(第1実施形態)
以下、図1〜図6を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、図1〜図3に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部開口部には、時計ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が防水リング3aを介して取り付けられている。
この腕時計ケース1の内部には、図3に示すように、時計モジュール4が配置されている。この時計モジュール4は、時計機能に必要な各種の部品(図示せず)を備えている。また、この腕時計ケース1の3時側の側部には、図1および図2に示すように、スイッチ部5が設けられている。さらに、この腕時計ケース1の12時側および6時側の各側部には、図1〜図3に示すように、バンド取付部6がそれぞれ設けられている。
このバンド取付部6は、図1および図2に示すように、金属製の時計バンド7が取り付けられるように構成されている。すなわち、このバンド取付部6は、一対の取付突起部8を有し、この一対の取付突起部8の間に時計バンド7の端部に位置する取付駒10が配置された状態で、ばね棒9によって取付駒10が一対の取付突起部8に取り付けられるように構成されている。
時計バンド7は、図1および図2に示すように、バンド駒11を連結駒12によって順次連結したものであり、腕時計ケース1に接近する端部のバンド駒11と取付駒10とが連結駒12によって連結された構成になっている。この時計バンド7の取付駒10は、図3〜図6に示すように、バンド取付部6の一対の取付突起部8間に配置される一対の駒部13と、この一対の駒部13の間に設けられてバンド駒11側に向けて突出する駒連結部14とを有している。
この場合、取付駒10の一対の駒部13間には、図5および図6に示すように、駒連結部14を除いて開口部15が設けられている。この開口部15に対応する一対の駒部13には、取付孔16が時計バンド7の長手方向と直交する方向に貫通して設けられている。また、バンド取付部6の一対の取付突起部8には、一対の係止孔17が一対の駒部13の取付孔16に対応して設けられている。
一方、ばね棒9は、図4および図5に示すように、腕時計ケース1のバンド取付部6に時計バンド7を取り付けるためのものであり、時計バンド7の取付駒10の各駒部13に設けられた各取付孔16に連続した状態で配置されるパイプ部18と、このパイプ部18の両端部内に出没可能に挿入されてバンド取付部6の一対の係止孔17に挿脱可能に挿入して係止される一対のピン部材19と、パイプ部18内に配置されて一対のピン部材19を押し出す方向に付勢するコイルばね20とを備えている。
この場合、一対のピン部材19は、図4および図5に示すように、パイプ部18の両端部から突出した外周面に操作突起19aがそれぞれ設けられ、この操作突起19aをコイルばね20のばね力に抗して、パイプ部18内に向けて操作することにより、パイプ部18内に没入するように構成されている。
これにより、このばね棒9は、図3〜図5に示すように、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込まれて、取付駒10がバンド取付部6の一対の取付突起部8間に配置されると、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によって押し出されて一対の取付突起部8の各係止孔17に挿入することにより、時計バンド7をバンド取付部6に取り付けるように構成されている。
また、このばね棒9は、図3〜図5に示すように、パイプ部18の外周に筒状部材21が装着されるように構成されている。この筒状部材21は、カーボン繊維を合成樹脂で円筒状に固めた構成になっている。この場合、筒状部材21は、例えばカーボン繊維をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で固めた構成であることが望ましいが、カーボン繊維をウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂で固めた構成であっても良い。
また、この筒状部材21は、図3〜図5に示すように、その内部にばね棒9のパイプ部18が挿入するように構成されている。この筒状部材21は、その軸方向の長さが、ばね棒9のパイプ部18の長さよりも長く、かつバンド取付部6の一対の取付突起部8間の長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、この筒状部材21は、その外径が取付駒10の一対の駒部13に設けられた取付孔16の内径と同じ大きさに形成されている。
この場合、バンド取付部6の一対の取付突起部8に設けられた各係止孔17は、図4および図5に示すように、その内径がばね棒9の一対のピン部材19の外径と同じ大きさで、ピン部材19の操作突起19aの外径よりも小さい径で形成されている。これにより、ピン部材19は、その先端部が取付突起部8の係止孔17に挿入して、操作突起19aが係止孔17の縁部に当接するように構成されている。
また、筒状部材21の両端部には、図4〜図6に示すように、ピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部21aが設けられている。同様に、取付駒10の一対の駒部13の両側に位置する一対の駒部13の下部にも、ピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部13aが筒状部材21の切欠き部21aに対応して設けられている。
これにより、ばね棒9は、図4に示すように、ピン部材19の操作突起19aが筒状部材21の切欠き部21aと取付駒10の一対の駒部13の切欠き部13aとに対応して露出することにより、時計バンド7をバンド取付部6に取り付けた状態で、操作突起19aをドライバーなどの工具(図示せず)によって操作して、ピン部材19をバンド取付部6の取付突起部8の係止孔17から抜き出せるように構成されている。
次に、このような腕時計のバンド取付構造の作用について説明する。
時計バンド7を腕時計ケース1に取り付ける場合には、まず、ばね棒9と筒状部材21とを時計バンド7の取付駒10の取付孔16に挿入する。このときには、ばね棒9を筒状部材21内に挿入させ、この筒状部材21を取付駒10の一対の駒部13に設けられた取付孔16に挿入し、この一対の駒部13の切欠き部13aと筒状部材21の切欠き部21aとを対応させる。
この状態では、取付駒10の一対の駒部13の取付孔16内に配置された筒状部材21の中間部が、取付駒10の開口部15から外部に露呈する。また、ばね棒9の一対のピン部材19は、ばね棒9のコイルばね20のばね力によってパイプ部18から押し出されて、一対の駒部13の取付孔16から外部に突出する。さらに、このピン部材19の操作突起19aは、一対の駒部13の切欠き部13aと筒状部材21の切欠き部21aとに対応して取付駒10の下側に露呈する。
そして、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付ける際には、まず、ばね棒9の一対のピン部材19をコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込む。この状態で、時計バンド7の取付駒10を腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に配置し、ばね棒9の一対のピン部材19を一対の取付突起部8の各係止孔17に対応させる。
