JP5818199B2 - 蛍光を利用したニトリル関連酵素の酵素活性検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光を利用したニトリル関連酵素の酵素活性検出方法に関する。
現在、化学品の原料となる化合物の製造工程においては、転換率や選択率の高さ、光学活性化合物の場合には立体選択性の高さから、酵素反応が利用されている。例えば、種々の化学品の原料となるニトリル化合物(アクリルアミド、アクリル酸等)の製造には、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ等による酵素反応が用いられている。ニトリラーゼは、ニトリル基を加水分解してカルボン酸基に変換する酵素であり、ニトリルヒドラターゼは、ニトリル基を水和しアミド基に変換する酵素であり、アミダーゼはアミド基を加水分解してカルボン酸基に変換する酵素である。
これらの酵素を有する微生物は、土壌をはじめとする自然界よりスクリーニングされている。スクリーニング方法としては、一般に、ニトリル化合物などを唯一の窒素源または炭素源として生育する微生物を濃縮し、得られた微生物の中から酵素活性を有するものを取得する方法が採用されている。酵素活性は、ニトリル化合物やアミド化合物と微生物とを反応させ、生成物を高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの機器により解析する。
一方で、自然界に存在する微生物のうち、現在の技術で単離・培養可能であるものは1%未満にすぎないという研究結果が報告されている(非特許文献1)。
そこで、従来法のように微生物を単離するのではなく、自然界から遺伝子(環境DNA又はメタゲノム)を直接単離し、その中から有用な酵素遺伝子をスクリーニングするという手法(メタゲノムスクリーニング)が行われるようになってきた。この手法を用いるためには、メタゲノムを利用した極めて多数の組換え体を作製し、これらの中から活性ある組換え体を効率よく選別する技術が求められる。しかしながら、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの機器を用いる方法は、ハイスループット性に欠ける。そこで、ハイスループットスクリーニングを可能とする新規な技術が求められるようになった。
他方、蛍光物質に関連する発明として、蛍光プローブ又は蛍光ラベル化剤の発明が知られている(特許文献1、2)。しかしながら、ニトリル関連酵素活性の検出に有用な蛍光基質は知られていなかった。
国際公開公報 WO2004/005917 国際公開公報 WO2006/019105
M.S. Rappe and S.J. Giovannoni, Annu. Rev. Microbiol., 57, 369 (2003)
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ニトリル関連酵素の酵素活性を検出するのみならず、同一反応系において残存基質と生成物を蛍光により検出するための蛍光基質を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ニトリル関連酵素の作用により、シアノ基を有するある種の蛍光物質の励起波長および蛍光波長がシフトすることを見出した。また、当該蛍光物質を含む溶液の蛍光波長および蛍光強度を測定することにより、溶液中に含まれる基質および生成物を簡便に検出し得ること、その結果、ニトリル関連酵素の酵素活性を簡便に検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ニトリル関連酵素の作用により蛍光波長の特性が変化する化合物を基質として用いた、ニトリル関連酵素の酵素活性検出方法。
(2)ニトリル関連酵素の作用により、さらに励起波長の特性も変化する化合物を基質として用いた、上記(1)に記載の方法。
(3)化合物が、下記式(I):
[式中、R1は、-CN、-CONH2を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-4アルキル基を表す]
で示される化合物、その塩又はそれらの水和物である、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)ニトリル関連酵素が、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ及びアミダーゼからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)式(I)中、R1が-CNであり、ニトリル関連酵素がニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼである、上記(3)に記載の方法。
(6)式(I)中、R1が-CONH2であり、ニトリル関連酵素がアミダーゼである、上記(3)に記載の方法。
(7)下記式(I):
[式中、R1は、-CN、-CONH2を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-4アルキル基を表す]
で示される化合物、その塩又はそれらの水和物を含む、ニトリル関連酵素の酵素活性検出用試薬。
(8)ニトリル関連酵素が、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ及びアミダーゼからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(7)に記載の試薬。
