JP5772455B2 - 熱風炉の燃焼制御装置及び熱風炉の燃焼制御方法 - Google Patents

熱風炉の燃焼制御装置及び熱風炉の燃焼制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、高炉などに対して熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置及びその燃焼制御方法に関し、特に、熱風炉の燃焼期における投入熱量を最適化するための制御に関する。
熱風炉は、燃焼期に燃焼ガスなどによりレンガなどから構築された炉内の蓄熱部を昇温させて熱エネルギーを蓄積し、それに引き続く送風期において炉内に冷風を通して蓄熱部との熱交換によって熱風を得て、それを高炉に供給する設備である。
図5は、熱風炉の炉内の構造を示す模式図である。図5に示すように、熱風炉11は燃焼室12と蓄熱室13とからなっている。蓄熱室13の内部には、蓄熱レンガ19が積まれており、符号14の部位はドーム、符号15の部位は珪石レンガ下部と呼ばれている。燃焼期には、燃焼室12において、燃料ガスを供給口16から、燃焼用空気を供給口17から、それぞれ供給して燃焼させ、その燃焼排ガスを蓄熱室13に通して内部の蓄熱レンガ19を加熱する。引き続く送風期には、供給口18から冷風を蓄熱室13に通し、蓄熱レンガ19との熱交換により熱風を得る。このような熱風炉11を複数基設置し、位相を炉ごとにずらしながら燃焼期と送風期のサイクルを繰り返すことによって、高炉操業において必要な温度及び流量の熱風を途切れることなく供給している。
図6は、送風期における送風温度制御系の模式図である。1基の熱風炉11にのみ通風する場合と2基に同時に通風する場合があり、前者では混冷バタフライ弁MBの開度を調整して冷風を混合することにより、後者では一方の熱風炉11の冷風バタフライ弁CBを開とし、もう一方の熱風炉11の冷風バタフライ弁CBの開度を調整することにより高炉に送風する熱風の温度制御を行う。図6では、熱風炉1(1HS)と熱風炉2(2HS)の2基に同時に通風する場合を示している。
燃焼期には、引き続く送風期の間、熱風温度を確保するのに必要な熱量を投入する必要があるが、省エネルギー及び炭酸ガス排出削減のためには投入熱量を極力抑える必要がある。しかし、珪石レンガは、変態点温度である573℃よりも温度が下がると急激な膨張を生じ、崩壊する可能性がある。そのため、送風末期においても珪石レンガ下部15の温度を変態点温度以上に保つ必要がある。また、設備保護の観点から、ドーム14はある温度以上に加熱することはできない。投入熱量は、このような制約条件のもとで最小化することが望ましく、この投入熱量決定が熱風炉の燃焼制御の重要な課題である。
熱風炉の操業には、一つの炉からの熱風と冷風を混合して温度調整を行って高炉に熱風を供給するシングル操業と、少なくとも3基以上の熱風炉のうちの2基を、時間をずらして同時に通風し、得られた熱風を混合して高炉に供給するスタガードパラレル操業がある。
図7は、スタガードパラレル操業の概念図である。図7において、kは離散化された時刻であり、炉の切替時刻に一致させている。以降、炉の切替間隔をピリオドと呼ぶ。熱風炉1(図6の1HS)は、時刻k=0において送風期を終え、燃焼期に入る。熱風炉2(図6の2HS)は、1ピリオド遅れて時刻k=1において送風期を終えて燃焼期に入る。熱風炉3(図6の3HS)は、時刻k=0において燃焼期を終えて送風期に入る。熱風炉4(図6の4HS)は、時刻k=1において燃焼期を終えて送風期に入る。
そのため、k=1からk=2の間は3HSと4HSの2基送風状態となる。k=0からk=1の間、3HSは後行炉であり、3HSに先行する2HSよりも熱レベルが高く、より高温の熱風を供給する役割を担う。したがって、k=1においては3HSからの熱風温度は高炉への送風温度設定値よりも高い状態にあることが必要である。そのため、k=1では3HS,4HSからの熱風はともに送風温度設定値よりも高くなる。そこで、4HSは3HSからの熱風温度が送風温度設定値まで低下する時刻(図7の矢印A)まで待機し、その間は3HSの1基送風とし、3HSからの熱風に冷風(混合冷風)を混合することにより送風温度制御を行う。
シングル操業の場合には、各炉からの熱風温度は送風温度設定値よりも常に高い必要があるが、スタガードパラレル操業では、送風温度設定値よりも低い先行炉からの熱風と、送風温度設定値よりも高い後行炉からの熱風を混合して使用するため、前者に比べて炉の蓄熱量のレベル(以下、熱レベル)を下げることができ、熱効率を上げることができる。そのため、大型高炉の場合には、スタガードパラレル操業が行われるのが一般的である。
従来、熱風炉の投入熱量制御方法として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、熱理論的に求めた必要蓄熱量をベースに各種補正を行って、投入熱量を決定するものである。具体的には、高炉から要請される次回送風条件から送風期理論放熱量を熱理論的に求めて必要蓄熱量のべースとし、これに熱量誤差や燃焼開始前の残熱量を加味して必要投入熱量を求める。さらに、冷風温度変動による送風温度の変動を抑制するべく上記必要投入熱量を補正して今回の燃焼期における熱風炉への投入熱量を決定する。
特開平7−145416号公報
