JP5772204B2 - ドーム状ばね及びスイッチ - Google Patents

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Description

本発明は、ドーム状ばね及びスイッチに関する。
従来、携帯電話機等の電子機器の操作部に、クリックアクション付きの押釦スイッチを用いる構成が知られている。クリックアクション付きの押釦スイッチは、押下入力時にクリック感を操作者に与えることができる。クリックアクション付きの押釦スイッチは、ドーム状ばね(ドーム状接点ばね)を備える。
また、球面でドーム形状のドーム状ばねよりも小型で良好なクリック感が得られる非球面でドーム形状のドーム状ばね及びこれを用いたスイッチが知られている(特許文献1参照)。ここで、図15及び図16を参照して、従来の非球面のドーム状ばね及びスイッチを説明する。図15に、従来のスイッチ100の断面構成を示す。図16に、従来のドーム状ばね21の外周エッジ部21cと固定接点4との接触を示す。
図15に示すように、スイッチ100は、ドーム状ばね21と、基板3と、固定接点4,5,6と、を備える。ドーム状ばね21は、全面が非球面でドーム形状の金属導体からなる接点用のばねである。ドーム状ばね21を上面から見た平面において円形をしており、この円形の中心を可動接点21aとする。図15に、ドーム状ばね21における可動接点21aを通る断面が示されている。
基板3は、ドーム状ばね21が載置される基板である。基板3には、固定接点4,5,6が設けられている。固定接点4,5,6は、金属導体からなる電気的な接点である。固定接点4,5は、ドーム状ばね21を常時支持している。固定接点6は、ドーム状ばね21の可動接点21aに対応する位置に設けられている。
ドーム状ばね21の可動接点21aに垂直上方からの操作者の押下で動作荷重Fが加えられることにより、ドーム状ばね21が変形する。そして、さらに動作荷重Fが加えられると、座屈によるクリックアクションが発生して、可動接点21aが固定接点6に接する。このようにして、固定接点4,5が、ドーム状ばね21を介して固定接点6に導通される。そして、操作者の押下解除で動作荷重Fが0にされると、ドーム状ばね21も元の形状に戻る。このようなドーム状ばね21の押下及びその解除の繰り返し動作中に、図16に示すように、ドーム状ばね21の外周エッジ部21cと固定接点4との接触位置は、動径方向(図16の左右方向)に反復して変位する。この繰り返し動作時において、外周エッジ部21cにおけるドーム状ばね21と基板3との間の角度を角度θ2とする。
ドーム状ばね21は、動作荷重Fが加わっていない断面における中立面が、次式(1)の6次の偶関数の非球面方程式で表される形状である。
f(ρ)=b・ρ+b・ρ+b・ρ+h …(1)
但し、ρ:ドーム状ばねの平面の中心からの動径、b,b,b:係数、h:ドーム状ばねの平面の中心における載置面(基板)からの高さ、f(ρ):ドーム状ばねの動径ρにおける載置面(基板)からの高さ、である。
ドーム状ばね21の載置面(基板3の表面)において、ドーム状ばね21の平面の中心を通るドーム状ばね21の外周エッジ部21cと載置面との接触位置として、対向する2つの接触位置間の長さを外径Daとする。また、式(1)において、外径Daとドーム状ばね21の平面の中心との間に変曲点Pa1が存在する。ドーム状ばね21の載置面(基板3)において、ドーム状ばね21の平面の中心を通る変曲点Pa1間の長さを直径Da1とする。
外径Daに対応して、ドーム状ばね21の外周エッジ部21cにおけるドーム状ばね21の中立面と、基板3(固定接点4,5)の表面(ドーム状ばね21の載置面)と、の間の角度を角度γ1とする。直径Da1に対応して、変曲点Pa1におけるドーム状ばね21の中立面と、基板3の表面(ドーム状ばね21の載置面)と、の間の角度を角度β1とする。ドーム状ばね21は、次式(2)を満たす。
β1<γ1 …(2)
式(1)、(2)は、ドーム状ばねにおいて座屈が発生する条件式である。上記のように、ドーム状ばね21は、式(1)、(2)の条件を満たす形状を有するので、球面でドーム形状のドーム状ばねよりも、小型化できるとともに、座屈によるクリックアクションを確実に起こすことができる。なお、式(1)は、8次以上の偶関数としてもよい。
特開2011−34927号公報
