JP5786570B2 - 無線機 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)用の路側通信機などとして好適に用いられる無線機に関する。
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、或いは車両同士で情報交換を行い、これらの情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機同士が行う路路間通信と、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信と、車載通信機同士が行う車車間通信とが含まれる。
特許第2806801号公報 特開2010−206354号公報
上記高度道路交通システムにおいては、車車間通信をはじめ、路車間通信や路路間通信及び路歩間通信も含め、これらの各通信の共存を図るに当たって、限られた周波数帯域内で路路間、路車間及び車車間の各通信を行うために、通信を行う時間を分割して路側通信機の送信専用のタイムスロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセス方式を採用している。
上記TDMAによるマルチアクセス方式において、送信用タイムスロットは、通常、各通信機それぞれに対して周期的に設定される。このため、各路側通信機は、周期的に設定された自機の送信用タイムスロットを用いて送信を行い、それ以外の時間は、他の路側機又は車載通信機からの送信信号の受信を行う。
上記システムがTDMAによるマルチアクセス方式を採用した場合、路側通信機同士及び路側通信機と車載通信機とで正確に時刻が同期していないと、各路側通信機及び車載通信機が把握するタイムスロットの開始時刻にずれが生じ、各通信機間で干渉を生じさせるおそれがある。
そこで、移動する車載通信機は、近傍の路側通信機からの送信信号に基づいて自機の時刻を補正することで路側通信機に同期し、路側通信機は、自機の時刻を補正することで他の路側通信機との間で同期することが考えられる。各路側通信機が同期していれば、車載通信機は、近傍の路側通信機に同期することで、他の路側通信機との間においても同期することができる。
ここで、各路側通信機を互いに同期させるため、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite Systems)の信号を利用することが考えられる。
例えば、GPS受信機が生成する1PPS信号は、1秒毎に1回、Highになるパルス信号である。この1PPS信号は、ルビジウムなどの発信器を搭載するGPS衛星から送られてくる信号を元にしているため、1ppmレベルの高精度な信号である。
ここで、非特許文献2には、GPS受信機が生成する1PPS信号をPLL回路に取り込むことで、高精度な10MHzの基準クロックを生成する方法が開示されている。高精度なクロックを路側通信機内部で生成することができれば、各路側通信機は、1PPS信号で時刻補正を行うとともに、1PPS信号の発生周期の間(1秒間)においても、各路側通信機の高精度なクロックにより、各路側通信機間の時刻誤差を抑えることができる。
しかし、特許文献2記載の方法でクロック信号自体のクロック精度を高めようとすると、PLL回路などが別途必要となり、コストアップにつながる。
そこで、本発明は、クロック精度自体を高めることに代えて、無線機(路側通信機)が有するタイマ(時刻)を補正することで高精度化することを目的とするものである。
(1)本発明は、クロック発振器から出力されるクロック信号に基づいてタイマの値をカウントする無線機であって、外部から受信した信号に基づいて周期的に発生する基準信号を出力する受信機と、前記受信機から出力された前記基準信号に基づいて、前記タイマの値の誤差を検出する誤差検出部と、前記誤差検出部によって検出された誤差に基づいて、前記タイマの値を補正するタイマ補正部と、を備え、前記タイマ補正部は、前記基準信号が発生する周期よりも短い間隔で前記タイマの値を補正することを特徴とする無線機である。
上記本発明によれば、クロック発振器の精度が低くても、タイマの補正を行うことで、タイマの誤差が小さくなり、クロック発振器の精度が低いままでもタイマ値の高精度化が可能となる。
(2) 複数の補正タイミングにおける補正量を、誤差レベル毎に規定した補正テーブルを備え、前記タイマ補正部は、前記誤差検出部によって検出された誤差に基づいて、誤差レベルを決定し、決定された誤差レベルに基づいて前記補正テーブルを参照して、各補正タイミングにおける補正量を取得し、各補正タイミングにおいて、取得した補正量分の補正を前記タイマに対して行うのが好ましい。この場合、簡易なハードウェアで補正が行える。
(3)前記タイマ補正部は、前記タイマの値を補正する際の1回の補正量は、前記タイマの値の最大許容誤差の半分以下の値であるのが好ましい。この場合、1回の補正量が比較的小さくなり、補正直前のタイマの値の誤差が大きくなりにくい。
