JP5811594B2 - 微粒子の製造装置及びトナーの製造装置 - Google Patents
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Description
重合法は、トナー粒子形成時あるいはトナー粒子形成過程においてトナー材料の重合反応を伴うことから、このように称される。重合法においては各種重合方法が実用化されており、重合法としては、懸濁重合、乳化凝集、ポリマー懸濁(ポリマー凝集)及びエステル伸長反応等がある。
特許文献1〜3に開示されたトナーの製造法においては、ノズルからノズル径に対応した液滴を放出する。このような製造法では、トナー組成液を噴霧した後において、形成された液滴が乾燥する前に液滴同士が合着し、その状態のまま溶媒が乾燥してトナーが得られるため、結果として、得られるトナーの粒径分布の広がりが避けられず、トナー粒径分布としては満足のいくものでなかった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、噴射造粒法での微粒子の製造装置、中でも静電荷像現像用トナーの製造装置において、噴霧後の液滴同士の合着を防止し、サテライトをなくすことによって、より狭い粒径分布を有する、微粒子の製造方法及び静電荷像現像用トナーの製造方法をより安定したプロセスとして提供することにある。
1.本発明の微粒子の製造装置は、溶媒に、樹脂材料を溶解乃至は分散させた溶解乃至分散液を、該溶解乃至分散液を供給する流路の一部に設けた複数の孔を有する液滴吐出手段から液滴を吐出し、該液滴を気体中にて固化させることにより、粒子を形成させる微粒子の製造装置において、前記液吐出手段の液吐出面に吐出ノズルが一列に配置され、前記液吐出手段の液吐出面の下流部近傍にノズル列方向に沿うように配置された絞り部を有することを特徴とする。
なお、本発明における上記「近傍」とは、絞り部上端が、液吐出手段(吐出ヘッド)の吐出面に接触しないように、当該面から10mm以下の範囲に配置された状態を意味するが、実際の配置位置は、吐出ヘッドの大きさ、ノズル径やノズル数などを考慮して適宜決定することができ、好ましくは吐出面から5mm以下、より好ましくは1mm以下の範囲に配置する。
2.本発明のトナーの製造装置は、溶媒に、少なくとも結着樹脂及び顔料を含むトナー材料を溶解乃至分散させた溶解乃至分散液を、該溶解乃至分散液を供給する流路の一部に設けた複数の孔を有する液滴吐出手段から液滴を吐出し、該液滴を気体中にて固化させることにより、トナー粒子を形成させるトナーの製造装置において、前記液吐出手段の液吐出面に吐出ノズルが一列に配置され、前記液吐出手段の液吐出面の下流部近傍にノズル列方向に沿うように配置された絞り部を有することを特徴とする。
3.本発明のトナーの製造装置は、さらに、前記絞り部の出口部下流にアシスト気流を付加させることを特徴とする。
4.本発明のトナーの製造装置は、さらに、前記絞り部全体が撥液性材料からなるか又は前記絞り部表面が撥液性材料でコートされていることを特徴とする。
5.本発明のトナーの製造装置は、さらに、前記液吐出手段が、液柱共鳴による液吐出手段であることを特徴とする。
6.本発明のトナーの製造装置は、さらに、前記絞り部の最下流端部に液回収用通路が具備されていることを特徴とする。
[液滴吐出手段]
本発明で用いる液滴吐出手段としては、吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段及び液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられる。
液滴の粒径分布が狭く、かつトナーの生産性を確保するためには、液体に接した複数の吐出孔が形成された薄膜を振動させる膜振動タイプの液滴吐出手段があり、もう一方では、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、この定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から液体を吐出する液滴化液柱共鳴があり、これらのいずれかを用いることが好ましい。
以下、液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について説明する。
図1は、液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。図2は、液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11は、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通している。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
トナー組成液14は、後述する図14に示す液循環ポンプ15により液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、トナー組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。定在波の腹となる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、さらには効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。
なお、液共通供給路17を通過したトナー組成液14は図示していない液戻り管を流れて、後述する図14に示す原料収容器13に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給されるトナー組成液14の流量が増加し、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー組成液14の流量が元に戻る。
