JP5768233B2 - 固体表面の濡れ性制御方法及びその固体表面 - Google Patents

固体表面の濡れ性制御方法及びその固体表面 Download PDF

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Description

本発明は、固体表面の濡れ性制御方法及びその固体表面に関するものであり、更に詳しくは、実用金属/合金表面等の固体表面に、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは、非晶性フッ素樹脂膜を形成し、更に、適宜、共有結合、物理吸着、疎水性相互作用を介して固定化し、膜厚0.5〜5nm程度の薄膜を形成することにより、あるいは当該薄膜被覆基板を加熱することにより、液滴(水、油、イオン液体等)と固体表面の相互作用を著しく抑制し、上記液滴の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)の差(θ−θ、ヒステリシス)を小さくすることで、該液滴の滑落性、耐水性、固体表面からの液滴の除去性、防食特性を向上させることを可能にする固体表面の改質技術に関するものである。本発明は、液滴と固体表面の相互作用を抑制することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上による視界確保、汚れ/油付着制御、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属の腐食防止等の分野において、特に有効な表面改質技術に関する新技術・新製品を提供するものである。
従来、メチル基や、トリフルオロメチル基のような、不活性な官能基で終端された有機分子を利用して、固体表面に、膜厚〜2nm程度の単分子膜を形成し、固体表面の濡れ性を制御する研究が盛んに行われている。単分子膜を形成する有機分子と、基板との組み合わせの代表的な例として、例えば、金属単結晶やGaAs等の表面と、チオール等の有機硫黄化合物やSi(自然酸化膜[SiO])の有機分子、ガラス表面と、有機シラン分子、R’SiX4−n(n=1,2,3,一般的に、X=Cl,OR基)の例が、よく知られている。
特に、有機シラン分子の単分子膜形成については、1980年に、イスラエルのSagiv教授らのグループによる報告(非特許文献1)以来、この分野の研究が、世界中で、精力的に行われている。しかし、Siや、ガラス表面への単分子膜形成に関する研究と比較すると、ポリマー、金属、金属酸化膜、金属酸化物、又は合金表面への単分子膜形成に関する研究は少ない。
金属(含金属酸化膜)、金属酸化物、合金表面では、有機シラン分子以外に、ホスホン酸(例えば、非特許文献2)、長鎖アルキル脂肪酸(例えば、非特許文献3)が、単分子膜を形成することが報告されている。また、本発明者らは、メチル基や、トリフルオロメチル基終端のイソシアナート分子を利用して、光酸化した基材のアルミニウムや、チタン表面上に、安定した単分子膜を形成し、基材表面をはっ水化(疎水化)/はつ油化することに成功している(例えば、非特許文献4)。
固体表面の濡れ性は、一般的に、接触角を測定し、その値の大小で評価される。接触角の値が大きいほど、濡れ性が悪い(はっ水(疎水)性/はつ油性)ことを意味し、反対に、接触角の値が小さいほど、濡れ性が良い(親水的/親油性)ことを意味する。例えば、ガラス表面に、はっ水性を示すフッ素系シランカップリング剤を用いて、単分子膜を形成すると、ガラス表面は、非常に疎水的になり、得られる水滴接触角は、117°となる。
この水滴接触角は、水平面で、水滴が静止した状態で測定した値、すなわち静的接触角である。この固体表面は、高いはっ水性を示すにも関わらず、水滴は、固体表面に付着し、飛散性、滑水性、水滴除去性に劣っている。この現象は、固体表面の“動的濡れ性”に大きく関与している。動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定すると、両者の値には、差、いわゆる接触角ヒステリシス(θ−θ)が生じる。
この値が小さく、あるいはゼロになれば、基板表面に付着した液滴は、大きな変化を伴うことなく、わずかに基板を傾けただけで、基板表面を容易に滑落して行く。この接触角ヒステリシスが生じる原因は、形成した単分子膜の被覆率の低さと、低規則性構造により、液滴と基材表面の極性官能基が相互作用する、いわゆる“ピン留め効果”によるものと考えられている(非特許文献5)。
これまでの、固体表面に対するはっ水化(疎水化)/はつ油化処理に関する研究では、上述の静的接触角を用いて、その濡れ性を評価することが主流であった。しなしながら、最近、各種の工学分野で、“動的濡れ性”の重要性が認識されはじめている。材料表面における液滴の動的な挙動は、“液滴の除去性能”の指針として、特に重要であるが、これまで、ほとんどの研究は、静的接触角の値を大きくすることにばかりにその精力が注がれ、“動的濡れ性”を積極的に制御する研究は、非常に限られているのが実情である。
例えば、McCarthyらにより、トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチレンジメチルシランを、シリコン基板に、共有結合(シロキサン結合、Si−O−Si)で固定化したところ、シリコン表面は、疎水化し、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ104°/103°となったと報告している(非特許文献6)。
また、ジメチルジクロロシランを、シリコン基板に固定化したところ、シリコン表面は、同様に疎水化し、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ104°/103°となったと報告している(非特許文献7)。このように、ヒステリシスの極めて小さい表面を得たという報告は、いずれも、シリコン基板に限定されており、実用金属/合金基板表面では、ほとんど実現されていない。
Hintzeらは、Al合金(2024−T3)表面に、分子鎖長の異なるデシル基、すなわち、デシル基:R’=CH(CH,オクタデシル基:R’=CH(CH17を有する有機シラン(X=OCHCH,n=1)の単分子膜を形成したが、いずれの分子を用いても、高い疎水性表面(静的接触角113−117°)は得られるものの、動的接触角の測定では、前進接触角(θ)/後退接触角(θ)の差(ヒステリシス)が、50−70°と大きいため、液残りによる腐食が観察された(非特許文献8)。
実用金属基板表面での研究例は、本発明者らのアルミニウム、チタンの表面処理に関する研究が唯一である(非特許文献9、非特許文献10)。また、分子膜で処理した基板表面以外では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)表面自身は、ヒステリシスが小さい(2〜3°)ことが知られている(非特許文献11、12)。しかし、実際の金属/合金基板等に対して、共有結合を介して、強固に被覆した事例はない。
