抗体の設計(例えば最適な親和性および最小の免疫原性を有する新規なヒト抗体の設計)を向上させるために、参照ライブラリ、例えばユニバーサル抗体ライブラリ内に含まれる天然配列の多様性に関する情報を最適に利用することのできる合理的、効率的なプロセスに対する要望が存在する。
本発明は、新規な抗体および/またはそのフラグメントにおいて使用するための新規な候補CDR配列を同定するために、クエリー抗体の少なくとも一つのCDR配列を使用して参照抗体ライブラリ(例えばユニバーサル抗体ライブラリ)を検索するプロセスを提供することによって、上記の課題を解決する。
一つの実施態様において、本発明は、任意の選択されたCDR残基において参照ライブラリ(例えばユニバーサル抗体ライブラリ)に存在する既知の、優先的な、天然に存在する多様性のみを提示する少なくとも一つのCDR配列を含む配列ライブラリ(コホートライブラリ)を生成させる方法を特徴とする。参照ライブラリのCDRドメインに存在するアラインメントを行った残基ごとの配列多様性は独立してソートされ、このようなコホートCDRライブラリのメンバーとして新規なCDR配列が生成される。
本発明のアウトプット(コホート)CDRライブラリは、主として、参照(多様性)ライブラリから選択される残基ごとのヒト配列の多様性で構成されるが、本発明の方法はまた、アウトプットライブラリ配列において特定のCDR残基を「固定」し、その残基の位置において例えばアラインメントを行ったクエリー配列に存在する残基にマッチングさせることもできる。特定のアウトプット(コホートライブラリ)配列の残基をクエリー配列の残基として固定するには、「ギャップ導入アラインメント」ストラテジーを用いて本発明の方法の実施を伴う場合もある。このようなギャップ導入アラインメントストラテジーはまた、本発明の方法に十分な柔軟性を与え、クエリー配列および参照(多様性)ライブラリ配列のアラインメントにおいてならびに/またはアウトプット(コホートライブラリ)配列の生成の際に、一つまたはそれ以上のヌクレオチド長のヌクレオチド挿入および/または欠失(in/del)の存在を許容するために利用され得る。
本発明の方法はまた、アウトプット(コホート)CDRライブラリの全体的な多様性を合理的な様式で調整するために、クエリー配列とライブラリ配列の残基間の類似比較(similarity comparisons)の使用を可能にする。このような実施態様において、20個の天然に存在する哺乳動物のアミノ酸残基は、側鎖の特徴に基づき7つの別個のグループに割り当てられる。所定のCDRの位置のクエリー残基がヒト多様性ライブラリの同じ位置の残基と一致しない場合、このような類似比較の使用は、一つまたはそれ以上の類似残基が参照(多様性)ライブラリに存在する場合、このような一つまたはそれ以上の類似残基を、アウトプット(コホート)ライブラリのその残基の位置における構成要素として選択することを可能にする。アウトプット(コホート)CDRの残基の選択に類似基準を適用することにより、同一基準(ある位置におけるクエリー配列の残基と参照(多様性)ライブラリの残基が非同一であれば、得られるアウトプット(コホート)ライブラリの対応する位置において、参照(多様性)ライブラリのその位置に存在する全てのCDRの残基を使用することになるもの)を使用した場合と比較して、複雑度が低下したコホートライブラリが生成させ得る。このような類似基準はまた、任意に選択されるCDR残基の位置において許容的(permissive)または制限的(constrictive)様式で適用され得る。特定の実施態様において、類似基準の適用は、アウトプット(コホート)ライブラリ配列のその位置への導入について、対応するクエリー配列の残基と類似する一つのみのアミノ酸残基を参照(多様性)ライブラリから選択することがある。他の実施態様において、所定の位置においてクエリー配列の残基と類似する二以上の参照(多様性)ライブラリのアミノ酸残基が、本発明のアウトプット(コホート)ライブラリ配列において使用するために選択され得る。このような実施態様の最も許容的な場合、所定の(クエリー配列と参照ライブラリの間で)非同一な残基のところで参照(多様性)ライブラリに存在する全ての類似の残基が、アウトプット(コホート)配列ライブラリのその残基のところで提示される(「全類似」基準と称する)。本発明の方法は、任意に選択される残基の位置において、アウトプット(コホート)ライブラリ配列を生成させるために、上記の基準(固定残基/ギャップ導入アラインメント、in/del、任意の許容度の類似基準、および/または同一基準)を任意の組み合わせで使用することで実施され得る(従ってクエリー配列の一つの残基の位置に適用される基準は同じ配列内の隣の残基に適用される基準とは別個のものであってよい)。
本発明の選択されたコホートCDRライブラリおよび/またはコホートCDRライブラリから選択された配列は、相互に(および選択されたフレームワークドメインの配列と共に;例えば遺伝子のSOE(シングル・オーバラップ・エクステンション)を通じて)組み合わされ、残基ごとに試験することによって天然に存在するCDRのバリエーションを優先的に組み込んだ、従ってこのような新規抗体またはフラグメントが免疫原性である可能性を最小限に抑えた、少なくとも一つの抗体またはそのフラグメントを含む新規な抗体ライブラリが完全に作製され得る。
本発明の任意の選択されたCDRライブラリの複雑度は、ランダム型またはその他の形式の合成CDRライブラリと比較して最小限に抑えられているので、本発明の選択されたCDRライブラリ(例えば、独立したVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3等
のライブラリ)はまた相互に独立してソートされ、例えば、クエリーCDR配列が任意の参照ライブラリのある位置のCDRアミノ酸の残基と同一ではないアミノ酸残基における全てのCDRの配列を網羅する全てのヒトの多様性を提示するが、それでも現在の技術を用いて容易にスクリーニングできるサイズ(例えば約1012〜1015未満、より好ましくは10〜1012、またはその間もしくは範囲のライブラリの複雑性)である、新規な抗体ライブラリが作製され得る。本発明はまた、本発明のプロセスによって作製される組成物および本発明の特徴であるプロセスを実施するための機器を特徴とする。
従って本発明は、少なくとも一つの相補性決定領域(CDR)をコードするポリヌクレオチドのライブラリを作製する方法であって、天然に存在するCDRアミノ酸領域を含む参照抗体ライブラリに存在するCDRのアミノ酸配列のバリエーションを、CDRの各アミノ酸残基の位置で決定し;標的抗原に対する抗体由来のクエリーCDRペプチド配列と参照抗体ライブラリのCDR配列のアラインメントを行い;および合成されるライブラリのCDR配列の大部分において、CDR配列内の任意の一つの位置でコードされるアミノ酸残基が、候補抗原に対する抗体由来のクエリーCDRペプチド配列の対応するアラインメントを行った位置のアミノ酸残基と同一であるか;またはアラインメントを行った位置にクエリーCDRペプチド配列と同一のアミノ酸残基が参照ライブラリに存在しない場合は、既定のアミノ酸残基となるように、CDR配列をコードするポリヌクレオチドのライブラリを合成することを含み、それによって、一つまたはそれ以上の残基の位置において天然に存在するアミノ酸残基が豊富な、標的抗原に対する抗体由来のクエリーCDRペプチド配列のCDRアナログをコードするポリヌクレオチドのライブラリが提供される、方法を特徴とする。一つの実施態様において、アラインメントを行うクエリーCDRのアミノ酸長は4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25である。別の実施態様において、既定のアミノ酸残基が、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群より選択される小型の側鎖のアミノ酸残基;セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、およびヒスチジン(H)からなる群より選択される求核性側鎖のアミノ酸残基;バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびプロリン(P)からなる群より選択される疎水性側鎖のアミノ酸残基;フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、およびトリプトファン(W)からなる群より選択される芳香族側鎖のアミノ酸残基;アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)からなる群より選択される酸性側鎖のアミノ酸残基;アスパラギン(N)およびグルタミン(Q)からなる群より選択されるアミド側鎖のアミノ酸残基;またはリジン(K)およびアルギニン(R)からなる群より選択される塩基性側鎖のアミノ酸残基である。特定の実施態様において、アラインメントは、ギャップ導入アラインメント、完全アラインメント、不連続アラインメント、またはそれらの組み合わせからなる群より選択されるプロセスによって行なわれる。別の実施態様において、CDRは、EUインデックス、Kabat、Chothiaに従い、または接触点定義(contact−point definition)に基づき定義される
。さらなる実施態様は、上記方法により作製されるライブラリを特徴とする。
さらなる側面において、本発明は、少なくとも一つの相補性決定領域(CDR)を含む抗原結合領域のライブラリであって、ライブラリのCDR配列の大部分について、CDR配列内の任意の一つの位置のアミノ酸残基が、標的抗原に対する抗体由来のクエリーCDRペプチド配列の対応するアラインメントを行った位置のアミノ酸残基と同一であるか;またはアラインメントを行った位置にクエリーCDRペプチド配列と同一のアミノ酸残基が参照ライブラリに存在しない場合は、既定のアミノ酸残基となり、それによって、一つまたはそれ以上の残基の位置において天然に存在するアミノ酸残基が豊富な、候補抗原に対する抗体由来のクエリーCDRペプチド配列のCDRアナログのライブラリが提供される、ライブラリを特徴とする。一つの実施態様において、参照抗体ライブラリの標的抗原はタンパク質、ペプチド、低分子、脂質、多糖類、またはポリヌクレオチドである。別の実施態様において、クエリーCDRペプチド配列は合成CDR配列または脊椎動物CDR配列である。さらなる実施態様において、脊椎動物CDR配列はヒト、霊長類、マウス、ラット、ウサギ、またはニワトリ配列である。
特定の実施態様において、クエリーCDRペプチド配列は標的抗原に結合する。関連する実施態様において、標的抗原はタンパク質、ペプチド、低分子、多糖、またはポリヌクレオチドである。さらなる実施態様において、ライブラリ配列の10%より多く、50%より多く、80%より多くが既知の天然に存在するCDR配列を含む。一つの実施態様において、ライブラリは、任意の所定のCDRについて既知の天然に存在する多様性のみを含む。別の実施態様において、ライブラリは、ヒトCDRについての全ての既知のCDRの多様性を含む。さらなる実施態様において、ライブラリは、抗原クラスについての全ての既知のCDRの多様性を含む。特定の実施態様において、CDRアナログは、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。他の実施態様において、クエリーCDR配列は、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3からなる群より選択される。さらなる実施態様において、二以上のCDRのアラインメントを行い、一つの合成CDRライブラリ配列の多様性が、直線的に連結されたCDRの可変性に基づき規定、拡張、または限定される。
一つの実施態様において、CDR−H1は、図13または16〜27のいずれかに示されるコホートライブラリのアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、CDR−H2は、図13または16〜27のいずれかに示されるコホートライブラリのアミノ酸配列を含む。さらなる実施態様において、CDR−H3は、図13または16〜27のいずれかに示されるコホートライブラリのアミノ酸配列を含む。さらなる実施態様において、CDR−L1は、図13または16〜27のいずれかに示されるコホートライブラリのアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、CDR−L2は、図13または16〜27のいずれかに示されるコホートライブラリのアミノ酸配列を含む。さらなる実施態様において、CDR−L3は、図13または16〜27のいずれかに示されるコホートライブラリのアミノ酸配列を含む。
特定の実施態様において、軽鎖CDR−L1(ラムダ(L))は、図44に示されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、軽鎖CDR−L1(カッパ(K))は、図44に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる実施態様において、軽鎖CDR−L2は、図44に示されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、軽鎖CDR−L3は、図44に示されるアミノ酸配列を含む。
一つの実施態様において、CDRアナログは、図9〜31、34〜36、または44〜61のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、CDRアナログは、CDRアナログ内の一つまたはそれ以上の残基が縮重コドン、ウォークスルー型変異誘発、またはルックスルー型変異誘発を用いて示される多様性を含む。さらなる実施態様において、抗体結合領域はさらに、一つまたはそれ以上のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含む。さらなる実施態様において、抗原結合領域はさらに、ヒト、霊長類、マウス、ラット、ウサギ、またはニワトリ由来の天然に存在するフレームワーク領域を含む。特定の実施態様において、天然に存在するフレームワーク領域は、VH1、VH3、またはVH4である。関連する実施態様において、ヒトフレームワーク領域は、軽鎖フレームワーク領域、重鎖フレームワーク領域、交配クローニングにより得た(cross−cloned)フレームワーク領域、コンセンサスフレームワーク領域、またはそれらの組み合わせである。別の実施態様において、ヒトフレームワーク領域は、一つまたはそれ以上のヒトCDR領域との直線的接続におけるそれらの出現頻度に従い選択されている。別の実施態様において、CDR間のヒトフレームワーク領域はアイソタイプ一致させたものである。
一つの実施態様において、本発明のライブラリは発現ライブラリである。特定の実施態様において、発現ライブラリは、リボソームディスプレイライブラリ、ポリソームディスプレイライブラリ、ファージディスプレイライブラリ、ウイルスディスプレイライブラリ、細菌発現ライブラリ、酵母ディスプレイライブラリ、および哺乳動物ディスプレイライブラリからなる群より選択される。さらなる実施態様において、ライブラリは、一つまたはそれ以上のフレームワーク領域および一つまたはそれ以上のCDR領域をコードする既定のポリヌクレオチドを合成することによって作製され、これらの領域をコードするポリヌクレオチドはさらに十分に重複する配列を含み、それによりポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件下でこのポリヌクレオチド配列から完全な抗体結合領域をコードするポリヌクレオチドが構築され得る。本発明の別の実施態様は、本発明のライブラリのポリヌクレオチドによりコードされる抗体結合領域を特徴とする。さらなる実施態様は、抗体結合領域を作製するために本発明の発現ライブラリを発現させること、および所望の結合親和性を有する抗体結合領域を選択するために抗体結合領域をスクリーニングすることを含む、所望の結合親和性を有するポリペプチドの同定方法を特徴とする。一つの実施態様において、スクリーニングは、抗原結合領域を標的基質と接触させることを含み、抗体結合領域は、抗体結合領域をコードするポリヌクレオチドと関連している。別の実施態様において、この方法は、選択された抗体結合領域をコードするポリヌクレオチドを同定する工程をさらに包含する。さらなる実施態様において、ポリヌクレオチドは、リボソームディスプレイライブラリ、ポリソームディスプレイライブラリ、ファージディスプレイライブラリ、ウイルスディスプレイライブラリ、細菌発現ライブラリ、酵母ディスプレイライブラリ、および哺乳動物ディスプレイライブラリからなる群より選択される発現ディスプレイを用いて抗体結合領域と関連付けられる。さらなる実施態様は、上記方法に従い同定される抗体結合領域を特徴とする。
一つの実施態様において、本発明の特徴的な方法の一つまたはそれ以上の工程は、コンピューター支援により行われる。関連する実施態様は、本発明の方法の一つまたはそれ以上の工程を実行するための指令を含む、電子機器において使用するのに適した媒体を特徴とする。別の実施態様は、本発明の方法の一つまたはそれ以上の工程を実行するための機器を特徴とする。
最後の側面は、図または表のいずれかに示される配列を有する一つまたはそれ以上のフレームワーク領域;および図または表のいずれかに示される配列を有する一つまたはそれ以上のCDR領域、を含む抗体結合領域をコードし、a)のフレームワーク領域およびb)のCDR領域が組み合わされて既定の抗原に対する抗体結合領域が形成される、ポリヌクレオチドのライブラリを特徴とする。
図1は、本発明の特定の実施態様において特徴的なユニバーサル抗体ライブラリの構築をコンピュータ支援データベースバイオマイニングを用いて実行するための概略図を示す。
図2は、クエリーmAb CDRプローブをコホートライブラリのインシリコ同定に使用する本発明の選択プロセスを強調したものであり、コホートライブラリはその後に最適化コホートクローンを同定するためのインビトロスクリーニングアプローチに使用され得る。
図3は、コホートの調査のおいて使用するために照合ユニバーサル抗体ライブラリを構築するプロセスの概要を示す。
図4はCDR1およびCDR2の頻度表を生成させるプロセスの概要を提供する。
図5は、UALフレームワークおよびCDR配列の、VH(記載順に、それぞれ、配列番号1〜5)、Vκ(記載順に、それぞれ、配列番号68)、およびVλ(記載順に、それぞれ、配列番号9〜12)クラス間での分配分類の例を示す。
図6は、CDR1およびCDR2フレームワークの交配を可能にするUAL重鎖の構築の例を示す。
図7は、CDR1およびCDR2フレームワークの交配を可能にするUALカッパ軽鎖の構築の例を示す。VK−3_CDR1−7、VK−1_CDR2−10、およびVK−3_CDR2−10の配列は、それぞれ、配列番号167、276、および278として開示した。
図8は、CDR1およびCDR2フレームワークの交配を可能にするUALラムダ軽鎖の構築の例を示す。VL−1_CDR2−10、VL−2_CDR2−10、およびVL−3_CDR2−10の配列は、配列番号280として開示した。
図9は、12残基長のVH−4アイソタイプクラスのCDR2配列について同定された4つのカノニカル構造(図9AはCS1−A(配列番号636)およびCS1−1(配列番号637)を示し、図9BはCS1−2(配列番号638)およびCS1−3(配列番号639)を示す)についての位置ごとのアミノ酸残基の集団優先性のヒストグラムを示す。集団優先性の分布は可変性残基の位置において4つのサブクラスの間で変化することが観察される。
図10(マウスCDR1プローブVH CDR1「TNYGMN」(配列番号13)を用いるUALのブラスティング)は、VH−1 CDR1(配列番号14)およびVH−3 CDR1(配列番号15)参照ユニバーサル抗体ライブラリに存在するヒトCDR1配列における各CDR1アミノ酸位置に存在する配列多様性を同定するための、マウス抗体由来のCDR1ペプチド配列の使用例を示す。
図11(マウスCDR2プローブVH CDR2「WMGWINTYTGEPT」(配列番号16)を用いるUALのブラスティング)は、VH−1 CDR2(配列番号17)およびVH−3 CDR2(配列番号18)参照ユニバーサル抗体ライブラリに存在するヒトCDR2配列における各CDR2アミノ酸位置に存在する配列多様性を同定するための、マウス抗体由来のCDR2ペプチド配列の使用例を示す。
図12は、新規な抗体配列を生成させるために参照ライブラリの多様性の独立組み合わせにより生成されたコホートライブラリの多様性を計算した、数量化コホートライブラリの例を示す。
図13は、マウスAvastin A4.6.1抗体由来のクエリー配列を用いる重鎖(図13A−1〜13A−4)および軽鎖(カッパ、図13B−1〜13B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図13A−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号13および15として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号13および14として開示される。図13A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号16および17として開示される。図13A−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号16および18として開示される。図13A−4において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号19および20として開示される。図13B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号21および22として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号21および249として開示される。図13B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号23および24として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号23および25として開示される。図13B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号26および27として開示される。
図14(パネルA〜E)は、マウス抗HIV gp41モノクローナル抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖および軽鎖についてのコホートライブラリCDR配列の選択を示す。下線は触媒性の三つ組残基である。図14Aにおいて、配列は、それぞれ、記載順に、配列番号28〜31として開示される。図14Bにおいて、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号32および33として開示される。図14Cにおいて、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号32および34として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号35および36として開示される。図14Dにおいて、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号30および37として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号30および38として開示される。図14Eにおいて、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号31および39として開示される。
図15(パネルA〜D)は、ヒトHK14抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖および軽鎖についてのコホートライブラリCDR配列の選択を示す。図15Aにおいて、配列は、それぞれ、記載順に、配列番号40〜43として開示される。図15Bにおいて、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号41および44として開示される。図15Cにおいて、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号42および45として開示される。図15Dにおいて、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号43および46として開示される。
図16は、ヒトAAV293 MCP−1抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図16A−1〜16A−4)および軽鎖(カッパ、図16B−1〜16B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図16A−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号47および48として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号49および50として開示される。図16A−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号51および52として開示される。図16A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号51および53として開示される。図16A−4において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号54および55として開示される。図16B−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号56および57として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号56および58として開示される。図16B−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号59および60として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号59および60として開示される。図16B−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号59および582として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号61および62として開示される。
図17は、マウスACZ885抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図17A−1〜17A−4)および軽鎖(カッパ、図17B−1〜17B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図17A−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号63および64として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号63および65として開示される。図17A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号66および67として開示される。図17A−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号66および68として開示される。図17A−4において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号69および70として開示される。図17B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号71および72として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号71および73として開示される。図17B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号74および75として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号74および76として開示される。図17B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号77および78として開示される。
図18は、ヒトgp120 ITH52抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図18A−1〜18A−4)および軽鎖(カッパ、図18B−1〜18B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図18A−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号79および80として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号79および81として開示される。図18A−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号82および83として開示される。図18A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号82および84として開示される。図18A−4において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号85および86として開示される。図18B−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、両方の表において、それぞれ、配列番号87および88として開示される。図18B−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号89および90として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号89および91として開示される。図18B−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号92および93として開示される。
図19は、ヒトscFv gp120 ITH52抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図19A−1〜19A−4)および軽鎖(カッパ、図19B−1〜19B−2)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図19A−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号94および95として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号94および96として開示される。図19A−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号97および98として開示される。図19A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号97および99として開示される。図19A−4において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号100および101として開示される。図19B−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号102および103として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号104および105として開示される。図19B−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号104および106として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号107および108として開示される。
図20は、ヒト4D5 Herceptin抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図20A−1〜20A−4)および軽鎖(カッパ、図20B−1〜20B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図20A−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号109および110として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号109および111として開示される。図20A−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号112および113として開示される。図20A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号112および114として開示される。図20A−4において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号115および116として開示される。図20B−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号117および118として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号117および119として開示される。図20B−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号120および121として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号120および122として開示される。図20B−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号123および124として開示される。
図21は、ヒトHD37 CD19抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図21A−1〜21A−4)および軽鎖(カッパ、図21B−1〜21B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図21A−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号125および126として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号125および127として開示される。図21A−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号128および129として開示される。図21A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号128および130として開示される。図21A−4において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号131および132として開示される。図21B−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号133および134として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号133および135として開示される。図21B−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号136および137として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号136および138として開示される。図21B−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号139および140として開示される。
