JP5807928B2 - 拡張可能なインプラントを移植するための外科的システムおよび方法 - Google Patents

Description

本発明は、インプラント、特に偏向可能（ｄｅｆｌｅｃｔａｂｌｅ）なインプラントを移植するためのシステムおよび方法に一般に関係がある。

皮膚の小さな穴を通して行う低侵襲性皮下手術は、使用する外科手術道具およびインプラントの大きさを制限する。

従って、皮膚の小さな穴を通じてインプラントを容易に挿入することができ、身体内部の目的の移植部位でそれらの最終的に機能的な拡張形態へと偏向できるような、断面積の小さいインプラントを開発することは非常に有益である。

低侵襲性手術で身体へインプラントを挿入することがある、椎間体固定（ｉｎｔｅｒｂｏｄｙ ｆｕｓｉｏｎ）、可動性維持（ｍｏｔｉｏｎ ｐｒｅｓｅｒｖａｔｉｏｎ）、脊椎強化（ｖｅｒｔｅｂｒａｌ ａｕｇｍｅｎｔａｔｉｏｎ）のような脊椎外科手術のためのインプラントを供給することは非常に有益である。

本発明の実施形態は、偏向可能なインプラント、偏向可能なインプラントを移植するためのシステムおよび方法を開示する。偏向可能なインプラントは、少なくとも１つのセグメントのシーケンスを含んでおり、シーケンスは少なくとも２つのセグメントを含み、セグメントは有効なヒンジで相互に接続しており、シーケンスは身体内部へ挿入するにあたり、真っすぐあるいは低曲率の挿入状態をとり、シーケンスはセグメントに隣接したアバットメントの特徴によって少なくとも部分的に定義される完全に偏向した状態へと偏向可能である。少なくとも１つのシーケンスは、少なくとも１つのシーケンスが挿入状態である際に薄型に（ｌｏｗ ｐｒｏｆｉｌｅ）折り畳まれた状態をとるループ構造の少なくとも一部であり、および、完全に偏向した状態への少なくとも１つのシーケンスの偏向は、ループ構造の開いた状態を生じさせ、ループは囲まれた容積（ｅｎｃｌｏｓｅｄ ｖｏｌｕｍｅ）を少なくとも部分的に定義する。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、セグメントのシーケンスの少なくとも２つを含んでおり、そのセグメントの少なくとも２つのシーケンスは、各シーケンスの遠位端および近位端の両方でヒンジにより相互に接続している。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、ヒンジによる相互接続はセグメントの２つのシーケンスをともに畳むことを可能にするように構成されている。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、セグメントの少なくとも１つのシーケンスを挿入状態から完全に偏向した状態へと偏向するために、セグメントのシーケンスの少なくとも１つの少なくとも一部に機械的に連結する連結部（ｌｉｎｋａｇｅ）が設けられる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、連結部はシーケンスの遠位端および近位端の間の距離を選択的に短くするために、展開可能な伸長要素（ｔｅｎｓｉｏｎｉｎｇ ｅｌｅｍｅｎｔ）を含んでいる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、連結部は、シーケンスの選択的な偏向ができるように、シーケンスの少なくとも１つに沿って伸びる、伸長要素を含んでいる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも１つのシーケンスは完全に偏向した状態に弾性的に偏っている（ｒｅｓｉｌｉｅｎｔｌｙ ｂｉａｓｅｄ）。また、そのシーケンスは挿入状態へと一時的に変形する。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、ループの中の囲まれた容積へアクセスできるよう、セグメントのシーケンスに少なくとも１つの開口部をさらに含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、遠位端と近位端が相互に接続している少なくとも第１および第２の細長い側部（ｅｌｏｎｇａｔｅｄ ｓｉｄｅｓ）を含む、柔軟な材料でできた１つの本体部を含み、少なくとも第１および第２の細長い相互に接続された側部は、身体内部への挿入のために真っ直ぐな挿入状態をとり、少なくとも第１および第２の細長い相互に接続された側部は、身体内部で完全に偏向したループへと偏向可能であり、ループは囲まれた容積を有する。前記インプラントはさらに、少なくとも第１および第２の細長い相互に接続された側部が真っ直ぐな挿入状態から身体内部での完全に偏向したループへと偏向するよう機械的に連結する連結部を含み、インプラントは真っ直ぐな挿入状態で断面積が小さな外形をとる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、椎体間固定のためのインプラントが開示される。インプラントは、（ａ）身体に挿入するための真っ直ぐな挿入状態および身体内部での完全に偏向したループ状態であって、ループは囲まれた容積を定義する、前記状態、（ｂ）囲まれた容積へアクセスできるようにする、偏向した状態における少なくとも１つの開口部、（ｃ）真っ直ぐな挿入状態から身体内部での完全に偏向したループへとインプラントを偏向させるための連結部を含み、ここで、インプラントは、真っ直ぐな挿入状態で断面積の小さな外形をとり、少なくとも１つの開口部は、完全に偏向したループ状態での囲まれた容積を、椎体間固定のための充填材料で充填させることができる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、可動性維持のためのインプラントが開示される。インプラントは、（ａ）身体に挿入するための真っ直ぐな挿入状態および身体内部での完全に偏向したループ状態であって、ループは囲まれた容積を定義する、前記状態、（ｂ）囲まれた容積にアクセスをできるようにする、偏向した状態における少なくとも１つの開口部、（ｃ）真っ直ぐな挿入状態から身体内部での完全に偏向したループへとインプラントを偏向させるための連結部を含み、ここで、インプラントは、真っ直ぐな挿入状態で断面積の小さな外形をとり、少なくとも１つの開口部は、完全に偏向したループ状態での囲まれた容積を、可動性維持のための充填材料で充填させることができる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、移植システムが開示される。前記移植システムはさらに、真っ直ぐな挿入状態であるインプラントを身体内部に挿入するための細長いコンジットを含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、移植システムが開示される。前記移植システムは、その先に真っ直ぐな状態のインプラントを乗せてインプラントを身体内部に圧入するための細長いガイドをさらに含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも第１と第２の細長い相互に接続された側部は、その細長い側部に沿ってスリットを有する、１つの細長いセグメントで作られており、ここで、スリットは完全に偏向したループ状態で閉じられている。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、完全に偏向したループの形は、トロイド状多面体、環状トロイド、楕円形トロイド、および、多重環トロイドからなる群から選択される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、その完全に偏向した状態へとインプラントを偏向するために使用される連結部は、遠位端と近位端の間の距離を選択的に短くするように展開可能な少なくとも１つの伸長要素を含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントの完全な偏向状態へと細長い側部を選択的に偏向させるために、細長い相互に接続された側部の少なくとも１つに沿って伸びる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、その完全に偏向した状態へインプラントを偏向するために使用される連結部は、膨張式バルーン、ばね、記憶形状材料、ねじが刻設されたロッド、および、ジャッキ機構からなる群から選択される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、椎間インプラントおよび／または椎内（ｉｎｔｒａｖｅｒｔｅｂｒａｌ）インプラントである。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、移植システムが開示される。移植システムは、生体適合性材料、骨移植片、骨片、椎体間固定のための骨成長促進剤、および、可動性維持のためのセメントのような不活性な充填材料からなる群から選択された充填材料を含有する注射器を含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、主として、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリウレタンのようなポリマー、ステンレススチール、チタン、チタン合金、形状記憶合金のような金属、および、このような金属とポリマーの任意の組み合わせ、からなる群から選択される材料から作られる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントの材料は、炭素繊維および／またはガラス繊維を含んでもよい。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、完全に拡張した状態のインプラントを保持するためにロック構造（ｌｏｃｋｉｎｇ ａｒｒａｎｇｅｍｅｎｔ）をさらに含み、ここで、ロック構造は、コード、ケーブル、ストリップ、相互接続部、および、スナップからなる群から選択される要素を含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、完全に偏向した状態のインプラントを身体に固定するためのロック構造をさらに含み、ここで、ロック構造は、コード、ケーブル、ストリップ、相互接続部、および、スナップからなる群から選択される要素を含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、ロック構造は、主として、超高分子ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ステンレススチール、チタン、チタン合金、形状記憶合金のような金属、および、このような金属とポリマーの任意の組み合わせからなる群から選択される材料から作られる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントの少なくとも２つのセグメントは、軸平面中で水平に開いてもよい。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントの少なくとも２つのセグメントは、矢状面中で垂直に開いてもよく、脊椎強化に使用されてもよい。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは少なくとも２つのセグメントは、１つ以上の面で同時におよび／または連続して開いてもよい。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、椎体間固定インプラントを移植する方法が開示される。本方法は、（ａ）身体内部へ挿入するための真っすぐな挿入状態と、身体内部で完全に偏向したループ状態を有するインプラントを提供する工程であって、ループが囲まれた容積を定義する工程、（ｂ）身体内部で真っすぐな挿入状態から身体内部での完全に偏向した状態へとインプラントを偏向させるための連結部を提供する工程、（ｃ）囲まれた容積へのアクセスを可能にするインプラントの完全に偏向した状態で、少なくとも１つの開口部を提供する工程、（ｄ）少なくとも１つの囲まれた容積を椎体間固定用充填材料で満たす工程を含む。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、可動性の維持のためのインプラントを移植する方法が開示される。本方法は、（ａ）身体内部へ挿入するための真っすぐな挿入状態と、身体内部で完全に偏向したループ状態を有するインプラントを提供する工程であって、ループが囲まれた容積を定義する工程、（ｂ）身体内部で真っすぐな挿入状態から身体内部での完全に偏向した状態へとインプラントを偏向させるための連結部を提供する工程、（ｃ）囲まれた容積へのアクセスを可能にするインプラントの完全に偏向した状態で、少なくとも１つの開口部を提供する工程、（ｄ）少なくとも１つの囲まれた容積を可動性の維持のための充填材料で満たす工程を含む。

