以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2に示す部品実装装置1は、半田印刷機や検査機、リフロー炉等の図示しない他の部品実装用装置と部品実装ラインを形成する部品実装用装置の一種であり、上流側の他の部品実装用装置(例えば半田印刷機や他の部品実装装置等)から送られてきた基板2を搬入して基板2の表面に設けられた電極3上に部品(電子部品)4を装着する部品実装作業を行った後、その基板2を図示しない下流側の他の部品実装用装置(例えば他の部品実装装置や検査機、リフロー炉等)に搬出する動作を連続的に実行する。
はじめに、説明の便宜上、部品実装装置1を基準とした方向を定義する。本実施の形態では、部品実装装置1における基板2の搬送方向(部品実装ラインにおける基板2の流れの方向。図1中、矢印Aの向く方向)をX軸方向、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向を部品実装装置1の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、部品実装装置1に対してオペレータOP(図1)が作業を行う側(図1の紙面下方)を部品実装装置1の前方、その反対側(図1の紙面上方)を後方とする。なお、オペレータOPから部品実装装置1を見た場合、横方向左側(図1の紙面左側)が基板2の搬送方向の上流側、横方向右側(図1の紙面右側)が基板2の搬送方向の下流側となる。
図1及び図2において、部品実装装置1は、基台11と、基台11上にY軸方向に平行に並んで設けられ、それぞれ基板2をX軸方向に搬送する2つの基板搬送路12(前方側基板搬送路12F及び後方側基板搬送路12R)と、基台11のY軸方向に対向する端部に設けられた2つのフィーダ設置領域11aのそれぞれにX軸方向に並んで設置された部品供給部としての複数のテープフィーダ13と、テープフィーダ13から供給される部品4をピックアップして基板2に装着する部品装着部としての2つの装着ヘッド14(前方側装着ヘッド14F及び後方側装着ヘッド14R)を備えている。2つの装着ヘッド14は基台11に設けられたXYロボットから成るヘッド移動ロボット15によって互いに独立して移動される。
図1及び図2において、各装着ヘッド14には撮像視野を下方に向けた基板カメラ16が設けられており(図3も参照)、基台11上の2つの基板搬送路12と各フィーダ設置領域11aとの間の2つの領域のそれぞれには、撮像視野を上方に向けた部品カメラ17が設けられている。
図3及び図4において、各基板搬送路12は、それぞれ基板2をX軸方向に搬送する搬入コンベア12a、位置決めコンベア12b及び搬出コンベア12cがこの順で基板2の搬送方向(X軸方向)に並べられて成る。
図3及び図5(a),(b)において、各基板搬送路12が備える位置決めコンベア12bは、基台11上にY軸方向に対向して設けられた一対の位置決めコンベア支持部材21と、これら一対の位置決めコンベア支持部材21によって支持された一対のコンベアフレーム22と、これら一対のコンベアフレーム22に取り付けられた一対のベルトコンベア23から成る。一対のベルトコンベア23は同期して駆動されることによって基板2の両端部を下方から支持した状態で基板2の搬送を行う。一対の位置決めコンベア支持部材21のそれぞれの上端部にはY軸方向内方(一対のベルトコンベア23の中間部に向かう方向)に張り出して延びる張り出し部21aが設けられている。
図5(a),(b)において、一対のベルトコンベア23の間の下方には、上面から上方に延びる複数の下受けピン24aを備えた下受けユニット24が基台11に設置された昇降シリンダ25によって昇降自在に設けられている(図3も参照)。
図5(a),(b)において、下受けユニット24が昇降シリンダ25によって上昇されると、下受けユニット24の複数の下受けピン24aが基板2の下面に下方から当接し、更に下受けユニット24が上昇すると、複数の下受けピン24aによって押し上げられた基板2の両端部の上面が一対のコンベア支持部材21の張り出し部21aに下方から当接する(図5(a)→図5(b))。これにより基板2は、下面の中央部が下受けピン24aによって支持され、かつ両端部が一対のコンベア支持部材21の張り出し部21aと下受けピン24aとによって挟持された保持状態となる。すなわち本実施の形態において、一対の位置決めコンベア支持部材21から延びる一対の張り出し部21a、下受けユニット24及び昇降シリンダ25は、位置決めコンベア12b上の基板2を保持する基板保持機構26を構成している。
