JP5817546B2 - 磁気軸受制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、真空ポンプや血液循環装置などに用いられるセンサレス磁気軸受の磁気軸受制御装置に関する。
一般的に、磁気軸受装置は、被支持軸を磁気吸引する電磁石と被支持軸の変位を検出する変位センサとを備え、変位センサの変位信号に基づく制御信号を制御演算回路により発生し、PWM電流アンプによりその制御信号を増幅して電流を電磁石に供給するように構成されている。
これに対し、近年、コストダウン及び装置全体の小型化を図るために、変位センサを省略した構成の磁気軸受装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この磁気軸受装置においては、PWM制御電流を生成するためのキャリア信号とは別の信号をセンシング信号をPWM制御電流に重畳して電磁石に流し、センシング信号の変化量から電磁石のインダクタンスが変化を求めるようにしている。
特開平6−313426号公報
ところで、上述したセンサレスの磁気軸受装置では、電磁石を流れるPWM制御電流にPWMスイッチング成分、制御電流成分、センシング信号成分、その他の回路ノイズが混在している。そのため、それぞれの必要帯域を取り出すBPFを通過させ、復調処理、増幅を行って被支持軸の位置信号を検出するようにしているが、センシング信号のS/N比の向上が課題となっている。
請求項1の発明に係る磁気軸受制御装置は、被支持体を挟んで対向配置された一対の電磁石の電磁石電流を計測して、その計測結果に基づいて被支持体の位置検出信号を出力する位置検出回路と、位置検出信号と指令位置信号とを比較し、被支持体を指令位置に非接触支持するための電磁石電流制御信号を出力する制御信号生成回路と、電磁石毎に設けられ、電磁石電流制御信号に基づく電磁石電流を対応する電磁石に供給する電磁石電源回路と、を備え、電磁石電源回路は、電磁石毎に設けられて電磁石電流制御信号を増幅する信号増幅器と、所定周波数のセンシング信号を発生するセンシング信号発生器と、センシング信号を信号増幅器で増幅された電磁石電流制御信号に重畳する加算器と、センシング信号が重畳された電磁石電流制御信号と所定のPWMキャリア信号とを比較してPWM信号を形成し、該PWM信号に基づく電磁石電流を対応する電磁石コイルに供給するパルス幅変調型電力増幅器と、パルス幅変調型電力増幅器から供給される電磁石電流を検出し、その検出信号から前記センシング信号の周波数より高い周波成分を除去した信号を、信号増幅器に入力される電磁石電流制御信号にフィードバックする電流フィードバック回路と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の磁気軸受制御装置において、センシング信号発生器は、センシング信号をPWMキャリア信号と同期して発生することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載の磁気軸受制御装置において、一対の電磁石電源回路の各々に設けられたパルス幅変調型電力増幅器に対してPWMキャリア信号を供給する一つのキャリア信号発生器を備えるとともに、一対の電磁石電源回路に設けられた各々のセンシング信号発生器に代えて、一つの共用センシング信号発生器を設け、共用センシング信号発生器で発生されたセンシング信号を一対の電磁石電源回路にそれぞれ供給するようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気軸受制御装置において、位置検出回路は、一対の電磁石の各電磁石コイルの両端間電圧をそれぞれ計測し、該計測結果に基づいて被支持体の位置検出信号を出力すること特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載の磁気軸受制御装置において、位置検出回路は、計測した一対の電磁石コイルの両端間電圧の差分信号を生成する差分回路と、差分信号が入力され、キャリア信号の周波数を中心周波数とするバンドエリミネイトフィルタと、バンドエリミネイトフィルタを通過した信号が入力され、センシング信号の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタと、を備え、バンドパスフィルタを通過した信号の大きさを位置検出信号として出力することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4に記載の磁気軸受制御装置において、位置検出回路は、計測した一対の電磁石コイルの両端間電圧をそれぞれパルス状のデジタル信号として取り込み、取り込んだ前記一対のパルス状デジタル信号の差分を取ってパルス状差分信号を生成する差分回路と、パルス状差分信号のパルス幅を検出するカウンタと、を備え、パルス幅を位置検出信号として出力することを特徴とする。
本発明によれば、センシング信号を用いるセンサレス式の軸受制御装置において、センシング信号のS/N比のさらなる向上を図ることができる。
磁気軸受式ターボ分子ポンプの概略構成を示す断面図である。 5軸制御型磁気軸受を模式的に示した図である。 磁気軸受制御回路の詳細を示すブロック図である。 PWMアンプの詳細を示す図である。 PWM信号生成回路に入力される制御信号と生成されるPWM信号との関係を説明する図である。 センシング信号S2を重畳しなかった場合の、スイッチング信号S5と電磁石コイルに流れる電流Imとを示したものである。 センシング信号S2を重畳した場合の制御信号S3、PWM信号S5、電磁石電流Imを示したものである。 電磁石制御ループの部分のブロック図を示す図である。 信号Vsrcを基準にしたブロック図である。 図9の各候補点での検出信号の大きさを示す図である。 電流検出抵抗を用いて計測した場合の電圧振幅を示す図である。 電磁石コイル500a,500bの両端を計測した場合の電圧振幅を示す図である。 検出方式によるS/N比とノイズレベルを示す図。 位置フィードバック系の変形例を示すブロック図である。 XOR論理回路710の入出力の関係を示す図である。 XOR論理回路710に入力される信号と、XOR論理回路710から出力される信号とを示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、磁気軸受式ターボ分子ポンプの概略構成を示す断面図である。ターボ分子ポンプは図1に示すポンプユニット1と、ポンプユニット1を駆動するためのコントロールユニット(不図示)とを備えている。ポンプユニット1に接続されるコントロールユニットには、磁気軸受制御部、モータ6を回転駆動するためのモータ駆動制御部等が備えられている。
