JP5802632B2 - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
半導体材料として炭化珪素の四層周期六方晶(4H−SiC)などの化合物半導体が公知である。半導体材料として4H−SiCを用いてパワー半導体装置を作製するにあたって、4H−SiCからなる半導体基板(以下、4H−SiC基板とする)上に4H−SiC単結晶膜(以下、SiCエピタキシャル膜とする)をエピタキシャル成長させてSiC単結晶基板を作製する。従来、エピタキシャル成長方法として、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
具体的には、化学気相成長法によるエピタキシャル成長は、反応容器(チャンバー)内に流した原料ガスをキャリアガス中で熱分解し、4H−SiC基板の結晶格子に倣ってシリコン(Si)原子を連続的に堆積させることにより、4H−SiC基板上にSiCエピタキシャル膜を成長させる。一般的に、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)ガスおよびジメチルメタン(C38)ガスが用いられ、キャリアガスとして水素(H2)ガスが用いられる。また、ドーピングガスとして窒素(N2)ガスやトリメチルアルミニウム(TMA)ガスが適宜添加される。
特表2009−508799号公報
しかしながら、従来のエピタキシャル成長法では、成長速度が数μm/h程度と低速であり、あまり高速にエピタキシャル膜を成長させることができない。例えば10kV以上の高耐圧を実現するSiC半導体装置を作製するには、4H−SiC基板上に少なくとも100μm程度の厚さで4H−SiC単結晶膜を成長させる必要がある。このため、例えば半導体装置の製造ラインにおける歩留まりが低いなど、工業的に大きな問題がある。
また、発明者らの鋭意研究により、従来のエピタキシャル成長法で成長させたSiCエピタキシャル膜中には不純物として硫黄(S)や塩素(Cl)が取り込まれる場合があることが新たに判明した。SiCエピタキシャル膜中に取り込まれた上記不純物は、欠陥となりSiCエピタキシャル膜の結晶品質を劣化させたり、キャリアライフタイムを短くする原因となる。このため、半導体装置を作製するために最適なSiCエピタキシャル膜を成長させることが難しいという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、炭化珪素半導体膜を高速成長させることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、結晶品質の高い炭化珪素半導体膜を成長させることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、原料ガスとして珪素を含むガスおよび炭素を含むガスを用い、前記原料ガスに塩素を含むガスおよびフッ素を含むガスを添加し、キャリアガスとして水素ガスを用いて、炭化珪素半導体基板上に炭化珪素半導体膜を成長させる工程を含み、前記珪素を含むガス中の珪素原子の数に対して塩素原子の数の比が2.0以上5.0以下となる範囲内で前記塩素を含むガスを添加し、前記キャリアガス中の水素原子の数に対してフッ素原子の数の比が0.1以上0.2未満となる範囲内で前記フッ素を含むガスを添加することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記炭化珪素半導体膜中に残る硫黄の含有量は0.02ppm以下であることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記炭化珪素半導体膜中に残る塩素の含有量は0.1ppm以下であることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記塩素を含むガスは、塩化水素ガスまたは塩素ガスであることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記フッ素を含むガスは、四フッ化炭素ガスであることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、化学気相成長により単結晶からなる前記炭化珪素半導体膜を成長させることを特徴とする。
上述した発明によれば、塩素を含むガスを原料ガスに添加することで、炭化珪素半導体膜の成長に寄与する原料ガスの導入量を増大させることができる。これにより、塩素を含むガスを添加しない従来の炭化珪素半導体装置の製造方法に比べて、炭化珪素半導体膜の成長速度を20倍程度高速化することができる。
