<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
<1:第1実施形態>
<1.1:実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る駐車支援システム1の構成について説明する。ここに、図1は、駐車支援システム1の概念図である。
図1において、駐車支援システム1は、車両10のドライバが、車両10を駐車スペース20に駐車するに際して、後述する給電装置30と受電装置400との間の非接触給電が高効率に行われるようにドライバを支援するシステムである。駐車支援システム1は、後述するECU100、右サイドミラー300R、左サイドミラー300L及び給電装置30を備えて構成される。尚、図1は、車両10が駐車スペース20に後進走行で駐車する様子を上面方向から見た図となっている。
駐車スペース20は、右側駐車枠線21R及び左側駐車枠線21L(以下、これらを包括する場合は「駐車枠線21」と表現する)並びに右側車輪止め22R及び左側車輪止め22L(以下、これらを包括する場合は「車輪止め22」と表現する)によって規定される駐車用の空間である。
駐車枠線21は、駐車スペース20の幅を規定する線であり、本発明に係る「ガイド線」の一例である。尚、本実施形態において、右側駐車枠線21Rの左側端部と左側駐車枠線21Lの右側端部との距離が、駐車スペースの幅値Lと定義される。
車輪止め22は、車両10が車輪止め22よりも後方(図下方)に進行しないように車両10の前後方向の駐車位置を制限する、例えばコンクリート製(材質は特に限定されない)の構造物である。
給電装置30は、車両10に設置された後述する受電装置400との間で非接触給電を実現可能な、本発明に係る「給電装置」の一例たる電力供給装置である。
ここで、図2を参照し、給電装置30の構成について説明する。ここに、図2は、給電装置30のブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、給電装置30は、制御装置31、高周波電源32、給電ユニット33及び通信装置34を備える。
制御装置31は、給電装置30の動作を制御するコンピュータ装置であり、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御装置30は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述するインフラ側駐車支援制御処理を実行可能に構成される。
高周波電源32は、商用交流電力を所定周波数(数MHz程度)の高周波電力に変換して給電ユニット33に供給する電源装置である。
給電ユニット33は、駐車スペース20の幅方向中央部に固定され、高周波電源32から供給される高周波電力を車両10の受電装置400に非接触で送出可能に構成された装置である。具体的には、給電ユニット33は、自己共振コイルを含み、受電装置400に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより、高周波電力を受電装置400に非接触で供給する構成となっている。
通信装置34は、車両10の通信装置500との間でデータ通信を行うための通信インターフェイスである。尚、通信装置34と通信装置500との間のデータ通信は、例えば高周波帯を使用した無線通信として行われても、赤外線通信として行われてもよい。また、通信装置34は、制御装置31と電気的に接続されており、通信装置34と車両10の通信装置500との間のデータ通信は、制御装置31により制御される構成となっている。
図1に戻り、車両10は、車幅値Wを有する、本発明に係る「車両」の一例たるハイブリッド車両である。
ここで、図3を参照し、車両10の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、車両10のブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、車両10は、ECU100、ハイブリッド駆動装置200、サイドミラー300、受電装置400及び通信装置500を備える。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、車両10の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「取得手段」、「演算手段」及び「制御手段」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する第1車両側駐車支援制御処理を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「取得手段」、「演算手段」及び「制御手段」の夫々一例として機能し得る一体の電子制御ユニットであるが、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではない。例えば、これら各手段は、例えば複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
ハイブリッド駆動装置200は、車両10の車軸(符号省略)に連結された駆動軸250に駆動トルクを供給することにより車両10を駆動する動力供給装置である。
ここで、図4を参照し、ハイブリッド駆動装置200の詳細な構成について説明する。ここに、図4は、ハイブリッド駆動装置200のブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、ハイブリッド駆動装置200は、PCU210、バッテリ220、エンジン230、動力分割機構240、モータジェネレータMG1、モータジェネレータMG2及び駆動軸250を備える。