(4)前記タイマ補正部は、前記誤差検出部によって検出された複数回分の誤差に基づいて、前記タイマの値を補正するのが好ましい。この場合、より適切な補正が行える。
(5)前記受信機は、GNSS受信機であるのが好ましい。この場合、高精度なGNSS衛星からの信号を利用することができる。
(6)前記クロック発生器は、前記基準信号が発生する1周期の間に、前記タイマの値の最大許容誤差を超える誤差を前記タイマに生じさせ得る程度に低いクロック精度を有しているのが好ましい。クロック発生器が、前記基準信号が発生する1周期の間に、タイマの値の最大許容誤差を超える誤差をタイマに生じさせ得る程度に低いクロック精度を有していても、タイマ補正を行うことで、タイマの誤差を、最大許容誤差以下に抑えることができる。
(7)前記タイマの値に基づく時刻情報を送信信号に含めて送信させる通信制御部を備えているのが好ましい。この場合、時刻情報の受信側は、高精度な時刻情報を得ることができ、時刻情報を送信した無線機との間で高精度に時刻同期をとることができる。
本発明によれば、クロック発振器の精度が低くても、タイマ値の高精度化が可能となる。
本発明の一実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。 路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。 路側通信機と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。 タイマに生じる誤差の説明図である。 タイマの誤差の補正方法の説明図である。 タイマの誤差の補正方法の説明図である。 補正テーブルを示す図である。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機(無線機)2、車載通信機(無線機)3(図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点Ji(図例では、i=1〜12)のそれぞれに設置されており、電話回線等の通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
路側センサ6は、各交差点Jiに流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報や画像データは通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
〔無線通信の方式等〕
高度道路交通システムにおいて、無線通信システムを構成する、複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機(無線機)2は、その周囲を走行する車両の車載通信機3との間で無線通信(路車(車路)間通信)が可能である。また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機(無線機)3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
このように、本実施形態のITSでは、車載通信機3同士(車車間通信)の通信と、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)の通信については、無線通信が用いられている。
路側通信機2には、自身が無線送信するための専用のタイムスロット(図2の第1スロットSL1)がTDMA方式で割り当てられており、このタイムスロット以外の時間帯(図2の第2スロットSL2)には無線送信を行わない。すなわち、路側通信機2用のタイムスロット以外の時間帯は、車載通信機3のためのCSMA方式による送信時間として開放されている。
路側通信機2及び車載通信機3は、同一周波数帯を通信に用いるが、上記のように路側通信機2と車載通信機3の送信時間帯が区別されていることで、路側通信機2による送信信号と、車載通信機3による送信信号との衝突を回避できる。
路側通信機2及び車載通信機3は、送信信号の受信に関しては特に制限されない。従って、路側通信機2は、車載通信機3の送信信号を受信できる他、他の路側通信機2の送信信号も受信できる。また、車載通信機3は、路側通信機2及び他の車載通信機3の送信信号を受信できる。
〔タイムスロットの内容〕
図2は、本実施形態における路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。図2に示すように、路車間通信においては、時間軸方向に並べて配置される無線フレームが用いられている。
この無線フレームは、その時間軸方向の長さが100ミリ秒に設定されており、第一スロットSL1と、第二スロットSL2とを含んで構成されている。
