JP5808599B2 - プライマー組成物および該プライマー組成物を用いた光半導体装置 - Google Patents

プライマー組成物および該プライマー組成物を用いた光半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、プライマー組成物および該プライマー組成物を用いた光半導体装置に関する。
光半導体素子(LED素子)を光源とする光半導体装置は、現在、各種の屋内又は屋外表示板、画像読み取り用光源、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット等の様々な用途に使用されている。このような光半導体装置は、一般に、光半導体装置のパッケージに実装された光半導体素子が透明な封止材(封止樹脂)により封止された構造を有しており、上記封止材は光半導体素子を水分や衝撃等から保護するための役割を担っている。
近年、このような光半導体装置の高出力化や短波長化が進んでおり、例えば、青色・白色光半導体装置においては、光半導体素子から発せられる光及び熱による封止材の黄変が問題となっている。このように黄変した封止材は、光半導体素子から発せられた光を吸収するため、光半導体装置から出力される光の光度が経時で低下してしまう。
従来、耐熱性に優れた光半導体素子の封止材として、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートとビスフェノールA型エポキシ樹脂とを含む樹脂組成物の硬化物が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、上記硬化物を高出力の青色・白色光半導体装置の封止材として用いた場合であってもやはり、光半導体素子から発せられる光及び熱によって着色が進行してしまい、本来出力されるべき光が吸収され、その結果、光半導体装置から出力される光の光度が経時で低下するという問題が生じていた。
より高い耐熱性及び耐光性を有し、着色(黄変)しにくい封止材として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物、1,2,8,9−ジエポキシリモネンなどの脂環骨格を有する液状の脂環式エポキシ樹脂の硬化物が知られている。しかし、これらの脂環式エポキシ樹脂の硬化物は各種応力に弱く、冷熱サイクル(加熱と冷却を周期的に繰り返すこと)のような熱衝撃が加えられた場合に、クラック(ひび割れ)が生じてしまう等の問題を有していた。
一方、光半導体装置のパッケージ内部にシランカップリング剤を付着させ、次いで乾燥させることによって、シランカップリング剤による層をパッケージ内部に形成し、その後、封止材により光半導体素子を封止する光半導体装置の製造方法が知られている(特許文献2参照)。このような方法により製造された光半導体装置は上記シランカップリング剤による層を有することにより、パッケージと封止材との密着性に優れ、高い信頼性を発揮する。
特開2000−344867号公報 特開2003−249691号公報
一般に、光半導体装置は、はんだ付けにより該光半導体装置の電極を配線基板に接合するためのリフロー工程(はんだリフロー工程)を経る。近年、接合材としてのはんだとして、融点の高い無鉛はんだが使用されるようになってきており、リフロー工程での加熱処理の温度がより高温(例えば、ピーク温度が240〜260℃)になってきている。このような状況下、上述の特許文献2に記載の製造方法により得られる光半導体装置においても、リフロー工程での加熱処理により封止材が光半導体装置のリードフレームから剥離したり、クラックを生じたりする等により、リフロー工程後に光度が低下してしまうという問題が発生することが判明した。特に、このような封止材の剥離は、光半導体装置に吸湿処理を施した後、さらに引き続きリフロー工程にて加熱処理をするような場合に顕著に発生する傾向があった。
このため、光半導体装置においては、封止材の耐熱性、耐光性、及び耐クラック性の向上に加え、リフロー工程(特に、吸湿処理後のリフロー工程)で加熱された場合でも封止材がリードフレームから剥離したり、該封止材にクラックが生じたりしないことが求められている。なお、本明細書において「耐クラック性」とは、熱衝撃が加えられた場合であっても、封止材にクラックが生じにくい特性をいう。また、「耐リフロー性」とは、光半導体装置を基板に実装する際に行うリフロー工程(特に、吸湿処理後のリフロー工程)で加熱処理した場合であっても、リードフレームから封止材が剥離したり、封止材にクラックが生じたりするなどの劣化が生じにくい特性をいう。
従って、本発明の目的は、光半導体装置のパッケージ表面に形成され、リフロー工程(特に、吸湿処理後のリフロー工程)での加熱による封止材へのクラック発生や封止材の剥離等の不具合を抑制するプライマー層を形成するためのプライマー組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、リフロー工程での加熱による封止材へのクラック発生や封止材の剥離等の不具合を生じにくく、光度が経時で低下しにくい光半導体装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、光半導体装置のパッケージ表面に、シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤とを必須成分として含むプライマー組成物によるプライマー層を形成すると、リフロー工程での加熱による封止材へのクラック発生や封止材の剥離等の不具合が生じにくく、該プライマー層を有する光半導体装置は経時で光度が低下しにくいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤とを必須成分として含むことを特徴とするプライマー組成物を提供する。
さらに、25℃で固体のエポキシ樹脂を含む前記のプライマー組成物を提供する。
さらに、フェノキシ樹脂を含む前記のプライマー組成物を提供する。
さらに、前記表面調整剤が、シリコーン系化合物、アクリル系化合物、及びフッ素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である前記のプライマー組成物を提供する。
また、本発明は、光半導体素子が実装されたパッケージと、前記パッケージの表面に設けられた前記のプライマー組成物より形成されたプライマー層と、前記光半導体素子及び前記プライマー層を被覆する封止材とを有することを特徴とする光半導体装置を提供する。
さらに、前記封止材が、脂環式エポキシ化合物(A)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である前記の光半導体装置を提供する。
さらに、前記封止材が、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
Figure 0005808599
[式中、R1及びR2は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、硬化剤(C)又は硬化触媒(D)とを含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である前記の光半導体装置を提供する。
本発明のプライマー組成物は上記構成を有するため、光半導体装置のパッケージ表面に該プライマー組成物によるプライマー層を形成すると、リフロー工程(特に、吸湿処理後のリフロー工程)での加熱による光半導体素子の封止材へのクラック発生や封止材のリードフレームからの剥離等の不具合が抑制される。このため、本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層を有する本発明の光半導体装置は、リフロー工程(特に、吸湿処理後のリフロー工程)で加熱処理が加えられた場合であっても、経時で光度が低下しにくく、優れた品質及び耐久性を有する。
図1は、本発明のプライマー組成物により形成されたプライマー層を有する光半導体装置(本発明の光半導体装置)の一実施形態を示す概略図(断面図)である。 図2は、実施例のはんだ耐熱性試験1及びはんだ耐熱性試験2における光半導体装置の表面温度プロファイル(リフロー炉内での二度の加熱のうち一方の加熱における温度プロファイル)の一例である。
<プライマー組成物>
本発明のプライマー組成物は、光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物(プライマー層形成用組成物)であって、シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤とを必須成分として含む組成物である。本発明のプライマー組成物は、さらに、25℃で固体のエポキシ樹脂及び/又はフェノキシ樹脂(25℃で固体のエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂のいずれか一方又は両方)を含むことが好ましい。
[シランカップリング剤の縮合物]
本発明のプライマー組成物を構成するシランカップリング剤の縮合物は、シランカップリング剤の加水分解縮合物(シランカップリング剤の加水分解物のシラノール基を脱水縮合させることで生成する縮合物)である。具体的には、例えば、上記シランカップリング剤の縮合物として、下記一般式(I)又は(II)で表されるシランカップリング剤のX基を水の存在下で加水分解してシラノール基とし、さらに脱水縮合させたものを使用することができる。
R−Si≡(X)3 (I)
R−Si≡(R´)(X)2 (II)
式(I)及び式(II)中、Rは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、又はメルカプト基を有する有機基を示し、R´は低級アルキル基(例えば、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基など)を示し、Xは、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)を示す。本発明のプライマー組成物において上記シランカップリング剤の縮合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記式(I)及び(II)における「≡」は、ケイ素原子と、X及びR´との間の3本の単結合を示し、三重結合を表すものではない。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(ジメトキシメチルシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N,N´−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシランが好ましい。なお、シランカップリング剤の縮合物を生成させるにあたり、原料としてのシランカップリング剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記シランカップリング剤を加水分解し、さらに脱水縮合させて、シランカップリング剤の縮合物を生成させる方法は、慣用の加水分解及び縮合反応を実施する方法から適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤に酸性の水溶液(例えば、塩酸水溶液、硫酸水溶液、酢酸水溶液など)を添加し、攪拌する方法を挙げることができる。
上記シランカップリング剤の縮合物としては市販品を使用することもでき、例えば、商品名「Dynasylan6490」、「Dynasylan6498」、「Dynasylan6598」、「Dynasylan4144」(以上、エボニックデグサジャパン(株)製)、商品名「X−41−1053」、「X−41−1059A」、「X−41−1056」、「X−41−1805」、「X−41−1818」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2655A」、「KR−513」(以上、信越化学工業(株)製)などを使用することができる。
