JP5798326B2 - イオンを集束および蓄積する装置、および圧力領域を分離する装置 - Google Patents

イオンを集束および蓄積する装置、および圧力領域を分離する装置 Download PDF

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Description

本発明は、イオンを集束および蓄積する装置、および第1圧力領域を第2圧力領域から分離する装置に関し、特に、イオン分析装置に関する。本発明は、また、上記の装置のうち少なくとも1つを有する粒子ビーム装置に関する。
粒子ビーム装置は、特定の条件下における試料の特徴および挙動についての情報を得るため、非常に長期にわたり使用されてきている。このような粒子ビーム装置の1つとして電子ビームデバイスがあり、特に、走査型電子顕微鏡(以下、本明細書においてはSEMとも称する)がある。
SEMの場合、ビーム発生器により電子ビーム(以下、本明細書においては「一次電子ビーム」とも称する)を生成し、ビーム案内システム、特に、対物レンズにより、検査対象試料にこの電子ビームを集束する。偏向装置により、一次電子ビームを検査対象試料表面にわたりラスタ状に通過させる。このとき、一次電子ビーム中の電子は試料成分と相互作用する。この相互作用の結果として、特に、相互作用粒子が発生する。特に、検査対象試料表面から電子(いわゆる二次電子)が放出され、一次電子ビームから電子が後方散乱される(いわゆる後方散乱電子)。これら二次電子および後方散乱電子を検出し、画像生成に用いる。その結果、検査対象試料表面の画像が得られる。
さらに、従来から、各装置の組み合わせにより試料を検査することが知られており、この装置においては、電子とイオンの両方を検査対象試料に通過させることができる。例として、SEMにイオンビームカラムを付加的に設けることが知られている。イオンビームカラム内に設けたイオンビーム発生器によりイオンを生成し、このイオンを用いて試料を結像するための前処理(例えば、試料からの表面の除去または試料への材料の塗布)等を行う。この場合、SEMを使用して、特に、この前処理等の観察を行い、処理済または未処理の試料をさらに検査する。
上記の画像生成に加え、相互作用粒子のエネルギーおよび/または質量をより詳細に分析することも可能である。例えば、質量分析法(mass spectrometry)で知られる方法において、二次イオンをより詳細に検査する。この方法は、SIMS(secondary ion mass spectrometry(二次イオン質量分析法))の略称で知られる。本方法において、検査対象試料表面に集束1次イオンビームを照射する。この過程で、相互作用粒子が発生し、これらの粒子は試料表面から放出された二次イオンとして、分析ユニットにおいて検出され質量分析法により検査される。この過程で、これらの二次イオンを、そのイオン質量およびイオン電荷に基づき選択および識別することにより、試料の組成について推断できる。
既知の粒子ビーム装置において、真空条件下(10−3mbar(10−1Pa)から10−7mbar(10−5Pa))で、通常は10−6mbar(10−4Pa)の高真空を用いて、この検査対象試料に集束一次イオンビームを照射する。二次イオンも、高真空下で分析ユニットにより検査する。しかしながら、二次イオンの運動エネルギー分布は広域であるため、二次イオンを分析ユニットに直接注入するのは不都合がある。二次イオンを分析ユニットに送出するとともに、二次イオンを分析ユニットに注入する前にその運動エネルギー分布幅を減少させる、仲介ユニットが必要である。
二次イオンのエネルギーをガス粒子に伝達する装置は、従来より既知である。この装置は、内部領域を有する容器(コンテナ)を備え、その内部には不活性ガスが存在する。この容器には長手方向軸線を規定し、この軸線に沿って、第1電極、第2電極、第3電極、および第4電極が延在する。第1電極、第2電極、第3電極、および第4電極は、それぞれ、金属棒により構成される。各電極は四重極ユニットを構成し、容器内で四重極交流電場を発生させる。
イオンビームを用いて発生させた二次イオンは容器内に導入され、この二次イオンの運動エネルギーの一部は衝突によりガス粒子に伝達される。衝突速度を十分高くしてエネルギーを減少させるため、容器内は約5×10−3mbar(5×10−1Pa)の低真空となっている。二次イオンの低真空における平均自由経路長はミリメートル領域である。容器内のガスの分圧が高いほど、衝突速度が高くなり、したがって二次イオンからガス粒子にエネルギーを伝達する能力も高くなる。容器を通過した後、二次イオンは熱エネルギーのみを持つことになるはずである。
二次イオンの運動エネルギーは、一方では径方向成分に、他方では軸方向成分に分割することができる。径方向成分により、二次イオンは、容器の長手方向軸線に対してそれぞれ互いに放射状に分散する。従来は、上記の四重極ユニットによりこの分散を減少させる。四重極ユニットにより、二次イオンが容器の長手方向軸線に沿って交流電場内に放射状に蓄積される。よって、四重極交流電場は蓄積電場である。原理上は、四重極ユニットはポールトラップのように機能し、二次イオンに復元力が作用する。
同様に、四重極ユニットを設けた容器内において、二次イオンは静的には蓄積されず、調和的に振動することがわかっている。この調和的振動を、以下、本明細書においてはマクロ振動と呼ぶ。二次イオンを四重極ユニット内に確実に蓄積するため、四重極交流電場により適切な蓄積力(FStore)を与えなくてはならない。この蓄積力は、四重極交流電場振幅(UQuad)の四重極交流電場周波数(fQuad)に対する比に比例し、したがって、次式のようなる。
Figure 0005798326
マクロ振動は、四重極交流電場の周波数において、別の振動、すなわち、マクロ振動に重畳されたミクロ振動状の振動を有することがわかっている。このミクロ振動の振幅(ZMicro)は、四重極交流電場振幅(UQuad)の四重極交流電場周波数(fQuad)の二乗に対する比に比例する。
Figure 0005798326
二次イオンが四重極ユニットの上記電極のうちの1つに衝突することに起因する二次イオンの損失を防ぐため、マクロ振動の振幅とミクロ振動の振幅の合計である全振動振幅が、二次イオンを導入した容器の内部領域の半径を超えないようにしなければならない。
マクロ振動の振幅は、二次イオンから十分に大量のエネルギーをガス粒子に伝達することにより、減少することができる。対照的に、ミクロ振動の振幅は、四重極交流電場の周波数を増加することにより減少することができる。しかしながら、四重極交流電場の周波数が増加すると、容器内において二次イオンに作用する復元力が減少し、その結果、二次イオンを容器内に確実に蓄積するためには四重極交流電場の振幅を増加させることが必要となる。
二次イオンがガス粒子に衝突すると運動エネルギーの径方向成分が減少し、その結果、マクロ振動の振幅が減少して、二次イオンが容器の長手方向軸線上に集束される。
運動エネルギーの軸方向成分により、二次イオンは容器の長手方向軸線に沿って分析ユニットの方へ向かい容器を確実に通過する。上記の衝突により、運動エネルギーの軸方向成分も減少し、しかしながら、その結果として二次イオンのうちのいくつかはエネルギーが不十分となり容器を完全に通過して分析ユニットまで到達することができなくなる。したがって、従来は、電位勾配を容器上に生成し、それぞれの点に関連した電位を長手方向軸線上の各点に印加する。この電位勾配により、二次イオンは分析ユニットへ向かって軸方向に移動する。この電位勾配は、電位が分析ユニットへ向かって連続的に減少するように構成され、容器の一端部の領域においては、分析ユニットの方へ向けた電位井戸を有する。二次イオンは容器を通過し、この過程でそのエネルギーをガス粒子に伝達し、最後に電位井戸に滞留する。
既知の四重極ユニットは、電位勾配を生成するためセグメントに分割される。すなわち、第1電極、第2電極、第3電極、および第4電極はそれぞれセグメントに分割される。各セグメントのセグメント長は十分に短く、電位の電場突抜け現象(パンチスルー)は各セグメントの中央においても十分に有効となる。電場突抜け現象がこのように有効となるのは、セグメント長が容器のコア径に実質的に相当するときであることがわかった。用語「コア径」とは、容器の内部領域半径のことであり、二次イオンが上記電極に衝突せずに移動可能な半径のことである。
上記容器は、第1端部および第2端部を有する。第1端部には吸入口を設け、この吸入口を経由して二次イオンが発生した領域から容器の内部領域に入射する。内部領域は高真空状態に維持される。吸入口には圧段を設ける。この圧段により、第1圧域(この場合は、例えば、試料チャンバ内の高真空域)を第2圧域(この場合は、容器の内部領域内の低真空域)から分離し、第1圧域の真空度が実質的に低下しないようにする。容器の第2端部には排出口を設け、この排出口を経由して二次イオンは容器から出て分析ユニットの方へ向かう。排出口にはさらなる圧段を設け、第2圧域(この場合は、容器の内部領域内の低真空域)を第3圧域(この場合は、分析ユニット内の高真空域)から分離し、第3圧域の真空度が実質的に低下しないようにする。
上記の従来技術については、例えば、特許文献1(独国特許出願公開第102006059162号明細書)、特許文献2(米国特許出願第7,473,892号明細書)、特許文献3(欧州特許第1185857号明細書)、特許文献4(米国特許出願第5,008,537号明細書)、特許文献5(米国特許出願第5,376,791号明細書)、および特許文献6(国際公開第01/04611号パンフレット)を参照されたい。さらに、特許文献7(米国特許出願公開第2009/0294641号明細書)および特許文献8(米国特許第5,576,540号明細書)を参照されたい。
分析によれば、排出口にさらなる圧段を設けた構成による効果は小さくないことがわかった。いくつかの前提条件を順守する必要がある。圧段としての良好な効果を得るためには、終端電極には貫通口を設ける必要があり、その貫通口はできるだけ小さくし、またできるだけ長くする必要がある(通常は、小さいコアホールとして構成する)。この貫通口により容器を分析ユニットに連結し、二次イオンは貫通口を通過して分析ユニットの方へ向かう。例として、終端電極を導電性材料で形成した場合、終端電極は静電レンズとして機能する。二次イオンが終端電極上で反射もしくは終端電極に引き寄せられ、または終端電極により中性化されて、小さい貫通口を分析ユニットの方へ向かって通過しなくなる可能性がある。貫通口の径方向の大きさをやむを得ず大きくして、より多くの二次イオンを容器から分析ユニットに輸送することもできるが、この場合、終端電極の圧段としての特性が低下してしまう。なぜなら、小さい貫通口の径方向の大きさが大きくなると、容器からガス粒子が分析ユニット内に侵入し、その結果、分析ユニット内の高真空の劣化度が大きくなる。
終端電極を非導電性材料で形成することも望ましくない。なぜなら、終端電極に二次イオンが衝突した際に終端電極が帯電することにより擾乱電場が発生し、この擾乱電場が容器内の四重極交流電場を妨害する、または二次イオンを偏向させることがあるからである。この場合、四重極交流電場により生じた効果の一部が再度相殺されてしまう。このことが望ましくないのは明白である。
容器の内部領域を、軸方向に円錐形状の集束構造とし、この円錐形状の集束構造の最小径が容器の第2端部にくるように配置することも考慮した。このような構成により、容器のコア径はわずかに減少するであろう。しかしながら、この解決策も欠点がある。なぜなら、円錐形状の集束構造とすることにより、二次イオンの運動エネルギーの軸方向成分が再度二次イオンの運動エネルギーの径方向成分に変換されてしまい、その結果、二次イオンが、振幅の増加したマクロ振動を再度発生するからである。マクロ振動の振幅およびミクロ振動の振幅は、二次イオンが、圧段として構成した終端電極の貫通口を通過できないように設計することができる。さらに、分析によれば、この円錐形状の集束構造を機械的および電気的に実施するには多大な労力を要することがわかった。
圧段を、比較的大きいコア径を有する比較的長い導電性の管状容器として構成することも欠点がある。このような容器内には電場の存在しない領域ができてしまい、その結果、運動エネルギーの径方向成分により二次イオンの集束力の低下を引き起こす可能性がある。
独国特許出願公開第102006059162号明細書 米国特許出願第7,473,892号明細書 欧州特許第1185857号明細書 米国特許出願第5,008,537号明細書 米国特許出願第5,376,791号明細書 国際公開第01/04611号パンフレット 米国特許出願公開第2009/0294641号明細書 米国特許第5,576,540号明細書
したがって、本発明は、イオンを集束および蓄積する装置および2つの圧力領域を互いに分離する装置であって、設計が簡易であり、イオンをできるだけ小径上に集束することができる一方、他方では良好な圧段特性を有する装置を明示することを目的とする。
本発明によれば、上記の目的は、請求項1に記載の特徴を有する装置により達成される。本発明によるさらなる装置は、請求項10に記載の特徴により定義される。本発明による粒子ビーム装置は、請求項22に記載の特徴により定義される。本発明のさらなる特徴は、以下の発明の詳細な説明、特許請求の範囲、および/または添付の図面により明らかになるであろう。
請求項1に記載の本発明による装置は、例えば二次イオン等のイオンを集束および/または蓄積する装置である。この装置は、所定の軸線を中心とする小半径内にイオンを集束するのに特に適している。例として、この半径は、0.2mmから2mmの範囲内である。さらなる範囲については、以下にさらに説明する。
