[参考例]
以下、図面を参照して本参考例を詳細に説明する。図1は、本参考例に係る操作システム10の機能構成を模式的に示した図である。以下、操作システム10を、車両に設けられた操作システムとして説明するが、本発明は車両に設けられた操作システム10に限定されるものではなく、様々な操作システムに適用され得る。図1に示すように、本参考例に係る操作システム10は、操作支援装置12及び操作装置14を備えている。なお、車両の運転者は、操作装置14を操作する操作者でもあるため、以下では、車両の運転者を操作者と呼称する。
操作装置14は、タッチパネル・ディスプレイ30、スイッチ36、及び発光部38を備えている。なお、本参考例では、タッチパネル・ディスプレイ30及びスイッチ36の各々が操作装置14に設けられている例について説明するが、いずれか一方だけ設けられていてもよい。また、スイッチ36は複数設けられていてもよい。
スイッチ36は、車両に設けられた各種機器類(例えば、空調システム、オーディオシステム、カーナビゲーションシステム等の機器類)を動作させるための操作要素として操作装置14に設けられている。スイッチ36には、押圧されることにより、電気信号が発生する機構が設けられている。タッチパネル・ディスプレイ30は、ディスプレイ32にタッチパネルセンサ34が重ねられて構成されている。タッチパネル・ディスプレイ30に機器を動作させるためのアイコンの画像が表示されている場合には、該アイコンも操作要素として扱われる。
スイッチ36及びタッチパネル・ディスプレイ30は、図3に示すように、操作装置14が有するパネル39(図1では不図示)の開口部に嵌め込まれており、操作者の座席側から、操作者がスイッチ36及びタッチパネル・ディスプレイ30のタッチパネルセンサ34を操作することが可能となっている。
操作者である車両の操作者は、操作装置14が有するスイッチ36を操作することにより、車両に設けられた各種機器類を動作させる。また、タッチパネル・ディスプレイ30のディスプレイ32に操作要素としてのアイコンの画像が表示されている場合には、操作者は、タッチパネルセンサ34の該アイコンの画像の表示位置に対応する部分を指先等で接触操作することにより、車両に設けられた各種機器類を動作させる。このように、操作要素の各々には、予め定められた機器及び該機器の予め定められた機能が対応付けられており、操作要素を操作することで、対応付けられた機器の対応付けられた機能が実行される。なお、操作装置14は車両に対して着脱可能であってもよい。本参考例では、操作装置14が配置された領域を操作領域と呼称する。
発光部38は、発光ダイオードなどの複数の発光素子により構成されているものとする。本参考例では、発光部38は、操作装置14のパネル39の裏面にバックライトとして設けられており、発光部38が発光すると、パネル39の開口部と該開口部に嵌め込まれたスイッチ36やタッチパネル・ディスプレイ30との間隙(外周縁)から、発光部38の発光光が透過して、運転席に着座した操作者から該透過した光を視認可能となっている(図3においては図示省略。)。これによりスイッチ36及びタッチパネル・ディスプレイ30の輪郭部分が照明される。なお、発光部38の各々の配置位置は、これに限定されず、例えば、スイッチ36及びタッチパネル・ディスプレイ30の各々の近傍であって、操作装置14のパネル39の表面に配置されていてもよい。
なお、ディスプレイ32及び発光部38の各々は、視覚的な効果を有する構成要素であり、タッチパネルセンサ34及びスイッチ36の各々は、操作者の操作を受け付ける構成要素であるといえる。従って、以下では、ディスプレイ32及び発光部38の各々を総称して表示部16と称し、タッチパネルセンサ34及びスイッチ36の各々を総称して操作受付部18と称する。
操作支援装置12は、撮影部20、及び制御部28を備えている。
撮影部20は、運転席に座った操作者の撮影を行なうカメラである。撮影部20は、少なくとも操作者の眼を含む領域を撮影する。撮影部20により撮影された撮影画像の画像データは、制御部28で用いられる。
制御部28は、視線分析部22及び表示制御部24を備えている。視線分析部22は、撮影部20で撮影されて得られた画像データに基づいて、操作者の視線分析を行なう。表示制御部24は、視線分析部22の分析結果に基づいて、表示部16の表示を制御する。本参考例では、表示制御部24は、表示部16に含まれる発光部38への電流量等を制御して、該発光部38の発光を制御するものとする。
なお、本参考例においては、制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えたコンピュータにより構成されているものとする。例えば、ROMを、制御部28の視線分析部22及び表示制御部24の各機能を実行するためのプログラムを記憶した記憶媒体とし、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして用いて実行することにより制御部28の各機能を実現するようにしてもよい。プログラムを記憶する記憶媒体は、ROMに限定されるものではなく、例えば、HDD(ハードディスク装置)や、CD−ROM、フラッシュメモリ等の記録媒体であってもよい。なお、制御部28は、視線分析部22及び表示制御部24の各々の機能を有する電子回路等のハードウェアにより構築されていてもよい。
以下、図2を参照して、本参考例の操作支援処理の一例について説明する。操作支援装置12が起動すると、この操作支援処理の処理ルーチンが開始されると共に、撮影部20による操作者の撮影も開始される。撮影部20は、操作支援装置12の起動中は、連続的に操作者の撮影を行なう。
ステップS100において、表示制御部24は、操作支援装置12の起動直後から予め定められた時間が経過するまでは、通常表示が行なわれるように表示部16を制御する。通常表示とは、図4(A)に示すように、表示部16の発光部38が発光してない状態、或いは発光部38の光量が予め定められた値以下で発光している状態をいう。
