JP5794201B2 - 生体蛍光画像取得装置 - Google Patents

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Description

本発明は小動物などの生体試料を対象とする蛍光バイオイメージング技術に関する。
生体蛍光画像取得装置には大きく分けて二つのシステムが存在する。一つは、短時間かつ効率的に分子プローブの定性解析を行うことを目的としたシステム(A)である。システム(A)では、生体試料の広範囲を照射して励起することが可能な光源とCCDカメラなどの二次元検出器を有することによって、生体試料表面からの蛍光を検出する手法が一般的となっている。このシステムの特徴として、多検体の高速検査が可能となる一方、分子プローブの定量性や位置特定といった詳細な解析は困難な場合が多い。
これに対し、分子プローブの空間分布や濃度などを詳細に解析すること(蛍光断層画像化)を目的としたシステム(B)が存在する。システム(B)では、励起光源は生体試料に密着型の点光源とし、これを生体試料に対して多数配置して順次点灯していくことにより多点多方向照射として、生体内から発生する蛍光を観察することで断層化を行う手法が一般的となっている(特許文献1,2、非特許文献1参照。)。このシステムの特徴として、蛍光断層化によって蛍光を発する分子プローブの定量性や位置特定が可能となる一方、測定時間や断層化の計算時間が膨大となる場合が多い。
システム(B)における断層化の具体的な手法としては、生体に於ける励起光・蛍光の光伝搬解析(順問題)を行った上で、測定した実測データから内部の推定値を求める(逆問題)手法が用いられる。
光伝搬解析の具体的な解法としては、モンテカルロシミュレーションや光輸送方程式、光拡散方程式といった方法があるが、一般的には光拡散方程式が用いられる。任意の形状における光拡散方程式の解は、有限要素法等の数値解法によって求めることができる。
特開2008−149154号公報 特開2010−175466号公報 国際公開第2009/139058号
田嶋英朗他、DOI−PET検出器を用いたPET・蛍光CT同時イメージング装置における蛍光断層像画像再構成の検討、2008年度日本医用画像工学会大会P13,p.40,2008 島津評論 Vol.57,No.1・2,p.144(2000.8)
生体機能の詳細な解析のためには、蛍光断層画像化が可能なシステム(B)を採用することが望ましいが、測定時間や断層化の計算時間が膨大となる問題点がある。
この課題解決として、システム(A)とシステム(B)を組み合わせるアイデアが提案されている(特許文献3参照。)。即ち、一方向から広範囲に照射し励起して蛍光観察を行うとともに、その照射方向を複数の方向に切り換えるシステムである。このシステムが実現できれば、測定時間や断層化の問題点は解決するものと考えられる。
ただし、このアイデアには解決すべき課題がある。それは生体試料の形状に起因する問題であり、
(I)光拡散方程式を解く際の最適なメッシュサイズ(離散化)が分からない、
(II)広域照射の際に光源の照射ムラや生体試料の表面形状によって一様に励起照射されない、
といった課題が存在する。
ここで、メッシュサイについて説明する。光拡散方程式のような偏微分方程式の数値解法の一つに有限要素法がある。有限要素法とは、対象となる物理形状を要素(メッシュ)と呼ばれる小領域に分割(離散化)して、近似解を求める方法である。ここで、分割(離散化)の程度によってメッシュサイズが定義される。メッシュサイズを小さく設定すると、物理形状の離散化誤差が小さくなるため、解の精度は高くなることが一般的に知られている。
(I)に関しては、例えばモンテカルロシミュレーションでは、光が散乱するまでの距離(平均自由行程)を離散化の指標とし、平均自由行程以下を単位としてモデルを離散化する前例はあるが、光拡散方程式に関してはどの程度離散化すればよいかの指標は存在しない。例えば、メッシュのサイズを小さくすれば光拡散方程式を精度よく計算することができるが、それに伴いメッシュ数自体が増加することで計算時間が大幅に増加する問題点がある。この問題を解決する手法として、光源付近のメッシュのみ細かく設定するアダプティブメッシュ法が一般的に知られているが、メッシュの数だけ繰り返し演算を行う蛍光画像断層化においてはメッシュをその都度更新するアダプティブメッシュ法は逆に計算時間を増大させてしまう。したがって、計算に最適なメッシュサイズ(すなわちメッシュの数)を予め決定し、決定されたメッシュ構造の元で蛍光画像断層化を行うことが最も効率的な処理方法となる。
(II)に関しては、励起光源を点照射(試料密着型)から広範囲照射に変更するために、光源の照射ムラや生体試料の表面形状によって一様に励起照射されない可能性がある。また、一様照射の光源であっても、小動物などの複雑な形状を持つ生体試料においては、外形形状よっては励起光強度にかなりのバラツキが生じる。これによって、断層化計算による分子プローブの濃度の算出時に定量性が得られないか、あるいは照射ムラの影響がアーチファクトとして付加されてプローブの位置精度が劣化する、といった可能性がある。
本発明は光拡散方程式を用いた蛍光画像作成の計算精度を維持しつつ計算コストを下げることを目的とする。
本発明は生体試料の形状に起因する問題(I)と(II)を解決するために、生体試料をメッシュ構造で離散化する際に、条件式に基づいてメッシュサイズを最適化すること、及び励起照射強度の補正を行うことによって、上記目的を達成しようとするものである。
