JP5785857B2 - 超音波粒径測定器、および超音波粒径測定方法 - Google Patents

超音波粒径測定器、および超音波粒径測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波粒径測定器、および超音波粒径測定方法に関し、特に、サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子に超音波を照射し、測定対象粒子で反射した超音波を変換した電気信号に基づいて測定対象粒子の粒径を測定する超音波粒径測定器、および超音波粒径測定方法に関する。
従来、サンプルセル内の液体中に分散している粒子の粒径を測定する方法として、粒子に照射した光の散乱を利用する方法(たとえば、動的光散乱(DLS:Dynamic Light Scattering)法)がある。また、別の測定方法として、たとえばサンプルセル内の液体中を沈降する粒子の終端速度を計測し、当該終端速度に基づいて粒径を算出する方法がある。
しかし、上記の測定方法では、光の散乱を利用したり、粒子の終端速度を計測したりするために、サンプルセル内の液体中に光を透過させる必要があった。そのため、上記の測定方法では、透明系のサンプルに限定され、化粧品や塗料を例とする着色したサンプルの解析には不向きであった。
そこで、光以外の線源を使った計測方法として、特許文献1に開示したある動的超音波散乱法測定器が提案されている。特許文献1に開示したある動的超音波散乱法測定器は、超音波を使って、サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子の粒径を測定する方法が開示してある。
具体的に、特許文献1に開示したある動的超音波散乱法測定器は、パルスを生成するパルサーと、パルサーにより生成されたパルスに基づいて、平面波の超音波をブラウン運動する粒子に照射し、粒子によって散乱された散乱波を受け取って散乱波電気信号に変換するトランスデューサと、散乱波電気信号に基づいて粒子の粒径を算出する解析部とを備えている。
特開2010−261910号公報
しかし、特許文献1に開示したある動的超音波散乱法測定器は、サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子の粒径を測定する場合、超音波の繰返し周波数、測定時間、測定周波数などの測定条件により、測定結果が大きく変化する。そのため、特許文献1に開示したある動的超音波散乱法測定器によって、正しく測定対象粒子の粒径を測定するためには、大まかな粒径、あるいは沈降速度を予め知っている必要があり、大まかな粒径、あるいは沈降速度が分からない測定対象粒子を正しく測定することができないという問題があった。
それゆえに、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、測定対象粒子の粒径を定量的に、安定して測定することができる超音波粒径測定器、および超音波粒径測定方法を提供することを目的とする。
本発明のある局面に従う超音波粒径測定器は、サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子に超音波を照射するトランスデューサと、超音波を発生させる電気的なスパイク波をトランスデューサに印加し、トランスデューサから照射した超音波のうち測定対象粒子で反射した超音波をトランスデューサで電気信号へ変換した後、変換した電気信号を増幅するパルサーレシーバと、パルサーレシーバで増幅した電気信号に基づいて、測定対象粒子の粒径を算出する解析部とを備え、解析部は、測定対象粒子の粒径を測定する前に、サンプルセル内の所定の測定範囲における電気信号の信号強度の時間変化を解析することで、測定対象粒子のサンプルセル内での沈降速度を測定し、測定した沈降速度に基づいて、測定対象粒子の粒径を測定する測定条件をパルサーレシーバに設定する。
好ましくは、測定条件は、トランスデューサから照射する超音波に関する条件、および超音波の信号の取込みに関する条件を少なくとも含む。
好ましくは、トランスデューサから照射する超音波に関する条件は、トランスデューサに印加するスパイク波の繰返し周波数を少なくとも含む。
好ましくは、超音波の信号の取込みに関する条件は、測定時間、測定周波数、データ数、およびサンプリングインターバルを少なくとも含む。
好ましくは、トランスデューサは、サンプルセルの壁面に超音波ゲルを介して設置し、測定対象粒子に超音波を照射する。
好ましくは、サンプルセルは、トランスデューサから照射する超音波の方向と平行な面の断面形状がL字型である。
好ましくは、サンプルセル内に、撹拌子を有している。
本発明のある局面に従う超音波粒径測定方法は、サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子に超音波を照射するトランスデューサと、超音波を発生させる電気的なスパイク波をトランスデューサに印加し、トランスデューサから照射した超音波のうち測定対象粒子で反射した超音波をトランスデューサで電気信号へ変換した後、変換した電気信号を増幅するパルサーレシーバと、パルサーレシーバで増幅した電気信号に基づいて、測定対象粒子の粒径を算出する解析部とを備える超音波粒径測定器を用いて測定対象粒子の粒径を測定する超音波粒径測定方法である。測定対象粒子の粒径を測定する前に、サンプルセル内の所定の測定範囲における電気信号の信号強度の時間変化を解析することで、サンプルセル内の所定の測定範囲における測定対象粒子の沈降速度を測定し、測定した沈降速度に基づいて、測定対象粒子の粒径を測定する測定条件をパルサーレシーバに設定し、設定した測定条件において測定対象粒子の粒径を測定する。
本発明に係る超音波粒径測定器、および超音波粒径測定方法は、測定対象粒子の粒径を測定する前に、測定対象粒子のサンプルセル内での沈降速度を測定し、測定した沈降速度に基づいて、測定対象粒子の粒径を測定する測定条件を設定するので、測定対象粒子の粒径を測定するための測定条件を常に適切に設定することができ、測定対象粒子の粒径を定量的に、安定して測定することができる。
