JP5801590B2 - 生体成分測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は生体成分測定方法に関する。さらに詳しくは、組織液の抽出を促進する処理が施された被験者の皮膚から抽出された組織液に含まれる測定対象成分を測定する方法に関する。
穿刺具を用いて被験者の皮膚に形成した微細孔から組織液を抽出し、測定対象成分と同時に無機イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン又は塩化物イオン)を分析し、無機イオンの測定値(濃度)から組織液抽出量を補正して前記測定対象成分を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の方法では、ゲルからなる収集体を有する組織液収集シートを所定時間被験者の皮膚に貼り付けることにより、当該皮膚から滲み出る組織液を当該ゲル中に収集する。
特許文献1記載の方法では、被験者が発汗しないことを前提にしているが、実際には、組織液の収集中に発汗する被験者も存在する。発汗が著しい場合には、微細孔を形成していない皮膚からの汗に含まれるナトリウムイオン、カリウムイオン又は塩化物イオンが収集体中に供給されてしまい、正確に組織液抽出量を測定できないことが考えられる。
特許文献2には、経皮的に分析対象物をサンプリングする方法において、皮膚からの発汗の影響を抑制するために、微細孔を形成した部分と、微細孔を形成しない部分との2箇所において成分分析を行い、両者の情報に基づいて発汗による影響を補正することが開示されている。
特開2010−169662号公報 特表2007−533346号公報
しかしながら、皮膚からの発汗には部位差があることが知られており、微細孔を形成した部分と微細孔を形成しない部分とでは発汗量が異なることもあることから、特許文献2記載の方法による補正の精度には限界がある。また、1回の測定において2つの測定部位の取得及び2つの試料(収集体)の成分分析が必要である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、微細孔から抽出される組織液を用いて生体成分を測定するに際し、測定中の皮膚からの発汗による影響を簡単に且つ効果的に抑制することができる生体成分測定方法を提供することを目的としている。
(1)被験者の組織液が抽出された抽出媒体から生体成分を測定する方法であって、
前記抽出媒体における前記組織液中の無機イオンの量に関するイオン情報を取得する工程と、
前記抽出媒体における前記組織液中の測定対象成分の量に関する成分情報を取得する工程と
を含んでおり、
前記抽出媒体には、液状の皮膜形成性樹脂を被験者の皮膚に塗布し乾燥させることで形成され且つ微細針によって微細孔が形成された水分非浸透性の皮膜を介して抽出された前記組織液が貯留されており、
前記イオン情報及び成分情報に基づいて、前記測定対象成分の量に関する解析値を取得することを特徴とする。
本発明の生体成分測定方法では、水分非浸透性の皮膜を介して形成された微細孔から組織液を抽出している。微細孔以外の皮膚部分は前記水分非浸透性の皮膜で覆われており、この皮膚部分からの汗は前記皮膜により移動が規制されるので、汗中に含まれる無機イオンが微細孔から組織液を抽出するための抽出媒体中に供給されるのを防ぐことができる。その結果、測定中の皮膚からの発汗による影響を抑制することができる。また、従来技術のような補正のための測定を別途行う必要がなく、測定作業を簡略化することができる。
)前記()の生体成分測定方法において、前記皮膜形成性樹脂の塗布領域を画定する開口を有する枠状シールが備えられ、
前記被膜は、被験者の皮膚に貼付された枠状シールの開口内に皮膜形成性樹脂を塗布することによって形成されることが好ましい。
)前記()の生体成分測定方法において、前記枠状シールの厚さが、所望の皮膜厚さよりも厚いことが好ましい。
)前記()〜()の生体成分測定方法において、前記皮膜形成性樹脂が、セルロース系樹脂又はアクリル系樹脂からなっていてもよい。
)前記()の生体成分測定方法において、前記セルロース系樹脂がピロキシリンであることが好ましい。
)前記()又は()の生体成分測定方法において、前記液状の皮膜形成性樹脂が、皮膜形成性樹脂を、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒又は芳香族化合物からなる溶媒に溶かしたものであることが好ましい。
)前記(1)〜()の生体成分測定方法において、前記皮膜の膜厚を5〜1000μmとすることができる。
)前記()の生体成分測定方法において、前記皮膜の膜厚が10〜300μmであることが好ましい。
)前記()の生体成分測定方法において、前記皮膜の膜厚が20〜100μmであることが好ましい。
10)前記(1)〜(9)の生体成分測定方法において、前記測定対象成分をグルコースとすることができる。
11)前記(1)〜(10)の生体成分測定方法において、前記無機イオンがナトリウムイオンであることが好ましい。
12)前記(1)〜(11)の生体成分測定方法において、前記測定対象成分及び無機イオンを、被験者の皮膚に貼付可能な貼付面を有する保持シートの当該貼付面に配置された抽出媒体中に抽出させることができる。
13)前記(12)の生体成分測定方法において、前記抽出媒体がゲルからなるものとすることができる。
14)前記(1)〜(13)の生体成分測定方法において、前記イオン情報を無機イオンの濃度とすることができる。