本発明による装置は、少なくとも1つのイオンを収容する少なくとも1つの容器を備える。この容器は、例えば、ガス粒子を有するガスを内部に収容した容器であり、この容器内でイオンがガス粒子に衝突することによりエネルギーを伝達し、イオンは熱エネルギーに制動される。代案または追加として、イオンをガス粒子により断片化し、その結果として、同様に制動する。容器は、少なくとも1つの排出口を有する。排出口は、容器からイオンを分析ユニットに輸送するために設けたものである。本発明による装置は、さらに、多重極交流電場、例えば四重極電場を発生させる少なくとも1つの多重極ユニット、例えば、四重極ユニットを備える。この多重極ユニットは容器の排出口に配置され、長手方向軸線を有する貫通口を有する。以下により詳細にさらに説明するように、長手方向軸線は、例えば、輸送軸線として構成する。さらに、多重極ユニットには複数の電極、具体的には、少なくとも1つの第1電極、少なくとも1つの第2電極、少なくとも1つの第3電極、少なくとも1つの第4電極、少なくとも1つの第5電極、少なくとも1つの第6電極、少なくとも1つの第7電極、および少なくとも1つの第8電極を設ける。第1電極、第2電極、第3電極、および第4電極は、貫通口の長手方向軸線から等しい径方向距離にあり、貫通口の長手方向軸線から第1径方向距離にある。さらに、第5電極、第6電極、第7電極、および第8電極は、貫通口の長手方向軸線から等しい径方向距離にあり、貫通口の長手方向軸線から第2径方向距離にある。第1径方向距離は第2径方向距離よりも小さい。
特に、本発明による装置は、確実に2つの機能を果たす。一方では、多重極交流電場を利用して、イオンを貫通口の長手方向軸線領域に径方向に集束させることができる。第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極、第6電極、第7電極、および第8電極は、対応する多重極交流電場、例えば四重極交流電場を発生させるように、接続する。特に、二次イオンは、貫通口の長手方向軸線を中心とする小半径内、例えば、0.2mmから1mmの範囲内に集束される。この範囲は、例えば、貫通口の径方向長さにほぼ相当する。したがって、本発明による装置を用いて、相当大きいコア径(例えば、2mmから50mmの範囲)を有する第1案内システムから、比較的小さいコア径(例えば、0.1mmから1mmの範囲)を有する第2案内システムにイオンを輸送することができ、本発明による装置上でイオンが意図せず反射されて容器内に戻ること、または、本発明による装置上でイオンが中性化されてしまうことがない。さらに、このような構成とすることにより、イオンの運動エネルギーの軸方向成分がイオンの運動エネルギーの径方向成分に変換されてしまうのを防ぐ。本発明による装置は、特に、圧段として用いるのに適している。
他方では、本発明による装置の多重極ユニットは、適切な電位(以下の本明細書においては、ミラー電位と称する)とすることができる。多重極ユニットをミラー電位とすることにより、熱エネルギーに制動されていないイオンを多重極ユニットから容器内に反射して戻し、容器を再度通過させることができる。これにより、容器内で再度ガス粒子との衝突が起こり、その結果、反射されたイオンからさらにエネルギーを伝達することができる。イオンが熱エネルギーに制動されると、ミラー電位を速やかに停止する。
本発明による装置の一実施形態によれば、追加または代案として、多重極ユニットは、平面により規定した第1外面を有する。例として、この平面は長手方向軸線に対し直角に配置する。さらに、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極、第6電極、第7電極、および第8電極は、平面上および/または平面に隣接して配置する。
さらに、本発明による装置のさらなる実施形態によれば、追加または代案として、多重極ユニットは、多重極ユニットの第1外面の反対側に配置した第2外面を有する。第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極、第6電極、第7電極、および第8電極は第1外面から第2外面にわたり延在する。代案として、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極、第6電極、第7電極、および/または第8電極は第1外面上および/または第2外面に配置する。例えば、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極を第1外面上に配置する。第5電極、第6電極、第7電極、および第8電極を第2外面上に配置する。
本発明による装置のさらなる実施形態によれば、追加または代案として、第1外面と第2外面を離間して、第1外面と第2外面との間の距離が、次の範囲、すなわち、0.5mmから50mmの範囲、0.5mmから40mmの範囲、0.5mmから30mmの範囲、0.5mmから20mmの範囲、0.5mmから10mmの範囲、または0.5mmから3mmの範囲のうちの1つの範囲内となるようにする。一実施形態において、この距離は実質的に1mmである。
本発明による装置のさらに別の実施形態によれば、多重極ユニットはディスク状である。この場合、ディスク状の設計とは、各電極を長手方向軸線に対して直角に配置した平面構造により構成することを意味する。例として、多重極ユニットは、長手方向軸線に沿って所定の長さを有する。しかしながら、本発明はディスク状に限定されるものではない。多重極ユニットは、本発明に適したその他の形状とすることができる。例えば、多重極ユニットを略円形とすることができる。この追加または代案として、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極、第6電極、第7電極、および/または第8電極は双曲的である。この双曲電極に関しては、以下に、より詳細にさらに説明する。例として、本発明による装置の一実施形態において、多重極ユニットはディスク状であり、12個または16個の双曲電極を備える。
本発明による装置のさらなる実施形態によれば、追加または代案として、多重極ユニットを少なくとも1つのプリント回路基板として構成する。例として、プリント回路基板をエポキシ樹脂または非導電性材料、例えば、セラミックまたはプラスチックにより形成する。さらに、プリント回路基板を可曲性および/または可撓性の材料で形成する。このプリント回路基板の実施形態は、製造が簡易なため、特に有利である。例えば、貫通口は容易に形成でき、例えば、プリント回路基板を圧延することにより形成できる。隣接する電極は絶縁層により互いに絶縁され、例えば、容量分圧器により駆動して、多重極交流電場を発生させる。
本発明による装置のさらなる実施形態によれば、追加または代案として、貫通口は長手方向軸線に対して径方向に長さを有し、この長さは、次の範囲、すなわち、0.4mmから10mmの範囲、0.4mmから5mmの範囲、または0.4mmから1mmの範囲のうち、少なくとも1つの範囲内である。
本発明は、請求項10に記載の特徴を有する装置に関する。この装置は、第1圧力領域を第2圧力領域から分離することを目的としたものである。したがって、この装置は圧段である。したがって、以下、本明細書においては圧段装置とも称する。
圧段装置は、軸線に沿って延在する細長い第1開口を有する。第1開口は、軸線に対して径方向長さを有し、さらに軸線に沿って軸方向長さを有する。軸方向長さは径方向長さよりも大きい。例として、軸方向長さは、径方向長さの、少なくとも4倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、または少なくとも50倍である。少なくとも1つの第1多重極デバイスおよび少なくとも1つの第2多重極デバイスを軸線に沿って配置する。
分析によれば、第1開口を上記のように構成し、各多重極デバイスを上記のように配置することにより、軸線に沿って多重極交流電場を上記のように発生させることで、一方では軸線を中心とする小半径内にイオンを確実に集束させることができ、他方では良好な圧段特性を得ることができる。
本発明の一実施形態において、代案または追加として、圧段装置は、次の特徴、すなわち、第1多重極デバイスが少なくとも第1開口の一部である第1貫通口を有すること、第2多重極デバイスが少なくとも第1開口の一部である第2貫通口を有すること、または、軸線を長手方向軸線として構成したこと、という特徴のうち少なくとも1つを有する。
本発明のさらなる実施形態において、代案または追加として、圧段装置は、次の特徴、すなわち、第1多重極デバイスは荷電粒子(例えば、イオン)を輸送するように設計したこと、第2多重極デバイスは荷電粒子(例えば、イオン)を輸送するように設計したこと、または軸線を輸送軸線として構成したこと、という特徴のうち少なくとも1つを有する。
圧段装置のさらなる実施形態において、追加または代案として、圧段装置は、次の特徴、すなわち、第1多重極デバイスはディスク状であること、または第2多重極デバイスはディスク状であること、という特徴のうち少なくとも1つを有する。用語「ディスク状」に関する説明については、以上および以下の記載を参照されたい。
圧段装置のさらなる実施形態において、追加または代案として、圧段装置は、次の特徴、すなわち、第1多重極デバイスを少なくとも1つの第1プリント回路基板で形成したこと、または第2多重極デバイスを少なくとも1つの第2プリント回路基板で形成したこと、という特徴のうち少なくとも1つを有する。特に本実施形態に関して、特に上記のプリント回路基板の材料に関しては、上記において先に説明したとおりである。
圧段装置のさらに別の実施形態によれば、追加または代案として、排出装置を第2多重極デバイスの領域に設ける。この構成は、ガス粒子が容器から圧段装置に侵入する際に特に有利である。ガス粒子を排出装置により再度除去し、分析ユニットには侵入できないようにする。
圧段装置の一実施形態によれば、追加または代案として、第1開口の径方向長さは、次の範囲、すなわち、0.4mmから10mmの範囲、0.4mmから5mmの範囲、または0.4mmから1mmの範囲のうち、少なくとも1つの範囲内とする。
圧段装置のさらに別の実施形態によれば、追加または代案として、第1多重極デバイスおよび/または第2多重極デバイスは、それぞれ、少なくとも1つの第1電極デバイス、少なくとも1つの第2電極デバイス、少なくとも1つの第3電極デバイス、および少なくとも1つの第4電極デバイスを備える。この代案または追加として、圧段装置の一実施形態によれば、第1電極デバイス、第2電極デバイス、第3電極デバイス、および/または前記第4電極デバイスは双曲的である。双曲電極の実施形態に関しては、以下により詳細にさらに記載する。
圧段装置の一実施形態によれば、追加または代案として、圧段装置は、次の特徴、すなわち、第1多重極デバイスは少なくとも1つの第1多重極ディスク(例えば、第1四重極ディスク)および少なくとも1つの第2多重極ディスク(例えば、第2四重極ディスク)を備えること、または第2多重極デバイスは少なくとも1つの第3多重極ディスク(例えば、第3四重極ディスク)および少なくとも1つの第4多重極ディスク(例えば、第4四重極ディスク)を備えること、という特徴のうち少なくとも1つを有する。本実施形態の理由は以下のとおりである。できるだけ良好な圧段特性を得るため、有利には、圧段装置に複数の多重極ディスクを設ける。これについては、以下にさらに詳細に説明する。
圧段装置のさらなる実施形態によれば、追加または代案として、圧段装置は、次の特徴、すなわち、第1多重極ディスクおよび第2多重極ディスクは第1の密閉システムとして構成すること、または第3多重極ディスクおよび第4多重極ディスクは第2の密閉システムとして構成すること、という特徴のうち少なくとも1つを有する。これにより、イオンをできるだけ良好に長手方向軸線上に確実に集束することができ、良好な圧段特性を得ることができる。
本発明は、また、請求項22に記載の特徴を有する粒子ビーム装置に関する。本発明による粒子ビーム装置は、内部に試料を配置した試料チャンバを有する。さらに、粒子ビーム装置は、少なくとも1つの第1粒子ビームカラムを備え、第1粒子ビームカラムは、第1粒子ビームを生成する第1ビーム発生器、第1粒子ビームを試料上に集束する第1対物レンズを有する。さらに、試料から放出される二次イオンを生成する少なくとも1つの手段、および二次イオンを捕集する少なくとも1つの捕集装置を、粒子ビーム装置上に設ける。捕集装置を用いて、二次イオンを少なくとも1つの分析ユニットの方へ通過させて二次イオンを分析する。さらに、本発明による粒子ビーム装置は、上記の特徴のうち少なくとも1つの特徴、または上記の特徴のうち少なくとも2つの特徴の組み合わせを有する上記の装置のうち少なくとも1つの装置を有する。
例として、本発明による粒子ビーム装置において、第1粒子ビームカラムは、二次イオンを生成する手段を構成し、イオンビームカラムとして構成される。しかしながら、以下により詳細にさらに説明するように、本発明はこれに限定されない。
本発明による粒子ビーム装置の一実施形態において、分析ユニットは、追加または代案として、質量分析計として、例えば、飛行時間形質量分析計またはイオントラップ質量分析計として構成する。特に、分析ユニットは、追加または代案として、上記装置のうちの一つの実施形態のうちの1つに、連結デバイスを介して取り外し可能に取り付ける。したがって、分析ユニットは交換可能な設計とすることができる。
本発明による粒子ビーム装置のさらなる実施形態において、粒子ビーム装置は、追加または代案として、レーザユニットを備える。例として、二次イオンを生成する手段はレーザユニットを含む。レーザユニットは、第1粒子ビームカラムの追加または代替として設けることができ、二次イオンを発生する。
本発明による粒子ビーム装置のさらに別の実施形態によれば、追加または代案として、二次イオンを生成する手段を上記装置のうちの1つの装置に取り付ける。例えば、レーザユニットを上記装置のうちの1つの装置に取り付けてレーザビームが上記装置のうちの少なくとも1つを通過して試料にまで達するようにする。この追加または代案として、二次イオンを生成する手段、例えば、レーザユニットを、分析ユニットに取り付けることができる。
本発明による粒子ビーム装置のさらに別の実施形態において、追加または代案として、第2粒子ビームカラムを設け、第2粒子ビームカラムは、第2粒子ビームを生成する第2ビーム発生器および第2粒子ビームを試料上に集束する第2対物レンズを有する。特に、第2粒子ビームカラムは電子ビームカラムとして構成し、第1粒子ビームカラムをイオンビームカラムとして構成する。この代案として、第2粒子ビームカラムをイオンビームカラムとして構成することができ、第1粒子ビームカラムを電子ビームカラムとして構成することができる。さらなる代替的な実施形態においては、第1粒子ビームカラムおよび第2粒子ビームカラムはどちらもそれぞれイオンビームカラムとして構成する。
