以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。図1は、ボール搭載装置(搭載装置、ボールマウントシステム、ボールマウンタ)の一例を示している。図2は、マスクを基板に位置合わせした(セットした)状態を平面図により示している。図3は、図2のIII−III線に沿って切断した断面図を示している。
ボール搭載装置1は、基板100上の所定の位置に導電性ボール(導電性微小粒子)Bを搭載するための装置である。本例のボール搭載装置1は、プリント配線板を基板100として、プリント配線板100に所定のパターンで形成された複数の電極101の上に、導電性ボールBを、その所定のパターンに合わせて搭載するものである。プリント配線板100は、プリント配線基板、プリント回路板、プリント回路基板、回路基板、あるいはプリント基板などとも呼ばれ、半導体が実装される半導体実装基板、ビルドアップ基板、多層基板などを含む。このため、ボール搭載装置1は、導電性ボールBを基板100に配置するための複数の開口111を備えたマスク(テンプレート)110を、基板100に位置合わせした状態で、複数の開口111に導電性ボールBを充填するための装置(ボール充填装置)10を有する。
基板100の電極101の上に搭載される導電性ボールBは、電気的な接続を得るための電極(バンプ)として機能するものであり、その直径は、例えば1mm以下、具体的には、10〜500μm程度である。このような導電性ボールBは、微小ボール、マイクロボール、微小粒子などと呼ばれることもある。導電性ボールBには、半田ボール(銀(Ag)や銅(Cu)などを含む、主成分が錫(Sn)からなるボール)、金あるいは銀などの金属製のボール、さらに、セラミックス製のボールあるいはプラスチック製のボールに導電性のメッキなどの処理が施されたものが含まれる。本例では、導電性ボールBとして、直径90μm程度の半田ボールを用いている。
プリント配線板100の一方の面100bには、複数の半導体チップ(半導体デバイス、図5参照)102がマトリックス状あるいはアレイ状に実装されており、プリント配線板100の反対側の面100aにはそれぞれの半導体チップ102に接続するための複数の電極101が、マトリックス状(アレイ状)に分散して設けられている。すなわち、プリント配線板100の他方の面100aには、各々の半導体チップ102に対応した複数の電極グループNが離散した状態で配置されている。本例では、外周が長方形のプリント配線板100を、図2に示すように図面上、横方向に配置した状態で導電性ボールBを搭載するものとする。本例のプリント配線板100は、5行8列、合計40個の電極グループNを含む。
したがって、このプリント配線板100に導電性ボールBを配置するためのマスク(テンプレート)110は複数の開口111を備えた開口パターン(マスクパターン)を有する。具体的には、マスク110は、プリント配線板100の複数の電極グループNに対応するように、マトリックス状(アレイ状)に分散して設けられた複数の開口グループMを含む。すなわち、本例のマスク110は、5行8列、合計40個の開口グループMを含む。
各々の開口111の直径は、導電性ボールBの直径に依存するものであり、典型的には、導電性ボールBの直径よりも10%程度大きい。本例では、マスク110は、直径90μmの導電性ボールBを基板100に搭載するために直径100μm程度の開口111が基板100に形成された電極101に対応した位置にあけられている。開口111の開口端は、面取りされていてもよい。図3に示すように、マスク110の裏面(下面)110bの開口グループMが形成されている領域には、裏逃がし113が形成されており、裏逃がし113が形成されていない部分の厚さ(マスク厚)は、約100μmである。ボール充填装置10においては、マスク110は、ある程度の張力(テンション)が与えられた状態でマスク枠112に固定され、マスク保持装置11に保持されている。
図1に示すように、このボール搭載装置1は、減圧吸引などの方法により基板100の反りを矯正した状態で基板100をセットするためのXYZθステージ(移動ステージ)2と、基板100をロード(供給)およびアンロード(収納)するためのローダ・アンローダ装置3と、基板100の位置を微調整するためのプリアライメント装置(アライナ)4と、基板100の反りを矯正するための矯正装置5と、印刷用マスク6aを介して基板100と導電性ボールBとを結合させるための素材(フラックス)Fを塗布するためのフラックス塗布装置(フラックス印刷装置、スクリーン印刷装置)6と、基板100に振込み用マスク(充填用マスク)110を介して導電性ボールBを配列(搭載、配置)するためのボール充填装置(ボール振込み装置)10と、X軸テーブル(レール)、Y軸テーブル(レール)、Z軸テーブル(レール)、およびθテーブル(レール)を備え、ステージ2を移送(搬送)するステージ移送装置7と、基板100を搬送する基板搬送ロボット8とを有する。矯正装置5、フラックス塗布装置6、およびボール充填装置10は、X方向に並んで配置されている。
ローダ・アンローダ装置3は、基板100をロード(供給)する第1のパッケージ(第1のストッカ)3aと、基板100をアンロード(収納)する第2のパッケージ(第2のストッカ)3bとを有する。基板100は、ローダ・アンローダ装置3の第1のパッケージ3aから搬入され、ローダ・アンローダ装置3の第2のパッケージ3bに搬出される。搬送ロボット8は、ローダ・アンローダ装置3の第1のパッケージ3aから基板100をアライナ4の上方に搬入し、アライナ4から基板100を移動ステージ2へ搬送し、移動ステージ2から基板100をローダ・アンローダ装置3の第2のパッケージ3bに搬出する。
移動ステージ2は、減圧吸引などの方法により基板100の反りを矯正した状態で、基板100をその上面(本例ではX−Y平面)の上に保持する。移動ステージ2は、ステージ移送装置7により、基板100を、矯正装置5、フラックス塗布装置6、およびボール充填装置10の間の任意の位置に移動させる。また、移動ステージ2は、基板100の位置を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ方向に調整することができる。したがって、ボール充填装置10においては、移動ステージ2により基板100の電極101の位置と、マスク110の開口111の位置とが一致するように、マスク110と基板100とを位置合わせできる。
図4は、ボール充填装置10の概略構成を平面図(上面図)により示している。図5は、図4のボール充填装置10が備えるボール保持装置を正面図により示している。図6は、図5のボール保持装置が備えるボール補給ユニットを側面図により示している。
