JP5779075B2 - 関節炎の予防剤 - Google Patents

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Description

本発明は、関節炎の予防剤及びその応用に関する。
社会の高齢化、生活習慣の変化などによって、関節炎の患者が増加する傾向にある。
グルコサミンは軟骨などの構成成分やカニの甲羅やエビ殻に大量に含有されていることが知られており、近年その利用が種々検討されている。特にグルコサミンが軟骨中のヒアルロン酸を構成する主要成分であることから老化に伴って発生する膝関節症を改善するのではないかと考えられ、変形性膝関節症の患者に試験的に投与が試みられている。その結果、硫酸コンドロイチンとの併用投与によって中等度〜重度の膝痛を改善する可能性があることが報告されている(非特許文献1:N Engl J Med 2006:354:795−808)。
関節炎モデル動物に関節炎を惹起させた後にグルコサミンを投与しても関節炎の悪化を防止できないことが知られている。このため、炎症を抑えるステロイド製剤との複合剤が提案されている(特許文献1:特表2007−532562号)。
ルテインは、強い抗酸化作用を持つカロテノイドの一種で、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれる成分である。人間の体内器官や皮膚にも存在し、乳房や子宮頚部に多く存在することが知られている。特に眼の水晶体と黄斑部に存在する主要なカロテノイドはルテイン(Lutein)とゼアキサンチンであるため、これらの部位が正常に機能するために重要な働きを果たしている。また、グルコサミンと同様に中等度〜重度の膝痛を改善する可能性があることが報告されている(非特許文献2。Arthritis Res Ther. 2007:9(4):R66.)。またルテインには軟骨中に存在するアグリカナーゼを阻害する作用があることが明らかとなり、新規なアグリカナーゼ阻害剤として特許出願が公開されている(特許文献2:特開2007−254411号公報)。また抗酸化活性(特許文献3:特開平7−224029号公報)、DNA合成酵素の阻害剤(特許文献4:特開2010−64984号公報)、身体活動促進剤(特許文献5:特開2011−63552号公報)などの用途が提案されている。
しかし、本発明で提案するグルコサミンと併用することによる関節炎の予防剤については何も知られていない。
特表2007−532562号公報 特開2007−254411号公報 特開平7−224029号公報 特開2010−64984号公報 特開2011−63552号公報
N Engl J Med 2006:354:795−808 Arthritis Res Ther. 2007:9(4):R66.)
本発明は、関節炎の予防剤を提供することを課題とする。
本発明者らはグルコサミンやルテインの関節痛に対する効果を研究する過程で、グルコサミン単独よりもルテインを併用することで関節痛を軽減することを見出した。さらに研究を進めたところ、ルテインとグルコサミンを含有する組成物が関節炎の発症を予防し、さらに関節炎の症状を軽減することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成である。
(1)有効成分としてルテイン及びグルコサミンのみ含有し、グルコサミン50重量部に対して、ルテインを0.1〜0.3重量部の比率で含有する関節炎の予防剤。
(2)有効成分としてルテイン及びグルコサミンのみを含有し、グルコサミン50重量部に対して、ルテインを0.25重量部の比率で含有する慢性膝関節痛に伴う生活の質(QOL)の改善剤。
本発明によりルテインとグルコサミンを含有する関節炎の予防剤が提供される。
ラット関節炎モデルに発生する足浮腫に対する各成分の予防効果を確認した結果を示す。A.グルコサミン単独投与効果を示す図。B.ルテイン単独投与効果を示す図。C.グルコサミン・ルテイン併用投与効果を示す図。 ラット関節炎モデルに発生する関節炎スコアに対する各成分の予防効果を確認した結果を示す。A.グルコサミン単独投与効果を示す図。B.ルテイン単独投与効果を示す図。C.グルコサミン・ルテイン併用投与効果を示す図。 ラット関節炎モデルの炎症部位の組織液中のIL−1β濃度を示す。 ラット関節炎モデルの炎症部位の組織液中のIL−6濃度を示す。 ヒト臨床試験におけるグルコサミンおよびルテイン併用によるJKOM総スコア ヒト臨床試験におけるグルコサミンおよびルテイン併用によるSF−36スコア(体の痛み) ヒト臨床試験におけるグルコサミンおよびルテイン併用によるSF−36スコア(心の健康)