さらに、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されている方が好ましい。その範囲に限定はないが、100〜2000個の液柱共鳴液室18が備えられた1つの液滴形成ユニットであれば操作性と生産性が両立できるので、より好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18と連通している。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室18内のトナー組成液14の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー組成液14に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・(式1)
の関係にある。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数)
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)場合、すなわち片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。すなわち、上記式2のNが奇数の場合である。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
と導かれる。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4及び式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は、音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図3及び図4に示すような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波パターンは変動し、上記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
例えば、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmであり、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式2より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmと、上記と同じ条件とし、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式2より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれ、同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
また、吐出孔の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこの因子に応じて適宜決定することができる。例えば吐出孔の数を多くすると、固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が徐々に緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。さらに、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また、吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。
このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率良く発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。すなわち、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離をLeとしたとき、L及びLeの両方の長さにより下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
吐出孔の数が100個を超えた場合、100個の吐出孔19から所望の液滴を形成させようとすると、振動発生手段20に与える電圧を高く設定する必要が生じ、振動発生手段20としての圧電体の挙動が不安定となる恐れがある。また、複数の吐出孔19を開孔する場合、吐出孔間のピッチは20μm以上、かつ液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。吐出孔間のピッチが20μmより大きい場合、隣合う吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、トナーの粒径分布悪化につながる。
また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。さらに、図5において、前述したように液中共鳴室18の液共通供給路側が開放されているが、液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上であるため、液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
また、図7は、駆動周波数290〜395kHzの同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。図7からわかるように、第一〜第四のノズルにおいて、駆動周波数が340kHz付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっている。図7に示す特性結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340kHzにおいて、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図7に示す特性結果から、第一モードである130kHzにおいての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340kHzにおいての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
