以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
以下に示す各実施形態では、特別な価値を有する電力として、環境付加価値を有するグリーン電力を例示する。そして、グリーン電力の供給を望む需要家にグリーン電力を供給する場合を例にして説明する。ただし、本発明は、特別な価値を有する電力であれば、グリーン電力以外の電力を供給する場合にも適用可能である。
実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。本発明の電力需給システムは、特定の電力(本実施形態ではグリーン電力)を供給する電源部1と、供給されたグリーン電力を消費する需要部2と、電源部コントローラ3とを備える。電源部コントローラ3は、グリーン電力の需要量および供給量の状態を監視し、電源部1に対して指示を与える。電源部1は、電源システムと称することもできる。需要部2は、電力需要システムと称することもできる。また、電源部コントローラ3は、電源システムコントローラと称することもできる。
電源部1は、例えば、電力業者によって管理される。需要部2は、グリーン電力の供給を望む需要家によって管理される。そして、電源部1と需要部2とは、電力網42を介して接続され、電源部1が電力網42にグリーン電力を供給し、需要部2は、電力網42から電力を供給される。
また、電源部1、需要部2、および電源部コントローラ3は、情報網(通信ネットワーク)41を介して接続され、情報網41を介して通信を行う。具体的には、電源部1は、需要部2に対して供給しているグリーン電力の供給量の情報を、需要部2に送信する。また、需要部2は、グリーン電力の需要量の情報を電源部1に送信する。電源部コントローラ2は、これらの送信内容を監視する。電源部コントローラ3は、一定期間毎に、需要部2の需要量と、電源部1から需要部2へのグリーン電力供給量とを比較する。そして、電源部コントローラ3は、需要量が供給量を上回った期間が生じたならば、電源部1に対して、需要部2へのグリーン電力の供給量の増加を指示する。以下、この指示を増加指示と記す。電源部1は、この増加指示に応じて、予め蓄電池に充電しておいたグリーン電力も電力網42に供給する。この結果、需要量が供給量を上回る期間が生じたとしても、その期間の後、電源部1がグリーン電力の供給量を増加させて、需要部2にグリーン電力を供給することができる。換言すれば、グリーン電力の持つ環境付加価値を、需要部2を管理する需要家に供給することができる。
なお、図1では、電源部1および需要部2を一つずつ示したが、電源部1の数、および、需要部2の数は、それぞれ複数であってもよい。例えば、複数の電力業者がそれぞれ電源部1を配置していてもよい。さらに、1つの発電業者が電源部1を複数配置していてもよい。
なお、電力網42には、グリーン電力以外の電力を供給する電源部や、グリーン電力でなくても電力が供給されればよいと考える需要家の需要部も接続されている。そして、電力網42には、グリーン電力以外の電力も供給され、電力網42全体として同時同量が保たれる。
以下、システムの構成をより詳細に説明する。
電源部1は、電源11と、蓄電池12と、電力計13と、供給量データベース部(以下、供給量DB部と記す。)14と、供給情報生成部15と、電源・電池制御部16と、需要情報受信部51と、解析部52とを備える。
電源11は、グリーン電力を発電し、グリーン電力を電力網42に供給する。電源11は、例えば、風力、太陽光、バイオマス等によりグリーン電力を発電すればよい。ただし、グリーン電力の発電態様は特に限定されず、電源11は、上記の風力等以外のエネルギーによりグリーン電力を発電してもよい。電源11は、発電した電力を、電力計13を介して電力網42に供給する。
また、電源11は、電源部コントローラ3から増加指示がない場合には、発電したグリーン電力を予め蓄電池12に充電しておく。
電源11は、電源部1を管理する電力業者と需要部2を管理する需要家との間で契約等により定められた供給電力にマージン分を加えた電力を電力網42に供給する。電源11は、各需要家との間で定めた供給電力の総量にマージン分を加えた電力を供給すればよい。例えば、電源11は、各需要家との間で定めた供給電力の総量に、マージンとしてその総量の5%分を加えた電力を電力網42に供給する。ただし、ここで示した5%は例示であり、他の計算方法によってマージン分の電力を定めてもよい。
なお、同時同量が保たれるため、電源11によって発電されたマージン分のグリーン電力は、グリーン電力でなくても電力が供給されればよいと考える需要家によって消費される。
蓄電池12は、予めグリーン電力を充電され、電源部コントローラ3から増加指示があったときに、電源11とともに電力網42に電力を供給する。蓄電池12にはグリーン電力が充電されているので、蓄電池12も電力を供給することによって、電源部1が供給するグリーン電力は増加することになる。
また、蓄電池12の配置位置は、特に限定されない。また、複数の蓄電池12が配置されていてもよい。蓄電池12の配置位置の例として、例えば、需要部2が存在する地域に配置していてもよい。また、電源部1が変電所に配置される場合に、同じ変電所に蓄電池12を配置してもよい。また、電源11が電力を供給するフィーダー線と同じフィーダー線に電力を供給するように配置してもよい。
電力計13は、電源11が発電し電力網42に供給する電力を計測する。また、蓄電池12も電力を供給する場合、電力計13は、電源11および蓄電池12が電力網42に供給する電力を計測する。電力計13は、電力の計測結果を、供給情報生成部15に入力してもよい。
なお、蓄電池12を電源11から離れた場所に配置する場合には、蓄電池12用に電力計を別途設けてもよい。
供給量DB部14は、需要部2に対する電力供給量、および、需要部2のアドレスを記憶する記憶装置である。需要部2を管理する需要家および電源部1を管理する電力業者とは、需要部2に対して供給するグリーン電力の供給量を契約等によって予め定めておく。供給量DB部14には、この予め定めた需要部2への電力供給量と、需要部2のアドレスとを記憶させておけばよい。また、電源部1を管理する電力業者が複数の需要家と電力供給の契約を結んでいる場合には、各需要家の需要部2毎に、電力供給量および需要部2のアドレスを供給量DB部14に記憶させておけばよい。
なお、供給量DB部14が記憶する情報は、需要部2毎の供給電力およびアドレスに限定されず、他の情報を記憶していてもよい。例えば、後述の供給情報作成時に用いる電源部1自身のアドレスや、電源部1が供給する電力の属性等を記憶していてもよい。
供給情報生成部15は、供給量DB部14に記憶された需要部2のアドレスを宛先(Destination )とし、電源部1自身のアドレスを送信元(Source)として、その需要部2に対する電力供給量の情報を送信する。以下、この情報を供給情報と記す。供給情報として送信する電力供給量は、例えば、供給量DB部14に記憶された電力供給量を読み込むことによって決定すればよいが、他の方法で電力供給量を判断してもよい。また、供給情報生成部15は、宛先となる需要部2に対する電力供給量の他に、その供給電力の属性を付加情報として供給情報に含める。供給電力の属性の例として、例えば、「グリーン電力であること」や、供給電力の発電方法(例えば、「太陽光発電」等)が挙げられる。他の内容を付加情報に含めてもよい。例えば、環境負荷の大きさ等を負荷情報に含めてもよい。さらに、供給情報生成部15は、供給情報の作成時刻の情報も供給情報に含める。供給情報生成部15は、時間の経過とともに、時刻情報を含む供給情報を順次送信する。
なお、電源部1自身のアドレスや、付加情報(供給電力の属性等)は、例えば、予め供給量DB部14に記憶させておき、供給情報生成部15は、供給情報作成時にそれらの情報を供給量DB部14から読み込んでもよい。あるいは、電源部1の外部から入力された付加情報を供給情報に含めてもよい。
なお、供給情報生成部15が送信した供給情報は、電源部コントローラ3にキャプチャされ、電源部コントローラ3から需要部2に転送される。例えば、供給情報作成時に、供給情報であることを示す識別情報を含めておき、また、その識別情報を持つ情報が電源部コントローラ3を通過するように情報網41内の経路を定めておけばよい。
電源・電池制御部16は、電源11および蓄電池12を制御する。具体的には、電源・電池制御部16は、電源部コントローラ3から増加指示を受信するまでは、電源11にグリーン電力を供給させる。このとき、電源・電池制御部16は、蓄電池12には電力供給を停止させる。
一方、電源部コントローラ3から増加指示を受信した後は、電源・電池制御部16は、電源11および蓄電池12の両方に電力を供給させる。このとき、蓄電池12が複数設けられている場合、電源・電池制御部16は、予め定められたルールに従って、各蓄電池12に順次、電力を供給させてもよい。ルールの一例として、例えば、「電源部1と需要部2とが同じ地域に存在する場合、その地域に配置した蓄電池から優先的に電力供給させる」というルールや、「電源部1が変電所に配置されている場合、同じ変電所内に配置した蓄電池から優先的に電力供給させる」というルール等が挙げられる。また、他の例としては、「電源11が電力を供給するフィーダー線と同じフィーダー線に電力を供給する蓄電池から優先的に電力供給させる」というルールや、「電力の電送インピーダンス、伝送損失が最小となる蓄電池から優先的に電力供給させる」というルール等も挙げられる。これらのルールは、例示であり、電源・電池制御部16は、他のルールに従って、複数の蓄電池の電力供給順を制御してもよい。
また、電源部コントローラ3から増加指示を解除された後には、電源・電池制御部16は、再度、蓄電池12に電力供給を停止させ、電源11に電力を供給させればよい。
需要情報受信部51は、需要部2が送信した需要情報を受信し、解析部52に入力する。需要情報は、需要部2における電力需要を示した情報である。
解析部52は、受信した需要情報に含まれる送信元アドレスや電力需要を参照し、どの需要部で、どれだけ電力が消費されているのかを判定する。
供給情報生成部15、電源・電池制御部16および解析部52は、例えば、電源システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。この場合、コンピュータが、電源システム用プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、供給情報生成部15、電源・電池制御部16および解析部52として動作すればよい。また、供給情報生成部15、電源・電池制御部16および解析部52が別々のユニットで実現されていてもよい。
需要部2は、供給情報受信部21と、電力計22と、負荷23と、需要情報生成部25と、解析部26とを備える。
供給情報受信部21は、供給情報生成部15が送信した供給情報を受信し、電力計22および解析部26に入力する。
