JP5808599B2 - プライマー組成物および該プライマー組成物を用いた光半導体装置 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の目的は、リフロー工程での加熱による封止材へのクラック発生や封止材の剥離等の不具合を生じにくく、光度が経時で低下しにくい光半導体装置を提供することにある。
本発明のプライマー組成物は、光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物(プライマー層形成用組成物)であって、シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤とを必須成分として含む組成物である。本発明のプライマー組成物は、さらに、25℃で固体のエポキシ樹脂及び/又はフェノキシ樹脂(25℃で固体のエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂のいずれか一方又は両方)を含むことが好ましい。
本発明のプライマー組成物を構成するシランカップリング剤の縮合物は、シランカップリング剤の加水分解縮合物(シランカップリング剤の加水分解物のシラノール基を脱水縮合させることで生成する縮合物)である。具体的には、例えば、上記シランカップリング剤の縮合物として、下記一般式(I)又は(II)で表されるシランカップリング剤のX基を水の存在下で加水分解してシラノール基とし、さらに脱水縮合させたものを使用することができる。
R−Si≡(X)3 (I)
R−Si≡(R´)(X)2 (II)
式(I)及び式(II)中、Rは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、又はメルカプト基を有する有機基を示し、R´は低級アルキル基(例えば、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基など)を示し、Xは、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)を示す。本発明のプライマー組成物において上記シランカップリング剤の縮合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記式(I)及び(II)における「≡」は、ケイ素原子と、X及びR´との間の3本の単結合を示し、三重結合を表すものではない。
本発明のプライマー組成物を構成する表面調整剤は、プライマー組成物の表面張力を変化させ、濡れ性、レベリング性、スリップ性、消泡性など(特に、濡れ性、レベリング性)を向上させる化合物である。本発明のプライマー組成物が表面調整剤を含むことにより、該プライマー組成物より形成されるプライマー層は、光半導体装置においてリフロー工程(特に、吸湿後のリフロー工程)での加熱によるリードフレームからの封止材の剥離を効果的に抑制することができる。
本発明のプライマー組成物を構成する溶剤としては、上記シランカップリング剤の縮合物及び表面調整剤を分散(好ましくは溶解)させることができる有機溶剤を、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができ、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール系溶剤;キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、 γ−カプロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ヘキサノラクトン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−エチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等のラクトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、2,6−ジメチル−4−へプタノン、シクロへキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤などが挙げられる。中でも、エステル系溶剤、ラクトン系溶剤が好ましい。
本発明のプライマー組成物は、上述のように、さらに、25℃で固体のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。25℃で固体のエポキシ樹脂を含むことにより、本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層の光半導体素子の封止材に対する密着性をより高めることができる。このような密着性向上の効果は、後述の脂環式エポキシ化合物(A)及びモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を封止材として用いた場合に、顕著に得られる傾向がある。
本発明のプライマー組成物は、上述のように、さらに、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。フェノキシ樹脂を含むことにより、本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層の光半導体素子の封止材に対する密着性をより高めることができる。このような密着性向上の効果は、後述の脂環式エポキシ化合物(A)及びモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を封止材として用いた場合に、顕著に得られる傾向がある。
本発明の光半導体装置は、光半導体素子が実装されたパッケージと、上記パッケージの表面に設けられた本発明のプライマー組成物より形成されたプライマー層と、上記光半導体素子及び上記プライマー層を被覆する封止材とを少なくとも有する光半導体装置である。図1は、本発明の光半導体装置の一実施形態を示す概略図(断面図)である。図1に示す光半導体装置は、光半導体素子102が実装されたパッケージ(リフレクター100及び金属配線101)と封止材104とが、プライマー層105を介して接着されている。なお、光半導体素子102は、ダイボンド材106により金属配線100に固定されており、なおかつボンディングワイヤ103により金属配線101と電気的に接続されている。
