JP5808398B2 - 微生物の薬物耐性を判定するシステムおよび方法 - Google Patents

微生物の薬物耐性を判定するシステムおよび方法 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
〔関連出願の相互参照〕
本願は米国特許出願No.61/350,705号明細書(出願日:2010年6月28日)に基づく優先権を主張するものであり、上記米国特許出願を本明細書中で参照することにより、その全開示内容を本願に援用する。
〔技術分野〕
本発明の分野は細菌学に関する。特に、本発明の分野は微生物の薬物耐性の検出に関する。また、本発明の分野は質量分析による生化学分析にも関する。
〔背景技術〕
生物情報学では、生物学データのコンピュータ解析から知識を得る。このような生物学データは、遺伝子コードに格納された情報だけでなく、多様なソースから得られる実験結果、患者統計、および、科学文献から構成される。生物情報学の研究はデータの保存、検索、および解析用の方法開発を含む。生物情報学は、急速に発展している生物学の一部門であり、情報科学、統計学、数学、化学、生物化学、物理学、および、言語学の技術およびコンセプトを利用する高度に学際的な学問である。生物学および医学の異なる領域において、生物情報学が数多く実用化されている。
薬物耐性生物の進化が急増しており、このように急増する進化によって現在利用可能な調合約では対処不能な“スーパーバグ(superbug)”が出現する可能性を示唆すする十分な証拠書類が存在している。このことは、極めて重大な世界的公衆衛生問題を提起している。したがって、異なる抗生物質の効果に対して特定の微生物が有する耐性を迅速且つ正確に判定することが非常に重要であり、当該判定の結果を臨床微生物学および感染病の診断から生物テロ攻撃の際の時宜に適った対応までの多くの分野において応用することも非常に重要である。
薬物耐性を判定するために、細菌学の古典的手法が数多く使用されてきた。これらの手法は、薬物存在下における生物の増殖およびその結果発生する生物特異分子(DNA、タンパク質など)の生合成のモニタリングを含む。例えば、培養懸濁液の光学濃度(濁度)の変化によって、生物の増殖が示唆される。こうした手法は、典型的に、24時間〜48時間掛けて行われる。
近年、幾分か高速の分子レベル方法が使用されてきた。抗生物質感受性アッセイを作製する目的で、リアルタイム定量PCRを使用してグラム陽性種およびグラム陰性種のDNA量のモニタリングが行われてきた(J. Rolain, M. Mallet, P. Fournier, D. Raoult, and J. Antimicrob. Chemother. 54 (2004)538-541, "Real-time PCR for universal antibiotic susceptibility testing.")。しかし、このようなPCR方法は典型的に、デフォルトの設定では“狭帯域”である。すなわち、これらPCR方法は通常、サンプル内において生物を特定した後でないと使用されない。
加えて、生体分子の標識および特徴付けを行うための手法が開発されてきた。同位体は、質量の異なる同元素の原子である。特定元素の全同位体は、陽子と電子の数が同数であるが、中性子の数が異なる。同位体は質量こそ異なるものの、化学的挙動が著しく異なるわけではないため、科学者に有益な道具を提供する。同位体標識法は、識別した同位体を取り込んだ薬物または分子の標識および追跡を行うために使用する手法である。また、同位体標識法を様々な薬物および生体分子と共に使用して、当該薬物および生体分子の構造、機能、および、インビボ(invivo)処理または生成の研究も行われてきた。薬物および生体分子を同位体標識することにより、当該薬物および生体分子の機能に影響を与えることなく、当該薬物および生体分子に生ずる変化を研究する簡易で効果的な方法が可能になる。
微生物の薬物耐性を測定する現存の多くのシステムおよび方法は、高速性および正確性の何れをも満たすものではない。例えば、微生物の特徴付けを行うために、当該微生物が様々な増殖段階を経るまでの間、長時間(または長期日数)待機することが必要な場面が頻繁に発生する。伝染病および生物テロの両シナリオでは、未知の悪性病原体を同定、治療、または、根絶するうえで最も重要な要素が時間であるため、こうした高速性の欠如が特に問題となる。加えて、現存の多くの試験およびシステムでは、様々な微生物の生存または存在を確認する場合に、偽陽性の判定結果が頻繁に下される。誤った確認を行った結果、誤診断、または、封じ込めまたは治療の欠如による更なる汚染が発生することがある。
これらの理由から、薬物耐性を有する病原性微生物の検出、同定、および、特徴付けを迅速に行うシステムおよび方法が必要とされている。また、このような微生物の存在または生存を正確に判断するシステムおよび方法も必要とされている。更に、信頼性が高く、薬物耐性を有する病原性微生物の同定および特徴付けを精度よく行ううえで効果的なシステムおよび方法も必要とされている。
〔発明の要約〕
したがって、本発明の一様態は、質量分析法を使用して微生物の薬物耐性を検出する正確で予測可能なシステムおよび方法を提供する。
本発明の他の様態は、質量分析法と共同して、質量分析法を使用して微生物の薬物耐性をより正確に予測および確認するアルゴリズムを提供する。
上記様態および他の様態を含む多様な様態を本発明の特定の実施形態において規定する。
一様態では、本発明は、微生物の薬物耐性を判定するシステムであって、(a)サンプルの同位体標識および処理を行うサンプル増殖処理モジュールと、(b)上記サンプル増殖処理モジュールの下流側に配置され、上記同位体標識および上記処理を行った上記サンプルの検出および分析を行う質量スペクトル取得モジュールと、(c)上記質量スペクトル取得モジュールの下流側に配置され、上記検出および上記分析の結果の処理を行って上記微生物の薬物耐性の有無を判定するアルゴリズムモジュールとを備えるシステムを提供する。
他の様態では、本発明は、微生物の薬物耐性を判定する方法であって、薬物存在下の当該微生物の増殖を検出して当該微生物の薬物耐性を判断し、(a)上記微生物を、(i)少なくとも1つの薬物と同位体標識を備える同位体標識培地と(ii)当該薬物および当該同位体標識を備えない対照増殖培地の中で増殖させる工程であって、上記同位体標識増殖培地(i)中での上記微生物の増殖時、上記同位体標識が上記微生物の1つまたは複数のバイオマーカ分子内へ取り込まれ、上記対照増殖培地(ii)中での上記微生物の増殖時、上記1つまたは複数のバイオマーカ分子が非標識状態であり続ける工程と、(b)上記工程(a)の上記バイオマーカ分子を質量スペクトルシステムに使用して、上記バイオマーカ分子のイオン質量断片を作成する工程と、(c)上記工程(a)の上記同位体標識増殖培地(i)中での上記同位体標識の取り込みに基づいて第1アルゴリズム的解析を使用して、上記工程(a)の上記対照増殖培地(ii)中で上記非標識状態にある上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量シフトを予測する工程と、(d)上記工程(c)で予測した上記質量シフトの予測値と、上記工程(a)の上記同位体標識増殖培地(i)中で増殖した上記微生物の上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量の測定値との比較を第2アルゴリズム的解析を使用して行う工程であって、上記同位体標識増殖培地(i)と上記対照増殖培地(ii)中の上記バイオマーカが互いに一致する確率を当該比較に基づいて決定し、これにより上記微生物の上記薬物に対する薬物耐性を決定する工程とを備える方法を提供する。
以上に記載した発明の概要と以下に記載する発明の詳細な説明は例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるであろう。
〔図面の簡単な説明〕
以下に説明する図面が本発明の例示に過ぎないことは、当業者にとって明らかであろう。当該図面は、本開示内容の範囲を何らかの方法で限定するよう意図したものではない。
図1は、微生物の薬物耐性/感受性を立証する、質量分析法に基づいた本発明のシステムの実施形態の概略図を示す。
図2の(A)は、サンプル増殖処理モジュールを記述する実施形態である。図2の(B)は、図2の(A)に示すサンプルの質量スペクトルの取得および分析を示す実施形態である。
図3は、13C同位体濃縮培地中と対照培地中のそれぞれで増殖させた無処置のE. coli微生物をALDI TOF MS法により質量分析した結果を比較して示す。図3の(A)は13C濃縮培地中で増殖させたE. coliを示し、図3の(B)は天然炭素同位体存在度を有する対照培地中で増殖させたE. coliを示す。
図4は、質量分析法に基づいた本発明のシステムおよび方法の実施形態の概略図を示す。特に、当該概略図は、本発明の方法およびシステムに採用できるアルゴリズムモジュールの処理オプションを示す。
図5は、本発明の方法およびシステムが採用できるアルゴリズムモジュールの処理オプションの概略図を示す。
〔発明の詳細な実施形態〕
微生物を迅速且つ正確に同定することは、生物テロ、感染病、または、薬物耐性細菌に対する効果的な対処法の全てにおいて必要とされる。本発明は、質量分析法を使用することで微生物の薬物耐性を迅速且つ正確に測定することができるという驚くべき発見に基づいている。本明細書に記載の実施形態によれば、薬物を含む標識培地中と薬物を含まない非標識培地中でそれぞれ増殖させた無処置の微生物または当該無処置の生物から単離した1つまたは複数のバイオマーカを質量スペクトルについて比較する。1つまたは複数の単離バイオマーカの特徴的な質量シフトをアルゴリズムを使用して検出することに、薬物耐性を判定する。上記特徴的な質量シフトは、上記微生物が薬物の存在下で増殖し、同位体標識が上記1つまたは複数のバイオマーカに取り込まれた結果、質量が変化していることを示唆する。
特に断りのない限り、技術用語は、従来の使用法に応じて使用するものとする。分子生物学における一般的な用語の定義に関しては、例えば、Genes VII (Benjamin Lewin, published by Oxford University Press, 2000 (ISBN 019879276X))、The Encyclopedia of Molecular Biology(Kendrew et al. (eds.), published by Blackwell Publishers, 1994 (ISBN 0632021829))、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference(Robert A. Meyers (ed.), published by Wiley, John & Sons, Inc., 1995 (ISBN 0471 186341))、および、他の類似技術文献において確認することができる。
本明細書の説明を行うために以下の定義を応用する。適当と認められる場合では、用語を単数形で使用する場合でも、複数形で示される形態も意図し、用語を単数形で使用する場合でも、単数形で示される形態も意図する。以下に記載の用語定義が、本明細書中で参照する文献を含む他の文献(例えば、当該用語が最初に使用された文献)中の用語の使用法と矛盾する場合、後者の用語の使用法が明らかに意図されている場合を除き、以下に記載の用語の定義を常に優先させて本明細書および本願の請求の範囲の説明を行うものとする。特に断りの無い限り、「AまたはB」という表現は、「AまたはB」と「AおよびB」の意味で使用される。特に断りの無い限り、または、「1つまたは複数」という表現の使用が明らかに不適切な場合を除き、単数形の表現は「1つまたは複数」の意味で使用される。用語「備える」およびその活用形は、当該用語に同一の意味を有する他の用語およびその活用形と互換可能に使用され、何れかの用語に限定することを意図しない。さらに、1つまたは複数の実施形態の説明において用語「〜を備える」を使用している場合、当該用語を用語「本質的に〜から成る」および「〜から成る」の一方または両方に代えて当該1つまたは複数の実施形態を説明できることは、当業者に理解されるであろう。
本明細書では、用語「抗菌剤」、「薬物」、および、「抗生物質」を互換可能に使用する。これら各用語は、微生物を殺滅するか、または、微生物の増殖を抑制する物質を記述する用語である。
本明細書では、薬物に対して“耐性を有する”微生物は、当該薬物の存在下で増殖可能な微生物のことである。一例では、薬物の存在下と非存在下での増殖を比較した場合でも、薬物の存在下での増殖が阻害されていないことから、薬物耐性は完全または全面的な薬物耐性である。一例では、薬物の存在下と非存在下での増殖を比較した場合、薬物の存在下での増殖が多少阻害または減衰されるため、薬物耐性は部分的である。
一様態では、本発明は、微生物の薬物耐性を判定するシステムであって、(a)サンプルの同位体標識および処理を行うサンプル増殖処理モジュールと、(b)上記サンプル増殖処理モジュールの下流側に配置され、上記同位体標識および上記処理を行った上記サンプルの検出および分析を行う質量スペクトル取得モジュールと、(c)上記質量スペクトル取得モジュールの下流側に配置され、上記検出および上記分析の結果の処理を行って上記微生物の薬物耐性の有無を判定するアルゴリズムモジュールとを備えるシステムを提供する。
微生物の薬物耐性を測定するシステム100の実施形態を図1に示す。上記システム100は、サンプル増殖処理モジュール(SGPM)200と、質量スペクトル取得モジュール(MSAM)300と、アルゴリズムモジュール(AM)400とを備える。上記システム100の一実施形態では、上記アルゴリズムモジュール400は上記質量スペクトル取得モジュール300の下流に配置され、上記質量分析取得モジュール300は上記サンプル増殖処理モジュール200の下流に配置されている。上記システム100の他の実施形態および構成も可能である。
一部実施形態では、上記サンプル増殖処理モジュール(SGPM)300は、同位体標識増殖培地120と、対照増殖培地130と、サンプル増殖140用パラメータと、サンプル処理150とを備える。一部実施形態では、培養培地として、全栄養素と微生物増殖に必要な物理的増殖パラメータを含む溶液または本明細書に記載の他の培地を使用する。