すなわち、本発明は、図1に示されるように、試料を離れた位置から、広がる光束の励起光で広範囲に照射し前記試料中の対象物を励起して蛍光を発生させる少なくとも1つの光源部と、試料からの蛍光を検出する二次元検出器4と、試料を複数の方向から同時に観測するとともに試料から放出される各方向の蛍光を二次元検出器4に導く検出光学系と、試料の三次元表面形状データ及び二次元検出器4が検出した蛍光実測データから試料中の蛍光画像を作成する画像処理装置2と、画像処理装置2が作成した蛍光画像を表示する表示装置6と、を備えた蛍光画像撮像装置である。
画像処理装置2は、図2に示されるように、試料における励起光と蛍光の光伝搬解析を光拡散方程式の有限要素解析によって理論計算する順問題解析部10と、試料の三次元表面形状データ、二次元検出器4が検出した蛍光実測データ及び順問題解析部10における解析結果に基づいて試料内部の蛍光画像を作成する逆問題解析部20を備えている。そして、順問題解析部10は試料について有限要素解析のための最適メッシュサイズを特定の条件式から導き出すメッシュサイズ導出部12と、メッシュサイズ導出部12により導出されたメッシュサイズの各メッシュに対して試料の三次元表面形状データ及び別途求められた励起光の照射分布測定値を用いて励起光強度を補正する励起光強度補正部14とを備えており、逆問題解析部20は順問題解析部10で求められたメッシュサイズと補正された励起光強度を用いて蛍光画像を作成する。
メッシュサイズを導出するための条件式の好ましい一例は、メッシュサイズをmesh_size、光の平均自由行程をλ、形状関数の次数をε、及び比例係数をfactorとしたとき、
mesh_size=λ×factor×ε
として表わされるものである。
本発明では、試料として生体試料を用いた場合でも最適なメッシュサイズを決定することができ、さらにその最適化されたメッシュに対して励起光照射の強度補正を行なうことができるので、光拡散方程式を用いた蛍光断層化の計算コストや計算精度を最適化することが可能となる。
本発明の主要部を示すブロック図である。 本発明における画像処理装置を示すブロック図である。 本発明の一実施形態における動作全体を示すフローチャートである。 同実施形態における順問題解析部の動作を示すフローチャートである。 光の平均自由行程λを説明する概略図である。 形状関数の次数εを説明するグラフである。 有限要素法による光伝搬解析のための簡単なモデルを示す概略斜視図である。 有限要素法におけるメッシュサイズと計算時間の関係を示す図である。 光拡散方程式における解析解と数値解の関係をメッシュサイズごとに示すグラフである。 光拡散方程式における解析解と数値解の関係を光の平均自由行程λごとに示すグラフである。 光拡散方程式における解析解と数値解の関係を形状関数の次数εごとに示すグラフである。 メッシュサイズ(メッシュ数)と得られる蛍光画像の関係を示す図表である。 拡散反射光と検出器への入射光との関係を示す概略図である。 生体試料とそれから得られる三次元表面形状データの一例を示す斜視図である。 生体試料表面への励起光照射分布を示す概略図である。 円筒媒体を離れた位置から広がる光束で広範囲に照射したときの励起光伝搬と励起光強度補正の関係を示す図である。 円筒媒体を離れた位置から広がる光束で広範囲に照射したときに得られる蛍光画像と励起光強度補正の関係を示す図である。 本発明の一実施形態を示す概略斜視図である。 同実施形態の概略正面断面図である。 概略正面断面図(図18B)の導光路を示した図である。 同実施形態においてレンズ5から下をみたときの試料とその像を示す平面図である。 5方向の像を撮影する実施例を示す概略正面断面図である。 同実施例において撮影される像を示す平面図である。 本発明の一実施形態で使用する光源部の一例を示す概略斜視図である。 同光源部における励起光と励起用干渉フィルタの特性の一例を示すスペクトル図である。
図3,4のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態の動作を説明する。図3は一実施形態での処理の概要を示し、図4は同実施形態における具体的な手順を示している。
一実施形態での処理は下記2つの手順からなる。
手順1:条件式に従って、メッシュサイズの最適化を行う。
手順2:光源分布および立体形状の取得データと手順1で得た情報を元に、励起光の強度補正を行う。
(手順1)
本手順では、小動物などの複雑形状をメッシュ構造で有限要素解析する場合のメッシュサイズの最適化を行う。
一実施例形態では、次の条件式に基づいてメッシュサイズを規定する。
mesh_size=λ×factor×ε・・・(1)
ここで、
λ:平均自由行程、
factor:定数(=2)、
ε:形状関数の次数、
を表す。
有限要素法を用いた光伝搬解析では、メッシュサイズによって解の精度が決定されることが知られているが、精度よく短時間に計算できるメッシュサイズについては明確な指標がない。本発明の一実施例形態で提案する条件式(1)は、後で実証するように、光伝搬問題に対して簡易にメッシュサイズを提示できるものとなっている。
平均自由行程とは、図5に示されるように、フォトンが一回散乱するのに必要な距離であり、等価散乱係数μs’の逆数から、
λ=1/μs’・・・(2)
と表すことができる。等価散乱係数は生体組織や光の波長によって値が異なることが知られている。
(1)式より、平均自由行程が長ければメッシュサイズは大きく設定することができ(図5中の(A)参照。)、逆に平均自由行程が短ければメッシュサイズは小さく設定する必要がある(図5中の(B),(C)参照。)。