以下に、本発明を、例示的な実施形態および図面に基づき、さらに詳細に説明する。
粒子ビーム装置の概略図である。 図1に示す粒子ビーム装置のさらなる概略図である。 粒子分析装置の概略側面図である。 図2に示す試料の領域の概略図である。 エネルギー伝達装置の概略図である。 図5Aに示すエネルギー伝達装置のさらなる概略図である。 図5Aに示すエネルギー伝達装置により発生した四重極交流電場の概略図である。 誘導電位のプロファイルを示す概略図である。 図5Bに示すエネルギー伝達装置の一端部、イオン輸送ユニット、および分析ユニットを示す概略図である。 図7に示す四重極ディスクの平面図である。 四重極ディスクの図8におけるA−A線断面図である。 イオン輸送ユニットの概略図である。 イオン輸送ユニットにおける電位プロファイルの例示的な第1実施形態を示す概略図である。 イオン輸送ユニットにおける電位プロファイルの例示的な第2実施形態を示す概略図である。 イオン輸送ユニットのさらなる概略図である。 イオン輸送ユニットにおける電位プロファイルの例示的な第3実施形態を示す概略図である。 蓄積セルの概略図である。 さらなる粒子分析装置のさらなる概略側面図である。 図16に示す粒子分析装置の粒子ビーム装置内における配置を示す概略図である。 図16に示す粒子分析装置の粒子ビーム装置内における配置を示すさらなる概略図である。 図16に示す粒子分析装置の粒子ビーム装置内における配置を示すさらに別の概略図である。
図1は、本発明による粒子ビーム装置の一実施形態を示す概略図である。粒子ビーム装置1は、イオンビームカラムとして構成した第1粒子ビームカラム2、および電子ビームカラムとして構成した第2粒子ビームカラム3を有する。第1粒子ビームカラム2および第2粒子ビームカラム3は、内部に検査対象試料16を配置した試料チャンバ49に取り付ける。本発明は、第1粒子ビームカラム2をイオンビームカラムとして構成し、第2粒子ビームカラム3を電子ビームカラムとして構成することに限定されないことを明示的に述べておく。実際には、本発明において、第1粒子ビームカラム2を電子ビームカラムとして構成し、第2粒子ビームカラム3をイオンビームカラムとして構成することもできる。本発明のさらなる実施形態においては、第1粒子ビームカラム2および第2粒子ビームカラム3の両方をイオンビームカラムとして構成する。
図2は、図1に示す粒子ビーム装置1を詳細に示す図である。明瞭に図示するため、試料チャンバ49は図示していない。イオンビームカラムとして構成した第1粒子ビームカラム2は第1光軸4を有する。さらに、電子ビームカラムとして構成した第2粒子ビームカラム3は第2光軸5を有する。
以下に、まず、電子ビームカラムとして構成した第2粒子ビームカラム3について説明する。第2粒子ビームカラム3は、第2ビーム発生器6、第1電極7、第2電極8、および第3電極9を有する。例として、第2ビーム発生器6は、熱電界エミッタである。第1電極7は抑制電極としての機能し、一方、第2電極8は抽出電極として機能する。第3電極9は陽極であるとともに、ビーム案内管10の一端部を形成する。第2ビーム発生器6は、第2粒子ビームを電子ビームとして生成する。第2ビーム発生器6から出射された電子は、第2ビーム発生器6と第3電極9との間の電位差により、陽極電位に加速される。この電位差は、例えば、1kVから30kVまでの範囲内である。電子ビームとしての第2粒子ビームは、ビーム案内管10を通過し、検査対象の試料16上に集束される。これについては、以下により詳細に説明する。
ビーム案内管10は、第1環状コイル12およびヨーク13を有するコリメータ装置11を貫通する。第2ビーム発生器6から試料16の方向に見て、コリメータ装置11に続き、ピンホールダイアフラム14および検出器15を、ビーム案内管10内に第2光軸5に沿って配置する。第1検出器は中央開口17を有する。その後、ビーム案内管10は、第2対物レンズ18の孔を貫通する。第2対物レンズ18により、第2粒子ビームを試料16上に集束する。この目的のため、第2対物レンズ18は磁気レンズ19および静電レンズ20を有する。磁気レンズ19には、第2環状コイル21、内側磁極片22、および外側磁極片23を設ける。静電レンズ20は、ビーム案内管10の端部24および終端電極25を有する。ビーム案内管10の端部24は終端電極25とともに静電減速装置を形成する。ビーム案内管10の端部24およびビーム案内管10は、ともに陽極電位にあり、一方、終端電極25および試料16の電位は陽極電位よりも低い。このような構成により、第2粒子ビーム中の電子を、試料16を検査する際に必要な所望のエネルギーレベルに制動することができる。第2粒子ビームカラム3は、さらに、ラスタ手段26を有し、このラスタ手段により第2粒子ビームを偏向して、試料16上をラスタ状に走査することができる。
結像のため、ビーム案内管10内に配置した検出器15により、第2粒子ビームと試料16との間の相互作用により生じる二次電子および/または後方散乱電子を検出する。検出器15が発生する信号を電子装置(図示せず)に送信し、結像を行う。
試料16を試料ステージ(図示せず)に配置することにより、試料16は、互いに直交する3本の軸線(具体的には、x軸線、y軸線、およびz軸線)上を移動可能に配置される。さらに、試料ステージは、互いに直行する2本の回転軸を中心に回転させることができる。したがって、試料16を所望の位置に移動することが可能である。
既述のように、第1粒子ビームカラム2はイオンビームカラムとして構成される。第1粒子ビームカラム2は、イオン源として構成した第1ビーム発生器27を備える。第1ビーム発生器27により、第1粒子ビームをイオンビームとして生成する。さらに、第1粒子ビームカラム2には、抽出電極28およびコリメータ29を設ける。コリメータ29に続いて、試料16の方向に第1光軸4に沿って可変アパーチャ30を設ける。集束レンズとして構成した第1対物レンズ31により、第1粒子ビームを試料16上に集束する。ラスタ電極32を設けて、第1粒子ビームで試料16上をラスタ状に走査するようにする。
第1粒子ビームが試料16に達すると、第1粒子ビームは試料16の成分と相互作用する。この過程で、第1相互作用粒子、特に、二次イオンが生じ、試料16から放出される。ここで、これら第1相互作用粒子を粒子分析装置1000により検出し測定する。
図3は、粒子分析装置1000の概略側面図である。粒子分析装置1000は、抽出ユニット1100として構成した捕集装置、エネルギー伝達装置1200、イオン輸送装置1300、および分析ユニット1400を備える。エネルギー伝達装置は、具体的には、第1相互作用粒子(例えば、二次イオン)から中性ガス粒子にエネルギーを伝達するものである。イオン輸送ユニット1300および分析ユニット1400は、連結素子1001を介して試料チャンバ49に取り外し可能に取り付ける。このような構成により、異なる分析ユニットを使用することができる。
以下に、粒子分析装置1000の個々のユニットをより詳細に説明する。
図4は、図2に示す領域、具体的には、試料16の領域をより詳細に示す概略図である。
図4において、抽出ユニット1100、および試料16の領域に配置した第1粒子ビームカラム2の端部を示す。二次イオンは、試料16から外側に向かう半球領域の全域にわたって放出され、その運動エネルギーは不均一であり、すなわち運動エネルギーは分散している。十分な数の二次イオンを測定できるようにするため、抽出ユニット1100により二次イオンを粒子分析装置1000内に注入する。抽出ユニット1100は、第1中空体として構成した第1引き出し電極1136を備える。この第1引き出し電極1136には、第1吸入口1139および第1キャビティ1135を設ける。第2中空体として構成した第2引き出し電極1137を第1キャビティ1135内に配置する。第2引き出し電極は、第2吸入口1140および第2キャビティ1138を有する。ここに示した例示的な実施形態において、試料16の領域に配置した第1粒子ビームカラム2の端部には制御電極41を設ける。制御電極41は、第1粒子ビームカラム2を部分的に、または、完全に包囲するように設ける。さらに、制御電極41は、第1粒子ビームカラム2の外面43上の凹所42内に配置される。制御電極41の外面および第1粒子ビームカラム2の外面43は連続平面を構成する。しかしながら、本発明による制御電極41の配置はこのような構成に限定されないことを、明示的に述べておく。実際には、制御電極41は任意の配置とすることができる。例えば、制御電極を第1粒子ビームカラム2の外面43上に載置することもできる。
前述したように、図4は概略図であると見なされるべきものである。図4においては、より明瞭に示すため、個々の要素は非常に誇張して図示されている。特に、第1キャビティ1135を極小として、特に第2吸入口1140と第1吸入口1139との間の距離が相当短くなるように(例えば、1mmから15mmまでの範囲内、特に10mmとなるように)する。
第1引き出し電極1136は、第1抽出電位にある。第1抽出電圧は、第1抽出電位と試料電位との間の第1電位差である。例示的な本実施形態において、接地電位(0V)を試料電位とするが、試料電位は接地電位に限定されない。実際には、異なる値を取ることもできる。第1抽出電圧と、結果的に、第1抽出電位とは、第1電圧源ユニット1144により調節することができる。
第2引き出し電極1137も任意の電位、具体的には第2抽出電位にあるようにする。第2抽出電圧は、第2抽出電位と試料電位との間の第2電位差である。第2抽出電圧すなわち第2抽出電位は、第2電圧源ユニット1148により設定することができる。第1抽出電位および第2抽出電位は同じ大きさとすることができる。さらなる実施形態において、第1抽出電位および第2抽出電位の大きさは異なるものとする。
さらなる実施形態において、第1引き出し電極1136の第1端面1141は第1抽出電位にあり、一方、対照的に、第1引き出し電極1136のその他の部分はこれとは異なる電位(例えば接地電位)にある。同様に、第2引き出し電極1137の第2端面1142を第2抽出電位とし、一方、対照的に、第2引き出し電極1137のその他の部分はこれとは異なる電位(例えば接地電位)とすることもできる。
制御電極41も、任意の電位、具体的には制御電極電位にある。制御電極電圧は、制御電極電位と試料電位との間の第3電位差である。制御電極電圧すなわち制御電極電位は、第3電圧源ユニット46により調節することができる。
第2粒子ビームカラム3の終端電極25にも、ある程度同様の条件が適用される。終端電極25は、任意の電位、具体的には終端電極電位にある。終端電極電圧は、終端電極電位と試料電位との間の第4電位差である。終端電極電圧と、結果的に、終端電極電位とは、第4電圧源ユニット47(図2参照)により調節することができる。
ここで、試料電位、第1抽出電位、第2抽出電位、制御電極電位、および/または終端電極電位を相互に整合して抽出電場を発生させるようにする。これにより、十分な量の第1相互作用粒子が二次イオンとして第1引き出し電極1136の第1キャビティ1135内の第1吸入口1139を通過し、第2引き出し電極1137の第2キャビティ1138内の第2吸入口1140を確実に通過するようにする。
高真空条件を利用して、イオンビームを用いて二次イオンを発生させる。以下により詳細にさらに説明するが、エネルギー伝達装置1200は低真空条件下で動作し、第1引き出し電極1136および第2引き出し電極1137はそれぞれ圧段として機能する。第1引き出し電極1136の第1吸入口1139を大きくすれば、より多くの二次イオンを粒子分析装置1000に注入することができる。これは第2引き出し電極1137の第2吸入口1140についても同様である。しかしながら、もし第1吸入口1139および/または第2吸入口1140が非常に大きいと、圧段として作用する第1引き出し電極1136および第2引き出し電極1137の効果が低減する。さらに、抽出電場も減少する。これは、抽出電場をさらに増強することにより相殺することができる。しかしながら、この増強により、二次イオンに付加的な運動エネルギーが供給されてしまう。
さらに、第2引き出し電極1137を用いて、下流のエネルギー伝達装置1200に二次イオンをできるだけ集束して導入する。選択する第2抽出電位が高くなるにつれ、第2引き出し電極1137の集束効果は増大することがわかった。
既に述べたように、本実施形態において、試料電位は接地電位である。さらに、第1抽出電位および/または第2抽出電位は(−20)Vから(−500)Vの範囲に、制御電極電位は200Vから800Vの範囲に、および/または終端電極電位は(0V)から(−120V)の範囲にある。
図5Aおよび図5Bは、エネルギー伝達装置1200の概略図である。以下に、より詳細に説明するように、この装置は二次イオンの輸送にも用いられる。
エネルギー伝達装置1200は管状容器1201を有し、この管状容器は第1容器端部1207およびセグメントの領域(排出口)1208(第22セグメント1202V)を有する。これについては以下にさらに説明する。第1長手方向軸線1205として構成した輸送軸線に沿って、管状容器1201の長手方向の長さは100mmから500mmの範囲であり、または200mmから400mmの範囲である。例えば、管状容器1201の長手方向の長さは350mmである。
第1容器端部1207は抽出ユニット1100に連結する。一方、領域1208はイオン輸送ユニット1300上に取り付ける。