更に、上記同位体標識増殖培地は、当該培地中に配置された微生物が増殖することによって形成される1つまたは複数のバイオマーカ分子に取り込まれることが可能な同位体を備える。上記同位体標識増殖培地120は、薬物耐性試験用の薬物または同様タイプの他の成分を適宜備えてもよい。
一部の実施形態では、上記対照増殖培地130は、関心対象の微生物を増殖させるのに必要な全培地または本明細書に記載の他の培地を含む。上記培地が、天然同位体存在度を有する培地(換言すれば、上記同位体標識増殖培地120に採用されるような濃縮同位体を含まない培地)を含むことができる。
一部実施形態では、関心対象である上記微生物は公知または未知の微生物でよく、本明細書に記載の微生物を含む。関心対象の上記微生物を上記同位体標識増殖培地120と上記対照増殖培地130の一方または両方に導入することができる。更に、関心対象の上記微生物は、単一微生物、一群の微生物、または、微生物の混合を含むことができる。バイオマーカ分子が発現され、且つ、当該バイオマーカ分子が翻訳後に過度に修飾されて上記スペクトルの逆重畳積分が影響されることがなければ、関心対象のほぼ全ての生物について分析をおこなうことができる。
一部実施形態では、1つまたは複数の微生物をそれぞれ含む上記同位体標識増殖培地120と上記対照増殖培地130に対して、上記サンプル増殖140および上記サンプル処理150を行うことができる。上記同位体標識増殖培地120は、上記同位体標識を含むバイオマーカの発現を促進することができる。好適な増殖培地の例として、M9およびLB(Fermentas社(リトアニア共和国)などの幾つかの製造元から入手可能)などの市販の増殖培地が挙げられる。
上記増殖培地120および上記対照増殖培地130のそれぞれに含めた上記1つまたは複数の微生物は、これらの増殖を促進する任意の温度下で培養および増殖させてもよく、好ましくは上記増殖培地120と上記対照培地130の間で温度を同じにして増殖させる。一部実施形態では、微生物を28℃〜42°で増殖させる。他の実施形態では、上記微生物にとって最適な増殖温度で、上記微生物を増殖させる。更に他の実施形態では、上記微生物を約37℃で増殖させる。
上記サンプル増殖140によって、関心対象の上記微生物に特定の発現バイオマーカを生成させる。公知の培養処理または同様のタイプの処理を上記サンプルに施すことで、上記サンプル増殖140を発生させることができる。
一部実施形態では、上記システムが、MALDI MS分析用のサンプルを迅速且つ繰り返し可能に調製するサンプル増殖処理モジュールと、市販のレーザ脱離TOF質量分析計と、グラフィカルインターフェイスにより組み合わせた検出アルゴリズムおよび署名照合アルゴリズムとを備える。一部実施形態では、上記サンプル増殖処理モジュールが、複数サンプルの迅速且つ効率的な処理を容易にするために、ロボット機能を備える。
一部実施形態では、上記システムが、単一の高次ユーザインターフェースを介して様々なモジュールの制御を行うことをユーザに可能にするグラフィカルユーザインターフェースを備える。一部実施形態では、上記サンプルが上記サンプル増殖処理モジュールで十分に処理されると、ソフトウェアが、MALDIサンプル対象をサンプルカートリッジから質量分析計に移し替える方法をユーザに指示する。一部実施形態では、タッチスクリーン上のボタンが一回押されると(または、マウスで一回クリックされると)、サンプル分析が自動的に行われ、アルゴリズムによるデータ処理が自動的に行われる。上記アルゴリズムによるスペクトルの分析の全結果は、ユーザのために要約される。一部実施形態では、スペクトル、検出スコア、ユーザが提供したサンプル情報、および、サンプル調製情報を含む全データを今後の分析に備えてアーカイブに記録することができる。
一部実施形態では、上記質量スペクトル取得モジュール300(図1を参照)が、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)飛行時間型(TOF)質量分析計とTOF/TOF質量分析計を備える。一部実施形態では、上記スペクトル取得モジュール300において、他のイオン化ソース(電気スプレイ、DESIなど)、クロマトグラフィー(HPLC、CEなど)、および、質量分析計(単一型およびタンデム型のトリプル四重極、イオントラップ/TOF、高解像度FTICRなど)といった機器を使用することができる。
一部の実施形態では、上記非標識サンプルおよび上記標識サンプルのそれぞれからバイオマーカ署名を取得するために、MALDI TOFおよびTOF/TOFを使用する。培地に薬物を添加して増殖させた生物と当該培地と同一の培地に薬物を添加しないで増殖させた生物のMALDI質量スペクトルを直接比較しても、大半の場合、薬物耐性株と薬物感受性株を区別することは不可能である。しかし、これら2種類の生物を2つ(または、それ以上)の異なる培地(薬物を添加し対照培地および同位体標識培地と薬物を添加しない対照培地および同位体標識培地)中で増殖させた場合、当該生物同士を識別することが可能になる。しかし、異なる2つの培地(対照培地および同位体標識培地)のそれぞれに薬物を添加して増殖させた生物と薬物を添加しないで増殖させた当該生物と同一の生物では、薬物耐性株と薬物感受性株を区別することができる。例えば、薬物耐性生物は薬物の影響を受けないので、非標識培地(対照培地)および標識培地(薬物含有培地)の両方で増殖する。その後、図3に図示して先に説明した方法で、上記生物の各質量スペクトル署名に含まれるバイオマーカ間の質量シフトを観測(測定)する。同位体質量の異なる同一元素の同位体が(例えば、同位体質量の軽い12Cと同位体質量の重い13C)、上記同位体濃縮培地で増殖させた上記生物の生体分子に取り込まれることで、上記質量シフトが発生する。
よって、リアルタイムPCRはDNA分子の特定部位の濃度変化をモニタリングおよび検出して生物の増殖を見分けるが、本方法は、生物増殖の指標として、物理的性質上の変化(すなわち、上記バイオマーカの分子量)のモニタリングも行う。湿式化学およびMSデータ収集のワークフロー図の実施形態の例を図2に概略的に示す。薬物を添加した同位体標識培地と薬物を無添加の同位体標識培地で増殖させた微生物、ひいては、当該微生物のバイオマーカの質量シフトを検出するために、MALDIの他に、例えばエレクトロスプレーイオン化法またはDESI法などの他のイオン化法を使用することができる。
(i)上記増殖培地の同位体組成と上記増殖中に存在する異なる同位体(例えば、13Cおよび12C)の比と(ii)上記バイオマーカの実際の元素組成またはタンパク質など多様なバイオマーカの平均的な元素組成に基づいて予測される予測元素組成から、上記バイオマーカの質量シフトを予測することができる。質量変動を算出するために、本明細書に記載する方法で、幾つかの異なるアルゴリズムオプションを個別または平行して使用することができる。上記質量シフトの算出の多様な実施形態を図4に示す。
上記サンプル増殖処理モジュール200と、上記質量スペクトル取得モジュール300と、上記アルゴリズムモジュール400とで使用する方法および材料の実施形態を図2のAおよびBに示す。
図2のAは、サンプル増殖処理モジュールに使用することができる多様なサンプルを示す。上記サンプルは、薬物試験122、非薬物試験124、および、対照処理132に使用する1つまたは複数のサンプルを含む。上記薬物試験122用の各サンプルは、同一または異なる濃度の薬物と、同位体濃縮培養培地(例えば、13Cまたは15N)または他の同位体標識と、関心対象の微生物とを備えることができる。上記非薬物試験124は、同一の同位体濃縮培地と関心対象の微生物を備えることができ、薬物を備えなくてよい。上記対照処理132は、関心対象の微生物と天然同位体存在度を有する培養培地を備えることができる。上記実施形態は、上記サンプルのこうした構成に限定されるものではない。他のサンプル、組み合わせ、および、構成も可能であり、本実施形態の範囲に含まれる。上述の例および組み合わせは、特定の微生物が薬物耐性を有する場合に、当該微生物をより確実に区別するために有用である。その後、上述のサンプルの各々を当該技術分野に周知の培養条件下に置く(サンプル増殖処理モジュール200)。その後、上記サンプルに対して質量スペクトルの取得および分析を行い(質量スペクトル取得モジュール300)、アルゴリズム的解析を行う(アルゴリズムモジュール400)。
図2のBは、質量スペクトルの取得および分析の処理工程の実施形態の結果を示す。例えば、上記サンプル増殖処理モジュール200を使用してバイオマーカの生体分子を発現および作製した後、当該生体分子を上記質量スペクトル取得モジュール300で処理する。
図2のBでは、天然同位体存在度を有する薬物無添加の培地中で微生物を増殖させた場合、対照スペクトル132’が仮想のMSシグナチャを示す。上記非薬物試験のスペクトル134’および上記薬物試験のスペクトル122’についても図2のBに示す。上記非薬物試験のスペクトル134’は、標識が発現生体分子のバイオマーカに取り込まれた場合の同位体濃縮および当該標識の効果とm/zピークの高m/z値側への相対的なシフト(グラフ中の右側へのスペクトルピークのシフト)を示す。上記薬物試験のスペクトル122’では、薬物感受性微生物のスペクトルにはピークが存在しない。薬物耐性生物は、より重い同位体質量の同位体標識が取り込まれた結果、上方側にシフトした2つの署名ピーク(中間スペクトル)を示している。上記対照スペクトル132’は、比較および判定用の参照点を提供する。最終スペクトルのm/z比率とグラフ線形の一方または両方が同一でない共有場合、上記対照スペクトル132’は特に有用である。上記分析の結果、上記微生物が試験薬物に対して耐性を有しているか否かを判定できる。
他の様態では、本発明は、微生物の薬物耐性を判定する方法であって、薬物存在下の当該微生物の増殖を検出して当該微生物の薬物耐性を判断し、(a)上記微生物を、(i)少なくとも1つの薬物と同位体標識を備える同位体標識培地と(ii)当該薬物および当該同位体標識を備えない対照増殖培地の中で増殖させる工程であって、上記同位体標識増殖培地(i)中での上記微生物の増殖時、上記同位体標識が上記微生物の1つまたは複数のバイオマーカ分子内へ取り込まれ、上記対照増殖培地(ii)中での上記微生物の増殖時、上記1つまたは複数のバイオマーカ分子が非標識状態であり続ける工程と、(b)上記工程(a)の上記バイオマーカ分子を質量スペクトルシステムに使用して、上記バイオマーカ分子のイオン質量断片を作成する工程と、(c)上記工程(a)の上記同位体標識増殖培地(i)中での上記同位体標識の取り込みに基づいて第1アルゴリズム的解析を使用して、上記工程(a)の上記対照増殖培地(ii)中で上記非標識状態にある上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量シフトを予測する工程と、(d)上記工程(c)で予測した上記質量シフトの予測値と、上記工程(a)の上記同位体標識増殖培地(i)中で増殖した上記微生物の上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量の測定値との比較を第2アルゴリズム的解析を使用して行う工程であって、上記同位体標識増殖培地(i)と上記対照増殖培地(ii)中の上記バイオマーカが互いに一致する確率を当該比較に基づいて決定し、これにより上記微生物の上記薬物に対する薬物耐性を決定する工程とを備える方法を提供する。
本発明において有益な上記アルゴリズムは、質量シフトを正確に予測および算出して実験実測結果と比較することで、生物の増殖を確認して、当該生物の薬物耐性を確認する。上記アルゴリズムでは、試験対象の微生物に関する予備知識を得たり、当該微生物を事前に同定したりすることは不要である。また、上記微生物の参照用質量スペクトルと多様な微生物の参照用質量スペクトルのライブラリとの一方または両方が事前に取得可能であったり、事前に取得されていたりすることも不要である。本発明において有用な上記アルゴリズムは、コストの非常に高い偽陽性および偽陰性といったエラーを避けるのに役立つ。有害微生物の感染治療を試みる場合、早期に対処することが必要不可欠であるとともに、エラー(例えば、炭疽菌を利用した生物テロ攻撃が生じた場合に炭疽菌に対して治療効果の無い抗生物質を治療に選択すること)を許容できる余裕がゼロまたは僅かであるため、偽陽性および偽陰性といったエラーを避けることが重要になる。
本明細書に記載の方法およびシステムの一部実施形態では、複数の薬物について多様な微生物の薬物耐性または薬物感受性を迅速に判定することができ、好ましくは6時間以内に判定することができる。上記システムおよび方法は、薬物を含有する同位体標識増殖培地中で微生物を増殖した場合、当該微生物を特徴付ける構成分子およびその断片の基本的物理特性(分子量)に発生する再現可能且つ検証可能な独特のシフトの生物情報学に基づいた正確な予測および実験測定結果に基づいている。一連の増殖培地中で生物を増殖させた結果(増殖の欠乏ではない)生合成される特徴的なバイオマーカ分子およびその断片の質量比較を質量分析(MS)法により行う。一部実施形態では、上記方法および上記システムでは、試験対象の上記微生物の予備知識を得たり、事前に同定したりすることを必要としない。また、上記試験対象の微生物の参照用質量スペクトルと上記試験対象の微生物または他の任意の生物の参照用質量スペクトルのライブラリとの一方または両方が事前に取得可能であったり、事前に取得されていたりすることを必要としない。
本明細書に記載の発明一部実施形態は、無処置の微生物の質量分析と、薬物を含有する同位体標識培地中の生物増殖を明確に検出することが好ましい特別に開発を行ったアルゴリズムとに関する。MS法を使用するので、薬物を含有する同位体標識培地中で培養した微生物を特徴付ける生物特異的バイオマーカ分子の分子量(基本的な物理的特徴)のシフトを実験で測定することができる。