また、形状関数とは、図6に示されるように、有限要素法において要素内の任意点の変位を表す際に用いる近似関数である。(1)式より、形状関数の次数が高ければメッシュサイズは大きく設定することができ(図6中の(A)参照。)、逆に形状関数の次数が低ければメッシュサイズは小さく設定する必要がある(図6中の(B)参照。)。
<メッシュサイズの最適化1>
ここで、条件式(1)で最適なメッシュサイズを導き出した例を述べる。
散乱係数μs=10[mm-1]、吸収係数μa=0.02[mm-1]の光学特性を持った媒体に対して、光伝搬解析を行うことを考える。等価散乱係数μs’は、μs’=(1−g)μs表わされる。gは非等方散乱係数と呼ばれる係数で、散乱の異方性を示しており、位相関数pの余弦平均として下記式で定義される。
p(θ)は散乱位相関数を表す。一般に、g≒0だと等方散乱、g=0.9〜1だと前方散乱を示す。ここでは、前方散乱のg=0.9とする。
この場合、フォトンが生体媒体を伝搬する際に、フォトンが散乱するまでの平均自由行程λは(2)式を用いて「1mm」と求められる。
また、有限要素解析における形状関数の次数を2とした場合、(1)式より最適なメッシュサイズは「4mm」と求められる。
ここで求めた「メッシュサイズ:4mm」が妥当なものであるかどうか検証するために、有限要素法で求めた数値解を解析解と比較検証した結果について示す。具体的な検証方法は以下のとおりである。
まず始めに、生体内における光の伝搬過程を光拡散方程式によって近似する。
ここで、
D:拡散定数、
μa:吸収係数、
φi:i番目のメッシュに励起光を与えた場合の位置rにおける励起光フルエンスレート、
Iti:i番目のメッシュに与えられた(補正)励起光強度、
を表す。
また、(3)式の境界条件は(4)式となる。
ここで、Aは媒体表面での拡散光の全反射による反射率から決定される係数を表す。
(3)、(4)式から、解析解を求めると(5)式のようになる。
ここで、R:反射光強度、
r1:点光源Sからの距離、
r2:鏡像点光源(外挿境界を隔てて点光源と対称位置にある光源)からの距離、
を表す(非特許文献2の図5参考。)。
なお、解析解として、図7に示されるような単純な形状(例えば立方体など)において媒体の表面に光源を設置した場合の媒体表面からの反射光強度(R[mW/mm2])を求めた。
次に、有限要素法を用いて(3)式の数値解(反射光R)を求めた。この際、図8に示されるように、メッシュサイズを変えてそれぞれ計算を行った。先に示したメッシュサイズの定義より、有限要素法における分割(離散化)の程度によって、メッシュサイズが決定される。ここでのメッシュサイズとは、3次元有限要素法における4面体メッシュの一辺の長さを示す。メッシュサイズを小さく設定すると、物理形状の離散化誤差が小さくなる。このため、解の精度は向上するが、計算時間は増大することが一般的に知られている。逆に、メッシュサイズを大きく設定すると、物理形状の離散化誤差が大きくなる。このため、計算時間は減少するが、解の精度は低下する。図8にはメッシュサイズとともに要した計算時間も示している。
このようにメッシュサイズを変えて光源からの距離(ρ[mm])に対する反射光強度Rを求めた結果を図9に示す。この方法で求めた解析解(図9中の実線)と、有限要素法によって求めた数値解(図9中の×点を結ぶ線)を比較して、両者の解が誤差何%以内であるかを調べた。図8には、メッシュサイズの条件と1回の有限要素解析の計算時間を示している。なお、本計算の形状関数ではラグランジュ2次を用いた。また、計算には有限要素解析ツール「COMSOL Multiphysics Version3.5」を用いた。計算機として、Dell Precision T7500(CPU:Intel Xeon 3.19GHz 24GB)を使用した。
図8の(サンプル1)に示すように、メッシュ数を97507、メッシュサイズを2mmにした場合は1回の光伝搬解析に約20秒程度要することが分かる。また、図9の比較結果より、解析解と数値解の誤差が20%以内となるため、この計算結果の精度は十分であると結論付けられる。
一方、図8の(サンプル3)に示すように、メッシュ数を11201、メッシュサイズを8mmにした場合は1回の光伝搬解析が約0.9sec程度と短くなるが、図9の比較結果では解析解と数値解の誤差が極めて大きくなるため、この計算結果の精度は不十分であると結論付けられる。
このような方法で、計算結果が妥当かどうかの判定を実施し、最適なメッシュサイズを決定する。ここでの最適なメッシュとは、計算精度が十分確保されており、かつ計算時間が短いものを指す。図8、図9での例では、(サンプル2)(=メッシュサイズ4mm程度)が最適なメッシュであると判断できる。
<メッシュサイズの最適化2>
また、平均自由行程λを(A)0.5mm、(B)1.0mm、(C)2.0mmと変えた場合に、(1)の条件式で最適なメッシュサイズが算出できるかどうかの検討を行った例を図10に示す。
(1)式より、最適なメッシュサイズはそれぞれ、
(A)の場合:2mm、
(B)の場合:4mm、
(C)の場合:8mm
となる。
一方、それぞれ実際のメッシュサイズは4mmである。実際のメッシュサイズとは、有限要素法で計算した際のメッシュサイズを示す。 (A)、(B)、(C)の平均自由行程λの場合について(1)式に従って求めた上の最適なメッシュサイズがそれぞれ2、4、6mmであるのに対し、実際に有限要素法で計算した(データとして用いた)メッシュサイズは4mmである。