(9)式(I)中、R1が-CNであり、ニトリル関連酵素がニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼである、上記(7)に記載の試薬。
(10)式(I)中、R1が-CONH2であり、ニトリル関連酵素がアミダーゼである、上記(7)に記載の試薬。
(11)被検物質のニトリル関連酵素の酵素活性検出方法であって、以下の工程:
(a) 被検物質と上記(7)〜(10)のいずれかに記載の試薬とを反応させる工程、及び
(b) 工程(a)における反応により生じた生成物から生じる蛍光の強度を測定する工程
を含む、前記方法。
(12)被検物質のニトリル関連酵素の酵素活性検出方法であって、以下の工程:
(a) 被検物質と上記(7)〜(10)のいずれかに記載の試薬とを反応させる工程、
(b) 試薬から生じる蛍光の強度、及び/又は、工程(a)における反応により生じた生成物から生じる蛍光の強度を、反応開始時および反応開始から一定時間経過後に測定する工程、及び
(c) 試薬から生じる蛍光の強度及び/又は生成物から生じる蛍光の強度の変化に基づいて、酵素活性を検出する工程
を含む、前記方法。
(13)上記(7)〜(10)のいずれかに記載の試薬を含む、ニトリル関連酵素の酵素活性検出用キット。
本発明の試薬を用いることにより、ニトリル関連酵素の酵素活性を簡便に検出することが可能となる。
図1は、蛍光基質および生成物の蛍光測定の結果を示す図である。 図2は、ニトリルヒドラターゼ活性による、蛍光基質の蛍光強度の低下および生成物の蛍光強度の増加を検出した結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
1.概要
本発明は、ニトリル関連酵素の酵素活性を検出するための蛍光基質に関する。
本発明者らは、これまでに、ニトリル関連酵素の作用により蛍光を発するようになる無蛍光(低蛍光)の基質化合物を開発し、また、該基質化合物を用いてニトリル関連酵素の酵素活性を簡便に検出し得る方法を開発した(特願2010-119431)。しかしながら、これらの化合物においては、基質はほぼ無蛍光または低蛍光であって、基質と生成物の励起光及び蛍光の波長の特性は変わらない。従って、反応液中の基質及び生成物の量比を蛍光検出により調べることは困難であった。
そこで、本発明者らは、ニトリル関連酵素の酵素活性を検出するための基質として、ニトリル関連酵素と反応することにより蛍光波長の特性が変化する蛍光基質の探索を行ったところ、ニトリル関連酵素の作用により、シアノ基を有するある種の蛍光物質の励起波長および蛍光波長がシフトすることを見出した。さらに、当該蛍光を含む溶液の蛍光波長および蛍光強度を測定することにより、溶液中に含まれる基質および生成物をそれぞれ簡便に検出し得ること、その結果、ニトリル関連酵素の酵素活性を簡便に検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
2.式(I)で示される化合物
本発明の試薬は、以下の式(I)で示される化合物を含む。

[式中、R1は、-CN又は-CONH2を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-4アルキル基を表す]
式(I)において、R1で表される置換基としては、ニトリル関連酵素と反応する置換基であれば限定されるものではなく、-CN又は-CONH2が挙げられる。
R2〜R5で表される置換基としては、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-4アルキル基が挙げられる。
本発明において、「C1-4アルキル基」とは、炭素数が1〜4個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基である。
式(I)で示される化合物の代表例を以下に示す。
上記式(I)で示される化合物は、その塩又は水和物を形成してもよい。塩は、本発明の効果を有する限り特に限定されるものではなく、酸との塩を形成しても塩基との塩を形成してもよい。
酸との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸との塩、蟻酸、酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸との塩などを挙げることができる。
塩基との塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン等の有機塩基との塩(有機アミン塩)、あるいはアンモニウム塩などを挙げることができる。
また、本発明の試薬に含まれる化合物としては、塩を形成しない、いわゆるフリー体を選択することもできる。
式(I)で示される化合物は、例えば以下の方法により製造することができる。
出発物質である化合物(a)は、和光純薬株式会社より購入することにより取得することができる。次に、化合物(a)をH2O中にてシアン化カリウムと22時間加熱還流した後、2M塩酸中にて塩化鉄(III)と90℃で14時間反応させることにより化合物1を得ることができる。
化合物1を濃硫酸中60℃で87時間反応させた後、0℃でアンモニア水にて中和することにより化合物2を得ることができる。