発明の実施形態によって、（ａ）身体内部への挿入のための真っすぐな挿入状態と身体内部で展開された状態をとる、ループ構造を有するインプラントを収容する工程であって、ループを展開した状態は囲まれた容積を少なくとも部分的に定義し、ループ構造は、囲まれた容積へアクセスするために、ループ構造の壁部を通る少なくとも１つの開口部を有する、工程、（ｂ）身体内部へ真っすぐな挿入状態のインプラントを導入する工程、（ｃ）インプラントに身体内部で展開した状態をとらせる工程、および、（ｄ）開口部を通して囲まれた容積へ充填材料を導入する工程を含む方法も提供される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントを椎間腔へ導入し、ここで、充填材料は隣接した椎体間での固定を誘発するために選択される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントを椎間腔へ導入し、ここで、充填材料は隣接した椎体間の可動性維持を可能にするために選択される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは椎体に導入される。

本発明の実施形態によって、（ａ）身体内部への挿入のための真っすぐな挿入状態と身体内部の展開した状態をとる、ループ構造を有しているインプラントを収容する工程であって、ループの展開した状態は少なくとも一部囲まれた容積を定義し、ループ構造は囲まれた容積へアクセスするために、ループ構造の壁部を通って少なくとも１つの開口部を含む、工程、（ｂ）身体内部へ真っすぐな挿入状態のインプラントを導入する工程、および、（ｃ）隣接する組織をそらすように、身体内部での展開した状態へとインプラントを徐々に変形させる工程を含む方法も提供される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、少なくとも二次元に展開した状態へ変形する間に拡張するように構成される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、隣接した椎体間でそらすために椎間腔へと導入される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、インプラントは、椎体の高さを元に戻すために椎体へ導入される。

９． 請求項２７乃至３４の何れか１つに記載の方法では、インプラントは、インプラントを挿入状態にするコンジットを通って、身体へと導入される。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、前記方法は、コンジットの内部でインプラントの真っ直ぐな状態を保持するためのおよび真っ直ぐな状態のインプラントを挿入するための細長いコンジットを提供する工程をさらに含んでいる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、前記方法は細長いガイドを提供し、真っ直ぐな状態のインプラントをガイドの先端に乗せ、前記インプラントを身体内部に圧入する、さらなる工程を含んでいる。

本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、前記方法は、インプラントの移植に備えて、空にした椎間板腔の大きさを測定するとともに、インプラントを首尾よく空になっている椎間板腔へ移植するために十分な空間があることを確認する工程をさらに含む。