電力計22は、電力網42から供給される電力を計測する。そして、電力計22は、その計測結果と、供給情報が示す電力供給量とを検算する。例えば、電力計22は、供給される電力の計測結果と、供給情報が示す電力供給量との差が、予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。なお、需要部2が複数の電源部1から電力供給を受ける場合、電力の測定結果を、電源部1毎の電力供給量の比で配分し、その結果と、個々の電源部1から受信した供給情報が示す電力供給量とで検算すればよい。電源部1毎の電力供給量の比は、各電源部1から受信した供給情報が示す電力供給量から判断すればよい。
また、電力計22が計測する、電力網42から供給される電力は、負荷23における電力需要(換言すれば、負荷23が実際に消費した電力)ということもできる。電力計22は、電力の計測結果(電力需要の計測結果)を、計測時刻とともに需要情報生成部25に入力する。
負荷23は、供給される電力を消費する電力消費物であり、その態様は特に限定されない。負荷23の代表例として、例えば、電力を消費する電気製品が挙げられる。また、電気自動車に電力を充電する充電装置等も、負荷23に該当する。負荷23は、電力計22を介して、電力網42から電力を供給され、その電力を消費する。
解析部26は、受信した供給情報に含まれる送信元アドレス、電力供給量、属性を参照し、どの電源部から、どのような属性の電力がどれだけ供給されているのかを判定する。
需要情報生成部25は、電源部1のアドレスを宛先とし、需要部2自身のアドレスを送信元として、時刻毎の負荷23における電力需要を示した情報を送信する。この情報が、需要情報である。また、電源部1のアドレスは、需要部2への電力の供給元となる電源部1を識別する情報である。従って、需要情報は、過去の各時刻において需要部2が電力供給元の電源部1に求めた電力需要を表している。なお、需要部2が複数の電源部1から電力供給を受ける場合、負荷23における電力需要の測定結果を、電源部1毎の電力供給量の比で配分することによって、個々の電源部1に求めた電力需要を計算すればよい。電源部1毎の電力供給量の比は、各電源部1から受信した供給情報が示す電力供給量から判断すればよい。電力計22は、時間経過とともに、時刻情報とともに電力需要を順次需要情報生成部25に入力し、順次需要情報生成部25は、その時刻情報および電力需要を含む需要情報を順次送信する。
なお、需要情報生成部25が送信した需要情報は、電源部コントローラ3にキャプチャされ、電源部コントローラ3から電源部1に転送される。例えば、需要情報作成時に、需要情報であることを示す識別情報を定めておき、また、その識別情報を持つ情報が電源部コントローラ3を通過するように情報網41内の経路を定めておけばよい。
解析部26および需要情報生成部25は、例えば、電力需要システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。この場合、コンピュータが、電力需要システム用プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、解析部26および需要情報生成部25として動作すればよい。また、解析部26および需要情報生成部25が別々のユニットで実現されていてもよい。
電源部コントローラ3は、送受信部31と、供給不足判定部32とを備える。
送受信部31は、電源部1が需要部2を宛先として送信した供給情報を一旦受信し、需要部2に転送する。このとき、送受信部31は、その供給情報の複製を供給不足判定部32に入力する。
送受信部31は、同様に、需要部2が電源部1を宛先として送信した需要情報を一旦受信し、電源部1に転送する。このとき、送受信部31は、その需要情報の複製を供給不足判定部32に入力する。
供給不足判定部32は、電源部1が送信した供給情報および需要部2が送信した需要情報とに基づいて、電源部1によるグリーン電力供給量が不足しているか否かを判定する。具体的には、供給不足判定部32は、供給情報に時刻とともに含まれる電力供給量と、需要情報に時刻とともに含まれる電力需要とを、同じ時刻毎に比較する。供給不足判定部32は、一定の長さの期間毎に、期間に着目し、その期間に属する時刻に関して、電力供給量と電力需要とを比較していく。
供給情報生成部15および需要情報生成部25は、供給情報、需要情報を、時間経過とともに順次送信するので、供給不足判定部32は、現在時刻に近い時刻情報を含む供給情報、需要情報を収集し、現在時刻に直近の期間に関して、電力供給量と電力需要とを比較することができる。供給不足判定部32は、現在時刻に直近の期間において、電力需要が電力供給量を越えているならば、電源部1に対して増加指示を送信する。このとき、供給不足判定部32は、増加指示を示す情報を、送受信部31から電源部1に送信すればよい。
また、供給不足判定部32は、供給情報と需要情報とを比較する場合、供給情報が示す電源部1および需要部2と、需要部2が示す電源部1および需要部2が一致していることを条件とする。すなわち、電力を供給する電源部1と電力を求める需要部2との対応関係が一致している供給情報と需要情報とを用いて、共通の時刻における電力供給量と電力需要とを比較する。
また、供給不足判定部32は、増加指示を電源部1に送信した後、現在時刻に直近の期間において、電力需要が電力供給量以下になったならば、電源部1に対して増加指示の解除を示す情報を送信してもよい。この情報も、送受信部31から電源部1に送信すればよい。
なお、電力供給量と電力需要とを比較していく個々の期間の長さは、特に限定されない。ただし、この期間を短くすれば、電源部1における蓄電池12の容量を小さくすることができる。よって、この期間は短く設定しておくことが好ましい。また、この期間は、調節可能であってもよい。例えば、電源部コントローラ3が、この期間を設定するための操作部(図示略)を備え、その操作部を介してオペレータにより期間が設定されてもよい。そして、供給不足判定部32は、その期間毎に、電力供給量と電力需要とを比較していってもよい。
送受信部31および供給不足判定部32は、例えば、電源システムコントローラ用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。この場合、コンピュータが、電源システムコントローラ用プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、送受信部31および供給不足判定部32として動作すればよい。また、送受信部31および供給不足判定部32が別々のユニットで実現されていてもよい。
また、電源部コントローラ3が、フロー毎に、供給情報や需要情報の経路を定める経路設定部(図示略)を備えていてもよい。この場合、例えば、情報網41内のノード(図示略)は、各フロー識別情報と次の転送先ノードの情報とを対応付けたテーブルを保持する。フロー識別情報は、各情報のフローを識別する情報であり、例えば、送受信される情報の送信元および宛先の組み合わせをフロー識別情報とすることができる。ただし、フロー識別情報は、送信元および宛先の組み合わせ以外であってもよい。情報網41内の各ノードは、情報受信時に、その情報のフローに対応する次の転送先ノードをテーブルから判断し、その転送先ノードに、受信した情報を転送する。
情報網41内のノードは、フロー識別情報がテーブルに格納されていない新規フローに該当する供給情報を受信した場合、セキュアチャネルを介してその供給情報を電源部コントローラ3に送信する。電源部コントローラ3の経路設定部は、受信した供給情報の送信元および宛先に基づいて、情報網41におけるその供給情報の通過経路を定める。このとき、電源部コントローラ3の経路設定部は、供給情報が電源部コントローラ3自身を通過するように通過経路を定める。換言すれば、経路設定部は、電源部コントローラ3自身が、供給情報の通過経路上のノードのうちの一つのノードとなるように通過経路を定める。さらに、経路設定部は、その経路上の各ノードに、その供給情報のフロー識別情報と、次の転送先ノードとを通知する。この通知を受けた各ノードは、通知されたフロー識別情報および次の転送先ノードを対応付けて自ノードのテーブルに格納すればよい。この結果、経路設定部に定められた経路上の各ノードは、新規フローに該当する供給情報を、定められた経路順に転送することができる。そして、その供給情報は、電源部コントローラ3を経由して、宛先となる需要部2に到達することができる。上記の例では、供給情報に関する経路設定に関して説明したが、需要情報に関する経路設定処理も同様である。
電源部コントローラ3の経路設定部も、例えば、電源システムコントローラ用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。あるいは、経路設定部は、供給不足判定部32等とは別のユニットとして実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。
図2は、第1の実施形態において蓄電池12からの電力供給を開始するまでの処理経過の例を示すフローチャートである。
電源部1において、電源11は、グリーン電力を発電し、電力計13を介して電力網42に供給する(ステップS1)。電源11は、各需要家との間で定めた供給電力の総量にマージン分を加えたグリーン電力を発電し、発電したグリーン電力を電極網に供給する。また、このとき、電源11は、発電したグリーン電力の一部を用いて蓄電池12を充電する。
なお、電源11がグリーン電力を供給するとともに、需要部2の負荷23は、電力網42から電力を供給され、その電力を消費する。
また、ステップS1において、電源部1の供給情報生成部15は、供給情報を生成し、時間経過とともに、順次、供給情報を需要部2に送信する。供給情報は、需要部2のアドレスを宛先とし、電源部1自身のアドレスを送信元としている。また、供給情報は、時刻情報とともに、宛先となる需要部2への電力供給量、その電力の属性を含んでいる。
電源部コントローラ3の送受信部31は、供給情報生成部15から送信された供給情報を受信し、宛先となる需要部2に転送する。このとき、送受信部31は、その供給情報の複製を供給不足判定部32に入力する(ステップS2)。
なお、需要部2の供給情報受信部21が供給情報を受信すると、電力計22は、供給電力の計測結果と、供給情報が示す電力供給量とを検算する。また、解析部26は、供給情報に基づいて、どの電源部から、どのような属性の電力がどれだけ供給されているのかを判定する。
また、需要部2において、電力計22は、負荷23における電力需要を計測し、その計測結果を計測時刻とともに需要情報生成部25に入力する。そして、需要情報生成部25は、時刻毎の負荷23における電力需要を示した需要情報を生成し、電源部1に送信する(ステップS3)。需要情報は、電源部1のアドレスを宛先とし、需要部2自身のアドレスを送信元としている。
電源部コントローラ3の送受信部31は、需要情報生成部25が送信した需要情報を受信し、宛先となる電源部1に転送する。このとき、送受信部31は、その需要情報の複製を供給不足判定部32に入力する(ステップS4)。