しかしながら、上記従来の熱風炉の投入熱量制御方法では、熱風炉への投入熱量の良否評価を、操業条件によっても影響を受ける送風温度の変動で行っているため、良否判定が難しい。また、過剰あるいは過少な熱余裕の状態を判別するのが困難であるため、熱風炉への投入熱量を最適化することができず、熱余裕の過不足が生じるおそれがある。
また、スタガードパラレル操業においては、先行炉の熱不足を後行炉が補うが、後行炉が先行炉の熱不足を補った結果、当該後行炉の熱が不足すると、更に後ろの炉がその熱不足を補うというように、複数基ある熱風炉の間で熱を補完する連鎖が発生する。このような熱補完の連鎖が発生した場合、各熱風炉および各熱風炉間の熱バランスを短時間で安定化させることが望ましい。
そこで、本発明は、各炉への投入熱量を最適化し、熱バランスを安定化させることを可能にした熱風炉の燃焼制御装置及びその燃焼制御方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱風炉の燃焼制御装置は、複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、先行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値と、当該先行炉に続いて前記高炉に対して熱風を供給する後行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値とに基づいて、当該後行炉の前回の燃焼期における投入熱量の過不足を補正する過不足補正量を設定する過不足補正量設定手段と、前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量を加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定する投入熱量設定手段と、を備えることを特徴としている。
これにより、投入熱量設定対象の熱風炉(設定対象炉)においては、設定対象炉から先行炉へ支援した熱量と、後行炉から設定対象炉に支援してもらった熱量とのバランスをチェックすることにより、当該対象炉単体での熱量過不足を評価し、投入熱量を決定することができる。したがって、スタガードパラレル操業において、複数基の熱風炉間で熱を補完する連鎖が発生した場合に、熱バランスを短期間で安定させることができる。
さらに、上記において、各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するフィードバック補正量設定手段をさらに備え、前記投入熱量設定手段は、前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量と、前記フィードバック補正量設定手段で設定した前記後行炉のフィードバック補正量とを加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定することを特徴としている。
これにより、熱余裕指標の実績値の変化及び熱余裕指標の目標値の変化に対応して熱風炉への投入熱量を設定することができ、操業状態に応じた過不足のない熱余裕を熱風炉に持たせることができる。このように、より制御性を高めることができる。また、熱余裕指標に目標値を設定することにより、過剰あるいは過少な熱余裕の状態を容易に判別することができる。そのため、熱風炉への投入熱量の良否評価を容易に行うことができる。さらに、投入熱量の設定に際し、速度型制御を採用するので、比較的簡易な構成で燃焼制御が可能となる。
また、上記において、前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するフィードフォワード補正量設定手段をさらに備え、前記投入熱量設定手段は、前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量と、前記フィードバック補正量設定手段で設定した前記後行炉のフィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量設定手段で設定した前記後行炉のフィードフォワード補正量とを加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定することを特徴としている。
これにより、熱風炉への投入熱量を、前回の送風期における高炉必要熱量と次回の送風期における高炉必要熱量との差分に応じて設定することができる。そのため、高炉必要熱量が変化したときには、熱風炉に蓄熱させる熱量を迅速に変更することができる。このように、より制御性を高めることができる。
さらに、本発明に係る熱風炉の燃焼制御方法は、複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、先行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値と、当該先行炉に続いて前記高炉に対して熱風を供給する後行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値とに基づいて、当該後行炉の前回の燃焼期における投入熱量の過不足を補正する過不足補正量を設定するステップと、前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量を加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定するステップと、を備えることを特徴としている。