質量分析法は、微生物(無処置の細胞または溶解細胞)の特徴付けを迅速に行うための十分に確立された方法である。上記質量分析法の基本原理は、生物特異的なバイオマーカ分子または所謂“署名(signature)”の検出を行うことである。異なる生物間ではMSシグニチャが異なるため、当該異なる生物同士を区別することが可能になる。バイオマーカとして、無処置のタンパク質、当該無処置のタンパク質のタンパク質分解性ペプチド、非リボソームペプチド、脂質、DNA、または、他の分子が成功裏に利用されてきた。例えば酵素加水分解または化学的加水分解(高温支援酸加水分解)後に得られる無処置のタンパク質またはタンパク質溶解性ペプチドにタンデムMS法を行うことで、バイオマーカの配列特異的断片を作り出すことができる。MS法を利用して微生物の同定を行う一方法では、公知生物の署名を含む参照質量スペクトルのライブラリを作製する。本発明の一部実施形態では、参照シグニチャ質量スペクトルのライブラリを予め作製しておく必要は無く、生物の同定を行うことができる。この場合、生物情報学的アルゴリズムを使用して、未知生物の質量スペクトルと、ゲノム/プロテオームのデータベースから入手可能な情報を利用するin silico作製署名との比較を行う。
本発明の方法およびシステムの一実施形態では、公知または未知の微生物を含むサンプルを2つ(または、2つ以上)に分けて、上記サンプル増殖処理モジュール(SGPM)内で取り扱う。一部実施形態では、このように分けたサンプルを(天然同位体存在度を有する)対照増殖培地と同位体標識増殖培地のそれぞれで同一条件下で6時間(または、6時間未満)増殖させる。異なる安定同位体(例えば13Cまたはl5Nなど、天然同位体存在度と比較して、特定同位体の原子を濃縮または減少させた同位体)を使用して、上記培地を標識することができる。部分標識(“局所標識”)培地は、標識した特定増殖培地成分(例えば、13Cおよびl5Nの一方または両方で標識したアミノ酸栄養素)を含む。全体標識培地では、所定の同位体比(例えば、所定の13C・12C比)で標識された全増殖培地要素を含む。一部実施形態では、上記生物を増殖する前に、上記生物の試験薬物を公知の所定濃度で上記同位体標識培地に添加する。一部実施形態では、最適化用の実験計画法を利用して、濃度を変化させた異なる薬物を多重アレイ様式で使用することができる。液状系増殖培地または寒天系増殖培地を含む異なる培地を使用することができる。特定の生物/薬物耐性を標的とする場合、このような培地が周知の広域スペクトラム増殖培地または生物特異的培地を含むことができる。一部実施形態では、増殖後、上記標識培地および上記対照培地のそれぞれで増殖させたサンプルと、薬物を含有するサンプルと薬物を含有しないサンプルとの全サンプルに対して、適切なサンプル調製処置を行うことができる。上記サンプル調製処置は、例えば、遠心分離および洗浄による浄化法とクロマトグラフィー法とを含む。その後、質量分析(MS)法またはタンデムMS法により全微生物サンプルを検査することで、微生物の増殖(すなわち、薬物存在下での生物の生存能力の有無(薬物耐性/薬物感受性))を(図2で同様に説明したように)立証することができる。上記薬物の投与量の効果を試験するために、上記サンプルを適当な数に小分けし、小分け後の各サンプルを上記薬物の濃度がそれぞれ異なる同位体標識培地で増殖することができる。上述の処置を(例えば、96ウェルプレートまたは384ウェルプレートを使用して)多重化して、複数の生物/サンプルおよび複数の薬物の同時試験を含めることができる。また、(例えば、13Cまたは15Nなどの単一同位体に加えて)複数の同位体標識を同時または平行して使用することができ、これにより、異なる薬物とその濃度との一方または両方に相関したサンプルのバーコーディングを行うことが可能になる。
本発明は、多様な微生物および病原体の薬物耐性を判定するシステムおよび方法を提供する。広範な病原体または微生物の薬物耐性は、本発明の実施形態により検出することができる。例えば、米国特許第7,732,586号明細書、米国特許第第7,741,036号明細書、米国特許第第7,850,974号明細書、および、米国特許第7,868,162号明細書には多様な病原微生物が記載されている。上記米国特許を本明細書中で引用することにより、これら微生物に関する開示内容を本願に援用する。微生物の典型例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:S. ニューモニア、S. パイロゲン、S. アガラクチア、S. エクイ、S. カニス、S. ボビス、S. エクイナス、S. アンギノスス、S. サングイ、S. サリバリウス、S. ミティス、S. ミュータンス、および、他のピリダンストレプトコッカスを含むストレプトコッカス属類、ペプトストレプトコッカス属類、エンテロコッカスフェカリスおよびエンテロコッカスフェシウムなどのエンテロコッカス属類、メチシリン耐性スタフィロコッカスアウレウス(MRSA)などの耐性株を含むスタフィロコッカスエピデルミディスおよびスタフィロコッカスアウレウスなどのスタフィロコッカス属類、ヘモフィルスインフルエンザ菌などを含むヘモフィルス属類、シュードモナスアエルギノーサ、シュードモナスシュードマレイ、および、シュードモナスマレイなどのシュードモナス属類、ブルセラメリテンシス、ブルセラスイス、および、ブルセタアボルタスなどのブルセラ属類、ボルデテラペルツシスなどのボルデテラ属類、炭疽菌およびセレウス菌などの病原体類を含むバチルス属類、クロストリジウムディフィシル、クロストリジウム ボツリヌム、クロストリジウムテタニー、および、クロストリジウムパーフリンゲンなどのクロストリジウム属類、ナイセリアメニンギティディスおよびナイセリアゴノレアなどのナイセリア属類、モラクセラカタラーリスなどのモラクセラ属類、マイコバクテリウムテュバキュローシス、マイコバクテリウムボビス、マイコバクテリウムボビスBCG、マイコバクテリウムアフリカヌム、マイコバクテリウムカネッティ、マイコバクテリウムカプラエ、マイコバクテリウムムクロチ、および、マイコバクテリウムピンニペディなどのマイコバクテリウム属類、ジフテリア、コリネバクテリウムウルランス、コリネバクテリウムシュードテュバキュローシス、コリネバクテリウムシュードジフテリチクム、コリネバクテリウムウレアリチカム、コリネバクテリウムヘモリチカム、および、コリネバクテリウムエクイなどのコリネバクテリウム属類、リステリアモノサイトゲネスなどのリステリア属類、ノカルジアアステロイデスなどのノカルジア属類、バクテロイデス属類、アクチノミセス属類、トレポネーマパリダムなどのトレポネーマ属類、レプトスピロサ属類、および、関連微生物。
また、本発明の実施形態は、多様なグラム陰性菌の薬物耐性を検出するうえでも有用である。上記グラム陰性菌は、pneumoniaeを含むクレブシエラ属類、サルモネラエンテリカおよび血液型O157:H7を含むE.coliなどのサルモネラ属類、野兎病菌などのフランシセラ属類、プロテウス属類、セラチア属類、アシネトバクター属類、ペスト菌などのエルシニア属類、野兎病菌などのフランシセラ属類、エンテロバクター属類、バクテロイデス属類、および、レジオネラ菌属類などである。一部実施形態では、例えば、クラミジアトラコマティス、オウム病クラミジア、または、クラミジアニューモニエなどの薬物耐性形態のクラミジア属が検出される。
加えて、本発明の実施形態が、例えば、クリプトスポリジウム属、Isospora belli、トキソプラズマ原虫、膣トリコモナス、シクロスポラ属種などの原生動物類または顕微鏡微生物の薬物耐性を検出するうえで有用であることを示してもよい。
一部実施形態では、ブドウ球菌類(メチシリン耐性菌株)、エンテロコッカスフェシウム、および、耐性緑膿菌を含む抗生物質耐性菌を検出する。
分析を行う前に、上記微生物を生体サンプルまたは環境サンプルから単離してもよい。一部実施形態では、微生物は、地表上、食物中、唾液、尿、糞便、血液、リンパ液、または、血漿などの生体液中、生物の含有が疑われる表面を拭うための用具、毛髪中、生物によって処理または接触される対象物などに存在する。一部実施形態では、上記微生物を遺伝子工学的に設計、突然変異、形質転換、改変、または、修飾して、薬物耐性を試験してもよい。
耐性試験を行う上記抗生物質は限定されない。一部実施形態では、微生物の薬物耐性試験に使用される上記抗生物質は数多くの要因に応じて選択され、例えば、微生物が公知の微生物であるか否か、当該微生物の複数株が多様な抗生物質または公知の抗生物質群に対して有する公知の耐性への知識、または、細菌がグラム陰性とグラム陽性の何れであるかなどの要因に応じて選択される。試験を受ける特定の抗生物質群の例は、例えば、アミノグリコシド抗生物質(例えば、トブラマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、グルセプチン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン)、ペニシリンなどのβラクタム(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、および、ピペラシリン)、セファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セファクロール、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフィネタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、および、セフスロジン)、フルオロキノロン類(例えば、シプロフロキサシン)、カルベペナム類(例えば、イミペネム)、テトラサイクリン類(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、マクロライド類(例えば、エリスロマイシンおよびクラリスロマイシン)、モノバクタム類(例えば、アズトレオナム)、キノロン類(例えば、フレロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、および、シノキサシン)、グリコペプチド類(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン)、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピンおよびムピロシン、および、米国特許第7,592,335号明細書に記載のようなPMB、オキサゾリジノン類、および、フェニルオキサゾリジノン類誘導体などのポリミキシン類を含む。上記米国特許を本明細書中に引用することにより、上記米国特許に記載のフェニルオキサゾリジノン類誘導体の開示内容を本願に援用する。
最適化への実験計画法を利用することで、異なる薬物を、濃度を変えて多重アレイ様式で使用することができる。例えば、複数の薬物、薬物の組み合わせ、および、異なる濃度の薬物を微生物サンプルに対して同時に試験することができる。
上記微生物を増殖させる培地として、例えば市販の培地を含む任意の同位体標識培地を使用することができる。一部実施形態では、上記培地は、Cambridge Isotope Laboratories社(アンドーバー、マサチューセッツ州)製のBioExpress1000増殖培地である。上記培地は、グルコース、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラル、および、共同因子の複合混合物から成る。BioExpress1000を100mlの滅菌濃縮液(10×)として供給し、最終pH値の調節の必要は無く、体積が1Lとなるように希釈した。一実施形態では、上記対照培地として(13C天然同位体存在度を有する)BioExpress1000増殖培地:CGM−1000−U−S(非標識、10×濃縮)を使用し、上記同位体標識培地として(13Cで同位体濃縮した増殖培地)BioExpress1000増殖培地:CGM−1000−C−S(13C−98%、10×濃縮)を使用する。他の同位体標識BioExpress1000増殖培地は、(15Nで同位体標識した増殖培地):CGM−1000−M(15N−98%、10×濃縮)、および、CGM−1000−CN(13C−98%;15N−98%、10×濃縮)を含む。代替の増殖培地に関しても同じ供給業者から入手可能であり、当該代替の増殖培地として、LB培地に匹敵する増殖速度を有する藻類源由来の高細菌細胞増殖培地であるCeltone完全培地が挙げられる。Celtoneは、アミノ酸、核酸、ペプチド、ビタミン、塩、および、他の必須栄養素を含み、細胞増殖および濃縮タンパク質発現を提供する。Celtone完全培地は、CGM−1040−C(l3C、98%)、CGM−1040−N(l5N、98%)、CGM−1040−CN(13C、98%;15N、98%)、および、CGM−1040−U(非標識)を含む。他の代替増殖培地として、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、および、他の必須栄養素の混合物であるCeltone Base 粉末培地があり、当該Celtone Base 粉末培地は、細菌性細胞の増殖および高タンパク質発現を提供する。Celtone Base 粉末培地は、CGM−1030P−C(l3C、98%)、CGM−1030P−N(l5N、98%)、CGM−1030P−CN(l3C、98%;15N、98%)、および、CGM−1030P−U(非標識)を含む。また、更に他の代替増殖培地は、細菌増殖およびタンパク質発現用のSpectra 9である。上記Spectra 9培地は、標識された塩および炭水化物から構成され、上述のようにCeltone Base粉末(1リットル毎のSpectra 9に対して1gの粉末)が添加されている。上記Spectra 9培地は、CGM−3030−C(13C、98%)、CGM−3030−N(15N、98%)、CGM−3030−CN(l3C、98%;15N、98%)、および、CGM−3030−U(非標識)を含む。
〔バイオマーカ〕
本発明によれば、質量分析法を使用して、1つまたは複数の多様な生物特異的バイオマーカ分子または“標識(signature)”を検出する。一般に、無処置の導入された微生物が、質量分析計内では独自の標識を示すので、異なる生物同士を分類学的に区別することが可能である(例えば、Demirev et al. J. Mass Spectrom. 2008, 43, 1441-1457; Demirev et al. Annu. Rev. Anal. Chem. 2008, 1, 71-94を参照)。
