以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、明細書中において方向を説明するために使用する「上、下」は、説明の便宜上図中における方向をいうのであって、本発明に係るダイヤフラムポンプを実際に使用する際の上・下とは必ずしも一致するものではない。
〔実施の形態1〕
先ず、図1および図2を用いて、本発明の第1の実施の形態について説明する。図2に示すように、全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、後述するポンプ室25A〜25Dを順次拡縮するための駆動源であるモータ2を備える。このモータ2は、有底角筒状に形成されたケース3の底部3aの外側に、出力軸2aが底部3aに設けた軸孔3bからケース3内に臨むように、ボルトによって取り付けられている。
4は略円柱状に形成されたクランク台であって、中央部にモータ2の出力軸2aが固定され、出力軸2aと一体的に回転する。5は駆動軸であって、下端部がクランク台4の出力軸2aが取り付けられた部位から偏心した部位に傾斜した状態で取り付けられている。
6は中央部に非貫通孔6aが設けられた駆動体であって、上端部に非貫通孔6aと直交する方向に突設された四つの駆動子6bが、平面視において円周方向に互いに等角度(90°)の間隔をおいて一体に設けられている。これら駆動子6bは揺動端部側に向かっていずれも同じ角度だけ下方にわずかに傾斜するように形成され、各揺動端部にはダイヤフラム部取付孔6cが設けられている。
この駆動体6は、非貫通孔6aに駆動軸5の上部が嵌挿されることにより、この駆動軸5に回転自在に枢支され、モータ2を駆動させることによりクランク台4を回転させると、駆動軸5が傾斜方向を変えるようにして回転することにより、この駆動軸5を介して四つの駆動子6bの揺動端部が順次上下方向に揺動する。
7は逆有底角筒状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、天井部に四つの保持孔7aが円周方向に互いに等角度(90°)の間隔をおいて設けられている。
8はゴム等の柔軟性を有する材料によって略円板状に形成されたダイヤフラムであって、薄肉状に形成された四つのダイヤフラム部8aが円周方向に互いに等角度(90°)の間隔をおいて設けられている。このダイヤフラム部8aの下部には、ピストン部8bが一体に設けられ、このピストン部8bの下端には細径部8cが一体に設けられている。
このダイヤフラム8は、各ダイヤフラム部8aがダイヤフラムホルダー7の保持孔7aのそれぞれに嵌挿されるようにしてダイヤフラムホルダー7の天井部に載置される。各ダイヤフラム部8の細径部8cは駆動体6のダイヤフラム部取付孔6cに取り付けられる。
9は平面視矩形の扁平な略平板状に形成された隔壁体であって、上面の中央部には係合凸部9aが突設され、この係合凸部9aの周囲には、図1に示すように四つの吐出用通路10〜13が円周方向に等角度(90°)の間隔をおいて設けられている。
これら吐出用通路10〜13の周囲には、六つを一組とした四組の吸込用通路14〜17が、係合凸部9aを中心として吐出用通路10〜13のそれぞれの放射方向に対応するように、円周方向に等角度(90°)の間隔をおいて設けられている。
また、この隔壁体9の上面には、四つの吐出用通路10〜13を囲むように、平面視リング状の第1の仕切壁9bが一体に立設されており、この第1の仕切壁9bは後述する蓋体20の第2の仕切壁20bと協働して、吐出用通路10〜13と吸込用通路14〜17との間を空間的に隔絶する後述する一つの吐出室26を形成する。
18は四つの吐出用通路10〜13を選択的に開閉するための一つの吐出用弁体(図1中、説明の便宜上、ハッチングを施した部分)であって、隔壁体9の係合凸部9aに取り付けられており、流体が吐出室26から吐出用通路10〜13を通ってポンプ室25A〜25Dへ逆流するのを規制する。
19Aは四組の吸込用通路14〜17のうちの一組の吸込用通路14を開閉するための請求項1の吸込用弁体に相当する第1の吸込用弁体(図1中、説明の便宜上、破線でハッチングを施した部分)であって、隔壁体9の孔(図示せず)に取り付けられており、流体がポンプ室25Aから吸込用通路14を通って後述する吸込室27へ逆流するのを規制する。
19Bは四組の吸込用通路14〜17のうちの一組の吸込用通路15を開閉するための第1の吸込用弁体(図1中、説明の便宜上、破線のハッチングを施した部分)であって、隔壁体9の孔(図示せず)に取り付けられており、流体がポンプ室25Bから吸込用通路15を通って吸込室27へ逆流するのを規制する。