本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器の構成を示す概略図である。 従来の超音波粒径測定器におけるトランスデューサでサンプルセルに超音波を出射する構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器の測定に用いるサンプルセル4の断面図である。 サンプルセル内に撹拌子を有する超音波粒径測定器の一部の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器の測定に用いる別のサンプルセル4の断面図である。 測定対象粒子の沈降速度の算出を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器で得られた電気信号の一例を示す波形図である。 測定対象粒子の周波数の測定を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器の測定方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のプレ測定を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態に係るコンピュータの概略のハードウェア構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータでデータ解析の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータで取得したデータの一例を示す波形図である。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータでカーブフィッティングを行なった相関関数の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータで算出した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータで算出した測定対象粒子の粒径のデータの一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータで算出した測定対象粒子の粒径のヒストグラムの一例を示すグラフである。 粒径が25μmの粒子を10%の濃度で分散した液体を測定した結果を示すグラフである。 図18に示したグラフから算出した測定対象粒子の平均粒径、および測定対象粒子の粒径の標準偏差を示した表である。 粒径が25μmの粒子を0.5%の濃度で分散した液体を測定した結果を示すグラフである。 図20に示したグラフから算出した測定対象粒子の平均粒径、および測定対象粒子の粒径dの標準偏差を示した表である。 粒径が26μmの粒子と、66μmの粒子とを混合した液体を測定した結果を示すグラフである。 粒径が6μmの粒子を25%の高濃度で分散した液体を測定した結果を示すグラフである。 粒径の分布が異なる粒子をそれぞれ分散した液体を測定した結果を示すグラフである。 図24に示す粒径の分布の異なる粒子の空間分布を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器のコンピュータで別のデータ解析の処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
<測定器の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器の構成を示す概略図である。図1に示す超音波粒径測定器10は、トランスデューサ1、パルサーレシーバ2、コンピュータ3を含んでいる。なお、超音波粒径測定器10は、超音波を用いて、液体中に分散している測定対象粒子の沈降速度を測定し、沈降速度に依存する粒子径を測定する。超音波粒径測定器10は、超音波を用いているので、光による測定が困難であるサンプル、たとえば、μmオーダの測定対象粒子、液体中に分散している測定対象粒子の濃度が高いサンプル、着色している測定対象粒子などを測定することができる。
トランスデューサ1は、内部に圧電体を持ち、電気信号を超音波に、超音波を電気信号に変換することができる。そして、トランスデューサ1は、サンプルセル4内の液体中に分散している測定対象粒子40に超音波を照射し、照射した超音波のうち測定対象粒子40で反射した超音波を受信して、電気信号に変換することができる。
また、トランスデューサ1は、サンプルセル4の壁面に超音波ゲル5を介して設置し、測定対象粒子40に超音波を照射している。従来、超音波は大気中を伝搬させると極端に減衰するため、トランスデューサ1およびサンプルセル4を水中に沈めて測定を行なっていた。図2は、従来の超音波粒径測定器におけるトランスデューサでサンプルセルに超音波を出射する構成を示す概略図である。図2(a)では、直方体のサンプルセル4aの長辺を、水槽20の底面に対して平行に配置し、トランスデューサ1を水槽20の底面に対して垂直に配置してある。また、図2(a)に示すトランスデューサ1は、直方体のサンプルセル4aの長辺を含む面から少し離れた位置に配置し、超音波をサンプルセル4aに対して照射している。図2(b)では、直方体のサンプルセル4aの長辺を、水槽20の底面に対して垂直に配置し、トランスデューサ1を水槽20の底面に対して平行に配置してある。また、図2(b)に示すトランスデューサ1でも、直方体のサンプルセル4aの長辺を含む面から少し離れた位置に配置し、超音波をサンプルセル4aに対して照射している。
しかし、従来の超音波粒径測定器は、測定を行なうたびに、トランスデューサ1およびサンプルセル4を水中に沈める作業が必要となり、作業が煩雑であった。そこで、図1に示す超音波粒径測定器10は、図2に示すようにトランスデューサ1およびサンプルセル4を水中に沈める代わりに、トランスデューサ1とサンプルセル4との間を超音波ゲルで埋めている。そのため、超音波粒径測定器10は、水槽が不要で、トランスデューサ1も防水仕様にする必要がない。
