JP5806627B2 - 電気転てつ機の転換不能防止方法及び装置 - Google Patents

電気転てつ機の転換不能防止方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気転てつ機の転換不能を防止する方法及びその方法を使用するための装置に関する。
列車(又は車両。以下、同じ。)を一つの線路から他の線路に移動させる箇所、すなわち、鉄道線路の分岐箇所には、電気転てつ機(以下、単に「転てつ機」という。)が設置されている。転てつ機は、線路の外側に設置され、トングレールを転換して基本レールに密着させ、又は基本レールから離間させる転換装置と、密着状態又は離間状態のトングレールをその位置に保持する鎖錠装置とを含んでいる。
転換装置はトングレールを転換するためにトングレールに接続された動作かんを有し、鎖錠装置は密着状態又は離間状態のトングレールをその位置に保持するためにトングレールに接続された鎖錠かんと、動作かんと連動して鎖錠かんの切欠に嵌合して鎖錠かんを所定の位置にロックするロックピースとを有している。そして、トングレールと連動する鎖錠かんの切欠にロックピースを横から挿入することによりトングレールの移動を阻止する状態、すなわち、鎖錠かんとロックピースのロック状態が完了する。
列車がポイントを通過するときは、トングレールの先端は基本レールに密着し、完全に鎖錠されて開口しないようにすることが必要である。それには、鎖錠かんの切欠その切欠に嵌合したロックピースの間に隙間が無いことが理想的であるが、鎖錠かんの微小な移動により鎖錠かんとロックピースの間に狂い(以下、「ロック狂い」という。)が生じる場合があり、その場合は、ロックピースが鎖錠かんに引っ掛かって転換不能となる。
上記のように、密着状態におけるトングレールの基本レールからの離間幅(開口量)は0であることが望ましいが、経験則から5mmまでは安全とされている。一般的に、鎖錠かんの切欠幅43mmに対してロックピースの幅は40mmとされて、鎖錠かんの切欠とロックピースの間隔が両側合計で3mmとされている。これは、鎖錠かんの切欠及びロックピースの許容摩耗量をそれぞれ1mm、ジョーピンの摩耗等の余裕量を1mmと推定することに基づいている。
鎖錠かんの切欠、ロックピースやジョーピンの摩耗等により、鎖錠かんの切欠の中心位置が基準位置(ロックピースの幅中央)から変位することがあり、その変位量が規定値(3mm)を超えた場合は、ロック不能(すなわち、転換不能)状態になるので、その前に鎖錠かんの変位量を調整する必要があるため、定期的にロック状態の管理が行われている。
鎖錠かんの微小な移動により転てつ機の転換不能を発生する原因には、上記鎖錠かんの切欠、ロックピースやジョーピンの摩耗等のほかに、動作かんとトングレールの間に設けられて両者を接続するスイッチアジャスタがその周辺温度(外気温や道床温度)の大きな変動により規定値を超えて伸びたり、縮んだりすることがある。転てつ機のロック狂いは、特に日中と夜間の温度差が大きい季節に生じ易い。周辺温度の大きな変動により伸縮する部材には、スイッチアジャスタのほかに、トングレールの先端を結合するフロントロッドと、このフロントロッドと鎖錠かんの間に設けられて両者を接続する接続かんがあるので、これらの部材の過度の伸縮も、転てつ機のロック狂いの発生原因となる場合もある。
このような転てつ機とトングレールを接続する部材の規定値を超えた伸縮を原因とする転換不能を防止するための従来技術は、線路内のスイッチアジャスタ付近に温度計、雨量計等のセンサを設置し、それらのセンサから得られる測定値、すなわち、実値を制御装置に与え、その制御装置によりその測定値に基づいてミスト発生装置、冷風機又はヒーター等の駆動を制御して、スイッチアジャスタ付近の温度をスイッチアジャスタの長さが一定値となるように、すなわち、鎖錠かんの切欠の中心位置が基準位置に保持されるようにするものであった(先行技術文献はとくにない)。