上記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)は、特に限定されないが、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、10〜99.5重量%が好ましく、より好ましくは20〜99重量%、さらに好ましくは30〜98重量%である。含有量が10重量%未満であると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。一方、含有量が99.5重量%を超えると、光半導体装置の耐リフロー性が低下する場合がある。
[表面調整剤]
本発明のプライマー組成物を構成する表面調整剤は、プライマー組成物の表面張力を変化させ、濡れ性、レベリング性、スリップ性、消泡性など(特に、濡れ性、レベリング性)を向上させる化合物である。本発明のプライマー組成物が表面調整剤を含むことにより、該プライマー組成物より形成されるプライマー層は、光半導体装置においてリフロー工程(特に、吸湿後のリフロー工程)での加熱によるリードフレームからの封止材の剥離を効果的に抑制することができる。
上記表面調整剤としては、具体的には、例えば、シリコーン系化合物(シリコーン系表面調整剤)、アクリル系化合物(アクリル系表面調整剤)、フッ素系化合物(フッ素系表面調整剤)、ビニル系化合物(ビニル系表面調整剤)などが挙げられる。中でも、上記表面調整剤は、耐熱性、耐光性、密着性の観点で、シリコーン系化合物、アクリル系化合物、及びフッ素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。これらの表面調整剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記表面調整剤のうち、分子中にフッ素原子を少なくとも有するものは、上記「フッ素系化合物(フッ素系表面調整剤)」に分類されるものとする。
上記シリコーン系化合物(シリコーン系表面調整剤)としては、例えば、ポリジメチルシロキサンや、これを変性した変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。上記変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンのポリエーテル変性体(例えば、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部又は全部をポリエーテル(例えば、ポリオキシアルキレンなど)に置換した構造を有する重合体等)、アルキル変性体(例えば、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部又は全部を炭素数2以上のアルキル基に置換した構造を有する重合体等)、ポリエステル変性体(例えば、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部又は全部をポリエステル(例えば、脂肪族ポリエステル、脂環式ポリエステル、芳香族ポリエステルなど)に置換した構造を有する重合体等)、アラルキル変性体(例えば、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部又は全部をアラルキル基に置換した構造を有する重合体等)などが挙げられる。
上記シリコーン系化合物(シリコーン系表面調整剤)としては、市販品を使用することもでき、例えば、商品名「BYK−302」、「BYK−307」、「BYK−333」、「BYK−349」、「BYK−375」、「BYK−377」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、商品名「ポリフローKL−401」、「ポリフローKL−402」、「ポリフローKL−403」、「ポリフローKL−404」(以上、共栄社化学(株)製)などを使用することができる。
上記アクリル系化合物(アクリル系表面調整剤)としては、例えば、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分として構成された重合体(アクリル系モノマー由来の構成単位を必須の構成単位として有するアクリル系重合体)が挙げられる。上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸アルキルエステル(又はメタクリル酸アルキルエステル)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有するアクリル酸エステル(又はメタクリル酸エステル)、ポリエステル構造(例えば、脂肪族ポリエステル構造、脂環式ポリエステル構造、芳香族ポリエステル構造など)やポリエーテル構造(例えば、ポリオキシアルキレン構造など)を有するアクリル酸エステル(又はメタクリル酸エステル)等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル;アクリル酸又はメタクリル酸;アクリル酸又はメタクリル酸の塩;アクリルアミド又はメタクリルアミドなどが挙げられる。なお、上記アクリル系重合体はホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよく、公知乃至慣用の重合方法等により得ることができる。
上記アクリル系化合物(アクリル系表面調整剤)としては、市販品を使用することもでき、例えば、商品名「BYK−350」、「BYK−356」、「BYK−361N」、「BYK−3550」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、商品名「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.99C」(以上、共栄社化学(株)製)などを使用することができる。
上記フッ素系化合物(フッ素系表面調整剤)としては、例えば、フッ素原子を有するモノマーを必須のモノマー成分として構成された重合体(フッ素原子を有するモノマー由来の構成単位を必須の構成単位として有する重合体)が挙げられる。上記フッ素系化合物としては、具体的には、例えば、水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル基(例えば、パーフルオロアルキル基)を有するアクリル系重合体(含フッ素アクリル系重合体)などが挙げられる。上記含フッ素アクリル系重合体は、特に限定されないが、上記フッ素化アルキル基を有するアクリル系モノマーを重合すること等により得られる。上記含フッ素アクリル系重合体は、例えば、上述のアクリル系化合物において例示したアクリル系モノマーが共重合されたものであってもよい。
また、上記フッ素系化合物のその他の例としては、水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル基(例えば、パーフルオロアルキル基)を有するポリエーテル系重合体(含フッ素ポリエーテル系重合体)などが挙げられる。上記含フッ素ポリエーテル系重合体はホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。上記含フッ素ポリエーテル系重合体は、例えば、対応する環状エーテル化合物を開環重合すること等により得ることができる。
上記フッ素系化合物(フッ素系表面調整剤)としては、市販品を使用することもでき、例えば、商品名「BYK−340」(ビックケミー・ジャパン(株)製)、商品名「メガファックF−410」、「メガファックF−444」、「メガファックF−430」、「メガファックF−552」、「メガファックF−553」、「メガファックF−556」(以上、DIC(株)製)などを使用することができる。
上記表面調整剤の含有量(使用量)は、特に限定されないが、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜15重量%、さらに好ましくは0.3〜12重量%である。含有量が0.1重量%未満であると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。一方、含有量が20重量%を超えると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。
[溶剤]
本発明のプライマー組成物を構成する溶剤としては、上記シランカップリング剤の縮合物及び表面調整剤を分散(好ましくは溶解)させることができる有機溶剤を、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができ、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール系溶剤;キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、 γ−カプロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ヘキサノラクトン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−エチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等のラクトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、2,6−ジメチル−4−へプタノン、シクロへキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤などが挙げられる。中でも、エステル系溶剤、ラクトン系溶剤が好ましい。
上記溶剤の含有量(使用量)は、特に限定されないが、塗布工程や乾燥工程における作業性の観点から、プライマー組成物全量(100重量%)に対して、70重量%以上(例えば、70〜99.9重量%)が好ましく、より好ましくは80〜99.5重量%である。溶剤の含有量が70重量%未満であると、塗工性が低下し、均一なプライマー層を得ることが困難となる場合がある。
[25℃で固体のエポキシ樹脂]
本発明のプライマー組成物は、上述のように、さらに、25℃で固体のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。25℃で固体のエポキシ樹脂を含むことにより、本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層の光半導体素子の封止材に対する密着性をより高めることができる。このような密着性向上の効果は、後述の脂環式エポキシ化合物(A)及びモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を封止材として用いた場合に、顕著に得られる傾向がある。
上記25℃で固体のエポキシ樹脂としては、25℃で固体となる周知慣用のエポキシ樹脂から適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、イソシアヌレート環骨格を有するエポキシ樹脂(例えば、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物、トリグリシジルイソシアヌレート化合物)などのエポキシ樹脂が挙げられる。なお、上記25℃で固体のエポキシ樹脂の末端構造は、特に限定されず、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。上記の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。なお、上記25℃で固体のエポキシ樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記25℃で固体のエポキシ樹脂の平均官能基数(1分子中のエポキシ基の数の平均値)は、特に限定されないが、プライマー層と、パッケージ及び封止材との密着性向上の観点で、2〜6が好ましく、より好ましくは2〜4である。上記平均官能基数は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量と、JIS K7236に準拠して測定されるエポキシ当量とから算出することができる。
