JP5798893B2 - ゴム組成物及びゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、ゴム組成物に充填材としてシリカを配合する方法が知られている。通常、シリカ配合ゴム組成物においては、シリカによるゴム組成物の補強性を高めるため、またはゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高めるために、シランカップリング剤が配合される。
しかしながら、タイヤの耐摩耗性を低下させることなく、タイヤの低発熱性を向上するには、更なる改良が望まれている。
すなわち、本発明は、
[1]ゴム成分(A)と、下記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物である。
[2]ゴム成分(A)と、上記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(C)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(D)の全部又は一部、及び上記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)を混練するゴム組成物の製造方法である。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、下記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含む。
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選択できる。合成ジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等を用いることができる。天然ゴム及び合成ジエン系ゴムは、1種単独でもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
チオアミド系化合物(B)は、一般式(1)で表される。
R1及びR2が、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、分岐状であってもよい。また、R1及びR2が、炭素数6から20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ジフェニル基等を挙げることができる。特に好ましいR1及びR2としては、R1及びR2がともに水素原子であるもの、R1及びR2の一方が水素原子であって、もう一方がメチル基であるもの、R1及びR2の一方が水素原子であって、もう一方がフェニル基であるもの、R1及びR2の一方が水素原子であるか又は脂肪族炭化水素基であって、その脂肪族炭化水素基がXと結合することにより、環状のポリメチレン基構造を有するものを挙げることができる。
Xが単結合の場合、Xは存在せず、Yが直接Xを介さずに硫黄原子と結合している炭素原子と結合した構造をとる。また、Xが炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、分岐状であってもよい。そして、Xが炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ジフェニル基等を挙げることができる。
また、前述したようにR1及びR2の一方が水素原子であるか又はメチル基であって、もう一方がXと結合した環状のポリメチレン基構造を有するものも特に好ましい。
これら下記一般式(I)で示される好ましいチオアミド系化合物(B)について、具体的に例示すれば、チオアセトアミド、チオプロピオンアミド、チオアセトアニリド、4-クロロチオベンズアミド、4-ヒドロキシチオベンズアミド、ε-チオカプロラクタム、1-メチルピロリジン-2-チオン、N-フェニルチオベンズアミド、チオベンズアミド等が挙げられる。これらの具体的化合物の構造は、下記式で示される。
<無機充填材(C)>
従来のゴム組成物に添加することが可能な充填材は、本発明の充填材として使用可能である。本発明においては、充填材には、無機充填材(C)が含まれる。
無機充填材(C)としては、低転がり性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用できるが、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は80〜350m2/gであるのが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が130m2/gを超え、350m2/g以下であるシリカが更に好ましく、BET表面積が135〜350m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソーシリカ社製、商品名「ニプシルAQ」(BET比表面積 =205m2/g)、「ニプシルKQ」(BET比表面積 =240m2/g)、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
dM1・xSiOy・zH2O (I)
ここで、一般式(I)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
なお、一般式(I)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
また、一般式(I)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
本発明における無機充填材(C)として、シリカ単独で使用してもよいし、シリカと一般式(I)で表される無機化合物の1種以上とを併用してもよい。
本発明のゴム組成物の充填材は、所望により、上記の無機充填材(C)に加えてカーボンブラツクを含有しても良い。
カーボンブラックとしては、市販ものが使用できる。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を享受できる。
カーボンブラックに特に制限はないが、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラックを使用できる。特に、SAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックのDBP吸収量は、好ましくは80cm3/100g以上、より好ましくは100cm3/100g以上、特に好ましくは110cm3/100g以上である。また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは85m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、特に好ましくは110m2/g以上である。
本発明のゴム組成物の無機充填材(C)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物のウェット性能を確保する観点から好ましく、120質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。
また、本発明のゴム組成物の無機充填材(C)を含む充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材(C)が30質量%以上であることがウェット性能と転がり抵抗の両立の観点から好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
なお、無機充填材(C)としてシリカを使用する場合は、前記充填材中におけるシリカの割合が30質量%以上であることが好ましい。
本発明のゴム組成物には、シリカなどの無機充填材(C)が配合されたゴム組成物の補強性を高めるため、またはゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高めるために、シランカップリング剤(D)が配合される。
本発明で使用されるシランカップリング剤(D)としては、下記一般式(II)〜(V)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物を用いることができる。以下、下記一般式(II)〜(V)を順に説明する。