膜振動タイプの液滴吐出手段として、間接振動型液滴吐出手段と直接振動型液滴吐出手段がある。以下、それぞれについて説明する。
<間接振動型液滴吐出手段>
複数の吐出孔19を有する薄膜41は、振動手段33の振動面43に対して平行に設置されており、薄膜41の一部がフレーム40に接合固定されており、機械的振動手段33の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となる。機械的振動手段33の振動発生手段20の上下面に電圧信号が付与されるように、回路35が設けられており、駆動信号発生源34からの信号を機械的振動に変換することができる。電気信号を与える回路としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、機械的振動手段33は後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅の大きな素子を用いることが、効率的かつ安定なトナー生産には好適である。
たわみ振動は、図10に示すように薄膜の中心で変位ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。図10は、膜振動型吐出手段の液滴吐出原理を示す概略図である。薄膜が周期的に上下振動することで吐出孔19から液滴21が周期的に吐出することとなる。液滴21が吐出できる薄膜41の速度範囲は図10のような関係があり、吐出可能な面積範囲は限られるため、この面積範囲に吐出孔19を形成することが望ましい。吐出孔19は図9に示すように薄膜41の中心部に配置されている。
機械的振動手段33は、吐出孔19を有する薄膜41に対して垂直方向の振動を与えるものであれば、どのような配置でもよいが、振動面43と薄膜41とは平行に配置される。
図8に示す例では振動発生手段20と振動増幅手段42で構成される機械的振動手段33としてホーン型振動子を用いており、このホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段20の振幅を振動増幅手段42で増幅することができる。このため、機械的振動を発生する振動発生手段20自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。ホーン型振動子の形状としては、公知の代表的なホーン形状でよく、目的に合わせて適宜形状を選択することができる。また、振動発生手段20としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。このボルト締めランジュバン型振動子は、圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがないという利点を有する。
図11は、直接振動型液滴吐出手段の構造を示す概略図であり、図12は、図11に示す直接振動型液滴吐出手段を吐出面から見た構造を示す概略図である。直接振動型液滴吐出手段53は、少なくとも液滴21を吐出させる吐出孔19を備えた薄膜41と、薄膜41を振動させるための円環状振動発生手段37と、トナー組成液を供給するトナー組成液流路7を設けたフレーム50を備えている。トナー組成液は図示されない原料収容器から液循環ポンプによって液供給管を通ってトナー組成液供給口6から供給され、トナー組成液流路7を通り、トナー組成液排出口8から排出され、図示されない液戻り管を通って再び原料収容器に戻る。
薄膜41は、外周部をフレーム50に接合固定している。円環状振動発生手段37は、薄膜41の吐出孔19を設けた領域の周囲に配されている。円環状振動発生手段37は、円環状圧電体36と電極38によって構成され、電極38に回路35を通じて駆動信号発生源34から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えばたわみ振動を発生する。円環状圧電体36や電極38としては、間接振動型液滴吐出手段51で用いる圧電体や電極と同じものを用いることができる。
<吐出液流速を、「液滴直径×周波数の3倍」にする手段>
吐出時の液初速は印加電圧により制御することができる。また、吐出された液滴の速度は周辺気体より受ける抵抗により急激に減速される。その減速割合は系によって決まる。本系においては、ノズルから10mm以内では、リニアに減速され、その減速率は約15%/mmとなっている。従って吐出後1mm下の液流速は、吐出初速により一義的に制御することができる。また、液初速は印加電圧により制御可能であるため、ノズルから1mm後の液滴速度も簡単に制御できる。具体例を示すと酢酸をφ9μmのノズルから10Vのサイン波で吐出させると約12m/sの初速が得られ1mm後には10m/sに減速した。
これに対し液滴の径はノズル系により決まりほとんど変化なくノズル径9μmに対し液滴径は約10μmとなった。このときの周波数は350khzであった。よって液滴径×周波数×3=9μm×350k×3=約9.5m/sとなり、電圧を0.5V下げて調整することで所望の速度を得ることができた。
次に、間接振動型液滴吐出手段51及び直接振動型液滴吐出手段53による液滴形成のメカニズムについて説明する。
前述したように、これらの液滴吐出手段はトナー組成液流路7に臨む複数の吐出孔19を有する薄膜41に、振動発生手段によって発生した振動を伝播させて、薄膜41を周期的に振動させ、比較的大面積の領域に複数の吐出孔19を配置し、それら複数の吐出孔19より液滴を周期的に、安定に形成して放出することができるようになる。
Pac(r,t)=Zr・Vm(r,t) ・・・(式6)