25℃で固体のエポキシ樹脂としては、市販品を使用することができ、例えば、商品名「1001」、「1004」、「1009」、「1004F」、「1009F」、「1007FS」、「4005P」、「4007P」(以上、三菱化学(株)製)、商品名「エポトートYD−011」、「エポトートYD−014」、「エポトートYD−017」、「エポトートYD−019」、「エポトートYD−6020」、「YDF−2011」、「YDF−2004」(以上、新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。
上記25℃で固体のエポキシ樹脂の含有量(使用量)は、特に限定されないが、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、1〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜38重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。含有量が1重量%未満であると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。一方、含有量が40重量%を超えると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。
[フェノキシ樹脂]
本発明のプライマー組成物は、上述のように、さらに、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。フェノキシ樹脂を含むことにより、本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層の光半導体素子の封止材に対する密着性をより高めることができる。このような密着性向上の効果は、後述の脂環式エポキシ化合物(A)及びモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を封止材として用いた場合に、顕著に得られる傾向がある。
上記フェノキシ樹脂としては、周知慣用のフェノキシ樹脂から適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型/F型混合型フェノキシ樹脂等のビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂;ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂;アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂;フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格などの脂環骨格を有するフェノキシ樹脂;これらの骨格を2以上有するフェノキシ樹脂などが挙げられる。なお、上記フェノキシ樹脂の末端構造は、特に限定されず、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、エポキシ基、メルカプト基などの官能基を有していてもよい。上記の中でも、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂が好ましい。上記フェノキシ樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記フェノキシ樹脂としては、市販品を使用することができ、例えば、商品名「1256」、「4250」、「4275」(以上、三菱化学(株)製)、商品名「YP−50」、「YP−50S」、「YP−50U」、「YP−70」、「ZX−1356−2」、「FX−316」、「FX−310T40」、「FX−280S」、「FX−293」、「YPS−007A30」、「TX−1016」(以上、新日鐵化学(株)製)などが挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の含有量(使用量)は、特に限定されないが、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、1〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜38重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。含有量が1重量%未満であると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。一方、含有量が40重量%を超えると、光半導体装置の耐クラック性及び耐リフロー性が低下する場合がある。
本発明のプライマー組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、硬化剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカやアルミナなどの無機充填剤、難燃剤、着色剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤が挙げられる。
本発明のプライマー組成物は、シランカップリング剤の縮合物、表面調整剤、及び溶剤、並びに、必要に応じて、25℃で固体のエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、その他の添加剤等を、混合することにより得ることができる。これらの混合に際しては、公知乃至慣用の攪拌装置などを使用することができ、特に限定されないが、例えば、自転公転型ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダ−、ディソルバーなどを使用できる。
<光半導体装置>
本発明の光半導体装置は、光半導体素子が実装されたパッケージと、上記パッケージの表面に設けられた本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層と、上記光半導体素子及び上記プライマー層を被覆する封止材とを少なくとも有する光半導体装置である。図1は、本発明の光半導体装置の一実施形態を示す概略図(断面図)である。図1に示す光半導体装置は、光半導体素子102が実装されたパッケージ(リフレクター100及び金属配線101)と封止材104とが、プライマー層105を介して接着されている。なお、光半導体素子102は、ダイボンド材106により金属配線100に固定されており、なおかつボンディングワイヤ103により金属配線101と電気的に接続されている。
本発明の光半導体装置は、(1)本発明のプライマー組成物を、光半導体素子が実装された光半導体装置のパッケージ表面に塗布する工程(「工程A」と称する)と、(2)上記工程Aの後、塗布した上記プライマー組成物を乾燥及び/又は硬化させてプライマー層を形成させる工程(「工程B」と称する)と、(3)工程Bの後、上記光半導体素子及び上記プライマー組成物を封止材で封止する工程(「工程C」と称する)とを含む製造方法により得ることができる。
上記工程Aにおいて、本発明のプライマー組成物を光半導体素子が実装された光半導体装置のパッケージ表面に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、ディッピング法、スピン法、スプレー法などが挙げられる。なお、本発明のプライマー組成物を塗布する(即ち、プライマー層を形成する)のは、光半導体素子が実装された光半導体装置のパッケージ表面の一部の面であってもよいし、全面であってもよい。中でも、パッケージ表面のうち、プライマー層を形成しない場合に封止材と接触する部分については、少なくとも本発明のプライマー組成物を塗布する(即ち、プライマー層を形成する)ことが好ましい。
上記工程Bにおいて、パッケージ表面に塗布したプライマー組成物を乾燥及び/又は硬化させてプライマー層を形成する方法は、特に限定されないが、加熱、光照射、電子線照射などの公知乃至慣用の乾燥及び/又は硬化方法を利用することができる。
上記工程Cにおいて、上記光半導体素子及び上記プライマー組成物を封止材で封止する方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法を利用することができる。上記封止材としては、特に限定されず、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの公知乃至慣用の材料を使用することができる。中でも、上記封止材としては、透明性、耐熱性、耐光性の観点から、脂環式エポキシ化合物(A)を必須成分として含む硬化性エポキシ樹脂組成物(「本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物」と称する場合がある)を硬化することで得られる硬化物を使用することが好ましい。以下、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)を少なくとも含む樹脂組成物である。特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化物の耐クラック性の観点から、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
Figure 0005808599
[式中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、硬化剤(C)又は硬化触媒(D)とを少なくとも含む樹脂組成物であることが好ましい。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を構成する脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内(1分子内)に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを少なくとも有する化合物である。より具体的には、脂環式エポキシ化合物(A)には、例えば、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する場合がある)を有する化合物、及び(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物等が含まれる。なお、脂環式エポキシ化合物(A)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。中でも、上記化合物は、シクロヘキサン環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有すること、即ち、シクロヘキセンオキシド基を有する脂環式エポキシ化合物であることが好ましい。
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物としては、特に、耐熱性及び耐光性(特に、耐紫外線性)の点で、下記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)が好ましい。
Figure 0005808599
式(I)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
式(I)中のXが単結合である脂環式エポキシ化合物としては、下記式で表される化合物が挙げられる。このような脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド8000」(ダイセル化学工業(株)製)などの市販品を用いることもできる。
Figure 0005808599
上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