15)前記(1)〜(14)の生体成分測定方法において、前記測定対象成分の量に関する解析値を、当該測定対象成分の血中濃度―時間曲線下面積に相当する値とすることができる。


本発明の生体成分測定方法によれば、微細孔から抽出される組織液を用いて生体成分を測定するに際し、測定中の皮膚からの発汗による影響を簡単に且つ効果的に抑制することができる。
本発明の生体成分測定方法に用いる生体成分測定装置の一例の外観を示す斜視説明図である。 図1に示される生体成分測定装置のブロック図である。 カートリッジの構成を示す概略断面図である。 被験者の皮膚に微細孔を形成する微細孔形成装置の一例の斜視説明図である。 図4に示される微細孔形成装置に装着される微細針チップの斜視図である。 微細孔形成装置によって微細孔が形成された皮膚の断面説明図である。 収集部材の一例の斜視説明図である。 図7のA−A線断面図である。 本発明の一実施の形態に係る生体成分測定方法のフローチャートである。 被験者の皮膚に貼付した枠状シールの開口に皮膜形成性樹脂を供給した状態を示す説明図である。 グルコース透過率とナトリウムイオン抽出速度との相関を示す図である。 皮膜による発汗抑止効果を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の生体成分測定方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の生体成分測定方法に用いる生体成分測定装置の一例の外観を示す斜視説明図であり、図2は、図1に示される生体成分測定装置20のブロック図である。まず図1を参照して、生体成分測定方法の概略を説明する。
本実施の形態に係る生体成分測定方法は、後述するように、被験者の皮膚に形成した皮膜を介して当該皮膚に微細孔を形成し、微細孔を介して組織液を抽出し、抽出された組織液に含まれるグルコース及びナトリウムイオンを収集し、収集されたグルコース及びナトリウムイオンの濃度に基づいて、被験者における血中グルコース(血糖)を推定する方法である。より具体的には、血糖―時間曲線下面積(血糖AUC)を算出する方法である。
被験者が発汗すると、組織液に由来するグルコース及びナトリウムイオンに重畳するようにして汗由来のグルコース及びナトリウムイオンが収集される。このうち、汗中のグルコース量は組織液中のグルコース量に比べて無視できる位に少ないため、精度上問題とはならないが、ナトリウムイオンについては、発汗の程度によっては、汗中のナトリウムイオン量が組織液中のナトリウムイオン量に比べて無視できない量となるため、算出される血糖AUC(推定血糖AUC)の信頼性が低下することがある。
そこで、本実施の形態では、組織液の抽出を促進するために被験者の皮膚に微細孔を形成するのに先立って、微細孔を形成する皮膚に液状の皮膜形成性樹脂を塗布し、その後、塗布した皮膜形成性樹脂を乾燥させて皮膜を形成している。この皮膜は水分非浸透性であるので、皮膜を介して形成した微細孔から組織液を抽出するに際し、抽出媒体中に微細孔を形成していない皮膚からの汗が侵入することが抑制される。つまり、汗中に含まれる無機イオンが抽出媒体中に侵入することが抑制される。したがって、算出される血糖AUC(推定血糖AUC)の信頼性を高めることができる。
〔生体成分測定装置〕
生体成分測定装置20は、後述する収集部材10の抽出媒体12に収集された組織液に含まれるグルコース及びナトリウムイオンを測定して、グルコース濃度(CGlu)及びナトリウムイオン濃度(CNa)を取得し、取得したCGlu及びCNaに基づいて被験者の血糖AUCを算出し、当該血糖AUCを含む解析結果を生成して表示する装置である。生体成分分析装置20は、検出部30と、解析部を含む制御部35と、解析結果などを表示する表示部33と、測定開始の指示などを行うための操作部としての操作ボタン34とを備えている。
生体成分測定装置20は、厚みのある直方体形状の筐体を備えており、筐体上面の天板には凹部21が形成されている。凹部21には、当該凹部21よりもさらに深く形成された凹部からなるカートリッジ配置部22が設けられている。さらに凹部21には、当該凹部21の側壁の高さとほぼ同じ厚みを有する可動天板23が連結されている。可動天板23は、支軸23aを中心に折り畳むことによって、図1に示される状態から凹部21内に収納し、又は凹部21に収納された状態から図1に示されるように起立させることができる。カートリッジ配置部22は、後述するカートリッジ40を収納することができる大きさを有している。
可動天板23は、凹部21に収納される方向に付勢されるように、支軸23aに支持されている。したがって、カートリッジ配置部22に配置されたカートリッジ40は、可動天板23によって上方から押さえつけられる。
検出部30は、収集部材10の抽出媒体12に収集された組織液に含まれる成分の情報を取得するものであり、測定対象成分であるグルコースの濃度CGluを検出するグルコース検出部31と、ナトリウムイオンの濃度CNaを検出するナトリウムイオン検出部32とを備えている。
グルコース検出部31は、可動天板23の裏面、すなわち可動天板23が凹部21に収納されたときにカートリッジ配置部22と対向する側の面に設けられている。グルコース検出部31は、光を照射するための光源31aと、この光源31aによって照射された光の反射光を受光するための受光部31bとを備えている。これにより、グルコース検出部31は、カートリッジ配置部22に配置されたカートリッジ40に対して光を照射するとともに、照射されたカートリッジ40からの反射光を受光できるように構成されている。