本発明の追加の特徴および利点は、以下の図面と記載から明白になるであろう。

本発明についてのよりよい理解のために、および、同じ効果を得るためにはどのようにして実行すべきかを示すために、ここで、ほんの一例として添付の図面について言及する。図中の同様の数字は、全体にわたって対応する要素または部分を指定している。

ここで、図面について詳細に言及すると、示されている詳細は一例としてであり、本発明の好ましい実施形態の実例的な考察のためだけのものであり、本発明の原則と概念的な態様の最も有用かつ容易な記載であると考えられているものを提供するために与えられている、ということを強調しておく。この点に関して、本発明の構造的な細部を詳細に示そうとする試みは、本発明についての基本的な理解に必要とされる以上にはなされておらず、図面とともに列挙される明細書の記載は、本発明の複数の形態がどのようにして実際に具体化されるのかを当業者に明白なものとしている。

本発明の実施形態に従って、真っ直ぐな状態のインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、完全に偏向した状態のインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、部分的に展開したインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、脊椎で部分的に偏向したインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、脊椎でさらに偏向したインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、脊椎で完全に偏向したインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、より少ないセグメントでできたインプラントの真っすぐな状態を示す。 本発明の実施形態に従って、より少ないセグメントでできたインプラントの部分的に偏向した状態を示す。 本発明の実施形態に従って、より少ないセグメントでできたインプラントの完全に偏向した状態を示す。 本発明の実施形態に従って、最大の幅に固定するために使用する引っ張り（ｔｅｎｓｉｎｇ）要素を含む、脊椎で完全に偏向した状態のインプラントを示す。 本発明の実施形態に従って、最終的に二重環のインプラントの真っすぐな状態を示す。 本発明の実施形態に従って、最終的に二重環のインプラントの部分的に偏向した状態を示す。 本発明の実施形態に従って、最終的に二重環のインプラントの完全に偏向した状態を示す。 （ｌ−２）は、本発明の実施形態に従って、各々の側部で異なる数のセグメントを有するインプラントの真っ直ぐなおよび完全に偏向した状態を示す。 （ｌ−３）は、本発明の実施形態に従って、伸張（ｔｅｎｓｉｏｎ）要素を用いたインプラントの展開を示す。 （ｌ−３）は、本発明の実施形態に従って、内部伸張要素を用いたインプラントの展開を示す。 本発明の実施形態に従って、真っすぐな状態の楕円形インプラントを示す。 （ｌ−３）は、本発明の実施形態に従って、楕円形インプラントの真っすぐな状態、部分的および完全に偏向した状態を示す。 （ｌ−２）は、本発明の実施形態に従って、２つの内部伸張要素を含む楕円形インプラントの真っすぐなおよび完全に偏向した状態を示す。 本発明の実施形態に従って、完全に偏向した状態のＤ形状インプラントを示す。 （ｌ−２）は、本発明の実施形態に従って、３Ｄインプラントの真っ直ぐな状態および完全に偏向した状態を示す。 （ｌ−２）は、本発明の実施形態に従って、３Ｄインプラントの真っ直ぐおよび完全に偏向した状態での、２つの脊椎間の側面図を示す。 本発明の実施形態に従って、インプラントが真っ直ぐな送達状態で描かれている、等大の概略図である。 図１０ａの状態に対応する側面図である。 本発明の実施形態に従って、インプラントが中間の湾曲した状態で描かれている、等大の概略図である。 本発明の実施形態に従って、インプラントが完全な開いた状態で描かれている、等大の概略図である。

本発明の特定の実施形態は、ヒトまたは動物の体のなかにループ構造を有する偏向可能なインプラントを移植するための偏向可能なインプラント、システム、および、方法を提供する。ループ構造は、インプラントの送達の間に閉ループ構造としてあらかじめ形成されるのが好ましいが、低侵襲性手術を介して送達を容易にするために、その上に折り畳まれた薄型の構造および／または真っすぐな構造をとる。特定の実施形態では、インプラントは挿入の方向によって定義される軸の反対側に向かって開くように配され、以下で例証されるようにその軸に対称的または非対称的であってもよく、それによって、インプラントの形状と展開の順序を様々な異なる用途や接近方向に最適なものにすることができる。

本記載と請求項の文脈では、単語「ループ」は、装置の外部にある少なくとも１つの点の回りを回りながら、隣接する構造に沿ってその後出発点に戻ることができる、任意の構造を指すために用いられる。特定の場合には、ループの完全な状態は、（以下の図８で例証されるように）滑り継ぎ手の形状であってもよい。単語「ループ」は環状または滑らかな形状の任意の意味合いを含まないが、そのような形状は、特定の場合に、開いている際のループ構造の特定のケースに好ましい実施形態である。

用語「薄型の」は、その少なくとも１つの寸法が大幅に、典型的には、展開状態の対応する寸法の５０％未満にまで減少する、装置の構造を指すために用いられる。現在の文脈では、薄型の構造は、低侵襲性手術での容易な送達のために、伸長方向と比較して小さな２つの左右面を有しており、該装置は展開時、１または２の左右面に広がる。

実施の特に好ましいが非限定的な例は、固定術（ｆｕｓｉｏｎ ｐｒｏｃｅｄｕｒｅ）または可動性維持のためのインプラントとしての、椎間板を補い、支持し、または、取り替えるための椎間板インプラントと、椎体を支持するまたは回復させる椎内インプラントを含んでいる。偏向可能なインプラントは、有効なヒンジ（従来のヒンジまたは複合的なヒンジのような）で相互に接続されたセグメントのシーケンスを含んでもよく、あるいは、明白に区別されたセグメントのない少なくとも２つの細長い側部から作られてもよい。