ここで、サンプルセル4は、トランスデューサ1から照射する超音波の方向と平行な面の断面形状がL字型である。図3は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10の測定に用いるサンプルセル4の断面図である。図3に示すサンプルセル4は、断面形状がL字型であるため、底面41と平行な上面42よりも高い位置まで測定対象粒子40を分散させた液体44を注入することで、上面42よりも高い位置に空気だまり43がある。液体44を注入するサンプルセル4の開口部は、セルキャップ45で封じてある。サンプルセル4は、断面形状をL字型にすることで、上面42よりも高い位置に空気だまり43を設け、トランスデューサ1を設置するサンプルセル4の上面42に空気が入りにくくしてある。
なお、サンプルセル4は、超音波の透過率を高めるために、音響インピーダンスが水に近い材料を用いることが望ましい。サンプルセル4に、音響インピーダンスが水に比べて、大きすぎる、あるいは小さすぎる材料を用いた場合、サンプルセル4は、超音波の透過率が低くなり、トランスデューサ1から出射した超音波を反射することになる。また、サンプルセル4は、液体44に有機溶媒を利用する場合、ポリスチレンではなく、ポリフェニレンサルファイドを材料として用いる。
パルサーレシーバ2は、パルス信号を生成する機能と、受信した電気信号を増幅する機能とを併せもっている。そのため、パルサーレシーバ2は、超音波を発生させるパルス信号(電気的なスパイク波)を生成してトランスデューサ1に印加し、トランスデューサ1から照射した超音波のうち測定対象粒子40で反射した超音波をトランスデューサ1で電気信号へ変換した後、変換した電気信号を増幅する。パルサーレシーバ2で増幅された電気信号は、解析部であるコンピュータ3に送られる。
コンピュータ3は、高速A/D(analog/Digital)変換ボードであるデジタイザを搭載しており、電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号のデータを解析プログラムを用いて解析することで測定対象粒子40の粒径を算出する。コンピュータ3は、表示装置6と接続してあり、算出した測定対象粒子40の粒径を含む測定結果を表示装置6に表示する。
超音波粒径測定器10は、液体中に分散している測定対象粒子40を撹拌させるために、サンプルセル4内に撹拌子を有していてもよい。図4は、サンプルセル4内に撹拌子を有する超音波粒径測定器10の一部の構成を示す概略図である。図4に示すサンプルセル4は、撹拌子7を有し、撹拌ユニット71を介して撹拌ステージ72上に載置してある。撹拌子7と撹拌ユニット71とは磁力で引き合っているので、ステッピングモータ73で撹拌ステージ72を図中の左右方向に移動させることで、撹拌ユニット71と引き合っている撹拌子7も図中の左右方向に移動し、撹拌子7は、液体中に分散している測定対象粒子40を撹拌する。図4(a)に示すサンプルセル4は、撹拌子7が図中右側に移動した状態を、図4(b)に示すサンプルセル4は、撹拌子7が図中左側に移動した状態を、それぞれ示している。図4に示すサンプルセル4は、温度を一定に保つために温調ブロック74内に設置してある。
なお、サンプルセル4の形状は、断面形状がL字型である場合に限定されるものではなく、トランスデューサ1を設置するサンプルセル4の面とサンプルセル4の液体との間に空気が入りにくい形状であれば、いずれの形状であってもよい。図5は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10の測定に用いる別のサンプルセル4の断面図である。図5(a)に示すサンプルセル4は、測定対象粒子40を分散させる液体44にセルキャップ45の一部を浸け、空気だまり43をセルキャップ45の側面に押しのけている。さらに、図5(a)に示すサンプルセル4は、セルキャップ45の内側に水を入れ、トランスデューサ1の一部を水に浸す形状である。また、図5(b)に示すサンプルセル4は、測定対象粒子40を分散させる液体44にセルキャップ45の一部を浸け、空気だまり43をセルキャップ45の側面に押しのけている点で、図5(a)に示すサンプルセル4と同じであるが、セルキャップ45の内側に水を入れず、超音波ゲル5を介してトランスデューサ1をセルキャップ45の壁面に設置する形状である。
<測定原理>
次に、超音波粒径測定器10の測定原理について説明する。超音波粒径測定器10は、トランスデューサ1からパルス状の超音波を出射し、測定対象粒子40で反射したパルス状の超音波を測定することで、測定対象粒子40の粒径を測定することができる。具体的に、超音波粒径測定器10は、測定対象粒子40で反射したパルス状の超音波が返ってくる時間から測定対象粒子40の位置を算出することができ、連続的に測定を行なうことで測定対象粒子40の沈降速度を算出し、測定対象粒子40の粒径を測定している。
図6は、測定対象粒子40の沈降速度の算出を説明するための模式図である。図6(a)には、パルス状の超音波を出射するトランスデューサ1と、超音波を出射する方向に移動する壁(測定対象粒子40)60とを模式的に示してある。また、図6(b)には、壁60で反射したパルス状の超音波をトランスデューサ1で受信した信号を示してある。具体的に、トランスデューサ1は、図6(b)に示すように、時間tでパルス状の超音波を出射し、時間tでトランスデューサ1から距離Lにある壁60で反射したパルス状の超音波を、時間tでトランスデューサ1から距離Lにある壁60で反射したパルス状の超音波をそれぞれ受信している。なお、図6(a)に示すトランスデューサ1は、超音波を出射する方向に速度Vで移動する壁60に対して、速度Vの超音波の出射している。
そのため、壁60が移動前、トランスデューサ1から壁60までの距離Lは、トランスデューサ1からパルス状の超音波を出射する時間を時間tと、距離Lの壁60に反射されたパルス状の超音波を受信するまでの時間を時間tとすると式1と表すことができる。
Figure 0005785857
同様に、壁60が移動後、トランスデューサ1から壁60までの距離Lは、トランスデューサ1からパルス状の超音波を出射する時間を時間tと、距離Lの壁60に反射されたパルス状の超音波を受信するまでの時間を時間tとすると式2と表すことができる。
Figure 0005785857
