JP5816479B2 - 半導体発光装置の製造方法。 - Google Patents

半導体発光装置の製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、LED(発光ダイオード)等の発光素子を含む半導体発光装置の製造方法に関する。
LED等の発光素子を含む半導体発光装置として、基板上に搭載されたLEDチップをレンズ形状に成形された封止樹脂で封止したものが知られている(例えば特許文献1)。封止樹脂の成形方式としてコンプレッション成形(圧縮成形)やトランスファー成形が知られている。
コンプレッション成形では、例えば以下のような手順で樹脂成形が行われる。はじめに、所定の温度に加熱した金型のキャビティに離型性を向上させるためのリリースフィルムを貼り付ける。続いて、金型のキャビティに液状の樹脂材料を塗布する。次に、金型に対向するようにLEDチップが搭載された基板を配置する。次に、基板および金型の周辺を密封空間として、この密閉空間を減圧して樹脂材料に含まれる気泡を除去する(脱泡)。次に所定の成形圧力にて金型を基板に押し付けて、一定時間保持して樹脂材料を仮硬化する。次に、基板に接合された樹脂材料をリリースフィルムとともに金型から剥離する。その後、更なる熱処理によって樹脂材料を本硬化する。
特開2011−101066号公報
上記したようなコンプレッション成形法によれば、金型に複数のキャビティを設けておくことにより、1回の処理で多数のLEDチップの封止が可能となり生産性が向上する。また、基板上に複数のLEDチップを搭載したLEDモジュールの製造も容易となる。
ところで、所望の発光色を得るために、LEDチップから発せられる光の波長を長波長側に変換する蛍光体粒子を含有した樹脂でLEDチップを封止することが行われている。しかしながら、蛍光体含有樹脂をコンプレッション成形すると、以下のような問題が生じる。すなわち、基板上に搭載された複数のLEDチップの各々を封止する蛍光体含有樹脂をコンプレッション成形で成形すると、蛍光体含有樹脂内において蛍光体粒子の密度分布に偏りが生じる。より具体的には、完成した発光装置の発光面の外縁部近傍(すなわち蛍光体含有樹脂の端部)における蛍光体粒子の密度が他の部分よりも高くなる。蛍光体粒子の密度分布の偏りは、単一のLEDチップを搭載した製品においては製品間における発光色のばらつきの原因となり、複数のLEDチップを搭載したモジュール製品においては発光面内における発光色のむら(色温度ばらつき)の原因となる。このような理由から蛍光体含有樹脂のコンプレッション成形は、殆ど実用化されていないのが現状である。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、蛍光体含有樹脂をコンプレッション成形する場合において、樹脂材料内部における蛍光体粒子の密度分布の偏りを解消することにより、製品間における発光色のばらつきや発光面内における発光色のむら(色温度差)を防止することができる半導体発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の半導体発光装置は、基板の素子搭載面に複数の発光素子を搭載する工程と、前記基板上における前記複数の発光素子の配列に対応して配列された複数のキャビティを基準面に有する金型に平均粒径が5μm以上の蛍光体粒子を含む蛍光体含有樹脂を供給する工程と、前記発光素子の各々が前記キャビティの各々に収容され且つ前記素子搭載面と前記基準面とが前記蛍光体含有樹脂を間に挟んで対向した状態で前記蛍光体含有樹脂を圧縮成形する工程と、を含み、前記圧縮成形する工程において、前記素子搭載面と前記基準面の間に介在する前記蛍光体含有樹脂の厚さが前記蛍光体粒子の平均粒径の15倍以上に設定されることを特徴としている。
本発明に係る半導体発光装置の製造方法によれば、蛍光体含有樹脂の圧縮成形時において、金型と基板との間に介在する蛍光体含有樹脂の流動性が向上する。これにより、蛍光体粒子は滞留を生じることなく樹脂内を移動することが可能となり、蛍光体粒子の密度分布の偏りが解消される。従って、基板上に複数の発光素子を搭載した半導体発光装置において、発光面内における発光色のむら(色温度差)を低減することが可能となる。また、基板を発光素子毎に分割して製造される発光装置においては、発光装置間の発光色のばらつきを防止することが可能となり、歩留りが向上する。
