JP5794695B2 - 多弁咲きシクラメンの生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多弁咲きシクラメンの生産方法に関する。
花器官の形態は園芸植物の観賞性を向上させるための重要な要素である。花器官の形態形成においては、まず、花序分裂組織が分化して花原基が形成され、次いで花原基に含まれる花芽分裂組織が分化して、がく片、花びら、雄しべ、雌しべの4種類の花器官が形成される。その後、花器官を含む複合器官として成熟した花が形成される。
一般に「八重咲き」と呼ばれる花は、花弁の内側の雄しべや雌しべが並んでいる場所にさらに多くの花びらが並んで、花弁だけで花が構成されているように見える状態を指す。
高等植物における花の形態形成は、一般にABCモデルによって説明されている。ABCモデルでは、花の形態変化が、MADSボックスファミリーに属する遺伝子の転写制御により説明される(非特許文献1)。MADSボックスファミリーは30種以上の遺伝子からなる遺伝子ファミリーを形成しており、A、B、Cの各クラスに細分される。MADSボックスファミリーに属する遺伝子は、MADSボックスと呼ばれる保存性領域を含む転写因子をコードしている。APETALA1(AP1)、APETALA(AP2)などの遺伝子がAクラス遺伝子に、APETALA3(AP3)、PISTILLATA(PI)などの遺伝子がBクラス遺伝子に、AGAMOUS(AG)などの遺伝子がCクラス遺伝子に分類され、これらの遺伝子の変異体において花の形態変化が確認されている。
これまで、花弁の形態や花弁の数が改変された植物は、主に植物の品種を掛け合わせる交配育種や自然界で発生する突然変異体の探索により得られている。しかし、交配育種においては、目的とする形態を有する植物を生産するために長い年月と熟練した技術を要し、また、突然変異体の探索においては目的とする形態は偶発的に得られるにすぎず、簡易かつ確実に花弁の形態や花弁の数を改変する方法が求められている。
遺伝子工学的に植物の形態を改変する方法として、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドを利用する方法が知られている(特許文献1〜7)。これらの機能性ペプチドは、Class II ERF(Ethylene Responsive Element Binding Factor)タンパク質や、シロイヌナズナSUPERMANタンパク質等の植物のジンクフィンガータンパク質(Zinc Finger Protein)から切り出されたもので単純な構造を有する。シロイヌナズナにおいては、AP3遺伝子やAG遺伝子の発現を、AP3タンパク質やAGタンパク質と機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質をコードするDNAを植物体内に導入することで抑制し、これにより雄性不稔体を生産することや花弁数を増加させることが報告されている(特許文献8〜9)。
しかしながら、シロイヌナズナはAG遺伝子を1種類のみ有する花卉であり、複数のAG遺伝子を有する花卉とは、AG遺伝子の働きが異なると考えられる。実際、シロイヌナズナのAGタンパク質と機能性ペプチドとが融合したキメラタンパク質は、トレニアにおいて花弁数を増加させることができなかったことが報告されている(非特許文献2)。また、複数のAG遺伝子を有する花卉における各AG遺伝子の機能は、花卉の種類により異なることも知られている。
シクラメンは観賞用花卉として人気があるが、シクラメンが有するAG遺伝子に関する報告はなく、シクラメンが有するAG遺伝子の数や機能については知られていない。
特開2001−269177号公報 特開2001−269178号公報 特開2001−292776号公報 特開2001−292777号公報 特開2001−269176号公報 特開2001−269179号公報 国際公開WO03/055903号パンフレット 特開2005−192483号公報 特開2006−42729号公報
花の形態形成の分子遺伝学,新版「植物の形を決める分子機構」(秀潤社)150−163 2000 Plant Biotechnology 2008 25, 45−53
本発明は、花弁数が増加した多弁咲きシクラメンの生産方法を提供することを課題とする。また、本発明は、前記生産方法により得られるシクラメンの植物体を提供することを課題とする。
本発明者らは、シクラメンに由来する2種類のAG遺伝子を単離することに成功した。さらに、本発明者らは、該遺伝子の発現を抑制することで、シクラメンの花弁数が増加することを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、下記の手段が提供される:
[1]シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子の機能を抑制する工程を少なくとも含む、花弁数が増加した多弁咲きシクラメン植物体の生産方法であって、
前記転写因子が下記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列を有する、生産方法。
(a)配列番号2のアミノ酸配列
(b)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
]シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子であって下記記(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を有する転写因子の機能を抑制する工程をさらに含む、[]に記載の生産方法。
(d)配列番号4のアミノ酸配
(e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配
(f)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配
シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子の機能を抑制する工程を少なくとも含む、花弁数が増加した多弁咲きシクラメン植物体の生産方法であって、
前記転写因子が下記(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を有する、生産方法
(d)配列番号4のアミノ酸配列
(e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
(f)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
]シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子の機能を抑制する工程を少なくとも含む、花弁数が増加した多弁咲きシクラメン植物体の生産方法であって、
前記転写因子が下記(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を有し、
前記転写因子の機能が抑制されるシクラメンが、シクラメンの花器官の形態形成に関与する下記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列を有する転写因子の機能が抑制されているシクラメン突然変異体である、生産方法。
(a)配列番号2のアミノ酸配列
(b)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(d)配列番号4のアミノ酸配列
(e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
(f)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
]前記転写因子と、転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を用いて、前記転写因子の機能を抑制する、[1]〜[]のいずれかに記載の生産方法であって、
前記機能性ペプチドが、配列番号21のアミノ酸配列を有するペプチドである、生産方法
][1]〜[]のいずれかに記載の生産方法により生産されたシクラメン植物体。
本発明の生産方法によれば、野生型のシクラメンに比べて花弁数が増加した多弁咲きシクラメンを効率的に生産することができる。また、本発明の生産方法により、短期間に簡易かつ確実に花弁の数が増加したシクラメンを得ることができるので、交配育種や突然変異体の探索に比べて品種改良にかかる労力を大幅に削減することができる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