ステップS102において、視線分析部22は、撮影部20により撮影して得られた撮影画像の画像データを取得して、予め定められた記憶手段(例えば上記RAM等)に記憶する。
ステップS104において、視線分析部22は、操作支援装置12が起動してから開始された撮影時間が所定時間を超えたか否かを判断する。視線分析部22は、ステップS104において、撮影時間が所定時間を超えていないと判断した場合には、ステップS102に戻る。視線分析部22は、ステップS104において、撮影時間が所定時間を超えたと判断した場合には、ステップS106に進む。すなわち、ここでは、スタートからの所定時間が経過し、視線分析を行なうのに十分な期間の撮影画像が取得された後に、該撮影画像の画像データの各々を用いて視線分析を行なうようにしている。
ステップS106において、視線分析部22は、現在時刻から予め定められた時間遡った時刻までの期間(以下、分析期間という)に撮影され記憶された画像データに基づいて視線分析を行なう。具体的には、視線分析部22は、まず、画像データが表わす撮影画像から、操作者の視線方向の検出を行なう。
視線方向の検出は、周知の技術を用いて行なう。例えば、seeingmachine社(http://www.seeingmachines.com/index.htm)のfacelabを用いてもよい。その場合には、撮影部20の設置位置を基準とした眼の座標及び視線ベクトルを計測することができる。車両内における撮影部20の設置座標を予め決めておくことで、車両を基準とした操作者の眼の座標位置が計算でき、また、眼の座標位置から視線方向ベクトルを得ることができる。視線方向の検出は、分析期間中に撮影された撮影画像の画像データの各々について行なう。
次に、視線分析部22は、分析期間中の操作領域への視線滞在率を算出する。ここでは、視線方向が操作領域の方向を向いている時間の、単位時間あたりの割合を示す視線滞在率を算出する。より具体的には、分析期間に対し視線方向が操作領域の方向を向いている時間の割合を視線滞在率として算出する。更に、視線分析部22は、分析期間における操作者の単位時間あたりの視線の移動距離(以下、視線速度という)を算出する。
ステップS108において、視線分析部22は、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えるか否かを判断する。算出された視線滞在率と比較される所定値は、予め、閾値として設定しておく。視線分析部22は、ステップS108において、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えると判断した場合には、ステップS110において、視線速度が所定速度を超えるか否かを判断する。算出された視線速度と比較される所定速度の値は、予め、閾値として設定しておく。
視線分析部22は、ステップS110において、視線速度が所定速度を超えると判断した場合には、視線分析結果が操作者は操作装置14の操作に困難を感じていることを示しているため、操作者の操作受付部18に対する操作を支援することが必要であると判断する。そこで、ステップS112において、表示制御部24は、操作者の操作装置14の操作受付部18に対する操作を支援するための支援表示として、強調表示が行なわれるように表示部16を制御する。本参考例において、強調表示とは、図4(B)に示すように、操作装置14の操作要素の各々、或いは複数の操作要素のまとまり(操作要素群)が強調されるように、表示部16の発光部38が予め定められた値を超える光量(輝度といってもよい)で発光している状態をいう。強調表示により、スイッチ36やタッチパネル・ディスプレイ30の輪郭の輝度がアップして、操作者が操作装置14を操作することが容易になる。
なお、ステップS112において、既に強調表示が行なわれていた場合には、表示制御部24は、強調表示が継続されるように表示部16を制御する。
一方、視線分析部22は、ステップS108において、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えないと判断した場合、及びステップS110において、視線速度が所定速度を超えないと判断した場合には、視線分析結果が操作者は操作装置14の操作に困難を感じている状態にはないことを示しているため、ステップS114において、表示制御部24は、通常表示が行なわれるように表示部16を制御する。
なお、ステップS114において、既に通常表示が行なわれていた場合には、表示制御部24は、通常表示が継続されるように表示部16を制御する。
本参考例では、操作者が操作装置14を操作しようとしている意図(操作の意図)と、操作装置14の操作を迷っている迷いの状況とを検出することで、操作者が操作装置14の操作に困難を感じていることを検出するようにしている。
操作の意図は、操作者の視線滞在率から検出する。視線滞在率が所定値を超えている場合には、操作者は操作領域に視線を向けており、操作装置14に含まれる何らかの機能の操作要素を探索していると推定できる。なお、ここでは、視線滞在率を用いたが、視線方向が操作領域の方向を向いている時間(視線滞在時間)を用いてもよい。迷いの状況は、視線速度によって検出する。これは、操作者が、操作要素の探索作業を行なっている状況下では、視線速度が高くなるという経験的な法則に基づいている。本参考例では、操作の意図及び迷いの状況の両条件がそろったときに、通常表示を強調表示(支援表示)に切替える。これにより、操作者の操作負担を軽減する。
なお、操作者による操作装置14の探索時間が長くなると、周辺への注意不足につながり、車両などにおいては、周辺への注意不足につながることもある。逆に、表示部16の発光部38を常時点灯するなど、常に操作装置14の操作要素が目立つように表示制御すると、操作装置14の操作要素の探索時間は短くなるが、発光に操作者が誘目されてしまい、この場合も周辺への注意不足につながることがある。本参考例では、操作者が一時的に支援表示を必要としているときにだけ、通常表示から強調表示へ変更するようにしたため、操作装置14における探索時間を短縮する効果がある。