なお、電源部1の需要情報受信部51が需要情報を受信すると、解析部52は、需要情報に基づいて、どの需要部で、どれだけ電力需要があったのかを判定する。
電源部コントローラ3の供給不足判定部32は、電力を供給する電源部1と電力を求める需要部2との対応関係が一致している供給情報と需要情報とを用いて、共通の時刻における電力供給量と電力需要とを、一定の長さの期間毎に比較する。そして、現在時刻に直近の期間において、電力需要が電力供給量を越えているか否かを判定する(ステップS5)。
電力需要が電力供給量を超えていないならば(ステップS5におけるNo)、電力需給システムはステップS1以降の動作を繰り返す。
一方、電力需要が電力供給量を越えているならば(ステップS5におけるYes)、供給不足判定部32は、送受信部31に、電源部1に向けて増加指示を送信させる(ステップS6)。電源部1の電源・電池制御部16は、この増加指示を受信すると、蓄電池12に電力供給を開始させる(ステップS7)。蓄電池12に充電された電力は電源11によって発電されたグリーン電力である。従って、蓄電池12が供給する電力もグリーン電力である。
この結果、電源11および蓄電池12が電力を供給する。従って、本実施形態によれば、需要部2の負荷23における電力需要に合わせて、電源部1から供給されるグリーン電力を増加させることができる。すなわち、需要部2の負荷23における電力需要の増加に合わせて、電源部1から供給される電力の価値(本例では環境付加価値)を増加させることができる。
また、電源部1が需要部2に供給情報を送信するので、需要部2では、どの電源部から、どのような属性の電力をどれだけ供給されるのかを判断することができる。電源部1が複数設けられている場合であっても同様である。同様に、需要部2が電源部1に需要情報を送信するので、電源部1では、どの需要部でどれだけ電力需要があったのかを判断することができる。
なお、本発明において、情報の送信態様は、特に限定されない。以下に、供給情報の送信態様の例を示すが、供給情報生成部15は、他の態様で供給情報を送信してもよい。
例えば、供給電力の単位を表すトークンを含むパケットを複数個送信し、そのパケットの個数で、供給電力を表してもよい。1パケットには1トークンが含まれるものとして、各パケットのトークンが意味する値は固定値であるものとする。供給情報生成部15は、このようなパケット群を、供給情報として送信すればよい。この送信態様では、単位時間当たりのパケット送信数を調節することによって、電源部1による供給電力を表すことができる。各パケットは、需要部2のアドレスを宛先とし、電源部1自身のアドレスを送信元とする。また、各パケットは、トークンの他に、時刻情報や付加情報を含んでいる。付加情報は、既に説明した付加情報と同様である。
また、例えば、供給情報生成部15は、単位時間当たりのパケット送信数は、固定として、トークンの意味する電力の値を変更してもよい。トークンの意味する値を調節することで、電源部1による供給電力を表すことができる。
また、電源11による発電の余力に関する情報を、上記と同様の態様で送信してもよい。例えば、電源11が「定格100kW 出力10kW」である場合、1秒間当たり、90k個のパケットを送信することによって、需要部2に電源11の余力を通知してもよい。なお、本例では、1パケットに含まれるトークンは、1ジュールの余力を示す。
上記の供給情報の送信態様では、供給情報生成部15は、共通の電力供給量を表すパケットのパケット群(共通のトークンを含むパケット群)を供給情報として生成し、そのパケット群を情報網41を介して宛先に送信する。また、このとき、供給情報生成部15は、フロー毎に、このパケット群を生成し、送信する。例えば、電源部1が、複数の需要部2に対してグリーン電力を供給しているとする。この場合、送信元は電源部1で共通となっていても、宛先となる需要部2が複数存在するので、需要部2毎に供給情報のフローは異なる。従って、供給情報生成部15は、ある需要部2に対しては、その需要部2を宛先とし、その需要部2に対する電力供給量を表すようにパケット群を生成し、送信する。また、同様に、別の需要部2に対しても、その需要部2を宛先として、その需要部2に対する電力供給量を表すようにパケット群を生成し、送信する。
また、このように、フロー毎にパケット群を送信する場合においても、電源部コントローラ3が、フロー毎にパケット群の経路を設定してもよい。この場合、電源部コントローラ3は、前述の経路設定部(図示略)を備えていればよい。電源部コントローラ3の経路設定部の処理に関しては、既に説明しているので省略する。情報網41内のノードは、供給情報として送信されるパケット群のパケットであって、フロー識別情報がテーブルに格納されていない新規フローに該当するパケットを受信した場合、セキュアチャネルを介してその供給情報を電源部コントローラ3に送信する。電源部コントローラ3の経路設定部は、そのパケットの通信経路を定め、その経路上の各ノードに、その供給情報のフロー識別情報と、次の転送先ノードとを通知する。この通知を受けた各ノードは、通知されたフロー識別情報および次の転送先ノードを対応付けて自ノードのテーブルに格納すればよい。この結果、そのパケットは、定められた経路に沿って宛先まで送信される。また、そのパケットと同一のフロー識別情報を有する後続のパケット群も、その経路で宛先まで転送される。フロー毎にパケット群は生成されるので、各パケット群の経路もフロー毎に決定される。
また、複数のパケットで供給電力を表現しなくてもよい。供給情報生成部15は、供給電力の値を直接書き込んだパケットを供給情報として送信してもよい。この場合においても、供給情報生成部15は、フロー毎に供給情報を生成し、送信する。
また、上記の実施形態では、電源部1が、需要部2を宛先として供給情報を送信し、需要部2が、電源部1を宛先として需要情報を送信する場合を示した。そして、電源部コントローラ3が、情報網41において、その供給情報および需要情報を参照する場合を示した。電源部1が電源部コントローラ3に対して直接、供給情報を送信し、同様に、需要部2が電源部コントローラ3に対して直接、需要情報を送信してもよい。この場合、供給情報生成部15は、電源部コントローラ3のアドレスを宛先とし、電源部1自身のアドレスを送信元とする供給情報を送信すればよい。ただし、この場合、供給情報生成部15は、電力供給対象となる需要部2の識別情報(例えば、アドレス)を付加情報として供給情報内に含める。また、需要情報生成部25は、電源部コントローラ3のアドレスを宛先とし、需要部2自身のアドレスを送信元とする需要情報を送信すればよい。ただし、この場合、需要情報生成部25は、電力の要求先としている電源部1の識別情報(例えば、アドレス)を付加情報として需要情報内に含める。電源部コントローラ3は、電源部コントローラ3自身を宛先とする供給情報および需要情報を用いて、ステップS5(図2参照)の処理を行えばよい。また、この場合、電源部1は、需要情報受信部51および解析部52を備えていなくてもよい。同様に、需要部2は、供給情報受信部21および解析部26を備えていなくてもよい。
また、図1では、電源部コントローラ3と電源部1とを独立したシステムとして示しているが、電源部1が電源部コントローラ3を含む構成であってもよい。この場合、電源部コントローラ3の供給不足判定部32は、電源部1の供給情報生成部15から供給情報を取得し、需要部2から受信した需要情報とその供給情報とを用いてステップS5(図2参照)の処理を行えばよい。
実施形態2.
第1の実施形態では、電力需要が増加したときに、電源部1が蓄電池12からの電力供給を開始する。それに対し、第2の実施形態では、電力需要が増加したときに、電源部1は、電源11からの供給電力を増加させる。
図3は、本発明の第2の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。第2の実施形態の電力需給システムは、第1の実施形態と同様に、電源部1と、需要部2と、電源部コントローラ3とを備える。需要部2および電源部コントローラ3の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。
電源部1は、電源11aと、電力計13と、供給量DB部14と、供給情報生成部15と、電源制御部19と、需要情報受信部51と、解析部52とを備える。第1の実施形態と異なり、電源部1は、蓄電池12(図1参照)を備えていなくてよい。
電力計13、供給量DB部14、供給情報生成部15、需要情報受信部51および解析部52は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
電源11aは、第1の実施形態と同様にグリーン電力を発電し、電力計13を介して、電力網24にグリーン電力を供給する。電源部コントローラ3が電源部1に増加指示を送信するまでの間における電源11aの動作は、第1の実施形態と同様である。
また、電源11aは、電源制御部19の制御に従って、グリーン電力の発電量を増加させる。このことは、電力網42へのグリーン電力の供給量を増加させることを意味する。
電源制御部19は、電源11aを制御する。電源制御部19は、電源部コントローラ3から増加指示を受信するまでの間では、第1の実施形態における電源・電池制御部16と同様に、電源11aを制御する。すなわち、電源11aに、各需要家との間で定めた供給電力の総量にマージン分を加えたグリーン電力を発電させ、そのグリーン電力を電力網42に供給させる。
また、電源制御部19は、電源部コントローラ3から増加指示を受信すると、電源11aに対して、グリーン電力の発電量の増加、および電力網42への供給量の増加を命令する。この結果、電源11aは、グリーン電力の発電量を増加させ、電力網42へのグリーン電力供給量を増やす。
すなわち、第1の実施形態では、蓄電池12によって電源部1からの電力供給量を増やしていたのに対し、第2の実施形態では、電源11a自身が、グリーン電力供給量を増やす。
供給情報生成部15および電源制御部19は、例えば、電源システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、供給情報生成部15および電源制御部19が別々のユニットで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。電源部コントローラ3が増加指示を電源部1に送信するまでの動作は、第1の実施形態と同様である。すなわち、ステップS1〜S6(図2参照)と同様である。第2の実施形態では、図2に示すステップS7の代わりに、電源制御部19が電源11aに対して、グリーン電力の発電量の増加、および電力網42への供給量の増加を命令する。そして、電源11aは、グリーン電力の発電量を増加させ、電力網42へのグリーン電力供給量を増やす。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
実施形態3.