PCU210は、バッテリ220から取り出した直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ220に供給可能に構成された不図示のインバータを含み、バッテリ220と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ220を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された制御ユニットである。PCU210は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ220は、例えばリチウムイオンバッテリセル等の単位電池セルを複数(例えば、数百個)直列に接続した構成を有し、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能する電池ユニットである。
エンジン230は、燃料の燃焼に伴う熱エネルギを運動エネルギに変換して取り出し可能な公知の各種態様を有する内燃機関である。エンジン230における燃料種別、燃料供給態様、燃料噴射態様、吸排気系の構成及び動弁系の構成等は如何様にも限定されない。エンジン230の出力トルクであるエンジントルクTeは、不図示のクランク軸を介して、動力分割機構240の入力軸に伝達される構成となっている。
モータジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた電動発電機である。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1よりも体格の大きい電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。
モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有するが、無論他の構成を有していてもよい。
動力分割機構240は、エンジン230、モータジェネレータMG1及びMG2との間のトルクの入出力態様を規定する遊星歯車機構である。
動力分割機構240は、中心部に設けられた図示せぬサンギアS1と、サンギアS1の外周に同心円状に設けられた図示せぬリングギアR1と、サンギアS1とリングギアR1との間に配置されてサンギアS1の外周を自転しつつ公転する複数の図示せぬピニオンギアと、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支する図示せぬたるキャリアC1とを備えた公知の遊星歯車機構である。
サンギアS1は、動力分割機構240においてエンジントルクTeに拮抗する反力トルクを負担する反力要素であり、モータジェネレータMG1の出力軸に固定されている。リングギアR1は、動力分割機構240の出力要素であり、駆動軸250に、その回転軸を共有する形で連結されている。キャリアC1は、エンジン230のクランク軸に連結された入力軸にその回転軸を共有する形で連結されている。
上述した構成を有するハイブリッド駆動装置200において、動力分割機構240は、エンジン230から入力軸に供給されるエンジントルクTeを、キャリアC1によってサンギアS1及びリングギアR1に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジントルクTeを2系統に分割することができる。この際、動力分割機構240の動作を分かり易くするため、リングギアR1の歯数に対するサンギアS1の歯数としてのギア比ρを定義すると、エンジン230からキャリアC1に対しエンジントルクTeを作用させた場合に、サンギアS1に作用するトルクTesは下記(1)式により、また駆動軸250に現れるエンジン直達トルクTerは下記(2)式により、夫々表される。
Tes=−Te×ρ/(1+ρ)・・・(1)
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
一方、駆動軸250には、既に述べたようにモータジェネレータMG2が連結されている。従って、ハイブリッド駆動装置200において、例えば駆動軸250に要求される要求トルクがエンジン直達トルクTerで不足する場合等には、モータジェネレータMG2からアシストトルクTmg2が供給され、係るトルク不足分を補償することが出来る。また、制動時には、駆動軸250を介して入力される運動エネルギをモータジェネレータMG2の回生トルクを利用して電力に変換し、所謂回生制動が実現される。この回生制動により得られた回生電力は、PCU210を介して適宜バッテリ220に供給される。
尚、ハイブリッド駆動装置200の構成は上述のものに限定されない。即ち、車両10において、モータジェネレータの個数も、動力分割機構の構成も、これらの間の接続態様も、公知非公知を問わず如何様にも変形可能である。また、これらに更にクラッチ装置、ブレーキ装置、変速装置又は減速装置等を追加することも可能である。但し、ハイブリッド車両の構成は、本発明との相関が薄いため、ここではこれ以上の説明を割愛する。
図3に戻り、サイドミラー300は、車両10の側部に設けられた所謂ドアミラーであり、本発明に係る「車両用サイドミラー」の一例である。サイドミラー300は、右サイドミラー300R及び左サイドミラー300Lから構成される。尚、サイドミラー300とは、これらを左右の別なく包括する場合の呼称である。
サイドミラー300は、ミラー部310R/L、ミラー駆動部320R/L、LED330R/L及びLED駆動部340R/Lを備える。尚、これらもまた、左右の別なく包括する場合には、左又は右を意味するL又はRの識別符号を適宜省略することとする。
ミラー部310は、本発明に係る「ミラー部」の一例であり、車両10の側方及び後方の一部を反射像として映し出すことが可能な鏡体である。
ミラー駆動部320は、ミラー部310を収容するミラー枠の内部でミラー部310を上下左右方向に回動させるための駆動機構である。ミラー駆動部320は、例えばドライバのシートポジションやアイポジション等に応じてドライバが行う指示操作に応じてミラー部310を駆動する。