図22は、ヒトCD8 g10−1抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図22A−1〜22A−3)および軽鎖(カッパ、図22B−1〜22B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図22A−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号141および142として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号141および143として開示される。図22A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号144および145として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号144および146として開示される。図22A−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号147および148として開示される。図22B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号149および150として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号149および151として開示される。図22B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号152および153として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号152および154として開示される。図22B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号155および156として開示される。
図23は、マウス5G1.1 C5抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図23A−1〜23A−3)および軽鎖(カッパ、図23B−1〜23B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図23A−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号157および158として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号157および159として開示される。図23A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号160および161として、ならびに二番目の表においては、配列番号160および162として開示される。図23A−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号163および164として開示される。図23B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号165および166として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号165および167として開示される。図23B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号168および169として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号168および170として開示される。図23B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号171および172として開示される。
図24は、マウスReopro 7E3抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図24A−1〜24A−4)および軽鎖(カッパ、図24B−1〜24B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図24A−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号173および174として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号173および175として開示される。図24A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号176および177として開示される。図24A−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号176および178として開示される。図24A−4において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号179および180として開示される。図24B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号181および182として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号181および183として開示される。図24B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号184および185として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号184および186として開示される。図24B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号187および188として開示される。
図25は、マウスRaptiva MHM24抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図25A−1〜25A−3)および軽鎖(カッパ、図25B−1〜25B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図25A−1において、マウスプローブ配列は、最初の表においては、配列番号189として、ならびにマウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、二番目の表においては、それぞれ、配列番号189および191として開示される。図25A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号192および193として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号192および194として開示される。図25A−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号195および196として開示される。図25B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号197および198として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号197および198として開示される。図25B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号200および201として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号200および202として開示される。
図25B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号203および204として開示される。
図26は、マウスOVA抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図26A−1〜26A−3)および軽鎖(カッパ、図26B−1〜26B−2)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図26A−1において、マウスプローブ配列は、最初の表においては、配列番号205として、ならびにヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、二番目の表においては、それぞれ、配列番号207および208として開示される。図26A−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号209および210として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号209および211として開示される。図26A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号212および213として開示される。図26B−1において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号214および215として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号216および217として開示される。図26B−2において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号216および218として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号219および220として開示される。
図27は、マウスTNF−αモノクローナル抗体由来のクエリー配列を用いる、重鎖(図27A−1〜27A−3)および軽鎖(カッパ、図27B−1〜27B−3)についてのコホートライブラリCDRの選択表を示す。図27A−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号221および222として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号221および223として開示される。図27A−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号224および225として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号224および226として開示される。図27A−3において、ヒトプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号227および228として開示される。図27B−1において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号229および230として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号229および231として開示される。図27B−2において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号232および233として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号232および234として開示される。図27B−3において、マウスプローブおよびライブラリエンコード配列は、それぞれ、配列番号235および236として開示される。
図28は、本発明の例示の実施態様において使用される、側鎖化学に基づき類似するものと分類されたアミノ酸のグループ化を示す。
図29は、本発明の方法を用いて、VH4 CDR1参照ライブラリとの比較のために、類似基準または同一基準の下で4H6抗DR4 CDR1クエリー配列について獲得したコホート配列の比較を示す。最初の表は、記載順に、それぞれ、配列番号237〜239を開示する。第二の表は、記載順に、それぞれ、配列番号240〜242を開示する。第三の表は、記載順に、それぞれ、配列番号243〜245を開示する。
図30(パネルA〜G)は、マウスモノクローナル抗VEGF A4.6.1抗体をプローブ抗体として用いて、類似基準および同一基準の下で獲得されたコホートライブラリ配列を示す。パネルA:マウスプローブVH CDR1 「TNYGMN」(配列番号13)。類似配列および同一配列は、最初の表においては配列番号14として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号246および15として開示される。パネルB:マウスプローブVH CDR2 「WMGWINTYTGEPT」(配列番号16)。類似配列および同一配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号247および17として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号248および18として開
示される。パネルC:マウスプローブVH CDR3 「AKYPHYYGSSHWYFD」(配列番号19)。類似配列および同一配列は、配列番号20として開示される。パネルD:マウスプローブVL CDR1 「SNYLNWY」(配列番号21)。類似配列および同一配列は、最初の表においては、配列番号22として、二番目の表においては、配列番号249として、ならびに三番目の表においては、それぞれ、配列番号250および251として開示される。パネルE:マウスプローブVL CDR2 「VLIYFTSSLH」(配列番号23)。類似配列および同一配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号252および24として、二番目の表においては、それぞれ、配列番号253および25として、ならびに三番目の表においては、それぞれ、配列番号254および255として開示される。パネルF:マウスプローブVL CDR3 「QQYSTVPW」(配列番号26)。類似配列および同一配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号256および27として、ならびに類似配列は、二番目の表においては、配列番号257として開示される。パネルG:コンビナトリアルコホートの多様性および類似性減少倍率値
図31(パネルA〜F)は、類似基準および同一基準に加えて「全類似」基準を使用した場合の抗VEGF A4.6.1抗体について獲得されたコホートライブラリ配列を示す。パネルA:マウスプローブVH CDR1 「TNYGMN」(配列番号13)。類似配列、同一配列、および全類似配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号14、14、および259として、ならびに二番目の表においては、それぞれ、配列番号246、15、および261として開示される。パネルB:マウスプローブVH CDR2 「WMGWINTYTGEPT」(配列番号16)。類似配列、同一配列、全類似配列、およびデータベース配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号247、17、263、および264として開示される。類似配列、同一配列、および全類似配列は、二番目の表においては、それぞれ、配列番号248、18、および265として開示される。パネルC:マウスプローブVH CDR3 「AKYPHYYGSSHWYFD」(配列番号19)。類似配列および同一配列は、配列番号20として開示される。パネルD:マウスプローブVL CDR1 「SNYLNWY」(配列番号21)。類似配列、同一配列、および全類似配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号22、22、および269として開示される。類似配列、同一配列、全類似配列、およびデータベース配列は、二番目の表においては、それぞれ、配列番号249、249、271、および272として開示される。類似配列および同一配列は、三番目の表においては、それぞれ、配列番号250および251として開示される。パネルE:マウスプローブVL CDR2 「VLIYFTSSLH」(配列番号23)。類似配列、同一配列、全類似配列、およびデータベース配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号252、24、275、および276として、二番目の表においては、それぞれ、配列番号253、25、277、および278として、ならびに三番目の表においては、それぞれ、配列番号254、255、279、および280として開示される。パネルF:マウスプローブVL CDR3
「QQYSTVPW」(配列番号26)。類似配列、同一配列、および全類似配列は、最初の表においては、それぞれ、配列番号256、27、および281として開示される。類似配列および全類似配列は、二番目の表においては、それぞれ、配列番号257および283として開示した。
図32は、本発明の例証の実施態様を実施するのに適した電子機器500の一例の実施態様を示す。
図33は、本発明に従い形成された様々な典型的scFvキメラ分子の概略図を示す。キメラscFv構築物は、細菌ペリプラズムへの輸送および保持のためのN末端リーダー配列を含み得る。代替のscFv C末端キメラ構築物は、scFvタンパク質を保持するGene IIIアンカーシグナルを利用するものである。
図34は、重複・非縮重オリゴヌクレオチドの組み合わせを用いる野生型抗VEGF A4.6.1重鎖ライブラリの構築を示し、これはシングルオーバーラップエクステンションポリメラーゼ連鎖反応(SOE−PCR)を用いて二本鎖核酸に変換され得る。図は配列番号285を開示する。
図35は、重複・非縮重オリゴヌクレオチドの組み合わせを用いる野生型抗VEGF A4.6.1軽鎖ライブラリの構築を示し、これはシングルオーバーラップエクステンションポリメラーゼ連鎖反応(SOE−PCR)を用いて二本鎖核酸に変換され得る。図は配列番号286を開示する。
図36は、コンビナトリアル有用変異(CBM)を示すscFvクローンのアレイを示す。試験参照scFvヒト抗体内に導入されたVLおよびVH CDR領域に複数の変異があり、これは優れた標的抗原に対するKoff結合値に関連する。これらのCBMの構築における位置的置換は、高いKoffおよびKon結合特性を有する個別のルックスルー型変異誘発(LTM)クローンとして予め同定された。L1配列は、記載順に、それぞれ、配列番号287〜298として開示される。L2配列は、記載順に、それぞれ、配列番号299〜310として開示される。L3配列は、記載順に、それぞれ、配列番号311〜322として開示される。H1配列は、記載順に、それぞれ、配列番号323〜334として開示される。H2配列は、記載順に、それぞれ、配列番号335〜346として開示される。H3配列は、記載順に、それぞれ、配列番号347〜358として開示される。
図37は、図36からの6つの高親和性CBMクローンについての結合KoffキネティクスのBiacoreによる測定を、その親の野生型クローンのキネティクスと対比させて示す。
図38は、試験候補scFvに対するビオチン化標的抗原およびストレプトアビジンFITCの結合を示すFACSプロットである。左パネルのFACSプロットは、LTMライブラリ全体の結合親和性の分布に比べて、標的抗原に対してより高い結合親和性を有するscFv融合物を発現するクローンのみを同定するための選択ゲート(台形P2)を示す。右のFACSパネルは、ソーティング後のFACS分析を示し、これによりP2未スクリーニングscFvクローンの>25%が既定の高標的抗原親和性の基準内であることが確認された。
図39は、A4.6.1コホートライブラリから回収された3D5抗VEGF scFvクローンについてのBiacore結合キネティクスを示す(左パネル)。3D5抗VEGF scFvクローンがVEGFに結合することは、より多くのVEGF抗原の追加に伴って反応単位(RU)が上昇したことにより実証された。対照的に、非特異的BSAを3D5抗VEGF scFvに添加した場合は、RUの上昇は見られなかった。
図40は、実施例2において詳述される、重鎖配列のサブグループプールの選択プロセス、サブグループ配列のサブクラス分類、およびカノニカル構造に基づくサブクラス集団のさらなる分類を示す。
図41は、実施例2において詳述される、CDR可変性プロフィールの選択を示すフローチャートを示す。
図42は、共通のCDR3ドメインに接続させる、VH1およびVH3 CDR1およびCDR2の設計の交配を示す。
図43は、共通のCDR3ドメインに接続させる、VK1およびVK3 CDR1およびCDR2の設計の交配を示す。VK−1_CDR2−10、VK−3_CDR1−7、およびVK−3_CDR2−10の配列は、それぞれ、配列番号276、167、および278として開示した。
図44は、様々な長さの重鎖および軽鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3ライブラリについての多様性の表を示す。VL1−CDR2、VL2−CDR2、およびVL3−CDR2の配列は、それぞれ、配列番号640、641、および280として開示した。
図45は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、VH−1(パネルA)、VH−3(パネルB)、およびVH−4(パネルC)の重鎖由来の長さ6のCDR1の可変性プロフィールの一覧を示す。列挙したCDRの境界は、配列アラインメントの前に、接触点CDR定義に従い線引きした。縦(Y)軸は、インビボで発現された抗体のCDR位置における特定のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたCDR1可変性プロフィール(図44)は、宿主種の優先性を模倣するよう各CDR位置で置換できる潜在的多様性を示した。
図46は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、VH−1(パネルA)、VH−3(パネルB)重鎖由来の長さ13のCDR2、およびVH−4(パネルC)の重鎖由来の長さ12のCDR2の可変性プロフィールの一覧を示す。列挙したCDRの境界は、配列アラインメントの前に、接触点CDR定義に従い線引きした。縦(Y)軸は、インビボで発現された抗体のCDR位置における特定のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたCDR1可変性プロフィール(図44)は、宿主種の優先性を模倣するよう各CDR位置で置換できる潜在的多様性を示した。
図47は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ10のVH CDR3(パネルA)および長さ11のVH CDR3(パネルB)の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVHファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、VH CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVH CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVH CDR3可変性プロフィール(図44)は、長さ10および11の各々のVH CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図48は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ12のVH CDR3(パネルA)および長さ13のVH CDR3(パネルB)の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVHファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、VH CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVH CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVH CDR3可変性プロフィール(図44)は、長さ12および13の各々のVH CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図49は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ14のVH CDR3(パネルA)および長さ15のVH CDR3(パネルB)の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVHファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、VH CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVH CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVH CDR3可変性プロフィール(図44)は、長さ14および15の各々のVH CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図50は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ16のVH CDR3(パネルA)および長さ17のVH CDR3(パネルB)の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVHファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、VH CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVH CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVH CDR3可変性プロフィール(図44)は、長さ16および17の各々のVH CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図51は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ18のVH CDR3(パネルA)および長さ19のVH CDR3(パネルB)の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVHファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、VH CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVH CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVH CDR3可変性プロフィール(図44)は、長さ18および19の各々のVH CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図52は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ20のVH CDR3の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVHファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、VH CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVH CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVH CDR3可変性プロフィール(図44)は、長さ20の各々のVH CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図53は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ7のVκ−1(上パネル)およびVκ−3(下パネル)CDR1の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVκファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、Vκ CDR1配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVκ CDR1位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVκ CDR1可変性プロフィール(図44、各グラフ下の表)は、長さ7の各々のVκ CDR1の位置において置換できる潜在的多様性を示した。VK−3_CDR1−7の配列は配列番号167として開示した。
図54は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ10のVκ−1(配列番号276)(パネルA)およびVκ−3(配列番号278)(パネルB)CDR2の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVκファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、Vκ CDR2配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVκ CDR2位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVκ CDR2可変性プロフィール(図44、各グラフ下の表)は、長さ10の各々のVκ CDR1の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図55は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ9のVκ(パネルA)およびVλ(パネルB)CDR3の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVκおよびVλサブファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVL CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVκおよびVλ CDR3可変性プロフィール(図44、各グラフ下の表)は、長さ9の各々のVL CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図56は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ8のVL(カッパおよびラムダの両方)CDR3(パネルA)および長さ10のVL CDR3(パネルB)の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVκおよびVλファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVL CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVL CDR3可変性プロフィール(図44、各グラフ下の表)は、長さ8および10の各々のVL CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図57は、Kabatデータベースに蓄積された免疫学的配列から決定された、長さ11のVL(カッパおよびラムダの両方)CDR3の可変性プロフィールの一覧を示す。それらのオリジナルのVκおよびVλファミリーに関わらず、アミノ酸プロフィールの一覧のために、CDR3配列のアラインメントを接触点CDR定義に従い行った。縦(Y)軸は、特定のVL CDR3位置のアミノ酸の出現頻度を示す。生成されたVL CDR3可変性プロフィール(図44、各グラフ下の表)は、長さ11の各々のVL CDR3の位置において置換できる潜在的多様性を示した。
図58は、単一の直鎖配列に三つの別個のCDR変異を生成させるために複数のオリゴヌクレオチドを用いて適用されたクンケル型変異誘発法を解説するものである。所望のVLおよびVH CDR変異が全て導入されるまでこれらを繰り返した。
図59は、単一のオリゴヌクレオチドアニーリング反応を用いて変異をコードするCDRを生成させるために本発明において適用されたクンケル型変異誘発法を解説するものである。示されるプロセスにおいて、第一修飾型WTM−CDRH3テンプレートを再単離し第二の異なるCDRH1オリゴヌクレオチドと再アニールさせて同じ直鎖配列に二つの別個のWTM−CDR変異を生成させた。これらを所望のCDR変異の全てが導入されるまで繰り返した。
図60は、長さ6、カノニカル構造1のVH−1 CDR1ユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)についての位置ごとのアミノ酸残基の頻度のヒストグラムを示す。
図61は、長さ13、カノニカル構造2(パネルA)および3(パネルB)のVH−1
CDR2ユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)についての位置ごとのアミノ酸残基の頻度のヒストグラムを示す。
図62A〜Jは、本発明の構築物のオリゴヌクレオチド配列を示す(記載順に、それぞれ、配列番号359〜562)。
図63は、タンパク質(左下パネル)および非タンパク質(右上パネル)抗原についてのVH CDR3の長さ分析のヒストグラムを示す。
明細書および特許請求の範囲を明確に理解してもらうために、以下の定義を提供する。定義
本明細書中で使用する場合、用語「ユニバーサル抗体ライブラリ」は、その内容全体が参照により本明細書で援用される、米国特許出願60/585,931に記載される抗体ライブラリを意味する。ユニバーサル抗体ライブラリは、参照ライブラリであり得る。参照ライブラリは、天然に存在するCDRの多様性、例えばヒトCDRの多様性、特に既定の抗原クラスに反応して発現された抗体において見出されるCDRの多様性を提示するインシリコ情報であり得る。
用語「コホートライブラリ(cohort library)」は、本発明の方法に従い構築でき、所定のクエリーCDR配列またはプローブCDR配列を表示および/または含み、かつ好ましくはクエリー/プローブCDR配列とアラインメントを行った場合にアミノ酸位置の大部分でヒトアミノ酸残基が豊富な、CDRの多様性を提示するサブセットライブラリ、サブライブラリ、またはアナログライブラリを意味する。
用語「候補抗原」は、既知の、および典型的にはその抗原に対して結合できる抗体、例えばマウス抗体が入手可能である、十分明確な標的または標的抗原を意味する。このような抗体は、クエリーCDR配列の供給源として利用できる。標的抗原は、例えば特定の抗原クラス、例えばタンパク質抗原クラス、ペプチド抗原クラス、低分子抗原クラス、多糖抗原クラス、脂質抗原クラス、またはポリヌクレオチド抗原クラスに属するものであり得る。抗原クラス、例えばタンパク質またはポリペプチド抗原クラスはさらに、可溶性抗原、細胞表面抗原、細胞外抗原、細胞内抗原等を含むクラスとして定義され得る。
用語「クエリーCDR配列」または「プローブCDR配列」は、典型的には、既知の結合特異性を有する抗体由来のCDR配列を意味するが、これらには、ヒトのまたはほぼヒトアナログのCDR配列が望ましい。