異なる生物およびバイオマーカ同士では、質量分析標識またはピークが異なるので、当該異なる生物およびバイオマーカ同士を区別することが可能である。バイオマーカの任意のソースを本発明に応じて使用することが可能であり、当該バイオマーカの任意のソースとしては、生物因子、微生物(無処置の微生物または当該無処置の微生物の細胞内箇所、細胞外箇所、または、それらの混合など)、細胞培養物またはその分離株、分離または分画したタンパク質、それらのタンパク質分解ペプチド断片、ペプチド、リポペプチド、非リボソームペプチド、リボソームタンパク質、脂質、リン脂質、オリゴ糖、多糖、DNA、RNA、または、他の分子、または、これらの組み合わせを本発明に応じて質量分析してもよい。一部の実施形態では、質量分析法によって検出および分析したバイオマーカは、リボソームタンパク質などの高豊富タンパク質である。
ペプチドなどのバイオマーカは、無処置の材料または処理済みの材料から抽出することができる。一部の実施形態では、質量分析法を行う前に、バイオマーカ分子を微生物細胞から単離するか、または、他の分子から断片化する。他の実施形態では、上記バイオマーカを含む無処置の微生物またはその一部に質量分析法を行う。一部の実施形態では、無処置の微生物に質量分析法を行い、幾つかのピークを有するスペクトルを産出し、各ピークは個別のバイオマーカの特徴を示しており、当該スペクトルは全体として当該微生物の質量分析“標識(signature)”を構成している。一部の実施形態では、上記バイオマーカを細胞培地内へ排出し、細胞培養培地またはその精製部分を質量分析法に掛けて、排出した上記バイオマーカを検出する。
一部の実施形態では、質量分析法を行う前に、上記バイオマーカを小さな断片に砕く。一部の実施形態では、タンパク質バイオマーカを部分的に消化させて、より小さなペプチドを得る。上記タンパク質は、1つまたは複数の酵素を使用して部分的に消化させることができ、当該酵素として、トリプシン酵素、スブチリシン酵素、キモトリプシン酵素、ペプシン酵素、パパイン酵素、S. aureus V8酵素、エラスターゼ酵素、Lys−Cエンドプロテイナーゼ酵素、Arg−Cエンドプロテイナーゼ酵素、Glu−Cエンドプロテイナーゼ酵素、または、それらの組み合わせが挙げられる。上記酵素に化学修飾を行ったり、例えば小さなビーズ上または表面上に固定化したりすることで、オートリシスを最小限に抑えることができる。
MS法またはMS/MS法(タンデム質量分析法)などの一部の実施形態では、各特定種の微生物の発現タンパク質の特異なバイオマーカを検出することにより、当該微生物の迅速な検出が実現される。一部の実施形態では、上記測定されたバイオマーカは、リボソームタンパク質、シャペロンタンパク質、および、転写翻訳因子タンパク質などのハウスキーピング機能を有する高発現タンパク質である。一部の実施形態では、上記バイオマーカは、脂質、リポタンパク質、ペプチド、および、他の同様なタイプの分子またはその組み合わせを含む。一実施形態では、上記バイオマーカが、同位体標識タンパク質を含むことができる。他の実施形態では、上記バイオマーカが、同位体標識タンパク質、同位体標識ペプチド、同位体標識リポタンパク質、同位体標識リポペプチド、または、同位体標識脂質を含むことができる。他の可能なバイオマーカを本実施形態の検出および特徴付けに使用してもよい。好ましくは上記微生物に発現されて、好ましくは区別可能なMS標識を示す任意のバイオマーカを採用してもよい。
一部の実施形態では、上記バイオマーカタンパク質のサイズは、約100kDaまたはそれ未満である。一部の実施形態では、上記バイオマーカタンパク質のサイズは、約80kDaまたはそれ未満、約70kDaまたはそれ未満、約60kDaまたはそれ未満、約50kDaまたはそれ未満、約40kDaまたはそれ未満、約30kDaまたはそれ未満、約20kDaまたはそれ未満、または、約10kDaまたはそれ未満である。一部の実施形態では、発現タンパク質の数および種類は非常に限定されており、予測可能な大きさの範囲に収まっている。原核生物中では、通常発現されるタンパク質は、真核生物において発生するような大規模な翻訳語修飾を受けない。これにより、原核生物および細菌は、MS技術を使用する研究にとって特別に関心のある対象となる。発現タンパク質は、通常、MS法において特定の信号対雑音比を超えることができる。例えば、多くの場合では、発現タンパク質の比率は、少なくとも3である信号体雑音比強度の閾値を超えるのに十分高いものである。一部実施形態では、信号対雑音強度の閾値は少なくとも2、3、4、5、または、6である。これは、上述の発現タンパク質およびタンパク質断片の比率が、低発現レベルの他のタンパク質およびタンパク質断片よりも高くなるためである。一部実施形態では、これらの特徴により、“トップダウン型(top down)の” プロテオミクス手法を利用して微生物を研究するウインドウ(window)が提供される。
〔同位体タグおよび標識〕
本発明の一実施形態では、関心のある微生物を増殖させるために使用する培地中に多様な同位体タグを取り込むことができる。同位体は、原子核に含まれる陽子の数が同数である一方で、中性子の数が異なる原子である。これら原子の全ては同様の化学的特性を共有しているが、これは、同位体が共通の電子配置を有していることに大きく起因している。同位体を多様な目的に利用することができる。元素は、安定同位体と不安定同位体の両方を有することができる。一部実施形態では、本発明に使用する同位体は、安定同位体である。例えば、安定性を有する有益な同位体の多くは、周期表の最初の3つ目までの周期において発生する。一部実施形態では、炭素、窒素、リン、および、硫黄、またはそれらの組み合わせを本発明に使用する。一部実施形態では、Dと、13Cと、15Nと、18Oとから成る一群から上記同位体標識を選択する。
〔質量分析計および検出器〕
上記微生物またはバイオマーカのサンプルを質量分析法により処理する。標準的な方法および手順を利用して、上記サンプルの処理および質量分析法による処理を行うことができる。以下の論文は、質量分析用サンプルの調製、処理、および、分析に関するとともに、これまでに科学文献において報告されてきたものである:P. Demirev, C. Fenselau, Annual Reviews in Analytical Chemistry 1 (2008)71 -94, "Mass spectrometry for rapid characterization of microorganisms";P. Demirev, C. Fenselau, J. Mass Spectrom. 43 (2008)1441-1457, "Mass spectrometry in biodefense";Doroshenko, V. M.; Laiko, V. V.; Taranenko, N. I.; Berkout, V. D.; Lee, H. S. (2002), "Recent developments in atmospheric pressure MALDI mass spectrometry" Int. J. Mass Spectrom. 221: 39-58;Eng, J. ., A. L. McCormack, et al. (1994). "An approach to correlate tandem mass spectral data of peptides with amino acid sequences in a protein database." Journal of the American Society for Mass Spectrometry 5(11): 976-989;Fenselau, C. and P. A. Demirev (2001). "Characterization of intact microorganisms by MALDI mass spectrometry." Mass Spectrom. Rev. 20(4): 157-171;Harris, W. A. and J. P. Reilly (2002). "On-Probe Digestion of Bacterial Proteins for MALDI-MS" Anal. Chem. 74(17): 4410-4416;Hooker, J. M., E. W. Kovacs, and M. B. Francis, Interior surface modification of bacteriophage MS2. J Am Chem Soc, 2004. 126(12): p. 3718-9;Karas, M. and F. Hillenkamp (1988). "Laser desorption ionization of proteins with molecular masses exceeding 10000 Dal tons." Anal. Chem. 60(20): 2299-2301;Krishnamurthy, T. and P. L. Ross (1996). "Rapid identification of bacteria by direct matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometric analysis of whole cells." Rapid Commun. Mass Spectrom. 10: 1992-1996.;rutchinsky, A. N., M. Kalkum, et al. (2001). "Automatic Identification of Proteins with a MALDI-Quadrupole Ion Trap Mass Spectrometer." Anal. Chem. 73: 5066-5077;Perkins, D. N., D. J. Pappin, et al. (1999). "Probability-based protein identification by searching sequence databases using mass spectrometry data." Electrophoresis 20(18): 3551-67;Pribil P A, Patton E, Black G, Doroshenko V, Fenselau C. (2005), "Rapid characterization of Bacillus spores targeting species-unique peptides produced with an atmospheric pressure matrix-assisted laser desorption/ionization source." J Mass Spectrom. 40(4): 464-474;Strauss, J. H., Jr. and R. L. Sinsheimer, Purification and properties of bacteriophage MS2 and of its ribonucleic acid. J Mol Biol, 1963. 7: p. 43-54;Tanaka, K., H. Waki, et al. (1988). "Protein and polymer analyses up to m/z 100,000 by laser ionization time-of-flight mass spectrometry." Rapid Commun. Mass Spectrom. 2: 151-153;Warscheid, B., and Fenselau, C. (2003). "Characterization of Bacillus Spore Species and Their Mixtures Using Postsource Decay with a Curved-Field Reflectron," Anal. Chem. 75(20): 5618-5627。上記文献を本明細書に引用することにより、その全開示内容を本願に援用する。
MALDI−TOF法に関しては、多数のサンプル調製方法を利用することが可能であり、当該サンプル調製方法としては、以下の方法があるが、これらに限定されない:乾燥液滴法(dried droplet)(Karas and Hillenkamp, Anal. Chem., 60:2299 2301, 1988)、真空乾燥法(Winberger et al., In Proceedings of the 41st ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, San Francisco, May 31 Jun. 4, 1993, pp. 775a b)、粉砕結晶法(crush crystals)(Xiang et al., Rapid Comm. Mass Spectrom., 8: 199 204, 1994)、低結晶増殖法(slow crystal growing)(Xiang et al., Org. Mass Spectrom, 28:1424 1429, 1993);活性フィルム法(Mock et al., Rapid Comm. Mass Spectrom., 6:233 238, 1992; Bai et al., Anal. Chem., 66:3423 3430, 1994)、空気圧式スプレー法(Kochling et al., Proceedings of the 43rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics; Atlanta, Ga., May 21 26, 1995, pl225);電気スプレイ法(Hensel et al., Proceedings of the 43rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics; Atlanta, Ga., May 21 26, 1995, p947);高速溶媒蒸発法(Vorm et al, Anal. Chem., 66:3281 3287, 1994);サンドイッチ法(Li et al., J. Am. Chem. Soc, 1 18: 11662 11663, 1996);および、2層法(Dai et al., Anal. Chem., 71:1087 1091, 1999)。例えば、Liang et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., 10:1219 1226, 1996;van Adrichem et al., Anal. Chem., 70:923 930, 1998についても参照。例えば、微生物のサンプルを凍結乾燥し、可溶化し、溶液(CHCNと0.1%トリフルオロ酢酸を70:30の比率で有する溶液など)中に抽出した後、マトリクスに組むことができる。当該マトリクスとして、例えば、シナピン酸、ジヒドロキシ安息香酸、2,5−アルファーシアノー4−ヒドロキシ桂皮酸などの多様なマトリクスを使用することができる。上記マトリクスに添加する前に、サンプルを多様な方法で処理することができる。例えば、上記サンプルを抽出し、コロナ放電、HPLCなどのクロマトグラフィーを行い、例えば、質量分析を行う前に特定の不要成分(脂質、小分子、高分子量成分など)を除去することができる。