また、上述した発明によれば、塩素を含むガスおよびフッ素を含むガスを原料ガスに添加することで、塩素およびフッ素と炭化珪素半導体膜中の不純物である硫黄などとが反応し、塩化物系およびフッ化物系の気体として炭化珪素半導体膜の外部へ排出することができる。このため、炭化珪素半導体膜中に残っている不純物(硫黄や塩素)や炭化珪素半導体基板に含まれる不純物が炭化珪素半導体膜に取り込まれることを防ぐことができる。これにより、炭化珪素半導体膜中に残る不純物を低減することができる。したがって、従来よりも非常に不純物の少ない炭化珪素半導体膜を成長させることができる。
また、上述した発明によれば、珪素を含むガス、炭素を含むガス、塩素を含むガスおよびフッ素を含むガスを適切な混合比で導入することにより、炭化珪素半導体膜の成長中に、珪素、炭素、および炭化珪素半導体膜をドーピングするためのn型やp型の元素以外の不純物を炭化珪素半導体膜中に残りにくくすることができる。したがって、炭化珪素半導体膜を高速成長させることができるとともに、炭化珪素半導体膜中に残る炭化珪素半導体膜の特性を劣化させる原因となる不純物を低減することができる。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、炭化珪素半導体膜を高速成長させることができるという効果を奏する。また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、結晶品質の高い炭化珪素半導体膜を成長させることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の原料ガス導入量とエピタキシャル膜の成長速度との関係について示す特性図である。 実施例1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法により成長させたエピタキシャル膜の成分を示す図表である。 実施例2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法により成長させたエピタキシャル膜の成分を示す図表である。 実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法のガス導入量とエピタキシャル膜の成長速度との関係について示す特性図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について、半導体材料として炭化珪素の四層周期六方晶(4H−SiC)を用いた半導体装置を作製(製造)する場合を例に説明する。図1−1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図1−2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、4H−SiCからなる基板(4H−SiC基板)1を用意し、一般的な有機洗浄法やRCA洗浄法により洗浄する(ステップS1)。
次に、化学気相成長(CVD)法による4H−SiC単結晶膜(以下、SiCエピタキシャル膜(炭化珪素半導体膜)とする)2を成長させるための反応炉(チャンバー、不図示)内に、4H−SiC基板1を挿入する(ステップS2)。次に、反応炉内を例えば1×10-3Pa以下の真空度になるまで真空排気する。次に、反応炉内に一般的な精製器で精製した水素(H2)ガスを20L/分の流量で10分間導入し、反応炉内をH2雰囲気下とする(ステップS3)。
次に、H2ガスによる化学的なエッチングにより、4H−SiC基板1の表面を清浄化する(ステップS4)。具体的には、H2ガスを20L/分で導入したまま、例えば高周波誘導により反応炉を加熱する。そして、反応炉内を1600℃にまで上昇させ、この温度で10分間保持することにより4H−SiC基板1の表面を清浄化する。反応炉内の温度は、例えば放射温度計で計測する。
次に、ステップS3で導入したH2ガスを20L/分の流量でキャリアガスとして導入した状態で、原料ガス、原料ガスへ添加するガス(以下、添加ガスとする)およびドーピングガスを反応炉内に導入する(ステップS5)。図1−2では、原料ガス、添加ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスをまとめて矢印3で示す。原料ガス、添加ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスについての説明は、後述する。