(A)(平均自由行程λが0.5mm)の場合、最適なメッシュサイズが2mmであるのに対し、実際のメッシュサイズは4mmなので条件を満たしていない。図10(A)の比較結果では解析解と数値解の誤差が極めて大きくなるため、この計算結果の精度は不十分であると結論付けられる。
(B)(平均自由行程λが1.0mm)の場合、最適なメッシュサイズが4mmであるのに対し、実際のメッシュサイズも4mmなので条件を満たしている。図10(B)の比較結果では解析解と数値解の誤差が20%以内となるため、この計算結果の精度は十分であると結論付けられる。
(C)(平均自由行程λが2.0mm)の場合、最適なメッシュサイズが8mmであるのに対し、実際のメッシュサイズは4mmなので、この場合も条件を満たしている。図10(C)の比較結果でも解析解と数値解の誤差が20%以内となるため、この計算結果の精度は十分であると結論付けられる。
以上の結果より、(1)の条件式で最適なメッシュサイズが算出できることを示した。
<メッシュサイズの最適化3>
また、形状関数の次数を(A)2、(B)3と変えた場合に、(1)の条件式で最適なメッシュサイズが算出できるかどうかの検討を行った例を図11に示す。
(1)式より、平均自由工程λ=1mmとして、最適なメッシュサイズはそれぞれ、
(A)の場合:4mm、
(B)の場合:6mm
となる。
一方、それぞれ実際のメッシュサイズは6mmである。
(A)(形状関数の次数が2)の場合、最適なメッシュサイズが4mmであるのに対し、実際のメッシュサイズは6mmなので条件を満たしていない。図11(A)の比較結果では解析解と数値解の誤差が極めて大きくなるため、この計算結果の精度は不十分であると結論付けられる。
(B)(形状関数の次数が3)の場合、最適なメッシュサイズが6mmであるのに対し、実際のメッシュサイズは4mmなので条件を満たしている。図11(B)の比較結果では解析解と数値解の誤差が20%以内となるため、この計算結果の精度は十分であると結論付けられる。
<メッシュサイズを最適化した上での断層化結果>
メッシュサイズの最適化を行った場合に、断層化計算にどのような効果が期待できるか検討した実施例を図12に示す。
ここで、「順問題解析部」と「逆問題解析部」から断層画像を計算する処理手順を説明する。順問題解析部では、任意の方向から励起光を生体試料へ照射した場合に励起光が生体内部を伝搬する過程、及び生体内部の任意の位置に蛍光剤が存在した場合に蛍光が生体内部を伝搬する過程から成り立つ。それぞれの過程は次に示す光拡散方程式(6)、(7)によって計算することができる。
ここで、
D:拡散定数、
μa:吸収係数、
φex(j):j番目の方向から励起光を与えた場合の位置rにおける励起光フルエンスレート、
φem(k):k番目の位置に蛍光剤が存在した場合の位置rにおける蛍光フルエンスレート、
ε:モル吸光係数、
γ:量子収率、
M:モル濃度、
を表す。
(6)式と(7)式から励起・蛍光伝搬の理論値を求めることができ、この計算結果を元にシステム行列Aを作成する。システム行列Aとは、蛍光剤の空間分布fを与えた場合に生体表面で検出される蛍光分布の理論値を得るための行列である。具体的には、システム行列の列ベクトルaは、任意の位置における生体表面で検出される蛍光分布の理論値であり、この列ベクトルをk番目の位置までそれぞれ求めたのがシステム行列である。
g=Af (8)
A= [a(1),a(2),…,a(k)] (9)
ここで、
A:システム行列、
f:蛍光剤の空間分布ベクトル、
g:生体表面での蛍光分布ベクトル、
を表す。例えば、蛍光剤の空間分布f=[0 0 0.5 1 0.5 0 … 0]Tが与えられた場合、このベクトルにシステム行列を掛けると(Af)、生体表面での蛍光分布ベクトルが得られる。
逆問題解析部での演算は、装置で得られた蛍光検出データと順問題解析部で計算した理論値から蛍光剤の空間分布を求める過程から成り立つ。まず、順問題解析部によって(8)式におけるシステム行列Aを求めることができる。一方、蛍光生体画像取得装置によって(8)式における生体表面での蛍光分布ベクトルgを得ることができる。逆問題解析部では、順問題解析部で求められたシステム行列Aと生体表面での蛍光分布ベクトルgから、未知の蛍光剤の空間分布ベクトルfを求める。ベクトルfの求め方の一般的な方法は最小二乗法であり、以下の(9)式の評価関数を最小化することで求めることができる。
一方、今回対象とする問題では、光の吸収・散乱によって測定ノイズの影響が強くなるため、(9)式の最小化問題では解が発散する可能性が高い。そこで、ノイズによる発散を防ぐ目的で以下の(10)式の最小化問題を考える。この最小化問題(チホノフ正則化)は逆問題の研究分野で一般的に利用されており、ベクトルfのノルムを評価関数に組み入れることで解の発散を防ぐことができる。
ここで、
λ:正則化パラメータ、
を表す。
図12では、直径50mm、長さ25mmの円筒媒体を利用し、メッシュ数を変えた場合の計算時間と断層画像化計算結果を示している。図12より、メッシュサイズを2mm(メッシュ数:80173)にした場合(図8のサンプル1と同程度)は1回の光伝搬解析に19秒程度かかっており、これを断層画像化計算に利用する場合は約124時間程度必要とするため、実用的ではない。