本発明の特定の実施形態によると、インプラントは、少なくとも１つのシーケンスのセグメントを含み、該シーケンスは、少なくとも２つのセグメント、より好ましくは３つのセグメント、および、多くの好ましい場合には、４つ以上のセグメントを含む。該セグメントは有効なヒンジで相互に接続され、該シーケンスは、身体に挿入されるために、真っすぐなまたは低曲率の挿入状態をとり、および、該セグメントに隣接するアバットメントの特徴によって定義された完全に偏向した状態にまで偏向可能である。あるいは、有効なヒンジは、完全に開いた状態に達するために必要とされる以上に、様々な角度の動きを可能にするように構成されてもよい。後者の場合、インプラントの所望の最終的な展開状態の正確な描写は、以下に記載されるように、外側の結合要素（ｔｉｅ ｅｌｅｍｅｎｔ）を用いることで達成されてもよい。インプラントは、好ましくは、該セグメントの少なくとも１つのシーケンスを挿入状態から完全に偏向した状態へと偏向させるために、該セグメントのシーケンスの少なくとも１つの少なくとも一部に機械的に連結した連結部も備えており、少なくとも１つのシーケンスは、少なくとも１つのシーケンスが挿入状態にある際に薄型に折り畳まれた状態をとる、ループ構造の少なくとも一部であり、および、少なくとも１つのシーケンスが完全に偏向した状態へと偏向することで、ループ構造の開いた状態が生じる。

本発明の特定の実施形態によれば、偏向したインプラントは、明白に特徴的なセグメントを有していないこともあるが、穴の開いた１つの本体部、または、その近位端と遠位端で相互に接続した少なくとも第１と第２の細長い側を含む他の可撓性材料から作られてもよく、少なくとも第１と第２の相互に接続された側部は、体内に挿入されるために真っすぐな状態をとり、少なくとも第１と第２の細長い相互に接続された側部は、身体の内部で完全に偏向したループになるまで偏向可能であり、ループは、本体部の上面と下面で、囲まれた容積を定義する。２つの非限定的な例として、内部伸長要素とロッドといった、細長い相互に接続された側部の少なくとも１つの少なくとも一部に機械的に連結した連結部は、少なくとも第１と第２の細長い相互に接続された側部を、真っすぐな挿入状態から身体の内部で完全に偏向した状態にまで偏向させるために用いられてもよい。

本発明の特定の実施形態によれば、椎体間固定のためのインプラントが開示される。インプラントは、身体の内部の完全に偏向したループに偏向可能であり、該ループは身体の上面または下面で、囲まれた容積を定義する。椎体間固定のためのインプラントは、囲まれた容積を利用するのを可能にする、細長い側の１つまたは両方にある少なくとも１つの開口部をさらに備え、少なくとも１つの開口部は、椎体間固定のために、生体適合性の充填材料によって、完全に偏向したループ状態における囲まれた容積を充填するために用いられる。

本発明の特定の実施形態によれば、可動性維持のためのインプラントが開示される。インプラントは身体の内部の完全に偏向したループに偏向可能であり、該ループは、本体部の上面および下面で、囲まれた容積を定義する。椎体間固定のためのインプラントは、囲まれた容積にアクセスするのを可能にする、細長い側部の１つまたは両方にある少なくとも１つの開口部をさらに備え、少なくとも１つの開口部は、可動性維持のために適用可能な不活性の生体適合性の充填材料によって、完全に偏向したループ状態において囲まれた容積を充填するために用いられる。

本発明の特定の実施形態によって、インプラントを移植するための移植システムが上記の本明細書で開示されている。移植システムは、限定されないが、生体適合性材料、骨移植片、骨片、椎体間固定のための骨成長促進剤、または、椎体間固定のためのまたは圧迫骨折を安定させるためのセメントといった不活性の可撓性材料、あるいは、可動性維持のための他の核強化または置換材料などの充填材料を含有する注射器をさらに備える。

図１は、本発明の実施形態に従って、真っすぐな状態のインプラントを例証する。インプラント（１００）は、セグメント（１０２）の少なくとも１つのシーケンスを含み、少なくとも２つのシーケンスがある場合、該セグメントは、有効なヒンジ（１０７）で相互に接続される。ヒンジによる相互接続が、該セグメントのシーケンスの近位および遠心端の一方または両方で提供され、低侵襲性の手術で容易に送達されるように、該セグメントの２つのシーケンスを真っすぐな際の薄型の非常に近接した位置に畳むことを可能にする。セグメントのシーケンスは、図１に示されるように、身体に挿入するために、真っすぐなまたは低曲率の挿入状態をとる。セグメントの２つのシーケンスは、各シーケンスの遠心端（１１０）および近位端（１１２）の両方でヒンジによって相互に接続されてもよい。発明の他の実施形態では、セグメントの２つのシーケンスは、各々のシーケンスの遠心端（１１０）または近位端（１１２）の１つで、好ましくは遠心端（１１０）で、ヒンジによって相互に接続され、その一方で、もう１つの端部のループの完全な状態は、図８に関して以下に例証されるように、スライド式相互接続（ｓｌｉｄｉｎｇ ｉｎｔｅｒｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ）のような相互接続の他の形状による。

連結部（図１に示されない）は、真っすぐな挿入状態から完全に偏向した状態にインプラントを偏向させて、体内でループ構造を作り出すために設けられる。特定の実施形態では、連結部は、遠心端（１１０）に接続されるとともに、近位端のヒンジ（１０４）内の開口部に通された、伸長要素である。伸長要素はインプラントのシーケンスの遠位および近位端の間の距離を短くするために使用される。

インプラントを偏向させるための連結部の非限定的な一連の実施は、以下に本明細書の図６Ｂに示される内部伸長要素のような、１または両方のセグメントシーケンスを直接曲げるための構造（Ａｒｒａｎｇｅｍｅｎｔ）である。各側（内部または外部）に別の引っ張り要素があってもよく、あるいは、両側に１つの引っ張り要素があってもよい。２つの伸長要素の場合、各々の１つが別々に動作されてもよく、あるいは、すべては同時に動作されてもよい。伸長要素は、近位端および遠心端のアクセル（ａｘｅｌｓ）に取り付けられてもよく、あるいは、個々のセグメントまたはその組み合わせに取り付けられてもよい。本発明の特定の実施形態では、伸長要素は、遠位部分に接続されたプルロッド（該セグメントの移動に干渉しないように）または開口部（１０４）を介して近位セグメントを通って伸びるプルロッドであってもよい。

