JP5812419B2 - 芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法 - Google Patents

芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法 Download PDF

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Description

本発明は、爆薬などの検知に特に有用な芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法に関する。
爆薬成分としては代表的なものは芳香族ニトロ化合物である。現在、空港では検知犬によって爆薬の検知を行っている。しかしながら、検知犬は訓練育成に費用と時間が掛かり、その数を増やすことは困難である。一方、最近の国際情勢では空港テロなど爆薬による無差別殺人が多く行われ、爆薬の迅速な検知体制の強化が必要とされ、鋭敏な雰囲気センサーの開発が期待されている。そして、トリニトロトルエン(TNT)、2,4−ジニトロトルエン(2,4−DNT)などの爆薬から発せられる芳香族ニトロ化合物の空気中の量はppbオーダーであるので非常に鋭敏な雰囲気センサーが要求されており、雰囲気センサーに関し種々の検討がなされている。例えば、(特許文献1)には表面プラズモンセンサーを利用したもの、(特許文献2)には核磁気共鳴を利用したもの、(特許文献3)には表面増強共鳴ラマン散乱を利用したもの、(特許文献4)には共役蛍光ポリマーを利用したもの、(特許文献5)には抗原抗体反応を利用したものが開示されている。
米国特許第6573107号明細書 特表2002−509601号公報 特表2003−530569号公報 特表2007−532870号公報 特開2008−58176号公報
しかしながら、前記特許文献などに記載のような検知方法は、その感度が十分ではなく、爆薬成分を高感度で検知するという点で必ずしも十分な方法ではなかった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、例えば爆薬成分などに用いられる芳香族ニトロ化合物を高感度で検知することが可能な芳香族ニトロ化合物検知センサーを簡便で且つ効率よく製造することができる芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、並びに芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法は、チタニアブトキシドとポリスチレン又はポリチオフェンのポリマーとピレンモノマーまたはその誘導体とを混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液を基板に塗布し、相分離により、チタニア層と前記チタニア層に挟み込まれ且つ前記ピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリマー層からなる3層構造を形成する層形成工程を有する方法である。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)親水性であるチタニアの層にポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層が挟まれているので、水中または空気中の親水性分子をすばやくポリマー層に伝えることができる。
(2)機能性分子のピレンモノマーまたはその誘導体を前記ポリマー層に含んでいるので、ピレンモノマーまたはその誘導体の変化により3層構造の膜が有する、光学的な性質が変化する。
(3)相分離を利用しているので、製造の工程が簡単であり、芳香族ニトロ化合物検知センサーを大量生産しやすい。
(4)機能性分子のピレンモノマーまたはその誘導体が蛍光色素であるので、検知できる性質の変化が肉眼でも見ることができる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(5)芳香族ニトロ化合物の検知に必要なシステムがコンパクトにできるので、機動性に優れたものとなる。
(6)ピレンモノマーおよびその誘導体は芳香族ニトロ化合物との結合によって2量体と単量体との平衡が変化し、蛍光スペクトルが変化するので、より細かい芳香族ニトロ化合物の分析が可能となる。
前記混合工程においては、前記チタニアブトキシドと前記ポリスチレン又はポリチオフェンのポリマーと前記ピレンモノマーまたはその誘導体とを混合して混合液を得るが、これらを溶媒に溶解させた後に混合してもよい。
本発明に用いる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、トルエンが挙げられる。これらの中でも、前記成分の溶解性が優れるという観点から、クロロホルムが好ましい。
本発明に用いるチタニアブトキシドとしては市販されているものを適宜用いることができる。そして、前記混合液中におけるチタニアブトキシドの濃度は、25mM以上400mM以下であることが好ましく、50mM以上200mM以下であることがより好ましい。チタニアブトキシドの濃度が前記下限未満では、3層構造の膜における親水性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、混合液におけるチタニアブトキシドの溶解性が不足する傾向にある。
本発明に用いるポリマーとしては、疎水性が高く、チタニアブトキシドとの相分離構造を形成しやすいと共に機能性分子を取り込みやすいという観点から、ポリスチレン、ポリチオフェンなどの線形の疎水性高分子が好ましい。
前記混合液中におけるポリマーの濃度は、モノマー換算で、50mM以上400mM以下であることが好ましく、100mM以上200mM以下であることがより好ましい。ポリマーの濃度が前記下限未満では、3層構造の膜となりにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、3層構造の膜における親水性が不足する傾向にある。また、前記混合液中におけるポリマーの量は、モノマー換算で、前記チタニアブトキシド1モルに対して0.25モル以上4モル以下であることが好ましく、0.5モル以上2モル以下であることがより好ましい。ポリマーの量が前記下限未満では、3層構造の膜を形成しにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、3層構造の膜を形成しにくい傾向にある。
本発明に用いる機能性分子としては、蛍光色素のピレンモノマーまたはその誘導体が挙げられる。また、機能性分子としては、ポリマーとの相溶性を高くして、3層構造の膜においてポリマー層に含有される機能性分子の量を多くするという観点から、疎水性が高いものを用いることが好ましい。
前記混合液中における機能性分子の濃度は、0.1mM以上100mM以下であることが好ましく、0.5mM以上50mM以下であることがより好ましい。機能性分子の濃度が前記下限未満では、芳香族ニトロ化合物検知センサーの感度が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、芳香族ニトロ化合物検知センサーのコストが高くなる傾向にある。
前記混合液中におけるポリマーの量は、モノマー換算で、前記チタニアブトキシド1モルに対して0.5モル以上4モル以下であることが好ましく、1モル以上2モル以下であることがより好ましい。ポリマーの量が前記下限未満では、芳香族ニトロ化合物検知センサーの感度が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、芳香族ニトロ化合物検知センサーのコストが高くなる傾向にある。
前記層形成工程においては、前記混合液を基板に塗布する。本発明に用いる基板としては特に限定されず、公知のものを適宜用いることができる。このような基板としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス基板、金属基板、樹脂基板を用いることができる。また、このような基板には、必要に応じて、表面処理層や犠牲層を設けてもよい。表面処理層としては、例えば、ポリビニルアルコール層が挙げられる。そして、例えば、このようなポリビニルアルコール層によれば、前記基板に対し親水性を付与できるため、混合液を濡れ広がりやすくすることができる。また、犠牲層としては、例えば、ポリ(4−ビニルフェノール)層(PVP層)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)層(PSS層)が挙げられる。後述するように3層構造の自立膜を形成する場合には、このような犠牲層を設けることが好ましい。
前記層形成工程における塗布の方法としては、例えば、スピンコート法を採用することができる。溶媒の蒸発速度を速くし、相分離構造を形成させやすくするという観点から、スピンコート法を採用することが好ましい。また、例えばスピンコート法による場合、前記混合液の塗布量は、100〜1000μL/cm2の範囲であることが好ましい。また、回転数は100〜10000rpmの範囲であることが好ましく、前記混合液の展開時間は30秒間〜3分間の範囲であることが好ましい。