用語「抗体結合領域」は、抗原に結合できる免疫グロブリンまたは抗体可変領域の一つまたはそれ以上の部分を意味する。典型的には、抗体結合領域は、例えば、抗体軽鎖(VL)(もしくはその可変領域)、抗体重鎖(VH)(もしくはその可変領域)、重鎖Fd領域、組み合わせの抗体軽鎖および重鎖(もしくはそれらの可変領域)、例えばFab、F(ab')2、単一ドメイン、もしくは単鎖抗体(scFv)、または全長抗体、例えばIgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgE、もしくはIgM抗体である。当然ながら標的抗原に対する抗体由来のクエリーCDR配列は、天然または合成のいずれかの全長抗体または一つのCDRを含む抗原結合性フラグメント、例えばFab、scFv、重鎖、軽鎖、Fd、DAb等から誘導することができる。
用語「フレームワーク領域」は、当該分野で理解されている、多様性のより高いCDR領域間に存在する抗体可変領域の部分を意味する。このようなフレームワーク領域は、典型的には、フレームワーク1〜4(FR1、FR2、FR3、およびFR4)と称され、重鎖または軽鎖の抗体可変領域において見出される三つのCDRが抗原結合表面を形成できるよう三次元空間でそれらを保持するためのスカフォールドを提供する。必要に応じて、本明細書に記載されるようにして決定または獲得された一つまたはそれ以上のCDR配列を支持するのに使用されるフレームワーク領域は、当然ながら例えば天然に存在するものもしくは合成のものまたはその組み合わせであり得、例えばフレームワーク配列は、一部が天然に存在するまたは天然由来であるが全体もしくは一部が、例えば、コンセンサスCDRもしくはカノニカルCDRを可能にし、もしくは収容するためのコンセンサス配列を形成するよう手を加えられたものであるか、または交配クローニング、すなわち天然に存在するものであるが事後的に直鎖上で並置されたものであり得る。
用語「閾出現頻度(threshold frequency of occurrence)」は、参照ユニバーサル抗体ライブラリ内で使用するために選択される配列が、例えば特定の抗原クラスに反応する場合免疫細胞により有利に発現される配列であることが決定されている配列由来であることを要求する、本発明の一定の実施態様の基準を意味する。典型的には、このような閾出現頻度を満たすことが決定された発現された(再構成された)配列は、約10%またはそれ以上のパーセント出現率で発現される配列である。
用語「閾生殖細胞系起源頻度(threshold frequency of germline origin)」は、参照ユニバーサル抗体ライブラリ内で使用のために選択される配列(すなわち発現または再構成された配列)が、例えば特定の抗原クラスに反応する場合免疫細胞により有利に発現される生殖細胞系配列であることが決定されている配列由来であることを要求する、本発明の一定の実施態様の基準を意味する。典型的には、この閾生殖細胞系起源頻度を満たすことが決定された配列は、約10%またはそれ以上のパーセント出現率で生殖細胞系配列に由来するかまたはそこから発生した配列である。
用語「既定の抗原クラス」または「抗原のクラス」または「抗原クラス」は、それらの基本となる組成に関して構造的/化学的に類似する複数の抗原を意味する。典型的な抗原クラスはタンパク質(ポリペプチド)類、ペプチド類、多糖類、ポリヌクレオチド類、および低分子類である。
用語「カノニカル構造」は、例えばKabatデータベースにおいて列挙されるような抗体の直鎖配列に関する考え方を含む。Kabatの番号付けスキームは、抗体可変のアミノ酸残基を一貫した様式で番号付けするスタンダードとして広く受け入れられている。さらなる構造上の考慮、例えばChothiaらに記載されるような、Kabatの番号付けによっては十分に反映されない、例えば結晶化および三次元モデリングによって明らかになる相違点もまた、抗体のカノニカル構造を決定するのに使用され得る。従って、所定の抗体配列を、とりわけ適切なアクセプター配列の同定を可能にするカノニカルなクラスに分類することができる。抗体のアミノ酸配列のKabatの番号付けおよび構造的な考慮、例えばChothiaらにより記載されるような、ならびに所定の抗体のカノニカルな側面の構築に関する示唆は、文献に記載されている(例えば、以下の材料および方法も参照のこと)。
用語「規定のCDR領域」は、結合分子の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域の結合特性を形成する三つの相補性決定領域(CDR)を意味する。規定のCDR領域は、抗体分子の機能的活性に寄与し、スカフォールドまたはフレームワークにすぎない領域のアミノ酸配列により分断され得る。CDR領域は、典型的には、EUインデックス、Kabat(例えばKabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”U.S.Department of Health and Human Services,1983を参照のこと)、Chothia(例えばChothia et al.,J.Mol.Biol.196:901−917,1987)、または接触点の定義(例えばMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732−745(1996)を参照のこと)に従い定義されるが、当然ながらフレームワーク領域および抗原接触可変領域を同定および区分できるあらゆるその他の系もまた使用することができる。さらに、規定のCDR領域内のアミノ酸残基/位置は、EUインデックスの番号付け、Kabatの番号付け、Chothiaの番号付け、接触点の定義、および直鎖上のアミノ酸残基の位置による番号付けからなる群より選択される慣例に従い番号付けを行うことができる。
用語「ライブラリ」は、本発明の方法に従い変異誘発された、本明細書中に記載されるような多様性を有する一つまたはそれ以上のCDRまたは抗体分子(またはその抗体フラグメント)を意味する。ライブラリの抗体は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド、無細胞抽出物中のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの形態、またはファージ、原核細胞、もしくは真核細胞中のポリヌクレオチドおよび/もしくはポリペプチドとして存在し得る。本発明のライブラリ、例えばCDRアナログのライブラリはまた、仮想ライブラリ、すなわち実際のライブラリを設計もしくは合成するのに使用できる、またはインシリコもしくはそれ以外のいずれかでクエリーもしくはモデル化できる、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸残基の配列情報のライブラリの形態であり得る。
用語「ポリヌクレオチド」は、核酸、例えばDNA分子およびRNA分子ならびにそれらのアナログ(例えば、ヌクレオチドアナログを用いてまたは核酸化学を用いて生成されるDNAまたはRNA)を意味する。必要に応じて、ポリヌクレオチドは、合成により、例えば当該分野で認識されている核酸化学を用いて、または酵素的に、例えばポリメラーゼを用いて合成され、かつ必要に応じて修飾され得る。典型的な修飾には、メチル化、ビオチン化、およびその他の当該分野で公知の修飾が含まれる。さらに、核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得、必要に応じて検出可能な部分に連結され得る。
用語「変異誘発」は、そうでないことが示されない限り、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列を変化させるための、当該分野で認識されているあらゆる技術を意味する。好ましい変異誘発のタイプには、ウォークスルー型変異誘発(walk−through mutagenesis)(WTM)、ウォークスルー型有用変異誘発、ルックスルー型変異誘発(look−through mutagenesis)(LTM)、改良型ルックスルー型変異誘発(LTM2)、またはそれらの組み合わせが含まれる。
用語「コンビナトリアル有用変異誘発(combinatorial beneficial mutagenesis)」は、既定のLTMアミノ酸の変異誘発のスクリーニングから測定可能な特性が変化していることが初めに同定されているVLおよび/またはVH CDRのアミノ酸配列のバリエーションの縮重混合物をコードするコード配列のコンビネーションライブラリを意味する。コンビナトリアル有用変異アプローチにおいて、LTMにより同定されたこれらの有益な変異の組み合わせに相当するオリゴヌクレオチドコード配列が作製される。これらの組み合わせは、単一のCDR内の異なる有益な変異、単一の抗体鎖内の二つもしくはそれ以上のCDR内の変異、または異なる抗体鎖のCDR内の変異の組み合わせであり得る。
用語「ギャップ導入アラインメント」は、少なくとも二つのヌクレオチドまたはペプチド配列のアラインメントであって、アラインメントのアルゴリズムにより比較対象の配列のいずれかにおける配列の挿入または欠失の存在を予測される場合に、一つまたはそれ以上の配列がその配列内に、例えばその配列の最適なアラインメントが得られる場所にギャップを導入することによってその配列のアラインメントが最適化されるものを意味する。ヒト集団においては、挿入/欠失(「in/del」)多型は一塩基多型(「SNP」)と比較して稀なので(しかしこのような特徴(「in/del」)は一定のヒト配列において実在する)、ギャップ導入は、最も一般的には種をまたぐ配列比較(例えばマウス−ヒト)において使用される。本発明の特定の実施態様において、「ギャップ導入BLAST」アラインメントが行われる。用語「ギャップ導入BLAST」アラインメントは、本明細書中で使用する場合、クエリーポリペプチド(またはポリヌクレオチド)の一つまたはそれ以上の残基が一つまたはそれ以上のスペーサー残基で示される場合があり(一般的には、そのようなアラインメントの配列中のダッシュ記号「−」で表される)、このようなスペーサー残基はアラインメント時に周囲の残基に対する間隔調整(spacing)を提供する以外に得られるBLASTアラインメントに対して影響を及ぼさない、ギャップ導入アラインメント形式を意味する。本発明の目的上、このようなギャップ導入BLASTアラインメントはしばしば、クエリー配列のギャップ導入部分の残基がアウトプット(コホートライブラリ)配列においてクエリー配列内の対応する位置に存在する同じ残基で固定される場合に行われる。ギャップ導入アラインメントを生成するのに一般的に使用されるデータベース検索/配列アラインメントツールには、例えば、FASTA(Wilbur and Lipman,Proc.Natl Acad.Sci.USA,80:726−730;Lipman and Pearson,Science,227:1435−1441;Pearson and Lipman,Proc.Natl Acad.Sci.USA,85:2444−2448;Pearson,Methods Enzymol.,183:63−98)およびBLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403−41;Altschul et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)が含まれる。
用語「不連続アラインメント」は、本明細書中で使用する場合、直鎖のクエリー配列の少なくとも一つの残基が「固定」される(固定された残基は参照配列の残基と比較される必要がないことを意味する)、少なくとも二つのペプチド配列のアラインメントを意味する。用語「部分アラインメント」は、直鎖のクエリー配列の少なくとも一つのN末端またはC末端残基が固定され、従って参照配列の残基と比較される必要がなくなる、関連するアラインメント形式を意味する。当業者に認識されることであるが、上記のアラインメント形式はまた、コドンで構成されるヌクレオチド配列に対しても類似の効果を発揮し得、ペプチド配列の直接的なアラインメントの代わりに行われる場合もある。
用語「類似アミノ酸」は、最初のアミノ酸と同じ側鎖化学のクラスのアミノ酸を意味する。本発明の例示的な実施態様において、天然アミノ酸は、その側鎖化学に基づき、以下のクラスに分類される。
小型の側鎖:グリシン(G)、アラニン(A)
求核性:セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、ヒスチジン(H)
疎水性:バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、プロリン(P)
芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)
アミド:アスパラギン(N)、グルタミン(Q)
塩基性:リジン(K)、アルギニン(R)
従って、グリシンおよびアラニンは相互に類似アミノ酸であり、セリン、スレオニン、システイン、およびヒスチジン;バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびプロリン;フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにリジンおよびアルギニンについても同様である。当業者は、天然アミノ酸および/または合成アミノ酸についての類似性の代替的な分類(例えば、電荷、疎水性、活性基、立体構造基準等による分類)もまた可能であり、これも本発明の範囲内に含まれることを当然認識するであろう。しかし、本発明の目的上、アミノ酸を類似のグループに分配するには、各グループが少なくとも一つのアミノ酸を含む、少なくとも二つのグループの指定が必要である。
総論
抗体は、強力な診断・治療ツールである。標的に対して容易にスクリーニングできる候補結合分子を含む抗体ライブラリが望ましい。本発明は、少なくとも部分的には、包括的なユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)を構築するという近年報告されたアプローチの見込みを利用しようとするものである。本発明の方法は、任意の選択されたアミノ酸残基の位置に天然に存在するヒトの多様性を優先的にまたは排他的に含む(従って、このような配列は、非免疫原性であり、なおかつ公知のCDRおよび/または抗体配列のみの集団よりも有意に多様性が高い)多様なCDRおよび/または抗体のコホートライブラリの合理的な作製を可能にする。従って、本発明の方法および組成物の特徴であるコホートライブラリは、例えば同範囲の配列に対するランダム変異誘発アプローチを通じて作製された合成ライブラリと比較して相対的に小さなサイズのライブラリの中で広範囲に及ぶヒト配列の多様性を(例えばCDR配列の残基ごとの多様性の独立した組み合わせを通じて)提示するという利点を有する。大部分の合成ライブラリ(例えば、ランダム変異誘発を通じて作製されたライブラリ)には、天然に存在しないノイズおよび過剰な多様性という問題がある。完全ヒトライブラリは、一定の抗原クラスに偏っており、捕捉技術が実現できる程度の多様性しか有さない。
本発明は、少なくとも部分的には、参照抗体ライブラリ、例えばユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)をクエリー抗体のCDR配列で「BLASTする(BLASTed)」(例えば、アラインメント、場合によりギャップ導入アラインメントを行う)ことによりヒトコホート抗体ライブラリを同定する方法を提供する。このようなストラテジーの応用には以下のようなものが含まれる:
(1)既存の非ヒト(例えばマウス)モノクローナル抗体を用いるヒト偏向型モノクローナル抗体コホートライブラリの同定。
(2)既存のモノクローナル抗体またはモノクローナル抗体ファミリーに基づくヒト偏向型コホート抗体ライブラリの合理的な生成(再生)。
その場合、このようなCDRの「BLASTした」コホート抗体ライブラリは:
(1)非ヒト抗体を基礎とするヒト様抗体を作製するため、
(2)改善された性質(例えば、免疫原性、親和性、特異性、発現、安定性等)の特異的選択のために既存のヒト抗体または抗体群からヒトの多様性を再生するため、
(3)参照抗体ライブラリの生産的なサブライブラリを予見的に同定するため(例えば、UALサブライブラリ;UALは多くのサブライブラリの複合体であるため、多くの抗原についてのCDR BLAST結果の分析が、生産的なUALサブライブラリに対するデノボスクリーニングの達成努力を誘導するために使用できる)、
に使用され得る。
特定の実施態様において、本発明は、包括的なユニバーサル抗体ライブラリを参照ライブラリとして利用するものであり、従ってこれはこのようなライブラリの包括的性質からの利益を享受するコホートCDRおよび/または抗体ライブラリを同定/生成するのに使用され得る。参照抗体ライブラリ、例えばUALおよび本発明のコホートライブラリの両方は、新規な治療薬を獲得するために、例えばハイスループット法を用いて容易にスクリーニングできる。
特に、参照ライブラリ、例えばUALは、あらゆる抗原を認識する可能性を有する。このような参照ライブラリのその他の重要な利点には、より大きな多様性、例えば自己反応性抗体はドナーの免疫系の負の選択により除去されるために発現されたヒトライブラリにおいては通常失われた自己抗原にまで及ぶ多様性が含まれる。本明細書中に記載されるコホートライブラリおよび参照(例えばUAL)ライブラリの両方の別の利点は、FACS(蛍光活性化セルソーター)による正のクローン選択を用いるこのようなライブラリのスクリーニングが、ハイブリドーマライブラリの作製および上清のスクリーニングという標準的で冗長な手法を回避するということである。なおさらに、参照ライブラリ、例えばUALライブラリは、他の所望の標的に対する追加の抗体を発見するために再スクリーニングすることができる。
1.1 特徴的な参照抗体ライブラリ
本発明の特定の方法において利用する参照抗体ライブラリ、特にユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)は、所定の抗原クラスに対する望ましい候補抗体の全てを提示することができる。本発明の方法により利用され得る例示的なユニバーサル抗体ライブラリは、ヒト配列から得られ、従って非免疫原性であり、このようなライブラリから選択された抗体を治療用途に、例えばヒトの障害または疾患を予防または処置するためにヒト患者に投与するのに適したものにする。
本発明の特徴であるライブラリは、多残基の多様性または単一残基の多様性を所定の部位、例えば一つまたはそれ以上の相補性決定領域(CDR)内に導入すべき必要があるかどうかに依存して、例えば変異誘発技術、例えばウォークスルー型変異誘発(WTM)またはルックスルー型変異誘発(LTM)(例えば、それぞれ、米国特許第6,649,340号;同第5,830,650号;同第5,798,208号;および米国特許出願60/483,282を参照のこと)を用いて効率的に導入される多様性を有する。重要なことは
、これらの技術が、生産的な多様性の量を最大化し、かつ非生産的な多様性、すなわちノイズにすぎないかまたはでたらめ(randomness)なもの、の量を最小化することである。従って、本発明の特徴である参照ライブラリおよびコホートライブラリの両方は、既存の抗体ライブラリよりも小さいが、候補抗体結合分子をより効率的に同定するためのより大きい合理的な多様性を含むことができる。このような参照抗体ライブラリの効率性は、本発明の方法を用いてコホートCDRおよび抗体ライブラリを作製するのに効果的に利用される。
特定の実施態様において、本発明のコホートおよび/または参照ライブラリ(例えばユニバーサル抗体ライブラリ)は、WTMまたはLTM技術を適用して軽鎖および/または重鎖の一つまたはそれ以上のCDRにおける所望の多様性を提示する完全合成ライブラリを作出することにより得られる。参照ライブラリの抗体配列、例えばフレームワークおよびCDRは、一定の基準に従い選択される。参照ライブラリからコホートライブラリを選択する基準は、主としてクエリー配列と参照ライブラリ配列との比較を含み、その後変異誘発アプローチにより本発明のコホートCDR/抗体ライブラリを作出する。このような参照ライブラリは、様々な基準によって選択および/または構築される。例えば、一つの基準は、参照抗体配列が、発現される(再構成される)、好ましくは特定の抗原クラスに反応して発現される(再構成される)抗体配列、例えばヒト抗体配列において最小閾出現頻度(例えば約10%またはそれ以上)を有さなければならないことである。場合により、別の基準は、発現される(再構成される)抗体配列が、最小閾出現頻度(約10%またはそれ以上)で生殖細胞系配列を起源とする(またはそれから誘導される)ことである。
その多様性が同定され、次いで体系的な様式で、PCRによる個々のフレームワークおよびクンケル型変異誘発による多様なCDR配列の完全な構築を可能にするオリゴヌクレオチドを用いて従来の遺伝子形式、例えば単鎖抗体形式(scFv)、fab、または全長Igに遺伝子操作される。
重要なことは、本発明のライブラリが、典型的にはランダムオリゴ縮重法またはエラープローンPCRを用いた場合に起こる保証のない(unwarranted)変異を回避することによって非機能性タンパク質をもたらし得るどのような変異をも最小限に抑えることである。さらに、WTMを用いた場合に得られる精度のレベルは、ランダム変異誘発および/または遺伝子シャッフリング技術と好対照である。さらに、位置およびアミノ酸タイプの点でフレームワークの選択および配列の多様性のレベルを制御することによって、ライブラリの「抗原」クラス認識が最適化される。さらに、このインビトロ法は、免疫学的な自己抗原の負の選択、および生物の環境暴露に起因するどのような遺伝的な偏りをも回避する。
従って、本発明は、情報が豊富であるが不必要に大きくないサイズのスクリーニングライブラリから出発することができるという利点を提供する。最初のクローンセットを同定した後、その後の親和性成熟ライブラリは、共通のLTMおよび/またはWTMオリゴヌクレオチドセットを共有でき、時間および試薬の費用を抑制できる。なおさらに、参照ライブラリ(例えばユニバーサル抗体ライブラリ)および本発明の方法を通じて参照ライブラリから得られたコホートライブラリは、迅速かつ効果的に、様々な抗原、特に例えば他のどのような方法によっても獲得することが困難な自己抗原、に対する非常に特異的な抗体を作製することができる。
本発明の参照ユニバーサル抗体ライブラリは、規定の抗体領域または領域群(ここでポリヌクレオチドは、集合的に、本明細書中に記載される基準に従って全ての可能性がある変種抗体を示す)をコードする個々のポリヌクレオチドを最初に合成することによって、作製およびスクリーニングされ得る。同様に、本発明のコホートCDRおよび抗体ライブラリは、規定の抗体領域または領域群(ここでポリヌクレオチドは、集合的に、本発明の基準に従って変種CDR位置の選択を示す)をコードする個々のポリヌクレオチドを最初に合成することによって、作製およびスクリーニングされ得る。抗体は、例えば、インビトロ転写および翻訳を用いてならびに/またはディスプレイ技術、例えばリボソームディスプレイ、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、もしくは酵母ディスプレイを用いて発現され得る。
あるいは、本発明の参照ユニバーサル抗体ライブラリは、規定の抗体領域または領域群(ここでポリペプチドは、集合的に、本明細書中に記載される基準に従って全ての可能性がある変種抗体を示す)に対応する個々のポリペプチドを最初に合成することによって、作製およびスクリーニングされ得る。同様に、本発明のコホートCDRおよび抗体ライブラリは、規定の抗体領域または領域群(ここでポリペプチドは、集合的に、本発明の基準に従って変種CDR位置の選択を示す)をコードする個々ポリペプチドを最初に合成することによって、作製およびスクリーニングされ得る。抗体は、ポリペプチドから作製および/または逆翻訳され(reverse translated)、例えばインビトロ転写および翻訳を用いてならびに/またはディスプレイ技術、例えばリボソームディスプレイ、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、もしくは酵母ディスプレイを用いて発現され得る。仮想参照(ユニバーサルまたはフィルター処理)抗体および/またはCDRライブラリもまた、本発明の方法において使用でき、このようなライブラリはヒトペプチド配列の多様性情報から本発明の仮想参照ライブラリへのマニュアルおよび/またはインシリコ編集(insilico compilation)を通じて作製される。このような仮想参照ライブラリの構成要素となる配列(例えば単一配列、コホートライブラリ、または全参照ライブラリ)は、当該分野において広く知られた技術(例えば、ペプチド配列をコードする核酸配列の合成ならびにその後のインビボ(例えば細胞株による媒介)および/もしくはインビトロでの転写および/もしくは翻訳、ならびに/またはディスプレイ技術、例えばリボソームディスプレイ、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、もしくは酵母ディスプレイ)を用いて発現され得る。
次いで、発現された抗体は、機能アッセイ、例えば結合アッセイを用いてスクリーニングおよび選択され得る。例えば、ポリペプチドは、抗体結合分子、例えば単鎖抗体(scFv)をコードするポリヌクレオチドに関連して発現され、それによってその抗体結合分子(例えばscFv)をコードするポリヌクレオチド配列の同定を可能にする。抗体はまた、例えばUS20040072740A1;US20030036092A1;およびUS20030100023A1に記載される技術を用いて、原核生物、例えば大腸菌の膜上に分泌および提示され得る。
本発明の方法は、新規なまたは改善された抗体またはそのフラグメント、例えば単鎖抗体(scFv)を開発するためにヒト抗体配列を同定するのに使用できる。さらに、本方法は、例えば本明細書中に記載の基準に従い、例えばWTMまたはLTM変異誘発を用いて多様化しようとする配列の初期サブセットを示す参照ライブラリを調製するのに使用できる、例えばコンピュータモデリングおよび電子データベースのバイオマイニング(biomining)を介する、アプリオリな情報の利益を伴なって行うことができる。
本発明のその他の利点および側面は、以下の開示および実施例から容易に明らかになるであろう。
1.2 バイオインフォマティクスを用いるユニバーサル抗体ライブラリの構成要素の同定および選択
本発明の特定の実施態様において利用してユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)を構築する最初の工程は、一定の既定の基準を満たす配列の選択である。例えば、最も頻繁に、特に特定の抗原クラスに対して示される配列について、非重複性の再構成された抗体配列を含む電子データベースであるKabatデータベースへのクエリーがなされ得る。この抗原クラスには、例えば、タンパク質およびペプチド抗原だけでなく低分子、多糖類、およびポリヌクレオチドが含まれ得る。これらの抗体のフレームワーク配列のクラスタリング分析を行い、その後に生殖細胞系配列(V BASEデータベース)との比較を行う(BLAST検索アルゴリズムを用いて)ことにより、後に所定の抗原クラス、例えばタンパク質性の抗原または標的を認識する機能性抗体を生成するよう再構成されることになる、最も頻繁に使用される生殖細胞系ファミリーを決定する。
次いで、機能性抗体の最も大きく構造的多様性が最も多いグループを示す候補フレームワーク配列を選択し、次いでCDRの長さ、つまりフレームワークに収容され得る多様性を決定するため、CDR1およびCDR2のカノニカル構造を決定する。CDR3については、長さのサイズ分布を行い再構成される抗体配列の頻度分析を確認する。
CDRのアミノ酸配列を誘導する方法には、既存の再構成された抗体配列の頻度分析が含まれる。一般に、アミノ酸使用をCDR残基の位置ごとに計算し、ある集団または亜集団(例えばデータベース由来のCDR配列のパネル)においてその位置で最も頻繁に使用される(優先的な)アミノ酸を、頻度の和が既定の限度に達するまで記録する。次いで、既定の限度に達したら、それらの頻度(優先度)が既定の閾値と等しいまたはそれを超える場合にのみ、アミノ酸を参照ライブラリに加える。実施例4の参照ライブラリについては、限度を80%に設定し、個々のアミノ酸についての優先度の閾値設定は10%であった。
ユニバーサルライブラリの構築ストラテジーには、フレームワーク配列の選択およびその後の超可変性CDRループの設計が含まれる。フレームワーク配列の選択については、特定の抗原に反応して発現されることが決定された全ての利用可能なフレームワークスカフォールドのサブセットがアレイに配置される。自然界で所定の抗原クラスに反応して最も頻繁に発現されるフレームワークを決定することにより、適切なフレームワークアクセプターが選択される。例えば、タンパク質ベースの抗原に反応して発現される好ましいアクセプターフレームワークを決定するために、「タンパク質指向型(protein−directed)」フレームワークについて、Kabatデータベース(例えばhttp://www.kabatdatabase.com/からアクセスできるサブスクリプション抗体配列データベース)を検索する。異なる抗原クラスに対するCDRを利用するのに好ましいアクセプター配列および/または特定の種のアクセプター配列が必要な場合、適宜、Kabatタンパク質配列フィルターを設定する。例えば、タンパク質ベースの標的に対するヒト治療剤として使用するための配列を決定するため、タンパク質/ペプチド抗原を認識する(マウス、ラット、またはニワトリ配列等ではなく)ヒト抗体配列のみに照準を合わせるようフィルターを設定する。これにより、結果にバイアスをかけるデータセットおよび配列情報における重複性が大きく軽減される。
上記の工程は、多くの様々な合成フレームワークスカフォールドを生成する必要性を最小限に抑え、かつ典型的には潜在的アクセプターのデータセットが約600配列またはそれ未満になる。従って、抗原クラスによって選択される再構成された遺伝子配列を生じる生殖細胞系前駆配列を決定するさらなる分析のために得られる配列数を容易に管理することができる。この第二の生殖細胞系起源の決定は、過剰に示された最適な(または高頻度の)生殖細胞系フレームワーク配列が存在する場合に同定することになるため、抗原クラスによって選択される抗体配列の選択に磨きをかける。事実、多数の再構成された抗体配列が生成される、特定の抗原に対するいくつかの多クローン性反応において、わずかなアクセプターフレームワーク配列のみが使用されることが観察されている。このような場合、抗体配列およびその抗原に対する結合の多様性は、主としてフレームワークではなくCDRに局在化する。上記のバイオインフォマティクス解析は、記述の目的上VH遺伝子に着目しているが、VλおよびVκの両方に対する遺伝子も同様に評価されることが当然理解されるであろう。本発明のコホート抗体ライブラリにおいて使用するフレームワーク領域は、本発明によってまたは当該分野で認識されている任意のフレームワーク選択法によって使用される参照抗体ライブラリの設計時に使用されたフレームワーク領域から選択され得る。
1.3 CDRの多様性を最大化する設計ストラテジー
例示の参照ユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)において使用される候補フレームワークの選択は、CDRのサイズおよびUALの初期のアミノ酸配列の多様性の両方に影響する。抗体配列が、1)抗原クラスに対する出現頻度および2)生殖細胞系頻度について同定される場合、その配列はそれらのカノニカルクラスに従ってアレイ配置され得る。カノニカルクラスは、Chothiaにより記載された従来法(以下の材料および方法を参照のこと)を用いて決定される。所定の抗体配列のセットの中で、同定された抗体配列の大部分が特定のカノニカルクラスに属し得る。カノニカルクラスは、CDRに収容され得るアミノ酸残基の数に影響する。例えば、カノニカルクラスが1〜3の場合、CDR1は5アミノ酸ループを有し、CDR2は17アミノ酸ループを有する。重鎖の可変配列については、Jセグメントの配列の寄与は比較的よく保存されており、典型的には、6つの配列のみのサブセットの中でベストフィットする配列のみが考慮される必要がある。KabatおよびV BASEデータベースのCDRアミノ酸頻度分析は、三つのカテゴリー、すなわち1)保存されるべき位置、2)多様性を出すのに適した位置、および3)体細胞超変異を模倣するために変異を導入できる位置に当てはまるCDRアミノ酸残基の位置を同定する。
従って、参照UALのVH−CDR1の多様性を設計する際、CDR内のアミノ酸残基
は三つの異なるカテゴリー:1)生殖細胞系遺伝子および再構成された遺伝子の両方で保存されており、従って変化せずに残る位置、2)生殖細胞系においては保存されているが再構成された遺伝子においては変種である、従って最初は固定するが親和性成熟の間に変異させる位置、および3)生殖細胞系配列および再構成された配列において多様性を有する、従って初期ライブラリの構築の間にWTMTMを用いて多様性を導入する位置として同定される位置、にグループ分けされる。
VH−CDR2の設計において、V BASEおよびKabatデータベースにおける多様性分析は、上記のVH−CDR1について行われたのと同様の様式で行われる。
VH CDR3の多様性の設計においては、Kabatデータベース由来の抗体のCDR3配列をそれらのサイズおよび抗原クラスに従いアラインメントする。非タンパク質抗原およびタンパク質/ペプチド抗原を認識する抗体のCDR3の長さを比較し、頻度分析を行い、そしてCDR3の多様性の設計において使用するのに最も好ましい配列を同定するために10%の閾出現頻度を使用する。CDR3のサイズおよびアミノ酸残基の頻度分析は、例えば免疫グロブリンDおよびJ遺伝子の再構成された配列を用いて行われるので、フィルターをかけたKabatとV BASEの直接比較においては「CDR3」生殖細胞系の等価物は存在しない。しかし、各々の再構成されたCDR3のサイズについてフィルターをかけたKabatの頻度分析を行うことができ、これにより各サイズの分類についての、CDR3の位置を通して最も頻度の高いアミノ酸が明らかにされ、コンセンサス「野生型」配列が得られる。驚くべきことに、この「コンセンサス」アプローチは、高い選択圧を受けた特定のアミノ酸を同定する。従って、これらの残基の位置は、典型的には固定され、多様性は(これらの位置に存在する特定のアミノ酸について同定された優先傾向(preference)を考慮して)残りのアミノ酸の位置に導入される。
上記のCDRのいずれかについての参照UALまたはそれから得られるコホートCDRもしくは抗体ライブラリの多様性を設計する際、所望の場合は、修飾アミノ酸残基、例えば大部分のポリペプチドにおいて使用される伝統的な20個のアミノ酸以外の残基、例えばホモシステインを、CDRに組み込むことができる。これは、典型的には修飾アミノ酸残基が望まれるポリヌクレオチドのところで、終止コドンを導入する当該分野で認識されている技術を用いて行われる。その場合、この技術は、そのポリペプチドに組み込むべき修飾アミノ酸に連結された修飾型tRNA(例えば、終止コドンであるアンバー、オパール、またはオーカーのいわゆるサプレッサーtRNA)を提供する(例えばKoehrer et al.,Import of amber and ochre suppressors tRNAs into mammalian cells:A general approach to site−specific insertion of amino acid analogues into proteins,PNAS,98,14310−14315(2001)を参照のこと)。
2. コホート抗体ライブラリおよび参照ユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)の構築
本発明のコホート抗体ライブラリおよび参照ユニバーサル抗体ライブラリの生成およびそれらの構築は、生成させようとする抗体の多様性に関する配列および構造の情報を活用して行われるため、改善された抗体を生成する可能性が高くなっている。モデリング情報もまた、規定の領域、例えばCDRに導入するアミノ酸の多様性の選択をガイドするために使用できる。なおさらに、本発明の抗体によって得られる実際の結果は、反復的な様式で作製およびスクリーニングされるその後の抗体の選択(または排除)、例えば親和性成熟をガイドすることができる。