その薄型の挿入状態から開かれた展開状態までインプラントを偏向させる／開くための連結部の動作は、コンジットのような低侵襲性の送達システムの長さに沿って伸びる様々な作動ロッドまたはケーブルまたはストリングまたはストリップ（すべて当業者に周知である）の操作によって行われるのが一般的である。動作に必要な動きまたは力は、手動で操作可能なハンドル、あるいは、自動または半自動の機械的または電気的なアクチュエータによって生じる。これらの構造の詳細は、当業者の能力の範囲内であり、それ自身が本発明の一部を構成するわけではない。簡潔にするために、そのような詳細は本明細書では詳しく記載しない。

伸長要素は、金属（スチール、形状記憶合金、チタンまたは他のものを含む）またはポリマーのロッド、金属またはプラスチックのケーブル、あるいは、類似したもの、あるいは、その組み合わせから作られてもよい。伸長要素は、インプラントから取り除かれるか、あるいは、展開の後にインプラントに完全にまたは部分的に取り付けられたままであってもよい。伸長要素は、インプラントからの取り付けと分離を制御するためのロック機構を有してもよい。伸長要素は、完全に偏向したインプラントのぴんと張った形態を維持するための機構を有してもよい。

代替的に、インプラントは、適切な弾力のある特性を備えた、記憶形状材料または他の材料の特性を用いることによって偏向してもよい。そのような記憶形状、または、さもなければ弾性材料は、インプラントのセグメントのシーケンスの少なくとも一部を構成してもよい。これらの実施形態では、連結部または引っ張り要素がまったく必要とされなくてもよい。

図２は、本発明の実施形態によれば、完全に偏向した状態のインプラントを例証する。引っ張り要素が近位端に対して引っ張られると、インプラントは、身体の内部の完全に偏向した状態（２００）になるまで偏向し、例えば、椎骨の上部および下部の終板（ｅｎｄｐｌａｔｅ）であることもある本体部の上面および下面で形成される容積（１０６）を囲む。骨片または骨増強剤または他の生物学的製剤またはそれ以外の剤は、囲まれた容積（１０６）に挿入されてもよい。随意に、囲まれた容積（１０６）に充填材料を挿入するのを促進するために、完全に偏向したインプラントに、窓、複数の窓、または、同様の開口部があってもよい。

ちなみに、注目すべきは、明細書と請求項での用語「囲まれた容積」は、少なくとも１つの面のあらゆる側面に包含されるが、必ずしも上下の閉鎖を意味していないということである。特定の用途では、本発明のインプラントが組織の隣接する面の間に挿入されるため、囲まれた容積は、隣接する組織の面とともに、完全に囲まれるようになる。さらに、用語「囲まれた」は、本明細書でさらに議論されるように、インプラントの壁を通って、囲まれた容積を充填させることができるためなどのように、閉鎖構造を通る１つ以上の開口部の存在を除外しない。

本発明の特定の実施形態によって、インプラント（１００）は、伸長要素バルーンの膨張などの連結要素によって、ばねによって、記憶形状材料（ニチノールまたは同様の材料のような）によって、ねじ山が刻設されたロッドを回転させることによって、ジャッキ機構によって、固定を促進するために骨移植片または他の生体材料を注入することによって、または、任意の他の機械的手段によって、完全な偏向状態へと偏向されてもよい。他の実例では、インプラントは、展開した（開いた）状態へと本質的に弾性的に偏ってもよく、および、展開されるために挿入状態へと一時的に弾力的に変形してもよい。

本発明の特定の実施形態によれば、インプラント（１００）は、以下のようなポリマーで作られてもよい。ポリエチレン、ＵＨＭＷＰＥ−超高分子量ポリエチレン、ＰＥＥＫ−ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、非限定的な例としてポリウレタン、または、非限定的な例としてステンレススチール、チタン、チタン合金、形状記憶合金、あるいは、他の材料またはそのような材料の組み合わせ。ポリマー材料は、当該技術で知られている炭素繊維、ガラス繊維または同様の充填材料で補強されてもよい。

本発明の特定の実施形態によれば、インプラント（１００）は、最終的な完全に偏向した状態を保持するためのロック機構を有してもよい。ロック機構は、各セグメント、インプラント全体の単一の機構、または、その組み合わせのなかで、コード、ケーブル、ストリップ、相互接続部、スナップ、または、当該技術で知られている他の手段を含む、複数の機構を含んでもよい。ロック機構は、スチール、形状記憶合金、チタンまたは他のものを含む金属、あるいは、プラスチック、または、その組み合わせから作られてもよい。ロック機構は、インプラントを偏向させるために用いられる連結部または引っ張り要素を含んでもよい。

本発明の実施形態によれば、インプラントは、完全に偏向した状態のインプラントを身体に固定するために、安定化構造を含んでもよい。ロック構造は、コード、ケーブル、ストリップ、相互接続部、スナップ、リッジ、および、当該技術で知られている他の手段を含む、複数の機構を含んでもよい。ロック機構は、スチール、形状記憶合金、チタンまたは他のものを含む金属、あるいは、プラスチック、あるいは、その組み合わせから作られてもよい。

図３ａは、本発明の実施形態によれば、部分的に展開したインプラントを例証する。真っすぐな状態のインプラント（３０２）は、椎骨（３２０）内の空の椎間板腔に展開される用意の整ったコンジット（３１０）の内部に示されている。インプラント（３０２）は、ワーキングチャネルとして働くコンジット（３１０）を用いて、椎間板（３２０）に挿入されてもよい。あるいは、本発明の特定の実施形態によれば、インプラントは、ガイドの先端に載せることで椎間板に挿入され、椎間板に圧入されてもよい。インプラント（３０２）は、理想的には椎間板解剖学的構造を収容するために、様々な高さと直径を有してもよい。本発明の特定の実施形態では、インプラントは、脊椎解剖学的構造を収容するために、前弯性または後弯性として設計されてもよい。

図３ｂは、本発明の実施形態によれば、脊椎内で部分的に偏向したインプラントを例証する。インプラント（３０２）の近位セグメントは、依然としてコンジット（３１０）の内部で真っすぐな状態であるが、その一方で、遠位部分は椎骨（３２０）の空の椎間板腔内で展開され部分的に偏向する。