ナトリウムイオン検出部32は、カートリッジ配置部22の底面に設けられている。ナトリウムイオン検出部32は、カートリッジ配置部22の底面に設けられた長方形状を有する板状の部材を備え、この板状部材の略中央には一対のナトリウムイオン濃度測定用電極が設けられている。ナトリウムイオン濃度測定用電極は、ナトリウムイオン選択膜を備えた銀/塩化銀からなるナトリウムイオン選択性電極と、対電極である銀/塩化銀電極を含んでいる。
制御部35は、生体成分測定装置20の内部に設けられており、解析部であるCPUや、記憶部であるROM、RAMなどを含んでいる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の動作を制御する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムが実行される際のプログラムの展開領域として利用される。
生体成分測定装置20は、その内部にポンプからなる供給部24、収集部材10の抽出媒体12に収集された組織液を回収するための純水からなる回収液を収容するタンク26、及び廃液を収容する廃液タンク25を備えている。供給部24は、タンク26に空気を送り込むことにより、ニップル24aを介して、カートリッジ配置部22に配置されたカートリッジ40にタンク26内に収容されている回収液を注入する。
廃液タンク25は、供給部24によってカートリッジ40に送液された純水が排出される機構であり、ニップル25aを介して、排出された液体を収容する。
図3は、カートリッジ配置部22にカートリッジ40が配置された状態を示す概略断面図である。まず図3を参照してカートリッジ40の構成について説明する。
カートリッジ40は、主な構成として、ゲル収容部42と、グルコース反応体41と、光導波部材44とを備えている。ゲル収容部42は、カートリッジ40の表面に形成された凹部からなる。ゲル収容部42の底部には、カートリッジ配置部22に設けられたニップル24aと連通する注入孔42aが設けられている。カートリッジ40の下面にはゲル収容部42と連通する溝が形成されている。この溝とカートリッジ配置部22の底部に設けられたナトリウムイオン検出部32とによって流路43aが形成される。この流路43aの一部は、ナトリウムイオン検出部32によりナトリウムイオン濃度が検出される第1貯留部43とされている。流路43aの下流は、第2貯留部45に連通している。第2貯留部45はカートリッジ40の表面に設けられた凹部からなり、その開口が光導波路を有する光導波部材44によって閉塞されている。この光導波部材44の下面に、グルコースと反応して変色するグルコース反応体41が設けられている。第2貯留部45の底部には、カートリッジ配置部22に設けられたニップル25aと連通する排出孔45aが設けられている。
生体成分測定装置20は、次のようにして収集部材10に収集された組織液に含まれるグルコースの濃度CGlu及びナトリウムイオンの濃度CNaを測定する。まず、図1において、一点鎖線で示されるように、被験者の皮膚Sに所定時間貼り付けられた収集部材10が皮膚から取り外され、カートリッジ40のゲル収容部42に貼り付けられる。このカートリッジ40が生体成分測定装置20のカートリッジ配置部22に配置され、可動天板23が閉じられる。
操作ボタン34によって測定開始が指示されると、供給部24からタンク26に向けて空気が供給され、タンク26からニップル24aに向けて回収液が送られる。回収液は注入孔42aからゲル収容部42に注入され、ゲル収容部42が回収液で満たされる。この状態で所定時間が経過すると、抽出媒体12に収集された組織液が回収液に拡散する。所定時間が経過したら、供給部24はバイパス路24bを介してゲル収容部42に空気を送り込む。これにより、ゲル収容部42内の液体が流路43aを通じて第1貯留部43及び第2貯留部45に送液される。
ナトリウムイオン検出部32は、ナトリウムイオン濃度測定用電極によって第1貯留部43に貯留された液体に一定電圧を印加して電流値を取得する。このときの電流値は、液体に含まれるナトリウムイオン濃度に比例する。ナトリウムイオン検出部32は、得られた電流値を検出信号として制御部35に出力する。制御部35は、検出信号に含まれる電流値と予め制御部35の記憶部に記憶されている検量線とに基づいて、ナトリウムイオン濃度CNaを取得する。
第2貯留部では、回収液中のグルコースとグルコース反応体41とが反応し、グルコース反応体41が変色する。グルコース検出部31は、光源31aから光導波部材44に向かって光を照射し、光導波部材44から出射した光を受光部31bによって受光する。光源31aから光が照射されると、光は、変色したグルコース反応体41により吸光されながら、光導波部材44の内部で反射を繰り返して受光部31bに入射する。受光部31bにおける受光量はグルコース反応体41の変色度合いに比例し、この変色度合いが回収液中のグルコース量に比例する。グルコース検出部31は、得られた受光量を検出信号として制御部35に出力する。制御部35は、検出信号に含まれる受光量と予め制御部35の記憶部に記憶されている検量線とに基づいてグルコース濃度CGluを取得する。
ナトリウムイオン濃度CNaおよびグルコース濃度CGluが取得されると、供給部24からカートリッジ40にさらに空気が送り込まれる。これにより回収液が排出孔45aおよびニップル25aを介して廃液タンク25に送られ、一連の測定が終了する。