しかし、図16に示すように、従来のドーム状ばね21の外周エッジ部21cが固定接点4により支持されるため、固定接点4における接触圧が高い。よって、ドーム状ばね21の押下及び解除の繰り返し動作により、外周エッジ部21cが左右に変位して、外周エッジ部21c及び固定接点4が磨耗される。例えば、ドーム状ばね21がSUS(Steel Use Stainless)からなり、固定接点4が銅箔からなる物とすると、ドーム状ばね21に比べて固定接点4が柔らかく、固定接点4が大きく磨耗される。固定接点5でも同様である。この磨耗により、ドーム状ばね21押下時の固定接点4,5と固定接点6との導通不良が起こるおそれがあった。
本発明の課題は、ドーム状ばねを小型化し、クリックアクションを確実に得るとともに、ドーム状ばねの押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばねの外周エッジ部と固定接点との磨耗を低減することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のドーム状ばねは、
第1の固定接点を有する基板に設けられ、外周エッジ部が前記第1の固定接点に常時接触されるドーム状ばねであって、
少なくとも一部の中立面が、8次以上の偶関数で表される形状を有し、
前記外周エッジ部から中心方向への2番目の位置の変曲点である第2の変曲点における前記基板及び前記中立面の間の角度αと、前記外周エッジ部から中心方向への1番目の位置の変曲点である第1の変曲点における前記基板及び前記中立面の間の角度βと、前記外周エッジ部における前記基板及び前記中立面の間の角度γとが、α<β且つβ>γを満たすよう前記8次以上の偶関数の係数が決定されている
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のドーム状ばねにおいて、
前記ドーム状ばねの一部がカットされた形状を有する。
請求項3に記載の発明のスイッチは、
請求項1又は2に記載のドーム状ばねと、
前記第1の固定接点と、
前記ドーム状ばねの座屈時に可動接点が接触される第2の固定接点と、
前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点が設けられた前記基板と、を備え、
前記ドーム状ばねは、導体であり、
押下により座屈された前記ドーム状ばねを介して、前記第1の固定接点と前記第2の固定接点とが電気的に導通されるスイッチ。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチにおいて、
前記ドーム状ばねを前記基板上の所定位置に固定する固定部又はばね押えシートを備える。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のスイッチにおいて、
押下入力を受け付けて前記ドーム状ばねに動作荷重を伝える操作ボタンを備える。
本発明によれば、ドーム状ばねを小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができるとともに、ドーム状ばねの押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばねの外周エッジ部と固定接点との磨耗を低減できる。
本発明の実施の形態のスイッチを示す断面図である。 実施の形態のドーム状ばねの平面図である。 実施の形態のドーム状ばねの動径に対する高さを示す図である。 実施の形態のドーム状ばねの形状を示す図である。 (a)は、実施の形態の一例のドーム状ばねの平面図である。(b)は、実施の形態の一例のドーム状ばねの断面図である。 実施の形態の一例のドーム状ばねの動作荷重変位特性を示す図である。 実施の形態の一例のドーム状ばねの外周エッジ部と固定接点との接触を示す図である。 第1の変形例のスイッチの断面図である。 (a)は、第2の変形例の第1のドーム状ばねの平面図である。(b)は、第2の変形例の第1のドーム状ばねの断面図である。 (a)は、第2の変形例の第2のドーム状ばねの平面図である。(b)は、第2の変形例の第2のドーム状ばねの側面図である。 (a)は、第2の変形例の第3のドーム状ばねの平面図である。(b)は、第2の変形例の第3のドーム状ばねの断面図である。 第1の実施例のスイッチの断面図である。 第2の実施例のスイッチの断面図である。 別の変形例のスイッチの断面図である。 従来のスイッチの断面図である。 従来のドーム状ばねの外周エッジ部と固定接点との接触を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態、第1及び第2の変形例、並びに実施例1,2を順に詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
(実施の形態)
