JP5768021B2 - 歩容測定装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

この発明は、例えば日常生活における人の歩行状態、つまり歩容をモニタリングするための歩容測定装置、方法及びプログラムに関する。
近年、歩行能力の測定やリハビリテーション効果を評価する臨床手法として、歩容を解析する手法が提案されている。測定器を使用した歩容解析は、医療従事者の目視による診察に比べて解析結果に定量性があり、かつ熟練の勘に依存しないため、より客観性の高い情報が得られることから注目が高まっている。
歩容解析の従来の技術として、ビデオカメラを用いた手法がある。ビデオカメラを用いた手法は、例えば被験者の身体に反射球を貼り付け、歩行中の反射球の軌跡をビデオカメラで収めることにより、歩容を解析する手法である(例えば非特許文献1を参照)。また反射球を使用せず、ビデオカメラで記録した身体の画像から身体に該当する部分をソフトウェア処理によって認識させ、抽出することで歩容を解析する手法もある。
「ヒールの高さが妊婦歩行に与える影響」、山本祐子他、理学療法科学 第19巻2号、107−110頁、2004年
ところが、ビデオカメラを用いた歩容解析は測定範囲がカメラのフレーム(視野)内に制限されるため、フレームを超過する長距離の歩行の場合は測定が困難である。また、測定の際には、歩行すべき通路から離れたところにビデオカメラを設置しなければならず、設置や管理等に手間がかかる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カメラを用いずに歩容を測定できるようにし、これにより測定範囲及び測定場所の制約を解消すると共に設置及び管理上の手間を不要にした歩容測定装置、方法及びプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、ユーザに装着された加速度センサにより計測された加速度データをもとに上記ユーザの歩容を測定する歩容測定装置であって、上記ユーザの脚部の接地点に対する加速度センサ装着位置と、当該脚部の接地点と加速度センサ装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度との対応関係を表す関節角表データを関節角表記憶部に記憶させる手段を備える。そして、上記ユーザの歩行動作中に上記加速度センサにより時系列的に計測された加速度データを取り込み、この取り込んだ加速度データをもとに、予め設定された時間間隔で上記ユーザの脚部の接地点を基準とする上記加速度センサ装着位置の位置座標を算出し、この算出された位置座標をもとに、当該位置座標に対応する関節の角度を上記関節角表記憶に記憶された関節角表データから読み出し、この読み出された関節の角度を含む情報を上記ユーザの歩容推定情報として出力するようにしたものである。
したがって、ユーザに装着された加速度センサにより得られる加速度データに基づいてユーザの歩容が測定される。このため、カメラを用いてユーザの歩行動作を撮像する必要がなくなり、これにより測定範囲がカメラの視野に制限されることなく、また設置場所の制約を受けることなく測定が可能となる。また、カメラの設置や管理に要する手間を不要にすることもできる。さらに、歩容測定装置と加速度センサとを別に構成しているので、加速度センサのみをユーザに装着し、歩容測定装置を机上等に設置するといった形態を採用できる。このため、ユーザは小型軽量のユニットを装着するだけで良くその分負担が軽減され、また歩容測定装置として高性能の演算処理機能を備えた例えばデスクトップ型のパーソナル・コンピュータ等の情報処理装置を使用することが可能となる。
また、上記目的を達成するためにこの発明の第2の観点は、ユーザに装着され、かつ前記ユーザの歩行動作中に当該歩行動作の加速度を時系列的に計測してその計測結果を表す加速度データを出力する加速度センサを収容し、当該加速度センサから出力される加速度データをもとに前記ユーザの歩容を測定する携帯型の歩容測定装置であって、上記ユーザの脚部の接地点に対する上記歩容測定装置の装着位置と、当該脚部の接地点と上記歩容測定装置の装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度との対応関係を表す関節角表データを関節角表記憶部に記憶させる手段と、上記ユーザの歩行動作中に当該歩行動作の加速度を時系列的に計測して、その計測結果を表す加速度データを出力する加速度センサとを備えている。そして、上記加速度センサから出力された加速度データをもとに、予め設定した測定時間間隔で上記ユーザの脚部の接地点を基準とする上記歩容測定装置の装着位置の位置座標を算出し、この算出された位置座標をもとに、当該位置座標に対応する関節の角度を上記関節角表記憶に記憶された関節角表データから読み出し、この読み出された関節の角度を含む情報を上記ユーザの歩容推定情報として出力するようにしたものである。