図３ｃは、本発明の実施形態によれば、脊椎内でさらに偏向したインプラントを例証する。数少ないセグメントを備えたインプラント（３０２）のより小さな部分は、依然としてコンジット（３１０）の内部で真っすぐな状態であるが、より大きな遠位部分（３０４）は、椎骨（３２０）内の空の椎間板腔で展開され、偏向している。

図３ｄは、本発明の実施形態によれば、脊椎の内部で完全に偏向した状態のインプラントを例証する。インプラント（３０８）は、脊椎（３２０）内で完全に偏向する。その完全に偏向した状態のインプラントは、椎体間固定のための様々な充填材料、あるいは、可動性維持のためのまたは脊椎を安定させるための他の材料で、充填されてもよい。

図４ａ−ｃは、本発明の実施形態によれば、真っすぐな、部分的に偏向した、および、完全に偏向した状態の、少数のセグメントを含むインプラントを例証する。図４ａは、脊椎内の空の椎間板腔（４２０）で展開する準備の整ったコンジット（４１０）内部の真っすぐな状態の、少数のセグメントを含むインプラント（４０２）を例証する。図４ｂは、コンジットの内部の依然として真っすぐな状態のインプラント（４０２）の近位部分を例証するが、一方で、遠位部分（４０３）は脊椎内の空の椎間板腔で展開され、部分的に偏向する。図４ｃは、脊椎内で完全に偏向したインプラント（４０４）を例証する。特定の場合には、インプラント（４０４）は、上面と下面に突起（４０６）を有する。突起（４０６）は、剛性でも可撓性でもよく、側部上で平らに折り畳まれるか、または、くぼみに折り畳まれてもよい。突起（４０６）は、上部および下部の椎骨の終板をこする（ｓｃｒａｐｅ）のに有効であってもよく、および／または、隣接する組織に対する位置にインプラントを固定するのに役立ってもよい。

図４ｄは、本発明の実施形態によれば、最大幅を固定するために用いられる横方向に展開した結合要素（４１０）を含む、椎間板腔内の完全に偏向した状態のインプラントを例証する。インプラント（４０４）は完全に偏向した状態で示され、結合要素（４１０）は、椎骨（４２０）の内部のインプラントの最大幅を固定するために使用されている。１つ以上の外側の結合要素の使用は、一般的には、完全に開いた構造を定義するためにセグメント間で可動範囲の限られたヒンジを用いる代わりに、インプラントの完全に開いた状態を定義するのに役立つ。このことにより、インプラントは開いている間に中間の状態をとることができ、セグメント間のヒンジは、図４Ｂ内で示されるような完全に展開した状態で可能な屈曲範囲を越えた角度を一時的にとる。特定の実施形態では、複数の外側の結合要素は、インプラントの長さに沿って広がって提供されてもよい（図示せず）。

図５ａ−ｃは、本発明の実施形態によれば、真っすぐな状態、部分的に偏向した状態、および、最終的な「二重環」または「８の字形」の形状をした完全に偏向した状態のインプラントを例証する。図５ａは、脊椎（５２０）内の空の椎間板腔で展開される用意の整ったコンジット（５１０）内部の、真っすぐな状態（５０２）の二重環インプラントを例証する。図５ｂは、コンジットの内部で依然として真っすぐな状態のインプラント（５０２）の近位部分を例証し、その一方で、遠位部分（５０４）は、脊椎内の空の椎間板腔で展開され、部分的に偏向している。図５ｃは、二重環（５０２と５０４）形状を備えた、椎間板腔内で完全に偏向したインプラントを例証する。伸張要素（５１０）は、図で示されるようなインプラントの中間部の幅を固定するために使用される。二重ループまたは二重環は、例証されるようなインプラントの一般的な全面的な形状を考慮してそう呼ばれるが、狭い中央領域は必ずしも足部どうしで接続されないことに注目する。したがって、この実施形態は、少なくとも１つの側にくぼみまたは凹部を有するとともに、展開したインプラントの左右の寸法が最も小さな中間領域を有しているループ挿入物の一例としてみなされてもよい。

図６ａ（１−２）は、本発明の実施形態に応じて、真っすぐなおよび完全に偏向した状態で、各々の側部に異なる数のセグメントを有するインプラントを例証する。真っすぐな状態（６０２）の非対称なインプラントが左側の図６ａ（１）に示され、完全に偏向した状態（６０４）は右側の図６ａ（２）に示される。非対称なインプラントは、第１の側部に２つのセグメントを有し、第２の側部に５つのより小さなセグメントを有している。完全に偏向した状態（６０４）で滑らかなループ構造が得られるように、非対称なインプラントの大きさとヒンジは設計されている。

図６ｂ（１−３）は、本発明の実施形態によって、伸張要素を用いたインプラントの展開を例証する。図６ｂ（１）は、伸長要素（６１０）を含む、右上側の真っすぐな状態（６０２）のインプラントを例証する。図６ｂ（２）は、遠位部分（６０８）に接続されるとともに、近位端（６０９）と遠位端（６０８）の間の距離が短くなるように、近位部分（６０９）を介して部分的に引き戻される、伸長要素（６１０）を含む、部分的に偏向した状態のインプラント（６０４）を例証する。図６ｂ（３）は、遠位部分（６０８）に接続されるとともに、近位端と遠位端との間の距離が完全に偏向した状態でさらに短くなるように、さらに引き戻される、伸長要素（６１０）を含む、図の左下側の完全に偏向した状態のインプラント（６０６）を例証する。伸長要素は、インプラントから取り除かれるか、または、展開後にインプラントに取り付けられたままであってもよい。

図６ｃの（１−３）は、本発明の実施形態によって、内部伸長要素を用いたインプラントの展開を例証する。非対称なインプラントが図６ｃ（１）で真っすぐな状態で示され、部分的に偏向したインプラントは図６ｃ（２）で示され、完全に偏向したインプラントは図６ｃ（３）で示される。内部伸長要素はインプラントのセグメント内を順次通る。内部伸長要素は、近位部分（６１４）の１つの側部に固定され、遠位部分（６１６）を通り、近位部分（６１８）の第２の側部の中をさらに通る。伸長要素（６２０）を引き戻すことは、遠位部分と近位部分の間の距離を短くし、図６ｃの左下に示されるような完全に偏向した状態へとインプラントを偏向させる。他の実施形態では、少なくとも２つの内部引っ張り要素が用いられてもよく、それらの各々は、セグメントの少なくとも２つのシーケンスの各々に充てられる。