すると、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によってパイプ部18内から押し出され、この押し出された一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17にそれぞれ挿入される。これにより、時計バンド7の取付駒10が腕時計ケース1のバンド取付部6の一対の取付突起部8にばね棒9によって取り付けられ、時計バンド7が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられる。
一方、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外す場合には、一対の駒部13の切欠き部13aと筒状部材21の切欠き部21aとが対応した箇所にドライバーなどの工具(図示せず)を挿入して、ばね棒9の両端に位置する一対のピン部材19の各操作突起19aをコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に向けて移動させる。
すると、一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17から抜け出すので、時計バンド7の取付駒10がバンド取付部6の一対の取付突起部8から取り外せる状態になる。これにより、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外すことができる。
このように、この腕時計のバンド取付構造によれば、端部に位置する取付駒10に取付孔16が設けられた時計バンド7と、この時計バンド7の取付駒10が配置され、かつ取付孔16の両端部に対応する一対の係止孔17を有するバンド取付部6と、時計バンド7の取付孔16に挿入され、かつ両端部がバンド取付部6の一対の係止孔17に係合するばね棒9と、カーボン繊維によって形成され、かつばね棒9の外周に装着された筒状部材21とを備えているので、バンド取付部6に対する時計バンド7の取付強度を大幅に向上させることができる。
すなわち、このバンド取付構造では、カーボン繊維によって形成された筒状部材21の内部にばね棒9のパイプ部18が挿入されていることにより、筒状部材21によってばね棒9の曲げ強度を十分に補強して高めることができるので、筒状部材21およびばね棒9によって腕時計ケース1のバンド取付部6に対する時計バンド7の取付強度を大幅に向上させることができる。
この場合、筒状部材21は、カーボン繊維によって形成されていることにより、強度が極めて高く、ばね棒9を十分に補強してばね棒9の曲げ強度を確実に高めることができるほか、重さが軽いため、筒状部材21の外径が大きくても、ばね棒9および筒状部材21全体の重量の増加を大幅に抑えることができる。
また、時計バンド7の取付駒10には、筒状部材21を露呈させるための開口部15が設けられていることにより、この開口部15を通して筒状部材21を外部から見ることができるので、ばね棒9よりも太い筒状部材21によって強度的な安心感を与えることができ、これにより商品質感を向上させることができると共に、デザイン的にも好ましいものを提供することができる。
また、このバンド取付構造では、ばね棒19が、筒状部材21内に配置されるパイプ部18と、このパイプ部18の両端部に出没可能に挿入された一対のピン部材19と、パイプ部18内に配置されて一対のピン部材19を押し出す方向に付勢するコイルばね20とを備えた構成であるから、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部8に簡単にかつ確実に取り付けることができる。
この場合、ばね棒9は、コイルばね20のばね力によってピン部材19がパイプ部18から押し出されてバンド取付部8の係止孔17に挿入した際に、筒状部材21の両端部に設けられた切欠き部21aと、時計バンド7の取付駒10の両端部に設けられた切欠き部13aとが対応して、ばね棒9のピン部材19を露呈させることができる。
このため、筒状部材21の切欠き部21aと時計バンド7の取付駒10の切欠き部13aとが対応した箇所にドライバーなどの工具を挿入して、ばね棒9のピン部材19をパイプ部18内に向けて押し込むように操作することができるので、コイルばね20のばね力によってバンド取付部6の一対の係止孔17に挿入しているピン部材19を係止孔17から抜き出すことができ、これにより時計バンド7をバンド取付部6から容易に取り外して、簡単に交換することができる。
(第2実施形態)
次に、図7〜図10を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図6に示された第1実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図7〜図10に示すように、時計バンド24およびバンド取付構造の一部が第1実施形態と異なる構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、時計バンド24は、図7に示すように、ウレタン樹脂などの弾力性を有する合成樹脂によって形成され、その一端部が腕時計ケース1のバンド取付部6にばね棒9によって取り付けられるように構成されている。この時計バンド24の一端部は、図7〜図10に示すように、バンド取付部6の一対の取付突起部8間に配置され、その中間部に底部を除いて開口部25が設けられ、この開口部25の両側に一対のバンド端部26が設けられた構成になっている。
この時計バンド24の一端部に設けられた一対のバンド端部26には、図8〜図10に示すように、取付孔27がバンド取付部6の一対の取付突起部8に設けられた一対の係止孔17にそれぞれ対応して設けられている。この一対のバンド端部26の取付孔27は、ばね棒9のパイプ部18が挿入するパイプ挿入孔部27aと、カーボン繊維からなる筒状部材21の両端部が挿入する筒挿入孔部27bとを有する段差状に形成されている。
すなわち、取付孔27のパイプ挿入孔部27aは、図9および図10に示すように、ばね棒9のパイプ部18の外径と同じ大きさの小径孔部であり、一対のバンド端部26の各外部側に形成されている。また、取付孔27の筒挿入孔部27bは、筒状部材21の外径と同じ大きさの大径孔部であり、一対のバンド端部26の各内部側に形成されている。この場合、筒状部材21は、その長さがばね棒9のパイプ部18の長さよりも短く、かつ一対のバンド端部26の各内端面間の長さよりも長く形成されている。
また、この筒状部材21の両端部が挿入する取付孔27の筒挿入孔部27bの内周面には、図10に示すように、筒状部材21の両端部に位置する外周面に弾力的に圧接する複数の突起部28が設けられている。これにより、筒状部材21は、その両端部の外周面が筒挿入孔部27bの内周面に設けられた複数の突起部28に部分的に圧接して位置規制された状態で固定されるように構成されている。
ところで、ばね棒9は、第1実施形態と同様に構成されている。また、バンド取付部6の一対の取付突起部8に設けられた各係止孔17は、第1実施形態と同様、その内径がばね棒9の一対のピン部材19の外径と同じ大きさで、ピン部材19の操作突起19aの外径よりも小さい径で形成されている。この場合、一対のバンド端部26の各外端部には、図9および図10に示すように、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部29が下側に開放されて設けられている。