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、硬化剤(C)又は硬化触媒(D)とを少なくとも含む樹脂組成物であることが好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を構成する脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内(1分子内)に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを少なくとも有する化合物である。より具体的には、脂環式エポキシ化合物(A)には、例えば、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する場合がある)を有する化合物、及び(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物等が含まれる。なお、脂環式エポキシ化合物(A)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述のように、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)を含むことが好ましい。上記モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、下記の一般式(1)で表される。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに硬化剤(C)を含むことが好ましい。上記硬化剤(C)は、エポキシ基を有する化合物を硬化させる働きを有する化合物であり、硬化剤(C)を用いることで容易に硬化物を得ることができる。硬化剤(C)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができる。中でも、硬化剤(C)としては、25℃で液状の酸無水物が好ましく、より具体的には、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの常温(約25℃)で固体状の酸無水物についても、常温(約25℃)で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、硬化剤(C)として使用することができる。硬化剤(C)としては、耐熱性、耐光性、耐クラック性の観点で、特に、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。なお、硬化剤(C)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の硬化剤(C)の代わりに、硬化触媒(D)を含んでいてもよい。硬化触媒(D)を用いることにより、硬化剤(C)を用いた場合と同様にエポキシ基を有する化合物の硬化反応を進行させ、硬化物を容易に得ることができる。上記硬化触媒(D)としては、特に限定されないが、例えば、紫外線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、重合を開始させることが可能なカチオン触媒(カチオン重合開始剤)を用いることができる。なお、硬化触媒(D)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤(E)を含んでいてもよい。硬化促進剤(E)は、エポキシ基を有する化合物が硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物である。特に、硬化剤(C)と併用することが多い。硬化促進剤(E)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、4級アンモニウム塩、ヨードニウム塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;リン酸エステル、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛などの有機金属塩;金属キレートなどが挙げられる。なお、硬化促進剤(E)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、光半導体装置の経時での光度低下を抑制する観点から、さらに、アクリルブロック共重合体を含むことが好ましい。より詳しくは、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物がアクリルブロック共重合体を含む場合、当該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて製造された光半導体装置は、特に高輝度・高出力の場合であっても光度が低下しにくい傾向がある。即ち、アクリルブロック共重合体を用いることにより、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、より高いレベルの耐熱性、耐光性、及び耐クラック性を発揮できる傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、ポリオール化合物を含むことが好ましい。上記ポリオール化合物とは、分子内(1分子中)に2個以上の水酸基を有する数平均分子量が200以上の重合体(オリゴマー又はポリマー)である。なお、上記ポリオール化合物の数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。なお、上記ポリオール化合物は、後述のポリエステル樹脂を除いたものであってもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、ゴム粒子を含んでいてもよい。上記ゴム粒子としては、例えば、粒子状NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、反応性末端カルボキシル基NBR(CTBN)、メタルフリーNBR、粒子状SBR(スチレン−ブタジエンゴム)等が挙げられる。また、上記ゴム粒子は、ゴム弾性を有するコア部分と、該コア部分を被覆する少なくとも1層のシェル層とから成る多層構造(コアシェル構造)を有し、表面に脂環式エポキシ樹脂と反応し得る官能基としてヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有し、平均粒子径が10nm〜500nm、最大粒子径が50nm〜1000nmであるゴム粒子であって、該ゴム粒子の屈折率と当該硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の屈折率との差が±0.02以内であるゴム粒子であってもよい。上記ゴム粒子の配合量は、必要に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは3〜40重量部である。ゴム粒子の使用量が1重量部を下回ると、耐クラック性が低下する傾向がある。一方、ゴム粒子の使用量が50重量部を上回ると、封止材(硬化物)の耐熱性及び透明性が低下する傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を使用することができる。添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの水酸基を有する化合物(上述のポリオール化合物を除く)を使用すると、反応(硬化反応)を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、界面活性剤、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤を使用することができる。