管状容器1201は第1内部領域1206を有する。フレキシブルプリント回路基板を第1内部領域1206の一壁部に取り付け、この回路基板を管状容器1201の第1長手方向軸線1205に沿って多数のセグメントに分割する。具体的には、第1セグメント1202A、第2セグメント1202B、第3セグメント1202C、第4セグメント1202D、第5セグメント1202E、第6セグメント1202F、第7セグメント1202G、第8セグメント1202H、第9セグメント1202I、第10セグメント1202J、第11セグメント1202K、第12セグメント1202L、第13セグメント1202M、第14セグメント1202N、第15セグメント1202O、第16セグメント1202P、第17セグメント1202Q、第18セグメント1202R、第19セグメント1202S、第20セグメント1202T、第21セグメント1202U、および第22セグメント1202Vに分割する。上記の各セグメントはそれぞれ、フレキシブルプリント回路基板上に配置したプリント回路基板電極1203を有する。フレキシブルプリント回路基板を形成する材料は非導電性材料である。絶縁素子1204はそれぞれ2つのプリント回路基板電極1203の間に配置され、非導電性材料により形成される。例として、図5Aにおいては、図5Bに示す第1セグメント1202Aの断面を示す。プリント回路基板電極1203および絶縁素子1204は、第1内部領域1206の全周囲にわたって配置される。
上記セグメント1202A〜1202Vの1つ1つはそれ自体が四重極ユニットに相当し、四重極交流電場を電気的に誘導する。このことは、上記セグメント1202A〜1202Vそれぞれのプリント回路基板電極に電位を印加することにより、各セグメント1202A〜1202Vはそれぞれ四重極交流電場を発生することを意味する。この場合、上記セグメント1202A〜1202Vのそれぞれは、各セグメント1202A〜1202Vの発生する四重極交流電場が同一となるように構成する。図5Cは四重極交流電場の概略図であり、第1セグメント1202Aの等電位線を示す。
特に、フレキシブルプリント回路基板の個々の素子は、フレキシブルプリント回路基板内にあらかじめ配置された導体トラックにより接続される。このように、接続は簡素な形式となっている。
ここで、本発明は、フレキシブルプリント回路基板を使用することに限定されないことを明示的に述べておく。実際には、本発明において、複数のフレキシブルプリント回路基板を用いることもできる。例えば、上記セグメント1202A〜1202Vのそれぞれまたは全てをフレキシブルプリント回路基板により構成することもできる。
管状容器1201の第1内部領域1206は円形であり、コア径KRを有する。コア径KRは、例えば、2mmから50mmの範囲にあり、または8mmから20mmの範囲にあり、または9mmから12mmの範囲にある。例として、コア径KRを15mm、10mm、9、mm、または8mmとする。
上記セグメント1202A〜1202Vは、それぞれ、第1長手方向軸線1205方向に長手方向の長さを有し、この長さはコア径KRにほぼ相当するものとすることができる。前述のように、各セグメントの長さはコア径に適応させる必要がある。上述のようにプリント回路基板電極1203を配置することにより、棒電極を用いる従来のシステムに比べ、コア径KRを増大することができる。
管状容器1201の第1内部領域1206には、ガス粒子を有するガスが充填されている。第1内部領域1206内のガスの分圧は、図示しない供給装置により調節することができる。
抽出ユニット1100から管状容器1201の第1内部領域1206に入射する二次イオンは、ガス粒子に衝突することによりその運動エネルギーの一部をガス粒子に伝達する。これにより、二次イオンのエネルギーが減少し、二次イオンは制動される。衝突速度を十分高くしてエネルギーを減少させるため、管状容器1201の第1内部領域1206を、例えば、約5×10−3mbar(5×10−1Pa)の低真空とする。管状容器1201の第1内部領域1206内におけるガスの分圧が高いほど、衝突速度が高くなり、したがって二次イオンからガス粒子にエネルギーを伝達する能力も高くなる。第1容器端部1207から領域1208まで管状容器1201を通過した後、二次イオンは熱エネルギーのみを持つことになるはずである。
さらなる実施形態において、追加または代案として、抽出ユニット1100から管状容器1201の第1内部領域1206に入射する二次イオンは、中性ガス粒子に衝突して断片化し、したがって、二次イオンのエネルギーは同様に減少する。この過程によっても二次イオンは制動される。
上述のように、二次イオンの運動エネルギーを、一方では径方向成分に分割し、他方では軸方向成分に分割することができる。径方向成分により、二次イオンは、管状容器1201の第1長手方向軸線1205に対して放射状に分散される。この分散を四重極交流電場により減少させる。四重極交流電場により、二次イオンは、第1長手方向軸線1205を中心とする小半径内に、管状容器1201の第1長手方向軸線1205に沿って蓄積する。より正確には、二次イオンがガス粒子と衝突すること、および/または上記のように断片化することにより、運動エネルギーの径方向成分が減少し、その結果、上記のマクロ振動の振幅が減少し、二次イオンは管状容器1201の第1長手方向軸線1205上に集束する。
運動エネルギーの軸方向成分により、二次イオンは管状容器1201の第1長手方向軸線1205に沿ってイオン輸送ユニット1300に向かい管状容器1201を確実に通過する。上記の衝突および/または上記の断片化によっても軸方向運動エネルギーは減少するが、しかしながら、その結果として二次イオンのうちのいくつかはエネルギーが不十分となり管状容器1201を完全に通過することができなくなる。したがって、上記セグメント1202A〜1202Vのそれぞれを第2電子回路(図5B参照)に接続し、管状容器1201の第1長手方向軸線1205に沿って、第1長手方向軸線1205上の各点において設けた点に関連する誘導電位(guiding potentialによる誘導電位勾配を生成するようにする。誘導電位勾配により、二次イオンは第1長手方向軸線1205に沿って管状容器1201の領域1208へ向かい軸方向に移動する。誘導電位勾配は、誘導電位が領域1208へ向かって連続的に減少するように構成され、領域1208内に電位井戸を有する。図6に、誘導電位1212のプロファイルを示す。このグラフにおいて、誘導電位1212を、第1長手方向軸線1205における位置の関数として示す。経時的に一定の、個々に異なる電位を、輸送軸線(この場合は、第1長手方向軸線1205)に沿って配置された上記のセグメント1202A〜1202Vのそれぞれのプリント回路基板電極に印加する。これは、図6におけるセグメント電位1211の階段状プロファイルにより示される。この階段状プロファイルは、実質的に誘導電位1212のプロファイルとなる。誘導電位1212は管状容器1201の第1容器端部1207において最大であり、領域1208へ向かって連続的に減少する。管状容器1201の領域1208には電位井戸1210が設けられる。二次イオンは管状容器1201を通過し、この過程でそのエネルギーをガス粒子に伝達して、最後に電位井戸1210に滞留する。電位井戸1210は別の箇所に設けることもできることを明示的に述べておく。例えば、さらなる例示的な実施形態において、電位井戸1210を、イオン輸送ユニット1300の領域において、領域1208の後方に設ける。ここでの唯一の重要な要素は、二次イオンが管状容器1201を通過する際にそのエネルギーを伝達し、電位井戸1210に滞留するという点のみである。
マクロ振動の振幅は、二次イオンからガス粒子へ十分に多量のエネルギーを伝達することにより減少することができる。一方、ミクロ振動の振幅は、上記セグメント1202A〜1202Vのそれぞれの四重極交流電場の周波数を増加させることにより減少することができる。しかしながら、四重極交流電場の周波数を増加すると、管状容器1201内で二次イオンに作用する復元力が減少し、その結果、管状容器1201内に二次イオンを確実に蓄積するためには四重極交流電場の振幅を増加させる必要がある。
図7に領域1208を示す。この場合、上記セグメント1202A〜1202Vは、本実施形態において、管状容器1201の内壁にすぐ隣接しないように配置する。図7に示すように、第1四重極ディスク(多重極ユニット)1301を領域1208に配置する。第1四重極ディスク1301は複合双曲的である。これは、複数の双曲的なプリント回路基板電極を備えていることを意味する。この代案として、プリント回路基板電極を半円形とする。第1四重極ディスク1301はディスク状に構成される。ディスク状に構成した実施形態とは、双曲的なプリント回路基板電極を、(第1長手方向軸線1205または第2長手方向軸線1307として構成した)輸送軸線に対して直角に配置した平面構造とすることを意味する。第1四重極ディスク1301は、輸送軸線に沿って所定の長さを有する。これについては、以下においてさらに詳細に説明する。ここに記載した例示的な実施形態において、第1四重極ディスク1301には12の双曲的なプリント回路基板電極を設ける。図8は、第1四重極ディスク1301の平面図である。第1四重極ディスク1301は、第1双曲プリント回路基板電極1303A、第2双曲プリント回路基板電極1303B、第3双曲プリント回路基板電極1303C、第4双曲プリント回路基板電極1303D、第5双曲プリント回路基板電極1303E、第6双曲プリント回路基板電極1303F、第7双曲プリント回路基板電極1303G、第8双曲プリント回路基板電極1303H、第9双曲プリント回路基板電極1303I、第10双曲プリント回路基板電極1303J、第11双曲プリント回路基板電極1303K、および第12双曲プリント回路基板電極1303Lを有する。上述したように、上記のプリント回路基板電極1303A〜1303Lはすべて双曲的である。本明細書における以上および以下の記載において、電極が双曲的であるということは、(この場合は、プリント回路基板電極1303A〜1303Lのうち)、互いに対向して配置され、輸送軸線(この場合は第2長手方向軸線1307)から頂点までの距離が等しい2つの双曲電極(例えば、第1双曲プリント回路基板電極1303Aおよび第3双曲プリント回路基板電極1303C)が、次の双曲方程式を満たすことを意味する。
Figure 0005798326
ここで、xおよびyはデカルト座標であり、aおよびbは各電極の頂点と輸送軸線との間の距離である。隣接するプリント回路基板電極は、例えば図8に示す第2双曲プリント回路基板電極1303B、第6双曲プリント回路基板電極1303F、および第10双曲プリント回路基板電極1303Jのように、絶縁層1304により互いに絶縁される。一方、上記のさらなるプリント回路基板電極1303A,1303E,1303I,1303C,1303G,1303K,1303D,1303Hおよび1303Lのそれぞれについても同様の条件下にある。さらに、隣接する双曲プリント回路基板電極を、例えば、容量分圧器(図示せず)により駆動し、四重極交流電場を発生させるようにする。しかしながら、本発明は、容量分圧器を用いることに限定されない。実際には、任意の適切な駆動機構を用いることができ、例えば、それぞれの場合において、双曲プリント回路基板電極1303A〜1303Lのそれぞれに電源ユニットを1つ設けて駆動することができる。
第1四重極ディスク1301は、第1貫通口1302を有する。第1貫通口は、第1双曲プリント回路基板電極1303Aの頂点、第2双曲プリント回路基板電極1303Bの頂点、第3双曲プリント回路基板電極1303Cの頂点、および第4双曲プリント回路基板電極1303Dの頂点により境界される。第1四重極ディスク1301にプリント回路基板を用いることは、製造が容易なため、特に有利である。例えば、第1貫通口1302は容易に作製でき、例えば、プリント回路基板を圧延することにより作製できる。第1貫通口1302の長さは輸送軸線に対して径方向にあり、輸送軸線は第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307として管状容器1201の第1長手方向軸線1205に対して延在する。この長さは、この場合、上記の頂点のうち互いに対向して配置された2つの点の間の距離であり、長さの範囲は、次の範囲、すなわち、0.2mmから10mm、0.2mmから5mm、または0.2mmから1mmの範囲のうちの少なくとも1つである。
第1双曲プリント回路基板電極1303A、第2双曲プリント回路基板電極1303B、第3双曲プリント回路基板電極1303C、および第4双曲プリント回路基板電極1303Dは、第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307から等しい径方向距離にあり、それぞれ第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307から第1径方向距離にある。この場合、本明細書における以上および以下の記載において、径方向距離は、各双曲プリント回路基板電極の第2長手方向軸線1307に最近接する頂点と第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307との間の距離により規定される。さらに、第5双曲プリント回路基板電極1303E、第6双曲プリント回路基板電極1303F、第7双曲プリント回路基板電極1303G、および第8双曲プリント回路基板電極1303Hは、第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307から等しい径方向距離にあり、それぞれ第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307から第2径方向距離にある。さらに、第9双曲プリント回路基板電極1303I、第10双曲プリント回路基板電極1303J、第11双曲プリント回路基板電極1303K、および第12双曲プリント回路基板電極1303Lは第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307から等しい径方向距離にあり、それぞれ第1貫通口1302の第2長手方向軸線1307から第3径方向距離にある。第1径方向距離は第2径方向距離よりも小さい。同様に、第2径方向距離は、第3径方向距離よりも小さい。
図9は、第1四重極ディスク1301の図8におけるA−A線断面図である。図9において、第1双曲プリント回路基板電極1303Aおよび第3双曲プリント回路基板電極1303Cを概略的に示す。第1四重極ディスク1301は、第1外面1305および第2外面1306を有する。第1外面1305および第2外面1306は互いに離間し、第1外面1305と第2外面1306との間の距離A1の範囲は、次の範囲、すなわち、1mmから50mm、1mmから40mm、1mmから30mm、1mmから20mm、または1mmから5mmまでの範囲のうちの1つである。明確に図示はしないが、上記の双曲的プリント回路基板電極1303A〜1303Lはそれぞれ第1外面1305により形成される平面上に配置され、第1外面1305から第2外面1306にわたり延設することができる。