CpAG1SRDXで形質転換されたメロディホワイトの花器官(a)及び形質転換されていないメロディホワイトの花器官(b)を示す写真である。Aは花器官を横からみた写真であり、Bは花器官を正面からみた写真である。 CpAG2SRDXで形質転換されたウインクピンクの花器官(a)、形質転換されていないウインクピンクの花器官(b)及び野生型のシクラメンの花器官(c)を示す写真である。 AtAGSRDXで形質転換されたフレグランスミニの花器官(a)と形質転換されていないフレグランスミニの花器官(b)を示す図である。
以下、本発明について、その好ましい実施態様に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子
本発明において「シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子」とは、シクラメンの花器官の形成過程において花器官の形態に影響を与える遺伝子の発現を制御する転写因子であり、雄しべや雌しべ等の花器官の形態形成に関与する遺伝子の発現を制御する転写因子であることが好ましい。このような転写因子としては、MADSボックスファミリーのCクラスに属するAGAMOUS(AG)タンパク質が挙げられるが、中でも、AGAMOUS1(AG1)タンパク質やAGAMOUS2(AG2)タンパク質が好ましい。
AG1タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質であることが好ましく、配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。
また、AG1タンパク質は、配列番号1の塩基配列における111番目〜851番目の塩基配列を有するDNAにコードされるタンパク質であることが好ましく、配列番号1の塩基配列における111番目〜851番目の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列を有するDNAにコードされるタンパク質であってもよい。
AG2タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質であることが好ましく、配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、配列番号4のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。
また、AG2タンパク質は、配列番号3の塩基配列における87番目〜830番目の塩基配列を有するDNAにコードされるタンパク質であることが好ましく、配列番号3の塩基配列における87番目〜830番目の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列を有するDNAにコードされるタンパク質であってもよい。
本発明において「1若しくは数個」とは、1〜30個であることが好ましく、1〜20個であることがより好ましく、1〜10個であることがより好ましく、1〜7個であることがより好ましく、1〜5個であることがさらに好ましく、1〜3個であることが特に好ましい。
本発明において「アミノ酸配列の同一性(%)」とは、比較する2つのアミノ酸配列を必要に応じて間隙を導入して整列(アラインメント)させ、得られる最大のアミノ酸配列の同一性(%)をいう。アミノ酸配列の同一性を決定する目的のためのアラインメントは、通常の方法を用いて行うことができ、例えばBLASTのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアや、DNASIS Pro(日立ソフトウェアエンジニアリング(株))並びにGENETYX((株)ゼネティックス)等の市販のソフトウェアを使用することもできる。
本発明において「ストリンジェントな条件」とは、塩基配列の同一性が高いDNA同士、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の同一性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより同一性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、60℃、0.1×SSC、0.1%SDS、より好ましくは、65℃、0.1×SSC、0.1%SDS、さらに好ましくは68℃、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する温度及び塩濃度で、1回、より好ましくは2〜3回洗浄する条件が挙げられる。上記ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、公知の方法で行うことができる。
(2)転写因子の機能抑制と多弁咲きシクラメンの生産
本発明において、シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子は、シクラメン植物体内においてその機能が抑制される。前記転写因子の機能を抑制する方法に特に制限はなく、例えば、転写抑制因子をシクラメン植物体に導入する方法、前記転写因子をコードする遺伝子を破壊する方法、RNA干渉(RNAi)などにより前記転写因子をコードする遺伝子の発現を抑制する方法が挙げられるが、転写抑制因子を植物体内に導入する方法が好ましい。転写抑制因子としては、例えば、転写因子と、転写因子を転写抑制因子に転換する機能を有する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質が好ましい。該キメラタンパク質をコードするDNAを植物体内に導入し、植物体内で該キメラタンパク質を生産させ、これにより転写因子の機能を抑制することができる。
本発明において「転写因子を転写抑制因子に転換する機能を有する機能性ペプチド」とは、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド(以下、転写抑制転換ペプチドと呼ぶことがある)を意味する。転写抑制転換ペプチドは、転写因子と融合したキメラタンパク質の形態をとることで、当該転写因子の機能を抑制することができるペプチドであれば特に制限はない。このような転写抑制転換ペプチドとして、ClassII ERF遺伝子ファミリーに属する、シロイヌナズナ由来のAtERF3タンパク質又はその部分ペプチド、AtERF4タンパク質又はその部分ペプチド、AtERF7タンパク質又はその部分ペプチド、AtERF8タンパク質又はその部分ペプチド、AtERF8タンパク質又はその部分ペプチド(特開2001−269177号公報、特開2001−269178号公報、特開2001−292776号公報、特開2001−292777号公報)、タバコ由来のERF3タンパク質又はその部分ペプチド(特開2001−269176号公報)、イネ由来のOsERF3タンパク質又はその部分ペプチド(特開2001−269179号公報)が例示される。また、ジンクフィンガータンパク質の遺伝子ファミリーである、シロイヌナズナ由来のZAT10タンパク質又はその部分ペプチド、ZAT11タンパク質又はその部分ペプチドも例示される。
上記各タンパク質は、カルボキシル末端側の領域に、アスパラギン酸−ロイシン−アスパラギンを含むモチーフ(DLNモチーフ)を有し、転写抑制転換ペプチドとして機能する。上記各タンパク質の部分ペプチドはDLNモチーフを含む。
また、シロイヌナズナ由来のSUPERMANタンパク質はDLNモチーフを有さないが、転写抑制転換ペプチドとして機能することが知られており、その転写抑制機能は非常に強い(The Plant Cell Vol.13 1959−1968 August 2001、FEBS Letters 514 351−354 2002)。
さらに、転写抑制転換ペプチドとして、例えば、配列番号5〜44のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。転写抑制転換ペプチドは、植物体から当業者に周知の方法で単離することもできるし、当業者に周知の方法で化学合成して得ることもできる。
シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子と転写抑制転換ペプチドとを融合させたキメラタンパク質は、該転写因子と転写抑制転換ペプチドとが含まれている限りにおいてその構成に特に制限はなく、該転写因子と転写抑制転換ペプチドのいずれがアミノ末端側に位置してもよい。また、転写因子と転写抑制転換ペプチドとを連結するためのリンカー機能を有するペプチドや、HisやMyc、Flag等のようにキメラタンパク質をエピトープ標識するためのポリペプチド等の各種の付加的なポリペプチドが含まれていてもよい。さらに、必要に応じて、ポリペプチド以外の構造、例えば、糖鎖やイソプレノイド基等が含まれていてもよい。
シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子と転写抑制転換ペプチドとを融合させたキメラタンパク質をシクラメンに導入する方法に特に制限はないが、該キメラタンパク質をコードするDNAをシクラメンに導入し、シクラメンの花器官で該キメラタンパク質を生産させることが好ましい。
該キメラタンパク質をコードするDNA(キメラDNA)は、シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子をコードするDNAと、転写抑制転換ペプチドをコードするDNAとを、該転写因子と転写抑制転換ペプチドとの融合タンパク質をコードするように連結することで得ることができる。
上記転写因子をコードするDNAは、配列番号1又は配列番号3の塩基配列や、既知の転写因子の塩基配列に基づき通常の方法で作製したプライマー対を用いて、シクラメンのcDNA又はゲノミックDNAを鋳型として通常の方法でPCRを行うことにより得ることができる。また、上記転写因子をコードするDNAは、公知の方法により化学合成して得ることもできる。さらに、このようにして得られたDNAに部位特異的変異(site−directed mutagenesis)を導入することで、該DNAのバリアント、すなわち、該DNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを得ることができ、このようなバリアントも上記転写因子をコードするDNAに含まれる。
また、転写抑制転換ペプチドをコードするDNAは、既知の転写抑制転換ペプチドをコードするDNAの塩基配列に基づき通常の方法で作製したプライマー対を用いて、転写抑制転換ペプチドが由来する植物のcDNA又はゲノミックDNAを鋳型として通常の方法でPCRを行うことにより得ることができる。また、上記転写因子をコードするDNAは、公知の方法により化学合成して得ることもできる。
キメラDNAは、目的とするキメラDNAの塩基配列を有するDNAを当業者に周知の方法で化学合成することで得ることもできる。
上記キメラDNAは、シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子をコードするDNAと転写抑制転換ペプチドをコードするDNAとを連結するための付加的な塩基配列を含んでいてもよい。また、上記キメラDNAは、トリプレットの読み枠を調整するための塩基配列などの付加的な塩基配列を含んでいてもよい。
上記キメラDNAをシクラメンに導入する方法に特に制限はなく、上記キメラDNAでシクラメンを形質転換する方法であればいずれも採用することができるが、上記キメラDNAを挿入した組換え発現ベクターで形質転換する方法が好ましい。組換え発現ベクターの作製方法及び該発現ベクターで形質転換されたシクラメンの作製方法について以下に説明するが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
(a)組換え発現ベクターの構築
組換え発現ベクターは、プロモーター配列と、シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子をコードする塩基配列と、転写抑制転換ペプチドをコードする塩基配列とを少なくとも含むベクターである。
上記組換え発現ベクターの母体となるベクターとしては、公知の種々のベクターを用いることができる。公知のベクターとしては、プラスミド、ファージ、又はコスミド等が挙げられ、プラスミドベクターとしては、pBR322、pBR325、pUC19、pUC119、pBluescript、pBluescriptSK、pBI系のベクター等を挙げられる。これらのベクターの中から、導入される植物細胞や導入方法に応じたベクターを適宜選択することができるが、アグロバクテリウムを介してベクターをシクラメンに導入する場合には、pBI系のバイナリーベクターを用いることが好ましい。pBI系のバイナリーベクターとしては、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121、pBI221等を挙げることができる。
プロモーターは、植物体内で、その下流に存在する遺伝子を発現させることが可能なプロモーターであれば特に限定されない。かかるプロモーターとして、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV35S)、アクチンプロモーター、ノパリン合成酵素のプロモーター、タバコのPR1a遺伝子プロモーター、トマトのリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシダーゼ小サブユニットプロモーター等を挙げられるが、中でもカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター又はアクチンプロモーター好ましい。また、花器官特異的に発現するプロモーターも好適に使用できる。
組換え発現ベクターにおいて、プロモーターは、転写因子をコードするDNAと転写抑制転換ペプチドをコードするDNAとを連結したキメラDNAを発現しうるように連結されている。前記組換え発現ベクターは、上記プロモーター及び上記キメラDNAに加えて、さらに他のDNAセグメントを含んでいてもよい。他のDNAセグメントは特に限定されるものではないが、ターミネーター、選抜マーカー、エンハンサー、翻訳効率を高めるための塩基配列を含むDNAセグメント等を挙げることができる。
前記ターミネーターは転写終結部位としての機能を有していれば特に限定されるものではないが、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終結領域(Nosターミネーター)、カリフラワーモザイクウイルス35Sの転写終結領域(CaMV35Sターミネーター)等が好ましく、中でもNosターミネーターが好ましい。
前記組換え発現ベクターにおいては、ターミネーターを適当な位置に配置することにより、植物細胞に導入された後に、不必要に長い転写物を合成したり、強力なプロモーターがプラスミドのコピー数を減少させたりするような現象を防止することができる。
前記選抜マーカーとしては、例えば薬剤耐性遺伝子を用いることができる。かかる薬剤耐性遺伝子の例として、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等の抗生物質に対する耐性遺伝子を挙げることができる。これにより、形質転換処理を施したシクラメン植物体を前記抗生物質を含む培地中に培養し、生育してきた該植物体を選抜することによって、形質転換された細胞や組織を容易に選抜することができる。
また、前記組換え発現ベクターは、さらにT−DNA領域を有していてもよい。T−DNA領域を有する組換え発現ベクターは、特にアグロバクテリウムを介して組換え発現ベクターをシクラメンに導入する場合に、シクラメンのゲノムDNA中への目的遺伝子の組み込み効率を高めることができる点で好ましい。
前記組換え発現ベクターの構築方法は特に限定されるものではなく、適宜選択された母体となるベクターに、プロモーター、シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子をコードするDNA、転写抑制転換ペプチドをコードするDNA、及び必要に応じて前記他のDNAセグメントを所定の順序となるように挿入すればよい。例えば、前記転写因子をコードするDNAと前記転写抑制転換ペプチドをコードするDNAとを連結してキメラDNAを構築し、次に、このキメラDNAの上流にプロモーターを連結し、必要に応じてキメラDNAの下流にターミネーターを連結していわゆる発現カセットを構築し、これを母体となるベクターに導入することで組換え発現ベクターを作製することができる。
キメラDNAの構築及び発現カセットの構築では、例えば、遺伝子、プロモーター、ターミネーター等の各DNA要素の末端を制限酵素を用いて互いに相補的な突出末端としておき、ライゲーション酵素を作用させることで、各DNA要素を所定の順序で連結することが可能となる。前記制限酵素やライゲーション酵素等は市販のものを適宜選択して用いればよい。
作製した組換え発現ベクターを大腸菌等のホスト細胞に導入し、ホスト細胞を増殖させることで組換え発現ベクターを複製することが可能になる。増殖したホスト細胞から公知の方法で組換え発現ベクターを回収することができる。
(b)形質転換