ロータ30は、5軸制御型磁気軸受を構成するラジアル磁気軸受51,52およびアキシャル磁気軸受53によって非接触支持される。磁気軸受によって回転自在に磁気浮上されたロータ30は、モータ6により高速回転駆動される。モータ6には、例えば、DCブラシレスモータが用いられる。ロータ4の回転数は回転数センサ23によって検出される。
ロータ30には、排気機能部として、複数段の回転翼32と円筒状のネジロータ31とが形成されている。一方、固定側には、排気機能部として、軸方向に対して回転翼32と交互に配置された複数段の固定翼33と、ネジロータ31の外周側に設けられたネジステータ39が設けられている。各固定翼33は、それぞれ一対のスペーサリング35によって軸方向上下から挟持されている。
ベース20には排気ポート22が設けられ、この排気ポート22にバックポンプが接続される。ロータ30を磁気浮上させつつモータ6により高速回転駆動することにより、吸気口21側の気体分子は排気ポート22側へと排気される。
図2は5軸制御型磁気軸受を模式的に示した図であり、ロータ30に設けられたロータシャフト4の回転軸Jがz軸に一致するように示した。図1に示したラジアル磁気軸受51は、x軸に関する一対の電磁石51xとy軸に関する一対の電磁石51yとを備えている。同様に、ラジアル電磁石52も、x軸に関する一対の電磁石52xとy軸に関する一対の電磁石52yとを備えている。また、アキシャル磁気軸受53は、ロータ4の下端に設けられたディスク41をz軸に沿って挟むように対向して配設される一対の電磁石53zを備えている。
図3は図2に示した磁気軸受を制御するための磁気軸受制御装置の一部を示す図であって、5軸の内の1軸、具体的には一対の電磁石51xに関する磁気軸受制御回路の詳細を示したものである。一対の電磁石51xを電磁石51xP、51xMとすると、それらはシャフト4を間に挟むように配置されている。500aは電磁石51xPの電磁石コイルであり、500bは電磁石51xMの電磁石コイルである。
電磁石51xPに対しては制御回路61aが設けられ、電磁石51xMに対しては制御回路61bが設けられている。制御回路61aには比較回路610、増幅器611、加算器612、PWMアンプ613、ローパスフィルタ614、電流検出抵抗615が設けられている。図3では詳細な記載は省略したが、制御回路61bも制御回路61aと同様の構成となっている。
各制御回路61a,61bの各PWMアンプ613には、PWM変調を行うためのキャリア信号がキャリア信号発生器631からそれぞれ入力される。各制御回路61a,61bの各加算器612には、位置検出のためのセンシング信号がセンシング信号発生器632からそれぞれ入力される。キャリア信号発生器631およびセンシング信号発生器632には、キャリア信号とセンシング信号とを同期させるための同期信号が同期回路633から入力される。
また、位置フィードバック系として、差動増幅器620a,620b、差動増幅器621、バンドエリミネイトフィルタ622、バンドパスフィルタ623、ピーク検波回路624が設けられている。ピーク検波回路624から出力された位置信号(変位信号)は比較回路630に入力される。比較回路630は、位置信号と支持位置コマンドS0とを比較し、それらの差分に基づく電流制御信号S01を出力する。この電流制御信号S01は制御回路61aおよび制御回路61bの各比較回路610へ入力される。
ところで、本実施の形態の磁気軸受装置は、PWM制御電流にセンシング信号を重畳する形式のセンサレス磁気軸受装置であって、被支持軸(シャフト4)の変位(中立位置からの位置変化)による電磁石のインダクタンス変化をセンシング信号の変化として検出し、センシング信号の変化を位置変動の検出信号として使用するものである。
位置検出信号のS/N比向上のためには、次のような手法が適用される。第1番目の手法としては、インダクタンス変化に伴うセンシング信号の変化が大きくなるようにセンシング信号の周波数を選択する。インダクタンス変化に伴うセンシング信号の変化は、センシング信号の周波数が低いほど大きくなり、変位検出には有利である。ただし、機械的な共振を避けるためには、あまり低い周波数を使用できない。例えば、一般的なターボ分子ポンプにおいては、10KHz以下のセンシング信号を用いることは難しい。以下の説明では、センシング信号の周波数(センシング周波数)を10KHzとして説明するが、10〜12KHz程度に設定するのが好ましい。
2番目の手法としては、重畳するセンシング信号の振幅を大きくして、位置変動に伴うセンシング信号の変調度を大きくする。センシング信号が重畳された電流制御信号をキャリア信号と比較してPWM変調する際に、デューティ比が100%を超えるような変調をかけることはできない。そのため、センシング信号の大きさの限界は、PWMの変動も考えると数Vp−p(実際には1.5〜2Vp−p程度)となる。
3番目の手法としては、検出抵抗を大きくして信号強度を大きくする。ただし、センサレスの系では、センシング信号の検出素子(抵抗)がPWM制御電流の検出素子と兼用されるため、検出抵抗を大きくすることができない。通常、数Ω以下(実際には0.5〜1Ω)であり、数十mA以下のセンシング電流に対して、数十mV程度の信号強度を得るのが限界である。一方、PWM制御電流はアンペアオーダであって数Vの信号を出力することになる。
4番目の手法としては、センシング周波数のみを選択して検出する検出回路(例えば10KHzの共振回路)を設ける。ただし、周波数の選択性を大きくするほど(Q値を大きくするほど、例えば10以上)、センシング信号の応答性が悪くなり、シャフト4の位置変化に対して、応答が遅れる。Q値を小さく取るとセンシング信号近傍周波数のノイズ成分も選択して検出することなりS/N比の向上に貢献しない。
本実施の形態では、位置検出信号のS/N比のさらなる向上のために、上述した手法に加えて、以下のような対策(1),(2)を講じる。それによって、磁気軸受をより高精度に制御することができる。
