JP5771544B2 - スピン流増幅装置 - Google Patents

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Description

本発明は、非磁性導電体中のスピン流を増幅することのできる装置に関する。
電子は、電気伝導を担う電荷に加え、磁性を担うスピンを有する。近年、電子の電荷を活用したエレクトロニクスに加えて、スピンの性質を積極的に利用したスピントロニクス素子の開発に注目が集まっている。例えば、スピン注入を用いたトンネル磁気抵抗素子として、スピン注入素子が提案されている(非特許文献1及び特許文献1)。また、強磁性体中に挿入された磁壁を移動させると、その磁壁部分に起電力が発生することが知られている(非特許文献2)。
特開2004−186274号公報
Nature, Vol.416, p. 713 (2002) Physical Review B 82, 054410 (2010)
電子スピンの情報は、非磁性体において、空間的には、距離Lとスピン拡散長λの比に依存し、exp(−L/λ)に従って指数関数的に減衰する。これまではスピン流を増幅する手段がなかったため、非磁性体中においては電子スピンの性質が発揮される空間スケールはスピン拡散長と同程度であった。しかし、スピン流を増幅することができれば、電子スピンの性質が発揮される空間スケールをスピン拡散長以上に拡大することができる。また、スピン注入素子における出力信号を増大することができる。
本発明は、これまで減衰するにまかせるだけで増幅することのできなかったスピン流を増幅する機構を提供するものである。
本発明では、純粋スピン流が生じる非磁性導電体に、磁壁の挿入された強磁性体を接合し、接合部分に磁壁を位置させる。そして、外部磁場などによって磁壁を移動させ、磁壁移動に伴うスピン起電力により、スピン流を構成する上向きスピンと下向きスピンに個別にエネルギー付与を行い、純粋スピン流の増幅を行う。
本発明のスピン流増幅機構は、ハードディスク用の再生ヘッドなどに用いられる高感度磁気センサー、不揮発性磁気メモリなどのスピン注入素子に適用することができる。
本発明によると、これまで不可能であった純粋スピン流の増幅を実現することができる。
本発明によるスピン流増幅装置の構造例を示す平面模式図。 本発明によるスピン流増幅装置の構造例を示す断面模式図。 第2の強磁性体の磁壁を挟んだ各位置での磁化の様子を示した摸式図。 上向きスピンと下向きスピンの電気化学ポテンシャルを示す図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の態様例を示す平面模式図。 第2の強磁性体の磁壁を挟んだ各位置での磁化の様子を示した摸式図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図。 スピン流増幅部に用いられる強磁性体の他の実施例を示す模式図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す断面模式図。 本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図。 Z字形の非磁性導電体の下辺に位置するスピン流増幅部の説明図。 Z字形の非磁性導電体の上辺に位置するスピン流増幅部の説明図。 強磁性体に磁壁を挿入する方法の例を示す説明図。 強磁性体に磁壁を挿入する方法の例を示す説明図。 強磁性体に磁壁を挿入する方法の例を示す説明図。 従来のスピン注入素子の平面模式図。 従来のスピン注入素子の断面模式図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図15Aは従来のスピン注入素子の平面模式図、図15Bはその断面模式図である。このスピン注入素子は、非磁性導電体150の上に第1の絶縁層151を介して第1の強磁性体152が積層された第1のトンネル接合部と、非磁性導電体150の上に第2の絶縁層153を介して第2の強磁性体154が積層された第2のトンネル接合部を有する。第1のトンネル接合部と第2のトンネル接合部の間の距離は、非磁性導電体150のスピン拡散長よりも短く設定されている。非磁性導電体150と第1の強磁性体152の間には直流電流源155が接続されている。一方、非磁性導電体150と第2の強磁性体154には電圧計156が接続されている。第1の強磁性体152の磁化M1は外部磁場Bによって磁化の向きが変化しないように固定されており、第2の強磁性体154は磁化の向きM2が外部磁場Bに応じて変化するように設計されている。
