JP5783981B2 - 半導体モジュール装置の放熱特性測定方法 - Google Patents
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Description
この半導体モジュールは、通電時の発熱量が大きいので半導体等が損傷しないようにしなければならない。このため、通常、半導体モジュールには、空気や冷却水を利用した冷却器を追加して、半導体モジュール装置を構成して使用するようにしている。
そこで、半導体モジュール装置の使用前等に、半導体モジュール装置の放熱特性を測定し、この半導体モジュール装置の冷却性能に異常がないか否かを判定するようにしている。
この従来の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法では、半導体モジュールの水冷式放熱部に接する空間を外界から隔離して、この隔離した空間内に測定用の気体を封入して、半導体・モジュールに使用時と同様の条件で通電して検査する。この検査においては、封入された測定用の気体の通電前後の圧力変化および/または体積変化を測定して、半導体モジュール装置の放熱特性を測定する。
この場合、放熱特性を直接に示す気体の温度上昇幅を示す指標が測定されるため、半導体モジュール装置の冷却の異常を看過するのを防ぐことができるようにしている。
すなわち、半導体モジュールには、使用時に流す電流の値に近い値の電流を流す必要があり、また、その際に実際に上昇する気体の温度を測定しなければならず、その結果、電流使用量が大きくなる上、測定時間も長くなるので、コスト高になる。
また、電流計の他に、測定用の気体の圧力や温度を検出するため、圧力センサや温度センサが必要となって、さらにコスト高になる。
半導体を有する半導体モジュールとこの半導体モジュールを冷却する冷却器とを備え、半導体と冷却器との間に絶縁層を介在させた半導体モジュール装置の放熱特性測定方法であって、
半導体の電極と冷却器との間に所定の直流電圧を印加し、
この電圧印加の際に半導体の電極と冷却器との間を流れる直流電流を測定して、
この直流電流を時間積分した積分値が絶縁層の厚さにより定められる第1所定値より低い場合には熱抵抗が過大であると判断し、積分値が第1所定値以上である場合には熱抵抗が適正範囲内にあると判断する、
ことを特徴とする。
請求項1に記載の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法において、
積分値が第1所定値より大きい第3所定値以上のときは、絶縁抵抗不良であると判断する、
ことを特徴とする。
請求項1または2に記載の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法において、
所定の直流電圧を印加する装置には、半導体モジュール装置に直流電圧を印加して半導体モジュール装置の絶縁耐圧を検査する絶縁耐圧検査装置を用いて行う、
ことを特徴とする。
なお、各実施例間で同じ部品/部分については同じ番号を付し、それらの説明は省略する。
実施例1の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法では、図1および図2に示すように、放熱特性測定を行う検査対象となる半導体モジュール装置1に絶縁耐圧検査装置3を接続して、後述するように、電圧を印加してその時流れる電流を測定することで、絶縁耐圧検査と絶縁抵抗検査の双方を実行する。
IGBT5とダイオード7とは並列接続されて上アームを構成し、またIGBT6とダイオード8とは並列接続されて下アームを構成する。
なお、図2では、これらの回路は、便宜上、冷却器4から離して描いてあるが、図1や図3に示すように、これらは組み付けられ、この状態で放熱特性の検査が行われる。
緩衝板2aの上面には、IGBT5、6やダイオード7、8等からなる半導体2bがはんだ2cで固着される一方、緩衝板2aの下面にはバス・バー2dがはんだ2eで固着されている。これらは、樹脂ケース12で囲まれ、この内側の空間内にシリコーン・ゲル13が充填されて封じ込まれる。
樹脂ケース12は、冷却器4の上面である放熱面4aに図示しないねじで固定される。
また、各半導体2bの電極等一部を除いては、図示しない端子にワイヤ・ボンディングで接続されている。
なお、図1および図2中、Cはコレクタ、Eはエミッタ、Gはゲートを、またこれらの添え字1、2は上アーム、下アームのものであることをそれぞれ示す。