LED330は、ミラー部310を収容するミラー枠、より具体的には当該ミラー枠のうちミラー部310を挟んで上下に対向する上辺部と下辺部とに夫々等間隔で複数個配置された、本発明に係る「光源」の一例である。尚、ミラー部310がミラー枠により収容される点に鑑みれば、このようなLED330の配置態様は、表示手段をミラー部の外周に設置する態様の一例となる。
LED駆動部340は、LED330の点灯/消灯を制御する電気駆動回路である。尚、LED駆動部340は、上記ミラー駆動部320と共に、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作が制御される構成となっている。
尚、本実施形態においては、サイドミラー300及びECU100により本発明に係る「車両用サイドミラーシステム」の一例が構成される。
受電装置400は、車両10の車体底面(フロアパネル)に設置され、給電装置30の給電ユニット33から送出される電力を非接触で受電可能に構成された、本発明に係る「受電装置」の一例である。受電装置400は、自己共振コイルを備えており、給電ユニット33の自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより、給電ユニット33から供給される高周波電力を非接触で受電することが出来る。
通信装置500は、車両10の後方バンパ等に埋め込まれた、給電装置30の通信装置34との間でデータ通信を行うための通信インターフェイスである。
ここで、本実施形態に係る非接触給電について、具体的に説明する。給電装置30の高周波電源32に一次コイルを接続し、電磁誘導により一次コイルと磁気的に結合される一次自己共振コイルへ1〜数MHzの高周波電力を給電する。一次自己共振コイルは、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイルと同じ共振周波数を有する二次自己共振コイルと電磁場を介して共鳴する。すると、一次自己共振コイルから二次自己共振コイルへ電磁場を介して電力が移動する。二次自己共振コイルへ移動した電力は、電磁誘導により二次自己共振コイルと磁気的に結合される二次コイルによって取り出され、負荷に供給される。係る説明において、一次コイル及び一次自己共振コイルが給電ユニット33に相当し、二次コイル及び二次自己共振コイルが受電装置400に相当し、負荷がバッテリ220に相当する。尚、給電装置33と受電装置400との間の非接触給電に係る実践的態様は、ここに例示したものに限定されず如何なるものであってもよい。
次に、図5を参照し、サイドミラー300について視覚的に説明する。ここに、図5は、右サイドミラー300Rの構成を概念的に示す概略構成図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
尚、これ以降の説明では基本的に右サイドミラー300Rが例に挙げられるが、これは一例であり、右サイドミラー300Rと左サイドミラー300Lとが基本的に同一構造を有する点に鑑みれば、当該説明は、適宜符号を異ならしめることによって、左サイドミラー300Lに関する説明に容易に転用出来ることは言うまでもない。
図5において、右サイドミラー300Rのミラー部310Rには、左端部に車両10のボディが、中央付近に駐車スペース20の右側駐車枠線21Rが夫々反射像として映し出されている。尚、このミラー部310Rの有効幅値をXと定義する。
一方、ミラー枠におけるミラー部310R上方である上辺部には、複数個のLEDからなる上辺部LED330Rupが等間隔に配列しており、同様にミラー枠におけるミラー部310R下方である下辺部には、複数個のLEDからなる下辺部LED330Rlwが等間隔に配列している。ECU100は、後述する第1車両側駐車支援制御処理において、この上辺部LED330Rup及び下辺部LED330Rlwの中から夫々一のLEDを選択して点灯させる。点灯させるべきLEDは、点灯した上下一対のLEDを結ぶ仮想線が右側駐車枠線21Rと重なった時に、駐車スペース20における車両10の位置が目標駐車位置となるように選択される。
尚、これ以降の説明において、上辺部LED330Rup及び下辺部LED330Rlwを上下辺の別なく包括する場合には適宜「LED330R」と表現することとする。また、これまでの説明と同様、LED330Rと左サイドミラー300LのLED330Lとを左右の別なく包括する場合には適宜「LED330」と表現することとする。
尚、先述したように、本実施形態では、表示手段がミラー部の外周に設置される構成が例示される。ここで、表示手段をミラー部の内周裏側に設置する態様については図示を控えるが、図5を参照して簡単に説明すると、その場合、上辺部LED330Rupは、ミラー部310の裏側において、ミラー部310の上辺部(ミラー部310の上方向の端部)に対向する位置に配置されていてもよい。同様に、下辺部LED330Rlwは、ミラー部310の裏側において、ミラー部310の下辺部(ミラー部310の下方向の端部)に対向する位置に配置されていてもよい。尚、この際、LEDは必ずしもミラー部に接触している必要はない。
ここで特に、このような構成では、LEDとドライバとの間にミラー部310が介在することになるため、ミラー部310は、LEDからの出射光を表側に透過させる構造を有する。
ここで、図1に戻り、車両10の目標駐車位置について説明する。
駐車支援システム1における車両10の目標駐車位置とは、概念的には、給電装置30(より具体的には給電ユニット33)と受電装置400とが車幅方向においてずれなく正対する位置であり、実践的には、左右いずれかの駐車枠線21から車両10側部までの距離が目標駐車位置相当距離L1となる位置と定義される。