非磁性導電体150、第1の強磁性体152、直流電流源155からなる閉回路には、第1の絶縁層151を介したトンネル電流が流れ、それと同時に、非磁性導電体150にはスピン流が注入される。スピン流は、上向きスピンと下向きスピンからなり、非磁性導電体150の中を第1のトンネル接合部から第2のトンネル接合部に向かって拡散によって流れる。この時のスピン流は電流を伴わず、純粋スピン流と呼ばれる。非磁性導電体中における上向きスピンの電気化学ポテンシャルμと下向きスピンの電気化学ポテンシャルμは、図15Aに図示するように、第1のトンネル接合部から第2のトンネル接合部に向かって単調に減少する空間分布を示す。このとき、外部磁場Bに応じて変化した第2の強磁性体154の磁化M2の向きが、第1の強磁性体152の磁化M1の向きと平行か反平行かによって電圧計156によって検出される電圧が正負に変化する。
図1Aは本発明によるスピン流増幅装置の構造例を示す平面模式図、図1Bはその断面模式図である。このスピン流増幅装置は、非磁性導電体10、非磁性導電体10の上に絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体12、及び第2の強磁性体13を備える。第1の強磁性体12は、一定の方向を向いた磁化Mを有する。また、第2の強磁性体13には磁壁14が挿入されており、白抜き矢印で示すように、第2の強磁性体13の磁化の向きは磁壁14を挟んで変化している。磁壁14は非磁性導電体10の上に位置するように設定されている。非磁性導電体10と第1の強磁性体12の間には電流源15が接続されている。また、第2の強磁性体13の磁壁14の部分には外部磁場Bが印加され、磁壁14は外部磁場Bによって移動するように構成されている。
非磁性導電体10の上に絶縁層11を介して第1の強磁性体12が積層されたトンネル接合部はスピン注入部として機能し、第2の強磁性体13の移動磁壁14はスピン流増幅部として機能する。スピン注入部とスピン流増幅部の距離は、非磁性導電体10のスピン拡散長より短く設定されている。図1A及び図1Bに示した配置では、非磁性導電体10から第1の強磁性体12の方向にトンネル電流が流れ、スピン注入部では第1の強磁性体12の多数派スピン(上向きスピン)が非磁性導電体10にスピン注入される。
非磁性導電体10としては、例えば、Al,Cu,Agなどを用いることができる。非磁性導電体の大きさは、例えば6μm×250nm×50nmである。スピン注入部を構成する第1の強磁性体12としては、Co,Fe,FePtなどを用いることができる。第1の強磁性体12の大きさは、例えば1μm×400nm×50nmである。また、絶縁層11としては、AlOx、MgOなどを用いることができる。絶縁層11の膜厚は1nm〜2nm程度が好ましいが、絶縁層はなくてもよい。第1の強磁性体12の磁化方向を固定するために、第1の強磁性体12の上にMnIr,NiOなどの反強磁性層を形成してもよい。第2の強磁性体13としては、パーマロイ(NiFe合金)、Fe,CoFeBなどを用いることができる。
なお、本実施例では第2の強磁性体はU字形をしているが、第2の強磁性体は、挿入された磁壁が非磁性導電体の長手方向に移動できればどのような形状であってもよい。また、磁壁の移動は、第2の強磁性体に電流を流すことによって行うことも可能である。
次に、スピン流増幅部によってスピン流の増幅が生じる機構について説明する。強磁性体に挿入された磁壁を移動させると、移動磁壁の部分に次式で示される実効電場が発生する(非特許文献2参照)。
Figure 0005771544
ここで、zは第2の強磁性体13の長手方向に沿う座標、θは磁化のz軸からの極角、φは磁化の方位角で、歳差運動の角度である。 なお、極角の時間微分は、方位角のそれに比べ小さいため、右辺第2項は第1項に比較して無視できるので、以下では第1項だけを考慮する。
図2は、第2の強磁性体13の磁壁14を挟んだz方向の各位置での磁化の様子を示した摸式図である。図1Aに示した電流方向、磁壁を挟んだ磁化の状態、外部磁場の条件では、次式が成立することが分かる。
Figure 0005771544