これにより、ばね棒9は、図9に示すように、ピン部材19の操作突起19aが一対のバンド端部26の切欠き部29に対応して露出することにより、時計バンド24をバンド取付部6に取り付けた状態で、操作突起19aをドライバーなどの工具(図示せず)によって操作して、ピン部材19をバンド取付部6の取付突起部8の係止孔17から抜き出せるように構成されている。
次に、このような腕時計のバンド取付構造の作用について説明する。
時計バンド24を腕時計ケース1に取り付ける場合には、第1実施形態と同様、ばね棒9と筒状部材21とを時計バンド24の一対のバンド端部26の取付孔27に挿入する。このときには、ばね棒9のパイプ部18を筒状部材21内に挿入させて、パイプ部18の両端部を筒状部材21の両側から外部に突出させ、この状態でばね棒9と筒状部材21とを時計バンド24の一対のバンド端部26の取付孔27に挿入させる。
この場合には、時計バンド24がウレタン樹脂などの弾力性を有する合成樹脂で形成されていることにより、時計バンド24の一対のバンド端部26を弾力的に押し広げることができる。この状態で、ばね棒9のピン部材19をバンド端部26の取付孔27の筒挿入孔部27bからパイプ挿入孔部27aに挿入させると共に、筒状部材21の両端部をバンド端部26の取付孔27の筒挿入孔部27bに対応させる。
そして、一対のバンド端部26を弾性復帰させて元の形状に押し戻すと、筒状部材21が一対のバンド端部26間に配置されて、筒状部材21の両端部がバンド端部26の取付孔27の筒挿入孔部27bに挿入されると共に、ばね棒9のパイプ部18の両端部が一対のバンド端部26の取付孔27のパイプ挿入孔部27aに挿入する。このときには、バンド端部26の取付孔27の内周面に設けられた複数の突起部28が筒状部材21の外周面に弾力的に圧接して、筒状部材21が一対のバンド端部26に固定されている。
この状態では、時計バンド24の一対のバンド端部26間に配置された筒状部材21の中間部が、一対のバンド端部26間に位置する開口部25から外部に露呈する。また、ばね棒9の一対のピン部材19は、ばね棒9のコイルばね20のばね力によってパイプ部18から押し出されて、一対のバンド端部26の取付孔27から外部に突出する。さらに、このピン部材19の操作突起19aは、一対のバンド端部26の両端部に設けられた切欠き部29に対応して一対のバンド端部26の下側に露呈する。
そして、時計バンド24の一端部を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付ける際には、まず、ばね棒9の一対のピン部材19をコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込む。この状態で、時計バンド24の一対のバンド端部26を腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に配置し、一対のピン部材19を一対の取付突起部8の各係止孔17に対応させる。
すると、第1実施形態と同様、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によってパイプ部18内から押し出され、この押し出された一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17にそれぞれ挿入される。これにより、時計バンド24の一対のバンド端部26が腕時計ケース1のバンド取付部6の一対の取付突起部8間にばね棒9によって取り付けられ、時計バンド24が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられる。
一方、時計バンド24を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外す場合には、時計バンド24の一対のバンド端部26の各切欠き部29にドライバーなどの工具(図示せず)を挿入して、ばね棒9の両端に位置する一対のピン部材19の各操作突起19aをコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に向けて移動させる。
すると、一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17から抜け出すので、時計バンド24の一対のバンド端部26がバンド取付部6の一対の取付突起部8から取り外せる状態になる、これにより、第1実施形態と同様、時計バンド24を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外すことができる。
このように、この腕時計のバンド取付構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、時計バンド24がウレタン樹脂などの弾力性を有する合成樹脂からなり、この時計バンド24の一端部に位置する一対のバンド端部26に設けられた各取付孔27の筒挿入孔部27bの内周面に、筒状部材21の両端部に位置する外周面に弾力的に圧接する複数の突起部28が設けられていることにより、筒状部材21をガタツかないように良好に固定することができる。
すなわち、このバンド取付構造では、弾力性を有する合成樹脂からなる時計バンド24の端部に位置する一対のバンド端部26に設けられた各取付孔27の筒挿入孔部27b内に、筒状部材21の両端部を挿入させて配置させることにより、筒状部材21を一対のバンド端部26によって弾力的に挟み付けることができ、これにより筒状部材21の軸方向へのガタツキを確実にかつ良好に防ぐことができる。
また、このバンド取付構造では、一対のバンド端部26に設けられた各取付孔27の筒挿入孔部27bの内周面に設けられた複数の突起部28を、筒状部材21の両端部に位置する外周面に弾力的に圧接させることができるので、筒状部材21の径方向へのガタツキを確実にかつ良好に防ぐことができ、これにより筒状部材21を確実にかつ良好に固定することができる。
なお、上述した第2実施形態では、時計バンド24の端部に位置する一対のバンド端部26に設けられた各取付孔27が、パイプ挿入孔部27aと筒挿入孔部27bとを有する段差状に形成されている場合について述べたが、これに限らず、取付孔27を筒状部材21の外径と同じ大きさに形成しても良い。この場合には、筒状部材21をばね棒9のパイプ部18と同じ長さに形成すれば良い。このように構成しても、第2実施形態とほぼ同様の作用効果がある。
(第3実施形態)
次に、図11〜図14を参照して、この発明を腕時計に適用した第3実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図6に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図12〜図14に示すように、カーボン繊維からなる筒状部材21の両端部に、合成樹脂からなる補助筒部30をそれぞれ設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
補助筒部30は、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などのエラストマー樹脂の弾性を有する合成樹脂からなり、図12〜図14に示すように、全体がほぼキャップ状に形成されている。すなわち、この補助筒部30は、全体が円筒状に形成され、その内部に仕切り壁30aが設けられた構成になっている。この場合、補助筒部30は、その内径が筒状部材21の外径と同じ大きさに形成されている。