(1)制御系の制御ループを積極的に利用し、制御系においてセンシング信号が最も大きく増幅される回路位置でセンシング信号を検出し、そのセンシング信号を被支持軸(シャフト4)の位置信号とする。
(2)センシング信号をキャリア信号に同期させることにより、センシング信号近傍でのビート周波数を排除し、センシング信号に対するノイズを低減しS/N比のさらなる向上を図る。
対策(1)について説明する。シャフト4は、一対の電磁石51xP、51xMによって互いに反対方向に吸引される。図3に示した制御回路61a,61bは、シャフト4がラジアル磁気軸受51の中心位置に支持されるように、対応する電磁石コイル500a,500bに電流を供給する。比較回路630には、シャフト位置を中心位置に制御するための支持位置コマンドS0=0が入力される。比較回路630は、上述したように、位置信号と支持位置コマンドS0とを比較し、それらの差分に基づく電流制御信号S01を出力する。比較回路610は、電流制御信号S01と電流フィードバック信号との差分を取り、その差分にオフセット信号Soffsetを加算した信号S02を増幅器611に入力する。オフセット信号Soffsetは、電磁石51xP,51xMによる所定の吸引力が働いた状態でシャフト4が中立位置に保持されるようにするためのものである。増幅器611は信号S02を増幅して電流制御信号S1を出力する。
図4はPWMアンプ613の詳細を示す図である。PWMアンプ613は、PWM信号生成回路6131と二象限駆動回路6132とを備えている。なお、Vpは電源電圧である。加算器612において、電流制御信号S1にセンシング信号S2が重畳される。センシング信号S2が重畳された電流制御信号S3は、PWM信号生成回路6131に入力される。PWM信号生成回路6131は、センシング信号S2が重畳された電流制御信号S3と、キャリア信号S4とを比較することにより、二象限駆動回路6132のスイッチング素子T1,T2をオンオフするためのPWM信号S5を生成する。
キャリア信号発生器631とセンシング信号発生器632とには、同期回路633から同期信号が入力され、同期信号に合わせてキャリア信号S4およびセンシング信号S2の生成が開始される。また、キャリア信号発生器631から出力されたキャリア信号S4およびセンシング信号発生器632から出力されたセンシング信号S2は、反対側の電磁石51xMの制御回路61bにも入力される。このようにキャリア信号S4とセンシング信号S2とを同期した信号とすることにより、ノイズの低減を図ることができる。センシング信号S2としては、例えば、センシング周波数=10KHzの正弦波信号が入力される。PWM変調のためのキャリア信号S4としては、例えば、キャリア周波数=100KHzのこぎり波信号が用いられる。
図5、6を参照して、電磁石電流Imの制御について説明する。図5は、PWM信号生成回路6131に入力される電流制御信号S3と生成されるPWM信号S5との関係を説明する図である。なお、説明が簡単になるように、図5では、センシング信号S2がゼロの場合、すなわちセンシング信号S2を重畳しない場合を示している。そのため、PWM信号生成回路6131に入力される電流制御信号S3はS3=S1となっており、図5では入力される電流制御信号を符号S1で示している。
図5(a)は、シャフト位置がラジアル磁気軸受51の中心位置、すなわち中立位置にあるときの電流制御信号S1およびPWM信号S5を示したものである。支持位置コマンドS0の場合と同様に、電流制御信号S1もシャフト4を中立位置へ制御する信号であり、シャフト4が中立位置にある場合には電磁石電流Imを変更せずにそのまま維持すればよい。そのため、増幅器612からは、キャリア信号S4の1/2の電圧値を有する電流制御信号S1が出力される(図5参照)。
PWM信号生成回路6131では、電流制御信号S1とキャリア信号S4の電圧レベルを比較して、電流制御信号S1がキャリア信号S4以上の場合にはオン信号を出力し、電流制御信号S1がキャリア信号S4を下回る場合にはオフ信号を出力する。PWM信号生成回路6131は、シャフト4が中立位置にある場合には、デューティ比(=T1/T0)が50%のPWM信号S5を出力するように設定されている。すなわち、PWM信号生成回路6131に位置コマンド信号S0=0の時の制御信号S1が入力された場合には、PWM信号生成回路6131内において制御信号S1をキャリア信号S4の電圧値の半分の電圧値を有する信号(図5の信号S1)に変換する。その変換した電流制御信号S1とキャリア信号S4と比較することにより、PWM信号S5を生成する。
図5(b)は、シャフト位置が中立位置から電磁石51xPの方向に変動して、シャフト4が電磁石51xPに近づいた場合の電流制御信号S1およびPWM信号S5を示したものである。図5(c)は、図5(b)の場合とは反対に、シャフト位置が中立位置から電磁石51xMの方向に変動して、シャフト4が電磁石51xMに近づいた場合の電流制御信号S1およびPWM信号S5を示したものである。
生成されたPWM信号S5は、図4に示す二象限駆動回路6132に入力される。PWM信号S5がオンレベルの場合にはスイッチング素子T1,T2がオン状態(閉状態)となる。PWM信号S5がオフレベルの場合には、スイッチング素子T1,T2がオフ状態(開状態)となる。
図6は、図5(a)〜(c)のPWM信号が二象限駆動回路6132に入力された場合の、電磁石コイル500aに流れる電磁石電流Imを説明する図である。なお、電磁石51xMについても同様であり、説明は省略する。すなわち、図6(a)はシャフト4が中立位置に保持されている場合の電磁石電流Imを示し、図6(b)はシャフト4が電磁石51xP側に近づいた場合の電磁石電流Imを示し、図6(c)はシャフト4が電磁石51xPから遠ざかった場合の電磁石電流Imを示す。
先ず、PWM信号S5のデューティ比が50%の場合の図6(a)について説明する。PWM信号S5がオンになると、スイッチング素子T1,T2がオン状態(閉状態)となる。スイッチング素子T1,T2が閉状態になると電磁石コイル500aに電源電圧Vpが印加される。その結果、電磁石電流Imは図4の実線で示す矢印の方向に流れ、電磁石電流Imは時間の経過と共に増加する。この電流直線の傾きは、電磁石コイル500aのインピーダンスZp(すなわち、インダクタンス)が小さいほど大きい。
