川水の凝固点)との偏差が常に0℃以下の目標値X2(例えば−2℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させる。このように、送水ポンプ30の出力を上げ、河川水等26の取水流量を増加させれば、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2が上昇する。逆に、送水ポンプ30の出力を下げ、河川水等26の取水流量を減少させれば、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2が下降する。したがって、送水ポンプ30の出力を変化させることにより、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2と、それらの凝固点との偏差を、常に0℃以下の目標値X2(例えば−2℃)に維持することが可能である。このように、製氷モードでは、蒸発器42の出口において、河川水等26は常に凝固点以下の温度に維持され、過冷却状態となった河川水等26が、解除器42内に送液される。
また、製氷モードでは、演算部33の制御によって超音波発振器46の発振が行われて、超音波振動子45から解除器42に解除エネルギーとしての超音波が付加される。この場合、上述の非製氷モードから製氷モードに移行したと同時に、超音波発振器46に起動信号が送られ、超音波振動子45から解除器42内を流れる河川水等26に一定時間の間、超音波が照射される。なお、上述したように、
超音波の発振は製氷のトリガーとして氷核を生成するときにのみ行えば足りる。氷核を生成されれば、以降は、超音波が無くても連続製氷が可能なため、超音波発振器46の稼動を停止させることができる。
そして、このように製氷モードで運転中に、送水ポンプ30の出力が設定下限値になっている時間が所定時間継続した場合は、先に説明した非製氷モードに切り替えられる。
以上のようにして、熱源である取水された河川水等26の温度T1が凝固点よりも十分に高い場合には、非製氷モードで運転が行われるが、この非製氷モードでは、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2は過冷却状態になることはなく、凍結の心配は無い。なお、非製氷モードでは、水温が下がるに従って河川水等26の流量を上げるように送水ポンプ30の出力が制御されるが、取水される河川水等26の温度が低温になると、送水ポンプ30の出力が上限に達し、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2を一定値以上に制御できなくなる。このため、非製氷モードで運転中に、送水ポンプ30の出力が設定上限値になっている時間が所定時間継続した場合は、演算器33は製氷モードへの切り替えを行う。
一方、製氷モードでは、取水される河川水等26の温度T1が低温であり、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2と、それらの凝固点との偏差が常に0℃以下の目標値X2(例えば−2℃)となるように、送水ポンプ30の出力を変化させられる。このため、製氷モードでは、取水された河川水等26の流量が減少し、蒸発器42の出口での河川水等26の温度T2が過冷却状態になる。そこで、この製氷モードでは、解除器42内を流れる河川水等26に解除エネルギーとして超音波が照射され、これにより、解除器42内で河川水等26の過冷却状態が解除されてシャーベット状の氷スラリーが製造される。こうして製造された氷スラリー(河川水等26)が、排水管27を通じて海もしくは河川に排出される。排水管27から排出される氷スラリー(河川水等26)はシャーベット状で流動性を有しているため、排水管27の途中で凍結することなく、円滑に海もしくは河川に排出され、排水された氷スラリー(河川水等26)は、海もしくは河川へ拡散されていく。なお、蒸発器17と解除器42の間には、相変化の伝播を妨げる伝播防止器41が介在している。このため、解除器42で加えられる超音波は伝播防止器41で遮断され、蒸発器17での凍結発生は防止される。
こうして、気温や水温にかかわらず河川水等26から安定的に温熱を採熱し、ヒートポンプ2によって、空調空間1内の暖房空調が行われる。かかる採熱システム3によれば、特に、寒冷地などにおいて、冬期でも、排水管27などを閉塞させることなく、採熱後の河川水等26を氷スラリー状にして、海もしくは河川に詰まることなく円滑に排出することができる。なお、河川水等26の温度T1を、例えば河川水等26の水中に配置された温度計(図示せず)などによって測定し、あるいは、取水管25の途中で適宜測定し、演算部33に入力しても良い。このように河川水等26の温度T1を適宜測定し、温度T1の急激な変化などを監視しても良い。また、管路部分35における河川水等26の流量Qは、例えば、点検や監視用の指標に用いることができる。
上述したように、取水管25には、送水ポンプ30の下流側に、透過可能な氷核の最大粒子径Dが既知の氷核フィルタ31が設置されているため、取水された河川水等26に大きさがD以上の雪や氷片が混入していても、それらは氷核フィルタ31の濾材で確実に捕捉され、ポンプ発熱によって大きさがD以下になるまでフィルタ濾材の表面で融解させられる。また、大きさがD以下となった雪や氷片は氷核フィルタ31の濾材を通過するが、この氷核は、蒸発器17に達するまでに取水管25中でポンプ発熱によって完全に消失するように、管路部分35の滞在時間tが設計されているので、蒸発器内部に雪や氷片が侵入することはない。このことで、蒸発器17の凍結が防止される。