図1及び図2において、ヘッド移動ロボット15は、2つの基板搬送路12をY軸方向に跨いで延びて設けられたY軸テーブル15a、Y軸テーブル15a上をY軸方向に移動自在に設けられたX軸方向に延びる前後2つのX軸テーブル15b及び各X軸テーブル15b上をX軸方向に移動自在に設けられた2つの移動ステージ15cから成り、前方側に位置する移動ステージ15cには前方側装着ヘッド14Fが取り付けられており、後方側に位置する移動ステージ15cには後方側装着ヘッド14Rが取り付けられている。各装着ヘッド14には、下方に延びた複数の吸着ノズル14N(図3も参照)が昇降及び上下軸(Z軸)回りに回転自在に設けられている。
図1において、フィーダ設置領域11aに取り付けられる複数のテープフィーダ13は、オペレータOPが一対のハンドル部Hdを操作することによって床面上を走行させることができる台車Cgに保持されており、オペレータが台車Cgを基台11に結合させると、複数のテープフィーダ13が一括して基台11に装着される。各テープフィーダ13は部品4が収納された図示しないテープ部材をピッチ送りすることにより、基台11の中央部側(基板搬送路12の側)の端部に設けられた部品供給口13pに部品4を連続的に供給する。なお、台車Cgに設けられた一対のハンドル部Hdは、図1及び図2では下方に折畳まれた状態となっているが、使用時には上方に展開させることができる。
各基板搬送路12を構成する搬入コンベア12a、位置決めコンベア12b及び搬出コンベア12cによる基板2の搬送及び所定の作業位置WA(図4)への位置決め動作は、部品実装装置1が備える制御装置40(図6)の作業実行制御部40a(図6)が各基板搬送路12に設けられた図示しないアクチュエータ等から成るコンベア駆動機構41(図6)の作動制御を行うことによってなされる。位置決めコンベア12b上に位置決めされた基板2の保持及びその解除動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが昇降シリンダ25の作動制御を行って下受けユニット24を昇降させることによってなされる。
各テープフィーダ13による部品供給口13pへの部品4の供給動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るフィーダ駆動機構42(図6)の作動制御を行うことによってなされる。各テープフィーダ13は台車Cgが基台11に結合された状態で制御装置40と電気的に繋がり、制御装置40によるフィーダ駆動機構42を介した各テープフィーダ13の作動制御が可能となる。
ヘッド移動ロボット15による各装着ヘッド14の水平面内での移動動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るヘッド移動ロボット駆動機構43(図6)の作動制御を行い、Y軸テーブル15aに対する各X軸テーブル15bのY軸方向への移動と、各X軸テーブル15bに対する各移動ステージ15cのX軸方向への移動とを組み合わせることによってなされる。
各装着ヘッド14が備える各吸着ノズル14Nの装着ヘッド14に対する昇降及び上下軸回りの回転動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るノズル駆動機構44(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
各装着ヘッド14が備える各吸着ノズル14Nによる部品4のピックアップ(吸着)及び離脱(吸着解除)動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成る吸着機構45(図6)の作動制御を行って吸着ノズル14N内に真空圧を供給し、また真空圧の供給を解除することによってなされる。各装着ヘッド14は制御装置40に制御されて、各テープフィーダ13より供給された部品4をピックアップする動作と、ピックアップした部品4を位置決めコンベア12b上で基板保持機構26によって保持された基板2に装着する動作を繰り返し実行する。
基板カメラ16及び部品カメラ17による撮像動作は、制御装置40の作業実行制御部40aによって制御される(図6)。基板カメラ16及び部品カメラ17の撮像動作によって得られた画像データは制御装置40の画像データ格納部40b(図6)に取り込まれ、作業実行制御部40aからの指令を受けた画像認識部40c(図6)において画像認識処理される。
図7(a),(b)において、各基板搬送路12の位置決めコンベア12bの下流側の位置には先端部検出センサ50aが設けられており、各基板搬送路12の位置決めコンベア12bの上流側の位置には後端部検出センサ50bが設けられている(図4も参照)。