次に、PWM信号S5がオフになると、スイッチング素子T1,T2がオフ状態(開状態)となる。このとき、電磁石コイル500aには電磁エネルギーが蓄積されているため、そのエネルギーの放電により、電磁石電流Imは破線で示す矢印のように流れ、電磁石電流Imは時間の経過と共に減少する。なお、スイッチング素子T1,T2のオン損失、ダイオードD1,D2の順方向損失、電磁石コイル500aの抵抗などの損失要因がゼロであれば、オンのときの電磁石電流Imの傾きとオフのときの電磁石電流Imの傾きとは等しくなる。そのため、図6(a)に示すようにPWM信号S5のデューティ比が50%の場合には、電磁石コイル500aを流れる電磁石電流Imの平均値(ある時間幅で平均した値)は一定となる。すなわち、中立位置が維持されることになる。
一方、シャフト4が電磁石51xPに近付いた場合にはシャフト4を中立位置に戻すために、電磁石51xPの吸引力を小さくし、電磁石51xMの吸引力を大きくする。そのために、電磁石51xPについては、図6(b)に示すようにPWM信号S5のデューティ比を50%よりも小さくし、電磁石51xMについては、図6(c)に示すようにデューティ比を50%よりも大きくする。図6(b)の場合、電磁石電流Imが増加するオン状態よりも電磁石電流Imが減少するオフ状態の方が時間間隔が長くなり、電磁石電流Imは徐々に減少する。図6(c)の場合には、電磁石電流Imが減少するオフ状態よりも電磁石電流Imが増加するオン状態の方が時間間隔が長いので、電磁石電流Imは徐々に増加することになる。逆に、シャフト4が電磁石51xPから遠ざかった場合には、上述の場合と反対の制御をする。
このように、PWM信号生成回路6131に入力される電流制御信号S3を変化させることによって、電磁石コイル500aに流れる電磁石電流Imの増加・減少を制御し、シャフト4が中立位置に保持されるように制御する。このような制御は、支持位置コマンドS0と位置フィードバック系からの位置信号(変位信号)との差分に基づいて行われる。
図7は、センシング信号S2を重畳した場合の電流制御信号S3、PWM信号S5、電磁石電流Imを示したものである。図7(a)において、信号S3aはセンシング信号がS2aの場合を示し、信号S3bはセンシング信号がS2bの場合を示している。実線で示した信号S3aも破線で示した信号S3bもシャフト4が中立位置にある場合の電流制御信号S3に対応しているが、信号S3bにおけるセンシング信号S2bの振幅は、信号S3aにおけるセンシング信号S2aの振幅よりも大きくなっている。
シャフト4が中立位置にある場合、加算器612に入力される電流制御信号S1は、上述したようにキャリア信号S4の電圧値Vcの1/2の値となっている。図7(b)は、PWM信号生成回路6131に電流制御信号S3aが入力された場合に、PWM信号生成回路6131から出力される電流制御信号S5および電磁石電流Imを示したものである。図7(c)は、PWM信号生成回路6131に電流制御信号S3bが入力された場合に、PWM信号生成回路6131から出力される電流制御信号S5および電磁石電流Imを示したものである。
いずれの電流制御信号S3a,S3bも正弦波形状をしているため、中立位置であっても、PWM信号S5のデューティ比は周期的に大きくなったり小さくなったりする。その変化の周波数はセンシング周波数fsと等しい。PWM信号S5のデューティ比が周期的に変化するため、デューティ比の変化に伴って電磁石コイル500aに流れる電磁石電流Imも周期的に変動する。その周波数はセンシング周波数fsと等しい。
このように、電磁石電流Imには、センシング周波数fsの成分、すなわち、センシング信号成分が含まれている。また、図7(b)、図7(c)からも分かるように、センシング信号S2の振幅が大きい電流制御信号S3bの場合の方が、周期的に変化する電磁石電流Imの振幅が大きい。
電磁石コイル500aに流れる電磁石電流Imの値は、電磁石コイル500aと直列に接続された電流検出抵抗615によって電圧信号として検出される。その電圧信号は、電磁石コイル500aを流れる電磁石電流Imが、比較回路610から出力される電流制御信号S02が指示する通りの電流値となるように制御するための、電流フィードバック信号Sfとして、図3の比較回路610のマイナス端子に入力される。
[電流フィードバック系の特徴]
次に、本実施の形態における電流フィードバックの特徴について説明する。図7に示したように、電流検出抵抗615で検出された電圧信号には、センシング信号成分やキャリア信号成分が含まれている。電流フィードバック信号Sfのフィードバック経路には、キャリア周波数成分等の高周波成分を除去するためのローパスフィルタ614が設けられている。ローパスフィルタ614のカットオフ周波数fcは、センシング信号S2の周波数(センシング周波数)fsに対して、fc>fsのように設定されている。そのため、比較回路610に入力される電流フィードバック信号Sfには、センシング信号成分が含まれていることになる。
このように、ローパスフィルタ614のカットオフ周波数fcをfc>fsのように設定し、電流フィードバック信号Sfにセンシング信号成分が含まれるようにする点が、本実施の形態の特徴の一つである。なお、従来は、センシング信号がカットされるようにfc<fsのように設定される。次に、このような構成とすることによる利点について説明する。
比較回路610では、電流制御信号S01とフィードバック信号Sfとの差分をとる。ここで、フィードバック信号Sfに含まれるセンシング信号成分に注目して考える。フィードバック信号Sfは比較回路610のマイナス端子に入力されるため、比較回路610から出力されるセンシング信号成分は符号が反転している。そのセンシング信号成分は、増幅器611で増幅された後に、加算器612において、センシング信号発生器632からのセンシング信号S2に加算される。
ここで、増幅器611から出力されるセンシング信号成分をS21とする。加算器612の出力から電流フィードバック系を通って加算器612の入力までの電流フィードバックループの増幅率をαとすれば、センシング信号成分S21はS21=−αS2のように表すことができる。加算器612においてセンシング信号発生器632からのセンシング信号S2が加算されるので、加算器612から出力される信号のセンシング信号成分は(1−α)・S2のように表される。フィードバック制御においては増幅器611の増幅率は十分に大きいため、αは1よりも大きくなる。その結果、PWMアンプ613に入力されるセンシング信号成分(1−α)・S2の大きさ(振幅)は、センシング信号S2の振幅よりも大きくなる。
