JP5789541B2 - 顔料組成物、顔料分散物、着色組成物、インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法及び顔料組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、顔料を使用するにあたっては、他にも、所望の透明性を発現させるために必要な粒子径及び粒子形を有すること、使用される環境条件下における堅牢性、例えば耐光性、耐熱性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性、その他有機溶剤や亜硫酸ガスなどへの耐薬品堅牢性が良好であること、使用される媒体中において微小粒子まで分散し、かつ、その分散状態が安定であること、等の性質も必要となる。
また、特許文献2には、N,N−ジメチル−ビス型ピラゾリルアゾピラゾールと特定の化合物とを混合して得られる顔料組成物が記載されており、顔料の分散安定性(粒子径の安定性)に優れることが記載されている。しかし、顔料組成物中の上記N,N−ジメチル−ビス型ピラゾリルアゾピラゾール化合物が結晶変換を起こすこと、及び、顔料組成物の分散性や熱経時におけるpH安定性が向上することについての記載はない。
<1>
下記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、下記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する顔料組成物。
<2>
更に、B群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する<1>に記載の顔料組成物。
<3>
前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と前記A群から選ばれる化合物との総量に対して、該A群から選ばれる化合物を0.1質量%以上10質量%以下含有する<1>又は<2>に記載の顔料組成物。
<4>
前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と前記A群から選ばれる化合物との総量に対して、該A群から選ばれる化合物を0.2質量%以上5質量%以下含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の顔料組成物。
<5>
前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と、前記A群から選ばれる化合物と、前記B群から選ばれる化合物との総量に対して、該B群から選ばれる化合物を0.2質量%以上5質量%以下含有する<2>〜<4>のいずれか1項に記載の顔料組成物。
<6>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の顔料組成物を含有する顔料分散物。
<7>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の顔料組成物を含有する着色組成物。
<8>
<6>に記載の顔料分散物又は<7>に記載の着色組成物を含有するインク。
<9>
インクジェット記録用である<8>に記載のインク。
<10>
<9>に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
<11>
(a)非晶質である下記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、下記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する混合物を得る工程と、(b)前記工程(a)で得られた顔料混合物を結晶変換する工程とを含むことを特徴とする、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法。
本発明は、前記<1>〜<11>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても参考のため記載している。
[1]
下記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、下記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する顔料組成物。
更に、B群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する上記[1]に記載の顔料組成物。
前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と前記A群から選ばれる化合物との総量に対して、該A群から選ばれる化合物を0.1質量%以上10質量%以下含有する上記[1]又は[2]に記載の顔料組成物。
[4]
前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と前記A群から選ばれる化合物との総量に対して、該A群から選ばれる化合物を0.2質量%以上5質量%以下含有する上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[5]
前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と、前記A群から選ばれる化合物と、前記B群から選ばれる化合物との総量に対して、該B群から選ばれる化合物を0.2質量%以上5質量%以下含有する上記[2]〜[4]のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[6]