上記連結基Xとしては、中でも、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数個連結した基、これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基などが挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、上記で例示したものが挙げられる。
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−10)で表される化合物などが挙げられる。なお、下記式(I−1)〜(I−8)中、l、mは、1〜30の整数を表す。Rは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が好ましい。また、下記式(I−9)、(I−10)中のn1〜n6は、1〜30の整数を示す。
Figure 0005808599
Figure 0005808599
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2081」(ダイセル化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005808599
式(II)中、R’はp価のアルコールからp個の−OHを除した基であり、p、nは自然数を表す。p価のアルコール[R’−(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコールなど(炭素数1〜15のアルコール等)が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(丸括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、商品名「EHPE 3150」(ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物(A)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、上記式(I−1)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」が特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、10〜100重量%が好ましく、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。使用量が10重量%未満であると、硬化物の耐熱性、耐光性が低下する場合がある。
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が後述の硬化剤(C)を含む場合、脂環式エポキシ化合物(A)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは18〜70重量%である。一方、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が後述の硬化触媒(D)を含む場合、脂環式エポキシ化合物(A)の使用量(含有量)は、硬化性エポキシ樹脂組成物(100重量%)に対して、25〜95重量%が好ましく、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは35〜85重量%である。
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が後述のモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含む場合、脂環式エポキシ化合物(A)とモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)との総量(100重量%)に対する、脂環式エポキシ化合物(A)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、50〜90重量%が好ましく、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。脂環式エポキシ化合物(A)の使用量が50重量%未満では、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の溶解性が十分でなく、室温に置くと析出しやすくなる場合がある。一方、脂環式エポキシ化合物(A)の使用量が90重量%を超えると、硬化物の耐クラック性が低下する場合がある。
[モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)]
上述のように、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含むことが好ましい。上記モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、下記の一般式(1)で表される。
Figure 0005808599
上記式(1)中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。
炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。特に、上記式(1)中のR1及びR2は、水素原子であることが特に好ましい。
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の代表的な例としては、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、上記脂環式エポキシ化合物(A)に溶解する範囲で任意に混合でき、脂環式エポキシ化合物(A)とモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の割合は特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A):モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)が50:50〜90:10(重量比)であることが好ましい。この範囲外では、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の溶解性が得られにくくなったり、耐クラック性が低下する場合がある。
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、アルコールや酸無水物など、エポキシ基と反応する化合物を加えてあらかじめ変性して用いても良い。
[硬化剤(C)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに硬化剤(C)を含むことが好ましい。上記硬化剤(C)は、エポキシ基を有する化合物を硬化させる働きを有する化合物であり、硬化剤(C)を用いることで容易に硬化物を得ることができる。硬化剤(C)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができる。中でも、硬化剤(C)としては、25℃で液状の酸無水物が好ましく、より具体的には、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの常温(約25℃)で固体状の酸無水物についても、常温(約25℃)で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、硬化剤(C)として使用することができる。硬化剤(C)としては、耐熱性、耐光性、耐クラック性の観点で、特に、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。なお、硬化剤(C)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明においては、硬化剤(C)として、商品名「リカシッド MH−700」(新日本理化(株)製)、商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
硬化剤(C)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、50〜200重量部が好ましく、より好ましくは100〜145重量部である。より具体的には、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含有する全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合で使用することが好ましい。硬化剤(C)の使用量が50重量部を下回ると、硬化が不十分となり、硬化物の強靱性が低下する傾向がある。一方、硬化剤(C)の使用量が200重量部を上回ると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
[硬化触媒(D)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の硬化剤(C)の代わりに、硬化触媒(D)を含んでいてもよい。硬化触媒(D)を用いることにより、硬化剤(C)を用いた場合と同様にエポキシ基を有する化合物の硬化反応を進行させ、硬化物を容易に得ることができる。上記硬化触媒(D)としては、特に限定されないが、例えば、紫外線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、重合を開始させることが可能なカチオン触媒(カチオン重合開始剤)を用いることができる。なお、硬化触媒(D)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
紫外線照射によりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩などが挙げられる。また、上記カチオン触媒としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製)、商品名「イルガキュア264」(チバ・ジャパン(株)製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)等の市販品を好ましく使用することもできる。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体などが挙げられる。上記カチオン触媒としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上、(株)ADEKA製)、商品名「FC−509」(スリーエム製)、商品名「UVE1014」(G.E.製)、商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」(以上、三新化学工業(株)製)、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を好ましく使用することもできる。上記カチオン触媒としては、さらに、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物などを用いることもできる。
硬化触媒(D)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。硬化触媒(D)を上記範囲内で使用することにより、耐熱性、耐光性、透明性に優れた硬化物を得ることができる。