しかしながら、上記従来技術は、線路内のスイッチアジャスタ付近に温度計、雨量計等のセンサを設置し、そのセンサの測定値を制御装置に与えるので、センサの設置スペースの確保に困難が伴う、センサの設置工事に危険が伴う、鉄道線路の分岐箇所を通過する列車の振動によりセンサ及びセンサと制御装置を繋ぐ信号線に故障や断線が発生し易い、また、メンテナンスは時間的制約を受けて容易でない、などの問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、気象データを利用する数理モデルを用いて転換不能を防止する方法及びその方法を使用する転換不能防止装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を解決するため、転てつ機とトングレールを接続する部材の伸縮を原因とする転換不能を防止する方法において、分岐箇所の線路の外側に設けた気象観測装置よりアルタイムで出力される線路の分岐箇所付近の気象データを演算制御装置に入力し、その演算制御装置によりその気象データに基づいて所定の数理モデルを用いて前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定するとともに、その推定した温度から前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を所定の温度に保つための制御量を演算して、その制御量を温度調整装置に与え、その制御量により温度調整装置を制御して転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を所定の一定範囲の温度に保つことを特徴とする。
前記転てつ機とトングレールを接続する部材は、スイッチアジャスタ、もしくはフロントロッドと接続かん、又はスイッチアジャスタ及びフロントロッドと接続かんであることを特徴とする。
数理モデルを用いる思想の基礎にあるものは、観測値(気温、湿度、雨量、日照量、風速から事象(転てつ機とトングレールを接続する部材の温度)を予測する、統計的分析手法である重回帰分析を適用することである。
鉄道線路の分岐箇所の特有な地理的環境、例えば、日照と風速の一方又は双方が、転てつ機とトングレールを接続する部材の伸縮率に有意な影響を与える場合には、気象センサにさらに日照計と風速計の一方又は双方を含めるとともに、前記数理モデルのモデリングの際に、日照計と風速計の一方又は双方からの気象データに基づく補正値を付加することにより、鎖錠かんの切欠の中心位置とロックピースの幅中央となる基準位置との関係の推定値にその影響を適正に反映させることが望ましい。
スイッチアジャスタの温度を目的変数(被説明変数)、上記気象データを説明変数とする場合の数式(回帰方程式)、すなわち、スイッチアジャスタ温度の予測式を例示すると、次のとおりである。
t=c0+c1*A+c2*B+c3*C+c4*D+c5*E
tはスイッチアジャスタ温度の予測値、
c0,c1,c2,c3,c4,c5は係数、
Aは降雨量、Bは気温、Cは湿度、Dは風速、Eは日射量である。
本発明は、転てつ機とトングレールを接続する部材の伸縮を原因とする転換不能を防止する装置において、分岐箇所の線路の外側に設置され、気象要素を検出して気象データをリアルタイムで出力する気象センサを収容した気象観測装置と、その気象センサから入力する気象データに基づいて、気象データから前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定する数理モデルを用いて、前記転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を推定するとともに、その推定した温度から転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の温度に保つための制御量を演算して出力する演算制御装置と、その演算制御装置が出力する前記制御量に基づいて駆動される温度調整装置とからなることを特徴とする。
前記気象センサには、温度計のみの場合、温度計の外、雨量計,湿度計を含める場合、さらに、日照計と風速計の一方又は双方を含める場合がある。後者になるほど、推定が正確になる。
そして、本発明は、温度調整装置に、転てつ機とトングレールを接続する部材に温熱又は冷熱を加えるもの、例えば、ミスト噴射機、冷風・温風機又は電気ヒーターもしくはオイルヒーターを用いることを特徴とする。
本発明によれば、転てつ機とトングレールを接続する部材の伸縮に関与する気象データを出力する気象センサを分岐箇所の線路の外側に設けるので、センサの設置スペースの確保に困難が伴う、センサの設置工事に危険が伴う、鉄道線路の分岐箇所を通過する列車の振動によりセンサ及びセンサと制御装置を繋ぐ信号線に故障や断線が発生し易い、また、メンテナンスは時間的制約を受けて容易でない、などの従来技術の問題が解消される。