上述した組換え発現ベクターでシクラメン植物体を形質転換し、該細胞にキメラDNA発現カセットを導入することができる。
形質転換されるシクラメン植物体として、例えば、シクラメンの花、葉、根等の器官を構成する組織や細胞の他、カルス、不定胚、懸濁培養細胞等を挙げることができる。
上記組換え発現ベクターをシクラメン植物体に導入する方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、組換え発現ベクターを保持するアグロバクテリウムをシクラメンの組織や細胞等に感染させることでアグロバクテリウムが感染した細胞のゲノム中にキメラタンパク質の発現カセットを挿入する方法や、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、ポリエチレングリコール法、パーティクルガン法、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム法等の、組換え発現ベクターを直接シクラメンの細胞内に導入する方法を用いることができる。
(c)形質転換植物体の選抜及び再生
形質転換体の選抜方法に特に制限はなく、形質転換処理を施した植物体の、ハイグロマイシンやカナマイシン等の薬剤に対する耐性を指標として選抜してもよいし、形質転換処理を施した前記植物体を再生させて生育したシクラメンの花の形態を指標として選抜してもよい。
花の形態から選抜する例として、形質転換処理を施した前記植物体を再生させ、生育したシクラメンの花の形態を、形質転換していないシクラメンの花の形態と比較し、形質転換処理を施した植物体に由来するシクラメンにおいて、形質転換していないシクラメンに比べて花弁の数が増加しているシクラメンを選抜することが挙げられる。花の形態を指標とする選抜方法は、単に目視比較するだけで選抜が可能であり、また、花器官の形態の改変、特に花弁数の増加という本発明の効果そのものを確認することができる点で好ましい。
形質転換させた細胞等の植物体(以下、形質転換植物体と呼ぶことがある)を再生させ、花弁を有するシクラメンを生育させる方法は公知の方法を用いることができ、これにより花弁の数が増加した多弁咲きシクラメン植物体を得ることができる。
本発明の生産方法には、形質転換植物体に再生処理を施して該形質転換植物体から生育したシクラメンを得、このシクラメンから有性生殖又は無性生殖により花の形態が改変された子孫を得る工程が含まれていてもよい。また、形質転換細胞から再生させたシクラメンやその子孫から植物細胞や、種子、果実、株、カルス、塊茎、切穂、塊等の繁殖材料を得て、これらを再生させて、再度、花弁を有する生育したシクラメンを得る工程が含まれていてもよい。すなわち、本発明の生産方法には、形質転換植物体を繁殖させる工程(量産工程)が含まれていてもよい。
形質転換植物体に目的とするキメラDNAが組み込まれていることの確認は、例えば、該植物体、又は該植物体から再生させたシクラメンの組織から常法に従ってDNAを抽出し、PCR(Polymerase Chain Reaction)法もしくはサザンハイブリダイゼーション法等の通常の方法により行うことができる。
本発明において「花弁の数が増加した」とは、形質転換されていないシクラメンと比較して花弁の数が増加していることを意味する。花弁の数が増加した態様について特に制限はないが、例えば、雄しべや雌しべが花弁の形に改変された態様が挙げられる。
なお、本発明において「シクラメン植物体」なる用語は、シクラメン属に含まれる植物体を意味する。また。本発明において「植物体」なる用語は、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、植物器官、カルス、種子等を含む概念として使用される。また、上記植物細胞には、種々の形態の植物細胞が含まれる。かかる植物細胞には、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片等が含まれる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。以下の実験操作の手順は特に記述しない限り、「モレキュラー クローニング(Molecular Cloning) 第2版」(J.Sambrookら、Cold Spring Habor Laboratory press,1989年)に記載されている方法に従った。
参考例1 シクラメン由来のAGAMOUS転写因子の単離
(1)シクラメンの蕾由来の全RNAの調製
シクラメン(品種:フレグランスミニ)の蕾(がく、花弁、雄ずい、雌ずい)0.1gを液体窒素存在下で凍結後、凍結した蕾を破砕機MM300(QIAGEN社製)を用いて粉砕した。この粉砕物に0.75mlの2×CTAB溶液(0.1M Tris‐HCl(pH9.5)、20mM EDTA、1.4M NaCl、4% β−メルカプトエタノール、2%臭化セチルトリメチルアンモニウム)を加えて撹拌し、65℃で10分間インキュベートした後、クロロフォルム抽出操作を2回行い核酸を回収した。得られた核酸抽出液に等量のイソプロパノールを加え、21,000g、4℃で10分間遠心分離を行って核酸を沈殿させ、これを0.8mlのTE(10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA)に溶解した。この溶解液に0.2mlの10M 塩化リチウム溶液を加え、氷上に2時間静置後、21,000g、4℃で10分間遠心分離することで全(トータル)RNAを沈澱させた。沈殿した全RNAを蒸留水に溶解した後、フェノール/クロロフォルム抽出を行い、得られた核酸画分をエタノール沈殿操作に供することで全RNAを精製した。沈殿した全RNAを適当量のTEに溶解し、その濃度を分光光度計により測定したところ、収量が11.5μgであった。以降の実験に用いるため、RNA溶液の濃度を1mg/mlに調整した。
(2)シクラメンのAGAMOUS転写因子をコードする遺伝子の3’側領域に位置するcDNA断片のクローニング
(i)3’RACE法を用いて、シクラメンのAGAMOUS転写因子(以下AGとする。)をコードする遺伝子のcDNA断片をクローニングするために、シロイヌナズナ、ガーベラ、ペチュニア及びバラのAG遺伝子のアライメントをもとに縮重プライマーの設計を行った。配列番号45の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号46の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(塩基配列中のKはG又はTを表し、YはT又はCを表し、MはA又はCを表し、RはA又はGを表す)を、それぞれ1stPCR用プライマー、NestedPCR用プライマーとして設計し、DNA合成サービス(北海道システムサイエンス(株))を利用してオリゴヌクレオチドを作製した。以下、オリゴヌクレオチドの作製は、DNA合成サービス(北海道システムサイエンス(株))を利用した。
(ii)3’RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends(インビトロジェン社製)を用いて、前記(1)で得られた全RNAの1μgを鋳型として逆転写反応を行い、該反応産物を鋳型として、前記1stPCR用プライマーを最終濃度0.3μMとなるように添加してPCRを行った。続いて、該PCR増幅産物を鋳型として、前記NestedPCR用プライマーを最終濃度0.3μMとなるように添加してNestedPCRを行うことでシクラメンAG遺伝子の3’側領域に位置するcDNA断片の増幅を行った。PCR反応装置として、BioRad社製、iCyclerサーマルサイクラーを用いた。DNAポリメラーゼとしてはTakara LATaq(タカラバイオ社製)を用い、増幅反応液は、付属の試薬を用いて調製した。95℃で2分間の変性反応に続き、94℃で30秒間の変性反応・52℃で1分間のアニーリング反応・72℃で1分間の伸張(Extention)反応からなる3工程の反応を30サイクル行うことによってPCRを実施した。
前記NestedPCR後の反応液の5μlを電気泳動し、設計されたプライマーから想定されるサイズのDNAの増幅を確認した。
(iii)前記NestedPCRの増幅産物をTAベクターpT7Blue Vector(Navagen社製)のTAサイトに連結した。得られた連結ベクターで大腸菌DH5αを形質転換することにより、増幅反応産物であるDNA断片を保持する形質転換大腸菌を得た。