薄膜の振動速度Vmは、時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形などの様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述のとおり、薄膜の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、薄膜上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる薄膜の振動形態は、前述のとおり軸対象である。したがって、実質的には半径(r)座標の関数となる。
気相へ周期的に排出されたトナー組成液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
さらには、前記音圧の変位量が、10kPa以上となることによって、前述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
吐出孔19を有する薄膜41は、前述したように、トナー組成液を吐出させて液滴とする部材である。
薄膜41の材質、吐出孔19の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜41は厚み5〜500μmの金属板で形成され、かつ、吐出孔19の開口径が3〜30μmであることが、吐出孔19からトナー組成液の液滴21を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、吐出孔19の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、複数の吐出孔19の個数は、2〜3000個が好ましく、200〜2000がより好ましい。
吐出孔19の断面形状は、間接振動型液滴吐出手段を示す図8や直接振動型液滴吐出手段を示す図11においては、吐出孔19の開口部と接液面とで大きさが変わらない形状として記載されているが、適宜断面形状を変更することができる。
図13に吐出孔19の取りうる断面形状を示す。図13は、膜振動タイプ吐出手段の薄膜の断面を示す概略図である。図13(a)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜41が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
図13(d)に示す断面形状は、図13(a)と図13(b)とを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
前述した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー組成液の液滴を乾燥させた後に、捕集することで本発明のトナーを得ることができる。ここでは乾燥及び捕集を行う手段について説明する。
図14は、本発明のトナーの製造方法を実施するトナー製造装置の一例を示す概略図である。トナー製造装置1は、主として、液滴吐出手段2及び乾燥捕集ユニット60を含んで構成されている。液滴吐出手段2としては、前述のように幾つかの方式の液滴吐出手段を適宜用いることができる。液滴吐出手段2には、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、さらに液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のトナー組成液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、トナー組成液14を随時、液滴吐出手段2に供給することができる。液供給管16には液圧力計P1、乾燥捕集ユニット60にはチャンバ内圧力計P2が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力及び乾燥捕集ユニット内の圧力は、圧力計P1及びP2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、トナー組成液14が液滴吐出手段2に設けられた吐出孔から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には液滴吐出手段2に気体が入り、液の吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から導入された気流による下降気流101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送されるため、噴射されたトナー液滴21が空気抵抗によって減速されることを抑制することができる。これにより、トナー液滴21を連続的に噴射したときに、前に噴射されたトナー液滴21が乾燥する前に空気抵抗によって減速し、後で噴射されたトナー液滴21が前に噴射されたトナー液滴21に追い付くことで、トナー液滴21同士が合着して一体となり、トナー液滴21の粒径が大きくなることを抑制することができる。
搬送気流101は、液滴21同士の合着を抑制することができればよく、特に気流の状態として限定されることは無く層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流101を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いてもよい。前述のように、液滴21が乾燥することで合着しなくなる性質があるために、液滴21は、液滴21の乾燥を促進できる条件を持つことが好ましい。このことから、液滴21は、トナー組成液14に含まれる溶媒の蒸気を含まないことが望ましい。また、搬送気流101の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。また、チャンバ61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流101は、液滴21同士の合着を防止するだけでなく、チャンバ61に液滴21が付着するのを防止することに用いてもよい。
前述した液滴乾燥捕集手段では、液滴の合着を搬送気流によって抑えているが、液滴乾燥捕集手段だけでは液滴の合着防止が充分でない場合は、更なる合着防止手段を取り入れることもできる。
合着防止手段としては、液滴吐出手段2付近での補助搬送気流の導入や、液滴への同一極性の帯電、及び電界制御等が挙げられ、適宜用いることができる。