図1〜図7を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1及び図2を参照して、本実施の形態のスイッチ1の装置構成を説明する。図1に、スイッチ1の断面構成を示す。図2に、ドーム状ばね2の平面構成を示す。図1は、図2のI−I線におけるドーム状ばね2の断面を含むスイッチ1の断面図である。
本実施の形態のスイッチ1は、例えば、電子機器用の操作部に用いられるスイッチである。当該電子機器は、押下操作入力を行う操作部を備える電子機器であり、例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、ゲーム機等の携帯機器である。
図1に示すように、スイッチ1は、ドーム状ばね2と、基板3と、固定接点4,5,6と、を備える。ドーム状ばね2は、全面が非球面であるドーム形状の金属導体からなる接点用のばねである。ドーム状ばね2の材料は、SUS301(ばね用ステンレス鋼帯)等のステンレス、ベリリウム銅、ばね用りん青銅等の金属導体である。しかしこれらの材料に限定されるものではなく、一般的にばね用途として用いられる材料であればよい。
また、図2に示すように、ドーム状ばね2は、図1の上方から見た平面形状が円形である。ドーム状ばね2の平面の中心点を可動接点2aとする。また、ドーム状ばね2の断面の中立面を中立面2bとする。中立面とは、圧縮側と引張側との境目にあり伸びも縮みもしない断面である。ドーム状ばね2では、中立面2bが、非球面形状である。ドーム状ばね2の非球面形状については、詳細に後述する。また、ドーム状ばね2は、操作者の押下方向と逆方向に凸形状を有する。
基板3は、ガラス−エポキシ樹脂等からなる基板である。基板3には、ドーム状ばね2が載置されている。基板3には、固定接点4,5,6が設けられている。固定接点4,5,6は、銅箔等の金属導体からなる電気的な固定された接点である。固定接点4,5は、ドーム状ばね2の外周エッジ部を常時接触して支持している。固定接点6は、ドーム状ばね2の可動接点2aに対応する位置に設けられている。固定接点6は、ドーム状ばね2が操作者に押下されていない(動作荷重Fがない)状態でドーム状ばね2に接触されていない。また、基板3、固定接点4,5,6の表面は、凹凸のない平面である。
次いで、図3及び図4を参照して、ドーム状ばね2の非球面形状を説明する。図3に、ドーム状ばね2の動径ρに対する高さを示す。図4に、ドーム状ばね2の形状を示す。
図3及び図4に示すように、ドーム状ばね2は、非球面形状を有するように設計される。図3におけるドーム状ばね2の高さは、載置面(基板3の表面)からドーム状ばね2の下側の面までの垂直方向の長さである。ドーム状ばね2の平面(載置面(基板3の表面))上におけるドーム状ばね2の平面の中心に対応する点から、ドーム状ばね2の外周エッジ部と基板3との接触点までを半径とする円の直径を外径Dとする。ドーム状ばね2の平面上におけるドーム状ばね2の平面の中心に対応する点からの動径を動径ρとする。つまり、外径Dに対応する動径ρはD/2である。また、ドーム状ばね2の中心点に対応するドーム状ばね2の高さを、高さhとする。
ドーム状ばね2は、上側の面、中立面及び下側の面に同様の非球面形状を有する。少なくとも、ドーム状ばね2の中立面が下記非球面形状であればよい。このため、ドーム状ばね2の下側の面の形状を、ドーム状ばね2の中立面の形状と見なして以下説明する。
ドーム状ばね2の中立面の非球面形状は、次式(3)の8次の偶関数の非球面方程式で表される形状である。
f(ρ)=a・ρ+a・ρ+a・ρ+a・ρ+h …(3)
但し、a,a,a,aは、係数である。
また、図4に示すように、式(3)から算出される、ドーム状ばね2の外周エッジ部よりも内側で中心方向に1番目の位置にある変曲点を変曲点P1とし、外周エッジ部よりも内側で中心方向に2番目の位置にある変曲点を変曲点P2とする。載置面(基板3の表面)上におけるドーム状ばね2の平面の中心に対応する点から、変曲点P1に対応する点の円の直径を直径D1とする。載置面(基板3の表面)上におけるドーム状ばね2の平面の中心に対応する点から、変曲点P2に対応する点の円の直径を直径D2とする。
外径Dに対応して、ドーム状ばね2の外周エッジ部におけるドーム状ばね2の中立面と、基板3の表面(ドーム状ばね2の載置面)と、の間の角度を角度γとする。直径D1に対応して、変曲点P1におけるドーム状ばね2の中立面と、基板3の表面(ドーム状ばね2の載置面)と、の間の角度を角度βとする。直径D2に対応して、変曲点P2におけるドーム状ばね2の中立面と、基板3(固定接点4,5)の表面(ドーム状ばね2の載置面)と、の間の角度を角度αとする。
ドーム状ばね2において、次式(4)、(5)を満たすことが必要である。
α<β …(4)