前記層形成工程においては、前述の通り、前記混合液を基板に塗布して、相分離により、チタニア層と前記チタニア層に挟み込まれ且つ前記ピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層からなる3層構造を形成する。
すなわち、本発明においては、前記チタニアブトキシドと前記ポリスチレン又はポリチオフェンのポリマーとの相分離構造が形成されることにより、チタニアブトキシド層に挟み込まれたポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層からなる3層構造が形成される。前記ピレンモノマーまたはその誘導体は、通常疎水性が高いものであることから、3層構造のうち主としてポリマー層中に含有される。そして、前記チタニアブトキシドは湿気により加水分解してチタニアとなりチタニア層を形成する。
前記層形成工程により形成されるチタニア層の厚みは10nm以上40nm以下であることが好ましく、10nm以上20nm以下であることがより好ましい。チタニア層の厚みが前記下限未満では、3層構造の膜における親水性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ピレンモノマーまたはその誘導体を導入したポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層へのターゲット分子の拡散性が不足する傾向にある。
前記層形成工程により形成されるポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層の厚みは35nm以上280nm以下であることが好ましく、70nm以上140nm以下であることがより好ましい。ポリマー層の厚みが前記下限未満では、ポリマー層に固定化できるピレンモノマーまたはその誘導体の導入量が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリマー層が厚くなり、ターゲット分子の拡散性が不足する傾向にある。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法であって、前記基板を取り去ることで、前記チタニア層に挟み込まれた前記ポリマー層からなる3層構造を持つ自立膜とする基板除去工程を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)基板を取り除き、センサー膜単体で使用できるので、透過光を利用した芳香族ニトロ化合物検知センサーを得ることができる。
(2)基板がないので薄膜センサーとして、高い可塑性を有する芳香族ニトロ化合物検知センサーを得ることができる。
(3)その他基板への応用が可能であり、様々なデバイスの界面修飾が簡単で且つ大量生産が可能となる芳香族ニトロ化合物検知センサーを得ることができる。
前記基板除去工程において前記基板を取り去る方法としては、例えば、前記基板に前記犠牲層を設けておき、前述のように前記3層構造の膜を形成した後に、前記犠牲層を除去することにより前記3層構造の膜から前記基板を取り去る方法を採用することができる。このような方法において犠牲層を除去する方法としては、犠牲層を溶解させることが可能な溶媒を用いて犠牲層を除去する方法を採用することができ、例えば、犠牲層としてPVPを用いる場合には溶媒としてエタノールを用いることができ、犠牲層としてPSSを用いる場合には溶媒として水を用いることができる。
本発明の請求項3に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーは、基板の上にチタニア層に挟み込まれ且つピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層からなる3層構造の膜を有するものである。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)親水性であるチタニアの層にポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層が挟まれているので、水中または空気中の親水性分子をすばやくポリマー層に伝えることができる。
(2)芳香族ニトロ化合物の検知に必要なシステムがコンパクトにできるので、機動性に優れた芳香族ニトロ化合物検知センサーとすることができる。
(3)ピレンモノマーおよびその誘導体は芳香族ニトロ化合物との結合によって2量体と単量体との平衡が変化し、蛍光スペクトルが変化するので、より細かい芳香族ニトロ化合物の分析が可能となる。
(4)TiO 2 とのスピノーダル分解が可能で、ナノスケール構造の相分離構造を作製できる。
(5)TiO 2 等の無機材料とPS等の有機材料の混合比率によって、ドット状や紐状等の相分離構造をコントロールでき、サンドイッチ状の3層構造を持つ薄膜を作製できる。(6)TiO 2 /PSは表裏面がTiO 2 の親水性、膜内部がPSの疎水性であるため、疎水場にピレンモノマーまたはその誘導体を導入し、ピレンモノマーまたはその誘導体をプローブとして、芳香族ニトロ化合物の検知をすることができる。
本発明の請求項3に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーは、例えば、前述した請求項1に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法により製造することができる。また、本発明に用いる基板、チタニア、機能性分子およびポリマーとしては、前述し芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法において用いたものと同様のものを用いることができる。さらに、本発明におけるチタニア層およびポリマー層の厚みは、前述した芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法におけるチタニア層およびポリマー層の厚みと同様の範囲であることが好ましい。
本発明の請求項4に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーは、チタニア層に挟み込まれ且つピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層からなる3層構造の膜からなるものである。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)センサー膜単体で使用できるので、透過光を利用した芳香族ニトロ化合物検知センサーとすることができる。
(2)基板がないので薄膜センサーとして、高い可塑性を有する芳香族ニトロ化合物検知センサーとすることができる。
本発明の請求項4に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーは、例えば、前述した請求項2に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法により製造することができる。また、本発明に用いるチタニア、機能性分子およびポリマーとしては、前述した芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法において用いたものと同様のものを用いることができる。さらに、本発明におけるチタニア層およびポリマー層の厚みは、前述した芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法におけるチタニア層およびポリマー層の厚みと同様の範囲であることが好ましい。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1又は2で記載された方法で製造された芳香族ニトロ化合物検知センサー若しくは請求項3又は4で記載された芳香族ニトロ化合物検知センサーの蛍光変化によって、芳香族ニトロ化合物の存在を検知する芳香族ニトロ化合物の検知方法である。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)高感度な芳香族ニトロ化合物検知センサーで検知するので非常に高精度に芳香族ニトロ化合物を検知できる。
(2)蛍光変化によりニトロ化合物を検知するので、迅速に爆薬の存在を検知できる。
以上のように、本発明の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)親水性であるチタニアの層にポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層が挟まれているので、水中または空気中の親水性分子をすばやくポリマー層に伝えることができる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(2)ピレンモノマーまたはその誘導体を前記ポリマー層に含んでいるので、ピレンモノマーまたはその誘導体の変化により3層構造の膜が有する、光学的な性質が変化する芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(3)相分離を利用しているので、製造の工程が簡単であり、芳香族ニトロ化合物検知センサーを大量生産がしやすい。