〔微細孔形成装置〕
つぎに被験者の皮膚に微細孔を形成する微細孔形成装置(穿刺具)の一例について説明する。微細孔形成装置は、被験者の皮膚の一部に多数の微細な孔を形成して当該被験者の皮膚からの組織液の抽出を促進する装置である。本実施の形態では、組織液抽出促進のための微細孔が形成された被験者の皮膚S(図1参照)からグルコース及びナトリウムイオンが収集される。
図4は、本発明の生体成分測定方法において被験者の皮膚に組織液抽出促進用の微細孔を形成するのに用いられる微細孔形成装置の一例に係る穿刺具100の斜視説明図であり、図5は、図4に示される穿刺具100に装着される微細針チップ200の斜視図であり、図6は、穿刺具100によって微細孔が形成された皮膚Sの断面説明図である。
図4〜6に示されるように、穿刺具100は、滅菌処理された微細針チップ200を装着して、当該微細針チップ200の微細針201を生体の表皮(被験者の皮膚300)に当接させることによって、被験者の皮膚300に組織液の抽出孔(微細孔301)を形成する装置である。微細針チップ200の微細針201は、穿刺具100により微細孔301を形成した場合に、当該微細孔301が皮膚300の表皮内にとどまり真皮までは到達しないような大きさを有する。
また、微細針201はミクロ的に見ると截頭円錐体形状を呈しているが、その長さや先端の径は、被験者の皮膚に設けられる皮膜の厚さなども考慮して適宜選定することができ、本発明において特に限定されるものではないが、通常、長さは100〜1000μm程度であり、また、先端の径は1〜50μm程度である。
図4に示されるように、穿刺具100は、筐体101と、この筐体101の表面に設けられたリリースボタン102と、筐体101の内部に設けられたアレイチャック103及びバネ部材104とを備えている。筐体101の下部101aの下端面(皮膚に当接する面)には、前記微細針チップ200が通過可能な開口(図示せず)が形成されている。バネ部材104はアレイチャック103を穿刺方向に付勢する機能を有する。アレイチャック103は下端に微細針チップ200を装着することができる。微細針チップ200の下面には、複数の微細針201が形成されている。微細針チップ200の下面は、10mm(長辺)×5mm(短辺)の大きさからなる。また、穿刺具100は、アレイチャック103をバネ部材104の付勢力に逆らって上方(反穿刺方向)に押し上げた状態で固定する固定機構(図示せず)を有しており、使用者(被験者)がリリースボタン102を押下することにより、当該固定機構によるアレイチャック103の固定が解除され、バネ部材104の付勢力によって当該アレイチャック103が穿刺方向に移動し、前記開口から突出した微細針チップ200の微細針201が皮膚を穿刺するように構成されている。なお、図4において、105は筐体101の下部101aに形成された鍔部であり、穿刺具100の使用時には前記鍔部105の裏面が被験者の皮膚の所定箇所に当接される。
〔収集部材〕
つぎに被験者の皮膚から組織液を収集する収集部材10について説明する。収集部材10は被験者の皮膚から組織液を収集するために当該被験者の皮膚に貼付され、所定時間経過後に皮膚から剥がされるものである。
図7は、保持シート11と、この保持シート11に保持された抽出媒体12とを備えた収集部材10の斜視説明図であり、図8は、図7のA−A線断面図である。
抽出媒体12は、被験者の皮膚から抽出した組織液を保持可能な保水性を有するゲルからなっており、ナトリウムイオンを含まない浸透圧調整剤を含有している。このゲルは、組織液を収集することが可能であれば特に限定されないが、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性ポリマーから形成されたゲルが好ましい。ゲルを形成する親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール単独又はポリビニルピロリドン単独であってもよく、また両者の混合物であってもよいが、ポリビニルアルコール単独又はポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物であることがより好ましい。
ゲルは、親水性ポリマーを水溶液中で架橋する方法により形成することができる。ゲルは、親水性ポリマーの水溶液を基材上に塗工して塗膜を形成し、該塗膜中に含まれる親水性ポリマーを架橋する方法により形成することができる。親水性ポリマーの架橋法としては、化学架橋法や放射線架橋法などがあるが、ゲル中に各種化学物質が不純物として混入し難い点より、放射線架橋法を採用することが望ましい。
抽出媒体12は、図7〜8に示される例では直方体形状を呈しており、皮膚と当接する面のサイズは5mm×10mmである。ただし、抽出媒体12の形状及びサイズは、これに限定されるものではない。
保持シート11は、小判形状のシート本体11aと、このシート本体11aの片面に形成された粘着剤層11bとで構成されており、前記粘着剤層11bが形成された側の面が粘着面とされている。抽出媒体12は、同じく小判形状の、台紙としても機能する剥離シート13のほぼ中央に配設されており、この抽出媒体12を覆うように前記保持シート11が剥離シート13に貼付されている。抽出媒体12は、保持シート11の粘着面の一部によって当該保持シート11に保持されている。保持シート11の面積は、組織液収集時における抽出媒体12の乾燥を防ぐために、抽出媒体12を覆うことが可能な大きさを有している。すなわち、保持シート11によって抽出媒体12を覆うことにより、組織液収集時に皮膚と保持シート11との間を気密に保つことができ、組織液収集時に抽出媒体12に含まれる水分が蒸発するのを抑制することができる。