この補助筒部30は、図12〜図14に示すように、その内部の仕切り壁30aにばね棒9のパイプ部18が挿入するパイプ挿入孔30bが設けられている。また、この補助筒部30は、その軸方向の長さが金属製の時計バンド7の取付駒10における一対の駒部13の厚み、つまり時計バンド7の長手方向と直交する方向における駒部13の長さよりも少し短く形成されている。
一方、時計バンド7の取付駒10における一対の駒部13には、図12〜図14に示すように、補助筒部30が挿入する取付孔31がバンド取付部6の一対の取付突起部8の各係止孔17に対して設けられている。この取付孔31は、その内径が補助筒部30の外径と同じ大きさに形成されている。また、この取付孔31内には、補助筒部30が一対の駒部13から取付駒10の開口部15内に抜け出すのを阻止するストッパ部31aが設けられている。
ところで、補助筒部30の外周面には、図13および図14に示すように、一対の駒部13に設けられた取付孔31の内周面に弾力的に圧接する複数の外周突起部32が円周方向に沿って設けられている。また、この補助筒部30の内周面、つまり筒状部材21が挿入する補助筒部30の内周面には、筒状部材21の外周面に弾力的に圧接する複数の内周突起部33が円周方向に沿って設けられている。
さらに、この補助筒部30には、図12〜図14に示すように、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部34が、時計バンド7の取付駒10における一対の駒部13に設けられた切欠き部13aに対応して設けられている。これにより、ばね棒9は、ピン部材19の操作突起19aが一対の駒部13の切欠き部13aと補助筒部30の切欠き部34とに対応して露出するように構成されている。
この場合にも、ばね棒9は、第1実施形態と同様、ピン部材19の操作突起19aが補助筒部30の切欠き部34と取付駒10の一対の駒部13の切欠き部13aとに対応して露出することにより、時計バンド7をバンド取付部6に取り付けた状態で、操作突起19aをドライバーなどの工具(図示せず)によって操作して、ピン部材19をバンド取付部6の取付突起部8の係止孔17から抜き出せるように構成されている。
次に、このような腕時計のバンド取付構造の作用について説明する。
時計バンド7を腕時計ケース1に取り付ける場合には、まず、ばね棒9、筒状部材21、および補助筒部30を時計バンド7の取付駒10の取付孔31に挿入する。このときには、予め、ばね棒9を筒状部材21内に挿入させて、この筒状部材21を取付駒10の取付孔31に挿入し、この状態で筒状部材21の両端部に補助筒部30をそれぞれ取り付ける。
すなわち、ばね棒9を筒状部材21内に挿入させ、ばね棒9のパイプ部18の両端部をピン部材19と共に筒状部材21の両端部から突出させ、この状態で筒状部材21をばね棒9と共に取付駒10の取付孔31に挿入する。そして、取付駒10の両側から補助筒部30をそれぞれ取付駒10の取付孔31に挿入する。
このときには、パイプ部18の両端部をピン部材19と共に補助筒部30の仕切り壁30aのパイプ挿入孔30bに挿入させると共に、筒状部材21の両端部を補助筒部30に挿入する。すると、補助筒部30の内周面に設けられた複数の内周突起部33が筒状部材21の外周面に弾力的に圧接すると共に、補助筒部30の外周面に設けられた複数の外周突起部32が取付駒10の取付孔31の内周面に弾力的に圧接する。これにより、筒状部材21が取付駒10に固定される。
また、このときには、一対の駒部13の切欠き部13aと補助筒部30の切欠き部34とが対応する。これにより、ばね棒9の一対のピン部材19は、ばね棒9のコイルばね20のばね力によってパイプ部18から押し出されて、一対の駒部13の取付孔31から外部に突出する。
この状態では、第1実施形態と同様、取付駒10の一対の駒部13の取付孔31内に配置された筒状部材21の中間部が、一対の駒部13の開口部15から外部に露呈する。また、このピン部材19の操作突起19aは、一対の駒部13の切欠き部13aと補助筒部30の切欠き部34とに対応して取付駒10の下側に露呈する。
そして、ばね棒9の一対のピン部材19をコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込む。この状態で、時計バンド7の取付駒10を腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に配置し、一対のピン部材19を一対の取付突起部8の各係止孔17に対応させる。
すると、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によってパイプ部18内から押し出され、この押し出された一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17にそれぞれ挿入される。これにより、時計バンド7の取付駒10が腕時計ケース1のバンド取付部6の一対の取付突起部8間にばね棒9によって取り付けられ、時計バンド7が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられる。
一方、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外す場合には、一対の駒部13の切欠き部13aと補助筒部30の切欠き部34とが対応した箇所にドライバーなどの工具(図示せず)を挿入して、ばね棒9の両端に位置する一対のピン部材19の各操作突起19aをコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に向けて移動させる。
すると、第1実施形態と同様、一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17から抜け出すので、時計バンド7の取付駒10がバンド取付部6の一対の取付突起部8から取り外せる状態になる。これにより、第1実施形態と同様、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外すことができる。
このように、この腕時計のバンド取付構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、筒状部材21の両端部にウレタン樹脂、シリコーン樹脂などのエラストマー樹脂の弾力性を有する合成樹脂製の補助筒部30がそれぞれ設けられ、この補助筒部30が時計バンド7の取付駒10の取付孔31内に配置されるので、この補助筒部30によって筒状部材21の両端部を取付駒10の一対の駒部13に設けられた取付孔31内に弾力的に挟み付けた状態で取り付けることができ、これにより筒状部材21の軸方向および径方向へのガタツキを確実にかつ良好に防ぐことができる。
また、筒状部材21の両端部に設けられた補助筒部30は、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などのエラストマー樹脂の弾力性を有する合成樹脂製であることにより、腕時計ケース1および時計バンド7が衝撃を受けた際に、その衝撃が筒状部材21に伝わらないように合成樹脂製の補助筒部30によって確実にかつ良好に緩衝することができ、これにより筒状部材21を衝撃から保護することができる。