(4)機能性分子のピレンモノマーまたはその誘導体が蛍光色素であるので、検知できる性質の変化が肉眼でも見ることができる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(5)芳香族ニトロ化合物の検知に必要なシステムがコンパクトにできるので、機動性に優れた芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(6)ピレンモノマーおよびその誘導体は芳香族ニトロ化合物との結合によって2量体と単量体との平衡が変化し、蛍光スペクトルが変化するので、より細かい芳香族ニトロ化合物の分析が可能となる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)基板を取り除き、センサー膜単体で使用できるので、透過光を利用した芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(2)基板がないので薄膜センサーとして、高い可塑性を有する芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(3)その他基板への応用が可能であり、様々なデバイスの界面修飾が簡単で且つ大量生産が可能となる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
請求項3に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)親水性であるチタニアの層にポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層が挟まれているので、水中または空気中の親水性分子をすばやくポリマー層に伝えることができる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(2)ピレンモノマーまたはその誘導体を前記ポリマー層に含んでいるので、ピレンモノマーまたはその誘導体の変化により3層構造の膜が有する、光学的な性質が変化する芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(3)機能性分子のピレンモノマーまたはその誘導体が蛍光色素であるので、検知できる性質の変化が肉眼でも見ることができる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(4)芳香族ニトロ化合物の検知に必要なシステムがコンパクトにできるので、機動性に優れた芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(5)ピレンモノマーおよびその誘導体は芳香族ニトロ化合物との結合によって2量体と単量体との平衡が変化し、蛍光スペクトルが変化するので、より細かい芳香族ニトロ化合物の分析が可能となる芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(6)TiO 2 とのスピノーダル分解が可能で、ナノスケール構造の相分離構造も提供できる。
(7)TiO 2 等の無機材料とPS等の有機材料の混合比率によって、ドット状や紐状等の相分離構造をコントロールでき、サンドイッチ状の3層構造を持つ薄膜を提供できる。(8)TiO 2 /PSは表裏面がTiO 2 の親水性、膜内部がPSの疎水性であるため、疎水場にピレンモノマーまたはその誘導体を導入し、ピレンモノマーまたはその誘導体をプローブとして、芳香族ニトロ化合物の検知を簡易迅速に行うことが可能な芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、以下のような効果を有する。(1)センサー膜単体で使用できるので、透過光を利用した芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
(2)基板がないので薄膜センサーとして、高い可塑性を有する芳香族ニトロ化合物検知センサーを提供できる。
請求項5に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)高感度な芳香族ニトロ化合物検知センサーで検知するので非常に高感度な芳香族ニトロ化合物の検知方法を提供できる。
(2)蛍光変化によりニトロ化合物を検知するので、迅速に爆薬の存在を検知できる芳香族ニトロ化合物の検知方法を提供できる。
本発明の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法における層形成工程の一形態を示す工程概略図である。 混合液中のポリスチレンの量と得られる芳香族ニトロ化合物検知センサーの断面形状との関係を示す概略断面図である。 実施例で用いた芳香族ニトロ化合物検知センサーの材料のうち主なものの化学構造式を示す模式図である。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーの断面を示すSEM像である。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し100ppmの2,4−DNT水溶液を滴下すると共に254nmの紫外光を照射した場合における蛍光の消光の状態を示す写真である。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に100ppmの2,4−DNT水溶液中に浸漬した場合における、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間、30分間および60分間経過後の蛍光スペクトルである。 実施例1〜3および比較例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについての浸漬後30分間経過後における蛍光スペクトルである。 実施例1〜3および比較例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについての波長395nmにおける蛍光消光値IX/I0と浸漬時間との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを濃度の異なる2,4−DNT水溶液中に浸漬した場合における、波長395nmにおける蛍光消光値IX/I0と浸漬時間との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを濃度の異なるTNT水溶液中に浸漬した場合における、波長395nmにおける蛍光消光値IX/I0と浸漬時間との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを2,4−DNTまたはTNT水溶液中に浸漬した場合における、検体濃度の対数と蛍光消光値の変化△IX/I0との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを50ppmのジメチルジニトロブタン(DMNB)水溶液中に浸漬した場合における、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後の蛍光スペクトルである。 実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを50ppmのジメチルジニトロブタン(DMNB)水溶液中に浸漬した場合における、波長395nmにおける蛍光消光値IX/I0と浸漬時間との関係を示すグラフである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを示す写真である。 実施例4〜11および比較例2〜3で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した場合の蛍光スペクトルである。 波長395nmにおける蛍光強度および波長470nmにおける蛍光強度とピレン濃度との関係を示すグラフである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に水中に浸漬した場合における、浸漬前、並びに浸漬後60分間、120分間および180分間経過後の蛍光スペクトルである。 電子吸引性の物質によりピレンの蛍光の消光を引き起こすメカニズムを示す模式図である。