なお、ここでは、操作システム10が車両に設けられた操作システムである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、製造工場などに設けられた操作システムであってもよい。具体的には、製造管理者が製造工場において、操作装置14の操作受付部18を操作して製造機器の動作を制御するようなケースが考えられる。この場合であっても、上記のように操作者の視線分析を行なって必要なときに支援表示を行なうことで、上記と同様の効果が得られる。
また、上記参考例では、支援表示として、操作装置14のパネル39のバックライト(表示部16の発光部38)を所定光量より大きな光量で発光させる強調表示を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、発光部38を点滅させるようにしてもよい。また、表示部16の発光部38を、操作装置14のパネル39表面且つ各操作要素或いは操作要素群の輪郭付近等に配置し、発光部38を点灯或いは点滅させるようにしてもよい。
また、タッチパネル・ディスプレイ30に操作要素として複数のアイコンが表示されている場合において支援表示を行なう際には、タッチパネル・ディスプレイ30のディスプレイ32のコントラストを挙げて、各アイコンが強調表示されるように表示部16を制御してもよい。或いは、アイコン或いはアイコン群の輪郭が強調されるように、該輪郭部分の色を変更したり点滅させたりしてもよい。或いはアイコン自身の色を目立つ色に変更してもよい。なお、この場合において、通常表示とは、アイコンが強調表示されていない状態、すなわち、タッチパネル・ディスプレイ30のディスプレイ32のコントラストの値が基準値となるように表示制御されている状態、アイコンやアイコンの輪郭部分の色が通常の色(元々の色)となるように表示制御されている状態、及びアイコンの輪郭部分が点滅等しないように表示制御されている状態とすることができる。
また、上記では、操作者の視線に基づいて、操作者の操作受付部18に対する操作を支援することが必要か否かを判断する例について説明したが、これに限定されない。例えば、操作者の挙動或いは発話に基づいて、該支援が必要か否かを判断するようにしてもよい。具体的には、操作支援装置12に音声認識機能を設け、操作者が操作に困難を感じている旨の発話を行ったことが認識された場合に、上記支援が必要であると判断するようにしてもよい。また、支援を要する際に押下すべきボタンを設け、操作者が該ボタンを押下したという挙動が検出された場合に、上記支援が必要であると判断するようにしてもよい。該ボタンは、操作装置14の各操作要素とは明確に区別可能にデザインされ、操作装置14の各操作要素の配列位置と全く異なる位置に配置することができる。
また、操作者の挙動に基づいて上記支援が必要か否かを判断する他の例として、例えば、撮影部20の撮影画像から、操作者の指先の指示方向及び動きを分析し、上記支援が必要であるか否かを判断するようにしてもよい。具体的には、分析期間において操作者の指先が操作領域の方向を向いている時間の割合(或いは、指先が操作領域の方向を向いている時間)が所定値を超え、指先が移動する移動速度が予め定められた速度より速い場合に、上記支援が必要であると判断するようにしてもよい。
[第1実施形態]
第1実施形態では、操作システム10の操作装置14の各操作要素を複数のグループに区分けし、操作者の視線分析から、操作装置14に対する操作者の探索状況が、グループ間の探索か、グループ内の探索かを判断し、状況に応じた支援表示を行なう例について説明する。
第1実施形態の操作システム10は、予め操作装置14の各操作要素が複数のグループに分かれていること以外は、参考例の操作システム10と同様の構成であるため、ここでは、説明を省略する。
図5に、第1実施形態に係る操作装置14のスイッチ36の配置例を示す。図5に示されるように、複数のスイッチ36は、2つのグループに区分けされている。グループ分けは、例えば、操作対象となる機器が同じ複数のスイッチ36を同じグループとしてもよいし、操作対象となる機器の種類や機能が同じ又は類似する複数のスイッチ36を同じグループとしてもよい。以下、このグループを機能的グループと呼称する。なお、操作者や操作装置14の管理者等が、複数のスイッチ36の機能的グループのグループ分けを予め設定することができるように構成されていてもよい。
図5に示す操作装置14においては、上段のグループG1は、例えばCDプレイヤーを動作させるためのスイッチ36、ラジオ受信器を動作させるためのスイッチ36、音量を調整するスイッチ36等、オーディオシステム機器の動作させるための複数のスイッチ36の各々が属する機能的グループである。また、下段のグループG2は、例えばエアコンを動作させるためのスイッチ36、風量を調節するためのスイッチ36、風向を調節するためのスイッチ36等、空調システム機器の動作させるための複数のスイッチ36の各々が属する機能的グループである。
なお、本実施形態において、表示部16の発光部38は、参考例で説明した複数のスイッチ36の輪郭を照明するバックライトとしての発光部の他に、グループG1とグループG2との境界線を照明するための長尺状の発光部を備えている(図5では38aという符号を付した)。この該長尺状の発光部38aは、パネル39のグループG1のスイッチ36群とグループG2のスイッチ36群との境界領域に配置されている。
図6を参照して、第1実施形態に係る操作支援処理の一例について説明する。参考例と同様に、操作支援装置12が起動すると、この操作支援処理の処理ルーチンが開始されると共に、撮影部20による操作者の撮影も開始される。撮影部20は、操作支援装置12の起動中は、連続的に操作者の撮影を行なう。