したがって、先に述べた第1の観点と同様に、カメラを用いずに済むので、測定範囲や測位場所の制約を受けることがなく、かつ設置及び管理上の手間を要することなく、ユーザの歩容を測定することが可能となる。さらには、例えばスマートホンのように加速度センサを内蔵した携帯型情報端末や歩数計を利用することができ、これにより大掛かりな情報処理装置を使用することなく、歩容測定をさらに手軽に行うことが可能となる。
この発明の第1又は第2の観点は、以下のような各種態様を備えることも特徴とする。
第1の態様は、以下のような手段をさらに備えるようにしたものである。すなわち、上記ユーザの脚部のかかとを接地点としたときの、当該かかとと上記装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度と、当該かかとを基準とする上記装着位置の座標との関係を表す第1の数式モデルと、上記ユーザの脚部のつま先を接地点としたときの、当該つま先と上記装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度と、当該つま先を基準とする上記装着位置の座標との関係を表す第2の数式モデルに、ユーザのかかと又はつま先と上記装着位置との間の身体部位の寸法を固定値として代入し、上記身体部位に含まれる関節の角度を一定間隔で変化させて順次代入することにより、当該関節の角度ごとの上記装着位置の位置座標をそれぞれ算出し、この算出された各位置座標を当該位置座標を算出したときの関節の角度に対応付けて上記関節角表データを作成し、この作成された関節角表データを上記関節角表記憶部に記憶させるようにする。
このようにすると、予め記憶された、ユーザの脚部のかかとを接地点としたときの第1の数式モデルと、ユーザの脚部のつま先を接地点としたときの第2の数式モデルを用いて、ユーザごとにその都度関節角表データを自動的に作成し記録手段に記憶させることが可能となる。
第2の態様は、ユーザにおける加速度センサ又は歩容測定装置の装着位置の位置座標を算出する際に、上記加速度センサから出力された加速度データに対して先ず平滑化処理を行ってこの平滑化処理後の加速度データからその極大値及び極小値を検出する。そして、この検出された極大値及び極小値が生じた時刻を境界点として上記平滑処理後の加速度データを時間分割し、この時間分割された各加速度データに対してそれぞれ積分を行うことで、上記分割された期間ごとに上記装着位置の位置座標を算出するようにしたものである。
したがって、ユーザの歩行動作をその特徴に応じて複数の期間に分け、それぞれの期間ごとに歩容を推測することが可能となる。
第3の態様は、上記歩容推定手段として、関節角表データから読み出された関節の角度を対応する時刻と関連付けた情報を出力する手段と、上記読み出された関節の角度の経時変化を表す複数の静止画像データ又は動画像データを生成して出力する手段の少なくとも一方を備えるようにしたものである。
このようにすると、関節の角度の時系列変化を表す情報が出力されることになり、これによりユーザの歩容を簡単かつ的確に把握することが可能となる。その際、関節の角度の時系列変化を複数の静止画像又は動画像により表すことで、ユーザの歩容をより一層的確に把握できるようになる。
第4の態様は、歩容を推定する際に、上記関節角度の参照値を時刻と対応付けて記憶しておき、上記関節角表データから読み出された関節の角度を上記記憶された参照値と時刻が対応するもの同士で比較し、その差に基づいてユーザの歩容の評価データを生成するようにしたものである。
このようにすると、例えば参照値として、推奨される歩容に対応する関節角度や該当ユーザが健康なときの関節角度を予め設定しておくことで、この参照値に対する現在の歩行動作による関節角度の差異が評価されて提示される。このため、ユーザ又はそのリハビリテーション担当者は当該ユーザの歩容の良否を一目で確認することが可能となる。