化合物1は654nmに励起光の極大を持ち、671nmに蛍光の極大を持つ。よって、化合物1の励起波長は605〜705nm、好ましくは625〜685nm、より好ましくは645〜665nmとすることができ、蛍光波長は620〜720nm、好ましくは640〜700nm、より好ましくは660〜680nmとすることができる。化合物2は568nmに励起光の極大を持ち、604nmに蛍光の極大を持つ。よって、化合物2の励起波長は520〜620nm、好ましくは540〜600nm、より好ましくは560〜580nmとすることができ、蛍光波長は505〜605nm、好ましくは575〜635nm、より好ましくは595〜615nmとすることができる。
3.蛍光基質
上記式(I)で示される化合物、その塩又はそれらの水和物は、ニトリル関連酵素の酵素活性を検出するための蛍光基質として用いることができる。
式(I)で示される化合物はニトリル関連酵素の基質となり、当該酵素との反応により生成物に変換されるところ、式(I)で示される化合物と生成物とは、励起波長の特性および蛍光波長の特性が異なる。よって、ニトリル関連酵素との反応により、式(I)で示される化合物を含む試料の励起波長の特性及び蛍光波長の特性が変化する。本明細書において、「励起波長の特性」とは、励起スペクトルの励起波長および蛍光強度をいい、「蛍光波長の特性」とは、蛍光スペクトルの蛍光波長および蛍光強度をいう。
本発明において、ニトリル関連酵素としては、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、及びアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、式(I)で示される化合物において、R1が-CNである場合は、ニトリル関連酵素はニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼであることが好ましく、R1が-CONH2である場合は、ニトリル関連酵素はアミダーゼであることが好ましい。
4.酵素活性の検出方法
本発明は、酵素活性の検出方法を提供する。具体的には、被検物質のニトリル関連酵素の酵素活性を検出する方法であって、(a) 被検物質と (I)で示される化合物を含む試薬とを反応させる工程; 及び(b) 工程(a)における反応により生じた生成物から生じる蛍光の強度を測定する工程を含む。
また、本発明の別の態様として、被検物質のニトリル関連酵素の酵素活性検出方法であって、以下の工程:
(a) 被検物質と式(I)で示される化合物を含む試薬とを反応させる工程、
(b) 試薬から生じる蛍光の強度、及び/又は、工程(a)における反応により生じた生成物から生じる蛍光の強度を、反応開始時および反応開始から一定時間経過後に測定する工程、及び
(c) 試薬から生じる蛍光の強度及び/又は生成物から生じる蛍光の強度の変化に基づいて、酵素活性を検出する工程
を含む、前記方法も提供する。
一定時間とは、ニトリル関連酵素の作用により、基質が生成物に変換されるのに十分な時間をいい、特に限定するものではないが、1分〜24時間程度、好ましくは5分〜5時間程度である。
本発明において、被検物質としては、ニトリル関連酵素の酵素活性を有するタンパク質又は当該タンパク質をコードするDNAを含むと予測されるものであれば限定されるものではないが、例えば、自然界から取得したメタゲノムライブラリー又は変異酵素遺伝子ライブラリーなどに含まれる物質が挙げられる。
さらに、被検物質には、DNA及びタンパク質だけでなく、当該タンパク質を産生する細胞も含まれる。このような細胞としては、細菌、真菌(酵母、糸状菌など)、植物細胞、動物細胞などが挙げられる。さらに、前記細胞には、ニトリル関連酵素の酵素活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された細胞が含まれる。前記細胞としては、限定されるものではないが、例えば、宿主ベクター系の開発されているエシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属等の細菌、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ピキア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属等の酵母、ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属等の糸状菌、などが挙げられる。
メタゲノムライブラリーとは、自然環境中に存在する多様な微生物のDNAから構築されたゲノムライブラリーであり、微生物の培養を行うことなく環境試料から直接DNAを抽出し、ライブラリー化したものである。変異酵素遺伝子ライブラリーとは、既知の酵素をコードするDNAにランダムに変異を導入し、ライブラリー化したものである。
メタゲノムライブラリーの作製方法については、例えば特開2007-159417に記載され、変異酵素遺伝子ライブラリーの作製方法については、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N Y., 1989.や、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons(1987-1997) などに記載されており、当業者であればこれらの文献に基づいて前記ライブラリーを作製することができる。
本発明の検出方法は、具体的には、例えば以下のような方法で行うことができる。
メタゲノムライブラリー又は変異酵素遺伝子ライブラリーを被検物質として用いる場合、これらのライブラリーに含まれるDNAを細胞に形質導入し、形質転換体のライブラリーを作製する。次に、形質転換体に基質として式(I)で示される化合物を含む試薬を導入することにより、形質転換体中で産生されたタンパク質と基質とを反応させる。その後、前記反応により生じた生成物の蛍光の強度を測定する。蛍光強度の測定には、蛍光検出機器である蛍光分光光度計やイメージャー等を用いることができる。