これにより、熱風炉への投入熱量を最適化することができるので、複数基の熱風炉間で熱補完の連鎖が発生した場合であっても、熱バランスを短期間で安定させることができる燃焼制御方法とすることができる。
本発明によれば、投入熱量設定対象の熱風炉の前回の送風期における熱量過不足を評価し、前回の燃焼期における熱風炉への投入熱量に対する過不足補正量を設定することができる。したがって、熱風炉への投入熱量を最適化することができる。その結果、複数基の熱風炉間での熱補完の連鎖による炉間の熱バランスの干渉を抑制することができるので、各熱風炉および各熱風炉間の熱バランスを短期間で安定させることができる。
本実施形態における熱風炉の燃焼制御装置及び関連設備の構成を示す図である。 燃焼制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 本実施形態の動作を説明するための図である。 フィードバック制御及びフィードフォワード制御と併用した場合の燃焼制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 熱風炉の炉内の構造を示す模式図である。 送風期における送風温度制御系の模式図である。 スタガードパラレル操業の概念図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(構成)
図1は、本実施形態における熱風炉の燃焼制御装置及び関連設備の構成を示す図である。
図中、符号11は熱風炉(以下、単に炉とも称す)である。この熱風炉11は、図4に示すように燃焼室12と蓄熱室13とからなっている。蓄熱室13の内部には、蓄熱レンガ19が積まれており、符号14の部位はドーム、符号15の部位は珪石レンガ下部と呼ばれている。燃焼期には、燃焼室12において、燃料ガスを供給口16から、燃焼用空気を供給口17から、それぞれ供給して燃焼させ、その燃焼排ガスを蓄熱室13に通して内部の蓄熱レンガ19を加熱する。引き続く送風期には、供給口18から冷風を蓄熱室13に通し、蓄熱レンガ19との熱交換により熱風を得る。このとき得られた熱風は高炉へ供給される。このような熱風炉11を複数基(例えば、図6に示すように4基)連結し、図7に示すように、位相を炉ごとにずらしながら予め定められた制御周期ごとに燃焼期と送風期のサイクルを繰り返すことによって、高炉操業において必要な温度及び流量の熱風を途切れることなく供給している。
図1に示すように、熱風炉11の出口側には、高炉に供給する熱風の温度(送風温度)を測定する送風温度計31が取り付けられている。また、熱風炉11のドーム14には、ドーム温度を測定するドーム温度計32が取り付けられ、熱風炉11の珪石レンガ下部15には、レンガ温度を測定するレンガ温度計33が取り付けられている。さらに、混冷バタフライ弁MBには、当該混冷バタフライ弁MBの開度を検出する混冷弁開度センサ34が取り付けられており、冷風バタフライ弁CBには、当該冷風バタフライ弁CBの開度を検出する冷風弁開度センサ35が取り付けられている。
これら送風温度計31、ドーム温度計32、混冷弁開度センサ34及び冷弁開度センサ35の出力信号は、燃焼制御装置40に入力される。また、送風温度計31の出力信号は、送風温度制御装置50に入力される。なお、図1では図示を省略したが、他の熱風炉11においても温度計31〜33をそれぞれ備えており、また、他の冷風バタフライ弁CBにおいても冷風弁開度センサ35をそれぞれ備えており、それらの出力信号は燃焼制御装置40や送風温度制御装置50に入力されるようになっている。
燃焼制御装置40は、上述した入力信号に基づいて、熱風炉11への投入熱量を設定する。そして、設定した投入熱量に基づいて、熱風炉11の燃料ガス供給口16(図5)の上流側に設けられたガス弁16aの開度を制御する。これにより、ガス流量又はガスカロリーを調整することができる。
燃焼制御装置40の制御対象は、上述のように、図5の熱風炉11が図6に示すように連結されたものである。熱風炉11では、図7に示すように燃焼・送風のサイクルを繰り返しながらスタガードパラレル操業が実施されている。また、このスタガードパラレル操業においては、先行炉に熱不足が発生すると、その熱不足を後行炉が補う熱支援を行うようになっている。先行炉への熱支援は後行炉の各送風期の前半の期間内で行う。
そして、投入熱量の設定は、各炉の燃焼期に先立って図7の離散化された時刻k=1,2,…(白い四角で示したタイミング)で行うものとする。この燃焼制御装置40で実施する投入熱量設定処理については、後で詳述する。
送風温度制御装置50は、上述した入力信号に基づいて、熱風炉11からの送風温度が高炉に必要な熱量に応じて決定される送風温度設定値となるように送風温度制御を行う。具体的には、熱風炉11からの送風温度が送風温度設定値となるように、スタガードパラレル操業において、1基の熱風炉11にのみ通風する場合での混冷バタフライ弁MBの開度調整、及び2基に同時に通風する場合での冷風バタフライ弁CBの開度調整をすることによって、高炉に送風する熱風の温度を制御する。
次に、燃焼制御装置40で実施する投入熱量設定処理について具体的に説明する。
図2は、燃焼制御装置40の具体的構成を示すブロック図である。この図2では、高炉に対して続けて熱風を供給する2基の熱風炉11(先行炉11a及び後行炉11b)に着目し、これら先行炉11a及び後行炉11bに対応する部分について示している。