特定の実施態様において、乏しいまたは望ましくない構造および/または機能を有すると推測されるどのような抗体の作製をも排除するために、モデリングが使用される。この方法で作製される抗体の数を大きく減少させることができ、それによってその後のスクリーニングアッセイにおけるシグナル・ノイズ比が高くなる。別の個別の実施態様において、モデリングは、仮想(特定の態様においては、インシリコ)データベースの予測能の精度を向上させるよう、あらゆる関連する供給源から、例えば遺伝子およびタンパク質の配列および三次元データベースならびに/または以前に試験した抗体の結果からの追加情報によって継続的にアップデートされる(図1)。
さらに別の実施態様において、仮想データベースは、アッセイ結果、例えば以前に試験した抗体の結合親和性/アビディティと共に提供され、アッセイ基準または基準群に基づき抗体をレスポンダーまたは非レスポンダーとして、例えば十分結合する抗体または十分に結合しない抗体として分類する。この方法で、本発明の親和性成熟は、特定の配列および構造情報をもつ機能的な応答の範囲を一致させることができ、このような情報を将来試験しようとする抗体の作製をガイドするために使用できる。この方法は特に、例えばBiacoreアッセイを用いて、標的抗原に対する特定の結合親和性について抗体または抗体フラグメントをスクリーニングするのに適している。
従って、ある領域内の不連続な残基の変異誘発は、その領域内の特定の残基が所望の機能に関与しないであろうことが、例えばインシリコモデリングを通じて既知である場合に望ましいことがある。規定の領域間、例えば抗体の規定の領域内の機能的なアミノ酸残基間の配位構造および空間的相互関係、例えば導入されている多様性が考慮され、モデル化され得る。このようなモデリングの基準には、例えば、アミノ酸残基の側鎖基の化学、原子間距離、結晶学的データ等が含まれる。従って、作製される抗体の数は、理知的に最小化できる。
参照UALの合成については、上記工程の一つまたはそれ以上がコンピューター支援により行われ得る。コンピューター支援により行われる工程には、例えば、Kabatデータベースのマイニング、および場合により、V BASEに対する結果の相互参照が含まれ得、それによって本発明の特定の基準が決定され、所望のCDRの多様性を設計するのに使用される(図1)。参照ライブラリ(UAL)の合成はまた、(場合により、コンピューター支援により)救出されたクローン集合からの配列情報の編集を伴うものであり得る。本発明の方法により利用される参照ライブラリからのコホートCDRおよび抗体ライブラリの選択もまた、コンピューター支援により行われ得る。このような方法はまた、部分的にまたは全体的に、機器、例えばコンピューターにより駆動される機器により行われるのに適している。例えば、配列のアラインメント、配列の比較、位置特異的な残基の選択、ライブラリの多様性の計算、データベースマイニング 抗体配列の選択、多様性の設計、オリゴヌクレオチドの合成、上記のもののPCRによるまたはクンケル型変異誘発による構築、ならびに所定の標的に結合する候補抗体の発現および選択は、部分的にまたは全体的に、インターレース機器により実行できる。さらに、この方法を実行するための指令が、部分的にまたは全体的に、その指令を実行するために電子機器において使用するのに適した媒体に与えられ得る。まとめると、本発明の方法は、ソフトウェア(例えばコンピュータ読み取り可能な指令)およびハードウェア(例えばコンピューター、ロボット、およびチップ)を含むハイスループットアプローチに変換できる。
本発明の特定の実施態様は、本発明の特徴である方法を実行できるおよび/またはその実行を補助できるコンピューターまたはその他の電子機器の使用を通じて補助され得る。本発明の例示の実施態様を実施するのに適した電子機器500の一例となる実施態様を図32に示す。電子機器500は、多くの異なる技術、例えばパーソナルコンピューター(PC)、ラップトップコンピューター、ワークステーション、携帯情報端末(PDA)、インターネットアプリケーション、携帯電話等の象徴である。例示の実施態様に置いて、電子機器500は、中央演算処理装置(CPU)502およびディスプレイ機器504を含む。ディスプレイ機器504は、視覚的な表示を通じてユーザーと電子機器500が直接的に通信を行うことを可能にする。電子機器500はさらに、キーボード506およびマウス508を含む。示されていない他の可能性のある入力機器には、スタイラス、トラックボール、ジョイスティック、タッチパッド、タッチスクリーン等が含まれる。電子機器500は、データおよび指令を保存するための主記憶装置510および二次記憶装置512を含む。記憶装置510および512には、フロッピー(登録商標)ドライブ、ハードドライブ、テープドライブ、光学ドライブ、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)等の技術が含まれ得る。ブラウザ、JAVA(登録商標)仮想マシン等のアプリケーション、ならびに他のユーティリティおよびアプリケーションは、記憶装置510および512の一方または両方に置くことができる。電子機器500はまた、示される電子機器500の外部にある一つまたはそれ以上の電子機器と通信するためのネットワークインターフェース514を含み得る。モデムは、外部の電子機器またはネットワークとの接続を確立するためのネットワークインターフェース514の一形態である。CPU 502には、内蔵または外付けのいずれかで、上記コンポーネントの一つまたはそれ以上を装備される。上記のアプリケーションに加えて、Simulink(登録商標)516等のモデリングアプリケーションが電子機器500にインストールされ、実行され得る。
電子機器500は本発明を実施する構造の象徴にすぎないことに留意されるべきである。しかし、当業者は、本発明が記載される機器500による実施に限定されないことを理解するであろう。ユーザーによる入力またはディスプレイ機器が必要ない、部分的にまたは全体的に埋め込まれたコードに基づく実施法を含む他の実施法も利用できる。そうだとしても、プロセッサーは、別のプロセッサーまたは他の機器と直接通信できる。
3. 選択されたコホートCDRおよび抗体ライブラリの合成
一つの実施態様において、本発明の選択されたコホートCDRおよび抗体ライブラリは、スクリーニングのために、ポリペプチドの規定の領域をコードし既定のアミノ酸につき一つのコドンしか有さない個々のオリゴヌクレオチドを合成することによって作製される。これは、オリゴヌクレオチド内の各コドンの位置に、野生型ポリペプチドの合成に必要なコドンまたは既定のアミノ酸に対するコドンのいずれかを組み込むことによって達成され、これはルックスルー型変異誘発(LTM)と称される(例えば米国特許出願60/483282を参照のこと)。
別の実施態様において、複数のアミノ酸位置において多様性が必要とされる場合、オリゴヌクレオチド縮重法またはウォークスルー型変異誘発(WTM)が使用され得る(例えば米国特許第6,649,340号;同第5,830,650号;および同第5,798,208号;ならびに米国特許出願60/483,282を参照のこと)。WTMは、最小限の数のオリゴヌクレオチドで作製しようとする複数の変異を可能にする。このオリゴヌクレオチドは、例えばドーピング技術を用いて個別に、バッチで作製され、必要な場合は混合またはプールされ得る。
ライブラリ作製のためのオリゴヌクレオチドの混合物は、DNA合成の公知技術を用いて容易に合成できる。好ましい方法は、固相ベータ−シアノエチルホスホルアミダイト化学を使用するものである(例えば、米国特許第4,725,677号を参照のこと)。便利なところでは、ヌクレオチド専用の試薬容器を含む全自動DNA合成機が使用できる。ポリヌクレオチド、例えば規定の領域に相当するポリヌクレオチドをより大きな遺伝子コンテクストに導入または構築するのを容易にするために、制限部位またはプライマーハイブリダイゼーション部位を含むポリヌクレオチドも合成され得る。
合成されたポリヌクレオチドは、例えば標準的な遺伝子操作技術を用いて、より大きな遺伝子コンテクスト、例えば単鎖抗体(scFv)、fab、または全長Igに挿入され得る。例えば、制限酵素の認識部位を隣に含むポリヌクレオチドが作製され得る(例えば米国特許第4,888,286号を参照のこと)。認識部位は、天然に存在するかまたはその領域をコードするDNAに隣接する遺伝子に導入される認識部位に対応するよう設計され得る。ポリヌクレオチドは、二本鎖形態に変換した後、標準的技術によって遺伝子または遺伝子ベクターにライゲートされる。その遺伝子は、適当なベクター(例えばファージベクター、プラスミドを含む)を利用して、抗体の発現に適した無細胞抽出物、ファージ、原核細胞、または真核細胞に導入される。
あるいは、部分的に重複するポリヌクレオチド、典型的には約20〜60ヌクレオチド長、が設計される。次いで、内部ポリヌクレオチドがそれらの相補性パートナーとアニールされ、さらなるアニーリングに有用な一本鎖の余剰部分(extensions)を有する二本鎖DNA分子が得られる。次いで、PCRを用いて全長の二本鎖分子を形成するために、アニーリングしたペアを混合し、伸長し、ライゲートする。適切なベクターへのクローニングのために、合成遺伝子の末端付近に都合の良い制限部位が設定され得る。次いで、全長分子は適切なベクターにライゲートされ得る。
部分重複ポリヌクレオチドが遺伝子の構築において使用される場合、縮重ヌクレオチドのセットがまた、ポリヌクレオチドの一つの代わりに直接導入され得る。適切な相補鎖は、ポリメラーゼによる酵素的伸長による他方の鎖の部分的に相補的なポリヌクレオチドからの伸長反応の間に合成される。合成段階での縮重ポリヌクレオチドの導入もまた、遺伝子の二以上のドメインまたは規定の領域が多様性を有するよう変異導入されるかまたは遺伝子操作されるクローニングを簡素化する。
別のアプローチにおいては、抗体は、一本鎖プラスミド上に存在する。例えば、その遺伝子は、ヘルパーファージを使用することで一本鎖分子の増幅を行うファージベクターまたは繊維状ファージの複製起点を有するベクターにクローニングされ得る。一本鎖テンプレートを、所望の変異を示す縮重ポリヌクレオチドのセットとアニールさせ、伸長し、ライゲートすることで、適切な宿主に導入され得る分子集団に各アナログ鎖を導入できる(例えばSayers,J.R.et al.,Nucleic Acids Res.16:791−802(1988)を参照のこと)。このアプローチにより、変異誘発のために複数のドメインが選択される複数回のクローニング工程を回避することができる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法もまた、ポリヌクレオチドを遺伝子に、例えばCDRの多様性をフレームワーク領域に導入するのに使用できる。例えば、ポリヌクレオチド自体を伸長のためのプライマーとして使用することができる。このアプローチにおいて、規定の領域(またはその部分)に対応する変異原性カセットをコードするポリヌクレオチドは、少なくとも部分的には、相互に相補的であり、かつポリメラーゼを用いて、例えばPCR増幅を用いて大きな遺伝子カセット(例えばscFv)を形成するために伸長することができる。
ライブラリのサイズは、CDRの長さおよび例えばWTMまたはLTMを用いて提示される必要のあるCDRの多様性の量に依存して変化し得る。好ましくは、ライブラリは、1015、1014、1013、1012、1011、1010、109、108、107未満、より好
ましくは 106個の抗体またはそれ未満を含むよう設計され得る。
上記の記載は、対応するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを変化させることにより抗体の多様性を提示することを中心にしている。しかし、本発明の範囲は、タンパク質化学を用いる所望のポリペプチド領域の直接合成によって本明細書中に開示される抗体の多様性を提示する方法もまた包含することが当然理解されよう。このアプローチを行う場合、得られるポリペプチドもまた、ポリヌクレオチド中間体の使用を排除できることを除いて、本発明の特徴を包含するものである。
上記のライブラリについては、ポリヌクレオチドおよび/または対応するポリペプチドの形態によらず、そのライブラリがまた当然ながら、当該分野で認識されている技術を用いて固相支持体、例えばマイクロチップに付加され得、好ましくはアレイ配置されることが理解されよう。
本発明の方法は、親和性成熟により候補抗体分子を修飾するのに特に有用である。抗体の可変領域および/またはフレームワーク(定常)領域に変化が導入され得る。可変領域の修飾は、より良い抗原結合特性、および所望の場合は触媒特性を有する抗体を生成し得る。フレームワーク領域の修飾もまた、物理化学的特性、例えば溶解性または安定性の改善をもたらし得、これは例えば商業的生産、バイオアベイラビリティ、および抗原に対する親和性において特に有用である。典型的には、変異誘発は、抗体分子のFv領域、すなわち、一方は重鎖(VH)由来で一方は軽鎖(VL)由来の二つの鎖の可変領域から構成される抗原結合活性に関与する構造を標的とする。所望の抗原結合特性が同定されれば、可変領域を適切な抗体クラス、例えばIgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEに操作することができる。好ましい実施態様において、同定された候補結合分子は親和性成熟に供され、標的/抗原に対する結合分子の親和性/アビディティが高められる。
4. 発現およびスクリーニング系
上記の技術または他の適切な技術のいずれかにより生成されるポリヌクレオチドのライブラリは、所望の構造および/または活性を有する抗体を同定するために発現およびスクリーニングされ得る。抗体の発現は、無細胞抽出物(および例えばリボソームディスプレイ)、ファージディスプレイ、原核細胞、または真核細胞(例えば酵母ディスプレイ)を用いて行うことができる。
一つの実施態様において、ポリヌクレオチドは、無細胞抽出物において発現させることのできるテンプレートとして機能するよう操作される。例えば米国特許第5,324,637号;同第5,492,817号;同第5,665,563号に記載されるようなベクターおよび抽出物が使用でき、多くは市販されている。ポリヌクレオチド(すなわち遺伝子型)をポリペプチド(すなわち表現型)と関連付けるためのリボソームディスプレイおよび他の無細胞系技術、例えばProfusionTMが使用できる(例えば米国特許第6,34
8,315号;同第6,261,804号;同第6,258,558号;および同第6,214,553号を参照のこと)。
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、便利な大腸菌発現系において発現させることができ、これらはPluckthunおよびSkerra(Pluckthun,A.and Skerra,A.,Meth.Enzymol.178:476−515(1989);Skerra,A.et al.,Biotechnology 9:273−278(1991))に記載されている。M.Better and A.Horwitz,Meth.Enzymol.178:476(1989)に記載されるように、変異タンパク質は、培地におよび/または細菌の細胞質に分泌物を発現させることができる。一つの実施態様において、VHおよびVLをコードする単一ドメインの各々を、シグナル配列、例えばompA、phoA、またはpelBシグナル配列をコードする配列の3’末端に結合させる(Lei,S.P.et al.,J.Bacteriol.169:4379(1987))。これらの遺伝子融合物は、単一のベクターから発現され大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌され得、そこでリフォールディングされて活性な形態で回収できるよう、二シストロン性の構築物に組み込まれる(Skerra,A.et al.,Biotechnology 9:273−278(1991))。例えば、抗体重鎖遺伝子は、抗体軽鎖遺伝子と同時に発現させ、抗体または抗体フラグメントを生成させ得る。
別の実施態様において、抗体配列は、例えばUS20040072740A1;US20030100023A1;およびUS20030036092A1に記載されるような分泌シグナルおよび脂質付加部分を用いることで、原核生物、例えば大腸菌の膜表面で発現される。
さらに別の実施態様において、ポリヌクレオチドは、例えば米国特許第6,423,538号;同第6,331,391号;および同第6,300,065号に記載されるような酵母ディスプレイを用いることで、真核細胞、例えば酵母において発現させることができる。このアプローチにおいて、ライブラリの抗体(例えばscFv)は、酵母の表面上で発現および提示されるポリペプチドに融合される。
本発明の抗体の発現のための高等真核細胞、例えば哺乳動物細胞、例えば骨髄腫細胞(例えばNS/0細胞)、ハイブリドーマ細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もまた使用できる。典型的には、抗体は、哺乳動物細胞において発現させる場合、発現され培養培地に分泌されるよう、またはそのような細胞の表面上で発現されるよう設計される。抗体または抗体フラグメントは、例えば全長抗体分子としてまたは個々のVHおよびVLフラグメント、Fabフラグメント、単一ドメイン、または単鎖(sFv)として産生させることができる(例えばHuston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988)を参照のこと)。
発現された抗体(または直接的な合成により作製された抗体)のスクリーニングは、適切な手段により行うことができる。例えば、標準的な免疫アッセイおよび/またはアフィニティクロマトグラフィによって結合活性を評価することができる。触媒機能、例えばタンパク質分解機能についての本発明の抗体のスクリーニングは、例えば米国特許第5,798,208号に記載されるような標準的なヘモグロビンプラークアッセイを用いることで達成することができる。候補抗体が治療標的に結合する能力の測定は、例えば所定の標的または抗原への抗体の結合速度を測定するBiacore機器を用いることでインビトロでアッセイできる。多くの動物モデルのいずれかを用いてインビボアッセイを行うことができ、適切な場合はその後にヒトにおいて試験される。
本実施例中、そうでないことが示されない限り、以下の材料および方法を使用した。
材料および方法
概して、本発明の実施では、そうでないことが示されない限り、当該分野の技術の範囲内であり文献に記載されている、化学、分子生物学、組換えDNA技術、PCR技術、免疫学(特に、例えば抗体技術)、発現系(例えば無細胞発現、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびProfusionTM)、ならびに任意の必要な細胞培養の従来技術を利用する。例えばSambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor
Laboratory Press(1989);DNA Cloning,Vols.1 and 2,(D.N.Glover,Ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,Ed.1984);PCR Handbook Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,Beaucage,Ed.John Wiley & Sons(1999)(Editor);Oxford Handbook of Nucleic Acid Structure,Neidle,Ed.,Oxford Univ Press(1999);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innis et al.,Academic Press(1990);PCR Essential Techniques:Essential Techniques,Burke,Ed.,John Wiley & Son Ltd(1996);The PCR Technique:RT−PCR,Siebert,Ed.,Eaton Pub.Co.(1998);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Biology),510,Paul,S.,Humana Pr(1996);Antibody Engineering:A Practical Approach(Practical Approach Series,169),McCafferty,Ed.,Irl Pr(1996);Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow et al.,C.S.H.L.Press,Pub.(1999);Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons(1992);Large−Scale Mammalian Cell Culture Technology,Lubiniecki,A.,Ed.,Marcel Dekker,Pub.,(1990).Phage Display:A Laboratory Manual,C.Barbas(Ed.),CSHL Press,(2001);Antibody Phage Display,PO'Brien(Ed.),Humana Press(2001);Border et al.,Yeast surface display for screening combinatorial polypeptide libraries,Nature Biotechnology,15(6):553−7(1997);Border et al.,Yeast surface display for directed evolution of protein expression,affinity,and stability,Methods Enzymol.,328:430−44(2000);米国特許第6,348,315号においてPluckthunらにより記載されたようなリボソームディスプレイ、および米国特許第6,258,558号;同第6,261,804号;および同第6,214,553号においてSzostakらにより記載されたようなProfusionTMを参照のこと。
Kabatの取り決めを用いる抗体配列解析に関するさらなる詳細は、例えば、Johnson et al.,The Kabat database and a bioinformatics example,Methods Mol Biol.2004;248:11−25;Johnson et al.,Preferred CDRH3 lengths for antibodies with defined specificities,Int Immunol.1998,Dec;10(12):1801−5;Johnson et al.,SEQHUNT.A program to screen aligned nucleotide and amino acid sequences,Methods Mol Biol.1995;51:1−15およびWu et al.,Length distribution of CDRH3 in antibodies;ならびにJohnson et al.,Proteins.1993 May;16(1):1−7.Reviewに見出され得る。
Chothiaの取り決めを用いる抗体配列解析に関するさらなる詳細は、例えば、Chothia et al.,Structural determinants in
the sequences of immunoglobulin variabl
e domain,J Mol Biol.1998 May 1;278(2):457−79;Morea et al.,Antibody structure,prediction and redesign,Biophys Chem.1997 Oct;68(1−3):9−16.;Morea et al.,Conformations of the third hypervariable region in the VH domain of immunoglobulins;J Mol Biol.1998 Jan 16;275(2):269−94;Al−Lazikani et al.,Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins,J Mol Biol.1997 Nov 7;273(4):927−48.Barre et al.,Structural conservation of hypervariable regions in immunoglobulins evolution,Nat Struct Biol.1994 Dec;1(12):915−20;Chothia et al.,Structural repertoire of the human VH segments,J Mol Biol.1992 Oct 5;227(3):799−817 Conformations of immunoglobulin hypervariable regions,Nature.1989 Dec 21−28;342(6252):877−83;およびChothia et al.,Review Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins,J Mol Biol.1987 Aug 20;196(4):901−17に見出され得る。
Chothia解析に関するさらなる詳細は、例えば、Morea V,Tramontano A,Rustici M,Chothia C,Lesk AM.Conformations of the third hypervariable region in the VH domain of immunoglobulins.J Mol Biol.1998 Jan 16;275(2):269−94;Chothia C,Lesk AM,Gherardi E,Tomlinson IM,Walter G,Marks JD,Llewelyn MB,Winter G.Structural repertoire of the human VH segments.J Mol Biol.1992 Oct 5;227(3):799−817;Chothia C,Lesk AM,Tramontano A,Levitt M,Smith−Gill SJ,Air G,Sheriff S,Padlan EA,Davies D,Tulip WR,et al.Conformations of immunoglobulin hypervariable regions.Nature.1989 Dec 21−28;342(6252):877−83;Chothia C,Lesk AM.Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins.J Mol Biol.1987 Aug 20;196(4):901−17;およびChothia C,Lesk AM.The evolution of protein structures.Cold Spring Harb Symp Quant Biol.1987;52:399−405に記載されている。
CDRの接触点の考察に関するさらなる詳細は、例えば、MacCallum RM,Martin AC,Thornton JM.Antibody−antigen interactions:contact analysis and binding site Topography.J Mol Biol.1996 Oct 11;262(5):732−45に記載されている。
本明細書中で言及される抗体配列およびデータベースに関するさらなる詳細は、例えば、Tomlinson IM,Walter G,Marks JD,Llewelyn MB,Winter G.The repertoire of human germline VH sequences reveals about fifty groups of VH segments with different hypervariable loops.J Mol Biol.1992 Oct 5;227(3):776−98;Li W,Jaroszewski L,Godzik A.Clustering of highly homologous sequences to reduce the size of large protein databases.Bioinformatics.2001 Mar;17(3):282−3;[VBDB]www.mrc−cpe.cam.ac.uk/V BASE−ok.php?menu=901;[KBTDB]www.kabatdatabase.com;[BLST]www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/[CDHIT]bioinformatics.ljcrf.edu/cd−hi/;[EMBOSS]www.hgmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/;[PHYLIP]evolution.genetics.washington.edu/phylip.html;および[FASTA]fasta.bioch.virginia.eduに見出される。
実施例1
参照ユニバーサル抗体ライブラリ配列の同定および選択方法
本実施例においては、バイオインフォマティクスおよびその内容全体を参考として本明細書で援用する米国特許出願60/585,931に開示される選択基準を用いて、参照
ユニバーサル抗体ライブラリ配列を同定および選択した。
簡単に説明すると、発現された、すなわち再構成された免疫グロブリン配列を含むKabatの電子データベースを、特定のフィルターアルゴリズムを用いて検索した。特に、フィルターアルゴリズムは、特定の抗原クラスに反応して発現されたヒト配列のみを同定するよう設計した。選択した抗原クラスは、ヒト治療剤の開発において扱い易い標的セットであるという理由でタンパク質ベースの抗原/標的とした。しかし、このデータベースは、他の抗原クラス、例えばペプチド、多糖類、ポリヌクレオチド、および低分子について、ならびに例えば獣医学的用途の治療剤の開発にあっては他の種由来の抗体配列、例えば霊長類、マウス、ラット、またはニワトリ配列等についても容易にクエリーを行えることが当然理解されよう。上記の基準を、3319個のVH配列からなる初期セットに適用
した(しかし、この配列セットは、さらなる配列がクローニングされデータベースに登録された場合に、数を増やすことができることに留意されたい)。
上記の検索およびフィルター解析は、タンパク質抗原を認識する非重複の再構成されたヒト抗体クローンを表す約600個のVH遺伝子の配列のデータセットを出力した。次の工程は、これらの再構成された遺伝子配列を生成した生殖細胞系前駆遺伝子の設計、およびそれに続くこれらの候補生殖細胞系配列の頻度分析を含むものであった。言い換えると、タンパク質抗原にとって最適なまたは高頻度の生殖細胞系フレームワーク配列が存在するかどうかの決定であった。(Kabat由来の)フィルターをかけたVH配列における再構成された遺伝子により利用される生殖細胞系配列を決定するため、V BASEを使用した。V BASEは、GenbankおよびEMBLデータライブラリの最新版(例えば、それぞれ、Altschul,S.F.,Gish,W.,Miller,W.,Myers,E.W.& Lipman,D.J.(1990)“Basic local alignment search tool.”J.Mol.Biol.215:403−410およびCentre for Protein Engineering MRC Centre,Hills Rd,Cambridge,UK,CB2 2QHにより運営されているwww.mrc−cpe.cam.ac.uk/V BASE−okを参照のこと)の配列を含む千以上の公開された配列からコンパイルされた、全てのヒト生殖細胞系可変領域配列の包括的なディレクトリである。現在、51の機能的なVHセグメントが7のファミリー(すなわちVH1〜7)に分類され、40の機能的なVKセグメントが7のファミリー(すなわちVKI〜VII)に分類され、31の機能的なVλセグメントが10のファミリー(すなわちVλ1〜10)に分類されている。フィルターをかけたKabat配列(約600のVH)によるV BASE生殖細胞系配列のバッチBLASTを行い、発現される(再構成される)配列に最も高い頻度で寄与するVH生殖細胞系遺伝子(およびファミリー)を同定した。この解析は、例えば、8つの最も高頻度で現われるフレームワークのうちの6つ(フレームワーク1、2、および3)がVH3生殖細胞系ファミリーに属すること、およびVH4ファミリーのメンバーが中間表示(intermediate representation)グループを形成することを同定した。フィルターをかけたKabatデータベースにおいて示された生殖細胞系VHフレームワーク(1、2、および3)の配列について、頻度分析を行った。この分析においては、再構成された配列の生殖細胞系遺伝子への分類の際に、4つまでの体細胞変異を許容した。タンパク質/ペプチド抗原を認識する抗体の再構成された配列に最も高頻度で現われる生殖細胞系遺伝子を同定するための閾値ラインを設定した。
最高頻度のVH3フレームワークの同定の結果は、重要である。VH3初期フレームワーク配列の選択は、対応するCDR配列の多様性および標準的なカノニカル構造により規定されるサイズの限界に影響する(例えば、Chothia,C.,et al.,Structural repertoire of the human VH segments.J Mol Biol,1992.227(3):p.799−817およびTomlinson,I.M.,et al.,The Structural repertoire of the human V kappa domain.Embo J,1995.14(18):p.4628−38を参照のこと)。V BASE−フィルターをかけたKabatのBLAST検索もまた、候補分子の親和性成熟の間に変異され得る体細胞超変異のいわゆる「ホットスポット」の位置を同定した。予備的なKabat−V BASEの結果は、6つの高頻度で利用されるVH3フレームワーク;3−07
、3−21、3−23、3−30.5、3−48、および3−74を同定した。複数の出発フレームワークを選択する際、潜在的な抗原結合のためにCDRの外側に追加の構造的多様性を作出した。6つ全ての(フレームワーク4をコードする)JH配列の比較分析は
、これらの配列のうちの4つが同一であり、他の二つの配列においては二つのアミノ酸しか相違しないことを示した。この配列の保存は、6つ全てのフレームワークファミリーについて共通のフレームワーク4を使用して、非機能的な多様性の生成を最小限に抑えることを可能にした。
従って、本発明の基準を使用し、かつバイオインフォマティクスアプローチおよび既存の抗体データベースを使用することで、取扱い可能な抗体フレームワーク配列セットを合理的に同定できることが実証された。さらに、以下で考察されるように、これらの配列の同定は、ユニバーサル抗体ライブラリおよびそこから選択した本発明のコホートライブラリ内のインテリジェントCDRの多様性を最大にする基礎を提供した。
実施例2
参照ユニバーサル抗体ライブラリのCDRの多様性を設計する方法
本実施例においては、参照ユニバーサル抗体ライブラリのCDRの多様性を最適化する方法を示す。
上記のように、候補フレームワークの選択は、導入されるCDRのサイズおよびアミノ酸配列の初期の選択の両方に影響する。6つ全ての選択されたVH3遺伝子ファミリーは、同じ1〜3のカノニカル構造を有する。カノニカル構造1〜3は、CDR1およびCDR2が、それぞれ5アミノ酸および17アミノ酸のループを有することを必要とする。KabatおよびV BASEデータベースのCDRアミノ酸の頻度分析は、1)完全な配列保存、2)多様性生成の最初のラウンド、および3)体細胞超変異を模倣することによるその後の親和性成熟のためのCDRアミノ酸を同定した。重鎖可変領域および軽鎖可変領域における各CDRの設計については、以下で順次考察する。