尚、本実施形態では、給電装置30が駐車スペース20において車幅方向中央に設置され、車両10の受電装置400も車両10において車幅方向中央に設置されるので、目標駐車位置は、右側駐車枠線21Rから車両10右側部までの距離により定義しても、左側駐車枠線21Lから車両10の左側部までの距離と定義しても同じである。
但し、通常、ドライバは自身に近い側のサイドミラーをより多く視認するから、これ以降の説明では、ドライバが右サイドミラー300Rを視認しつつ車両10を駐車させる場合について説明することとする。即ち、目標駐車位置は、右側駐車枠線21Rから車両10右側部までの距離が目標駐車位置相当距離L1となる位置として定義される。
尚、前後方向における給電装置30と受電装置400との位置整合に関しては、本発明では触れないこととする。
<1.2:実施形態の動作>
次に、適宜図面を参照し、本実施形態の動作について説明する。
<1.2.1:インフラ側駐車支援制御処理の詳細>
始めに、図6を参照し、給電装置30の制御装置31により実行されるインフラ側駐車支援制御処理の詳細について説明する。ここに、図6は、インフラ側駐車支援制御処理のフローチャートである。
図6において、制御装置31は、制御領域内に車両が存在するか否かを判別する(ステップS101)。尚、制御領域とは、通信装置34の通信可能領域である。通信装置34の通信可能領域内に車両が存在するか否かの判別には、公知の各種手法を適用可能である。制御領域内に車両が存在しない場合(ステップS101:NO)、制御装置31は、ステップS101を繰り返し実行する。
制御領域内に車両が存在する場合(ステップS101:YES)、制御装置31は、存在を検出した車両との間でID認証処理を実行する(ステップS102)。即ち、ステップS102に係る処理は、給電装置30と、その時点で制御装置31の制御領域内に存在する車両との双方で協調して実行される。
ここで、ID認証処理について説明する。本実施形態に係る駐車支援システム1を利用する車両(以下、適宜「支援対象車両」と表現する)を保有するドライバには、例えば、駐車支援システム1の運用業者等から、予め固有のID(認証識別コード)が付与されている。このIDは、例えば、当該IDを記憶したIDカード等の形態で付与されており、ドライバがこの駐車支援システム1を利用する場合には、例えば車室内に設けられた挿入口等に当該IDカードを挿入する構成となっている。
制御装置31は、制御領域内に存在する車両に対しIDの送信を要求し、車両側の通信手段(例えば、通信装置500)及び通信装置34を介して得られたIDを特定する。駐車支援システム1の利用が許可されるIDは、予め制御装置31が保持しており、特定されたIDと保持する許可IDとが照合され、特定されたIDが許可IDであるか否かが判別される。
制御装置31は、ID認証処理の結果として、制御領域内に存在する車両が支援対象車両であるか否かを判別する(ステップS103)。支援対象車両でない場合には(ステップS103:NO)、処理はステップS101に戻される。尚、ステップS103は、特定されたIDが保持された許可IDと整合した場合に「YES」側に分岐する
一方、制御領域内に存在する車両が支援対象車両である場合(ステップS103:YES)、制御装置31は、当該支援対象車両に対し、通信装置34を介して駐車枠情報を送信する(ステップS105)。駐車枠情報とは、駐車スペース毎に設定された、駐車スペースのサイズに関する情報であり、本実施形態では、駐車スペース20の幅値Lである。
駐車枠情報を送信すると、処理はステップS101に戻される。尚、駐車枠情報の再取得要求が車両側からなされた場合等を除き、一旦制御領域内に侵入した車両に対する駐車枠情報の送信は基本的に繰り返されない。即ち、この場合、処理はステップS101で実質的に待機状態となる。
尚、給電装置30を介した非接触給電による駐車中の給電の可否は、この駐車支援システム1の利用可否とは必ずしも一致しない。給電装置30は、駐車スペース20に設置されたインフラ設備であり、然るべき受電装置を有する車両、或いは、受電装置を有すると共に係る非接触給電の利用が許可された車両(許可の付与態様は限定されない)であれば利用可能である。
<1.2.2:第1車両側駐車支援制御処理の詳細>
次に、図7を参照し、車両10においてECU100により実行される第1車両側駐車支援制御処理の詳細について説明する。ここに、図7は、第1車両側駐車支援制御処理のフローチャートである。尚、車両10は駐車支援システム1の利用が許可された車両であり、先のインフラ側駐車支援制御処理により上記駐車枠情報の提供を受けているものとする。
図7において、ECU100は、駐車枠情報から幅値Lを取得する(ステップS201)。尚、本実施形態では、駐車枠情報が幅値Lであると定義したので、駐車枠情報を取得することと幅値Lを取得することは等しい。例えば、駐車枠情報が幅値L以外の駐車スペース20の情報を含む場合には、ステップS201において、駐車枠情報から幅値Lが分離特定される。
尚、幅値Lは、車両10に車両後方を撮像可能なリアカメラ等が備わる場合には、当該車両後方の撮像結果に基づいた画像解析等により推定されてもよい。
幅値Lを取得すると、ECU100は、目標駐車位置相当距離L1を算出する(ステップS202)。ここで、本実施形態では、先に述べたように、給電装置30が駐車スペース20の車幅方向中央にあり、受電装置400も車両10の車幅方向中央にあるので、目標駐車位置相当距離L1を下記(3)式に従って求めることが出来る。無論、給電装置30又は受電装置400が中央からずれている場合には、その分を補正する補正演算により目標駐車位置相当距離L1が算出される。
L1=(L−W)/2・・・(3)
目標駐車位置相当距離L1を求めると、ECU100は更に、ミラー部310R上のボディマーキングBMの表示位置であるボディマーキング位置Lbを算出する(ステップS203)。