すなわちこの発明の第1及び第2の観点によれば、カメラを用いずに歩容を測定することができ、これにより測定範囲及び測定場所の制約を解消すると共に設置及び管理上の手間を不要にした歩容測定装置、方法及びプログラムを提供することができる。
この発明の一実施形態に係る歩容測定装置を含む歩容測定システムの全体構成を示す図。 この発明の一実施形態に係る歩容測定装置の機能構成を示すブロック図。 測定対象ユーザにおける加速度センサの装着位置と歩行接地位置との間の身体構成を説明するための図。 測定対象ユーザの歩行に寄与する身体各部の位置と関節角との対応関係を示す関節角表データの作成に用いるかかと軸モデルを示す図。 関節角表データの作成に用いるつま先軸モデルを示す図。 測定対象ユーザの歩行状態(歩容)の一例を示す図。 図2に示した歩容測定装置の動作説明に使用する図。 図2に示した歩容測定装置により得られる関節角の推定結果の第1の例を示す図。 図2に示した歩容測定装置により得られる関節角の推定結果の第2の例を示す図。 図2に示した歩容測定装置により得られる関節角の推定結果の第3の例を示す図。 図2に示した歩容測定装置により得られる関節角の推定結果の第4の例を示す図。
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、この発明の第1の実施形態に係る歩容測定装置を含む歩容測定システムの全体構成を示す図であり、1は歩容測定装置、2は加速度センサを示している。
加速度センサ2は、測定対象となるユーザ3にベルト等により装着される。加速度センサ2は、センサ本体と無線インタフェースとを有し、歩行中のユーザ3の下半身の動きをセンサ本体により加速度として計測し、この計測された加速度データを無線インタフェースにより無線送信する。無線インタフェースとしては、例えば無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)等の小電力無線データ通信規格に対応したインタフェースが用いられる。なお、無線インタフェースとしては、他に例えば3G(Third-Generation Cellular Phone)、GSM(Global System for Mobile Communications;登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、PHS(Personal Handyphone System)等の携帯電話やガスメータ検針等に使用されている無線データ通信規格に対応したインタフェースを使用してもよい。
図3は、この加速度センサ2の装着位置とユーザ3の下半身の構成を模式的に示したものである。加速度センサ3は、ユーザ3の腹部又は腰部の上端位置に固定される。ユーザ3の下半身の動きは、長さ部位である足部L1 、下腿部L2 、上腿部L3 及び下腹部(もしくは腰部)L4 と、回転部位である足裏角θ0 、足関節角θ1 、膝関節角θ2 、及び股関節角θ3 とにより定義され、身体は各関節を回転させることで歩行を行う。なお、L1 、L2 、L3 、L4 は下半身の各部位の長さを、θ0 、θ1 、θ2 、θ3 は足裏角と各関節の角度をそれぞれ示している。
歩容測定装置1は、例えばパーソナル・コンピュータからなり、以下のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。
すなわち、歩容測定装置1は、制御ユニット10と、インタフェースユニット20と、記憶ユニット30とを備えている。
インタフェースユニット20は、入力インタフェース21と、出力インタフェース22と、通信インタフェース23を有する。
入力インタフェース21には、入力デバイスとしてのキーボード41及びマウス等のポインティングデバイス42が接続される。これらの入力デバイスは、ユーザ3の身体サイズ等の歩容測定に必要なパラメータ等を入力するために用いられる。
出力インタフェース22には、表示デバイスとしてのディスプレイ51が接続される。ディスプレイ51は、歩容推定結果を表す情報等を表示するために使用される。
通信インタフェース23はアンテナ61を備え、加速度センサ2から送信された加速度データを受信する。無線インタフェースとしては、先に述べたように例えば無線LANやBluetooth(登録商標)が用いられる。