壁60が移動する速度Vは、式1および式2から、式3のように表すことができる。
Figure 0005785857
測定対象粒子40の沈降速度を測定する原理も、前述した原理と同一である。ただし、測定対象粒子40の沈降速度を測定する場合、後述するように解析する方法が若干異なる。まず、トランスデューサ1から、測定対象粒子40で反射した超音波を変換した電気信号が得られる。図7は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10で得られた電気信号の一例を示す波形図である。図7(a)では、x軸を1度出射したパルス状の超音波から得られる電気信号の時系列方向(データポイント方向)とし、y軸を出射するパルス状の超音波の繰返し方向(フレーム方向)としている。なお、x軸およびy軸は、ともに時間軸である。特に、x軸は、出射したパルス状の超音波が、測定対象粒子40で反射して戻ってくるまでの時間を表しているので、データポイントはトランスデューサ1から測定対象粒子40までの距離を表すことになる。y軸は、トランスデューサ1からパルス状の超音波を最初に出射してからの経過時間を表しているので、フレームは、測定時間を表すことになる。また、遅延時間は、パルサーレシーバ2で生成するパルス信号と同期したトリガ信号の発生から、測定対象粒子40で反射した超音波をトランスデューサ1で受信を開始するまでの時間である。
測定対象粒子40の沈降速度を求めるためには、図7(a)に示す波形図のx軸上の一点に注目し、その点のフレーム方向のデータを図7(b)のような波形で表し、当該波形の周波数を測定する必要がある。つまり、トランスデューサ1から、ある距離にある測定ポイント(データポイント)を通過する測定対象粒子40の周波数を測定することで、測定対象粒子40の沈降速度を算出している。
図8は、測定対象粒子40の周波数の測定を説明するための模式図である。図8(a)は、時間tに出射したパルス状の超音波から得られる電気信号を、フレームTをTからTまで変化させたときの波形を示してある。フレームTがTからTまで変化するとき、時間tのデータポイントにおいて、測定対象粒子40で反射した超音波の電気信号が通過する。そのため、図8(b)に示すように、時間tのデータポイントにおける電気信号を、フレームTの方向に並べると、周期的に変化する波形を図示することができる。
図8(b)に示す波形の周波数fは、測定対象粒子40の沈降速度Vに依存し、式4のように表すことができる。
Figure 0005785857
ここで、λは、トランスデューサ1から出射したパルス状の超音波の波長を表し、パルス状の超音波の周波数f、パルス状の超音波の速度Vcを用いて、式5と表すことができる。
Figure 0005785857
よって、求めるべき測定対象粒子40の沈降速度Vは、式4および式5より式6と求めることができる。
Figure 0005785857
<測定方法>
次に、超音波粒径測定器10の測定方法について説明する。図9は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10の測定方法を示すフローチャートである。まず、超音波粒径測定器10は、測定条件を決定するためにプレ測定を行なう(ステップS91)。超音波粒径測定器10は、測定条件に強い依存性を持つため、測定対象粒子40の粒径にあわせて最適な測定条件を設定しなければ定量的な評価が困難であった。
プレ測定は、サンプルセル4内の液体中に分散している測定対象粒子40の、サンプルセル4内の所定の測定範囲における沈降速度を、上記の測定原理と異なる方法で測定する。具体的に、超音波粒径測定器10は、サンプルセル4内の所定の測定範囲における電気信号の信号強度の時間変化を測定することで、測定対象粒子40のサンプルセル4内での沈降速度を測定する。
トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度は、測定範囲内の測定対象粒子40の数に依存して変化する。そのため、測定範囲内に測定対象粒子40が多い場合、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度は大きくなり、逆に、測定範囲内に測定対象粒子40が少ない場合、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度は小さくなる。
図10は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のプレ測定を説明するための模式図である。図10(a)では、x軸の時間(sec)に対するy軸のトランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度の変化を示すグラフである。このグラフから、測定範囲内に存在する測定対象粒子40が多い図10(b)の場合、測定対象粒子40から反射される超音波が多いので、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度が大きくなる。
しかし、測定対象粒子40が時間とともに沈降し、測定範囲内に存在する測定対象粒子40が少ない図10(c)の場合、測定対象粒子40から反射される超音波が少なくなるので、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度も小さくなっている。
さらに、測定対象粒子40が沈降し、測定範囲内に存在する測定対象粒子40がない図10(d)の場合、測定対象粒子40から反射される超音波がないので、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度も一定となる。
そのため、プレ測定は、測定範囲Lにおいて、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度が一定値となるまでの時間τを測定することで、測定対象粒子40の沈降速度VをV=L/τと求めることができる。なお、プレ測定は、トランスデューサ1で受信する電気信号の信号強度が減衰して一定値となった時点で終了するため、測定時間をあらかじめ決定しておく必要がない。また、プレ測定は、測定範囲を1点に固定しておく必要はなく、離れた地点から順に解析を行ってもよい。