ここで、四組の吸込用通路14〜17のうちの他の二組の吸込用通路16,17には、これらを開閉するための第1の吸込用弁体は設けられていない点が本発明の特徴である。
20は逆有底角筒状に形成された蓋体であって、天井部の周縁に、図1に示すように断面略正方形の囲い壁20aが下方に向かって一体に突設されている。また、この蓋体20の天井部の下面の中央部には、図1に示すようにリング状に形成された第2の仕切壁20bが下方に向かって一体に突設されている。
蓋体20の天井部の上面の中央部には、吐出口21aを有する吐出用筒体21が上方に向かって一体に立設されている。また、蓋体20の天井部の上面の一隅には、第1の吸込口22aを有する第1の吸込用筒体22が上方に向かって一体に突設されている。
また、この第1の吸込用筒体22から、図1中吐出口21aを中心として反時計方向に90°回動した位置であって、蓋体20の天井部の上面の一隅には、第2の吸込口23aを有する第2の吸込用筒体23が上方に向かって一体に突設されている。
さらに、この第2の吸込用筒体23から吐出口21aを中心として反時計方向に90°回動した位置であって、蓋体20の天井部の上面の一隅には、第3の吸込口24aを有する第3の吸込用筒体24が上方に向かって一体に突設されている。
このように形成された蓋体20を上方から隔壁体9に被せ、隔壁体9の第1の仕切壁9bの上端に蓋体20の第2の仕切壁20bの下端を対接させるとともに、蓋体20の囲い壁20aの下端を隔壁体9の上面に対接させ、これら対接部を溶着し、蓋体20と隔壁体9とを一体化する。
溶着することにより、第1の仕切壁9bと第2の仕切壁20bとに囲まれ密閉された空間に、吐出口21aと四つの吐出用通路10〜13とを連通する一つの吐出室26が形成される。同時に、第1および第2の仕切壁9b,20bと囲い壁20aとの間の密閉された空間に、吐出室26を囲むように、第1〜第3の吸込口22a〜24aと四組の吸込用通路14〜17とを連通する平面視リング状の一つの吸込室27が形成される。
ダイヤフラム8を挟持するように、蓋体20が溶着された隔壁体9をダイヤフラムホルダー7上に載置することにより、この隔壁体9と各ダイヤフラム部8aとによって四つのポンプ室25A〜25Dが形成される。
これら四つのポンプ室25A〜25Dのうち、ポンプ室25Aを介して吐出用通路10と吸込用通路14とが連通し、ポンプ室25Bを介して吐出用通路11と吸込用通路15とが連通し、ポンプ室25Cを介して吐出用通路12と吸込用通路16とが連通し、ポンプ室25Dを介して吐出用通路13と吸込用通路17とが連通している。
また、図1に示すようにポンプ室25Aの上方に第1の吸込口22aが位置し、ポンプ室25Bの上方に第2の吸込口23aが位置し、ポンプ室25Cの上方に第3の吸込口24aが位置している。
これらケース3、ダイヤフラムホルダー7、隔壁体9および蓋体20が、図示を省略した線ばねによって積載状態で固定されることにより、ダイヤフラムポンプ1が形成される。
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプ1の第1の使用方法について説明する。先ず、ダイヤフラムポンプ1の外部から第1〜第3の吸込口22a〜24aに流体としての空気が供給されるように、第1〜第3の吸込用筒体22〜24のそれぞれにチューブ(図示せず)を接続する。また、吐出用筒体21と、吐出口21aから吐出される空気が供給される加圧対象物との間をチューブ(いずれも図示せず)で接続する。
この状態で、モータ2を駆動し、出力軸2aを介してクランク台4を回転させると、駆動体6の四つの駆動子6bのそれぞれの揺動端部が順次上下方向に揺動する。このうち、ポンプ室25Aに対応した駆動子6bの揺動端部が下方に移動すると、ポンプ室25Aが拡張するので、ポンプ室25A内が負圧状態になる。
したがって、ポンプ室25Aに対応した第1の吸込用弁体19Aが吸込用通路14を開放するので、第1〜第3の吸込口22a〜24aから吸込室27に吸い込まれた空気が、吸込用通路14を通ってポンプ室25A内に送り込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Aの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Aは収縮するから、ポンプ室25A内の空気の圧力が高くなり、吐出用弁体18による吐出用通路10の閉塞が解除され、ポンプ室25A内の空気が吐出室26に吐出される。