しかして、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して用いることが可能である。例えば図3に示すように、河川水等26に流れがある場合、取水管25の取水口28が、排水管27の排水口29よりも流れの上流側に配置されていることが望ましい。このように、取水口28を排水口29の上流側に配置すれば、排水口29から放出された氷55が、取水管25に再び流れ込むことがなくなる。
また例えば、河川水等26の水深が十分に深い場合には、図4に示すように、河川水等26中における取水管25の取水口28の水深が、排水管27の排水口29の水深よりも深くなっていることが望ましい。このように、取水口28を排水口29よりも深い位置に配置すれば、排水口29から放出されて浮遊していく氷55が、取水管25に再び流れ込むことがなくなる。この場合、排水口29から放出された氷55が下方に移動しないように、排水管27の排水口29の噴出方向を水平あるいは上方向にすると良い。
また、河川水等26に流れがなく、排水口29から放出された氷55が1カ所に滞留する可能性のある場合には、図5に示すように、排水管27を分岐させ、複数の排水口29を設けても良い。このように複数の排水口29を設けることにより、排水口29から放出された氷55を分散させることができる。
また、図1のヒートポンプ2は空調空間1内の暖房空調を行う例を示したが、河川水等26から採取した温熱を利用して、例えば給湯を行うことも可能であり、温熱をその他の用途に利用しても構わない。なお、図1では、凝縮器10は空気対冷媒熱交換器を示したが、凝縮器10を水対冷媒熱交換器とし、熱媒としての水を暖房負荷や給湯負荷まで送液しても良い。また、送水ポンプ30の出力をインバータ34で制御する替わりに、送水ポンプ30の前後に流量調整弁を設け、演算器33の指示により、当該流量調整弁を調整する構成でも良い。また、超音波発振器46に替え、過冷却状態の河川水等26に解除エネルギーとして衝撃を与える機構(例えば電圧付与)や、氷核を供給する機構を用いても良い。
本発明は、特に寒冷地での海水・河川水からの採熱に有用である。
1 空調空間
2 ヒートポンプ
3 採熱システム10 凝縮器
11 ファン
15 冷媒回路
16 膨張弁
17 蒸発器
18 圧縮器
20 演算器
21 インバータ
22 温度計
25 取水管
26 河川水等(海水もしくは河川水)
27 排水管
28 取水口
29 排水口
30 送水ポンプ
31 氷核フィルタ
32 流量計
33 演算器
34 インバータ
35 管路部分
40 温度計
41 伝播防止器
42 解除器
45 超音波振動子
46 超音波発振器
55 氷

Claims (5)

  1. 蒸発器に導入された海水もしくは河川水から温熱を採取するヒートポンプを備えた採熱システムであって、
    前記蒸発器に海水もしくは河川水を導入する取水管と、前記蒸発器から排出された海水もしくは河川水を排水する排水管を備え、
    前記取水管に送水ポンプと氷核フィルタを備え、かつ、前記送水ポンプの下流側に前記氷核フィルタが配置され、前記氷核フィルタから前記蒸発器の入口までの管路部分における水の滞在時間tが、前記送水ポンプの出力によらず常に下記式(1)を満たすように、前記配管部分の容積が設定され、
    前記排水管に過冷却の解除器が設けられ、前記解除器に解除エネルギーを付加するエネルギー源を備えることを特徴とする、海水・河川水からの採熱システム。
    t≧a×D/P (1)
    但し、aは前記氷核フィルタのろ材によって決まる定数、Dは前記氷核フィルタの透過可能な氷核の最大粒子径、Pは前記送水ポンプの出入口差圧である。
  2. 前記取水管の取水口が、前記排水管の排水口よりも流れの上流側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の海水・河川水からの採熱システム。
  3. 海水もしくは河川水中における前記取水管の取水口の水深が、前記排水管の排水口の水深よりも深いことを特徴とする、請求項1または2に記載の海水・河川水からの採熱システム。
  4. 前記排水管が分岐されて、複数の排水口が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の海水・河川水からの採熱システム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の採熱システムを用いた採熱方法であって、
    前記蒸発器の出口での、海水の温度とその凝固点との偏差、もしくは、河川水の温度とその凝固点との偏差を0℃以上の目標値に維持するように、前記送水ポンプの出力を調整する非製氷モードと、前記蒸発器の出口での、海水の温度とその凝固点との偏差、もしくは、河川水の温度とその凝固点との偏差を0℃以下の目標値に維持するように、前記送水ポンプの出力を調整し、前記解除器に解除エネルギーを付加する製氷モードとを有し、
    前記非製氷モード中に、前記送水ポンプの出力が設定上限値になっている時間が所定時間継続した場合は、前記製氷モードに切り替え、前記製氷モード中に、前記送水ポンプの出力が設定下限値になっている時間が所定時間継続した場合は、前記非製氷モードに切り替えることを特徴とする、海水・河川水からの採熱方法。
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