保持シート11のシート本体11aは、無色透明又は有色透明であり、当該シート本体11aの表面側(粘着剤層11bと反対側の面)から、保持シート11に保持されている収集体12を目視にて容易に確認することができる。シート本体11aは、組織液の蒸発や収集体の乾燥を防ぐため透湿性が低いものが好ましい。シート本体11aの材質としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルムなどが挙げられ、その中でもポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムが好ましい。シート本体11aの厚さは、特に限定されないが、概ね0.025〜0.5mm程度である。
収集部材10は、抽出媒体12が被験者の微細孔形成領域に配置されるように、保持シート11の粘着面によって当該被験者の皮膚300に貼付される。そして、抽出媒体12を微細孔形成領域に配置した状態で所定時間、例えば60分以上、好ましくは120分以上放置することにより、微細孔を介して抽出される組織液に含まれる成分を当該抽出媒体12に収集する。
〔生体成分測定方法〕
つぎに本実施の形態に係る生体成分測定方法について詳細に説明する。
図9は、本実施の形態に係る生体成分測定方法のフローチャートである。
まずステップS1において、被験者の皮膚であって微細孔を形成する領域に水分非浸透性の皮膜を形成する。具体的に、まず被験者の皮膚300をアルコールなどを用いて清拭し、測定結果の外乱要因となる物質(塵など)を除去する。ついで、清拭した部分に図10に示されるように、枠状シール15を貼付する。この枠状シール15は、長方形状であり、その中央部分に後述する皮膜形成性樹脂の塗布領域を画定する開口15aを有している。枠状シール15の厚さは、所望の皮膜厚さよりも厚く設定されている。
ついで、枠状シール15の開口15a内に液状の皮膜形成性樹脂16を供給し、図示しないコテ等を用いて樹脂をならして当該樹脂が開口15aの全域に均一な厚さで行き渡るようにする。余分な樹脂は、コテに付着させる等して取り除いておく。塗布後、所定時間(例えば、5分程度)乾燥させることで皮膜が形成される。
〔水分非浸透性皮膜〕
ここで、本実施の形態における水分非浸透性皮膜について詳細に説明する。
本実施の形態における水分非浸透性皮膜は、液状の皮膜形成性樹脂を被験者の皮膚に塗布し乾燥させることで得ることができる。液状の皮膜形成性樹脂は、皮膜形成性樹脂を溶媒に溶かすことで得ることができる。
皮膜形成性樹脂は、汗の浸透を防ぐ(汗中の無機イオンの浸透を防ぐ)とともに、組織液の抽出媒体に溶解しないように水分非浸透性であるが、これに加えて、以下の(1)〜(3)の特性を有するものが好ましい。
(1)形成される皮膜が被験者の皮膚のしわの中まで入り込んで当該皮膚との密着性を高め、抽出される組織液中への汗の混入を確実に防止するために、皮膚表面への塗布時には液状であり、塗布後は速乾性があること。
(2)皮膜の伸縮性が高いと、穿刺具による穿刺時に、皮膜が微細針形状に合わせて変形し、貫通されないため、乾燥後にはある程度の剛性を有し、微細孔が皮膜を貫通して形成可能であること。
(3)人体の皮膚表面を被覆するものであることから、生体に対して十分な安全性を有すること。
このような特性を有する合成樹脂の例としては、例えば、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂;アクリル酸・スチレン共重合体、アクリル酸・メタアクリル酸アミド共重合体、アクリル酸ブチル・メタアクリル酸共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタアクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体、アクリルアミド・ポリビニルアルコール共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体などのアクリル系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンー酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂;エポキシ系樹脂;ウレタン系樹脂;シリコーン系樹脂;フッソ系樹脂;アルキッド系樹脂などを挙げることができる。かかる合成樹脂のうち、人体への安全性が高いという点から、セルロース系樹脂及びアクリル系樹脂を用いることが好ましく、特に、グルコース単位につき二箇所で酢酸エステル化されたニトロセルロースであるピロキシンを用いることが好ましい。
前述した合成樹脂を溶かすのに用いることができる溶媒の例としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルイソプロパノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、トリアセチンなどのエステル系溶媒;キシレン、トルエンなどの芳香族化合物などを挙げることができる。
前記ピロキシンをエタノール/エーテル混合液に溶かしたものはコロジオンと呼ばれているが、このコロジオンを液状の皮膜形成性樹脂として好適に用いることができる。