ボディマーキングBMとは、ミラー部310Rにおける車両10のボディ位置をドライバに告知するための視覚情報であり、下辺部LED330Rlwの中からボディマーキング位置Lbに該当するものとして選択され発光駆動されたLEDがそれに該当する。
ボディマーキング位置Lbは、ミラー部310Rの左端部(ボディ側端部)からの距離として定義され、デフォルト設定において、ミラー部310Rの有効幅Xの1/3に相当する位置と規定されており、下記(4)式により求められる。
Lb=X/3・・・(4)
尚、デフォルト設定とされるように、ミラー部310Rの表示領域に占める車両10のボディの割合は、通常は概ね1/3程度であるが、ミラー部310Rの位置にはドライバの嗜好が反映されるので、デフォルト位置からミラー部310Rが左右いずれかの方向に回動せしめられている場合には、その回動量に応じてボディマーキング位置Lbが補正演算される。尚、ミラー部310Rの回動位置は不定でも、右サイドミラー300Rと車両10のボディとの位置関係は変化しないので、ミラー部310Rの1/3をボディが占める回動位置(デフォルト位置)が予め把握されている限りにおいて、ボディマーキング位置Lbは容易に特定され得る。
ボディマーキング位置Lbが算出されると、ミラーマーキングMM1の位置を規定するミラーマーキングMM1位置相当距離L1’が演算される(ステップS204)。
ミラーマーキングMM1は、右側駐車枠線21Rと目標駐車位置との相対的位置関係を表す視覚情報であり、本発明に係る「視覚情報」の一例である。ミラーマーキングMM1は、具体的には、下辺部LED330Rlwの中から選択され発光駆動される一のLEDである。ミラーマーキングMM1位置相当距離L1’は、目標駐車位置相当距離L1(目標駐車位置に車両10が駐車された場合における右側駐車枠線21Rと車両10右側部との距離)を、ミラー部310における表示長に変換した値である。
目標駐車位置相当距離L1からミラーマーキングMM1位置相当距離L1’への変換処理には、ミラーマーキング位置変換マップが使用される。ここで、図8を参照し、当該ミラーマーキング位置変換マップの詳細について説明する。ここに、図8は、ミラーマーキング位置変換マップの概念図である。
図8に示すように、目標駐車位置相当距離LとミラーマーキングMM1位置相当距離L1’とは比例関係にある。ミラーマーキング位置変換マップには、図8に例示する関係が数値化されて格納されている。
図7に戻り、ミラーマーキングMM1位置相当距離L1’が算出されると、先に算出されたボディマーキング位置Lbを基準としてミラーマーキングMM1位置Lmm1が確定される(ステップS205)。即ち、この時点で、下辺部LED330Rlwのうち、ミラーマーキングMM1となるべき一のLEDが選択確定される。
続いて、ECU100は、ミラーマーキングMM2の位置であるミラーマーキングMM2位置Lmm2を決定する(ステップS206)。ミラーマーキングMM2は、上辺部LED330Rupのうち、ミラーマーキングMM1から右側駐車枠線21Rの伸長方向に沿った方向へ延ばした線上に位置する一のLEDである。
ミラーマーキングMM1及びMM2の位置(即ち、発光させるべきLED)が確定すると、ECU100は、車両10のシフトレンジが後退走行に相当するレンジ、即ち「R」レンジであるか否かを判別する(ステップS207)。シフトレンジがRレンジでない場合(ステップS207:NO)、ECU100は、ドライバが駐車支援を求めていないものとして処理をステップS201へ戻す。
シフトレンジがRレンジである場合(ステップS207:YES)、ECU100は、ミラー駆動部320Rを制御して、ミラー部310Rを下向きに可動させると共に、ミラーマーキングMM1及びMM2に相当するLEDを発光駆動する(ステップS208)。
ミラーマーキングMM1及びMM2が発光駆動されると、ECU100は、シフトレンジが「R」以外のレンジであるか否かを判別する(ステップS209)。即ち、後退走行が終了したか否かを判別する(ステップS209)。シフトレンジが「R」レンジのままである場合(ステップS209:NO)、シフトレンジが「R」レンジに移行するまで処理が待機される。
一方、シフトレンジが「R」レンジ以外のレンジに切り替わった場合(ステップS209:YES)、ECU100は、ミラーマーキングMM1及びMM2に相当するLEDを消灯させ、ミラー駆動部320Rを制御して、ミラー部310Rを上向きに可動させる(ステップS210)。ミラー部310Rの位置が元に戻ると、第1車両側駐車支援制御処理は終了する。
次に、図9を参照し、このような第1車両側駐車支援制御処理の効果について説明する。ここに、図9は、第1車両側駐車支援制御処理が実行された場合のサイドミラー300Rの様子を表した図である。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、下辺部LED330Rlwのうち一のLED(ミラー部310Rの左端部からX/3の位置)がボディマーキングBMとして発光しており、また他の一のLEDがミラーマーキングMM1として発光している。一方、上辺部LED330Rupのうち、このミラーマーキングMM1の延長線上にあるLEDがミラーマーキングMM2として発光している。
ここで、上述した第1車両側駐車支援制御処理において、ボディマーキングBMとミラーマーキングMM1との距離は、目標駐車位置と右側駐車枠線21Rとの実際の相対的位置関係を反映して決められている。従って、ミラーマーキングMM1とミラーマーキングMM2とを結ぶ仮想線(図示破線)が右側駐車枠線21Rと重なった図示の状態において、駐車スペース20における車両10の位置は目標駐車位置となっている。
即ち、ドライバは、視覚情報としてのミラーマーキングMM1及びMM2から容易に想起可能な、これらを結ぶ仮想線が右側駐車枠線21Rと重なるように車両10を運転操作するだけで、車両10を給電装置30と受電装置400との位置関係が最適となる目標駐車位置へ容易に誘導することができるのである。