[硬化促進剤(E)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤(E)を含んでいてもよい。硬化促進剤(E)は、エポキシ基を有する化合物が硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物である。特に、硬化剤(C)と併用することが多い。硬化促進剤(E)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、4級アンモニウム塩、ヨードニウム塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;リン酸エステル、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛などの有機金属塩;金属キレートなどが挙げられる。なお、硬化促進剤(E)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明においては、硬化促進剤(E)として、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 410」、「U−CAT 18X」、「12XD(開発品)」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製)、商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
硬化促進剤(E)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。硬化促進剤(E)の使用量が0.05重量部を下回ると、硬化促進効果が不十分となる場合がある。一方、硬化促進剤(E)の使用量が5重量部を上回ると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
[アクリルブロック共重合体]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、光半導体装置の経時での光度低下を抑制する観点から、さらに、アクリルブロック共重合体を含むことが好ましい。より詳しくは、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物がアクリルブロック共重合体を含む場合、当該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて製造された光半導体装置は、特に高輝度・高出力の場合であっても光度が低下しにくい傾向がある。即ち、アクリルブロック共重合体を用いることにより、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、より高いレベルの耐熱性、耐光性、及び耐クラック性を発揮できる傾向がある。
上記アクリルブロック共重合体は、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分とするブロック共重合体である。上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸ベンジル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸2−トリフルオロエチル等の(メタ)アクリル酸の(フルオロ)アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の分子中にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有アクリル単量体;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリセリンのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の分子中に水酸基を有する水酸基含有アクリル単量体;メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の分子中にエポキシ基を有するアクリル単量体;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の分子中にアリル基を有するアリル基含有アクリル単量体;γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の分子中に加水分解性シリル基を有するシラン基含有アクリル単量体;2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収性基を有する紫外線吸収性アクリル単量体などが挙げられる。
なお、上記アクリルブロック共重合体には、上記アクリル系モノマーに加え、さらに上記アクリル系モノマー以外のモノマーがモノマー成分として用いられていてもよい。上記アクリル系モノマー以外のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン、エチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフィンなどが挙げられる。
上記アクリルブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えば、2つの重合体ブロックからなるジブロック共重合体や、3つの重合体ブロックからなるトリブロック共重合体、4つ以上の重合体ブロックより構成されるマルチブロック共重合体などが挙げられる。
中でも、上記アクリルブロック共重合体としては、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性向上の観点で、ガラス転移温度(Tg)が低い重合体ブロック(S)(ソフトブロック)と、重合体ブロック(S)よりも高いTgを有する重合体ブロック(H)(ハードブロック)が交互に並んだブロック共重合体が好ましく、より好ましくは重合体ブロック(S)を中間に有し、その両端に重合体ブロック(H)を有するH−S−H構造のトリブロック共重合体が好ましい。なお、上記アクリルブロック共重合体の重合体ブロック(S)を構成するポリマーのTgは、特に限定されないが、30℃未満が好ましい。また、重合体ブロック(H)を構成するポリマーのTgは、特に限定されないが、30℃以上が好ましい。上記アクリルブロック共重合体が複数の重合体ブロック(H)を有する場合には、それぞれの重合体ブロック(H)が同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。同様に、上記アクリルブロック共重合体が複数の重合体ブロック(S)を有する場合も、それぞれの重合体ブロック(S)が同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
上記アクリルブロック共重合体(上記H−S−H構造のトリブロック共重合体等)における、重合体ブロック(H)を構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば、ホモポリマーのTgが30℃以上であるモノマーが挙げられ、より詳しくは、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。一方、上記アクリルブロック共重合体における、重合体ブロック(S)を構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば、ホモポリマーのTgが30℃未満であるモノマーが挙げられ、より詳しくは、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸C2-10アルキルエステル、ブタジエン(1,4−ブタジエン)などが挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるアクリルブロック共重合体の好ましい具体例としては、例えば、上記重合体ブロック(S)がブチルアクリレート(BA)を主たるモノマーとして構成された重合体であり、上記重合体ブロック(H)がメチルメタクリレート(MMA)を主たるモノマーとして構成された重合体である、ポリメチルメタクリレート−block−ポリブチルアクリレート−block−ポリメチルメタクリレートターポリマー(PMMA−b−PBA−b−PMMA)等が挙げられる。上記PMMA−b−PBA−b−PMMAは、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性向上の点で好ましい。なお、上記PMMA−b−PBA−b−PMMAは、必要に応じて、成分(A)や成分(B)等に対する相溶性向上を目的として、親水性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基など)を有するモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸等を、PMMAブロック及び/又はPBAブロックに共重合させたものであってもよい。なお、アクリルブロック共重合体は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記アクリルブロック共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、3000〜500000が好ましく、より好ましくは30000〜400000である。数平均分子量が3000未満であると、硬化物の強靭性が十分でなく、耐クラック性が低下する場合がある。一方、数平均分子量が500000を超えると、脂環式エポキシ化合物(A)との相溶性が低下し、硬化物の透明性が低下する場合がある。
上記アクリルブロック共重合体は、公知乃至慣用のブロック共重合体の製造方法により製造することができる。上記アクリルブロック共重合体の製造方法としては、中でも、アクリルブロック共重合体の分子量、分子量分布及び末端構造などを制御のしやすさの観点で、リビング重合(リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合など)が好ましい。上記リビング重合は公知乃至慣用の方法により実施可能である。
また、上記アクリルブロック共重合体としては、例えば、商品名「ナノストレングス M52N」、「ナノストレングス M22N」、「ナノストレングス M51」、「ナノストレングス M52」、「ナノストレングス M53」(以上、アルケマ製、PMMA−b−PBA−b−PMMA)、商品名「ナノストレングス E21」、「ナノストレングス E41」(以上、アルケマ製、PSt(ポリスチレン)−b−PBA−b−PMMA)などの市販品を使用することもできる。
上記アクリルブロック共重合体の使用量(含有量)としては、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、1〜30重量部が好ましく、より好ましくは3〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部である。アクリルブロック共重合体の使用量が1重量部未満であると、硬化物の強靭性が十分でなく、耐熱性、耐光性が低下する場合がある。一方、アクリルブロック共重合体の使用量が30重量部を超えると、脂環式エポキシ化合物(A)との相溶性が低下し、硬化物の透明性が低下する場合がある。
[ポリオール化合物]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、ポリオール化合物を含むことが好ましい。上記ポリオール化合物とは、分子内(1分子中)に2個以上の水酸基を有する数平均分子量が200以上の重合体(オリゴマー又はポリマー)である。なお、上記ポリオール化合物の数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。なお、上記ポリオール化合物は、後述のポリエステル樹脂を除いたものであってもよい。
上記ポリオール化合物が有する水酸基の数は、2個以上であればよく、特に限定されないが、2〜6個が好ましく、より好ましくは2〜4個である。
上記ポリオール化合物の数平均分子量は、200以上であればよく、特に限定されないが、500〜100000が好ましく、より好ましくは1000〜30000である。数平均分子量が200未満であると、リフロー工程を経た場合に硬化物(封止樹脂)が剥離したり、クラックが発生する場合がある。一方、数平均分子量が100000を超えると、液状の硬化性エポキシ樹脂組成物から析出したり、溶解させることができない場合がある。