重鎖の第一CDR、本明細書中以降では「VH−CDR1」、を設計するため、上記の基準を以下の通り考慮した:生殖細胞系遺伝子および再構成された遺伝子の両方において保存されているCDRの位置は固定する;生殖細胞系遺伝子においては保存されているが再構成された遺伝子においては変種であるCDRの位置は、初期ライブラリの構築においては固定するが、親和性成熟の間に変異されるのを許容する;ならびに生殖細胞系配列および再構成された配列において多様性を示すCDRの位置は、変異誘発、例えばウォークスルー型変異誘発(WTMTM)を用いて多様性を導入する位置である。同定した6つのVH3遺伝子ファミリー(すなわち3−07、3−21、3−23、3−30.5、3−48、および3−74)を出発点とする、生殖細胞系の5アミノ酸CDR1配列の比較V BASE分析は、S31、Y32、およびM34が6つの遺伝子の間で保存されていることを明らかにした。フィルターをかけたKabatデータセットにおける全ての再構成された5アミノ酸CDR1配列の頻度分析は、三つの重要な知見を示した:第一に、Y32は高度に保存されていること、第二に、保存された生殖細胞系のS31およびM34の位置はその後に体細胞変異に供されること、および第三に、CDR1の33および35の位置は生殖細胞系の抗体配列においても再構成された抗体配列においても保存されていないこと。
従って、VH−CDR1において、Y32の厳格な保存はその保護のための強い選択圧を示すので、Y32は固定し、いかなる変更にも供さなかった。CDR1の33および35の位置は、変異誘発、例えばWTMTMによる初期CDR1配列の多様性の作出部位とした。S31およびM34の位置は当初は「固定」したが、あらゆるscFv候補クローンにおいて親和性成熟の間に変異される部位であることが同定された。全ての部位で多様性を作出しない理由は、発現およびディスプレイを容易にするためにライブラリの初期の多様性を制限するためであった。
上記のKabat頻度分析から、CDR1は「野生型」コンセンサス配列SYAMH(配列番号563)を有した。残基A33およびH35は、それらの頻度が最も高かったために、野生型配列として選択された。その後のアミノ酸の多様性の導入によって、CDR1配列はSYXMX(Xは変異誘発、例えばWTMを行った位置を意味する)となった。例えば、変異誘発、例えばWTMをCDR1の33および35の位置のチロシン残基に対して行う場合、所望の得られるCDR1配列はSYYMH(配列番号564)、SYAMY(配列番号565)、およびSYYMY(配列番号566)である。この例において、芳香族側鎖の導入の効果を調査した。野生型A33の位置のオリゴヌクレオチドコドン配列はGCXであった。Y33で置換した場合に必要とされる対応するオリゴヌクレオチド配列はTAYとなった。従って、A33→Y33オリゴヌクレオチド混合物についての得られるコドン配列は(G/T)(A/C)Cであった。この場合、生成されたA33→Y33オリゴヌクレオチドはまた、グリシン(GCC)、アスパラギン酸(GAC)、およびセリン(TCC)をコードするコドン順列を有し得た。これらの追加の「副産物」は、33の位置における追加の多様性に寄与する。次のWTMTM位置35については、H35の野生型コドン配列はCAYであり、Y35で置換した場合に必要とされるオリゴヌクレオチド配列はTAYであった。従って、H35→Y35混合物についての得られるコドン配列は(C/T)ACであった。この場合、形成される追加のアミノ酸「副産物」はなかった。
別のアプローチにおいては、典型的には各々の所望の変化のためにオリゴヌクレオチドの合成を必要とするがどのような副産物(ノイズ)をも排除するルックスルー型変異誘発(LTM)を利用することで、副産物を回避した。
重鎖の第二CDR(以下「VH−CDR2」という)を設計するため、上記のV BASEおよびKabatデータベースにおける配列分析を、上記のVH−CDR1と同様の様式で扱った。VH−CDR2配列について頻度分析を行い、6つの候補フレームワークの生殖細胞系CDR2配列のアラインメントを構築し、10%の閾出現頻度を選択した。
同じVH3遺伝子ファミリー(3−07、3−21、3−23、3−30.5、3−4
8、および3−74)を出発点とする、V BASEおよびフィルターをかけたKabatの頻度分析は、CDR2の位置I51、Y59、A60、およびG65が全ての生殖細胞系遺伝子および大部分の再構成された遺伝子において保存されていることを示し、従って合成されるCDR2において不変でなければならない。上記のKabatの頻度分析は、VH−CDR2が「野生型」コンセンサス配列GISGGTTYYADSVKG(配列番号567)を有することを示した。VH−CDR2の位置54、55、58、61、62、63、64は、生殖細胞においては配列保存を示すが、その後に体細胞変異に供されるので、「固定」したが、親和性成熟の間に変異されるのを許容した。CDR2の初期の多様性については、研究用アミノ酸(下線)を位置50、52、52a、53、56、および57に組み込み(XIXXXGGXXYYADSVKG)(配列番号568)、これを変異誘発、例えばWTMTMにより導入した。
WTMは、ランダム変異誘発と異なり、特定のアミノ酸の既定の配置を可能にする。例えば、位置50、52、53、56、および57においてチロシン(Y)残基(下線)を用いてCDR2のWTMTMを行った場合の、所望の得られるWTMTMCDR2配列は、以下の配列を含むものであった(下線は変更箇所である):単一置換(YIXXXGGXXYYADSVKG(配列番号569)、XIYXXGGXXYYADSVKG(配列番号570)等)、二重置換(YIYXXGGXXYYADSVKG(配列番号571)、YIXXYGGXXYYADSVKG(配列番号572)等)、三重置換(YIXXYGGYXYYADSVKG(配列番号573)等)、四重置換(YIYYYGGXXYYADSVKG(配列番号574)またはYIXYYGGYXYYADSVKG(配列番号575))、五重置換(YIXYYGGYYYYADSVKG(配列番号576))、および六重置換 (YIYYYGGYYYYADSVKG(配列番号577))。典型的には、CDRごとに2〜3置換が好ましく、これは、オリゴヌクレオチド合成ドーピング(例えば技術的な詳細についてはUS20040033569A1を参照のこと)によって容易に達成できた。
9つの事前選択したWTMTMアミノ酸を用いるCDR2に対するWTMTMは、9×26
のライブラリ多様性すなわち576のメンバーを生成した。比較の目的で、20個全てのアミノ酸を用いるCDR2の6つの位置での飽和変異誘発では206すなわち6.4×107となろう。従って、CDR2のみの12カ所の「非固定」の位置において飽和変異誘発を実施すれば、ライブラリの多様性は2012または4×1015となり、これは現在のライブラリディスプレイおよびスクリーニング技術の許容範囲を超えるものであろう。このことは、対照的に、より小さく、しかしより表現力の高いライブラリを構築できるという本発明の利点を示している。事実、本発明の方法は、第一世代の結合分子を同定するために、いくつかのCDRの位置において取扱い可能なライブラリを提供した。他のCDRの位置におけるその後の親和性成熟変異誘発は、同定された結合分子を最適化した。
VH CDR3の多様性を設計するため、Kabatデータベース由来の抗体のCDR3配列を、それらのサイズおよび抗原クラスに従うアラインメントを行った。非タンパク質抗原およびタンパク質/ペプチド抗原を認識する抗体のCDR3の長さをトレンドラインに適合させた。フィルターをかけたKabatデータセット由来の13アミノ酸CDR3配列の頻度分析も行い、10%の閾出現頻度を選択した。CDR3のサイズおよびアミノ酸残基の頻度分析は、例えば免疫グロブリンDおよびJ遺伝子の再構成された配列を用いて行うので、フィルターをかけたKabatとV BASEの直接比較においては「CDR3」生殖細胞系の等価物は存在しない。にもかかわらず、フィルターをかけたKabatデータベースを試験したところ、その検索結果は、CDR3のループサイズに関して、正規分布曲線が6〜24アミノ酸の範囲であり、ピークがおよそ13アミノ酸にあることを示した。興味深いことは、この分析はまた、他の抗原タイプ(すなわち、非タンパク質/ペプチド)を認識する抗体が二峰性のサイズ分布に近いことを示した。この分裂した分布は、一部の抗体が低分子(すなわちハプテン)の方にバイアスがかかっており、一部がそれより大きな抗原(複合多糖、DNA)に対して標的化されているという異種集団であることに起因する。
CDR3の位置についてのV BASE−Kabatの並行比較分析を行わずに、各々の再構成されたCDR3のサイズについて、フィルターをかけたKabatの頻度分析を行った。各々のサイズ分類において、そのCDR3の位置において最も高頻度のアミノ酸を列挙することにより、コンセンサス「野生型」配列を得た。驚くべきことに、この「コンセンサス」アプローチは、高い選択圧下の特定のアミノ酸を同定した。例えば、13アミノ酸サイズのCDR3において、位置101はアスパラギン酸で高度に保存されていた。従って、VH−CDR1およびVH−CDR2の多様性の設計に関して上述したように、D101は、合成される13アミノ酸のVH−CDR3において「固定」残基の位置として維持した。しかし、VH−CDR3の位置96、98、100c、および102は、いくつかのアミノ酸に対して高い優先性を示し、従って予備的に「固定」するが、その後の親和性成熟の間に変異させた。この頻度分布は、CDR3の位置96、97、99、100、100a、100b、100d、および100eがいかなる優先的アミノ酸も示さなかったことを示す。従って、13アミノ酸CDR3配列においては、式 XGXSXXXXYXXDY(配列番号578)が、例えば変異誘発、例えばWTMを用いる多様性の部位である位置(下線)を表す。同様の分析を、8〜20アミノ酸の間の全てのサイズのCDR3配列について行うことができた。このサイズ範囲は、タンパク質性標的/抗原を認識する抗体のCDR3において見出される長さの多様性の大部分を包含した。
実施例3
完全照合UALレパートリーの構築
上記の実施例に記載されるように、CDRの位置的頻度分析は、本発明の方法において使用するための参照ライブラリを構築するのに使用され得る。完全照合UALレパートリーの作製は、まず、このようなCDRの位置的頻度分析から推測される全てのコンビナトリアルCDR配列の生成を必要とする。このような位置的頻度分析を、各々の適用可能な抗体鎖、重鎖または軽鎖(軽鎖についてはカッパクラスまたはラムダクラス)の各CDR(CDR1、CDR2、およびCDR3)について行った。次いで、これらのコンビナトリアルCDR配列を、全ての重鎖および軽鎖について個別に、フレームワークおよびアイソタイプを一致させたポリペプチドとして構築した。重鎖のアイソタイプにはVH−1、VH−3、およびVH−4が含まれ、カッパ軽鎖のアイソタイプにはVK−1およびVK−3が含まれ、ラムダ軽鎖のアイソタイプにはVL−1、VL−2、およびVL−3が含まれた。UAL全体のアイソタイプマッチングの代わりに、CDR配列を「フレームワークシャッフル(framework shuffled)」させる場合もあり、これは、UALが、あるアイソタイプクラス由来のCDR1が別のアイソタイプクラス由来のCDR2に融合されたもの(例えば単一の構築されたUAL内にVk1由来のCDRL1およびVk3由来のCDRL2)を含み得ることを意味する。完全照合UALの構築は、次いで、上記のようにして誘導された抗体の重鎖および軽鎖の全ての組み合わせの生成を必要とする(図3参照)。
CDRクラスをその天然のフレームワークにマッチングさせることで、CDR参照ライブラリに示される配列の範囲を画定できた。このようなフレームワークおよび例示のVH
、Vκ、およびVλ配列についてのCDR配列のグループ化を図5に示す。次いで、CDR参照ライブラリ配列の組み合わせを行いUALを得た。図6は、CDR1およびCDR2において、VH−1クラスとVH−3クラスの間でフレームワークアイソタイプの混合(「フレームワーク交配(framework crosses)」と称する)を行うプロセスを介する、重鎖配列から重鎖UALを構築する例を示す。同様に、図7は、CDR1およびCDR2において、VK−1クラスとVK−3クラスの間でフレームワーク交配を行うプロセスを用いる、CDR参照配列からのVκ軽鎖UALの構築の例を示す。最後に、図8は、CDR1配列およびCDR2配列においてVL−1クラス、VL−2クラス、およびVL−3クラスの間でフレームワーク交配を行うプロセスを用いる、CDR参照配列からのVκ軽鎖UALの構築の例を示す。
抗体配列情報のカノニカルクラスへの細分類も行ったところ、得られるCDR参照ライブラリに示される配列の範囲をさらに変化させる効果があった。例えば、12アミノ酸長のVH−4 CDR2ライブラリについては、4つの異なるカノニカル構造が存在し、各カノニカル構造は、その集団におけるばらつきを示す、それらCDR残基の位置についての異なる集団優性値(population prevalence values)を明らかにした(図9参照)。
実施例4
マウスプローブのCDRドメインからの例示の抗VEGFコホート抗体ライブラリの同定および作製
参照ライブラリ、例えばユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)からのコホートライブラリの選択は、クエリーCDRペプチド配列と参照ライブラリ(例えばUAL)CDRペプチド配列のアラインメントおよび比較を通じて進めた。どのようなモノクローナル抗体(複数のモノクローナル抗体を含む)も、このようなコホートライブラリの構築のためのクエリーCDR配列を提供することができた。本実施例において、コホート抗体ライブラリの中に構築することができるコホートCDRライブラリを、例としてマウス抗VEGFモノクローナル抗体(Avastin A4.6.1)を用いて作製した。得られるコホートライブラリの構築の間の、全ての残基の比較において同一基準を使用した。
マウスのAvastin A4.6.1モノクローナル抗体のCDR1配列は、「TNYGMN」(配列比較13)であることを決定した。この場合のCDR1は、接触点の定義に従って規定した。このCDR1配列を、二つの別個のユニバーサル抗体ライブラリ(UAL)、VH−1およびVH−3に存在するCDR1ドメインの多様性との比較のためのクエリーペプチド配列として使用した。これらの比較の結果を図10ならびに表1および2に要約する。
上記表のアラインメントは、二つの参照UAL、VH−1およびVH−3で見られる既知の優先的な配列の多様性とクエリー配列との、個別の、位置ごと比較を行ったものである。表1に示される比較については、マウスクエリー配列(「マウスプローブ」)「TNYGMN」(配列番号13)の各残基が、調査した参照UALにおける対応する位置で見出され、従ってそのCDR1の位置における既知の優先的な残基に相当する。従って、「TNYGMN」(配列番号14)配列全体が参照UALに存在し、その比較は、クエリー配列に対応する最適なCDR1コホートライブラリを作製するのにUALから追加の多様性を選択する必要がないという結果を出した。(マウスプローブ「TNYGMN」(配列番号13)配列の各残基はヒトCDR1 VH−1 UALにおいて同じ位置に存在する既知の残基と同一であったが、この発見は「TNYGMN」(配列番号14)配列全体が天然に存在するヒトCDR1配列であることを示すものでなかったことに留意することが重要である。従って、調査した参照UALがクエリー配列との「完全一致」を含むという発見は、クエリー配列が参照UALの構築前に既知の天然に存在する配列であったということを意味するのではない。)
クエリー配列「TNYGMN」(配列番号13)と参照VH−3 CDR1 UALの間でも比較を行った(表2)。この比較において、参照VH−3 CDR1 UALは、CDR1の最初の位置にスレオニン(T)残基を含まず、その代わりにセリン(S)およびアスパラギン(N)残基のみを含んでいた。従って、最適なCDR1コホートライブラリの多様性は、配列「SNYGMN」(配列番号246)および「NNYGMN」(配列番号579)を用いて得られ、従ってマウスAvastin A4.6.1モノクローナル抗体の参照VH−3 CDR1 UAL由来のコホートライブラリについては多様性が2であった。
さらに、Avastin A4.6.1モノクローナル抗体のCDR2配列「WMGWINTYTGEPT」(配列番号16)をクエリー配列として使用してCDR2コホートライブラリを作製した。この配列とVH−1およびVH−3 UALに存在するCDR2の多様性とのアラインメントを行い、これらの比較の結果をそれぞれ図11ならびに表3および4に示した。
上記の表3に示されるように、マウスAvastin A4.6.1重鎖CDR2とVH−1 UALのCDR2ドメインのアラインメントは、CDR2クエリー配列の最初の6つ、8番目、および10番目の残基が、UALにおける同じ位置に同一残基が存在することを明らかにした。UALは、7番目の位置に優先的に使用される残基としてスレオニン(T)を含まず、その代わりにこの位置にプロリン(P)およびアラニン(A)を含み、この位置における多様性に対する最終的な効果は2であった。CDR2クエリー配列の9番目の位置におけるスレオニン(T)残基もまた、UALのこの位置に存在する残基と一致せず、UALはその代わり、この位置に共通して存在する残基としてフェニルアラニン(F)、セリン(S)、アルギニン(N)、およびグリシン(G)を含んでいた。この参照UALからコホートライブラリを作製する目的上、この不一致の多様性への効果は4であった。CDR2クエリー配列の最後の三つの残基を検討したところ、多様性への効果が、それぞれ、5(クエリー配列のグルタミン酸(E)はこの位置のUALのスレオニン(T)、アルギニン(ン)、グリシン(G)、セリン(S)、またはアスパラギン酸(D)残基と一致しなかった)、2(クエリー配列のプロリン(P)はこの位置のUALのスレオニン(T)またはアラニン(A)残基と一致しなかった)、および4(クエリー配列のスレオニン(T)はこの位置のUALのアルギニン(N)、リジン(K)、セリン(S)、またはグリシン(G)残基と一致しなかった)であった。従って、ヒトVH−1 CDR2 UAL由来の最適なコホートライブラリは、配列「W−M−G−W−I−N−P/A−Y−F/S/N/G−G−T/N/G/S/D−T/A−N/K/S/G」(配列番号17)を有し、かつこれはウォークスルー型もしくはルックスルー型の変異誘発または他のこのような技術を用いて生成することができた。このようなコホートライブラリの総多様性は、この配列内の可変性の残基(7番目、9番目、および11〜13番目)の独立組み合わせの結果であり、その積は2×4×5×2×4=320となった。コホートライブラリの構築において本発明の方法を用いてUAL(または関連形式の参照ライブラリ)に対するクエリーを行う利点は、このコホートライブラリ配列内の5つの可変部位のランダム化が3.2×106の異なる配列を生じ、この10,000倍の多様性の増加が潜在的に免疫反応性のCDR2配列の形態においてノイズを追加するにすぎないものである可能性が高いことを考慮すれば理解されよう。
マウスAvastin A4.6.1重鎖CDR2のクエリー配列とVH−3 UALのCDR2ドメインの比較を行う上で本発明の方法を使用することで、配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−E−T/K/I−Y/N/F/H」(配列番号18)を得た。この配列により示されるコホートライブラリは、7056の多様性を有した。この結果を導き出したアラインメントの詳細は上記の表4に示されている。
本発明の方法をAvastin A4.6.1重鎖CDR3クエリー配列にも適用して、VH CDR3 UALからコホート配列「A−K−G/D/E/R/A/H/V/T−P−H−Y−Y−G−S−S−H−W−Y−F−D」(配列番号20)を同定した。このコホート配列は、8の多様性を有した。この結果を導き出したアラインメントの詳細を表5に示す。
本発明の方法をAvastin A4.6.1モノクローナル抗体の軽鎖CDR配列に適用することで、全てのこのような軽鎖CDRドメインについてCDRコホートライブラリ配列を得た。マウスAvastin A4.6.1抗体におけるカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3の配列は、それぞれ、「SNYLNWY」(配列番号21)、「VLIYFTSSLH」(配列番号23)、および「QQYSTVPW」(配列番号26)であった。本発明の方法をマウスAvastin A4.6.1カッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ「S−N−Y−L−N−W−Y」(配列番号22)(多様性なし)および「S−N−Y−L−A−W−Y」(配列番号249)(多様性1)のコホートライブラリ配列を得た。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してマウスAvastin A4.6.1カッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を利用することで、多様性が20のコホートライブラリ配列「L/R−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−S−L−Q/E」(配列番号24)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により、多様性が2のコホートCDRライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−T−S−S−R−A」(配列番号25)を得た。クエリー配列としてマウスACZ885 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとアラインメントを行った場合、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y−S−T−Y/T/S/L/W/F−P−W」(配列番号27)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは6の多様性を有した。
様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖(例えばIgG、IgM、IgA、IgD、IgE)および軽鎖(例えばカッパまたはラムダ)ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせにより、図12およびマウスAvastin A4.6.1クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについては表6に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。このようなライブラリの合成は、例えばルックスルー型および/またはウォークスルー型の変異誘発等の技術を用いて行うことができ、全長構成鎖および/または抗体の合成には、遺伝子のシングル・オーバーラップ・エクステンション(SOE)PCR、クンケル型変異誘発、またはこのような融合タンパク質を作製するためのその他の公知の技術等の技術を利用することができる。
実施例5
マウスプローブ抗HIV gp41モノクローナル41−S−2−LCDRドメインからのカッパ軽鎖CDRコホートライブラリの同定および作製
マウス抗HIV gp41モノクローナル抗体41−S−2−Lのカッパ軽鎖配列を獲得した。これらの軽鎖配列における触媒性の三つ組を同定したところ、カッパ軽鎖のCDR1およびCDR3ドメイン内の残基を含んでいた。この抗体のカッパ鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「LYSNGNTYLYWF」(配列番号29)、「LLIYRLFHLA」(配列番号30)、および「MQHLEYPYT」(配列番号31)であった(下線は触媒性の三つ組の残基である)(図14A参照)。触媒性の三つ組を保存するため、コホートライブラリ配列がこれらの残基(下線)をCDR1およびCDR3のこれらの位置におけるマウスクエリー配列の残基として固定することを決定した。さらに、ギャップ導入アラインメントは、この抗体のマウスCDR1クエリー配列が、7アミノ酸残基長のヒトカッパ鎖CDR1 UAL構成要素と比較した場合に、5残基(「YSNGN」)(配列番号580)の挿入を含むことを明らかにした。マウスCDR1クエリー配列配列に対して本発明の方法を適用し、参照VK−1 CDR1−7およびVK−3 CDR1−7 UALと比較することにより、それぞれ、配列「S/R/G/N/Y−YSNGN−N−Y−L−A/N−W−Y」(配列番号33)および「S/G/N−YSNGN−T−Y−L−A−W−Y」(配列番号34)のコホートライブラリを獲得した(図14B〜C参照)。これらのコホートライブラリの多様性は、それぞれ、10および3であった。マウス抗HIV gp41 CDR1において見出された挿入はまた、この配列と8ペプチド長のCDR1 UAL構成要素との比較を可能にした。マウスCDR1クエリー配列と参照ライブラリVK−3 CDR1−8の間の比較により、「S−YSNG−N−T−Y−L−A−W−Y」(配列番号36)のコホートライブラリCDR1配列を得た(図14C)。本発明の方法により、マウス抗HIV gp41カッパ軽鎖CDR2クエリー配列とヒトVK−1およびVK−3 CDR2参照ライブラリの比較も行い、それぞれ、配列「L−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−I/S/T/N−L−Q/E」(配列番号37)および「L−L−I−Y−G/D−A/T−S−S/T/N−R−A」(配列番号38)のコホートカッパ鎖CDR2ライブラリを得た(図14D)。これらのコホートライブラリは、それぞれ、40および12の多様性を有した。マウス抗HIV gp41カッパ軽鎖CDR3クエリー配列とヒトVK CDR3−9参照ライブラリの並行比較により、配列「Q−Q−H−S/D/Y/N/G−D/G/T/N/S−Y−P−P/L/R/S/T−T」(配列番号39)のカッパ鎖CDR3コホートライブラリを得た(触媒性の三つ組を保存するため三番目の位置のヒスチジン残基を固定した;図14E。このヒスチジン残基を固定した場合、クエリー配列と参照ライブラリ配列との間で不連続アラインメントを行った(クエリー配列と参照ライブラリ配列の間の残基1、2、および4〜9のみの比較を構成する)ことに留意されたい。CDR3の最初の三残基をクエリー配列の残基「M−Q−H」に固定する選択をした場合、クエリーおよび参照ライブラリの残基4〜9のみのアラインメントが望ましい、従って部分アラインメントを構成したことにも留意されたい)。このCDR3コホートライブラリは125の多様性を有した。
本実施例においては、触媒活性は抗体の軽鎖に存在するので、重鎖の残基はコホートライブラリにおいて変化させずに残した。従って、この抗体について作製されたコホートライブラリの全体の多様性の値は、軽鎖の多様性の値により表され、これはK1およびK3コホートについて、それぞれ、50,000および4500であった。
実施例6
ヒトプローブHK14 CDRドメインからのカッパ軽鎖CDRコホートライブラリの同定および作製
ヒトHK14抗体におけるカッパ軽鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「IFNLSWY」(配列番号41)、「LVLYAASTLQ」(配列番号42)、および「QQSYILPPT」(配列番号43)であった(図15A)。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALと比較することにより、「S/R/G/N/Y−N−Y/W/D/S−L−A/N−W−Y」(配列番号581)のコホートライブラリ配列を得た。このコホートライブラリ配列は40の多様性を有していた。本発明を用いた「IFNLSWY」(配列番号41)のCDR1配列とヒトVK−3 CDR1−7 UALの比較により、多様性が9のコホート配列「S/G/N−S/N/T−N−L−A−W−Y」(配列番号44)を得た(図15B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、クエリー配列と同一のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−A−A−S−T−L−Q」(配列番号635)を得、VK−3 CDR2ライブラリに対する同配列のクエリーにより、多様性が2の配列「L−L−I−Y−G/D−A−S−T−R−A」(配列番号45)を得た(図15C)。クエリー配列としてHK14 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことで、「Q−Q−S−Y−S/N/T/G/D−Y/T/S/W−P−P−T」(配列番号46)のコホートライブラリCDR3配列を得た(図15D)。このカッパ鎖CDR3ライブラリは、20の多様性を有していた。
上記の41−S−2−L抗体の場合と同様、触媒活性は抗体の軽鎖に存在するので、重鎖の残基はコホートライブラリにおいて変化させずに残した。従って、この抗体について作製されたコホートライブラリの全体の多様性の値は、軽鎖の多様性の値により表され、これはK1およびK3コホートについて、それぞれ、800および360であった。
実施例7
プローブCDRドメインからのAAV293 MCP−1コホート抗体ライブラリの同定および作製
ヒトAAV293 MCP−1抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SHYWMS」(配列番号47)、「WVANIEQDGSEKY」(配列番号51)、および「ARDLDGYTD」(配列番号54)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1
UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−S/N/D/T−Y−W−M−S」(配列番号48)(多様性4)および「S−S/G/N/D−Y−A/Y/G/D−M−S」(配列番号50)(多様性16)のコホートライブラリ配列を得た(図16A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が4320のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N/I/S−P/A−I/N/S/Y/G/M−G−G−T/N/G/S/D−T/A−N/K/S/G」(配列番号52)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が4のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−A−N−I−S/K/W/N−Q−D−G−S−E−K−Y」(配列番号53)を得た。クエリー配列としてAAV293 MCP−1 CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−D−L−G/S/V/Y/R/T/N/I/L/Q−G−Y−F/L/G/S/M/A/I/P−D」(配列番号55)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは80の多様性を有していた。
ヒトAAV293 MCP−1抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SSALAWY」(配列番号56)、「LLIYDASSLE」(配列番号59)、および「QQFNSYPL」(配列番号61)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびヒトVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−S−Y/W/D/S−L−A−W−Y」(配列番号57)(多様性4)および「S−S−N/Y−L−A−W−Y」(配列番号58)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図16B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、クエリー配列と同一のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−D−A−S−S−L−E」(配列番号60)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が1のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−D−A−S−S−R−A」(配列番号582)を得た。クエリー配列としてAAV293 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y/S/A/G/R−N−S−Y−P−L」(配列番号62)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは5の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行うことができた。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、ヒトAAV293 MCP−1抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表7に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例8
マウスプローブCDRドメインからのヒトACZ885コホート抗体ライブラリの同定および作製
マウスACZ885抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SVYGMN」(配列番号63)、「WVAIIWYDGDNQY」(配列番号66)、および「ARDLRTGPFD」(配列番号69)であった。本発明の方法をマウスACZ885重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−S/N/D/T−Y−G−M−N」(配列番号64)(多様性4)および「S−S/G/N/D−Y−G−M−N」(配列番号65)(多様性4)のコホートライブラリ配列を得た(図17A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が216のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N/I/S−P/A−I/N/S/Y/G/M−G−D−N−T/A−N/K/S/G」(配列番号67)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が21のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−A−V/A/N/G/Y/S/T−I−W−Y−D−G−D−N−T/K/I−Y」(配列番号583)を得た。クエリー配列としてマウスACZ885重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−D−L−R−G/S/A/D/L/Y/V/I/P/Q−G−P−F−D」(配列番号70)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは10の多様性を有していた。
マウスACZ885抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「GSSLHWY」(配列番号71)、「LLIKYASQSF」(配列番号74)、および「HQSSSLPF」(配列番号77)であった。本発明の方法をマウスACZ885カッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびヒトVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/R/G/N/Y−S−S−L−A/N−W−Y」(配列番号72)(多様性10)および「G−S−N/Y−L−A−W−Y」(配列番号73)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図17B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が40のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−I/S/T/N−L−Q/E」(配列番号75)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が6のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−A−S−S/T/N−R−A」(配列番号76)を得た。クエリー配列としてマウスACZ885 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q/M−Q−S−S−S−L−P−F」(配列番号78)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは2の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、マウスACZ885抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表8に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例9