図７ａは、本発明の実施形態によれば、真っすぐな状態の楕円形状のインプラントを例証する。インプラント（７００）は、真っすぐな状態で示されており、本発明の実施形態による別の非対称のインプラントであり、近位端と遠心端の間のセグメントの２つのシーケンスは互いの鏡面反射ではない。

図７ｂ（１−３）は、本発明の実施形態によって、真っすぐな状態、部分的に偏向した状態、および、完全に偏向した状態の楕円のインプラントを例証する。図７ｂ（１）は、コンジットの内部の真っすぐな状態の楕円のインプラント（７０２）を例証し、図７ｂ（２）は部分的に展開した時の部分的に偏向した状態（７０４）を例証し、および、図７ｂ（３）は、完全に展開した時の完全に偏向した状態（７０６）を例証する。ここに示されるような楕円のインプラントは、軸外の楕円として展開する。すなわち、楕円の主軸と端軸のいずれも、展開方向によって定義された軸と一列になっていない。展開方向に対して軸をずらして方向づける（ｏｒｉｅｎｔａｔｉｏｎ ｏｆｆｓｅｔ）ことによって非対称なインプラントまたは対称なインプラントを展開させる能力は、アクセス方向が異なる処置の間に挿入物を適切に展開することを可能にするために特に役立つ。

図７ｃ（１−２）は、本発明の実施形態によれば、２つの内部伸長要素を含む、真っすぐな状態の楕円のインプラント（図７ｃ（１））と完全に偏向した状態の楕円のインプラント（図７ｃ（２））を例証する。２つの内部伸長要素（７１８および７１９）は、遠心端セグメント（７０８および７０９）の２つの側部に固定される。２つの伸長要素は、インプラントの各側部からセグメントシーケンスを通される。２つの伸長要素は、完全に偏向したインプラントへとインプラントを選択的に偏向することを可能にするために、セグメントの細長いシーケンスの一方の側または両側に沿って伸びてもよい。２つの伸長要素は同時にまたは交互に引っ張られ、図７ｃ（２）の左下に示される完全に偏向した楕円の状態にまでインプラントを偏向させてもよい。

図８は、本発明の実施形態によれば、完全に偏向した状態のＤ形状のインプラントを例証する。Ｄ形状のインプラントは本発明の実施形態によって別の非対称なインプラントである。Ｄ形状のインプラントは、第１の側部に１つの平らなセグメントを有し、第２の側部にヒンジで相互に接続されたセグメントのシーケンスを有する。Ｄ形状のインプラントは、２つの側面から見て、図８に示されるように、断面の小さな真っすぐな挿入状態と、完全に偏向した状態を有する。特定の実施形態では、セグメントのシーケンスは、シーケンスの近位部分に縦の圧力を加えることによって偏向し、それにより、任意の連結部または引っ張り要素を必要とすることなく、シーケンスのセグメントと平らなセグメントの間の相対運動を引き起こす。

図９ａ（１−２）は、本発明の実施形態によって、真っすぐな状態と完全に偏向した状態の３次元（３Ｄ）のインプラントを例証する。図９ａ（１）は真っすぐな挿入状態の３Ｄインプラント（９４０）を示し、図９ａ（２）は完全に偏向した状態の３Ｄインプラント（９５０）を示す。３Ｄインプラントは、身体の軸平面に水平に開かれてもよく（９０５）、あるいは、身体の矢状面に垂直に開かれてもよく（９０６）、あるいは、任意の他の角度で開かれてもよい。さらに、３Ｄインプラントは、１以上の面で、同時にまたは連続して開かれてもよい。３Ｄの場合、インプラントは、３次元の形状を形成する２以上の側部（例えば、９０１、９０２、９０３および９０４）を有する。

図９ｂ（１−２）は、本発明の実施形態によれば、２つの脊椎骨間の側面図における真っすぐなおよび完全に偏向した状態の３Ｄインプラントを例証する。図９ｂ（１）は、上部椎骨（９１０）、下部椎骨（９１２）、および、真っすぐな挿入状態（９４０）で２つの椎骨間に位置する３Ｄインプラント（９１４）を示す。図９ｂ（２）は、上部椎骨（９１０）、下部椎骨（９１２）、および、完全に偏向した状態（９５０）で２つの椎骨間に位置する３Ｄインプラント（９１６）を示す。偏向したインプラント（９１６）は、矢状面で２つの椎骨間の高さを増加させ、２つの椎骨間の高さをもとに戻すことによって椎間板の圧迫骨折を固定するために使用可能であり、したがって、偏向したインプラント（９１６）は、椎骨の増強に用いられてもよい。図９ａ−ｂで例証された３Ｄインプラントは、本発明の実施形態による、３Ｄインプラントの非限定的な一例に過ぎない。例えば、２つの椎骨との接触表面が大きな他の形状が設計されてもよく、これは本発明の範囲内である。

３Ｄインプラントの別の用途は、変性のまたは外傷性の椎骨骨折のケースを処置するためのセメントのような安定化剤の追加を含むまたは含まない、椎骨の増強のためである。

本発明の実施形態によれば、インプラントの完全に偏向した状態は、さまざまな図面に記載されたトロイド状多面体、環状トロイド、楕円形トロイド、および、多重環トロイドであってもよく、これらは本発明の範囲内のものである偏向したインプラントの非限定的な例に過ぎず、他の偏向したインプラントが本発明の実施形態に応じて当業者によって設計されてもよい。

最後に図１０ａ−１０ｄに目を向けると、ヒンジによる相互接続が細長い要素間で用いられる場合、ヒンジの軸はインプラントの長さに垂直である必要がないことに注目する。１つの非限定的な例として、図１０ａ−１０ｄは、インプラントを折り畳むためのヒンジ軸（１００２ａと１００２ｂ）が、展開したインプラントの直径または長さに沿って伸びる、インプラント（１０００）の１つの例を例証する。