このとき、式(1)の右辺の第1項は正になり、磁壁14の部分にはz軸のプラス方向に向いた実効電場が発生する。この第2の強磁性体13の磁壁14部分に発生したz軸のプラス方向に向いた実効電場は、非磁性導電体10において連続性を満たすよう誘起される。この実効電場のz方向(接線成分)の連続性は、ガウスの法則から要請される。非磁性導電体10における実効電場の接線成分は、図3に示すように、上向きスピンの電気化学ポテンシャルを増大させるように作用する。一方、実効電場がスピンに依存しているため、下向きスピンに対しては電気化学ポテンシャルを押し下げるように作用し、結果的にμを増大させる。その結果、z方向に向かって減衰してきたスピン流をスピン流増幅部で増幅することができる。
図4は、本発明によるスピン流増幅装置の他の態様を示す平面模式図であり、トンネル電流が流れる向きを図1Aの場合と逆にした場合を示している。このとき、スピン注入部からスピン注入されるのは第1の強磁性体12の少数派スピン(下向きスピン)である。図1Aの場合と比較し、純粋スピン流の向きは逆転するため、上向きスピンと下向きスピンの電気化学ポテンシャルの関係は、図1Aの配置の場合と逆になる。従って、減衰したスピン流を増幅するには、第2の強磁性体13の磁壁移動によって磁壁部分にz軸のマイナス方向に向いた実効電場を発生する必要がある。そこで、本実施例では、印加磁場の向きを図1Aの配置とは逆にし、第2の強磁性体13の磁壁14部分にz軸のプラス方向に向いた磁場Bを印加するようにした。
図5は、第2の強磁性体13の磁壁14を挟んだz方向の各位置での磁化の様子を示した摸式図である。図4に示した電流方向、磁壁を挟んだ磁化の状態、外部磁場の条件では、次式が成立することが分かる。
Figure 0005771544
このとき、式(1)の右辺の第1項は負になり、磁壁部分にはz軸のマイナス方向に向いた実効電場が発生する。このz軸のマイナス方向に向いた電場は、図4に示すように、下向きスピンのポテンシャルを増大させるように作用すると共に、上向きスピンのポテンシャルを減少させるように作用する。その結果、z方向に進むに従い減衰してきたスピン流をスピン流増幅部で増幅することができる。
図6は、本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図である。これまで説明した実施例では、第2の強磁性体の磁壁部分に一定方向の磁場を印加することによって磁壁移動を行った。しかし、磁壁が移動して非磁性導電体の上から外れてしまうと、磁壁部分に発生する実効電場をスピン流増幅のために非磁性導電体に対して有効に作用させることができなくなる。
そこで本実施例では、第2の強磁性体13に挿入された磁壁14を非磁性導電体10の上で往復移動させて、磁壁14の部分に発生する実効電場が常に非磁性導電体10のスピン流に作用するようにした。そのために、スピン注入部の電流源として交流電流源61を用いてスピン注入の極性を交互に反転させた。同時に、スピン流増幅部において磁壁14に印加する磁場を電流I(t)による誘導磁場B(I)とし、誘導磁場B(I)を発生させる電流I(t)の向き、すなわち磁壁14に印加される誘導磁場B(I)の向きを交流電流源61に同期させて反転させた。誘導磁場を磁壁部分に効率的に印加するために、第2の強磁性体13は誘導磁場を発生させる電流I(t)を流す配線62を囲む円環状、半円環状あるいはU字状の形状とするのが好ましい。交流電流源61の電流波形及び誘導磁場B(I)を発生させる電流I(t)の波形は、正弦波でもよいし、矩形波でもよい。反転周波数は、例えば次のように見積もることができる。パーマロイ(NiFe合金)を用いると、典型的磁壁幅は70nmで、磁場の強さが10-3Teslaのときの磁壁の速度は250m/secなので、磁壁が移動したことによる識別可能な長さとして磁壁幅の3倍程度の距離を考慮する。すると1周期に磁壁の移動する距離は420nmとなり、反転周波数は、500MHz程度とすればよい。
スピン注入部の交流電流源と誘導磁場発生電流の極性は、次のような関係で同期させるとよい。これによりスピン流増幅部において非磁性導電体を流れるスピン流に印加される実効電場の向きが反転することなく一定の方向を向き、スピン流を継続的に増幅することができる。
(1) スピン注入部で非磁性導電体に上向きスピン(第1の強磁性体の多数派スピン)がスピン注入されているタイミングでは、スピン流増幅部に、μを増大させる向きの実効電場を発生する。
(2) スピン注入部で非磁性導電体に下向きスピン(第1の強磁性体の少数派スピン)がスピン注入されているタイミングでは、スピン流増幅部に、μを増大させる向きの実効電場を発生する。