第3の実施形態では、電力業者が複数の電源部を配置し、ある電源部から需要家の需要部への電力供給量が不足した場合に、他の電源部に不足分の電力供給を行わせる。
図4は、本発明の第3の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の電力需給システムは、電源部1a〜1cと、需要部2と、電源部コントローラ3とを備える。需要部2の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。なお、図4では、3つの電源部1a〜1cを図示したが、電源部の数は3つに限定されない。
電源部1a〜1cは、いずれも同様の構成であり、図4では電源部1b,1cに関しては詳細な構成の図示を省略している。電源部1a〜1cは、需要部2を管理する需要家(Xとする。)と電力供給の契約を結んだ電力業者によって管理される。ここでは、説明を簡単にするために、需要家Xと電力業者との間で、電力業者が10kWのグリーン電力を供給するという契約が結ばれたとする。そして、電源部1aが、その10kWのグリーン電力を供給するように設定されたとする。本実施形態では、電源部1aが10kWの電力供給を維持できず、例えば、5kWしか供給できない場合に、電源部コントローラ3が、その電力業者の他の電源部1b,1cに不足分の5kWの電力供給を指示する。
電源部コントローラ3は、送受信部31と、供給不足判定部32と、供給量制御部33と、リスト記憶部34とを備える。送受信部31および供給不足判定部32は、第1の実施形態と同様である。ただし、送受信部31は、各電源部1a〜1cとの間で、増加指示や供給情報以外の情報に関しても送受信を行う。
リスト記憶部34は、初期状態で電力を供給することになっていた電源部が電力供給を維持できない場合にバックアップとして電力供給を行う電源部のリストを記憶する記憶装置である。本例では、バックアップとして電力供給を行う電源部のリストとして、リスト記憶部34は、電源部1b,1cのリストを記憶しているものとする。
供給量制御部33は、定められた電力を供給できなくなった電源部から、供給できなくなった不足分の電力の値を通知されると、リスト記憶部34を参照して、バックアップとなる電源部に対して不足分の電力の供給開始を指示する。バックアップとなる電源部が複数存在する場合には、バックアップとなる電源部が供給すべき電力を配分すればよい。ただし、配分の方法は、特に限定されない。図4では、電源部1aにおいて供給電力が5kW不足し、電源部1bに2kW分を配分し、電源部1cに3kW分を配分した例を示している。
なお、図4では、便宜的に、供給量制御部33と各電源部1a〜1cとを破線の矢印で直接結んでいるが、供給量制御部33と各電源部1a〜1cとは、情報網41を介して通信を行う。
送受信部31、供給不足判定部32および供給量制御部33は、例えば、電源システムコントローラ用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、これらの各要素が別々のユニットで実現されていてもよい。
各電源部1a〜1cは、いずれも、電源11と、蓄電池12と、電力計13と、供給量DB部14と、供給情報生成部15と、電源・電池制御部16と、需要情報受信部51と、解析部52とを備える。これらの各要素は、第1の実施形態と同様の動作を行う。
電源・電池制御部16は、第1の実施形態と同様の動作に加えて、以下の動作も行う。まず、初期状態で電源を供給するように定められた電源部(本例では電源部1a)における電源・電池制御部16に関して説明する。電源・電池制御部16は、電源・電池制御部16自身が存在する電源部が供給すべき電力が電源11、あるいは、電源11および蓄電池12から供給されているか否かを判定する。この判定は、例えば、供給すべき電力として設定された値と、電力計13の計測結果とを比較することによって行えばよい。実際に供給できている電力が、供給すべき電力に達していない場合、電源・電池制御部16は、情報網41を介して、その不足分の電力の値を電源部コントローラ3(具体的には、供給量制御部33)に通知する。また、電源・電池制御部16は、実際に供給できている電力に合わせて、供給量DB部14に記憶されている電力供給量を更新する。
例えば、電源部1aにおいて、供給すべき電力が10kWであるが、5kWしか供給できず、電力供給量が5kW不足した場合、電源部1aの電源・電池制御部16は、電力供給量が5kW不足していることを電源部コントローラ3に通知する。
また、次に、バックアップとなる電源部における電源・電池制御部16の動作について説明する。電源・電池制御部16は、電源部コントローラ3の供給量制御部33から、需要部2への電力供給開始指示を受信した場合、指示された電力供給量を需要部2のアドレスとともに供給量DB部14に記憶させる。需要部2のアドレスは、例えば、バックアップとなる電源部のリストとともに電源部コントローラ3が予めリスト記憶部34に保持しておき、電力供給開始指示とともに電源・電池制御部16に送信すればよい。そして、電源・電池制御部16は、電源11に対して、指示された値のグリーン電力の発電を開始させ、電力網42に供給させる。このとき、電源・電池制御部16は、指示された値にマージン分の値を加算した電力の発電・供給を電源11に行わせてもよい。また、電源11からの電力供給開始とともに、供給情報生成部15は、需要部2への供給情報の送信を開始する。
例えば、供給量制御部33が、バックアップとなる電源部1bに対して、需要部2への2kWの電力供給の開始指示を送信したとする。電源部1bの電源・電池制御部16は、指示された電力供給量を需要部2のアドレスとともに供給量DB部14に記憶させる。また、電源部1bの電源・電池制御部16は、電源11に2kWの発電を開始させ、電力網に供給させる。また、電源部1bの供給情報生成部15は、電源11からの電力供給開始とともに、供給情報の送信を開始する。供給量制御部33が、バックアップとなる電源部1cに対して電極供給開始指示を送信した場合にも、電源部1cの電源・電池制御部16は、同様の動作を行う。
図5は、第3の実施形態においてバックアップとなる電源部に電力供給を開始させる処理の例を示すフローチャートである。まず、最初に電力を供給する電源部1aの電源11が、定められた電力(本例では10kWとする。)を電力網42に供給する(ステップS11)。そして、需要家Xの需要部2において、負荷23は、電力網42から供給される電力を消費する。
また、電源部1aの電源・電池制御部16は、電源部1aが供給すべき電力である10kWが電源11から電力網42に供給されているか否かを監視し、実際に電源11が供給している電力が、供給すべき電力よりも少なくなっている場合には、電力供給量の不足を検出する(ステップS12)。電力供給量の不足を検出していなければ(ステップS12におけるNo)、ステップS11,12の動作をそのまま継続する。
電力供給量の不足を検出したならば(ステップS12におけるYes)、電源部1aの電源・電池制御部16は、実際に電源11が供給している電力が、供給すべき電力よりもどれだけ不足しているかを計算し、その不足分の電力を、情報網41を介して電源部コントローラ3に送信する(ステップS13)。このとき、電源・電池制御部16は、需要家Xの需要部2に供給すべき電力の不足分である旨の情報も含めて送信する。
電源部コントローラ3の送受信部31は、この不足分の電力の情報を電源部1aから受信すると、その情報を供給量制御部33に渡す。供給量制御部33は、需要家Xの需要部2に供給すべき電力の不足分の情報を受け取ると、リスト記憶部34に記憶されている電源部のリストを参照し、その電源部に不足分の電力供給量の供給を割り当てる。バックアップとなる電源部が複数存在する場合には、その複数の電源部に不足分の電力供給量の供給を、配分して割り当てればよい。本例では、電源部1aにおける電力供給量の不足分が5kWであり、供給量制御部33が、電源部1bに2kWの供給を割り当て、電源部1cに3kWの供給を割り当てるものとする。この割り当ての配分方法は、特に限定されない。例えば、電源部1b,1cの何れか一方に不足分の供給を全て割り当ててもよい。
そして、供給量制御部33は、不足分の電力供給量の供給を割り当てた電源部に対して、割り当てた電力の供給開始指示を送信する(ステップS14)。供給量制御部33は、送受信部31から情報網41を介して、この供給開始指示を送信する。このとき、供給量制御部33は、電力を供給される需要家Xの需要部2のアドレスも合わせて送信する。
上記の例では、供給量制御部33は、電源部1bに対して、2kWの電力供給の開始指示を送信し、電源部1cに対して、3kWの電力供給の開始指示を送信する。
電源部1bの電源・電池制御部16は、2kWの電力供給開始指示および需要部2のアドレスを受信すると、指示された電力供給量2kWおよび需要部2のアドレスを供給量DB部14に記憶させる。そして、電源部1bの電源・電池制御部16は、電源11に2kWの電力供給を開始させる(ステップS15)。また、このとき、電源部1bの供給情報生成部15は、需要部2への供給情報の送信を開始する。
3kWの電力供給開始指示および需要部2のアドレスを受信した電源部1cの動作も同様である。
この結果、電源部1aが10kWの電力を供給すべきところ、5kWしか供給できず、5kWの供給量不足が生じても、バックアップとなる電源部1b,1cがその不足分の5kWを供給するので、電力業者は需要家Xに定められた電力を供給できる。
なお、その他の動作は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様の効果も得られる。
また、各電源部1a〜1cが、第2の実施形態と同様の構成であってもよく、各電源部1a〜1cにおける電源制御部19(図3参照)は、第3の実施形態における電源・電池制御部16と同様の動作を行ってもよい。
実施形態4.