前記形質転換大腸菌を複数個選抜して増殖させ、これからプラスミドDNAを、Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification Systems(Promega社製)を用いて抽出した。以下、プラスミドDNAの抽出にはWizard Plus SV Minipreps DNA Purification Systems(Promega社製)を用いた。プラスミドDNA(ベクター)を、そのマルチクローニングサイトにある制限酵素サイトに対応する制限酵素で処理した後、これを電気泳動することにより目的の増幅産物がプラスミドDNA中に挿入されていることを確認し、続いてDNAシークエンス受託サービス(ファスマック(株))を利用して、該増幅産物の塩基配列を決定した。以下、塩基配列の決定はDNAシークエンス受託サービス(ファスマック(株))を利用した。
その結果、前記増幅産物はポリAシグナルを含む826bpの塩基配列を含むことが確認された。決定された塩基配列をこれまで明らかにされているAG遺伝子ファミリーの塩基配列と比較した結果、上記増幅反応産物はシクラメン由来のAG遺伝子の3’側領域をコードするDNA断片である事が強く示唆され、該DNA断片をCpAG3’と命名した。
(3)シクラメンのAGAMOUS転写因子をコードする遺伝子の5’側領域に位置するcDNA断片のクローニング
(i)5’RACE法を用いて前記CpAG3’を含む遺伝子における上流域をクローニングためのプライマーの設計を行った。配列番号47の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(塩基配列中のKはG又はTを表し、YはT又はCを表し、MはA又はCを表し、RはA又はGを表す)及びCpAG3’の塩基配列に基づき設計した配列番号48の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ1stPCR用プライマー及びNestedPCR用プライマーとして作製した。
(ii)5’RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends(インビトロジェン社製)を用いて、前記(1)で得られた全RNAの1μgを鋳型として逆転写反応を行い、該反応産物を鋳型として、前記1stPCR用プライマーを最終濃度0.3μMとなるように添加してPCRを行った。続いて、該PCR増幅産物を鋳型として、前記NestedPCR用プライマーを最終濃度0.2μMとなるように添加してNestedPCRを行うことでシクラメンAG遺伝子の5’側領域に位置するcDNA断片の増幅を行った。PCRは、前記(2)(ii)と同一条件で行った。
前記NestedPCR後の反応液を5μl電気泳動し、設計されたプライマーから想定されるサイズのDNAの増幅を確認した。
(iii)前記NestedPCRの増幅産物をTAベクターpT7Blue Vector(Navagen社製)のTAサイトに連結した。得られた連結ベクターで大腸菌DH5αを形質転換することにより、増幅反応産物であるDNA断片を保持する形質転換大腸菌を得た。
前記形質転換大腸菌を複数個選抜して増殖させ、これからプラスミドDNAを抽出した。プラスミドDNA(ベクター)を、そのマルチクローニングサイトの制限酵素サイトに対応する制限酵素で処理した後、これを電気泳動することにより目的の増幅産物がプラスミドDNA中に挿入されていることを確認し、続いて該増幅産物の塩基配列を決定した。
その結果、538bp及び482bpの塩基配列を含む2種類のシクラメンAG遺伝子の5’側上流域をコードすると思われるDNA断片が確認され、それぞれCpAG5’−1及びCpAG5’−2と命名した。
(4)CpAG3’並びにCpAG5’−1及びCpAG5’−2の塩基配列解析
前記(2)及び(3)で決定されたCpAG3’並びにCpAG5’−1及びCpAG5’−2の塩基配列を解析するために、ソフトウエアGenetyx(ゼネティクス社製)を用い、塩基配列アラインメント(Alignment)ファイルをソフトウェアの初期設定条件で作成した。その結果、CpAG5’−1とCpAG5’−2は93%の塩基配列の同一性を有していた。また、CpAG3’遺伝子の塩基配列はCpAG5’−1遺伝子の塩基配列と部分的に一致し、塩基配列を結合させたところ一つのオープンリーディングフレーム(ORF)をもつ遺伝子を構成することが明らかとなった。この単一のORFをもつ遺伝子をCpAG1遺伝子と命名した。このCpAG1遺伝子は、全長1083塩基、741塩基からなるORFを有するDNA配列を含む。また、CpAG5’−2を含む遺伝子をCpAG2遺伝子と命名した。
さらにGenetyxを用いてCpAG1遺伝子及びCpAG5’−2の制限酵素地図を作成して比較したところ、CpAG5’−2には、CpAG1遺伝子には存在しないSpeIサイトが存在することがわかった。
(5)CpAG1遺伝子のクローニング
CpAG1遺伝子及びCpAG2遺伝子のORFをクローニングする目的で、配列番号49の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号50の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれフォワードプライマー及びリバースプライマーとして作製した。
次に前記(1)で得られた全RNAの1μgをテンプレートとして、逆転写酵素PrimeScript Reverse Transcriptase(タカラバイオ社製)を用い、1μlのオリゴ(dT)Oligo(dT)12−18 primer(インビトロジェン社製)と逆転写酵素に付属の試薬を用いて逆転転写反応液20μlを調製して逆転写反応を行った。逆転写反応は、該逆転写反応液を30℃で10分間、50℃で30分間、99℃で5分間、4℃で5分間、順次インキュベートすることで行った。
続いて、逆転写反応後の反応液1μlを含むPCR増幅用反応液を調製し、前記フォワードプライマーと前記リバースプライマー各々を、終濃度0.3μMになるように添加し、DNAポリメラーゼとしてKODplus(東洋紡社製)を用いてPCRを行った。ここで使用した増幅反応液は、KODplus(東洋紡社製)に付属の試薬を用いて調製した。PCR反応装置としては、BioRad社製、iCyclerサーマルサイクラーを用い、95℃で2分間の変性反応に続き、変性を94℃で30秒間の変性反応・58℃で1分間のアニーリング反応・68℃で1分間の伸張(Extention)反応からなる3つの反応を30サイクル行うことによりPCRを実施した。得られたPCR後の反応液5μlを電気泳動し、設計したプライマーから想定されるサイズのDNAの増幅を確認した。
(iii)前記増幅反応産物をリン酸化処理した後、pBlueScriptIISK(−)(Stratagene社製)のSmaIサイトへの増幅産物の連結操作を行った。得られた連結ベクターで大腸菌DH5αを形質転換することにより、増幅反応産物であるDNA断片を保持する形質転換大腸菌を得た。
上記形質転換大腸菌を複数個選抜して増殖させ、これからプラスミドDNAを抽出した。プラスドDNA(ベクター)を、そのマルチクローニングサイトにある制限酵素サイトに対応する制限酵素及びSpeIで処理した後、これを電気泳動することにより目的の増幅産物がプラスミドDNA中に挿入されていることを確認した。しかしながら、SpeIサイトをもつクローンは得られなかった。
さらに形質転換大腸菌4クローンを選抜し、その増幅産物DNA断片の塩基配列解析を行った結果、4クローンは全てCpAG1遺伝子のORFを有していた。
上記方法によりCpAG1遺伝子はクローニングできたがCpAG2遺伝子はクローニングできなかった。その理由として、CpAG2遺伝子の3’側非翻訳領域の配列がCpAG1遺伝子と大きく異なっていることが考えられた。
(6)CpAG2遺伝子のクローニング
(i)CpAG2遺伝子の3’側領域をクローニングするために、前記(4)で作成したCpAG1遺伝子の塩基配列と、CpAG5’−2の塩基配列とのアライメントから配列同一性の低い部分を選択し、プライマーとして、配列番号51及び配列番号52の塩基配列からなる2種類のオリゴヌクレオチドを作製した。
上記2種類のプライマーを用いて、前記(2)と同様に3’RACEを行い、クローニングした増幅産物の塩基配列を決定した。その結果、クローニングされたDNA断片はポリAシグナルを含む698bpの塩基配列を含むcDNAであることが確認された。
(ii)さらに、CpAG2遺伝子の5’側領域の全長がクローニングされているか確認するために5’Raceを行うこととした。CpAG1遺伝子と上記(6)(i)で決定した塩基配列を比較して同一性の低い塩基配列(配列番号53)からなるオリゴヌクレオチドを1stPCR用プライマーとして作製した。また、配列番号48の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをNestedプライマーとした。