例えば、図7(a)の振幅の小さな信号S3aをセンシング信号発生器632からのセンシング信号S2と見なせば、図7(a)の振幅の大きな信号S3bをセンシング信号成分(1−α)・S2と見なすことができる。なお、(1−α)はマイナスの値なので、実際の係数センシング信号成分(1−α)・S2は、図7(a)の信号3aに対して位相が180度ずれている。また、図7(b)の信号S5を、電流フィードバックループにより増幅される前のセンシング信号S2によるPWM信号S5とすれば、図7(c)の信号S5は増幅後のセンシング信号成分(1−α)・S2によるPWM信号S5と見なすことができる。
このように、電流フィードバック系を利用して電磁石電流Imのセンシング信号成分をフィードバックすることにより、センシング信号成分が増幅器611により増幅される。その結果、図7(b)、(c)に示すように、センシング信号S2の場合に比べてセンシング信号成分(1−α)・S2の場合の方がPWM信号S5のデューティ比が大きく変化し、電磁石電流Imの振幅もより大きくなる。
前述したように、シャフト4の位置が変動すると電磁石コイル500aのインダクタンス(すなわちインピーダンス)が変化して、そのインダクタンス変化は電磁石電流Imの変化をもたらす。そのため、電磁石電流Imの変化に伴ってセンシング信号成分も変化することになる。位置フィードバック系は、このセンシング信号成分の変化を検出し、それを位置変動の情報としてフィードバックしている。本実施の形態では、センシング信号成分を電流フィードバック系によりフィードバックすることにより、電磁石電流Imに含まれるセンシング信号成分の増幅を図っているので、シャフト4の位置変動に伴うセンシング信号成分の大きさの変化も増大する。その結果、より大きな位置信号(変位信号)を得ることができ、S/N比の向上を図ることができる。
[位置フィードバック系の説明]
次に、位置フィードバックについて説明する。本実施の形態では、より大きな位置信号が検出できるように、図3に示すように電磁石コイル500a,500bの両端間電圧を検出する構成としている。なお、電磁石コイル500a,500bの両端間電圧を検出する理由については後述する。
電磁石コイル500a,500bのインダクタンス(すなわち、インピーダンス)は、シャフト4と電磁石51xP,51xMとのギャップが小さくなると大きくなり、ギャップが大きくなると小さくなる。そのため、例えば、シャフト4が電磁石51xPに近づいた場合には、電磁石コイル500aのインダクタンスは大きくなり、反対側の電磁石コイル500bのインダクタンスは小さくなる。
その結果、電磁石コイル500aを流れる電磁石電流Imは小さくなり、電流フィードバック系でフィードバックされるセンシング信号成分も小さくなる。逆に、電磁石コイル500bを流れる電磁石電流Imは大きくなり、電流フィードバック系でフィードバックされるセンシング信号成分も大きくなる。例えば、図7(a)の信号S2aを電磁石コイル500a側のセンシング信号成分に対応させた場合、信号S2bが電磁石コイル500a側のセンシング信号成分に対応している。すなわち、電磁石コイル500aの両端間電圧である差動増幅器620aの出力信号は、図7(b)の信号S5と同様の波形の信号となる。一方、電磁石コイル500aの両端間電圧である差動増幅器620bの出力信号は、図7(c)の信号S5と同様の波形の信号となる。
上述したように、本実施の形態では、センシング信号を電流フィードバック系で帰還させて増幅を図っているため、センシング信号成分の大きさは重畳されるセンシング信号S2の大きさよりも大きくなっている。シャフト4の位置が変動すると、位置変動は電磁石コイル500a,500bのインダクタンス変化を生じさせ、それは、電磁石電流Imの変化をもたらす。電磁石電流Imが変化すればセンシング信号成分の大きさも変化する。本実施の形態ではセンシング信号成分が増幅されているので、センシング信号成分の変化も増幅されることになる。その結果、センシング信号変化に対応して検出される電磁石コイル500aの両端間電圧の変化も大きくなる。
上述したように、差動増幅器620aの出力である差動電圧は図7(b)の信号S5と同様の波形の信号となっており、センシング信号成分の変化はデューティ比の変化として現れる。例えば、シャフト4が電磁石51xPに近付いた場合にはデューティ比が小さくなり、逆に遠ざかった場合にはデューティ比が大きくなるような変化として計測される。
各差動増幅器620a,620bから出力された信号は、差動増幅器621において差分が取られる。差動増幅器621の出力信号をバンドエリミネイトフィルタ622に通すことによって、高周波成分であるキャリア周波数成分を除去し、さらに、バンドパスフィルタ623に通すことでセンシング周波数成分を選択し増幅する。その結果、センシング信号と同様の波形を有する信号が再現される。この信号をピーク検波回路624(例えば、AM検波回路)によってピーク検波することにより、位置信号(位置のフィードバック信号であって、中立位置からの変位量に対応する信号)とする。この位置信号は比較回路630のマイナス端子に入力される。
なお、バンドエリミネイトフィルタ622は、中心周波数をキャリア周波数に設定し、Q値は約100程度に設定する。バンドパスフィルタ623は、中心周波数をセンシング周波数に設定し、Q値は約5程度に設定する。
[電流フィードバック系によるセンシング信号帰還の作用効果の説明]
本実施の形態では、センシング信号を電流フィードバック系を介して帰還させて増幅しているので、上述したようにPWM信号S5を生成する際のセンシング信号成分(帰還増幅後のセンシング信号)が大きくなる。センシング信号を大きくするという点だけを見れば、前述した2番目の手法である「重畳するセンシング信号の振幅を大きくして、位置変動に伴うセンシング信号の変調度を大きくする」ことと類似しているが、以下の点で大きく異なっている。
ここでは、説明を簡単にするために、以下のように仮定する。
・所定位置変動により電磁石電流Imが1.2倍に変化する。
・加算器612から出力されるセンシング信号成分の大きさがVsのとき、電磁石コイル両端間のセンシング信号電圧(両端間電圧の内のセンシング信号に関わる電圧)を、中立位置の場合にはV0(Vs)、所定位置変動の場合にはV1(Vs)と表す。この場合、所定位置変動時に電磁石電流Imが1.2倍されるので、V1(Vs)=1.2×V0(Vs)である。