ボール充填装置10は、上述のように、導電性ボールBを基板100に配置するための複数の開口(開孔、アパーチャ)111を備えたマスク110を、この基板100にセットした状態(重ねた状態)で、マスク110の複数の開口111に導電性ボールBを充填するための装置である。ボール充填装置10は、ボール保持装置(ボール保持手段)20と、ボール保持装置20を往復移動させるための移動装置(移動手段)80と、ボール保持装置20および移動装置80を制御する機能を含む制御部(制御ユニット)90とを備えている。このボール充填装置10では、ボール保持装置20は4つのヘッド40a、40b、40c、40dを備えており、それぞれのヘッド40a〜40dがマスク110の上面110aの上の限られた領域(動区域)に導電性ボールBを保持しながら、マスク110の複数の開口111に導電性ボールBを充填する(振り込む)。
ボール保持装置20は、4つのヘッドユニット30a、30b、30c、30dを有し、これらのヘッドユニット30a〜30dは、それぞれ、マスク110の表面(本例ではX−Y平面)110aの独立した(区別された、異なる)一部分に、導電性ボールBの集団が保持される動区域(囲い込み領域)をそれぞれ形成するためのヘッド(ディスペンサ)40a〜40dと、ヘッドと対応するように設けられ、ヘッドを介して動区域に対し導電性ボールBを補給するためのボール補給ユニット50a〜50dとを備えている。本例のボール保持装置20により、4つの導電性ボールBの集団Bg1〜Bg4が4つの領域(動区域)A1〜A4(図9参照)に保持され、移動装置80によりボール保持装置20が移動することにより、これらの動区域A1〜A4がマスク110の表面110aを移動する。
図4および図5に示すように、移動装置80は、X軸レール81xと、一対のY軸レール81y1および81y2と、Z軸レール81zとを有している。X軸レール81xは、モータ82xを備えており、一対のY軸レール81y1および81y2は、それぞれ、モータ82y1および82y2を備えており、Z軸レール81zは、モータ82zを備えている。X軸レール81xは、Yテーブル83(図5参照)を介して一対のY軸レール81y1および81y2に支持されており、Z軸レール81zは、X軸レール81xに支持されている。なお、図4では、Yテーブル83を省略して示している。Z軸レール81zには、さらに、X方向に延びるヘッド間隔調整治具84が取り付けられ、ヘッド間隔調整治具84には、4つのヘッドユニット30a〜30dが取り付けられている。それぞれのヘッドユニット30a〜30dはヘッド間隔調整治具84にX方向に移動可能(スライド可能)に取り付けられており、それぞれのヘッドユニット30a〜30dの間隔は調整できるようになっている。
したがって、これら4つのヘッドユニット30a〜30dは、ヘッド間隔調整治具84にX方向の間隔を所望の間隔にセットされた状態で、移動装置80のZ軸レール81z、X軸レール81xおよびY軸レール81y1および81y2により、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向に動かすことができる。このため、ヘッドユニット30a〜30dにそれぞれ装着されているヘッド40a〜40dもX方向の間隔を所望の間隔にセットされた状態で、移動装置80により、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向に動かすことができる。
ヘッド間隔調整治具84に対してすべてのヘッドユニット30a〜30dがX方向にスライド可能であってもよい。また、最左端および最右端のヘッドユニット30aおよび30dは、ヘッド間隔調整治具84に対してスライドしなくてもよい。さらに、4つのヘッドユニット30a〜30dは、それぞれ、ヘッド間隔調整治具84に着脱自在に取り付けられていてもよい。基板100に導電性ボールBを搭載する際、ヘッドユニット30a〜30dの数が多い場合には取り外して削減し、ヘッドユニットの数を増やしたい場合は、新たなヘッドユニットをヘッド間隔調整治具84に装着してもよい。
この移動装置80により、4つのヘッド40a〜40dをマスク110の表面110aを2次元方向の任意の方向に移動することができる。したがって、4つのヘッド40a〜40dにより形成される4つの動区域A1〜A4を、X方向の間隔を所定の間隔を保った状態で、マスク110の表面(上面)110aに沿い、表面110aを横切る任意の方向に連動して移動できる。4つの動区域A1〜A4が移動することにより、動区域A1〜A4に保持される独立した4つの導電性ボールBの集団Bg1〜Bg4もマスク110の表面110aの異なる場所に連動して移動する。
なお、移動装置80の構成は上記に限定されるものではなく、4つのヘッド40a〜40dをマスク110の表面110aを横切るようにY方向に往復移動させることができるとともに、端部においてX方向の位置を変更できるものであればよい。
図5に示すように、ヘッドユニット30a〜30dは、ヘッド40a〜40dと、ボール補給ユニット50a〜50dと、ベース(取り付け台)31a〜31dと、ヘッド回転用のモータ32a〜32dと、Z方向に延びる軸(シャフト)33a〜33dとをそれぞれ備えている。ヘッドユニット30a〜30dは、ベース31a〜31dを介して、ヘッド間隔調整治具84にそれぞれ取り付けられている。
各々のヘッドユニット30a〜30dは共通した構成であり、ヘッドユニット30dを代表して説明する。軸(シャフト)33dは垂直方向に伸び、モータ32dとヘッド40dとを接続している。このため、ヘッド回転用のモータ32dによりヘッド40d(具体的にはヘッド40dのベース(ヘッドプレート)41)を、シャフト33dを中心として回転駆動できる。本例では、シャフト33dの中心軸がヘッド40dの回転軸(マスク110に対して垂直な軸)となり、ヘッド40dは、それぞれ、垂直な軸を中心として回転(自転)する。
ヘッドユニット30dのボール補給ユニット50dは、ボール容器(ボールタンク)51を含む計量装置52と、柔軟性を有する第1のボール案内管53と、剛性を有する第2のボール案内管54とを備えている。ボール補給ユニット50dは、ヘッド40dの内部(動区域A4内)に、シャフト33dとヘッド40d(後述するヘッド40dのベース部材41)とを介して、導電性ボールBを補給する。本例では、シャフト33dの内部が中空となっており、ボール容器51とシャフト33dの上端部とが、第1のボール案内管53と、第2のボール案内管54とを介して接続されている。
図6にボール補給ユニット50dの計量装置52を抜き出して示している。計量装置52は、それぞれ、所定量の導電性ボールBを、ヘッド40dを介して動区域A4に補給するためのものである。計量装置52は、ボール容器(ボールタンク)51と、エアシリンダ55と、シリンダロッド56と、上下板57と、スライド台58と、回転板59と、ピン60と、ピン案内板61とを備えている。シリンダロッド56の上端部は、上下板57と接続されている。上下板57は、スライド台58に支持された状態で、スライド台58に沿って上下に移動するようになっている。上下板57と回転板59とは、ピン案内板61に案内されるピン60により接続されている。回転板59は、ボール容器51と接続されている。