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室25Bが拡張すると、ポンプ室25B内が負圧状態になる。したがって、ポンプ室25Bに対応した第1の吸込用弁体19Bが吸込用通路15を開放するので、第1〜第3の吸込口22a〜24aから吸込室27に吸い込まれた空気が、吸込用通路15を通ってポンプ室25B内に送り込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Bの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Bは収縮するから、ポンプ室25B内の空気の圧力が高くなり、吐出用弁体18による吐出用通路11の閉塞が解除され、ポンプ室25B内の空気が吐出室26に吐出される。
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室25Cが拡張すると、ポンプ室25C内が負圧状態になる。このとき、ポンプ室25Cに対応した吸込用通路16には第1の吸込用弁体が設けられていないため、吸込用通路16は開放された状態となっているから、第1〜第3の吸込口22a〜24aから吸込室27に吸い込まれた空気が、吸込用通路16を通ってポンプ室25C内に送り込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Cの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Cは収縮するから、ポンプ室25C内の空気の圧力が高くなる。このとき、ポンプ室25Cには、当該ポンプ室25Cから吸込用通路16への逆流を規制する第1の吸込用弁体が設けられていないことにより、ポンプ室25C内の空気が吸込室27内へ逆流し易くなっている。このため、ポンプ室25C内では、吐出用通路12を閉塞している吐出用弁体18による吐出用通路12を開放するだけの空気の圧力が発生しないため、ポンプ室25C内の空気が吐出室26内へは殆ど吐出されるようなことがない。
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室25Dが拡張すると、ポンプ室25D内が負圧状態になる。このとき、ポンプ室25Dに対応した吸込用通路17には第1の吸込用弁体が設けられていないため、吸込用通路17は開放された状態となっているから、第1〜第3の吸込口22a〜24aから吸込室27に吸い込まれた空気が、吸込用通路17を通ってポンプ室25D内に送り込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Dの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Dは収縮するから、ポンプ室25D内の空気の圧力が高くなる。このとき、ポンプ室25Dには、当該ポンプ室25Dから吸込用通路17への逆流を規制する第1の吸込用弁体が設けられていないことにより、ポンプ室25D内の空気が吸込室27内へ逆流し易くなっている。このため、ポンプ室25D内では、吐出用通路13を閉塞している吐出用弁体18による吐出用通路13を開放するだけの空気の圧力が発生しないため、ポンプ室25D内の空気が吐出室26内へは殆ど吐出されるようなことがない。
このように、モータ2の出力軸2aが回転し、ポンプ室25A〜25Dが順次拡縮すると、二つのポンプ室25A,25Bからは吐出室26へ順次空気が吐出されるが、次の二つのポンプ室25C,25Dからは吐出室26へ空気が殆ど吐出されない。したがって、吐出室26へ間欠的に空気を吐出しない状態が意図的に作られることにより、吐出口21aから吐出される空気には脈動が発生する。このため、脈動を必要とする加圧対象物に流体を供給する場合に好適なダイヤフラムポンプを提供することができる。
なお、上述した第1の実施の形態における第1の使用方法では、第1〜第3の吸込口22a〜24aというように、吸込口を三つ設けたが、吸込口は少なくとも一つ設ければよい。また、吸込口22a〜24aの位置も平面視においてポンプ室25A〜25Cに対応した位置に設けたが、吸込室27に連通しているのであればいずれの位置に設けてもよい。
また、ポンプ室25A〜25Dを四つ設けたが、流体に脈動を発生させるためには、少なくとも二つ設ければよい。また、第1の吸込用弁体19A,19Bを隣接するポンプ室25A,25Bに設けたが、間隔をおいて交互に設けるようにしてもよい。