J.Sagiv,J.Am.Chem.Soc.,102,92(1980) J.A.DeRose,E.Hoque,B.Bhushan and H.J.Mathieu,Surf.Sci.,602,1360(2008) C.O.Timmons and A.W.Zisman,J.Phys.Chem.,69,984(1965) A.Hozumi,B.Kim,T.J.McCarthy,Langmuir,25,2875(2009);Langmuir,25,6834(2009) L.Gao,L.and T.J.McCarthy,Langmuir,23,3762(2007) A.Fadeev and T.J.McCarthy,Langmuir,15,7328(1999) A.Fadeev and T.J.McCarthy,Langmuir,16,7268(2000) P.E.Hintze and L.M.Calle,Electrochimica Acta,51,1761(2006) A.Hozumi and T.J.McCarthy,Langmuir,26,2567(2010) A.Hozumi,Chen,D.F.and M.Yagihashi,J.Colloid Interfaces Sci.,353,582(2011) M.K.Chaudhury and G.M.Whitesides,Langmuir,7,1013(1991) J.W.Krumpfer and T.J.McCarthy,Faraday Discuss.,146,103(2010)
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、実用金属/合金基板表面の表面処理技術を開発することを目標として鋭意研究を進めた結果、各種基板表面を、酸素プラズマや、紫外線照射により洗浄した後、基板表面に、シリコーンのホモポリマー原液、コポリマー原液、あるいは、非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)をフッ素系溶媒(ハイドロフルオロエーテル)で希釈した溶液を、滴下あるいはスピンキャストさせ、所定温度で、所定時間加熱処理し、反応に関与しなかった余剰分子を、ヘキサン等の有機溶剤で除去することにより、膜厚が0.5〜5nm以下の、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を形成し、ヒステリシスの極めて小さい表面を、シリコン基板だけでなく、実用金属/合金基板、例えば、アルミニウム/アルミニウム合金、チタン、銅、鉄、亜鉛等の表面で実現できることを見出し、また、当該薄膜被覆基板を加熱するとヒステリシスが変化し(小さくなり)、室温に戻すとヒステリシスが元の状態に戻ることを見いだし、更に研究を重ねて、本発明を完成させるに至った。
本発明は、ヒステリシスの極めて小さい固体表面を、シリコン基板だけでなく、例えば、アルミニウム/アルミニウム合金、チタン、銅、鉄、亜鉛等の実用金属/合金基板表面において実現できる新しい表面改質技術を提供することを目的とするものである。また、本発明は、基板表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が5°以下の値を示す、ヒステリシスの極めて小さい表面にすることを可能とする表面改質技術を提供することを目的とするものである。また、本発明は、液滴と固体表面の相互作用を抑制することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上による視界確保、汚れ/油付着制御、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属の腐食防止等の分野において、特に有効な表面改質技術を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)固体表面の濡れ性を制御する方法であって、
1)シリコン、ガラス又は石英、並びに、実用金属ないし合金のアルミニウム、チタン、銅、鉄、亜鉛の内から選択した固体表面に、予め該表面の不純物を除去した後、シリコーンのホモポリマー原液又はコポリマー原液、あるいは、非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)をフッ素系溶媒で希釈した溶液を、滴下あるいはスピンキャストし、加熱処理した後、余剰未反応分子を有機溶剤で除去すること、2)上記シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマーとして、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基の内から選択した1種類以上の不活性な官能基、並びに、水酸基、水素基、ビニル基、クロロ基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボニル基の内から選択した1種類以上の反応性官能基が含まれていて、その粘度が500以下のポリマーを使用すること、3)該固体表面を、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆して、シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜を固体表面の酸素含有極性基である水酸基との間で共有結合を介して固定化する、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を、固体表面に物理吸着あるいは疎水性相互作用を介して固定化すること、4)上記1〜3)により、表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下になるようにすることを特徴とする固体表面の濡れ性制御方法。
(2)相対湿度5%以下の窒素雰囲気下、50〜180℃で、24〜72時間、加熱処理する、前記(1)に記載の固体表面の濡れ性制御方法。
)固体表面を、膜厚が0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆する、前記(1)又は(2)に記載の固体表面の濡れ性制御方法。
)シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜表面に残存する反応基に、触媒、熱、又は光を利用して、枝状構造を持つ分子(Vinyl T−structure Polymer、Gelest製、VTT−106)を共有結合を介して固定化する、前記(1)から()のいずれかに記載の固体表面の濡れ性制御方法。
)固体表面を、総膜厚が5〜10nmの2層構造で被覆する、前記()に記載の固体表面の濡れ性制御方法。
)上記固体表面を加熱(〜100℃)することにより、該表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下に変化するように、また、上記固体表面を冷却することにより、該表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、元の状態にもどるように、後退接触角との差(ヒステリシス)を可逆的に制御する、前記(1)から()のいずれかに記載の固体表面の濡れ性制御方法。
)濡れ性の制御された固体表面であって、