したがって、エアシリンダ55を駆動させ、シリンダロッド56を上下に動かすと、シリンダロッド56を介して上下板57がスライド台58に沿って上下に移動する。上下板57が上下に移動すると回転板59も上下に移動し、この動きがピン60およびピン案内板61によって回転板59の回転運動となる。回転板59に連動してボール容器51も所定の角度(この例では約45度)に傾く。この機構では、ボール容器51が下がりながら傾斜(回転)し、ボール容器51が上がりながら垂直に戻る。したがって、第1のボール案内管53の長さは変わらずに、撓むだけで、ボール容器51と第2のボール案内管54との間を連通できる。
ボール容器51の傾斜または旋回により、ボール容器51から所定の量(数)の導電性ボールBが、第1のボール案内管53、第2のボール案内管54、シャフト33d、ヘッド40dのベース部材41を介して、ヘッド40dにより形成される動区域A4に補給される。ボール補給ユニット50dにより導電性ボールBを補給するタイミングは、制御ユニット90によりエアシリンダ55を操作することで制御できる。したがって、ボール補給ユニット50a〜50dにより、それぞれの動区域A1〜A4に対して、所定の量(数)の導電性ボールBを同時に補給することが可能であり、また、異なるタイミングで導電性ボールBを補給することも可能である。
このボール充填装置10では、ヘッド40a〜40dの移動とともに、円形の動区域A1〜A4が移動し、動区域A1〜A4に保持された導電性ボールBは、マスク110の開口111に順次充填され、消費される。このため、消費されるボール量に基づいて、ボール補給ユニット50a〜50dから適当な数の導電性ボールBを動区域A1〜A4内に投入(補給、供給)することにより、動区域A1〜A4のそれぞれに保持される導電性ボールBの量(数)を適量に維持できる。例えば、時間当たりに消費されるボール量に基づいて、所定時間間隔で導電性ボールBを補給することにより、動区域A1〜A4内に、常に適当な量の導電性ボールBを存在させておくことができる。光学センサーなどにより、それぞれの動区域に保持されている導電性ボールの量(数)を監視して、ボール補給ユニット50a〜50dを制御してもよい。
ボール補給ユニット50a〜50dにより、動区域A1〜A4の導電性ボールBの集団Bg1〜Bg4の密度、集中度(集積度、数、量)を適切に維持できる。このため、動区域A1〜A4のそれぞれにおいて導電性ボールBの密度(数)が低下することによりマスク110の開口111に導電性ボールBが充填されなくなることを抑制できる。また、動区域A1〜A4のそれぞれにおいて導電性ボールの密度(数)が大幅に増加することにより導電性ボールの流動性が低下したりアーチ状にスタックしたりして、マスク110の開口111に導電性ボールBが充填されなくなることも抑制できる。
なお、1つのボール補給ユニットから4つの動区域A1〜A4内に、それぞれ導電性ボールBを補給することも可能である。しかしながら、1つのボール補給ユニットから各動区域A1〜A4への距離が異なったり、配管のアレンジが異なることなどにより、所定の量の導電性ボールを各動区域A1〜A4に分配することは難しい。その点、本例では、4つのボール補給ユニット50a〜50dから4つの動区域A1〜A4にそれぞれ導電性ボールBが補給されるようになっているので、導電性ボールBを分配する必要がなく、精度よく各動区域A1〜A4に保持される導電性ボールBの数(量)を制御できる。
次に、ボール保持装置20のヘッド40a〜40dについて詳しく説明する。これらのヘッド40a〜40dは構造が共通するので、ヘッド40aを例に説明する。図7の(a)は、ヘッド40aを正面から見た図である。図7(b)は、ヘッド40aを底面から見た図である。図8は、ヘッド40aによりマスク110の複数の開口111に導電性ボールBが充填されている様子を拡大して示す図である。
ボール保持装置20のヘッド40aは、それぞれ、マスク110の上面110aの上で導電性ボールBを押し払いながら動区域A1に導電性ボールBを集め、マスク110の複数の開口111に導電性ボールBを充填するためのものである。ヘッド40aは、ベース部材(スキージサポート、固定部材)41と、複数の結束線状部材からなるスキージ43とを備えている。スキージ43の結束線状部材は、複数本の線状部材42の両端部をかしめなどの方法で結束してなるものである。ベース部材41の中心は、マスク110に対して垂直方向に延びるシャフト33aに繋がっており、モータ32a(図5参照)により回転駆動される。スキージ43を構成する線状部材42の直径は、線状部材42を形成する材料の材質や導電性ボールBの直径などによるが、30〜100μmが好ましい。また、線状部材42は、比較的剛性が低い材料により形成することが好ましい。
なお、スキージ43の結束線状部材は、マスク110の上面110aに比較的柔らかく接し、マスク110の上面110a上の導電性ボールBを掃き集めることができるものであればよい。好ましくは、スキージ43の結束線状部材は、一旦マスク110の開口111に充填された導電性ボールBを掻き出さない程度の弾性を備えたものであるとよい。本例では、ヘッド40a〜40dは、6本のスキージ43を備えており、これらのスキージ43の結束線状部材は、それぞれ、結束線状部材の水平部分43aとベース部材41の下面41aとが密着しないように、且つ、スキージ43を構成する複数の線状部材42が捩じられた状態で、マスク110の上面110aに向かって突き出るように、ベース部材41の下面41aに略逆U字状に着脱可能に取り付けられている。
6本のスキージ43は、図7(b)に示すように、略放射状に取り付けることが好ましい。より詳しくは、6本のスキージ43は、それぞれ、回転シャフト33aと同心円状の内円(すなわち破線で示した動区域)A1の回りに、円周方向に均等なピッチで、内円A1の接線方向(あるいは、内円A1よりも若干内側の仮想円の接線方向)であって、本例では底面から見て反時計方向に、ベース部材41の外周近傍まで、直線的に延びるように配置されている。ベース部材41の下面41aには、導電性ボールBをスキージ43の固定部分に付着させないなどの目的で、押え板44が設けられている。このヘッド40aは、回転用モータ32aによりシャフト33aを中心として、ベース部材41の底面41aの側から見て、反時計方向に回転駆動される。