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が4.8°、7.2°、及び9.7°に特徴的なX線回折ピークを有する上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[7]
上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の顔料組成物を含有する顔料分散物。
[8]
上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の顔料組成物を含有する着色組成物。
[9]
上記[7]に記載の顔料分散物又は請求項8に記載の着色組成物を含有するインク。
[10]
インクジェット記録用である上記[9]に記載のインク。
[11]
上記[10]に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
[12]
(a)非晶質である下記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、下記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する混合物を得る工程と、(b)前記工程(a)で得られた顔料混合物を結晶変換する工程とを含むことを特徴とする、上記[6]に記載の顔料組成物の製造方法。
本発明の顔料組成物においてアゾ顔料が充分に結晶変換されており、分散性、色相及びpH安定性が優れる効果が発現する理由は定かではないが、式(1)で表される化合物等と式(A−1)〜(A−3)で表される化合物の少なくとも1種が共存することによって、式(A−1)〜(A−3)で表される化合物の少なくとも1種の分子が粒子の表面に存在し、その分子の持つ−OH基や−NH−基が分散剤や分散媒体とより大きな相互作用をすることによって、式(1)で表される化合物等が粒子表面に存在する場合よりもこれらとの相互作用が強くなることが考えられる。これにより顔料組成物におけるアゾ顔料が充分に結晶変換されており、分散性、色相及びpH安定性の違いとして現れたものと考えられる。
また、0.5質量%以上5質量%以下含有することが特に好ましく、アゾ顔料が充分に結晶変換されており、分散性、色相及びpH安定性の全てにおいて特に優れた顔料組成物とすることができる。更に、1.0質量%以上3質量%以下含有することが最も好ましい。
式(1)、式(A−1)〜(A−3)及び式(B−1)〜(B−5)で表される化合物は、構造とその置かれた環境によって、適切な対イオンを伴ってカチオンあるいはアニオンになり得る。本明細書においては代表的な対イオンとして対カチオンに水素イオンあるいは対アニオンに水酸化物イオンを用いて記述しているが、これら以外の対イオンを有する場合も前記化合物に含まれる。対イオンは1種類であってもよいし任意の比率からなる複数の種類からなってもよい。
また式(1)、式(A−1)〜(A−3)及び式(B−1)〜(B−5)で表される化合物は、二重結合に関する幾何異性体が存在する。本明細書において1種の幾何異性体のみが記載されている場合であっても、その他の幾何異性体についても前記化合物に含まれる。また、幾何異性体混合物となっている場合でも、その代表的な構造のみが本明細書に記載されている。幾何異性体混合物である場合には、その存在比率は0:1〜1:0の間の任意の比率であってよい。
式(1)、式(A−1)〜(A−3)及び式(B−1)〜(B−5)で表される化合物は、同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
ジアゾニウム塩の調製及びジアゾニウム塩と式(3)とのカップリング反応は、慣用法によって実施できる。
カップリング反応する工程は、酸性反応媒質中〜塩基性反応媒質中で実施することができるが、アゾ顔料合成時のカップリング反応は酸性〜中性反応媒質中で実施することが好ましく、特に酸性反応媒質中で実施することがジアゾニウム塩の分解を抑制し効率良くアゾ顔料に誘導することができるため好ましい。
該製造方法においては、後処理を行う工程を含むことが好ましい。この後処理工程の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤及び分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
粗アゾ顔料(クルード)として得られた化合物の後処理工程として、溶媒加熱処理及び/又はソルベントソルトミリングを行うことが好ましい。
(4)の化合物とメタノールの反応は、塩基性条件下で行うことが好ましい。用いることのできる塩基としては、無機塩基(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)、有機塩基(例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ナトリウムメトキシド等)が挙げられる。
(5)の化合物とヒドラジンの反応は、無溶媒であっても、溶媒があっても良い。溶媒を用いる場合、メタノールやエタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、水を用いることができる。更に、塩基を用いても良い。用いることのできる塩基としては、無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)、有機塩基(例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)が挙げられる。
この場合、式(3)で表される化合物と式(C−1)〜(C−3)で表される少なくとも1種の化合物との混合比(質量比)は、99.9:0.1〜70:30であることが好ましく、99.8:0.2〜90:10であることがより好ましく、99.5:0.5〜97:3であることが最も好ましい。