そして、気象センサから入力する気象データに基づいて、気象データから転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定する数理モデルを用いて、転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定するとともに、その推定した温度から転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の温度に保つための制御量を演算して、その制御量を温度調整装置に与え、その制御量により温度調整装置を制御して転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の一定範囲の温度に保つので、数理モデルの設定の仕方により、センサからの実値に基づいて温度調整装置を制御する従来技術よりも鉄道線路の個々の分岐箇所における気象現象に柔軟に対応して、転換不能を防止することができる。
本発明装置の構成の一例を示す概念図である。 本発明の実施の形態の一例を示す線路の分岐箇所の平面図である。 転てつ機の転換装置と鎖錠装置を抽出して示す斜視図である。 鎖錠装置の一部であるロックピースの先端付近の斜視図である。 スイッチアジャスタ温度の実測値と推定値をプロットした図である。
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図2において、R1は基本レール、R2はトングレールであり、1は転てつ機本体、2はその転てつ機本体の一端に取付けられたモータ、3はモータ2により駆動される動作かんであって、スイッチアジャスタ4及びタイバー5を介してトングレールR2に接続されている。また、6は鎖錠かんであって、接続かん7及びフロントロッド8を介してトングレールR2に接続されている。
転てつ機本体1の中には、周知のように、モータの動力伝達系として、フリクションクラッチ、中間歯車及び転換歯車(いずれも図示省略)が設けられ、さらに、図3に示されている周知の転換装置10及び鎖錠装置20が設けられている。
転換装置10は、転換歯車に立設された転換ローラ11と、転てつ機本体1の一方側から他方側まで水平方向に貫通し、転てつ機本体1内に存在する中央部にカム溝12を有する前記動作かん3とからなっている。カム溝12は開口付近にエスケープカム面を、奥に転換カム面を有していて、モータ2が所定方向又は反対方向に回転すると、転換ローラ11が動作かん3のカム溝12のエスケープカム面及び転換カム面と接触することにより、動作かん3が長手方向に前進又は後退され、その結果、トングレールR2が基本レールR1に密着する定位に転換され、又はトングレールR2が基本レールR1から離間される反位に転換されるようになっている。
鎖錠装置20は、動作かん3の下側に動作かん3の長手方向に対して直角水平方向に滑動可能に配置された一対のカムバー21a,21bと、各カムバーの他端に接続され、カムバーの滑動方向に伸びる一対のロックピース22a,22bと、前記鎖錠かん6とからなっている。鎖錠かん6は、上下一対6a,6bが備えられている。一対のカムバー21a,21bは転換ローラ11が接触するエスケープカム面を、奥に転換カム面を有していて、転換ローラ11の所定方向又は反対方向の回転により一対のロックピース22a,22bが長手方向に前進又は後退されるように構成されている。また、一対のロックピース22a,22bには、先端部に図4に示すように、一方が下方に突出し、他方が上方に突出する鎖錠ブロック23a, 23bが設けられている。そして、上下一対の鎖錠かん6a,6bは、所定の間隔を持って結合されており、対向面に長手方向に所定の距離を隔てた位置において、下側の鎖錠かん6aには上向きに開口する切欠24aが、上側の鎖錠かん6bには下向きに開口する切欠24bが形成されている。