燃焼制御装置40では、投入熱量設定対象の熱風炉11(以下、設定対象炉ともいう)を図2に示す後行炉11bとして見立てて、投入熱量設定処理を実施する。このとき、燃焼制御装置40は、先行炉11aの送風終了時における熱余裕を表す指標(熱余裕指標)の実績値と、設定対象炉11bの送風終了時における熱余裕指標の実績値とに基づいて、設定対象炉11bの前回の燃焼期における投入熱量の過不足を補正する過不足補正量を設定する。そして、上記前回の投入熱量に過不足補正量を加算したものを今回の燃焼期における設定対象炉11bの投入熱量として燃焼制御を行う。
ここで、熱風炉11の熱余裕は、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を各炉が有しているかを示すものである。
図2に示すように、燃焼制御装置40は、先行炉11aに対応する熱余裕指標実績演算部41a、熱余裕過不足制御部42a及び加算器43aと、設定対象炉11bに対応する熱余裕指標実績演算部41b、熱余裕過不足制御部42b及び加算器43bと、を備える。
熱余裕指標実績演算部41a及び41b、熱余裕過不足制御部42a及び42b、加算器43a及び43bは、それぞれ同様の処理を行うものである。そのため、ここでは設定対象炉11bに対応する熱余裕指標実績演算部41b、熱余裕過不足制御部42b及び加算器43bについて説明する。
熱余裕指標実績演算部41bは、設定対象炉11bの熱余裕を表す指標の実績値(熱余裕指標実績値)QYjを演算し、出力する。ここでは、熱余裕指標として設定対象炉11bの送風終了時の混冷バタフライ弁MB開度(混冷弁開度)MBxと、同タイミングにおける設定対象炉11bの後行炉の冷風バタフライ弁CB開度(冷風弁開度)CBxとを用いる。混冷弁開度MBx及び冷風弁開度CBxは、それぞれ混冷弁開度センサ34及び冷弁開度センサ35で検出した信号を用いる。
熱余裕指標実績値QYjは次式により演算する。
QYj=f(MBx,CBx) ………(1)
ここで、f( )は括弧内の変数をパラメータとし、熱余裕指標実績値QYjを演算する関数であり、例えば下記に表す関数を用いることができる。
QYj=fMB・(MBx−MBz)+fCB・(CBx−CBz) ………(2)
ここで、fMB,fCBはそれぞれ予め設定された係数であり、MBz及びCBzは、それぞれ指標演算にあたっての各開度の基準値である。
熱余裕過不足制御部42bは、熱余裕指標実績演算部41aで演算した先行炉11aの送風終了時における熱余裕指標実績値QYiと、熱余裕指標実績演算部41bで演算した設定対象炉11bの送風終了時における熱余裕指標実績値QYjとを比較し、設定対象炉11bの前回の燃焼期における当該設定対象炉11bへの投入熱量の過不足分を、熱余裕指標を用いて演算する。
先ず、設定対象炉11bが前回の送風期に先行炉11aに支援した熱量に相当する熱余裕を求める。なお、図7において、k=4で1HSへの投入熱量の設定を行う場合、すなわちk=4からk=6の期間が「今回の燃焼期」である場合、k=2からk=4の期間が「前回の送風期」となる。
先行炉11aの送風終了時において、熱余裕指標実績値QYiが、QYi≧0の場合、設定対象炉11bから先行炉11aへの熱支援は行っていない。一方、QYi<0の場合には、先行炉11aの熱不足に対して設定対象炉11bは熱支援を行っている。
したがって、設定対象炉11bが前回の送風期に先行炉11aに支援した熱量相当の熱余裕RXは、下記のようになる。
QYi≧0のとき、 RX=0,
QYi<0のとき、 RX=−QYi ………(3)
また、設定対象炉11bの送風終了時において、設定対象炉11bに残った熱量相当の熱余裕RYは、熱余裕指標実績値QYjで表される。
RY=QYj ………(4)
このとき、上記先行炉11aに支援した熱量相当の熱余裕RXと、上記設定対象炉11bに残った熱量相当の熱余裕RYとの和SXは、設定対象炉11bが前回の送風期に放出した熱量と、当該設定対象炉11bが前回の送風期の前に蓄積していた熱量との過不足を表す(SX:熱余裕過不足)。
SX=RX+RY ………(5)
そして、上記(5)式により求めた熱余裕過不足SXに基づいて、設定対象炉11bの蓄積熱量の過不足を判定し、次式をもとに過不足補正量ΔGbを算出する。
SX=0のとき、 ΔGb=0,
SX<0のとき、 ΔGb=−2・Ks・SX,
SX>0のとき、 ΔGb=−Ks・SX ………(6)
ここで、Ksは熱余裕指標から熱量への換算係数である。
すなわち、SX=0である場合には、設定対象炉11bの蓄積熱量には過不足がないと判断し、前回と同じ熱量を投入するように過不足補正量ΔGbを“0”する。
そして、SX<0である場合には、設定対象炉11bの蓄積熱量が不足していると判断し、前回に対して投入熱量を増加するような過不足補正量ΔGbを設定する。このとき、設定対象炉11b自身の熱量不足を解消するための熱量(−Ks・SX)と、設定対象炉11bの熱余裕不足を当該設定対象炉11bの後行炉が支援する熱補完連鎖を防止するために熱補完分SXを解消する熱量(−Ks・SX)とを加えた(−2・Ks・SX)を過不足補正量ΔGbとする。
また、SX>0である場合には、設定対象炉11bの蓄積熱量が過多であると判断し、前回に対して投入熱量を減じるような過不足補正量ΔGbを設定する。このとき、過多な熱量を解消するための熱量(−Ks・SX)を過不足補正量ΔGbとする。
加算器43bは、熱余裕過不足制御部42bで出力した過不足補正量ΔGbを、前回の燃焼期における投入熱量Gxに加算し、今回の投入熱量Gを算出する。すなわち、今回の投入熱量Gは次式により算出されることになる。
