次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態に係るカートリッジの一例としての現像カートリッジ7が着脱されるレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分に係る現像カートリッジ7の詳細な構成について説明する。
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
給紙部3は、本体ケーシング2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
露光装置4は、本体ケーシング2内の上部に配置され、図示されないレーザ発光部やポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体ケーシング2に設けられたフロントカバー2Aを開いたときにできる開口から本体ケーシング2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。
現像カートリッジ7は、ドラムユニット6に対して着脱自在となっており、ドラムユニット6に装着された状態、すなわち、プロセスカートリッジ5として本体ケーシング2に対し着脱可能に装着されるように構成されている。この現像カートリッジ7は、現像ローラ18と、供給ローラ19と、層厚規制ブレード14と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部15と、アジテータ16とを主に備えている。
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部15内のトナーは、アジテータ16によって撹拌されながら、まず供給ローラ19に供給され、次いで供給ローラ19から現像ローラ18に供給される。そして、現像ローラ18の回転に伴って、現像ローラ18と層厚規制ブレード14の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ18上に担持される。
現像ローラ18上に担持されたトナーは、現像ローラ18から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
<現像カートリッジの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分となる現像カートリッジ7の詳細構造について説明する。
図2(a)に示されるように、現像カートリッジ7の筐体13は、左側壁41および図示されない右側壁を備えている。左側壁41の外側面(左側面)には、図3(a)に示されるように、カバー部材の一例としてのギヤカバー46が取り付けられている。
ギヤカバー46の内側には、図2(a)に示されるように、受動ギヤ51、現像ギヤ52、供給ギヤ53、中間ギヤ54、第2回転体の一例としてのアジテータギヤ55および第1回転体の一例としての被検知回転体56が設けられている。
受動ギヤ51は、左側壁41の後端上部に配置されている。受動ギヤ51は、筐体13の左側壁41に回転可能に支持されている。
そして、受動ギヤ51は、図2(b)に示されるように、大径ギヤ部58と小径ギヤ部59を一体的に有している。大径ギヤ部58と小径ギヤ部59は、左側壁41側からこの順に並んでいる。
大径ギヤ部58は、周面に、その全周にわったって、図示されないギヤ歯(例えば、斜歯)が形成されている。
小径ギヤ部59は、大径ギヤ部58と一体に回転する。小径ギヤ部59は、大径ギヤ部58よりも小径に形成され、周面には、その全周にわたって、図示されないギヤ歯(例えば、平歯)が形成されている。
そして、受動ギヤ51は、外側つまり左側の面に、結合凹部51Aが形成されている。現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された状態で、結合凹部51Aには、本体ケーシング2内に備えられる図示されない駆動出力部材が挿入される。