前記(3)と同様に5’RACEを行い、クローニングした増幅産物の塩基配列を決定した。その結果、クローニングされたDNA断片は517bpの塩基配列を含むcDNAであることが確認された。
(iii)3’Race及び5’Raceで得られた塩基配列をアライメントすることにより、1073個の塩基よりなる一つのORFを含むcDNAが存在することがわかった。その後、前記(5)と同様の方法でCpAG2遺伝子をクローニングした。
(7)CpAG1,2遺伝子の塩基配列解析
CpAG1遺伝子とCpAG2遺伝子のORFの塩基配列は、90%の同一性を有し、また推定アミノ酸配列においても、90%の同一性を示した。該推定アミノ酸配列を既知のAG遺伝子のアミノ酸配列と比較したところ、高い同一性を示し、CpAG1遺伝子及びCpAG2遺伝子がAG転写因子のオーソログ遺伝子であることが推測された。
シクラメンのCpAG1遺伝子は1083bpの塩基配列からなり(配列番号1)、その内部には単一のオープンリーディングフレームである741個の塩基配列を含む(配列番号1の塩基番号第111番目〜第851番目の塩基配列)。該オープンリーディングフレームは、配列番号2の247個のアミノ酸残基からなるタンパク質をコードしている。
また、シクラメンのCpAG2遺伝子は1073bpの塩基配列からなり(配列番号3)、その内部には単一のオープンリーディングフレームである744個の塩基配列を含む(配列番号3の塩基番号第87番目〜第830番目の塩基配列)。該オープンリーディングフレームは、配列番号4に示される248個のアミノ酸残基からなるタンパク質をコードしている。
CpAG1遺伝子及びCpAG2遺伝子のcDNAはBluescriptプラスミドベクターにサブクローニングされ、これを導入した大腸菌はEscherichia coli DH5α(CpAG−1、CpAG−2)と命名され、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターを国際寄託当局として、2010年11月5日付で、受託番号FERM BP−11306及びFERM BP−11307として寄託されている。
参考例2 形質転換用ベクターの構築
(1)形質転換用ベクターを構築するためのベクターp35SGの作製
(i)pENTRベクター(インビトロジェン社製)上のattL1の領域を、attL1−F(配列番号54)及びattL1−R(配列番号55)の2つのプライマーを用いてPCRにより増幅し、得られたattL1断片を制限酵素HindIIIで消化し、精製した。また、attL2の領域を、attL2−F(配列番号56)及びattL2−R(配列番号57)の2つのプライマーを用いてPCRにて増幅した。得られたattL2断片をEcoRIで消化し、精製した。PCRは、94℃で1分間の変性、47℃で2分間のアニール反応、74℃で1分間の伸張反応を1サイクルとして、25サイクル行った。以下すべてのPCR反応は同じ条件で行った。
(ii)プラスミドpBI221(Clontech社製、USA)を制限酵素XbaIとSacIで切断した後、アガロースゲル電気泳動でβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を除き、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(以下、CaMV35Sと呼ぶことがある)とノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域(以下、Nos−terと呼ぶことがある)を含む35S−Nosプラスミド断片DNAを得た。
(iii)配列番号58の塩基配列からなるDNA断片、及び配列番号59の配列を有するDNA断片を合成し、90℃で2分間加熱した後、60℃で1時間加熱し、その後室温(25℃)で2時間静置してアニーリングさせ2本鎖を形成させた。これを上記35S−Nosプラスミド断片DNAのXbaI−SacI領域にライゲーションし、p35S−Nosプラスミドを完成させた。配列番号58及び59の配列を有するDNA断片には、5’末端側からBamHI制限酵素部位、翻訳効率を高めるタバコモザイクウイルス由来のomega配列、及び制限酵素部位SmaI、SalI、SstIがこの順に含まれる。
(iv)このp35S−Nosプラスミドを制限酵素HindIIIで消化し、上記attL1断片を挿入した。さらにこれをEcoRIで消化し、attL2断片を挿入して、ベクターp35SGを完成させた。
(2)転写抑制転換ペプチドをコードするDNAを組み込んだベクターp35SSRDXGの構築
(i)配列番号21のアミノ酸配列からなる転写抑制転換ペプチド(SRDX)をコードし、3’末端に終止コドンTAAを持つように設計したポリヌクレオチド(配列番号60)及びその相補鎖(配列番号61)を合成し、70℃で10分間加温した後、自然冷却によりアニールさせて2本鎖DNAとした。
(ii)ベクターp35SGを制限酵素SmaI、SalIで消化し、この領域に上記のSRDXをコードする2本鎖DNAを挿入して、ベクターp35SSRDXGを構築した。
(3)ベクターp35SSRDXGへのCpAG1遺伝子の組み込み
(i)試験例1で取得したCpAG1遺伝子から配列番号62の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号63の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用いて、終止コドンを除くシクラメンCpAG1遺伝子のコード領域のみを含むDNA断片をPCRにて増幅した。
(ii)得られたCpAG1遺伝子のコード領域のDNA断片を、予め制限酵素SmaIで消化しておいたベクターp35SSRDXGのSmaI部位にライゲーションした。
(iii)このプラスミドで大腸菌を形質転換し、プラスミドを調製して、塩基配列を決定し、順方向に挿入されたクローンを単離し、CpAG1遺伝子とSRDXをコードする遺伝子とが融合したキメラ遺伝子が組み込まれたベクターp35SCpAG1SRDXGを得た。
(4)ベクターp35SSRDXGへのCpAG2遺伝子の組み込み
(i)試験例1で取得したCpAG2遺伝子から配列番号62の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号64の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用いて、終止コドンを除くシクラメンCpAG2遺伝子のコード領域のみを含むDNA断片をPCRにて増幅した。
(ii)得られたCpAG2コード領域のDNA断片を、予め制限酵素SmaIで消化しておいた構築用ベクターp35SSRDXGのSmaI部位にライゲーションした。
(iii)このプラスミドで大腸菌を形質転換し、プラスミドを調製して、塩基配列を決定し、順方向に挿入されたクローンを単離し、CpAG2遺伝子とSRDXをコードする遺伝子とが融合したキメラ遺伝子が組み込まれたベクターp35SCpAG2SRDXGを得た。
(5)35SCpAG1SRDXG及びCpAG2SRDXGを保持するベクターの構築
前記(3)、(4)で調製したベクターp35SCpAG1SRDXG及びp35SCpAG2SRDXGを利用し、35SCpAG1SRDXG及び35SCpAG2SRDXGのDNA断片を同時に保持する、ベクターp35SCpAG1SRDXG:35SCpAG2SRDXGを構築した。
(6)組換え発現ベクターの構築
前記(3)、(4)及び(5)で調製したベクター上にあるCaMV35Sプロモーター、キメラ遺伝子、Nos−ter等を含むDNA断片を、植物形質転換用ベクターpBIGCKH(独立行政法人産業技術総合研究所より入手)に組換えることにより、植物を宿主とする発現ベクターを構築した。具体的には、Gateway(登録商標)LR clonase(登録商標、インビトロジェン社製)を用いて以下の工程(i)〜(iii)のとおりに行った。
(i)p35SCpAG1SRDXG1.5μl(約300ng)又はp35SCpAG2SRDXG1.5μl(約300ng)を別々に、又は、p35SCpAG1SRDXG:35SCpAG2SRDXG1.5μl(約300ng)をpBIGCKH4.0μl(約600ng)と混合し、各混合液に5倍希釈したLR buffer 4.0μlとTE緩衝液(10mM Tris−HCl pH7.0、1mM EDTA)5.5μlを加えた。