また、第1の吸込用弁体を設けないポンプ室を二つとしたが、一つとしたり三つとしたりして、脈動の大きさに応じて少なくとも一つ設ければよく、種々の設計変更が可能である。
次に、第1の実施の形態における第2の使用方法について説明する。この第2の使用方法においては、吐出口21aから吐出される流体に脈動を発生させる点においては上述した第1の使用方法と同様であるが、一つのポンプにおいて複数の流体を混合させ、吐出口21aから混合流体を吐出させる点に特徴を有する。
すなわち、上述した第1の使用方法では、三つの第1〜第3の吸込口22a〜24aにいずれにも同じ流体である空気を供給するようにしたが、この第2の使用方法では、第1の吸込口22aおよび第3の吸込口24aには水を供給し、第2の吸込口23aには空気を供給するようにしている。したがって、第1および第3の吸込口22a,24aに供給された水と第2の吸込口23aから供給された空気は、一つの吸込室27内で混合される。
この状態で、モータ2を駆動させ出力軸2aを回転させると、各ポンプ室25A〜25Dが順次拡縮するので、一つの吸込室17から水と空気との混合流体が各吐出用通路14〜17を通して各ポンプ室25A〜25Dへ吸い込まれる。このように供給された水と空気との混合流体は、二つのポンプ室25A,25Bからは吐出室26へ吐出されるが、他の二つのポンプ室25C,25Dからは吐出室26へ殆ど吐出されない。したがって、吐出口21aからは脈動が発生した水と空気との混合流体が吐出される。
このように、第2の使用方法によれば、一つのダイヤフラムポンプ1内で異なる種類の流体を混合させることができることにより、混合する流体の数だけ複数のポンプを必要としていた従来と比較して、ダイヤフラムポンプの数が一つで済むため、ポンプの数を減らすことができるから、コストダウンと省スペース化を図ることができる。また、一つのポンプで対応できることにより、部品交換が容易になるためメンテナンス性も向上する。
なお、この第2の使用方法においては、第1〜第3の吸込口22a〜24aというように、吸込口を三つ設けたが、吸込口は少なくとも二つ設ければよい。また、ポンプ室も少なくとも二つ備えていればよい。
また、この第2の使用方法においては、吸込室27に水と空気というように二種類の流体による混合流体を吸い込ませるようにしたが、三種類以上の流体を供給するようにしてもよく、要は吸込口を少なくとも二つ以上設け、これら各吸込口に外部から供給される流体は、各吸込口においては一種類であって、互いの吸込口間においては少なくとも二種類以上の異なる流体とすればよい。
また、混合する流体を水と空気というように液体と気体としたが、アルコールと水というように異なる種類の液体を混合させてもよく、混合する流体は種々の態様が可能である。また、流体の混合比率も2:1としたが、吸込口の数量を変えることにより、混合比率も種々選択することができることは勿論である。
また、空気を吸い込む吸込口23aとして筒体23を設けるようにしたが、吸い込む流体が空気の場合は、筒体23を形成することなく蓋体20やケース3に大気に接する開口を設けるようにしてもよい。
〔実施の形態2〕
次に、図3および図4を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態においては、上述した図1および図2に示す第1の実施の形態において説明した同一または同等の部材については、同一の符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
この第2の実施の形態のダイヤフラムポンプ101では、四つのポンプ室25A〜25D間をそれぞれ空間的に隔絶し、かつ複数の流体を混合させた上、この混合流体を各ポンプ室25A〜25Dに吸い込ませる吸込室27A〜27Dを各ポンプ室25A〜25D毎に設けたことを特徴とするものである。
また、各吸込室27A〜27Dには、二つの連通路111A〜111D、112A〜112Dのそれぞれが設けられ、吸込口122a〜125aから吸い込まれた水と吸込口としての開口3cから吸い込まれた空気とがそれぞれ二つの連通路111A〜111D、112A〜112Dを介して各吸込室27A〜27Dに吸い込まれて各吸込室27A〜27D内で混合され、混合された流体が吸込用通路14〜17を通って各ポンプ室25A〜25Dに吸い込まれることを特徴とする。
すなわち、ケース3の下部側には、図4に示すようにケース3内に流体としての空気を取り入れるためにケース3内と大気との間を連通する吸込口としての通気口3cが設けられている。ダイヤフラムホルダー7の天井部には、後述する四つの吸込室27A〜27Dに対応して、通気口3cからケース3内に取り入れられた空気を各吸込室27A〜27Dに導く四つの第1の連通路107A〜107D(三つの第1の連通路107B〜107Dは図示を省略)が設けられている。