次に、ステップS5で導入した原料ガス、添加ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスを用いて、化学気相成長(CVD)法により4H−SiC基板1の表面にSiCエピタキシャル膜2を成長させる。具体的には、反応炉内で4H−SiC基板1を加熱し、原料ガスをキャリアガスで熱分解することによりSiCエピタキシャル膜2を成長させる。これにより、4H−SiC基板1上にSiCエピタキシャル膜2が積層されてなるSiC単結晶基板10が作製される(ステップS6)。その後、SiC単結晶基板10に所望の素子構造(不図示)を形成し(ステップS7)、SiC半導体装置が完成する。
次に、ステップS5において反応炉内に導入する原料ガス、添加ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスについて説明する。原料ガスとして、珪素(Si)を含むガスおよび炭素(C)を含むガスを用いる。Siを含むガスは、例えばH2で希釈したモノシラン(SiH4)ガスであってもよい。Cを含むガスは、例えば、H2で希釈したジメチルメタン(C38)ガスであってもよい。
添加ガスとして、塩素(Cl)を含むガスを用いる。すなわち、ステップS6では、ハロゲン化合物を用いたハライドCVD法によりエピタキシャル成長が行われる。Clを含むガスは、例えば高圧ガス容器(ボンベ)に充填された高純度(例えば純度100%)の塩化水素(HCl)ガスや、Cl2ガスであってもよい。また、Clを含むガスは、Siを含むガス中のSi原子の数に対してCl原子の数の比が2.0以上5.0以下となる範囲内で導入するのが好ましい。その理由は後述する。Clを含むガスを原料ガスに添加することにより、原料ガスを大量に導入することができ、従来よりも高速なエピタキシャル成長を実現することができる。
さらに、添加ガスとして、フッ素(F)を含むガスを用いる。Fを含むガスは、例えば四フッ化炭素(CF4)ガスであるのが好ましい。その理由は、CF4ガスに含まれる元素が本発明の効果を奏するFの他に、SiCエピタキシャル膜2の主成分であるCのみであるため、CF4ガスを添加することによる影響がSiCエピタキシャル膜2に生じないからである。また、Fを含むガスは、キャリアガス中のH原子の数に対してF原子の数の比(F/H比)が0.1以上0.2未満となる範囲内で添加するのが好ましい。その理由は、後述する。ドーピングガスとして、例えば窒素(N2)ガスやトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いてもよい。ドーピングガスは添加してもよいし、しなくてもよい。
また、添加ガスとしてClを含むガスを原料ガスおよびFを含むガスを用いることにより、添加ガス中のClおよびFとSiCエピタキシャル膜2中の不純物であるClや硫黄(S)などとが反応し、塩化物またはフッ化物の気体としてSiCエピタキシャル膜2の外部へ排出させることができる。これにより、SiCエピタキシャル膜2中に残る不純物を低減することができる。SiCエピタキシャル膜2中の不純物とは、原料ガス中のSi、Cおよびドーピングガス中の成分以外の成分であり、SiCエピタキシャル膜2の特性を劣化させる原因となる成分である。
SiCエピタキシャル膜2中に残るClの含有量は0.1ppm以下であるのが好ましい。その理由は、次のとおりである。添加ガスとしてClを含むガスを用いることにより、上述したようにSiCエピタキシャル膜2が高速成長されるとともに、Clを含むガス中のClがSiCエピタキシャル膜2中に不純物として多く取り込まれる可能性が高い。SiCエピタキシャル膜2中に残るClの含有量を0.1ppm以下とすることにより、SiCエピタキシャル膜2の所望の成長速度を得ることができ、かつ、SiCエピタキシャル膜2の特性劣化を防止することができるからである。
SiCエピタキシャル膜2中に残るSの含有量は0.02ppm以下であるのが好ましい。その理由は、次のとおりである。SiCエピタキシャル膜2中のSは、上述したようにSiCエピタキシャル膜2の特性を劣化させる原因となる。このため、SiCエピタキシャル膜2中に不純物であるSを残さないことが望ましい。SiCエピタキシャル膜2中に残るSの含有量を、例えばグロー放電質量分析(GDMS:Glow Discharge Mass Spectroscopy)装置の測定限界値である例えば0.02ppm以下にすることにより、SiCエピタキシャル膜2の特性劣化を防止することができる。
SiCエピタキシャル膜2中に残るSの含有量を0.02ppm以下にするために、Fを含むガスは、キャリアガスであるH2ガスのH原子の数に対するF原子の数の比(F/H比)が0.1以上となるように添加することが望ましい。F/H比が0.1よりも少ない場合、SiCエピタキシャル膜2中の不純物であるSを十分に除去することができないからである。また、Fを含むガスは、F/H比が0.2未満となるように添加するのが望ましい。その理由は、F/H比が0.2以上である場合、SiCエピタキシャル膜2中に新たに不純物としてFが増加してしまうからである。