ステップS200において、表示制御部24は、操作支援装置12の起動直後から予め定められた時間が経過するまでは、通常表示が行なわれるように表示部16を制御する。 ステップS202において、視線分析部22は、撮影部20により撮影して得られた撮影画像の画像データを取得して、予め定められた記憶手段(例えば上記RAM等)に記憶する。
ステップS204において、視線分析部22は、操作支援装置12が起動してから開始された撮影時間が所定時間を超えたか否かを判断する。視線分析部22は、ステップS204において、撮影時間が所定時間を超えていないと判断した場合には、ステップS202に戻る。視線分析部22は、ステップS204において、撮影時間が所定時間を超えたと判断した場合には、ステップS206に進む。
ステップS206において、視線分析部22は、現在時刻から予め定められた時間遡った時刻までの期間(分析期間)に撮影され記憶された画像データに基づいて視線分析を行なう。第1実施形態においては、視線分析部22は、視線分析として、操作者の視線方向の検出、視線滞在率の算出、及び視線速度の算出に加え、操作者の視線方向の軌跡(以下、視線軌跡という)の検出も行なう。
ステップS208において、視線分析部22は、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えるか否かを判断する。視線分析部22は、ステップS208において、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えると判断した場合には、ステップS210において、視線速度が所定速度を超えるか否かを判断する。
視線分析部22は、ステップS210において、視線速度が所定速度を超えると判断した場合には、ステップS212に進み、上記検出した視線軌跡に基づいて、操作者の視線が複数のグループ間を移動している(換言すれば、あるグループの一部を見ては別のグループを見るという行動(グループ間探索)を行なっている)か、操作者の視線が複数のグループのうち1つのグループ内を移動している(換言すれば、あるグループ内の操作要素を、順を追って探索するという行動(グループ内探索)を行なっている)か、を判断する。例えば、視線分析部22は、視線軌跡が複数のグループを区切る境界線を交差していれば、グループ間探索を行なっていると判断し、視線軌跡が境界線を交差せずに、ほとんど1つのグループ内を視線が移動している場合には、グループ内探索を行なっていると判断してもよい。
ステップS212において、視線分析部22が、操作者がグループ内探索をしていると判断した場合には、ステップS214において、表示制御部24は、操作者が視線を向けている領域の機能的グループに属する操作要素(ここではスイッチ36)の各々が強調表示されるように表示部16を制御する。例えば、図5において、機能的グループG1のスイッチ36を強調表示する場合には、発光部38のうち、機能的グループG1に対応する位置に配置されたバックライトとしての発光素子のみが点灯(例えば、予め定められた値を超える光量で発光させる)し、機能的グループG2に対応する位置に配置されたバックライトとしての発光素子、及び機能的グループの境界領域に配置された発光部38aの発光素子は点灯しないように表示部16を制御する。この強調表示により、操作者が探索しているグループのスイッチ36の輪郭の輝度がアップして、スイッチ36の各々を区別することが容易になる。
また、ステップS212において、視線分析部22が、操作者がグループ間探索をしていると判断した場合には、ステップS216において、表示制御部24は、操作装置14において、機能的グループの区分けが強調表示されるように表示部16を制御する。例えば、図5に示す操作装置14においては、機能的グループの境界領域に配置された長尺状の発光部38aが点灯(例えば、予め定められた値を超える光量で発光させる)するように表示部16を制御する。この強調表示により、機能的グループの境界を把握することが容易となる。操作者が、例えばどこからどこまでが同じ機能的グループなのかがわからない状態でスイッチ36を探索している状態において、グループ間探索のための支援表示を行なうことで、余計な機能的グループのスイッチ36まで探索を行なわずに済むため、操作者の負荷が軽減する。
一方、視線分析部22は、ステップS208において、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えないと判断した場合、及びステップS210において、視線速度が所定速度を超えないと判断した場合には、視線分析結果が操作者は操作装置14の操作に困難を感じている状態にはないことを示しているため、ステップS218において、表示制御部24は、通常表示が行なわれるように表示部16を制御する。
上記のように、グループ間探索とグループ内探索とで支援表示方法を異ならせ、それぞれの探索に応じた支援表示することにより、操作者の探索負荷を軽減することができる。
なお、ここでは、同じ機能的グループに属する複数のスイッチ36がまとまって配置されている例を挙げて説明したが、同じ機能的グループに属する複数のスイッチ36が、離れた位置に分散して配置されている場合であっても、グループ間探索を支援するための支援表示を行なうことが可能である。例えば、上記区切等になる発光部38aを用いずに、各機能的グループに対応するバックライトとしての発光部38の発光色或いは点滅状態を機能的グループ毎に異ならせる等により、グループ間探索の支援表示を行なうようにしてもよい。
なお、ここでは、図示を省略したが、操作装置14に含まれるタッチパネル・ディスプレイ30に、同じ機能的グループに所属する複数のアイコンが操作要素として表示されている場合において、グループ内探索の支援表示を行なう際には、例えば、タッチパネル・ディスプレイ30のディスプレイ32のコントラストを上げて、各アイコンが強調表示されるように表示部16を制御してもよい。また、タッチパネル・ディスプレイ30に、所属する機能的グループが異なるアイコン群が複数表示されている場合もある。この場合において、グループ間探索を支援するための支援表示を行なう際には、該機能的グループの境界領域に区切りを表わす画像をディスプレイ32に表示したり、機能的グループ毎にアイコンの色を変更したり、或いは点滅させたりする等、機能的グループ毎にアイコンの表示形態を変更することで、グループ間探索の支援表示を行なうことができる。