なお、順問題解析部でシステム行列を求める際、列ベクトルaをk番目の位置までそれぞれ求める必要がある。1回の光伝搬解析とは1つの列ベクトルを求める作業であり、これをk番目まで求めようとすると、メッシュサイズが2mmの場合は約124時間程度必要になる。一方、ここでは「逆問題解析部」の計算時間は問題にしていない。つまり、断層画像化計算に必要な「順問題解析部」と「逆問題解析部」のうち、「順問題解析部」に膨大な時間が必要である。この計算時間がメッシュサイズ(メッシュ数)依存である。
一方、メッシュサイズを4mm(メッシュ数:20000)にした場合(図8のサンプル2と同程度)は1回の光伝搬解析が2秒程度となり、断層画像化計算に利用するためには約12時間程度で可能となる。したがって、実用上はメッシュサイズを4mm程度とすることが望ましい。
条件式(1)を利用すれば、実際の計算を実施する前に上述の結果(メッシュサイズ:4mm)を予想することができるため、(1)式による最適メッシュサイズの算出は大変有意義な方法といえる。
(手順2)
手順2では、光源分布及び立体形状の取得データと手順1で得た情報を元に、励起光の強度補正を行う。
第1に、励起光分布の取得を行う。
まず、表面に拡散反射を起こす材質(紙など)を用いた治具に対して励起光を照明し、その反射光データ取得する。この際、励起光強度が高い場合はNDフィルタ(減光フィルタ)やレンズの絞りを絞ることで検出器が飽和しないような機構を備える。
次に、光源と治具の位置関係と、得られた反射光強度データとから光源の入射光Ii(x,y,z)を求める。入射光Iiの具体的な計算手法を図13に示す。紙などの表面の粗い物体に対して、反射光Iは等方拡散となり、物体の法線ベクトルと入射光のなす角度をθとした場合のcosθおよび拡散反射率Kdに比例する。すなわち、
I=Kd・Ii・cosθ
である。したがって、光源と治具の位置関係が既知であれば観測データIから入射光強度Ii(x,y,z)を求めることができる。このような手順で最終的に各光源における励起光強度を求める。
第2に、立体形状の取得を行う。
立体形状データ取得の手法として多視点画像統合法、光切断法及びX線CTなどが挙げられる。例として、X線CTでマウスを撮像し、三次元表面形状データへ変換した結果を図14に示す。三次元表面形状データは、任意の点で構成される平面データ(メッシュデータ)及び平面の法線ベクトルで構成される。そのメッシュサイズは手順1で決定することができる。
第3に、上述から得られた情報を元に、励起光の強度補正を行う。
具体的には、励起光照明分布のデータIiと、生体試料の三次元表面形状データから、実際に生体試料へ与えられる励起光Itを求める。
Itを求める計算手法を図15に示す。入射光とメッシュの法線ベクトルのなす角をθ1、屈折光とメッシュの法線ベクトルのなす角をθ2、生体外の屈折率をn1、生体内の屈折率をn2とおくと、生体試料に入る励起光強度は、
と表すことができる。ここでTは透過率である。i=1からNまでのすべてのメッシュに対して同様の処理を行うことによって、実際に生体媒体に与えられる励起光の強度補正処理を実行することができる。
<メッシュサイズの最適化/励起光強度補正を行った上での断層化結果>
本実施形態を蛍光断層画像化に適用した例を図16、17に示す。
図16(a)は、励起光がすべて一様と仮定した場合、円筒媒体での光伝搬を示したものである。一方、図16(b)は、本実施形態を利用して励起光の補正を行った場合の、円筒媒体での光伝搬を示したものである。図16(a)と(b)を比較すると、円筒媒体の両端点で形状による光伝搬の誤差が生じていることが分かる。つまり、照射方向と媒体の法線方向のなす角度が比較的大きな箇所で、補正の効果が顕著に表れることが分かる。また、光源分布を非均一にした場合でも、分布に対応して光伝搬の誤差が生じることを確認している。
本実施形態を蛍光断層画像化に組込んだ場合のシミュレーション結果を図17に示す。シミュレーションでは、直径25mm、長さ25mmの円筒媒体に、直径1mm、長さ4mmの蛍光剤を埋め込んで得られた蛍光観察データを用いて計算を実施した。データには光ショットノイズ(光の粒子性に基づく雑音)を加えた。
また、断層画像化計算には一般的な逆問題手法であるチホノフ正則化を用いた。計算結果が逆問題手法に依存しないように、すべてのパラメータを固定して計算した。
図17(a)は励起光の補正を行わずに断層画像化計算を行った結果であり、蛍光剤が元の位置に推定されていないことが分かる。図17(b)は本実施形態を適用して断層画像化計算を行った結果であり、蛍光剤が元の位置に推定されることが分かる。この比較結果より、データに付加されたノイズは、光ショットノイズよりも励起照射ムラによるノイズが支配的となっており、本発明(励起光照射の補正)によってその影響が効果的に緩和されることが分かった。
光学系の一実施形態を図18A−18Dに示す。図18Aは斜視図、図18Bは正面断面図、図18Cはこの場合の導光路を示したものである。生体試料Sが載置される試料ホルダー20と、試料ホルダー20上の試料Sから放出される光の像を検出する二次元検出器4と、試料ホルダー20上の試料Sを複数の方向から観測するとともに試料Sから放出される各方向の光の画像を二次元検出器4の方向に導く方向別の導光路と、二次元検出器4と導光路の間に配置され導光路により導かれた複数の画像を二次元検出器4上の方向毎の異なる場所に結像する主結像レンズ5とを備えている。
二次元検出器4は例えばCCDである。以下、二次元検出器4を代表してCCD4と表示する。CCD4には画像処理装置2が接続され、画像処理装置2には画像処理装置2が作成した蛍光画像を表示する液晶表示装置(LCD)などの表示装置6が接続されている。画像処理装置2はコンピュータであり、この蛍光画像撮像装置の専用コンピュータ又は汎用のパーソナルコンピュータである。