なお、スキージ43の配置を反転(鏡面対称)させることにより、ヘッド40a〜40dの回転方向(ヘッド40a〜40dの自転方向)を時計回りにすることが可能である。また、ベース部材41に取り付けられるスキージ43の本数は、動区域の大きさなどによって決まり、2本〜5本、あるいは7本以上であってもよい。さらに、スキージ43の一方の端をベース部材41の側面に取り付けてもよい。スキージ43の一方の端をベース部材41の側面に取り付けることにより、水平部分43aをより長くすることができる。いずれの場合も、スキージ43の水平部分43aとベース部材41の下面41aとが密着しないように、それらの間に空間が設けられるように取り付けることが好ましい。
このヘッド40aでは、結束線状部材からなるスキージ43がマスク110の上面110aの上で導電性ボールBを押し払ったときに、線状部材42の間に導電性ボールBが入り込み難い。また、導電性ボールBが結束線状部材からなるスキージ43を乗り越えてヘッド40aの外に逸散し難い。したがって、スキージ43の下向きのU字状の中央部分(腹の部分)43aがマスク110の上面110aに接した状態でヘッド40aを下方から見て反時計方向に回転させると、スキージ43の進行方向(回転方向)にある導電性ボールBは内円A1に向けて押し払われる。すなわち、ヘッド40aが回転することにより、マスク110の上面110aに残った過剰な導電性ボールBは、逸散しないように、内円A1の周辺から、それぞれ、内円A1に集められる。このため、ヘッド40aを回転駆動することにより、導電性ボールBの集団Bg1をマスク110の上面110aの限られた面積の動区域A1に保持でき、ヘッド40aを移動することにより動区域A1も移動できる。なお、内円(動区域)A1〜A4は、仮想的または設計的なものである。
図8に示すように、導電性ボールBは、スキージ43に押されて動区域A1に集められ、その過程で導電性ボールBがマスク110の未充填の開口111を通過するときにマスク110の開口111へ自然落下して、基板100に設けられた電極101上に搭載される(振り込まれる)。なお、図8中符号109は保護膜であり、半導体素子102の能動面を保護するためのものであって、電極101の外周部を覆うように形成される。フラックスFは、保護膜109が被覆していない電極101面に印刷されている。フラックスFは、保護膜109の孔の中で、中央が少し盛り上がるように印刷されることが好ましい。
また、一旦充填された導電性ボールBが開口111に安定して保持されるように、充填されたボールBの頂点がマスク110の上面110aより下となるように、マスク110の厚みが決定されていることが好ましい。導電性ボールBの頂点がマスク110の上面110aより上に出ると、開口111に充填された導電性ボールBが、スキージ43により掻き出され易くなる。導電性ボールBの頂点がマスク110の上面110aから下がる距離は、導電性ボールBの直径の2〜10%程度が好ましく、より好ましくは、5%程度である。このように、導電性ボールBがマスク110の上面110aより沈み込む場合、マスク110の開口111に振り込まれた導電性ボールBがスキージ43により掻き出されることが少なくなる。
スキージ43が図8において左から右へ移動すると、導電性ボールBは押されて次々と開口111へ振り込まれる。スキージ43の結束線状部材を構成する線状部材42は、その直径が30〜100μm程度であって、小さく且つ剛性が低いので、マスク110の開口111の部分ではマスク110の表面110aから下方へ少々曲がり、開口111の中へ少々入り込む。したがって、開口111に充填された導電性ボールBは、スキージ43(線状部材42)により、電極101上に印刷されたフラックスFの中に押し込まれて、基板100に大きな衝撃を与えなければ移動しない程度に固定される。このような効果を得るため、線状部材42は、少々ではあるが、開口111に充填された導電性ボールBを上から押圧する程度に変形することが好ましい。充填された導電性ボールBがフラックスF中に押し込まれないと、後工程(基板搬送、検査、リフロー等)において導電性ボールBが所定位置から離脱することが生じ易くなる。
図8に示すように、結束線状部材からなるスキージ43は、ボールが内円の方向へ移動するように捩られている。このようなスキージ43は、マスク110と接触する部分で押し潰されて、断面形状が略楕円形(擬似楕円形)となるが、線状部材42自身は潰されない。このため、スキージ43は断面で見ると、導電性ボールBとマスク110との双方に斜めに当接する。本例の結束線状部材からなるスキージ43は複数の線状部材42が捩じられた状態でベース部材41に取り付けられている。したがって、線状部材を捩っていないスキージと比較すると、スキージ43の角度に対して多くの線状部材42が、より中心方向へ導電性ボールBを導くような角度でマスク110と交互に当接する。したがって、スキージ43の角度は、より広範囲から導電性ボールBを集めることができる角度とし、実際に個々の導電性ボールBと接する線状部材42の角度は、スキージ43よりも内側を向いた導電性ボールBが散逸し難い角度に設定できる。このため、捩じった状態の結束線状部材からなるスキージ43をベース部材41に固定すると、動区域A1〜A4内に比較的多くの導電性ボールBを、逸散を抑制した状態で保持できる。このようなヘッド40a〜40dを用いることにより、動区域A1〜A4内の導電性ボールBの密度(集積度)を向上できるので、充填効率を向上でき、動区域A1〜A4を重複させなくとも、マスク110のすべての開口111に導電性ボールBを良好に充填できる。
図4に戻り、制御ユニット(制御部、制御手段)90は、ボール保持装置20および移動装置80と制御情報を送受信できる状態に接続されており、これらの動作を制御する機能(充填装置10を制御する機能)95を含む。
この制御ユニット90は、ボール搭載装置1全体を制御する機能、すなわち、ステージ2および装置4、5、6および8を制御する機能を含んでいてもよい。ステージ2および装置4、5、6および8を制御する制御ユニット90は、この制御ユニット90と別体であってもよい。制御ユニット90の多くは、コンピュータあるいはマイクロコンピュータを用いて構成される。制御ユニット90はメモリを含み、そのメモリには、制御用のプログラム90pが格納されており、マイクロコンピュータはプログラム90pを実行することにより所定の機能を果たす。制御用のプログラム(プログラム製品)90pは、ROMなどの適当な記録媒体に記録して提供される。本例のボール搭載装置1や、本例のボール充填装置10は、LANなどのコンピュータネットワークを介して制御することも可能であり、プログラム90pをネットワーク上のサーバなどから提供することも可能である。
この制御ユニット90の充填装置を制御する機能95は、ボール保持装置20によって導電性ボールBの4つの集団Bg1〜Bg4をマスク110の表面110aの4つの動区域A1〜A4にそれぞれ保持させる機能91と、集団Bg1〜Bg4を動区域A1〜A4にそれぞれ保持させた状態で移動装置80によって4つの動区域A1〜A4の相互の間隔を所定の値に保ち、ボール保持装置20を往復移動させる機能92とを含む。