(ii)これらの溶液にLR clonase4.0μlを加えて25℃で60分間インキュベートした。続いて、proteinaseK2μlを加えて37℃で10分間インキュベートした。
(iii)これらの各溶液1〜2μlを別々に大腸菌(DH5α等)に導入し、ハイグロマイシン耐性を指標にして形質転換大腸菌を選抜した。
これにより、植物形質転換用ベクターp35CpAG1SRDX及びp35CpAG2SRDX、並びにp35SCpAG1SRDX:35SCpAG2SRDXを得た。
(7)植物形質転換用ベクターによるアグロバクテリウムの形質転換
前記植物形質転換用ベクターp35CpAG1SRDX又はp35CpAG2SRDXを有する各大腸菌から該ベクターをプラスミドDNAとしてそれぞれ抽出して、各ベクターをそれぞれ、アグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(EHA101)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)にエレクトロポレーション法により導入した。また、p35CpAG1SRDX:35CpAG2SRDXをアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)に対してエレクトロポレーション法により導入した。ハイグロマイシンを含むLB培地上で、28℃、2日間静置培養することで、植物形質転換用ベクターp35CpAG1SRDXを保持するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(EHA101)、植物形質転換用ベクターp35CpAG2SRDXを保持するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)、並びにp35CpAG1SRDX:35CpAG2SRDXを保持するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)を得た。
実施例 シクラメンへのキメラ遺伝子の導入
(1)一重咲き品種への導入
シクラメン(品種:メロディホワイト)の種子を有効塩素濃度が1%の次亜塩素酸ナトリウム液で20分間浸漬し滅菌後、1/2無機塩濃度のMS培地にショ糖を最終濃度3%、ゲランガムを最終濃度0.3%となるように加えた培地(pH5.8)に置床して、20℃、暗所で60日間培養した。種子から発芽して生じた幼苗の葉柄部分を長さ5mmに切断し、遺伝子導入用組織片とした。1試験区あたり100本の組織片を、1/2無機塩濃度のMS培地にショ糖を最終濃度3%、植物ホルモンとしてチジアズロンを最終濃度1mg/l、2,4−Dを最終濃度1mg/l、アセトシリンゴンを最終濃度20mg/lとなるように加え、pH5.8として、ゲルライトを最終濃度0.3%となるように加えた固体培地に置床した。この培養に用いられる容器は、滅菌したプラスチックシャーレ(直径9cm、高さ1.5cm)であり、シャーレ1枚あたり組織片10本を置床している。これを20℃で暗所にて7日間培養した。
前記の組換えベクターp35SCpAG1SRDXを有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(EHA101)をLB培地で28℃で一晩培養した。培養液から遠心分離によりアグロバクテリウム菌を集め、次いで1/3MS培地の無機塩組成にショ糖3%を添加してなる液体培地10mlに懸濁し、菌液を得、前記シクラメン葉柄の培養後の組織片100個を30分間浸漬処理した。浸漬処理後、1/2無機塩濃度のMS培地にショ糖を最終濃度3%、植物ホルモンとしてチジアズロンを最終濃度1mg/l、2,4−Dを最終濃度1mg/l、アセトシリンゴンを最終濃度20mg/lとなるように加え、pH5.8として、ゲルライトを最終濃度0.3%となるように加えた固体培地に置床した。20℃の温度条件下で暗所にて6日間共存培養を行った。
共存培養後の組織片100個を、50ml容の無菌の遠心管(内径27mm、長さ115mm)に移し、洗浄液(1/2無機塩濃度のMS液体培地にカルベニシリンを最終濃度300mg/lとなるように加えたもの)30mlを加えて洗浄した。さらにこの操作を6回繰り返した後、無菌のろ紙を用いて余分な水分を取り除いた。洗浄された組織片は、1/2無機塩濃度のMS培地にショ糖を最終濃度3%、植物ホルモンとしてチジアズロンを最終濃度1mg/l、2,4−Dを最終濃度1mg/l、カルベニシリンを最終濃度500mg/l、ハイグロマイシンを最終濃度5mg/lとなるように加え、pH5.8として、ゲルライトを最終濃度0.3%となるように加えたカルス増殖培地に置床した。20℃、暗所にて1ヶ月毎に新しい選抜培地に移植した。
(2)突然変異八重咲き品種への導入
シクラメン(品種:ウインクピンク)の葉身を遺伝子導入用組織として用い、組換えベクターp35SCpAG2SRDXを包含するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LAB4404)を感染させた以外は、上記(1)と同様の方法で行った。
尚、ウインクピンク品種について、RT−PCRによりCpAG1及びCpAG2の発現を確認したところ、CpAG1の発現は認められず、CpAG2の発現のみが確認された。すなわち、ウインクピンク品種はCpAG1遺伝子の機能が喪失した突然変異八重咲き品種であった。
(3)形質転換シクラメンの作出−1
前記(1)、(2)において選抜培地に移植された組織片は、約2ヶ月でハイグロマイシン抵抗性の形質転換カルスを形成した。これらのカルスを、1/3無機塩濃度のMS培地にショ糖を最終濃度3%、植物ホルモンとしてNAAを最終濃度0.2mg/l、BAを最終濃度0.02mg/l、カルベニシリンを最終濃度300mg/l、ハイグロマイシンを最終濃度5mg/lとなるように加え、pH5.8として、ゲルライトを最終濃度0.3%となるように加えた不定芽再生培地に置床した。20℃、暗所にて1ヶ月毎に新しい不定芽再生培地に移植した。
再生培地に移植後、約2ヶ月で形質転換カルスから不定芽が形成した。これらの不定芽を切除して、1/3無機塩濃度のMS培地にショ糖を最終濃度3%、植物ホルモンとしてNAAを最終濃度0.1mg/lとなるように加え、pH5.8として、ゲルライトを最終濃度0.3%となるように加えた発根培地に置床した。20℃、明所(1000ルックス、16時間照明)培養した結果、CpAG1SRDXにより形質転換された組織片から生育したシクラメン植物体(メロディホワイトの形質転換体)が8個体、CpAG2SRDXにより形質転換された組織片から生育したシクラメン植物体(ウインクピンクの形質転換体)が12個体得られた。
(4)形質転換シクラメンの栽培評価−1
前記(3)で得られた形質転換シクラメンについて、その葉を遺伝子解析用の材料とし、PCRによりCpAG1遺伝子又はCpAG2遺伝子とSRDXをコードする遺伝子との融合遺伝子が導入されていることを確認した。
CpAG1SRDXで形質転換された一重咲き品種であるメロディホワイトの表現型を、形質転換されていないメロディホワイトの表現型と比較した結果を図1に示す。図1から明らかなように、CpAG1SRDXで形質転換されたメロディホワイトは、形質転換されていないメロディホワイトに比べて花弁数が増加し、雄しべが花弁化していることも確認できた。
また、CpAG2SRDXで形質転換された突然変異八重咲き品種であるウインクピンクの表現型を、形質転換されていないウインクピンクの表現型と比較した結果を図2に示す。図2から明らかなように、CpAG2SRDXで形質転換されたウインクピンクでは、雄しべと雌しべが花弁化しており、形質転換されていないウインクピンクに比べて顕著に花弁数が増加していた。そして、野生型のシクラメンと比較した場合には、花弁数の増加が極めて顕著であることがわかった。
(5)一重咲き品種への2種類のキメラ遺伝子の導入
シクラメン(品種:フレグランスミニアメジストブルー)の遺伝子導入用組織片を上記(1)と同様の方法で用意した。1試験区あたり100本の組織片を、ショ糖5%、2,4−D4mg/l、カイネチン0.1mg/l、アセトシリンゴン20mg/l、ゲルライト0.3%を含有する固体培地に置床した。この培養に用いられる容器は、滅菌したプラスチックシャーレ(直径9cm、高さ1.5cm)であり、シャーレ1枚あたり組織片10本を置床している。これを20℃で暗所にて7日間培養した。