絶縁耐圧検査装置3のマイナス側端子は、接地した冷却器4に接続する。
絶縁耐圧検査装置3は、図示しないが電圧計および電流計を備えており、本実施例では表示部3aにそれぞれ表示可能とされている。
なお、半導体2bから冷却器4の間にあるもの、すなわち放熱絶縁シート9および放熱グリス10、11等は、本発明の絶縁層に相当する。
ここでは、従来実行されていた絶縁耐圧検査・熱性能検査と本実施例による熱抵抗・絶縁耐厚検査とを比較して、それぞれ説明する。
この従来の検査方法を用いる場合、同図に示すように、まずステップS1にて、冷却器4の放熱面4aである上面に放熱グリス11を塗布する。
次いで、ステップS2へ進む。
次いで、ステップS3へ進む。
次いで、ステップS4へ進む。
次いで、ステップS5に進む。
次いで、ステップS6に進む。
次いで、ステップS7に進む。
次いで、ステップS8へ進む。
次いで、ステップS9へ進む。
この絶縁耐圧検査は、絶縁破壊があるものや絶縁破壊を起こす可能性のある不良品を見つけ出すのを目的としてなされる。この検査では、所定の値の交流電圧を所定時間印加し、電流増加が測定されず絶縁破壊を生じなかった場合には、その検査対象が十分な絶縁耐力を有すると判断するようにしている。言い換えると、測定した交流電流が第1所定値より大きい第2所定値以上となった場合には、絶縁耐圧不良と判断することになる。
次いで、ステップS10へ進む。
ここでは、上述の測定用の気体を用いた従来の検査方法を行うことになる。この検査により、放熱特性に異常があるか否かを判断して、インバータのうちの半導体モジュール装置1の冷却能力を検査する。
次いで、ステップS11へ進む。
しかしながら、上記従来の組付・検査方法では、インバータに実際に流すのと同様の大電流をパワー・モジュール2に流して行うので、半導体モジュール装置1にこれを駆動する基板を組み付けた状態で、検査を行わなければならない。
しかも、半導体モジュール装置1と駆動基板とは、はんだ付けして組み付けられるので、製品としての保証を行うためには、はんだ付けをした状態で検査を行う必要がある。
また、この異常判定にあっては、上記従来の検査方法では、インバータ組み立て後の熱抵抗が悪いのか、あるいは損失がある否かについて切り分けることができない。
すなわち、従来技術の組付・検査方法における、絶縁耐圧検査を行うステップS9と、熱性能検査を行うステップS10とを、やり方内容を変更する(特に後者)とともに、これらの検査をパワー・モジュール2と冷却装置4とのみを組み付けた段階で、したがって半導体モジュール装置1を含むインバータを組み付ける前の段階で行うように順序を変更した。
なお、検査のやり方は一部異なるが、従来の検査方法と本実施例での検査方法間における検査ステップの順序変更の関係を、図5(a)、(b)間に、一点鎖線で示した。
次いで、ステップS25へ進む。
次いで、ステップS26〜S30へとこれらの順に進む。
ただし、これらのステップへ進むことができるのは上記ステップS25で異常なしと判断されたものだけであり、異常ありと判断されたものはそれ以上のステップには進ませないようにしている。
まずは、交流電圧を印加して行う検査方法について、説明する。
放熱絶縁シート9と上下の放熱グリス10、11とを合わせた厚みd[μm]と、その静電容量C[F]との間には、以下の関係がある。
すなわち、絶縁層の厚さ方向の端部は、その上側のバス・バー2dの面とその下側の冷却器4の放熱面4aとの位置で決まるが、バス・バー2dも冷却器4もいずれも剛体であって平面度が高いことから、それらの面には凸凹はないものと考えてよいとの理由に基づく。
なお、上記のように、静電容量から絶縁層の厚みを算出する方法は、周知であり、たとえば特開昭61―181196号公報に記載されている。
この絶縁耐圧検査は、従来の検査方法と同様に、所定の交流電圧を所定時間印加し、この場合、電流増加が測定されず絶縁破壊を生じなかった場合には、その検査対象が十分な絶縁耐力を有すると判断するようにしている。
同図中、一点鎖線Mは、絶縁層の厚さdと熱抵抗Rth(c-f) との関係を示し、同図中では右上がりとなる。一方、実線Nは、絶縁層の厚さdとリーク電流Ileakとの関係を示し同図中では右下がりとなる。