記憶ユニット30は記憶媒体としてHDDやSSDを用いたもので、この実施形態を実施する上で必要な記憶部として、ユーザ情報記憶部31と、関節角表記憶部32と、推定結果記憶部33とを有している。
ユーザ情報記憶部31は、測定対象となるユーザ3の身体のサイズ等に関する情報を保存するために使用される。関節角表記憶部32は、後述する関節角表作成部12により作成された関節角表データを記憶するために使用される。推定結果記憶部33は、後述する関節角推定部16による関節角の推定結果を保存するために使用される。
制御ユニット10はCPU(Central Processing Unit)を備え、この実施形態を実施する上で必要な制御機能として、ユーザ情報受付処理部11と、関節角表作成部12と、加速度情報受信処理部13と、平滑化処理部14と、ピーク検出部15と、積分処理部16と、関節角推定部17と、推定結果出力処理部18とを有している。
なお、これらの処理部11〜18は何れも記憶ユニット30内の図示しないプログラム記憶領域に格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
ユーザ情報受付処理部11は、上記入力デバイス41,42の操作により入力されたユーザ3の身体情報を入力インタフェース21から取り込み、この取り込んだユーザの身体情報をユーザ3の識別情報(ユーザID)と関連付けてユーザ情報記憶部31に保存する処理を行う。保存する身体情報には、図3に示したユーザ3の下半身各部の長さL1 、L2 、L3 、L4 が含まれる。
関節角表作成部12は、記憶ユニット30内の図示しないアプリケーションメモリに格納されたかかと軸モデル及びつま先軸モデルを表す数式を用いて関節角表データを作成する。そして、この作成された関節角表データを上記関節角表記憶部32に格納する処理を行う。
具体的には、上記ユーザ情報記憶部31に保存されたユーザ3の下半身各部の長さL1 、L2 、L3 、L4を示す情報を固定パラメータとして上記各モデルの数式に代入し、さらに上記下半身部に含まれる複数の関節の角度を一定間隔で変化させて順次代入することにより、上記複数の関節の角度の全ての組み合わせに対応する加速度センサ2の位置座標を算出する。この加速度センサ2の位置座標は、かかと軸モデルであればかかとの接地点を、又つま先軸モデルであればつま先の接地点をそれぞれ基準点とする二次元平面上の座標値として定義される。そして、上記算出された位置座標と対応する関節角とを関連付けることにより関節角表データを作成する。かかと軸モデル及びつま先軸モデルについては後に詳しく述べる。
加速度情報受信処理部13は、ユーザ3の歩行動作中に、上記加速度センサ2から送信された加速度データを通信インタフェース23から取り込む処理を行う。
平滑化処理部14は、上記加速度情報受信処理部13により取り込まれた加速度データに対し平滑化処理を行う。
ピーク検出部15は、上記平滑化処理部14により平滑化処理された加速度データ(以降平滑化データと呼ぶ)から、後述する手法により最大値と最小値、及びそれらを与える時刻を抽出する処理を行う。
積分処理部16は、上記平滑化データに対して時間の2階積分を行うことで、ユーザ3に装着された加速度センサ2の移動距離を算出する処理を行う。
関節角推定部17は、上記積分処理部16により算出された加速度センサ2の移動距離をもとに上記関節角表記憶部32に格納された関節角表データを検索し、これにより移動距離に対応する関節角の候補を読み出す。そして、この読み出された関節角の候補をもとに各関節の角度{θ0 、θ1 、θ2 、θ3 }を推定し、この推定された各関節の角度{θ0 、θ1 、θ2 、θ3}をその時刻と関連付けて推定結果記憶部33に格納する処理を行う。
推定結果出力処理部18は、上記推定結果記憶部33に格納された推定結果をもとに、ユーザの歩容を表す表示データを生成する。そして、この生成された表示データを出力インタフェース22を介してディスプレイ51へ出力し表示させる処理を行う。
(動作)
次に、以上のように構成された歩容測定装置1の動作を説明する。
(1)関節角表データの作成・保存
(1−1)身体情報の入力