この実施例では導光路に反射鏡M1,M2を含んでいるが、反射鏡、レンズ又は光ガイドなどの光学素子を含むものだけでなく、そのような光学素子を含まないものも総称して導光路と呼ぶ。
導光路として試料Sからの直接光を受けない導光路を含み、試料Sからの直接光を受けない導光路は試料Sの像S1,S2を主結像レンズ5の実質的合焦点範囲内に形成するとともに像S1,S2を形成した後の光線が主結像レンズ5の方向に進むように配置された光学素子M1,M2を含み、かつ少なくとも1つの導光路の光学素子M1,M2は像として実像を形成する光学素子である。
これにより、主結像レンズ5が導光路を経由した複数方向の画像を一括して二次元検出器4上に結像するようにしている。
導光路の光学素子として平面鏡だけを用いると収差が全くない利点はあるものの、試料Sの下部に虚像しかできず、かつ試料Sの裏面方向については平面鏡の虚像が遠方にできて、主結像レンズ5は異なる方向の像の総てに焦点を合わせることができない。またそれを緩和するために補助レンズを使うにしても結像レンズ5の口径に限界があるので、この実施例では以下の対策を講じた。
すなわち、この実施例では、平面鏡の像が遠くにできるような導光路に対して、平面鏡に代えて凹面鏡のような実像を形成する光学素子M1,M2を用い、虚像ではなく試料Sの実像を、主結像レンズ5から試料Sとほぼ等しい距離に作る。
ここでは実像を形成する光学素子として凹面鏡を取り上げて説明するが、凹面鏡に限定されるものではなく、平面鏡と凸レンズの組合せのような光学素子でも実現することができる。図18A−Cの方式では裏側像をCCD4側に導くのに大きな凹面鏡M1、M2を使い、試料Sの倒立実像S1、S2を試料Sの両隣りに作り、これら3つの像S、S1、S2を上から主結像レンズ5を通してCCD4で撮影する。試料Sと2つの像S1、S2の三者は主結像レンズからほぼ等距離にあるように凹面鏡M1、M2を設定する。
図18A、18Bにおける像形成の重要なポイントは以下の2点である。
1)凹面鏡M1、M2のそれぞれの曲率中心の位置C1、C2が重要であって、試料Sとその像S1、S2の各対応点がC1又はC2に対して立体的な点対称になっていることである。結像レンズ5から例えばQ点に焦点を合わせて見ているとし、結像レンズ5から試料Sの方に逆向きに進む主光線(結像レンズ5の中心を通る光)を考える。この主光線はQ点の延長上のG点で凹面鏡M1にあたり、そこで反射され試料S上のP点に向かうが、反射の入射角と射出角が等しいことから、P点とQ点の中点にミラーM1の曲率中心C1が存在する。すなわち、G点から進む光は、対称中心C1に対し、Q点と点対称のP点に向かって反射することになる。試料Sとしてマウスを測定する場合を例として挙げると、P点が図18Aに示すような、マウスの頭部の下面であるとすると、Q点はマウスの裏返った試料像S1の頭部の下部であって腹部がレンズの側を向いている。こうして主結像レンズ5から下を見ると、図18Dのようなマウスの背中が写った正面像とその両隣にマウスの腹部が写った裏面像が観測され、画像においてもP点とQ点がC1に対して点対称になっている。同様に試料Sの他の点、例えばH点は、試料像S2では、C2の反対側の点Iに写像されている。
なお、C1点、C2点の位置を試料Sに近づければ、像S1、S2が全体として試料Sの近くに寄るし、C1点、C2点の位置を試料Sから離せば像も離れる。C1点、C2点の位置を変化させることで像の位置を調節できるから、カメラの視野にバランスよく多方向の像を並べることができる。
2)ポイントの2つ目は実像を形成する光学素子の結像特性に関する。凹面鏡M1、M2のような大きな光学素子で試料の実像を作るときは、一般に収差が非常に大きくなる。例えば図18Aにおいて、試料像S1の位置に「紙」をおいて、試料像S1の結像を見るなら、凹面鏡M1の全面を使うため収差が大きくボケた像にしかならない。しかし実際には、主結像レンズ5を通して試料像S1を見るので、例えばQ点に焦点を合わせるとき、主結像レンズ5に入射する光はQ点の延長が凹面鏡M1に交わるG点を中心とするδSで表した面積の部分の光線だけである。すなわち、結像に使われるのは、大きな凹面鏡M1の一部のδSで表した小さい凹面鏡でしかない。したがって結像に使われる立体角ωは比較的小さい値(F値で表すとき、F6程度以上)となるから、このような大きな凹面鏡でも実用になる収差内に収まる。観測したいQ点を動かすとき対応する凹面鏡M1の部分δSは、Q点につれて凹面鏡M1の全体を動くけれども、それぞれの場所で結像に使われるのは、上述の面積δSの範囲に限られる。
さらに好都合な点は、球面の凹面鏡により等倍率の1対1の像を作るときは収差が少なくなることである。殊にP点とQ点が近ければ、(角QGPが小さいとき)さらに綺麗な結像になる。極端な例は角QGPがゼロに近ければ、球面凹面鏡の曲率中心から出て同じ点に戻る光に極めて近い状態になって、収差が全くなくなることからも、球面凹面鏡による1対1の結像が収差の点で有利なことが理解できる。
さて、図18Aに見られるように像S1、S2が1対1の像ならば、試料Sを含め同じ大きさに3つの像を結像レンズ5がCCD4上に再度結像するのでサイズ上のバランスが良い上に、前述した1対1結像が収差的にも有利であるという幸運が重なり、球面凹面鏡を用いる光学素子を有利な方法としている。すなわち、非球面(楕円面など)の凹面鏡でなく、安価な球面凹面鏡で十分な効果が有ることを強調する。さらに特許文献3の「作用」の項には、この1対1の結像の収差及びβ(角QGP)が少し大きくなるとどうなるかを、もう少し詳しい計算でも検討し、光学素子において凹面鏡の配置をどのようにすれば、凹面鏡の特性が生きるかのガイドラインについて述べられている。