この場合、式(3)で表される化合物と式(C−1)〜(C−3)で表される少なくとも1種の化合物との混合比(質量比)は99.9:0.1〜70:30であることが好ましく、99.8:0.2〜90:10であることがより好ましく、99.5:0.5〜96:4であることが最も好ましい。また、式(3)で表される化合物と式(8)又は式(9)で表される化合物との混合比(質量比)は99.8:0.2〜90:10であることが好ましく、99.8:0.2〜96:4であることがより好ましい。
式(2)で表されるヘテロ環アミンから誘導したジアゾニウム塩と式(6)又は式(7)で表される化合物から誘導されたジアゾニウム塩との混合比(質量比)は、100:0〜90:10であることが好ましく、99.9:0.1〜97:3であることがより好ましい。
本発明の顔料組成物は、前記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、前記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。これにより、アゾ顔料が充分に結晶変換されており、分散性及び色相が良好であり、優れたpH安定性を示す顔料組成物とすることができる。
本発明において、上記顔料組成物のX線回折の測定は、例えば、日本工業規格JISK0131(X線回析分析通則)に準じて、粉末X線回折測定装置RINT2500(株式会社リガク製)にて行うことができる。
上記アゾ顔料が結晶形態を有する場合、分子が規則的に配列することにより、分子間相互作用が強くなると考えられる。その結果、分散性及び色相が良好であり、優れたpH安定性を示すことが期待できる。
本発明の顔料組成物は、例えば、(a)非晶質である前記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、前記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する混合物を得る工程と、(b)前記工程(a)で得られた顔料混合物を結晶変換する工程とを含む方法により製造することができる。
本発明の顔料組成物の製造方法にて使用される、A群から選ばれる少なくとも1種の化合物の好ましい範囲及び添加量は、顔料組成物について述べたものと同一である。
また、本発明の顔料組成物の製造方法において使用することができる、その他の添加剤(B群から選択される少なくとも1種の化合物、媒体、界面活性剤等)の好ましい範囲及び添加量も、顔料組成物について述べたものと同一である。
本発明の顔料分散物又は着色組成物は、上で説明した本発明の顔料組成物を含有する。従って、前記式(1)で表される化合物又はその互変異性体と、前記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
本発明の顔料分散物又は着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の顔料分散物又は着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明のアゾ顔料組成物を分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の顔料分散物又は着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。本発明の顔料分散物又は着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクとする場合にはインク液に直接添加する。油溶性インクの場合には、アゾ顔料組成物の調製後組成物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
次に、本発明のインク及びインクジェット記録用インクについて説明する。本発明のインクは、上で説明した本発明の顔料分散物又は着色組成物を含有する。また本発明のインクジェット記録用インクは、本発明のインクをインクジェット記録用として用いたものである。従って、本発明のインク及びインクジェット記録用インク(以下、「インク」という場合がある)は、上記で説明した顔料組成物を含有し、好ましくは、水溶性溶媒、水等を混合して調製される。ただし、特に問題がない場合は、前記本発明の顔料組成物をそのまま用いてもよい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
本発明のインクジェット記録用カートリッジは、本発明のインクジェット記録用インクを含有する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録用インクを用いる方法であり、例えば、記録信号に応じて記録ヘッドから記録媒体表面にインクを吐出して、記録媒体表面に画像を形成する方法である。
また、インクジェット記録装置は、インクジェット記録用インクを用い、インク(必要により処理液)を記録媒体表面に吐出する記録ヘッドを備え、記録媒体表面に前記インクを記録ヘッドから吐出することにより、画像を形成する装置である。なお、インクジェット記録装置は、記録ヘッドに、インクを供給することができ、かつ、インクジェット記録装置本体に対して脱着可能なインクジェット記録用インクタンク(以下、「インクタンク」と称す場合がある)を備えていてもよい。この場合、このインクジェット記録用インクタンクには、インクが収納される。
また、インクジェット記録用インクタンクは、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、インクジェット記録装置に装着した状態で、記録ヘッドにインクを供給できる構成を有するものであれば、従来公知のインクタンクが利用できる。
本発明の記録物は本発明のインクジェット記録用インクを用いることで得られる。
