JP5773614B2 - 湾曲したプロテクターを備えた構造物 - Google Patents
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Description
微粒子を含むガスによる磨耗防止対策としては、(1)本体そのものを耐摩耗性材料とする方法、(2)保護部を覆うコーティング又は板を取り付ける方法、及び(3)保護部のガス上流側に衝立として板(プロテクター)を取り付ける方法の大きく3つに分類される。
ダクト又は配管の曲がり部等において衝立を立てる方法は、保護部全面に板を取り付ける場合と比較して、曲がり部上流に衝立として板を取り付けることで、少ない材料で広範囲の保護が図れる特徴がある。
しかし、プロテクターそのものが摩耗するため、プロテクターを耐摩耗性材料とするか、摩耗の度に取り替える等の措置が必要になりコスト増となる。
1.粒子を含む流体が内部を通過する構造物であって、
湾曲部材が、湾曲部の内側が前記流体の上流を向くように内壁に設けられた構造物。
2.前記粒子が灰粒子及び砂粒子であり、前記流体が気体であり、ダクト又は配管である請求項1に記載の構造物。
3.粒子を含む流体が内部を通過する構造物において、湾曲部材を、湾曲部の内側が前記流体の上流を向くように内壁に設ける磨耗防止方法。
本発明の構造物は、好ましくは、ボイラー等の設備に用いるダクト又は配管である。例えばボイラー排ガスシステムの配管である。この配管は、ボイラー、特に流動層ボイラー等で生じた排気ガスを外部に排出するためのものであり、通常1以上の曲がり部がある。
排気ガス100には灰や砂等の粒子が含まれ、これら粒子が曲がり部10や内部構造物30の摩耗の原因となる。
内部構造物としては入槽用ラダー、温度計突起部、整流板、旋回羽根、ノズル、梁等が挙げられる。
曲がり部10の手前(上流側)には、湾曲部材20が設けられている。湾曲部材20は、湾曲部の内側が排気ガス流の上流部を向くように、配管の内壁に沿って設けられている。
湾曲部材20を設けることにより、曲がり部10、内部構造物30の摩耗を防ぐことができる。
図2に示す湾曲部材20の高さHは、好ましくは3.4〜11.4cm、より好ましくは6.0〜9.0cmである。この程度の高さで効果的に摩耗を防げる。
図3から分かるように、湾曲部材20は配管の内壁において、半周(180°)に亘って取り付けられている。このように取付けることによって、摩耗の生じやすい部分を効果的に保護することができる。湾曲部材20の内壁周囲に沿う長さは、好ましくは90〜180°、より好ましくは180°〜360°である。
また、湾曲部材20の数に制限はないが、例えば1つの曲がり部10に3〜5個設けることができる。図4Aに、1つの曲がり部に湾曲部材を複数設けたダクトの一例を示す。図4Bはこのダクトを上方から見た図である。
後述するように、半円以下の曲率でも微粒子の衝突速度は低下するが、配管を半割りにした半円形状が適している。
湾曲部材20の配管への取り付けは、通常溶接にて行う。
流動層ボイラーの排気ダクト(直径約3m)(実機)の、曲がり部等摩耗から保護すべき箇所に、炭素鋼(SS400)からなる半割管を内側が上流を向けて設置した。半割管は高さが設置場所、範囲等を考慮して、21mm(1/2B)〜165mm(6B)のものを使用した。
特に、曲がり部には、図4Aに示すように、3個の湾曲部材(半割管)を2〜4メートル間隔で設けた。半割管の高さは、主に60mm(2B)又は89mm(3B)であった。このように半割管を取付けることで、半割管の下流30〜40cmに発生していた摩耗を防止できた。
平板は上端部から摩耗し、使用開始から1〜2年で先端から3cm(約50%)が摩耗し消滅し、平板の取替が必要となった。
半割管と平板の磨耗メカニズムをコンピュータシミュレーションにより解析した。
図6(a),(b)に示すように、直径3m、長さ5mの円管の中央に、半割管と平板を設置し、以下の条件で、空気流動場における粒子の運動状態を解析した。
流体密度:0.834kg/m3、流体粘度:2.91×10−4Pa・s、
平均流速:13m/s
解析した結果、図6(c)に示すように、半割管に衝突したガスは、半割管の曲がりに沿って本来のガスの流れ方向と逆向きに流れた。半割管の上部への粒子の衝突速度は平板で10m/sであったのが、半割り管で約1/3の3m/sまで低下した。
プロテクターの曲率の違いによるガス流速、粒子の衝突速度をコンピュータシミュレーションにより解析した。
図7(a),(b),(c)の右側に示すように、高さ89mmの平板、楕円管、半割管に、粒子を含むガス流を13m/sで当てるという状態を解析した。粒子の密度は800kg/m3、粒径は50μm、粒子形状は真球とした。
プロテクターによる粒子軌道の影響をコンピュータシミュレーションにより解析した。
図4A,4Bに示した曲がり部における、粒子軌道の解析結果を図4Cに示す。流動層ボイラーから排出された燃焼ガスに含まれた灰及び砂粒子は、ダクト入口より流入し、特に粒子径の大きい砂粒子を主体とした粒子は、曲がり部外周部へと集中して流れる。
半割管に衝突した粒子は、図4Cに示すように内周側に進路を変更した。半割管1本で曲がり部全域に対して粒子の接触を防止していることが分かった。尚、解析条件は以下の通りとした。
粒子密度:800kg/m3、粒径:217μm(砂平均粒径)、ダクト径:3000mm、ガス平均流速:13m/s、粒子形状:真球と仮定
11,12 接合部
20 湾曲部材
30 段差
100 流体
200 微粒子
Claims (6)
- 粒子を含む流体が内部を通過する構造物であって、
中心角90°〜180°の円弧状板である湾曲部材が、湾曲部の内側が前記流体の上流を向くように、保護部の上流側手前の内壁に設けられた構造物。 - 前記粒子が灰粒子及び砂粒子であり、前記流体が気体である請求項1に記載の構造物。
- 前記構造物が、ダクト又は配管である請求項1又は2に記載の構造物。
- 前記湾曲部材の材料が炭素鋼である請求項1〜3のいずれかに記載の構造物。
- 前記微粒子の粒径が、前記微粒子が灰の場合には20μm以上、前記微粒子が砂の場合には粒径200μm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の構造物。
- 粒子を含む流体が内部を通過する構造物において、中心角90°〜180°の円弧状板である湾曲部材を、湾曲部の内側が前記流体の上流を向くように、保護部の上流側手前の内壁に設ける磨耗防止方法。
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