現像ギヤ52は、図2(a)に示されるように、受動ギヤ51の後下方に配置されている。現像ギヤ52は、現像ローラ18の現像ローラ軸20に相対回転不能に取り付けられている。現像ローラ軸20は、左側壁41を回転可能に貫通している。現像ギヤ52の周面には、その全周にわたって、図示されないギヤ歯が形成されている。このギヤ歯は、受動ギヤ51の大径ギヤ部58のギヤ歯と噛合している(図2(b)参照)。
供給ギヤ53は、受動ギヤ51の下方に配置されている。供給ギヤ53は、供給ローラ19(図1参照)の供給ローラ軸21に相対回転不能に取り付けられている。供給ローラ軸21は、左側壁41を回転可能に貫通している。供給ギヤ53の周面には、その全周にわたって、図示されないギヤ歯が形成されている。このギヤ歯は、受動ギヤ51の大径ギヤ部58のギヤ歯と噛合している(図2(b)参照)。
中間ギヤ54は、受動ギヤ51の前上方に配置されている。中間ギヤ54は、筐体13の左側壁41に回転可能に支持されている。
そして、中間ギヤ54は、図2(b)に示されるように、相対的に小さい外径を有する円板状に形成された小径部64と、相対的に大きい外径を有する円筒状に形成された大径部65とを一体的に有している。小径部64および大径部65は、左側壁41側からこの順に並んでいる。
小径部64の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。
大径部65の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。大径部65のギヤ歯は、受動ギヤ51の小径ギヤ部59のギヤ歯と噛合している。
アジテータギヤ55は、図2(a)に示されるように、中間ギヤ54の前下方に配置されている。アジテータギヤ55は、アジテータ回転軸17に相対回転不能に取り付けられている。アジテータ回転軸17は、左側壁41および図示されない右側壁を左右方向に貫通し、左側壁41および右側壁に回転可能に保持されている。筐体13内において、アジテータ回転軸17には、アジテータ16(図1参照)が取り付けられている。
また、アジテータギヤ55は、図2(b)に示されるように、大径ギヤ部66および小径ギヤ部67を一体的に有している。
大径ギヤ部66は、アジテータ回転軸17と中心軸線が一致する円板状をなしている。大径ギヤ部66の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。この大径ギヤ部66のギヤ歯は、中間ギヤ54の小径部64のギヤ歯と噛合している。また、図2(a)に示すように、大径ギヤ部66の左端面(外側面)には、係合部の一例としての押圧部68が立設されている。押圧部68は、アジテータギヤ55の回転方向の下流側から上流側に向かうにつれて、大径ギヤ部66の径方向内側から外側に向かって延びるリブ状の突起である(図4(b)も参照)。
小径ギヤ部67は、図2(b)に示されるように、大径ギヤ部66に対して左側壁41と反対側に形成され、アジテータ回転軸17と中心軸線が一致する円板状をなし、大径ギヤ部66よりも小径に形成されている。小径ギヤ部67の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。
被検知回転体56は、図2(a)に示されるように、アジテータギヤ55の前上方に配置されている。被検知回転体56は、筐体13の左側壁41から左方向に延びる軸部87(図8(a)も参照)に回転可能に支持されている。
そして、被検知回転体56は、図2(b)に示されるように、挿通部69、欠け歯ギヤ部70、第1被検知部71、第2被検知部72、連結部73、支持部74および被係合部の一例としての被押圧部75(図2(a)参照)を一体的に有している。
挿通部69は、軸部87の外径とほぼ同じ内径を有する円筒状をなしている。挿通部69に軸部87が挿通されることにより、被検知回転体56は、軸部87に回転可能に支持され、また、被検知回転体56の回転の軸線方向(以下、単に「軸線方向」とよぶ。)に移動可能となっている。