上記構成により、列車が運行される際は、信号扱い所から転てつ機の制御器にポイントを反位から定位に転換させる指令が与えられた時は、モータ2が所定方向に回転し、まず、転換装置10が動作して、動作かん3がトングレールR2を基本レールR1に密着させるため、ポイントが反位から定位に転換される。転換が完了すると、モータ2の所定方向の継続回転により鎖錠装置20が動作して、所定の一つのロックピース(22a又は22b)の鎖錠ブロック(23a又は23b)が所定の一つの鎖錠かん(6a又は6b)の切欠(24a又は24b)に嵌合するため、定位状態がロックされる。また、信号扱い所から定位から反位に転換させる指令が与えられた時は、モータ2が反対方向に回転し、まず、転換装置20が動作して、動作かん3がトングレールR2を基本レールR1から離間させるため、ポイントが定位から反位に転換される。転換が完了すると、モータ2の反対方向の継続回転により鎖錠装置20が動作して、所定の他のロックピース(22b又は22a)の鎖錠ブロック(23b又は23a)が所定の他の鎖錠かん(6b又は6a)の切欠(24b又は24a)に嵌合するため、反位状態がロックされる。
すなわち、ポイント定位時は、図3の左側のロックピース22aの鎖錠ブロック23aが前進して下側の鎖錠かん6aの移動面から退避するが、右側のロックピース22bの鎖錠ブロック23bは後退して上側の鎖錠かん6bの切欠24bに嵌合するため、定位状態がロックされる。また、ポイント反位時は図2の右側のロックピース22aの鎖錠ブロック23aが前進して上側の鎖錠かん6bの移動面から退避するが、左側のロックピース22aは後退してその鎖錠ブロック23aは下側の鎖錠かん6aの切欠24aに嵌合するため、反位状態がロックされる。
上記反位から定位への転換及び定位から反位への転換は、モータ2により動作かん3が長手方向に移動されるときにロックピース22a,22bの鎖錠ブロック23a, 23bがそれぞれ所定の鎖錠かん6a,6bの切欠24a,24bに嵌合することにより可能であるが、何らかの原因により、定位状態又は反位状態における鎖錠かん6aもしくは6bの切欠24aもしくは24bの中心位置がロックピース22aもしくは22bの幅中央である基準位置から規定値以上変位するロック狂いが生じた時は、鎖錠ブロック23aもしくは23bが切欠24aもしくは24bに嵌合することが不可能となり、又は切欠24aもしくは24bから抜脱することが不可能となるため、転換不能になる。
本発明は、上記のような転換不能の原因が、転てつ機とトングレールを接続する部材の外気温又は道床温度の大幅な変動による規定値を超える伸長又は短縮である場合に、その転換不能を防止するため、次のような転換不能防止装置を提案するものである。
その転換不能防止装置は、図2に示すように、線路の分岐箇所付近の建築限界Lの外側に気象観測装置30と、演算制御装置40と、転てつ機とトングレールを接続する部材を加熱又は冷却する温度調整装置50とを有する。気象観測装置30線路の分岐箇所付近の気象現象をリアルタイムで測定して気象データを演算制御装置40に与える。その演算制御装置40はその気象データを用いて当該分岐箇所付近の温度を推定し、かつ、その推定された温度に基いて転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の温度に保つための制御量を演算して温度調整装置50に与え、その温度調整装置50の駆動を制御して転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の一定範囲の温度に保つ。
続いて詳述すると、図1に示すように、気象観測装置30は、ボックス内に1種又は複数種の気象センサを備え、当該分岐箇所付近の気象要素を検出するものである。気象センサは、転てつ機とトングレールを接続する熱伸縮率の大きい部材、例えば、スイッチアジャスタ4又はスイッチアジャスタ4と、フロントロッド8及び接続かん7の付近温度を推定するために有効なセンサ、例えば、温度計31、雨量計32、湿度計33であり、測定データをリアルタイムに出力可能なものを用いている。従って、気象観測装置30は、既知の百葉箱と同様のものであるが、各気象センサは、測定データをリアルタイムでデジタルデータに変換して出力するものである。転てつ機とトングレールを接続する部材のうち、転換不能の原因の最大のものは、スイッチアジャスタ4の規定値を超えた伸縮であるので、転てつ機とトングレールを接続する部材を以下、代表的にスイッチアジャスタという。
気象観測装置30は、これを分岐箇所付近の建築限界Lの外側に設置するので、設置スペース確保の問題はなく、気象センサのメンテナンスも危険が無く、容易に行なうことができる利点がある。
気象観測装置30内の各気象センサの測定データは、有線又は無線で、演算制御装置40にリアルタイムで与えられる。演算制御装置40も分岐箇所付近の建築限界Lの外側に設けられている。演算制御装置40は、一つのボックス内に演算部41と記憶部42と制御部43を有する。演算部と制御部を演算装置と制御装置に分けてもよい。