コンプレッション成形時における成形装置の内部の状態を示す部分的な断面図である。 図2(a)は本発明の実施例に係る半導体発光装置の製造方法を示す平面図、図2(b)は図2(a)における2b−2b線に沿った断面図である。 図3(a)は本発明の実施例に係る半導体発光装置の製造方法を示す平面図、図3(b)は図3(a)における3b−3b線に沿った断面図、 図4(a)〜図4(c)は蛍光体含有樹脂の塗布位置および塗布形状のバリエーションを示す平面図である。 図5(a)および図5(b)は本発明の実施例に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図、図5(c)は図5(b)において破線で囲まれた領域の拡大図である。 図6(a)は本発明の実施例に係る半導体発光装置の構成を示す平面図、図6(b)は図6(a)における6b−6b線に沿った断面図、図6(c)は図6(b)において破線で囲まれた領域の拡大図、図6(d)は比較例に係る半導体発光装置の構成を示す断面図である。 サンプル1〜3について発光面内における色温度差を評価した結果を示すグラフである。 蛍光体含有樹脂の滞留を防止するべく試行された方策の内容およびその効果を示す表である。
はじめに、蛍光体含有樹脂をコンプレッション成形した場合に蛍光体粒子の密度分布に偏りが生じる推定メカニズムについて図1を参照しつつ説明する。図1は、コンプレッション成形時における成形装置の内部の状態を示す部分的な断面図である。
成形装置は、真空吸着機構などによって基板10を保持する基板保持部110と、複数のキャビティ122を有する金型120と、ばね機構などにより上方に向けて付勢力が付与され且つ金型120の側面上を摺動し得る摺動部130とを含んでいる。LEDチップ20が搭載された基板10は、基板保持部110の基板保持面に保持されている。キャビティ122内に供給された蛍光体含有樹脂30は、基板10と金型120との間に挟まれた状態で加熱および加圧され、所定の成形時間が経過するまでこの状態が維持される。このとき、基板10の素子搭載面aと金型120の基準面b(キャビティ122の周囲に延在する平坦な面)との間には、微小な隙間100が形成される。隙間100は、コンプレッション成形において特有であり、蛍光体含有樹脂30は、隙間100を通じて金型120の全面に広がる。金型120の全面に広がった蛍光体含有樹脂30は、加熱によって流動し、蛍光体粒子32は隙間100内を移動する。隙間100の端部は摺動部材130によって塞がれており、樹脂の流れが停止または遅くなっている。このため、隙間100の端部に到来した蛍光体粒子は、移動速度が低下または停止し、隙間100の端部に滞留する。隙間100に充填された蛍光体含有樹脂30は、完成品において薄膜の層として残るので、蛍光体含有樹脂30の端部に蛍光体粒子の密度が高い領域が生じる。ゆえに、発光面内における発光色のむら(色温度ばらつき)が生じる結果となる。
本発明者らは、上記の推定メカニズムに基づいて、蛍光体粒子の滞留を防止する効果が期待できる様々な方策を検討した。その結果、蛍光体含有樹脂をコンプレッション成形する場合において、蛍光体粒子を樹脂内にほぼ均一に分散させ、発光面内における発光色のむらを解消する製造方法を見出した。
以下に、本発明の実施例に係る半導体発光装置の製造方法について図2〜図5を参照しつつ説明する。
はじめに、LEDチップを搭載するための基板10を用意する。基板10は、例えば、厚さ0.7mm、150mm×60mmのガラスエポキシ基板である。基板10の素子搭載面aには例えばCu箔の上にAu/Ni/Cuめっきを施して構成される複数のダイパッドおよびボンディングパッドが形成されている(図示せず)。ダイパッドは、基板10上において例えばグリッド状に配置されている。尚、基板10は、セラミック基板(基材:Al23、AlNなど)、メタルコア基板(基材:Cu、Alなど)であってもよい。
次に、印刷またはディスペンスなど方法によりダイパッドの各々にダイアタッチ材を形成した後、LEDチップ20を各ダイパッド上にマウントする。ダイアタッチ材は、例えば白色のシリコーン系接着材を用いることができる。その後、例えば150℃、4時間の熱処理によってダイアタッチ材を硬化させる。本実施例においては、LEDチップ20は、4行×7列の形態で基板10上に配列されるが、これに限定されるものではない。LEDチップ20は例えば、厚さ0.12mm、0.5mm×0.3mmのGaN系半導体膜を含む青色LEDであり、チップ表面にn電極およびp電極を有する。尚、LEDチップのサイズや半導体膜の材料は適宜変更することが可能である。次に、ワイヤボンディングを行って、各LEDチップ20のn電極およびp電極と基板10上に形成されたボンディングパッドとをボンディングワイヤ22を介して電気的に接続する。図2(a)は、複数のLEDチップ20が搭載された基板10の平面図、図2(b)は図2(a)における2b−2b線に沿った断面図である。