この場合、補助筒部30の外周面には、時計バンド7の取付駒10に設けられた取付孔31の内周面に弾力的に圧接する複数の外周突起部32が円周方向に沿って設けられているので、これら複数の外周突起部32によって補助筒部30をその軸方向および径方向にガタツクことなく取付駒10の取付孔31内に確実にかつ良好に固定することができると共に、筒状部材21が時計バンド7の取付駒10および腕時計ケース1のバンド取付部6に接触しないようにすることができる。
また、補助筒部30の内周面には、筒状部材21の外周面に弾力的に圧接する複数の内周突起部33が円周方向に沿って設けられているので、これら複数の内周突起部33によって筒状部材21の両端部をその軸方向および径方向にガタツクことなく補助筒部30内に確実にかつ良好に固定することができ、これによっても筒状部材21が時計バンド7の取付駒10および腕時計ケース1のバンド取付部6に接触しないようにすることができる。
(第4実施形態)
次に、図15〜図18を参照して、この発明を腕時計に適用した第4実施形態について説明する。この場合には、図7〜図10に示された第2実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図15〜図18に示すように、カーボン繊維からなる筒状部材21の外周面に、軟質の合成樹脂からなる円筒状のカバー部材35を設けた構成であり、これ以外は第2実施形態とほぼ同様に構成されている。
カバー部材35は、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などのエラストマー樹脂の透明または半透明の軟質の合成樹脂からなり、図16〜図18に示すように、筒状部材21の外周面にインサート成形によって一体に形成されている。このカバー部材35は、その軸方向の長さが、ばね棒9のパイプ部18の長さよりも長く、かつ時計バンド24の端部に位置する一対のバンド端部26間の長さ、つまりバンド取付部6の一対の取付突起部8間の長さとほぼ同じ長さに形成されている。
この場合、時計バンド24は、第2実施形態と同様、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂からなり、腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に配置される一端部の中間部に開口部25が底部を除いて設けられ、これにより開口部25の両側に一対のバンド端部26が形成された構成になっている。
この一対のバンド端部26には、図16〜図18に示すように、カバー部材35が挿入する取付孔36が設けられている。また、この一対のバンド端部26の各外端部には、第2実施形態と同様、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部29が下側に開放されて設けられている。
一方、カバー部材35の両端部には、図16〜図18に示すように、ピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部37がバンド端部26の切欠き部29に対応して設けられている。これにより、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aは、カバー部材35の切欠き部37およびバンド端部26の切欠き部29を通して時計バンド24の下側に露呈するように構成されている。また、このカバー部材35の外周面には、一対のバンド端部26に設けられた取付孔36の内周面に弾力的に圧接する複数の突起部38が円周方向に沿って設けられている。
次に、このような腕時計のバンド取付構造の作用について説明する。
時計バンド24を腕時計ケース1に取り付ける場合には、第2実施形態と同様、ばね棒9、筒状部材21、およびカバー部材35を時計バンド24の端部に位置する一対のバンド端部26の取付孔36に挿入する。
このときには、ばね棒9のパイプ部18を筒状部材21内に挿入させて、パイプ部18の両端部を筒状部材21の両側から外部に突出させると共に、筒状部材21の外周に設けられたカバー部材35の両端部からも突出させる。この状態で、ばね棒9、筒状部材21、およびカバー部材35を時計バンド24の端部に位置する一対のバンド端部26の取付孔36に挿入させる。これにより、カバー部材35の外周面に設けられた複数の突起部38がバンド端部26の取付孔36の内周面に弾力的に圧接して、カバー部材35が一対のバンド端部26に固定される。
この状態では、時計バンド24の一対のバンド端部26間に配置されたカバー部材35の中間部が、一対のバンド端部26間に位置する開口部25から外部に露呈し、この露呈したカバー部材35を通して筒状部材21が見える。また、ばね棒9の一対のピン部材19は、ばね棒9のコイルばね20のばね力によってパイプ部18から押し出されて、一対のバンド端部26の取付孔36から外部に突出する。
さらに、この状態では、第2実施形態と同様、ピン部材19の操作突起19aが一対のバンド端部26の両端部に設けられた切欠き部29およびカバー部材35の両端部に設けられた切欠き部37に対応する。これにより、ピン部材19の操作突起19aは、バンド端部26の切欠き部29およびカバー部材35の切欠き部37を通して、一対のバンド端部26の下側に露呈する。
そして、時計バンド24の一端部を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付ける際には、第2実施形態と同様、まず、ばね棒9の一対のピン部材19をコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込む。この状態で、時計バンド24の一端部に位置する一対のバンド端部26を腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に配置し、一対のピン部材19を一対の取付突起部8の各係止孔17に対応させる。
すると、第2実施形態と同様、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によってパイプ部18内から押し出され、この押し出された一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17にそれぞれ挿入される。これにより、時計バンド24の一対のバンド端部26が腕時計ケース1のバンド取付部6の一対の取付突起部8にばね棒9によって取り付けられ、時計バンド24が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられる。
一方、時計バンド24を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外す場合には、時計バンド24の一端部に位置する一対のバンド端部26の各切欠き部29およびカバー部材35の切欠き部37が対応した箇所に、ドライバーなどの工具(図示せず)を挿入して、ばね棒9の両端に位置する一対のピン部材19の各操作突起19aを、コイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に向けて移動させる。
すると、第2実施形態と同様、一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17から抜け出すので、時計バンド24の一対のバンド端部26がバンド取付部6の一対の取付突起部8から取り外せる状態になる。これにより、時計バンド24を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外すことができる。