β>γ …(5)
式(3)において、式(4)、(5)を満たす係数 が決定される。
式(3)に8次の偶関数を用いたのは、動径ρ=0(ドーム状ばね2の平面の中心に対応する点)と、動径ρ=D/2(ドーム状ばね2の平面の中心に対応する点)との間に、2つの変曲点を得るためである。動径ρ=0,D/2以外の2つの変曲点が、変曲点P1,P2である。
式(3)における式(4)、(5)の条件は、ドーム状ばね2に座屈が発生することと、ドーム状ばね2の押下及びその解除の繰り返し動作において固定接点4,5に接触するドーム状ばね2の外周エッジ部の動径方向の変位を低減することと、の条件である。式(3)、(4)、(5)を満たすように、ドーム状ばね2が設計される。
式(3)では、ドーム状ばね2の中立面2bの非球面形状を8次の偶関数で表したが、10次以上の偶関数としてもよい。例えば、次式(6)に10次の偶関数を示す。
f(ρ)=a・ρ10+a・ρ+a・ρ+a・ρ+a・ρ+h …(6)
つまり、本実施の形態のドーム状ばね2の非球面形状は、まとめて次式(7)で表される。
f(ρ)=a・ρ+a・ρn−2+a・ρn−4+…+an/2・ρ+h …(7)
但し、n:8以上の任意の偶数、a〜an/2:係数、である。
ドーム状ばね2を設計する場合に、式(7)の次数nを高くするほど、非球面形状を理想的な形状に設定できるが、計算量も多くなる。このため、8次等の適切な次数の非球面方程式でドーム状ばね2を設計するのが好ましい。
次に、図5〜図7を参照して、ドーム状ばね2の一例における動作を説明する。図5(a)に、本実施の形態の一例としてのドーム状ばね2Aの平面構成を示す。図5(b)に、ドーム状ばね2Aの断面構成を示す。
図5(a),(b)に示すドーム状ばね2Aは、式(3)、(4)、(5)を用いて設計されたドーム状ばね2の一例である。図5(b)は、図5(a)のドーム状ばね2AのV−V線での断面図である。
ドーム状ばね2Aの平面上の外径を長さL1とし、断面における基板からのドーム状ばね2Aの上面までの高さを長さL2とする。ドーム状ばね2Aの平面の中心を可動接点2Aaとする。ドーム状ばね2Aの平面上の外周のエッジ部を外周エッジ部2Acとする。
図6に、ドーム状ばね2Aの動作荷重変位特性を示す。図6において、ドーム状ばね2Aの基板3に対する垂直方向の可動接点2Aaの変位[mm]に対する動作荷重F[gf]の曲線が実線で表されている。図6は、一例として、L1=4[mm]、L2=0.19[mm]とした場合のドーム状ばね2Aの特性を示している。
ドーム状ばね2Aを備えるスイッチにおいて、ドーム状ばね2Aの中心の可動接点2Aaを操作者が上から動作荷重Fで押下した場合を考える。可動接点2Aaに力を加えない初期状態での動作荷重及び変位を0とする。
スイッチの初期状態において、ドーム状ばね2Aに動作荷重Fを与える場合に、先ず、操作者が可動接点2Aaの押下により動作荷重Fを増加開始する。図6に示すように、動作荷重Fは、変位が0から変位量ST1までほぼ比例して増加される。そして、変位量ST1に対応する動作荷重F1でドーム状ばね2Aが座屈を起こす。すると、ドーム状ばね2Aの可動接点2Aaを含む中央部分が反転し、動作荷重F1よりも小さな動作荷重で可動接点2Aaが変位する。その後、可動接点2Aaが変位量ST2に至るまで、動作荷重は減少し続ける。変位量ST2でドーム状ばね2Aの可動接点2Aaが固定接点6に接し、ドーム状ばね2Aを介して固定接点4,5と固定接点6とが電気的に導通する。可動接点2Aaが固定接点6に接する変位量は、変位量ST1と変位量ST2との間にとってもよい。そして、操作者が可動接点2Aaへの押下を解除し、動作荷重Fがなくなれば、ドーム状ばね2Aは初期状態に復帰する。
図7に、ドーム状ばね2Aの外周エッジ部2Acと固定接点4との接触を示す。上記のドーム状ばね2Aの押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2Aの外周エッジ部2Acは、固定接点4と接触しつつ左右に変位(反復)される。この繰り返し動作において、外周エッジ部2Acでのドーム状ばね2Aと基板3(固定接点4)との間の角度を角度θ1とする。ドーム状ばね2Aの押下により、固定接点4と外周エッジ部2Acとの接触部分において、固定接点4は、ドーム状ばね2Aから力を受ける。