第一スロットSL1は、路側通信機2に割り当てられるタイムスロットであり、この時間帯においては、路側通信機2による無線送信が許容される。一方、第2スロットSL2は、車載通信機3用のタイムスロットであり、この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第2スロットSL2では無線送信を行わない。
無線フレームに含まれている第一スロットSL1と、第2スロットSL2とは、時間軸方向に交互に配置されている。
第一スロットSL1には、それぞれスロット番号i(図2では、i=1〜10)が付されている。このスロット番号iは、無線フレーム内でインクリメント又はデクリメントされる。
路側通信機2には、無線フレームに含まれる複数の第一スロットSL1の内の一つが割り当てられる。路側通信機2はスロット番号iによっていずれのスロットが自機に割り当てられるかを認識することができる。
無線フレームは、上述のように時間軸方向に複数並べて配置されているので、いずれかの路側通信機2に割り当てられる、各スロット番号ごとの第一スロットSL1は、それぞれ、無線フレーム長さを1周期、つまり100ミリ秒を1周期として周期的に配置されている。従って、路側通信機2は、第一スロットSL1を用いた送信を100ミリ秒ごとに行う。
なお、同じスロットに複数の路側通信機2を重複して割り当てることもできる。この場合、重複してスロットが割り当てられる路側通信機2同士の位置関係が、互いの送信信号によって干渉を生じさせる可能性がきわめて低いと判断できる程度に十分に離れていることを要する。
本実施形態のように、路側通信機2同士の位置関係が距離的に近い場合には、互いに異なるスロットが割り当てられる。互いの送信信号によって干渉を生じさせるのを防止するためである。
図2では、2つの路側通信機2A,2Bそれぞれの無線フレームの一例を示しており、路側通信機2Aにはハッチングで示されているスロット番号2の第一スロットSL1が、路側通信機2Bにはハッチングで示されているスロット番号1の第一スロットSL1が、それぞれ割り当てられている。
また、図2では、路側通信機2Bの無線フレームが、路側通信機2Aの無線フレームに対して時間軸方向に遅れが生じていることから、互いの無線フレームのタイミングにずれが生じている場合を示している。路側通信機2A,2B同士は、互いに異なる第一スロットSL1が割り当てられているので、互いの送信信号が重複して干渉を生じさせることはないが、一方に割り当てられている第一スロットSL1が他方の第二スロットSL2に重複しており、この重複している部分で路側通信機2の送信信号と車載通信機3の送信信号との間で干渉が生じるおそれがある。このため、路側通信機2間(特に、距離的に近い位置関係にある路側通信機2間)では、互いの無線フレームのタイミングが一致するように、互いのローカル時刻を同期させる必要がある。
そこで、複数の路側通信機2が、GPS衛星などのGNSS衛星からの信号に基づいて、自機のローカル時刻(自機のタイマが示す時刻)をセットすることで、各路側通信機2それぞれのタイマ(ローカル時刻)が合った状態にする(GPS(GNSS)同期)。これにより、各路側通信機2の無線フレームのタイミングが一致する。このGPS(GNSS)同期については、後に詳述する。
〔路側通信機〕
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、通信制御などの処理を行う制御部22と、GPS(GSNN)受信機23と、を備えている。
車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30が接続された無線通信部31と、通信制御などの処理を行う制御部32と、通信のために必要な情報を記憶する記憶部33と、を備えている。
路側通信機2の制御部23は、通信制御部22a、タイマ22b、誤差検出部22c、タイマ補正部22d、補正テーブル22eなどを備えている。
通信制御部22aは、無線通信部21における通信制御に関する処理を実行し、例えば、無線通信部21による無線送信(SL1における送信)のタイミングの制御などを行う。通信制御部22aは、無線通信部21による無線送信(SL1における送信)のタイミングを、タイマ22bが示す値(ローカル時刻)に基づいて決定する。
タイマ22bは、制御部23に接続されたクロック発振器(水晶発振器)25が発生するクロック信号に基づいて、値がカウントアップ(インクリメント)される。したがって、タイマ22bの精度は、発振器25のクロック信号の精度に依存する。
図4に示すように、タイマ22bは、その値が、1秒周期で0にリセットされ、リセット後は、次のリセット時まで、発振器25が発生するクロック信号に基づいて、(理想的には)1μs毎に1カウントアップ(インクリメント)される。1秒周期のリセットは、GPS衛星から受信した信号に基づいてGPS受信機23が生成した1PPS信号のパルス立ち上がりエッジ(1秒毎に発生)によって行われる。