次に、コンピュータ3は、プレ測定で測定した測定対象粒子40のサンプルセル4内での沈降速度Vに基づいて、測定条件を決定する(ステップS92)。決定する測定条件には、トランスデューサ1から照射する超音波に関する条件として、たとえばトランスデューサ1に印加するパルス信号の繰返し周波数、および超音波の信号の取込みに関する条件、たとえば測定時間、測定周波数、データ数、およびサンプリングインターバルを少なくとも含んでいる。さらに、コンピュータ3は、決定した測定条件をパルサーレシーバ2に設定する。
ここで、トランスデューサ1に印加するパルス信号の繰返し周波数は、トランスデューサ1から出射する超音波の繰返し周波数を決定するパラメータである。測定時間は、測定対象粒子40の粒径を測定する時間、具体的にはトランスデューサ1を用いて超音波を受信する時間を決定するパラメータである。測定周波数は、データを取込む周波数を決定するパラメータである。データ数は、データポイント方向のデータ数で、測定範囲(トランスデューサ1からの深さ)に関連する測定条件であり、測定対象粒子40の粒径を測定する範囲を決定するパラメータである。サンプリングインターバルは、データポイント方向のデータを取込む時間間隔を決定するパラメータである。
前述以外に、測定条件には、たとえば、フレーム方向のデータ数であるフレーム数、遅延時間、撹拌子7でサンプルセル4内を撹拌する処理を終了してから、測定を開始するまでの時間である待機時間、撹拌ユニット71が往復する回数である撹拌回数などがある。なお、フレーム数は、測定時間×測定周波数で求めることができる。また、測定範囲(トランスデューサ1からの深さ)は、データポイント数とサンプリングインターバルの積に比例する。
コンピュータ3は、トランスデューサ1から出射する超音波の波長を沈降速度Vで割った値を2倍して、測定時間を決定する。また、コンピュータ3は、沈降速度Vをトランスデューサ1から出射する超音波の波長で割った値を40倍して、測定周波数を決定する。さらに、コンピュータ3は、データポイント数が大きくなり過ぎないように2.5ns、5ns、10nsから選択してサンプリングインターバルを決定する。また、コンピュータ3は、沈降速度Vを、待機時間と測定時間の和およびサンプリングインターバルで割った値を10倍してデータポイント数を決定する。
ここで、コンピュータ3は、たとえば、サンプリングインターバル2.5ns、データポイント数の上限を4000と決めた場合、沈降速度Vに基づいて決定したデータポイント数が4000を超えると、サンプリングインターバルを一段階大きい5nsに変更する。なお、プレ測定で得られる沈降速度Vは、実際の沈降速度に比べ、いくらか小さいと予想されるため、沈降速度の分布を考慮して、少し大きい値としてもよい。
次に、パルサーレシーバ2は、コンピュータ3で決定した測定条件に基づいて、測定対象粒子40の粒径の測定を行なう(ステップS93)。具体的に、パルサーレシーバ2は、設定した測定条件の繰返し周波数のパルス信号をトランスデューサ1に印加して、トランスデューサ1から測定対象粒子40にパルス状の超音波を出射する。また、パルサーレシーバ2は、トランスデューサ1から出射した超音波のうち測定対象粒子40で反射した超音波を電気信号に変換する。パルサーレシーバ2は、増幅した電気信号をコンピュータ3に出力する。
次に、コンピュータ3は、パルサーレシーバ2から入力した電気信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号のデータを解析プログラムを用いてデータ解析する(ステップS94)。コンピュータ3は、算出した測定対象粒子40の粒径を含む測定結果を表示装置6に表示して解析結果出力する(ステップS95)。
<データ解析の概要>
データ解析を行なう、コンピュータ3の概略のハードウェア構成について説明する。図11は、本発明の実施の形態に係るコンピュータ3の概略のハードウェア構成を示す模式図である。
図11を参照して、コンピュータ3は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)200と、CPU200でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するメモリ部212と、CPU200で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク部(HDD:Hard Disk Drive)210とを含む。また、ハードディスク部210には、後述するような処理を実現するための解析プログラムが予め記憶されており、このようなプログラムは、フレキシブルディスクドライブ(FDD)216またはCD−ROMドライブ214によって、それぞれフレキシブルディスク216aまたはCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)214aなどから読み取られる。
CPU200は、キーボードやマウスなどからなる入力部208を介してユーザなどからの指示を受取るとともに、プログラムの実行によって解析される解析結果などをディスプレイ出力部204を介して表示装置6へ出力する。また、インターフェース部206は、パルサーレシーバ2に接続されている。各部は、バス202を介して互いに接続される。
<データ解析の方法>
次に、図12は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3でデータ解析の処理を示すフローチャートである。まず、コンピュータ3は、インターフェース部206からパルサーレシーバ2が出力した電気信号のデータを取得する(ステップS121)。図13は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3で取得したデータの一例を示す波形図である。なお、図13に示す横軸は時間(sec)で、縦軸は電圧(mV)である。