1)該固体表面が、シリコン、ガラス又は石英、並びに、実用金属ないし合金のアルミニウム、チタン、銅、鉄、亜鉛の内から選択した固体表面であり、該固体表面が、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹(アモルファスフロロポリマー)膜で均一に被覆されていて、2)上記シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー中に、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基の内から選択した1種類以上の不活性な官能基、並びに、水酸基、水素基、ビニル基、クロロ基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボニル基の内から選択した1種類以上の反応性官能基が含まれていて、該ポリマーの粘度が500以下であり、3)当該シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜が、固体表面の酸素含有極性基である水酸基との間で共有結合を介して固定化され、あるいは非晶性フッ素樹脂膜が、固体表面に物理吸着あるいは疎水性相互作用を介して固定化されている構造を有し4)該固体表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下の小さいヒステリシスを示すことを特徴とする上記固体表面。
)固体表面が、膜厚が0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆されている、前記()に記載の固体表面。
)シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜表面に残存する反応基に、触媒、熱、又は光を利用して、枝状構造を持つ分子(Vinyl T−structure Polymer、Gelest製、VTT−106)が共有結合を介して固定化されている、前記(7)又は(8)に記載の固体表面。
10)固体表面が、総膜厚が5〜10nmの2層構造で被覆されている、前記()に記載の固体表面。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、固体表面の濡れ性制御方法であって、実用金属/合金表面等の固体表面に、シリコーンのホモポリマー原液、コポリマー原液、あるいは非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)をフッ素系溶媒(ハイドロフルオロエーテル)で希釈した溶液を、滴下あるいはスピンキャストし、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下、50〜180℃で、24〜72時間、加熱処理した後、余剰分子を、ヘキサン等の有機溶剤で除去することにより、各種液滴(水、油、イオン液体等)の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下になるようにすること、を特徴とするものである。本発明では、上記シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマーとして、例えば、polyMethylHydrosiloxanes、あるいはそれと同等又は類似の効果を奏する以下に示す化合物が例示される。
Trimethylsiloxy terminated; Hydride Terminated PolyDimethylsiloxanes; MethylHydrosiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers, Trimethylsiloxy terminated; MethylHydrosiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers, Hydride terminated; polyEthylHydrosiloxane, Triethylsiloxy terminated; polyPhenyl−(DiMethylHydrosiloxy)siloxane, hydride terminated; MethylHydrosiloxane−PhenylMethylsiloxane copolymer, hydride terminated; MethylHydrosiloxane−OctylMethylsiloxane copolymers and terpolymers; Vinyl Terminated PolyDimethylsiloxanes; Vinyl Terminated Diphenylsiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers; Vinyl Terminated polyPhenylMethylsiloxane; VinylPhenylMethyl Terminated VinylPhenylsiloxane−PhenylMethylsiloxane Copolymer; Vinyl Terminated TrifluoropropylMethylsiloxane−Dimethylsiloxane Copolymer; Vinyl Terminated Diethylsiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers; Vinylmethylsiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers, trimethylsiloxy terminated; Vinylmethylsiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers, silanol terminated 4−6% OH; Vinylmethylsiloxane−Dimethylsiloxane Copolymers, vinyl terminated; Vinylmethylsiloxane Homopolymers; MonoVinyl Terminated PolyDimethylsiloxanes−asymmetric; MonoVinyl Functional PolyDimethylsiloxane−symmetric; (3−5% Vinylmethylsiloxane)−(35−40% OctylmethylSiloxane)−(Dimethylsiloxane)terpolymer; (3−5% Vinylmethylsiloxane)−(35−40% PhenylmethylSiloxane)−(Dimethylsiloxane)terpolymer; Vinylmethoxysiloxane Homopolymer; Vinylethoxysiloxane Homopolymer; Vinylethoxysiloxane−Propylethoxysiloxane Copolymer。
また、本発明で使用される非晶質フッ素樹脂、それを溶解する溶媒としては、例えば、非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)として、テフロン(登録商標)AF(米国デュポン社製、AF1600、AF2400)、フッ素系溶媒として、3M NovecTM(住友スリーエム社製、HFE−7100、HFE−7200、HFE−7300)が好適なものとして例示される。