[プライマー組成物の調製]
表1に示すように、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業(株)製)10gに、シランカップリング剤の縮合物(商品名「X−41−1056」、信越化学工業(株)製;商品名「X−41−1059A」、信越化学工業(株)製;商品名「X−41−1805」、信越化学工業(株)製;商品名「X−41−1810」、信越化学工業(株)製)0.2g、及び、表面調整剤(溶剤等との混合物)(商品名「BYK−375」、ビックケミー・ジャパン(株)製;商品名「BYK−361N」、ビックケミー・ジャパン(株)製;商品名「BYK−340」、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.02gを加え、攪拌して均一な溶液とし、プライマー組成物を得た。なお、実施例8の場合には25℃で固体のエポキシ樹脂(商品名「YD−6020」、新日鐵化学(株)製)0.1gを、実施例9の場合にはフェノキシ樹脂(商品名「YP−70」、新日鐵化学(株)製)0.1gを、それぞれさらに加えてプライマー組成物を得た。
[プライマー組成物によるパッケージの前処理]
光半導体素子が実装されたパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)を、120℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、上記プライマー組成物を注型し、次いで、80℃のオーブンで1時間乾燥させて、光半導体装置のパッケージ内面にプライマー層を設けた(図1参照)。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の調製]
(エポキシ樹脂の調製)
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株))、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)、ポリカプロラクトンポリオール(商品名「PCL308」、ダイセル化学工業(株)製)、フェノキシ樹脂(商品名「YP−70」、新日鐵化学(株)製)、水酸基含有長鎖エポキシ樹脂(商品名「YD−6020」、新日鐵化学(株)製)、ポリカーボネートジオール(商品名「PCD220PL」、ダイセル化学工業(株)製)、アクリルブロック共重合体(商品名「ナノストレングスM52N」、アルケマ製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレートを溶解させ、エポキシ樹脂(エポキシ樹脂組成物)を得た。
(硬化剤組成物の調製)
酸無水物(商品名「リカシッド MH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)0.5重量部、及び添加剤(商品名「エチレングリコール」、和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤組成物を得た。
上記で調製したエポキシ樹脂と硬化剤組成物とを、表1に示す配合処方(単位:重量部)となるように、各成分を自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
[光半導体素子の封止]
上記硬化性エポキシ樹脂組成物を、プライマー組成物で前処理した光半導体装置のパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、表1に示す硬化条件(条件1)にて樹脂硬化オーブン中で加熱することによって、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た(図1参照)。
[プライマー組成物の調製]
表1に示すように、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業(株)製)10gに、シランカップリング剤の縮合物(商品名「X−41−1059A」、信越化学工業(株)製)0.2g、及び、表面調整剤(商品名「BYK−361N」、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.02gを加え、攪拌して均一な溶液とし、プライマー組成物を得た。
[プライマー組成物によるパッケージの前処理]
光半導体素子が実装されたパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)を、120℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、上記プライマー組成物を注型し、次いで、80℃のオーブンで1時間乾燥させて、光半導体装置のパッケージ内面にプライマー層を設けた(図1参照)。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の調製]
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株))、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)、ポリカプロラクトンポリオール(商品名「PCL308」、ダイセル化学工業(株)製)、アクリルブロック共重合体(商品名「ナノストレングスM52N」、アルケマ製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレート及びアクリルブロック共重合体を溶解させた。その後、室温まで放冷し、硬化触媒(商品名「サンエイドSI−100L」、三新化学工業(株)製)を表1に示す配合処方となるように配合し、次いで、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
[光半導体素子の封止]
上記硬化性エポキシ樹脂組成物を、プライマー組成物で前処理した光半導体装置のパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、表1に示す硬化条件(条件2)にて樹脂硬化オーブン中で加熱することによって、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た(図1参照)。
[プライマー組成物の調製]
表1に示すように、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業(株)製)10gに、シランカップリング剤(商品名「Z−6040」、東レ・ダウコーニング(株)製)又はシランカップリング剤の縮合物(商品名「X−41−1059A」、信越化学工業(株)製)0.2gを加え、攪拌して均一な溶液とし、プライマー組成物を得た。