次に、コンピュータ3は、プログラムの実行によって、取得したデータに対してロックインアンプ処理を行なう(ステップS122)。具体的に、コンピュータ3は、取得したデータの波形と参照波の波形との積を取り、積を取った波形のうち1MHz以下の波形を通過させる(ローパスフィルタとして機能)。なお、コンピュータ3は、ローパスフィルタとして機能するとき、空間座標の情報をできるだけ残すように、FIR(Finite impulse response)フィルタとして機能させる。また、コンピュータ3は、プログラム内部で参照波を作成し、作成する参照波の周波数をトランスデューサ1から出射する超音波の周波数に合わせて変更するとよい。たとえば、参照波の周波数を、26MHz〜45MHzとする。
次に、コンピュータ3は、最大エントロピー法(Maximum Entropy Method;以下、「MEM」とも称す。)を用いて、ロックインアンプ処理を行なったデータから、相関関数と周波数スペクトルとを算出する(ステップS123)。MEMの処理の詳細については、「科学計測のための波形データ処理 計測システムにおけるマイコン/パソコン活用技術」、南茂夫編著、CQ出版社、1992年8月1日第10版発行などに詳しいので、そちらを参照されたい。
次に、コンピュータ3は、MEMの処理で算出した相関関数に対して、以下に示す式7を用いて、カーブフィッティングを行なう(ステップS124)。なお、カーブフィッティングは、Levenberg-Marquardt法を用いる。
Figure 0005785857
式7に示すVは測定対象粒子40の沈降速度、δVはz方向の速度の分散をそれぞれ表している。そのため、式7のcos()の項は測定対象粒子40の沈降速度に、exp()の項は測定対象粒子40の沈降速度の分散にそれぞれ対応している。ここで、qは、波数ベクトルを示し、以下の式8に示すように表すことができる。
Figure 0005785857
なお、fは超音波の中心周波数を、Vは超音波の音速をそれぞれ示している。図14は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3でカーブフィッティングを行なった相関関数の一例を示すグラフである。なお、図14に示す横軸は時間(sec)で、縦軸は相関関数である。図14にプロットした点が、MEMの処理で算出した相関関数で、プロットした点に沿って引かれた線がカーブフィッティングによって引かれた線である。
また、式7に代入する初期値は、MEMの処理で算出した周波数スペクトルから取得することができるスペクトルピークより求める。図15は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3で算出した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。なお、図15に示す横軸は周波数(Hz)で、縦軸はスペクトル強度である。
コンピュータ3は、MEMの処理で算出した周波数スペクトルに対して、最大5つのスペクトルピークを取得する(ステップS125)。さらに、コンピュータ3は、取得した複数のスペクトルピークより、式7に代入する初期値を算出する。
次に、コンピュータ3は、ストークス方程式である式9を用いて、測定対象粒子40の粒径dを算出する(ステップS126)。
Figure 0005785857
ここで、式9のηはサンプルセル4内の溶媒の粘度、ρはサンプルセル4内の溶媒の密度、ρは測定対象粒子40の密度、gは重力加速度である。
さらに、式9のVは、測定対象粒子40の終端速度で、式10と表すことができる。
Figure 0005785857
ここで、式10のcはサンプルセル4内の溶液の濃度、nはレイノルズ数が小さい場合、4.5〜5.5程度の値となる。式10から分かるように、測定対象粒子40の終端速度Vは、サンプルセル4内の溶液の濃度cに依存し、式7から求められる測定対象粒子40の沈降速度Vを代入することで求めることができる。
次に、コンピュータ3は、参照波の全ての周波数を切替えて測定対象粒子40の粒径dを算出したか否かを判断する(ステップS127)。トランスデューサ1から出射することができる超音波の周波数は広い帯域を持っている。そのため、コンピュータ3は、ロックインアンプを用いて、それぞれの周波数に対応するデータを抽出し、抽出したデータに対して参照波の周波数を切替えて処理を行なう必要がある。なお、バンドパスフィルタは、中心周波数、および周波数の幅をトランスデューサから出射する超音波の周波数に合わせて適宜変更することができるものとする。たとえば、参照波の周波数が26MHz〜45MHzとすると、コンピュータ3は、参照波の周波数を26MHz〜45MHzに切替えてステップS123〜S126の処理を繰返すことになる。
コンピュータ3は、参照波の全ての周波数を切替えて測定対象粒子40の粒径dを算出していないと判断した場合(ステップS127:NO)、参照波の周波数を切替えて処理をステップS123を戻す。コンピュータ3は、参照波の全ての周波数を切替えて測定対象粒子40の粒径dを算出したと判断した場合(ステップS127:YES)、算出した測定対象粒子40の粒径分布を作成する(ステップS128)。
コンピュータ3は、測定範囲(トランスデューサ1からの深さ)ごと、および参照波の周波数ごとに測定対象粒子40の粒径dを算出する。そのため、コンピュータ3が算出する測定対象粒子40の粒径dのデータ総数は、(データポイント数)×(参照波の周波数を切替えた数)となる。図16は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3で算出した測定対象粒子40の粒径dのデータの一例を示すグラフである。なお、図16に示す横軸は測定範囲(トランスデューサ1からの深さ)(mm)で、縦軸は測定対象粒子40の粒径d(μm)である。また、図16では、参照波の周波数を33MHz、34MHz、35MHz、36MHz、37MHzと切替えた波形を図示してある。
コンピュータ3は、図16に示すデータから、測定対象粒子40の粒径分布を表すヒストグラムを作成する。図17は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3で算出した測定対象粒子40の粒径dのヒストグラムの一例を示すグラフである。なお、図17に示す横軸は測定対象粒子40の粒径d(μm)で、縦軸は頻度(%)である。