プローブCDRドメインからのヒトgp120 ITH52オリゴコホート抗体ライブラリの同定および作製
ヒトgp120 ITH52オリゴ抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SDYGVS」(配列番号79)、「WLSGISGGGSTVY」(配列番号82)、および「ARDLRTGPFD」(配列番号85)であった。本発明の方法をgp120 ITH52オリゴ抗体の重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−D−Y−G−M−S」(配列番号80)(多様性1)および「S−D−Y−G−I/M−S」(配列番号81)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図18A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が16のコホートライブラリ配列「W−M−G−G−I−S−P/A−G−G−G−T−T/A−N/K/S/G」(配列番号83)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が9のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S−G−I−S−G−D/S/N−G−S−T−T/K/I−Y」(配列番号84)を得た。クエリー配列としてgp120 ITH52オリゴ抗体の重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−G−R−G−G−Y−F/L/G/S/M/A/I/P−D」(配列番号86)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは8の多様性を有していた。
ヒトgp120 ITH52オリゴ抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「GSYLAWY」(配列番号87)、「SLIYAASSLQ」(配列番号89)、および「QQYNSYPI」(配列番号92)であった。本発明の方法をgp120 ITH52オリゴ抗体のカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびヒトVK−3 CDR1 UALと比較することにより、「G−S−Y−L−A−W−Y」(配列番号88)(多様性なし)の同一のコホートライブラリ配列を得た(図18B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が2のコホートライブラリ配列「L/R−L−I−Y−A−A−S−S−L−Q」(配列番号90)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が2のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−A−S−S−R−A」(配列番号91)を得た。クエリー配列としてgp120 ITH52オリゴ抗体CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、追加の多様性のないコホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y−N−S−Y−P−I」(配列番号93)を得た。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、ヒトgp120 ITH52オリゴ抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表9に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例10
プローブCDRドメインからのヒトscFv gp120コホート抗体ライブラリの同定および作製
ヒトscFv gp120抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SNFVIH」(配列番号94)、「WVGWINPYNGNKE」(配列番号97)、および「ARVGPYSWDDSPQDNYYMD」(配列番号100)であった。本発明の方法をscFv gp120抗体の重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−N−Y/A/S−A/G/W/Y−M−H」(配列番号95)(多様性12)および「S−N−Y−A/Y/G/D−I−H」(配列番号96)(多様性4)のコホートライブラリ配列を得た(図19A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が8のコホートライブラリ配列「W−M−G−W−I−N−P−Y−N−G−N−T/A−N/K/S/G」(配列番号98)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が7056のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−N−K−Y/N/F/H」(配列番号99)を得た。クエリー配列としてscFv gp120抗体の重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−V−G−P−Y−S−W−D−D−S−P−Q−D−N−Y−Y−M−D」(配列番号101)(多様性なし)を得た。
scFv gp120抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「RSRRVAWY」(配列番号102)、「LLIYGVSNRA」(配列番号104)、および「QVYGASSY」(配列番号107)であった。本発明の方法をscFv gp120抗体のカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−3 CDR1 UALと比較することにより、「S/N−S/N−S/N/T−Y−L−A−W−Y」(配列番号103)(多様性12)のコホートライブラリ配列を得た。ヒトVK−3 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が2のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A/T−S−N−R−A」(配列番号106)を得、ヒトVK−1 CDR2 UALに対するこの配列の問い合わせにより多様性が2の別個のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A−S−N−L−Q/E」(配列番号105)を得た(図19B)。クエリー配列としてscFv gp120抗体CDR3を使用し、VK CDR3
UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y−G−S/N/T/H/Q/G−S−P−Y」(配列番号108)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは6の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、scFv gp120抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表10に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例11
プローブCDRドメインからのHerceptin 4D5コホート抗体ライブラリの同定および作製
ヒトHerceptin 4D5抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「KDTYIH」(配列番号109)、「WIGRIYPTNGYTR」(配列番号112)、および「SRWGGDGFYAMD」(配列番号115)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/N−D−Y/A/S−Y−M−H」(配列番号110)(多様性6)および「T/S−D−Y−Y−I−H」(配列番号111)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図20A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が360のコホートライブラリ配列「W−M−G−R−I−N/I/S−P−I/N/S/Y/G/M−N−G−T/N/G/S/D−T−N/K/S/G」(配列番号113)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が9408のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−S/K/W/N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−Y−T−Y/N/F/H」(配列番号114)を得た。クエリー配列としてHerceptin 4D5重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−G/D/E/R/V/A−G−G−D−G−S/G/Y/L/T/A/R/D/E/N−Y−A−M−D」(配列番号116)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは60の多様性を有していた。
Herceptin 4D5抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「NTAVAWY」(配列番号117)、「LLIYSASFRY」(配列番号120)、および「QQHYTTPP」(配列番号122)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「N−T−Y/W/D/S−L−A−W−Y」(配列番号118)(多様性4)および「N−T−N/Y−L−A−W−Y」(配列番号119)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図20B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が8のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−S−A−S−I/S/T/N−L−Q/E」(配列番号121)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が12のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−A/T−S−S/T/N−R−A」(配列番号122)を得た。クエリー配列としてHerceptin 4D5 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y/S/A/G/R−Y−T−T−P−L/Y/W/R/F/I」(配列番号124)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは30の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、Herceptin 4D5抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表11に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例12
プローブCDRドメインからのCD19 HD37コホート抗体ライブラリの同定および作製
ヒトCD19 HD37抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SSYWMN」(配列番号125)、「WIGQIWPGDGDTN」(配列番号128)、および「ARRETTTVGRYYYAMD」(配列番号131)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−S−Y−W−M−N」(配列番号126)(多様性なし)および「S−S−Y−A/Y/G/D−M−N」(配列番号127)(多様性4)のコホートライブラリ配列を得た(図21A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が36のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N/I/S−P−G−F/S/N/G−G−D−T−N」(配列番号129)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH
−3 CDR2 UALの比較により多様性が2352のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−S/K/W/N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−D−T−N」(配列番号130)を得た。クエリー配列としてCD19 HD37の重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、多様性が9のコホートライブラリCDR3配列「A−R−R−E−T−T−T−G/S/Y/A/T/D/R/F/W−G−R−Y−Y−Y−A−M−D」(配列番号12)を得た。
CD19 HD37抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「VTYVSWY」(配列番号133)、「LLIYGASNRY」(配列番号136)、および「GQGYSYPY」(配列番号139)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/R/G/N/Y−T−Y−L−A/N−W−Y」(配列番号134)(多様性10)および「S/G/N−T−Y−L−A−W−Y」(配列番号135)(多様性3)のコホートライブラリ配列を得た(図21B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が2のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A−S−N−L−Q/E」(配列番号137)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が1のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A−S−N−R−A」(配列番号138)を得た。クエリー配列としてCD19 HD37 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q/M−Q−G−Y−S−Y−P−Y」(配列番号140)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは2の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、ヒトCD19 HD37抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表12に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例13
マウスプローブCDRドメインからのヒトCD8 g10−1コホート抗体ライブラリの同定および作製
マウスCD8 g10−1抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「TDYYMK」(配列番号141)、「WIGHINPNNDDTF」(配列番号144)、および「VRDDYDGGWFA」(配列番号147)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/N−D−Y−Y−M−S/H/N」(配列番号142)(多様性6)および「T−D−Y−Y−M−S/H/N」(配列番号143)(多様性3)のコホートライブラリ配列を得た(図22A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が12のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N−P−N−N−G−D−T−N/K/S/G」(配列番号145)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が196のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−N−G/Y/S/Q/W/N/F−N−G/S−D−D−T−F」(配列番号146)を得た。クエリー配列としてCD8 g10−1重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「V−R−D−D−Y−D−G−G−W−F−D/G」(配列番号148)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは2の多様性を有していた。
CD8 g10−1抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「NNYLNWY」(配列番号149)、「LLIYTSRSSY」(配列番号152)、および「QQGKTLPW」(配列番号155)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「N−N−Y−L−N−W−Y」(配列番号156)(多様性なし)および「N−N−Y−L−A−W−Y」(配列番号151)(多様性1)のコホートライブラリ配列を得た(図22B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が10のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−S−L−Q/E」(配列番号153)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が4のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−A/T−S−S−R−A」(配列番号154)を得た。クエリー配列としてCD8 g10−1カッパ鎖 CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−G−Y/N/G/S/D/T/L−T−L−P−W」(配列番号156)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは7の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、ヒトCD8 g10−1抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表13に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例14
マウスプローブCDRドメインからのヒト5G1.1 C5コホート抗体ライブラリの同定および作製
マウス5G1.1 C5抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SNYWIQ」(配列番号157)、「WIGEILPGSGSTE」(配列番号160)、および「ARYFFGSSPNWYFD」(配列番号163)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−N−Y−W−M−S/H/N」(配列番号158)(多様性3)および「S−N−Y−A/Y/G/D−I−H/S/N」(配列番号159)(多様性12)のコホートライブラリ配列を得た(図23A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が36のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N/I/S−P−G−S−G−S−T−N/K/S/G」(配列番号161)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が4704のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−S/K/W/N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−S−G−S−T−Y/N/F/H」(配列番号162)を得た。クエリー配列としてマウス5G1.1 C5重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−D/G/E/A/S/R/T/V/H−R/G/L/P/S/A/T/Q/H/I/K−G/Y/L/R/I/V/A/P/S/D/T/E−G−S−S−P−Y/G/D/S/T/F/A/P/E/L/R−W−Y−F−D」(配列番号164)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは13,068の多様性を有していた。
マウス5G1.1 C5抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「TGALNWY」(配列番号165)、「LLIYGATNLA」(配列番号168)、および「QNVLNTPL」(配列番号171)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/R/G/N/Y−N/S/T/K−Y/W/D/S−L−N−W−Y」(配列番号166)(多様性80)および「S/G/N−S/N/T−N/Y−L−A−W−Y」(配列番号167)(多様性18)のコホートライブラリ配列を得た(図23B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が2のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A−S−N−L−Q/E」(配列番号169)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が1のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A−S−N−R−A」(配列番号170)を得た。クエリー配列としてマウス5G1.1 C5カッパ鎖CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y/S/A/G/R−L−N−T−P−L」(配列番号172)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは5の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、マウス5G1.1 C5抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表14に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例15
マウスプローブCDRドメインからのヒトReopro 7E3コホート抗体ライブラリの同定および作製
マウスReopro 7E3抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「KDTYVH」(配列番号173)、「WIGRIDPANGYTK」(配列番号176)、および「VRPLYDYYAMD」(配列番号179)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/N−D−Y/A/S−Y−M−H」(配列番号174)(多様性6)および「T/S−D−Y−Y−I/M−H」(配列番号175)(多様性4)のコホートライブラリ配列を得た(図24A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が90のコホートライブラリ配
列「W−M−G−R−I−N/I/S−P−I/N/S/Y/G/M−N−G−T/N/G/S/D−T−K」(配列番号177)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が9408のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−S/K/W/N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−Y−T−Y/N/F/H」(配列番号178)を得た。クエリー配列としてマウスReopro 7E3重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「V−R−D/K/G/I/A/E/L/R/N−L−Y−D−Y−Y−A−M−D」(配列番号180)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは9の多様性を有していた。
マウスReopro 7E3抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SSNIGWL」(配列番号181)、「GLIYYGTNLV」(配列番号184)、および「VQYAQLPY」(配列番号187)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−S−Y/W/D/S−L−A/N−W−Y」(配列番号182)(多様性8)および「S−S−N−L−A−W−Y」(配列番号183)(多様性1)のコホートライブラリ配列を得た(図24B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が20のコホートライブラリ配列「L/R−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−N−L−Q/E」(配列番号185)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が4のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−T/A−S−N−R−A」(配列番号186)を得た。クエリー配列としてマウスReopro 7E3のカッパ鎖CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q/M−Q−Y−Y/N/G/S/D/T/L−Q−L−P−Y」(配列番号188)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは14の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、マウスReopro 7E3抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表15に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例16
マウスプローブCDRドメインからのヒトRaptiva MHM24コホート抗体ライブラリの同定および作製
マウスRaptiva MHM24抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「TGHWMN」(配列番号189)、「WIGMIHPSDSETR」(配列番号192)、および「ARGIYFYGTTYFD」(配列番号195)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/N−S/N/D/T−Y/A/S−W−M−N」(多様性24)および「T−G−Y−A/Y/G/D−M−N」(配列番号191)(多様性4)のコホートライブラリ配列を得た(図25A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が720のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N/I/S−P−S−F/S/N/G−G−T/N/G/S/D−T−N/K/S/G」(配列番号193)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が3136のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−S/K/W/N−G/Y/S/Q/W/N/F−S−G/S−S−E−T−Y/N/F/H」(配列番号194)を得た。クエリー配列としてマウスRaptiva MHM24重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−G−I−Y−G/S/T/Y/D/P/I/L/V/R−Y−G−T−G/Y/N/P/S/A/D/R/F−Y−F−D」(配列番号196)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは90の多様性を有していた。
マウスRaptiva MHM24抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SKYLAWY」(配列番号197)、「LLIYSGSTLQ」(配列番号200)、および「QQHNEYPL」(配列番号203)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−K−Y−L−A−W−Y」(配列番号198)(多様性なし)および「S−S/N/T−Y−L−A−W−Y」(配列番号199)(多様性3)のコホートライブラリ配列を得た(図25B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が1のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−S−A−S−T−L−Q」(配列番号201)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が4のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−T/A−S−T−R−A」(配列番号202)を得た。クエリー配列としてマウスRaptiva MHM24カッパ鎖CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y/S/A/G/R−N−S/N/T/H/Q/G−Y−P−L」(配列番号204)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは30の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、マウスRaptiva MHM24抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表16に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例17
プローブCDRドメインからのマウスオボアルブミンコホート抗体ライブラリの同定および作製
マウスオボアルブミン抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「TDYNMD」(配列番号205)、「WIGDINPSNGYTI」(配列番号209)、および「ARSGYGSRHPPGFA」(配列番号212)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/N−D−Y−A/G/W/Y−M−S/H/N」(多様性24)および「T−D−Y−A/Y/G/D−M−H/S/N」(配列番号585)(多様性12)のコホートライブラリ配列を得た(図26A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が60のコホートライブラリ配列「W−M−G−W/G/R−I−N−P−S−N−G−T/N/G/S/D−T−N/K/S/G」(配列番号210)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が2352のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−N−G/Y/S/Q/W/N/F−S−G/S−G−Y−T−Y/N/F/H」(配列番号211)を得た。クエリー配列としてオボアルブミン重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「A−R−S−G−Y−G−S−N/D/A/V/L/Y/T/S/G−V/I/E/P/L/T/A/Y/S/G−P−T/A/W/D/R/N/S/G/Y−G−F−A」(配列番号213)を得た。この重鎖CDR3コホートライブラリは810の多様性を有していた。
オボアルブミン抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「DSYGNSFMHWY」(配列番号586)、「LLIYLASNLE」(配列番号587)、および「QQNIEDPF」(配列番号588)であった。抗オボアルブミンCDR1は11個のアミノ酸を有するので、挿入分析(insertional analysis)またはフレームワークが一致する生殖細胞系CDR配列(CDR1については「SNYLAWF」(589))の使用のいずれかを行った。従って、VK−1 CDR1については本発明の方法によりコホート配列または多様性情報を生成しなかった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−3 CDR1 UALと比較することにより、「S/N−S−S/N/T−Y−L−A−W−Y」(配列番号215)(多様性6)のコホートライブラリ配列を得た(図26B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が2のコホートライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A−S−N−L−Q/E」(配列番号217)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が2のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G−A/T−S−N−R−A」(配列番号218)を得た。クエリー配列としてオボアルブミン抗体のカッパ鎖CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y−G−S/N/T/H/Q/G−S−P−Y」(配列番号220)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは6の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、オボアルブミン抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表17に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例18