図7からわかるように、第1四重極ディスク1301に続いて、ディスク状の第1四重極デバイス1308Aおよびディスク状の第2四重極デバイス1308Bを設ける。この場合、上記の各四重極デバイスおよび以下においても説明する各四重極デバイスをディスク状とした実施形態とすることは、以下においても説明する電極デバイスが平面構造により形成され、この平面構造は輸送軸線(この場合は第2長手方向軸線1307)に対して直角に配置されていることを意味する。ディスク状の第1四重極デバイス1308Aおよびディスク状の第2四重極デバイス1308Bは、それぞれ、4つの双曲電極デバイスを有する。例示的な本実施形態において、それぞれが四重極交流電場を発生する。この代案として、電極デバイスを半円形とする。ガス吸入口1309をディスク状の第1四重極デバイス1308Aおよびディスク状の第2四重極デバイス130Bと同じ高さに設け、このガス吸入口1309からガスが流入し、既に説明したように二次イオンと相互作用する。ディスク状の第1四重極デバイス1308Aおよびディスク状の第2四重極デバイス1308Bは、どちらも第1貫通口1302に相当する貫通口を有する。
第1四重極ディスク1301とディスク状の第1四重極デバイス1308Aとの間の第1中間領域1310、およびディスク状の第1四重極デバイス1308Aとディスク状の第2四重極デバイス1308Bとの間の第2中間領域1311は密閉されておらず、したがって、ガスを分散させることができ、特に、上記セグメント1202A〜1202Vを配置した領域までガスを分散させることができる。
第1四重極ディスク1301、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、およびディスク状の第2四重極デバイス1308Bは、一方で、エネルギー伝達装置1200の一部である。このことは、第1四重極ディスク1301、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、およびディスク状の第2四重極デバイス1308Bの領域においても二次イオンからのエネルギーを中性ガス粒子に伝達することができることを意味する。しかしながら、他方では、以下により詳細にさらに説明するように、第1四重極ディスク1301、ディスク状の第1四重極デバイス1308Aは、イオン輸送ユニット1300の一部でもある。
第1四重極ディスク1301は少なくとも2つの機能を有する。一方では、第1四重極ディスク1301に適切な電位(以下、本明細書においてはミラー電位と称する)を印加することができる。これにより、熱エネルギーにまで制動されていない二次イオンを第1四重極ディスク1301から管状容器1201に反射して、二次イオンを管状容器1201に再度通過させることができる。ここで、再度、管状容器1201内でガス粒子との衝突が起こり、その結果、これらの反射された二次イオンはエネルギーをさらに中性ガス粒子に伝達する。上記の誘導電位により、二次イオンは領域1208の方へ確実に再度輸送される。二次イオンが熱エネルギーに達すると、ミラー電位の印加を速やかに停止する。
他方では、第1四重極ディスク1301により二次イオンを第2長手方向軸線1307上に集束する。電位パルスを用いて、上記の電位井戸1210に蓄積された二次イオンを導電電位にて第1貫通口1302まで上昇させることもできる。代替的な実施形態においては、上記電位井戸1210を、第1四重極ディスク1301、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、およびディスク状の第2四重極デバイス1308Bの領域に形成する。
第1四重極ディスク1301により、二次イオンを蓄積する四重極交流電場が確実に利用可能となり、二次イオンが第2長手方向軸線1307の領域に放射状に集束される。例として、二次イオンは、第2長手方向軸線1307を中心とする、例えば、0.2mmから5mmの範囲にある小半径内に集束される。この小半径は、第1貫通口1302の径方向長さにほぼ相当する。その結果、第1四重極ディスク1301により、コア径が非常に大きい二次イオンの第1案内システム(例示的な本実施形態において、例えば、コア径が5mmから15mmの範囲にある管状容器1201)とコア径が比較的小さい(例えば、0.1mmから5mmの範囲にある)第2案内システム(以下により詳細に説明する)との間で移動させることができ、二次イオンが第1四重極ディスク1301において反射して管状容器1201に意図せず戻ってしまうことや、第1四重極ディスク1301で中性化されてしまうことはない。さらに、第1四重極ディスク1301により、二次イオンの運動エネルギーの軸方向成分が二次イオンの運動エネルギーの径方向成分に変換されてしまうのを防ぐ。
二次イオンが第1四重極ディスク1301の上記の双曲プリント回路基板電極1303A〜1303Dの1つに衝突することに起因する二次イオンの損失を防ぐため、マクロ振動の振幅とミクロ振動の振幅の合計である全振動振幅が、第1貫通口1302の半径を超えないようにしなければならない。そうしないと、第1四重極ディスク1301にミラー電位が印加され、上述したように、二次イオンが熱エネルギーとなるまで管状容器1201を再度通過する。第1貫通口1302は、熱エネルギーを有する二次イオンが第1四重極ディスク1301の上記双曲プリント回路基板電極1303A〜1303Dのうちの1つに衝突することなく第1貫通口1302を通過できるように設計する。
既に説明したように、図6に示す電位井戸1210を異なる箇所に設けることもできる。たとえば、さらなる例示的な実施形態においては、イオン輸送ユニット1300の領域内において、電位井戸1210を領域1208の後方に配置する。例として、電位井戸1210を、第1四重極ディスク1301、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、およびディスク状の第2四重極デバイス1308Bの領域に形成する。この場合、例として、ディスク状の第2四重極デバイス1308Bには終端電位を印加し、これにより電位井戸を生成する。この電位井戸は、例えば、電位井戸1210の一部である。
図7からわかるように、第2四重極ディスク1312はディスク状の第2四重極デバイス1308Bに隣接し、第1四重極ディスク1301と実質的に同一となるように構成する。しかしながら、このような構成とすることは必要不可欠ではない。実際には、さらなる実施形態においては、第2四重極ディスク1312を、例えば、ディスク状の第2四重極デバイス1308Bと同様の構成とする。第2四重極ディスク1312により、第2四重極ディスク1312内の第2貫通口1321を貫通する第2長手方向軸線1307上に二次イオンを集束する。第2貫通口1321は第1貫通口1302よりも小さい。例として、第2貫通口1321の大きさは、0.4mmから2mmの範囲である。
上述したように、二次イオンから十分な量のエネルギーをガス粒子に伝達することにより、マクロ振動の振幅を減少することができる。一方、ミクロ振動の振幅は、四重極交流電場の周波数を増加させることにより、減少することができる。しかしながら、四重極交流電場の周波数を増加すると、二次イオンに作用する復元力が減少し、その結果、二次イオンを確実に蓄積するためには四重極交流電場の振幅を増加させる必要がある。個々のコア径とコア径との間において周波数が急変するのを抑制するため、有利には、コア径を2段階で(具体的には、一方では第1四重極ディスク1301により、また他方では第2四重極ディスク1312により)減少させる。
ディスク状の第3四重極デバイス1313A、ディスク状の第4四重極デバイス1313B、ディスク状の第5四重極デバイス1313C、ディスク状の第6四重極デバイス1313D、ディスク状の第7四重極デバイス1313E、ディスク状の第8四重極デバイス1313F、およびディスク状の第9四重極デバイス1313Gを、第2長手方向軸線1307に沿って、第2四重極ディスク1312に続いて設ける。上記のディスク状の各四重極デバイス1313A〜1313Gはそれぞれ第2貫通口1321と同一の貫通口を有する。
ディスク状の第3四重極デバイス1313A、ディスク状の第4四重極デバイス1313B、ディスク状の第5四重極デバイス1313C、ディスク状の第6四重極デバイス1313D、ディスク状の第7四重極デバイス1313E、ディスク状の第8四重極デバイス1313F、およびディスク状の第9四重極デバイス1313Gは、それぞれ、第1電極デバイス、第2電極デバイス、第3電極デバイス、および第4電極デバイスを有する。第1電極デバイス、第2電極デバイス、第3電極デバイス、および第4電極デバイスは全て双曲的である。上記のディスク状の各四重極デバイス1313A〜1313Gは、それぞれに関連付けられた電極デバイスにより四重極交流電場を発生させる。
第1四重極ディスク1301、第2四重極ディスク1312、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、ディスク状の第2四重極デバイス1308B、および、ディスク状の第3四重極デバイス1313Aからディスク状の第9四重極デバイス1313Gは、イオン輸送ユニット1300の一部であり、これについては以下により詳細にさらに説明する。さらに、第2四重極ディスク1312、およびディスク状の第3四重極デバイス1313Aからディスク状の第9四重極デバイス1313Gは、また一方では、圧段の一部であり、これについては以下に説明する。
第1四重極ディスク1301、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、ディスク状の第2四重極デバイス1308B、および第2四重極ディスク1312の領域は、二次イオンが衝突によりエネルギーを中性ガス粒子に伝達することができるような十分に高いガス圧が依然存在する。
第2四重極ディスク1312、ディスク状の第3四重極デバイス1313A、およびディスク状の第4四重極デバイス1313Bは、密閉システムとして構成する。この目的のため、第2四重極ディスク1312とディスク状の第3四重極デバイス1313Aとの間の第3中間領域1314、およびディスク状の第3四重極デバイス1313Aとディスク状の第4四重極デバイス1313Bとの間の第4中間領域1315はシールにより密閉する。このシールは必要に応じて構成することができる。例として、シールはOリングとして構成し、および/または電気的に絶縁とする。さらに、例えば、電荷を防ぐため、シールの自由内径は第2貫通口1321より大きくすることができる。
ディスク状の第7四重極デバイス1313E、ディスク状の第8四重極デバイス1313F、およびディスク状の第9四重極デバイス1313Gも、同様に、密閉システムとして構成する。この目的のため、ディスク状の第7四重極デバイス1313Eとディスク状の第8四重極デバイス1313Fとの間の第8中間領域1319、およびディスク状の第8四重極デバイス1313Fとディスク状の第9四重極デバイス1313Gとの間の第9中間領域1320はシールにより密閉する。シールに関する上記の説明をここにも適用する。
ディスク状の第4四重極デバイス1313Bとディスク状の第5四重極デバイス1313Cとの間に、排出チャネルとして構成した第5中間領域1316を配置する。さらに、ディスク状の第5四重極デバイス1313Cとディスク状の第6四重極デバイス1313Dとの間に、同様に排出チャネルとして構成した第6中間領域1317を配置する。ディスク状の第6四重極デバイス1313Dとディスク状の第7四重極デバイス1313Eとの間に、排出チャネルとして構成した第7中間領域1318を配置する。上記の各排出チャネルは、チャネル1329を介してポンプユニット(図示せず)に連結する。この構成は、ガス粒子が管状容器1201からイオン輸送ユニット1300に侵入するときに特に有利である。ガス粒子は、その後、上記の各排出チャネルを経由してポンプユニットにより除去され、分析ユニット1400にはガス粒子が実質的に侵入しないようにする。
さらに、上記のディスク状の各四重極デバイス1313A〜1313Gは、それぞれプリント回路基板で形成する。
第2貫通口1321の大きさの範囲は、次の範囲、すなわち、0.4mmから10mm、0.4mmから5mm、または0.4mmから2mmの範囲のうちの1つである。
第2四重極ディスク1312および上記のディスク状の各四重極デバイス1313A〜1313Gを上記のように配置して圧段を分割して四重極交流電場を発生させることにより、一方では、二次イオンを第2長手方向軸線1307周囲の小領域に確実に集束することができ、他方では、良好な圧段特性を確実に得ることができる。圧段は、実質的にイオン輸送ユニット1300の大部分にわたって広がる。
イオン輸送ユニット1300の全ての素子も、さらなる機能を持ち、その機能について以下に説明する。
図10も同様にイオン輸送ユニット1300の上記素子の概略断面図である。第1四重極ディスク1301、第2四重極ディスク1312、およびディスク状の各四重極デバイス1308A,1308Bおよび1313A〜1313Gには、電子回路1324によりそれぞれ個々に電位を印加する。第1四重極ディスク1301には、したがって、第1電位を印加し、第2四重極ディスク1312には第2電位を印加し、ディスク状の第1四重極デバイス1308Aには第3電位を印加し、ディスク状の第2四重極デバイス1308Bには第4電位を印加し、ディスク状の第3四重極デバイス1313Aには第5電位を印加し、ディスク状の第4四重極イス1313Bには第6電位を印加し、ディスク状の第5四重極デバイス1313Cには第7電位を印加し、ディスク状の第6四重極デバイス1313Dには第8電位を印加し、ディスク状の第7四重極デバイス1313Eには第9電位を印加し、ディスク状の第8四重極デバイス1313Fには第10電位を印加し、ディスク状の第9四重極デバイス1313Gには第11電位を印加する。第1電位〜第11電位は個々に設定することができる。