一部実施形態では、サンプル処理は、タンパク質バイオマーカ抽出工程(通常、特定の溶媒を使用する)、タンパク質消化工程、および、MALDIマトリクス堆積工程などの幾つかの工程を含み、サンプル液体蒸発工程を含むことができる。一部実施形態では、米国特許第7,858,392号明細書に記載のように様々なパラメータを最適して、サンプル調製時間を最小限に短縮することができる。なお、本明細書に上記米国特許を引用することにより、その開示内容を本願に援用する。一部実施形態では、上記サンプルを上記サンプル保持器(例えば、プローブまたはMALDIプレート)上で直接処理することができる。
上記質量スペクトル取得モジュール(MSAM)(例えば図1参照)は、質量分析計システムを備える。一部の実施形態では、上記質量スペクトル計システムが、イオンソース、光学イオン集束装置または光学イオン分離装置、および、検出器を備えることができる。
様々な質量スペクトル計が開発されており、本実施形態とともに使用することができる。質量スペクトル計により、上記イオンソースから発生するイオンまたはその断片を検出する。原則的に、質量スペクトル計により、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、または、ペプチド断片などの生体分子検体の質量対電荷比を測定する。
様々なイオンソースが公知であり、当該技術分野で使用されている。上記イオンソースは、解析下の材料(検体)をイオン化する質量分析計の一部である。その後、上記イオンは、磁場または電場により輸送される。本発明に応じて使用可能な上記イオンソースは限定されない。気体および蒸気に対しては、電子イオン化および化学イオン化が使用される。化学イオン化ソースでは、衝突時に発生する化学イオン分子の反応により、上記検体がイオン化される。2つの技術が液体状および固体状の生体サンプルに頻繁に使用され、当該技術として、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法とマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法が挙げられる。
MALDI法およびESI法により、大きな不揮発性分子を上記気相内へ移送させることが可能になる。MALDI法では、適切な光吸収性有機化合物(マトリクス)は、上記質量スペクトル計に導入する前に、上記サンプル(例えば、無処置の微生物)と混合される。その後、後段のMS分析のために、高質量バイオ分子イオンを脱着させるパルス紫外線または赤外線レーザを上記サンプルに照射する。
ESI法では、グランドに対する所望の電圧で保持された毛細針を介して上記検体溶液を輸送することで、大きな多価イオンを生成することができる。
一部実施形態では、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法と、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法と、高速原子イオン衝撃(FAB)法と、化学イオン化(CI)と、大気圧光子イオン化(APPI)法と、大気圧化学イオン化(APCI)法と、マトリクス支援レーザ脱離イオン化大気圧マトリクス支援(AP−MALDI)法とから成る一群から上記イオンソースを選択する。これらイオンソースは限定されず、本発明に応じて他のイオンソースを採用することができる。上記イオンソースを真空状態に配置してもよいし、大気圧の不在化では真空状態にしてもよい。
上記光学イオン集束装置または上記光学イオン分離装置が、四極子、イオン鏡、筐体、または、関心のあるイオンを分離するために利用できる他の構成材などの、必要とされる任意の質量分析器を備えることができる。
質量分析を単独または他の質量分析器と一緒に使用して、タンデム質量分析計を構成することができる。後者の場合では、第1質量分析器を使用して、上記バイオマーカイオン(前駆イオン)同士を互いから分離し、上記サンプル内の上記多様なバイオマーカ成分の分子量を決定することができる。第2質量分析器を使用して、例えば、上記前駆イオンを生成イオン(タンパク質バイオマーカの場合では、より小さなペプチドイオンなど)に断片化することで、分離した上記バイオマーカ成分を分析することができる。例えばトリプル四重極と、タンデム飛行時間型と、イオントラップと、これらの組わせとの1つ以上を含む質量分析器の所望の組み合わせのうち、任意の組み合わせを使用することができる。
イオンソースと、イオン集束装置およびイオン分離装置の一方または両方と、検出器との任意の組み合わせを本発明と共に採用することができる。1つまたは複数の異なる技術を使用して、質量分析によるバイオマーカの分離を実現することができる。一部実施形態では、飛行時間(TOFMS)型質量分析法、四重極の電界による分離、イオン移動(ガス中のドリフト)度による分離、または、イオントラッピングによる分離により、分離を実現することができる。一部実施形態では、ペプチドなどの多様な生体分子の構造分析のために、1つまたは複数の技術をタンデムに使用するMSモードまたはMS/MSモードで質量スペクトル分析を実現することができる。一部実施形態では、MALDIまたはESIを当該技術の1つまたは複数と結合して、分離を実現することができる。一部実施形態では、MALDIをTOFと結合する。MALDI/TOF実験の一実施形態では、検体を表面上に堆積させた後、レーザを照射して、“イオンプルーム”を発生させる。その後、発生させたイオンを一定の運動エネルギーまで加速させて、飛行管内を下方に導く。上記多様なイオンのサイズおよび質量は異なるため、飛行速度が異なる。上記イオンが上記飛行管の終端に到達すると、検出器に検出される前に、上記イオンを逆方向に導くか、または、反射器を使用して反射する。他のイオンソース、分離器、および、検出器を異なる組み合わせで本発明とともに採用してもよい。一部実施形態では、質量スペクトルシステムが、TOF、TOF/TOF、AP−MALDI、イオントラップ、四重極、トリプル四重極、FTICR、Orbitrap、電気質量分析器および磁気質量分析器、イオン移動度装置、または、これらの組み合わせを備えることができる。
一部実施形態では、上記微生物を質量分析計に導入して、異なる微生物を分類学的に区別することを可能にする独自標識を作成する。一部実施形態では、質量分析を行う前に、上記微生物から1つまたは複数のバイオマーカを単離する。
一部実施形態では、無処置のタンパク質、または、例えば酵素加水分解または化学加水分解(高温支援による酸加水分解)後に得られるタンパク質分解ペプチドにタンデムMSを行うことで、バイオマーカの配列特異的断片を作成する。一部実施形態では、多様な微生物の参照質量スペクトル標識のライブラリを取得し、使用することで、未知の微生物の同定を容易にする。バイオインフォマティクスアルゴリズムを使用して、上記サンプルの質量スペクトルを参照サンプルと比較する。比較対象の上記参照サンプルは、ゲノムデータベースとプロテオームデータベースの一方または両方で得られる情報を利用する、in silico生成した微生物または特定微生物の標識を含むことができる。
一部実施形態では、一定の閾値レベルより大きなピークを特定し、検出されたイオンの質量、電荷、および、強度を算出する市販のソフトウェアを上記スペクトル計に設けている。上記スペクトルデータ(すなわち、イオンの電荷が1つであるため、上記分子量が、分子の値から電離陽子の質量を除算した値に等しくなるスペクトルデータ)から直接、分子量と所定出力ピークの相互関連付けを行うことができる。しかし、タンパク質イオンは、Na+およびKなどの多様な対イオンおよび付加化合物と複合化することができる。このような場合、所定タンパク質イオンが、三重項などの多重ピークを有し、同一タンパク質の異なるイオン電荷状態を示すことが予測される。これにより、スペクトルデータを分析および処理して、上記同一タンパク質から発生するピーク群を測定することが必要になる場合がある。この分析を従来の方法(例えば、Mann et al., Anal. Chem., 61:1702 1708, 1989 に記載の方法)で行うことができる。
〔アルゴリズム〕
本明細書に記載のような実施形態によれば、特徴的な質量シフトの予測と、当該質量シフトの予測値と薬物を含む同位体標識培地中で増殖させた微生物から採取した1つまたは複数のバイオマーカの質量シフトの測定値との比較とを備えるアルゴリズム的解析により、薬物耐性を判断する。一部実施形態では、本発明応じて使用することができる上記アルゴリズムを(オプション1〜4として)図4に示し、以下に説明する。
図4を参照すると、上記アルゴリズムモジュール400の上記処理工程をより詳細に記載している。上記アルゴリズムモジュール400は、上記アルゴリズム410を採用して、上記質量分析結果を解釈することができる。上記分析結果は、一般的には、多様なバイオマーカの質量シフトの異なる複数の予測値(Δm値)の形態となる。以下に説明する一部実施形態では、上記アルゴリズム410を採用して、上記質量分析取得モジュール300のAm値を、上記バイオマーカ組成データベース420と上記生物ゲノム/プロテオームデータベース430の一方または両方のデータベースのin silico生成のΔm値と比較することができる。その結果、正しいバイオマーカと質量の割り当てを実現することができる。
上述の如何なる実施形態も、本明細書に開示したアルゴリズムに限定されるものとして解釈すべきではない。上記アルゴリズムにより、上記同位体標識断片または上記同位体濃縮断片と上記対照断片とから作成した多様な質量分析イオン断片間の適合に信頼性がもたらされる(質量シフト、Δm)。上記アルゴリズムは、質量シフトを正確に判断し、バイオマーカに質量シフトを正しく割り当て、薬物耐性を判断するのに有用である。バイオマーカに質量シフト(すなわちΔm)を割り当てる場合に、多様なアルゴリズムを採用することができる。
図2および図4を参照すると、多様なアルゴリズム的分析により、対照質量スペクトル132’および同位体標識質量スペクトル134’(非薬剤試験スペクトル134’)と同位体標識薬剤試験スペクトル122’を比較して、薬物耐性440を測定できる。上記対照質量スペクトル132’は、質量シフトの測定と算出および/または予測とにとって重要であるため、数多くのオプション(1〜4)を提供して、バイオマーカ質量の予測精度を向上するとともに、上記バイオマーカ質量のシフト436が上記同位体標識スペクトル122’と比較するとともに相関もしていることを確認する。さらに、誤った相関または比較を行った場合、質量数決定が不正確になり、このような不正確な質量数決定は、最終的には、微生物の薬物耐性440の判定において全体的に不正確な結果を招くことになる。さらに、未知の微生物の試験を行う一部実施形態では、予測および精度が向上するin silicoでの比較を行うことができる。
〔オプション1〕
一実施形態では,アミノ酸分布の平均(タンパク質バイオマーカの場合)または脂肪酸鎖長(脂質バイオマーカの場合)を利用して、可能性の有る質量シフトの範囲を算出することで、対照バイオマーカの質量シフト132’を決定することができる。統計学的に決定された“平均的な”バイオポリマー構築ブロックの平均分子量と元素組成とに基づく共通モデル(ペプチド/タンパク質の場合は“アベラジン(averagine)”であり、DNAの場合は“アベラバゼーネ(averabaseine)”)を使用して、未知のバイオマーカ/生物の場合の質量シフトを予測することができる(図3および下掲の実施例1を参照)。この実施例では、13C標識の場合、アミノ酸の2つの限定例(例えば、質量当たりの炭素原子の数が最も少ないアミノ酸と、質量当たりの炭素数が最も多いアミノ酸)を採ることで、質量シフトの値の範囲を推定することができる。
一部実施形態では、アミノ酸の平均的な元素組成はC4.93847.75831.35771.47730.0417.であるので、任意のタンパク質のアミノ酸の平均分子量Maveは111.1254Daとなる。一部実施形態では、天然同位体存在度を有する培地中の13C対12Cの比率は0.01であり、同位体標識培地中の13C対12Cの比率は46である。この情報を使用して、質量分析法で測定したような公知の分子量を有するタンパク質(例えば、同位体標識の候補である炭素の数が平均的な数であるようなタンパク質)の平均的な元素組成を決定することができる。この情報に基づいて、質量シフトの予測値を算出することができる。質量シフトの予測値と測定値の差異は、分子中の炭素原子の予測数と実際の数との差異に起因する。
〔オプション2〕
一実施形態では、上記アルゴリズムが、薬物の不在下で、上記微生物を上記同位体標識培地中で増殖させて、対照スペクトルピークの測定値からシフト可能な新規ピーク候補を提供することを含む。これらのピークを使用して、薬物の存在下で上記同位体標識培地中で増殖したバイオマーカの質量シフトを予測する。
〔オプション3〕
他の実施形態では、バイオマーカ組成データベース420(図4参照)を使用して対照質量シフト132’(図3参照)を算出できる。例えば、バイオマーカシフト132’の精密制御について、バイオマーカ組成データベース420に問い合わせることができる。上記バイオマーカ組成データベースをタンパク質418のde novo配列決定の結果として作成することができる。