皮膜の厚さは、材質、強度、微細孔形成性などを考慮して選定することができ、本発明において特に限定されるものではないが、例えば5〜1000μmとすることができ、このうち微細針形状の点より10〜300μmとすることが好ましく、20〜100μmとすることが更に好ましい。微細針の長さと皮膜の厚さとの関係は、微細針及び皮膜の材質などにより異なるが、通常、微細針の長さが、皮膜の膜厚の1〜100倍程度に設定されていることが好ましい。
図9に戻り、ステップS2において、被験者の皮膚に微細孔を形成する。具体的に、ステップS1においてその開口15aに皮膜が形成された枠状シール15上に、前述した微細針チップ200が前記皮膜と接触し得るように当該微細針チップ200を装着した穿刺具100の鍔部105を配置し、ついでリリースボタン102を押圧して微細針チップ200の微細針201を前記皮膜を貫通して被験者の皮膚300に接触させることで、当該皮膚300に微細孔301を形成する。かかる微細孔301を形成することで、皮膚300からの組織液の抽出を促進させることができる。
ついで、ステップS3において、穿刺具100を被験者の皮膚300から離し、その後微細孔301が形成された領域(微細孔形成領域)に抽出媒体12が配置されるように、収集部材10の保持シート11を被験者の皮膚300に貼付する(図1参照)。
ついで、ステップS4において、収集部材10中に被験者の皮膚からの組織液が抽出され、組織液に含まれるグルコース及びナトリウムイオンが当該収集部材10の抽出媒体12に収集され、蓄積される。収集時間は、例えば60分〜180分程度である。このとき、被験者が発汗したとしても、微細孔形成領域に形成された皮膜は水分非浸透性であるので、汗が皮膜を浸透して抽出媒体12中に入り込むことが防止される。したがって、測定中の皮膚からの発汗による測定値への影響を抑制することができる。
ついで、ステップS5において、収集部材10を被験者の皮膚から取り外す。
ついで、ステップS6において、収集部材10がカートリッジ40の所定箇所に貼付され、当該カートリッジ40が生体成分測定装置20のカートリッジ配置部22にセットされる。
ついで、ステップS7において、生体成分測定装置20によって前述した測定処理が実行されることにより得られた測定値から抽出媒体12中のグルコース濃度CGlu及びナトリウムイオン濃度CNaが算出される。ついで、制御部35は、グルコース濃度CGlu及びナトリウムイオン濃度CNaと下記式(1)とに基づいて血糖AUCを算出する。
AUC=CGlu×V/{α×(CNa×V/t)+β} ・・・(1)
式(1)において、Vは収集部材10の抽出媒体12の体積であり、tは抽出時間である。α及びβは実験により求められる定数である。式(1)に基づいて血糖AUCが算出される原理については、国際公開公報第2010/013808号に詳細に説明されている。国際公開公報第2010/013808号は本明細書において参照として組み込まれる。
ついで、ステップS8において、算出された結果が制御部35によって表示部33に出力される。
〔効果の検証〕
次に本発明の生体成分測定方法による測定精度の向上例について説明する。
[参考例]
発汗の影響がないか又は少ないと考えられる条件(環境負荷:25℃、測定時間:2時間)で、本発明における皮膜を形成していない被験者の皮膚から組織液を抽出する実験を以下の条件で行い、グルコース透過率(PGlu)とナトリウムイオン抽出速度(JNa)との相関性を調べた。結果を図11に示す。なお、本参考例では、微細孔を形成した部位にゲルパッチを貼付し、2時間に亘って当該ゲルパッチ内に組織液を蓄積させた。グルコース透過率(PGlu)は、抽出グルコース量/血糖AUCにより求めることができ、ナトリウムイオン抽出速度(JNa)は、抽出ナトリウムイオン濃度×純水量(L)/抽出時間(h)により求めることができる。
実験条件
検体(被験者)数: 264検体(20人)
組織液抽出媒体: ゲルパッチ(図7〜8に示される収集部材参照)
抽出面積: 5mm×10mm
抽出時間: 2時間
グルコース濃度測定方法: GOD蛍光吸光度法
ナトリウムイオン濃度測定方法:イオンクロマトグラフ
微細針アレイ形状: 微細針長さ=300μm、微細針数=305本
穿刺速度: 6m/s
血糖測定方法: 血糖変動時には血糖自己測定(SMBG)により前腕毛細血管を15分間隔で測定、血糖安定時には前腕SMBG値を30分以上の間隔で測定
血糖AUC参照値測定方法: 前腕SMBG値より台形近似法で算出
測定手順
手順1(皮膚前処理、組織液抽出及び血糖値測定)
被験者の前腕腹部をエタノール含浸綿で消毒し、専用の穿刺具に装着した微細針アレイを、皮膜表面上に適用した。その後、微細孔を形成した部位にゲルパッチを貼付し、2時間に亘って当該ゲルパッチ内に組織液を蓄積させた。また、食後などの血糖変動時には自己血糖測定(SMBG)により前腕毛細血管を15分間隔で測定し、食後3時間以上経過時の血糖安定時には前腕SMBG値を30分以上の間隔で測定した。
手順2(試料の測定)
貼付から2時間経過後、回収したゲルパッチからハイドロゲルのみ剥離し、5mLの精製水に漬け込み、庫内温度4℃に設定した冷蔵庫にて一晩保管することで、ハイドロゲル中に蓄積された生体成分の回収を行った。その後、グルコース濃度測定に関しては、すべてのサンプルについて希釈せずに測定を行い、ナトリウムイオン濃度測定に関しては、5倍希釈して測定を行った。