上記の個々に調節可能な第1電位〜第11電位のほか、イオン輸送ユニット1300に発生させた四重極交流電場により、熱エネルギーに制動された二次イオンを、この二次イオンに運動エネルギーを特に供給せずとも、分析ユニット1400に輸送することができる。この目的のため、電位井戸が生成されるように、個々の四重極交流電場および印加する調節可能な第1電位〜第11電位を設定する。ここで、この設定および輸送について、複数の例示的な実施形態に基づき説明する。
まず、図11に、第1四重極ディスク1301、第2四重極ディスク1312、ディスク状の四重極デバイス1308A,1308B、および1313A〜1313Gの概略図を示す。また、さらなるディスク状の四重極デバイス、具体的には、ディスク状の第10四重極デバイス1313H、ディスク状の第11四重極デバイス1313I、ディスク状の第12四重極デバイス1313J、ディスク状の第13四重極デバイス1313K、およびディスク状の第14四重極デバイス1313Lを設ける。上記のディスク状の四重極デバイス1313H〜1313Lには、それぞれ、電子回路、例えば、電子回路1324により個々に電位を印加する。ディスク状の第10四重極デバイス1313Hには、したがって、第12電位を印加し、ディスク状の第11四重極デバイス1313Iには第13電位を印加し、ディスク状の第12四重極デバイス1313Jには第14電位を印加し、ディスク状の第13四重極デバイス1313Kには第15電位を印加し、ディスク状の第14四重極デバイス1313Lには第16電位を印加する。この第12電位〜第16電位は個々に設定することができる。これは、イオン輸送ユニット1300は、図7に示すユニットよりも多くのユニットまたは少ないユニットを常に有することができることを示すことを意図したものである。ディスク状の第14四重極デバイス1313Lに続いて分析ユニット1400を設ける。分析ユニットは、例えば、イオン輸送ユニット1300に取り外し可能に取り付ける。しかしながら、以下に説明するように、これらの実施形態は全て常に同様に動作する。
上述したように、第1電位〜第16電位は個々に設定することができる。この目的のため、四重極ディスク1301,1312およびディスク状の四重極デバイス1308A,1308Bおよび1313A〜1313Lにそれぞれ対応する電位を個々に印加する。例として、第1電位〜第16電位が互いに異なるように設定する。また、第1電位値から第2電位値に切り替えを行う際は、例えば、帯電プロセスを利用して調整処理も行う。調整処理により、イオン輸送ユニット1300内に特定の電位プロファイルを形成することができる。図11a〜図11hに、イオン輸送ユニット1300における全電位の時間プロファイルを示す。この全電位は第1電位〜第16電位により構成される。図11aは、時間的に最初の全電位の瞬時記録を示し、図11hは時間的に最新の全電位の瞬時記録を示す。このグラフにおいて、各電位は第2長手方向軸線1307上の位置の関数として表される。参照符号1325にて示す階段状電位プロファイルは、全電位のプロファイルの一瞬間を考慮した際に発生するものである。参照符合1326は理想電位プロファイルを示す。第1電位〜第16電位をそれぞれ切り替えて、図示した全電位のプロファイルを形成するようにする。ここに示す例示的な実施形態における最大全電位は数ボルトの範囲、例えば、2Vから3Vの範囲にある。まず、図11aに電位井戸を示し、電位井戸の左歯面1327は、熱エネルギーのみをまだ有している二次イオンを第1四重極ディスク1301の領域から電位井戸に落下させることができるように構成する。右歯面1328は、ディスク状の第11四重極デバイス1313Iおよびディスク状の第12四重極デバイス1313Jの領域に設け、二次イオンが電位井戸の右歯面1328から出られないように十分な傾斜を持つように構成する。左歯面1327はまた、この領域のガス圧がまだ十分に高く二次イオンが衝突により中性ガス粒子にエネルギーを伝達できる場合にも、二次イオンが電位井戸から出られないような構成とする。このような構成により、二次イオンが電位井戸から出られないようにする。図11に示す状態を、ここで、所定時間(例えば、約数ミリ秒の間)維持する。この所定時間(蓄積時間)の間に、二次イオンを電位井戸内に捕集(二次イオンを蓄積)する。第1電位〜第6電位をここで切り替え、左歯面1327が右歯面1328に向かって移動させる(図11b〜図11h)。その結果、電位井戸は最も狭くなる。このように左歯面1327が移動することにより、二次イオンも同様に右歯面1328の方へ強制的に移動する。このようにして、二次イオンをイオン輸送ユニット1300内に輸送する。第1電位〜第16電位をここで切り替えて、左歯面1327と右歯面1328を第2長手方向軸線1307に沿って移動させ、電位井戸内の二次イオンが分析ユニット1400のすぐ手前まで移動するようにする。
図12に、二次イオンのイオン輸送ユニット1300内への輸送のさらなる例示的な実施形態を示す。図12は図11に基づいているため、まずは上記の記載を参照されたい。図12a〜図12hに、イオン輸送ユニット1300における全電位の時間プロファイルを示す。この全電位は、第1電位〜第16電位により構成される。図12aは時間的に最初の全電位の瞬時記録を示し、図12hは時間的に最新の全電位の瞬時記録を示す。最大全電位は、この場合も、数ボルトの範囲、例えば、2Vから3Vの範囲にある。まず、図12aに電位井戸を示し、電位井戸の左歯面1327は、熱エネルギーのみをまだ有している二次イオンを第1四重極ディスク1301の領域から電位井戸に落下させることができるように構成する。右歯面1328は、ディスク状の第3四重極デバイス1313Aの領域およびディスク状の第4四重極デバイス1313B領域に設け、二次イオンが電位井戸の右歯面1328から出られないように十分な傾斜を持つように構成する。左歯面1327も、この領域のガス圧がまだ十分に高く二次イオンが衝突により中性ガス粒子にエネルギーを伝達できる場合にも、二次イオンが電位井戸から出られないような構成とする。このような構成により、二次イオンが電位井戸から出られないようにする。図11aとは対照的に、図12aに示す電位井戸は大幅に狭くなっている。図12aの状態を、ここで、所定時間(例えば、約数ミリ秒の間)維持する。この所定時間(蓄積時間)の間に、二次イオンを電位井戸内に捕集(二次イオンを蓄積)する。第1電位〜第16電位をここで切り替え、左歯面1327と右歯面1328を第2長手方向軸線1307に沿って移動させる(図12b〜図12h)。したがって、二次イオンが蓄積した電位井戸も移動する。このように左歯面1327および右歯面1328が移動することにより、二次イオンは分析ユニット1400の方へ強制的に移動する。このようにして、二次イオンをイオン輸送ユニット1300内に輸送する。二次イオンが分析ユニット1400のすぐ手前に位置するまで、左歯面1327および右歯面1328は移動を続ける。
さらなる実施形態において、図13に概略的に示すように、イオン輸送ユニット1300内の各ユニットを並列に接続する。例示的な本実施形態において、第1四重極ディスク1301、ディスク状の第2四重極デバイス1308B、ディスク状の第3四重極デバイス1313A、ディスク状の第5四重極デバイス1313C、ディスク状の第7四重極デバイス1313E、およびディスク状の第9四重極デバイス1313Gを並列に接続する。さらに、ディスク状の第1四重極デバイス1308A、第2四重極ディスク1312、ディスク状の第4四重極デバイス1313B、ディスク状の第6四重極デバイス1313D、およびディスク状の第8四重極デバイス1313Fを並列に接続する。その他の実施形態においては、その他の並列回路、特に互いに相当距離を隔てた四重極デバイスの並列回路を設けることを明示的に述べておく。
並列接続に関するさらなる例示的な実施形態を図14に示す。図14は図11に基づいているため、まずは上記の記載を参照されたい。図14a〜図14hに、イオン輸送ユニット1300における全電位の時間プロファイルを示す。この全電位は、第1電位〜第16電位により構成される。図14aは時間的に最初の全電位の瞬時記録を示し、図14hは時間的に最新の全電位の瞬時記録を示す。最大全電位は、この場合も、数ボルトの範囲、例えば、2Vから3Vの範囲にある。図14に示す例示的な実施形態において、並列接続するのは、次の各ユニット、すなわち、第1四重極ディスク1301およびディスク状の第7四重極デバイス1313E、ディスク状の第1四重極デバイス1308Aおよびディスク状の第8四重極デバイス1313F、ディスク状の第2四重極デバイス1308Bおよびディスク状の第9四重極デバイス1313G、第2四重極ディスク1312およびディスク状の第10四重極デバイス1313H、ディスク状の第3四重極デバイス1313Aおよびディスク状の第11四重極デバイス1313I、ディスク状の第4四重極デバイス1313Bおよびディスク状の第12四重極デバイス1313J、ディスク状の第5四重極デバイス1313Cおよびディスク状の第13四重極デバイス1313K、およびディスク状の第6四重極デバイス1313Dおよびディスク状の第14四重極デバイス1313L、である。まず、図14に第1電位井戸および第2電位井戸を示す。第1電位井戸は、第1左歯面1327Aおよび第1右歯面1328Aを有する。第2電位井戸は、第2左歯面1327Bおよび第2右歯面1328Bを有する。第1電位井戸の第1左歯面1327Aは、熱エネルギーのみをまだ有している二次イオンを第1四重極ディスク1301の領域から第1電位井戸に落下させることができるように構成する。第1右歯面1328Aは、ディスク状の第4四重極デバイス1313Bおよびディスク状の第5四重極デバイス1313Cの領域に設け、二次イオンが第1電位井戸の第1右歯面1328Aから出られないように十分な傾斜を持つように構成する。第1左歯面1327Aも、この領域のガス圧がまだ十分に高く二次イオンが衝突により中性ガス粒子にエネルギーを伝達できる場合にも、二次イオンが第1電位井戸から出られないような構成とする。このような構成により、二次イオンが電位井戸から出られないようにする。図14aの状態を、ここで、所定時間(例えば、約数ミリ秒の間)維持する。この所定時間(蓄積時間)の間に、二次イオンを電位井戸内に捕集(二次イオンを蓄積)する。第1電位〜第16電位を切り替えて、一方では第1左歯面1327Aおよび第1右歯面1328Aを、他方では、第2左歯面1327Bおよび第2右歯面1328Bを第2長手方向軸線1307に沿って移動させる(図14b〜図14h)。したがって、第1電位井戸および第2電位井戸は両方とも移動する。このように第1左歯面1327Aおよび第1右歯面1328Aが移動することにより、二次イオンは分析ユニット1400の方へ輸送される。二次イオンが分析ユニット1400のわずか手前に位置するまで、第1左歯面1327Aおよび第1右歯面1328Aを移動する。図14に示す例示的な実施形態において、新しい電位井戸が繰り返し生成される。図14d〜図14hからわかるように、第3左歯面1327Cおよび第3右歯面1328Cを有する第3電位井戸が生成される。二次イオンを、ここで、再度この第3電位井戸に落下させることができる。続いて、第3電位井戸を、正確には上記と同様の方法により、第2長手方向軸線1307に沿って移動させる。図14を考慮すると、イオン輸送ユニット1300内において電位井戸の波が分析ユニット1400の方へ移動するような印象を受ける。この場合、各電位井戸の左歯面および右歯面は徐々に形成される。
上記の実施形態によれば、この輸送方法においては、二次イオンに有意な運動エネルギーが供給されない。二次イオンは、第2長手方向軸線1307に対し、軸方向および径方向に集束されたままとなる。
イオン輸送ユニット1300内に発生する四重極交流電場のうちの1つにおける不可避的な電場誤差により、上記の四重極デバイス1308A、1308B、および1313A〜1313Lのうち2つのデバイス間の領域において、例えば、ディスク状の第1四重極デバイス1308Aとディスク状の第2四重極デバイス1308Bとの間の領域において、二次イオンが運動エネルギーを吸収する可能性がある。したがって、この領域を、またはイオン輸送ユニット1300全体を、比較的短く構成することは考慮に値する。しかしながら、これは、イオン輸送ユニット1300のさらなる機能の効果、具体的には、圧段としての効果を減少させることになる。ここで、上記の解決策(二次イオン輸送の際に圧段を分散させること)は、この良好な妥協案として示される。
ここに示す例示的な本実施形態における分析ユニット1400(すなわち、検出ユニット)は質量分析計として、例えば、飛行時間形質量分析計またはイオントラップ質量分析計として構成する。特に、分析ユニット1400は、既に上述したように、交換可能に構成される。図15は、イオントラップ計量分析計の蓄積セル1404の概略断面図である。蓄積セル1404はポールトラップとして構成され、環状電極1401、第1エンドキャップ電極1402、および第2エンドキャップ電極1403を備える。環状電極1401は、第1軸線1407を中心に回転対称となるように配置される。第1エンドキャップ電極1402および第2エンドキャップ電極1403も同様に第1軸線1407を中心に回転対称となるように配置される。環状電極1401は開口部1406を有し、この開口部を通してイオン輸送ユニット1300から蓄積セル1404内の第2内部領域に二次イオンを注入することができる。二次イオン注入中は蓄積セル1404内の蓄積領域は停止している。電気パルスを用いて二次イオンを蓄積セル1404内に注入する。これらの二次イオンは、イオン輸送ユニット1300から分析ユニット1400に輸送され、上記電位井戸のうち蓄積セル1404のすぐ手前の電位井戸に滞留していたものである。このパルスにより、これら二次イオンに運動エネルギーが供給されるが、各二次イオンにも同様に運動エネルギーが供給される。この結果、質量分散が起こる。同一時間内に、軽量の二次イオンは重量のある二次イオンよりも長距離を後方に移動する。このことは、重量のある二次イオンが開口部1406を通過して蓄積セル1404に第2内部領域1405に入る前に、軽量の二次イオンが環状電極1401に到達してしまうという問題につながることがある。質量分散の影響を低減するため、第1エンドキャップ電極1402および第2エンドキャップ電極1403を介して電位を印加し、蓄積セル1404の内部領域1405に静的四重極電場が発生するようにし、二次イオンが蓄積セル1404の中央で制動されるようにする。上記の電位は、したがって、制動電位とも呼ばれる。軽量の二次イオンは、重量のある二次イオンよりも前に、一度に制動電位の影響を受け、その結果、重量のある二次イオンが軽量の二次イオンを「制止」することができる。重量のある二次イオンが蓄積セル1404の第2内部領域1405に入射すると、蓄積領域を速やかに起動する。