基板10上に搭載された2以上のLEDチップ20は、互いに直列または並列に接続されていてもよい。例えば、本実施例において、一列に並ぶ7つのLEDチップが互いに直列に接続されていてもよい。また、LEDチップ20の各々は基板10上において互いに電気的に分離されていてもよい。またLEDチップ20はフリップチップタイプのものであってもよい。この場合、各LEDチップはボンディングワイヤに代えて基板10上に形成された導体配線によって電気的に接続される。
次に、液状の光透過性シリコーン樹脂と蛍光体粒子32とを混合した蛍光体含有樹脂30を用意する。蛍光体は、例えばYAG系蛍光体(黄色発光蛍光体:Y3Al5O12:Ce3+)を用いることができる。混合する蛍光体粒子の濃度は、発光色に応じて設定する。本実施例においては、発光色の色温度を5000K狙いとし、蛍光体粒子32の濃度を11.5重量%とした。また、本実施例において、平均粒径10.7μm±1.2μmの蛍光体粒子を使用した。蛍光体粒子の平均粒径が小さすぎると、所望の発光色を得るために樹脂に混合すべき蛍光体粒子の数が増大する。すると、蛍光体含有樹脂を通過する光の蛍光体粒子による吸収量が増大し、発光効率が低下する。従って、蛍光体粒子の平均粒径は例えば発光波長の約10倍である5μm以上であることが好ましい。また、光透過性樹脂としてエポキシ樹脂、ハイブリッド樹脂(エポキシ樹脂とシリコーン樹脂を混合したもの)、ウレタン樹脂を使用することも可能である。また、加熱した金型に樹脂を塗布した直後から樹脂が硬化してしまうことを防止するために、硬化抑制材を樹脂に混合することとしてもよい。蛍光体粒子は、上記したものの他、緑色発光蛍光体(Y3(Al,Ga)5O12:Ce3+)または赤色発光蛍光体(CaAlSiN3:Eu)などを用いることが可能である。
次に、成形装置に付随する金型120を所定の成形温度(例えば115℃)に加熱する。金型120は、基板10上に配列されたLEDチップ20の配列形態に対応する4行×7列の形態で配列された半球状のキャビティ122を有する。キャビティ122の形状を半球状とすることにより、成形後の蛍光体含有樹脂30を配光制御用のレンズとして機能させることが可能となる。次に金型120の表面に各キャビティ122の表面形状に沿ってテフロン(登録商標)などからなるリリースフィルムを貼り付ける。次に、金型120の表面に所定量の蛍光体含有樹脂30を塗布(供給)する。図3(a)は、蛍光体含有樹脂30が塗布された金型120の平面図、図3(b)は、図3(a)における3b−3b線に沿った断面図である。蛍光体含有樹脂30は、例えば金型120の表面中央の1箇所に塗布することとしてもよい(一点塗布)。図4(a)〜図4(c)は、蛍光体含有樹脂30の塗布位置および塗布形状のバリエーションを示す平面図である。図4(a)に示すように、蛍光体含有樹脂30を金型120の表面の複数箇所に塗布してもよい(多点塗布)。また、図4(b)に示すように、キャビティ122の配列に沿ってライン状に塗布してもよい。また、図4(c)に示すように、波状に塗布してもよい。
次に、図5(a)に示すように、成形装置に付随する基板保持部110にLEDチップ20をマウントした基板10をセットして、成形装置の昇降機構(図示せず)によって基板10と金型120とが対向した状態でこれらを近接させる。このとき、基板10および金型120周囲が密閉空間となるように、成形装置は構成されている。続いて、真空ポンプにより上記密閉空間を減圧し、蛍光体含有樹脂30内に含まれる気泡を除去する(脱泡)。
次に、図5(b)に示すように、成形装置の加圧機構(図示せず)によって金型120を上方に押し下げ、金型120を基板10に押し付ける。図5(c)は、図5(b)において破線で囲まれた領域の拡大図である。基板10に搭載されたLEDチップ20の各々は、各キャビティ122内に収容される。蛍光体含有樹脂30は、基板10との接触によって変形し、基板10の素子搭載面aと金型120の基準面b(各キャビティ122の周囲に延在する平坦な面)の間に形成された隙間100内に充填される。すなわち、蛍光体含有樹脂30は、隙間100を通ってキャビティ122の各々に供給され、基板10の素子搭載面上に広がる。換言すれば、基板10の素子搭載面aと金型120の基準面bとの間に隙間100の幅に対応する厚さLの蛍光体含有樹脂の層(以下において薄膜部30aと称する)が形成される。成形装置は、基板10と金型120との間に蛍光体含有樹脂の薄膜部30aを挟んだ状態で、蛍光体含有樹脂30に熱と圧力を加える。尚、基準面bは、金型120の表面にリリースフィルムを貼り付けて成形を行う場合においては、実質的には、金型上に配置されたリリースフィルムの上面となる。