上記ポリオール化合物の水酸基価は、特に限定されないが、30〜600mgKOH/gが好ましく、より好ましくは50〜500mgKOH/gである。水酸基価が30mgKOH/g未満であると、硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下し過ぎる場合がある。一方、水酸基価が600mgKOH/gを超えると、耐クラック性が低下する場合がある。なお、上記ポリオール化合物の水酸基価は、例えば、JIS K1557−1に記載の方法により測定できる。
上記ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ポリウレタンポリオール、ひまし油、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐クラック性向上の観点で、ポリエステルポリオールが好ましい。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸、これらの二塩基酸のジアルキルエステル、若しくはこれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3´−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはこれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール、又は、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸、これら二塩基酸のジアルキルエステル、又はこれらの混合物と、上記ポリエーテルポリオールとを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエステルアミドポリオールとしては、上記ポリエステルポリオールを得るための重合反応(例えば、エステル交換反応)に際し、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料として併せて使用することによって得ることができる。
上記アクリルポリオールとしては、例えば、1分子中に1個以上の水酸基を有するアクリル系モノマー(例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル等、又はこれらの対応するメタクリル酸誘導体等)と、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらのエステル(アルキルエステルなど)とを共重合することにより得られるアクリルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールAの中から選ばれた少なくとも1種又は2種以上のグリコールを、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどと反応させることによって得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
上記ポリヒドロキシアルカンとしては、例えば、ブタジエンを重合、又はブタジエンとアクリルアミド等を共重合して得られる液状ゴムなどが挙げられる。
上記ポリウレタンポリオールとは、1分子中にウレタン結合を有するポリオールであり、例えば、数平均分子量200〜20000のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等と、有機ポリイソシアネート(2以上のイソシアネート基を有する化合物)とを、NCO(イソシアネート基)/OH(水酸基)が1未満(好ましくは0.9以下)となるような割合で反応させることによって得られるポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
上記ポリオール化合物の使用量(含有量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは5〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。ポリオール化合物の使用量が1重量部を下回ると、耐リフロー性が低下し、リフロー工程での加熱処理により、光半導体装置においてリードフレームからの封止材の剥離やクラックが発生する場合がある。一方、ポリオール化合物の使用量が50重量部を上回ると、硬化物のTgが低下し過ぎて、加熱による体積変化が大きくなり、光半導体装置の不点灯等の不具合が起こる場合がある。また、曲げ強度は向上するが透明性が低下する場合がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、ポリエステル樹脂(飽和ポリエステル樹脂)を含んでいてもよい。上記ポリエステル樹脂を配合することにより、封止材(硬化物)の耐クラック性が向上する傾向がある。上記ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとが重縮合した構造を有する重合体である。上記多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸、コハク酸又はこれらの酸無水物等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。中でも、上記ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸に由来する構造単位及び/又はエチレングリコールに由来する構造単位を少なくとも有する重合体が好ましい。なお、上記ポリエステル樹脂は、直鎖状、分岐鎖状のいずれの構造を有していてもよい。
上記ポリエステル樹脂の水酸基価は、特に限定されないが、2〜30mgKOH/gが好ましく、より好ましくは5〜25mgKOH/gである。水酸基価が2mgKOH/g未満であると、はんだリフロー工程による加熱で封止材とパッケージが剥離しやすくなる場合がある。一方、水酸基価が30mgKOH/gを超えると、封止材の耐クラック性が低下する場合がある。なお、上記ポリエステル樹脂の水酸基価は、例えば、JIS K1557−1に記載の方法により測定できる。
上記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、5000〜100000が好ましく、より好ましくは10000〜80000である。数平均分子量が5000未満であると、封止材(硬化物)の耐クラック性向上の効果が得られにくい場合がある。一方、数平均分子量が100000を超えると、封止材(硬化物)の透明性、耐熱性、耐光性が低下する場合がある。上記ポリエステル樹脂の数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、商品名「エスぺル9940A」、「エスぺル9940B」、「エスぺル9940C−37」、「エスぺル9940D」、「エスぺル9940E−37」、「エスぺル9940Z−37」(以上、日立化成工業(株)製)、商品名「ポリエスターTP235」、「ポリエスターTP270」、「ポリエスターLP033」、「ポリエスターTP220」、「ポリエスターLP050」(以上、日本合成化学(株)製)などの市販品を使用することもできる。
上記ポリエステル樹脂の使用量(含有量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは3〜35重量部である。ポリエステル樹脂の使用量が1重量部未満であると、封止材(硬化物)の耐クラック性が低下する場合がある。一方、ポリエステル樹脂の使用量が50重量部を上回ると、封止材(硬化物)の耐熱性、耐光性、透明性が低下する場合がある。
[ゴム粒子]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、ゴム粒子を含んでいてもよい。上記ゴム粒子としては、例えば、粒子状NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、反応性末端カルボキシル基NBR(CTBN)、メタルフリーNBR、粒子状SBR(スチレン−ブタジエンゴム)等が挙げられる。また、上記ゴム粒子は、ゴム弾性を有するコア部分と、該コア部分を被覆する少なくとも1層のシェル層とから成る多層構造(コアシェル構造)を有し、表面に脂環式エポキシ樹脂と反応し得る官能基としてヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有し、平均粒子径が10nm〜500nm、最大粒子径が50nm〜1000nmであるゴム粒子であって、該ゴム粒子の屈折率と当該硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の屈折率との差が±0.02以内であるゴム粒子であってもよい。上記ゴム粒子の配合量は、必要に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは3〜40重量部である。ゴム粒子の使用量が1重量部を下回ると、耐クラック性が低下する傾向がある。一方、ゴム粒子の使用量が50重量部を上回ると、封止材(硬化物)の耐熱性及び透明性が低下する傾向がある。
[添加剤]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を使用することができる。添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの水酸基を有する化合物(上述のポリオール化合物を除く)を使用すると、反応(硬化反応)を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、界面活性剤、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)、好ましくはさらに、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)、硬化剤(C)又は硬化触媒(D)、硬化促進剤(E)や、その他の成分(ポリオール化合物やアクリルブロック共重合体等)などを混合することにより得ることができる。これらの混合に際しては、公知乃至慣用の攪拌装置などを使用することができ、特に限定されないが、例えば、自転公転型ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダ−、ディソルバーなどを使用できる。なお、均一な硬化性エポキシ樹脂組成物を得るために、混合及び攪拌の際に加熱してもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物(封止材)を形成できる。硬化の際の加熱温度(硬化温度)としては、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは100〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)としては、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度が低すぎる場合、及び/又は、硬化時間が短すぎる場合は、硬化が不十分となる場合がある。一方、硬化温度が高すぎる場合、及び/又は、硬化時間が長すぎる場合は、樹脂成分の分解が起こる場合がある。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。
本発明の光半導体装置を、特に、成分(A)及び成分(B)を必須成分とする樹脂組成物(本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物)の硬化物で光半導体素子を封止することにより得た場合、該光半導体装置は、リフロー工程での加熱処理により劣化しにくく、光度が経時で低下しにくいという効果を奏する。特に、高出力、高輝度の光半導体素子を備える場合であっても、光度が経時で低下しにくい点で有用である。