第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、ある電源部から需要家の需要部への電力供給量が不足した場合に、他の電源部に不足分の電力供給を行わせる。ただし、第4の実施形態では、定められた電力を供給できなくなった電源部が、他の電源部に対して、電力供給開始指示を送信する。
図6は、本発明の第4の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の電力需給システムは、電源部1a〜1cと、需要部2と、電源部コントローラ3とを備える。需要部2と電源部コントローラ3の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。なお、図6では、3つの電源部1a〜1cを図示したが、電源部の数は3つに限定されない。
電源部1a〜1cは、需要部2を管理する需要家Xと電力供給の契約を結んだ電力業者によって管理される。第3の実施形態と同様に、電力業者が10kWのグリーン電力を需要家Xに供給すると定められているものとする。そして、電源部1aが、その10kWのグリーン電力を供給するように設定されたとする。本実施形態では、電源部1aが10kWの電力供給を維持できず、例えば、5kWしか供給できない場合に、電源部1a自身が他の電源部に不足分の5kWの電力供給を指示する。
初期状態で定められた電力を供給する電源部1aは、電源11と、蓄電池12と、電力計13と、供給量DB部14と、供給情報生成部15と、電源・電池制御部16と、需要情報受信部51と、解析部52と、開始要求部17と、リスト記憶部18とを備える。
電源部1aにおける電源11、蓄電池12、電力計13、供給量DB部14、供給情報生成部15、電源・電池制御部16、需要情報受信部51および解析部52は、第1の実施形態と同様である。
リスト記憶部18は、電源部1aが定められた電力の供給を維持できない場合にバックアップとして電力供給を行う電源部のリストを記憶する記憶装置である。すなわち、電源部1aが備えるリスト記憶部18は、第3の実施形態におけるリスト記憶部34(図4参照)と同様の役割を果たす。本例では、リスト記憶部18は、電源部1b,1cのリストを記憶しているものとする。
また、初期状態で定められた電力を供給する電源部1aの電源・電池制御部16は、第1の実施形態と同様の動作に加えて、以下の動作も行う。電源・電池制御部16は、電源・電池制御部16自身が存在する電源部が供給すべき電力が電源11、あるいは、電源11および蓄電池12から供給されているか否かを判定する。この判定は、例えば、供給すべき電力として設定された値と、電力計13の計測結果とを比較することによって行えばよい。実際に供給できている電力が、供給すべき電力に達していない場合、電源・電池制御部16は、その不足分の電力の値を開始要求部17に通知する。また、電源・電池制御部16は、実際に供給できている電力に合わせて、供給量DB部14に記憶されている電力供給量を更新する。
開始要求部17は、電源・電池制御部16から、供給できなくなった不足分の電力の値を通知されると、リスト記憶部18を参照して、バックアップとなる電源部に対して不足分の電力の供給開始を指示する。バックアップとなる電源部が複数存在する場合には、バックアップとなる電力が供給すべき電力を配分すればよい。ただし、配分の方法は、特に限定されない。図6では、電源部1aにおいて供給電力が5kW不足し、電源部1bに2kW分を配分し、電源部1cに3kW分を配分した例を示している。
なお、図6では、便宜的に、開始要求部17と電源部1b,1cとを破線の矢印で直接結んでいるが、開始要求部17と、バックアップとなる電源部1b,1cとは、情報網41を介して通信を行う。
開始要求部17、供給情報生成部15、電源・電池制御部16および解析部52は、例えば、電源システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、これらの各要素が別々のユニットで実現されていてもよい。
バックアップとなる電源部1b,1cは、いずれも、電源11と、蓄電池12と、電力計13と、供給量DB部14と、供給情報生成部15と、電源・電池制御部16と、需要情報受信部51と、解析部52とを備える(図6において図示略)。これらの各要素は、第1の実施形態と同様の動作を行う。また、バックアップとなる電源部1b,1cは、開始要求部17およびリスト記憶部18を備えていなくてもよい。
バックアップとなる電源部1b,1cの電源・電池制御部16は、第1の実施形態と同様の動作に加えて、以下の動作も行う。電源・電池制御部16は、電源部1aの開始要求部17から、需要部2への電力供給開始指示を受信した場合、指示された電力供給量を需要部2のアドレスとともに供給量DB部14に記憶させる。需要部2のアドレスは、例えば、バックアップとなる電源部のリストとともに電源部1aがリスト記憶部18に保持しておき、開始要求部17が電力供給開始指示とともに、バックアップとなる電源部1b,1cに送信すればよい。電源部1b,1cの電源・電池制御部16は、電源11に対して、指示された値のグリーン電力の発電を開始させ、電力網42に供給させる。このとき、電源・電池制御部16は、指示された値にマージン分の値を加算した電力の発電・供給を電源11に行わせてもよい。また、電源11からの電力供給開始とともに、電源部1b,1cの供給情報生成部15は、需要部2への供給情報の送信を開始する。
すなわち、第4の実施形態における電源部1b,1cの電源・電池制御部16の動作は、第3の実施形態における電源部1b,1cの電源・電池制御部16と同様である。
図7は、第4の実施形態においてバックアップとなる電源部に電力供給を開始させる処理の例を示すフローチャートである。第3の実施形態と同様の動作は、図5と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。最初に電力を供給する電源部1aの電源11が、定められた電力を供給し、電源部1aの電源・電池制御部16が電力供給量の不足を検出するまでの動作は、第3の実施形態におけるステップS11,S12と同様である。
電源部1aの電源・電池制御部16が電力供給量の不足を検出したならば(ステップS12におけるYes)、電源・電池制御部16は、実際に電源11が供給している電力が、供給すべき電力よりもどれだけ不足しているかを計算し、その不足分の電力を開始要求部17に通知する(ステップS13a)。このとき、電源・電池制御部16は、需要家Xの需要部2に供給すべき電力の不足分である旨の情報も含めて通知する。
開始要求部17は、この通知を受けると、リスト記憶部18に記憶されている電源部のリストを参照し、その電源部に不足分の電力供給量の供給を割り当てる。バックアップとなる電源部が複数存在する場合には、その複数の電源部に不足分の電力供給量の供給を、配分して割り当てればよい。本例では、電源部1aにおける電力供給量の不足分が5kWであり、開始要求部17が、電源部1bに2kWの供給を割り当て、電源部1cに3kWの供給を割り当てるものとする。この割り当ての配分方法は、特に限定されない。例えば、電源部1b,1cの何れか一方に不足分の供給を全て割り当ててもよい。
そして、開始要求部17は、不足分の電力供給量の供給を割り当てた電源部に対して、割り当てた電力の供給開始指示を送信する(ステップS14a)。開始要求部17は、情報網41を介して、この供給開始指示を送信する。このとき、開始要求部17は、電力を供給される需要家Xの需要部2のアドレスも合わせて送信する。
上記の例では、開始要求部17は、電源部1bに対して、2kWの電力供給の開始指示を送信し、電源部1cに対して、3kWの電力供給の開始指示を送信する。
ステップS13a,S14aにおける開始要求部17の動作は、第3の実施形態におけるステップS13,S14での供給量制御部33の動作と同様である。
電力供給の開始指示を受信した電源部1b,1cの動作は、第3の実施形態におけるステップS15の動作と同様である。
この結果、電源部1aにおいて電力の供給量不足が生じても、バックアップとなる電源部1b,1cがその不足分を供給するので、電力業者は需要家Xに、定められた電力を供給できる。すなわち、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、その他の動作は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様の効果も得られる。
また、各電源部1a〜1cが電源11、蓄電池12および電源・電池制御部16の代わりに、第2の実施形態における電源11aおよび電源制御部19(図3参照)を備える構成であってもよい。この場合、電源部1aの電源制御部19が、第4の実施形態における電源部1aの電源・電池制御部16と同様の動作を行えばよい。また、電源部1b,1cの電源制御部19が、第4の実施形態における電源部1b,1cの電源・電池制御部16と同様の動作を行えばよい。
実施形態5.
第5の実施形態では、需要部2が、需要部2自身での電力需要の増加に従い、順次、電源部に需要部2への電力供給の開始を要求する。
図8は、本発明の第5の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の電力需給システムは、電源部1a〜1cと、需要部2と、電源部コントローラ3とを備える。電源部コントローラ3の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。なお、図8では、3つの電源部1a〜1cを図示したが、電源部の数は3つに限定されない。
需要部2は、供給情報受信部21と、電力計22と、負荷23と、需要情報生成部25と、解析部26と、電力要求部27と、要求先記憶部28とを備える。供給情報受信部21、電力計22、負荷23、需要情報生成部25および解析部26は、第1の実施形態と同様である。
要求先記憶部28は、需要部2の負荷23における電力需要の大きさに応じた電力供給の要求先を記憶する記憶装置である。図9は、要求先記憶部28が記憶する情報の例を示す説明図である。図9に示す例では、需要部2の負荷23における電力需要が“0〜10kW”である場合には、電源1aから電力供給を受けることを表している。また、負荷23における電力需要が10kWを越え、“10〜20kW”である場合には、10kWを越えた分の電力需要に関しては、電源1bから電力供給を受けることを表している。さらに、負荷23における電力需要が20kWを越えた場合には、20kWを越えた分の電力需要に関しては、電源1cから電力供給を受けることを表している。以下、要求先記憶部28が、図9に示す情報を記憶する場合を例にして説明する。
電力要求部27は、負荷23における電力需要の大きさに応じて、電力を要求すべき電源部を判定する。電力要求部27は、要求先記憶部28に記憶された情報を参照して、この判定を行えばよい。そして、電力を要求すべきと判定した電源部に対して、電力需要の大きさに応じた電力を要求する。なお、図8では、便宜的に、電力要求部27と各電源部1a〜1cとを破線の矢印で直接結んでいるが、電力要求部27は、情報網41を介して、電力を要求する旨の情報(以下、電力要求情報と記す。)を電源部に要求する。
例えば、負荷23における電力需要が5kWであるならば、電力要求部27は、電源部1aから5kWの電力供給を受けると判定する。そして、電力要求部27は、5kWの電力を要求する電力要求情報を電源部1aに送信し、電源部1aから5kWの電力供給を受ける。
また、例えば、負荷23における電力需要が25kWであるならば、電力要求部27は、電源部1a,1bからそれぞれ10kWの電力供給を受け、電源部1cから5kWの電力供給を受けると判定する。そして、電力要求部27は、10kWの電力を要求する電力要求情報を電源部1a,1bにそれぞれ送信し、また、5kWの電力を要求する電力要求情報を電源部1cに送信する。そして、電源部1a,1b,1cから合計25kWの電力供給を受ける。
解析部26、需要情報生成部25および電力要求部27は、例えば、電力需要システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、これらの各要素が別々のユニットで実現されていてもよい。
各電源部1a〜1cは、いずれも、電源11と、蓄電池12と、電力計13と、供給量DB部14と、供給情報生成部15と、電源・電池制御部16と、需要情報受信部51と、解析部52とを備える。これらの各要素は、第1の実施形態と同様の動作を行う。
電源・電池制御部16は、第1の実施形態と同様の動作に加えて、以下の動作も行う。電源・電池制御部16は、需要部2の電力要求部27から電力要求情報を受信すると、電力要求情報で要求された電力供給量を需要部2のアドレスとともに供給量DB部14に記憶させる。需要部2のアドレスは、例えば、電力要求情報の送信元アドレスから判断すればよい。そして、電源・電池制御部16は、電源11に対して、要求された値のグリーン電力の発電を開始させ、電力網42に供給させる。このとき、電源・電池制御部16は、要求された値にマージン分の値を加算した電力の発電・供給を電源11に行わせてもよい。また、電源11からの電力供給開始とともに、供給情報生成部15は、需要部2への供給情報の送信を開始する。
図10は、電源部が需要部からの要求に応じて電力を供給する処理の例を示すフローチャートである。まず、需要部2の電力要求部27が、要求先記憶部28に記憶された情報(例えば、図9参照)に基づいて、負荷23の電力需要に応じた電力の要求先を決定する(ステップS21)。このとき、複数の電源部を決定してもよい。
次に、電力要求部27は、電力の要求先として決定した電源部に対して、負荷23の電力需要の大きさに応じた電力を要求する電力要求情報を送信する(ステップS22)。
各電源部1a〜1cのうち、電力要求情報を受信した電源部の電源・電池制御部16は、電力要求情報によって要求された電力を、需要部2のアドレスとともに供給量DB部14に記憶させる。そして、その電源・電池制御部16は、電源11に要求された電力を発電させ、電力網42に供給させる(ステップS23)。また、その電源部の供給情報生成部15は、需要部2に供給情報を送信する。
また、需要部2の負荷23における電力需要が変化した場合、電力需給システムは、ステップS21から再度、処理を実行すればよい。
本実施形態によれば、事前に需要部2における必要電力用が分からない場合であっても、需要部2は電力需要に応じた電力を電源部に要求して、必要な電力の供給を受けることができる。
また、各電源部1a〜1cが、第2の実施形態と同様の構成であり、各電源部1a〜1cにおける電源制御部19(図3参照)が、第5の実施形態における電源・電池制御部16と同様の動作を行ってもよい。
また、第3から第4までの実施形態においても、需要部2が電力要求部27と要求先記憶部28とを備え、第5の実施形態と同様の動作を実現してもよい。
実施形態6.