一部実施形態では、微生物の個々のバイオマーカ分子のde novo配列決定のために、高解像度MS器具類(例えば、Demirev et al., Analyt. Chem. 73 (2001)5725-5731, "Tandem mass spectrometry of intact proteins for characterization of biomarkers from Bacillus cereus T spores"を参照)を(頻繁に)使用するMS法およびタンデムMS法を使用することができる。上記バイオマーカ分子の配列が判明すれば、公共または民間の既存の如何なるタイプのバイオマーカデータベースにも問い合わせを行うことなく、少量のペプチドおよびタンパク質のアミノ酸組成を断定することが可能になる。タンデムMS法により、非リボソーム合成バイオマーカ(例えば、リポペプチド)の同定、構造の解明、および、元素組成の確率を行うことが可能になる。
一部実施形態では、“ボトムアップ型”または“トップダウン型”のプロテオーム分析を利用して、上記バイオマーカのde novo配列決定を行う。“トップダウン型”のプロテオミクスでは、タンデムMS実験において断片化後に部分アミノ酸配列を推定することで、無処置の前駆タンパク質を同定する。一部実施形態では、トップダウン型のプロテオミクスの場合、分析前にタンパク質バイオマーカを濃縮および単離する必要が無い。一部実施形態では、純粋形態または他の微生物と混合した形態の無処置の微生物から、上記バイオマーカをde novo配列決定する。
一部実施形態では、前駆タンパク質イオンが解離することで、骨格構造が配列特異的に開裂し、スペクトルの大部分が、アスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基のC末端側に形成された裂け目によって発生するイオンに占められる。一部実施形態では、如何なるタイプのバイオマーカデータベースをも参照することなく、上記バイオマーカの上記アミノ酸組成を得ることができる。
微生物を同定するための“トップダウン型の”プロテオミクス方法論と同様に、上記“ボトムアップ型の”アプローチは、個々のタンパク質の初期の同定に基づいている。しかし、ボトムアップ型のプロテオミクスでは、上記タンパク質のタンパク質分解(酵素消化)が最初に行われる結果、各ペプチドから幾つかのペプチド断片(“タンパク質分解”ペプチド)が生じる。一部実施形態では、バイオマーカを直接的に同定するために、急速な残基特異的開裂によりin situ作成されたタンパク質分解ペプチドの質量の実験的測定値をバイオマーカデータベースにマッピングすることができる。一部実施形態では、上記バイオマーカの上記配列を得るために、公知のバイオマーカデータベースに問い合わせを行う必要が無い。
一部の実施形態では、上記タンデム質量分析法により得られたペプチド配列タグ情報に相補的または同時発生的な上記タンパク質分解酵素を使用して、対象とするタンパク質を明白に同定することができる。
これらの全ての場合では、上記それぞれのバイオマーカのタンパク質アミノ酸と元素組成との一方または両方から、上記対照質量シフトを直接的に算出/予測することができる。
〔オプション4〕
他の実施形態では、1つまたは複数の生物ゲノム/プロテオームデータベースを使用して、対照バイオマーカ質量シフト132’(図3参照)を算出できる。上記対照スペクトルにより決定されたタンパク質成分の分子量をその後使用して、データベースに問い合わせを行うことができる。問い合わせを行う上記データベースは、他の情報に加えて、タンパク質分子量情報のリストと当該タンパク質分子量情報を導き出した生物ソースの識別とを含む。例えば質量スペクトルにおいて決定したような未知生物のタンパク質分子量と公知生物のタンパク質分子量を含むデータベースとを比較することで、当該未知生物を迅速および確実に同定、分類、または、特徴付けることができる。この実施形態では、上記対照スペクトルの質量スペクトルピークを上記データベース内のタンパク質に割り当てることができるので、各質量スペクトルピークに関連するアミノ酸組成が得られる。上記同位体に起因するタンパク質量のシフトの予測値を直接的に算出することができ、算出した当該シフトの予測値と薬物を添加した同位体標識培地中で増殖した微生物の質量スペクトルとを比較することができる。
1つまたは複数のゲノム/プロテオームデータベースに問い合わせを行って個々のバイオマーカおよび無処置の微生物を同定するために、(低解像度および高解像度のMS器具類を使用する)MS法およびタンデムMS法を使用することができる。質量分析およびゲノム/プロテオームデータベース検索によって微生物を検出および仮同定するために、多様なバイオインフォマティクスアルゴリズムが開発されてきた(例えば、Demirev et al. Analytical Chemistry 77 (2005)7455-7461, "Top-down proteomics for rapid identification of intact microorganisms"; Demirev et al., Analyt. Chem. 71 (1999), 2732-2738, "Microorganism identification by mass spectrometry and protein database searches"; Demirev, F. Pineda, J. Lin, C. Fenselau, Analyt. Chem 73 (2001) 4566-4573, "Bioinformatics and mass spectrometry for microorganism identification: proteome-wide post-translational modifications and database search algorithms for characterization of intact H. pylori"; Demirev et al. Johns Hopkins APL Technical Digest, 25 (2004)27-37, "Bioinformatics-based strategies for rapid microorganisms identification by mass spectrometry" Demirev et al., US Patent No. 7,020,559; Demirev et al., Analyt. Chem. 73 (2001)5725-5731, "Tandem mass spectrometry of intact proteins for characterization of biomarkers from Bacillus cereus T spores"上に挙げた全文献については、本明細書に引用することにより、その開示内容を本願に援用する)。
本アルゴリズムオプションの一部実施形態では、“トップダウン型”のプロテオミクス手法を使用してバイオマーカを迅速且つ信頼性高く同定するために、MALDI TOF/TOF法などのタンデム質量分析法を利用している。一部実施形態では、バイオマーカ全体(未消化のバイオマーカ)の断片イオンスペクトルを取得し、上記第1TOF分析器において高質量(>5kDa)の前駆イオンをレーザ誘起的に解離(単分子分解)させたのに続けて、得られた配列特異的断片をリフレクトロンTOF分析器において再加速し、その後高解像度の質量分析を行う。その後、質量を事前に設定した上記前駆イオン質量の周囲の範囲内に収めた状態で、実験中のMS/MSスペクトルを1つまたは複数のゲノム/プロテオームデータベースに格納された全てのタンパク質配列からin silico生成したタンデム質量スペクトルと比較する。一部実施形態では、“ボトムアップ型”のプロテオミクス手法を使用することができ、上記バイオマーカタンパク質を(例えば、トリプシンにより)酵素消化してペプチド断片を作成し、1つまたは複数のゲノム/プロテオームデータベースに格納された全てのタンパク質配列からin silico作成した酵素断片(例えば、トリプシン断片)と比較することにより当該酵素断片を同定する。使用するプロテオミクス手法に関わらず、p値(実験中の断片とin silico生成の断片との間で観測された適合が偶然生じた確率)を演算し、演算の結果得られた当該p値を使用してデータベース内のタンパク質のランク付けを行うことで、最も妥当と思われる前駆タンパク質を同定する。本明細書に記載する上記確率的アルゴリズムを使用して、実験バイオマーカとin silico作成のバイオマーカの適合度合いを測定することができる。推測の結果として、その後、個々のユニークなタンパク質バイオマーカの同定に基づいて上記ソース微生物を同定する。データベースより適合度合いが決定されると、上記質量シフトの予測値を算出できる。
一部実施形態では、検索を行った上記データベースは、前駆イオン質量の周囲(例えば、±2.5Da)の事前に設定した範囲の質量を有する前駆タンパク質配列を抽出するためのSwissPROT/TrEMBLプロテオームデータベース(Bairoch, A.; Apweiler, R.; Wu, C. H.; Barker, W. C; Boeckmann, B.; Ferro, S.; Gasteiger, E.; Huang, H.; Lopez, R.; Magrane, M.; Martin, M. J.; Natale, D. A.; O'Donovan, C; Redaschi, N.; Yeh, L. S. Nucleic Acids Res. 2005, 33, D154-159)である。一部実施形態では、N端末側のMet切断などの翻訳後のタンパク質修飾の上記確率を取り入れている(例えば、Pineda, F.; Antoine, M.; Demirev, P.; Feldman, A.; Jackman, J.; Longenecker, M.; Lin, J. Anal. Chem. 2003, 75, 3817-3822; Demirev, P.; Lin, J. S.; Pineda, F. J.; Fenselau, C. Anal. Chem. 2001, 73, 4566-4573を参照。上記文献を本明細書に引用することにより、翻訳語のタンパク質修飾の確率の開示内容を本願に援用する。)。
本アルゴリズムオプションの一部実施形態では、上記微生物は、微生物の混合物中に存在する。一部実施形態では、アルゴリズム的分析法と結合させたタンデム質量分析法により、生物の混合物をデコンボリューション(deconvolution)して、当該混合体内の個別の生物とバイオマーカを同定することを可能にする。
本発明では、多様なデータベースを有用にすることができる。有用なデータベースは、ゲノム配列と、発現遺伝子配列と、発現タンパク質配列との1つ以上を格納するデータベースを含む。一部実施形態では、上記データベースが、公知の生物、器官、組織、または、細胞種類中に存在するタンパク質のヌクレオチド配列由来分子量を格納する。オープン・リーディング・フレーム(ORF)を同定し、ヌクレオチド配列をタンパク質配列および分子量情報に転換するアルゴリズムは数多く存在する。GenBank(全米バイオテクノロジー情報センター)およびUniprotデータベースの一部であるSwissPROT/TrEMBLデータベースを含む、幾つかの公的にアクセス可能なバイオマーカ/ゲノム/プロテオームデータベースが利用可能である。上記データベースに含まれる情報は、例えば、遺伝子名、タンパク質名、E.C数、機能のカテゴリー、Swiss−Prot受託コード、Genbank用配列コード、Koharaファージ位置、遺伝子地図位置、染色体の転写方向、予測分子量、および、DNA配列からの等電点などを含むことができる。
質量分析器から算出された分子量をゲノムデータデータベースまたは発現遺伝子データベースなどのデータベースから予測された分子量にマッチングさせるうえで、翻訳後の処理を考慮に入れる必要性が生じる場合もある。細胞内のタンパク質構造を修飾する多様な処理事象が存在し、当該処理事象はタンパク質分解処理、N末端メチオニンの除去(例えば、Demirev et al., Anal. Chem. 2001, 73 4666-4573を参照)、アセチル化、メチル化、グリコシル化などを含む。しかし、真核細胞と比べて本発明のほとんどの微生物では、上記バイオマーカの翻訳後処理が行われるとしても、僅かばかりの翻訳語処理が行われるだけである。
未知生物を対照培地と同位体培地で増殖させた場合、それぞれのスペクトルに発生する質量シフトをそれぞれのバイオマーカタンパク質アミノ酸配列から直接的に算出でき、ゲノム/プロテオームデータベースにおいて同定できる。
薬物濃度(または、薬物の種類と濃度の一方または両方)を異ならせた以外は同じ条件下で増殖させた同一生物間で互いから同位体シフトしている質量ピーク強度の比率が、上記微生物の薬物耐性の半定量的な指標となることができる。一部実施形態では、上記サンプルの増殖後、適切な内標準物(分子量が微生物MS標識に含まれない標識/非標識分子)を公知の濃度で上記サンプルに添加して、定量MSによる特定バイオマーカ分子の定量を容易にすることができる。
これら図4のアルゴリズムのオプション個別または一緒に使用して、結論の信頼度を向上させることができる。
図4の各アルゴリズムオプションでは、薬物を添加した同位体標識培地で増殖させた薬物耐性微生物のスペクトルのピークが測定されると予測される予測質量値または予測質量範囲のリストが作成される。このスペクトルは、信号対雑音比(SNR)の算出値と質量/電荷比の割り当て値を有するバイオマーカピークのリストを作成する。
スペクトルの信号対雑音を判定する可能な閾値を任意の数使用して、(対照および同位体スペクトルからの)バイオマーカ質量の検出を実現することができる。例えば、一実施形態では、強度(a.u)レベルが少なくとも500に満たないバイオマーカは判定されない。さらに、上記強度を500〜4000の範囲としてもよい。他の強度閾値または強度閾値範囲を本発明とともに使用してもよい。
〔確率的アルゴリズム〕