蛍光体含有樹脂の薄膜部30aの厚さ(すなわち隙間100の幅)Lは、蛍光体含有樹脂30に含まれる蛍光体粒子32の平均粒径の15倍以上であり且つ基板10の素子搭載面aからLEDチップ20の上面までの距離tよりも小さくなるように設定される。蛍光体含有樹脂の薄膜部30aの厚さLは、例えば蛍光体含有樹脂30の塗布量(供給量)によって制御することが可能である。すなわち、蛍光体含有樹脂30の塗布量をより多くすることにより基板10と金型120との間に介在する蛍光体含有樹脂30の体積が増加するため、蛍光体含有樹脂の薄膜部30aの厚さを厚くすることができる。尚、蛍光体含有樹脂30の塗布量は0.01g単位で制御することが可能である。
基板10と金型120と間に形成される隙間100は、図5(b)および図5(c)に示す加熱および加圧状態において蛍光体含有樹脂30が流動する流動経路となる。隙間100の幅を大きくすることにより蛍光体含有樹脂30の流動性が向上する。隙間100の幅を蛍光体粒子32の平均粒径の15倍以上に設定することにより、隙間100の端部(すなわち金型120の端部)に到来した蛍光体粒子32は、当該端部で折り返すように移動することが可能となり、金型120の端部における蛍光体粒子32の滞留が解消される。これにより、蛍光体含有樹脂30内における蛍光体粒子32の密度分布の偏りが解消され、樹脂内において蛍光体粒子32を均一に分散させることが可能となる。尚、本コンプレッション成形工程において、成形温度を115℃、成形圧力を30kgf/cm2、成形時間を300秒、真空保持時間を7.0秒、蛍光体含有樹脂の薄膜部30aの厚さ(すなわち、隙間100の厚さ)Lを200μmに設定した。
コンプレッション成形が完了した後、加熱および圧力印加を停止させ、成形装置の昇降機構によって基板保持部110を上昇させ、仮硬化した蛍光体含有樹脂30をリリースフィルムとともに金型120から剥離する。その後、蛍光体含有樹脂30が接合された基板10を例えば150℃の恒温槽に搬入し、4時間の熱処理を行って、蛍光体含有樹脂30を本硬化させる。その後、必要に応じて基板10を任意の構成単位毎に分割する。例えば、発光装置は、単一のLEDチップにより構成されていてもよく、ライン状またはグリッド状に並ぶ2以上のLEDチップにより構成されていてもよい。
図6(a)は、以上の各工程を経て作製された本発明の実施例に係る半導体発光装置1の構成を示す平面図、図6(b)は図6(a)における6b−6b線に沿った断面図、図6(c)は図6(b)において破線で囲まれた部分の拡大図である。半導体発光装置1において、基板10上に搭載された複数のLEDチップ20の各々が半球状に成形された蛍光体含有樹脂30によって封止されている。蛍光体含有樹脂30は、配光制御用のレンズとして機能する。コンプレッション成形時において基板10の素子搭載面aと金型120の基準面bとの間の隙間100に蛍光体含有樹脂が充填されることによって形成された蛍光体含有樹脂の薄膜部30aが基板10上を覆っている。薄膜部30aの厚さLは、基板10の素子搭載面aからLEDチップ200の上面までの距離tよりも小さい(L<t)。すなわち、薄膜部30aの上面は、LEDチップ20の上面よりも投光方向後方に位置している。ここで、図6(d)は、薄膜部30aの上面がLEDチップ20の上面よりも投光方向前方に位置している(すなわちL>t)比較例に係る半導体発光装置の構成を示す断面図である。薄膜部30aの上面がLEDチップ20の上面よりも投光方向前方に位置していると、LEDチップ20から発せられた光は、平坦な薄膜部30aの上面で全反射され、光取り出し効率が低下する。一方、図6(c)に示す本発明の実施例に係る半導体発光装置1によれば、薄膜部30aの上面での全反射を防止することができ、光取り出し効率の低下を防止することができる。図6(b)および図6(c)においてLEDチップ20から発せられた光の進路が破線矢印で示されている。薄膜部30aの厚さは、コンプレッション成形時における隙間100の厚さに対応しており、蛍光体含有樹脂30の塗布量(供給量)で制御することができる。