手順3(結果解析)
組織液抽出サンプルを分析し、その結果から、以下の計算式(2)及び(3)に基づいてグルコース透過率(PGlu)及びナトリウムイオン抽出速度(JNa)を算出した。なお、計算式において、MGlu及びMNaはそれぞれ抽出されたグルコース及びナトリウムイオンの総量であり、AUCは血糖値より計算された血糖AUCの値であり、Tは抽出時間である。グルコース透過率は、微細針の形成度合いを強く反映する量であり、生体組織液中におけるナトリウムイオン濃度は血糖値が異なる複数の被験者間においてほぼ一定であるため、当該グルコース透過率とナトリウムイオン抽出速度とは良い相関関係にあると考えられる。なお、回帰直線は途中JNa=0.24の点で曲がっており、JNa≦0.24の回帰直線はy=24.28x−0.53であり、JNa>の回帰直線はy=33.33x−2.68で表される。

測定結果より算出されたグルコース透過率とナトリウムイオン抽出速度の相関を図11に示す。図11において、実線は回帰直線を示し、点線はその±20%を示している。図11より、微細孔から組織液の抽出を行った際のグルコース透過率(PGlu)とナトリウムイオン抽出速度(JNa)との間には強い相関があることが認められる。従って、かかる回帰直線を用いてナトリウムイオン抽出速度(JNa)からグルコース透過率を推定することで組織液抽出量の補正を行い、血糖AUC値を算出することができる。この場合、測定中の発汗などによりグルコース及びナトリウムイオンが抽出媒体中に混入すると、汗中にはグルコースと比較して多量のナトリウムイオンが含まれているため、結果は回帰直線よりも右側に大きく外れることになり、血糖AUC値の推定精度を低下させることが考えられる。
[実施例及び比較例]
本発明における皮膜による発汗抑止の効果を検証した。実験の詳細は以下のとおりであった。
実験条件
被験者数: 1名
皮膜形成剤: エキバンA(商品名。タイヘイ薬品株式会社製の液
体絆創膏)
スペーサー(枠状シール)の厚さ:約165μm
乾燥時間: 約10分
穿刺部位: 10部位(皮膜形成部6部位を含む)
非穿刺部位: 2部位(皮膜形成部1部位を含む)
微細孔アレイ形状: 先端径=約10μm、微細針長さ=300μm、微
細針数=189、305本
穿刺速度: 6、8.5、10m/s
組織液抽出媒体: ゲルパッチ(図7〜8に示される収集部材参照)
抽出面積: 5mm×10mm
抽出時間: 2時間
温度負荷: 40℃、30分
グルコース濃度測定方法: GOD蛍光吸光度法
ナトリウムイオン濃度測定方法: イオンクロマトグラフ
血糖値測定: 血糖自己測定器を用いて30分以上の間隔で測定(実験は全て血糖安定時に実施した。)
血糖AUC参照値測定方法: 前腕SMBG値より台形近似法で算出
測定手順
手順1(皮膜形成)
被験者の前腕腹部をエタノール含浸綿で消毒し、厚さ約165μmの長方形状のスペーサーを貼付した。このスペーサーは、その中心部に皮膜形成剤塗布部として8mm×13mmの開口を有する枠状のシール材である。スペーサーの開口内にエキバンAを十分量滴下した後、金属製のコテを用いて、スペーサーの厚さ以上の余分のエキバンAを取り除き、10分間乾燥させることで、水分非浸透性の皮膜を形成した。本手法により、8mm×13mmの領域に対し、ほぼ均一な皮膜を形成することができ、当該手法を用いてスライドガラス上に皮膜形成を行った際の膜厚は20.6±3.4μmであった。
手順2(皮膚前処理、組織液抽出及び血糖値測定)
専用の穿刺具に装着した微細針アレイを、皮膜形成部6部位及び皮膜非形成部4部位の合計10部位に適用した。その後、微細孔を形成した部位にゲルパッチを貼付し、2時間に亘って当該ゲルパッチ内に組織液を蓄積させた。同時に、皮膜形成部1部位及び皮膜非形成部1部位の合計2部位に対し、微細針アレイの適用を行わず、2時間に亘ってゲルパッチを貼付した。そして、2時間に亘る組織液抽出の間に、40℃、30分の温度負荷を行うことにより被験者の発汗を促した。また、2時間に亘る組織液抽出の間に、30分間隔で前腕毛細管血を採取し、血糖自己測定器を用いて血糖値を測定した。
手順3(試料の測定)
貼付から2時間経過後、回収したゲルパッチからハイドロゲルのみ剥離し、5mLの精製水に漬け込み、庫内温度4℃に設定した冷蔵庫にて一晩保管することで、ハイドロゲル中に蓄積された生体成分の回収を行った。その後、グルコース濃度測定に関しては、すべてのサンプルについて希釈せずに測定を行い、ナトリウムイオン濃度測定に関しては、微細針アレイ適用部サンプルについては5倍希釈して、微細針アレイ非適用部サンプルについては希釈せずに測定を行った。
手順4(結果解析)
組織液抽出サンプルを分析し、その結果から、上記計算式(2)及び(3)に基づいてグルコース透過率(PGlu)及びナトリウムイオン抽出速度(JNa)を算出した。
実施例(皮膜形成後に穿刺)及び比較例(皮膜形成せずに穿刺)において得られた結果を図12に示す。図12は、前記結果を図11に重ねて示したものである。
図12において×印で示される非穿刺部の結果について、皮膜形成を行わなかった部位はナトリウムイオン抽出速度が0.2μmol/h以上であったのに対し、皮膜形成部ではほぼ0に近い値であった。この結果は、皮膜形成部では、発汗によるハイドロゲル中へのナトリウムイオンの混入が起こらなかったためであると考えられる。
