JP5812838B2 - 真空容器の自動開閉機構 - Google Patents
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Description
本発明において、真空とは、1.013×105Pa未満の圧力の状態を云う。
本発明によれば、機構本体部の内壁に形成された弁座部にあるシール材に内部弁体が接触することにより弁を閉じ、内部弁体がシール材から離間することにより弁を開くことができる。
本発明によれば、機構の各要素(各部品)の仕様をF1>F2+Fsp+Fbellになるように設定することにより、受圧板に作用する差圧力によりベローズが軸方向に縮み、内部弁体は弁棒により押されてシール部から離間して該シール部を開放することができる。
ベローズが縮む際に傾くと、弁棒の先端は、内部弁体の中心部から外れた点を押すことになり、ベローズの傾きの程度が大きい場合、内部弁体がシール部から離間しないで内部弁体が開放しないことも考えられる。
本発明によれば、内部弁体にガイド部を設けることにより、仮にベローズが傾いて縮んだとしても、弁棒の先端が内部弁体の中心部から外れることはなく、内部弁体は弁棒により軸方向に適正に押される。内部弁体のガイド部の高さを内部弁体のストロークより長く設定しておくことにより、内部弁体のガイド部から、弁棒が外れることはない。
本発明によれば、弁棒の先端部に、円板形状やアームが放射状に延びる放射状アーム構造からなる延設部を設けることにより、ベローズが傾いて縮んでも弁棒は内部弁体を押すことができる。
本発明によれば、機構本体部の配管部分の内部が高圧になった場合に、高圧と周囲大気圧との差圧力によりベローズが伸長し過ぎることを防止するベローズ用ストッパを設けたため、ベローズが伸長し過ぎて、塑性変形するのを防ぐことができる。また、ベローズ用ストッパは、自動開閉機構の取り付け姿勢によりベローズの軸心が水平方向になる場合には、ベローズの自重による撓みを支持する効果もある。すなわち、ベローズ用ストッパは、ベローズの自重による撓みにより起こるベローズの傾きを抑制することができる。
本発明において、高圧とは、1.013×105Pa以上、1MPa(ゲージ圧)程度までの圧力域を云う。
(1)真空容器を真空にする場合もしくは大気圧に戻す場合において、圧縮空気や電気等の動作エネルギを必要とせず、自動開閉機構内の内部弁体を自動で開閉することができる。
(2)真空容器を真空にする場合、自動開閉機構に接続された真空排気ラインの真空ポンプによる真空排気を開始するだけで、自動開閉機構内の内部弁体が開き、真空容器内の真空排気が可能となる。したがって、従来、真空容器と真空ポンプとの間に配置されていた空気弁や電動弁からなるバルブを設置する必要がなく、又、このバルブの開閉を制御するための制御機構を設置する必要がない。
(3)真空容器を大気圧に戻す場合もしくは大気圧より高い圧力に戻す場合、真空ポンプによる真空排気を停止し、真空容器内にガスを導入して真空容器内の圧力を大気圧に戻す又は大気圧より高い圧力に戻すだけで、自動開閉機構内の内部弁体が閉じ、真空容器内を大気圧又は大気圧より高い圧力に保持することができる。したがって、上述したように、空気弁や電動弁からなるバルブおよびその制御機構を設置する必要がない。
図2は、本発明に係る真空容器の自動開閉機構を示す模式図である。図2に示すように、真空容器1には自動開閉機構10が設置されており、真空容器1は自動開閉機構10を介して真空排気ラインVLに接続されている。真空排気ラインVLは真空ポンプ(図示せず)に連通されている。
図4は、真空容器1に設置された自動開閉機構10の初期状態を示す図であり、図5は、自動開閉機構10の真空排気状態を示す図である。図4に示すように、真空容器1内の真空排気を行っていない場合のように、真空容器1の内部と大気圧にある周囲との間で差圧が生じていないとき、内部弁体16は、少なくとも1個の弁体バネ18の復元力により下方に押され、シール材15を備えた弁座部11sと接触している。したがって、真空容器1の内部は、機構本体部11の内部空間Sから遮断されている。このとき、ベローズ13も初期長さ状態であり、弁棒14の先端と内部弁体16とは微小な隙間で保持されており、接触していない。