先端部検出センサ50aは、Y軸方向に投光する検査光Laが、位置決めコンベア12bによってX軸方向に搬送される基板2の進行方向の先端部(以下、単に先端部と称する)2aによって横切られた状態を検知して基板2の先端部2aが所定の位置(検査光Laが横切られる位置)に達したことを検出する。また、後端部検出センサ50bは、Y軸方向に投光する検査光Lbが、位置決めコンベア12bによってX軸方向に搬送される基板2の進行方向の後端部(以下、単に後端部と称する)2bによって横切られた状態を検知して基板2の後端部2bが所定の位置(検査光Lbが横切られる位置)に達したことを検出する。先端部検出センサ50aにより基板2の先端部2aが所定の位置(先端部検出センサ50aの検査光Laが横切られる位置)に達したことの検出情報と、後端部検出センサ50bにより基板2の後端部2bが所定の位置(後端部検出センサ50bの検査光Lbが横切られる位置)に達したことの検出情報は、ともに制御装置40に入力される(図6)。
ここで、先端部検出センサ50aによって基板2の先端部2aが検出されたときの基板2の位置は、後端部検出センサ50bによって基板2の後端部2bが検出されたときの基板2の位置よりも下流側に位置する(図7(a),(b))。したがって制御装置40の作業実行制御部40aは、位置決めコンベア12bによってX軸方向に搬送される基板2の先端部2aが先端部検出センサ50aによって検出されたときにコンベア駆動機構41を介して位置決めコンベア12bの作動を停止させれば、基板2を基板搬送路12の下流側の作業位置WA(以下、下流側位置WAaと称する)に位置決めすることができ(図7(a)及び図4)、位置決めコンベア12bによってX軸方向に搬送される基板2の後端部2bが後端部検出センサ50bによって検出されたときにコンベア駆動機構41を介して位置決めコンベア12bの作動を停止させれば、基板2を基板搬送路12の上流側の作業位置WA(以下、上流側位置WAbと称する)に位置決めすることができる(図7(b)及び図4)。
すなわち本実施の形態において、各位置決めコンベア12bに設けられた先端部検出センサ50aと後端部検出センサ50b及び制御装置40の作業実行制御部40aにより作動制御がなされるコンベア駆動機構41は、前方側基板搬送路12Fに搬入された基板2を基板の搬送方向(X軸方向)の下流側の作業位置(下流側位置WAa)及び基板2の搬送方向の上流側の作業位置(上流側位置WAb)のいずれかに位置決めするとともに、後方側基板搬送路12Rに搬入された基板2を基板2の搬送方向の下流側の作業位置(下流側位置WAa)及び基板2の搬送方向の上流側の作業位置(上流側位置WAb)のいずれかに位置決めする基板位置決め機構51(図6)として機能する。
また、本実施の形態における部品実装装置1では、前方側基板搬送路12F上の基板2に対しては前方側装着ヘッド14Fによって部品4の装着が行われ、後方側基板搬送路12R上の基板2に対しては後方側装着ヘッド14Rによって部品4の装着が行われる。
図6において、制御装置40は記憶部40d及び作業位置決定部40eを備えている。記憶部40dには、前方側基板搬送路12F上の基板2に対して部品4の装着を行うときの前方側装着ヘッド14Fの移動領域(前方側移動領域RgF。図8及び図9参照)のデータと、後方側基板搬送路12R上の基板2に対して部品4の装着を行うときの後方側装着ヘッド14Rの移動領域(後方側移動領域RgR。図8及び図9参照)のデータが、各種類の基板2について、その基板2が下流側位置WAaに位置決めされた場合と上流側位置WAbに位置決めされた場合の双方について記憶されている。
制御装置40の作業位置決定部40eは、作業実行制御部40aからの指令を受けたときに、その指令を受けた時点で前方側基板搬送路12Fによって搬送している基板2と後方側基板搬送路12Rによって搬送している基板2について、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRとを比較する。そして、図8(a),(b),(c)及び図9(a),(b),(c)に示すように、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRの重なり合う部分(重複領域RgD)が小さくなるように、前方側基板搬送路12F上の基板2の作業位置WAと後方側基板搬送路12R上の基板2の作業位置WAを決定する。なお、ここでは、具体的には、前方側基板搬送路12F上の基板2の作業位置WAを下流側位置WAaと上流側位置WAbのいずれにするか及び後方側基板搬送路12R上の基板2の作業位置WAを下流側位置WAaと上流側位置WAbのいずれにするかを決定する。