図9に示すように、往復移動させる機能92は、4つのヘッド40a〜40dを、往復動させ、その往路および復路のそれぞれにおいて、それぞれのヘッド40a〜40dにより形成される動区域A1〜A4が、往復移動の方向に一連に並べられたいくつかの開口グループMを含む開口グループ列であって、動区域A1〜A4のいずれもが未通過の第1の開口グループ列121と、第1の開口グループ列121に隣接し、動区域A1〜A4のいずれもが未通過の第2の開口グループ列122を通過するように移動させる。
導電性ボールBの集団Bg1〜Bg4を動区域A1〜A4にそれぞれ保持させる機能91は、さらに、複数のヘッド40a〜40dのそれぞれのベース部材41を複数のスキージ43がマスク110の表面110aに接触した状態で回転することにより動区域A1〜A4をそれぞれ形成する機能93を含む。保持させる機能91はさらに、ボール補給ユニット50a〜50dによって、それぞれの動区域A1〜A4に十分な数の導電性ボールBが保持されるように導電性ボールBを補給する機能(ボール補給機能)94を含む。
図9は、図4のボール充填装置10において、マスク110の複数の開口111に導電性ボールBを充填する際の、4つの動区域A1〜A4の中心の軌跡T1〜T4の一例を示している。プリント配線板100では、上述のように、複数の電極101は、マトリックス状(アレイ状)に分散して設けられた、5行8列、合計40個の電極グループNを含む。したがって、このようなプリント配線板100に導電性ボールBを配置するためのマスク110の複数の開口(開口パターン、マスクパターン)111は、プリント配線板100の複数の電極グループNに対応し、マトリックス状(アレイ状)に分散して設けられた、5行8列、合計40個の開口グループMを含む。
この充填装置10においては、導電性ボールBを基板100に配列する際に、動区域A1〜A4の動く経路(軌跡、領域)として重複の無いワンパスの経路を選択し、1つの基板100に導電性ボールBを搭載(配列)するために要する時間(タクトタイムという)を短縮させている。この充填装置10を用いてマスク110の開口111にボールを充填する方法においては、図9に示すように、まず、動区域A1〜A4のうち、互いに隣り合う動区域の中心間の間隔が、互いに隣り合う開口グループ列の中心間の間隔の2倍の値に保たれるように4つのヘッド40a〜40dの間隔をセットする。
次に、ボール保持装置20の4つのヘッド40a〜40dを、それらのスキージ43をマスク110の表面110aに接触した状態で回転し、ボール補給ユニット50a〜50dにより適当な量(数)の導電性ボールBを供給することにより、マスク110の表面110aに動区域A1〜A4を形成し、それぞれの動区域A1〜A4に導電性ボールBを保持させる(保持させる行程)。これにより、4つの導電性ボールBの集団Bg1〜Bg4がマスク110の限られた面積に独立して形成される。
次に、移動装置80により、ボール保持装置20を往復動させ、往路および復路のそれぞれにおいて、それぞれの動区域A1〜A4の中心が、第1の開口グループ列121および第2の開口グループ列122を通過するように移動させる(移動させる工程)。
動区域A1〜A4がそれぞれ、動区域が未通過の第1の開口グループ列121および第2の開口グループ列122を通過することにより、一往復で合計8つの開口グループ列に導電性ボールBを充填できる。したがって、マスク110にマトリックス状(アレイ状)に分散して設けられた、5行8列、合計40個の開口グループMに、動区域A1〜A4がY方向に一往復で導電性ボールBを充填できる。さらに、Y方向に往復動する間に動区域A1〜A4がX方向に動く、第1の開口グループ列121と第2の開口グループ列122をつなぐ領域(連結領域)123も動区域A1〜A4で重複しておらず、動区域A1〜A4は、最短経路で往復動する。このため、1つの基板100に導電性ボールBを搭載(配列)するために要するタクトタイムを短縮でき、導電性ボールBが搭載された基板100を製造するための時間を短縮できる。
動区域A1〜A4の軌跡T1〜T4は、プリント配線板100のサイズ、電極グループN(開口グループM)の配置に合わせて任意に設定でき、ヘッドの数も変更可能である。動区域の具体的な軌跡は、ボール充填装置10を制御する制御ユニット90内に記憶されたプログラム90pにおいて、適当な関数あるいはルックアップテーブルなどのデータとして与えられる。
動区域A1〜A4の直径は、10mm〜100mmであることが好ましい。動区域A1〜A4のより好ましい範囲は、20〜60mmである。また、ヘッド40a〜40dの回転速度は、120rpm以下が好ましい。さらに好ましいヘッド40a〜40dの回転速度の範囲は、30〜90rpmである。また、動区域A1〜A4の移動速度(本例では、ヘッド40a〜40dの移動速度と実質的に同義)は遅過ぎるとタクトタイムが長くなり、速過ぎると充填ミスにつながる。この充填装置10および充填方法においては、動区域A1〜A4の移動距離を短くできるので、移動速度を抑えてもタクトタイムを短縮できる。たとえば、動区域A1〜A4の移動速度は、2〜120mm/sの範囲が好ましく、さらに、5〜80mm/sの範囲であることが好ましい。本例の充填装置においては、ヘッド40a〜40dの移動速度は20〜80mm/sとなるように制御されている。
図10は、図1のボール搭載装置1におけるボール搭載方法の一例を説明するためのフローチャートを示している。ステップ201において、基板搬送ロボット8により、第1のパッケージ3aから基板100をロードする。基板搬送ロボット8の先端部(ハンド)で、基板100をすくい持ち上げ、移動させて、基板100をアライナ4に載置する。ステップ202において、アライナ4で基板100のプレアライメント(プリアライメント)を行う。ステップ203において、基板100をアライナ4からステージ2に移動させ、基板100をステージ2に載せた状態で、基板100を反り矯正装置5に移動させる。
基板100がプリント配線板の場合、反りの矯正をより効果的にするために基板100をステージ2に設けられた加熱装置で100℃前後に加熱するとよい。この加熱温度は、基板100や半田等の条件によるが、最低は50℃で、上(最高)は半田が溶融しない温度である。加熱温度は、例えば150℃とすることができる。基板100の反りが小さく、且つ、減圧吸着で基板100がステージ2に密着する場合には、矯正のステップ(ステップ203)は省略することができる。
ステップ204において、基板100をステージ2に載せた状態で、基板100をフラックス塗布装置6に移動させ、印刷用マスク6aを介して、基板100の電極101上にフラックスFを塗布する。