1PPS信号の周期は、1ppmレベルの高精度である。したがって、各路側通信機2は、1PPS信号でリセットされたときには、非常に高精度で時刻同期がとれている。しかし、発振器25の精度が低い場合、例えば、発振器25の精度が±20ppmである場合、1秒間で最大±20μsの誤差が生じることになる。
したがって、2つの路側通信機2それぞれのタイマ22b間では、1PPS信号を得られる直前において、最大40μsの差が生じることになる。
例えば、図4に示すように、発振器25のクロック信号に誤差がない場合、タイマ22bが1PPS信号を取得した直後(例えば、50ナノ秒後)においては、タイマ値が1,000,000となっているはずである。一方、発振器25のクロック信号に3ppmほど遅れる誤差がある場合、タイマ22bが1PPS信号を取得した直後においては、タイマ値が999,997になる。逆に、発振器25のクロック信号に2ppmほど早くなる誤差がある場合、タイマ22bが1PPS信号を取得する直前においては、タイマ値が1,000,002になる。
このように、発振器25の精度が±20ppmであれば、タイマ22bが1PPS信号を取得する直前においては、タイマ値は999,980〜1,000,020の範囲の値をとり得るものとなる。
ところが、路側通信機2間の同期精度として要求される値が、上記誤差(40μs)よりも高精度である場合(例えば、路側通信機間の最大許容同期誤差が16μsである場合)には、最大40μsの差をタイマ22bに生じさせるような低精度の発振器25は使用できない。
つまり、複数の路側通信機2において、それぞれのタイマ22に最大40μsもの差が生じると、タイマ22によって決定される無線フレームのタイミング(送信タイミング)も最大で40μsもの差が生じ、複数の路側通信機2間の同期誤差が、最大許容同期誤差(16μs)を超えてしまう。
しかし、発振器25から出力されるクロック信号を高精度化すると大幅なコストアップを招く。
そこで、制御部22は、比較的精度の低い発振器25を使用しつつも、誤差検出部22によってタイマ22bの誤差を検出し、タイマ補正部22dによってタイマ22bの誤差を補正することで、タイマ22bの精度を確保する。これにより、複数の路側通信機2間の同期精度を高める。
誤差検出部22は、タイマ22bが1PPS信号(基準信号)によってリセットされる直前の値に基づいて、タイマ22bの値の誤差を検出する。タイマ22bが1PPS信号によってリセットされる直前は、誤差がなければ、タイマ値が1,000,000(理論値)になるはずである。したがって、この時点でのタイマの実際の値と理論値との差をとることで、クロック信号精度誤差によって1秒間に発生したタイマ誤差を検出することができる。
つまり、タイマ誤差は、基準信号である1PPS信号に基づいて、検出することができる。
なお、後述のタイマ補正が行われるため、タイマ補正値+検出したタイマ誤差が、1秒間に実際に発生したタイマ誤差となる。
誤差検出部22cは、上記のようにして得られた「タイマ補正値+検出したタイマ誤差」、又は、過去複数回分の「タイマ補正値+検出したタイマ誤差」の平均を、次の1PPS信号が発生するまで(1秒後まで)における補正すべき誤差量(誤差レベル)として決定し、タイマ補正部22dに与える。
なお、補正すべき誤差量として過去複数回分の平均をとることで、より適切な誤差量(誤差レベル)が得られる。
タイマ補正部22dは、誤差現出部22cから受け取った誤差量(誤差レベル)分の補正を、次の1PPS信号が発生するまで(1秒後まで)に、1回又は複数回に分けて小刻みに行う。つまり、基準信号である1PPS信号が発生する周期である1秒よりも短い間隔で、タイマ22bの補正を行う。
例えば、補正すべき誤差量が、3μs分(タイマ22bの3カウント分)の遅れである場合には、図5に示すように、次の1PPS信号のパルス立ち上がりまでの1秒間の間において、3回、2カウントアップ(ダブルインクリメント)を行って補正すればよい。
また、補正すべき誤差量が、2μs分(タイマ22bの2カウント分)の進みである場合には、図6に示すように、次の1PPS信号のパルス立ち上がりまでの1秒間の間において、2回、カウントアップ(インクリメント)すべきときにカウントアップ(インクリメント)しないことで補正すればよい。
補正すべき誤差量を、次の1PPS信号までの1秒間の間(補正を行う区間)において、複数回にわけて少しずつ補正することで、1回の補正量が小さくなる。したがって、タイマ22bの値の誤差が大きくなる前に、微修正が少しずつ加えられる形となる。
また、1回の補正量をタイマ22bの1カウント分(又は2カウント分)というように非常に小さくしておくことで、次の1PPS信号までの間において、タイマ22bの値の誤差は、1又は2カウント分(1又は2μs)程度しか発生せず、発振器25が低精度であっても、タイマ22bの値を高精度に保つことができる。その結果、複数の路側通信機2間の同期も高精度化される。