また、第1実施形態では、視線の分析結果に基づいて、グループ内探索及びグループ間探索の判断を行なう例について説明したが、これに限定されず、例えば、操作者の指先の移動軌跡に基づいて判断するようにしてもよい。この判断は、視線軌跡を用いる場合と同様に行なえばよいため、ここでは説明を省略する。また、操作者の発話に基づいて、グループ内探索及びグループ間探索の判断を行なってもよい。例えば、認識された操作者の音声の内容が、グループ内探索を指定する内容であるか、グループ間探索を指定する内容であるかに応じて判断することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態では、操作部の各操作要素のグループを視線の誘導場理論を用いて特定し、支援表示に反映させる例について説明する。図7は、第2実施形態の操作システム40の機能構成を模式的に示した図である。以下、操作システム40を、車両に設けられた操作システムとして説明するが、本発明は車両に設けられた操作システム40に限定されるものではなく、様々な操作システムに適用され得る。図7に示すように、本実施形態に係る操作システム40は、操作支援装置50及び操作装置14を備えている。操作装置14は参考例及び第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
操作支援装置50は、撮影部20及び制御部29を備えている。
制御部29は、視線分析部22、表示制御部24、及び心理的グループ特定部26を備えている。制御部29は、参考例の制御部28と同様、CPU、RAM、ROMを備えたコンピュータにより実現される。視線分析部22及び表示制御部24については第1実施形態とほぼ同様に作用するため説明を省略し、ここでは主として心理的グループ特定部26について説明する。
心理的グループ特定部26は、操作装置14の操作要素の心理的グループの特定を行なう。ここでは、操作者が感じるグループを「心理的グループ」といい、前述した機能的グループと区別して説明する。
心理的グループ特定部26は、周知の「視覚の誘導場」理論を応用して心理的グループを特定する。ここで、視覚の誘導場理論の基本的な概念を簡単に説明する。視覚の誘導場とは、図形等の周りに電場のような場を仮定して、視知覚現象を説明する心理的概念である。人が図形等を見たときには、該図形そのものの線だけでなく、線と線とのスキマや図形の周辺、図形同士の配置等も感じとって認識していると考えられる。図形等の周囲に等高線で示された視覚的影響のポテンシャル場(誘導場)が分布し、図形から離れるほど場の強さが弱まる。
図8を参照して、より具体的に説明する。例えば、"長石道博(1996),視覚の誘導場モデルを用いたパターン認識時の心理実験結果の検証,「テレビジョン学会論文誌」,50(12),1965-1973"によれば、デジタル画像に含まれるパターンの外郭を構成する画素を正電荷1の点電荷と仮定し、それらがつくるクーロンポテンシャルの集積から、デジタル画像における誘導場の分布を計算することが記載されている。
図8(A)に示すように、n個の点列から構成される曲線f(s)によって点Pに視覚の誘導場が形成されるとする。点Pから曲線f(s)上の点iまでの距離をriとおくと、点Pにおける誘導場の強さMpは以下のように定義される。
図8(B)に示すように、曲線が複数ある場合には、点Pにおける誘導場の強さは個々の曲線が点Pにつくる誘導場の和になる。このとき、誘導場は図形の外郭のみ寄与する("横瀬善正(1986),「形の心理学」,名古屋大学出版会"参照)ため、上式は点Pから見える部分のみ和をとるという制約がつく。例えば、図8(B)において、曲線f3(s)と曲線f2(s)の一部は、曲線f1(s)に遮られて点Pから見えないので、和はとらない。
図9に、単純な誘導場計算結果の具体例を示す。図9(A)に示す白い矩形部分をスイッチ36として視覚の誘導場を計算すると図9(B)に示すような計算結果が得られる。図9(B)に示される数字は、誘導場の強さ(高さ)を示す数字であり、誘導場の高さが同じ点の集まりが等高線で示されている。また、スイッチ36に近いほど誘導場の値は高くなっている。
「視覚の誘導場」は、スイッチ36などの要素の心理的グループを明らかにするのに適している。本実施形態では、操作装置14の撮影画像に含まれる操作要素の構成画素から、距離と遮蔽とを考慮して誘導場を算出し、心理的グループを特定する。このように、視覚の誘導場という心理的概念を用いて操作者が感じるグループを特定するため、本実施形態では、操作者が感じるグループを前述した機能的グループと区別して「心理的グループ」と呼称している。
第2実施形態において、視線分析部22は、機能的グループの位置ではなく、心理的グループ特定部26により特定された心理的グループの位置に基づいてグループ内探索かグループ間探索かを判断する。従って、第2実施形態では、グループ内探索を「心理的グループ内探索」と呼称し、グループ間探索を「心理的グループ間探索」と呼称して、各々区別して説明する。
図10を参照して、第2実施形態に係る操作支援処理の一例について説明する。操作支援装置50が起動すると、この操作支援処理の処理ルーチンが開始されると共に、撮影部20による操作者の撮影も開始される。撮影部20は、操作支援装置50の起動中は、連続的に操作者の撮影を行なう。
ステップS300において、表示制御部24は、操作支援装置50の起動直後から予め定められた時間が経過するまでは、参考例及び第1実施形態と同様に通常表示が行なわれるように表示部16を制御する。
ステップS302において、視線分析部22は、撮影部20により撮影して得られた撮影画像の画像データを取得して、予め定められた記憶手段(例えば上記RAM等)に記憶する。