例えば、図8(a),(b),(c)に示すように、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRがともに基板2の下流側に偏っている場合の例では、前方側基板搬送路12F上の基板2と後方側基板搬送路12R上の基板2をそれぞれ下流側位置WAaに位置決めするよりも(図8(a)。両基板2をそれぞれ上流側位置WAbに位置決めする場合も同じ)、前方側基板搬送路12F上の基板2を上流側位置WAbに位置決めし、後方側基板搬送路12R上の基板2を下流側位置WAaに位置決めした方が重複領域RgDは小さくなり(図8(b))、更には、前方側基板搬送路12F上の基板2を下流側位置WAaに位置決めし、後方側基板搬送路12R上の基板2を上流側位置WAbに位置決めした方が重複領域RgDはより小さくなる(図8(c)。この場合は重複する領域なし)。したがってこの場合には、制御装置40の作業位置決定部40eは、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAを下流側位置WAaに決定し、後方側基板搬送路12R上の作業位置WAを上流側位置WAbに決定する。
また、例えば、図9(a),(b),(c)に示すように、前方側移動領域RgFが基板2の下流側に偏り、後方側移動領域RgRが基板2の上流側に偏っている場合の例では、前方側基板搬送路12F上の基板2を下流側位置WAaに位置決めし、後方側基板搬送路12R上の基板2を上流側位置WAbに位置決めするよりも(図9(c))、前方側基板搬送路12F上の基板2と後方側基板搬送路12R上の基板2をそれぞれ下流側位置WAaに位置決めする方が(図9(a)。両基板2をそれぞれの上流側位置WAbに位置決めする場合も同じ)重複領域RgDは小さくなり、更には、前方側基板搬送路12F上の基板2を上流側位置WAbに位置決めし、後方側基板搬送路12R上の基板2を下流側位置WAaに位置決めした方が重複領域RgDはより小さくなる(図9(b)。この場合は重複する領域なし)。したがってこの場合には、制御装置40の作業位置決定部40eは、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAを上流側位置WAbに決定し、後方側基板搬送路12R上の作業位置WAを下流側位置WAaに決定する。
なお、制御装置40の作業位置決定部40eは、上記作業位置の決定を、部品実装装置1により基板生産が開始されるときと、少なくとも一方の基板搬送路12の基板2について機種切り替えがなされたときに行われる。
次に、図10のフローチャートを用いて、制御装置40が実行する各基板搬送路12における部品実装工程の実行手順を説明する。制御装置40の作業実行制御部40aは、制御対象とする側の基板搬送路12に、上流側の他の部品実装装置(例えば、図示しない半田印刷機や他の部品実装装置1)から基板2が投入されたことを検知したら、コンベア駆動機構41の作動制御を行って搬入コンベア12aを作動させ、その投入された基板2を基板搬送路12内に搬入する(図10に示すステップST1の基板搬入工程)。そして、搬入した基板2の機種のデータを基板2に設けられたバーコード等から読み取り、その基板2の機種が前回搬入した基板2の機種と異なるかどうかに基づいて、機種変更がなされたかどうかの判定を行う(図10に示すステップST2の機種変更判定工程)。なお、このステップST2では、基板生産の開始時において最初に基板2が投入された場合も機種変更がなされたと判定する。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST2において機種変更がなされたと判定した場合には作業位置決定部40eに指令を出し、その指令を受けた作業位置決定部40eは、前方側基板搬送路12F上の基板2に対して部品4の装着を行うときの前方側装着ヘッド14Fの移動領域(前方側移動領域RgF)のデータと、後方側基板搬送路12R上の基板2に対して部品4の装着を行うときの後方側装着ヘッド14Rの移動領域(後方側移動領域RgR)のデータを記憶部40dより読み出し、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRを把握する(図10に示すステップST3の移動領域把握工程)。
なお、ステップST3における上記の「前方側基板搬送路12F上の基板2」或いは「後方側基板搬送路12R上の基板2」とは、前方側基板搬送路12F又は後方側基板搬送路12Rが制御対象としている側の基板搬送路12であるときにはステップST1で搬入した基板2であり、制御対象としている側とは反対の側の基板搬送路12であるときには、現在位置決めしている基板2又は次に位置決めすることになる基板2である。