・V1(Vs)=Vs×V1(1)およびV0(Vs)=Vs×V0(1)とする。
・電流フィードバックループによる増幅で加算器612に入力されるセンシング信号成分の大きさは、重畳するセンシング信号S2の大きさの(所定位置変動による電流変化)×10倍に増幅される、とする。すなわち、中立位置では10倍され、所定位置変動時には12(=1.2×10)倍されるとする。
(a)センシング信号S2=1とし、センシング信号のフィードバックを行わない場合
この場合、加算器612からVs=1が出力されるので、両端間電圧は、中立位置の場合にはV0(1)、所定位置変動の場合にはV1(1)となる。よって、所定位置変動による両端間電圧の変動ΔVaは、ΔVa=V1(1)−V0(1)=0.2×V0(1)となる。
(b)センシング信号S2=1とし、本実施の形態の場合
上述した仮定により、中立位置においては、加算器612からVs=9(=10−1)ののセンシング信号成分が出力されるので、両端間電圧はV0(9)=9×V0(1)となる。所定位置変動時には、加算器612からVs=11(=12−1)のセンシング信号成分が出力されるので、両端間電圧はV1(11)=11×V1(1)=13.2×V0(1)となる。よって、所定位置変動による両端間電圧の変動ΔVbは、ΔVb=13.2×V0(1)−9×V0(1)=4.2×V0(1)となる。すなわち、所定位置変動による両端間電圧の変動はセンシング信号のフィードバックを行わない場合に比べて21倍に増幅される。
(c)センシング信号のフィードバックを行わない場合に前述した2番目の手法を適用し、センシング信号S2を11と大きくした場合
この場合、加算器612からVs=11が出力されるので、両端間電圧は、中立位置の場合にはV0(11)=11×V0(1)、所定位置変動時にはV1(11) =11×V1(1)=13.2×V0(1)となる。よって、所定位置変動による両端間電圧の変動ΔVcは、ΔVc=13.2×V0(1)−11×V0(1)=2.2×V0(1)となる。
上述のように、フィードバックを行わない場合には、(c)のように所定位置変動時に加算器612から出力される信号Vsを(b)の場合と同じ大きさにしても、両端間電圧の変動は(b)の場合の0.52倍程度と小さい。さらに、センシング信号S2=11が2番目の手法において述べたセンシング信号の限界に近い場合には、両端間電圧の変動をΔVc=2.2×V0(1)よりも大きくすることができない。このように、本実施の形態では、位置変動時の両端間電圧の変動をより大きくすることができ、位置信号のS/N比の向上を図ることができる。
[位置信号計測位置についての説明]
次に、上述のようにセンシング信号を電流制御信号に重畳すると共に、そのセンシング信号を電流フィードバック系によりフィードバックして増幅する構成において、位置信号の計測をいずれの位置において行うのが好ましいかについて説明する。図8は、図3に示す回路の電磁石制御ループの部分のブロック図を示す図である。なお、図8では、信号の符号は図3に示したものを次のように書き換えている。電流指令としての電流制御信号S01はVicmd、電流制御信号S02はV1’、重畳するセンシング信号S2はVsrc、電流制御信号S3はVerr、電磁石電流ImはImotとした。また、ローパスフィルタの出力をVifbとした。伝達関数K2fbを記載したブロックは電流フィードバック信号の補償ゲインである。
図8に示したブロック図は、センシング信号を重畳する点、およびローパスフィルタのカットオフ周波数fcがセンシング周波数fsよりも大きく設定されている点を除けば、従来の一般的な磁気軸受制御装置と同様の構成のものである。図8に示したブロック図を、センシング信号Vsrc(=S2)の大きさ(振幅)を検討するために、信号Vsrcを基準にしたブロック図に書き直したものが図9である。
図9の各候補点での検出信号の大きさを評価すると、図10に示すような結果となった。なお、この評価においては、PWMアンプのゲイン定数Kpwmを48/5、PWMデューティ比Dを0.6、電流フィードバック系のゲイン係数Kfb・Kfb2を2、電流検出抵抗615を0.5Ωとし、増幅器611のゲイン定数Kpを22とした。そして、センシング電流として0.01[A]の電流が流れた場合について、検出信号Vs、信号増幅率を図10に示した。従来のように図9の測定点2(電流検出抵抗による測定)で計測した場合の信号増幅率は0.5であるが、電磁石コイルの手前である測定点3’における増幅率は126.7と測定点2に比べて二桁以上大きくなっている。
図10に示す結果から、本実施の形態のように電流フィードバック系でセンシング周波数をカットしないように構成した場合には、図9の候補点3’を選択するのが好ましい。すなわち、電磁石コイル500a,500bの両端間の電圧を計測した場合に、最も信号強度が大きくなることが分かった。
図11は従来のように計測に電流検出抵抗を用いた場合の検出信号のS/N比を示したもので、図12は、電磁石コイル500a,500bの両端を計測した場合の検出信号のS/N比を示す。実線はシャフト4が電磁石から遠ざかった場合を示し、破線は逆に近付いた場合を示す。図11,12では10KHzから僅かにずれたところピークが現れているが、ピーク位置は、シャフト4が電磁石に近付いた場合も遠ざかった場合も同様の位置(センシング周波数)となっている。
図13に示すように、電流検出抵抗を用いる検出方式の場合には、SN比は約43dBとなり、10KHz近傍のピークの信号レベルは40mVp−p、ノイズレベルは−75dBVとなる。一方、電磁石両端間電圧を計測する検出方式の場合には、SN比は約55dBとなり、10KHz近傍のピークの信号レベルは680mVp−p、ノイズレベルは−60dBVとなる。
このような結果を踏まえて、本実施の形態では、図3に示すように、電磁石コイル500a,500bの両端間電圧を計測するような構成とした。
上述した図11,12は、センシング信号がキャリア信号と同期している場合を示したものである。ここで、センシング信号とキャリア信号同期との同期とは、PWMキャリア信号のクロック数に、重畳するセンシング信号の一周期を同期させることを意味する。例えば、図7に示すようなキャリア信号S4の周波数が100kHzで、生成したいセンシング信号の周波数を10kHzとした場合、キャリア信号をクロックと考えると、キャリア信号ののこぎり波の立ち下がりに同期するように、のこぎり波10個分を一周期としたセンシング信号を生成させる。