固定接点4がドーム状ばね2から受ける力のベクトル分解により、垂直方向の力F3と、動径方向(接触方向)の力F4=F3・tan(θ1)と、が得られる。ドーム状ばね2Aは、角度γが小さくなるよう設計されているので、角度θ1を減少させることで、動径方向の力F4を減少することができる。ドーム状ばね2Aの押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2Aの外周エッジ部2Acと固定接点4との角度を平行に近づけ、外周エッジ部2Acと固定接点4との接触を面接触に近づけるので、動径方向の力F4を減少することで、外周エッジ部2Acの動径方向の変位を低減でき、外周エッジ部2Acと固定接点4との磨耗を低減して防止できる。ドーム状ばね2Aの外周エッジ部2Acと固定接点5との接触についても同様である。
以上、本実施の形態によれば、スイッチ1は、固定接点4,5を有する基板3に設けられ、外周エッジ部が固定接点4,5に常時接触されるドーム状ばね2を備え、中立面2bが、式(3)、(6)又は(7)の8次以上の偶関数で表される形状を有する。変曲点P2における基板3及び中立面2bの間の角度αと、変曲点P1における基板3及び中立面2bの間の角度βと、外周エッジ部における基板3及び中立面2bの間の角度γとが、式(4)、(5)の条件を満たす。このため、ドーム状ばね2及びスイッチ1を小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができるとともに、ドーム状ばね2の押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2の外周エッジ部と固定接点4,5との磨耗を低減できる。
(第1の変形例)
図8を参照して、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。図8に、本変形例のスイッチ10の断面構成を示す。
上記実施の形態のスイッチ1は、操作者の押下方向と逆方向に凸形状を有するドーム状ばね2を備える構成であった。これに対し、本変形例のスイッチ10は、操作者の押下方向と同じ方向に凸形状を有するドーム状ばね2の一例としてのドーム状ばね2Bを備える構成である。
図8に示すように、スイッチ10は、ドーム状ばね2Bと、基板3A,3Bと、固定接点4A,5A,6Aと、を備える。ドーム状ばね2Bは、中立面がドーム状ばね2と同様の非球面形状であるドーム形状のSUS等の金属導体からなる接点用のばねである。また、ドーム状ばね2Bは、平面形状が円形である。ドーム状ばね2Bの平面の中心点を可動接点2Baとする。
基板3A,3Bは、ガラス−エポキシ樹脂等からなる基板である。基板3Aは、ドーム状ばね2Bの上方に設けられ、ドーム状ばね2Bに載置される基板である。基板3Bは、ドーム状ばね2Bの下方に設けられ、ドーム状ばね2Bが載置される基板である。基板3Aには、固定接点4A,5A,6Aが設けられている。固定接点4A,5A,6Aは、銅箔等の金属導体からなる電気的な接点である。固定接点4A,5Aは、ドーム状ばね2Bの外周エッジ部に常時接触されている。固定接点6Aは、ドーム状ばね2Bの可動接点2Baに対応する位置に設けられている。固定接点6Aは、ドーム状ばね2Bが押下されていない状態で、ドーム状ばね2Bに接触されていない。基板3Bは、ドーム状ばね2Bが押下されていない状態で、可動接点2Baに接触されている。
スイッチ10についても、スイッチ1と同様に、動作荷重Fがない初期状態において、ドーム状ばね2Bの押下により、動作荷重Fを可動接点2Baに加えて増加していくと、ある変位でドーム状ばね2Bが座屈を起こして中央部分が反転してクリックアクションが発生し、可動接点2Baが固定接点6Aに接触される。そして、ドーム状ばね2Bの押下の解除により、動作荷重Fがなくなれば、ドーム状ばね2Bは初期状態に復帰する。
以上、本変形例によれば、スイッチ10は、ドーム状ばね2Bを備え、上記実施の形態と同様に、ドーム状ばね2Bにより、ドーム状ばね2B及びスイッチ10を小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができるとともに、ドーム状ばね2Bの押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2Bの外周エッジ部と固定接点4A,5Aとの磨耗を低減できる。
また、固定接点4A,5A,6Aが基板3Aに設けられている。このため、固定接点4A,5A,6Aをドーム状ばね2の上方(押下元側)に設けることができる。
(第2の変形例)
図9〜図11を参照して、上記実施の形態の第2の変形例を説明する。図9(a)に、本変形例のドーム状ばね2Cの平面構成を示す。図9(b)に、ドーム状ばね2Cの断面構成を示す。図10(a)に、本変形例のドーム状ばね2Dの平面構成を示す。図10(b)に、ドーム状ばね2Dの側面構成を示す。図11(a)に、本変形例のドーム状ばね2Eの平面構成を示す。図11(b)に、ドーム状ばね2Eの断面構成を示す。