上記一般式(III)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)10−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S3−(CH2)6−S3−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2.5−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S3−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S4−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)10−S2−(CH2)10−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3等で表される化合物が好適に挙げられる。
また、一般式(VII)で表される市販品として入手できるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT Ultra Low−V Silane」が挙げられる。
更に、一般式(VIII)で表される市販品として入手できるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT−Z」が挙げられる。
シランカップリング剤(D)としては、一般式(II)〜(V)で表わされる化合物のうち上記一般式(II)で表される化合物が特に好ましい。
本発明に係るゴム組成物のシランカップリング剤(D)の配合量は、質量比{シランカップリング剤(D)/無機充填材(C)}が(1/100)〜(20/100)であることが好ましい。(1/100)未満ではゴム組成物の低発熱性向上の効果が発揮しにくくなり、(20/100)を超えると、ゴム組成物のコストが過大となり、経済性が低下するからである。更には質量比(3/100)〜(20/100)であることがより好ましく、質量比(4/100)〜(10/100)であることが特に好ましい。
これに対して、混練工程における混練段階の回数を増やすと、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を混練工程で完結させることができ、ポーラスの発生を抑えることが可能である。しかし、混練工程の生産性を著しく低下させるという問題があった。
本発明に係るゴム組成物では、チオアミド系化合物(B)は、シリカなどの無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を良好に促進すると考えられる。このように、本発明に係るゴム組成物によれば、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より発熱性の低い空気入りタイヤを得ることができる。
本発明に係るゴム組成物には、加硫剤、加硫促進剤が配合される。加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等が挙げられる。
本発明に係るゴム組成物には、有機酸化合物が含まれていてもよい。有機酸化合物としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びにロジン酸や変性ロジン酸等の樹脂酸などの有機酸、並びに飽和脂肪酸、不飽和樹脂酸及び樹脂酸のエステルなどが挙げられる。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、ゴム成分(A)と、下記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(C)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(D)の全部又は一部、及び下記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)を混練するすることを特徴とする。
なお、上述の第一練り段階は、実施形態におけるマスターバッチ練り段階に相当する。マスターバッチ練り段階と最終練り段階との間に、主としてマスターバッチの粘度を下げる目的で、中間練り段階が設けられてもよい。
本発明に係るゴム組成物の製造方法によれば、チオアミド系化合物(B)が、無機充填材(C)を含む充填材の分散性を良好にすると考えられる。このように、本発明に係るゴム組成物の製造方法によれば、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より発熱性の低い空気入りタイヤを得ることができる。
例えば、第一練り段階(すなわち、マスターバッチ練り段階)において、第1マスターバッチ練り段階として、ゴム成分(A)、無機充填材(C)の全部又は一部、及びシランカップリング剤(D)の全部又は一部を混練し、冷却して養生の後、第2マスターバッチ練り段階として、チオアミド系化合物(B)を加えて、更に混練してもよい。
なお、中間段階(第2マスターバッチを示します)でゴム成分や充填剤等を配合し、混練してもよい。第一練り段階より後、かつ最終練り段階より前の中間練り段階を含む際には、中間練り段階におけるゴム組成物の最高温度は120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、30秒から5分であることがさらに好ましい。なお、中間練り段階を含む際には、前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
本発明において、混練の最終練り段階とは、加硫系薬品(加硫剤、加硫促進剤)を配合し、混練する工程をいう。この最終練り段階におけるゴム組成物の最高温度は60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、100〜120℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、20秒から5分であることがさらに好ましい。第一練り段階、中間練り段階から最終練り段階に進む際には、前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
[評価方法]
<耐摩耗性(指数)>
対象タイヤを乗用車に装着し、1万km走行した時点でのタイヤの摩耗量を測定した。比較例1のタイヤを100として下記式により指数表示した。指数が高い程、耐摩耗性に優れることを示す。
(比較例1のサンプルの摩耗量)/(供試サンプルの摩耗量)×100
<低発熱性(tanδ指数)>
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1のtanδの逆数を100として下記式にて指数表示した。指数値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
低発熱性指数={(比較例1の加硫ゴム組成物のtanδ)/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
<実施例1〜7並びに参考例1及び2>
混練の第一練り段階において、バンバリーミキサーにて、ゴム成分(A)、チオアミド系化合物(B)、カーボンブラック、無機充填材(C)、シランカップリング剤(D)、アロマティックオイル、ステアリン酸、老化防止剤6PPDを混練し、混練の第一練り段階におけるゴム組成物の最高温度が150℃になるように調整した。次に、混練の最終練り段階において、表1に記載の残った配合剤を加えて混練し、混練の最終練り段階におけるゴム組成物の最高温度が110℃になるように調整した。
このゴム組成物から得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)、耐摩耗性を上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
<比較例1〜2>
混練の第一練り段階において、チオアミド系化合物(B)を加えない以外は、実施例1〜9と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)、耐摩耗性を上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
*1: 旭化成、溶液重合SBR商品名「T2000」
*2: JSR製、RSS#3
*3: 旭カーボン株式会社製、商品名「#80」
*4: 東ソーシリカ株式会社製、ニップシールAQ、 BET表面積220m2/g
*5: ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」
*6: チオアセトアミド
*7: チオベンズアミド
*8: 1−メチルピロリジン−2−チオン
*9: 1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」
*10: 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック224」