次に、原料ガス導入量とSiCエピタキシャル膜2の成長速度との関係について説明する。図2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の原料ガス導入量とエピタキシャル膜の成長速度との関係について示す特性図である。Siを含むガスおよびCを含むガスは、Si原子の数に対するC原子の数の比(C/Si比)が1.0となるようにガス導入量を調節するのが好ましい。また、Clを含むガスは、Siを含むガス中のSi原子の数に対するCl原子の数の比(Cl/Si比)が例えば3.0となるようにガス導入量を調節するのが好ましい。
上記C/Si比およびCl/Si比を満たすように各ガスの導入量を調節し、かつSiを含むガス、Cを含むガスおよびClを含むガスのガス導入量の比を変えずに流量のみを増加させることにより、原料ガスの流量に比例してSiCエピタキシャル膜2の成長速度を高速化させることができる。すなわち、Siを含むガス、Cを含むガスおよびClを含むガスのガス導入量の比を変えずに流量のみを増加させることにより、キャリアガスであるH2ガスの流量に対するSiを含むガスの流量の比(Si/H2比)が決定される。このため、図2に示すように、Si/H2比の増加に比例して、SiCエピタキシャル膜2の成長速度を高速化させることができる。
図2には、次の成膜条件で作製した実施例1におけるSi/H2比と成長速度との関係を示す。実施例1では、原料ガスとして、H2で希釈したモノシラン(以下、SiH4/H2とする)ガス、およびH2で希釈したジメチルメタン(以下、C38/H2とする)ガスを用いた。添加ガスであるClを含むガスとして、HClガスを用いた。キャリアガスとして、H2ガスを用いた。具体的には、実施例1の成膜条件は、次のとおりである。
C/Si比が1.0となり、かつCl/Si比が3.0となるようにガス導入量を調整した。そして、キャリアガスであるH2ガスを20L/分の流量で流し、SiH4/H2ガスの流量を200sccmとし、C38/H2ガスの流量を166sccmとし、HClガスの流量を300sccmとした。ドーピングガスは添加していない。実施例1においては約102μm/hの成長速度が得られることが確認された。
実施例1において約102μm/hの成長速度が得られたときの原料ガスの流量は、Si/H2比が0.5である場合に相当する。Si/H2比が0.5よりも大きい場合、反応炉内が激しく汚れ、SiCエピタキシャル膜2にパーティクルが発生しやすくなる。このため、Si/H2比が0.5以下となるようにSiを含むガス、Cを含むガスおよびClを含むガスの流量を決定するのが好ましい。
次に、実施例1について、グロー放電質量分析法によりSiCエピタキシャル膜2の成分を分析した。図3は、実施例1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法により成長させたエピタキシャル膜の成分を示す図表である。図3に示すように、SiCエピタキシャル膜2には、主成分であるSiおよびCがそれぞれ60%および40%の割合で含まれる。また、SiCエピタキシャル膜2には、主成分であるSiおよびCの他に、不純物としてSおよびClが検出された。実施例1では、SiCエピタキシャル膜2中に残るClの含有量は0.098ppmであった。したがって、SiCエピタキシャル膜2中に残るClの含有量は、SiCエピタキシャル膜2の特性劣化を生じさせない0.1ppm以下であることが確認された。
一方、SiCエピタキシャル膜2中に残るSの含有量は0.036ppmであった。このように、添加ガスとしてClを含むガスのみを用いた場合、上述したように100μm/h以上の成長速度でSiCエピタキシャル膜2を高速成長させることができるが、SiCエピタキシャル膜2内のSの含有量が、SiCエピタキシャル膜2の特性劣化を生じさせない上限値である0.02ppmよりも大きくなってしまう。したがって、SiCエピタキシャル膜2内のSの含有量を低減するために、添加ガスとしてさらにFを含むガスを用いることが好ましい。
図3において、Si、C、SおよびCl以外の成分は、GDMS装置の測定限界値以下(図3では、<測定限界値と示す。図4においても同様)であり、検出されなかったことを示している。また、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびインジウム(In)については、GDMS分析装置内部から混入する可能性があるため、正確な測定値は得られない。また、セシウム(Cs)はInと干渉し、金(Au)は酸化タンタルカチオン(TaO+)の干渉を受けるため、正確に測定できない。このため、Ta、Nb、In、CsおよびAuの数値は参考値として記載し、定量値についての記載は省略する。