ここで、路側通信機2間の最大許容同期誤差が16μsである場合、タイマ22bの値の最大許容誤差も16μsとなる。そして、タイマ補正部22dによる1回の補正量は、タイマ22bの値の最大許容誤差の半分以下の値であるのが好ましい。この場合、タイマ22bの値の最大許容誤差の半分以下の小さい補正値にて補正することになるため、補正直前のタイマ誤差が大きくなりにくい。したがって、路側通信機2間の最大許容同期誤差が16μsである場合には、1回の補正量は、8μs以下が好ましく、さらには1/4以下となる4μs以下が好ましい。更に好ましくは、1回の補正量は、上述のように、1又は2カウント分(1又は2μs)程度である。
なお、補正タイミングは、次の1PPS信号までの間において、ほぼ等間隔であるのが好ましい。
タイマ補正部22dは、上記のような補正を簡易に行うため、補正すべき誤差量(誤差レベル)に基づいて、補正テーブル22eを参照して、次の1PPS信号までの補正タイミングと各補正タイミングにおける補正量を得る。
図7に示すように、補正テーブル22eは、補正すべき誤差量(誤差レベル)それぞれについて、ある1PPS信号からその次の1PPSまでの1秒間における複数の補正タイミング(図7では100ms毎の9個の補正タイミング)それぞれの補正量を規定している。例えば、図7において、補正すべき誤差量(誤差レベル)が「−5」(5μsの遅れ)であれば、リセットから100ms後、300ms後、500ms後、700ms後、900ms後における各補正量が「1」(1μs;1カウント)に設定されており、リセット200ms後、400ms後、600ms後、800ms後における補正量が「0」に設定されている。
したがって、補正すべき誤差量(誤差レベル)が「−5」であれば、タイマ補正部22dは、補正テーブル22eの「−5」の欄を参照し、補正タイミングと各タイミングにおける補正量を取得する。
そして、タイマ補正部22は、補正テーブル22から取得したタイミングと補正量に従い、リセットから100ms後、300ms後、500ms後、700ms後、900ms後それぞれのカウントアップ時に、通常のカウントアップ量の1に、補正量の「1」を加えた2カウントアップ(ダブルインクリメント)を行う。また、リセット200ms後、400ms後、600ms後、800ms後それぞれのカウントアップ時においては、通常のカウントアップ量である1カウントアップを行う。
また、一回の補正タイミングにおける補正量が「−1」であれば、そのタイミングでのカウントアップを行わないことで補正を行う。また、一回の補正タイミングにおける補正量が「−2」であれば、そのタイミングでのカウントアップの際に、1カウントダウン(デクリメント)することで補正を行う。
このように、補正テーブル22bを用いるとともに、タイマのカウントアップ/ダウンでタイマを補正することで、補正のための回路規模増大を抑えることができる。
例えば、タイマ22bに3μsの遅れがある場合に、1,000,000/999,997の割り算を行って、1カウントあたりの誤差を求めて、1カウント毎に誤差を補正しようとした場合、割り算のために浮動小数演算(実数演算)が必要となったり、タイマ22bの値を整数ではなく、浮動小数(実数)にして、浮動小数の誤差を補正する場合には、浮動小数を扱うため、回路規模が大きくなりやすい。しかし、補正テーブル22eを設ければ、浮動小数演算は不要であり、補正テーブル22e分の記憶領域を確保すれば足りるため、回路規模の増大を抑えることができる。
また、1回の補正量は、タイマの通常のカウントアップ時(1μs毎のタイミング)において、カウントアップ量の調整で行うため、補正のためのハードウェアの追加が少なく済む。したがって、僅かなコストアップで高精度化が可能である。
なお、図7では、表記の便宜上、補正すべき誤差量が−10μs〜10μsの範囲内での補正量を示したが、当然に、補正すべき誤差量を−20μs〜20μsの範囲にしてもよい。また、補正タイミングは、100ms毎である必要はなく、他の間隔(例えば、50ms毎)であってもよい。
また、補正テーブル22bには、補正タイミングの時刻を規定しておく必要はなく、複数の補正タイミング(第1補正タイミング〜第9補正タイミング)に対応する補正量だけを規定しておいてもよい。この場合、補正タイミングの時刻(100ms、200ms)は、別途、テーブル22b外に記憶しておいてもよいし、タイミングを適応的に制御してもよい。
前記通信制御部22aは、タイマ補正によって精度が確保されたタイマ22bが示すローカル時刻に基づいて、自機に割り当てられた第一スロットSL1における無線送信を行う。つまり、通信制御部22aは、タイマ22bの値(ローカル時刻)が、自機に割り当てられたタイムスロットSL1を用いて送信するタイミングになれば、無線通信部21に無線送信を行わせる。