欠け歯ギヤ部70は、挿通部69の周囲に略円板状に形成されている。欠け歯ギヤ部70は、周面がアジテータギヤ55の小径ギヤ部67と対向するように配設され、当該周面に、ギヤ歯が設けられた伝達部の一例としてのギヤ歯部76と、ギヤ歯が設けられていない被伝達部の一例としての欠け歯部77とを有している。具体的には、欠け歯ギヤ部70の周面には、中心角が205°をなす部分を欠け歯部77として、その欠け歯部77以外の中心角が約155°をなす部分に、ギヤ歯部76が形成されている。そして、ギヤ歯部76がアジテータギヤ55の小径ギヤ部67のギヤ歯と噛合した状態で欠け歯ギヤ部70が左右方向に移動しても、その噛合が解除されないように、欠け歯ギヤ部70の厚さ(左右方向の寸法)は、アジテータギヤ55の小径ギヤ部67の左右方向の寸法よりも小さくされている。
被押圧部75は、図2(a)に示されるように、円柱状をなし、欠け歯ギヤ部70の右端面において、ギヤ歯部76の歯列における回転方向の下流側端部および挿通部69の中心軸線を結ぶ線分と被押圧部75および挿通部69の中心軸線を結ぶ線分とのなす角度が約30°となる位置に立設されている。被検知回転体56が初期位置にあるとき、つまり、現像カートリッジ7が新品状態であるとき、この被押圧部75は、軸線方向から見て、アジテータギヤ55の大径ギヤ部66と被検知回転体56が重なっている範囲内において、押圧部68よりもアジテータギヤ55の回転方向下流側に配置されている。
また、被検知回転体56が初期位置にあるとき、欠け歯ギヤ部70は、欠け歯部77がアジテータギヤ55の小径ギヤ部67と対向するように配置されている。
欠け歯ギヤ部70には、筐体13に対向する面に、凹部78が形成されている。凹部78は、欠け歯部77の挿通部69に対して被押圧部75とは反対側の縁に形成されている。
第1被検知部71、第2被検知部72および連結部73は、欠け歯ギヤ部70の左端面に立設されている。
第1被検知部71は、図2(b)に示されるように、ギヤ歯部76の歯列における被検知回転体56の回転方向(左側から見て反時計回り)の上流側端部と挿通部69の中心軸線とを結ぶ線分上に配置されている。第1被検知部71は、左右方向および欠け歯ギヤ部70の径方向に延びる矩形板状をなしている。
第2被検知部72は、挿通部69の中心軸線を中心として第1被検知部71を通る円弧上であって、第1被検知部71に対して被検知回転体56の回転方向の上流側において、第1被検知部71および挿通部69の中心軸線を結ぶ線分と第2被検知部72および挿通部69の中心軸線を結ぶ線分とのなす角度が約80°となる位置に配置されている。第2被検知部72は、左右方向および欠け歯ギヤ部70の径方向に延びる矩形板状をなし、左右方向において、第1被検知部71と同じ寸法を有している。
連結部73は、挿通部69の中心軸線を中心として第1被検知部71および第2被検知部72を通る円弧に沿ったリブ状をなし、第1被検知部71と第2被検知部72とを連結している。連結部73の左右方向の寸法(高さ)は、第1被検知部71および第2被検知部72の左右方向の寸法の約半分程度である。
支持部74は、欠け歯ギヤ部70の右端面(内側面)に立設されている。支持部74は、左右方向に延び、右側に先細りとなる略三角形板状をなしている(図4(b)も参照)。
筐体13の被検知回転体56と対向する左側壁41には、カム部89が設けられている。
カム部89は、図4(b)および図6(b)に示されるように、薄い壁状(リブ状)をなしている。また、カム部89は、側面視で軸部87を中心とする半円弧状をなしている。より具体的には、カム部89は、被検知回転体56の回転方向の上流側の一端が軸部87に対して前下方に位置し、その反対側(回転方向の下流側)の他端が軸部87に対して後上方に位置して、前方に凸湾曲する略C字状をなしている。
そして、筐体13の左側壁41からのカム部89の突出量(高さ)は、軸部87の前下方に位置する一端部から他端に近づくにつれて徐々に大きくなり、その一端部と他端部との間の部分で一定であり、他端部で他端に近づくにつれて徐々に小さくなっている。これにより、カム部89の先端面(左端面)は、被検知回転体56の回転方向上流側の突出量が徐々に大きくなる部分において、被検知回転体56の回転方向の下流側ほど筐体13の左側壁41から離れるように傾斜した傾斜面94を有している。また、カム部89の先端面は、突出量が一定の部分において、筐体13の左側壁41と平行をなす平行面95を有し、被検知回転体56の回転方向下流側の突出量が徐々に小さくなる部分において、回転方向の下流側ほど筐体13の左側壁41に近づくように傾斜した傾斜面96を有している。