一方、図示は省略するが、センシング信号とキャリア信号とが同期していない場合には、センシング周波数のピークの近傍に、センシング信号とキャリア信号とのビートによるピークが現れ、ノイズ振幅が大きくなる。ただし、ビートによるピークは、計測する瞬間ごとに異なる位置、振幅で計測される。
センシング信号はPWM変調されて電磁石に印加されるが、このセンシング信号の一周期がいくつのPWMパルスで変調されるかを考える。上述したセンシング信号の周波数が10kHz、PWM周波数(キャリア信号の周波数)が100kHzの場合には、10個のパルスで変調されることになる。センシング信号とキャリア信号とを同期させることで、キャリア信号ののこぎり波10個毎に確実にセンシング信号の始点としているので、電磁石に印加されるセンシング信号の振幅は常に一定となる。
一方、センシング信号の始点がキャリア信号と非同期であった場合、変調時にセンシング信号の振幅がPWMパルス幅に正しく変換されず、その結果、復調されたセンシング信号の振幅は変動することになる。この振幅変動は復調信号に別の周波数成分として表れ、このような現象はビートと呼ばれる。
このように、センシング信号をPWMキャリア信号に同期せずに出力させると、センシング信号の側帯波周波数成分が現れ、S/N比を悪化させることになる。そこで、センシング信号とキャリア信号との同期を取ることで、側帯波周波数成分の改善を図り、S/N比を向上させるようにしている。
本実施の形態では、図3に示すように、キャリア信号発生器631とセンシング信号発生器632とを左右の電磁石で共用すると共に、キャリア信号発生器631とセンシング信号発生器632との同期も図るように構成している。それによって、ノイズが増大するのを防止でき、位置信号のS/N比の向上を図ることができる。もちろん、左右の電磁石でキャリア信号発生器631およびセンシング信号発生器632を独立に設ける構成であっても、左右で同期が取られていれば問題ない。ここでの同期とは、信号発生のタイミングに関する同期だけでなく、周波数の一致をも意味しており、発振器の素子ばらつきによる周波数ずれがあると、それがノイズ増大の要因となる。その場合、素子ばらつきによる周波数ずれが0.1%程度以内であれば、ほぼ同期と見なすことができる。
[変形例]
図14は、位置フィードバック系の変形例を示すブロック図である。上述した例では、計測した信号をアナログ処理して位置信号としたが、変形例ではデジタル処理する場合を示した。図14は、デジタル処理の概念を説明する図である。変形例では、電磁石コイル500aおよび500aの両端間電圧を出力する差動増幅器620a,620bの出力は、例えば、比較回路等を用いるなどして0、1の信号とされた後に、CPU700のXOR論理回路710に入力される。
XOR論理回路710の入出力は図15に示すような関係を有する。そのため、差分信号として、差動増幅器620a,620bから図16(a)、(b)に示すような信号A,BがXOR論理回路710に入力されると、図16(c)に示すような信号AがXOR論理回路710から出力されることになる。この信号Cは、信号Aと信号Bとの差分信号になっている。
この信号Cの立ち上がりから立ち下がりまでの時間を幅Δtをデジタルカウンタ720でカウントすることにより、信号Cの幅が求まる。この幅を積算した値が位置信号となる。シャフト4が中立位置にある場合には、差動増幅器620a,629bから出力される信号は同一となるので、信号Cの幅は全てゼロとなり、シャフト4の中立位置からの変位を表す位置信号はゼロとなる。一方、シャフト4の位置が中立位置からずれると、そのズレ量に応じて信号Cの幅も大きくなる。電流フィードバックループによりセンシング信号成分が増幅されると、その増幅の大きさに応じて信号Cの幅も大きくなり、上述したようにS/N比の向上が図れる。さらに、変形例のようにデジタル処理することにより、位置信号に関するノイズの影響を低減することができるので、S/N比の更なる向上をはかることができる。
以上説明したように、本実施の形態の磁気軸受制御装置は、被支持体であるシャフト4を挟んで対向配置された一対の電磁石51xP,51xMの電磁石電流Imを計測して、その計測結果に基づいてシャフト4の位置検出信号を出力する位置フィードバック系と、位置検出信号と指令位置信号である支持位置コマンドS0とを比較し、シャフト4を指令位置に非接触支持するための電流制御信号S01を出力する比較回路630と、電磁石51xP,51xM毎に設けられ、電流制御信号S01に基づく電磁石電流Imを対応する電磁石に供給する制御回路61a,61bと、を備える。そして、制御回路61a,61bは、電磁石毎に設けられて電流制御信号S02を増幅する増幅器611と、所定周波数のセンシング信号S2を発生するセンシング信号発生器632と、センシング信号S2を増幅器611で増幅された電流制御信号S1に重畳する加算機612と、センシング信号S2が重畳された電流制御信号S3と所定のPWMキャリア信号S4とを比較してPWM信号S5を形成し、該PWM信号S5に基づく電磁石電流Imを対応する電磁石コイル500a,500bに供給するPWMアンプ613と、PWMアンプ613から供給される電磁石電流Imを検出し、その検出信号をローパスフィルタ614に通すことによって、検出信号からセンシング信号S2の周波数より高い周波成分を除去した信号を、増幅器611に入力される電流制御信号S02にフィードバックする電流フィードバック系と、を有することを特徴とする。
電流フィードバック系によりフィードバックされたセンシング信号を含む電流制御信号は増幅器611により増幅され、センシング信号発生器632からのセンシング信号を重畳された後にPWMアンプ613に入力される。このように、シャフト4の位置変動によるセンシング信号の変化が帰還増幅されてPWMアンプ613に入力されるため、より大きな位置信号を位置フィードバック系によりフィードバックすることができる。その結果、位置信号のS/N比の向上を図ることができる。
また、センシング信号をPWMキャリア信号と同期して発生することにより、位置信号に含まれるノイズ成分を低減することができ、S/N比のさらなる向上を図ることができる。