図15は、補助搬送気流を用いた合着防止手段の一例を示す概略図である。図15において、液滴吐出手段2の周りにはシュラウド66が配置されており、その一部に補助搬送気流導入口67が配置されている。補助搬送気流導入口67から導入された気体は、シュラウド66によって形成された気流通路12を通って、液滴吐出手段2の吐出孔19の周辺に補助搬送気流68として形成される。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、順次補助搬送気流68によって、液滴吐出手段2の近傍においては速度を落とすことなく移動するので、液滴21同士の合着の頻度をきわめて低く抑えることができる。補助搬送気流68の速度は、液滴吐出手段2から吐出された直後の液滴速度に対して同じか速いことが望ましく、それより遅い場合は逆効果となる場合もある。
図15に示すように、補助搬送気流68は液滴21の進行方向と同一であることが望ましいが、合着を防ぐことができれば液滴吐出方向と補助搬送気流の方向が同じである必要は無い。
シュラウド66の形状は、図15に示すように液滴吐出手段2の吐出孔19付近で開口部を絞ることによって流速を制御してもよいが、絞りを持たせなくてもよく、形状は適宜選択することができる。補助搬送気流68を構成する気体の種類に特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いてもよい。
このようにして捕集したトナーの粒径分布は図16に示すようになる。図16は、合着を防止することができた場合のトナー粒径分布の一例を示すグラフである。図16に示す粒径分布は、捕集したトナーについての一例であるが、ほとんど単一粒径のトナー粒子しか存在しないことがわかる。これは前述のように吐出された液滴21が合着することなく、乾燥して得られた場合に得られる粒径分布である。
一般に、液滴吐出手段2から吐出した液滴21は空気抵抗を受けて吐出速度が急速に低下し、且つ自然落下を始める。液滴21の吐出速度が低下すると液滴間距離が短くなり、やがては液滴間の合着を生じるようになる。また、合着した液滴は空気抵抗が増し、乾燥も遅れるためにさらに別の液滴と合着を引き起こすようになり、数個の液滴が合着する場合もあり、これが乾燥すると合着した後に乾燥した粒子を生じ、結果として得られるトナーの粒径分布は広くなる。図17に示す粒径分布は、捕集したトナーの一例であるが、図中に「基本粒子」と示したピークを構成する乾燥粒子は、合着しなかった液滴21がそのまま乾燥固化したものである。図17において、「2倍」と記載されたピークを形成する乾燥粒子は、液滴21が吐出後に合着し、その後に乾燥固化して得られたものである。同様に3倍、4倍、それ以上の合着が進行していることが、図17に示す粒径分布測定結果から推測することができる。
ここで、粒径分布測定は、フロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて解析することにより行うことができる。粒径分布は、体積平均粒子径(Dv)と個数平均粒子径(Dn)の比で比較することができ、Dv/Dnで示すことができる。Dv/Dnは最も小さいもので1.0であり、これはすべての粒径が同一であることを示している。Dv/Dnが大きいほど粒径分布が広いことを示す。一般的な粉砕トナーは、Dv/Dn=1.15〜1.25程度である。また重合トナーは、Dv/Dn=1.10〜1.15程度である。本発明のトナーはDv/Dn=1.15以下とすることで印刷品質に効果が確認されており、より好ましくはDv/Dn=1.10以下である。
電子写真システムにおいては粒径分布が狭いことが、現像工程、転写工程及び定着工程に求められるため、このような粒径分布の広がりは望ましくなく、安定的に高精細な画質を得るためにはDv/Dn=1.15以下が好ましく、より高精細な画像を得るためにはDv/Dn=1.10以下がより好ましい。より好ましくは1.00〜1.05である。また、重量平均粒径は、1〜20μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
本発明は、トナー粒子等の微粒子における究極の均一性を得ることを目的とするものであり、その粒径分布の要因となるサテライト粒子、合一粒子をともに最小限とする製造方法の発明に関するものである。ここでは図18を用いて微粒子の製造工程を説明する。図18(a)は、一つのヘッドから液滴が吐出される様子を示したものであり、実際には複数ヘッドを配置させることによってその収量を確保する。図18(b)は、通常の吐出を示したものであり、ノズル近傍では多くの場合、形成された液滴は主滴とサテライトに分離される状態となる。その後急速に空気抵抗を受け液流速が低下するとともにサテライトは主滴に吸収されていく、その後も液滴速度が低下するに従い主滴同士の合一が始まり、より大きな液滴となり、乾燥固化する。図18(c)はこれに対し吐出直後から気流を付加した場合の例で、主滴同士の合一はなくなるがサテライト粒子も吸収されず残存する。
これに対し本発明においては、図18(d)に示すように、吐出後の液滴を液滴形成エリア、サテライト吸収エリア、主滴合一防止エリアの3段階に分解し、ノズルからVJ1の速度をもって送り出された液滴を周辺雰囲気気体の抵抗により、VJ2まで下げた後、絞り部を通過する間に自然と加速され、主滴間距離が離される。その後、再加速された液滴速度にあわせ気流を周辺からアシストさせ、主滴の合一をさせることなく乾燥固化させる。
図19も液滴搬送通路の一例を示しており、液吐出面近傍でのもどり気流がないよう配置され、吐出された液滴が減速されサテライトを吸収したのち速やかに再加速されるべく、設計されている。
図20は、絞り部を示す図であり、(a)は絞り部の概略図、(b)及び(c)は詳細図である。
図21は本発明における絞り部(整流板80)を吐出ノズル列方向に配置させた例を示す概略図である。図21は複数のノズルが配置された吐出ヘッドの液吐出面より下流部近傍に、ノズル列方向に沿うように絞り部を設置した例を示したもので、大量の液滴をスムーズに気流に乗せることができる。