ステップ205において、基板100をステージ2に載せた状態で、基板100をボール充填装置10に移動させ、振込み用マスク110を介して、基板100の電極101上に導電性ボールBを搭載する。このステップ205において、充填装置10では、導電性ボールBを複数の動区域A1〜A4に集中して保持させ、それらの動区域A1〜A4を、相互に重複した軌跡を描かないように開口グループ列に沿ってマスク110の表面110aを選択的に移動することにより、このステップの作業を基板単位で短時間に完遂できるようにしている。
ステップ206において、基板100を検査装置(図示せず)に移動させ、導電性ボールBの搭載ミスを検査する。この検査結果は、基板100の処理属性として記憶され、フラックスの印刷とボールBの振込を中止するべき処理属性が見出された場合、予め定められた手続で、処理を中止するようになっている。
ステップ207において、検査結果が良好であれば、検査が終了した基板100は、基板搬送ロボット8により、検査装置から第2のパッケージ3bにアンロードされ、導電性ボールBの搭載が終了する。未処理の基板100が存在する場合には、操作は、ステップ201へ戻る。
以上のように、本例の導電性ボール搭載方法、ボール充填装置10の制御方法、ボール充填装置10によれば、典型的には動区域A1〜A4は重複しない、あるいは、ほとんど重複しない状態で、典型的には一往復で、マスク110の複数の開口111に、導電性ボールBを充填できる。また、本例の導電性ボール搭載方法、ボール充填装置10の制御方法、ボール充填装置10によれば、動区域A1〜A4が第1の開口グループ列121の領域から第2の開口グループ列122の領域へ移動する際に通る領域(つなぐ領域)123も、典型的には、重複しない。したがって、導電性ボールBを搭載(配列)するために要する時間(タクトタイム)をさらに短縮することができる。
また、この充填装置10においては、ボール保持装置20(ヘッド40a〜40d)のホームポジション(スタートポジション、図1の左側)の反対側に残ボール除去装置130が配置されており、導電性ボールBの充填作業が終了したのちに、確認のためマスク110の表面110aに残された導電性ボールBを除去できるようになっている。したがって、ヘッド40a〜40dがホームポジションからスタートして往復動し、ホームポジションに戻る軌跡を描くことは、残ボール除去装置130の動作と関連して、この充填装置10においては最も効率の良いプロセス(作業シーケンス)の1つである。
なお、本例では、すべてのヘッド40a〜40dが第1の開口グループ列121および第2の開口グループ列122を通過するようにしているが、必ずしもすべてのヘッド40a〜40dが第1の開口グループ列121および第2の開口グループ列122を通過するようにしなくてもよい。すなわち、プリント配線板100のサイズや電極グループNの配列はさまざまであるため、少なくとも1つのヘッドが第1の開口グループ列121および第2の開口グループ列122を通過するようにすればよい。
図11は、マスク110の複数の開口111に導電性ボールBを充填する際の、3つの動区域の中心の軌跡の一例を示している。本例では、プリント配線板100を縦方向に配置した状態で導電性ボールBを搭載する。したがって、プリント配線板100は、8行5列、合計40個の電極グループNを含む。
上述のように、この充填装置10においては、ヘッドユニット毎に、一往復で、2列の開口グループ列121および122に導電性ボールBを充填できる。本例では、電極グループ列が5列であり、マスク110に設けられる開口グループ列も5列になる。このため、3つのヘッドユニット30a〜30cにより一往復で、5列の開口グループ列(最大では6列の開口グループ列)に導電性ボールBを充填している。本例のように、電極グループ列が奇数列である場合、ヘッドのうちの1つのヘッドは、復路においては、導電性ボールBを開口111に充填しない(非充填領域を通過する)。しかしながら、複数の動区域A1〜A3を一往復させるだけで、マスク110のすべての開口111に導電性ボールBを充填できる。導電性ボールBを充填する3つのヘッド40a〜40cのうちの2つのヘッド40aおよび40bと、残りのヘッド40cとでは導電性ボールBの消費量が変わるが、ボール補給ユニット50a〜50cの制御を変えることにより対応できる。
以上に説明したように、上記の充填装置10は、複数の回転型ヘッド40a〜40dを備え、マスク110の表面110aに接触しながら導電性ボールBを集めて動区域A1〜A4を形成するためのスキージ43として結束線状部材を用い、動区域A1〜A4への回収率を高め、漏れ率を低減している。このため、動区域A1〜A4に、より多くの導電性ボールBを集積(集中)して保持することができ、動区域内における充填効率を高め、充填ミスを低減できる。したがって、ヘッド40a〜40dの移動するルートとして、動区域A1〜A4の軌跡(それぞれの動区域が実質的に通過して充填できる帯域)が重複しないルートを選択することができる。このため、動区域A1〜A4が移動する距離を一往復などに短縮できるので、充填に要する時間(タクトタイム)を短縮できる。
さらに、各々の動区域A1〜A4に保持される導電性ボールBの量(数)を、それぞれ、ボール補給ユニット50a〜50dにより制御することで、導電性ボールBが保持される量を、動区域からの漏れ出しが発生しない程度、また、動区域内における導電性ボールBの流動性の低下により充填率が低下しない程度の限界に近い値で保持できる。このため、動区域A1〜A4に保持される導電性ボールBの量(数)を上限に近い程度まで増加でき、充填効率を向上し、充填ミスを低減することができる。したがって、動区域A1〜A4が通過する領域を重複させずに、ワンパスあるいは一筆書きのようにそれぞれの動区域A1〜A4の移動する経路を制御することで、マスク110のすべての開口111に効率よく、短時間で導電性ボールを充填できる。そして、導電性ボールが搭載された基板100を短時間で製造できる。
なお、本発明の導電性ボール搭載方法および充填装置の制御方法を実現する際に使用するボール充填装置は、上述の装置10に限定されるものではない。例えば、ボール充填装置が備えるボール保持装置は、少なくとも2つのヘッド、好ましくは、少なくとも3つのヘッドを備えるものであればよい。
上述した実施形態は、本発明に含まれる導電性ボール搭載方法、ボール充填装置の制御方法、ボール充填装置を実現するための一例に過ぎない。例えば、移動装置は、X−Yレールを用いた移動装置に限らず、アームを用いた移動装置であってもよい。
本実施形態の目的の1つは、タクトタイムを短縮できる、装置、装置の制御方法、ボール搭載方法を提供することである。しかしながら、当業者にとって自明な部分的な変更やバリエーションは、本発明の範囲内であると考えられる。