記憶部42には、当該分岐箇所付近の気象要素を基に当該分岐箇所付近の、又はより精密には、スイッチアジャスタ4の付近の温度を推定する数理モデルを実行するための数式が記憶されている。数理モデルは、基礎とする気象要素として、少なくとも温度を用いるが、好ましくは温度、湿度、雨量を用いることが望ましい。
当該分岐箇所付近の気象要素が上記以外に、周囲環境条件、例えば、日照や風速などにより影響を受ける場合は、その影響も数理モデルに反映させる必要がある。その場合は、気象観測装置30には気象センサとして日照計34や風速計35を付加し、その気象センサの測定データを含む数式を演算させると良い。したがって、スイッチアジャスタ温度の予測式(数式)には、次のいずれかを用いることができる。
t=c0+c1*A ・・・数式1
t=c0+c1*A+c2*B+c3*C ・・・数式2
t=c0+c1*A+c2*B+c3*C+c4*D+c5*E・・・数式3
tはスイッチアジャスタ温度の予測値
c0,c1,c2,c3,c4,c5は係数
Aは降雨量、Bは気温、Cは湿度、Dは風速、Eは日射量
数理モデルについては、過去の気象データ(気象庁HPより取得する気象データ、もしくは自身で気象観測装置を設置して蓄積する気象データ)を説明変数、スイッチアジャスタの温度データを被説明変数とし、スイッチアジャスタの温度を気象データを用いて推定する式を構築する。実際のスイッチアジャスタの温度データと推定式によって得られる温度との差の二乗和が最小となるように、係数c0,c1,〜c5の値を設定し、スイッチアジャスタ温度の予測式を構築する。
さらに詳述すると、スイッチアジャスタの温度の実測値が得られた日の時刻情報を取得し、同日同時刻(もしくは周辺時刻)の気象データを取得し、スイッチアジャスタの温度が気象データのみで説明することができないか検討を行う。一時点のスイッチアジャスタの実測値ではなく、過去に取得されたすべてのデータとそれに対応する気象データを基に、回帰式の構築(係数c0,c1,〜c5の決定)を行う。
上述のようにして係数c0,c1,〜c5を決定して、スイッチアジャスタの温度を外気温、湿度、風速、照度で推定する計算式(数式)は以下のとおりである(係数(c0,c1,〜c5)の値は、スイッチアジャスタの実測値と気象データの得られる地点によって、変化する。)。
(数式3
t=2.9325+1.1942*B−0.0668*+0.8452*+0.0138*
tはスイッチアジャスタ温度の予測値
Bは気温、Cは湿度、Dは風速、Eは日射量
なお、決定係数は0.9021とかなり高い値を示しており、この4変数を用いて説明可能であると言える。また、上記の計算式を用いてスイッチアジャスタの温度を推定したものと、実際の温度との比較をするために、実測値と推定値をプロットしたものを図5に示す。
図5のスイッチアジャスタ温度は、2011年7月24日〜同年8月11日までに測定された温度である。
演算部41は、各気象センサの測定データを前記数式に代入して、スイッチアジャスタ4の付近温度を推定するように構成されている。図5からも明らかなように、上記数式を用いて得られた温度推定値は、温度計の実値(スイッチアジャスタ温度)と殆ど差異が無い。
演算部41は、さらに、得られた温度推定データに基づいて、当該分岐箇所付近に設けてある温度調整装置50を駆動させるための制御量、例えば、後記ミスト噴射機や温風・冷風機の噴出量、ヒーターの加熱温度などを演算し、その制御信号を温度調整装置50に送出するように構成されている。
温度調整装置50は、演算制御装置40から与えられる制御信号により駆動されて、スイッチアジャスタ4の温度を所定の一定温度にするために、スイッチアジャスタ4に向けてミスト、温風又は冷風などの熱媒により、又は伝導熱もしくは輻射熱により加熱又は冷却作用をするように構成されている。
そのような温度調整装置50には、加熱・冷却機としての機能を有するもの、例えば、ミスト噴射機51、温風・冷風機52、電気ヒーターもしくはオイルヒーター53を使用することができる。その場合、ミスト噴射機51や温風・冷風機52は、建築限界の外側に設置して熱媒を確実にスイッチアジャスタ4に向けて供給することができるとともに、配線の断線などの虞が無く、安全性を確保できる。これに対して、電気ヒーターの場合は、電熱線又はヒーターバンドなど、列車通過時の振動の影響を受けない形状・構造のヒーターを用い、また、オイルヒーターの場合は、加温されたオイルをスイッチアジャスタ付近との間で循環させるヒートパイプなどを用いるとよい。スイッチアジャスタ4に太陽光が強く照射する場所では、温度調整装置50に倒伏式のシャッター(図示省略)を併用するとよい。