以上述べたように、この実施例は裏面方向の像をCCDの側に戻すための結像形光学素子を利用している。ここで、図の凹面鏡M1、M2が大きな凹面鏡であることも意味があることを追記する。主結像レンズ5から試料の像S1の1点、例えばQを見るとき、向こう側の凹面鏡M1上の点Gが存在するが、Gが存在できる程度に凹面鏡M1のサイズが大きい必要がある。試料の像S1全体を見る必要があるとき、凹面鏡M1の全体のサイズは図の例では像S1のサイズの1.5倍程度である。レンズ5から見て試料の像S1の向こう側に凹面鏡が存在するだけのサイズを要するからである。試料の像S1の全体でなく、その一部(例えば頭部だけ)の観察でよいなら、凹面鏡M1、M2はもっと小さくてもよく、測定目的によってその大きさを選ぶことができる。
[5方向の同時観測法用の光学系]
5つの方向から同時観測する場合を例として、図19Aと図19Bを用いて説明する。図19Aにおいて、中央に配置した試料Sに対して、真上(観測角度0度方向)に主結像レンズ5及びCCD4が配置され、4つの凹面鏡M3、M1、M2、M4がそれぞれ観測角度60°、135°、205°、300°の方向に配置されている。すなわち0度方向の導光路は試料Sから直接にレンズ5に進む光が占める領域であり、60°方向の導光路は試料S→凹面鏡M3→平面鏡M5→レンズ5の順に進む光の占める領域であり、同様に135°方向は試料S→凹面鏡M1→レンズ5、205°方向は試料S→凹面鏡M2→レンズ5、300°方向は試料S→凹面鏡M4→平面鏡M6→レンズ5にそれぞれ進む光の占める領域である。このうち135°、205°方向の導光路中、凹面鏡M1、M2による試料Sの実像がS1、S2の位置にできており、一旦結像した後主結像レンズ5に向かって進み、再びCCD4上で結像する。また、60°方向及び300°方向の導光路中では、斜め上の凹面鏡M3とM4の実像がS3、S4にできているが、これは折り曲げ鏡M5とM6の効果によって実像から進む光の方向と実像の場所を必要な条件に変換した結果による。
ここで、試料Sの下部の注目点Pから出る光は凹面鏡M1により実像S1上の点Qに一度結像し、主レンズ5により、二次元検出器4上にもう一度結像している。また、試料S上の上部の注目点Hから出る光は凹面鏡M3と折り曲げ鏡M5で反射し実像S3上のI点に一度結像し、さらにレンズ5によってもう一度二次元検出器4上に結像していることがわかる。
これら4つの実像S1−S4と試料Sは、レンズ5が焦点を結ぶことのできる同等の距離にあるから、試料Sと4つの像の合計5つの像を同時にCCD4上に結像し撮影することができる。この結果CCD4上の試料の5方向像は、図19Bのようになり、左からS3(観測方向60度)、S1(観測方向135度)、S(観測方向0度)、S2(観測方向205度)及びS4(観測方向300度)である。中央の像だけマウスの頭の像の向きが反対になっている。
この5方向測定光学系は、試料とカメラ(レンズ5とCCD4)の間に焦点調節用の補助レンズなどの光学部品を挿入する必要が全くないことが特徴で、5つの導光路が主結像レンズ5の近くで互いに重なっていても何ら問題なく、口径が大きい主結像レンズを用いることができる。可動部分もなく、多方向の観測像を一度に共通のCCD4上に結像することができる明るい観測系が実現できている。
照明用光源部IL1、IL2、IL3、IL4及びIL5(ILはilluminationを表す)が5箇所備えてあり、各光源部の中に含まれる蛍光励起光源が試料Sを照射し、試料Sから発生する蛍光を5方向の蛍光像としてCCD4に結像させて撮影する。なお主結像レンズ5の前に蛍光用(励起光除去)フィルタFEMを挿入できるようになっており、蛍光測定時は励起波長成分をこの励起光除去フィルタFEMで阻止することで、蛍光だけによる画像をCCD上に作るようになっている。
照明用光源部IL1、IL2、IL3、IL4及びIL5の具体的な構成例を図20Aに示した。図20Aの例では照明用光源部は3つの異なる種類の光源A、B及びCから成り立っている。光源A、B及びCは試料を離れた位置から広がる光束で広範囲に照射することができる。光源Aは後述するように、生体試料4を照明して外観画像を撮像するための白色LEDである。撮像された外観画像から本発明における順問題解析部10及び逆問題解析部20で使用する三次元表面形状データを得ることができる。光源B及びCは蛍光励起光源であり、光源Bは波長λ1の励起光を発光する発光素子レーザダイオード(以降LDと省略)LDλ1と、発光素子LDλ1の発光側に取り付けられた励起側干渉フィルタFexλ1からなる。光源Cは波長λ2の励起光を発光するLDからなる発光素子LDλ2と、発光素子LDλ2の発光側に取り付けられた励起側干渉フィルタFexλ2からなる。ただし、光源B及びCは、必要に応じて干渉フィルタFexλ1、Fexλ2の後に生体試料全体に光を照射するための発散レンズ(図示は省略)を追加することもできる。ここで、図20Aに示す3種類の光源A、B及びCの選択は、機械的な切替えなしで単に点灯の電源のオン・オフによって行うことができる。したがって、各照射方向IL1、IL2、IL3、IL4及びIL5に配置されたそれぞれの光源A、B及びCの点灯のオン・オフによって、機械的な切替えなしで光源の方向IL1、IL2、IL3、IL4及びIL5と光源の種類(A、B及びC)の指定を行う。