第1回転規制部97は、カム部89に対して回転方向の上流側に間隔を空けた位置に立設され、被検知回転体56の径方向および左右方向に延びる板状をなしている。この第1回転規制部97とカム部89の隙間は、被検知回転体56の支持部74の先端が嵌るようになっており、被検知回転体56が振動などで回転しないように被検知回転体56を初期位置に保持する保持部88となっている。
第2回転規制部98は、カム部89に対して回転方向の下流側に間隔を空けた位置に立設され、回転方向および左右方向に延びる板状をなしている。
このように構成されたカム部89、被検知回転体56の支持部74、第1回転規制部97および第2回転規制部98は、被検知回転体56の回転を、被検知回転体56の軸線方向に沿った運動に変換するカム機構200となっている。
図3(a)に示されるように、ギヤカバー46には、被検知回転体56を内側に収容する側面視円形状の回転体収容部102が形成されている。そして、回転体収容部102は、左端面に、被検知回転体56の第1被検知部71および第2被検知部72と対向する位置に、側面視で下方が開放端となるC字状の開口103が形成され、前側の面に、被検知回転体56と筐体13の隙間を露出させるための、被検知回転体56の径方向外側に軸線方向に長いスリット状の孔104が形成されている(図3(b)参照)。この孔104の周方向の幅は、後述する治具Tの厚みと略同じ寸法を有している。なお、被検知回転体56が初期位置にあるときには、被検知回転体56の凹部78と孔104は、被検知回転体56の回転方向において同じ位置に配置されている。
回転体収容部102の内面には、図8(a)に示されるように、ボス106が形成されている。ボス106は、ギヤカバー46が左側壁41に取り付けられた状態で、その中心軸線が軸部87の中心軸線と一致するように設けられている。ボス106の基端部は、被検知回転体56の挿通部69の内径より少し小さく、軸部87の内径より大きい外径を有する円筒状をなしている。ボス106の先端部は、軸部87の内径より少し小さい外径を有する円筒状をなしている。
ギヤカバー46が左側壁41に取り付けられたときに、軸部87にボス106の先端部が挿入されることにより、軸部87の先端がギヤカバー46に保持され、被検知回転体56が左側壁41とギヤカバー46との間で回転可能に保持される。
そして、被検知回転体56の欠け歯ギヤ部70とギヤカバー46の内面との間には、コイルばね105が挿通部69およびボス106に挿通された状態で設けられている。このコイルばね105の付勢力(弾性力)により、被検知回転体56が左側壁41に向けて押圧される。
<検出機構>
本体ケーシング2内には、図2(a)および図3(b)に示すような、第1被検知部71および第2被検知部72を検出するための検出機構が備えられている。この検出機構は、アクチュエータ111および図示されない光センサとを含む。
アクチュエータ111は、左右方向に延びる揺動軸112と、揺動軸112から下方に延びる当接レバー113と、揺動軸112から後方に延びる遮光レバー114とを一体的に備えている。揺動軸112は、例えば、本体ケーシング2の図示されない内壁部に回転可能に保持されている。当接レバー113と遮光レバー114とは、揺動軸112を中心として約80°の角度をなして交差している。
そして、アクチュエータ111は、当接レバー113が揺動軸112からほぼ鉛直下方に延び、遮光レバー114が後側やや斜め下方に延びる非検知姿勢(図2(a)参照)と、当接レバー113が後側やや斜め下方に延び、遮光レバー114が後方に延びる検知姿勢(図6(a)参照)とに揺動可能に設けられている。アクチュエータ111は、図示されないばねのばね力により、そのばね力以外の外力が加わらない状態で非検知姿勢となるように付勢されている。
光センサは、左右方向に互いに対向して配置される発光素子および受光素子を備えている。そして、光センサは、発光素子から受光素子に至る光路が非検知姿勢のアクチュエータ111の遮光レバー114により遮られ、アクチュエータ111が検知姿勢でその光路上から遮光レバー114が退避する位置に配置されている。発光素子から受光素子に至る光路上から遮光レバー114が退避した(外れた)ときに、例えば、光センサからオン信号が出力される。