形質転換体中で産生されたタンパク質と基質との反応開始時および反応開始から一定時間経過後における基質および生成物の蛍光の強度を測定し、これらの蛍光の強度の変化に基づいて酵素活性を検出することもできる。また、基質および生成物の蛍光の強度の比を求め、当該比に基づいて酵素活性を検出することもできる。基質および生成物の蛍光の強度のどちらを分母として、比を求めてもよい。
以上の方法により、ニトリル関連酵素の酵素活性を検出することができる。
また、蛍光を発した細胞をFACS(Fluorescence-activated cell sorting)システムを用いて分取することができる。これにより、酵素活性の高い酵素のハイスループットスクリーニングが可能となる。
5.キット
本発明は、上記式(I)で示される化合物を含む試薬を含有する、ニトリル関連酵素の酵素活性検出用キットを提供する。本発明のキットは、本発明の試薬の他に、溶解液、緩衝液、使用説明書など、ニトリル関連酵素の酵素活性の検出に必要な他の任意の構成要素を適宜含めることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.式(I)で示される化合物
式(I)で示される化合物の代表例を以下に示す。
2.式(I)で示される化合物の合成
化合物1はJournal of the American Chemical Society 129, 7313-7318 (2007)の記載に従い、以下のスキーム1により合成した。
出発物質である化合物(a)は、和光純薬株式会社より購入することにより取得した。次に、化合物(a)をH2O中にてシアン化カリウムと22時間加熱還流した後、2M塩酸中にて塩化鉄(III)と90℃で14時間反応させることにより化合物1を得た。
化合物1を濃硫酸中60℃で87時間反応させた後、0℃でアンモニア水にて中和することにより化合物2を得た。
化合物1は654nmに励起光の極大を持ち、671nmに蛍光の極大を持つ。化合物2は568nmに励起光の極大を持ち、604nmに蛍光の極大を持つ。
ニトリルヒドラターゼによる反応
1.ニトリルヒドラターゼ粗酵素液(細胞抽出液)の調製
ロドコッカス属細菌においてロドコッカス ロドクロウスJ1株由来ニトリルヒドラターゼを構成的に発現させるためのプラスミドpSJ034をロドコッカス ロドクロウスATCC12674株に導入した。pSJ034は、プラスミドpSJ023から特開平10−337185号明細書記載の方法により作製したものである。pSJ023は、形質転換体 R. rhodochrous ATCC12674/pSJ023(FERM BP−6232)として産業総合技術研究所 特許生物寄託センターに寄託されている。
プラスミドpSJ034によりロドコッカス ロドクロウスATCC12674株を形質転換し、ATCC12674株/pSJ034株を作製した。ベクターpK4を導入した12674株を対照実験に用いた。
ATCC12674株の形質転換は次のようにして行った。ATCC12674株の対数増殖期の細胞を遠心分離器により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回洗浄し、滅菌水に懸濁した。上記のプラスミド溶液1μlと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。これを遺伝子導入装置Gene Pulser(BIO RAD)用キュベットに移し、同装置を用いて2.0KV、200OHMSで電気パルス処理を行った。電気パルス処理液を氷冷下10分静置後、37℃で10分間インキュベートし、MYK培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%バクトモルトエキス、0.2%K2HPO4、0.2%KH2PO4)500μl を加え、30℃、5時間静置した後、50μg/mlカナマイシン入りMYK寒天培地に塗布し、30℃、3日間培養した。得られたコロニーを培養し、プラスミドが導入されていることを確認した。
培養は、次のように行った。カナマイシン(50mg/L)を含むMYK培地10mlに植菌し、30℃にて24時間前培養を行った。培養液を1ml取り100mlの同培地に加え、30℃にて48時間振盪培養した。得られた培養液から遠心分離(3,700×g、10分間、4℃)により菌体を回収し、10mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁した。
得られた菌体懸濁液から1mlを用い、超音波破砕機VP−15S(タイテック、日本)を用いて、出力コントロ−ル4、DUTY CYCLE 40%、PULS、TIMER=Bモ−ド10sの条件で氷冷しながら3分間破砕した。次に遠心分離を行い(10,000×g、5分間、4℃)、得られた上清を細胞抽出液として採取した。
2.酵素反応
化合物1は、ニトリルヒドラターゼにより、化合物2に変換される。
化合物1は654nmに励起光の極大を持ち、671nmに蛍光の極大を持つ。化合物2は568nmに励起光の極大を持ち、604nmに蛍光の極大を持つ。
3.酵素反応の蛍光計による検出