本発明の濡れ性制御による表面改質方法においては、シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー中に、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基の内から選択した1種類以上の不活性な官能基が含まれていることが好ましい。また、上記の表面改質方法において、シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー中に、水酸基、水素基、ビニル基、クロロ基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボニル基の内から選択した1種類以上の反応性官能基が1個以上含まれていることが好ましい。更に、シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマーの粘度が500以下であることが望ましい。なぜなら、粘度が500を超えると、得られる膜表面の流動性が悪くなり、ヒステリシスが大きくなるためである。
また、本発明では、上記の表面改質方法において、固体表面は、膜厚が0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆されていて、当該シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜は、基板表面の酸素含有極性基である水酸基との間で共有結合を介して、非晶性フッ素樹脂膜は物理吸着あるいは疎水性相互作用を介して固定化されている。
本発明では、当該シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜表面に残存する反応基に、触媒、熱、又は光を利用して、枝状構造を持つ分子を、共有結合を介して、固定化すること、総膜厚が5〜10nmの2層構造で、固体表面を被覆すること、各種液滴(水、油、イオン液体等)の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下になるようにすること、を好ましい実施態様としている。
本発明では、当該薄膜被覆基板のうち、室温下で比較的大きなヒステリシス(〜15°)を示すものでも、所定温度(〜100℃)に加熱することにより、ヒステリシスを小さくすることができる。また、室温下で小さなヒステリシスを示すものは、更にヒステリシスが小さくなるため、高温環境下で基板を使用することを好ましい実施態様としている。また、冷却することにより、ヒステリシスは元の状態に戻るため、ヒステリシスの可逆的な制御が可能である。
本発明では、様々な基板表面(固体表面を基板と記載することがある)を、プラズマ、紫外線、又はオゾン等の手法を用いて、予め表面の不純物を完全に除去した後、シリコーンのポリマー原液、コポリマー原液、あるいは非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)をフッ素系溶媒(ハイドロフルオロエーテル)で希釈した溶液を、滴下あるいはスピンキャストし、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、所定温度/所定時間、加熱処理後、余剰未反応分子を、有機溶剤で除去するだけで、基板と強固に密着した膜厚0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー膜を形成することができる。また、非晶性フッ素樹脂膜は、物理吸着を介して基板に固定化される。中間層として予め疎水性薄膜(例えば、前述のpolyMethylHydrosiloxanes)で基板表面を被覆しておけば、疎水性相互作用により基板との密着性を向上させることもできる。
上記処理を施した基板表面は、液滴との相互作用が著しく抑制されるため、ヒステリシス(前進接触角と、後退接触角との差)が極めて小さくなり、液体の駆動性を向上させることが可能となる。更に、本発明では、残存した反応性官能基を利用して、その表面に、枝状構造を持つ分子を共有結合により固定化することにより、低ヒステリシス状態を維持したまま、金属の耐食性を大幅に向上させることができる。
本発明で使用し得る基板としては、シリコン、ガラス又は石英、並びに、実用金属ないし合金のアルミニウム、チタン、銅、鉄、亜鉛等の、適宜の材料を、任意に使用することができる。基板の材料の具体例としては、シリコン、ガラス、石英、自然酸化膜被覆金属であるアルミニウム/アルミニウム合金、チタン、鉄、銅、亜鉛が好適なものとして使用される。また、基板表面は平滑なもの、平均自乗粗さが1nm以下、であることが好ましい。これらの基板の形状は、板状、粉末状、チューブ状等の、任意な形状にすることができる。
本発明においては、予め基板表面を親水化処理する目的で、酸素プラズマ、真空紫外光、又はオゾン等により、基板表面に付着した有機物を除去することにより、基板表面は親水化するが、その場合、好ましくは、波長172nm以下の真空紫外光を使用する。ポリマー基板の場合は、この処理により、酸素含有極性基である水酸基が生成する。
続いて、基板表面の酸素含有極性基である水酸基と、シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー中の反応性官能基とを反応させる。非晶性フッ素樹脂の場合、物理吸着あるいは疎水性相互作用により固定化させる。反応方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、基板に、シリコーンのホモポリマー原液、コポリマー原液を、あるいは非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)をフッ素系溶媒(ハイドロフルオロエーテル)で希釈した溶液を、直接、滴下するか、あるいはスピンキャストするだけでよい。得られるシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜の膜厚は、用いる原料の分子量、粘度、スピンキャストの速度、濃度に依存するものの、おおよそ5nm以下で、溶媒、例えば、トルエンによる希釈を行うことで、0.5nm程度まで薄くすることも可能である。
処理条件は、基板の種類に依存するが、処理温度は、50〜180℃、処理時間は、24〜72時間、窒素雰囲気下で、該雰囲気中の相対湿度は、5%以下であることが望ましい。また、反応せずに、表面に残存した反応基を利用して、更に、異なる分子を共有結合により結合、固定化させることも可能である。使用する分子は、枝状構造を持つ分子であることが好適である。枝状構造を持つ分子として、Vinyl T−structure Polymerが使用され、参考例として、それと同等又は類似の効果を奏する以下に示す枝状構造を有する化合物が例示される。
Tri−t−Butoxysilanol; Tri−t−Butylaminosilane, 95%; Tri−t−Butylsilane, 95%; Triisopropoxysilane, 95%; Triisopropylchlorosilane; Tri−t−Pentoxysilanol, 99%; [Tris(Trimethylsiloxy)Silylethyl]Dimethylchlorosilane; Tri−t−Butoxychlorosilane, 95%; Di−t−Butylmethylchlorosilane; Di−t−Butylmethylsilane; Bis((Tridecafluoro−1,1,2,2−Tetrahydrooctyl)Dimethylsiloxy)Methylchlorosilane; Bis((Tridecafluoro−1,1,2,2−Tetrahydrooctyl)Dimethylsiloxy)Methylsilane; [Bis(Nonafluorohexyldimethylsiloxy)Methyl]Silylethyldimethylchlorosilane, 95%; Bis(Nonafluorohexyldimethylsiloxy)Methylsilane, 95%。