<現像カートリッジの装着検出および新品検出>
図2(a)に示されるように、新品の現像カートリッジ7では、第1被検知部71および第2被検知部72は、軸部87に対してそれぞれ前方および前下方に配置されている。この状態で、被検知回転体56のギヤ歯部76の歯列における回転方向の最下流側のギヤ歯部76は、アジテータギヤ55の小径ギヤ部67の上方に配置されており、小径ギヤ部67のギヤ歯と噛合していない。また、被検知回転体56の支持部74は、図2(b)に示されるように、カム部89と第1回転規制部97との間の保持部88に配置され、その先端は、筐体13の左側壁41に当接している。つまり、被検知回転体56は、軸線方向において最も筐体13に近く、押圧部68と被押圧部75が係合可能な第1位置に位置している(図8(a)参照)。さらに、アジテータギヤ55の押圧部68が、被検知回転体56の被押圧部75に対して、アジテータギヤ55の回転方向の上流側から当接している。
新品の現像カートリッジ7が本体ケーシング2に装着された直後の状態では、図2(a)に示されるように、第1被検知部71および第2被検知部72は、いずれもアクチュエータ111の当接レバー113と接触していない。そのため、アクチュエータ111は、非検知姿勢をなし、当接レバー113がギヤカバー46の開口103(図3(b)参照)と左右方向に対向している。また、光センサの光路が遮光レバー114により遮られ、光センサからオフ信号が出力されている。
現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されると、レーザプリンタ1のウォームアップ動作が開始される。このウォームアップ動作では、受動ギヤ51の結合凹部51Aに図示されない駆動出力部材が挿入されて、この駆動出力部材から受動ギヤ51に駆動力が入力され、受動ギヤ51が左側から見て時計回りに回転する。そして、受動ギヤ51の回転に伴って、現像ギヤ52、供給ギヤ53および中間ギヤ54が図2(a)に示される方向矢印の向きに回転し、現像ローラ18および供給ローラ19が回転する。また、中間ギヤ54の回転に伴って、アジテータギヤ55が図示時計回りに回転し、アジテータ16(図1参照)が回転する。このアジテータ16の回転により、筐体13内のトナーが攪拌される。
アジテータギヤ55が回転すると、押圧部68と被押圧部75が係合し、押圧部68が被押圧部75を押圧する。そして、この押圧により、被検知回転体56が回転方向に回転する。被検知回転体56が所定角度回転すると、被検知回転体56のギヤ歯部76がアジテータギヤ55の小径ギヤ部67と対向し、ギヤ歯部76のギヤ歯と小径ギヤ部67のギヤ歯が噛合する。この後は、小径ギヤ部67のギヤ歯から被検知回転体56のギヤ歯部76に駆動力が伝達され、その駆動力により、被検知回転体56が回転方向に回転する。
被検知回転体56の回転に伴って、被検知回転体56の支持部74は、筐体13の左側壁41上をカム部89に向かって摺動し、図4(b)に示されるように、カム部89の傾斜面94上を平行面95に向かってさらに摺動する。これにより、被検知回転体56は、その回転に伴って、左方に徐々に移動する。また、被検知回転体56の回転により、図4(a)に示されるように、第1被検知部71および第2被検知部72が回転方向に移動する。そのため、第1被検知部71および第2被検知部72は、回転方向に移動しつつ左方に徐々に進出し、図5に示されるように、その先端部がギヤカバー46の開口103を介して外側に突出する。
被検知回転体56の回転が進むにつれて、第1被検知部71および第2被検知部72がアクチュエータ111の当接レバー113に近づく。そして、図4(b)に示されるように、支持部74がカム部89の傾斜面94と平行面95との境界付近に達すると、図4(a)に示されるように、第1被検知部71の先端が当接レバー113に当接する。
被検知回転体56の回転がさらに進むと、第1被検知部71が当接レバー113を後方へ押圧し、アクチュエータ111が非検知姿勢から検知姿勢となる。その結果、光センサの発光素子から受光素子に至る光路上から遮光レバー114が外れ、光センサからオン信号が出力される。これにより、第1被検知部71の検出が達成される。