G=Gx+ΔGb ………(7)
なお、図6において、k=4で1HSへの投入熱量の設定を行う場合、すなわちk=4からk=6の期間が「今回の燃焼期」である場合、k=0からk=2の期間が「前回の燃焼期」となる。
このようにして設定された投入熱量Gに基づいて、設定対象炉11bのガス弁16aの開度を制御することでガス流量を調整する。
なお、図2において、熱余裕過不足制御部42bが過不足補正量設定手段に対応し、加算器43bが投入熱量設定手段に対応している。
(動作)
次に、本実施形態の動作について、図3を参照しながら説明する。
図3は、送風量8000Nm3/min、送風温度1100℃前後で安定操業しているときに、本実施形態における燃焼制御を適用した場合の4基の熱風炉11(熱風炉#1〜熱風炉#4)間の熱補完の状態を示している。
各熱風炉11では、上述したように燃焼と送風のサイクルを繰り返しながらスタガードパラレル操業が実施されている。すなわち、熱風炉#1では、時刻t1から時刻t3までの期間が送風期、時刻t3から時刻t5までの期間が燃焼期、時刻t5から時刻t7までの期間が送風期となる。また、送風期のうち前半の期間は、先行炉の熱支援を行う期間であり、先行炉に熱不足が発生している場合はこの期間に先行炉の熱不足を補うべく送風を行う。
そして、各熱風炉11における投入熱量の設定は、各炉の燃焼期に先立って行われる。すなわち、熱風炉#1では、時刻t3,t7,…で、今回の燃焼期における投入熱量を設定するようになっており、時刻t3では、時刻t3から時刻t5までの燃焼期の投入熱量、時刻t7では、時刻t7から時刻t9までの燃焼期の投入熱量が設定される。
同様に、熱風炉#2では、時刻t2から時刻t4までの期間が送風期、時刻t4から時刻t6までの期間が燃焼期、時刻t6から時刻t8までの期間が送風期となる。また、この熱風炉#2では、時刻t4,t8,…で、今回の燃焼期における投入熱量を設定する。
燃焼制御装置40は、例えば、時刻t4で熱風炉#2の投入熱量設定処理を行う場合、先行炉である熱風炉#1の送風終了時(時刻t3)での熱余裕指標実績値QYiを取得すると共に、熱風炉#2の送風終了時(時刻t4)での熱余裕指標実績値QYjを演算し、加熱炉#2の熱量過不足を判定する。
時刻t3の時点では熱風炉#1で熱量過不足は発生しておらず、時刻t2から時刻t3までの期間において、熱風炉#2は熱風炉#1の熱支援を行っていない。すなわち、QYi=0であり、上記(3)式よりRX=0である。また、時刻t4の時点では熱風炉#2で熱量過不足は発生していない。すなわち、QYj=0であり、上記(5)式よりSX=0となる。
したがって、熱余裕過不足制御部42bは、投入熱量設定対象である熱風炉#2において投入熱量の過不足は発生していないと判断し、上記(6)式より過不足補正量ΔGb=0に設定する。そのため、時刻t4では、熱風炉#2の前回の燃焼期における投入熱量Gxが、そのまま熱風炉#2の今回の燃焼期における投入熱量Gとして設定される。
次に、時刻t5では、燃焼制御装置40は熱風炉#3の投入熱量設定処理を行う。上述したように、時刻t4では先行炉である熱風炉#2で熱量過不足は発生していないため、熱風炉#2の送風終了時での熱余裕指標実績値QYi=0であり、上記(3)式よりRX=0である。ところが、何らかの理由により高炉が必要とする熱量に対して熱風炉#3が供給する熱量が不足し、熱余裕指標aだけ不足した場合には、熱風炉#3の送風終了時(時刻t5)での熱余裕指標実績値QYj=−aとなり、上記(5)式よりSX=−aとなる。この場合、時刻t4から時刻t5の期間では、熱風炉#4は、先行炉である熱風炉#3の熱余裕指標a分の熱量不足を支援する。
SX=−aであるため、熱余裕過不足制御部42bは、時刻t5で投入熱量設定対象である熱風炉#3において投入熱量の不足が発生していると判断し、上記(6)式より過不足補正量ΔGb=2・Ks・aに設定する。そのため、この時刻t5では、熱風炉#3の前回の燃焼期における投入熱量Gxに過不足補正量ΔGb=2・Ks・aを加算した熱量が、熱風炉#3の今回の燃焼期における投入熱量Gとして設定される。この過不足補正量ΔGb=2・Ks・aは、熱風炉#3の送風終了時(時刻t5)における熱余裕a相当の熱量不足分と、時刻t4から時刻t5の期間に熱風炉#4が熱風炉#3を熱支援した熱余裕a相当の熱量分との和である。
このように、設定対象炉において送風終了時に熱量不足が発生している場合、熱量不足分に相当する熱量を今回の燃焼期に追加投入する。さらに、このとき、設定対象炉において不足した熱量は、後行炉で順次支援するため、後行炉の熱余裕が各々減少することを考慮し、本熱余裕の減少分を補完する熱量も併せて追加投入する。
次に、時刻t6では、燃焼制御装置40は熱風炉#4の投入熱量設定処理を行う。上述したように、時刻t5では先行炉である熱風炉#3の熱不足が発生しており、熱風炉#4は熱風炉#3の熱支援を行っている。すなわち、QYi=−aであり、上記(3)式よりRX=aである。また、熱風炉#4が熱風炉#3の熱支援を行ったために、時刻t6では熱風炉#4の熱不足が発生している。すなわち、QYj=−aであり、上記(5)式よりSX=0となる。これは、熱風炉#4単体では、前回の送風期に高炉が必要とする熱量と等しい熱量を蓄積していたことを意味する。