上記反応を促進させるために、加熱処理や、触媒反応を利用することもできる。これらの処理をすることで、雰囲気中の水分と反応する可能性のある未反応の反応性官能基を、キャッピングし、より安定な、低ヒステリシス表面を形成することが可能となる。この場合、膜厚は、全体で、5〜10nm程度になり、金属の防食特性を向上させるには、特に有効である。
上述した通り、本発明では、基板表面に、膜厚0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を形成することにより、あるいは、当該薄膜被覆基板を加熱することにより、液滴との相互作用のない低ヒステリシス表面が得られる、更に、本発明では、残存する反応性官能基と枝状構造を持つ分子を共有結合させることで、低ヒステリシス表面状態を維持したまま、総膜厚5〜10nmの2層構造から構成される、より安定な、低ヒステリシス表面を形成することができる。
シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー膜を形成する際に用いる原料は、有機溶剤等で希釈することも可能であり、原液の蒸気を利用することも可能であるが、シリコーン原液そのものであることが望ましい。シリコーン原液を滴下するか、スピンキャストし、反応終了後、余剰未反応原液を、ヘキサン等の有機溶剤でリンスするだけで、簡便に、ホモポリマー膜あるいはコポリマー膜を形成することができる。非晶性フッ素樹脂膜を形成する際に用いる原料(粉末状固体)は、フッ素系溶剤(ハイドロフルオロエーテル)で希釈する必要である。該希釈液を滴下するかスピンキャストし、反応終了後、余剰未反応原液をフッ素系溶剤でリンスするだけで、簡便に透明な非晶性フッ素樹脂膜を形成することができる。
本発明の表面処理技術を用いることにより、これまで困難であった、実用金属/合金表面等の基板表面上での液体の駆動性を、向上させることが可能になる。上記処理を施した基板表面が、液滴との相互作用を抑制できる理由は、シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜が、基板を均一に被覆し、あたかも“液体表面”のような挙動をし、基板表面の未反応の極性官能基との相互作用を抑制するという、化学的効果によるものと想定される。また、非晶性フッ素樹脂膜では、基板を均一に被覆しているだけでなく、シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜と比較して、表面エネルギーが極めて低い(8dyn/cm)ことによるものと想定される。更に、加熱することによりヒステリシスが小さくなるのは、薄膜の分子運動が激しくなり、表面の流動性が大きくなるという物理的効果によるものと想定される。
すなわち、本発明では、上述した通り、平滑な基板表面に、0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を形成することにより、あるいは、当該薄膜被覆基板を加熱することにより、固体/液体界面の相互作用が抑制され、当該処理基板表面上での接触角ヒステリシス、すなわち前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)の差が、極めて小さくなり、そのため、わずかな傾斜で、液体が駆動するという作用効果が得られる。この現象は、基板表面に固定化したシリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜が、基板を均一に被覆し、あたかも液体のような挙動をするため、下地の極性官能基との相互作用を抑制するという化学的な効果と、加熱することにより分子運動が激しくなり、表面の流動性が大きくなるという物理的効果により出現するものと推定される。また、非晶性フッ素樹脂膜では、基板を均一に被覆しているだけでなく、シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜と比較して、表面エネルギーが極めて低い(8dyn/cm)ことによるものと想定される。
本発明で用いるシリコーンのホモポリマーあるいはコポリマーは、前記したように、液体で、粘度が低いこと(粘度500以下)が望ましく、また、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基といった表面エネルギーの低い官能基が一つ入っていることが望ましい。それは、これらの官能基は、表面エネルギーが低いため、得られる基板表面を効果的に疎水化できるためである。非晶性フッ素樹脂は、これらの官能基で終端されたホモポリマーあるいはコポリマーの持つ表面エネルギーと比較して更に低い(〜8dyn/cm)ため、より効果的である。
また、前記したように、基板表面に形成する膜は、基板表面と強固な化学結合を得るために、反応性官能基が入っていることが望ましいが、それは、反応性官能基がないと、基板表面と吸着した有機分子の界面で十分な密着性が得られないためである。ただし、非晶性フッ素樹脂には反応性官能基がないため、基板表面に物理吸着させる手法が唯一であるが、あらかじめ、疎水性薄膜で基板を被覆することにより、疎水性相互作用を利用して、密着性を向上させることも可能である。更に、反応せずに、表面に残存した反応基を利用して、異なる分子を共有結合により結合させることも有効である。
その場合、液滴(特に、水滴)との相互作用を抑制する観点から、使用する分子は、枝状構造であることが好適である。この処理をすることで、雰囲気中の水分と反応する可能性のある未反応の反応性官能基を、キャッピングすることができるため、より安定な、低ヒステリシス表面を形成することが可能となり、金属の防食特性を向上させるには、特に有効である。膜厚は、全体で5〜10nm程度で、2層から構成される。
本発明の表面処理技術を用いることにより、従来技術では困難であった、実用金属/合金表面、ガラス又は石英から構成される基板表面と、液滴との相互作用を抑制することが可能となり、その結果、前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)の差(ヒステリシス)が小さくなり、液滴の滑落性、基板表面からの液滴の除去性、防食特性等を、大幅に向上させることが可能となる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)ヒステリシスの極めて小さい固体表面を、シリコン基板だけでなく、例えば、アルミニウム/アルミニウム合金、チタン、銅、鉄、亜鉛等の実用金属/合金基板表面において実現できる新しい表面改質技術を提供することができる。
(2)基板表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が、5°以下の値を示す、ヒステリシスの極めて小さい表面にすることを可能とする表面改質技術を提供することができる。
(3)膜厚が0.5〜5nm以下の、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を形成し、ヒステリシスの極めて小さい表面を、シリコン基板だけでなく、実用金属/合金基板、例えば、アルミニウム/アルミニウム合金、チタン、銅、鉄、亜鉛等の表面で実現できる表面処理技術を提供することができる。