本発明は、上記のように、当該分岐箇所付近の気象現象からスイッチアジャスタ4の付近温度を推定し、その推定温度において必要な制御量を演算して温度調整装置50の駆動を制御して温度調整を行うので、気象観測装置30の用いる気象センサの種類を分岐箇所の地域差に応じて変える必要なしに、演算制御装置40の演算部の数理モデルを当該分岐箇所付近の気象状況に適合するように設定するだけで、温度調整装置50の駆動を適切に制御することができるため、融通性を持って個々の分岐箇所に適合した転換不能防止を実現することができる。
従来は、必要なセンサをすべて取り付けて、リアルタイムにミストやヒーターの制御をしていたが、数理モデルによるセンサの削減や予測を用いた制御が可能となる。具体的には、スイッチアジャスタに熱電対を取り付けた場合は、軌道回路不正落下等の発生原因となるが、数理モデルを用いることにより、軌道回路不正落下を発生させることなく、気象センサのみで同等の性能を発揮することができる。

Claims (5)

  1. 転てつ機とトングレールを接続する部材の伸縮を原因とする転換不能を防止する方法において、
    分岐箇所の線路の外側に設けた気象観測装置よりアルタイムで出力される線路の分岐箇所付近の気象データを演算制御装置に入力し、
    その演算制御装置により前記気象データに基づいて所定の数理モデルを用いて前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定するとともに、その推定した温度から前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を所定の温度に保つための制御量を演算して、その制御量を温度調整装置に与え、
    その制御量により前記温度調整装置を制御して前記転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の一定範囲の温度に保つことを特徴とする転てつ機の転換不能防止方法。
  2. 前記転てつ機とトングレールを接続する部材は、スイッチアジャスタ、もしくはフロントロッドと接続かん、又はスイッチアジャスタ及びフロントロッドと接続かんであることを特徴とする請求項1に記載の転てつ機の転換不能防止方法。
  3. 前記数理モデルは、次のいずれかの数式、
    t=c0+c1*A ・・・数式1
    t=c0+c1*A+c2*B+c3*C ・・・数式2
    t=c0+c1*A+c2*B+c3*C+c4*D+c5*E・・・数式3
    tはスイッチアジャスタ温度の予測値
    c0,c1,c2,c3,c4,c5は係数
    Aは降雨量、Bは気温、Cは湿度、Dは風速、Eは日射量
    を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の転てつ機の転換不能防止方法。
  4. 転てつ機とトングレールを接続する部材の伸縮を原因とする転換不能を防止する装置において、分岐箇所の線路の外側に設置され、気象要素を検出して気象データをリアルタイムで出力する気象センサを収容した気象観測装置と、その気象センサから入力する前記気象データに基づいて、前記気象データから前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定する数理モデルを用いて、前記転てつ機とトングレールを接続する部材の付近温度を推定するとともに、その推定した温度から前記転てつ機とトングレールを接続する部材の温度を所定の温度に保つための制御量を演算して出力する演算制御装置と、その演算制御装置が出力する前記制御量に基づいて駆動される温度調整装置とからなることを特徴とする転てつ機の転換不能防止装置。
  5. 温度調整装置は、ミスト噴射機、冷風・温風機又は電気ヒーターもしくはオイルヒーターであることを特徴とする請求項に記載の転てつ機の転換不能防止装置。
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