マウスプローブCDRドメインからのヒトTNF−αコホート抗体ライブラリの同定および作製
マウスTNF−αモノクローナル抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「THYGMN」(配列番号221)、「WMGWINTYTGEPT」(配列番号224)、および「ARERGDAMD」(配列番号227)であった。本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH−3 CDR1 UALおよびヒトVH−1 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S/N−S/N/D/T−Y−G−M−N」(配列番号222)(多様性8)および「T−S/G/N/D−Y−G−M−N」(配列番号223)(多様性4)のコホートライブラリ配列を得た(図27A)。ヒトVH−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が320のコホートライブラリ配列「W−M−G−W−I−N−P/A−Y−F/S/N/G−G−T/N/G/S/D−T/A−N/K/S/G」(配列番号225)を得、本発明の方法による重鎖CDR2プローブ配列とヒトVH−3 CDR2 UALの比較により多様性が7056のコホートCDR2ライブラリ配列「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−E−T/K/I−Y/N/F/H」(配列番号226)を得た。クエリー配列としてマウスTNF−α重鎖CDR3を使用し、VH CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、同一の(多様性のない)コホートライブラリCDR3配列「A−R−E−R−G−D−A−M−D」(配列番号228)を得た。
マウスTNF−α抗体のカッパ軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、それぞれ、「SNDVVWY」(配列番号229)、「MLMYSAFNRY」(配列番号232)、および「QQDYNSPR」(配列番号235)であった。本発明の方法をこのカッパ鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVK−1 CDR1 UALおよびVK−3 CDR1 UALと比較することにより、それぞれ、「S−N−D−L−A/N−W−Y」(配列番号230)(多様性2)および「S−N−N/Y−L−A−W−Y」(配列番号231)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図27B)。ヒトVK−1 CDR2 UALに対してカッパ鎖CDR2配列をクエリーするのに本発明を適用することにより、多様性が4のコホートライブラリ配列「L/R−L−I−Y−S−A−S−N−L−Q/E」(配列番号233)を得、本発明の方法によるカッパ鎖CDR2プローブ配列とヒトVK−3 CDR2 UALの比較により多様性が2のコホートCDR2ライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−A−S−N−R−A」(配列番号234)を得た。クエリー配列としてマウスTNF−αのカッパ鎖CDR3を使用し、VK CDR3 UALとのアラインメントを行うことにより、コホートライブラリCDR3配列「Q−Q−Y/S/A/G/R−Y−N−S−P−R」(配列番号236)を得た。このカッパ鎖CDR3ライブラリは5の多様性を有していた。
ここでも、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。このようなコホートCDRライブラリ配列の独立組み合わせにより、マウスTNF−α抗体クエリー配列を用いて作製されたコホートライブラリについて表18に示されるような構成鎖および抗体全体のコホートライブラリの多様性を得た。
本発明の方法を通じて評価した他の抗体と同様、これらの抗体ライブラリの中で最も多様性のあるものですら、現在利用可能な方法を用いて容易にディスプレイおよび/またはスクリーニングできるサイズ(例えば、実質的に約1012未満の多様性)のものであった。
実施例19
コホート配列ライブラリの生成における類似基準の使用
本発明の方法は、コホート抗体ライブラリ配列の生成中、CDR配列内の一つまたはそれ以上の残基の位置で異なる選択基準を適用することができる。(マウス抗HIV gp41モノクローナル抗体41−S−2−Lの触媒性の三つ組残基について)上記の実施例5に記載されるように、クエリーCDR配列の特定残基を「固定」し、従って参照ライブラリのその残基の位置に存在するアミノ酸使用に関わらずコホートライブラリ配列に組み込む場合がある。本発明の方法はさらに、コホート抗体配列の選択の際に、CDR配列の一つまたはそれ以上の残基の位置において類似性に基づく(同一性に基づくのとは対照的な)基準を適用し得る。大部分の実施態様における、類似基準(similarity criteria)と同一基準(identity criteria)の違いは以下の点に要約され得る:同一基準の場合、参照ライブラリの同じ位置においても見られるクエリーCDR配列の残基は固定され(同一のアミノ酸が得られるコホートライブラリ配列に現れる)、対応位置と一致しない残基は、参照ライブラリのその位置の全てのアミノ酸構成要素で置換されるが;それとは対照的に、類似基準の場合、参照ライブラリの同じ位置においても見られるクエリーCDR配列の残基はこちらでも固定されるが、対応位置と一致しない残基は、参照ライブラリの構成要素のアミノ酸がクエリー配列のその残基と「類似する」ことが見出された場合、参照ライブラリのその位置のアミノ酸残基のサブセットと置換され得る(そのような類似性が認められない残基の位置については参照ライブラリの全ての残基がその位置に導入される)。
本実施例においては、天然に存在するアミノ酸を、側鎖化学に基づき以下の7つの類似クラスに分類した(このクラスは図28でも表として示されている)。
小型の側鎖:グリシン(G)、アラニン(A)
求核性:セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、ヒスチジン(H)
疎水性:バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、プロリン(P)
芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)
アミド:アスパラギン(N)、グルタミン(Q)
塩基性:リジン(K)、アルギニン(R)
類似基準と同一基準の違いを、両方の基準をマウス4H6抗DR4抗体に並列で適用することによって説明する。マウス4H6抗DR4モノクローナル抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3の配列は、それぞれ、「TSYGVH」(配列番号237)、「WLGVIWAVGSTN」(配列番号240)、および「AREGEFDYYGSSLLSYHSMN」(配列番号243)であった。類似基準を用いる本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH4_1−1 CDR1 UALと比較することにより、コホートライブラリ配列「T−S−Y−Y/F/S−W−S/T」(配列番号238)(多様性6)を得た(図29)。他方、同じCDR1クエリー配列を同一基準の下で用いる本発明の方法を使用することによっては、コホートライブラリ配列「T−S−Y−Y/F/S−W−S/T/N」(配列番号239)(多様性)を得た。従って、類似基準の使用は、コホートライブラリ配列のCDR1の最後の位置におけるアスパラギンの合理的な排除を実現した(ヒスチジンは参照ライブラリの構成要素であるセリンおよびスレオニンと類似するものとみなされるがアスパラギンと類似であるとはみなされないため)。ヒトVH4_1−1 CDR2 UALに対して重鎖CDR2配列をクエリーするのに類似基準を用いる本発明を適用することにより、多様性が16のコホートライブラリ配列「W−I−G−E/Y−I−Y−H/Q/Y/D−S/R−G−S−T−N」(配列番号241)を得、同一性基準の並列適用によっては、多様性が64のコホートライブラリ配列「W−I−G−E/Y−I−N/Y/S/D−H/Q/Y/D−S/R−G−S−T−N」(配列番号242)を得た。ヒトVH UALに対して重鎖CDR3配列をクエリーするのに類似基準を使用することにより、多様性が2のコホートライブラリ配列「A−R−E−G−D−F−D−Y−F−G−S−S−V−I−S−Y−S−S−M−D/G」(配列番号244)を得、同一基準によっては、多様性が79,200のコホートライブラリ配列「A−R−E−G−Y/P/G/D/L/R/T/H/S−F−D−Y−S/G/N/D/E/V/T/A/F/I/L−G−S−S−Y/S/G/V/T/D/P/W/A/C−T/G/R/S/A/D/E/F/I−S−Y−Y/D/T/S−S−M−D/G」(配列番号245)を得た。従って、類似基準を用いて得られるコホートライブラリの総重鎖多様性は192であり、並列で同一基準を使用して設計された得られるコホートライブラリの総多様性は45,619,200であった。従って、類似基準の使用により、200,000倍を超える総多様性の減少が合理的に生じた。
類似基準および同一基準の比較的適用を、マウス抗VEGFモノクローナル抗体A4.6.1の重鎖および軽鎖のCDR配列についても行った。マウスA4.6.1抗VEGFモノクローナル抗体の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3の配列は、それぞれ、「TNYGMN」(配列番号13)、「WMGWINTYTGEPT」(配列番号16)、および「AKYPHYYGSSHWYFD」(配列番号19)であった。類似基準または同一基準を用いる本発明の方法をこの重鎖CDR1クエリー配列と共に使用し、クエリー配列をヒトVH1 UALと比較することにより、コホートライブラリ配列「T−N−Y−G−M−N」(配列番号14)(多様性1)を得た(図30A)。類似基準を用いて同じクエリー配列とヒトVH3 UALを比較することにより、多様性が1のコホートライブラリ配列「S−N−Y−G−M−N」(配列番号246)を得、同一基準を用いる同じ比較によっては、多様性が2のコホートライブラリ配列「S/N−N−Y−G−M−N」(配列番号15)を得た。重鎖CDR2に対して類似基準を用いる本発明の方法を適用し、VH1およびVH3参照ライブラリと比較することにより、それぞれ、コホート抗体ライブラリ配列「W−M−G−W−I−N−P/A−Y−S−G−D−T/A−S」(配列番号247)(多様性4)および「W−V−A−Y−I−N−S−D/S/N−S−G−E−I−H」(配列番号248)(多様性3)を得た(図30B)。重鎖CDR2に対して同一基準を用いる本発明の方法を並列適用し、VH1およびVH3参照ライブラリと比較することにより、それぞれ、コホート抗体ライブラリ配列「W−M−G−W−I−N−P/A−Y−F/S/N/G−G−T/N/G/S/D−T/A−N/K/S/G」(配列番号17)(多様性320)および「W−V−S/A−V/A/N/G/Y/S/T−I−N−G/Y/S/Q/W/N/F−D/S/N−G/S−G−E−T/K/I−Y/N/F/H」(配列番号18)(多様性7056)を得た。VH CDR3 UALとの比較において、重鎖CDR3に対して類似基準および同一基準を用いる本発明の方法を適用することにより、多様性が8の同一のコホートライブラリ配列「A−K−G/D/E/R/A/H/V/T−P−H−Y−Y−G−S−S−H−W−Y−F−D」(配列番号20)を得た(図30C)。
マウスA4.6.1抗VEGFモノクローナル抗体の軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3の配列は、それぞれ、「SNYLNWY」(配列番号21)、「VLIYFTSSLH」(配列番号23)、および「QQYSTVPW」(配列番号26)であった。軽鎖CDR1の比較により、類似基準を使用したか同一基準を使用したかによらず、軽鎖CDR1クエリー配列とVLκ1およびVLκ3 CDR1 UALの比較についてそれぞれ、コホートライブラリ「S−N−Y−L−N−W−Y」(配列番号22)(多様性1)および「S−N−Y−L−A−W−Y」(配列番号249)(多様性1)を得た(図30D)。クエリー軽鎖CDR1配列をVLλ3 CDR1 UALと比較した場合、類似基準によってはコホートライブラリ「S−K/Q/Y/E−Y−V−H/Y/S/C−W−Y」(配列番号250)(多様性16)が得られ、同一基準によってはコホートライブラリ「S−K/Q/Y/E−Y−A/V−H/Y/S/C−W−Y」(配列番号251)(多様性32)が得られた。類似基準および同一基準の下での軽鎖CDR2とVLκ1 CDR2 UALとの比較によっては、それぞれ、コホートライブラリ「L−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−S−L−Q/E」(配列番号252)(多様性10)および「L/R−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−S−L−Q/E」(配列番号24)(多様性20)が得られた(図30E)。類似基準および同一基準の両方の下での軽鎖CDR2とVLκ3およびVLλ3 CDR2参照ライブラリとの比較によっては、それぞれ、コホートライブラリ配列「L−L−I−Y−G/D−T−S−S−R−A」(配列番号253)(多様性2)および「L−V−I−Y−D/Q/E/K−D/K−S−K/D/E/N−R−P」(配列番号254)(多様性40)が得られた。軽鎖CDR3については、類似基準および多様性基準を用いてクエリー配列とVLκ CDR3参照ライブラリを比較することにより、それぞれ、コホートライブラリ配列「Q−Q−Y−S−T−L−P−W」(配列番号256)(多様性1)および「Q−Q−Y−S−T−Y/T/S/L/W/F−P−W」(配列番号27)(多様性6)を得た。類似基準および多様性基準を用いてCDR3クエリー配列とVLλ CDR3参照ライブラリを比較することによっては、それぞれ、コホートライブラリ配列「Q−S/A/T/I/L−Y−D/Y/H/A−S−S/G/N/D−I/L−W」(配列番号257)(多様性160)および「Q−S/A/T/I/L−Y−D/Y/H/A−S/G/N/R−S/G/N/D−T/A/N/I/S/L/G−W」(多様性2240)を得た(図30F)。同一基準および類似基準の下でのコホートライブラリ配列の総多様性の値を図30Gおよび以下の表19にまとめた。
上記の類似基準を適用すれば、任意の個々の残基の位置においてクエリー配列と参照ライブラリ配列の間で同一一致(identity match)が見出されない場合にのみ、一つまたはそれ以上の類似の残基がコホートライブラリ配列に組み込まれるが、類似基準はまた、クエリー配列と参照ライブラリ配列の間に同一性が存在する位置にも適用できる。このような適用では、参照ライブラリが同一一致および一つまたはそれ以上の類似の残基の両方を含む場合のクエリー配列の残基は、その位置に同一残基および一つまたはそれ以上のそのような類似残基を含むコホート配列を生成する。従って、この「全類似(all similar)」基準の適用は、コホートライブラリの多様性を合理的な様式で拡張するために使用され得、これは、上記の標準的な類似基準を使用した場合よりも大きな総多様性レベルを達成し、おそらくは同一基準のみを用いて達成される多様性よりもずっと大きな合理的に得られる総多様性をもたらす。本発明の一要素として「全類似」基準を用いる効果を、同一の上記抗VEGFモノクローナル抗体(A4.6.1)に対して同一基準、類似基準、および「全類似」基準を適用することによって検証した。重鎖CDR1配列「TNYGMN」(配列番号13)に「全類似」基準を適用し、クエリー配列とVH1参照ライブラリの間で比較を行った場合、「T/S−N−Y−G−M−N」(配列番号259)(多様性2)のコホートライブラリ配列を得た(図31A)。つまり、クエリー配列と参照ライブラリの最初の残基(T)においては完全一致する残基が存在するが、「全類似」基準は、得られるCDR1コホートライブラリ配列の最初の位置においてTまたは類似のアミノ酸であるSのいずれかを使用した。重鎖CDR1クエリー配列とVH3 CDR1参照ライブラリの比較において「全類似」基準を使用することで、コホートライブラリ配列「S−N−Y−G/A−M−N」(配列番号261)を得た。A4.6.1の重鎖CDR2の配列は「WMGWINTYTGEPT」(配列番号16)であった。
「全類似」基準を用いる本発明の方法を用いて、このクエリーCDR2配列をVH1およびVH3 CDR2参照ライブラリと比較することにより、それぞれ、コホートライブラリ配列「W−M−G−W−I−N−P/A−Y−S−G−D−T/A−S」(配列番号263)(多様性4)および「W−V−A−Y−I−N−S−D/S/N−S−G−E/D−I−H」(配列番号265)(多様性6)を得た(図31B)。「全類似」基準の下で、重鎖CDR3クエリー配列「AKYPHYYGSSHWYFD」(配列番号19)をVH CDR3参照ライブラリと比較することで、コホートライブラリ配列「A−R/K−G/D/E/R/A/H/V/T−P/V/L−S/T/H−Y/F−Y/W−G/A−S/T−S/T−S/H−Y/W−Y/W−F−D」(多様性36,864;図31C)を得た。
A4.6.1軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列(それぞれ「SNYLNWY」(配列番号21)、「VLIYFTSSLH」(配列番号23)、および「QQYSTVPW」(配列番号26))に対して「全類似」基準を適用することで、以下のコホートライブラリ配列を得た:CDR1クエリー配列とVLκ1、VLκ3、およびVLλ3参照ライブラリとの比較においては、それぞれ、「S−N−Y/W−L−N−W−Y」(配列番号269)(多様性2)、「S−N−Y−L−A−W−Y」(配列番号271)(多様性1)、および「S/T−K/Q/Y/E−Y/F−V−H/Y/S/C−W−Y」(多様性64)(図31D);CDR2クエリー配列とVLκ1、VLκ3、およびVLλ3参照ライブラリとの比較においては、それぞれ、「L−L−I−Y−A/D/K/G/S−A−S−S/T−L−Q/E」(配列番号275)(多様性20)、「L−L−I−Y−G/D−T−S−S/T−R−A」(配列番号277)(多様性4)、および「L−V−I/V−Y−D/Q/E/K/G−D/K−S/T−K/D/E/N−R−P」(配列番号280)(多様性160)(図31E);ならびにCDR3クエリー配列とVLκおよびVLλ参照ライブラリとの比較においては、それぞれ、「Q−Q−Y−S/T−S/T/H−L−P−Y/W/F」(配列番号281)(多様性18)および「Q−S/A/T/I/L−W/Y−H−S−S/G/N/D−I/L−W」(配列番号283)(多様性80)(図31F)。これまでに考察した抗体配列の場合と同様、様々なコホートCDRライブラリからの最終的なコホート抗体(またはそのフラグメント、例えばFab、scFv等)ライブラリの作製は、コホートCDRライブラリ配列の相互の独立組み合わせを通じて、本発明の方法によって同定したコホートCDRライブラリから重鎖および軽鎖の両方ならびに完全抗体(またはそのフラグメント)を構築することによって行った。表20は、マウスA4.6.1モノクローナル抗体のCDR配列に対して同一基準、類似基準、または「全類似」基準を適用することにより得られた本発明のコホートライブラリおよび抗体についての多様性のデータを要約したものである。
実施例20
コホート抗体ライブラリの遺伝子操作方法
本実施例においては、遺伝子操作技術を用いてコホート抗体ライブラリを作製および構築する工程を記載する。
scFv型は、ひとつにつながった機能的抗原結合単位(VH領域およびVL領域)からなる。簡単に説明すると、抗体のVLフラグメントおよびVHフラグメントを標準的な分子生物学的技術を用いてクローニングした。その可変領域のフレームワークおよびCDRをコードするオリゴヌクレオチドを、シングルオーバーラップポリメラーゼ連鎖反応(SOE−PCR)によって構築した。次いで、別々のVLフラグメントおよびVHフラグメントをポリ−Gly−Serリンカー(典型的にはGGGGSGGGGSGGGGS)(配列番号590)で連結して単鎖抗体(scFv)を作製した。次いで、発現ディスプレイベクターへのクローニングを容易にする制限部位を含む5’および3’隣接プライマーを用いて全長分子を増幅した。生成されたライブラリの総多様性は、フレームワーク配列の数および変異誘発、例えばWTMを用いる変異誘発のために選択されたCDRの位置の数に依存した。
典型的には、完全参照ユニバーサル抗体参照ライブラリの合成においては、VHライブラリの平均多様性は、9アミノ酸を用いてWTMTMを行った場合、3.5×106(6フレームワーク×9アミノ酸×(CDR1についての22×CDR2についての26×13アミノ酸CDR3についての28))であった。VHライブラリの多様性は上限であり、VλライブラリおよびVκライブラリの多様性はそれよりも有意に小さく、従ってそれらを合わせた完全scFvライブラリの多様性は、細菌系の形質転換効率の範囲内である1010〜1011に収まった。
従って、参照ユニバーサル抗体ライブラリの作製においては、N末端およびC末端にそれぞれHisおよびMyc免疫タグをコードする2オリゴヌクレオチドに沿って様々なVH、Vλ、およびVκライブラリのフレームワーク(図62A〜62Eを参照のこと)を
含む、90のオリゴヌクレオチドを合成した(図33)。さらに、この三つのライブラリの各々のCDR1、CDR2、およびCDR3において多様性を表す30〜60の縮重オリゴヌクレオチドのサブセットを合成した(合計90〜180)。これらのオリゴヌクレオチドをSOE−PCR法によって構築し、必要なVH−VλおよびVH−Vκの組み合わせを含むライブラリを作製した。次いで、配列の検証およびライブラリの品質の評価のために、各々のライブラリからランダムクローンを選択した。
本発明のコホートCDRおよび抗体ライブラリの合成は、UALについて記載したのと同じプロセスによって行った。コホート抗体ライブラリの合成は、このようなコホートライブラリが参照ライブラリよりも低い多様性を有し、従ってコホートライブラリの作製は参照ライブラリよりも簡単であり、多く場合は必要なオリゴヌクレオチドがより少ないという付加的な利点を明らかにした。各々の標的抗体コホートライブラリの作製のために、野生型抗体のサブファミリーのメンバーであるVLおよびVHのCDR1、2、および3の配列のオリゴヌクレオチドのセットを合成した(図62G〜H)。これらのVH、VL、およびCDRオリゴヌクレオチドもまた、SOE−PCRによって構築し、ベースとなるscFv変異誘発テンプレートとして必要なVH−VLの初期の組み合わせを作製した。ポジティブコントロールとしての出発点となる野生型抗体の作製は、本質的に同様の様式で行った。SOE−PCRオリゴヌクレオチド(図62G〜I)によりコードおよび構築された抗VEGF A4.6.1フレームワークおよびCDRアミノ酸については図34および35を参照のこと。
V
LおよびV
HのCDR1、2、および3への終止コドンの導入(以下および図62G〜I等を参照のこと)は、コホートライブラリのスクリーニング効率を上げるのに使用した野生型変異誘発テンプレートのさらなる特徴であった。例えば、V
H CDR1 H1e
_1_VEGF終止コドンオリゴヌクレオチドは、以下に示す通り、野生型配列の対応するCDRの位置において、チロシンおよびグリシン(
TAC GGG)残基の代わりに二つのインフレーム終止コドン(
TAA TAA)を含んだ。
インフレーム終止コドンを使用することで、非変異型VLおよびVH、CDRテンプレートが十分に翻訳されず、および/または細菌細胞膜周辺腔に運搬されない。従って、その後のFACSを機能的なscFvのみに限定することにより、野生型scFvへの抗原の結合のバックグラウンドシグナル対ノイズのレベルを最小化させた。
CDRの多様性に関して、抗体のCDRループ内の小さな摂動(perturbations)(例えば一つのループごとに一つの変化)を調査するため、LTMを使用した。さらなる改善のために、CDR内に二以上の置換の導入を可能にするWTMをその後使用して、CDRの化学的背景(chemical landscape)を徹底的にスクリーニングした。WTMを用いて、野生型のアミノ酸および所望のアミノ酸変種を、オリゴヌクレオチド合成を操作することにより標的とされたCDRの位置において調査した。特定位置において、あるオリゴヌクレオチドのサブセットが野生型をコードし、別のサブセットが標的の変異をコードするオリゴヌクレオチドの混合プールを合成した。WTM手順における各合成工程において、成長させるオリゴヌクレオチド鎖を二つの塩基の一方によって伸長した。一方の塩基は野生型コドンをコードし、もう一方の塩基は所望の変異に対するコドンに属するものであった。
野生型CDRと様々なVHおよびVLフレームワークを統合することによって、LTMおよびWTM CDR変異の多様性を上回る追加の多様性を生成した(以下の実施例2Xを参照のこと)。コホートライブラリの総多様性は、変異させたCDRの位置の数および可変性プロフィールの一致に基づき置換されたアミノ酸の数の両方に基づき生成された。各々の出発テンプレートの可変性プロフィールは、その周囲のVLおよびVHフレームワークに依存した。
実施例21
ウォークスルー型変異誘発によるコホートVH、Vλ、およびVκ scFvライブラリの作製
A. クンケル型変異誘発のためのscFv一本鎖テンプレートの調製
scFv一本鎖DNAの調製のために、標的scFv発現構築物をPBSKIIにクローニングした。大腸菌宿主CJ236を、OD600がおよそ0.2〜0.5吸光度単位(AU)に達するまで2YT/Amp液体培地中で増殖させた。この時点で、M13 K07ヘルパーファージ1mLを細菌培養物に加え、37℃でのインキュベーションを継続した。30分後、細菌およびファージ培養物を、0.25μg/mLウリジンを含有する大量の2YT/Amp液体培地(30mL)に移して一晩培養した。
翌日、培養培地を遠心分離(10,000×gで10分間)により清澄にした後、上清を回収し、1/5量のPEG−NaClを30分間加えた。この混合物をさらに二回遠心分離したが、各遠心分離後に上清を廃棄して、PEG/ファージペレットを得た。次いで、このPEG/ファージペレットをPBS(1mL)に再懸濁し、再遠心分離した(14,000×gで5分間)。その上清を回収し、次いでDNA精製カラム(QIAprep Spin M13,Qiagen)にアプライし、一本鎖scFvウリジニル化DNA(uridinylated−DNA)を溶離させた。
B.ウォークスルー型変異誘発(WTM)用オリゴヌクレオチド
3900オリゴシンセサイザー(Syngen Inc.,San Carlos,A)を製造元の指示書通りに使用して合成オリゴヌクレオチドを合成し、PCRまたはクンケル型変異誘発において使用する前にプライマーの質をPAGE電気泳動により検証した。ウォークスルー型変異誘発(WTM)用オリゴヌクレオチドをウリジニル化一本鎖テンプレートにアニールさせ、特定の位置を既定のアミノ酸で変異させるよう設計した(その全体が参照により本明細書で援用される特許出願PCT/US2004/020306を参照のこと)。このアミノ酸置換の正確さおよび制御は、他の確率論的な変異誘発技術と異なり、複数の特定のCDR置換を実現した。
WTMを用いて、野生型のアミノ酸および所望のアミノ酸変種を、標的のCDRの位置においてオリゴヌクレオチド合成を操作することにより調査した。特定位置においてあるオリゴヌクレオチドのサブセットが野生型をコードし別のサブセットが標的変異をコードするオリゴヌクレオチドの混合プールを合成した。WTM手順における各合成工程において、成長させるオリゴヌクレオチド鎖を二つの塩基の一方によって伸長させた。一方の塩基は野生型コドンをコードし、もう一方の塩基は所望の変異コドンを挿入するよう設計されたものであった。
C.Avastin抗VEGF VH CDRブラスティング(blasting)由来
のCDRオリゴヌクレオチドを用いた超ヒト化変異誘発
超ヒト化プロセスのために、特定のCDRの位置を、それらのインビボでの頻度に基づき選択されたアミノ酸により置換した(上記実施例4および以下の結果を参照のこと)。マウス由来Avastin A4.6.1から第一ヒトVH1フレームワークへのヒト化の間に、対応する可変性プロフィール(以下の表)に基づくCDR1アミノ酸の置換は行われなかった。オリゴヌクレオチドH1e_1_VEGF01 CDR1(図XE参照)は、配列5'−AGGCTTCCGGTGGCACATTC ACC AAC TAC GGG ATG AAC TGGGTTAGACAGGCACCTGG−3'(配列番号592)からなるものであった。VH1 CDR1コード配列5'−ACC AAC TAC GGG ATG AAC−3'(配列番号593)は、その周囲のVH1フレームワーク領域に延びる、それぞれ、DNA配列5'−AGGCTTCCGGTGGCACATTC(配列番号594)およびTGGGTTAGACAGGCACCTGG−3'(配列番号595)に隣接するものであった。
CDR−フレームワークのシャッフリングを繰り返すため、このヒト化VH1 CDR1コード配列をまた、サブファミリー配列特異的なフレームワークの伸長部分の並置によって(サブファミリーVH1メンバー、VH3、VH4、またはその他の)別のフレームワ
ーク下に組み込んだ。VH1 CDR1コード配列は、代わりに、周囲のVH3フレームワーク領域に伸びる上流側のVH3−07フレームワーク配列5'−GCCAGCGGCTTTACCTTCTCT(配列番号596)および下流側のGCTGGGTTAGACAGGCACCT−3'(配列番号597)のエクステンションに隣接させることも可能であ
った。
VH1 CDR2 Avastin A4.6.1のブラスティングの間に、13の野生型アミノ酸のうちの5つ(T、T、E、P、およびT)を、VH1 CDR2の可変性プロフィールに基づき、ヒトの優先アミノ酸(それぞれP/A、F/S/N/T、 T/N/G/S/D、およびN,K,S,G)で置換した(以下の可変性プロフィールの表における背景が白のボックスを参照のこと)。ここでは、CDR2の野生型アミノ酸配列WMGWINTYTGEPT(配列番号16)は、VH1フレームワーク5'−CACCTGGTCAGGGCTTGGAG(配列番号599)およびTACGCTCAGAAATTCCAGGG−3'(配列番号600)配列に隣接する、5'−TTG ATG GGA TTG ATA AAC CCA TAC TTC GGA ACA AAC−3'(配列番号598)によってコードされた。
このように、P/A、F/S/N/T、T/N/G/S/D、およびN,K,S,GというこれらのA4.6.1 VH1 CDR2のヒト化置換は、320の可能性のある特有の置換のバリエーションを生成させるために最低でも12のオリゴヌクレオチドを必要とするものであった。上記の表に基づき、実施したCDR2の位置において必要とされたヒト化置換を、イタリック体の縮重塩基混在記号(Sは(CまたはG)であり、Rは(AまたはG)である)によって示す(以下のH1e_2_VEGF01−12オリゴヌクレオチド配列を参照のこと)。
VH CDR3については、CDR3を免疫グロブリンDおよびJセグメント遺伝子の組換え接合により形成したため、その由来となるサブファミリーが存在しなかった。上記可変性プロフィール分析を用いて、長さが15のCDR3の一つのみの位置を8つのヒト優先アミノ酸で置換した。特に、CDR3の野生型アミノ酸配列AKYPHYYGSSHWYPD(配列番号19)を、配列A−K−G/D/E/R/A/H/Y/T−P−H−Y−Y−G−S−S−H−W−Y−P−D(配列番号20)によりヒト化した。この場合、A4.6.1 VH1 CDR3ヒト化置換には、4つの縮重オリゴヌクレオチドのみが必要となった(以下のH1e_3_VEGF01−4配列を参照のこと)。
CDR3は、V
H1フレームワーク5'−ATACCGCCGTGTATTACTGT(配列番号619)およびTACTGGGGTCAGGGCACTCT−3'(配列番号620)配列に隣接する
によりコードされるものであった。CDR3の縮重位置を太字の縮重塩基混在記号で示す(Sは(CまたはG)であり、Rは(AまたはG)であり、Wは(AまたはT)である)。
A4.6.1のVH3 CDR1およびCDR2のヒト化についての置換表およびCDRコードオリゴヌクレオチドを以下に列挙する(完全なオリゴヌクレオチドのリストについては図62I参照)。VH3については、4つの異なるファミリーメンバー3−30、3−07、3−11、および3−23を使用した。従って、それらの各々の出発点のVH3変異原性scFvテンプレートへの正確なアニーリングのため、VH3:3−30、3−07、3−11、および3−23フレームワーク特異的配列を、各々の縮重CDR1およびCDR2コード領域に隣接させた。
D.Avastin抗VEGF VL CDRのブラスティング
関連する様式で、VLκおよびVLλ軽鎖における超ヒト化置換を、それら各々の可変性プロフィールから確立した。例えば、VLκ IおよびVLκ IIIのファミリーメンバー、特にVLκ−L1、VLκ III−A27、およびVLκ III−L6の使用を決定した。同定された、得られた超ヒト化VK−1およびVK−3の置換表を以下に示す。VK−1およびVK−3の両方の場合においては、超ヒト化VK−1およびVK−3置換の必要がなかった。
同定された、得られたVK−1およびVK−3 CDR1オリゴヌクレオチドを各々以下に示す(K1_1_VEGF01およびK3_1_VEGF01を参照のこと)。
K1_1_VEGF01: 5'− GCAGAGCTTCTCAGGGTATC−AGC AAC TAC CTG AAC TTG TAC −CAACAGAAGCCTGGTAAAGC−3'(配列番号621)
K3_1_VEGF01: 5'−GCAGAGCTTCTCAGTCCGTG AGC AAC TAC CTG GCC TTG TAC −CAACAGAAACCTGGTCAGGC−3'(配列番号622)
VLκ IおよびVLκ III CDR2における超ヒト化は、以下に示すようなそれらの各々の可変性プロフィールの置換表から確立した。VK−1およびVK−3の場合においては、4つのCDRの位置でヒト化置換が必要であった。しかし、多様性の表は、同数の置換(4つの位置)によってであっても、作出される実際のVK−1およびVK−3の多様性はそれぞれ20および2であることを実証した。このことは、同じ投入テンプレートをアラインメントに使用した場合に、異なる可変性プロフィールが異なる多様性レベルを生じるという特性を例証した。
VK−1 CDR2超ヒト化用オリゴヌクレオチドは以下の通りである(表30、配列K1_2_VEGF01−3を参照のこと)。CDR2周りの5’および3’隣接フレームワーク配列は、それぞれ、5'−AGCCTGGTAAAGCCCCTAAG−3'(配列番号623)および5'−TCCGGCGTTCCTAGCAGATT−3'(配列番号624)であった。
VK−3 CDR2における、CDR2オリゴヌクレオチドヒト化コード配列は
であった。しかし、二つのVK−3サブファミリー、特にA27およびL6を使用したので、VK−3 CDR2周りの5’および3’隣接フレームワーク配列における違い(太字の斜体)は、それぞれ、次の通りであった:
E.scFVテンプレートの変異誘発
抗原結合ポケット内のヒト優先アミノ酸CDR配列の効果を十分に調査するために、コホートライブラリには各々のscFvの多変異型CDRが必要であった。クンケルテンプレートとして野生型標的scFv遺伝子を用いて、第一のWTM−CDRライブラリテンプレートを作製した(図59)。例として、CDRH3を、各々のCDRH3 VH1、VH3、VH4可変性プロフィールから同定された適切なヒト優先アミノ酸で置換した。これらの第一世代WTM−CDRH3 scFVをその後のテンプレートとして使用し、二重変異WTM−CDRH1およびWTM−CDRH3領域のコホートライブラリを作製するために適切なWTM−CDRH1オリゴヌクレオチドセットとアニールさせた。次いで、この二重WTM−CDRH1およびWTM−CDRH3ライブラリをテンプレートとして使用して、他の残りのWTM−CDRH2オリゴヌクレオチドを導入し、三重WTM−CDR VHライブラリを作製した。VλおよびVκのいずれかの軽鎖のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3 WTMオリゴヌクレオチドの残りを漸進的、反復的に組み合わせることによって、VH(VH1、VH3、VH4)およびVL(VλおよびVκ)コホートCDRライブラリの複合アレイを開発した。