*11: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*12: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーDM」
*13: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
表1に示す実施例1〜9のゴム組成物は、比較例1〜2のゴム組成物と比較して、いずれも低発熱性(tanδ指数)が良好であった。
実施例1〜6のゴム組成物は、合成ジエン系ゴム100質量部に対して、チオアミド系化合物(B)の種類及びその配合量を変えて得られたものである。3種類のチオアミド系化合物(B)の中ではチオベンズアミドを用いた場合が低発熱性が最も良好であり、耐摩耗性指数も優れていた。チオアセトアミドを用いた場合、0.25質量部〜2質量部の範囲において、その配合量が多いほど、低発熱性が良好であった。
実施例7〜9のゴム組成物は、ゴム成分として合成ジエン系ゴムと天然ゴムの配合割合を1:1で使用し、チオアミド系化合物(B)の種類を変えて得られたものである。この実施例7〜9においても3種類のチオアミド系化合物(B)の中では、チオベンズアミドを用いた場合が低発熱性が最も良好であり、耐摩耗性指数も優れていた。
一方、比較例1及び比較例2では、チオアミド系化合物(B)を配合しないで得られたものであり、低発熱性及び耐摩耗性指数に劣ることが分かる。
Claims (9)
- 前記チオアミド系化合物(B)が前記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含まれる請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記シランカップリング剤(D)が、下記一般式(II)〜(V)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
(式中、R1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基であり、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。)
{式中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R9R10C=NO−、R9R10CNO−、R9R10N−、及び−(OSiR9R10)h(OSiR9R10R11)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j]0.5−基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)であり、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。}
{式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。R16は一般式(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)のいずれかの二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。}
{式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZaは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−]0.5から選ばれる基であり、複数あるZbは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−O−G−O−]0.5で表される官能基であり、複数あるZcは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−ORe、ReC(=O)O−、ReRfC=NO−、ReRfN−、Re−、HO−G−O−(Gは上記表記と一致する)で表される官能基であり、Re及びRfは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、且つ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。} - 前記無機充填材(C)がシリカである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記充填材中、前記無機充填材(C)が30質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記シランカップリング剤(D)が、前記一般式(II)で表わされる化合物である請求項3に記載のゴム組成物。
- ゴム成分(A)と、下記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(C)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(D)の全部又は一部、及び下記一般式(1)で表されるチオアミド系化合物(B)を混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は炭素数6から20の芳香族炭化水素基のいずれかであり、Xは、単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は炭素数6から20の芳香族炭化水素基のいずれかであり、Yは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、水酸基、アミノ基及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種である。〕 - 前記第一練り段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(C)の全部又は一部及び前記シランカップリング剤(D)の全部又は一部を混練した後に、前記チオアミド系化合物(B)を加えて、更に混練する請求項7に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記シランカップリング剤(D)が、下記一般式(II)〜(V)で表される化合物からなる群から1種以上選択される化合物である請求項7又は8に記載のゴム組成物の製造方法。
(式中、R1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基であり、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。)
{式中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R9R10C=NO−、R9R10CNO−、R9R10N−、及び−(OSiR9R10)h(OSiR9R10R11)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j]0.5−基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)であり、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。}
{式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。R16は一般式(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)のいずれかの二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。}
{式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZaは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−]0.5から選ばれる基であり、複数あるZbは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−O−G−O−]0.5で表される官能基であり、複数あるZcは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−ORe、ReC(=O)O−、ReRfC=NO−、ReRfN−、Re−、HO−G−O−(Gは上記表記と一致する)で表される官能基であり、Re及びRfは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、且つ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。}
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