制御装置40の作業位置決定部40eは、ステップST3において前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRを把握したら、これら前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRを比較し、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRの重なり合う部分(重複領域RgD)が小さくなるように、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAと後方側基板搬送路12R上の作業位置WAを決定する(図10に示すステップST4の決定工程)。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST4で作業位置決定部40eが前方側基板搬送路12F上の作業位置WAと後方側基板搬送路12Rの作業位置WAを決定したら、搬入コンベア12aと位置決めコンベア12bを連動作動させることによって、搬入コンベア12a上の基板2を位置決めコンベア12bに搬送したうえで、基板位置決め機構51によって、ステップST4で決定した作業位置WAに基板2を位置決めした後(図10に示すステップST5の基板位置決め工程)、基板保持機構26を作動させて、基板2を作業位置WAに保持する(図10に示すステップST6の基板保持工程)。また制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST2において、機種変更がなされなかったと判定した場合にもステップST5に進み、従前の作業位置のデータに基づいて基板2の位置決めを行う。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST5の基板位置決め工程では、作業位置決定部40eによって基板搬送路12上の作業位置WAが下流側位置WAaに決定されていたときには、位置決めコンベア12bによって搬送される基板2の先端部2aが先端部検出センサ50aによって検出されたときに位置決めコンベア12bの作動を停止させ、作業位置決定部40eによって基板搬送路12上の作業位置WAが上流側位置WAbに決定されていたときには、位置決めコンベア12bによって搬送される基板2の後端部2bが後端部検出センサ50bによって検出されたときに位置決めコンベア12bの作動を停止させる。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST6において基板の保持を行ったら、ヘッド移動ロボット駆動機構43の作動制御を行って基板2の上方に基板カメラ16を(装着ヘッド14を)移動させ、基板2に設けられた基板マーク(図示せず)の撮像を行う。そして、得られた画像を画像認識部40cに画像認識させることによって、基板2の正規の作業位置からの位置ずれを検出する(図10に示すステップST7の基板位置ずれ検出工程)。
制御装置40は、ステップST7において基板2の位置ずれを検出したら、ヘッド移動ロボット駆動機構43の作動制御を行って、装着ヘッド14をテープフィーダ13の上方に移動させ、ノズル駆動機構44の作動制御を行って、装着ヘッド14の吸着ノズル14Nをテープフィーダ13の部品供給口13pに供給された部品4に接触させるとともに、吸着機構45の作動制御を行うことによって吸着ノズル14Nへの真空圧の供給を行い、吸着ノズル14Nにより部品4をピックアップ(吸着)する(図10に示すステップST8のピックアップ工程)。
制御装置40は、吸着ノズル14Nにより部品4をピックアップしたら、ヘッド移動ロボット駆動機構43の作動制御を行って、ピックアップした部品4が部品カメラ17の上方を通過するように装着ヘッド14を移動させ、部品カメラ17によって部品4の撮像を行う。そして、得られた画像を画像認識部40cによって画像認識し、部品4の異常(変形や欠損など)の有無の検査を行うとともに(図10に示すステップST9の画像認識工程)、部品4の吸着ノズル14Nに対する位置ずれ(吸着ずれ)を求める(図10に示すステップST10の部品吸着ずれ検出工程)。
制御装置40は部品吸着ずれ検出工程が終了したら、ヘッド移動ロボット駆動機構43の作動制御を行って、吸着ノズル14Nによりピックアップした部品4が基板2の上方に移動するように装着ヘッド14を移動させる。そして、制御装置40は、ノズル駆動機構44の作動制御を行って、ピックアップした部品4を基板2上の目標装着位置(この目標装着位置にある電極3上には、部品実装装置1の上流側に配置された半田印刷機によって半田が印刷されている)に接触させるとともに、吸着機構45の作動制御を行うことによって吸着ノズル14Nへの真空圧の供給を解除し、部品4を基板2に装着する(図10に示すステップST11の部品装着工程)。
ここで、制御装置40の作業実行制御部40aは、部品4を基板2に装着するときは、ステップST7において求めた基板2の位置ずれと、ステップST10において求めた部品4の吸着ずれが修正されるように、基板2に対する吸着ノズル14Nの位置補正(回転補正を含む)を行う。