例えば、理学療法士又はシステムオペレータが入力デバイス41,42を操作して測定対象ユーザ3の身体情報を入力すると、この入力された身体情報はユーザ情報受付処理部31の下で入力インタフェース21を介して取り込まれ、ユーザ3の識別IDと関連付けられてユーザ情報記憶部31に保存される。この身体情報の入力は、ユーザ情報受付処理部31により生成されるユーザ情報入力画面に従い、ユーザ3の加速度センサ2装着位置より下方の下半身各部位の長さを入力することにより行われる。例えば、図3に示したようにユーザの足部L1 、下腿部L2 、上腿部L3 及び下腹部(もしくは腰部)L4 の長さを入力する場合には、L1 =0.3m、L2=0.4m、L3 =0.5m、L4 =0.1mのように長さの値を入力する。なお、身体情報の入力は、理学療法士又はシステムオペレータに限らず、医師や看護師等のその他の医療従事者や、ユーザ本人又はその家族や知人、職場や学校の保健師等の健康管理者が行ってもよい。
なお、上記各部の長さL1 、L2 、L3 、L4 を直接入力する代わりに、ユーザ3の身長及び性別を入力し、ユーザ情報受付処理部31がこの入力されたユーザ3の身長及び性別をもとに各部の典型的な長さL1 、L2 、L3 、L4 を算出して、この算出された長さL1 、L2 、L3 、L4をユーザ情報記憶部31に保存するようにしてもよい。
(1−2)関節角表データの作成
上記身体情報の入力が終了すると、続いて関節角表作成部12の制御の下で以下のように関節角表データが作成される。すなわち、関節角表データの作成には「かかと軸モデル」及び「つま先軸モデル」を表す数式が用いられる。
以下に、「かかと軸モデル」及び「つま先軸モデル」について述べる。関節角表データは、積分処理部16で算出される加速度センサ2の位置座標から、ユーザの各関節の角度{θ0 、θ1 、θ2 、θ3 }を推定するために用いるテーブルデータである。「かかと軸モデル」及び「つま先軸モデル」は、加速度センサ2の位置座標と下半身の各関節の角度{θ0 、θ1 、θ2 、θ3 }とを関係付ける数式モデルである。関節角表データは、「かかと軸モデル」から得られるものと、「つま先軸モデル」から得られるものの2種類が作成される。
「かかと軸モデル」は、例えば図4に示すようにかかとの地面との接触点を回転軸とし、歩行中の脚の動きを節のある棒の回転として記述したモデルである。「かかと軸モデル」から、各脚の関節角と加速度センサ2の装着位置座標(x,y)との関係式を得ることができる。この関係式は下式(1)及び(2)で表される。
y=L2 sinθ1 +L3 sin(−θ1+θ2)+L4 cos(θ1−θ2+θ3 ) …(1)
x=L2 cosθ1 −L3 cos(−θ1+θ2)+L4 sin(θ1−θ2+θ3 ) …(2)
ここで、yは足関節から加速度センサ2の装着位置までの垂直方向の距離であり、xは足関節から加速度センサ2の装着位置までの進行方向の距離である。垂直方向とは、加速度センサ2に生じる重力加速度ベクトルに対し平行な向きであり、上空側を正にとる。進行方向は、垂直方向に対し直交し、ユーザ3の正面方向を正にとる。
y、xは6つの変数{L2 、L3 、L4 、θ1 、θ2 、θ3 }のすべてに値が代入されることで算出される。長さ成分{L2 、L3 、L4 }はユーザ情報記憶部31に保存されている値を代入する。角度成分{θ1 、θ2 、θ3 }は、歩行においてかかとが接地しているときの典型的な下半身の関節の可動範囲に設定される。例えば、−15°≦θ1 ≦15°、0°≦θ2 ≦30°、−30°≦θ3 ≦45°に設定する。関節角は屈曲方向が正であり、背屈方向が負である。関節角表データは角度成分を総当り的に代入することで作成される。例えばθ1 、θ2 、θ3 の角度を上記可動範囲における最小値から1°ずつ増やして総当たり的に代入し、すべての関節角の組み合わせに対する解y、xを算出する。総当たり的に計算されたy、xのすべての解は、当該計算に際し代入された関節角θ1 、θ2 、θ3 の値と関連付けられて関節角表記憶部32に格納される。なお、このかかと軸モデルを用いた計算では、角度成分θ0 は総当り的に計算された条件すべてにおいて0を格納する。
「つま先軸モデル」は、例えば図5に示すようにつま先の地面との接触点を回転軸とし、歩行中の脚の動きを節のある棒の回転として記述したモデルである。「つま先軸モデル」から、各脚の関節角と加速度センサ2の装着位置座標(x,y)との関係式を得ることができる。この関係式は下式(3)及び(4)で表される。
y=−L1 cosθ0 +L2 cos(θ1−θ0)