パルスにより、蓄積セル1404に入射する際の二次イオンの運動エネルギーの径方向成分を、イオン輸送ユニット1300内の二次イオンの運動エネルギーの径方向成分よりも大きくすることができる。蓄積セル1404に入射する際の二次イオンの運動エネルギーの径方向成分はできるだけ低く(例えば、約数百meV)とする必要がある。そうでないと、蓄積セル1404内で二次イオンの電位エネルギーに変換されてしまうからである。この場合、蓄積セル1404の第2内部領域1405内の二次イオンのマクロ振動の振幅が高くなり、分析のための二次イオンが失われる。
図16は、図2に示す粒子ビーム装置1に設けた粒子分析装置1000のさらなる実施形態の概略側面図である。図16は図3に基づいている。同一の部品には同一の参照符号を付して示す。粒子分析装置1000は、抽出ユニット1100、エネルギー伝達装置1200、イオン輸送ユニット1300、および分析ユニット1400を備える。イオン輸送ユニット1300および分析ユニット1400は、連結素子1001を介して試料チャンバ49に取り外し可能に取り付ける。分析ユニット1400にレーザユニット1500を追加的に取り付け、レーザビームを分析ユニット1400、イオン輸送ユニット1300、エネルギー伝達装置1200、および抽出ユニット1100に通過させ、試料16に到達させることができるようにする。図17Aに、粒子ビーム装置1内における粒子分析装置1000の概略配置を示す。この場合、明瞭さを向上させるため、図17Aには試料16、第1粒子ビームカラム2、第2粒子ビームカラム3、抽出ユニット1100、およびレーザユニット1500のみを示す。試料16をレーザビームで露光することで、イオンビームによる二次イオン発生の追加または代案として、試料16上でさらに二次イオンを発生させることができる。そして、さらなる二次イオンを粒子分析装置1000により分析する。この実施形態は、レーザビームで比較的広域を照射することにより、所定時間内において、イオンビームのみの場合より多くの二次イオンが試料16から発生する点で有利である。これにより、蓄積時間が短縮され、すなわち、二次イオンが上記電位井戸に捕集され、二次イオンの質量分析をより迅速に行うことができるようになる。本実施形態は、誘電性試料の検査にも有利である。これら誘電性試料はイオンが衝突すると帯電し、その結果、第2粒子ビームカラム3による電子を利用する結像が不可能になる。このため、イオンビームのかわりに、レーザユニット1500のレーザビームのみを用いて二次イオンを生成することができる。
さらに、図17Aに示す実施形態において、有利には、レーザユニット1500が粒子分析装置1000の軸線に平行に配置されるように、レーザユニット1500と粒子分析装置1000とを配列する。この構成により、試料チャンバにレーザユニット1500のための付加的な接続を設けることが不要になる。
さらに別の実施形態において、レーザユニット1500のレーザビームを用いて光周波数における光学的結像を行うことが可能となる。これにより、電子またはイオンによる結像に加え、試料16の表面をさらなる検査方法で検査することができる。
さらなる実施形態において、レーザユニット1500のレーザビームを用いて、試料の位置決めおよびイオンビームと電子ビームとの一致点の発見を行う。
さらに別の実施形態において、レーザビームのエネルギーを用いて、試料16から放出された中性粒子をイオン化することができる。これにより、粒子分析装置1000による分析効率が向上する。
さらに、レーザユニット1500のレーザビームにより試料16のある一定の領域を加熱することができる。これにより、試料16の検査をその温度の係数として行うことが可能となる。さらに、二次イオンの仕事関数を減少することができ、二次イオンの「収量」を増加させることができる。
さらなる実施形態において、レーザ光により二次イオンの分光分析を行うことができる。
さらに、上記の例示的な実施形態において、試料16にイオンビームおよびレーザユニット1500からのレーザビームを交互に、または、連続的に照射する。例えば、レーザビームにより試料16から材料を大まかに除去することができる。これにより二次イオンが発生し、その二次イオンを分析する。粒子分析装置1000により特定の要素が確認されるまで、大まかな除去を行う。その後、集束イオンビームを用いて微細な除去を行う。
図17Bは、図17Aに示す例示的な実施形態に基づくものである。同一の部品には同一の参照符号を付して示す。したがって、まずは、上記の記載を参照されたい。上記の記載は図17Bに示す例示的な実施形態にも適用される。図17Aに示す例示的な実施形態とは対照的に、図17Bに示す例示的な実施形態においては、レーザユニット1500は粒子分析装置1000上ではなく、側方の試料チャンバ49上に配置する。
図17Cも同様に、図17Aに示す例示的な実施形態に基づくものである。同一の部品には同一の参照符号を付して示す。したがって、まずは、上記の記載を参照されたい。上記の記載は図17Cに示す例示的な実施形態にも適用される。図17Aに示す例示的な実施形態とは対照的に、図17Cに示す例示的な実施形態においては、2つのレーザユニットを設ける。第1レーザユニット1500Aを粒子分析装置1000上(例えば、分析ユニット1400)に取り付ける。さらに、第2レーザユニット1500Bを試料チャンバ49上に配置する。第1レーザユニット1500Aおよび第2レーザユニット1500Bはどちらも上述した機能のうち少なくとも1つを有する。
また、上記の発明、特に、本発明の上記の全ての実施形態は、正電荷を持つイオンおよび負電荷を持つイオンの両方に適していることを明示的に述べておく。上記の電位は、当業者により、上記の電位を反転および適合させることにより適宜選択されるものである。
1 粒子ビーム装置
2 第1粒子ビームカラム(イオンビームカラム)
3 第2粒子ビームカラム(電子ビームカラム)
4 第1光軸
5 第2光軸
6 第2ビーム発生器
7 第1電極
8 第2電極
9 第3電極
10 ビーム案内管
11 コリメータ装置
12 第1環状コイル
13 ヨーク
14 ピンホールダイアフラム
15 検出器
16 試料
17 中央開口
18 第2対物レンズ
19 磁気レンズ
20 静電レンズ
21 第2環状コイル
22 内側磁極片
23 外側磁極片
24 ビーム案内管の端部
25 終端電極
26 ラスタ手段
27 第1ビーム発生器
28 抽出電極
29 コリメータ
30 可変アパーチャ
31 第1対物レンズ
32 ラスタ電極
41 制御電極
42 凹所
43 外面
46 第3電圧源ユニット
47 第4電圧源ユニット
49 試料チャンバ
1000 粒子分析装置
1001 (試料チャンバへの)連結素子
1100 抽出ユニット
1135 第1キャビティ
1136 第1引き出し電極
1137 第2引き出し電極
1138 第2キャビティ
1139 第1吸入口
1140 第2吸入口
1141 第1端面
1142 第2端面
1144 第1電圧源ユニット
1148 第2電圧源ユニット
1200 エネルギー伝達装置
1201 管状容器
1202A 第1セグメント
1202B 第2セグメント
1202C 第3セグメント
1202D 第4セグメント
1202E 第5セグメント
1202F 第6セグメント
1202G 第7セグメント
1202H 第8セグメント
1202I 第9セグメント
1202J 第10セグメント
1202K 第11セグメント
1202L 第12セグメント
1202M 第13セグメント
1202N 第14セグメント
1202O 第15セグメント
1202P 第16セグメント
1202Q 第17セグメント
1202R 第18セグメント
1202S 第19セグメント
1202T 第20セグメント
1202U 第21セグメント
1202V 第22セグメント
1203 プリント回路基板電極
1204 絶縁素子
1205 第1長手方向軸線
1206 第1内部領域
1207 第1容器端部
1208 第22セグメント1202Vの領域
1209 第2電子回路
1210 電位井戸
1211 セグメント電位
1212 誘導電位
1300 イオン輸送ユニット
1301 第1四重極ディスク
1302 第1貫通口
1303A 第1双曲プリント回路基板電極
1303B 第2双曲プリント回路基板電極
1303C 第3双曲プリント回路基板電極
1303D 第4双曲プリント回路基板電極
1303E 第5双曲プリント回路基板電極
1303F 第6双曲プリント回路基板電極
1303G 第7双曲プリント回路基板電極
1303H 第8双曲プリント回路基板電極
1303I 第9双曲プリント回路基板電極
1303J 第10双曲プリント回路基板電極
1303K 第11双曲プリント回路基板電極
1303L 第12双曲プリント回路基板電極
1304 絶縁層
1305 第1外面
1306 第2外面
1307 第2長手方向軸線
1308A ディスク状の第1四重極四重極デバイス
1308B ディスク状の第2四重極デバイス
1309 ガス吸入口
1310 第1中間領域
1311 第2中間領域
1312 第2四重極ディスク
1313A ディスク状の第3四重極デバイス
1313B ディスク状の第4四重極デバイス
1313C ディスク状の第5四重極デバイス
1313D ディスク状の第6四重極デバイス
1313E ディスク状の第7四重極デバイス
1313F ディスク状の第8四重極デバイス
1313G ディスク状の第9四重極デバイス
1313H ディスク状の第10四重極デバイス
1313I ディスク状の第11四重極デバイス
1313J ディスク状の第12四重極デバイス
1313K ディスク状の第13四重極デバイス
1313L ディスク状の第14四重極デバイス
1314 第3中間領域
1315 第4中間領域
1316 第5中間領域
1317 第6中間領域
1318 第7中間領域
1319 第8中間領域
1320 第9中間領域
1321 第2貫通口
1324 電子回路
1325 階段状電位プロファイル
1326 理想電位プロファイル
1327 左歯面
1327A 第1左歯面
1327B 第2左歯面
1327C 第3左歯面
1328 右歯面
1328A 第1右歯面
1328B 第2右歯面
1328C 第3右歯面
1329 チャネル
1400 分析ユニット
1401 環状電極
1402 第1エンドキャップ電極
1403 第2エンドキャップ電極
1404 蓄積セル
1405 第2内部領域(蓄積セル)
1406 開口部
1407 第1軸線
1500 レーザユニット
1500A 第1レーザユニット
1500B 第2レーザユニット
KR コア径
A1 距離

Claims (29)

  1. イオンを集束および/または蓄積する装置であって、
    少なくとも1つのイオンを収容する少なくとも1つの容器(1201)であって、少なくとも1つの排出口(1208)を有することを特徴とする、容器、および
    多重極交流電場を発生させる少なくとも1つの多重極ユニット(1301)、
    を備える装置において、
    前記多重極ユニット(1301)は、前記容器(1201)の排出口(1208)に配置し、
    前記多重極ユニット(1301)は、長手方向軸線(1307)を有する貫通口(1302)を有し、
    前記多重極ユニット(1301)は、少なくとも1つの第1電極(1303A)、少なくとも1つの第2電極(1303B)、少なくとも1つの第3電極(1303C)、少なくとも1つの第4電極(1303D)、少なくとも1つの第5電極(1303E)、少なくとも1つの第6電極(1303F)、少なくとも1つの第7電極(1303G)、および少なくとも1つの第8電極(1303H)を備え、
    前記第1電極(1303A)、前記第2電極(1303B)、前記第3電極(1303C)、および前記第4電極(1303D)は、前記貫通口(1302)の前記長手方向軸線(1307)から等しい径方向距離にあり、それぞれ、前記貫通口(1302)の前記長手方向軸線(1307)から第1径方向距離にあり、
    前記第5電極(1303E)、前記第6電極(1303F)、前記第7電極(1303G)、および前記第8電極(1303H)は、前記貫通口(1302)の前記長手方向軸線(1307)から等しい径方向距離にあり、それぞれ、前記貫通口(1302)の前記長手方向軸線(1307)から第2径方向距離にあり、
    前記第1径方向距離は、前記第2径方向距離よりも小さく、
    前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、および前記第4電極が、前記第5電極、前記第6電極、前記第7電極、および前記第8電極と、前記長手方向軸線方向にオーバラップしない
    装置。
  2. 請求項1に記載の装置(1301)において、前記多重極ユニット(1301)は重極交流電場を発生させる重極ユニットとして構成する、装置。
  3. 請求項1または2に記載の装置(1301)において、
    前記多重極ユニット(1301)は、前記長手方向軸線(1307)に対して直角に配置した平面により規定される第1外面(1305)を有し、
    前記第1電極(1303A)、前記第2電極(1303B)、前記第3電極(1303C)、前記第4電極(1303D)、前記第5電極(1303E)、前記第6電極(1303F)、前記第7電極(1303G)、および/または前記第8電極(1303H)は、前記平面上及び/又は前記平面に隣接して配置される、
    装置。
  4. 請求項3に記載の装置(1301)において、