センシング信号とPWMキャリア信号との同期を図るために、制御回路61a,61bの各々に設けられたPWMアンプ613に対してキャリア信号S4を供給する一つのキャリア信号発生器631を備えるとともに、一つのセンシング信号発生器632で発生されたセンシング信号S2を制御回路61a,61bにそれぞれ供給するようにしても良い。
さらに、一対の電磁石51xP,51xMの各電磁石コイル500a,500bの両端間電圧をそれぞれ計測することでより大きな電圧を検出することができるので、より大きな位置信号を得ることができ、位置信号のS/N比の向上をさらに図ることができる。
電磁石コイル500a,500bの両端間電圧の差分信号を生成し、その差分信号からバンドエリミネイトフィルタ622によりキャリア信号の周波数を中心周波数とする信号成分を除去し、さらに、センシング信号の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタを通過させることにより、ノイズの少ない位置信号を得ることができる。
また、電磁石コイル500a,500bの両端間電圧をそれぞれパルス状のデジタル信号としてCPU700に取り込み、取り込んだ一対のパルス状デジタル信号の差分を取ってパルス状差分信号を生成する差分回路と、デジタルカウンタ720でパルス状差分信号のパルス幅を検出して位置検出信号(位置信号)とすることにより、ノイズの少ない位置信号を得ることができる。
上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。上述した実施の形態では、磁気軸受式ターボ分子ポンプの磁気軸受制御装置を例に説明したが、磁気軸受式ターボ分子ポンプの磁気軸受に限らず、センシング信号を重畳する方式のセンサレス磁気軸受であれば種々のセンサレス磁気軸受の磁気軸受制御装置に適用することができる。
4:シャフト、51,52:ラジアル磁気軸受、51x,51xP,51xM,51y,52x,52y:電磁石、53:アキシャル磁気軸受、61a,61b:制御回路、500a,500b:電磁石コイル、610,630:比較回路、611:増幅器、612:加算器、613:PWMアンプ、614:ローパスフィルタ、615:電流検出抵抗、620a,620b,621:差動増幅器、622:バンドエリミネイトフィルタ、623:バンドパスフィルタ、624:ピーク検波回路、631:キャリア信号発生器、632:センシング信号発生器、633:同期回路、710:XOR論理回路、720:デジタルカウンタ、6131:PWM信号生成回路、6132:二象限駆動回路

Claims (6)

  1. 被支持体を挟んで対向配置された一対の電磁石の電磁石電流を計測して、その計測結果に基づいて前記被支持体の位置検出信号を出力する位置検出回路と、
    前記位置検出信号と指令位置信号とを比較し、前記被支持体を指令位置に非接触支持するための電磁石電流制御信号を出力する制御信号生成回路と、
    前記電磁石毎に設けられ、前記電磁石電流制御信号に基づく電磁石電流を対応する電磁石に供給する電磁石電源回路と、を備え、
    前記電磁石電源回路は、
    前記電磁石毎に設けられて前記電磁石電流制御信号を増幅する信号増幅器と、
    所定周波数のセンシング信号を発生するセンシング信号発生器と、
    前記センシング信号を前記信号増幅器で増幅された電磁石電流制御信号に重畳する加算器と、
    前記センシング信号が重畳された前記電磁石電流制御信号と所定のPWMキャリア信号とを比較してPWM信号を形成し、該PWM信号に基づく電磁石電流を対応する電磁石コイルに供給するパルス幅変調型電力増幅器と、
    前記パルス幅変調型電力増幅器から供給される電磁石電流を検出し、その検出信号から前記センシング信号の周波数より高い周波成分を除去した信号を、前記信号増幅器に入力される電磁石電流制御信号にフィードバックする電流フィードバック回路と、を有する磁気軸受制御装置。
  2. 請求項1に記載の磁気軸受制御装置において、
    前記センシング信号発生器は、前記センシング信号を前記PWMキャリア信号と同期して発生することを特徴とする磁気軸受制御装置。
  3. 請求項2に記載の磁気軸受制御装置において、
    前記一対の電磁石電源回路の各々に設けられたパルス幅変調型電力増幅器に対して前記PWMキャリア信号を供給する一つのキャリア信号発生器を備えるとともに、前記一対の電磁石電源回路に設けられた各々のセンシング信号発生器に代えて、一つの共用センシング信号発生器を設け、
    前記共用センシング信号発生器で発生されたセンシング信号を前記一対の電磁石電源回路にそれぞれ供給することを特徴とする磁気軸受制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気軸受制御装置において、
    前記位置検出回路は、前記一対の電磁石の各電磁石コイルの両端間電圧をそれぞれ計測し、該計測結果に基づいて前記位置検出信号を出力すること特徴とする磁気軸受制御装置。
  5. 請求項4に記載の磁気軸受制御装置において、
    前記位置検出回路は、
    前記計測した一対の電磁石コイルの両端間電圧の差分信号を生成する差分回路と、
    前記差分信号が入力され、前記キャリア信号の周波数を中心周波数とするバンドエリミネイトフィルタと、
    前記バンドエリミネイトフィルタを通過した信号が入力され、前記センシング信号の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタと、を備え、
    前記バンドパスフィルタを通過した信号の大きさを前記位置検出信号として出力することを特徴とする磁気軸受制御装置。
  6. 請求項4に記載の磁気軸受制御装置において、
    前記位置検出回路は、
    前記計測した一対の電磁石コイルの両端間電圧をそれぞれパルス状のデジタル信号として取り込み、取り込んだ前記一対のパルス状デジタル信号の差分を取ってパルス状差分信号を生成する差分回路と、
    前記パルス状差分信号のパルス幅を検出するカウンタと、を備え、
    前記パルス幅を前記位置検出信号として出力することを特徴とする磁気軸受制御装置。
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