ステップS304において、視線分析部22は、操作支援装置50が起動してから開始された撮影時間が所定時間を超えたか否かを判断する。視線分析部22は、ステップS304において、撮影時間が所定時間を超えていないと判断した場合には、ステップS302に戻る。視線分析部22は、ステップS304において、撮影時間が所定時間を超えたと判断した場合には、ステップS306に進む。
ステップS306において、視線分析部22は、現在時刻から予め定められた時間遡った時刻までの期間(分析期間)に撮影され記憶された画像データに基づいて視線分析を行なう。視線分析部22は、視線分析として、操作者の視線方向の検出、視線滞在率の算出、視線速度の算出、及び操作者の視線軌跡の検出を行なう。
ステップS308において、視線分析部22は、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えるか否かを判断する。視線分析部22は、ステップS308において、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えると判断した場合には、ステップS310において、視線速度が所定速度を超えるか否かを判断する。
視線分析部22は、ステップS310において、視線速度が所定速度を超えると判断した場合には、ステップS314に進み、操作者が現在使用している操作装置14の情報を取得する。
ここで、「現在使用している」との表現を用いたのは、以下の理由による。操作装置14に設けられているスイッチ36は、メカ的且つ電気的な構造として設けられている操作要素であって、その内容や配置を操作者が自由に変更することは困難であるが、操作装置14のタッチパネル・ディスプレイ30に表示される操作要素としてのアイコンは、画面を表示するソフトウェアモジュールに応じて変更可能である。従って、例えば、タッチパネル・ディスプレイ30に表示されるアイコンの種類やアイコンの配置を操作者等が自由に変更できるような仕組みが車両に搭載されている場合には、操作支援装置50の起動前或いは起動中に、タッチパネル・ディスプレイ30に表示されるアイコンの内容やレイアウトが変更されることがある。従って、ここでは「現在使用している」との表現を用いている。
なお、現在使用している操作装置14の情報とは、現在使用している操作装置14の構成要素のレイアウトを識別する識別データと、該操作装置14の各操作要素の心理的グループのデータとを対応付けて記憶した情報である。なお、現在使用している操作装置14について、後述する心理的グループ特定処理が未実行である場合には、識別データに対して心理的グループのデータが記憶されていない場合もあり得る。
ステップS316において、視線分析部22は、上記取得した操作部の情報に、操作者が現在使用している操作装置14について、該当する心理的グループのデータがあるか否かを判断する。ステップS316において、否定判断された場合には、現在使用している操作装置14の心理的グループの特定が未実行の状態であるため、ステップS318において、心理的グループ特定部26は、心理的グループの特定処理を実行する。
図11(A)に、心理的グループの特定処理のフローチャートを示す。
ステップS400において、心理的グループ特定部26は、現在の操作装置14の操作要素の配置が示された画像(操作装置14の前方から事前に撮影された撮影画像であってもよいし、CAD等により事前に生成された設計画像であってもよい)を、操作装置14の操作要素の画像領域と、心理的グループを区分けする機能を有する仕切りの画像領域とに分割する。
また、仕切りの画像は、グループ(まとまり)の感覚が得られる操作要素群に対して、例えば、該まとまりを区切るような感覚が得られるもの、すなわち、段差の画像や加飾の画像などが挙げられる。
ここで、段差について説明する。操作装置14は、立体的な形状を有していることが多く、段差が存在する。例えば、操作装置14に複数のパネルが設けられた場合の各パネルの隣接部分の段差や、パネル39とその下層部品との段差等がある。従って、この段差は心理的グループを区切る仕切りを表わす対象として被験者(この場合は操作者)に認識される(図12も参照)。
次に、加飾について説明する。スイッチ36は、パネル39の色と異なる色を有していると、スイッチ36とパネル39との間で色差が大きくなるが、この色差が大きい部分(ここでは、加飾といっている)は、心理的グループを区切る仕切りを表わす対象として被験者(この場合は操作者)に認識される(図12も参照)。
なお、仕切りを示す画像は上記に限定されず、例えば、予め定められた距離だけスイッチ36同士が離れている場合に、該スイッチ36とスイッチ36との間にあるパネルの継ぎ目等も仕切りの効果があるため、これを仕切りの画像として扱ってもよい。また、タッチパネル・ディスプレイ30においては、例えば、ディスプレイ32に表示されている装飾のラインや、背景の色が異なる領域の境界線などが、アイコン同士を区分けする仕切りの画像として抽出できる。
ステップS402において、心理的グループ特定部26は、スイッチ36やアイコン等の操作要素についての視覚の誘導場(以下、操作要素の誘導場と呼称)を計算する。操作要素の誘導場は、操作要素の種類毎に計算してもよい。例えば、スイッチ36の誘導場とアイコンの誘導場とを個別に計算してもよい。
ステップS404において、心理的グループ特定部26は、仕切りについての視覚の誘導場(以下、仕切りの誘導場と呼称)を計算する。仕切りの誘導場も、仕切りの種類毎に計算してもよい。
なお、誘導場の計算は、操作装置14の画像を表わす画像データに基づいて上記例示した文献に記載の方法を用いて行なえばよい。ただし、操作要素の誘導場については、上記方法を用いて正の視覚の誘導場として計算し、仕切りの誘導場については、上記方法を用いて得られた誘導場にマイナスの符号を付して負の視覚の誘導場として計算するものとする。しかしながら、計算された仕切りの誘導場を、後で負の視覚の誘導場として扱うことがわかるように識別できれば、ここでマイナスの符号を付さずともよい。また、ステップS402及びステップS404はどちらを先に行なってもかまわないし、並列に行なうようにしてもよい。