グルコサミンは、天然物から、例えば以下のような方法で調製したものを用いることができる。
本発明に使用するグルコサミンは天然物から調製する場合には、その起源は特に限定されるものではなく、例えば、キチンを原料として酸や酵素を用いた分解法やグルコース等の糖類を原料とした発酵法(特開2003−034568号公報)等により得ることができるが、生産効率の面からキチンを酸により部分加水分解して得られたものであることが好ましく、キチンを塩酸により部分加水分解し、この分解液を中和後、イオン交換膜電気透析法によって脱塩処理した後、イオン交換樹脂によって吸着回収して得ることができる。またN-アセチルグルコサミンを公知の方法で脱アセチル化したものであっても良い。
本発明に使用するルテインは、マリーゴールドの花から抽出したエキスやクラミドモナス属に属する抗酸化活性をもつカロテノイドを生産する原虫から有機溶媒を用いて抽出してなるものでよい。また他のカロテノイド色素が含まれているものでも良い。
本発明が適用できる関節炎としては、クラミジア関節炎、慢性吸収性関節炎、腸疾患性関節炎、淋菌性関節炎、痛風関節炎、ジャクー関節炎、若年性関節炎、ライム関節炎、アルカプトン尿性関節炎、化膿性関節炎、変形性関節症、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、過度の運動負荷による関節炎、慢性関節リウマチ等のいずれであってもよいが、とくに慢性関節リウマチに有効である。
本発明の関節炎の予防剤、食品添加剤、食品添加剤を配合した飲食品、動物用飼料、食品添加剤および飼料添加剤について以下に示す。
(a)ルテイン及びグルコサミンを有効成分として含有する関節炎の予防剤
本発明の関節炎の予防剤は、ルテイン及びグルコサミンを有効成分として含有する。
本発明の関節炎の予防剤には、ルテイン及びグルコサミンに関節炎の予防に有効な任意の他の成分(以下、単に、他の有効成分ともいう)を添加し混合したものも包含される。
他の有効成分としては、例えば、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、マグネシウム、マンガン、セレン、シリコン、亜鉛、S−アデノシルメチオニン、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ブロメライン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ルチン、カロテノイド、フラボノイド、抗酸化ビタミン、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、キャッツクロー、デビルズクロー、ナイアシンアミド、サメ軟骨、ターメリック、クルクミン、アミノ糖およびグリコサミノグリカン等の精製物、または抽出物があげられる。
本発明の関節炎の予防剤は必要に応じて上記他の有効成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
本発明の関節炎の予防剤の投与経路は、関節炎の予防に際して効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。特に好ましくは経口投与剤である。経口投与に適当な、例えばシロップ剤のような液体調製物は、水、蔗糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを使用して製造できる。また、錠剤、散剤および顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
本発明の関節炎の予防剤中のルテイン及びグルコサミンの投与量及び投与回数は、投与形態、年齢、体重、症状等により異なる。投与に当たってはグルコサミン50重量部に対しルテイン0.1〜0.3重量部の比率で投与する。特に好ましくはグルコサミン50重量部に対しルテイン0.17重量部の比率で投与できる組成とする。
経口投与の場合、グルコサミンは、成人一人当たり50〜15,000mg、特に好ましくは500〜3,000mg、ルテインを同じく成人一人当たり0.17〜51mg、好ましくは1.70〜10.2mgを一日一回ないし数回投与する。
本発明の関節炎の予防剤を日常的に投与することにより、関節炎を予防することができる。