図7は、本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図である。本実施例は、スピン流増幅部を、非磁性導電体10に沿って間隔をおいて複数個所に配置したものである。個々のスピン流増幅部は、図6に示したのと同じく、U字形をした強磁性体71,72,73に挿入された磁壁を、配線を流れる電流I(t)による誘導磁場B(I)によって移動させる方式のものである。隣接するスピン流増幅部の間隔は、非磁性導電体10のスピン拡散長より短く設定する。スピン注入部は交流電流源61を備え、各スピン流増幅部の配線を流れる電流I(t)の極性を交流電流源61と同期させて反転させる。図示の例では、隣接するU字形強磁性体71,72,73を互いに結合したが、複数のU字形強磁性体は互いに離間して配置してもよい。本実施例によると、スピン注入部から注入されたスピン流を、スピン流増幅部が1個所の場合よりも長い距離にわたって伝達させることができる。
図7には、検出部も併せて図示した。本実施例の検出部は、スピン注入部とほぼ同じ構成を有する。すなわち、非磁性導電体10の上に絶縁層を形成し、その上に第3の強磁性体74を配置したものである。検出部は、それに隣接するスピン流増幅部から、非磁性導電体10のスピン拡散長より短い距離に配置されている。第3の強磁性体74の磁化は、例えば外部磁場Bexによって向きが変化するように、材料あるいは形状、寸法が選択されている。電圧計75は、非磁性導電体10と第3の強磁性体74の間に発生する電圧を計測する。電圧計75によって計測される電圧は、第3の強磁性体74の磁化、すなわち外部磁場Bexに依存して変化する。従って、このような検出部を備えることで、この装置を磁気センサーとして機能させることができる。なお、本実施例の検出部の検出部は、これまで説明した他の実施例あるいは後述する他の実施例にも同様に適用することができ、それによって各実施例の装置に磁気センサーとしての機能を持たせることができる。
図8は、本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図である。本実施例は、スピン流増幅部を構成する第2の強磁性体81の磁壁85の移動範囲を非磁性導電体10の上に限定する機構を設けた例である。本実施例では、第2の強磁性体81を、途中に2個所の角部82,83を有する折れ曲がった形状とし、2個所の角部82,83の間の直線部分84を非磁性導電体10の上に配置した。第2の強磁性体の角部82,83は磁壁トラップとして機能する。直線部分84を角部82,83に向かって移動してきた磁壁85は、角部82又は角部83にさしかかるとそこにトラップされ、角部82,83を越えて先に移動することはない。従って、磁壁85の移動範囲は2個所の角部82,83の間に限られるので、本実施例によると、第2の強磁性体81に挿入された磁壁85を常に非磁性導電体10の上に位置付けることができる。角部82と角角83の間の間隔は、例えばパーマロイ(NiFe合金)を用いると、70nm×2程度に設定すればよい。
図9は、本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図である。本実施例は、図8に示した実施例の変形例である。本実施例では、スピン流増幅部を構成する第2の強磁性体91としてU字形の強磁性体を用い、第2の強磁性体91が非磁性導電体10からはみ出す限界位置の個所の幅を他の個所の幅より狭くした。線幅が狭まった個所92,93は磁壁トラップとして機能するので、第2の強磁性体91に挿入された磁壁95の移動範囲は2個所の線幅の狭い個所92,93の間の領域94に限られる。従って、本実施例でも、第2の強磁性体91に挿入された磁壁95は、常に非磁性導電体10の上に位置することになる。
図10は、本発明によるスピン流増幅装置のスピン流増幅部に用いられる第2の強磁性体の他の実施例を示す模式図である。本実施例の第2の強磁性体101は、U字形をしており、中央部分104の膜厚が他の部分より厚くなっている。例えば、U字形の中央部分の膜厚を10nm、中央部分から両側に延びる部分の膜厚を20nmとする。膜厚が変化する境界部分102,103は磁壁トラップとして機能するため、膜厚部分104を移動する磁壁105の移動範囲を膜厚部分104だけに限定することができる。従って、U字形をした第2の強磁性体101の膜厚部分104の長さを非磁性導電体からはみ出さない範囲に限定し、膜厚部分104を非磁性導電体の上に配置することにより、第2の強磁性体101に挿入された磁壁105を常に非磁性導電体の上に位置付けることが可能になる。