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に経時的に濃度が高くなるTNT水溶液中に浸漬した場合における、浸漬前、並びに浸漬後5分間経過毎の蛍光スペクトルである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについて(検体はTNT水溶液)、波長395nmにおける蛍光強度変化および波長470nmにおける蛍光強度変化と浸漬時間との関係を示すグラフである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に経時的に濃度が高くなる2,4−DNT水溶液中に浸漬した場合における、浸漬前、並びに浸漬後5分間経過毎における蛍光スペクトルである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについて(検体はTNT水溶液および2,4−DNT水溶液)、波長395nmにおける蛍光強度変化および波長470nmにおける蛍光強度変化と浸漬時間との関係を示すグラフである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを2,4−DNTまたはTNT水溶液中に浸漬した場合における、検体濃度の対数と蛍光強度変化との関係をグラフである。 芳香族ニトロ化合物検知センサーについての空気中における検知試験方法を示す模式図である。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後にTNT含有雰囲気中に晒した場合における、投入前、並びに投入後1分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後の蛍光スペクトルである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に水分含有雰囲気中に晒した場合における、投入前、並びに投入後1分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後の蛍光スペクトルである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについて(検体はTNTガス)、波長395nmにおける蛍光強度変化および波長470nmにおける蛍光強度変化と暴露時間との関係を示すグラフである。 実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについて(検体はTNTガス)、波長395nmにおける蛍光強度変化および波長470nmにおける蛍光強度変化と暴露時間との関係を示すグラフである。なお、TNT水溶液の濃度を0ppm(水)、0.1ppm、1ppmおよび20ppmと変化させた場合の結果をそれぞれ示している。 試験例1〜4、6〜10および15に用いた塗布用溶液中における粒子径分布曲線を示すグラフである。 試験例1〜7、10および15で得られた薄膜、並びにシリコンウエハ基板について、AFMおよびSEMを用いて表面観察を行った結果を示す写真である。 試験例3で得られた薄膜のTEM像である。 試験例3で得られた薄膜の断面のSEM像である。 試験例3で得られた薄膜のTEM像である。 試験例2で得られた薄膜のTEM像である。 試験例2〜6および8〜15で得られた薄膜の紫外可視吸収スペクトルである。 試験例2〜6および8〜15で得られた薄膜における波長260nmの紫外可視吸収とポリスチレンの量との関係を示すグラフである。 試験例1および3〜15で得られた薄膜の表面接触角とポリスチレンの量との関係を示すグラフである。 試験例1で得られた薄膜に水を接触させた状態を示す写真である。 試験例12で得られた薄膜に水を接触させた状態を示す写真である。 試験例16で得られた薄膜の断面を示すSEM像である。 試験例17で得られた薄膜の断面を示すSEM像である。 試験例18で得られた薄膜の断面を示すSEM像である。 試験例19で得られた薄膜の断面を示すSEM像である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法における層形成工程の一実施形態を示す工程概略図である。図1(A)は基板上に混合液を塗布した直後の状態を示しており、図1(B)はスピンコート法により混合液中の溶媒が除去されている状態を示しており、図1(C)はチタニアブトキシドが湿気により加水分解することによりチタニア層となっている状態を示している。
図1(A)に示すように、混合工程においては、チタニアブトキシドと、ポリマーとしてポリスチレンと、機能性分子としてピレンモノマーまたはその誘導体とを混合して混合液を得ている。また、混合液の溶媒としては、クロロホルムを用いている。さらに、基板には、混合液を濡れ広がりやすくするために、ポリビニルアルコールからなる表面処理層を設けている。なお、機能性分子は、通常、チタニアブトキシドよりもポリスチレンとの相溶性が高いことから、ポリスチレン中に多く取り込まれる傾向にある。
図1(A)および(B)に示すように、混合液を基板に塗布する方法としてスピンコート法を採用している。混合液がスピンコート法により塗布されることにより、混合液中の溶媒の蒸発速度が速くなり、溶媒に溶解しているポリスチレンは平衡状態をとることができなくなる。そのため、チタニアブトキシドとポリスチレンとは相分離構造を形成しやすくなる。ここで、前記混合液の塗布量は、100〜1000μL/cm2の範囲であることが好ましい。また、回転数は100〜10000rpmの範囲であることが好ましく、前記混合液の展開時間は30秒間〜3分間の範囲であることが好ましい。
その後、図1(C)に示すように、チタニアブトキシドが湿気により加水分解することによりチタニア層となる。このようにして、チタニア層とチタニア層に挟み込まれ且つピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリスチレンのポリマー層からなる3層構造を形成することができる。
以上のようにして、芳香族ニトロ化合物検知センサーを製造することができるが、本発明においては、混合液中のポリスチレンの量に応じて芳香族ニトロ化合物検知センサーの断面形状が変化する。例えば、図2は混合液中のポリスチレンの量と得られる芳香族ニトロ化合物検知センサーの断面形状との関係を示す概略断面図である。図2(A)〜(E)は、混合液中のチタニアブトキシドに対するポリスチレンの量が多くなるに従い、得られる芳香族ニトロ化合物検知センサーの断面形状が変化することを示している。このように、3層構造の膜を形成させるという観点から、前記混合液中におけるポリスチレンの量は、モノマー換算で、チタニアブトキシド1モルに対して0.5モル以上であることが好ましい。
以上のように、本発明の実施の形態1における芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)親水性であるチタニアの層にポリスチレンのポリマー層が挟まれているので、水中または空気中の親水性分子をすばやくポリマー層に伝えることができる。
(2)ピレンモノマーまたはその誘導体を前記ポリマー層に含んでいるので、ピレンモノマーまたはその誘導体の変化により3層構造の膜が有する、光学的な性質が変化する。
(3)相分離を利用しているので、製造の工程が簡単であり、芳香族ニトロ化合物検知センサーを大量生産がしやすい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、実施の形態1の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法において、前記基板を取り去ることで、前記チタニア層に挟み込まれた前記ポリマー層からなる3層構造を持つ自立膜とする基板除去工程を有している。
実施の形態2においては、先ず、前記基板に犠牲層を設けておくことが好ましい。犠牲層としては、例えば、ポリ(4−ビニルフェノール)層(PVP層)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)層(PSS層)が挙げられる。
次いで、実施の形態1と同様にして層形成工程を行い、その後、前記基板を取り去ることで、前記チタニア層に挟み込まれた前記ポリマー層からなる3層構造を持つ自立膜とする基板除去工程を行う。このような基板除去工程において犠牲層を除去する方法としては、犠牲層を溶解させることが可能な溶媒を用いて犠牲層を除去する方法を採用することができ、例えば、犠牲層としてPVPを用いる場合には溶媒としてエタノールを用いることができ、犠牲層としてPSSを用いる場合には溶媒として水を用いることができる。
以上のように、本発明の実施の形態2における芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)基板を取り除き、センサー膜単体で使用できるので、透過光を利用した芳香族ニトロ化合物検知センサーを得ることができる。
(2)基板がないので薄膜センサーとして、高い可塑性を有する芳香族ニトロ化合物検知センサーを得ることができる。
(3)その他基板への応用が可能であり、様々なデバイスの界面修飾が簡単で且つ大量生産が可能となる芳香族ニトロ化合物検知センサーを得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた芳香族ニトロ化合物検知センサーの材料のうち主なものの化学構造式を図3に示す。また、各種物性については以下に示す方法により測定または評価した。