図12に、操作装置14の画像の一例を示す。図12に示した例では、操作装置14のパネル39対して、複数のスイッチ36が配列されている。ここでは、タッチパネル・ディスプレイ30を省略した。上記ステップS402において計算される操作要素の誘導場は、スイッチ36が配置された領域に近くなるに従って場の強さが強まる誘導場となる。図11(B)は、計算された操作要素の誘導場を表わした立体モデルの、図12で示した視点方向から見た断面線部分における断面図である。また、図11(C)は、計算された仕切りの誘導場を表わした立体モデルの、図12で示した視点方向から見た断面線部分における断面図である。ここでは、加飾の誘導場と段差の誘導場とを分けて示した。仕切りの誘導場は、凸の方向が操作要素の誘導場とは逆になっている。
ところで、ステップS400〜S404で用いられる操作装置14の画像を表わす画像データは、タッチパネル・ディスプレイ30の画像を表わす画像データを除き、車両に予め搭載された記憶部に記憶しておくことができる。タッチパネル・ディスプレイ30に表示画像については、現在タッチパネル・ディスプレイ30の表示に使用されている画像データを用い、操作装置14のスイッチ36の画像を表わす固定的な画像データと合成し、該合成後の画像データを操作装置14の画像を表わす画像データとして用いて、ステップS400〜S404を実行してもよいし、合成せずに個々にステップS400〜S404を実行してもよい。
心理的グループ特定部26は、各誘導場を計算した後は、ステップS406において、各誘導場を合算して、総計(総計の誘導場)を算出する。図13は、誘導場の合算処理を模式的に示す図である。ここでは、図13に示すように、操作要素の誘導場の値に、予め定められた係数αを乗算した加飾の誘導場、及び予め定められた係数βを乗算した段差の誘導場の値の各々を加算して、総計を求める。なお、この加算では、互いに対応する位置の値を加算するものとする。負の誘導場の値に乗ずる係数は、仕切りとしての機能が高いものほど大きな数値となるように予め定められている。
また、ステップS404において仕切りの誘導場の値が負の値となるように計算しなかった場合(すなわち、マイナスの符号を付さなかった場合)であっても、ステップS406において仕切りの誘導場を負の視覚の誘導場として取り扱う。すなわち、ステップS406において、操作要素の誘導場に対して仕切りの誘導場を加算処理するのではなく減算処理すればよい。或いは、係数α及びβをマイナスの値にすればよい。更にまた、ここでは、ステップS404で計算した仕切りの誘導場の値に、何らかの係数を乗算してから合算する例について説明したが、係数を乗算しなくてもよい。
更にまた、合算する際に、操作要素の誘導場にも予め定められた係数を乗算してもよい。この場合、操作要素の種類毎に係数を変更してもよい。
このように、正の視覚の誘導場と負の視覚の誘導場とを合算することで、図11(D)、及び図13に示すように、「総計の誘導場」が算出される。
次に、ステップS407において、閾値(初期値)を設定する。ステップS408において、心理的グループ特定部26は、閾値に対応する心理的グループ数をカウントする。図14に、視覚の誘導場の閾値と心理的グループ数との関係の一例を示す。後述する処理においては、総計の誘導場における最小値から最大値までの範囲(図14に示す例では、-0.2〜0.3)から閾値を定め、該閾値に相当する等高線をグループの境界線として用いて複数の操作要素の各々が属する心理的グループを特定する。従って、ここでは、閾値をどの値に設定するかを決定するために、予め定められた刻み間隔で閾値の値を変更して、境界線により区切られた領域の各々(誘導場の値が閾値を超える領域の各々)の数を該閾値により抽出される心理的グループの数としてカウントするようにしている。図14には、閾値を0.02間隔で変更してカウントした結果が示されている。
ステップS410において、心理的グループ特定部26は、カウントした心理的グループ数は所定範囲内であるか否かを判断し、該カウントした心理的グループ数が所定範囲内であると判断した場合には、ステップ411に進み、閾値を1単位増加させて、ステップ408に戻り、該増加させた閾値に対応するグループ数を上記と同様にカウントする。閾値を大きくすると、閾値が小さい場合よりもカウントされるグループ数が多くなる(図14も参照)。心理的グループ特定部26は、ステップS410において、心理的グループ数が所定範囲外であると判断した場合には、ステップS412において、上記カウントされた閾値毎のグループ数の各々を予め定められた記憶手段(例えば、前述したRAM等)に記憶する。なお、ここで、心理的グループ数のカウント値が所定範囲外となった閾値のグループ数は記憶しなくてもよい。
なお、所定範囲は、経験的に予測される心理的グループの数の範囲であり、設計者或いは操作者によって設定することができる。例えば、所定範囲が2〜10と設定された場合、11〜操作要素総数までのカウント処理が省略できる効果がある。なお、ここで、グループ数の下限(例えば2)を設けたのは、例えば、グループ数が1個では、グループ分けがなされていない状態に等しいためである。また、グループ数の上限(例えば10)を設けたのは、グループの数があまりに多いと、操作要素単位でカウントされている可能性が高いためである。
ステップS414において、心理的グループ特定部26は、上記記憶した閾値毎のグループ数に基づいて、グループ数が変動しない閾値幅のうち、最長閾値幅を特定する。ここでは、閾値を多少変化させてもグループ数が変化しない部分は、操作者が心理的にグループ(まとまり)を最も強く感じることができる部分であるとして、最長閾値幅を特定するようにしている。