図11は、本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す断面模式図である。本実施例では、スピン流増幅部を構成する、磁壁113の挿入された第2の強磁性体112と非磁性導電体10の間に絶縁層111を形成した。絶縁層111としては、例えばMgO,AlOxなどを、膜厚1.2nm程度で形成する。第2の強磁性体112と非磁性導電体10の間に絶縁層111を形成する以外の構成は、他の実施例と同様である。
図12は、本発明によるスピン流増幅装置の他の実施例を示す平面模式図である。本実施例では、非磁性導電体として、平行な2本の非磁性導電体121,122と、一方の導電体121の後端と他方の導電体122の先端とを接続するように斜めに配置された非磁性導電体123からなるZ字形の非磁性導電体を用いる。スピン流増幅部には、円環状の強磁性体124を用いる。スピン注入部の第1の強磁性体12は、一定方向に固定された磁化Mを有し、Z字形をした非磁性導電体の上下の平行な2辺121,122の上にそれぞれ絶縁層を介して積層され、2個所でスピン流注入を行う。スピン注入部では、Z字形をした非磁性導電体の上下の2辺121,122と第1の強磁性体12の間に交流電流源61が接続され、一定周期で極性が変わるスピン流を注入する。スピン流増幅部には、上下2個所に磁壁が挿入された円環状の強磁性体124が、Z字形をした非磁性導電体の上下2辺121,122の上に各磁壁が位置するように配置され、交流電流源61と同期して向きが変化する電流I(t)による誘導磁場B(I)によって磁壁の移動が行われる。配線を流れる電流の向きは、交流電流源と同期して変化する。こうして、非磁性導電体の2個所の位置でスピン流増幅が行われる。
図13A及び図13Bは、図12に示した実施例におけるスピン流増幅部の説明図である。図13AはZ字形の非磁性導電体の下辺121に位置するスピン流増幅部の説明図、図13BはZ字形の非磁性導電体の上辺122に位置するスピン流増幅部の説明図である。いずれも、誘導磁場B(I)を発生するための時間変化する電流I(t)が紙面の表から裏方向に流れ、円環状の第2の強磁性体124の中心に対して、第2の強磁性体に沿って磁壁に時計回りの誘導磁場B(I)が印加されている場合の図である。
図13Aを参照すると、Z字形の非磁性導電体の下辺121に位置するスピン流増幅部では、磁化のz軸からの極角θ,磁化の歳差運動の角度φに対して、次の条件が成立することが分かる。
Figure 0005771544
一方、図13Bを参照すると、Z字形の非磁性導電体の上辺122に位置するスピン流増幅部では、磁化のz軸からの極角θ,磁化の歳差運動の角度φに対して、次の条件が成立することが分かる。
Figure 0005771544
式(4)の条件が成立する場合と式(5)の条件が成立する場合とで、式(1)の右辺の第1項はいずれも正となることが分かる。従って、Z字形の非磁性導電体の2個所に設定されたスピン流増幅部では、いずれもz軸方向の同じ向きを向いた実効電場を、非磁性導電体を流れるスピン流に印加することができる。
図13A、図13Bは、誘導磁場を発生するための電流が紙面の表から裏方向に流れ、磁壁に第2の強磁性体の中心に対して時計回りの磁場B(I)が印加されているタイミングに対する説明であるが、電流の向きが紙面の裏から表の方向に流れ、円環状の第2の強磁性体に沿って磁壁に反時計回りの磁場B(I)が印加されている場合には、2個所のスピン流増幅部において、式(1)の右辺の第1項の符号はいずれも負になる。この場合にも、Z字形の非磁性導電体の2個所に設定されたスピン流増幅部では、いずれもz軸方向の同じ方向を向いた実効電場を、非磁性導電体を流れるスピン流に印加することができる。
従って、上記した条件(1)(2)を満たすように、スピン注入部の交流電流源と誘導磁場発生電流の極性変化を同期させることで、継続的にスピン流の増幅を行うことができる。
図14A、図14B、図14Cは、スピン流増幅部を構成する第2の強磁性体に磁壁を挿入する方法の例を示す説明図である。ここでは、一例として、U字形をした強磁性体及び円環状の強磁性体の所望個所に磁壁を挿入するための方法について説明する。
図14Aは、U字形をした強磁性体の中央部分に磁壁を挿入する方法の例を示す図である。U字形の強磁性体141の開放端部にマグネット142を接触させる。すると、強磁性体141はマグネット142からの磁束を受けて磁化され、中央部分に磁壁143が形成される。その後、マグネット142は除去してもよいし、そのまま装置内に残しておいてもよい。