ダイヤフラム8には、四つの第1の連通路107A〜107Dのそれぞれを開閉する舌片状に形成された第2の吸込用弁体108A〜108D(図3中、説明の便宜上、クロスハッチングを施した部分)が一体に設けられており、これら第2の吸込用弁体108A〜108Dは、各吸込室27A〜27D内で混合された空気と水との混合流体が各吸込室27A〜27Dから四つの第1の連通路107A〜107Dを通ってケース3内に逆流するのを規制する。
隔壁体9には、四つの第1の連通路107A〜107Dに対応して、図3に示すようにこれら第1の連通路107A〜107Dと連通し協働で、通気口3cからケース3内に取り入れられた空気を各吸込室27A〜27Dに導く四つの第2の連通路111A〜111Dが設けられている。
また、この隔壁体9には、四つの吸込室27A〜27Dのそれぞれに対応して、図3に示すように後述する四つの第1〜第4の吸込口122a〜125aから供給された流体としての水を各吸込室27A〜27Dに導く四つの第3の連通路112A〜112Dが設けられている。
蓋体20の下面には、囲い壁20aと第2の仕切壁20bとの間に連設された四つの第3の仕切壁113A〜113Dが下方に向かって突設されている。蓋体20と隔壁体9との間に挟まれ、かつ上記した吐出室26の周りには、四つの第3の仕切壁113A〜113Dと、囲い壁20aおよび第2の仕切壁20bとに囲まれ、互いに空間的に隔絶された四つの密閉状態の吸込室27A〜27Dが形成されている。
このうち、吸込室27Aはポンプ室25Aの上方に位置付けられ、吸込室27Bはポンプ室25Bの上方に位置付けられ、吸込室27Cはポンプ室25Cの上方に位置付けられ、吸込室27Dはポンプ室25Dの上方に位置付けられている。
これら四つの吸込室27A〜27Dのうち、吸込室27Aを介して、吸込用通路14と第2の連通路111Aおよび第3の連通路112Aとが連通している。また、吸込室27Bを介して、吸込用通路15と第2の連通路111Bおよび第3の連通路112Bとが連通している。
また、吸込室27Cを介して、吸込用通路15と第2の連通路111Cおよび第3の連通路112Cとが連通している。さらに、吸込室27Dを介して、吸込用通路17と第2の連通路111Dおよび第3の連通路112Dとが連通している。すなわち、四つの吸込室27A〜27Dのそれぞれは、各ポンプ室25A〜25D毎に設けられている。
また、蓋体20の上面には、四つの吸込室27A〜27Dのそれぞれの上方に位置し、第1〜第4の吸込口122a〜125aのそれぞれを有する四つの第1〜第4の吸込用筒体122〜125(三つの第2〜第4の吸込用筒体123〜125は図示を省略)が一体に立設している。
また、この第1〜第4の吸込用筒体122〜125、蓋体20、隔壁体9およびダイヤフラムホルダー7には、図4に示すように四つの第1〜第4の吸込口122a〜125aのそれぞれと四つの第3の連通路112A〜112Dのそれぞれと連通する四つの第4の連通路114A〜114D(三つの第4の連通路114B〜114Dは図示を省略)が設けられている。
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプ101の使用方法について説明する。先ず、ダイヤフラムポンプ101の外部から四つの第1〜第4の吸込口122a〜125aに流体としての水が供給されるように、四つの吸込用筒体122〜125のそれぞれにチューブ(図示せず)を接続する。
また、ケース3の通気口3cが大気と接するようにダイヤフラムポンプ101を大気中に置く。さらに、上述した第1の実施の形態と同様に、吐出用筒体21と吐出口21aから吐出される空気と水との混合流体が供給される加圧対象物との間をチューブ(いずれも図示せず)で接続する。
この状態で、モータ2を駆動し、出力軸2aを介してクランク台4を回転させると、駆動体6の四つの駆動子6bのそれぞれの揺動端部が順次上下方向に揺動する。このうち、ポンプ室25Aに対応した駆動子6bの揺動端部が下方に移動すると、ポンプ室25Aが拡張するので、ポンプ室25A内が負圧状態になる。
したがって、ポンプ室25Aに対応した第1の吸込用弁体19Aが吸込用通路14を開放するので、吸込用通路14と連通された吸込室27A内も負圧状態になる。このため、第1の吸込口122aに供給された水が、第4の連通路114Aを通って吸込室27A内に送り込まれる。