(i)粒子径の測定
動的光散乱法(DLS)による粒子径測定装置(Sysmex社製、Zetasizer Nano−ZS)を用いて、温度25℃の条件下にて粒子径の測定を行った。
(ii)表面観察または断面観察
薄膜の表面形態や断面構造は、走査型電子顕微鏡(SEM、Hitachi社製、「S−5200 Field emission microscope」)、原子間力顕微鏡(AFM、日本電子社製、「Scanning probe microscope JSPM−5200」、測定モード:ノンコンタクトモード)、または、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製、「JEOL JEM 3010」、加速電圧:200kV)を用いて観察した。
(iii)紫外可視吸収スペクトル
紫外可視吸収スペクトル測定装置(日本分光社製、「UV/VIS/NIR spectrometer V−570」、励起側スリット幅:2.5nm、検出器側スリット幅:5.0nm)を用いて測定した。
(iv)表面接触角
表面接触角測定装置(KYOWA INTERFACE SCIECE社製、「DROP Master 100」)を用いて測定した。
(v)蛍光強度および蛍光スペクトル
分光蛍光光度計(HITACHI社製、「F−4500 Fluorescence Spectrometer」、励起側スリット幅:2.5nm、検出器側スリット幅:5.0nm)を用いて測定した。
(実施例1〜3、比較例1)
(1)混合液の作製(混合工程)
ポリマーとしてポリスチレン(PS、Aldrich社製、重量平均分子量(Mw):280,000g mol-1)、チタニアブトキシド(Ti(OnBu)4、Kanto Chemicals社製)および機能性分子としてピレン(Aldrich社製)をそれぞれ溶媒のクロロホルムに溶解させてポリスチレン溶液、チタニアブトキシド溶液およびピレン溶液を調製した。
そして、これらの溶液およびクロロホルムを用いて、混合液中のTi(OnBu)4濃度、PS濃度およびPyrene濃度(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度/Pyrene濃度)がそれぞれ以下に示すようになるように、混合して混合液を得た。なお、PS濃度については、モノマー換算の濃度である。
実施例1:100mM/100mM/1mM
実施例2:50mM/100mM/1mM
実施例3:100mM/200mM/1mM
比較例1:0mM/100mM/1mM
(2)芳香族ニトロ化合物検知センサーの作製(層形成工程、基板除去工程)
ポリビニルアルコール(PVA、Polysciences社製、ケン化度:98mol%、Mw:78,000g mol-1)の0.5質量%水溶液を調製した。そして、シリコンウエハ基板(サイズ:2.5cm×2.5cm)の表面上に、スピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、PVA水溶液を塗布した。このようにして、基板の表面上にPVA層を形成した。
次に、PVA層が形成された基板のPVA層側の表面上に、窒素雰囲気下においてスピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開
時間を1分間として、混合工程で得られた混合液を塗布した。その後、蒸留水中に1分間浸漬することにより、チタニアブトキシドを加水分解させて、芳香族ニトロ化合物検知センサーを得た。実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーの断面を示すSEM像を図4に示す。
(3)蛍光の消光の観察
実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し、100ppmの2,4−DNT水溶液を滴下すると共に254nmの紫外光を照射して、蛍光の消光の状態を観察した。得られた結果を図5に示す。図5に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーにおける蛍光の消光は肉眼ではっきりと見ることができることが確認された。このように、実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーは、紫外光の照射を行うと蛍光を発し、爆薬分子の吸着を行うと蛍光が消光することが確認された。
(4)蛍光スペクトルの評価
実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に、100ppmの2,4−DNT水溶液中に浸漬した。そして、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間、30分間および60分間経過後における蛍光スペクトルを測定した。得られた結果を図6に示す。図6に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに2,4−DNTを吸着させた場合には、2分間で吸着前の半分程度まで蛍光強度が減少し、10分間で吸着前の20%程度まで蛍光強度が減少することが確認された。
(5)蛍光スペクトルおよび蛍光消光値の評価
実施例1〜3および比較例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し、それぞれ340nmの紫外光を照射した後に、100ppmの2,4−DNT水溶液中に浸漬した。そして、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後における蛍光スペクトルを測定した。得られた結果のうち、30分間経過後における蛍光スペクトルを図7に示す。図7に示す結果からも明らかなように、実施例1〜3で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーは、比較例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーと比較して消光の程度が大きいことが確認された。
また、得られた蛍光スペクトルから、波長395nmにおける浸漬前の蛍光強度I0と浸漬後処置時間経過後の蛍光強度IXを求め、その比率(蛍光消光値:IX/I0)(単位:%)を求めた。実施例1〜3および比較例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについての波長395nmにおけるIX/I0と浸漬時間との関係を示すグラフを図8に示す。図8に示す結果からも明らかなように、実施例1〜3で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーにおいては、1〜2分間で消光反応のほとんどが完了していることが確認された。このような結果から以下のようなことが推察される。すなわち、実施例1〜3で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーでは上下の表面層がTiO2、中間層がPSからなるサンドイッチ構造をしており、蛍光分子であるピレンは膜全体に存在している。TiO2はPSに比べると親水的であり、表面層にTiO2があるおかげで水の拡散が起こりやすくなっていることが考えられる。そのため、水に溶解している爆薬分子の拡散も起こりやすくなり、芳香族ニトロ化合物検知センサーとしての感度が向上すると推察される。
(6)検体が低濃度の場合における検知試験
実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し、それぞれ340nmの紫外光を照射した後に、100ppm、1ppm、10ppb、100pptおよび1pptの2,4−DNT水溶液中、並びに比較用の水に浸漬した。そして、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後における、波長395nmにおける蛍光強度を測定した。そして、波長395nmにおける浸漬前の蛍光強度I0と浸漬後
処置時間経過後の蛍光強度IXを求め、その比率(蛍光消光値:IX/I0)(単位:%)を求めた。得られた結果を図9に示す。図9に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを用いれば、2,4−DNTの濃度が1pptと非常に低い場合にも検知でき、またその消光反応は2分間以内に完了していることが確認された。
実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し、それぞれ340nmの紫外光を照射した後に、1ppm、10ppb、100ppt、1pptおよび100ppqのTNT水溶液中、並びに比較用の水に浸漬した。そして、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後における、波長395nmにおける蛍光強度を測定した。そして、波長395nmにおける浸漬前の蛍光強度I0と浸漬後処置時間経過後の蛍光強度IXを求め、その比率(蛍光消光値:IX/I0)(単位:%)を求めた。得られた結果を図10に示す。図10に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを用いれば、TNTの濃度が100ppqと非常に低い場合にも検知でき、またその消光反応は2分間以内に完了していることが確認された。