(1)受圧板12に作用する力(F1)
周囲大気圧(圧力:Patm)と内部真空(圧力:Pvac)との差圧により、受圧板12に作用する力をF1[N]とすると、
F1=(D1/2)2×π×(Patm−Pvac)・・・・・式1
と表すことができる。ここで、D1は受圧板12の外径[m]であり、Patmは大気圧≒1.013×105[Pa]であり、Pvacは真空時の圧力[Pa]である。
(2)内部弁体16に作用する力(F2)
真空容器内が大気圧、自動開閉機構内が真空となり、内部弁体16に作用する力をF2[N]とすると、
F2=(D2/2)2×π×(Patm−Pvac)・・・・・式2
と表すことができる。ここで、D2は内部弁体16の外径[m]である。
(3)弁体バネ18のバネ復元力(Fsp)
弁体バネ18のバネ復元力をFsp[N]とすると、
Fsp=ksp×l×N・・・・・式3
と表すことができる。ここで、kspはバネ剛性[N/m]であり、lはバネの初期自由長さからの縮み量+内部弁体16のストローク(x)[m]である。また、Nはバネ数、すなわち弁体バネ18の個数である。内部弁体16のストローク(x)は図3に図示されている。
(4)ベローズ13の復元力(Fbell)
ベローズ13の復元力をFbell[N]とすると、
Fbell=kbell×x・・・・・式4
と表すことができる。ここで、kbellはベローズのバネ剛性[N/m]であり、xは内部弁体16のストローク[m]である。
F2’=(D2/2)2×π×(Phigh−Patm)
したがって、真空容器内の高圧を確実にシールすることができる。真空容器内の高圧の加減は、真空容器1に設けたレギュレータREやリーク弁LVにより調整可能である。
ベローズ13が縮む際に傾くと、弁棒14の先端は、内部弁体16の中心部から外れた点を押すことになり、ベローズ13の傾きの程度が大きい場合、内部弁体16がシール材15から離間しないで内部弁体16が開放しないことも考えられる。内部弁体16にガイド形状を設けておくと、仮にベローズ13が傾いて縮んだとしても、弁棒14の先端が内部弁体16の中心部から外れることはなく、内部弁体16は弁棒14により軸方向に適正に押される。内部弁体16のガイド部16gの高さ(h)を内部弁体16のストローク(x)より長く設定しておくことにより、すなわちh>xに設定しておくことにより、内部弁体16のガイド部16gから、弁棒14が外れることはない。図7に示す自動開閉機構10のその他の構成は、図3に示す自動開閉機構10と同様の構成である。
図9(a),(b)に示す実施形態においては、自動開閉機構10における機構本体部11の内部空間Sが高圧になる場合にベローズ13が伸長し過ぎることを防止するためのベローズ用ストッパ19を設けている。ベローズ用ストッパ19は受圧板12の円周方向に間隔をおいて複数個配置されている。ベローズ用ストッパ19は、軸部19aと頭部19bとからなり、軸部19aはおねじを有しており、機構本体部11の開口部11cのフランジ部11fに螺合されている。ベローズ用ストッパ19の頭部19bは受圧板12に係合して、ベローズ13が伸長し過ぎることを防止するようになっている。
受圧板12に作用する力の関係式は、上記式1〜式4による。真空容器1内を真空化する場合を考えると、F1>>F2+Fsp+Fbellの場合、内部弁体16は非常に早く開放する。これは、D2(内部弁体16の外径)に対し、D1(受圧板12の外径)が非常に大きい設定になっている場合である。弁体バネ18のバネ剛性、ベローズ13のバネ剛性を小さく設定していることも効果がある。D1とD2の差が小さい場合、F1>F2+Fsp+Fbellとなるためには、ある程度、差圧項(大気圧と内部真空との差圧)が大きくなる必要がある。この場合、大気圧に対し、ある程度減圧が進んでからでないと、内部弁体16は開放しない。また、その関係に弁体バネ18のバネ剛性ksp、ベローズ13のバネ剛性kbellも関係してくる。要するに、受圧板と内部弁体の外径(D1,D2)、弁体バネ18のバネ剛性及びベローズ13のバネ剛性をどう組み合せるかにより、内部弁体の開閉動作を調整することができる。
