JP5781131B2 - インボリュート歯形の加工方法およびその加工機の制御装置 - Google Patents
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Description
この従来のインボリュート歯形の加工方法は、それぞれインボリュート歯形の外歯とこれに噛合する内歯ギヤ状部材を回転可能に支持し、これら両部材を圧接する方向に相対移動させながら噛合させた状態で回転駆動し、一方の部材で他方の部材の歯を加工する。
この場合、同種複数のまたは同一他方のギヤ状部材に対する複数回の加工において、一方の部材または他方の部材の消耗に起因してこれら間の中心間距離が変動する場合に、この中心間距離の増大に応じて切込み送り量を小さく設定している。また、切込み送り量を、他方の部材の歯厚方向の加工代が、上記複数回にわたって一定となるように設定している。
また、基準ピッチ円上の歯厚方向の加工代を、ギヤAとギヤBとで同じ加工代、たとえば1としたときであっても、それらの歯の法線方向の加工代は異なってしまう。
このような問題は、上記歯厚の定義を変えたとしても、生じる。
インボリュート歯形の複数の歯を有する研削工具または切削工具と、インボリュート歯形の複数の歯を有するワークと、を切込み送り方向に相対移動させ、工具とワークとを圧接させた状態で相対回転させることによりワークの歯を加工するインボリュート歯形の加工方法において、
ワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代に基づいて上記切込み送りの速度を設定するようにした、
ことを特徴とする。
加工前のワークおよび工具間の軸間距離と加工後のワークおよび工具間の軸間距離との差から、加工前後の軸間距離差を算出し、
ワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代とワークの回転速度と加工前後の軸間距離差との積を、最終的なワークの歯の法線方向の加工代で除算することにより切込み送りの速度を設定するようにする。
インボリュート歯形の複数の歯を有する研削工具または切削工具と、インボリュート歯形の複数の歯を有するワークと、を切込み送り方向に相対移動させ、工具とワークとを圧接させた状態で相対回転させてワークの歯を加工するインボリュート歯形の加工機の制御装置において、
予めユーザにより設定されたワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代に基づいて切込み送りの速度を算出する切込み速度算出手段を備えた、
ことを特徴とする。
ワークおよび工具の諸元に基づき、加工前のワークおよび工具間の軸間距離と加工後のワークおよび工具間の軸間距離との差を算出し、この差から加工前後の軸間距離差を算出し、
ユーザにより設定されたワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代と、ユーザにより設定されるワークの回転速度と、算出された加工前後の軸間距離差と、の積を、算出された最終的なワークの歯の法線方向の加工代で除算して切込み送りの速度を算出するようにする。
この実施例1のインボリュート歯形の加工機は、ホーニング加工機であって、上記従来技術に記載のもの、あるいは他の公知の装置を用いる。ホーニング加工機の具体的構成は、よく知られているので、その詳細は省略し、ここではその全体構成を図1にブロックで示す。
制御装置2は、切込速度算出部2a(本発明の切込み速度算出手段に相当)などを備え、後で説明するフローチャートに基づいて、研削工具回転用モータ3、ワーク回転用モータ4、切込み送り用モータ5をそれぞれ制御する制御信号を作り出し、これらへ出力する。
ワーク回転用モータ4は、図2に示すワーク(加工してインボリュート歯形の複数個の歯を有する歯車にする)7をこの軸回りに回転させるものである。
切込み送り用モータ5は、図2に矢印Cで示すようにワーク7をホーニング砥石6の内周面に向けて圧接する方向に、またこの逆の離間する方向に移動させるものである。
同図において、ステップS1では、新規ワークの準備、すなわちホーニング砥石6やワーク7を加工機に設置する。続いて、ステップS2に進む。