上記実施の形態のスイッチ1は、平面形状が円形のドーム状ばね2を備える構成であった。これに対し、本変形例のスイッチは、ドーム状ばね2に代えて、ドーム状ばね2の一部がカットされたドーム状ばね2C,2D又は2Eを備える構成である。
図9(a)、(b)に示すように、ドーム状ばね2Cは、平面において、ドーム形状の上下の一部がカットされた俵型のドーム形状を有する。図9(b)は、図9(a)のドーム状ばね2CのIX−IX線における断面図である。ドーム状ばね2Cは、ドーム状ばね2の上下の端部をカットすることにより製造される。このため、ドーム状ばね2Cは、ドーム状ばね2と同様の非球面形状を有する。但し、ドーム状ばね2Cにおいて、カットされていない端部のうち、中心の可動接点2Caを挟んで対向する2つの外周エッジ部2C1,2C2が、基板3の固定接点4,5に接触される。
図10(a)、(b)に示すように、ドーム状ばね2Dは、平面において、ドーム形状の4つの端部がカットされた十字型のドーム形状を有する。図10(b)は、図10(a)のドーム状ばね2Dの側面図である。ドーム状ばね2Dは、ドーム状ばね2の4つの端部をカットすることにより製造される。このため、ドーム状ばね2Dは、ドーム状ばね2と同様の非球面形状を有する。但し、ドーム状ばね2Dにおいて、カットされていない端部のうち、平面の中心の可動接点2Daを挟んで対向する2つの外周エッジ部2D1,2D2、又は外周エッジ部2D3,2D4が、基板3の固定接点4,5に接触される。
図11(a)、(b)に示すように、ドーム状ばね2Eは、平面において、ドーム形状の中央部がカットされた穴あき型のドーム形状を有する。図11(b)は、図11(a)のドーム状ばね2EのXI−XI線における断面図である。ドーム状ばね2Eは、ドーム状ばね2の中心部を円形にカットすることにより製造される。ドーム状ばね2Eの穴側の端部を可動接点2Eaとする。このため、ドーム状ばね2Eは、ドーム状ばね2と同様の非球面形状を有する。ドーム状ばね2Eにおいて、ドーム状ばね2と同様に、中心の可動接点2Eaを挟んで対向する任意の2つの外周エッジ部が、基板3の固定接点4,5に接触される。固定接点6は、ドーム状ばね2Eの座屈時に可動接点2Eaに接触されるように形成及び配置される。
以上、本変形例によれば、上記実施の形態と同様に、ドーム状ばね2C,2D,2Eにより、ドーム状ばね2C,2D,2E及びスイッチを小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができるとともに、ドーム状ばね2C,2D,2Eの押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2C,2D,2Eの外周エッジ部と固定接点との磨耗を低減できる。
また、ドーム状ばね2C,2D,2Eは、一部がカットされている。このため、ドーム状ばね2C,2D,2Eの材料を少なくすることができ、ドーム状ばね及びスイッチの軽量化を実現できる。
図12を参照して、上記実施の形態のスイッチ1の第1の実施例としてのスイッチ30を説明する。図12に、本実施例のスイッチ30の断面構成を示す。
スイッチ30は、携帯機器等の操作部等に設けられる押釦スイッチである。スイッチ30は、ドーム状ばね2と、基板3Cと、固定接点4C,5C,6Cと、操作ボタン7と、スイッチケース8と、を備える。基板3C、固定接点4C,5C,6Cは、順に、基板3、固定接点4,5,6に対応する。以下、実施の形態と同じ部材には、同じ符号を付してその説明を省略する。
基板3Cは、ガラス−エポキシ樹脂等からなる基板である。基板3Cは、ドーム状ばね2に接続される固定接点4C,5C,6Cが載置されている。固定接点4C,5C,6Cは、銅箔等の金属導体からなる電気的な接点である。固定接点4C,5Cは、ドーム状ばね2の外周エッジ部に常時接触されている。固定接点6Cは、ドーム状ばね2の可動接点2aに対応する位置に設けられている。固定接点6Cは、ドーム状ばね2が押下されていない状態で、ドーム状ばね2に接触されていない。
操作ボタン7は、ABS樹脂等の樹脂等からなり、操作者の押下入力を受け付ける操作ボタンである。操作ボタン7は、ドーム状ばね2の上方に接触されており、操作者の押下入力を受け付け、この押下入力に応じてスイッチケース8に沿って上下に移動し、当該押下入力に対応する動作荷重Fをドーム状ばね2に伝える。スイッチケース8は、プラスチック等の樹脂等からなるケースである。スイッチケース8は、ドーム状ばね2、基板3C、固定接点4C,5C,6C、操作ボタン7を覆うとともに、操作ボタン7の一部を露出させる。また、スイッチケース8は、操作ボタン7を上下方向にガイドする。