同時に、第2の吸込用弁体108Aが第1の連通路107Aを開放するので、通気口3cからケース3内に取り込まれていた空気が第1の連通路107Aおよび第2の連通路111Aを通って吸込室27A内に送り込まれる。したがって、吸込室27Aでは、水と空気とが混合され、この混合流体が吸込用通路14を通ってポンプ室25A内に吸い込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Aの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Aは収縮するから、ポンプ室25A内の水と空気の混合流体の圧力が高くなり、吐出用弁体18による吐出用通路10の閉塞が解除され、ポンプ室25A内の水と空気との混合流体が吐出室26に吐出される。
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室25Bが拡張すると、ポンプ室25B内が負圧状態になる。したがって、ポンプ室25Bに対応した第1の吸込用弁体19Bが吸込用通路15を開放するので、吸込用通路15と連通された吸込室27B内も負圧状態になる。
このため、第2の吸込口123aに供給された水が、第4の連通路114Bを通って吸込室27B内に送り込まれる。同時に、第2の吸込用弁体108Bが第1の連通路107Bを開放するので、通気口3cからケース3内に流入していた空気が第1の連通路107Bおよび第2の連通路111Bを通って吸込室27B内に送り込まれる。したがって、吸込室27Bでは、水と空気とが混合され、この混合流体が吸込用通路15を通って、ポンプ室25B内に吸い込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Bの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Bは収縮するから、ポンプ室25B内の水と空気の混合流体の圧力が高くなり、吐出用弁体18による吐出用通路11の閉塞が解除され、ポンプ室25B内の水と空気との混合流体が吐出室26に吐出される。
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室25Cが拡張すると、ポンプ室25C内が負圧状態になる。このとき、ポンプ室25Cに対応した吸込用通路16には第1の吸込用弁体が設けられていないため、吸込用通路16は開放された状態となっているから、吸込室27C内も負圧状態になる。
このため、第3の吸込口124aに供給された水が、第4の連通路114Cを通って吸込室27C内に送り込まれる。同時に、第2の吸込用弁体108Cが第1の連通路107Cを開放するので、通気口3cからケース3内に流入していた空気が第1の連通路107Cおよび第2の連通路111Cを通って吸込室27C内に送り込まれる。したがって、吸込室27Cでは、水と空気とが混合され、この混合流体が吸込用通路16を通って、ポンプ室25C内に吸い込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Cの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Cは収縮するから、ポンプ室25C内の水と空気との混合流体の圧力が高くなる。このとき、ポンプ室25Cには、当該ポンプ室25Cから吸込用通路16への逆流を規制する第1の吸込用弁体が設けられていないことにより、ポンプ室25C内の水と空気との混合流体が吸込室27C内へ逆流し易くなっているため、吐出室26内へは殆ど吐出されるようなことがない。
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室25Dが拡張すると、ポンプ室25D内が負圧状態になる。このとき、ポンプ室25Dに対応した吸込用通路17には第1の吸込用弁体が設けられていないため、吸込用通路17は開放された状態となっているから、吸込室27D内も負圧状態になる。
このため、第4の吸込口125aに供給された水が、第4の連通路114Dを通って吸込室27D内に送り込まれる。同時に、第2の吸込用弁体108Dが第1の連通路107Dを開放するので、通気口3cからケース3内に流入していた空気が第1の連通路107Dおよび第2の連通路111Dを通って吸込室27D内に送り込まれる。したがって、吸込室27Dでは、水と空気とが混合され、この混合流体が吸込用通路17を通って、ポンプ室25D内に吸い込まれる。