S=(Sbn'−Sbn)/2
続いて、ステップS7に進む。
A=abs(a-a')
ここで、absは、絶対値を意味する。
続いて、ステップS11に進む。
V=(B・R・A)/(S・1000)
続いて、ステップS12に進む。
なお、以下の記号で添字1はワーク7の、また添字2は内歯砥石6のものであることを示す。
歯数をZ、基準ピッチ円上のねじれ角(右が+、左が−)をβ、基礎円上ねじれ角(右が+、左が−)をβb、基礎円上すすみ角(右が−、左が+)をγb、歯直角モジュールをmn、軸直角モジュールをmt、歯直角圧力角をαn、軸直角圧力角をαt、歯直角噛合い圧力角をαωn、軸直角噛合い圧力角をαωt、歯直角転位係数をxn、軸直角転位係数をxt、基礎円上歯直角円弧歯厚をsbn、基礎円上軸直角円弧歯厚をsbt、基準ピッチ円直径d(=mt・z、ただしmt=mn/cosβ)、基礎円直径をdb、基礎円半径をrb、噛合作用平面交線までの直径をdω、軸交差角をΣ、基礎円上軸直角歯厚半角をΨbt、軸間距離をa、ワーク7と砥石6の噛合作用平面交線間の距離をM、基礎円上軸直角円弧歯隙をWbtとする。
なお、これら諸元を、参考に図5および図6に示す。
mt1=mn/cosβ1
d1=mt1・Z1
xt1'=xn1'・cosβ1
αt1=tan-1(Tanαn/Cosβ1)
db1=d1・cosαt1
βb1=tan-1(db1/d1・Tanβ1)
Ψb1'=π/(2・Z1)+(2・xt1'・Tanαt1/Z1)+invαt1
Stb1'=Ψbt1'・db1
Sbn1'=Sbt1'・Cosβb1
から得られる。
mt1=mn/cosβ1
d1=mt1・Z1
xt1=xn1・cosβ1
αt1=tan-1(Tanαn/Cosβ1)
db1=d1・cosαt1
βb1=tan-1(db1/d1・Tanβ1)
Ψb1=π/(2・Z1)+(2・xt1・Tanαt1/Z1)+invαt1 (invはインボリュート関数を表す)
Stb1=Ψbt1・db1
Sbn1=Sbt1・Cosβb1
から得られる。
ホーニング加工は、加工終了時における噛合位置で共通垂線と作用線とが交わるような状態(ワーク7と砥石6の噛合作用平面交線間距離M=0)になるように計算した軸交差角Σにて段取りを行い、加工を行う。
αt1、αt2、βb1、βb2を前述の式で算出する。
ε=Σ−90
ホーニング加工では、加工終了時での噛合位置で共通垂線と作用線とが交わるような状態になるため、その加工前ではこれらの線は交わらない(M≠0)。そのため、Mを加味して軸間距離a'を算出する必要がある。
またワーク7と砥石6との噛合作用平面交線間の距離Mは以下の式から算出する。
内歯を有する砥石6の基礎円上軸直角歯隙は、
噛合幾何からバックラッシfnを算出すると、
ワーク加工前の軸間距離a'は、
砥石6やワーク7の諸元が異なるような場合、同じ回転数と同じ切込み送り速度でホーニング加工を行うと切込み状態、すなわちワーク7の1回転速度毎の加工代が異なってしまうので、従来技術ではそれらの諸元が変わるたびにワーク7の加工精度を確認しながらユーザが試行錯誤により適切な加工条件となるワーク7の切込み送り速度設定しなければならず、工数が大変であったが、実施例1の制御装置および制御方法では、ワーク7の1回転毎の法線方向加工代に基づいて切込み送り速度を設定するようにしたので、歯車諸元等が変わっても適切な加工条件が簡単に演算で設定されるので、ユーザによる切込み送り速度を設定する工数を削減することができる。
すなわち、図7に示すように、ワーク回転用モータで軸回りに回転させるように取り付けたワーク7の外周面に、上記軸に傾きを有する軸回りに切削工具回転用モータで回転される切削工具であるシェービングカッタ10の外周面を圧接可能に設け、切込み送り用モータによりワーク7を図7に矢印Dで示すようにシェービングカッタ10に圧接させる方向・またこの逆に離間させる方向に移動可能とする。
なお、図1の構成は同じとし、制御方法も砥石6に代えてシェービングカッタ10を用いればよい。
また、シェービングカッタ10の場合、ステップ13で判定結果がYESとなるのは、カッタを再研磨したものに交換した場合、またはカッタを新品に交換した場合である。