図14Bは、U字形をした強磁性体の中央部分に磁壁を挿入する他の方法の例を示す図である。最初に、強磁性体141のおかれた空間に外部磁場Bを印加する。すると、強磁性体141の各部の磁化は、それぞれ外部磁場Bの方向に揃う。その後、外部磁場Bを取り除くと、強磁性体の磁化はU字形をした強磁性体141の各部で長手方向を向き、その結果、中央部分に磁壁143が形成される。
図14Cは、円環状をした強磁性体の対向する2か所に磁壁を挿入する方法の例を示す図である。最初に、強磁性体144のおかれた空間に外部磁場Bを印加する。すると、強磁性体144の各部の磁化は、それぞれ外部磁場Bの方向に揃う。その後、外部磁場Bを取り除くと、強磁性体の磁化は円環状をした強磁性体144の各部で長手方向を向き、その結果、外部磁場印加方向に沿う方向の先端部と後端部に対応する位置に一対の磁壁145,146が形成される。
以上のような方法を利用することにより、スピン流増幅部に配置する強磁性体には、所望の位置に磁壁を挿入することができる。
10 非磁性導電体
11 絶縁層
12 第1の強磁性体
13 第2の強磁性体
14 磁壁
15 電流源
61 交流電流源
62 配線
71,72,73 強磁性体
74 第3の強磁性体
75 電圧計
81 第2の強磁性体
82,83 角部
85 磁壁
91 第2の強磁性体
92,93 線幅が狭まった個所
95 磁壁
101 第2の強磁性体
102,103 膜厚が変化する境界部分
105 磁壁
111 絶縁層
112 第2の強磁性体
113 磁壁
121,122,123 Z字形の非磁性導電体
124 円環状の強磁性体
142 マグネット

Claims (9)

  1. 非磁性導電体と、第1の強磁性体と電流源を備え前記非磁性導電体にスピン注入するスピン注入部と、前記スピン注入部から注入され前記非磁性導電体中を拡散するスピン流を増幅するスピン流増幅部とを有し、
    前記スピン流増幅部は、磁壁が挿入された第2の強磁性体と、前記磁壁を移動させる磁壁移動手段とを有し、前記第2の強磁性体は前記磁壁の移動を前記非磁性導電体と重なる範囲に制限するための磁壁トラップを有し、前記非磁性導電体中を拡散する前記スピン流に前記磁壁移動に伴って当該磁壁の部分に発生する電場を作用させることを特徴とするスピン流増幅装置。
  2. 請求項1に記載のスピン流増幅装置において、前記非磁性導電体の長手方向に沿って、前記非磁性導電体のスピン拡散長より短い間隔で複数の前記スピン流増幅部が配置されていることを特徴とするスピン流増幅装置。
  3. 請求項1に記載のスピン流増幅装置において、前記磁壁移動手段として電流による誘導磁場を用いることを特徴とするスピン流増幅装置。
  4. 請求項3に記載のスピン流増幅装置において、前記第2の強磁性体はU字形又は環状形状であることを特徴とするスピン流増幅装置。
  5. 請求項3に記載のスピン流増幅装置において、前記電流源は交流電流源であり、前記誘導磁場を発生する電流の極性を前記交流電流源と同期して反転させることを特徴とするスピン流増幅装置。
  6. 請求項5に記載のスピン流増幅装置において、前記スピン流増幅部は、前記スピン注入部で前記非磁性導電体に前記第1の強磁性体の多数派スピンがスピン注入されているタイミングでは、前記多数派スピンの電気化学ポテンシャルを増大させる向きの電場を発生し、前記スピン注入部で前記非磁性導電体に前記第1の強磁性体の少数派スピンがスピン注入されているタイミングでは、前記少数派の電気化学ポテンシャルを増大させる向きの電場を発生することを特徴とするスピン流増幅装置。
  7. 請求項5に記載のスピン流増幅装置において、前記スピン流増幅部は、前記スピン注入部で前記非磁性導電体に前記第1の強磁性体の多数派スピンがスピン注入されているタイミングでは、前記スピン注入部から遠ざかる向きの電場を発生し、前記スピン注入部で前記非磁性導電体に前記第1の強磁性体の小数派スピンがスピン注入されているタイミングでは、前記スピン注入部の方向を向いた電場を発生することを特徴とするスピン流増幅装置。
  8. 請求項1に記載のスピン流増幅装置において、前記非磁性導電体の長手方向に沿って前記スピン流増幅部から前記非磁性導電体のスピン拡散長より短い距離の位置に検出部を有し、
    前記検出部は、前記非磁性導電体に接続された第3の強磁性体と、前記非磁性導電体と前記第3の強磁性体に接続された電圧計を備えることを特徴とするスピン流増幅装置。
  9. 請求項に記載のスピン流増幅装置において、前記第3の強磁性体は、磁化が外部磁場に応じて変化することを特徴とするスピン流増幅装置。
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