−L3 cos(θ2−θ1+θ0 )+L4 cos(θ3 +θ2 −θ1 +θ0 ) …(3)
x=L1 sinθ0 +L2 sin(θ1−θ0)
+L3 sin(θ2−θ1+θ0 )+L4 sin(θ3 +θ2 −θ1 +θ0 ) …(4)
y、xは8つの変数{L1 、L2 、L3 、L4 、θ0 、θ1 、θ2 、θ3 }のすべてに値が代入されることで計算される。長さ成分{L1 、L2 、L3 、L4 }はユーザ情報記憶部31に保存されている値を代入する。角度成分{θ0 、θ1 、θ2 、θ3 }は、歩行においてかかとが接地しておらず、かつつま先が接地しているときの典型的な下半身の関節の可動範囲とする。例えば、0°≦θ0 ≦45°、−30°≦θ1 ≦15°、0°≦θ2 ≦60°、−30°≦θ3 ≦45°とする。関節角は屈曲方向が正であり、背屈方向が負である。関節角表は角度成分を総当り的に代入することで作成される。
例えばθ0 、θ1 、θ2 、θ3 の角度を上記可動範囲における最小値から1°ずつ増やして総当たり的に代入し、すべての関節角の組み合わせに対する解y、xを算出する。総当たり的に計算されたy、xのすべての解は、当該計算に際し代入された関節角θ0 、θ1 、θ2 、θ3 の値と関連付けられて関節角表記憶部32に格納される。
(3)歩容推定
(3−1)加速度の計測
一般的なユーザの歩容には、例えば図6に示すように、かかとが胴体よりも前方に位置した状態で地面に接着する“かかと接地”と、かかとが胴体よりも後方で地面から離れる“かかと離れ”と、つま先が胴体よりも後方で地面から離れる“つま先離れ”の過程がある。歩行中にこれらの過程が左右の脚で繰り返し行われる。
ユーザ3が歩行を開始すると、上記の歩容の各過程で生じる一連の加速度が加速度センサ2により時系列的に計測され、その加速度データが歩容測定装置1へ送信される。送信される加速度データは、x、yの2軸に沿った加速度である。加速度の計測は、歩行動作によりユーザ3の腰部に生じる振動のスペクトルが10Hz以下であると仮定し、ナイキストの定理に従い、その2倍の20Hzより大きい値、例えば30Hzでサンプリングすることにより行われる。
(3−2)加速度データに対する信号処理
上記加速度センサ2から送信された加速度データは、予め設定された周期で通信インタフェース23を介して加速度情報受信処理部13により受信され、制御ユニット10内の作業メモリに一旦保存される。例えば、いま加速度計測期間においてn回のサンプリングを行うとすると、k回目のサンプリング時刻をtk と表すことにする(1≦k≦n)。以後、計測開始時刻t1 から計測終了時刻tn までに得られる加速度データの時系列データをat1:tnとする。
上記作業メモリに一旦保存された加速度データの時系列データat1:tnは、平滑化処理部14により平滑化される。これにより、加速度データの時系列データat1:tnに含まれる高周波数成分のノイズの影響を低減することができる。平滑化処理の例としては、ローパスフィルタを用いた平滑化処理が用いられる。これは、加速度データの時系列データat1:tnに下記の式(5)に示す一次の伝達関数G(s)を周波数軸上で乗じるか、もしくは時間軸上で畳み込み積分を行うことで実現できる。
Figure 0005768021
ただし、式(5)において、K、ωc 、sはそれぞれローパスフィルタの通過域での利得、遮断周波数、ラプラス変換の変数とする。
図7に平滑化処理を行った加速度データの一例を示す。この図は、横軸を計測時間、縦軸を重心前後方向加速度(x軸方向加速度)として、平滑化された加速度データの時系列変化を示したものである。以後、この平滑化された加速度データを平滑化データa′t1:tnと呼ぶ。なお、図7では平滑化データa′t1:tnを連続データのように記載したが、実際は例えば30Hzでサンプリングされた離散的なデータである。
上記平滑化データa′t1:tnは、続いてピーク検出部15に入力され、このピーク検出部15において先ず最大値と最小値が検出される。そして、この最大値及び最小値が検出された時刻で上記平滑化データa′t1:tnが分割される。図7にこの平滑化データa′t1:tnの分割処理結果の一例を示す。同図に示すように、時系列上で最初の最大値から最小値までの期間を「期間1」、当該最小値から次の最大値までの期間を「期間2」とする。最大値及び最小値が生じる時刻は、かかと接地及びつま先離れが生じた時刻と見なす。以後、「期間1」及び「期間2」に分割された平滑化データを分割データa″t1:tk及びa″tk:tnと呼ぶ。ここで、tk とは期間1と期間2の分割時刻である。