上記にて開示した方法の一態様は、導電性ボールを基板に配置するための複数の開口を備えたマスクを、基板にセットした状態、すなわち、マスクと基板とを位置合わせした状態で、複数の開口に導電性ボールを充填するための装置により、基板に導電性ボールを搭載する方法である。この方法で用いられる上記の装置は、マスクの表面の一部分に導電性ボールの集団が保持される動区域をそれぞれ形成するための複数のヘッドを備えたボール保持手段と、ボール保持手段を往復移動させる移動手段とを有する。マスクの複数の開口は、マトリックス状に分散して設けられた複数の開口グループを含む。当該方法は、以下の工程を含む。
(a1)ボール保持手段によって導電性ボールの複数の集団をマスクの表面の複数の動区域にそれぞれ保持させること(保持させる工程)。
(a2)移動手段によって複数の動区域の相互の間隔を所定の値に保った状態でボール保持手段を往復移動させることにより、複数のヘッドを、往路および復路のそれぞれにおいて、それぞれの動区域が、往復移動の方向に一連に並べられたいくつかの開口グループを含む開口グループ列であって、動区域のいずれもが未通過の第1の開口グループ列、および第1の開口グループ列に隣接し、動区域のいずれもが未通過の第2の開口グループ列を通過するように移動させること(移動させる工程)。
ボールを搭載する対象の基板としては、例えば、プリント配線板(プリント回路板)など、複数の半導体チップ(半導体デバイス)をマトリックス状あるいはアレイ状に実装する基板がある。そのような基板において、複数の電極は、マトリックス状(アレイ状)に分散して設けられた複数の電極グループを含む。したがって、そのような基板にボールを配置するためのテンプレートであるマスクの複数の開口は、基板の複数の電極グループに対応し、マトリックス状(アレイ状)に分散して設けられた複数の開口グループを含む。
この方法においては、複数のヘッドを備えたボール保持手段によって導電性ボールの複数の集団をマスクの表面の複数の動区域にそれぞれ保持させ、移動手段によって複数の動区域の相互の間隔を所定の値に保った状態でボール保持手段を往復移動させる。したがって、微小な導電性ボールであっても、面積の限られた動区域に集めることにより、限られた導電性ボールの量(数)で、動区域の内部に限れば、マスクの開口に振込(充填)漏れが発生し難い程度の密度を維持できる。さらに、この方法においては、往路および復路のそれぞれにおいて、それぞれの動区域が、典型的にはそれぞれの動区域の中心が、未通過の第1の開口グループ列および未通過の第2の開口グループ列を通過するようにボール保持手段を移動させる。したがって、動区域の移動する範囲は、マスクの表面のうち、ある1つの基板に導電性ボールを搭載するという作業の単位では、いずれの動区域も通過していない未通過の部分に限定される。このため、この方法においては、導電性ボールを動区域に集中して保持し、マスク表面のうち、動区域が通過する範囲は、いずれの動区域も未通過の範囲に限定(選択)される。このため、微小な導電性ボールであっても、この方法における、導電性ボールの集中と、移動ルートの選択とにより効率よくマスクの開口に充填でき、導電性ボールを振り込む作業のタクトタイムを低減でき、導電性ボールが搭載された基板を短時間に製造できる。
さらに、この方法においては、それぞれのヘッドが往路および復路をそれぞれ移動する際に、動区域が隣り合う未通過の開口グループ列(第1および第2の開口グループ列)を移動する。このため、それぞれのヘッドにより形成される動区域は、開口グループ列の間の移動においても動区域のいずれもが未通過で最短のルート(領域)を移動し、移動時間の短縮が図られる。
さらに、この方法においては、動区域は往路および復路において通過する開口グループ列に含まれる開口に導電性ボールを充填するのに十分な面積を持てばよく、動区域が通過する軌跡(通過帯)の幅を、通過済みの領域と重複するように広げなくてもよい。したがって、動区域の面積をさらに限定(縮小)することができ、限られた数の導電性ボールを限られた面積に集中して保持できる。このため、さらに、充填ミスの発生率を低減でき、導電性ボールのロス率も低減できる。
この方法において、最も効率良く導電性ボールを充填できる典型的な例は、ボール保持手段がマスクに設けられた複数の開口グループ列の半数以上の数のヘッドを備え、それらのヘッドのそれぞれが、一往復で互いに隣り合う2列の開口グループ列に導電性ボールを充填することである。この場合、ボール保持手段を一往復することですべてのマスクの開口に導電性ボールを充填でき、充填ミスの発生も低減できる。したがって、この方法においては、ボール保持手段が備えるヘッドの数は多い方が好ましい。より好ましくは、ボール保持手段が備えるヘッドの数は、基板に含まれる開口グループ列の数の1/2またはそれ以上である。最適は、開口グループ列が偶数である場合、ボール保持手段が備えるヘッドの数は開口グループ列の数の1/2、開口グループ列が奇数である場合、ボール保持手段が備えるヘッドの数は開口グループ列の数の1/2よりも大きく最も近い整数である。したがって、この方法において、使用する上記装置のボール保持手段は、ヘッドを2つ以上、さらには、少なくとも3つのヘッドを備えていることが好ましい。そして、移動させる工程では、少なくとも3つのヘッドの間隔を所定の値に保つことが望ましい。
導電性ボールを動区域に保持させて、動区域を移動させることにより導電性ボールをマスクの開口に充填する過程において、各動区域内の導電性ボールの量(数、密度)は、充填効率を確保するために十分に多く、しかしながら、動区域内における導電性ボールの流動性を阻害したり、ヘッドから導電性ボールが漏れてしまうことがない程度に数が抑えられていることが望ましい。したがって、この方法において、使用する上記装置のボール保持手段は、さらに、複数のヘッドのそれぞれに対応して設けられ、複数のヘッドを介して複数の動区域のそれぞれに対し導電性ボールを補給するための複数のボール補給ユニットを備えていることが望ましい。また、保持させる工程において、複数のボール補給ユニットによって、それぞれの複数の動区域の内部に十分な数の導電性ボールが保持されるように、導電性ボールを補給することが好ましい。
それぞれのヘッド、すなわち、それぞれの動区域に一対一で対応するようにボール補給ユニットを設けることにより、それぞれの動区域の内部の導電性ボールの数(密度)を精度よく制御できる。このため、各動区域内の導電性ボールの量(数、密度)を常に適当に集中した状態に保つことができる。すなわち、各動区域内の導電性ボールの量(数、密度)を、適度な流動性が維持でき、導電性ボールの漏れの発生も抑制でき、しかも、充填中に導電性ボールの不足が生じることもない程度に維持できる。
また、ボール補給ユニットを設けることにより、1つのボール補給ユニットから複数のヘッドに導電性ボールを分配する機構を省くことができ、分配する機構に関するいくつかの問題の発生、たとえば、分配精度、各ヘッドへの連通路と移動手段との干渉などを避けることができる。