このように、この腕時計のバンド取付構造によれば、第2実施形態と同様の作用効果があるほか、カーボン繊維からなる筒状部材21の外周面を軟質の合成樹脂からなるカバー部材35で覆った構成であるから、カバー部材35によって筒状部材21を保護することができると共に、カバー部材35が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃が筒状部材21に伝わないように緩衝することができ、これにより筒状部材21の傷付きによるカーボン繊維の散乱を確実にかつ良好に防ぐことができる。
この場合、カバー部材35は、筒状部材21の外周面にインサート成形によって一体に形成することにより、簡単にかつ容易にカバー部材35を筒状部材21の外周面に設けることができると共に、筒状部材21の保管時および組み付け時に筒状部材21が傷付いてカーボン繊維が散乱するのを確実にかつ良好に防ぐことができる。
また、カバー部材35は、その両端部がバンド取付部6の一対の取付突起部8の各内端面に弾力的に当接しているので、このカバー部材35を軸方向にガタツクことがなく位置規制することができ、これにより筒状部材21の軸方向の位置も確実にかつ良好に位置規制することがきる。
また、このカバー部材35の外周面には、一対のバンド端部26に設けられた取付孔36の内周面に弾力的に圧接する複数の突起部38が円周方向に沿って設けられているので、この複数の突起部38によってカバー部材35を一対のバンド端部26に確実に固定することができると共に、カバー部材35および筒状部材21の軸方向および径方向へのガタツキを確実にかつ良好に防ぐことができる。
さらに、このカバー部材35は、透明または半透明の合成樹脂によって形成されているので、時計バンド24の端部に位置する一対のバンド端部26間にカバー部材35が配置された際、および時計バンド24が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられた際に、カバー部材35の中間部が一対のバンド端部26間に位置する開口部25から外部に露呈し、この露呈したカバー部材35を通して筒状部材21を見えることができると共に、カバー部材35が光学的なレンズとして機能するので、筒状部材21を大きく見せることができる。
(第5実施形態)
次に、図19〜図22を参照して、この発明を腕時計に適用した第5実施形態について説明する。この場合には、図1〜図6に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図19〜図22に示すように、カーボン繊維からなる筒状部材21の外周面に、軟質の合成樹脂からなる円筒状のカバー部材40を設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同様に構成されている。
カバー部材40は、第4実施形態と同様、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などのエラストマー樹脂の透明または半透明の軟質の合成樹脂からなり、図20〜図22に示すように、筒状部材21の外周面にインサート成形によって一体に形成されている。このカバー部材40は、その軸方向の長さが、ばね棒9のパイプ部18および筒状部材21の各長さよりも長く、かつ金属製の時計バンド7の取付駒10における長手方向と直交する方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。
この場合、時計バンド7の取付駒10は、第1実施形態と同様、バンド取付部6の一対の取付突起部8間に配置される一対の駒部13と、この一対の駒部13間に設けられてバンド駒11側に向けて突出する駒連結部14とを有している。この場合、一対の駒部13間には、開口部15が駒連結部14を除いて設けられた構成になっている。
この一対の駒部13には、図20〜図22に示すように、カバー部材40が挿入する取付孔41が、腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8に設けられた一対の係止孔17に対応して設けられている。また、この一対の駒部13の各外端部には、第1実施形態と同様、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部13aが下側に開放されて設けられている。
一方、カバー部材40の両端部には、図20〜図22に示すように、ピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部42が取付駒10の切欠き部13aに対応して設けられている。これにより、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aは、カバー部材40の切欠き部42および取付駒10の切欠き部13aを通して時計バンド7の下側に露呈するように構成されている。また、このカバー部材40の外周面には、一対の駒部13に設けられた取付孔41の内周面に弾力的に圧接する複数の突起部43が円周方向に沿って設けられている。
次に、このような腕時計のバンド取付構造の作用について説明する。
時計バンド7を腕時計ケース1に取り付ける場合には、まず、ばね棒9、筒状部材21、およびカバー部材40を時計バンド7の取付駒10の取付孔41に挿入する。このときには、ばね棒9を筒状部材21内に挿入させ、この筒状部材21をカバー部材40と共に取付駒10の一対の駒部13の取付孔41に挿入し、この一対の駒部13の切欠き部13aとカバー部材40の切欠き部42とを対応させる。
この状態では、取付駒10の一対の駒部13の取付孔41内に配置されたカバー部材40の中間部が、一対の駒部13の開口部15から外部に露呈し、このカバー部材40を通して筒状部材21の中間部が見える。また、ばね棒9の一対のピン部材19は、ばね棒9のコイルばね20のばね力によってパイプ部18から押し出されて、一対の駒部13の取付孔41から外部に突出する。さらに、このピン部材19の操作突起19aは、一対の駒部13の切欠き部13aとカバー部材40の切欠き部42とに対応して取付駒10の下側に露呈する。
そして、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付ける際には、第1実施形態と同様、まず、ばね棒9の一対のピン部材19をコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込む。この状態で、時計バンド7の取付駒10を腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に配置し、一対のピン部材19を一対の取付突起部8の各係止孔17に対応させる。
すると、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によってパイプ部18内から押し出され、この押し出された一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17にそれぞれ挿入される。これにより、時計バンド7の取付駒10が腕時計ケース1のバンド取付部6の一対の取付突起部8にばね棒9によって取り付けられ、時計バンド7が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられる。