つまり、前述したシュラウド構造のみでは、吐出ヘッド端部近傍の複数ノズルから吐出された液滴には吐出方向の気流があたるものの、ヘッド中央付近の複数ノズルには、特に吐出直後の液滴に対して気流があたり難く、また前述したように、もどり気流によるノズル詰まりが比較的早期に生じ、安定して長時間吐出できなくなる恐れが高いが、図21のように、複数ノズルの各列に沿って「絞り部」を配置することで、ノズル位置に関わらず吐出液滴を気流に乗せることができ、大量の液滴を安定して長時間吐出させることが可能となる。
必要に応じて、さらに流動床乾燥や真空乾燥といった二次乾燥が行われる。有機溶媒がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶媒が揮発するため、使用者及び周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
本発明に係るトナーは前述した実施の形態に係るトナー製造装置のように、本発明を適用したトナーの製造方法により製造されたトナーであり、この製造方法により、粒径分布が単分散なトナーが得られる。
トナー材料としては、従来の電子写真用トナーに用いるトナー材料と全く同じものを使用することができる。トナー粒子は、結着樹脂を各種有機溶媒に溶解し、着色剤を分散させ、かつ離型剤を分散又は溶解させ、これを前記トナー製造方法により微小液滴として乾燥固化させることで作製することができる。
〔全体プロセス〕
図22は本発明に係るトナー造粒システムの好ましい例を示す全体概要図である。図22において、69は液吐出用ヘッド、70はサイクロン捕集装置、71はトナー貯蔵ボックス、72は回収フィルター、73はブロワー、74は溶媒回収ボックス、75は加熱用ヒーター、76は溶媒回収コンデンサー、77はヒートポンプ構造である。図22に示すように、液吐出→液滴固化→粒子捕集→溶媒回収→液吐出の一連のプロセスは循環するよう設けられ、このときの系内の気体は窒素等の不活性気体を用いることが望ましい。また、溶媒の回収再利用はヒートポンプ等を用いた熱管理にて行うことでエネルギー効率を上げることができる。
前記トナー材料は、少なくとも樹脂、着色剤及びワックスを含有し、必要に応じて、帯電調整剤、添加剤及びその他の成分を含有する。
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ系樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又はビスフェノールAにエチレンオキシド及びプロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることがさらに好ましい。
本発明において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上含有するものが好ましい。
(1)試料は、予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておいて使用する。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをW[g]とする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤及び磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
(3)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定する。
(4)このときのKOH溶液の使用量をS[ml]とし、同時にブランクを測定し、このときのKOH溶液の使用量をB[ml]とし、以下の式で酸価を算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価[mgKOH/g]=[(S−B)×f×5.61]/W
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができ。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。
前記着色剤の含有量は、トナー中1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
本発明で用いるトナー組成液は、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有する。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス及びサゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう及びホホバろう等の植物系ワックス;蜜ろう、ラノリン及び鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン及びペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス及びカスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶媒法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
前記ワックスの総含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
本発明に係るトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末及びポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ及び乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤又はシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン及び処理アルミナなどが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉末酸化チタン及び微粉末アルミナが好ましく、また、シランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカがさらに好ましい。