20μLリン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、2,685μL滅菌水および15μLの1.96mMニトリル蛍光基質(化合物1:10%DMSOに溶解)を混合し、30℃でプレインキュベーションを行った。上記のように調製した細胞抽出液300μLを加えることにより反応を開始した。1時間ごとにサンプリングを行い、F-4500形分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ)を用いて蛍光を測定した。生成物の検出の際は、568nmで励起し、基質の検出の際は、654nmで励起した。
結果を図1に示した。時間経過とともに基質の減少が見られ、同時に生成物の増加を確認することができた。
4.酵素反応の蛍光イメージャーによる検出
20μLリン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、150μL滅菌水および10μLの1mMニトリル蛍光基質(化合物1:10%DMSOに溶解)を混合し、30℃でプレインキュベーションを行った。上記のように調製した細胞抽出液20μLを加えることにより反応を開始した。30℃で24時間反応後、96穴マイクロプレートに移し、蛍光イメージャー(BioRad社 Pharos FX molecular Imager)により蛍光を検出した。用いた検出機器の関係から、生成物の検出は、「励起532nm、検出605nm」で行い、基質の検出は「励起635nm、検出695nm」で行った。
結果を図2に示した。生成物を検出する条件では、対照サンプルであるベクターpK4を導入した組換え体より得られた細胞抽出液では蛍光強度に変化が無かったのに対し、ニトリルヒドラターゼを発現させた組換え体を用いた場合には、顕著な蛍光強度の増加が認められた。一方、基質を検出する条件では、対照サンプルであるベクターpK4を導入した組換え体より得られた細胞抽出液では蛍光強度に変化が無かったのに対し、ニトリルヒドラターゼを発現させた組換え体を用いた場合には、顕著な蛍光強度の減少が認められた。
これらの結果により、化合物1が、ニトリル関連酵素の酵素活性を検出するための蛍光基質として有用であることが示された。
式(I)で示される化合物を基質として用いることにより、蛍光により簡便にニトリル関連酵素の酵素活性を検出することが可能となる。さらに、FACSなどを併用すれば、ハイスループットな酵素活性検出システムを構築することが可能となる。

Claims (11)

  1. 下記式(I):
    [式中、R 1 は、-CN、-CONH 2 を表し、R 2 〜R 5 は、それぞれ独立して、水素原子、又はC 1-4 アルキル基を表す]
    で示される化合物、その塩又はそれらの水和物を基質として用いた、ニトリル関連酵素の酵素活性検出方法。
  2. ニトリル関連酵素が、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ及びアミダーゼからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  3. 式(I)中、R1が-CNであり、ニトリル関連酵素がニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼである、請求項に記載の方法。
  4. 式(I)中、R1が-CONH2であり、ニトリル関連酵素がアミダーゼである、請求項に記載の方法。
  5. 下記式(I):
    [式中、R1は、-CN、-CONH2を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-4アルキル基を表す]
    で示される化合物、その塩又はそれらの水和物を含む、ニトリル関連酵素の酵素活性検出用試薬。
  6. ニトリル関連酵素が、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ及びアミダーゼからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の試薬。
  7. 式(I)中、R1が-CNであり、ニトリル関連酵素がニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼである、請求項に記載の試薬。
  8. 式(I)中、R1が-CONH2であり、ニトリル関連酵素がアミダーゼである、請求項に記載の試薬。
  9. 被検物質のニトリル関連酵素の酵素活性検出方法であって、以下の工程:
    (a) 被検物質と請求項5〜8のいずれか一項に記載の試薬とを反応させる工程、及び
    (b) 工程(a)における反応により生じた生成物から生じる蛍光の強度を測定する工程
    を含む、前記方法。
  10. 被検物質のニトリル関連酵素の酵素活性検出方法であって、以下の工程:
    (a) 被検物質と請求項5〜8のいずれか一項に記載の試薬とを反応させる工程、
    (b) 試薬から生じる蛍光の強度、及び/又は、工程(a)における反応により生じた生成物から生じる蛍光の強度を、反応開始時および反応開始から一定時間経過後に測定する工程、及び
    (c) 試薬から生じる蛍光の強度及び/又は生成物から生じる蛍光の強度の変化に基づいて、酵素活性を検出する工程
    を含む、前記方法。
  11. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の試薬を含む、ニトリル関連酵素の酵素活性検出用キット。


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