その後、被検知回転体56の回転が進むと、第1被検知部71が当接レバー113から離れ、アクチュエータ111が検知姿勢から非検知姿勢に戻る。その結果、光センサの発光素子から受光素子に至る光路が遮光レバー114により再び遮られ、光センサからの出力信号がオン信号からオフ信号に切り替わる。被検知回転体56の支持部74は、カム部89の平行面95上を摺動する。
被検知回転体56の回転がさらに進むと、第2被検知部72が当接レバー113に当接し、図6(a)に示されるように、第2被検知部72が当接レバー113を後方へ押圧し、アクチュエータ111が非検知姿勢から再び検知姿勢となる。その結果、光センサの発光素子から受光素子に至る光路上から遮光レバー114が外れ、光センサからオン信号が再び出力される。これにより、第2被検知部72の検出が達成される。このとき、被検知回転体56の支持部74は、図6(b)に示されるように、カム部89の平行面95と傾斜面96との境界付近に達している。また、被検知回転体56のギヤ歯部76の歯列における回転方向の最上流側のギヤ歯部76のみがアジテータギヤ55の小径ギヤ部67のギヤ歯と噛合している。
この状態から被検知回転体56がわずかに回転すると、第2被検知部72が当接レバー113から離れ、アクチュエータ111が検知姿勢から非検知姿勢に戻る。その結果、光センサからの出力信号がオン信号からオフ信号に再び切り替わる。また、図7(a)に示されるように、被検知回転体56のギヤ歯部76とアジテータギヤ55の小径ギヤ部67のギヤ歯との噛合が解除される。さらに、被検知回転体56の支持部74がカム部89の平行面95上から傾斜面96上に移る。被検知回転体56は、コイルばね105(図6(b)参照)により左側壁41に向けて付勢されている。そのため、支持部74が傾斜面96上に移ると、その付勢により、支持部74が傾斜面96上を第2回転規制部98に向かって摺動する。これにより、被検知回転体56は、回転方向に回転しつつ、右方へ移動する。そして、支持部74が傾斜面96上から脱落すると、コイルばね105の付勢力により、図7(b)に示されるように、被検知回転体56は、右方へ一気に移動する。
支持部74は、傾斜面96上から脱落すると、カム部89と第2回転規制部98との間に配置される(図6(b)参照)。これにより、被検知回転体56の回転が規制され、被検知回転体56は、その回転位置で静止し続ける。また、この状態では、図7(a)に示されるように、被検知回転体56の被押圧部75は、軸線方向から見て、アジテータギヤ55と被検知回転体56が重なっている範囲外にあるので、アジテータギヤ55が回転しても、アジテータギヤ55の押圧部68と被押圧部75は係合しない。
このように、新品の現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に初めて装着されると、光センサからオン信号が出力される状態が2回生じる。したがって、現像カートリッジ7が本体ケーシング2に装着された後、光センサからオン信号が出力される状態が2回生じた場合には、その現像カートリッジ7が新品であると判断することができる。
一方、旧品の現像カートリッジ7(本体ケーシング2内に一度は装着されたことがある現像カートリッジ7)が本体ケーシング2内に装着された場合には、レーザプリンタ1のウォームアップ動作が開始されても、被検知回転体56は回転しない。よって、現像カートリッジ7が本体ケーシング2に装着されてからの所定期間内に、光センサからオン信号が出力されない場合には、その現像カートリッジ7が旧品であると判断することができる。
<検査工程>
新品の現像カートリッジ7の出荷前に、現像ローラ18の回転などの検査を行う場合、受動ギヤ51を回転させて、現像ギヤ52、供給ギヤ53、中間ギヤ54およびアジテータギヤ55を回転させる。しかし、この工程で現像カートリッジ7が旧品とならないように、被検知回転体56は、初期位置に保つ必要がある。
そこで、検査工程においては、まず、図8(a)に示されるように、ギヤカバー46の孔104から被検知回転体56と筐体13の間に、L字形状の治具Tを挿入し、一端を被検知回転体56の凹部78に嵌める。このとき、孔104と被検知回転体56の凹部78が、被検知回転体56の回転方向において同じ位置にあるので、治具Tを凹部78に嵌めやすい。