したがって、熱余裕過不足制御部42bは、投入熱量設定対象である熱風炉#4において投入熱量の過不足は発生していないと判断し、上記(6)式より過不足補正量ΔGb=0に設定する。そのため、時刻t6では、熱風炉#4の前回の燃焼期における投入熱量Gxが、そのまま熱風炉#4の今回の燃焼期における投入熱量Gとして設定される。
このように、送風終了時に熱量不足が発生している場合であっても、その熱量不足が先行炉の支援を行ったことに起因するものであり、炉単体では熱量過不足がない場合には、投入熱量を変更しないようにする。
炉単体では熱量過不足がないにもかかわらず、送風終了時の熱量不足のみを見て投入熱量を増加してしまうと、熱不足が発生した炉に誘発されて、熱不足が発生していない他の炉においても順次投入ガス量を増やしてしまうため、熱不足が解消した後、各炉において一時的な熱余り状態が発生してしまう。そのため、その後のタイミングでは、上記の熱余りを解消するために、各炉の投入ガス量を減じる必要が生じてしまい、収束が遅れる。
これに対して、本実施形態では、先行炉の送風終了時の熱余裕指標実績値QYiに基づいて設定対象炉が先行炉に支援した熱量を把握し、設定対象炉の送風終了時の熱量不足分と先行炉の熱支援分とが等しい場合には、過不足補正量ΔGb=0として投入熱量を変更しない。これにより、熱量過不足のない炉の熱収支を崩さないようにすることができ、上記のような熱量過多およびその後の熱量調整を防止することができる。
なお、時刻t7での熱風炉#1の投入熱量設定処理、及び時刻t8での熱風炉#2の投入熱量設定処理でも、この時刻t6での熱風炉#4の投入熱量設定処理と同様に、熱風炉#1,#2では投入熱量の過不足は発生していないと判断され、前回の燃焼期における投入熱量Gxがそのまま今回の燃焼期における投入熱量Gとして設定される。
そして、時刻t9では、燃焼制御装置40は熱風炉#3の投入熱量設定処理を行う。時刻t7から時刻t8までの送風期間では、熱風炉#3は先行炉である熱風炉#2の熱量不足a分の熱支援を行うが、時刻t5での投入熱量設定処理で2a分の投入熱量を増加する処理を行っているため、時刻t9の送風終了時には熱風炉#3で熱不足が発生しない。すなわち、先行炉である熱風炉#2の送風終了時の熱余裕指標実績値QYi=−aであり、上記(3)式よりRX=aであるが、熱風炉#3の送風終了時の熱余裕指標実績値QYj=0であるため、上記(5)式よりSX=aとなる。これは、熱風炉#3単体では、前回の送風期に、高炉が必要とする熱量に対して熱余裕a相当分の熱量を多く蓄積していることを意味する。
したがって、熱余裕過不足制御部42bは、投入熱量設定対象である熱風炉#3において投入熱量の過多が発生していると判断し、上記(6)式より過不足補正量ΔGb=−Ks・aに設定する。そのため、時刻t9では、熱風炉#3の前回の燃焼期における投入熱量Gxに過不足補正量ΔGb=−Ks・aを加算した熱量が、熱風炉#3の今回の燃焼期における投入熱量Gとして設定される。すなわち、今回の燃焼期における投入熱量Gは、前回の燃焼時における投入熱量Gxから熱余裕a相当分の熱量を減じた値となる。
このように、送風終了時に熱量過不足が発生していない場合であっても、単体では熱量過多が生じている場合には、加熱炉間の熱補完は発生しないため、単純に過多分の熱量を減じる。これにより、確実に炉の熱収支を安定させることができる。
そして、時刻t10以降は、各熱風炉は先行炉への熱支援を行わず、また後行炉からの熱支援も受けない状態となり、高炉が必要とする熱量と等しい熱量を蓄積した平衡状態となる。
以上のように、熱風炉#3で熱量不足が発生し、熱風炉#4以降で熱補完の連鎖が発生した場合であっても、短期間(ここでは4ピリオド)で平衡状態に収束させることができる。
(効果)
このように、上記実施形態では、投入熱量設定対象の熱風炉(設定対象炉)において、設定対象炉から先行炉へ支援した熱量と、後行炉から設定対象炉へ支援してもらった熱量とのバランスをチェックすることにより、設定対象炉単体での熱量過不足、即ち高炉が必要とする熱量に対する炉が蓄積する熱量を評価し、投入熱量を決定する。
このとき、設定対象炉単体での熱量過不足がないと判断した場合には過不足補正量を“0”として、前回の燃焼期における投入熱量をそのまま今回の燃焼期における投入熱量とする。したがって、先行炉へ支援したことで、送風終了時において熱支援分に相当する熱量不足が生じている場合には、炉単体では熱量過不足がないとして投入熱量を変更しないようにすることができる。これにより、熱量過不足のない炉の熱収支を崩さないようにすることができる。
また、設定対象炉単体で熱量不足が生じていると判断した場合には、当該設定対象炉の送風終了時における熱量不足分と先行炉への熱支援分との和を過不足補正量として設定し、前回の燃焼期における投入熱量を増加補正して今回の燃焼期における投入熱量とする。したがって、設定対象炉自身の熱量不足を解消することができると共に、加熱炉間での熱補完の連鎖を短期間で解消することができる。
さらに、設定対象炉単体で熱量過多が生じていると判断した場合には、熱量過多分を過不足補正量として設定し、前回の燃焼期における投入熱量を減少補正して今回の燃焼期における投入熱量とする。したがって、適切に熱収支を安定させることができる。
以上のように、設定対象炉においては、前回の送風期の送風終了時における熱量過不足のみではなく、前回の送風期における先行炉への熱量支援分も考慮して今回の燃焼期の投入熱量を決定するので、各炉の投入熱量を最適化することができる。その結果、スタガードパラレル操業において、複数基の熱風炉間で熱を補完する連鎖が発生した場合に、熱バランスを短期間で安定させることができる。