この場合、図１０ａおよび１０ｂの真っすぐな状態で、ヒンジ軸（１００２ａおよび１００２ｂ）は、一直線にはなっておらず、インプラントは開口部に対してロックされる。インプラントが図１０ｃの状態にまで偏向するときにのみ、２つのヒンジ軸は一直線になり、インプラントの二等分部分を枢動可能に開くことによって図１０ｄの開かれた構造をとることを可能にする。この場合も、様々な作動連結部または固有の弾性的な偏りの使用の選択肢はすべて利用可能である。

要約すると、上に記載された偏向可能なインプラントは、椎体間の固定、可動性維持、および、椎骨の強化に使用されてもよい。偏向可能なインプラントは椎間のおよび／または椎内のインプラントとして使用されてもよい。そのようなインプラントの他の脊髄および非脊髄の用途も予想される。

有利なことに、上記の偏向可能なインプラントの実施形態は、真っすぐな挿入状態で断面積が小さいため、皮膚の小さな穴を通って挿入することができる。

上記の偏向可能なインプラントの特定の実施形態の別の利点は、その完全に偏向した状態が病気の椎間板組織に取って替わって椎間板腔を満たすことがあるということである。

上記の偏向可能なインプラントの特定の実施形態の別の利点は、その完全に偏向した状態が、椎体間固定のために骨片および他の生体適合性材料で満たされることがある少なくとも１つの開口部を有してもよいということである。

上記の偏向可能なインプラントの特定の実施形態の別の利点は、その完全に偏向した状態が、可動性維持のために不活性材料で満たされることがある少なくとも１つの開口部を有してもよいということである。

上記の偏向可能なインプラントの特定の実施形態の別の利点は、１以上の面、特に、矢状面でのその完全に偏向した状態が、椎骨の強化のために使用されてもよいということである。

明確にするために別々の実施形態の文脈に記載された本発明の特定の特徴は、１つの実施形態で組み合わせて提供されてもよいということに注意する。逆に、簡潔にするために、１つの実施形態の文脈に記載された本発明の様々な特徴も、別々にまたは任意の適切な部分的な組み合わせで提供されてもよい。

他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似のまたは同等の方法は、本発明の実施または試験で用いることができるが、適切な方法が本明細書には記載される。

本明細書で言及されるすべての出版物、特許出願、特許、および他の引例は、そのまま引用されることによって組み込まれる。コンフリクトの場合には、定義を含む特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、および、例は一例にすぎず、限定することを意図していない。

本発明がとりわけ上に示され記載されたことに限定されないことは、当業者にとって当然のことである。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義され、本明細書に記載のさまざまな特徴と、前述の記載を読んだ当業者が思い浮かべるであろうその変化および改良形態とを両方とも含む。

Claims (9)

1. 近位端と遠位端の間を延びるセグメントの１つのシーケンスを含むループの第１の側部と、ループの第２の側部を含むインプラントであって、
   前記シーケンスは少なくとも３つのセグメントを含み、前記少なくとも３つのセグメントは有効なヒンジで相互に接続しており、前記シーケンスは身体内へ挿入するにあたり、前記シーケンスが前記近位端から前記遠位端までの第１の長さを示す真っすぐなあるいは低曲率の挿入状態をとり、前記シーケンスは、前記シーケンスが前記近位端から前記遠位端までの前記第１の長さより短い第２の長さを示す完全に偏向した状態へと偏向可能であり、
   前記第１及び第２の側部が、薄型に折り畳まれた状態をとる少なくとも１つのループの部分を形成するために、前記近位端と前記遠位端の少なくとも１つでヒンジにより相互に接続され、前記第１の側部及び第２の側部が結合され、前記シーケンスが挿入状態にあり、前記シーケンスが偏向された状態に変更され、前記ループが囲まれた容積を少なくとも部分的に定義する開いた状態が生じ、
   前記インプラントの近位端と遠位端の少なくとも１つが前記第１の側部のセグメントと前記第２の側部との間のヒンジ結合によって形成され、
   前記挿入状態からの開いた状態への移行が、前記ループの前記第２側部の偏向なしに生じることを特徴とするインプラント。
2. セグメントの前記１つのシーケンスを前記挿入状態から完全に偏向した状態へと偏向させるために、セグメントの前記シーケンスの１つの少なくとも一部に機械的に連結した連結部をさらに含む、請求項１に記載のインプラント。
3. 前記シーケンスの前記遠位端と近位端の間の距離を選択的に短くするために、縦の圧力を前記近位端に加えるための手段をさらに含む、請求項１に記載のインプラント。
4. 前記インプラントは、前記ループ内で囲まれた容積にアクセスできるように、セグメントの前記シーケンスに少なくとも１つの開口部をさらに含む、請求項１に記載のインプラント。
5. 前記真っ直ぐな挿入状態の前記インプラントを身体に挿入するための細長いコンジットをさらに含む、請求項１に記載のインプラントを含む、移植システム。
6. 生体適合性材料、骨移植片、骨片、椎体間固定のための骨成長促進剤、および、可動性維持のためのセメントのような不活性な充填材料からなる群から選択された充填材料を含有する注射器をさらに含む、請求項１に記載のインプラント。
7. 前記完全に偏向した状態の前記インプラントを保持するためのロック構造をさらに含み、
   前記ロック構造は、コード、ケーブル、ストリップ、相互接続部、および、スナップからなる群から選択される少なくとも１つの要素を含む、請求項１に記載のインプラント。
8. 前記第２の側部が前記シーケンスの遠位端でセグメントの前記シーケンスとヒンジで相互接続された単一の要素として機能し、前記セグメントのシーケンスが、前記セグメントのシーケンスの近位端で前記単一の要素とスライド式相互接続され、前記セグメント及び単一の要素が前記ループを定義してなる請求項１に記載のインプラント。
9. 前記セグメントのシーケンスの近位部に加えられた縦の圧力が前記シーケンスのセグメントと平らなセグメントの間の相対運動を発生するように、前記スライド式相互接続が構成され、これによってセグメントのシーケンスを偏向してＤ形状の開いた状態を形成してなる請求項８に記載のインプラント。

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