バイオマーカ質量シフト436(図4参照)と観測結果438の閾値有意性(図4参照)の比較を判断した後、それぞれのバイオマーカに対する質量シフトの適合を実現することができる。
本発明の一部実施形態では、上記予測質量および上記予測質量範囲と実験中の測定ピークとの一致を使用して、適合性の度合いを示す指標(例えば、測定結果または確率的手法(図5参照)の統計的有意性)を算出することができる。
一部実施形態では、本発明は、予測値と測定値の適合度合いを示す指標を算出するための確率的アルゴリズムを使用する。一部実施形態では、信号対雑音比(SNR)の閾値を選択高信号ピークに適用する。上記観測結果の統計的有意性を、知られざる処理の所為でピークを観測し、当該ピークを上記予測ピークであると誤解する確率として算出することができる。予測質量値の周囲の機器精度/質量数決定エラーウィンドウ内に収まるこで当該予測値に一致する新たな観測ピークの数をカウントすることができる。例えば、質量ウィンドウ(δm)を設定して、観測ピークの一致がヒットとして記録される上記予測質量値の周囲の質量値範囲を定めることができる。特定の問い合わせ用の上記質量ウィンドウを多様な基準に基づいて設定することができる。一部検討事項は、上記機器の精度と上記同位体標識培地の純度に関する。加えて、タンパク質の平均的な元素組成に基づいて質量シフトを予測するアルゴリズム(上述のオプション1を参照)を使用する場合、一部実施形態の質量値の範囲は、例えば13C標識の場合、質量当たりの炭素原子数が最も少ないアミノ酸のみを有する可能なタンパク質と質量当たりの炭素原子数が最も多いタンパク質のみを有する可能なタンパク質を含むことになる。他の検討事項は翻訳後の処理を含む。上記機器の精度を日常的に判定することができる。例えば、このような判定は、公知の基準を使用するとともに、外部基準と内部基準を使用する上記機器を検査することで実施することができる。
一部実施形態では、Smは1.0Da(すなわち、上記予測ピーク値付近から±0.5Da)、2.0Da、2.5Da、3.0Da,4.0Da、5.0Da、6.0Da,7.0Da,8.0Da、9.0Da,または、10.0Daである。一部実施形態では、Smは、より大きい値をとる。
一部実施形態では、予測値と観測値の一致度合いを示す指標を算出するための上記アルゴリズムとして、偶然一致確率であるPmatchを使用する。このPmatchは、予測ピーク数nと、当該ピークを観測する場合の発現質量エラー数δmと、上記スペクトルの新たな観測ピーク数kと、観測一致数Kとの関数であり、以下に示す。
Figure 0005808398
上記等式では、p=n/(mmax−mmin)は、上記質量範囲のプロテオームのタンパク質の濃度[mmin、mmax]を示す。PmatchのフォームとkのマッチングをKのピークから選択できる方法数とを考慮することで、
Figure 0005808398
が得られ、上記等式中、
Figure 0005808398
である。
上記によって導き出した偽一致の分布を使用して、上記スコアが観測スコアを超える確率kobsを算出してH0(未知のプロテオームと公知のプロテオームが同一のプロテオームではないという帰無仮説)を検証することができる。
Figure 0005808398
上記アルゴリズムは、Pineda et al., Anal. Chem. 2000, 72, 3739-3744に記載されており、本明細書に当該文献を引用することにより、その開示内容を本願に援用する。このアルゴリズム、または、適合度の指標を算出するために僅かに変更を行ったアルゴリズムは、例えば、Demirev et ah, Analytical Chemistry 77 (2005)7455-7461 and Eriksson, J. Anal. Chem. 72, 999-1005 (2000)にて確認でき、本明細書に当該両文献を引用することにより、それらの開示内容を本願に援用する。
一部の実施形態では、予測ピーク数を示すnは5〜150である。一部実施形態では、nは10〜100、10〜75、10〜50、または、15〜30である。
一部の実施形態では、mmaxは、約150kDa、約130kDa、約120kDa、約110kDa、約100kDa、約90kDa、約80kDa、約70kDa、約60kDa、約50kDa、約40kDa、または、約30kDaである。一部の実施形態では、mminは、約5kDa、約8kDa、約10kDa、約15kDa、約20kDa、約25kDa、約30kDa、約35kDa、約40kDa、約45kDa、約50kDaである。一部の実施形態では、mminは5kDa〜20kDaであり、mmaxは40kDa〜100kDaである。一部の実施形態では、mminは約10kDa〜15kDaであり、mmaxは約35kDa〜50kDaである。一部の実施形態では、mminは約10kDaであり、mmaxは約50kDaである。
一部の実施形態では、予測ピークと測定ピークが偶然に適合する確率αは0.05〜1.0×−30以下である。一部実施形態では、αは0.05未満、0.01未満、0.001未満、0,0001未満、0.00001未満、0.000001未満、0.0000001未満、0.00000001未満、0.000000001未満、または、0.0000000001未満である。一部実施形態では、αは1×10−11未満、1×10−12未満、1×10−13未満、1×10−14未満、1×10−15未満、1×10−16未満、1×10−17未満、1×10−18未満、1×10−19未満、1×10−20未満、1×10−21未満、1×10−22未満、1×10−23未満、1×10−24未満、1×10−25未満、1×10−26未満、1×10−27未満、1×10−38未満、1×10−39未満、または1×10−30未満、である。
適合度の水準内に測定ピークを含むための適当なSNR閾値の選択は、任意に行われる。加えて、バイオマーカ質量シフトの予測値のリストは、広範囲に及ぶものでもよい。例えば、微生物の特定の寿命段階におけるタンパク質発現レベルの差異に起因して、全ての質量シフトが同一の確率を持って測定されることは予期されない。多くの場合、例えば、観測確率および尤度の何れかと他の発見的重要度との何れかにより、予測観測シフトのリストをランク付けることが可能である。この場合、上記SNR閾値および上記観測ピーク数nを選択する一推論アプローチは、SNR閾値およびピーク観測閾値の可能な全組み合わせに渡ってpmatchを最大化する。最も可能性のある予測質量から始まる、上記予測ピークに一致する最大SNRを有する未使用ピークのランキングを各予測質量について記録することにより、この算出を非常に効率的にすることができる。その後、各予測質量について、この一致と他の一致を観測してより確率の高い予測質量を予測するのに必要とされるSNR閾値が判明することで、この一致より可能性の高い他の全ての一致との一致の観測の有意性を算出することができる(図2を参照)。全予測質量について算出した上記最小有意性pmatchは、上記観測一致の代表有意性である。
一部実施形態では、図4に示す(上に説明した)上記アルゴリズムオプションの場合の予測質量と実験サンプルの観測ピークの一致を、上記一致の確率的手法の有意性を算出する前または算出した後に、融合することができる。有意性の前の上記融合の例を算出する、必要とされる上記アルゴリズムに僅かばかりの変更を行って上記予測ピークのリストを合併することができる。上記有意性を算出した後に行う融合の例は、予測質量の各リストの一致の有意性は互いに独立していることを前提とし、合同有意性は単に個々の有意性の積である。
本明細書に含む教示内容に照らせば、本発明の教示内容を特定課題の解決に応用することは、当業者が行える範囲のことである。本発明のシステムおよび方法の例を以下の実施例に示すが、これに限定されない。
〔実施例〕
〔実施例1〕
〔選択バイオマーカにおける質量シフトの実験観測値と予測値Δmの補正〕
質量分析(MS)解析用の試験生物の培養およびサンプル調製:
全薬品は、Sigma Chemical社(St. Louis, MO, USA)製の薬品を利用し、更なる精製処理を行わずに使用した。生物(E. coli)をトリプシン大豆寒天上に単離し、プレートから採取した1つのコロニーを互いに独立した3つのフラスコに植菌し、37℃で6時間培養した。このうち2つのフラスコは、天然同位体存在度の13Cを含む標準増殖培地(Bioexpress 1000増殖培地:CGM−1000−U−S(非標識、10倍濃縮)―Cambridge Isotope Laboratories社(Andover, MA)製)を含んでいた。天然同位体存在度を有する上記培養物(図3のAの対照サンプル132A)の1つと同位体濃縮培地を含む培養物(図3のAの薬物試験122)とにストレプトマイシン(薬物)を導入し、生物の感受性を測定した。薬物サンプル134(図3のA)にはストレプトマイシンを添加しなかった。各フラスコから1mlを採取し、上記培養培地を脱イオン水中で数回洗浄した。ペレット状の細菌を1mL当たり約106細胞の細胞数となるように脱イオン水中で再懸濁し、0.5μLの無処置の細胞懸濁液を市販のステンレス鋼製ステンレス(Bruker Daltonics社)の各ウェルに堆積させた。アセトニトリルと水を1:1の比率(v/v)で混合した溶液中にマトリクスアルファーシアノー4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)を溶解した。1アリコートの上記CHCAマトリクス溶液(0.5μL)を、上記細菌を含む各サンプルウェルに添加し、上記サンプルを静置して空気乾燥させた。
〔MS分析〕
20kVの名目加速電圧でBruker MicroFLEX MALDI−TOF器具(Bruker Daltonics社、Billerica, MA, USA)を使用して、正イオン質量スペクトルおよび負イオン質量スペクトルを線形モードで得た。m/Z値が8000のイオン集束およびイオン透過となるようにパルスイオン(遅延)抽出の最適化を行った。楕円形のスポットに焦点を合わせた337nm UV N2レーザ(‘VSL−337ND’;Laser Science社、MA, USA)は、以下の標準パラメータを有する:減衰(通常30%)前のエネルギー/パルスの平均値が200mcJであり、パルス幅が4nsである。市販のタンパク質サンプル(ユビキチン、ウシインスリン)を外部機器キャリブレーションに使用した。8kDaの場合の質量精度および質量解像度の予測値は、それぞれ、3Daおよび>400(FWHN)であった。各スペクトルに関して、サンプルウェルの全域でレーザビームをラスタライズし、単一レーザショットから得られる一般的には600個のトレースを蓄積した。上記スペクトルの平均を取り、器具を設けたソフトウェアを使用して最初に処理を行った。
薬物耐性を決定する無処置の微生物のMALDI TOF MS標識を図3のAおよびBに示す。図3のAは、(薬物試験134および134’と同様に)薬物無添加の13C濃縮培地中で増殖させたE. coliの結果を示す。図3のBは、薬物無添加の対照培地中で増殖させたE. coliの結果を示す。Δmは、各スペクトルにおける各関連m/Z比の質量シフトを示す。それぞれのE. coli K12バイオマーカタンパク質のピーク間に確認された質量シフトは炭素原子数に比例している。更に、質量シフトΔmは、バイオマーカ質量の増加とともに増加することが確認された。このことが、アルゴリズム的解析を使用して、上記結果を解析するとともに、ピーク同士を相互に関連付ける1つの理由である。表1では、対照培地中で増殖させたE. coli K12と13C同位体濃縮増殖培地中で増殖させたE. coli K12の選択バイオマーカの質量シフトの実測値と予測値とを比較する。
上記質量シフトの予測は、以下の元素組成を有するアミノ酸の統計的“アベラジン(averagine)”に基づいて行う:C4.93847.75831.35771.47730.0417(平均:111.1254 Da)。上記質量シフトの実測値と予測値との差異は、分子中の炭素原子の実際の数と予測数との差異に起因する。天然同位体存在度を有する培地および同位体濃縮培地における13Cと12Cの比は、それぞれ、0.01および46である。
Figure 0005808398
本実施例で使用するアルゴリズムは、上述のオプション1に対応する。本実施例は、公知の微生物が、薬物に対して感受性と耐性の何れを有するかを判断するうえで有益である。
〔実施例2〕質量の実測値と予測値の比較
本発明のシステムおよび方法に応じて研究例を行う。アルゴリズム的解析より、以下の質量が予測される:(観測結果の確率に応じてランク付けを行った):1. 5000−5100;2. 4000−4100;3. 7000−7100;4. 6000−6100;5. 3500−3600。
薬物を添加した同位体標識培地中で増殖させた微生物の実験サンプルで確認された質量(SRに応じてランク付け)を以下に示す:1. 4070;2. 5020;3. 8000;4. 3550;5. 7500;6. 3550。
Figure 0005808398
本願の開示内容は、様々な実施形態と併せて記載したが、当該実施形態に限定されることは意図しない。むしろ、本願の開示内容は、当業者に理解されるであろう形態ともに、様々な代替、変更、および均等形態をも含むものである。
微生物の薬物耐性/感受性を立証する、質量分析法に基づいた本発明のシステムの実施形態の概略図を示す。 (A)は、サンプル増殖処理モジュールを記述する実施形態であり、(B)は、(A)に示すサンプルの質量スペクトルの取得および分析を示す実施形態である。 13C同位体濃縮培地中と対照培地中のそれぞれで増殖させた無処置のE. coli微生物をALDI TOF MS法により質量分析した結果を比較して示し、(A)は13C濃縮培地中で増殖させたE. coliを示し、(B)は天然炭素同位体存在度を有する対照培地中で増殖させたE. coliを示す。 質量分析法に基づいた本発明のシステムおよび方法の実施形態の概略図を示し、特に、当該概略図は、本発明の方法およびシステムに採用できるアルゴリズムモジュールの処理オプションを示す。 本発明の方法およびシステムが採用できるアルゴリズムモジュールの処理オプションの概略図を示す。

Claims (39)

  1. 薬物存在下の微生物の増殖を検出することによって微生物の薬物耐性を判定するシステムであって、