同様の傾向が穿刺部においても認められた。皮膜形成を行わなかった部位(比較例)では、発汗の影響により、汗腺由来のナトリウムイオンがハイドロゲル中に混入したため、4部位中3部位の結果が回帰直線の±20%のラインからも大きく右側に外れる結果となった。一方、皮膜を形成した部位(実施例)では、6部位のすべてが、回帰直線の誤差±20%範囲内に収まる結果となった。平均の測定値乖離率は、実施例で1.03±0.03であるのに対し、比較例では0.69±0.13であった。なお、測定値乖離率とは、推定血糖AUCを採血血糖AUCで除した値である。測定値乖離率が1に近いほど、推定血糖AUCの信頼性が高いことを意味する。
組織液抽出中に発汗が起こった場合、図11の回帰直線を用いた組織液抽出量補正では測定性能が悪化することが考えられるが、本発明の生体成分測定方法によれば、皮膜により発汗が抑止され、組織液中への汗腺由来のナトリウムイオンの混入を防ぐことができるので、血糖値AUCの測定を精度良く行うことが可能となることが分かる。
〔他の変形例〕
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、前述した実施の形態では、皮膜を形成するために液状の皮膜形成性樹脂を被験者の皮膚に滴下し、ついで滴下した皮膜形成性樹脂をコテで均しているが、粘度調整をした液状の皮膜形成性樹脂を適宜の噴霧器で皮膚の所定箇所に噴霧し、ついで乾燥させることでも皮膜を形成することができる。噴霧により皮膜を形成する場合、皮膚に液状の皮膜形成性樹脂を直接噴霧しても良いし、形成すべき皮膜の形状に対応させた開口を先端に有するアダプターを噴霧器の噴霧口に装着し、当該アダプターの開口を被験者の皮膚に当接させた状態で噴霧しても良い。
また、前述した実施の形態では、微細針チップの形状(長方形)に対応させて長方形の開口を有する長方形状の枠状シールを用いているが、開口の形状や枠状シールの外形は、円形や多角形など他の形状であっても良い。
10 収集部材
11 保持シート
12 抽出媒体(ゲル)
15 枠状シール
16 皮膜形成性樹脂
20 生体成分測定装置
22 カートリッジ配置部
40 カートリッジ
200 微細針チップ
201 微細針
300 皮膚
301 微細孔

Claims (15)

  1. 被験者の組織液が抽出された抽出媒体から生体成分を測定する方法であって、
    前記抽出媒体における前記組織液中の無機イオンの量に関するイオン情報を取得する工程と、
    前記抽出媒体における前記組織液中の測定対象成分の量に関する成分情報を取得する工程と
    を含んでおり、
    前記抽出媒体には、液状の皮膜形成性樹脂を被験者の皮膚に塗布し乾燥させることで形成され且つ微細針によって微細孔が形成された水分非浸透性の皮膜を介して抽出された前記組織液が貯留されており、
    前記イオン情報及び成分情報に基づいて、前記測定対象成分の量に関する解析値を取得することを特徴とする生体成分測定方法。
  2. 前記皮膜形成性樹脂の塗布領域を画定する開口を有する枠状シールが備えられ、
    前記被膜は、被験者の皮膚に貼付された枠状シールの開口内に皮膜形成性樹脂を塗布することによって形成される、請求項に記載の生体成分測定方法。
  3. 前記枠状シールの厚さが、所望の皮膜厚さよりも厚い、請求項に記載の生体成分測定方法。
  4. 前記皮膜形成性樹脂が、セルロース系樹脂又はアクリル系樹脂からなる、請求項のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  5. 前記セルロース系樹脂がピロキシリンである、請求項に記載の生体成分測定方法。
  6. 前記液状の皮膜形成性樹脂が、皮膜形成性樹脂を、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒又は芳香族化合物からなる溶媒に溶かしたものである、請求項のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  7. 前記皮膜の膜厚が5〜1000μmである、請求項1〜のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  8. 前記皮膜の膜厚が10〜300μmである請求項に記載の生体成分測定方法。
  9. 前記皮膜の膜厚が20〜100μmである請求項に記載の生体成分測定方法。
  10. 前記測定対象成分がグルコースである、請求項1〜のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  11. 前記無機イオンがナトリウムイオンである、請求項1〜10のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  12. 前記測定対象成分及び無機イオンが、被験者の皮膚に貼付可能な貼付面を有する保持シートの当該貼付面に配置された抽出媒体中に抽出される、請求項1〜11のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  13. 前記抽出媒体がゲルからなる、請求項12に記載の生体成分測定方法。
  14. 前記イオン情報が無機イオンの濃度である、請求項1〜13のいずれかに記載の生体成分測定方法。
  15. 前記測定対象成分の量に関する解析値が、当該測定対象成分の血中濃度―時間曲線下面積に相当する値である、請求項1〜14のいずれかに記載の生体成分測定方法。
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