また、熱余裕指標実績値を用いて各炉の熱量過不足を評価するので、適切な評価が可能となる。特に、本実施形態では、熱余裕指標として混冷弁開度MBx及び冷風弁開度CBxを用いている。混冷弁開度MBxは、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給するために熱風炉からの熱風に混合した冷風の量であり、その値は熱風炉負荷に依存しない。また、冷風弁開度CBxは、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給した後に、炉にどれだけの熱が残っているか(残熱量)を表すものであり、その値も熱風炉負荷に依存しない。このように、操業条件の影響を受けない熱余裕指標を用いるので、容易に熱量過不足の評価を行うことができる。
(応用例)
なお、上記実施形態においては、熱余裕を目標値に一致させるためのフィードバック制御や、必要とされる熱量の変化に対して事前に投入熱量を変更するフィードフォワード制御と併用することもできる。これにより、より制御性を高めることができる。
図4は、本発明をフィードバック制御やフィードフォワード制御と併用した場合の燃焼制御装置40の構成を示すブロック図である。この図4では、高炉に対して続けて熱風を供給する2基の熱風炉11(先行炉11a及び後行炉11b)に着目し、これら先行炉11a及び後行炉(設定対象炉)11bに対応する部分を示している。
図4に示すように、燃焼制御装置40は、先行炉11aに対応する熱余裕指標実績演算部41a、熱余裕過不足制御部42a、減算器44a、熱余裕制御部45a、投入熱量補正量設定部46a、加算器47a及び加算器48aと、設定対象炉11bに対応する熱余裕指標実績演算部41b、熱余裕過不足制御部42b、減算器44b、熱余裕制御部45b、投入熱量補正量設定部46b、加算器47b及び加算器48bと、を備える。
熱余裕指標実績演算部41a及び41b、熱余裕過不足制御部42a及び42b、減算器44a及び44b、熱余裕制御部45a及び45b、投入熱量補正量設定部46a及び46b、加算器47a及び47b、加算器48a及び48bは、それぞれ同一処理を行うものであるため、ここでは設定対象炉11bに対応する熱余裕指標実績演算部41b、熱余裕過不足制御部42b、減算器44b、熱余裕制御部45b、投入熱量補正量設定部46b、加算器47b及び加算器48bについてのみ説明する。
減算器44bは、作業者が設定した熱余裕指標の目標値(熱余裕指標目標値)QYREFから熱余裕指標実績演算部41bで演算した熱余裕指標実績値QYjを減算し、熱余裕指標の差分ΔQYを算出する。算出した差分ΔQYは熱余裕制御部45bに出力する。
熱余裕制御部45bは、減算器44bから出力される熱余裕指標の差分ΔQY(=QYREF−QYj)に基づいて、設定対象炉11bへの投入熱量に対するフィードバック補正量ΔGqを設定する。
ΔGq=Kq・(QYREF−QYj) ………(8)
ここで、Kqは制御ゲインである。
投入熱量補正量設定部46bは、前回の送風期における高炉必要熱量と、次回の送風期における高炉必要熱量との差に応じて、前回の燃焼期における設定対象炉11bへの投入熱量に対する補正量(フィードフォワード補正量)ΔGFFを設定する。なお、図7において、k=2で3HSへの投入熱量の設定を行う場合、すなわちk=2からk=4の期間が「今回の燃焼期」である場合、k=0からk=2の期間が「前回の送風期」となり、k=4からk=6の期間が「次回の送風期」となる。
ここでは、高炉必要熱量を表す指標として設定対象炉11bからの送風温度と送風量とを用い、フィードフォワード補正量ΔGFFは、当該指標に基づいて次式をもとに演算する。
ΔGFF=KFF・(T1・V1−T0・V0) ………(9)
ここで、KFFは補正ゲインである。また、T0は前回の送風温度、T1は次回の送風温度である。さらに、V0は前回の送風量、V1は次回の送風量である。
なお、ここでは高炉必要熱量を表す指標として設定対象炉11bからの送風温度と送風量とを用いる場合について説明したが、送風量が大きく変化しない場合には、簡便な手段として送風温度のみを用いるようにしてもよい。すなわち、この場合には、次式をもとにフィードフォワード補正量ΔGFFを演算する。
ΔGFF=KFFx・(T1−T0) ………(10)
ここで、KFFxは補正ゲインである。
加算器47bは、熱余裕過不足制御部42bで出力した過不足制御量ΔGbと、熱余裕制御部45bで出力したフィードバック補正量ΔGqと、投入熱量補正量設定部46bで出力したフィードフォワード補正量ΔGFFとを加算し、前回の投入熱量に対する最終的な補正量を算出する。
加算器48bは、加算器47bから出力される補正量を、前回の燃焼期における投入熱量Gxに加算し、今回の投入熱量Gを算出する。すなわち、今回の投入熱量Gは次式により算出されることになる。
G=Gx+ΔGb+ΔGFF+ΔGq ………(11)
なお、図7において、k=4で1HSへの投入熱量の設定を行う場合、すなわちk=4からk=6の期間が「今回の燃焼期」である場合、k=0からk=2の期間が「前回の燃焼期」となる。
以上のように、熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較して熱風炉への投入熱量を決定する構成とすることで、高炉必要熱量の変化に対するマージンを大きくとりたい場合や、熱余裕指標目標値が変更された場合、その他要因により熱余裕指標実績値が変化する場合に適切に対応することができる。そのため、最適な熱余裕状態に熱風炉を維持することができ、燃料原単位を抑制することができる。