各路側通信機2のタイマ22それぞれは、1PPS信号に基づいて同時にリセットされるとともに、タイマ補正によって、次の1PPS信号までの1秒間(自走区間)においてもタイマ22bの同期が高精度でとれていることになる。
路側通信機2の通信制御部22aは、タイマ22bの値に基づく時刻情報を含むスロット情報を生成して、当該スロット情報を含む送信信号を無線通信部21から送信(ブロードキャスト送信)させる。
スロット情報に含まれる時刻情報は、路側通信機2と車載通信機3との間で共有される時刻である。スロット情報には、時刻情報以外に、路側通信機2が使用する第一スロットSL1を特定する情報が含まれている。車載通信機3は、路側通信機2との間で時刻を共有することで時刻同期がとれているため、スロット情報に基づいて、路側通信機2が使用する第一スロットSL1の送信タイミングを把握することができる。
このように、複数の路側通信機2において同期が高精度にとれた状態で、路側通信機2と車載通信機3との間の同期が行われるため、図2に示すようなスロットタイミングのずれによる、路側通信機2の送信信号と車載通信機3の送信信号との間の干渉を防止できる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、基準信号は、高精度なGNSS信号に基づく1PPS信号に限らず、他の信号であってもよい。つまり、基準信号が、基準として依拠可能な外部信号であれば任意のものを採用することができる。
2 路側通信機
3 車載通信機
22 制御部
22a 通信制御部
22b タイマ
22c 誤差検出部
22d タイマ補正部
22e 補正テーブル
23 GPS受信機
25 クロック発振器

Claims (9)

  1. 外部から信号を受信する受信機を備えるとともに、無線送信を行う無線機であって、
    クロック発振器から出力されるクロック信号に基づいてタイマ値カウントされるとともに、前記受信機が外部から受信した信号に基づいて出力した基準信号によって前記タイマ値が周期的にリセットされるタイマと、
    無線送信のタイミングを、前記タイマが示す前記タイマ値に基づいて決定する通信制御部と、
    前記基準信号によってリセットされる直前の前記タイマの実際のタイマ値と、前記基準信号によってリセットされる直前の前記タイマの理論値と、の差に基づいて、前記タイマ値の誤差を検出する誤差検出部と、
    前記基準信号によってリセットされてから次のリセットまでの間において、前記クロック信号に基づいてカウントされる前記タイマ値を、前記誤差検出部によって検出された誤差に基づいて、補正するタイマ補正部と、
    を備える無線機。
  2. 複数の補正タイミングにおける補正量を、誤差レベル毎に規定した補正テーブルを備え、
    前記タイマ補正部は、
    前記誤差検出部によって検出された誤差に基づいて、誤差レベルを決定し、
    決定された誤差レベルに基づいて前記補正テーブルを参照して、各補正タイミングにおける補正量を取得し、
    各補正タイミングにおいて、取得した補正量分の補正を前記タイマに対して行う
    請求項1記載の無線機。
  3. 前記タイマ補正部は、前記タイマ値を補正する際の1回の補正量は、前記タイマ値の最大許容誤差の半分以下の値である
    請求項1又は2記載の無線機。
  4. 前記タイマ補正部は、前記誤差検出部によって検出された複数回分の誤差に基づいて、前記タイマ値を補正する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線機。
  5. 前記受信機は、GNSS受信機である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線機。
  6. 前記クロック発振器は、前記基準信号によってリセットされてから次のリセットまでの間に、前記タイマ値の最大許容誤差を超える誤差を前記タイマに生じさせ得る程度に低いクロック精度を有している
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線機。
  7. 前記通信制御部は、前記タイマ値に基づく時刻情報を送信信号に含めて送信させる
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線機。
  8. 前記理論値は、前記クロック信号に誤差がないとしたときに、リセット直前に前記タイマがとるべきタイマ値である請求項1〜7のいずれか1項に記載の無線機。
  9. 前記理論値は、前記タイマがリセットされる周期と、前記クロック信号に誤差がない場合における前記タイマ値の1カウントの時間と、から求まるタイマ値である
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の無線機。
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