制御装置40は、ステップST11の部品装着工程が終了したら、装着ヘッド14により基板2に装着すべき全ての部品4の装着が終了したか否かの判断を行う(図10に示すステップST12の装着終了判断工程)。その結果、制御装置40は、装着ヘッド14により装着すべき全ての部品4の基板2への装着が終了していなかった場合にはステップST8〜ステップST11の工程を繰り返し、装着ヘッド14により装着すべき全ての部品4の基板2への装着が全て終了していた場合には、位置決めコンベア12bと搬出コンベア12cを連動作動させて、基板2を搬出コンベア12c経由で部品実装装置1の外部に搬出する(図10に示すステップST13の基板搬出工程)。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST13の基板搬出工程が終了したら、部品4の装着を行う基板2がまだあるか否かの判断を行う(図10に示すステップST14の基板有無判断工程)。その結果、制御装置40の作業実行制御部40aは、部品4の装着を行う基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、部品4の装着を行う基板2がなかった場合には、一連の電子部品実装作業を終了する。
以上説明したように、本実施の形態における部品実装方法は、平行に並んで設けられてそれぞれ基板2の搬送を行う前方側基板搬送路12F(第1の基板搬送路)及び後方側基板搬送路12R(第2の基板搬送路)と、基板2に装着する部品4の供給を行う部品供給部としての複数のテープフィーダ13と、テープフィーダ13より供給される部品4をピックアップし、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAに位置決めされた基板2に部品4を装着する前方側装着ヘッド14F(第1の装着ヘッド)と、テープフィーダ13より供給される部品4をピックアップし、後方側基板搬送路12R上の作業位置WAに位置決めされた基板2に部品4を装着する後方側装着ヘッド14R(第2の装着ヘッド)を備え、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAに位置決めされた基板2に対する前方側装着ヘッド14Fによる部品4の装着及び後方側基板搬送路12R上の作業位置WAに位置決めされた基板2に対する後方側装着ヘッド14Rによる部品4の装着を同時並行的に行わせる部品実装装置1による部品実装方法であり、前方側基板搬送路12F上の基板2に対して部品4の装着を行うときの前方側装着ヘッド14Fの移動領域(前方側移動領域RgF)と後方側基板搬送路12R上の基板2に対して部品4の装着を行うときの後方側装着ヘッド14Rの移動領域(後方側移動領域RgR)とを比較し、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRの重なり合う部分(重複領域RgD)が小さくなるように、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAと後方側基板搬送路12R上の作業位置WAを決定する工程(ステップST3及びステップST4)と、前方側基板搬送路12Fに搬入した基板2を決定した前方側基板搬送路12F上の作業位置WAに位置決めし、第2の基板搬送路に搬入した基板を決定した第2の基板搬送路上の作業位置WAに位置決めする工程(ステップST5)を含むものとなっている。
本実施の形態における部品実装方法では、前方側基板搬送路12F上に位置決めされる基板2に対して部品4の装着を行うときの前方側装着ヘッド14Fの移動領域(前方側移動領域RgF)と後方側基板搬送路12R上に位置決めされる基板2に対して部品4の装着を行うときの後方側装着ヘッド14Rの移動領域(後方側移動領域RgR)とを比較し、前方側移動領域RgFと後方側移動領域RgRの重なり合う部分(重複領域RgD)が小さくなるように、前方側基板搬送路12F上の作業位置WAと後方側基板搬送路12R上の作業位置WAをそれぞれ上流側の作業位置(上流側位置WAb)又は下流側の作業位置(下流側位置WAa)のいずれかに決定し、そのうえで各基板搬送路12上における基板2の位置決めを行うようにしているので、装着ヘッド14同士の干渉自体が起こりにくくなる。このため、装着ヘッド14同士の干渉を避けるための装着ヘッド14の移動停止時間を極力少なくすることができ、実装タクトの増大を防いで基板2の生産性を向上させることができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、前方側基板搬送路12Fと後方側基板搬送路12Rがそれぞれ基板2を下流側位置WAaと上流側位置WAbの2つの作業位置WAの一方に基板2を位置決めするようになっていたが、作業位置WAの候補としては2つでなければならないわけではなく、3つ以上であっても構わない。