また、この運転操作は、線と線とを合わせ込む動作であり、極めて容易且つ直感的になされ得るため、目標駐車位置へ車両10を誘導するにあたって、車両10の挙動は大きく変化することがない。従って、車両10を誘導するにあたって安全性の低下が生じることも快適性の低下が生じることもない。
特に、図示するように、右側駐車枠線21Rがミラー枠の下辺部と接触するようにミラー部310Rに映し込まれている場合、右側駐車枠線21Rと仮想線とを合わせ込む操作が、この接触点とミラーマーキングMM1とを合わせ込む操作によって支援されるため、より確実に車両10を目標駐車位置に誘導することが出来る。
尚、本実施形態では、LED330がミラー部310の外周に設置される例について説明したが、LED330がミラー部310の内周裏側に設置される構成についても、同様の効果を得ることが出来る。
<2:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
始めに、図10を参照し、第2実施形態の概念について説明する。ここに、図10は、第2実施形態に係る駐車支援システム2の概念図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付して、或いは適宜符号の付与を省略して、その説明を適宜省略することとする。
図10において、車両10が図示矢線で示すように、駐車スペース20の右方向から進入し、右方向に回頭した後、後進走行で目標駐車位置に駐車する場合を考える。
駐車支援システム2は、駐車スペース20の前方境界付近で設定される起点(a)から目標停止位置(b)にかけて、上述した第1実施形態に係る駐車支援と併せて、車両10の駆動力制御を実行し、車両10が円滑に目標駐車位置で停止するように駐車支援を行うものである。尚、第1実施形態で述べたように、目標駐車位置とは駐車スペース20における車幅方向の位置であり、本実施形態に係る目標停止位置(b)とは、前後方向の位置である。尚、ここでは、目標停止位置(b)が車輪止め22の位置であるとし、起点(a)から目標停止位置(b)までの距離を、目標停止位置相当距離L(b)と定義する。
第2実施形態において、このような第2実施形態に係る駐車支援は、車両10のECU100が、第2車両側駐車支援制御処理を実行することによって実現される。
<2.1:実施形態の動作>
次に、図11を参照し、第2実施形態の動作として、第2車両側駐車支援制御処理について説明する。ここに、図11は、第2車両側駐車支援制御処理のフローチャートである。
図11において、ECU100は、給電装置30から送信される駐車枠情報から目標停止位置相当距離L(b)を取得する(ステップS301)。即ち、給電装置30は、インフラ側駐車支援制御処理において送信する駐車枠情報として、幅値Lに加えて当該目標停止位置相当距離L(b)を送信する。尚、目標停止位置相当距離L(b)を規定する起点(a)は、車両10が略直進状態で駐車スペース20への進入を開始する位置として定義される。
目標停止位置(b)を取得すると、ECU100は、変速装置のシフトレンジが「R」レンジであるか否かを判別する(ステップS302)。ステップS302は、ドライバが駐車意思を有するか否かを判定するステップである。シフトレンジが「R」レンジでない場合(ステップS302:NO)、ECU100は、ドライバが駐車意思を有さぬものと判断して、処理をステップS301に戻す。
シフトレンジが「R」レンジである場合(ステップS302:YES)、ECU100は、車両10に備わる車輪速センサから車輪速Vtを取得し、車両10に備わる操舵角センサからハンドルの回転角である後退時操舵角MAを取得し、更に、通信装置500から給電装置30との間の通信電界強度Meを取得する(ステップS303)。
ECU100は、これらの値を取得すると、後退時操舵角MAが基準値C未満であり且つ通信電界強度Meから推定される給電装置30からの推定距離が基準値D未満であるか否かを判別する(ステップS304)。ステップS304は、車両10が後退する過程で図10の起点(a)或いは起点(a)付近に到達したか否かを判定する処理である。
後退時操舵角MA及び推定距離のうち少なくとも一方が、夫々について設定される基準値以上である場合(ステップS304:NO)、ECU100は、車両10が未だ起点(a)に到達していない、或いは直進状態で駐車スペース20に進入する準備が整っていないものと判断して処理をステップS301に戻す。
ここで、図12及び図13を参照し、ステップS304に係る後退時操舵角MA及び推定距離の基準値について説明する。ここに、図12は車両10の車速と後退時操舵角MAの基準値Cとの関係を例示する図であり、図13は通信電界強度Meと給電装置30からの推定距離との関係を例示する図である。
図12において、縦軸及び横軸に夫々後退時操舵角MA及び車速が示される。ここで、本実施形態では、図示の通り後退時操舵角の基準値Cは車速に対して不変の固定値である。即ち、後退走行時の車速はドライバによる個人差が大きいところ、基準値Cは車速と無関係とされ、あくまで車両10が略直進状態で駐車スペース20に進入する状態にあるか否かを規定する値として予め実験的に、経験的に又は理論的に定められている。図示ハッチング表示された領域に後退時操舵角MAが存在することが、ステップS204が「YES」側に分岐する条件の一つとなる。
図13において、縦軸及び横軸に夫々推定距離及び通信電界強度Meが示される。図示の通り、通信電界強度Meが大きくなるに連れて、車両10と給電装置30との距離は二次関数的に減少すると推定される。従って、車両10が目標停止位置(b)に対して前後方向にどの程度離れているかは、図13に例示される関係に基づいて、通信電界強度Meからある程度推定することが出来るのである。本実施形態において、推定距離の基準値Dは、起点(a)よりも所定距離だけ給電装置30から遠い位置に相当する距離に設定されている。このように設定しておくことにより、距離の推定精度による実際の車両位置の誤差を吸収し、後述する駆動力制限を十分に発効せしめることができるからである。