(4)膜厚が極めて薄いため、処理する実用金属/合金の金属光沢や、ガラスや石英の透明性を維持したまま、意匠性を損なうことなく表面処理を施すことができる。
(5)基板を加熱するだけで、ヒステリシスを変化させる(小さくする)ことができ、温度制御により、ヒステリシスを可逆的に変化させることが可能である。
(6)反応せず残存した反応基を利用して、更に異なる分子を固定化することにより、疎水(はっ水)性/はつ油性以外に、親水性、耐薬品性、防曇性、離形性、抗菌性、生体親和性等の機能を付与することが可能である。
(7)本発明は、液滴と固体表面の相互作用を抑制することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上による視界確保、汚れ/油付着制御、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属の腐食防止等の分野において、特に有効な表面改質技術を提供することを可能にするものである。
第1図は、実施例1、2に係わるシリコーン、polyMethylHydrosiloxane,Trimethylsiloxy terminated(Gelest製、HMS−992)の分子構造を示すものである。 第2図は、実施例3に係わる枝状分子、Vinyl T−structure Polymer(Gelest製、VTT−106)の分子構造を示すものである。 第3図は、比較例3(a)及び実施例4(b)に係わる塩水噴霧試験10日後のサンプルの状態を示すものである。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は、当該実施例によって何ら限定されるものではない。
シリコン、アルミニウム、並びにチタン基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、それぞれ、シリコーンのホモポリマーであるpolyMethylHydrosiloxane,Trimethylsiloxy terminated(以下、PMHSと記載する。Gelest製HMS−992、粘度24〜30、分子量1800〜2100)原液を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、150℃、処理時間は、24時間とした。
加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水(Millipore社製)で、順次、リンスした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、105°/104°(シリコン)、105°/103°(アルミニウム)、106°/105°(チタン)となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施した銅、並びに、鉄基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、それぞれ、PMHS(HMS−992)原液を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、50℃、処理時間は、24時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、103°/101°(銅)、104°/101°(鉄)となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
実施例1で作製したPMHS被覆アルミニウム基板表面に、枝状分子(Vinyl T−structure Polymer、Gelest製、VTT−106)に、プラチナ触媒(Platinum−divinyltetramethyl−disiloxane complex in xylene、Gelest製)を、1〜2wt%添加して調製した溶液を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、80℃、処理時間は、24時間とした。加熱処理後、得られたアルミニウム基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、111°/109°となった。
上記実施例3で作製したアルミニウム基板を、塩水噴霧試験(JIS Z2371)に供した。塩水噴霧試験の結果を、図3の(b)に示した。
[比較例1]
シリコン、並びにアルミニウム基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、それぞれ、直鎖状有機シランの、オクタデシルトリメトキシシラン[ODS:CH(CH17Si(OCH、Gelest製]の蒸気を利用して、気相からODSを化学吸着させた。処理温度は、150℃、処理時間は、72時間とした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、120°/100°(シリコン)、119°/99°(アルミニウム)となった。
[比較例2]
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施した銅基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、PMHS(HMS−992)原液を、基板に、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、80℃、処理時間は、24時間とした。その結果、気泡を含んだゲル状の膜が形成された。
[比較例3]
上記実施例1で作製したアルミニウム基板を、塩水噴霧試験(JIS Z2371)に供した。塩水噴霧試験の結果を、図3の(a)に示した。
以上の4つの実施例、3つの比較例で作製した基板試料の表面を、相対的に評価したところ、実施例1、2と、比較例1の結果より、シリコーンのホモポリマーを利用して膜を形成した基板のみが、ヒステリシスの小さい疎水性表面を実現していることが分かった。また、比較例2の結果より、反応温度が高い(80℃)場合では、銅が、触媒として働き、シリコーンが、ゲル化するため、ヒステリシスの小さい疎水性表面を形成できないことが分かった。実施例1と実施例3で作製した試料を、相対的に評価したところ、いずれの基板表面も、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されているが、枝状構造分子を、更に被覆した実施例3の基板表面では、防食特性が著しく向上することが分かった。
これらの結果は、未反応の反応基(H基)を、枝状構造分子でキャッピングすることで、雰囲気中の水分と反応する可能性のある未反応の反応性官能基をなくすことができるため、より安定な表面を形成することが可能となることを示している。また、上記結果は、枝状構造分子が、あたかも傘の役割を果たし、液滴との相互作用を効率的に抑制し、塩水の表面への付着を抑制することを証明している。これらの相乗効果により、実施例3の基板表面では、防食効果が、格段に向上したものと考えられる。