前記流動性向上剤の粒径は、平均一次粒径で0.001〜2μmであることが好ましく、0.002〜0.2μmであることがより好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84;Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5;Wacker HDK(WACKER−CHEMIE社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40;D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名);Franso1(Fransi1社商品名)などが挙げられる。
流動性向上材の、BET法で測定した窒素吸着による比表面積は、30m2/g以上が好ましく、60〜400m2/gがより好ましい。表面処理された微粉体の比表面積は、20m2/g以上が好ましく、40〜300m2/gがより好ましい。
これらの微粉体の使用量は、トナー粒子100質量部に対して0.03〜8質量部とすることが好ましい。
この他、外添剤としては、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系樹脂、熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。
先ず、実施例で用いた吐出するトナー材料溶解乃至分散液の処方を示す。
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(RegaL400;Cabot社製)17質量部、顔料分散剤(アジスパーPB821;味の素ファインテクノ社製))3質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。得られた一次分散液を、ビーズミル(LMZ型ジルコニアビーズ(径0.3mm);アシザワファインテック社製)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、径が5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。
次にワックス分散液を調製した。
カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤(ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したもの)2質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるようワックス粒子を析出させた。得られた分散液を、さらにビーズミル(LMZ型ジルコニアビーズ(径0.3mm);アシザワファインテック社製)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下なるよう調整した。
次に、結着樹脂としての樹脂、上記着色剤分散液及び上記ワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー組成液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100質量部、前記着色剤分散液30質量部、ワックス分散液30質量部を、酢酸エチル840質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行うことにより均一に分散させた。溶媒希釈によるショックで顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
図14及び図15に示される構成のトナー製造装置1のシュラウド66の代わりに、図19で示した絞り部のサテライト吸収エリアと合一防止エリアの境が噴射ノズル面から下方1mmの位置に来るように設置したものを用い、吐出手段として液柱共鳴液滴吐出手段を用いてトナーの製造を行った。
各構成物のサイズや吐出条件は下記のとおりである。
−−液柱共鳴液滴吐出手段−−
液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85mm、N=2の共鳴モードであって、第一〜第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置したものを用いた。駆動信号発生源34として、NF社製のファンクションジェネレーターWF1973を用い、ポリエチレン被覆のリード線で振動発生手段に接続した。この時の駆動周波数は液共鳴周波数に合わせて340kHzとなる。
−−トナー捕集部−−
チャンバ61は、内径がφ400mm、高さが2000mmの円筒形で垂直に固定され、上端部と下端部が絞られており、搬送気流導入口64の径はφ50mm、搬送気流排出口65の径はφ50mmである。液滴吐出手段2はチャンバ61内上端より300mmの高さでチャンバ61の中央に配置されている。搬送気流は10.0m/s、40℃の窒素とした。
前述のトナー製造装置を用いてトナー組成液を吐出させ、チャンバ内で乾燥固化したトナー粒子をサイクロン捕集機で捕集した。
このときの吐出はシュラウド66を用いたときに比べ格段に高い吐出安定性が得られ、2時間閉塞することなく捕集することができた。捕集したトナーをトナー貯蔵容器より取り出し、トナーを得た。このトナーの粒径分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス社)で下記に示す測定条件にて測定した。これを3回繰り返したところ、体積平均粒径(Dv)の平均は5.2μm、個数平均粒径(Dn)の平均は5.2μmであり、Dv/Dnの平均は1.02であった。