一方、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外す場合には、一対の駒部13の切欠き部13aとカバー部材40の切欠き部42とが対応した箇所にドライバーなどの工具(図示せず)を挿入して、ばね棒9の両端に位置する一対のピン部材19の各操作突起19aをコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に向けて移動させる。
すると、一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17から抜け出すので、第1実施形態と同様、時計バンド7の取付駒10がバンド取付部6の一対の取付突起部8から取り外せる状態になる。これにより、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外すことができる。
このように、この腕時計のバンド取付構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、カーボン繊維からなる筒状部材21の外周面を軟質の合成樹脂からなるカバー部材40で覆った構成であるから、第4実施形態と同様、カバー部材40によって筒状部材21を保護することができると共に、カバー部材40が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃が筒状部材21に伝わないように緩衝することができ、これにより筒状部材21の傷付きによるカーボン繊維の散乱を確実にかつ良好に防ぐことができる。
この場合にも、このカバー部材40は、筒状部材21の外周面にインサート成形によって一体に形成することにより、第4実施形態と同様、簡単にかつ容易にカバー部材40を筒状部材21の外周面に設けることができると共に、筒状部材21の保管時および組み付け時に筒状部材21が傷付いてカーボン繊維が散乱するのを確実にかつ良好に防ぐことができる。
また、カバー部材40は、その両端部がバンド取付部6の一対の取付突起部8の各内端面に弾力的に当接しているので、このカバー部材35を軸方向にガタツクことがなく位置規制することができ、これにより筒状部材21の軸方向の位置も確実にかつ良好に位置規制することがきる。
また、このカバー部材40の外周面には、取付駒10の一対の駒部13に設けられた取付孔41の内周面に弾力的に圧接触する複数の突起部43が円周方向に沿って設けられているので、この複数の突起部43によってカバー部材40を一対の駒部13に確実に固定することができると共に、カバー部材40および筒状部材21の軸方向および径方向へのガタツキを確実にかつ良好に防ぐことができる。
さらに、このカバー部材40は、透明または半透明の合成樹脂によって形成されているので、時計バンド7の取付駒10にカバー部材40が配置された際、および時計バンド7が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられた際に、第4実施形態と同様、カバー部材40の中間部が取付駒10の一対の駒部13間に位置する開口部15から外部に露呈し、この露呈したカバー部材40を通して筒状部材21を見えることができると共に、カバー部材40が光学的なレンズとして機能するので、筒状部材21を大きく見せることができる。
(第6実施形態)
次に、図23〜図27を参照して、この発明を腕時計に適用した第6実施形態について説明する。この場合には、図19〜図22に示された第5実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図23〜図26に示すように、カバー部材45の両端部を腕時計ケース1のバンド取付部6に食い込ませた構成であり、これ以外は第5実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、カバー部材45は、第5実施形態と同様、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などのエラストマー樹脂の透明または半透明の軟質の合成樹脂からなり、図25および図27に示すように、カーボン繊維からなる筒状部材21の外周面にインサート成形によって一体に形成されている。このカバー部材45は、その軸方向の長さが、金属製の時計バンド7の長手方向と直交する方向の取付駒10の長さよりも長く形成されている。
この場合、腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8には、第5実施形態と同様、ばね棒9のピン部材19が挿入する各係止孔17が時計バンド7の取付駒10の取付孔41に対応して設けられている。また、一対の取付突起部8の内端面には、図24〜図26に示すように、カバー部材45の両端部が挿入する切欠き凹部46がそれぞれ設けられている。
この切欠き凹部46は、図25および図26に示すように、一対の取付突起部8の係止孔17を中心とする半円弧状の部分から一対の取付突起部8の下端部に亘って形成されている。これにより、カバー部材45は、その両端部が一対の取付突起部8の下側から各切欠き凹部46内に挿入して、一対の取付突起部8の各係止孔17に対応するように構成されている。
ところで、カバー部材45の外周面には、図27に示すように、時計バンド7の取付駒10に設けられた取付孔41の内周面に弾力的に圧接する複数の突起部43が円周方向に沿って設けられている。また、このカバー部材45の両端部には、ばね棒9のピン部材19の操作突起19aを操作するための切欠き部47が下側に開放されて設けられている。
この場合、筒状部材21は、図25に示すように、その軸方向の長さがばね棒9のパイプ部18の長さよりも長く、カバー部材45の長さよりも短く形成され、筒状部材21の両端部がカバー部材45の切欠き部47内に少し挿入する長さに形成されている。これにより、筒状部材21は、時計バンド7が腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けられた際に、両端部がバンド取付部6の切欠き凹部46内に挿入するように構成されている。
次に、このような腕時計のバンド取付構造の作用について説明する。
時計バンド7を腕時計ケース1に取り付ける場合には、第5実施形態と同様、ばね棒9を筒状部材21内に挿入させ、この筒状部材21をカバー部材45と共に取付駒10の一対の駒部13の両側に位置する一対の駒部13に設けられた取付孔41に挿入し、この一対の駒部13の切欠き部13aとカバー部材45の切欠き部47とを対応させる。
この状態では、取付駒10の一対の駒部13の取付孔41内に配置されたカバー部材45の中間部が、取付駒10の開口部15から外部に露呈し、このカバー部材45を通して筒状部材21の中間部が見える。また、ばね棒9の一対のピン部材19は、ばね棒9のコイルばね20のばね力によってパイプ部18から押し出されて、一対の駒部13の取付孔41から外部に突出する。さらに、このピン部材19の操作突起19aは、一対の駒部13の切欠き部13aとカバー部材45の切欠き部47とに対応して取付駒10の下側に露呈する。
そして、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付ける際には、第5実施形態と同様、まず、ばね棒9の一対のピン部材19をコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に押し込む。この状態で、時計バンド7の取付駒10を腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8間に下側から配置する。このときには、カバー部材45の両端部を一対の取付突起部8の各切欠き凹部46内に下側から挿入させて配置し、一対のピン部材19を一対の取付突起部8の各係止孔17に対応させる。