図11に戻り、後退時操舵角MAが基準値C未満且つ推定距離が基準値D未満である場合(ステップS304:YES)、ECU100は、その時点の車両位置が起点(a)であると設定する(ステップS305)。起点(a)を設定すると、ECU100は、駆動力制限マップを使用した駆動力制限を開始する(ステップS306)。
ここで、図14を参照し、駆動力制限マップの詳細について説明する。ここに、図14は、駆動力制限マップの概念図である。
図14において、駆動力制限マップは三次元マップである。即ち、車両10の上限駆動力は、目標停止位置(b)からの推定距離と、路面勾配とをパラメータとして図示のように決定されている。尚、路面勾配の値は、車両10に勾配計や勾配センサ等が備わっていれば、それらを利用してもよいし、車両10にカーナビゲーション装置等が備わる場合には、GPS信号から勾配値が割り出されてもよい。或いは路面勾配値を特定する手段が搭載されていない場合には、路面勾配値に対して上限駆動力を一律に補正してもよい。この際、安全側への配慮として、上限駆動力は、路面勾配値に対する最低値で律束されるのが望ましい。
図14において、給電装置30からの推定距離(目標駐車位置からの推定距離と一義的な関係を有する)に着目すると、推定距離が短くなる程、即ち車両10が目標駐車位置に接近する程、車両10の駆動力はより大きく制限される。この際、駆動力制限マップを参照するための推定距離値としては、上述した通信電界強度Meとの関係性から特定される距離値が使用されてもよいが、通信電界強度Meと推定距離との関係性は誤差が大きいため、より正確な駆動力制限を行う観点からは、通信電界強度Meに基づいて起点(a)が設定された後に、ステップS303において取得された車輪速Vtに基づいて車両10の走行距離を割り出し、駐車枠情報として取得されている目標停止位置相当距離L(b)から係る走行距離を減じることにより、目標停止位置(b)からの距離が推定されるのが望ましい。このため、ステップS304における推定距離の基準値Dは、やや大きめの値に設定されているのである。
尚、駆動力を制限する態様は限定されないが、車両10が動力源としてエンジン230及びモータジェネレータMG1/MG2を有する点に鑑みれば、少なくともこれらのうち一の出力を制限するのが望ましい。車両後退走行時にいずれの駆動力源を使用するかは車両10の仕様や制御態様にもよるが、エンジン230の出力制限により駆動力制限を行う場合には、例えば、スロットルバルブの開度制限、点火時期の遅角制御等が好適に行われ得る。また、モータジェネレータの出力制限による駆動力制限は、エンジン200の場合よりも簡便であり、PCU210を介して与えられる駆動電力を制限すればよい。
図11に戻り、駆動力制限を開始すると、ECU100は、車両10のバックランプの照射特性を変更する(ステップS307)。尚、本実施形態において、この照射特性とは照射角度である。車両10において、例えばリアコンビネーションランプ或いはリアバンパ等に設置されるバックランプには、このため、ある程度の可動自由度が与えられており、ECU100の制御を受けたアクチュエータ等の作用を受けて、係る照射角度は遅滞なく可変となる。
バックランプ特性が変更されると、ECU100は、車両10が目標停止位置(b)に到達したか否かを判別し(ステップS308)、未だ到達していない場合には(ステップS308:NO)、駆動力制限を伴う後退走行を継続する。一方、車両10が目標停止位置(b)に到達したと判別された場合(ステップS308:YES)、ECU100は、駆動力制限を解除し(ステップS309)、バックランプの照射特性を標準特性に復帰させた(ステップS310)後、処理をステップS301に戻す。第2車両側駐車支援制御処理は以上のように実行される。
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態に係る給電効率を考慮した車両誘導を行いつつ、駆動力制限によって、車両10の車輪が比較的高速で車輪止め21へ接触することによる車両10の前後方向の揺り戻し等が防止され、より快適な車両誘導が実現される。
<3:第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る走行支援システム3について説明する。
始めに、図15を参照し、走行支援システム3の概念について説明する。ここに、図15は、走行支援システム3の概念図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図15において、走行支援システム3は、車両10が走行中に非接触給電を行う場合に、車両10の走行位置を目標走行位置に的確に誘導するためのシステムである。即ち、走行支援システム3は、駐車時であるか走行時であるかの部分で第1及び第2実施形態に係る駐車支援システムと異なっている。
図15において、車両10は、一般道等の走行路23を図示白抜き矢線の方向へ走行している。尚、説明を分かり易くするため、この走行路23の路幅値を第1及び第2実施形態に係る駐車スペース20の幅値と同様Lとする。また、目標走行位置も第1及び第2実施形態に係る目標駐車位置相当距離L1と同様の概念の下、目標走行位置相当距離L1によって定義されるものとする。
走行路23は、所謂車線(レーン)と称される走行スペースであり、白線(或いはレーンマーク)24によってその幅方向が区画されている。この走行路23には、第1及び第2実施形態に係る給電装置30と同様に、給電装置40がインフラ設備として埋設されている。