本発明の記録物は、好ましくは、インクジェット記録用インクを記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法によって印刷された記録物である。特に前記式(1)で表される化合物と前記A群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む顔料組成物を含有するインクを用いて画像を形成されてなる記録物は、色再現性に優れた画像が実現でき、画像堅牢性(特に光堅牢性)に優れる点から好適である。
・化合物(A−1)の合成
上記式(2)で表される化合物4.4部を氷酢酸25.0部に加えて懸濁させた。この懸濁液にニトロシル硫酸の43%硫酸溶液7.1部を滴下した。この間反応温度は25℃以下を維持した。添加終了後、25℃以下で1時間攪拌した。反応終了後、同温度を維持しながら0.4部の尿素を分割しながら添加した。15分攪拌してジアゾニウム化合物調製液を得た。このジアゾニウム化合物調製液を、下記式(C−1)で表される化合物5.0部、メタノール100部の懸濁液の中に滴下した。添加終了後、同温度にて2時間攪拌して反応させた。反応終了後、75部の水を加えて、生成した結晶を濾別した。濾過した結晶は水200部に懸濁させ、28%アンモニア水を添加してpHを6.0に調整してから、再度結晶を濾別した。十分な量の水及びメタノールでかけ洗いした後、60℃で7時間乾燥して、化合物(A−1)を8.9部(収率93.2%)得た。
・化合物(A−2)の合成
上記式(C−1)で表される化合物のかわりに下記式(C−2)で表される化合物を使用する以外は合成例1と同様にして、化合物(A−2)を得た。
・化合物(A−3)の合成
化合物(A−3)の合成は、以下の方法により行った。
・化合物(B−4)の合成
酢酸100.0部にニトロシル硫酸の43%硫酸溶液16.1部を20℃以下で滴下した。この溶液に上記式(2)で表される化合物11.3部を分割しながら10分かけて添加した。この間反応温度は20℃以下を維持した。添加終了後、20℃以下で1時間攪拌した。反応終了後、同温度を維持しながら0.5部の尿素を分割しながら添加した。15分攪拌してジアゾニウム化合物調製液を得た。このジアゾニウム化合物調製液の中に、上記式(3)で表される化合物20.0部を粉末で添加した。添加終了後、同温度にて1時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を240部のメタノールに加えて、生成した結晶を濾別した。濾過した結晶は水200部に懸濁させ、28%アンモニア水を添加してpHを6.0に調整してから、再度結晶を濾別した。濾過した結晶をアセトン320部に加え4時間加熱還流させた後、熱時濾過して不溶分を除去した。母液は溶媒を1/5に減圧濃縮後、生成した結晶を濾別し、100℃で7時間乾燥して、化合物(B−4)を4.2部(収率13.2%)得た。
・化合物(B−1)の合成
氷酢酸7.2部、濃硫酸1.6部の混合溶媒に、ニトロシル硫酸の43%硫酸溶液1.0部を25℃以下で滴下した。この溶液に下記式(6)で表される化合物0.7部を分割しながら10分かけて添加した。この間反応温度は25℃以下を維持した。添加終了後、25〜30℃に昇温し、1時間攪拌した。反応終了後、25℃以下に冷却し、同温度を維持しながら0.2部の尿素を分割しながら添加した。15分攪拌してジアゾニウム化合物調製液を得た。このジアゾニウム化合物調製液を、式(B−4)で表される化合物2.0部、メタノール49部の懸濁液の中に滴下した。添加終了後、同温度にて2時間攪拌して反応させた。反応終了後、生成した結晶を濾別した。濾過した結晶は水200部に懸濁させ、28%アンモニア水を添加してpHを6.0に調整してから、再度結晶を濾別した。十分な量の水及びメタノールでかけ洗いした後、60℃で7時間乾燥して、化合物(B−1)を2.4部(収率88.7%)得た。
・化合物(B−2)の合成
上記式(6)で表される化合物の代わりに下記式(7)で表される化合物を用いること以外は合成例5と同様にして化合物(B−2)を得た。
化合物(B−3)の合成
上記化合物(C−1)の代わりに下記式(8)で表される化合物を用いること以外は合成例1と同様にして化合物(B−3)を得た。
化合物(B−5)の合成
上記化合物(C−1)の代わりに下記式(9)で表される化合物を用いること以外は合成例1と同様にして化合物(B−5)を得た。
<本発明の顔料組成物1>
非晶質である化合物(1)9.7部、化合物(A−1)0.3部をエチレングリコール100部、水100部の中に加えて懸濁させた。この懸濁液を60℃で1時間加熱して結晶変換を行った。加熱終了後、得られた結晶を濾別し、水およびメタノールで洗浄して本発明の顔料組成物1を得た。引き続いて顔料組成物1を10.0部、、オレイン酸ナトリウム2.0部、グリセリン20部及び水168部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ400部とともに遊星型ボールミルを用いて毎分300回転で分散を行った。体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまで分散を行った後、ジルコニアビーズを分離し、黄色の本発明の顔料分散物1を得た。
<本発明の顔料組成物2〜10>
表1に示すように顔料組成のみを変更し、他は実施例1と同様にして、上記の各例示化合物の合成例と同様の手法により得た化合物を混合して、本発明の顔料組成物2〜10及び顔料分散物2〜10を調製した。
<比較顔料組成物1>
非晶質である化合物(1)を10.0部とし、化合物(A−1)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較顔料組成物1及び比較顔料分散物1を得た。