また、スイッチケース8は、固定部8aを有する。固定部8aは、基板3C上における上面から見たドーム状ばね2の平面の位置を固定している。この位置は、ドーム状ばね2が固定接点4C,5Cに接触し、且つドーム状ばね2の可動接点2aが座屈時に固定接点6Cに接触する位置である。この位置でドーム状ばね2は、操作ボタン7の押下及びその解除により、外周エッジ部が固定接点4C,5Cに接触したまま左右に変位する。
以上、本実施例によれば、スイッチ30は、ドーム状ばね2を備え、上記実施の形態と同様に、ドーム状ばね2により、ドーム状ばね2及びスイッチ30を小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができるとともに、ドーム状ばね2の押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2の外周エッジ部と固定接点4C,5Cとの磨耗を低減できる。また、スイッチ30は、操作ボタン7を備える。このため、操作ボタン7により、操作者に押下入力の操作を容易に行わせることができる。
また、スイッチ30は、固定部8aを有するスイッチケース8を備える。このため、固定部8aにより、ドーム状ばね2を、固定接点4C,5Cに常時接触させ、座屈時に固定接点6Cに接触させる位置に確実に配置することができる。
図13を参照して、上記実施の形態のスイッチ1の第2の実施例としてのスイッチ40を説明する。図13に、本実施例のスイッチ40の断面構成を示す。
スイッチ40は、携帯機器等の操作部等に設けられる押釦スイッチである。スイッチ40は、ドーム状ばね2と、基板3と、固定接点4,5,6と、ばね押えシート9と、を備える。
ばね押えシート9は、ポリエステルフィルム等の絶縁性のシートである。ばね押えシート9は、ドーム状ばね2及び基板3の上面に貼り付けられている。ばね押えシート9は、基板3上における上面から見たドーム状ばね2の平面の位置を固定している。この位置は、ドーム状ばね2が固定接点4,5に接触し、且つドーム状ばね2の可動接点2aが座屈時に固定接点6に接触する位置である。ばね押えシート9により固定された位置でドーム状ばね2は、その押下及びその解除により、外周エッジ部が固定接点4,5に接触したまま左右に変位する。
以上、本実施例2によれば、スイッチ40は、ドーム状ばね2を備え、上記実施の形態と同様に、ドーム状ばね2により、ドーム状ばね2及びスイッチ40を小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができるとともに、ドーム状ばね2の押下及びその解除の繰り返し動作において、ドーム状ばね2の外周エッジ部と固定接点4,5との磨耗を低減できる。
また、スイッチ40は、ばね押えシート9を備える。このため、ばね押えシート9により、ドーム状ばね2を固定接点4,5に常時接触させ、座屈時に固定接点6に接触させる位置に確実に配置することができる。さらに、ばね押えシート9により、スイッチ40を実施例1のスイッチ30よりも高さを低くしてより小型化できる。
なお、上記実施の形態、各変形例及び各実施例における記述は、本発明に係るドーム状ばね及びスイッチの一例であり、これに限定されるものではない。
図14に、上記実施の形態の別の変形例としてのスイッチ50の断面構成を示す。図14に示すように、スイッチ50は、ドーム状ばね2Fと、基板3Dと、固定接点4D,5D,6Dと、を備える。
ドーム状ばね2Fは、従来技術で説明した図15に示すドーム状ばね21と同様のドーム状ばねである。つまり、ドーム状ばね2Fは、中立面が式(1)、(2)を満たす形状を有し、SUS等の金属導体からなる。ドーム状ばね2Fの平面の中心を可動接点2Faとする。
基板3Dは、ガラス−エポキシ樹脂等からなる基板である。基板3Dには、固定接点4D,5D,6Dが設けられている。固定接点4D,5D,6Dは、銅箔等の金属導体からなる電気的な接点である。固定接点4D,5Dは、ドーム状ばね2Fの外周エッジ部に常時接触されている。固定接点6Dは、ドーム状ばね2Fの可動接点2Faに対応する位置に設けられている。固定接点6Dは、ドーム状ばね2Fが押下されていない状態で、ドーム状ばね2Fに接触されていない。また、基板3における固定接点4D,5D,6Dを除く表面を表面3Daとする。表面3Daは、凹凸のない平面である。
固定接点4D,5D,6Dは、表面3Daに対して、上面が突き出た位置に配置されている。固定接点4D,5Dの表面を、表面4Da,5Daとする。表面4Da,5Daは、表面3Daに対して、角度δ(δ<γ1)の傾斜を有するものとする。