上記の各実施形態では、需要部2は解析部26(図1等参照)を有しているので、受信した供給情報に基づいて、どの電源部からどれだけの電力を供給されているのかを判定できる。同様に、電源部1は解析部52(図1等参照)を有しているので、どの需要部で、どれだけ電力需要があったのかを判定することができる。第6の実施形態は、情報網内においても、これらの判定を可能とするものである。
図11は、本発明の第6の実施形態を示す説明図である。他の各実施形態と同様に、電源部1a,1bおよび需要部2は、情報網41を介して通信を行う。また、電源部1a,1bは、電力網42に電力を供給し、需要部2は、電力網42から電力を供給される。図11に示す電源部1a,1bおよび需要部2は、前述の第1から第5までの実施形態のいずれのものであってもよい。
情報網41および電力網42はドメイン毎に分けられる。図11に示す例では、2つのドメインA,Bを示しているが、ドメインの数は特に限定されない。以下、ドメインAに属する情報網および電力網をそれぞれ情報網41a、電力網42aと記す。同様に、ドメインBに属する情報網および電力網をそれぞれ情報網41b、電力網42bと記す。例えば、ドメインAは、ある電力業者Aに管理され、その電力業者Aの電源部1aが配置される。同様に、ドメインBは、他の電力業者Bに管理され、その電力業者Bの電源部1bが配置される。また、図11では、ドメインAに需要部2が接続されているが、各ドメインにも需要部2が存在する。
各ドメインに属する情報網には、他のドメインの情報網との接続部分にドメイン間ゲートウェイが設けられる。例えば、情報網41aは、情報網41bとの接続部分にドメイン間ゲートウェイ51aが配置される。同様に、情報網41bにも、情報網41aとの接続部分にドメイン間ゲートウェイ51bが配置される。
また、各ドメインに属する電力網には、他のドメインの電力網との接続部分に電力計が設けられる。例えば、電力網42aは、電力網42bとの接続部分に電力計52aが配置される。同様に、電力網42bにも電力計52bが配置される。
各ドメイン間ゲートウェイ51a,51bは、ドメインを跨いで送受信される情報を通過させる。この情報の中には、供給情報や需要情報も含まれる。各ドメイン間ゲートウェイ51a,51bは、ドメイン間を通過する供給情報を参照することによって、どの電源部から、どの需要部に向けて、どのような属性の電力がどれだけ供給されているのかという内訳を判定する。また、各ドメイン間ゲートウェイ51a,51bは、ドメイン間を通過する需要情報を参照することによって、どれだけ電力需要があったのかを判定する。
従って、本実施形態では、需要部2の解析部26や電源部1の解析部52と同様の判定を情報網内においても行うことができる。
また、各電力計52a,52bは、ドメインを跨いで伝送される電力を通過させ、その電力を計測する。
また、ドメイン間ゲートウェイ51aは、ドメインA側の電源部からドメインB側の需要部に送信される供給情報から、ドメインA側からドメインB側に供給される電力の和を計算してもよい。また、電力計52aが、ドメインA側からドメインB側に実際に供給された電力を測定した結果と、ドメイン間ゲートウェイ51aが計算した電力の和とを検算してもよい。すなわち、ドメイン間ゲートウェイ51aが供給情報に基づいて計算した、ドメインA側からドメインB側に供給される電力と、実際に電力計52aが計測した、ドメインA側からドメインB側に供給される電力との差が、予め定められた閾値以下であるか否かを判定してもよい。
ドメイン間ゲートウェイ51bも同様の計算を行い、電力計52bが上記と同様の検算を行ってもよい。
図11では、ドメイン間における情報網の接続部分および電力網の接続部分が1箇所である場合を示したが、ドメイン間における情報網の接続部分および電力網の接続部分が複数存在してもよい。図12は、この場合の例を示す説明図である。図12に示す例では、ドメインA,Bにおける情報網の接続部分および電力網の接続部分が2箇所である場合を示している。
情報網の各接続部分において、ドメインA側およびドメインB側にそれぞれドメイン間ゲートウェイが設けられる。また、電力網の各接続部分において、ドメインA側およびドメインB側にそれぞれ電力計が設けられる。
本例では、2箇所ある情報網の接続部分の一方では、ドメインA側にドメイン間ゲートウェイ51aが設けられ、ドメインB側にドメイン間ゲートウェイ51bが設けられる。もう一方の接続部分では、ドメインA側にドメイン間ゲートウェイ51a’が設けられ、ドメインB側にドメイン間ゲートウェイ51b’が設けられる(図12参照)。また、2箇所ある電力網の接続部分の一方では、ドメインA側に電力計52aが設けられ、ドメインB側に電力計52bが設けられる。もう一方の接続部分では、ドメインA側に電力計52a’が設けられ、ドメインB側に電力計52b’が設けられる。
ドメイン間ゲートウェイ51aおよび電力計52aの組み合わせや、ドメイン間ゲートウェイ51a’および電力計52a’の組み合わせの動作は、図11に示すドメイン間ゲートウェイ51aおよび電力計52aの動作と同様である。また、ドメイン間ゲートウェイ51bおよび電力計52bの組み合わせや、ドメイン間ゲートウェイ51b’および電力計52b’の組み合わせの動作は、図11に示すドメイン間ゲートウェイ51bおよび電力計52bの動作と同様である。
また、ドメインA側の情報網41aおよびドメインB側の情報網41b(図12において図示略。図11参照)に、供給情報および需要情報の経路を決定する経路解決部53a,53bを設けてもよい。各経路解決部53a,53bは、それぞれ、他のドメインに供給情報および需要情報を送る場合、2箇所あるドメイン間の接続部を使って、どのように供給情報および需要情報を送るのかを決定し、その決定に基づいて、自身のドメイン側の複数のドメイン間ゲートウェイから他のドメインに情報を転送させる。
以下の説明では、経路解決部53aを例にして、経路解決部53aが供給情報や需要情報の経路を決定する動作を説明する。ドメインA側の情報網41a(図12において図示略)に設けられる経路解決部53aは、ドメインAからドメインBに送られる供給情報や需要情報の経路を決定する。そして、決定した経路に従い、ドメイン間ゲートウェイ51a,51a’に供給情報や需要情報をドメインB側に転送させる。
経路解決部53aが情報の経路を決定する態様の例として、供給情報や需要情報のフローに応じて、ドメイン間ゲートウェイ51a,51a’のどちらからドメインBに転送するのかを予め決めておく態様がある。この場合、経路解決部53aは、ドメインBに転送する供給情報や需要情報を受信したとき、それらの情報のフローを参照し、そのフローを転送するドメイン間ゲートウェイに情報を転送させればよい。例えば、フローPに関しては、ドメイン間ゲートウェイ51aから転送し、フローQに関しては、ドメイン間ゲートウェイ51a’から転送すると予め定められているとする。経路解決部53aは、受信した供給情報のフローがPである場合には、その供給情報をドメイン間ゲートウェイ51aに送り、ドメイン間ゲートウェイ51aからドメインBに転送させればよい。また、受信した供給情報のフローがQである場合には、その供給情報をドメイン間ゲートウェイ51a’に送り、ドメイン間ゲートウェイ51a’からドメインBに転送させればよい。需要情報に関しても同様である。
なお、個々のフローは、例えば、宛先アドレスおよび送信元アドレスに基づいて識別すればよい。また、宛先アドレスおよび送信元アドレスの他に、ポート番号等の他の情報も組み合わせてフローを識別してもよい。
また、経路解決部53aが情報の経路を決定する態様の例として、ドメイン間ゲートウェイ51a,51a’と対になる電力計52a,52a’の電力計測結果を参照し、各電力網接続箇所でドメインAからドメインBに流れる電力の比に応じて、ドメイン間ゲートウェイ51a,51a’それぞれから供給情報を転送させてもよい。例えば、電力計52aが計測したドメインAからドメインBへの電力の計測結果と、電力計52a’が計測したドメインAからドメインBへの電力の計測結果との比が2:3であったとする。また、経路解決部53aが、受信した供給情報が示す電力供給量が10kWであったとする。この場合、経路解決部53aは、供給情報が示す電力供給量“10kW”を2:3に分け、電力供給量として4kWを示す供給情報を、ドメイン間ゲートウェイ51aに転送させ、電力供給量として6kWを示す供給情報を、ドメイン間ゲートウェイ51a’に転送させる。また、この例では、経路解決部53aは、電力供給量“10kW”を示す供給情報から、電力供給量“4kW”を示す供給情報、および電力供給量“6kW”を示す供給情報を新たに作成し、それぞれをドメインBに転送すればよい。新たに作成した供給情報において、電力供給量以外の情報(例えば、送信元や宛先等)は、元の供給情報と同一である。需要情報をドメインBに転送する場合も同様である。
ここでは経路解決部53aが情報の経路を決定する態様として2つの態様を例示したが、経路解決部53aは、他の態様で、情報のドメインB側への経路を決定してもよい。
また、ドメインB側の経路解決部53bは、経路解決部53aと同様の方法で、ドメインA側に転送する供給情報や需要情報の経路を決定すればよい。
実施形態7.