さらに、図9および図10に示す結果から、水への浸漬による消光(30分間でIX/I0=3.28%)を考慮して、実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを2,4−DNTまたはTNT水溶液中に浸漬した場合における、検体濃度の対数と蛍光消光値の変化(蛍光変化値:△IX/I0)(単位:%)との関係を図11に示した。図11に示すように、2,4−DNTの場合、100ppmを除く、1ppm、10ppbおよび100pptの濃度で明確な直線関係が得られ、TNTの場合も全ての濃度で直線関係が得られていた。そして、近似直線式とLOD=3σ(σ=0.05)の式からそれぞれの検出限界濃度を求めた。2,4−DNTの近似直線式は、△IX/I0=5.6867×log[C]+26.632(R2=0.9719)([C]は検体濃度(ppm))で表され、TNTの近似直線式は、△IX/I0=4.6569×log[C]+32.553(R2=0.9939)と直線近似式が表される。σ()は検知に用いる膜の本来有している蛍光強度I0に依存してしまうため、本試験で使用した最もI0の小さい膜を使用してσを求めた。蛍光強度のシグナルノイズは膜によってほとんど変わらないが、I0は異なるので、最もI0の小さい膜のσ()を求めておけば本試験のサンプルの中で最も大きなσ()を求めることになり、全てに適用できるシグナルノイズと見なすことができる。このようにして検出限界濃度を求めると、2,4−DNTの検出限界濃度は22pptであり、TNTの検出限界濃度は125ppqであった。
(7)検体と検知性能との関係の評価
実施例1で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し、340nmの紫外光を照射した後に、50ppmのジメチルジニトロブタン(DMNB)水溶液中に浸漬した。そして、浸漬前、並びに浸漬後1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後における蛍光スペクトルを測定した。得られた結果を図12に示す。
また、得られた蛍光スペクトルから、波長395nmにおける浸漬前の蛍光強度I0と浸漬後処置時間経過後の蛍光強度IXを求め、その比率(蛍光消光値:IX/I0)(単位:%)を求めた。得られた結果を図13に示す。図13に示す結果からも明らかなように、検体がDMNBの場合には、消光反応は飽和状態に達しておらず、DNTやTNTなどの芳香族のニトロ化合物と比較して拡散が起こりにくいことが確認された。つまり、同じニトロ化合物でも分子選択性があるということが確認された。
(実施例4〜11、比較例2〜3)
(1)混合液の作製(混合工程)
ポリスチレン(PS、Aldrich社製、重量平均分子量(Mw):280,000g mol-1)、チタニアブトキシド(Ti(OnBu)4、Kanto Chemicals社製)およびピレン(Aldrich社製)をそれぞれクロロホルムに溶解させてポリスチレン溶液、チタニアブトキシド溶液およびピレン溶液を調製した。
そして、これらの溶液およびクロロホルムを用いて、混合液中のTi(OnBu)4濃度、PS濃度およびPyrene濃度(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度/Pyrene濃度)がそれぞれ以下に示すようになるように、混合して混合液を得た。なお、PS濃度については、モノマー換算の濃度である。
実施例4:100mM/100mM/1mM
実施例5:100mM/100mM/2.5mM
実施例6:100mM/100mM/5mM
実施例7:100mM/100mM/10mM
実施例8:100mM/100mM/20mM
実施例9:100mM/100mM/30mM
実施例10:100mM/100mM/40mM
実施例11:100mM/100mM/50mM
比較例2:100mM/0mM/50mM
比較例3:0mM/100mM/50mM
(2)芳香族ニトロ化合物検知センサーの作製(層形成工程、基板除去工程)
ポリビニルアルコール(PVA、Polysciences社製、ケン化度:98mol%、Mw:78,000g mol-1)の0.5質量%水溶液を調製した。そして、シリコンウエハ基板(サイズ:2.5cm×2.5cm)の表面上に、スピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、PVA水溶液を塗布した。このようにして、基板の表面上にPVA層を形成した。
その後、ポリ(4−ビニルフェノール)(PVP、Aldrich社製、重量平均分子量(Mw):8,000g mol-1)の200g/Lエタノール溶液を調製した。そして、PVA層が形成された基板のPVA層側の表面上に、スピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、PV
Pエタノール溶液を塗布した。このようにして、基板の表面上にPVA層およびPVP層を形成した。
次に、PVA層およびPVP層が形成された基板のPVP層側の表面上に、窒素雰囲気下においてスピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、混合工程で得られた混合液を塗布した。その後、蒸留水中に1分間浸漬することにより、チタニアブトキシドを加水分解させて、芳香族ニトロ化合物検知センサーの膜を形成した。
次いで、芳香族ニトロ化合物検知センサーの膜が形成された基板をエタノール中に浸漬して、犠牲層であるPVP層を溶解させることにより、基板を芳香族ニトロ化合物検知センサーの膜から剥離させて、芳香族ニトロ化合物検知センサーを得た。実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを示す写真を図14に示す。図14に示すように、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーは自立膜として用いることができる。
(3)蛍光スペクトルの評価
実施例4〜11および比較例2〜3で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した場合の蛍光スペクトルを測定した。得られた結果を図15に示す。
また、得られた蛍光スペクトルから、波長395nm(ピレンのモノマー発光)における蛍光強度および波長470nm(ピレンのエキシマー発光)における蛍光強度とピレン濃度との関係をグラフに示した。得られた結果を図16に示す。図16に示す結果からも明らかなように、モノマー発光はピレン濃度が2.5mMのときに最大となり、それ以上にピレン濃度を上昇させていくとモノマー発光は減少し、次第にエキシマー発光が増大していくことが確認された。また、ピレン濃度が30mMになるとエキシマー発光は飽和していることから、この濃度がダイマーの存在できる最大量であるということが確認された。
(4)浸漬時間および検体濃度と蛍光スペクトルとの関係の評価
実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に、水中に浸漬した。そして、浸漬前、並びに浸漬後60分間、120分間および180分間経過後における蛍光スペクトルを測定した。得られた結果を図17に示す。図17に示す結果からも明らかなように、浸漬したときの蛍光スペクトルの経時変化であるが、エキシマー発光の減少とモノマー発光の増加が見られることが確認された。この理由については必ずしも明らかではないが、図18に示す現象によるものと推察される。すなわち、チタニアブトキシドの加水分解によってアモルファス状態のチタニアは、膜中に存在する未反応のアルコキシド成分の反応が促進され、チタニアの結晶度が増す。チタニアは電子吸引性の物質なのでピレンのもっている豊富な電子を奪い蛍光の消光を引き起こす。そして、電子の多いエキシマー発光の方が優先的にチタニアの影響を受けて電子が奪われるため、ダイマーからモノマーに分解し、結果としてモノマー発光の増加が起こったものと推察される。
また、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に、経時的に濃度が高くなるTNT水溶液中に浸漬した。TNT水溶液は、始めの30分間では純水であるが、その後30分間毎に、10ppq、100ppq、1ppt、10ppt、100pptとTNT濃度が高くなる。そして、浸漬前、並びに浸漬後5分間経過毎における蛍光スペクトルを測定した。得られた結果を図19に示す。図19に示す結果からも明らかなように、10ppq〜100pptという極端に低い濃度でも目に見える程の変化でTNTを検知できることが確認された。