上記のp35SCpAG1SRDX:35SCpAG2SRDXを保持するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LAB4404)をLB液体培地で12時間、28℃で培養した。培養液から遠心分離によりアグロバクテリウム菌を集め、次いで1/3MS培地の無機塩組成にショ糖3%を添加してなる液体培地10mlに懸濁し、菌液を得、前記シクラメン葉柄の培養後の組織片100個を30分間浸漬処理した。処理後、葉柄を菌液から取り出し、滅菌したろ紙上で余分な菌液を吸い取った後、共存培地で7日間、20℃、暗黒下で培養した。共存培地はMS培地の無機成分組成において、さらにショ糖5%、2,4−D4mg/l、カイネチン0.1mg/l、アセトシリンゴン20mg/l、ゲルライト0.3%を含有する培地である。
上記のように感染処理した葉柄は、抗生物質カルベニシリンを0.5g/lの濃度になるように添加した不定胚形成培地で30日毎に継代培養しながら、60日間、25℃、暗黒下で培養し、アグロバクテリウム菌を完全に除去した。不定胚形成培地はMS培地の無機成分組成において、さらにショ糖5%、2,4−D4mg/l、カイネチン0.1mg/l、ゲルライト0.3%を含有する培地である。培養60日後に形質転換カルスから不定胚が形成された。
(6)形質転換シクラメンの作出−2
次に上記で得られた不定胚から植物体を再生した。具体的には、MS培地の無機成分組成において、さらにショ糖3%、BA0.1mg/l、ナフタレン酢酸0.01mg/l、ジベレリン0.2mg/l、ゲルライト0.5%を含有してなる再生培地上に、上記不定胚をシャーレあたり100個の密度になるよう調整して置床した。これを25℃暗所で30日間培養し、さらに25℃、10000ルックスの光を1日当たり16時間照明しながら培養することで形質転換された再生植物体を得た。この再生植物体(幼植物体)を、ショ糖を30g/l、ゲルライトを3g/lの濃度で含むMS培地を入れた試験管に移殖した。移殖された幼植物体を培養し、生育したシクラメン植物体(フレグランスミニアメジストブルーの形質転換体)24株を得た。
(7)形質転換シクラメンの栽培評価−2
前記で得られた形質転換シクラメンについて、その葉を遺伝子解析用の材料とし、PCRによりCpAG1遺伝子とSRDXをコードする遺伝子との融合遺伝子、及びCpAG2遺伝子とSRDXをコードする遺伝子との融合遺伝子の双方が導入されていることを確認した。
上記で得られたフレグランスミニアメジストブルーの形質転換体は、CpAG2SRDXで形質転換されたウインクピンクと同様に雄しべと雌しべとが花弁化し、非形質転換体に比べて花弁の数が顕著に増加した表現型を示した。
本発明は、シクラメンが機能の異なる2種類のAG遺伝子を有することを初めて見出し、さらに、該シクラメンにおいて前記遺伝子の少なくとも一つの機能を抑制した場合に、花弁数が顕著に増加するという優れた効果が得られることを初めて見出したことに基づくものである。
比較例 シクラメンへのシロイヌナズナAGAMOUS遺伝子の導入
シロイヌナズナcDNAライブラリー(独立行政法人産業技術総合研究所から入手)から、配列番号65の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号66の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用いて、終止コドンを除くシロイヌナズナAG遺伝子(AtAG遺伝子)のコード領域のみを含むDNA断片をPCRにて増幅した。
得られたAtAG遺伝子のコード領域のDNA断片を、予め制限酵素SmaIで消化しておいた前記の構築用ベクターp35SSRDXGのSmaI部位にライゲーションした。このプラスミドで大腸菌を形質転換し、増殖させた形質転換大腸菌からプラスミドを回収して塩基配列を決定することで順方向に挿入されたクローンを選抜し、AtAG遺伝子とSRDXをコードする遺伝子とのキメラ遺伝子が組み込まれたベクターp35SAtAGSRDXを得た。続いて、前記実施例と同様の方法で、植物形質転換用ベクターp35AtAGSRDXを構築し、これをシクラメン(品種:フレグランスミニ)に導入することで形質転換されたシクラメン植物体を11個体得た。AtAGSRDXで形質転換されたシクラメンの表現型を、形質転換されていないものの表現型と比較した結果を図3に示す。図3から明らかなように、AtAGSRDXで形質転換されたシクラメンにおいて花弁数の増加は認められなかった。
本発明により、花弁数が増加したシクラメンを得ることができ、これによりシクラメンの鑑賞性を高めることができる。したがって、本発明は、園芸分野、農業分野、アグリビジネスの分野において有用である。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2009年12月17日に日本国で特許出願された特願2009−286703に基づく優先権を主張するものであり、これらはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

Claims (6)

  1. シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子の機能を抑制する工程を少なくとも含む、花弁数が増加した多弁咲きシクラメン植物体の生産方法であって、
    前記転写因子が下記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列を有する、生産方法。
    (a)配列番号2のアミノ酸配列
    (b)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
  2. シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子であって下記(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を有する転写因子の機能を抑制する工程をさらに含む、請求項に記載の生産方法
    (d)配列番号4のアミノ酸配
    (e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配
    (f)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配
  3. シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子の機能を抑制する工程を少なくとも含む、花弁数が増加した多弁咲きシクラメン植物体の生産方法であって、
    前記転写因子が下記(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を有する、生産方法
    (d)配列番号4のアミノ酸配列
    (e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
    (f)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
  4. シクラメンの花器官の形態形成に関与する転写因子の機能を抑制する工程を少なくとも含む、花弁数が増加した多弁咲きシクラメン植物体の生産方法であって、
    前記転写因子が下記(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を有し、
    前記転写因子の機能が抑制されるシクラメンが、シクラメンの花器官の形態形成に関与する下記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列を有する転写因子の機能が抑制されているシクラメン突然変異体である、生産方法。
    (a)配列番号2のアミノ酸配列
    (b)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
    (d)配列番号4のアミノ酸配列
    (e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列
    (f)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列
  5. 前記転写因子と、転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を用いて、前記転写因子の機能を抑制する、請求項1〜のいずれか1項に記載の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、配列番号21のアミノ酸配列からなるペプチドである、生産方法
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の生産方法により生産されたシクラメン植物体。
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