本発明において「関節炎を予防する」とは、日常的に下記(b)で説明する本発明の飲食品、動物用飼料、食品添加剤または上記予防剤を摂取することで、関節炎の発症を抑制し、または発症時の症状を抑制する、などの効果を及ぼすことをいう。
すなわち、関節炎の予防は、関節炎が発症した後に薬剤を投与することにより、症状の緩和もしく治癒を行う、関節炎の治療と明確に区別することができるものである。
(b)ルテイン及びグルコサミンを含有する飲食品、動物用飼料、食品添加剤を用いる関節炎の予防方法
本発明の飲食品は、飲食品中にルテイン及びグルコサミンを一定量以上添加することにより得られる飲食品である。
本発明の食品添加剤を添加してなる飲食品も本発明の飲食品に包含される。
また、本発明の飲食品は、ルテイン及びグルコサミンを添加する以外は一般的な飲食品の製造方法を用いることにより、加工製造することができる。
本発明の飲食品は、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等の乳製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品、蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等の魚肉練り製品、だし巻き、卵豆腐等の卵製品、クッキー、ゼリー、チューインガム、キャンデー、スナック菓子等の菓子類、パン類、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調味料等、いずれの形態のものであってもよい。
また、本発明の飲食品は、例えば粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等の形態のものであってもよい。
本発明の飲食品は、関節炎を予防する効果を有する健康食品または機能性食品として用いることができる。
本発明の飲食品は、例えば、飲料または錠剤の場合は、ルテイン及びグルコサミンに、必要により他の有効成分、添加剤等を加えた後、適当量の水に溶解あるいは分散させるか、または錠剤化して調製することができる。また、例えばアメ、ドロップ、チョコレート、ゼリー、ビスケット、クッキー等の菓子類は、常法に従い、ルテイン及びグルコサミンに、必要により他の有効成分、添加剤等、さらに必要により適当な担体、例えば小麦粉、米粉、澱粉、コーンスターチ、大豆等を加え、適宜の形態に賦形して調製することができる。
また、本発明の飲食品は、例えば流動層造粒、攪拌造粒、押し出し造粒、転動造粒、気流造粒、圧縮成形造粒、解砕造粒、噴霧造粒、噴射造粒等の造粒方法、パンコーティング、流動層コーティング、ドライコーティング等のコーティング方法、押出造粒機やエキストルーダー等の押出方法等を用いて製造することもできる。
本発明の食品添加剤は、上記(a)で述べた経口剤と同様な方法により調製することができる。食品添加剤は、通常、必要に応じて他の食品添加物を混合または溶解し、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工製造することができる。
本発明の飲食品または食品添加剤には、一般的に飲食品に用いられる食品添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等が添加されてもよい。
本発明の飲食品中には、ルテイン及びグルコサミンもしくはその塩、または他の有効成分は、該飲食品の形態により異なるが、通常成人に対して一日あたり、グルコサミンは、成人一人当たり50〜15,000mg、特に好ましくは100〜3,000mg、ルテインを同じく成人一人当たり0.17〜51mg、好ましくは0.34〜10.2mgを一日一回ないし数回、摂取できるように添加する。
該飲食品は、1日に1回または数回に分けて摂取すればよい。
該飲食品を日常的に摂取することにより、関節炎を予防することができる。
本発明の動物用飼料はヒト以外の哺乳類の関節炎を予防する飼料であればいずれでもよく、例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ネズミ等のペット用飼料、ペットフード、ウシ、ブタ等の家畜用飼料等があげられる。
本発明の動物用飼料は、関節炎を予防する効果を有する動物用健康補助飼料として用いることができる。
該動物用飼料は、1日に1回または数回に分けて動物に摂取させる。また、本発明の飼料添加剤を、非ヒト動物を対象とした関節炎の予防用動物用経口剤として、上記飼料の摂取量および摂取期間と、それぞれ同じ投与量および投与期間で投与してもよい。