図17および図19に示す結果から、波長395nm(ピレンのモノマー発光)における蛍光強度変化および波長470nm(ピレンのエキシマー発光)における蛍光強度変化と浸漬時間との関係をグラフに示した。得られた結果を図20に示す。図20に示す結果からも明らかなように、TNT濃度を10倍とした時も応答挙動が見られ、濃度依存性があることが確認された。また、TNTの吸着による消光反応は1〜10pptでほぼ完了していた。さらに、図18で表した現象によるものかは不明であるが、エキシマー発光の消光に伴って、モノマー発光の発光強度が倍近く上昇していていることが確認された。
さらに、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに対し340nmの紫外光を照射した後に、経時的に濃度が高くなる2,4−DNT水溶液中に浸漬した。2,4−DNT水溶液は、始めの30分間では純水であるが、その後30分間毎に、10ppq、100ppq、1ppt、10ppt、100pptと2,4−DNT濃度が高くなる。そして、浸漬前、並びに浸漬後5分間経過毎における蛍光スペクトルを測定した。得られた結果を図21に示す。
図17、図19および図21に示す結果から、波長395nm(ピレンのモノマー発光)における蛍光強度変化および波長470nm(ピレンのエキシマー発光)における蛍光強度変化と浸漬時間との関係をグラフに示した。得られた結果を図22に示す。図22に示す結果からも明らかなように、TNTと比較して2,4−DNTは100pptでも反応は完了しておらず、10ppqの反応スピードも遅いことが確認された。また、2,4−DNTについては、TNTと比較してモノマー発光に関する蛍光強度変化の値が半分ほどであることから、芳香族ニトロ化合物検知センサーにはニトロ基の数の違いで分子選択性があることが確認された。
図17、図19および図21に示す結果から、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを2,4−DNTまたはTNT水溶液中に浸漬した場合における、検体濃度の対数と蛍光強度変化との関係をグラフに示した。得られた結果を図23に示す。図23に示すように、2,4−DNTの場合、TNTの場合いずれも直線関係が得られていた。そして、近似直線式とLOD=3σ(σ=0.4)の式からそれぞれの検出限界濃度を求めた。LODMonomer(TNT)=0.091ppq、LODMonomer(DNT)=0.089ppq、LODExcimer(TNT)=0.35ppq、LODExcimer(DNT)=0.039ppqとなり、モノマー発光の増加とエキシマー発光の消光が同時に確認できるところがもっとデータの信頼性が高いと思われるため、実質的な検出限界濃度は、TNTが0.091ppqとなり、2,4−DNTが0.35ppqとなる。
(5)空気中における検知試験
実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーについて空気中における検知試験を行った。すなわち、図24に示すように、コットン(Osaki社製、「滅菌パール綿状S」、滅菌済み)に検体を500μL染み込ませ、50mlのサンプル瓶に入れてふたをして温度25℃に保持しながら30分間安定させた。その後、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーを積層している基板をそのサンプル瓶に入れ検体ガスの吸着を行った。そして、投入前、並びに投入後1分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後における蛍光スペクトルを測定した。検体としては20ppmのTNT水溶液を用いた場合の結果を図25に示す。また、検体としては水を用いた場合の結果を図26に示す。
図25および図26に示す結果から、波長395nm(ピレンのモノマー発光)における蛍光強度変化および波長470nm(ピレンのエキシマー発光)における蛍光強度変化と暴露時間との関係をグラフに示した。得られた結果を図27に示す。図27に示す結果からも明らかなように、TNTガスに晒された場合にはエキシマー発光の明らかな消光が起こすことが確認された。また、10分程で消光反応が完了しており、エキシマー発光の強度が300も減少していることが確認された。エキシマー発光の消光に対してモノマー発光の増加の割合が低いが、気相中で反応を行う場合と液相中で反応を行う場合とではTNTの拡散の仕方が異なるためと推察される。すなわち、気相中の反応においてはTNTが膜内に拡散しにくく、表面に近いダイマーピレンがTNTの求電子反応を強く受けるため、モノマーに分解してからもなおTNTの求電子反応を受けてモノマー発光の消光を起こしているものと推察される。
さらに、検体として、0.1ppmのTNT水溶液または1ppmのTNT水溶液を用いた以外は、前述の方法と同様にして、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーに検体ガスの吸着を行い、投入前、並びに投入後1分間、5分間、10分間、20分間および30分間経過後における蛍光スペクトルを測定した。
上記の結果および図25および図26に示す結果から、波長395nm(ピレンのモノマー発光)における蛍光強度変化および波長470nm(ピレンのエキシマー発光)における蛍光強度変化と暴露時間との関係をグラフに示した。得られた結果を図28に示す。図28に示す結果からも明らかなように、実施例9で得られた芳香族ニトロ化合物検知センサーは、1ppm以上のTNT水溶液を検体とした場合には、TNTガスに対して応答していることが確認された。そして、TNTガスに晒された後1分経過すれば、1ppm以上のTNT水溶液を検体とした場合と、ブランクとなる水を検体とした場合とを区別ができることが確認された。なお、濃度の目安として、通常混合溶液から発生する蒸気の濃度を見積もるラウール則を適用してみると、20ppmのTNT水溶液から発生するTNTガスの濃度は12.1ppqと見積もることができ、1ppmのTNT水溶液から発生するTNTガスの濃度は0.61ppqと見積もることができる。
(試験例1〜15)
(1)塗布用溶液の作製
ポリスチレン(PS、Aldrich社製、重量平均分子量(Mw):280,000g mol-1)およびチタニアブトキシド(Ti(OnBu)4、Kanto Chemicals社製)をそれぞれクロロホルムに溶解させてポリスチレン溶液およびチタニアブトキシド溶液を調製した。
そして、これらの溶液およびクロロホルムを用いて、塗布用溶液中のTi(OnBu)4濃度およびPS濃度(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度)がそれぞれ以下に示すようになるように、混合して塗布用溶液を得た。なお、PS濃度については、モノマー換算の濃度である。
試験例1:0mM/100mM
試験例2:100mM/0mM
試験例3:100mM/5mM
試験例4:100mM/10mM
試験例5:100mM/15mM
試験例6:100mM/20mM
試験例7:100mM/25mM
試験例8:100mM/30mM
試験例9:100mM/40mM
試験例10:100mM/50mM
試験例11:100mM/60mM
試験例12:100mM/70mM
試験例13:100mM/80mM
試験例14:100mM/90mM
試験例15:100mM/100mM
(2)薄膜の作製
ポリビニルアルコール(PVA、Polysciences社製、ケン化度:98mol%、Mw:78,000g mol-1)の0.5質量%水溶液を調製した。そして、シリコンウエハ基板(サイズ:2.5cm×2.5cm)の表面上に、スピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、PVA水溶液を塗布した。このようにして、基板の表面上にPVA層を形成した。
次に、PVA層が形成された基板のPVA層側の表面上に、窒素雰囲気下においてスピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、前記塗布用溶液を塗布した。その後、蒸留水中に1分間浸漬することにより、チタニアブトキシドを加水分解させて、基板上に薄膜を形成した。
(3)塗布用溶液中の粒子径の測定
試験例1〜4、6〜10および15に用いた塗布用溶液中について、DLS測定により粒子径を測定し、粒子径分布曲線を作成した。得られた結果を図29に示す。図29に示す結果からも明らかなように、チタニアブトキシド中に少しの比率でもポリスチレンが存在すると、ポリスチレン単独では4〜5nmの粒子径分布であるのに対し、8〜13nmの粒子が溶液中で形成されることが確認された。従って、相分離は溶液中で既に起こっていることが確認された。
(4)薄膜の表面観察