    (a)上記微生物を、少なくとも1つの薬物と同位体標識を備える同位体標識増殖培地(i)と当該薬物および当該同位体標識を備えない、天然同位体存在度を有する対照増殖培地(ii)の中で増殖させるサンプル増殖処理モジュールであって、
    上記同位体標識増殖培地(i)中での上記微生物の増殖時、上記同位体標識が上記微生物の1つまたは複数のバイオマーカ分子内へ取り込まれる、サンプル増殖処理モジュールと、
    (b)上記サンプル増殖処理モジュール(a)の上記バイオマーカ分子を質量スペクトルシステムに使用して、上記バイオマーカ分子のイオン質量断片を作成する質量スペクトル取得モジュールと、
    (c)同位体原子の個数に質量シフトが比例することを利用した第1アルゴリズム的解析を使用して、上記サンプル増殖処理モジュール(a)の上記対照増殖培地(ii)中の上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量シフトを予測するとともに、
    (d)予測した上記質量シフトの予測値と、上記サンプル増殖処理モジュール(a)の薬剤を含有する上記同位体標識増殖培地(i)中で増殖した上記微生物の上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量の測定値との比較を第2アルゴリズム的解析を使用して行い、上記同位体標識増殖培地(i)と上記対照増殖培地(ii)中の上記バイオマーカ分子が互いに一致する確率を当該比較に基づいて決定し、これにより上記微生物の上記薬物に対する薬物耐性を判定するアルゴリズムモジュールと、
    を備えるシステム。
  2. 上記サンプル増殖処理モジュールが、HPLC法と、CE法と、2次元ゲル電気泳動法とから成る一群から選択される少なくとも1つのクロマトグラフィー技術を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 上記質量スペクトル取得モジュールが、MSシステムを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  4. 上記質量スペクトル取得モジュールが、MS/MSシステムを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  5. 上記質量スペクトル取得モジュールが、TOFと、TOF/TOFと、AP−MALDIと、イオントラップと、四重極と、トリプル四重極と、FTICRと、Orbitrapと、電気質量分析器および磁気質量分析器と、イオン移動度分析器と、これらの組み合わせとの1つ以上から成る一群から選択される質量スペクトルシステムを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  6. 上記アルゴリズムモジュールが、少なくとも1つのバイオマーカ組成データベースを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  7. 上記アルゴリズムモジュールが、少なくとも1つのゲノムデータベースまたはプロテオームデータベースを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  8. 薬物存在下の微生物の増殖を検出することによって微生物の薬物耐性を判定する方法であって、
    (a)上記微生物を、少なくとも1つの薬物と同位体標識を備える同位体標識増殖培地(i)と当該薬物および当該同位体標識を備えない、天然同位体存在度を有する対照増殖培地(ii)の中で増殖させる工程であって、
    上記同位体標識増殖培地(i)中での上記微生物の増殖時、上記同位体標識が上記微生物の1つまたは複数のバイオマーカ分子内へ取り込まれる、工程と、
    (b)上記工程(a)の上記バイオマーカ分子を質量スペクトルシステムに使用して、上記バイオマーカ分子のイオン質量断片を作成する工程と、
    (c)同位体原子の個数に質量シフトが比例することを利用した第1アルゴリズム的解析を使用して、上記工程(a)の上記対照増殖培地(ii)中上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量シフトを予測する工程と、
    (d)上記工程(c)で予測した上記質量シフトの予測値と、上記工程(a)の薬剤を含有する上記同位体標識増殖培地(i)中で増殖した上記微生物の上記1つまたは複数のバイオマーカ分子の質量の測定値との比較を第2アルゴリズム的解析を使用して行う工程であって、上記同位体標識増殖培地(i)と上記対照増殖培地(ii)中の上記バイオマーカ分子が互いに一致する確率を当該比較に基づいて決定し、これにより上記微生物の上記薬物に対する薬物耐性を判定する工程と、
    を備える方法。
  9. 上記微生物は、ストレプトコッカス属類、ペプトストレプトコッカス、エンテロコッカス属類、スタヒロコッカス属類、ヘモフィルス属類、シュードモナス属類、ブルセラ属類、ボルデテラ属類、バシラス属類、クロストリジウム属類、Neisseria属類、モラクセラ属類、マイコバクテリウム属類、コリネバクテリウム属類、ノカルジア属類、バクテロイデス属類、アクチノマイカス属類、トレポネーマ属類、レプトスピロサ属類、クレブシエラ属類、サルモネラ属類、E.coli、フランシセラ属類、プロテウス属類、セラシア属類、アシネトバクター属類、エルシニア属類、フランシセラ属類、エンテロバクター属類、バクテロイデス属類、レジオネラ属類、および、クラミジア属類から成る一群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 上記微生物が、原核細胞を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  11. 上記原核細胞が、細菌性細胞を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 上記細菌性細胞が、グラム陰性であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 上記細菌性細胞が、グラム陽性であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 上記薬物が、アミノグリコシド抗生物質と、βラクタムと、セファロスポリンと、フルオロキノロン類と、カルベペネムと、テトラサイクリンと、マクロライドと、モノバクタムと、キノロン類と、グリコペプチドと、クロラムフェニコールと、クリンダマイシンと、トリメトプリムと、スルファメトキサゾールと、ニトロフラントインと、リファンピンと、ムピロシンと、ポリミキシンと、オキサゾリジノンと、フェニルオキサゾリジノン誘導体とから成る一群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  15. 上記同位体標識が、Dと,13Cと、15Nと、18Oとから成る一群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  16. 上記1つまたは複数のバイオマーカ分子が、脂質と、ペプチドと、アミノ酸と、核酸と、ポリヌクレオチドと、リン脂質と、タンパク質と、これらの組み合わせとから成る一群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  17. 上記タンパク質が、リボソームタンパク質と、シャペロンタンパク質と、転写因子タンパク質と、DNA修復/複製タンパク質と、翻訳因子タンパク質と、他のハウスキーピング(house−keeping)タンパク質とから成る一群から選択されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 上記タンパク質の重量が、100kDa未満であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 上記イオン質量断片の信号対雑音比が、少なくとも3であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  20. 上記イオン質量断片が、50m/z〜20,000m/zの範囲であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 上記同位体標識増殖培地と上記対照増殖培地の上記イオン質量断片は、それぞれ、バイオマーカ分子から得られる同様のイオン質量断片に関連付けられる少なくとも1つのピークを示し、上記同位体標識増殖培地の上記イオン質量断片が示す上記少なくとも1つのピークは、上記対照増殖培地の上記イオン質量断片が示す上記1つのピークと比較して、高質量側にシフトしていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  22. サンプル処理が、HPLC、CE、2次元ゲル電気泳動法などのクロマトグラフィー技術のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  23. 上記質量スペクトルシステムが、MSシステムを備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  24. 上記質量スペクトルシステムが、MS/MSシステムを備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  25. 上記質量スペクトルシステムが、エレクトロスプレーイオン化(ESI)と、レーザ脱離/イオン化(LDI)と、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)と、高速原子イオン衝撃(FAB)と、化学イオン化(CI)と、大気圧光子イオン化(APPI)と、大気圧化学イオン化(APCI)と、大気圧レーザ脱離イオン化(AP−LDI)と、大気圧マトリクス支援レーザ脱離イオン化(AP−MALDI)と、低温プラズマ(LTP)と、レーザスプレーイオン化(LSI)と、リアルタイム直接分析(DART)と、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)とから成る一群から選択されるイオン源を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  26. 上記質量スペクトルシステムが、TOFと、TOF TOFと、イオントラップと、四重極と、トリプル四重極と、FTICRと、Orbitrapと、電気質量分析器および磁気質量分析器と、イオン移動度分析器と、これらの組み合わせとの1つ以上から成る一群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  27. 対照のバイオマーカ分子の上記質量シフトの予測値をin silicoで決定することを特徴とする請求項8に記載の方法。
  28. 上記第2アルゴリズム的解析が、上記質量スペクトルシステムで作成された少なくとも1つのイオン質量断片とバイオマーカ組成データベースから得られる少なくとも1つの対照質量断片との比較を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  29. 上記バイオマーカ組成データベースから得られる上記対照質量断片が、in silicoで作成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 上記バイオマーカ組成データベースが、タンパク質のde novo配列決定を行うことで作成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
  31. タンパク質の上記de novo配列決定が、in silicoで行われることを特徴とする請求項30に記載の方法。
  32. 上記第2アルゴリズム的解析が、上記質量スペクトルシステムで作成される少なくとも1つのイオン質量断片と生物ゲノムデータベースまたは生物プロテオームデータベースから得られる少なくとも1つの対照質量断片との比較を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  33. 生物ゲノムデータベースまたは生物プロテオームデータベースから得られる上記対照質量断片が、in silicoで作成されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 上記第2アルゴリズム的解析が、上記質量スペクトルシステムが作成する少なくとも1つのイオン質量断片とアミノ酸分布の平均を使用して算出される少なくとも1つの対照質量断片との比較を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  35. 上記対照質量断片の算出および作成をin silicoで行うことを特徴とする請求項34に記載の方法。
  36. 上記アルゴリズムモジュール(c)が、
    バイオマーカ分子を構成するバイオポリマー構築ブロックの平均的な元素組成および天然同位体存在比率から、上記質量シフトを予測することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  37. 上記アルゴリズムモジュール(c)が、
    質量当たりの炭素原子の数が最も少ないバイオポリマー構築ブロックと、質量当たりの炭素数が最も多いバイオポリマー構築ブロックから、質量シフトの予測値の範囲を推定することを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  38. 上記工程(c)で、バイオマーカ分子を構成するバイオポリマー構築ブロックの平均的な元素組成および天然同位体存在比率から、上記質量シフトを予測することを特徴とする請求項8に記載の方法。
  39. 上記工程(d)で、
    質量当たりの炭素原子の数が最も少ないバイオポリマー構築ブロックと、質量当たりの炭素数が最も多いバイオポリマー構築ブロックから、質量シフトの予測値の範囲を推定することを特徴とする請求項38に記載の方法。
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