図12に戻って、コンピュータ3は、作成した測定対象粒子40の粒径分布に対してカーブフィッティングを行ないガウス分布を当てはめ、測定対象粒子40の平均粒径および粒径dの標準偏差(SD)を算出する(ステップS129)。作成した測定対象粒子40の粒径分布に対して行なうカーブフィッティングは、以下に示す式11を用いる。
Figure 0005785857
ここで、式11のxは測定対象粒子40の平均粒径、ωは測定対象粒子40の粒径dの標準偏差(SD)、Aは係数である。
たとえば、図17には、作成した測定対象粒子40の粒径分布に対してカーブフィッティングを行なった結果も図示してある。
<測定例>
次に、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10で測定対象粒子40の粒径dを測定した測定例を示す。まず、メーカー公称値として粒子の平均粒径および粒径の標準偏差が分かっているサンプルを超音波粒径測定器10で測定した測定例を示す。
図18は、粒径が25μmの粒子を10%の濃度で分散した液体を測定した結果を示すグラフである。なお、図18に示す横軸は測定対象粒子40の粒径d(μm)で、縦軸は頻度(%)である。また、図18では、同じサンプルを6回測定した結果を図示してある。
図19は、図18に示したグラフから算出した測定対象粒子40の平均粒径、および測定対象粒子40の粒径dの標準偏差を示した表である。図19に示す表では、1回目〜6回目の各回、および6回分平均のそれぞれについて測定対象粒子40の平均粒径、および測定対象粒子40の粒径dの標準偏差を示してある。さらに、図19に示す表には、メーカー公称値として標識値の粒子の平均粒径および粒径の標準偏差も示してある。当該表から分かるように、超音波粒径測定器10は、標識値である粒子の平均粒径が25μmに対して、6回分平均の測定対象粒子40の平均粒径が25.83μm、標識値である粒子の粒径の標準偏差が3.78に対して、6回分平均の測定対象粒子40の粒径dの標準偏差が4.30と、安定して精度のよい測定結果を得ることができる。
図20は、粒径が25μmの粒子を0.5%の濃度で分散した液体を測定した結果を示すグラフである。なお、図20に示す横軸も測定対象粒子40の粒径d(μm)で、縦軸も頻度(%)である。また、図20でも、同じサンプルを6回測定した結果を図示してある。
図21は、図20に示したグラフから算出した測定対象粒子40の平均粒径、および測定対象粒子40の粒径dの標準偏差を示した表である。図21に示す表では、1回目〜6回目の各回、および6回分平均のそれぞれについて測定対象粒子40の平均粒径、および測定対象粒子40の粒径dの標準偏差を示してある。さらに、図21に示す表には、メーカー公称値として標識値の粒子の平均粒径および粒径の標準偏差も示してある。当該表から分かるように、超音波粒径測定器10は、標識値である粒子の平均粒径が25μmに対して、6回分平均の測定対象粒子40の平均粒径が25.21μm、標識値である粒子の粒径の標準偏差が3.78に対して、6回分平均の測定対象粒子40の粒径dの標準偏差が4.04と、安定して精度のよい測定結果を得ることができる。
次に、メーカー公称値として平均粒径26μmの粒子と、平均粒径66μmの粒子とを混合させたサンプルを超音波粒径測定器10で測定した測定例を示す。図22は、粒径が26μmの粒子と、66μmの粒子とを混合した液体を測定した結果を示すグラフである。なお、図22に示す横軸も測定対象粒子40の粒径d(μm)で、縦軸も頻度(%)である。図22に示すグラフから分かるように、超音波粒径測定器10は、測定対象粒子40の粒径dの最頻値が25.4μm、60.7μmと算出することができ、粒径の異なる粒子を混合したサンプルであってもそれぞれの粒子について精度よく測定対象粒子40の粒径dを測定することができる。
次に、粒子を高濃度に分散したサンプルを超音波粒径測定器10で測定した測定例を示す。図23は、粒径が6μmの粒子を25%の高濃度で分散した液体を測定した結果を示すグラフである。なお、図23に示す横軸も測定対象粒子40の粒径d(μm)で、縦軸も頻度(%)である。図23に示すグラフから分かるように、超音波粒径測定器10は、測定対象粒子40の粒径dの最頻値が6.3μmと算出することができ、濃度が25%の高濃度のサンプルであっても精度よく測定対象粒子40の粒径dを測定することができる。
次に、粒子の粒径の分布が異なるサンプルを超音波粒径測定器10で測定した測定例を示す。図24は、粒径の分布が異なる粒子をそれぞれ分散した液体を測定した結果を示すグラフである。なお、図24に示す横軸も測定対象粒子40の粒径d(μm)で、縦軸も頻度(%)である。図24には、測定対象粒子40の粒径dの最頻値が101.7μmで、粒径の分布が小さいヒストグラムAと、測定対象粒子40の粒径dの最頻値が96.1μmで、粒径の分布が大きいヒストグラムBとが図示してある。測定対象粒子40の粒径dの最頻値が101.7μmのサンプルは、メーカー公称値の粒径が100μmの粒子で、測定対象粒子40の粒径dの最頻値が96.1μmのサンプルは、メーカー公称値の粒径が97μmの粒子である。そのため、超音波粒径測定器10は、粒子の粒径の分布に依存することなく精度よく測定対象粒子40の粒径dを測定することができる。