(i)シリコンウエハ基板、(ii)試験例1で得られた薄膜(ポリスチレン薄膜)、(iii)試験例2で得られた薄膜(チタニア薄膜)、(iv)〜(viii)試験例3〜7で得られた薄膜(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度=100mM/5〜25mM)、(ix)試験例10で得られた薄膜(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度=100mM/50mM)および(x)試験例10で得られた薄膜(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度=100mM/100mM)について、AFMおよびSEMを用いて表面観察を行った。得られた結果を図30に示す。なお、図30において、左側の表面像がAFM像であり、右側の表面像がSEM像であり、またSEM像のスケールは1μmを表す。
図30に示す結果からも明らかなように、チタニアブトキシド100mMに対するポリスチレン濃度が5mMの場合はナノドット構造となり、10mMの場合はひも状構造となり、15mMの場合は網目状構造となり、20mMの場合は網目がより密になった構造を形成することが確認された。また、チタニアブトキシド100mMに対するポリスチレン濃度が50mMより高い場合は、穴は確認できず、表面は完全に平面になることが確認された。従って、チタニアブトキシド1モルに対するポリスチレンの量は、モノマー換算で、0.5モル以上であることが好ましい。
(5)薄膜のTEM観察
試験例2〜3で得られた薄膜について、TEMを用いて観察を行った。図31および図33にそれぞれ試験例3で得られた薄膜のTEM像を示す。図32に試験例3で得られた薄膜の断面のTEM像を示す。図34に試験例2で得られた薄膜のTEM像を示す。図33および図34を比較すると、試験例2で得られたチタニア膜は平滑で均一な薄膜であるが、試験例3で得られた薄膜(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度=100mM/5mM)はSEM像やAFM像で観察されたものと同様の形状の球状の凝集体が見られる。そして、凝集物以外の膜の形状はチタニア膜と同じであることから、凝集体はポリスチレンで構成されていることが確認された。また、図32に示す試験例3で得られた薄膜の断面形状を確認すると、基板のすぐ上に厚みが17nmの薄膜があり、幅30〜100nm、高さ30〜40nmの島状の構造体となっていることが確認された。従って、ポリスチレン凝集体はチタニア層の上または、埋め込まれた形で存在していると推察される。
(6)薄膜の紫外可視吸収スペクトルの測定
試験例2〜6および8〜15で得られた薄膜の紫外可視吸収スペクトルを測定した。得られた結果を図35に示す。また、チタニアブトキシドを加水分解し、ゲル化するとアモルファスなチタニアになるが、その場合、波長260nmをピークトップに吸収を有するので、波長260nmの紫外可視吸収とポリスチレンの量との関係を示すグラフを作成した。得られた結果を図36に示す。図35および図36に示す結果からも明らかなように、チタニアブトキシド濃度が一定にも関わらず、波長260nmの吸収がポリスチレン濃度とともに増加している。特に、ポリスチレン濃度が0〜30mMにおいてチタニア吸収の増加は顕著である。ポリスチレン濃度が0mMの場合に比べると、30mMの場合は吸収が1.5倍高くなっている。また、30〜100mMのポリスチレン濃度では、チタニア吸収がほぼ一定の値であった。ポリスチレン濃度が0〜30mMの場合、構造変化に伴い、チタニアが表面にもう1つの層を形成し、ポリスチレン濃度が30mMを超える場合、表面をほとんど覆ってしまうようになるためにチタニア吸収がほとんど変化しなかったもの推察される。従って、チタニアはPVA層の水酸基や水分残渣と反応してPVAのすぐ上に層を形成するが、ポリスチレンがチタニア層の上で比率増加に伴った相分離構造を形成するときに、ポリスチレンの周りを覆うようにしてチタニア層が形成されるものと推察される。
(7)薄膜の表面接触角の測定
試験例2〜15で得られた薄膜の表面接触角を測定した。得られた結果を図37に示す。試験例1で得られた薄膜(ポリスチレン薄膜)に水を接触させた状態を図38に示す。また、試験例12で得られた薄膜(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度=100mM/70mM)に水を接触させた状態を図39に示す。図37〜図39に示す結果からも明らかなように、試験例2〜15で得られた薄膜は親水的であることから、試験例2〜15で得られた薄膜においてはポリスチレンの周りを覆うようにしてチタニア層が形成されているものと推察される。
(試験例16〜19)
(1)塗布用溶液の作製
ポリスチレン(PS、Aldrich社製、重量平均分子量(Mw):280,000g mol-1)およびチタニアブトキシド(Ti(OnBu)4、Kanto Chemicals社製)をそれぞれクロロホルムに溶解させてポリスチレン溶液およびチタニアブトキシド溶液を調製した。
そして、これらの溶液およびクロロホルムを用いて、塗布用溶液中のTi(OnBu)4濃度およびPS濃度(Ti(OnBu)4濃度/PS濃度)がそれぞれ以下に示すようになるように、混合して塗布用溶液を得た。なお、PS濃度については、モノマー換算の濃度である。
試験例16:100mM/100mM
試験例17:50mM/100mM
試験例18:25mM/100mM
試験例19:0mM/100mM
(2)薄膜の作製
ポリビニルアルコール(PVA、Polysciences社製、ケン化度:98mol%、Mw:78,000g mol-1)の0.5質量%水溶液を調製した。そして、シリコンウエハ基板(サイズ:2.5cm×2.5cm)の表面上に、スピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、PVA水溶液を塗布した。このようにして、基板の表面上にPVA層を形成した。
次に、PVA層が形成された基板のPVA層側の表面上に、窒素雰囲気下においてスピンコート法により、塗布量を64μL/cm2とし、回転数を3000rpmとし、展開時間を1分間として、前記塗布用溶液を塗布した。その後、蒸留水中に1分間浸漬することにより、チタニアブトキシドを加水分解させて、基板上に薄膜を形成した。
(3)薄膜の断面観察
試験例16〜19で得られた薄膜の断面をSEMにて観察した。図40〜図43に試験例16〜19で得られた薄膜の断面のSEM像をそれぞれ示す。図40〜図43に示す結果からも明らかなように、ポリスチレン濃度100mMに対してチタニアブトキシド濃度が25mMである場合には、薄膜が3層構造をとらないことが確認された。従って、チタニアブトキシド1モルに対するポリスチレンの量は、モノマー換算で、4モル未満であることが好ましい。
本発明によれば、例えば爆薬成分などに用いられる芳香族ニトロ化合物を高感度で検知することが可能な芳香族ニトロ化合物検知センサーを簡便で且つ効率よく製造することができる芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法、並びに芳香族ニトロ化合物検知センサーおよびそれを用いた芳香族ニトロ化合物の検知方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. チタニアブトキシドとポリスチレン又はポリチオフェンのポリマーとピレンモノマーまたはその誘導体とを混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液を基板に塗布し、相分離により、チタニア層と前記チタニア層に挟み込まれ且つ前記ピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリマー層からなる3層構造を形成する層形成工程を有することを特徴とする芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法。
  2. 前記基板を取り去ることで、前記チタニア層に挟み込まれた前記ポリマー層からなる3層構造を持つ自立膜とする基板除去工程を有することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ニトロ化合物検知センサーの製造方法。
  3. 基板の上にチタニア層に挟み込まれ且つピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層からなる3層構造の膜を有することを特徴とする芳香族ニトロ化合物検知センサー。
  4. チタニア層に挟み込まれ且つピレンモノマーまたはその誘導体を含有するポリスチレン又はポリチオフェンのポリマー層からなる3層構造の膜からなることを特徴とする芳香族ニトロ化合物検知センサー。
  5. 請求項1又は2で記載された方法で製造された芳香族ニトロ化合物検知センサー若しくは請求項3又は4で記載された芳香族ニトロ化合物検知センサーの蛍光変化によって、芳香族ニトロ化合物の存在を検知することを特徴とする芳香族ニトロ化合物の検知方法。
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