ステップS416において、心理的グループ特定部26は、最長閾値幅の中央値を閾値とした場合の等高線(境界線)を、操作者の感じる心理的グループの境界線と特定する。
図14に、妥当なグループ数を2個以上と限定した上で、最も閾値幅の長い部分に対応するグループ数5の閾値を採用し、視覚化した例を示す。なおグラフ左上の領域に図示した操作装置14の模式図においては、グループの境界線を点線で示した。この点線で示す境界線で囲まれた領域に配置された各操作要素が、同じ心理的グループに属する操作要素として特定される。
得られた誘導場の操作要素を内包する等高線の数は、ある閾値におけるグループ数と一致する。従って、この数が一定である区間が最も長い誘導場帯域の中央値を閾値とすることで、一般的に被験者の感じやすい心理的グループの境界線を描くことができる。
図11を用いて説明した心理的グループ特定処理の後、心理的グループ特定部26は、図10のステップS320において、特定した心理的グループのデータを、現在の操作装置14の構成要素のレイアウトを識別する識別データに対応付けて予め定められた記憶手段に記憶する。
ステップS320の処理後、或いはステップS316において肯定判断された場合は、ステップS322において、視線分析部22は、上記記憶されている心理的グループのデータを呼び出す。これにより、現在使用中の操作装置14について、心理的グループの境界線が把握される。
ステップS324において、視線分析部22は、上記検出した視線軌跡に基づいて、操作者が心理的グループ間探索を行なっているか、心理的グループ内探索を行なっているか否かを判断する。具体的には、視線分析部22は、操作者の視線が複数の心理的グループ間を移動している(換言すれば、ある心理的グループの一部を見ては別の心理的グループを見るという行動(心理的グループ間探索)を行なっている)か、操作者の視線が複数の心理的グループのうち1つの心理的グループ内を移動している(換言すれば、ある心理的グループ内の操作要素を、順を追って探索するという行動(心理的グループ内探索)を行なっている)か、を判断する。例えば、視線分析部22は、視線軌跡が複数の心理的グループを区切る境界線を交差していれば、心理的グループ間探索を行なっていると判断し、視線軌跡が境界線を交差せずに、ほとんど1つの心理的グループ内を視線が移動している場合には、心理的グループ内探索を行なっていると判断してもよい。
ステップS324において、視線分析部22が、操作者が心理的グループ内探索をしていると判断した場合には、ステップS326において、表示制御部24は、操作者の視線が移動している心理的グループに対応する機能的グループに属するスイッチ36等の操作要素の各々が強調表示されるように表示部16を制御する。心理的グループに対応する機能的グループとは、例えば、心理的グループに含まれる操作要素の一部或いは全てを有する機能的グループ、或いは心理的グループ近傍に位置する機能的グループをいう。例えば、バックライトとしての発光部38を構成する発光素子を機能的グループ毎に分け、操作者の視線が移動している心理的グループに対応する機能的グループの発光素子のみを発光させるようにしてもよい。
また、ステップS324において、視線分析部22が、操作者が心理的グループ間探索をしていると判断した場合には、ステップS326において、表示制御部24は、機能的グループの区分が強調表示されるように表示部16を制御する。ここで、心理的グループは、支援表示の方法を判断するために特定して用いるグループであり、実際の支援表示は、機能的グループの区分けに従って行なうようにしている。
ところで、スイッチ36類については、タッチパネル・ディスプレイ30のアイコンと異なり、ほとんど変更がないため、心理的グループの区分けは変化しない可能性が高い。従って、例えば、スイッチ36については、心理的グループの特定処理を行なわず、タッチパネル・ディスプレイ30のアイコンについては、上記と同様に動的に心理的グループの特定処理を行なって心理的グループの区分けするようにしてもよい。
一方、視線分析部22は、ステップS308において、操作領域内の視線滞在率が所定値を超えないと判断した場合、及びステップS310において、視線速度が所定速度を超えないと判断した場合には、視線分析結果が操作者は操作装置14の操作に困難を感じている状態にはないことを示しているため、ステップS312において、表示制御部24は、通常表示が行なわれるように表示部16を制御する。なお、既に通常表示が行なわれている場合には、表示制御部24は、通常表示が継続されるように表示部16を制御し、なんらかの強調表示が行なわれている場合には、表示制御部24は、通常表示から通常表示に切替えるよう表示部16を制御する。
本実施形態によれば、第1実施形態で説明した(例えば、図5に示す)固定的な境界線に応じて支援表示する場合に比べて、操作者が感じるグループに沿った支援表示が可能になる。また、操作者が操作装置14を操作しようとする段階でグループ分けを計算することも可能であるため、構成要素の種類や配置がタッチパネル・ディスプレイ30を用いたGUIのように任意に変更される場合でも適用可能となる。
なお、本実施形態においては、操作支援処理ルーチンの実行中に、心理的グループ特定処理を行なう例について説明したが、操作要素の種類や配置が動的に変更されない場合には、事前に(例えば操作支援処理ルーチンの実行前、或いは操作装置14の製造段階で)心理的グループ特定処理を行なって、グループの区分け結果を予め定められた記憶手段に記憶しておき、操作支援処理ルーチンにおいて該記憶した区分け結果を呼び出して用いるようにしてもよい。
また、第2実施形態においても、参考例及び第1実施形態で説明したように、操作者の視線に代えて(或いは視線と共に)、例えば操作者の挙動(指先の動き等)を検出して分析し、操作者が支援表示を必要としているか否かの判断、及び操作者が心理的グループ内探索を行なっているか心理的グループ間探索を行なっているかの判断を行なうようにしてもよい。また、操作者の発話に基づいて、これら判断を行なうようにしてもよい。