次に、図16を参照し、給電装置40における制御装置(第1及び第2実施形態に係る制御装置31に相当する)により実行されるインフラ側走行支援制御処理の詳細について説明する。ここに、図16は、インフラ側走行支援制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する概念については、適宜その説明を省略又は簡略化することとする。
給電装置40の制御装置は、第1及び第2実施形態と同様にして、制御領域内に車両が存在するか否かを判定する(ステップ401)。制御領域内に車両が存在しない場合(ステップS401:NO)、ステップS401が繰り返し実行される。
制御領域内に車両が存在する場合(ステップS401:YES)、制御装置は、ID認証処理を実行し(ステップS402)、支援対象車両であるか否かを判別する(ステップS403)。支援対象車両でない場合(ステップS403:NO)、即ち、走行支援システム3の利用が許可されない車両である場合(尚、既に述べたように、非接触給電の可否とは必ずしも関係ない)、処理をステップS401に戻す。
支援対象車両である場合(ステップS403:YES)、制御装置は車両に対し走行車線枠情報を送信する(ステップS404)。走行車線枠情報とは、第1及び第2実施形態に係る駐車枠情報と同様の概念であり、ここでは、走行路23の路幅値Lを含んだ情報である。走行車線枠情報が送信されると、処理はステップS401に戻される。インフラ側走行支援制御処理は以上のように実行される。
続いて、図17を参照し、車両10においてECU100により実行される車両側走行支援制御処理の詳細について説明する。ここに、図17は、車両側走行支援制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図7と重複する箇所については、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図17において、ECU100は、インフラ側走行支援制御処理において送信された走行車線枠情報から走行車線枠23の路幅値Lを取得する(ステップS501)。また、第1及び第2実施形態に係る目標駐車位置相当距離と同様の概念にて目標走行位置相当距離L1を算出する(ステップS502)。
ステップS203乃至ステップS206にかけて、ボディマーキング位置Lb、ミラーマーキングMM1位置相当距離L1’、ミラーマーキングMM1位置Lmm1及びミラーマーキングMM2位置Lmm2が確定されると、ECU100は、マーキング起動要求の有無を判別する(ステップS503)。マーキング起動要求とは、操作ボタン等を介してなされるドライバの操作入力等を意味する。即ち、走行支援システム3は、車両走行中の支援制御であるから、ドライバによってはサイドミラー300へのミラーマーキングの表示を好ましく思わない場合もある。そのような場合にミラーマーキングMM1/MM2等を表示することは、支援の概念から外れるため、ドライバが走行支援システム3に係る走行支援を享受する意思があるか否かが判別されるのである。
マーキング起動要求がない場合(ステップS503:NO)、処理はステップS501に戻される。即ち、この場合、ミラーマーキングによる走行支援は行われない。
一方、マーキング起動要求がある場合(ステップS503:YES)、ECU100は、ミラーマーキングMM1及びMM2に相当するLEDを発光させ、ミラーマーキングMM1及びMM2をミラー部310の外周枠に表示する(ステップS504)。
ミラーマーキングが起動されると、ECU100は一定周期でマーキング停止要求の有無を判別する(ステップS505)。マーキング停止要求とは、例えば、マーキング起動要求の反対操作であり、ドライバが自身の意思で行うボタン操作等を意味する。尚、ミラーマーキング停止要求は、ドライバの意思とは無関係に生じる場合もある。例えば、給電対象であるバッテリ220のSOC(State Of Charge)が、物理的上限値又は制御上の上限値に達している場合、非接触給電自体が不要であるとの判断がなされてもよく、このような場合については、ミラーマーキングの表示自体も必要とはならず、ECU100側で自動的にミラーマーキング停止要求を生成してもよい。
ミラーマーキング停止要求がない場合(ステップS505:NO)、ECU100は、ミラーマーキングMM1及びMM2並びにボディマーキングBMの表示を継続する。一方、ミラーマーキング停止要求が生じた場合(ステップS505:YES)、ECU100は、ミラーマーキングに相当するLEDを消灯せしめ、ミラーマーキングMM1及びMM2並びにボディマーキングBMの表示を停止する(ステップS506)。その後、処理はステップS501に戻される。車両側走行支援制御処理は以上のように実行される。
本実施形態に係る走行支援制御処理によれば、車両10が走行中に走行路に設置された給電装置との間で非接触給電を行う場合についても、ミラーマーキングによって、車両10の幅方向位置が、給電効率が最適となる目標走行位置に好適に誘導され得る。従って、高品質な走行支援が簡便にして可能となるのである。
尚、本発明に係る「表示手段」は、上記実施形態においては一律にLEDであるが、無論これは一例に過ぎない。ガイド線と目標走行位置との相対的位置関係を視覚情報として表示可能な限りにおいて、本発明に係る表示手段の採り得る実践的態様は多義的であり、他の発光素子(例えば、有機EL素子等)や光源(例えば、ハロゲンランプ等)が用いられてもよい。或いは、ミラー外周枠にバックライトとしての光源と液晶素子とを含む一種の表示装置を構築して、当該液晶素子の偏光特性等を利用して、バックライトの出射光を上記各種マーキングの部分だけ透過させる構成としてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両用サイドミラー及び車両用サイドミラーシステムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。