また、今回の燃焼期における投入熱量の設定に際し、前回の送風期における高炉必要熱量と次回の送風期における高炉必要熱量とを比較し、その差分に基づいて前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定することで、高炉必要熱量が変化したときには、当該変化に応じて熱風炉に蓄熱させる熱量を迅速に変更することができる。
このように、様々な状況に対応して熱風炉への投入熱量を設定することができるので、熱風炉への投入熱量を最適化することができ、省エネルギーや炭酸ガス排出量の削減を図ることができる。
(変形例)
なお、上記実施形態においては、熱余裕指標として、混冷弁開度と後行炉の冷風弁開度とを用いる場合について説明したが、混冷弁開度のみを用いたり冷風弁開度のみを用いたりすることもできる。さらには、後行炉の冷風バラフライ弁の送風量や、混冷バタフライ弁からの送風量と冷風バラフライ弁からの送風量との比率を用いることもできる。
11…熱風炉、12…燃焼室、13…蓄熱室、14…ドーム、15…珪石レンガ下部、16…供給口(燃料ガス)、17…供給口(燃焼用空気)、18…供給口(冷風)、19…蓄熱レンガ、31…送風温度計、32…ドーム温度計、33…レンガ温度計、34…混冷弁開度センサ、40…燃焼制御装置、41…熱余裕指標実績演算部、42…熱余裕過不足制御部(過不足補正量設定手段)、43…加算器、44…減算器、45…熱余裕制御部(フィードバック補正量設定手段)、46…投入熱量補正量設定部(フィードフォワード補正量設定手段)、47…加算器、48…加算器、50…送風温度制御装置

Claims (4)

  1. 複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、
    先行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値と、当該先行炉に続いて前記高炉に対して熱風を供給する後行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値とに基づいて、当該後行炉の前回の燃焼期における投入熱量の過不足を補正する過不足補正量を設定する過不足補正量設定手段と、
    前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量を加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定する投入熱量設定手段と、を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御装置。
  2. 各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するフィードバック補正量設定手段をさらに備え、
    前記投入熱量設定手段は、
    前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量と、前記フィードバック補正量設定手段で設定した前記後行炉のフィードバック補正量とを加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定することを特徴とする請求項1に記載の熱風炉の燃焼制御装置。
  3. 前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するフィードフォワード補正量設定手段をさらに備え、
    前記投入熱量設定手段は、
    前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量と、前記フィードバック補正量設定手段で設定した前記後行炉のフィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量設定手段で設定した前記後行炉のフィードフォワード補正量とを加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定することを特徴とする請求項2に記載の熱風炉の燃焼制御装置。
  4. 複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、
    先行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値と、当該先行炉に続いて前記高炉に対して熱風を供給する後行炉の送風終了時における熱余裕を表す指標の実績値とに基づいて、当該後行炉の前回の燃焼期における投入熱量の過不足を補正する過不足補正量を設定するステップと、
    前記後行炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記過不足補正量設定手段で設定した過不足補正量を加算することで、前記後行炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定するステップと、を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御方法。
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