    前記多重極ユニット(1301)は、前記多重極ユニット(1301)の前記第1外面(1305)の反対側に配置した第2外面(1306)を有し、
    前記第1電極(1303A)、前記第2電極(1303B)、前記第3電極(1303C)、前記第4電極(1303D)、前記第5電極(1303E)、前記第6電極(1303F)、前記第7電極(1303G)、および/または前記第8電極(1303H)は、前記第1外面(1305)から第2外面(1306)にわたり延在する、
    装置。
  5. 請求項4に記載の装置(1301)において、
    前記第1外面(1305)および前記第2外面(1306)は離間し、該第1外面(1305)と該第2外面(1306)との間の距離は、次の範囲、すなわち、
    0.5mmから50mmの範囲、
    0.5mmから40mmの範囲、
    0.5mmから30mmの範囲、
    0.5mmから20mmの範囲、
    0.5mmから10mmの範囲、または
    0.5mmから3mmの範囲、
    のうち1つの範囲内とした、装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(1301)において、前記多重極ユニット(1301)はディスク状である、装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(1301)において、
    前記第1電極(1303A)、前記第2電極(1303B)、前記第3電極(1303C)、前記第4電極(1303D)、前記第5電極(1303E)、前記第6電極(1303F)、前記第7電極(1303G)、および/または前記第8電極(1303H)は双曲的である、
    装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置(1301)において、前記多重極ユニット(1301)は、少なくとも1つのプリント回路基板により構成した、装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置(1301)において、
    前記貫通口(1302)は、前記長手方向軸線(1307)に対して径方向に長さを有し、該長さは、次の範囲、すなわち、
    0.4mmから10mmの範囲、
    0.4mmから5mmの範囲、または
    0.4mmから1mmの範囲、
    のうち、少なくとも1つの範囲内とした、
    装置。
  10. 軸線(1307)に沿って延在する細長い第1開口(1321)を備えた装置を有する、第1圧力領域を第2圧力領域から分離する装置(1300)であって、
    前記第1開口(1321)は、前記軸線(1307)に対して径方向長さを有し、
    前記第1開口(1321)は、前記軸線に沿って軸方向長さを有し、該軸方向長さは前記径方向長さよりも大きく、
    少なくとも1つの第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)および少なくとも1つの第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)が、前記軸線に沿って配置され、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)および前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)の少なくとも1つが、少なくとも1つの第1電極(1303A)、少なくとも1つの第2電極(1303B)、少なくとも1つの第3電極(1303C)、少なくとも1つの第4電極(1303D)、少なくとも1つの第5電極(1303E)、少なくとも1つの第6電極(1303F)、少なくとも1つの第7電極(1303G)、および少なくとも1つの第8電極(1303H)を有し、
    前記第1電極(1303A)、前記第2電極(1303B)、前記第3電極(1303C)、および前記第4電極(1303D)は、前記第1開口(1321)の前記軸線(1307)から等しい径方向距離にあり、それぞれ、前記第1開口(1321)の前記軸線(1307)から第1径方向距離にあり、
    前記第5電極(1303E)、前記第6電極(1303F)、前記第7電極(1303G)、および前記第8電極(1303H)は、前記第1開口(1321)の前記軸線(1307)から等しい径方向距離にあり、それぞれ、前記第1開口(1321)の前記軸線(1307)から第2径方向距離にあり、
    前記第1径方向距離は、前記第2径方向距離よりも小さく、
    前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、および前記第4電極が、前記第5電極、前記第6電極、前記第7電極、および前記第8電極と、前記軸線方向にオーバラップしない
    装置。
  11. 請求項10に記載の装置(1300)において、
    次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A−1313G)は、前記第1開口の少なくとも一部である第1貫通口(1321)を有すること、
    前記第2多重極デバイス(1312,1313A−1313G)は、前記第1開口の少なくとも一部である第2貫通口(1321)を有すること、または
    前記軸線(1307)を長手方向軸線として構成したこと、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  12. 請求項10または11に記載の装置(1300)において、
    次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、荷電粒子を輸送するように設計したこと、
    前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、荷電粒子を輸送するように設計したこと、または
    前記軸線(1307)を輸送軸線として構成したこと、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  13. 請求項10〜12のいずれか一項に記載の装置(1300)において、
    次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、四重極デバイスとして構成したこと、または
    前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、四重極デバイスとして構成したこと、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  14. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の装置(1300)において、
    該装置(1300)は、次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)はディスク状であること、または
    前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)はディスク状であること、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  15. 請求項10〜14のいずれか一項に記載の装置(1300)において、
    該装置(1300)は、次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、少なくとも1つの第1プリント回路基板で形成したこと、または
    前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、少なくとも1つの第2プリント回路基板で形成したこと、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  16. 請求項10〜15のいずれか一項に記載の装置(1300)において、前記第2多重極デバイス(1303B〜1313E)の領域に排出装置(1316,1317,1318)を設けた、装置。
  17. 請求項10〜16のいずれか一項に記載の装置(1300)において、
    前記第1開口(1321)の径方向長さは、次の範囲、すなわち、
    0.4mm〜10mmの範囲、
    0.4mm〜5mmの範囲、または
    0.4mm〜1mmの範囲、
    のうち、少なくとも1つの範囲内とした、装置。
  18. 請求項10〜17のいずれか一項に記載の装置(1300)において、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)および/または前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、それぞれ、少なくとも1つの第1電極デバイス、少なくとも1つの第2電極デバイス、少なくとも1つの第3電極デバイス、および少なくとも1つの第4電極デバイスを備える、
    装置。
  19. 請求項18に記載の装置(1300)において、
    前記第1電極デバイス(1303A)、前記第2電極デバイス(1303B)、前記第3電極デバイス(1303C)、および/または前記第4電極デバイス(1303D)は双曲的である、
    装置。
  20. 請求項10〜19のいずれか一項に記載の装置(1300)において、
    該装置(1300)は、次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、少なくとも1つの第1多重極ディスク(1312,1313A〜1313G)および少なくとも1つの第2多重極ディスク(1312,1313A〜1313G)を備えること、または
    前記第2多重極デバイス(1312,1313A〜1313G)は、少なくとも1つの第3多重極ディスク(1312,1313A〜1313G)および少なくとも1つの第4多重極ディスク(1312,1313A〜1313G)を備えること、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  21. 請求項20に記載の装置(1300)において、
    該装置(1300)は、次の特徴、すなわち、
    前記第1多重極ディスク(1312,1313A,1313B)および前記第2多重極ディスク(1312,1313A,1313B)は、第1の密閉システムとして構成すること、または
    前記第3多重極ディスク(1313E〜1313G)および前記第4多重極ディスク(1313E〜1313G)は、第2の密閉システムとして構成すること、
    という特徴のうち少なくとも1つを有する、装置。
  22. 粒子ビーム装置(1)であって、
    試料チャンバ(49)、
    前記試料チャンバ(49)内に配置した試料(16)、
    少なくとも1つの第1粒子ビームカラム(2)であって、第1粒子ビームを生成する第1ビーム発生器(27)および該第1粒子ビームを前記試料(16)上に集束する第1対物レンズ(31)を有することを特徴とする、少なくとも1つの第1粒子ビームカラム、
    前記試料(16)から放出される二次イオンを生成する少なくとも1つの手段(2,1500,1500A,1500B)、
    前記二次イオンを捕集する少なくとも1つの捕集装置(1100)、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(1301)および/または
    請求項10〜21のいずれか一項に記載の装置(1300)、および
    二次イオンを分析する分析ユニット(1400)、
    を備える、粒子ビーム装置。
  23. 請求項22に記載の粒子ビーム装置(1)において、
    前記分析ユニット(1400)は質量分析計として構成される、
    粒子ビーム装置。
  24. 請求項22または23に記載の粒子ビーム装置(1)において、
    前記分析ユニット(1400)は、請求項10〜21のいずれか一項に記載の前記装置(1300)に、連結素子(1001)を用いて、取り外し可能に取り付けられる、
    粒子ビーム装置。
  25. 請求項22〜24のいずれか一項に記載の粒子ビーム装置(1)において、該粒子ビーム装置(1)はレーザユニット(1500,1500A,1500B)を備える、粒子ビーム装置。
  26. 請求項25に記載の粒子ビーム装置(1)において、
    前記二次イオンを生成する手段は、前記レーザユニット(1500,1500A,1500B)を含む、
    粒子ビーム装置。
  27. 請求項22〜26のいずれか一項に記載の粒子ビーム装置(1)において、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(1301)上か、
    請求項10〜21のいずれか一項に記載の装置(1300)上か、または
    前記分析ユニット(1400)上に、
    前記二次イオンを生成する手段が配置される、
    粒子ビーム装置。
  28. 請求項22〜27のいずれか一項に記載の粒子ビーム装置(1)において、
    該粒子ビーム装置(1)は少なくとも1つの第2粒子ビームカラム(3)を備え、
    前記第2粒子ビームカラム(3)は、第2粒子ビームを生成する第2ビーム発生器(6)および該第2粒子ビームを前記試料(16)上に集束する第2対物レンズ(18)を備える、
    粒子ビーム装置。
  29. 請求項28に記載の粒子ビーム装置(1)において、
    該粒子ビーム装置(1)は、次の特徴、すなわち、
    前記第2粒子ビームカラム(3)を電子ビームカラムとして構成し、前記第1粒子ビームカラム(2)をイオンビームカラムとして構成したこと、または、
    前記第1粒子ビームカラムをイオンビームカラムとして構成し、前記第2粒子ビームカラムをイオンビームカラムとして構成したこと、
    という特徴のうちの1つを有する、粒子ビーム装置。
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