また、この方法において使用される上記装置のボール保持手段では、複数のヘッドは、それぞれ、ベース部材と、複数本の線状部材の両端部を結束してなる複数の結束線状部材とを備え、複数の結束線状部材は、それぞれ、捩じった状態でベース部材に固定されていることが好ましい。そして、保持させる工程では、複数のヘッドのそれぞれのベース部材を複数の結束線状部材がマスクに接触した状態で回転することにより動区域を形成することが望ましい。各ヘッドが回転しながら各ヘッドの中心へ導電性ボールを集めて動区域を形成する回転型のヘッドにおいて、複数の結束線状部材を、それぞれ、捩じった状態でベース部材に固定することにより、線状部材の間に導電性ボールを入り込み難くすることができる。また、導電性ボールが結束線状部材を乗り越えてヘッド外に逸散し難くすることができる。このため、それぞれの動区域の導電性ボールの量(数、密度)の集中度(集積度)を向上できるとともに、逸散も抑制できる。したがって、充填効率を向上でき、充填ミスを低減できるので、動区域の軌跡を重複させる要求をなくすことができる。
上記にて開示した方法の他の態様は、導電性ボールを基板に配置するための複数の開口を備えたマスクと基板とを位置合わせした状態で、複数の開口に導電性ボールを充填するための装置を、制御ユニットにより制御する方法である。この方法で用いられる上記装置は、マスクの表面の一部分に導電性ボールの集団が保持される動区域をそれぞれ形成するための複数のヘッドを備えたボール保持手段と、ボール保持手段を往復移動させる移動手段とを有する。マスクの複数の開口は、マトリックス状に分散して設けられた複数の開口グループを含む。当該制御方法は、以下の工程を含む。
(b1)ボール保持手段によって導電性ボールの複数の集団をマスクの表面の複数の動区域にそれぞれ保持させた状態で、移動手段によって複数の動区域の相互の間隔を所定の値に保ち、ボール保持手段を往復移動させることにより、複数のヘッドを、往路および復路のそれぞれにおいて、それぞれの動区域の中心が、往復移動の方向に一連に並べられたいくつかの開口グループを含む開口グループ列であって、動区域のいずれもが未通過の第1の開口グループ列、および第1の開口グループ列に隣接し、動区域のいずれもが未通過の第2の開口グループ列を通過するように移動させること(移動させる工程)。
この制御方法によれば、複数の動区域に導電性ボールを集中して保持させた状態で、マスク表面のうち、往路および復路のそれぞれにおいて未通過の第1の開口グループ列および第2の開口グループ列を選択して通過するように各ヘッドを移動させる。したがって、さらに導電性ボールを搭載(配列)するために要する時間(タクトタイム)を短縮することができる。
この制御方法において使用される上記装置のボール保持手段は、少なくとも3つのヘッドを備えていることが好ましい、ボール保持手段の往復数を少なくすることができるため、タクトタイムの短縮に効果がある。
また、この制御方法において使用される上記装置のボール保持手段は、さらに、複数のヘッドのそれぞれと対応するように設けられ、複数のヘッドを介して複数の動区域のそれぞれに対し導電性ボールを補給するための複数のボール補給ユニットを備えていることが好ましい。この場合、当該制御方法は、さらに、以下の工程を含むことが好ましい。
(b2)導電性ボールを動区域に保持しながら移動させる工程中に、複数のボール補給ユニットによって、それぞれの複数の動区域の内部に十分な量(数)の導電性ボールが保持されるように、導電性ボールを補給すること。
さらに、この制御方法において使用される上記装置のボール保持手段では、複数のヘッドは、それぞれ、ベース部材と、複数本の線状部材の両端部を結束してなる複数の結束線状部材とを備え、複数の結束線状部材は、それぞれ、捩じった状態でベース部材に固定されていることが好ましい。この場合、当該制御方法は、さらに、以下の工程を含むことが好ましい。
(b3)導電性ボールを動区域に保持しながら移動させる工程中に、複数のヘッドのそれぞれのベース部材を複数の結束線状部材がマスクに接触した状態で回転することにより動区域を形成すること。
上記にて開示した装置の1つは、導電性ボールを基板に配置するための複数の開口を備えたマスクと基板とを位置合わせした状態で、複数の開口に導電性ボールを充填するための装置である。この装置は、マスクの表面の一部分に導電性ボールの集団が保持される動区域をそれぞれ形成するための複数のヘッドを備えたボール保持手段と、複数の動区域の相互の間隔を所定の値に保った状態でボール保持手段を往復移動させる移動手段と、移動手段を制御可能な制御ユニットとを有する。マスクの複数の開口は、マトリックス状に分散して設けられた複数の開口グループを含む。制御ユニットは、ボール保持手段によって導電性ボールの複数の集団をマスクの表面の複数の動区域にそれぞれ保持させた状態で、移動手段によってボール保持手段を往復移動させることにより、複数のヘッドを、往路および復路のそれぞれにおいて、それぞれの動区域が、往復移動の方向に一連に並べられたいくつかの開口グループを含む開口グループ列であって、動区域のいずれもが未通過の第1の開口グループ列、および第1の開口グループ列に隣接し、動区域のいずれもが未通過の第2の開口グループ列を通過するように移動させる機能を含む。
この装置によれば、動区域に導電性ボールを集中させて、典型的には、動区域は重複しない、あるいは、ほとんど重複しないように、マスクの表面の選択された範囲を往復動しながら導電性ボールを充填する。したがって、従来よりもさらに導電性ボールを搭載(配列)するために要する時間(タクトタイム)を短縮することができる。
この装置において、ボール保持手段は、少なくとも3つのヘッドを備えていることが好ましい。ボール保持手段の往復数を少なくすることができるため、タクトタイムを短縮することができる。
また、この装置において、ボール保持手段は、さらに、複数のヘッドのそれぞれに対応して設けられ、複数のヘッドを介して複数の動区域のそれぞれに対し導電性ボールを補給するための複数のボール補給ユニットを備えていることが好ましい。制御ユニットは、さらに、複数のボール補給ユニットによって、それぞれの複数の動区域の内部に十分な量(数)の導電性ボールが保持されるように、導電性ボールを補給する機能を含むことが好ましい。
この装置によれば、複数のヘッドを介して複数の動区域のそれぞれに対し導電性ボールを補給することができるため、各動区域内の導電性ボールの量(数、密度)を常に適当に集中した状態に保つことができる。
さらに、この装置において、複数のヘッドは、それぞれ、ベース部材と、複数本の線状部材の両端部を結束してなる複数の結束線状部材であって、それぞれ、捩じった状態でベース部材に固定されている複数の結束線状部材と、複数のヘッドを回転する機構とを備えていることが望ましい。制御ユニットは、さらに、複数のヘッドのそれぞれのベース部材を複数の結束線状部材がマスクに接触した状態で回転することにより動区域を形成する機能を含むことが望ましい。回転型のヘッドにおいて、導電性ボールの集中度を高められるので充填効率を向上でき、タクトタイムを短縮できる。