すると、一対のピン部材19がコイルばね20のばね力によってパイプ部18内から押し出され、この押し出された一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17にそれぞれ挿入される。これにより、カバー部材45の両端部が一対の取付突起部8における各切欠き凹部46の内面に弾力的に当接した状態で、時計バンド7の取付駒10が腕時計ケース1のバンド取付部6にばね棒9によって取り付けられることにより、時計バンド7が腕時計ケース1のバンド取付部6に位置規制されて取り付けられる。
一方、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外す場合には、第5実施形態と同様、一対の駒部13の切欠き部13aとカバー部材45の切欠き部47とが対応した箇所にドライバーなどの工具(図示せず)を挿入して、ばね棒9の両端に位置する一対のピン部材19の各操作突起19aをコイルばね20のばね力に抗してパイプ部18内に向けて移動させる。
すると、一対のピン部材19が一対の取付突起部8の各係止孔17から抜け出すので、第5実施形態と同様、時計バンド7の取付駒10がバンド取付部6の一対の取付突起部8から取り外せる状態になる。これにより、時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6から取り外巣ことができる。
このように、この腕時計のバンド取付構造によれば、第5実施形態と同様の作用効果があるほか、腕時計ケース1のバンド取付部6における一対の取付突起部8に、カバー部材45の両端部およびカーボン繊維からなる筒状部材21の両端部が挿入する一対の挿入部である切欠き凹部46が設けられていることにより、第5実施形態よりも強固に時計バンド7を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けることができる。
なお、上述した第1〜第6の各実施形態では、筒状部材21がカーボン繊維を合成樹脂で固めた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えばガラス繊維またはケプラーなどのアラミド繊維、またはボロン繊維を合成樹脂で固めた構成であっても良い。さらに、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、およびボロン繊維の中から2種類以上の繊維を使用して合成樹脂で固めた構成であっても良い。また、筒状部材21は金属や硬質樹脂で形成されたものであっても良い。
また、上述した第1〜第6の各実施形態では、時計バンド7、24を腕時計ケース1のバンド取付部6にばね棒9によって取り付けた場合について述べたが、必ずしもばね棒9で取り付ける必要はなく、棒状のピン部材などの連結部材によって時計バンド7、24を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付けるように構成しても良い。
さらに、上述した第1〜第6の各実施形態では、時計バンド7、24を腕時計ケース1のバンド取付部6に取り付ける場合について述べたが、これに限らず、例えば金属製の時計バンド7のバンド駒11と連結駒12とを連結する部材連結構造にも適用することができる。また、時計バンド7、24に限らず、ベルトの端部に尾錠などの連結金具を取り付ける部材連結構造にも適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、端部に取付孔が設けられた第1部材と、この第1部材の前記端部が配置され、かつ前記取付孔の両端部に対応する一対の係止孔を有する第2部材と、前記第1部材の前記取付孔に挿入され、かつ両端部が前記第2部材の前記一対の係止孔に係合する連結部材と、前記連結部材の外周に装着された筒状部材とを備えていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の部材連結構造において、前記筒状部材は、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、およびボロン繊維の繊維群の中から選んだ1種類または2種類以上の繊維によって形成されていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の部材連結構造において、前記第1部材の前記端部には、前記筒状部材を露呈させるための開口部が設けられていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の部材連結構造において、前記第1部材は、合成樹脂からなり、この第1部材の前記取付孔の内周面には、前記筒状部材の外周面に接触する複数の突起部が設けられていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の部材連結構造において、前記筒状部材の両端部には、前記第1部材の前記取付孔内に配置される合成樹脂製の補助筒部がそれぞれ設けられていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の部材連結構造において、前記補助筒部の外周面には、前記第1部材の前記取付孔の内周面に接触する複数の外周突起部が設けられており、前記補助筒部の内周面には、前記筒状部材の外周面に接触する複数の内周突起部が設けられていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の部材連結構造において、前記筒状部材の外周面を覆う軟質の合成樹脂からなるカバー部材を備えていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の部材連結構造において、前記カバー部材の外周面には、前記第1部材の前記取付孔の内周面に接触する複数の突起部が設けられていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の部材連結構造において、前記カバー部材は、透明または半透明の合成樹脂で形成されていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の部材連結構造において、前記第2部材には、前記筒状部材の両端部が挿入する一対の挿入部が設けられていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の部材連結構造において、前記連結部材は、前記筒状部材内に配置されるパイプ部と、このパイプ部の両端部に出没可能に挿入された一対のピン部材と、前記パイプ部内に配置されて前記一対のピン部材を押し出す方向に付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とする部材連結構造である。
請求項12に記載の発明は、端部に取付孔が設けられたバンドと、このバンドの前記端部が配置され、かつ前記取付孔の両端部に対応する一対の係止孔を有するバンド取付部材と、前記バンドの前記取付孔に挿入され、かつ両端部が前記バンド取付部材の前記一対の係止孔に係合する連結部材と、前記連結部材の外周に装着された筒状部材とを備えていることを特徴とするバンド取付構造である。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の部材連結構造を備えていることを特徴とする時計である。