なお、ここでシェービングカッタの場合の噛合幾何の計算について、以下に説明する。なお、記号については、実施例1と同じものを使用している。
まず、ワーク加工後の軸間距離aは、以下のようにして求められる。
αt1、αt2、βb1、βb2を前述の式で算出する。
ε=Σ−90
噛合幾何により、軸直角噛合い圧力角を算出すると、
ギヤシェービングは、加工終了時の噛合位置で共通垂線と作用線が交わる状態になるため、加工前ではそれらは交わらない(M≠0)。そのため、ワーク加工前の軸間距離a'は、Mを加味して算出する必要がある。
ねじ歯車の噛み合い性質から、αωt1、αωt2、dω1、dω2の値は上記で計算して得た値と同じとなる。
ワークとカッタの噛合作用平面交線間の距離Mを以下の式で算出する。
また、図3のフローチャートでは、ステップの順番は絶対のものではなく、例えばステップS7をより前に持ってくるなど実質的な変更にならない限り変更してもよい。
2 制御装置
2a 切込速度算出部(切込み速度算出手段)
3 研削工具回転用モータ
4 ワーク回転用モータ
5 切込み送り用モータ
6 ホーニング砥石(研削工具)
7 ワーク
8 歯
9 基礎円
10 シェービングカッタ(切削工具)
Claims (4)
- インボリュート歯形の複数の歯を有する研削工具または切削工具と、インボリュート歯形の複数の歯を有するワークと、を切込み送り方向に相対移動させ、前記工具と前記ワークとを圧接させた状態で相対回転させることにより前記ワークの歯を加工するインボリュート歯形の加工方法において、
前記ワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代に基づいて前記切込み送りの速度を設定するようにした、
ことを特徴とするインボリュート歯形の加工方法。 - 請求項1に記載のインボリュート歯形の加工方法において、
加工前の前記ワークの基礎円上の円弧歯厚と加工後の前記ワークの基礎円上の円弧歯厚との差から、最終的な前記ワークの歯の法線方向の加工代を算出し、
前記加工前の前記ワークおよび前記工具間の軸間距離と前記加工後の前記ワークおよび前記工具間の軸間距離との差から、加工前後の軸間距離差を算出し、
前記ワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代と前記ワークの回転速度と前記加工前後の軸間距離差との積を、前記最終的な前記ワークの歯の法線方向の加工代で除算することにより前記切込み送りの速度を設定するようにした、
ことを特徴とするインボリュート歯形の加工方法。 - インボリュート歯形の複数の歯を有する研削工具または切削工具と、インボリュート歯形の複数の歯を有するワークと、を切込み送り方向に相対移動させ、前記工具と前記ワークとを圧接させた状態で相対回転させて前記ワークの歯を加工するインボリュート歯形の加工機の制御装置において、
予めユーザにより設定された前記ワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代に基づいて前記切込み送りの速度を算出する切込み速度算出手段を備えた、
ことを特徴とするインボリュート歯形の加工機の制御装置。 - 請求項3に記載のインボリュート歯形の加工機の制御装置において、
前記ワークの諸元に基づき、加工前の前記ワークの基礎円上の円弧歯厚と加工後の前記ワークの基礎円上の円弧歯厚との差を算出し、該差から最終的な前記ワークの歯の法線方向の加工代を算出し、
前記ワークおよび前記工具の諸元に基づき、前記加工前の前記ワークおよび前記工具間の軸間距離と前記加工後の前記ワークおよび前記工具間の軸間距離との差を算出し、該差から加工前後の軸間距離差を算出し、
前記ユーザにより設定された前記ワークの1回転毎の歯の法線方向の加工代と、ユーザにより設定される前記ワークの回転速度と、前記算出された加工前後の軸間距離差と、の積を、前記算出された最終的な前記ワークの歯の法線方向の加工代で除算して前記切込み送りの速度を算出するようにした、
ことを特徴とするインボリュート歯形の加工機の制御装置。
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