以下に、本発明の実施例、試験例を示し本発明を詳しく説明する。
試験例として、ルテイン、グルコサミンによる関節炎の予防効果を調べた試験例を示す。
2型コラーゲン関節炎モデルラットの関節炎発症予防試験
1.動物モデルの作成
メスの7週齢のDA:Slcラット(日本SLC社製)を1週間予備飼育したのち、ラットを保定し関節炎スコアおよび容積を測定後ジエチルエーテルで麻酔し,惹起用投与液200μLを尾根部基部皮内に50μLずつ4箇所投与して関節炎を誘導する。2型コラーゲンとFreund’s complete adjuvant(ヤトロン社製)を等量ずつ混合しホモジナイザーでエマルション化した溶液を用いた。
以上のようにしてラットに関節炎を惹起した。
2.関節炎の評価
2型コラーゲン投与日から、ラットに表1に示す量のルテインとグルコサミン、陽性対照としてデキサメタゾン0.025mg/kgを1回目の2型コラーゲン投与から毎日27日間強制的に経口投与した。
また関節炎の発症の程度を3日ごとに以下のような指標によってスコアリングした。
ラットの1本の手または足につき、0点:無症状、1点:指の腫れ、発赤、2点:複数の指または足蹠の腫脹、3点:肢全体の発赤・浮腫、4点:重度の腫れ
3.足蹠の容積測定
左右後肢の容積を測定し指標とした。測定は肢浮腫容積測定装置(ニューロサイエンス、TK−101 CMP)を用いて測定を行う。測定日は関節炎スコア観察と同日に測定した。
4.足組織液の採取と分析
27日間の投与を終了したラットの右後肢に10μMのインドメタシン(和光純薬工業(株)製)溶液0.1mLを皮下投与した。その後、ラットをジエチルエーテル麻酔下で放血致死させ、踝から下の部位を切断した。予め15mLの遠心管に20mMアスピリン含有生理食塩液100μL、20unit/mLヘパリン含有生理食塩液250μLを加え、その中に2mLのピペットチップの先端を切ったチップを入れた容器を用意し、足組織のつま先が下になるように入れ、800g、15分間冷却遠心して浸出液を採取した。遠心上清400uLを回収し、生理食塩液を加えて全量を1.5mLとし、再度800g、15分間冷却遠心した。その上清1mLを分析用のサンプルとした。この組織液を用いてインターロイキンの分析を行った。
IL-1βはQuantikine Rat IL-1β/IL-1F2 Immunoassay(R&D Systems)、Il-6はQuantikine Rat IL-6 Immunoassay(R&D Systems)を使用して測定した。
5.統計解析
測定結果の統計解析ソフトとしてエクセル統計を使用した。足浮腫容積および炎症性サイトカインの有意差の検定には、Dunnett法を用いて、関節炎スコアの分析にはクラスカルウォルス検定を行い、炎症群との有意差検定にはSteel法を用いた。
6.測定結果
(1)関節炎予防効果
足浮腫容積を測定した結果を図1、関節炎スコアの経時変化を図2に示す。
ルテインは用量依存的に関節炎の発症を抑えていた。ルテイン0.17mg/kgでは炎症群との差がなく、関節炎に対する効果は殆ど見られなかった。ルテイン0.5および1.5mg/kgでは関節炎スコア、足浮腫容積共に同等の効果を示していた。
グルコサミンは用量依存的に関節炎の発症を予防していた。関節炎スコアでは、グルコサミン16.7mg/kgと50mg/kgでは差がなく、150mg/kgの投与量で有意な関節炎の発症を予防する効果が見られた。足浮腫容積ではグルコサミンは用量依存的に足浮腫を抑制していた。
またルテインとグルコサミンを併用した投与群では、グルコサミン50mgとルテイン0.17mgを併用投与した群が顕著に関節炎の発症と進行を予防していた。
以上の結果から、ルテイン及びグルコサミンは関節炎の発症を予防し、さらにグルコサミンとルテインをそれぞれ50mg、0.17mg併用することが関節炎予防に効果を示すことが確認できた。
(2)炎症性サイトカイン抑制効果
関節炎発症に伴って関節炎組織で増加するサイトカインインターロイキン1β(IL−1β)とインターロイキン6(IL−6)に対する効果を図3、図4に示す。
ルテイン、グルコサミン共に用量依存的にサイトカインIL−1βの産生を抑制した。ルテインとグルコサインの併用による効果は、ルテイン0.17mg/kgとグルコサミン50mg/kg投与群でみられた。しかし、それ以外の組合せでは併用効果はみられなかった。