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施した亜鉛基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、基板表面に、PMHS原液(Gelest製、HMS−991、粘度15〜29、分子量1400〜1800)を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、90℃、処理時間は、30時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、107°/105°となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施したアルミニウム合金基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、基板表面に、PMHS原液(HMS−991)を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、50℃、処理時間は、72時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、111°/108°となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施したアルミニウム基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、この基板表面に、環状シランである1,3,5,7−tetramethylcyclotetrasiloxane(以下、D と記載する。Gelest製)の蒸気を用いて、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で処理した。その際の処理温度は、80℃、処理時間は、72時間とした。処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。
この基板を、ビニル基終端ポリジメチルシロキサン(DMS−V21、粘度100、分子量6000、Gelest製)をヘキサンにより20wt.%に希釈し、プラチナ触媒(Platinum−divinyltetramethyl−disiloxane complex in xylene、Gelest製)を10ppm添加して調製した溶液に浸漬し、加熱処理した。その際の処理温度は、50℃、処理時間は、72時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、110°/106°となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施したアルミニウム基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、基板表面に、PMHS原液(HMS−991)を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、50℃、処理時間は、72時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。その後、酸素プラズマ処理によりPMHS膜を酸化シリコン(SiO)に変換した。
この基板に、poly(45−55% hexadecylmethylsiloxane−dimethylsiloxane)copolymer(以下、PA16MS−PDMSと示す。Gelest製、粘度40〜70、分子量不明)を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、100℃、処理時間は、72時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面を100℃に加熱し、イオン液体(Evonic社製、TEGO1)により前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)を測定したところ、それぞれ、71°/66°となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
鏡面研磨(平均自乗粗さ1nm以下)を施したアルミニウム基板を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、基板表面に、PMHS原液(HMS−991)を、直接、滴下し、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、50℃、処理時間は、72時間とした。加熱処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。その後、酸素プラズマ処理によりPMHS膜を酸化シリコン(SiO)に変換した。
この基板に、ビニル基終端ポリジメチルシロキサン(DMS−V25、粘度500、分子量17200、Gelest製)をヘキサンにより20wt.%に希釈し、プラチナ触媒(Platinum−divinyltetramethyl−disiloxane complex in xylene、Gelest製)を10ppm添加して調製した溶液に浸漬し、加熱処理した。その際の処理温度は、50℃、処理時間は、72時間とした。処理後、得られた基板を、ヘキサン、MilliQ水で、順次、リンスした。処理後の基板表面を100℃に加熱し、イオン液体(Evonic社製、TEGO1)により前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)を測定したところ、それぞれ、95°/90°となり、ヒステリシスの小さい疎水性表面が形成されていた。
シリコン、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、チタン、石英基板(シリコン、石英以外は鏡面研磨処理、平均自乗粗さ1nm以下)を、1000Pa下で、30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して洗浄した後、これらの基板表面に、テフロン(登録商標)AF(米国デュポン社製、AF1600)を3M NovecTM(住友スリーエム社製、HFE−7300)で5wt.%に希釈した溶液をスピンキャストし、相対湿度5%以下の窒素雰囲気下で、加熱処理した。その際の処理温度は、150℃、処理時間は、24時間とした。加熱処理後、得られた基板を、HFE−7300、MilliQ水で、順次、リンスした。
処理後の基板表面の水/油(ヘキサデカン)の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)は、それぞれ、122°/118°、68°/63°(シリコン)、120°/118°、69°/65°(アルミニウム)、121°/118°、67°/63°(鉄)、122°/119°、68°/63°(銅)、121°/117°、68°/64°(亜鉛)、121°/119°、68°/63°(チタン)、125°/122°、68°/64°(石英)、となり、ヒステリシスの小さい疎水性/はつ油表面が形成されていた。
[比較例4]
実施例8で作製した基板について、イオン液体(Evonic社製、TEGO1)により、基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)を室温下で測定したところ、それぞれ、74°/63°となり、ヒステリシスの大きい疎水性表面が形成されていた。
[比較例5]
実施例9で作製した基板について、イオン液体(Evonic社製、TEGO1)により、基板表面の前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)を室温下で測定したところ、それぞれ、93°/79°となり、ヒステリシスの大きい疎水性表面が形成されていた。