需要家に管理される需要部は、電力を消費するだけでなく、発電を行う場合もある。この代表的な例として、需要家となる一般家庭において太陽光発電を行う場合等が挙げられる。第7の実施形態は、発電機能を有する需要部が発電を行い、その需要部の管理者が、他の需要部でその電力を利用するものである。
図13は、本発明の第7の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
需要部2s,2cは、第1の実施形態における需要部2と同様に、供給情報受信部21と、電力計22と、負荷23と、需要情報生成部25と、解析部26とを備える。ただし、需要部2sに関しては、これらの要素の図示を省略している。供給情報受信部21、電力計22、負荷23、需要情報生成部25および解析部26の動作は、第1の実施形態と同様である。
需要部2cでは、負荷23が、電気自動車81を充電する充電装置であるものとし、以下、充電装置23と記す。本実施形態において、需要部2cは、電気自動車に対する充電サービスを行うサービス事業者によって管理されているものとする。
また、需要部2cは、発電機能を有する他の需要部に対して、電力の供給を要求する電力要求情報を送信する電力要求部27aを備える。電力要求部27aは、例えば、充電装置23の使用者の操作により、電力要求情報の宛先となる需要部2sを指定され、指定された需要部2sのアドレスを宛先とし、需要部2c自身のアドレスを送信元として、電力要求情報を送信する。また、電力要求部27aは、充電装置23の使用を開始する際に電力要求情報を送信する。なお、電力要求情報において要求する電力の値は、予め定めておけばよい。また、電力要求部27aは、充電装置23の使用を中止するときに、電力供給中止指示を需要部2sに送信する。なお、ここでは、電力要求部27aが需要部2sに対して電力要求情報を送信する場合を例にして説明するが、図示されていない他の需要部に対して電力要求情報を送信してもよい。
電力要求部27a、解析部26および需要情報生成部25は、例えば、電力需要システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、これらの各要素が別々のユニットで実現されていてもよい。
また、発電機能を有する需要部2sは、電源61と、蓄電池62と、電力計63と、供給情報生成部65と、電力制御部66とを備える。
電源61は、グリーン電力を発電し、そのグリーン電力を蓄電池62に充電する。電源61は、例えば、風力、太陽光、バイオマス等によりグリーン電力を発電すればよい。ただし、グリーン電力の発電態様は特に限定されない。
蓄電池62は、電力制御部66の制御に従って、充電した電力を、電力計63を介して電力網42に供給する。また、蓄電池62は、需要部2s自身が備える負荷23(図13において図示略)に電力を供給してもよい。
電力計63は、蓄電池62が供給する電力を計測する。電力計63は、電力の計測結果を供給情報生成部65に入力してもよい。
電力制御部66は、電力要求情報を受信すると、その電力要求情報で指定された電力を蓄電池62に出力させる。蓄電池62は、電力制御部66からの要求に応じて、指定された電力を電力網42に供給する。また、電力制御部66は、電力供給中止指示を受信すると、蓄電池62に電力網42への電力供給を停止させる。
また、供給情報生成部65は、蓄電池62が電力網42に電力を供給している間、供給情報を生成する。この供給情報は、電源部において生成される供給情報と同様である。供給情報生成部65は、需要部2s自身のアドレスを送信元とし、電力要求情報の送信元となる需要部2cのアドレスを宛先とする供給情報を送信すればよい。また、供給情報は、電力要求情報で指定された電力を電力供給量として示していればよい。
電力制御部66および供給情報生成部65は、例えば、電力需要システム用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、これらの各要素が別々のユニットで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。
図14は、第7の実施形態における処理経過の例を示すフローチャートである。ここでは、発電機能を有する需要部2sの管理者(Rと記す。)が電気自動車81を所有し、サービス事業者の需要部2cにおいて充電サービスを受ける場合を例にして説明する。なお、需要部2sにおいて、蓄電池62は予め電源61によって充電されているものとする。
管理者Rは、サービス事業者の需要部2cにおいて、電気自動車81への充電サービスを申し込む。そして、需要部2cの電力要求部27aは、例えば、サービス事業者の操作に応じて、充電装置23の使用を開始する際に、需要部2sに電力要求情報を送信する(ステップS31)。電力要求情報の送受信は情報網41を介して行われる。
需要部2sの電力制御部66は、この電力要求情報を受信すると、蓄電池62に、電力網42への電力供給を開始させる(ステップS32)。そして、蓄電池62は、電力制御部66に従い、電力網42に電力を供給する(ステップS33)。この電力は、電力要求情報で指定された電力である。なお、蓄電池42が電力網42に電力を供給している間、供給情報生成部65は、供給情報を需要部2cに供給する。
サービス事業者の需要部2cでは、充電装置23が電力網42から電力供給を受け、その電力を用いて、需要部2sの管理者Rの電気自動車81に対する充電を行う(ステップS34)。
充電装置23が電気自動車81への充電を終了すると、電力供給部27aは、需要2sに対して、電力供給中止指示を送信する(ステップS35)。
需要部2sの電力制御部66は、需要部2cから電力供給中止指示を受信すると、蓄電池62に電力網42への電力供給を停止させる(ステップS36)。
本実施形態によれば、発電機能を有する需要部2sの管理者Rは、需要部2sで発電された電力を、他者の需要部2cで利用することができる。すなわち、他者の需要部2cにおいて電気自動車81の充電に用いる電力として、管理者R自身の需要部2sで発電した電力を用いることができる。従って、電気自動車81の充電サービスを受ける際に、管理者Rが、充電に用いる電力そのものの料金を負担しないようにすることができる。例えば、管理者Rが、需要部2cで充電サービスを受けたとしても、電力については料金を負担せずに、需要部2sから需要部2cまでの電力の託送料金について負担するように定めることができる。
実施形態8.
図15は、本発明の第8の実施形態の電力需給システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
第8の実施形態では、電源部1と、需要部2と、電源部コントローラ3と、蓄電部7a,7bとを備える。蓄電部7a,7bは、電力網42から電力の供給を受けて充電を行ったり、あるいは、充電した電力を電力網42に供給したりする。また、各蓄電部7a,7bは、情報網41にも接続され、情報網41を介して、電源部コントローラ3に制御される。図15では、2つの蓄電部7a,7bを図示しているが、蓄電部の数は3つ以上であってもよい。
電源部1および需要部2の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。
第8の実施形態において、蓄電部7a,7bは、電源部コントローラ3の制御に従い、電力網42から電力を受けて充電を行ったり、電力網42に対して電力を供給したりする。電源部コントローラ3は、蓄電部7a,7bに対する制御を行うことによって、例えば、蓄電部7aが電源部1から電力を受けて充電を行い、蓄電部7bが需要部2に対して電力供給を行うようにする。ただし、電源部1および需要部2の動作は、第1の実施形態と同様であり、電源部1から見ると、需要部2に電力を供給しているのと変わらず、また、需要部2から見ると、電源部1から電力供給を受けているのと変わらない。よって、電源部1は需要部2に供給情報を送信し、需要部2は電源部1に需要情報を送信する。
電源部コントローラ3は、送受信部31と、供給不足判定部32と、電力網制御部37とを備える。送受信部31および供給不足判定部32は、第1の実施形態と同様である。
電力網制御部37は、電源部1が需要部2のために供給した電力を充電する蓄電部(以下、充電蓄電部と記す)を選択し、電源部1から需要部2に対する供給量分の電力の充電をその充電蓄電部に指示する。また、需要部2に対して電力供給を行う蓄電部(以下、供給蓄電部と記す。)を選択し、電源部1から需要部2に対する供給量分の電力を、その供給蓄電部に供給させる。電源部1から需要部2に対する電力供給量は、予め契約等で定められており、例えば、その値を電源部コントローラ3のメモリ(図示略)に記憶させておけばよい。電力網制御部37は、予め定められたその供給量分の電力を充電蓄電部に充電させたり、あるいは、供給蓄電部から電力網42に供給させたりすればよい。図15に示す例では、蓄電部7aが充電蓄電部として選択され、蓄電部7bが供給蓄電部として選択された場合を示している。
また、電力網制御部37は、充電蓄電部を複数選択してもよい。この場合、電力網制御部37は、電源部1が需要部2のために供給する電力に基づいて、各充電蓄電部に対する充電量を配分して、充電を指示すればよい。同様に、電力供給を行う蓄電部を複数選択してもよい。この場合においても、電力網制御部37は、電源部1が需要部2のために供給する電力に基づいて、各供給蓄電部の供給量を配分し、各供給蓄電部に電力供給を指示すればよい。
また、電力網制御部37が、充電蓄電部や供給蓄電部を選択する場合、予め定められた基準に従って、選択を行えばよい。この基準の例として、例えば、「最寄りの蓄電部を選択する」という基準を採用してもよい。この場合、電力網制御部37は、充電蓄電部として、電源部1に最も近い蓄電部を選択したり、電源部1に近い順に複数の蓄電部を選択したりすればよい。また、電力網制御部37は、供給蓄電部として、需要部2に最も近い蓄電部を選択したり、需要部2に近い順に複数の蓄電部を選択したりすればよい。
充電蓄電部や供給蓄電部の選択態様は、上記の例に限定されない。電力網制御部37は、例えば、電線やトランスの余力に基づいて充電蓄電部および供給蓄電部を選択してもよい。また、電力網制御部37は、各蓄電部における蓄電池の残量に基づいて充電蓄電部および供給蓄電部を選択してもよい。例えば、電力網制御部37は、各蓄電部のうち、蓄電池残量の少ない順に1つまたは複数の蓄電部を充電蓄電部として選択してもよい。また、電力網制御部37は、各蓄電部のうち、蓄電池残量の多い順に1つまたは複数の蓄電部を供給蓄電部として選択してもよい。あるいは、どの蓄電部を充電蓄電部とし、どの蓄電部を供給蓄電部とするのかを需要家と電力業者との間で契約等で決めておき、その決定内容を電源部コントローラ3のメモリ(図示略)に記憶させておいてもよい。そして、電力網制御部37は、その決定内容に基づいて、充電蓄電部および供給蓄電部を選択してもよい。
送受信部31、供給不足判定部32および電力網制御部37は、例えば、電源システムコントローラ用プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。また、これらの各要素が別々のユニットで実現されていてもよい。
各蓄電部7a,7bは、電力送受信部73と、電力計72と、蓄電池71と、電力送受制御部79とを備える。電力送受信部73は、電力網42から電力を受けたり電力網42に電力を供給したりするインタフェースである。蓄電池71は、電力網42から入力された電力を充電し、また、その電力を電力網42に供給する。電力計72は、蓄電池71に充電される電力や、蓄電池71が電力網42に供給する電力を計測する。
電力送受制御部79は、電源部コントローラ3の電力網制御部37からの指示を、情報網41を介して受信する。電力網制御部37からは、電力の充電量または供給量が指示される。電力送受制御部79は、電力の充電量を指示された場合、指示された分の電力を蓄電池71に充電させる。この場合、この指示を受けた蓄電部は、充電蓄電部に該当することになる。また、電力送受制御部79は、電力の供給量を指示された場合、蓄電池71に、指示された分の電力を電力網42に供給させる。電力送受制御部79は、例えば、プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。