F.scFv CDRの同時のクンケル二重、三重、四重変異
単一のWTM−CDRライブラリから二重WTM−CDR構築物に、その後に三重WTM−CDRライブラリへと段階的に構築する代替法が存在する。この代替ストラテジーは、複数のオリゴヌクレオチドが同じ遺伝子構築物の異なる位置において同じscFvテンプレートに同時にアニールできるという最近の実験的観察に基づくものである(図58)。例えば、二つのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3 WTMオリゴヌクレオチドのセットが、三つ全てのVH CDRSにアニーリングさせるための反応混合物に加え
られ得る。WTM−CDRオリゴヌクレオチドの多重の組み込みが、5つのアニーリング反応を同時に行うのと同じレベルで起こることが観察された。
一本鎖テンプレートは、三つのWTM−CDRH1、WTM−CDRH2、およびWTM−CDRH3オリゴヌクレオチドの全てを組み込んだ。しかし、一ラウンドのアニーリング後に、三つのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3 WTM修飾の全てを達成したscFv産物の回収率は約50%であった。典型的には、多変異型CDR scFvの比率を高めるために、第一アニーリング反応からの反応産物を回収し、次いで同じ複数のWTM−CDRオリゴヌクレオチドで「再アニーリング」させた。この再アニーリングの後の多変異型CDR scFvの割合は、多変異型CDRを有する計75%の集団においてさらに50%増加した。
この方法は、前の変異型テンプレートに複数のWTM−CDRオリゴヌクレオチドを再導入する能力から、「濃縮(enrichment)」と命名した。このように、二回または三回のさらなる「濃縮」ラウンドを導入することによって、多変異型CDR scFvテンプレートの集団比率は90%に達した。「濃縮」の一つの驚くべき側面は、複数の隣接するオリゴヌクレオチドのアニーリングが、そのオリゴヌクレオチドの末端が数塩基分重複する場合でさえも所望の置換を導入したことである。ライゲーションプロセスの間、二つのオリゴヌクレオチドの5’末端と3’末端の間のホスフェートジエステル結合は相互に直接隣接しなければ容易に形成されないと考えられていたため、これは予想外のことであった。もし重複部分があれば、一方のオリゴヌクレオチドは、他方の上で「めくれ上がる(ride up)」と予期されていた(図58参照)。
G.多様性を増加させるためのVHおよびVL CDRのファミリー間の交配
図42および43は、各々のVH1、3およびVLκ、λの可変性プロフィールのCDRマッチング後にヒト抗VEGF A4.6.1 scFvを再構築する上で利用できる、様々な可能性のあるCDRの組み合わせを示す。例えば、図42は、ヒト抗VEGF VH1 CDR1コホート配列が、期待されるヒトVEGF VH1 CDR2コホート配列と(黒塗りの矢印)、次いで共通のVEGF VH1 CDR3コホート配列と組み合わすことができることを実証する。次いで完全な抗VEGF VH1 CDR1、2、および3コホート配列をそれらの天然のVH1 1−eフレームワーク配列との関係で発現させた。回収された抗VEGF VH3 CDR1、2、および3コホート配列の場合と同様、これらは、列挙された天然のVH3 3−07、3−11、3−23、および3−30フレームワーク配列と共に発現させることができた(図5)。
抗体の多様性は、本発明の特徴的なインビトロ遺伝子学的方法に基づき増加させることができた。操作技術と合わせることで、人工CDR−フレームワークの組み合わせを作出することができた。VHの場合、VH3 CDRをVH1フレームワークと組み合わせることができ、その逆もまた同様であった。従って、4つの他の構造様式における抗原結合の背景を調査するため、VH1の個別のCDR1、2、および3の可変性プロフィール結果をVH3 3−07、3−11、3−23、および3−30フレームワークと組み合わせた(図42の点線および破線)。同様に、VLについては、CDR Vλ1、λ2、およびλ3とVκ1およびVκ3の可変性プロフィールを混合および一致させた(図43の点線および破線)。次いで、合併したCDRを以下のVLフレームワークのいずれかにおいて発現させた:Vλ1−1b、Vλ2 2a2、およびVλ3 3r、3lとVκ1 L1ならびにVκ3 A27およびL20(図5)。これらのCDR1およびCDR2の交配設計が、完全照合(overall collated)UALライブラリのサブセット(図6、7、および8)であった。コホートライブラリにおける違いは、野生型抗体のCDR3の長さに基づき一つのみのCDR3サイズが選択されたことであった。
実施例22
参照ユニバーサル抗体ライブラリの発現およびディスプレイの方法
ユニバーサル抗体ライブラリの発現およびディスプレイを実現するためのアプローチは、本発明の参照ライブラリおよびコホート抗体ライブラリのいずれにも容易に適用できる
。このようなライブラリは、天然レパートリーの多様性を増加させ、ひとたび構築されれば他の抗原について繰り返しスクリーニングすることが可能になる。
scFvライブラリを、標準的な技術を用いてレシピエントの細菌宿主にトランスフェクションした。発現される融合scFvタンパク質を、蛍光標識した抗原の結合が可能な外表面の位置で発現させた。次いで、抗原に効果的に結合する適当なscFvクローンを発現するライブラリメンバーを、FACSを用いて濃縮した。次いでこの細胞集団を再培養し、その後にストリンジェンシーのレベルを上げた選択に供して、高い特異性および親和性で標的を認識するクローンの小サブセットを単離した。このライブラリは、迅速な同定および検証のために、例えばFITC標識抗Myc−tag抗体を用いるハイスループット形式ならびにFACS分析に容易に適合させることができた。
次いで、候補クローンを単離し、プラスミド調製を行いscFv配列情報を獲得した。このアプローチは、この抗体のVHおよびVL領域の相補性決定領域(CDR)におけるアミノ酸の機能を決定および最適化するのに必要なコドンの仮説に基づく合理的な置換(hypothesis−driven rational replacement)を実現した。次いで、比較配列分析および個々のクローンの親和性/特異性プロフィールから、どのクローンが親和性成熟を起こしたかを決定した。
A. scFv APExの表面発現
このスクリーニングプロセスの本質的な目的は、各細菌細胞にscFv融合タンパク質を発現させることであった。宿主株である大腸菌DH12STM(InvitrogenTM)を改良型pAPEx1またはpAK200 scFv構築物で形質転換した。形質転換細胞を、2%グルコースおよびアンピシリンを補充したTerrific Brothに50μg/mlとなるよう接種し、OD600が0.1になるまで培養した。インキュベーション後、細胞の外膜を透過処理した。簡単に説明すると、細胞(20OD600が約1mlに相当)をペレット化し、0.75Mスクロース/0.1M Tris・HCl、pH8.0/100μg/ml鶏卵リゾチームの氷冷溶液350μlに再懸濁した。次いで、氷冷した1mM EDTA 700μlを穏やかに加え、細胞懸濁物を氷上に10分間静置し;次いで0.5M MgCl2 50μlを加え、その混合物を氷上にさらに10分間静置した。
得られた細胞を穏やかにペレット化し、室温にて45分間、1×PBSに再懸濁した後、FACSによる評価を行った。次いで、ARIA/FACSscan (Becton Dickinson)において製造元の指示書に従いCellQuestソフトウェアを用いて細胞を分析した。抗ヒト抗scFvフィコエリトリン抗体を添加することによって、またはMycもしくはHAタグの染色によって(全てPharMingen,San Diego, Calif.)、scFvの周辺質での発現を決定した。
APExライブラリ細胞におけるscFvのペリプラズムでの発現を確認した後の次の作業は、scFv構築物がそれらの標的抗原に結合できることを検証することであった。機能的な抗原結合は、その後のコホートクローンのFACSに必須であった。調査のため、オリジナルの野生型scFvを発現する大腸菌細胞を上記の通りに回収し、ビオチン、フィコエリトリン、またはFITC蛍光標識タンパク質のいずれかと共にインキュベートした。野生型および機能性のコホート変種は標識タンパク質に結合し、ベクターコントロール細胞と比較して高い蛍光読み取り値を生じた。以下のプロトコルは、VEGFタンパク質のビオチン標識に使用した手順を表すが、直接的なフィコエリトリンまたはFITC複合体もまた可能であった。
B. コホートscFv抗体ライブラリの発現およびディスプレイ
本実施例においては、標的抗原に対してスクリーニングするためにコホート抗体ライブラリを発現およびディスプレイする方法を記載する。scFvライブラリを、標準的な技術を用いてレシピエントの細菌宿主をトランスフェクションした。簡単に説明すると、ライブラリからのscFv分子の発現に関して信頼性が実証されている細菌発現・ディスプレイ系を使用した。細菌細胞膜周辺腔への運搬およびディスプレイのために、scFvを、N末端またはC末端のいずれかにおいて、それぞれ、NlpAリポタンパク質またはM13のファージ遺伝子3(Gene III)マイナーコートタンパク質由来の小リンカーペプチドに連結した(図33)。大腸菌細菌は、細胞膜周辺腔を二つの膜、内膜および外膜で覆っている。APExにおいては、scFvタンパク質を、NlpAリポタンパク質またはGene IIIのいずれかによって内膜につなぎ、次いで外膜をリゾチームEDTA処理によって化学的に分解して蛍光タグ標識した標的にアクセスさせた。
次いで、標識抗原により効果的に結合するscFvクローンを発現するコホートライブラリのメンバーを、FACSを通じて濃縮した。標的抗原は、二次抗体で直接的にまたはビオチン−ストレプトアビジン結合を通じて間接的にのいずれかで標識した。scFvプラスミドDNAは、標準的なアルカリ溶解型のミニプレッププロトコル(Sambrook et al., sections 1.25−1.28を参照のこと)を用いて回収し、再形質転換し、次いで再培養して、その後にストリンジェンシーのレベルを上げた選択に供して、高い特異性および親和性で標的を認識するクローンの小サブセットを単離した。次いで、比較配列分析および個々のクローンの親和性/特異性プロフィールから、どのクローンが親和性成熟を起こしたかを決定した(図23参照)。
C. scFc結合タンパク質の産生および精製:VEGFビオチン標識
生物活性を有するVEGFタンパク質は、精製形態のものが市販されている(R and D System,San Diego,CA)。VEGFタンパク質のビオチン化は様々な方法によって行うことができる;しかし、過剰なビオチニル化は、エピトープ・抗体相互作用部位をブロックする可能性があるため望ましくない。使用したプロトコルは、Molecular Probes FluoReporter Biotin−XX Labeling Kit(cat# F−2610)に基づくものであった。簡単に説明すると、ストック濃度のVEGFを1M炭酸水素ナトリウム緩衝液およびビオチン−XX溶液(DMSO中のストック濃度のビオチン−XX)に加えた。この混合物を25℃で1時間インキュベートした。この溶液を微量遠心分離フィルターチューブに移し、遠心分離し、PBS溶液で繰り返し(4回)洗浄した。ビオチン化VEGF溶液を回収し、Sephadex G−25カラムで精製し、そしてタンパク質濃度をOD280により決定した。
D. VEGF FITC標識
一つのFITC試薬のバイアルに、溶媒試薬850μlを加え(Calbiochem,San Diego,CA)、十分に混合し、それによって得られたFITC溶媒試薬は1mg/mlの濃度となった。次いで、FITC混合物(500μl)をVEGFタンパク質溶液2.5mg(2mg/ml)に加え、素早くボルテックスした。この反応混合物は、200μg FITC対1mg抗体/タンパク質の接合比を提供した。このVEGF−FITCを、撹拌中に自然光を遮断するためアルミホイルで覆った容器内で、室温で2時間、上下逆さにして(end−over−end)混合した。PBS緩衝液濃縮物を蒸留水で希釈し、次いでVEGF−FITC複合体を透析チューブに移して室温で一晩透析した。次いでVEGF−FITCを透析チューブから取り出し、タンパク質濃度を再測定した。
E. ARIA−FACSソーティングおよびscFv変種ライブラリ細胞の回収
以下の方法は、コホート結合親和性変種の濃縮および単離のためにscFvライブラリをスクリーニングするFACSに関するものである。培養培地で培養した後、上記の透過処理した大腸菌細胞を、穏やかに回転させならが37℃で3時間、飽和濃度(200ng/ml)のビオチン化VEGFと共にインキュベートした。次いで、大腸菌細胞を緩衝液で二度洗浄し、未結合のビオチン化VEGFを除去した。次いで、ARIA(Becton Dickinson)において製造元の指示書に従いCellQuestソフトウェアを用いて細胞をソーティングした。
コホート集団のフラクションを集収できるようソーティングゲートを調整した。VEGFは親和性が強いため、ゲートをより高い蛍光シグナルに設定した。FACSゲーティングは、ここで、他の細胞株および関連する結合タンパク質を含む試験系において親和性の高い亜集団を80%より多く濃縮することが実証された(図38)。
F. コホートscFvの回収および発現
最初のソーティング後に捕捉した大腸菌をフローサイトメーターを通じて直ちに再ソーティングした。その後、ソーティングした細胞懸濁物中のscFv遺伝子を再ソーティングし、回収し、37℃で再形質転換した。次いで、変異scFv遺伝子をpAPEx1ベクターに再クローニングし、細胞を再形質転換し、寒天プレート上、30℃で一晩培養した。得られたクローンを、上記のように、第二ラウンドのソーティングおよび再ソーティングに供した。次いで、第二/第三ソーティングを行ったscFv遺伝子を、可溶型scFvタンパク質の産生のための発現プラスミド(pBAD)にサブクローニングした。
G. BIAcore分析
機能性scFvの結合を評価し、予備的な親和性(KD=kd/ka=koff/kon)を
測定するため、BIAcore−2000表面プラズモン共鳴系分析を使用した(BIAcore,Inc.Piscatawy,NJ)。リガンド、例えばAvastin A4.6.1抗VEGF scFvを、製造元の指示書(BIAcore, Inc)に従い、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボ−ジイミドヒドロクロ
リド(EDC)およびN−ヒドロスクシンイミド(NHS)を用いた共有結合カップリングによってBIAcoreバイオセンサチップの表面に固定した。ブロッキング剤としてエタノールアミン溶液を注入した。
フロー分析のために、リガンドの標的、例えばVEGFを、BIAcore流動緩衝液(20mM Hepes緩衝生理食塩水pH7.0)で希釈し、等濃度、例えば0.010μMの三つのアリコートにした。この標的、例えばVEGFのアリコートを、カイネティクスの測定のために、例えば2μl/分の流速で注入した。解離試薬を含まない流動緩衝液中での解離を観察した。次いで、結合反応のカイネティクスパラメータを、例えばBIAevaluation 2.1ソフトウェアを用いて測定した。
H. 大腸菌におけるpBADの発現
コンピテントな大腸菌宿主細胞を製造元の指示書(Invitrogen pBAD発現系)に従い調製した。簡単に説明すると、40μl LMG 194コンピテント細胞および0.5μl pBAD scFv構築物(およそ1μg DNA)をまとめて氷上で15分間インキュベートした後、一分間の42℃の熱ショックを与えた。次いで、細胞をSOC培地中、37℃で10分間回復させた後、LB−アンピシリンプレートにプレーティングして37℃で一晩培養した。次の日に、単コロニーを掻き取り、scFv産生に最適なL−アラビノース誘導濃度を最初に決定するための小スケール液体培養を行った。室温で一晩培養した後、OD600=0.5に達した後の各クローンの複製物を、L−アラビノースの連続(1:10)滴定(0.2%〜0.00002%終濃度)により試験誘導した。試験培養物(1ml)を集収し、ペレット化し、100μl 1×PBS緩衝液(10mM、160mM NaCl、200mMホウ酸、pH=8.0)を加えて細胞を再懸濁した後、リゾチーム溶液50μlを加えて1時間(37℃)置いた。遠心分離後にリゾチーム消化物の細胞上清を集収し、MgSO4を加えて終濃度を40mMとした。この溶液をPBSで事前に平衡化したNi−NTAカラムにアプライした。Hisタグ結合型scFvサンプルをPBS緩衝液で二度洗浄し、250mMイミダゾールの添加により溶離を完了した。次いで、可溶型scFvの発現をSDS−PAGEにより試験した。
I. 大スケールの大腸菌培養物からのscFvの精製
最適な培養条件を決定した後、大スケール(容量)の総大腸菌細胞培養ペレットを25℃での一晩の培養後に遠心分離により集収した。次いでペレットをPBS緩衝液(0.1% Tween)に再懸濁し、超音波処理を5ラウンド繰り返して(Virtis Ultrasonic cell Disrupter)細菌細胞膜を溶解させて細胞質内容物を遊離させた。この懸濁物を、さらなる処理のために、最初に高速遠心分離により清澄化して上清を回収した。この上清を、PBSで事前に平衡化したNi−NTAカラムにアプライした。Hisタグ結合型scFvサンプルをPBS緩衝液で二度洗浄し、250mMイミダゾールの添加により溶離を完了した。次いで、上清のpHを、6M HClにより5.5に調整した後、SP Sepharose HP陽イオン交換カラム(Pharmacia)にロードした。scFvを塩(NaCl)勾配で溶離させ、scFvを含有するフラクションの濃度を280nmにおける光学密度により決定し、PAGEにより検証した。次いで、scFvを含有するフラクションをプールし、PBSで透析した。
J. マウスAvastin A4.6.1−scFvに結合するVEGFタンパク質のBIAcore分析
機能性scFvの結合を評価し、予備的な親和性(KD=kd/ka=koff/kon)を
測定するため、BIAcore−2000表面プラズモン共鳴系分析を行った(BIAcore,Inc. Piscatawy,NJ)。リガンド、マウスAvastin A4.6.1抗VEGF scFvを、製造元の指示書(BIAcore,Inc)に従い、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボ−ジイミドヒドロクロリド(EDC)およびN−ヒドロスクシンイミド(NHS)を用いた共有結合カップリングによってBIAcoreバイオセンサチップの表面に固定した。ブロッキング剤としてエタノールアミン溶液を注入した。
フロー分析のために、VEGFをBIAcore流動緩衝液(20mM Hepes緩衝生理食塩水pH7.0)で希釈し、0.010μMの濃度の三つのアリコートにした。VEGFのアリコートを、カイネティクスの測定のために、2μl/分の流速で注入した。解離試薬を含まない流動緩衝液中での解離を観察した。次いで、結合反応のカイネティクスパラメータを、BIAevaluation 2.1ソフトウェアを用いて決定した。
図39は、A4.6.1抗VEGF scFvに対するVEGFの結合についてのBIAcore結果を示す。これらのプロットから、再構成されたVEGFは、熱変性タンパク質のネガティブコントロールとの比較におけるRUの増加(Kon)により示されるように、固定されたA4.6.1抗VEGF scFvに結合することが明らかとなった。さらに、RUの増加は、アプライしたA4.6.1抗VEGF scFvタンパク質の濃度に比例した。BIAcoreプロフィールはまた、予想されたVEGFの解離プロフィールを示した。
実施例23
参照ユニバーサル抗体ライブラリ由来の候補物質のハイスループット親和性成熟を実行する方法。
この節では、WTMおよび/またはルックスルー型変異誘発(LTM)親和性成熟を用いてコホート抗体ライブラリから候補配列を同定しこれをさらに改善するための工程の例について説明する。ルックスルー型変異誘発(LTM)については、すでに、その全体が参考として本明細書で援用される米国特許出願10/877,467(US200501
36428として公開)に記載されている。
簡単に説明すると、ユニバーサル抗体ライブラリの効力および候補抗体分子を選別しその分子の結合特性を向上させる能力を検証するために、本発明の方法に従い、市販の抗体を試験抗体とし(例えば、WTMTM/LTMTM技術を用いて)、発現させ、ディスプレイし、改良した。候補試験参照抗体の結合特性をLTM技術を用いて改善する例は、その全体が参考として本明細書で援用される米国特許出願60/586,487に開示されている。
試験抗体をscFv型において変異させ、次いで酵母ディスプレイを用いて発現およびディスプレイしたが、上記の任意の細菌ディスプレイ系も使用することができる。scFv酵母ディスプレイライブラリのカイネティクス選択(kinetic selections)では、最初に細胞をビオチン化抗原で標識し、次いで大過剰の非ビオチン化抗原の存在下で時間依存的に追跡した。解離カイネティクスが遅かったクローンを、追跡期間後にSA−PE標識によって同定し、高速FACSソーターを用いてソーティングした。野生型コントロールおよびソーティングゲート、ソーティングゲート内のライブラリおよびクローン数、ならびにソーティング後のライブラリから単離されたクローンのドットプロットを生成させた(図38)。
試験抗体LTM分析から作表した配列データは、その親分子の親和性を1.5倍またはそれ以上増加させた29の別個の変異からなる多様な収集を示した。これらの変異は、試験抗体の六つ全てのCDRにおいて生じることが見出された。これらの変化のうちのいくつか、例えばCDR3における変化を複数単離したところ、三つの別個のSからKへの変化および二つのSからQへの変化が見出された。対照的に、いくつかのCDRの位置における変化は、抗原に対する親和性を向上させることが見出されなかった。次の工程は、全ての発見されたLTM単一変異を単一ライブラリに組み合わせを含んだものであった。この工程の後に、scFvクローンは、CDRあたり一つ以上のLTM変異を導入することができた。一つのCDRに複数の変異を導入するのに加えて、これらのscFvクローンが、各scFvに一つ以上の変異型CDRを有するようにも設計した。この異なる単一のLTM変異を単一の直鎖配列に統合することを、「コンビナトリアル有用変異(combinatorial beneficial mutation)」(CBM)分析と命名した。このプロセスは、その全体が参考として本明細書で援用される関連する米国特許出願60/585,918において詳述されている。全ての発見されたLTM単一変異の一つのライブラリへの組み合わせは、これらの高親和性変異体の中から改善されたアビディティを示すクローンを単離するのを容易にした。
このCBMライブラリの発現スクリーニングは、これらの高親和性変異体の中から相乗作用的相互作用を通じて改善されたアビディティを示すクローンを単離するのをさらに容易にした。図36は、CBM分析から回収された候補クローンの例を示す。さらに、図37は、参照野生型scFvおよび6つの高親和性KoffクローンのBIAcore scFv結果を示す。これらのデータを、解離速度定数(koff)を決定するために一つの指数関数曲線に当てはめた。これらのプロットから、参照野生型scFvが、六つ全てのクローンと比較して、Koffが早いにもかかわらず、顕著に急な傾斜勾配を示すことが明らかとなった。
上記の親和性成熟技術は、本発明の選択されたコホートライブラリに容易に適用することができる。
実施例24
バイオインフォマティクスを用いて抗体のCDRについての位置的可変性プロフィール(VP)を生成させる方法
本実施例では、インビボで発現された抗体のCDRについての位置的可変性プロフィール(VP)の決定について説明する。位置的可変性プロフィールは、自然界で発現された抗体の配列のアラインメントのデータセットの特定位置に存在する、異なるアミノ酸の一覧およびそれらの各々の出現頻度(集団優先性(population prevalence))を表す(その全体が参考として本明細書で援用される米国特許出願60/585,931(PCT/US2005/024002)を参照のこと)。UAL CDR可変性プロフィールを生成させる主目的は、フレームワーク配列とCDRのカノニカル構造およびそれらの可変配列をベストマッチさせて最も安定かつ機能的な構成を獲得することであった。
従って、VPの決定は、二つの工程、例えば工程1):関心のある一つまたはそれ以上の規定の特性を共有するアミノ酸配列のアラインメント(のデータセット)を収集および選択してデータセットを作製する、を必要とする。典型的な目的においては、別々にアラインメントを行ったVHまたはVLのいずれか由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列が、初期データセットを形成した。工程2においては、対応するVP結果を含むCDRデータセットを獲得する上でいくつかのアプローチが利用可能であった。典型的には、工程2を実行するため、(CDR)データセットを、各々のアラインメントを行った位置ごとにアミノ酸の可変性およびそれらの相対的な頻度について列挙した(図4)。各CDRデータセットについてのVPは、多様性のさらなる導入のための所定のCDRの位置の所望の特性を明らかにした。
工程1を実行するため、アラインメントを行った配列のUALデータベースを構築した。出発点のインプットデータベースは、すでに特徴付けおよびグループ分けがなされている配列についての従前の編集物、例えば内因的に発現された成熟抗体のKabatデータベースから得ることができた。Kabatデータベースから、ヒト免疫グロブリン、特にVH配列を、出発点のベースデータセットとして選択的に収集した。典型的には、各々の再構成されたヒトVH配列の生殖細胞起源を、比較配列分析により決定した。この様式で、例えば発現された抗体をVH1、VH2、VH3、VH4、またはVH6等のいずれかのファミリーに帰属させた(工程1:構成鎖の選択)。対応する特定の生殖細胞の原拠を「原始サブファミリー(originating Sub−Family)」と命名した(図4の工程1)。次いで、この出発点の「ベースデータセット」内で接触点の定義(Contact Definition)により示されるパラメータを用いてVH配列における追加のCDRを同定および描画することができた。CDRの設計およびそれらに含まれるアミノ酸はまた、Kabat、Chothia、または任意の他の適当な定義によっても表すことができた(図4の工程2)。
出発点のヒトVH配列「ベースデータセット」内にコンパイルされたVH配列は、依然として大きく異なる特性を有する可能性があった。VHフレームワーク配列は、特に、以下の点で変化する傾向がある:1−ファミリーのグループ化(VH1、VH2、VH3、VH4等)、2−「原始サブファミリー」(例えばVH3 3−07、3−11、3−23、3−30)、3−CDRの長さ、4−CDRのカノニカル構造のクラス、5−抗原特異性。「ベースデータセット」メンバーの間で配列が不均一であったため、整合性のある分析をなすプロセスには、一つまたはそれ以上の関心のある選択された特性を共有するデータセットを同定できるよう、出発点の「ベースデータセット」からさらに選択することが必要であった。これらの各々の特性を共有する構成メンバーは、そのサブグループ内での意味のある比較分析に関して「標準化された」配列セットを形成した。このプロセスを、より関係の強いより小さなデータセットが生成されるまで繰り返し、それを図40に示す。図41は、VHおよびVLのCDR3データベースを得るために使用した類似のプロセスを示す。
CDRを以下の通りに分類した。全てのヒトVH配列の非重複性の「ベースデータセット」から出発し、VH1配列を生成する配列のみをさらに選択した(図40)。非重複性フィルタリングにより、同じ抗原に対して蓄積された重複する抗体配列を除去した。異なる抗体が同じ抗原に対して生じた場合は、これらの配列をデータベースに保持した。VH1サブグループ内で、CDR1およびCDR2配列を同定し、CDR1サブグループまたはCDR2サブグループとしてさらに分類した。VHファミリー内でのCDRの分類において、CDR1またはCDR2サブグループは異なる長さのCDRを含むものであることに留意されたい。VH1 CDR2は、13アミノ酸および15アミノ酸の両方の長さで生じた。CDR1およびCDR2については、それぞれ、6アミノ酸および13アミノ酸の長さを選択し、それに応じて、生成したデータセットを、それぞれ、VH−1_CDR1_6およびVH−1_CDR2_13と命名した。
よりストリンジェントなUALデータセットが必要な場合であっても、カノニカル構造に基づきグループ分けを行うことができた。例えば、VH1 CDR2配列内で、カノニカル構造2(CS2)またはカノニカル構造(CS3)のいずれかの構造の間にフィルターをかける別のサブグループ分類を行った。カノニカル構造は、フレームワーク内の重要な位置における特徴的な残基を区別することによって規定できる。例えば、アミノ酸71位にV、A、L、またはTを導入したVH1 CDR2配列はカノニカル構造2を示し、同じアミノ酸位置のRはカノニカル構造3を意味する。これらの作業により、それぞれ、VH−1_CDR2_13_CS2およびVH−1_CDR2_13_CS3と命名した可変性プロフィールデータセットが生成された(図61)。同様に、VH1 CDR1は、6アミノ酸残基の長さ要件を有するカノニカル構造1(CS1)を有するものであった。この場合、CDR1 CS1を識別する重要なアミノ酸の特徴には、例えば24位のT、A、V、G、またはS;アミノ酸26位のG;ならびに29位のI、F、L、V、またはSのいずれかが含まれた。従って、いくつかの6アミノ酸CDR変異体は必須の特徴的な配列を有さなかったため、VH−1_CDR1_6データセットはCS1に属さない配列を含んでいる可能性があった。スクリーニングの後、VH1 CDR1のカノニカルクラス1(CS1)についての可変性プロフィールを、VH−1_CDR1_6_CS1として生成した(図60)。
上記の結果は、アクセプターとして使用するために選択されたCDR1およびCDR2の両方のカノニカル構造に依存して、アミノ酸使用が「微調整(fine−tuned)」され得ることを実証した。このような微調整は、発見される可能性が最も高い配列と特定の抗原クラスをマッチングすることによって使用された参照ライブラリの天然の多様性を複製する目的でどのアミノ酸が様々なCDRアミノ酸の位置に導入しようとするかに依存すると考えられる。CDR抗原の分類は以下の様式で行った。収集されたCDR配列メンバーは、構造的分類に基づきグループ分けできれば、抗原の特異性に基づきサブクラス化することもできた(図40)。所定の抗原クラスについてCDR内の優先アミノ酸に相関関係が存在し、これは特定のフレームワークにおける抗原クラスの優先性について観察されたのと類似した。従って、抗原特異的な可変性プロフィールを生成するために、追加のパラメータである抗原特異性を、CDR配列の分類の間に追加することができる。
このプロセスの大きな利点は、多くの異なる「選択」または「収集」経路が使用可能であり、各々が異なるデータセット、従って異なる可変性プロフィール(VP)を生成したことである。これは、CDR1についての可変性プロフィールを別個のVH1、VH3、およびVH4(図45)のデータセットの間で比較することにより例証された。各棒グラフ下の表は、上記の「80パーセント」パラメータに基づき利用可能なヒト化置換アミノ酸を列挙する。VH1、VH3、およびVH4サブファミリーにおいて「Y」は30位で「固定」されるため、全体としてはVPはある程度類似するものであった。しかし、違いも観察された。VH3においては、「S」は30位で固定できるが、VH1およびVH4におけるVPは、「TおよびS」が30位で置換され得ることを示した。他のVPの違いの例は34位で見られた。VH4において「W」は固定されたが、VH3においては「M」が固定された。対照的に、VH1においては、「IおよびM」がコホートCDR設計に利用可能であった。
これらのCDR1 VPはVHサブファミリー間で異なるものであったため、コホートライブラリの設計は、どのVHフレームワークを選択したかに依存して変化させることができる。例えば、33位のCDR1アミノ酸標的抗体がVH1、VH3、またはVH4の列挙されたアミノ酸のいずれとも一致しない場合、それらの各々のVPが代用される。従って、標的抗体CDR1のVH1への導入においては、アミノ酸A、Y、G、およびDが33位への導入において選択された。CDR1のVH3フレームワークへの導入においては、VPはA、G、W、およびYが使用されるべきことを示した。同様に、CDR1のVH4フレームワークへの導入においては、VPはY、F、およびSが33位で置換されるべきことを示した。
図44は、コホート抗体ライブラリの生成に利用できる様々なVPを示す。本発明のこの実施態様においては、得られるVPにおいてより幅広い利用可能なアミノ酸のコレクションを収集するため、各々のVPをカノニカル構造に基づき事前にフィルターをかけなかった。例えば、VH−1 CDR2の53位のカノニカル構造2において、アミノ酸I、Y、M、S、L、およびEを、VH−1_CDR2_13_CS2 VPとして同定した(図61)。同じ53位のカノニカル構造3においては、VH−1_CDR2_13_CS3のVPは、その代わりにN、G、S、およびKを有していた。従って、カノニカル構造で分けないVH−1_CDR2_13のVPは、I、Y、M、S、E、N、G、およびKを利用可能であった(図46の上パネル)。「L」アミノ酸は、最初の7アミノ酸の出現頻度が「80%」の閾値を満たしたため、VPコレクションの一部にはならなかった。従って、この特別なセットは、選択された「同一」基準よりもその位置53のコホートライブラリの多様性(従って、得られるCDR)を9倍増加させるよう機能した。
対照的に、「類似」基準を使用した場合、コホートライブラリの多様性は、置換可能な、既定の(例えば脂肪族、極性等)グループにも属するアミノ酸を発見する可能性が高くなったために減少した。従って、図46のデータベースは、長さ13のCDR2におけるVH1、VH3、およびVH4の間のVP配列の違いを示す。さらに幅広いVPプロフィールを収集するのに使用した本発明の別の実施態様は、全般的なVH CDR2を得るためのものであった。この基本概念は、様々なVH1、VH3、VH4、およびその他のサブファミリーに基づく事前分類を回避し、その代わりに長さ13の全てのVH CDR2配列を列挙のために単純に集めることであった。次いで、VH CDR2_13のVPを用いたCDRのブラスティングは、ほぼ全ての可能性のある組み合わせが一つの大きなコホートライブラリにおいて生成できるために、様々なVH1、VH3、およびVH4コホートライブラリのCDR2交配設計を実施する必要性を排除した。
全般的なVPの構築というこの概念は、VH CDR3において何が起こったのか、どこで最終的に発現されたCDR3配列が原始サブファミリーに明確に割り当てることができなかったのかであった。図47〜52は、長さ10〜20のVH CDRのVP3を実証する。
同じ分析を、VLκおよびλに関しても行った。図53においては、Vκ1とVκ3の間の長さ7のCDR1のVPにおける違いを示す。図54は、Vκ1とVκ3の間の長さ10のCDR2のVPを示す。図55においては、長さ9のCDR3のVPをVκおよびVλについて得た。図56および57はまた、UALデータベースから得た、より幅広い、長さ8、10、および11のCDR3のVλ VPを実証する。
等価物
当業者は、ありふれた実験のみを用いることで、本明細書中に記載される本発明の具体的な実施態様の多くの等価物を認識または確認することができるであろう。このような等価物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。