以上の6つの実施例、2つの比較例で作製した基板試料の表面を、相対的に評価したところ、実施例5〜10で作製した試料は、いずれの基板表面も、ヒステリシスの小さい疎水(はっ水)性、あるいははつ油表面が形成されていた。実施例8、9と、比較例4、5の結果より、基板を加熱して、イオン液体にて基板表面の動的接触角を測定した場合のみが、ヒステリシスの小さい疎水(はっ水)性表面を実現していることが分かった。
以上詳述したように、本発明は、固体表面の濡れ性制御方法及びその固体表面に係るものであり、本発明により、ヒステリシスの極めて小さい固体表面を、シリコン基板だけでなく、例えば、アルミニウム/アルミニウム合金、チタン、銅、鉄、亜鉛等の実用金属/合金基板表面において実現できる新しい表面改質技術を提供することができる。また、本発明により、基板表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が5°以下の値を示す、ヒステリシスの極めて小さい表面にすることを可能とする表面改質技術を提供するができる。また、本発明により、膜厚が0.5〜5nm以下の、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を形成し、ヒステリシスの極めて小さい表面を、シリコン基板だけでなく、実用金属/合金基板、例えば、アルミニウム/アルミニウム合金、チタン、銅、鉄、亜鉛等の基板表面で実現できる表面処理技術を提供することができる。また、本発明により、基板を加熱するだけで、ヒステリシスを可逆的に変化させることを可能とする表面処理技術を提供することができる。本発明は、液滴と固体表面の相互作用を抑制することで、例えば、自動車・建材用ガラスの雨滴除去性の向上による視界確保、汚れ/油付着制御、μ−TASやバイオチップ等の水流制御、水溶性のインクジェットノズル等のマイクロ水滴の制御、金属の腐食防止等の分野において、特に有効な表面改質技術を提供することを可能にするものとして有用である。

Claims (10)

  1. 固体表面の濡れ性を制御する方法であって、
    1)シリコン、ガラス又は石英、並びに、実用金属ないし合金のアルミニウム、チタン、銅、鉄、亜鉛の内から選択した固体表面に、予め該表面の不純物を除去した後、シリコーンのホモポリマー原液又はコポリマー原液、あるいは、非晶性フッ素樹脂(アモルファスフロロポリマー)をフッ素系溶媒で希釈した溶液を、滴下あるいはスピンキャストし、加熱処理した後、余剰未反応分子を有機溶剤で除去すること、2)上記シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマーとして、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基の内から選択した1種類以上の不活性な官能基、並びに、水酸基、水素基、ビニル基、クロロ基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボニル基の内から選択した1種類以上の反応性官能基が含まれていて、その粘度が500以下のポリマーを使用すること、3)該固体表面を、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆して、シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜を固体表面の酸素含有極性基である水酸基との間で共有結合を介して固定化する、あるいは非晶性フッ素樹脂膜を、固体表面に物理吸着あるいは疎水性相互作用を介して固定化すること、4)上記1〜3)により、表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下になるようにすることを特徴とする固体表面の濡れ性制御方法。
  2. 相対湿度5%以下の窒素雰囲気下、50〜180℃で、24〜72時間、加熱処理する、請求項1に記載の固体表面の濡れ性制御方法。
  3. 固体表面を、膜厚が0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆する、請求項1又は2に記載の固体表面の濡れ性制御方法。
  4. シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜表面に残存する反応基に、触媒、熱、又は光を利用して、枝状構造を持つ分子(Vinyl T−structure Polymer、Gelest製、VTT−106)を共有結合を介して固定化する、請求項1からのいずれかに記載の固体表面の濡れ性制御方法。
  5. 固体表面を、総膜厚が5〜10nmの2層構造で被覆する、請求項に記載の固体表面の濡れ性制御方法。
  6. 上記固体表面を加熱(〜100℃)することにより、該表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下に変化するように、また、上記固体表面を冷却することにより、該表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、元の状態にもどるように、後退接触角との差(ヒステリシス)を可逆的に制御する、請求項1からのいずれかに記載の固体表面の濡れ性制御方法。
  7. 濡れ性の制御された固体表面であって、
    1)該固体表面が、シリコン、ガラス又は石英、並びに、実用金属ないし合金のアルミニウム、チタン、銅、鉄、亜鉛の内から選択した固体表面であり、該固体表面が、シリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹(アモルファスフロロポリマー)膜で均一に被覆されていて、2)上記シリコーンのホモポリマーあるいはコポリマー中に、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基の内から選択した1種類以上の不活性な官能基、並びに、水酸基、水素基、ビニル基、クロロ基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボニル基の内から選択した1種類以上の反応性官能基が含まれていて、該ポリマーの粘度が500以下であり、3)当該シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜が、固体表面の酸素含有極性基である水酸基との間で共有結合を介して固定化され、あるいは非晶性フッ素樹脂膜が、固体表面に物理吸着あるいは疎水性相互作用を介して固定化されている構造を有し4)該固体表面に付着した液滴の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、5°以下の小さいヒステリシスを示すことを特徴とする上記固体表面。
  8. 固体表面が、膜厚が0.5〜5nmのシリコーンのホモポリマー膜、コポリマー膜、あるいは非晶性フッ素樹脂膜で均一に被覆されている、請求項に記載の固体表面。
  9. シリコーンのホモポリマー膜あるいはコポリマー膜表面に残存する反応基に、触媒、熱、又は光を利用して、枝状構造を持つ分子(Vinyl T−structure Polymer、Gelest製、VTT−106)が共有結合を介して固定化されている、請求項7又は8に記載の固体表面。
  10. 固体表面が、総膜厚が5〜10nmの2層構造で被覆されている、請求項に記載の固体表面。
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