上記式(2)の化合物11.4部を90%酢酸50部に懸濁させ、内温が10〜20℃となるまで冷却した。この温度範囲で、硫酸4部、続いてニトロシル硫酸の43%硫酸溶液16.2部を滴下した。内温10〜20℃にて1時間攪拌した後、尿素0.1部を添加してジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液の中に、式(3)の化合物9.8部、式(C−3)の化合物0.1部、および式(9)の化合物0.1部を内温が10〜20℃になるように分割添加した。内温10〜20℃にて1時間攪拌し、反応させた。反応終了後、この反応液を水150部の中に内温20℃〜25℃にて滴下した。固体(非晶質なアゾ化合物)が析出した懸濁液を同温度にて15分間攪拌した後、エチレングリコール20部を添加した。内温70℃まで昇温し、同温度にて1時間攪拌して結晶変換を行った。内温30℃まで冷却した後、析出している結晶を濾別し、水およびメタノールで十分にかけ洗いを行い、顔料組成物11を19.9部得た。この顔料組成物は、化合物(1)を98質量%、式(A−3)の化合物を1質量%、式(B−5)の化合物を1質量%含んだ組成物であった。
<結晶変換>
顔料組成物のX線回折の測定は、日本工業規格JISK0131(X線回析分析通則)に準じて、粉末X線回折測定装置RINT2500(株式会社リガク製)にてCuKα線を用い、次の条件で行ったものである。
X線管球:Cu
管電圧:55KV
管電流:280mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:6deg./min
サンプリング間隔:0.100deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):55deg.
ダイバージェンススリット:2deg.
スキャッタリングスリット:2deg.
レシービングスリット:0.6mm
縦型ゴニオメータ使用
分散性は、上記顔料分散物の製造において、体積平均粒子径Mvが100nm以下となるまでの時間で評価した(日機装(株)製Nanotrac150(UPA−EX150)を用いて測定)。3時間以内で分散が終了するものをA、3時間を超えて5時間以内で分散が終了するものをB、分散終了まで5時間を超える時間を要するものをCとした。評価結果を表2に示す。
得られた顔料分散物をNo.3のバーコーターを用いてエプソン社製フォトマット紙(顔料専用)に塗布した。得られた塗布物の色相を分光測色計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて測定し、「色相角h」を以下の基準で評価した。87°以上93°未満の場合をA、85°以上87°未満の場合をB、85°未満をCとした。
得られた顔料組成物を70℃にて1週間静置した際に、静置前後でのpHの変化が±0.2未満の場合をA、±0.2以上0.4未満の場合をB、±0.4以上の場合をCとした。結果を表2に示す。
前記顔料組成物1を固形分で5質量%、グリセリン10質量%、2−ピロリドン5質量%、1,2−ヘキサンジオール2質量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル2質量%、プロピレングリコール0.5質量%、イオン交換水75.5質量%になる様に各成分を加えて、得られた顔料分散物(着色組成物)をポアサイズ1μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:25mm、富士フイルム(株)社製)を取り付けた容量20mlのシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより顔料インクを得、以下の要領でインクジェット記録用インクとして用いた。
該インクジェット記録用インクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−G800のカートリッジに装填してインクジェット記録用カートリッジとし、受像シートEPSON写真用紙<光沢>と写真用紙クリスピア<高光沢>に印字し、階段状に濃度が変化したイエロー単色画像を得た。得られた記録物に印画された画像は吐出性が優れ、耐オゾン性も優れていた。
Claims (11)
- 前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と前記A群から選ばれる化合物との総量に対して、該A群から選ばれる化合物を0.1質量%以上10質量%以下含有する請求項1又は2に記載の顔料組成物。
- 前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と前記A群から選ばれる化合物との総量に対して、該A群から選ばれる化合物を0.2質量%以上5質量%以下含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 前記式(1)で表される化合物及びその互変異性体と、前記A群から選ばれる化合物と、前記B群から選ばれる化合物との総量に対して、該B群から選ばれる化合物を0.2質量%以上5質量%以下含有する請求項2〜4のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料組成物を含有する顔料分散物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料組成物を含有する着色組成物。
- 請求項6に記載の顔料分散物又は請求項7に記載の着色組成物を含有するインク。
- インクジェット記録用である請求項8に記載のインク。
- 請求項9に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
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