図7に示した加速度データはx軸方向の加速度データであり、y軸方向の加速度データの分割は、x軸方向の加速度データから得られた分割時刻tk をもって行う。なお、y軸の加速度データにおいてもx軸のそれと同様に、加速度データの最大値から最小値までの期間を「期間1」、最小値から最大値までの期間を「期間2」として分割してもよい。この場合は、x軸とy軸とで分割時刻は異なる。
上記ピーク検出部15により分割された平滑化データa″t1:tk及びa″tk:tnは、続いて積分処理部16に入力される。この積分処理部16では、上記分割された平滑化データa″t1:tk及びa″tk:tnに対し、二階の時間積分処理が行われる。いま、x方向の分割データをax″t1:tk及びax″tk:tn、y方向の分割データをay″t1:tk及びay″tk:tnとすると、離散データの場合、積分はシグマ(数列和)として扱えるので、上記二階の時間積分処理は式(6)(7)(8)(9)に示す演算を行うことで実現できる。
Figure 0005768021
このうち、式(6)及び式(7)におけるaxymとaytmは、サンプリング時刻tm に計測されたx軸及びy軸方向の分割データである。またvxo及びvyoは踵接地の際のx軸及びy軸方向の加速度センサ2の速度である。またxo はかかと接地における前足の足関節の加速度センサに対するx軸方向の位置である。yo はかかと接地における加速度センサ2の位置である。
tはサンプリング間隔であり、サンプリング周波数の逆数で表される。例えば、サンプリング周波数が30Hzであれば、tは1/30、つまり約0.03秒である。vxo、vyo 、xo 、yo には、個人ごとに別の手法で測定した値を用いるか、或いは入力されたユーザの身長や肢の長さに応じた標準値を用いる。後者の手法をとる場合には、例えばvxo、vyo は何れも1m/sとなり、xo は0.35m、yo は0.9mといった値となる。但し、xoは加速度センサ2が足より後方に位置するため負(−)となる。
式(8)及び式(9)におけるvxtk及びvytkは、時刻tk における加速度センサ2の速度であり、位置の微分に相当する次の式(10)(11)を計算することで得ることができる。
vxtk =(xtk:tn−xtk:tn-1)/t …(10)
vytk =(ytk:tn−ytk:tn-1)/t …(11)
式(6)(7)(8)(9)で得られた結果を、位置データ{xt1:tk、xtk:tn、yt1:tk、ytk:tn}と呼ぶ。
(3−3)関節角の推定
上記積分処理部16において位置データ{xt1:tk、xtk:tn、yt1:tk、ytk:tn}が算出されると、次に関節角錐底部17において関節角の推定処理が以下のように行われる。
すなわち、関節角推定部17では、積分処理部16から位置データ{xt1:tk、xtk:tn、yt1:tk、ytk:tn}を受け取ると、関節角表記憶部32に記憶された関節角表データのX(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )及びY(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )から、上記受け取った位置データ{xt1:tk、xtk:tn、yt1:tk、ytk:tn}に対し最も近い値のものを数個程度、例えば最も近い値と隣接する大小1点ずつのXが3点、Yが3点を候補として抽出する。そして、この抽出されたX(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )及びY(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )の候補のうち、関節角(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )が等しい組み合わせを選択する。この選択された関節角(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )が、推定された脚の可動状態を表す情報として推定結果記憶部33に格納される。