次に、実施例1の成膜条件に追加して、添加ガスとしてFを含むガスを用いた場合(以下、実施例2とする)の、SiCエピタキシャル膜2の成長速度を測定した。具体的には、実施例2では、キャリアとしてH2ガスを20L/分の流量で流し、原料ガスとしてSiH4/H2ガス、C38/H2ガスを用い、添加ガスとしてHClガスおよびCF4ガスを用いた。より具体的には、実施例2の成膜条件は、次のとおりである。
C/Si比が1.0となるように、SiH4/H2ガス、C38/H2ガスおよびCF4ガスの合計導入量を調節した。Cl/Si比が3.0となるように、SiH4/H2ガスおよびHClガスの合計導入量を調節した。SiH4/H2ガスの流量を200sccmとした。C38/H2ガスの流量を159sccmとした。HClガスの流量を300sccmとした。CF4ガスの流量を20sccmとした。また、Si/H2比を0.5とした。ドーピングガスは添加していない。
また、キャリアガスであるH2ガスの流量に対するCF4ガス中のC原子とC38ガス中のC原子とを合計したC原子の数の比(C/H2比)を0.5とした。キャリアガスであるH2ガスの流量に対するCF4ガスの流量の比を0.1とした。実施例2においては、約98μm/hの成長速度が得られることが確認された。これにより、添加ガスとしてClを含むガスおよびFを含むガスを用いた実施例2においても、添加ガスとしてClを含むガスのみを用いた実施例1とほぼ同様の成長速度が得られることが確認された。
次に、実施例2について、グロー放電質量分析法によりSiCエピタキシャル膜2の成分を分析した。図4は、実施例2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法により成長させたエピタキシャル膜の成分を示す図表である。図4に示すように、SiCエピタキシャル膜2中に残るSの含有量は、GDMS装置の測定限界値である0.02ppm以下となり、検出されなかった。その理由は、CF4ガス中のFがSiCエピタキシャル膜2中のSと反応し、SF6などのガスとなりSiCエピタキシャル膜2の外部へ排出されたからであると推測される。
また、SiCエピタキシャル膜2中に残るClの含有量は、0.091ppmであった。したがって、実施例2においても、SiCエピタキシャル膜2中に残るClの含有量は、SiCエピタキシャル膜2の特性劣化を生じさせない0.1ppm以下であり、実施例1とほぼ同様であることが確認された。したがって、原料ガスであるSiH4ガス、C38ガスに、HClガスおよびCF4ガスを同時に添加することにより、SiCエピタキシャル膜2の高速成長を実現し、SiCエピタキシャル膜2に残るSやClなどの不純物を低減することができることが確認された。
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法と異なる点は、SiCエピタキシャル膜2の成膜条件として、添加ガスであるClを含むガスの流量の好適な範囲を設定している点である。
Clを含むガスの流量を種々変更し、Cl/Si比を2.0から6.0まで変化させた場合(以下、実施例3とする)の、SiCエピタキシャル膜2の成長速度を測定した。図5は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法のガス導入量とエピタキシャル膜の成長速度との関係について示す特性図である。実施例3の成膜条件は、次のとおりである。原料ガスとして、実施例1と同様に、SiH4/H2ガスおよびC38/H2ガスを用いた。添加ガスとして、HClガスを用いた。SiH4/H2ガスの流量を150sccmとした。
38/H2ガスの流量を125sccmとした。そして、HClガスの流量を150sccmから450sccmまで変化させて複数の実施例3を作製した。HClガスの流量が150sccmのときにCl/Si比は2.0となり、HClガスの流量が450sccmのときにCl/Si比は6.0となる。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の原料ガスの流量、添加ガスの流量およびCl/Si比以外の構成は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法と同様である。