[プライマー組成物によるパッケージの前処理]
光半導体素子が実装されたパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)を、120℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、上記プライマー組成物を注型し、次いで、80℃のオーブンで1時間乾燥させて、光半導体装置のパッケージ内面にプライマー層を設けた。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の調製]
(エポキシ樹脂の調製)
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株))、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレートを溶解させ、エポキシ樹脂(エポキシ樹脂組成物)を得た。
(硬化剤組成物の調製)
酸無水物(商品名「リカシッド MH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)0.5重量部、及び添加剤(商品名「エチレングリコール」、和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤組成物を得た。
上記で調製したエポキシ樹脂と硬化剤組成物とを、表1に示す配合処方(単位:重量部)となるように、各成分を自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
[光半導体素子の封止]
上記硬化性エポキシ樹脂組成物を、プライマー組成物で前処理した光半導体装置のパッケージ(AlInGaP素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、表1に示す硬化条件(条件1)にて樹脂硬化オーブン中で加熱することによって、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置について、以下の方法で評価試験を行った。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)の全光束を、全光束測定機を用いて測定した(2個の光半導体装置の全光束の平均値を算出し、「全光束初期値」とした)。
その後、上記光半導体装置を、恒温槽中、30℃、70%RHの条件下で168時間静置して吸湿させた。次いで、上記光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱した。その後、上記光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱した。即ち、当該はんだ耐熱性試験1においては、光半導体装置に対して下記加熱条件による熱履歴を二度与えた。
〔加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)〕
(1)予備加熱:150〜190℃で60〜120秒
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上で60〜150秒、最高温度260℃
但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。
図2には、リフロー炉による加熱の際の光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱のうち一方の加熱における温度プロファイル)の一例を示す。
上記加熱条件にて加熱後、再び全光束を測定した(2個の光半導体装置の全光束の平均値を算出し、「全光束試験値」とした)。そして、「100×全光束試験値/全光束初期値」で表される全光束の保持率が80%以上の場合を「良」(はんだ耐熱性良好)とし、80%未満の場合を「不良」(はんだ耐熱性不良)と評価した。結果を表1の「はんだ耐熱性試験1[光束保持]」の欄に示した。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)を、恒温槽中、60℃、60%RHの条件下で168時間静置して吸湿させた。次いで、上記光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱した。その後、上記光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱した。即ち、当該はんだ耐熱性試験2においては、光半導体装置に対して下記加熱条件による熱履歴を二度与えた。
〔加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)〕
(1)予備加熱:150〜190℃で60〜120秒
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上で60〜150秒、最高温度260℃
但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。
図2には、リフロー炉による加熱の際の光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱のうち一方の加熱における温度プロファイル)の一例を示す。
その後、光半導体装置をデジタルマイクロスコープで観察し、光半導体装置2個のうち、いずれか一方又は両方において封止材(封止樹脂)にクラックが観察された場合を「不良」(はんだ耐熱性不良)とし、いずれにもクラックが観察されなかった場合を「良」(はんだ耐熱性良好)と評価した。結果を表1の「はんだ耐熱性試験2[クラック]」の欄に示した。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)に対し、−40℃の雰囲気下に15分曝露し、続いて、120℃の雰囲気下に15分曝露することを1サイクルとした熱衝撃を、熱衝撃試験機を用いて1000サイクル分与えた。その後、光半導体装置に20mAの電流を通電して点灯確認を行い、点灯しなかった光半導体装置の個数(不点灯発生数)を計測した。結果を表1の「熱衝撃試験」の欄に示す。
はんだ耐熱性試験1において全光束の保持率が「良」であり、はんだ耐熱性試験2においてクラックが発生せず、かつ熱衝撃試験において不点灯が発生しなかった場合を、総合判定○(合格、優れている)とした。これ以外の場合を総合判定×(不合格、劣っている)とした。結果を表1の「総合判定」の欄に示す。
<プライマー組成物>
[シランカップリング剤の縮合物]
X−41−1056:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
X−41−1059A:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