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。トナー、トナー粒子及び外添剤のフロー式粒子像分析装置による測定は、例えば、東亜医用電子社製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて行うことができる。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cm3の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬社製のコンタミノンN)を数滴加え、さらに、測定試料を5mg加え、超音波分散器(UH−50;STM社製)で20kHz、50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、さらに、合計5分間の分散処理を行い<測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒径分布を測定した。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定することができる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示すとおり、0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行った。図23にトナー粒径分布を示す。
絞り部のサテライト吸収エリアと合一防止エリアの境をノズル面の直下からの距離で2mm、3mmと離して粒子を捕集した以外は実施例1と同様にトナー粒子を得た。結果、ノズルが閉塞するまでの時間は実施例1とほぼ同様であったが、粒度分布については2mm時に1.08、3mmでは1.14と少し低下した。
絞り部を設けずにシュラウド66を適用した前述のトナー製造装置を用いてトナー組成液を吐出させ、チャンバ内で乾燥固化したトナー粒子をサイクロン捕集機で捕集した。トナー貯蔵容器よりトナーを取り出し、トナーを得た。このトナーの粒径分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス社)で下記に示す測定条件にて測定した。これを3回繰り返したところ、体積平均粒径(Dv)の平均は5.9μm、個数平均粒径(Dn)の平均は5.2μmであり、Dv/Dnの平均は1.13であった。また、ノズルは10分程度で閉塞してしまった。
以上のように、適切な位置に絞りを設け、雰囲気気体の流速を適切に与えてやることにより、ノズル面への吐出粒子のもどりがなく安定した吐出を継続させることができる。さらに結果として、非常にシャープな粒径分布を得ることができることが示される。
2:液滴吐出手段
6:トナー組成液供給口
7:トナー組成液流路
8:トナー組成液排出口
10:液柱共鳴液滴吐出ユニット
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:トナー組成液
15:液循環ポンプ
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴室
19:吐出孔
20:振動発生手段
21:液滴
22:液戻り管
30:圧電体
31:電極
33:機械的振動手段
34:駆動信号発生源
35:回路
36:円環状圧電体
37:円環状振動発生手段
38:電極
40:フレーム
41:薄膜
42:振動増幅手段
43:振動面
44:ノズル角度
50:フレーム
51:間接振動型液滴吐出手段
53:直接振動型液滴吐出手段
60:乾燥捕集ユニット
61:チャンバ
62:トナー捕集手段
63:トナー貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
66:シュラウド
67:補助搬送気流導入口
68:補助搬送気流
69:液吐出用ヘッド
70:サイクロン捕集装置
71:トナー貯蔵ボックス
72:回収フィルター
73:ブロワー
74:溶媒回収ボックス
75:加熱用ヒーター
76:溶媒回収コンデンサー
77:ヒートポンプ構造
80:整流板
101:搬送気流
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
Claims (6)
- 溶媒に、樹脂材料を溶解乃至は分散させた溶解乃至分散液を、該溶解乃至分散液を供給する流路の一部に設けた複数の孔を有する液滴吐出手段から液滴を吐出し、該液滴を気体中にて固化させることにより、粒子を形成させる微粒子の製造装置において、
前記液吐出手段の液吐出面に吐出ノズルが一列に配置され、
前記液吐出手段の液吐出面の下流部近傍にノズル列方向に沿うように配置された絞り部を有する
ことを特徴とする微粒子の製造装置。 - 溶媒に、少なくとも結着樹脂及び顔料を含むトナー材料を溶解乃至分散させた溶解乃至分散液を、該溶解乃至分散液を供給する流路の一部に設けた複数の孔を有する液滴吐出手段から液滴を吐出し、該液滴を気体中にて固化させることにより、トナー粒子を形成させるトナーの製造装置において、
前記液吐出手段の液吐出面に吐出ノズルが一列に配置され、
前記液吐出手段の液吐出面の下流部近傍にノズル列方向に沿うように配置された絞り部を有する
ことを特徴とするトナーの製造装置。 - 請求項2に記載のトナーの製造装置において、
前記絞り部の出口部下流にアシスト気流を付加させる
ことを特徴とするトナーの製造装置。 - 請求項2又は3に記載のトナーの製造装置において、
前記絞り部全体が撥液性材料からなるか又は前記絞り部表面が撥液性材料でコートされている
ことを特徴とするトナーの製造装置。 - 請求項2ないし4のいずれかに記載のトナーの製造装置において、
前記液吐出手段が、液柱共鳴による液吐出手段である
ことを特徴とするトナーの製造装置。 - 請求項2ないし5のいずれかに記載のトナーの製造装置において、
前記絞り部の最下流端部に液回収用通路が具備されている
ことを特徴とするトナーの製造装置。
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