図5に示すように、SiCエピタキシャル膜2の成長速度は、Cl/Si比が3.0以上となることで減少し、さらにCl/Si比が5.0以上となることで急激に低下することが確認された。また、Cl/Si比が2.0以下である場合、SiCエピタキシャル膜2にパーティクルが発生し、反応炉内の汚れがさらに激しくなる。その理由は、Cl/Si比が高いほど、SiCエピタキシャル膜2の成膜による反応炉内の汚れを少なくすることができるからである。したがって、SiCエピタキシャル膜2の成長速度を維持し、かつ、SiCエピタキシャル膜2へのパーティクルの発生を抑えるためには、Cl/Si比が2.0以上5.0以下であるのが好ましい。
以上、説明したように、各実施の形態によれば、Clを含むガスを原料ガスに添加することで、SiCエピタキシャル膜の成長に寄与する原料ガスの導入量を増大させることができる。これにより、Clを含むガスを添加しない従来のSiC半導体装置の製造方法に比べて、SiCエピタキシャル膜の成長速度を20倍程度に高速化することができる。
また、各実施の形態によれば、Clを含むガスおよびFを含むガスを原料ガスに添加することで、ClおよびFとSiCエピタキシャル膜中の不純物であるSなどとが反応し、塩化物系およびフッ化物系の気体としてSiCエピタキシャル膜の外部へ排出することができる。このため、SiCエピタキシャル膜中に残っている不純物(SやCl)や4H−SiC基板に含まれる不純物がSiCエピタキシャル膜に取り込まれることを防ぐことができる。これにより、SiCエピタキシャル膜中に残る不純物を低減することができる。したがって、従来よりも非常に不純物の少ないSiCエピタキシャル膜を成長させることができる。
また、各実施の形態によれば、Siを含むガス、Cを含むガス、Clを含むガスおよびFを含むガスを適切な混合比で導入することにより、SiCエピタキシャル膜の成長中に、Si、C、およびSiCエピタキシャル膜をドーピングするためのn型やp型の元素以外の不純物をSiCエピタキシャル膜中に残りにくくすることができる。したがって、SiCエピタキシャル膜を高速成長させるとともに、SiCエピタキシャル膜中に残るSiCエピタキシャル膜の特性を劣化させる原因となる不純物を低減することができる。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明では、GDMS装置の測定限界値を例に説明しているが、例えば二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などの測定限界値により、SiCエピタキシャル膜中のSの含有量の上限を設定してもよい。
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、SiCを半導体材料としてトランジスタやダイオード等を作製する場合であって、SiC基板上にSiC単結晶膜を成膜してなるSiC単結晶基板を用いて作製された半導体装置に有用である。
1 4H−SiC基板
2 SiCエピタキシャル膜

Claims (6)

  1. 原料ガスとして珪素を含むガスおよび炭素を含むガスを用い、前記原料ガスに塩素を含むガスおよびフッ素を含むガスを添加し、キャリアガスとして水素ガスを用いて、炭化珪素半導体基板上に炭化珪素半導体膜を成長させる工程を含み、
    前記珪素を含むガス中の珪素原子の数に対して塩素原子の数の比が2.0以上5.0以下となる範囲内で前記塩素を含むガスを添加し、
    前記キャリアガス中の水素原子の数に対してフッ素原子の数の比が0.1以上0.2未満となる範囲内で前記フッ素を含むガスを添加することを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記炭化珪素半導体膜中に残る硫黄の含有量は0.02ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 前記炭化珪素半導体膜中に残る塩素の含有量は0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記塩素を含むガスは、塩化水素ガスまたは塩素ガスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. 前記フッ素を含むガスは、四フッ化炭素ガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 化学気相成長により単結晶からなる前記炭化珪素半導体膜を成長させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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