図7は、コンプレッション成形時における基板10の素子搭載面aと金型120の基準面bとの間の隙間100の幅(蛍光体含有樹脂の薄膜部30aの厚さL)の蛍光体粒子32の粒径に対する倍率が互いに異なる3種類のサンプルについて、発光面内における発光色の色温度差を評価した結果である。各サンプルは、基板上に15個のLEDをピッチ0.9mmで一列に搭載し、各LEDチップを封止する蛍光体含有樹脂をコンプレッション成形して作製されたものである。
サンプルAは、基板の素子搭載面aと金型の基準面bとの間の隙間100の幅Lを蛍光体粒子の粒径の3倍に設定してコンプレッション成形したものである。サンプルBは、隙間100の幅Lを蛍光体粒子の粒径の13倍に設定してコンプレッション成形したものである。サンプルCは、隙間100の幅Lを蛍光体粒子の粒径の15倍に設定してコンプレッション成形したものであり、本発明の実施例に係る発光装置に該当する。各サンプルにおいて、複数のLEDチップが並ぶ方向に沿った各位置における色温度を測定し、その結果を図7に示すグラフ上にプロットした。図7において、横軸は各サンプルのLEDチップが並ぶ方向に沿った発光面上の位置を示し、縦軸は当該位置における色温度の発光面中央における色温度との差を示している。サンプルAおいては、発光面の端部の色温度が高く、発光面端部と発光面中央との間の領域で色温度が低くなった。これは、蛍光体含有樹脂内において蛍光体粒子の密度分布に偏りが生じていることを意味している。サンプルBでは、発光面内における色温度差が縮小する傾向が見られるものの、依然として発光色にむらが生じている。サンプルCでは、発光面上の各位置における色温度差がほぼ200K以内に収まっており、実使用において十分に許容できるレベルであることが確認された。すなわち、隙間100の幅Lを蛍光体粒子の粒径の15倍以上とすることにより蛍光体粒子の密度分布の偏りが解消されることが確認された。尚、図7に示す結果は、平均粒径が10.7μmである蛍光体粒子を使用した場合が示されているが、蛍光体粒子の平均粒径が8.0μmである蛍光体粒子を使用した場合においても、隙間100の幅Lを蛍光体粒子の粒径の15倍以上とすることにより発光面上の各位置における色温度差をプラスマイナス200K以内とすることができた。
また、本発明者らは、コンプレッション成形において、蛍光体粒子の滞留を防止する手法を探る過程において、蛍光体含有樹脂の流動性をコントロールする様々な方策について検討を行った。図8にその内容と効果を示す。
方策1は、コンプレッション成形時における成形圧力を既定値である30Kgf/cm2から15kgf/cm2に変更することにより蛍光体含有樹脂の流動性の向上を図るというものである。しかしながら、この方策1において蛍光体粒子の密度分布の偏り、すなわち発光面内における発光色のむら(色温度差)を解消することはできなかった。
方策2は、コンプレッション成形時における真空保持時間を既定値である7秒から3秒に変更することにより蛍光体含有樹脂の流動性の低下を図るというものである。しかしながら、この方策2において蛍光体粒子の密度分布の偏り、すなわち発光面内における発光色のむら(色温度差)を解消することはできなかった。
方策3は、コンプレッション成形時における金型押し付け速度を既定値である1.0mm/sから0.5mm/sに変更することにより蛍光体含有樹脂の流動性の低下を図るというものである。しかしながら、この方策3において蛍光体粒子の密度分布の偏り、すなわち発光面内における発光色のむら(色温度差)を解消することはできなかった。
方策4は、コンプレッション成形時における金型の温度(すなわち成形温度)を規定値である115℃から105℃に変更することにより蛍光体含有樹脂の流動性の向上を図るというものである。しかしながら、この方策4において蛍光体粒子の密度分布の偏り、すなわち発光面内における発光色のむら(色温度差)を解消することはできなかった。
方策5は、蛍光体含有樹脂の金型上の塗布位置および塗布形状を図4(a)〜(c)に示すように変化させたものである。すなわち、蛍光体含有樹脂を既定条件である1点塗布から多点塗布、ライン状塗布、波状塗布に変更することにより蛍光体含有樹脂の金型上での広がりの態様を変化させるというものである。塗布位置および塗布形状に応じて蛍光体粒子の密度分布に変化が生じ、発光色のむらが生じる位置に変化が見られたものの、発光色のむら(色温度差)自体を解消することはできなかった。