またIL−6では、グルコサミンは16.7mg/kgで有意にサイトカインの産生が抑制されており、用量を50mg/kgに増加してもそれ以上の産生抑制効果はみられなかった。ルテインは用量依存的にIL−6の産生を抑制した。グルコサミンとルテインの併用による相加効果はルテイン0.17mg/kgとグルコサミン50mg/kg投与群でみられたが、それ以外の組合せで併用効果は確認できなかった。
グルコサミン50mg/kg、ルテイン0.17mg/kgとその併用群にのみ着目すると、グルコサミンおよびルテイン単独では炎症群と比較して有意な差は付かなかったが、両者を併用することで、炎症群に対して有意にIL−6の産生を抑制した。
膝関節痛に対するグルコサミンとルテインの併用効果(ヒト臨床試験による関節痛の予防効果試験)
関節炎と診断されていないが慢性的な膝関節痛を訴える35歳以上の男女(男性12名、女性15名)を対象として、関節に対する効果を確認した。
1.試験方法:
試験デザイン:オープンラベル試験(被験者全員が被験食を摂取)
□ 摂取方法:朝食および夕食後3粒ずつ、1日6粒水とともに摂取
□ 摂取期間:12週間連続摂取
□ 観察回数:4回(摂取開始前、4週後、8週後、12週後)
□評価項目:アンケート2種類 (イ)膝、(ロ)QOL全般
(イ)膝痛に特化したアンケート:JKOM
膝関節痛の測定尺度として、患者立脚型QOL評価尺度である日本版変形性膝関節症 患者機能評価表(Japanese Knee Osteoarthritis Measure、以下JKOMとする)を使 用した。
JKOMは、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (以下、WOMACとする)をベースに作成され、欧州と生活様式の異なる日本人の生 活に適応したQOL評価尺度として開発された。JKOMの質問項目は、「膝の痛みと こわばり」、「日常生活の状態」、「ふだんの活動」、「健康状態について」の4領域 を5段階(ない、少し、中程度、かなり、非常に)で回答する25問と、「膝の痛みの 程度」をVisual Analog Scale(以下、VASとする)で構成される自記式回答質問用 紙である。

(ロ)QOL全般に関するアンケート:SF−36
SF−36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)は、健康関連QOL(HR QOL)を測定するための科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度であり、米国で作成さ れ、概念構築の段階から計量心理学的な評価に至るまで十分な検討を経て、現在、 120カ国語以上に翻訳されて国際的に広く使用されている。
SF−36は、36の質問から「身体機能」、「心の健康」など下記の表2に示す8 つの項目で評価各尺度別に評価し、スコアが高いほどQOLが良好と判定される。
2.投与被験食
次の表3の量をハードカプセルに充填し1日6粒を摂取させた。
3.結果
評価結果を図5〜図7に示す。
JKOM総スコアは試験開始前(53.9±29.8[Mean±SD])と比較して、4週後(32.7±19.1)、8週後(30.1±24.2)、 12週後(24.6±24.8)で有意に低下し、本被験食摂取による膝の痛みが軽減した(図5)。
SF36の「体の痛み」に関するQOLは、試験開始前と比較して、4週後、8週後、12週後で有意に改善した(図6)。
「心の健康」に関しては試験開始前と比較して、8週後、12週後で有意に上昇した(図7)。
以上の結果からルテインとグルコサミンの併用は、関節痛からさらに関節炎に進展することを予防できることが確認された。
下記実施例ではルテイン、グルコサミンはそれぞれバイオアクティブジャパン社、丸善製薬社製を用いた。
実施例1
下記の表4に示した組成に従い成分を混合した後、打錠機で打錠し、直径8mm、重量200mgの錠剤を製造した。
実施例2
下記の表5に示した配合により飲料1000mlを製造する。

Claims (2)

  1. 有効成分としてルテイン及びグルコサミンのみ含有し、グルコサミン50重量部に対して、ルテインを0.1〜0.3重量部の比率で含有する関節炎の予防剤。
  2. 有効成分としてルテイン及びグルコサミンのみを含有し、グルコサミン50重量部に対して、ルテインを0.25重量部の比率で含有する慢性膝関節痛に伴う生活の質(QOL)の改善剤。
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