図25は、図24に示す粒径の分布の異なる粒子の空間分布を示すグラフである。なお、図25に示す横軸は測定範囲(トランスデューサ1からの深さ)(mm)で、縦軸は測定対象粒子40の粒径d(μm)である。図25に示すグラフから分かるように、粒径の分布が小さいヒストグラムAの粒子は、測定範囲の全体に渡って均一に存在しているが、粒径の分布が大きいヒストグラムBの粒子は、測定範囲の広い側(トランスデューサ1から深い側)に近づくにつれて粒径が大きくなっている。超音波粒径測定器10は、測定対象粒子40の粒径dを測定するだけでなく、粒子の空間分布も知ることができる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10は、測定対象粒子40の粒径dを測定する前に、測定対象粒子40のサンプルセル4内での沈降速度をプレ測定し、プレ測定した沈降速度に基づいて、測定対象粒子40の粒径dを測定する測定条件を設定するので、測定対象粒子40の粒径dに対して常に適切な測定条件を設定することができ、測定対象粒子40の粒径dを正しく、安定して測定することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10では、データ解析で相関関数に基づいて測定対象粒子40の粒径dを算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、周波数スペクトルに基づいて測定対象粒子40の粒径dを算出してもよい。具体的に、コンピュータ3は、MEMの処理で算出した周波数スペクトルから周波数fを求め、求めた周波数fを式6に代入して測定対象粒子40の沈降速度Vを算出する。コンピュータ3は、算出した測定対象粒子40の沈降速度Vを、式9に代入して測定対象粒子40の粒径dを算出することもできる。
図26は、本発明の実施の形態に係る超音波粒径測定器10のコンピュータ3で別のデータ解析の処理を示すフローチャートである。図26に示すフローチャートは、前述した相関関数を算出することなく周波数スペクトルに基づいて測定対象粒子40の粒径dを算出するデータ解析の処理を示すフローチャートである。なお、図26に示すフローチャートは、ステップS123に代えて、MEMを用いて、ロックインアンプ処理を行なったデータから、周波数スペクトルとを算出する(ステップS261)点と、ステップS124の処理を行なわない点が図12に示すフローチャートと異なる。そのため、図26に示すフローチャートは、図12に示すフローチャートのステップと同じ処理を行なうステップに同じ符号を付して、詳細な説明を繰返さない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 トランスデューサ、2 パルサーレシーバ、3 コンピュータ、4 サンプルセル、5 超音波ゲル、6 表示装置、7 撹拌子、10 超音波粒径測定器、20 水槽、40 測定対象粒子、41 底面、42 上面、44 液体、45 セルキャップ、60 壁、71 撹拌ユニット、72 撹拌ステージ、73 ステッピングモータ、200 CPU、202 バス、204 ディスプレイ出力部、206 インターフェース部、208 入力部、210 ハードディスク部、212 メモリ部、214 CD−ROMドライブ、216 フレキシブルディスクドライブ、216a フレキシブルディスク。

Claims (8)

  1. サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子に超音波を照射するトランスデューサと、
    超音波を発生させる電気的なスパイク波を前記トランスデューサに印加し、前記トランスデューサから照射した前記超音波のうち前記測定対象粒子で反射した前記超音波を前記トランスデューサで電気信号へ変換した後、変換した電気信号を増幅するパルサーレシーバと、
    前記パルサーレシーバで増幅した前記電気信号に基づいて、前記測定対象粒子の粒径を算出する解析部と
    を備え、
    前記解析部は、前記測定対象粒子の粒径を測定する前に、前記サンプルセル内の所定の測定範囲における前記電気信号の信号強度の時間変化を解析することで、前記サンプルセル内の所定の測定範囲における前記測定対象粒子の沈降速度を測定し、測定した前記沈降速度に基づいて、前記測定対象粒子の粒径を測定する測定条件を前記パルサーレシーバに設定する超音波粒径測定器。
  2. 前記測定条件は、前記トランスデューサから照射する前記超音波に関する条件、および前記超音波の信号の取込みに関する条件を少なくとも含む、請求項1に記載の超音波粒径測定器。
  3. 前記トランスデューサから照射する前記超音波に関する条件は、前記トランスデューサに印加する前記スパイク波の繰返し周波数を少なくとも含む、請求項2に記載の超音波粒径測定器。
  4. 前記超音波の信号の取込みに関する条件は、測定時間、測定周波数、データ数、およびサンプリング周波数を少なくとも含む、請求項2に記載の超音波粒径測定器。
  5. 前記トランスデューサは、前記サンプルセルの壁面に超音波ゲルを介して設置し、前記測定対象粒子に前記超音波を照射する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の超音波粒径測定器。
  6. 前記サンプルセルは、前記トランスデューサから照射する前記超音波の方向と平行な面の断面形状がL字型である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の超音波粒径測定器。
  7. 前記サンプルセル内に、撹拌子を有している、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の超音波粒径測定器。
  8. サンプルセル内の液体中に分散している測定対象粒子に超音波を照射するトランスデューサと、
    超音波を発生させる電気的なスパイク波を前記トランスデューサに印加し、前記トランスデューサから照射した前記超音波のうち前記測定対象粒子で反射した前記超音波を前記トランスデューサで電気信号へ変換した後、変換した電気信号を増幅するパルサーレシーバと、
    前記パルサーレシーバで増幅した前記電気信号に基づいて、前記測定対象粒子の粒径を算出する解析部と
    を備える超音波粒径測定器を用いて前記測定対象粒子の粒径を測定する超音波粒径測定方法であって、
    前記測定対象粒子の粒径を測定する前に、前記サンプルセル内の所定の測定範囲における前記電気信号の信号強度の時間変化を解析することで、前記サンプルセル内の所定の測定範囲における前記測定対象粒子の沈降速度を測定し、
    測定した前記沈降速度に基づいて、前記測定対象粒子の粒径を測定する測定条件を前記パルサーレシーバに設定し、
    設定した前記測定条件において前記測定対象粒子の粒径を測定する、超音波粒径測定方法。
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