図16は、第8の実施形態における処理の例を示すフローチャートである。なお、電源部1および需要部2の動作は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。電源部コントローラ3の電力網制御部37は、各蓄電部の中から、充電蓄電部として用いる蓄電部と、供給蓄電部として用いる蓄電部とを選択する(ステップS41)。以下、蓄電部7aを充電蓄電部として選択し、蓄電部7bを供給蓄電部として選択した場合(図15参照)を例にして説明する。
次に、電力網制御部37は、充電蓄電部7aに対して、電源部1から需要部2に対する電力供給量分の充電を、情報網1を介して指示する。また、電力網制御部37は、供給蓄電部7bに対して、電源部1から需要部2に対する電力供給量分の電力を電力網42に供給するように指示する(ステップS42)。
充電蓄電部7aの電力送受制御部79は、電力網制御部37からの指示を受信すると、蓄電池71に、指示された分の電力を充電させる。充電蓄電部7aの蓄電池71は、電力網42からの電力により充電を行う。また、供給蓄電部7bの電力送受制御部79は、電力網制御部37からの指示を受信すると、蓄電池71に、指示された分の電力を、電力網42に供給させる(ステップS43)。この結果、電源部1から需要部2に向けて送出した電力が蓄電部7aに充電されることになる。また、需要部2は、供給蓄電部7bから電力を供給されることになる。
以上のように蓄電部7a,7bが充電や電力供給を行っても、電源部1にとっては、需要部2に電力を供給しているのと変わらない。また、需要部2にとっては、電源部1から電力供給を受けているのと変わらない。
本実施形態によれば、電力網42における電力の実際の経路を制御することができる。
また、第8の実施形態の構成は、図15に示す例に限定されない。第1から第7までの各実施形態やその変形例において、蓄電部7a、7bを備え、電源部コントローラ3が電力経路制御部37を有する構成としてもよい。そして、第8の実施形態と同様の動作を行ってもよい。
次に、本発明の最小構成の例について説明する。図17は、本発明の電力需給システムの最小構成の例を示すブロック図である。図18は、本発明の電源システムの最小構成の例を示すブロック図である。図19は、本発明の電力需要システムの最小構成の例を示すブロック図である。図20は、本発明の電源システムコントローラの最小構成の例を示すブロック図である。
本発明の電力需給システムは、所定の属性を有する電力である特定電力(例えば、グリーン電力)を供給する電源システム1(例えば、電源部1)と、特定電力の供給を電源システム1に対して要求する電力需要システム2(例えば、需要部2)と、電源システム1を制御する電源システムコントローラ3(例えば、電源部コントローラ3)とを備える。
電源システム1は、電力需要システム2に対する特定電力の供給量を示す供給情報を生成する。電力需要システム2は、電力需要を示す需要情報を生成する。電源システムコントローラ3は、供給情報および需要情報を参照し、電源システム1から電力需要システム2に対する特定電力の供給量よりも、電力需要システム2の電力需要が大きくなった場合に、電源システム1に特定電力の供給量の増加を指示する。
このような構成により、所定の属性を有する特定電力の供給を望む需要家に対して、その需要家の電力需要が増加した場合であっても、電力需要の増加に合わせて、その特定電力を供給できる。換言すれば、特定電力の持つ特別な価値を供給することができる。
また、電源システム1は、例えば、電源111と、供給情報生成手段115と、制御手段116とを備える(図18参照)。電源111(例えば、電源11,11a)は、特定電力を電力網に供給する。供給情報生成手段115(例えば、供給情報生成部15)は、特定電力を消費する電力需要システム2に対する特定電力の供給量を示す供給情報を生成し、電力需要システムに送信する。制御手段116(例えば、電源・電池制御部16または電源制御部19)は、電源システムコントローラ3から、特定電力の供給量の増加の指示を受けた場合に、電力網への特定電力の供給を増加させる制御を行う。
また、電力需要システム2は、電力消費手段123と、需要情報生成手段125とを備える(図19参照)。電力消費手段123(例えば、負荷23)は、電力網から供給された電力を消費する。需要情報生成手段125(例えば、需要情報生成部25)は、電力消費手段123での電力需要を示す情報を示す需要情報を生成し、電源システム1に送信する。
また、電源システムコントローラ3は、供給不足判定手段132を備える(図20参照)。供給不足判定手段132(例えば、供給不足判定部32)は、電源システム1から電力需要システム2への特定電力の供給量を示す供給情報と、電力需要システム2での電力需要を示す需要情報とを比較し、電力需要が供給量を上回った場合に、電源システム1に特定電力の供給量の増加を指示する。
そして、電力需給システムにおいて、電源システム2が、特定電力を発電し、電力網に供給する電源111(例えば、電源11)と、電源に発電された特定電力の一部によって充電される蓄電池(例えば、蓄電池12)と、電力需要システムに対する特定電力の供給量を示す供給情報を生成し、電力需要システム1に送信する供給情報生成手段115(例えば、供給情報生成部15)と、特定電力の供給量の増加の指示を電源システムコントローラ3から受けた場合に、蓄電池に電力網への特定電力の供給を開始させる制御手段116(例えば、電源・電池制御部16)とを含み、電力需要システム2が、電力網から供給された電力を消費する電力消費手段123(例えば、負荷23)と、電力消費手段123での電力需要を示す情報を示す需要情報を生成し、電源システム1に送信する需要情報生成手段125(需要情報生成部25)とを含み、電源システムコントローラ3が、供給情報が示す供給量と、需要情報が示す電力需要とを比較し、電力需要が供給量を上回った場合に、電源システム1に特定電力の供給量の増加を指示する供給不足判定手段132(例えば、供給不足判定部32)を含む構成であってもよい。
また、電力需給システムにおいて、電源システム1が、特定電力を発電し、電力網に供給する電源111(例えば、電源11a)と、電力需要システム2に対する特定電力の供給量を示す供給情報を生成し、電力需要システム2に送信する供給情報生成手段115と、特定電力の供給量の増加の指示を電源システムコントローラから受けた場合に、電源111に、電力網に供給する特定電力を増加させる制御手段116(例えば、電源制御部19)とを含み、電力需要システム2が、電力網から供給された電力を消費する電力消費手段123と、電力消費手段123での電力需要を示す情報を示す需要情報を生成し、電源システム1に送信する需要情報生成手段125とを含み、電源システムコントローラ3が、供給情報が示す供給量と、需要情報が示す電力需要とを比較し、電力需要が供給量を上回った場合に、電源システム1に特定電力の供給量の増加を指示する供給不足判定手段132を含む構成であってもよい。
また、電源システムとして、通常時に特定電力を供給する第1の電源システム(例えば、第3の実施形態における電源部1a)と、バックアップとなる第2の電源システム(例えば、第3の実施形態における電源部1b,1c)とを備え、第1の電源システムの制御手段116が、当該第1の電源システムが特定電力の供給を維持できない場合に、特定電力の不足分を電源システムコントローラ3に通知し、電源システムコントローラ3が、第1の電源システムから特定電力の不足分の通知を受けると、第1の電源システムで供給できなくなった不足分の特定電力の供給開始を第2の電源システムに指示する供給量制御手段(例えば、供給量制御部33)を含み、第2の電源システムの制御手段116が、電源システムコントローラ3から特定電力の供給開始を指示されると、指示された分の特定電力を電源に供給させる構成であってもよい。
また、電源システムとして、通常時に特定電力を供給する第1の電源システム(例えば、第4の実施形態における電源部1a)と、バックアップとなる第2の電源システム(例えば、第4の実施形態における電源部1b,1c)とを備え、第1の電源システムの制御手段116が、当該第1の電源システムが特定電力の供給を維持できない場合に、特定電力の不足分を検出し、第1の電源システムは、不足分の特定電力の供給開始を第2の電源システムに指示する開始要求手段(例えば、開始要求部17)を含み、第2の電源システムの制御手段116が、開始要求手段から特定電力の供給開始を指示されると、指示された分の特定電力を電源に供給させる構成であってもよい。
また、供給不足判定手段が、現在時刻に直近の所定期間に対応する供給量と電力需要とを比較する構成であってもよい。
また、供給情報生成手段が、フロー毎に、共通の供給量を表すパケットのパケット群を供給情報として生成する構成であってもよい。
また、電源需要システム2が、電力需要に応じて、1つ以上の電源システムを選択し、選択した電源システムに対して特定電力の供給を要求する電力要求手段(例えば、第5の実施形態における電力要求部27)を含む構成であってもよい。
また、電源需要システム2が、受信した供給情報に基づいて、どの電源システムからどれだけの特定電力の供給を受けているのかを判定する需要側解析手段(例えば、解析部26)を含む構成であってもよい。
また、電源システム1が、受信した需要情報に基づいて、どの電源需要システムでどれだけの電力需要があるのかを判定する供給側解析手段(例えば、解析部52)を含む構成であってもよい。
また、電源システム、電力需要システムおよび電源システムコントローラが通信に用いる情報網におけるドメイン間にゲートウェイ(例えば、ドメイン間ゲートウェイ51a,51b)を備え、ゲートウェイが、転送させる供給情報に基づいて、どの電力需要システムがどの電源システムからどれだけの特定電力の供給を受けているのかを判定し、転送させる需要情報に基づいて、どの電源需要システムでどれだけの電力需要があるのかを判定する構成であってもよい。
また、電源システム、電力需要システムおよび電源システムコントローラが通信に用いる情報網におけるドメイン間に複数のゲートウェイを備え、各ドメイン属する情報網内に、予め定められた基準に従って、供給情報および需要情報を転送させるゲートウェイを決定する経路決定手段(例えば、経路解決部53a,53b)を備える構成であってもよい。
また、電力需要システムとして、発電機能を有する第1の電力需要システム(例えば、第7の実施形態における需要部2s)と、第2の電力需要システム(例えば、第7の実施形態における需要部2c)とを備え、第2の電力需要システムが、第1の電力需要システムに対して特定電力を要求する特定電力要求手段(例えば、電力要求部27a)を含み、第1の電力需要システムが、特定電力を発電する電力需要システム内電源(例えば、電源61)と、特定電力要求手段から要求があった場合に、電力需要システム内電源に、第2の電力需要システムへの電力供給を行わせる電力制御手段(例えば、電力制御部66)とを含む構成であってもよい。
また、電力網から供給される電力の充電および電力網への電力供給を行う蓄電手段を複数備え(例えば、蓄電部7a,7bを備え)、電源システムコントローラが、各蓄電手段の中から、電源システムから電力需要システムに対する供給量分の電力を充電する第1の蓄電手段(例えば、充電蓄電部)として用いる蓄電手段と、その供給量分の電力を供給する第2の蓄電手段(例えば、供給蓄電部)として用いる蓄電手段とを選択し、第1の蓄電手段として選択した蓄電手段に対して、その供給量分の電力の充電を指示し、第2の蓄電手段として選択した蓄電手段に対して、その供給量分の電力の供給を指示する電力網制御手段(例えば、電力網制御部37)を備え、第1の蓄電手段として選択された蓄電手段(例えば、図15に例示した蓄電部7a)が、電力網制御手段の指示に応じて充電を行い、第2の蓄電手段として選択された蓄電手段(例えば、図15に例示した蓄電部7b)が、電力網制御手段の指示に応じて電力供給を行う構成であってもよい。