スイッチ50は、ドーム状ばね2Fを備え、上記実施の形態と同様に、ドーム状ばね2Fにより、ドーム状ばね2F及びスイッチ50を小型化でき、クリックアクションを確実に得ることができる。さらに、固定接点4D,5Dにより、ドーム状ばね2Fの外周エッジ部と固定接点4D,5Dとの角度を平行に近づけ、外周エッジ部と固定接点4D,5Dとの接触を面接触に近づけるので、ドーム状ばね2Fの外周エッジ部の動径方向の変位を低減でき、及び固定接点4D,5Dの磨耗を低減できる。
また、上記実施の形態、各変形例及び各実施例の構成の少なくとも2つを適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、上記実施例1のスイッチ30のドーム状ばね2を、上記第2の変形例に記載のドーム状ばね2C,2D,2Eに代える構成としてもよい。また、例えば、上記実施例1のスイッチ30において、固定部8aを設けず、ドーム状ばね2に上記実施例2のばね押えシート9を貼り付けて位置決めした構成としてもよい。
また、上記実施の形態、各変形例及び各実施例のドーム状ばねは、全面の中立面が非球面形状である構成としたが、これに限定されるものではない。ドーム状ばねの座屈時の可動部分の少なくとも一部が非球面である構成としてもよい。例えば、ドーム状ばねの平面の中心の円部分を球面形状にし、それ以外の部分を非球面形状とした構成としてもよい。
また、上記実施の形態、各変形例及び各実施例において、ドーム状ばねを設けた装置として、スイッチを説明したが、これに限定されるものではない。非球面のドーム状ばねをコネクタ等、他の装置に設ける構成としてもよい。例えば、非球面のドーム状ばねをコネクタに用いる構成では、コネクタの接点を、非球面のドーム状ばねとし、コネクタを接続する際に、ドーム状ばねによりクリックアクションが起こる構成とする。つまり、コネクタを接続先に接続する際に、ドーム状ばねの座屈により、クリックアクションが起こるとともに、ドーム状ばねを介してコネクタの接点とその接続先の接点とが電気的に導通される。このため、操作者にクリック感を与えることができ、コネクタを小型化できるとともに、ドーム状ばね及び固定接点の磨耗を低減できる。
その他、上記実施の形態、変形例、実施例におけるドーム状ばね、スイッチの細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1,10,30,40,50,100 スイッチ
2,2A,2B,2C,2D,2E,2F,21 ドーム状ばね
2a,2Aa,2Ba,2Ca,2Da,2Ea,2Fa,21a 可動接点
2b 中立面
2Ac,2C1,2C2,2D1,2D2,2D3,2D4,21c 外周エッジ部
P1,P2,Pa1 変曲点
3,3A,3B,3C,3D 基板
3Da 表面
4,5,6,4A,5A,6A,4C,5C,6C,4D,5D,6D 固定接点
4Da,5Da 表面
7 操作ボタン
8 スイッチケース
8a 固定部
9 ばね押えシート

Claims (5)

  1. 第1の固定接点を有する基板に設けられ、外周エッジ部が前記第1の固定接点に常時接触されるドーム状ばねであって、
    少なくとも一部の中立面が、8次以上の偶関数で表される形状を有し、
    前記外周エッジ部から中心方向への2番目の位置の変曲点である第2の変曲点における前記基板及び前記中立面の間の角度αと、前記外周エッジ部から中心方向への1番目の位置の変曲点である第1の変曲点における前記基板及び前記中立面の間の角度βと、前記外周エッジ部における前記基板及び前記中立面の間の角度γとが、α<β且つβ>γを満たすよう前記8次以上の偶関数の係数が決定されたドーム状ばね。
  2. 前記ドーム状ばねの一部がカットされた形状を有する請求項1に記載のドーム状ばね。
  3. 請求項1又は2に記載のドーム状ばねと、
    前記第1の固定接点と、
    前記ドーム状ばねの座屈時に可動接点が接触される第2の固定接点と、
    前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点が設けられた前記基板と、を備え、
    前記ドーム状ばねは、導体であり、
    押下により座屈された前記ドーム状ばねを介して、前記第1の固定接点と前記第2の固定接点とが電気的に導通されるスイッチ。
  4. 前記ドーム状ばねを前記基板上の所定位置に固定する固定部又はばね押えシートを備える請求項3に記載のスイッチ。
  5. 押下入力を受け付けて前記ドーム状ばねに動作荷重を伝える操作ボタンを備える請求項3又は4に記載のスイッチ。
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