そして、凹部78に嵌めた一端が軸線方向の外側に向かって移動するように、治具Tの他端を筐体13側へ回動させる。これにより、図8(b)に示されるように、治具Tにより、被検知回転体56の欠け歯ギヤ部70が軸線方向の外側に移動する。これにより、被検知回転体56が第1位置よりも筐体13から離れた第2位置に移動する。このとき、欠け歯ギヤ部70に形成されている被押圧部75も軸線方向の外側に移動するので、押圧部68と被押圧部75が軸線方向にずれた位置に配置される。これにより、受動ギヤ51が回転することでアジテータギヤ55が回転しても、押圧部68が被押圧部75と係合することができないので、被検知回転体56は回転しない。
また、治具Tを差し込んで被検知回転体56を軸線方向外側に移動させると、図9に示すように、第1被検知部71と第2被検知部72がギヤカバー46から突出する。このとき、被検知回転体56の凹部78に治具Tが嵌っているので、この突出した第1被検知部71や第2被検知部72に作業者等が触れてしまっても、被検知回転体56が回転しないようになっている。
そして、検査が終了した後に、治具Tを外すと、コイルバネ105の付勢力により、被検知回転体56が軸線方向内側へ移動し、元の最も筐体13に近い位置に戻る。
被検知回転体56は、初期位置において、欠け歯部77がアジテータギヤ55の小径ギヤ部67に対向しているので、初期位置において被検知回転体56のギヤ歯部76がアジテータギヤ55の小径ギヤ部67と対向(噛合)している構成に比べて、被検知回転体56を治具Tによって軸線方向へ移動させやすい。
また、カム機構200が、カム部89と第1回転規制部97の間に、被検知回転体56を初期位置に保持する保持部88を有しているので、振動などにより被検知回転体56が初期位置からずれるのを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、係合部の一例としてアジテータギヤ55に設けられている押圧部68を例示し、被係合部の一例として被検知回転体56に設けられている被押圧部75を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、係合部はアジテータギヤ55のギヤ歯であり、被係合部は被検知回転体56のギヤ歯部76であってもよい。
前記実施形態では、被検知回転体56(第1回転体)は、アジテータギヤ55(第2回転体)と対向する周面に、ギヤ歯部76(伝達部)と欠け歯部77(非伝達部)とを有する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1回転体は、側面が第2回転体の側面と対向し、当該側面に伝達部と非伝達部を有する構成であってもよい。具体的には、第1回転体は、一部に歯が形成されていない(非伝達部を有する)、かさ歯車や冠歯車(クラウンギヤ)のような構成であってもよい。
前記実施形態では、第1回転体の伝達部として、ギヤ歯が設けられたギヤ歯部76を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1回転体の周面の一部にゴムベルトを付け、このゴムベルトを付けた部分を伝達部としてもよい。この第1回転体は、伝達部が第2回転体と対向したときに、第2回転体との摩擦により駆動力が伝達される。
前記実施形態では、カートリッジとして、現像ローラ18やトナー収容部15などを備える現像カートリッジ7を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像ローラやトナー収容部などのほかに、さらに感光体ドラムなどを備えるプロセスカートリッジであってもよいし、トナー収容部とアジテータを備える(現像ローラを備えない)トナーカートリッジであってもよい。
前記実施形態では、本発明の現像カートリッジ7が装着される画像形成装置として、モノクロ画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カラー画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。