また、本発明の自動開閉機構は、真空中で試料を観察し、観察後に大気圧に戻して試料を取り出すことを繰り返す小型の走査型電子顕微鏡(SEM)の試料室(真空容器)用の自動開閉機構にも適用可能である。
1p パージポート
10 自動開閉機構
11 機構本体部
11a,11b,11f フランジ部
11c 開口部
11s 弁座部
12 受圧板
13 ベローズ
14 弁棒
14a 先端部
15 シール材
16 内部弁体
16g ガイド部
17 ガイド棒
17a 軸部
17b 頭部
18 弁体バネ
19 ベローズ用ストッパ
19a 軸部
19b 頭部
S 空間
VL 真空排気ライン
Claims (7)
- 真空容器内を真空排気して真空にする際および真空容器内の真空を大気圧に戻す際に自動的に開閉する内部弁体を備え、真空容器に接続される自動開閉機構であって、
前記真空容器に接続される接続部と、真空ポンプに連通する真空排気ラインに接続される接続部と、前記2つの接続部を接続している配管部分とからなる機構本体部と、
前記機構本体部の配管部分の内部が真空排気されると、真空と周囲大気圧との差圧力を受ける受圧板と、
前記機構本体部の配管部分と前記受圧板とを接続するとともに前記受圧板に作用する差圧力により軸方向に縮むベローズと、
前記受圧板に取り付けられるとともに前記ベローズの伸び縮みにより移動する弁棒と、
前記機構本体部の配管部分の内部にあるシール部に対して接離可能に設けられた前記内部弁体とを備え、
前記受圧板に差圧力が作用しないときには前記内部弁体は少なくとも1個のバネの復元力により押されて前記シール部に接触して該シール部を閉止し、前記受圧板に差圧力が作用して前記ベローズが縮むと前記内部弁体は前記弁棒により押されて前記シール部から離間して該シール部を開放するように構成されていることを特徴とする真空容器の自動開閉機構。 - 前記シール部は、前記機構本体部の配管部分の内壁から内方に向かって延びる円環状の弁座部と、該弁座部に設けられたシール材とからなることを特徴とする請求項1記載の真空容器の自動開閉機構。
- 前記真空と周囲大気圧との差圧力により前記受圧板に作用する力をF1とし、前記真空容器内が大気圧で前記配管部分の内部が真空になるときに前記内部弁体に作用する力をF2とし、前記内部弁体を押圧する前記バネの復元力をFspとし、前記ベローズの復元力をFbellとすると、
F1>F2+Fsp+Fbellになるように、少なくとも前記受圧板の外径、前記内部弁体の外径、前記バネのバネ剛性および前記ベローズのバネ剛性を設定していることを特徴とする請求項1または2記載の真空容器の自動開閉機構。 - 前記内部弁体に、前記弁棒の軸方向の移動を案内するガイド部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空容器の自動開閉機構。
- 前記弁棒の先端部に半径方向外側に延びる延設部を設け、前記ベローズが傾いて縮んでも前記弁棒が前記内部弁体を押圧可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空容器の自動開閉機構。
- 前記機構本体部の配管部分の内部が高圧になった場合に、高圧と周囲大気圧との差圧力により前記ベローズが伸長し過ぎることを防止するベローズ用ストッパを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の真空容器の自動開閉機構。
- 真空排気して内部を真空にするとともに真空を大気圧に戻すことを繰り返す真空容器と、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自動開閉機構とを備えたことを特徴とする真空容器装置。
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