なお、図1に示すように、一般的に、光半導体装置においては、光半導体素子がダイボンド材によりリードフレーム(例えば、図1における金属配線101)に固定されている。本発明者は、光半導体装置におけるダイボンド材を最適化することによっても、耐リフロー性を向上させることができることを見出した。より詳しくは、光半導体装置をリフロー工程にて加熱処理した場合に、封止材(封止樹脂)の体積変化により生じる応力によって、光半導体素子がリードフレームから剥離しないようなダイボンド材(接着性・耐久性の高いダイボンド材)を選択することが、耐リフロー性向上の観点で重要であることを見出した。光半導体素子がリードフレームから剥離した場合には、該半導体素子周辺の封止材の剥離やクラックが発生しやすく、リフロー工程での加熱処理による光半導体装置の劣化が顕著となるためである。従って、耐リフロー性を向上させ、リフロー工程での加熱処理による光半導体装置の劣化を防止するためには、パッケージ表面に本発明のプライマー組成物より形成されるプライマー層を形成し、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物(特に、成分(A)及び成分(B)を必須成分とする樹脂組成物)の硬化物で光半導体素子を封止し、さらに、ダイボンド材として上述の接着性・耐久性の高いものを用いることが非常に有効である。上記ダイボンド材としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等のベースポリマーに、導電性粒子等(例えば、銀粒子など)を含有させたダイボンド材などが挙げられる。このようなダイボンド材としては、例えば、商品名「KER−3000 M2」、「KER−3100 O2」、「KER−3100」(以上、信越化学工業(株)製)、商品名「EH1600−G2」(稲畑産業(株)製)、商品名「CT200」、「CT284」、「CT265」(以上、京セラケミカル(株)製)などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1における表面調整剤の配合量は、商品としての量(商品そのものの量)を示す。
実施例1〜14
[プライマー組成物の調製]
表1に示すように、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業(株)製)10gに、シランカップリング剤の縮合物(商品名「X−41−1056」、信越化学工業(株)製;商品名「X−41−1059A」、信越化学工業(株)製;商品名「X−41−1805」、信越化学工業(株)製;商品名「X−41−1810」、信越化学工業(株)製)0.2g、及び、表面調整剤(溶剤等との混合物)(商品名「BYK−375」、ビックケミー・ジャパン(株)製;商品名「BYK−361N」、ビックケミー・ジャパン(株)製;商品名「BYK−340」、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.02gを加え、攪拌して均一な溶液とし、プライマー組成物を得た。なお、実施例8の場合には25℃で固体のエポキシ樹脂(商品名「YD−6020」、新日鐵化学(株)製)0.1gを、実施例9の場合にはフェノキシ樹脂(商品名「YP−70」、新日鐵化学(株)製)0.1gを、それぞれさらに加えてプライマー組成物を得た。
[プライマー組成物によるパッケージの前処理]
光半導体素子が実装されたパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)を、120℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、上記プライマー組成物を注型し、次いで、80℃のオーブンで1時間乾燥させて、光半導体装置のパッケージ内面にプライマー層を設けた(図1参照)。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の調製]
(エポキシ樹脂の調製)
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株))、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)、ポリカプロラクトンポリオール(商品名「PCL308」、ダイセル化学工業(株)製)、フェノキシ樹脂(商品名「YP−70」、新日鐵化学(株)製)、水酸基含有長鎖エポキシ樹脂(商品名「YD−6020」、新日鐵化学(株)製)、ポリカーボネートジオール(商品名「PCD220PL」、ダイセル化学工業(株)製)、アクリルブロック共重合体(商品名「ナノストレングスM52N」、アルケマ製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレートを溶解させ、エポキシ樹脂(エポキシ樹脂組成物)を得た。
(硬化剤組成物の調製)
酸無水物(商品名「リカシッド MH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)0.5重量部、及び添加剤(商品名「エチレングリコール」、和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤組成物を得た。
上記で調製したエポキシ樹脂と硬化剤組成物とを、表1に示す配合処方(単位:重量部)となるように、各成分を自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
[光半導体素子の封止]
上記硬化性エポキシ樹脂組成物を、プライマー組成物で前処理した光半導体装置のパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、表1に示す硬化条件(条件1)にて樹脂硬化オーブン中で加熱することによって、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た(図1参照)。
実施例15
[プライマー組成物の調製]
表1に示すように、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業(株)製)10gに、シランカップリング剤の縮合物(商品名「X−41−1059A」、信越化学工業(株)製)0.2g、及び、表面調整剤(商品名「BYK−361N」、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.02gを加え、攪拌して均一な溶液とし、プライマー組成物を得た。
[プライマー組成物によるパッケージの前処理]
光半導体素子が実装されたパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)を、120℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、上記プライマー組成物を注型し、次いで、80℃のオーブンで1時間乾燥させて、光半導体装置のパッケージ内面にプライマー層を設けた(図1参照)。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の調製]
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株))、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)、ポリカプロラクトンポリオール(商品名「PCL308」、ダイセル化学工業(株)製)、アクリルブロック共重合体(商品名「ナノストレングスM52N」、アルケマ製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレート及びアクリルブロック共重合体を溶解させた。その後、室温まで放冷し、硬化触媒(商品名「サンエイドSI−100L」、三新化学工業(株)製)を表1に示す配合処方となるように配合し、次いで、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
[光半導体素子の封止]
上記硬化性エポキシ樹脂組成物を、プライマー組成物で前処理した光半導体装置のパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、表1に示す硬化条件(条件2)にて樹脂硬化オーブン中で加熱することによって、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た(図1参照)。
比較例1、2
[プライマー組成物の調製]
表1に示すように、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業(株)製)10gに、シランカップリング剤(商品名「Z−6040」、東レ・ダウコーニング(株)製)又はシランカップリング剤の縮合物(商品名「X−41−1059A」、信越化学工業(株)製)0.2gを加え、攪拌して均一な溶液とし、プライマー組成物を得た。
[プライマー組成物によるパッケージの前処理]
光半導体素子が実装されたパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)を、120℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、上記プライマー組成物を注型し、次いで、80℃のオーブンで1時間乾燥させて、光半導体装置のパッケージ内面にプライマー層を設けた。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の調製]
(エポキシ樹脂の調製)
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株))、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレートを溶解させ、エポキシ樹脂(エポキシ樹脂組成物)を得た。
(硬化剤組成物の調製)
酸無水物(商品名「リカシッド MH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)0.5重量部、及び添加剤(商品名「エチレングリコール」、和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤組成物を得た。
上記で調製したエポキシ樹脂と硬化剤組成物とを、表1に示す配合処方(単位:重量部)となるように、各成分を自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
[光半導体素子の封止]
上記硬化性エポキシ樹脂組成物を、プライマー組成物で前処理した光半導体装置のパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、表1に示す硬化条件(条件1)にて樹脂硬化オーブン中で加熱することによって、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた光半導体装置について、以下の方法で評価試験を行った。
[はんだ耐熱性試験1]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)の全光束を、全光束測定機を用いて測定した(2個の光半導体装置の全光束の平均値を算出し、「全光束初期値」とした)。
その後、上記光半導体装置を、恒温槽中、30℃、70%RHの条件下で168時間静置して吸湿させた。次いで、上記光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱した。その後、上記光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱した。即ち、当該はんだ耐熱性試験1においては、光半導体装置に対して下記加熱条件による熱履歴を二度与えた。
〔加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)〕