方策6は、蛍光体含有樹脂の粘度が既定値の0.1倍〜2倍のものを使用することにより、蛍光体含有樹脂の流動性を変化させるというものである。粘度が低い樹脂を使用した場合において発光面内における色温度差が縮小したものの十分な実使用レベルに至っていない。
方策7は、コンプレッション成形時における、基板の素子搭載面と金型の基準面との間の隙間の幅Lを増加することにより蛍光体含有樹脂の流動経路の拡大を図るというものである。尚、上記隙間の幅Lは、蛍光体含有樹脂の塗布量で制御した。上記隙間の幅Lを蛍光体粒子の平均粒径の15倍以上とすることにより、蛍光体粒子の密度分布の偏りが解消され、発光面内における色温度差はほぼプラスマイナス200K以内に収まった。
このように、蛍光体含有樹脂の流動性を変化させる様々な方策が試行された。その結果、蛍光体粒子の密度分布の偏りを防止することができる唯一の方策としてコンプレッション成形時において基板と金型との間に介在する蛍光体含有樹脂の層の厚さを蛍光体粒子の粒径に応じて制御するという手法が見出された。かかる手法によれば、方策1〜6において検討された各パラメータ(蛍光体含有樹脂の粘度、成型圧力など)にかかわらず、蛍光体粒子の滞留を防止し、発光面内における色むらを抑制する効果が確認された。
以上の説明から明らかなように、本発明の実施例に係る半導体発光装置の製造方法においては、コンプレッション成形時に基板10の素子搭載面と金型120の基準面との間に蛍光体含有樹脂30の流動経路となる幅Lの隙間100が形成される。隙間100の幅Lは蛍光体含有樹脂30内に含まれる蛍光体粒子の平均粒径の15倍以上に設定される。これにより、コンプレッション成形時における金型120と基板10との間に介在する蛍光体含有樹脂30の流動性が向上する。これにより、蛍光体粒子は滞留を生じることなく樹脂内を移動することが可能となり、蛍光体粒子の密度分布の偏りが解消される。従って、基板上に複数のLEDチップを搭載した半導体発光装置1において、発光面内における発光色のむら(色温度差)を低減することが可能となる。また、基板10をLEDチップ毎に分割して製造される発光装置においては、発光装置間の発光色のばらつきを防止することが可能となり、歩留りが向上する。
10 基板
20 LEDチップ
30 蛍光体含有樹脂
32 蛍光体粒子
100 隙間
120 金型
122 キャビティ

Claims (5)

  1. 基板の素子搭載面に複数の発光素子を搭載する工程と、
    前記基板上における前記複数の発光素子の配列に対応して配列された複数のキャビティを基準面に有する金型に平均粒径が5μm以上の蛍光体粒子を含む蛍光体含有樹脂を供給する工程と、
    前記発光素子の各々が前記キャビティの各々に収容され且つ前記素子搭載面と前記基準面とが前記蛍光体含有樹脂を間に挟んで対向した状態で前記蛍光体含有樹脂を圧縮成形する工程と、を含み、
    前記圧縮成形する工程において、前記素子搭載面と前記基準面の間に介在する前記蛍光体含有樹脂の厚さは前記蛍光体粒子の平均粒径の15倍以上であることを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
  2. 前記圧縮成形する工程において、前記素子搭載面と前記基準面の間に介在する前記蛍光体含有樹脂の厚さは、前記素子搭載面から前記発光素子の上面までの距離よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記圧縮成形する工程において、前記素子搭載面と前記基準面の間に介在する前記蛍光体含有樹脂の厚さは、前記蛍光体含有樹脂の供給量によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記圧縮成形する工程の後に、前記基板を分割する工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 前記蛍光体含有樹脂は、前記複数のキャビティのうちの一部に供給され、前記圧縮成形工程において前記基板との接触によって前記複数のキャビティの各々に供給され、前記素子搭載面上に広がることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の製造方法。
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