モータ2の出力軸2aがさらに回転し、拡張したポンプ室25Dの駆動子6bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室25Dは収縮するから、ポンプ室25D内の水と空気との混合流体の圧力が高くなる。このとき、ポンプ室25Dには、当該ポンプ室25Dから吸込用通路17への逆流を規制する第1の吸込用弁体が設けられていないことにより、ポンプ室25D内の水と空気との混合流体が吸込室27D内へ逆流し易くなっているため、吐出室26内へは殆ど吐出されるようなことがない。
このように、モータ2の出力軸2aが回転し、ポンプ室25A〜25Dが順次拡縮すると、二つのポンプ室25A,25Bからは吐出室26へ順次水と空気との混合流体が吐出されるが、次の二つのポンプ室25C,25Dからは吐出室26へ水と空気との混合流体が殆ど吐出されない。このように、吐出室26へ間欠的に水と空気との混合流体を吐出しない状態が意図的に作られることにより、吐出口21aから吐出される水と空気との混合流体には脈動が形成される。したがって、脈動を必要とする加圧対象物に流体を供給する場合に好適となる。
上述したように、この第2の実施の形態によれば、ダイヤフラムポンプ101の各ポンプ室内で異なる種類の流体を混合させることができることにより、混合する流体の数だけ複数のポンプを必要としていた従来と比較して、ダイヤフラムポンプの数が一つで済むため、ポンプの数を減らすことができるから、コストダウンと省スペース化を図ることができる。また、一つのポンプで対応できることにより、部品交換が容易になるためメンテナンス性も向上する。
また、この第2の実施の形態においては、脈動を発生させるだけであれば、ポンプ室25C,25Dからの吐出室26への混合流体の吐出を規制するために、第3および第4の吸込口124a,125aからの水の供給を停止すればよいが、敢えて第3および第4の吸込口124a,125aからの水の供給を行うようにしている。
これは、ポンプ室25C,25Dの拡縮によるポンプ作用でポンプ室25A,25Bと同様に、ポンプ室25C,25D内に水を流入させることにより、ポンプ室25A〜25Dによる一連のポンプ作用におけるバランスが崩れるのを防止し、モータ2への余計な負荷や騒音を除去するためである。
したがって、第1〜第4の吸込口122a〜125aからポンプ室25A〜25Dに供給される流体が比較的質量が小さい気体の場合で、第3および第4の吸込口124a,125aからの流体の供給を停止しても、上記したような悪影響が比較的小さくて済む場合は、第3および第4の吸込口124a,125aからの流体の供給を停止してもよい。このため、ポンプ室25C,25Dに対応した第3および第4の吸込用筒体124,125や第3の連通路112C,112Dおよび第4の連通路114C,114Dを設けなくてもよい。
なお、上述した第2の実施の形態においては、各吸込室27A〜27Dに対応させて四つの吸込用筒体122〜125を設けたが、各吸込室毎に複数の吸込用筒体を設けるようにして、各吸込室に三種類以上の流体を供給するようにしてもよく、また、開口3cの替わりにこれら吸込用筒体を使用してもよい。
また、上述した第2の実施の形態においては、第1の吸込用弁体19A,19Bを二つのポンプ室25A,25Bに設けるようにしたが、少なくともいずれか一つのポンプ室25A,25Bに設ければよい。また、吸込口122a〜125aを四個設けるようにしたが、第1の吸込用弁体が設けられた吸込室に対応させて設けるようにして、第1の吸込用弁体が設けられていない吸込室に対応させて設けるようなことをしなくてもよい。その場合、第1の吸込用弁体が設けられていない吸込室には、ケース3内への流体の逆流を規制するための第2の吸込用弁体や当該吸込室に対応させた連通路も設けなくてもよく、また、当該吸込室自体も設けなくてもよく、要は少なくともポンプ室に第1の吸込用弁体が設けられている各ポンプ室毎に吸込室を設ければよい。
また、第1の吸込用弁体を設けるポンプ室を二つとしたが、第1の吸込用弁体が設けられていないポンプ室を少なくとも一つ設けていれば、三つ以上としてもよい。また、吸込口122a,123aに共に水を供給するようにしたが、各吸込口から異なる種類の流体を供給するようにしてもよい。また、第1の吸込用弁体は、必ずしも隣接した吸込室に設ける必要はなく、対角線上に位置する吸込室に対応させて設けたり、三つ続けて設けてもよく、種々の設計変更が可能である。
また、第1および第2の実施の形態においては、ポンプ室25A〜25Dを四つ備えた、いわゆる四気筒の例を挙げたが、五気筒以上のダイヤフラムポンプに適用できることは勿論である。