(1)予備加熱:150〜190℃で60〜120秒
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上で60〜150秒、最高温度260℃
但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。
図2には、リフロー炉による加熱の際の光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱のうち一方の加熱における温度プロファイル)の一例を示す。
上記加熱条件にて加熱後、再び全光束を測定した(2個の光半導体装置の全光束の平均値を算出し、「全光束試験値」とした)。そして、「100×全光束試験値/全光束初期値」で表される全光束の保持率が80%以上の場合を「良」(はんだ耐熱性良好)とし、80%未満の場合を「不良」(はんだ耐熱性不良)と評価した。結果を表1の「はんだ耐熱性試験1[光束保持]」の欄に示した。
[はんだ耐熱性試験2]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)を、恒温槽中、60℃、60%RHの条件下で168時間静置して吸湿させた。次いで、上記光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱した。その後、上記光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱した。即ち、当該はんだ耐熱性試験2においては、光半導体装置に対して下記加熱条件による熱履歴を二度与えた。
〔加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)〕
(1)予備加熱:150〜190℃で60〜120秒
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上で60〜150秒、最高温度260℃
但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。
図2には、リフロー炉による加熱の際の光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱のうち一方の加熱における温度プロファイル)の一例を示す。
その後、光半導体装置をデジタルマイクロスコープで観察し、光半導体装置2個のうち、いずれか一方又は両方において封止材(封止樹脂)にクラックが観察された場合を「不良」(はんだ耐熱性不良)とし、いずれにもクラックが観察されなかった場合を「良」(はんだ耐熱性良好)と評価した。結果を表1の「はんだ耐熱性試験2[クラック]」の欄に示した。
[熱衝撃試験]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)に対し、−40℃の雰囲気下に15分曝露し、続いて、120℃の雰囲気下に15分曝露することを1サイクルとした熱衝撃を、熱衝撃試験機を用いて1000サイクル分与えた。その後、光半導体装置に20mAの電流を通電して点灯確認を行い、点灯しなかった光半導体装置の個数(不点灯発生数)を計測した。結果を表1の「熱衝撃試験」の欄に示す。
[総合判定]
はんだ耐熱性試験1において全光束の保持率が「良」であり、はんだ耐熱性試験2においてクラックが発生せず、かつ熱衝撃試験において不点灯が発生しなかった場合を、総合判定○(合格、優れている)とした。これ以外の場合を総合判定×(不合格、劣っている)とした。結果を表1の「総合判定」の欄に示す。
Figure 0005808599
なお、実施例及び比較例で使用した成分は、以下の通りである。
<プライマー組成物>
[シランカップリング剤の縮合物]
X−41−1056:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
X−41−1059A:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
X−41−1805:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
X−41−1810:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
[表面調整剤]
BYK−375:シリコーン系表面調整剤(不揮発分:25重量%)、ビックケミー・ジャパン(株)製
BYK−361N:アクリル系表面調整剤(不揮発分:98重量%)、ビックケミー・ジャパン(株)製
BYK−340:フッ素系表面調整剤(不揮発分:10重量%)、ビックケミー・ジャパン(株)製
[25℃で固体のエポキシ樹脂]
YD−6020:水酸基含有長鎖エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
[フェノキシ樹脂]
YP−70:フェノキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
[シランカップリング剤]
Z−6040:シランカップリング剤、東レ・ダウコーニング(株)製
[溶剤]
γ−ブチロラクトン:和光純薬工業(株)製
<硬化性エポキシ樹脂組成物>
[脂環式エポキシ化合物]
CEL2021P(セロキサイド 2021P):3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ダイセル化学工業(株)製
[モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物]
MA−DGIC:モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、四国化成工業(株)製
[ポリオール化合物]
PTMG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製
PCL308:ポリカプロラクトンポリオール、ダイセル化学工業(株)製
YP−70:フェノキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
YD−6020:水酸基含有長鎖エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
PCD220PL:ポリカーボネートジオール、ダイセル化学工業(株)製
[アクリルブロック共重合体]
M52N(ナノストレングスM52N):アクリルブロック共重合体、アルケマ製
[硬化剤組成物]
リカシッド MH−700:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化(株)製
U−CAT 18X:硬化促進剤、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
[硬化触媒]
サンエイド SI−100L:アリールスルホニウム塩、三新化学工業(株)製
試験機器
・樹脂硬化オーブン
エスペック(株)製、「GPHH−201」
・リフロー炉
日本アントム(株)製、「UNI−5016F」
・恒温槽
エスペック(株)製、「小型高温チャンバー ST−120B1」
・全光束測定機
米国オプトロニックラボラトリーズ製、「マルチ分光放射測定システム OL771」
・熱衝撃試験機
エスペック(株)製、「小型冷熱衝撃装置 TSE−11−A」
・デジタルマイクロスコープ
(株)キーエンス製、「VHX−900」
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:封止材(封止樹脂)
105:プライマー層
106:ダイボンド材

Claims (7)

  1. 封止材により光半導体素子が封止され光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられる封止材のプライマー組成物であって、
    シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤とを必須成分として含み、
    前記表面調整剤が、シリコーン系化合物、アクリル系化合物、及びフッ素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であり、
    前記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、30〜99.5重量%であり、
    前記表面調整剤の含有量が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%である封止材のプライマー組成物。
  2. 光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、
    シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤と、25℃で固体のエポキシ樹脂とを含み、
    前記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、30〜99.5重量%であり、
    前記表面調整剤の含有量が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%であり、
    前記25℃で固体のエポキシ樹脂の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、1〜40重量%であるプライマー組成物。
  3. 光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、
    シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤と、フェノキシ樹脂とを含み、
    前記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、30〜99.5重量%であり、
    前記表面調整剤の含有量が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%であり、
    前記フェノキシ樹脂の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、1〜40重量%であるプライマー組成物。
  4. 前記表面調整剤が、シリコーン系化合物、アクリル系化合物、及びフッ素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項2又は3に記載のプライマー組成物。
  5. 光半導体素子が実装されたパッケージと、
    前記パッケージの表面に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載のプライマー組成物より形成されたプライマー層と、
    前記光半導体素子及び前記プライマー層を被覆する封止材とを有することを特徴とする光半導体装置。
  6. 前記封止材が、脂環式エポキシ化合物(A)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である請求項5に記載の光半導体装置。
  7. 前記封止材が、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
    Figure 0005808599

    [式中、R1及びR2は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
    で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、硬化剤(C)又は硬化触媒(D)とを含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である請求項5又は6に記載の光半導体装置。
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