次に、励起光源と励起用干渉フィルタの特性について図20Bを用いて説明する。図20Bは光源Bの発光素子LDλ1とその発光側に取り付けられた干渉フィルタFexλ1との関係を示したものである。発光素子LDλ1は単一波長λ1の光だけを発光すると思われがちであるが、実際には弱い裾の発光を伴なっている。その裾の部分には二次元検出器CCD4の入射側に設けられた励起光除去フィルタである蛍光側フィルタFEMを透過する波長成分が含まれており、そのような波長の光が生体試料に向けて照射されると、生体試料で発生した蛍光成分とともに蛍光側フィルタFEMを透過して二次元検出器4に入射する。その結果、撮影した蛍光撮像画像に試料の蛍光以外の漏れ光成分による迷光が重なり蛍光の検出感度を下げてしまう。
そこでこの実施例では、発光素子LDλ1の発光側に発光波長の裾の部分の光を遮光する干渉フィルタFexλ1を取り付けて、蛍光側フィルタFEMの透過域にある発光素子LDλ1からの励起光成分を除去している。これにより、蛍光側フィルタFEMを透過する光は生体試料からの蛍光成分のみとなり、二次元検出器4上の撮像画像に迷光が混入にすることによる蛍光検出能力の低下を防止できる。
なお、上記では光源Bについて説明したが、光源Cについても光源Bと同様の構成である。
照明用光源部IL1、IL2、IL3、IL4及びIL5に含まれる蛍光励起光源として、LDやLEDを使うなら電気回路のオン・オフにより必要な光源だけを自由に点灯消灯できるので、5方向の光源を総て点灯して、蛍光を測定することができるほか、必要な組合わせだけを選択的に点灯させて蛍光画像測定を行うこともできる。こうすると、試料Sから見るとき、前から励起光を照らすときの蛍光画像だけでなく、後ろからだけとか、横からだけ照らすときの画像が得られるから、試料Sからの5方向の画像それぞれに対して励起方向の異なる5つの画像を得るから合計25枚の画像を5回の露光で得ることができる。25枚の画像から動物の体内の浅い位置に発光源があるか、深い位置に発光原があるかを推定できる。すなわち、浅い位置の発光源なら、25枚のどれかの画像中の被写体の小さい部分が強く光ることが推測されるのに対し、深い発光源ならば25枚のどの画像にも拡散した発光分布になるからである。
こうして蛍光励起方法は可動部分が無くて単に励起光の点滅だけで、試料の前横後ろから励起する、励起方法を自在に設定できることである。こうして蛍光モードの場合でも、試料の全周にわたる多方向から励起・観測画像を簡単に得られることを示した。
上記において蛍光励起光は試料から「離れて」照射される。
図20Aに示した光源のうち、符号Aで示した光源は、白色LEDであって試料の外観像を撮影するときに点灯させる。試料のどの部分が光っているかを知るために蛍光測定の前又は後に白色LED照明の画像を取得しておく。画像解析時に三次元表面形状データとして使用する他、外観照明のデータを蛍光画像に重ねた図で比較するとか、外観照明のデータと蛍光画像を並べて比較することで、該当の場所が外観図のどの部位に当たるかを容易に知ることができる。
光学系についての別の実施例は特許文献3の図6、図7、図8、図9、図10、図11及び図14に記載されている。本発明の蛍光画像撮像装置の光学系としてはそれらの光学系を適用することもできる。
2 画像処理装置
4 二次元検出器
6 表示装置
10 順問題解析部
12 メッシュサイズ導出部
14 励起光強度補正部
20 逆問題解析部

Claims (2)

  1. 試料を離れた位置から広がる光束の励起光で広範囲に照射し前記試料中の対象物を励起して蛍光を発生させる少なくとも1つの光源部と、前記試料からの蛍光を検出する二次元検出器と、前記試料を複数の方向から同時に観測するとともに前記試料から放出される各方向の蛍光を前記二次元検出器に導く検出光学系と、前記試料の三次元表面形状データ及び前記二次元検出器が検出した蛍光実測データから前記試料中の蛍光画像を作成する画像処理装置と、前記画像処理装置が作成した蛍光画像を表示する表示装置と、を備えた蛍光画像撮像装置において、
    前記画像処理装置は、前記試料における励起光と蛍光の光伝搬解析を光拡散方程式の有限要素解析によって理論計算する順問題解析部、並びに
    前記三次元表面形状データ、前記二次元検出器が検出した蛍光実測データ及び前記順問題解析部における解析結果に基づいて前記試料内部の蛍光画像を作成する逆問題解析部を備えており、
    前記順問題解析部は、前記試料について有限要素解析のための最適メッシュサイズを特定の条件式から導き出すメッシュサイズ導出部と、前記メッシュサイズ導出部により導出されたメッシュサイズの各メッシュに対して前記三次元表面形状データ及び別途求められた前記励起光の照射分布測定値を用いて励起光強度を補正する励起光強度補正部と、を備えており、
    前記逆問題解析部は前記順問題解析部で求められたメッシュサイズと補正された励起光強度を用いて前記蛍光画像を作成するものであることを特徴とする蛍光画像撮像装置。
  2. 前記条件式は、メッシュサイズをmesh_size、光の平均自由行程をλ、形状関数の次数をε、及び比例係数をfactorとしたとき、
    mesh_size=λ×factor×ε
    として表わされるものである請求項1に記載の蛍光画像撮像装置。
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