ここで、パワー・モジュール装置1の冷却能力を確保するには、熱抵抗の線Mが熱抵抗上限より下方にならなければならない。したがって、このとき、厚さdは、限界厚さdo以下でなければならない。
厚さdは直接測定できないので、上記で説明した関係式をもとにリーク電流Ileakの線Nが、限界厚さdo以下のOK範囲にあれば、冷却能力は十分と判断できるOK範囲にあり、限界厚さdoより大きいNG範囲にあれば冷却能力は不十分と判断するNG範囲にあるということになる。
なお、リーク電流下限値は、本発明の第1所定値に相当する。
この交流電圧は、実際の使用電流の大きさにする必要もなく、また実際の温度変化を測定する必要もないので、従来技術の場合に比べて、より短時間、かつより安価に熱抵抗を測定して放熱特性の正常・異常を判断することができる。
実施例2の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法では、実施例1と同様の構成のものを用いるが、半導体モジュール装置に印加する電圧が、実施例1では交流電圧であったのに対し、実施例2では直流電圧である点が異なる。
電流の測定にて、静電容量C[F]は次式で表される。
このように、静電容量Cは、印加電圧Vと電流i(t)と積分時間Tとから算出することができる。
容量Cが算出できたら、これを用いて絶縁層の厚さdを算出することができる。厚さdがわかったら、上記式から熱抵抗を求めることができる。
この場合にも、厚さdを直接測定できないので、測定した直流電流の積分値(容量値に比例)が第1所定値(交流電圧印加時とは値が異なる)より低い場合には、熱抵抗が過大であると判断し、第1所定値以下の場合には、熱抵抗が適正範囲内にあると判断する。
同図中、横軸には時間とり、縦軸には印加電圧Vと電流i(t)をとる。
同図に示すように、まず短時間の積分時間Tの分だけ500Vの直流電圧を半導体モジュール装置1の上記電極端子に印加すると、電流i(t)は充電電流が短時間流れた直後に放電電流が短時間流れる。
この流れた電流を時間積分して、この値が第1所定値より低い場合には、熱抵抗が過大であると判断し、そうでない場合には適正であると判断する。すなわち、放熱グリス10、11の塗布が適正であったか否かを判定することができる。
また、高い電圧をかける必要もないので、検査対象にかかる負担を減少することができる。
たとえば、本実施例では、半導体モジュール装置1は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載した駆動モータへ供給する電力を制御するインバータに用いたが、これに限られない。
2 パワー・モジュール
2a 緩衝板
2b 半導体
2c、2e はんだ
2d 緩衝板
3 絶縁耐圧検査装置
4 冷却器
4a 放熱面
5、6 IGBT
7、8 フリー・ホイ-リング・ダイオード
9 放熱絶縁シート
10、11 放熱グリス
12 樹脂ケース
13 シリコーン・ゲル
Claims (3)
- 半導体を有する半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷却器とを備え、前記半導体と前記冷却器との間に絶縁層を介在させた半導体モジュール装置の放熱特性測定方法であって、
前記半導体の電極と前記冷却器との間に所定の直流電圧を印加し、
この電圧印加の際に前記半導体の電極と前記冷却器との間を流れる直流電流を測定して、
この直流電流を時間積分した積分値が絶縁層の厚さにより定まる第1所定値より低い場合には熱抵抗が過大であると判断し、前記積分値が前記第1所定値以上である場合には熱抵抗が適正範囲内にあると判断する、
ことを特徴とする半導体モジュール装置の放熱特性測定方法。 - 請求項1に記載の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法において、
前記積分値が前記第1所定値より大きい第3所定値以上のときは、絶縁抵抗不良であると判断する、
ことを特徴とする半導体モジュール装置の放熱特性測定方法。 - 請求項1または2に記載の半導体モジュール装置の放熱特性測定方法において、
前記所定の直流電圧を印加する装置には、前記半導体モジュール装置に前記直流電圧を印加して前記半導体モジュール装置の絶縁耐圧を検査する絶縁耐圧検査装置を用いて行う、
ことを特徴とする半導体モジュール装置の放熱特性測定方法。
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