X−41−1805:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
X−41−1810:シランカップリング剤の縮合物、信越化学工業(株)製
[表面調整剤]
BYK−375:シリコーン系表面調整剤(不揮発分:25重量%)、ビックケミー・ジャパン(株)製
BYK−361N:アクリル系表面調整剤(不揮発分:98重量%)、ビックケミー・ジャパン(株)製
BYK−340:フッ素系表面調整剤(不揮発分:10重量%)、ビックケミー・ジャパン(株)製
[25℃で固体のエポキシ樹脂]
YD−6020:水酸基含有長鎖エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
[フェノキシ樹脂]
YP−70:フェノキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
[シランカップリング剤]
Z−6040:シランカップリング剤、東レ・ダウコーニング(株)製
[溶剤]
γ−ブチロラクトン:和光純薬工業(株)製
<硬化性エポキシ樹脂組成物>
[脂環式エポキシ化合物]
CEL2021P(セロキサイド 2021P):3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ダイセル化学工業(株)製
[モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物]
MA−DGIC:モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、四国化成工業(株)製
[ポリオール化合物]
PTMG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製
PCL308:ポリカプロラクトンポリオール、ダイセル化学工業(株)製
YP−70:フェノキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
YD−6020:水酸基含有長鎖エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
PCD220PL:ポリカーボネートジオール、ダイセル化学工業(株)製
[アクリルブロック共重合体]
M52N(ナノストレングスM52N):アクリルブロック共重合体、アルケマ製
[硬化剤組成物]
リカシッド MH−700:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化(株)製
U−CAT 18X:硬化促進剤、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
[硬化触媒]
サンエイド SI−100L:アリールスルホニウム塩、三新化学工業(株)製
・樹脂硬化オーブン
エスペック(株)製、「GPHH−201」
・リフロー炉
日本アントム(株)製、「UNI−5016F」
・恒温槽
エスペック(株)製、「小型高温チャンバー ST−120B1」
・全光束測定機
米国オプトロニックラボラトリーズ製、「マルチ分光放射測定システム OL771」
・熱衝撃試験機
エスペック(株)製、「小型冷熱衝撃装置 TSE−11−A」
・デジタルマイクロスコープ
(株)キーエンス製、「VHX−900」
101:金属配線
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:封止材(封止樹脂)
105:プライマー層
106:ダイボンド材
Claims (7)
- 封止材により光半導体素子が封止される光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられる封止材のプライマー組成物であって、
シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤とを必須成分として含み、
前記表面調整剤が、シリコーン系化合物、アクリル系化合物、及びフッ素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であり、
前記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、30〜99.5重量%であり、
前記表面調整剤の含有量が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%である封止材のプライマー組成物。 - 光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、
シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤と、25℃で固体のエポキシ樹脂とを含み、
前記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、30〜99.5重量%であり、
前記表面調整剤の含有量が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%であり、
前記25℃で固体のエポキシ樹脂の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、1〜40重量%であるプライマー組成物。 - 光半導体装置のパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、
シランカップリング剤の縮合物と、表面調整剤と、溶剤と、フェノキシ樹脂とを含み、
前記シランカップリング剤の縮合物の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、30〜99.5重量%であり、
前記表面調整剤の含有量が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%であり、
前記フェノキシ樹脂の含有量(使用量)が、プライマー組成物の不揮発分全量(100重量%)に対して、1〜40重量%であるプライマー組成物。 - 前記表面調整剤が、シリコーン系化合物、アクリル系化合物、及びフッ素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項2又は3に記載のプライマー組成物。
- 光半導体素子が実装されたパッケージと、
前記パッケージの表面に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載のプライマー組成物より形成されたプライマー層と、
前記光半導体素子及び前記プライマー層を被覆する封止材とを有することを特徴とする光半導体装置。 - 前記封止材が、脂環式エポキシ化合物(A)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である請求項5に記載の光半導体装置。
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