上記X(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )及びY(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )の候補の抽出は、次のように行われる。先ず図7における「区間1」においては「かかと軸モデル」と「つま先軸モデル」の両方の関節角表データを用いて行われる。例えば、左足においては「つま先軸モデル」、右足においては「かかと軸モデル」の関節角表データ、もしくはその反対の組み合わせを用いて行われる。かくして、2本の脚それぞれについて各関節角が推定される。
次に、図7における「区間2」においては、「かかと軸モデル」の関節角表データを用いて行われ、片方の脚に対してのみ関節角が推定される。なお、「区間1」及び「区間2」において、X(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )及びY(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )の候補の中から、関節角(θ0 、θ1 、θ2 、θ3 )の等しい組み合わせが得られない場合には、候補としたXとYに対し総当り的に次の式(12)の計算が行われ、dが算出される。
Figure 0005768021
ここで、θ0xとθ0yはあるX及びYのθ0 の値であり、ほかの添え字1,2,3の場合についても同様である。
上記dが算出されると、最も小さなdを与えるX及びYの組み合わせを用い、式(13)に基づいてθの値の平均値θ′が計算される。
Figure 0005768021
このようにして求められた関節角の平均値(θ’0、θ’1、θ’2、θ’3)がユーザ3に提示する様態情報を表す情報として推定結果記憶部33に格納される。
「かかと軸モデル」の回転軸は、歩行の経過による移動距離ΔXを考慮し、周期的にX方向の正方向に平行移動した形で関節角が推定される。ここで、移動距離ΔXとは、例えば図7に示した「立脚期」における加速度データから得られるX方向の位置変化である。ΔXについて行う考慮の具体的な例としては、かかとが接地した瞬間を時刻原点として周期的に繰り返す方法がある。もしくは、時刻原点を固定し、かかとが接地される位置の間隔を移動距離ΔXとして周期的に加算する方法を用いてもよい。例えば、30代の成人男性の歩幅は0.7mであるので、同じ足ではX方向において1.4m ごとにかかとが地面に接地することから、ΔX=1.4m として周期ごとに加算する。
(4)推定結果の出力
(4−1)データ形式の変換
推定結果出力処理部18では、上記推定結果記憶部33に保存された関節角の推定結果を表す情報を、汎用のコンピュータ等で簡便に読み込み可能なデータ形式に変換する処理が行われる。
例えば、図8に示すようにcsv形式として、第1列にサンプリング時刻を配置し、このサンプリング時刻に関連付けて、第2列に推定された足裏角、第3列に推定された足関節、第4列に推定された膝関節、第5列に推定された股関節をそれぞれ配置したデータに変換される。なお、csv形式以外にも、テキストデータを記録できる形式、例えばtxt形式、xls形式、dat形式等を用いてもよい。
このように推定結果を表す情報を汎用のコンピュータ等で読み込み可能なファイルに変換することで、汎用のコンピュータにおいて利用可能な様々な数値解析アプリケーション・プログラムにより解析処理や統計処理を行うことが可能となる。
(4−2)関節角の経時変化を表す表示データの生成
また推定結果出力処理部18では、上記推定結果記憶部33に保存された関節角の推定結果を表す情報をもとに、関節角の経時変化を表す表示データが生成される。
例えば、膝関節角の経時変化のグラフが生成される。図9にその一例を示す。同図では横軸に測定時刻を、縦軸に関節角をとっている。縦軸の関節角は屈曲方向が正であり、背屈方向が負である。このようにグラフを生成し、この生成されたグラフを出力インタフェース22からディスプレイ51に出力して表示させることで、ユーザはこのディスプレイ51に表示されたグラフを見ることで、関節角の可動状態を定量的に把握することが可能となる。表示する関節角は、膝関節角以外に、足関節、股関節、足裏角でもよい。
(4−3)関節角の経時変化をアニメーションにより表す場合
推定結果出力処理部18では、上記推定結果記憶部33に保存された関節角の推定結果を表す情報をもとに、関節角の経時変化をアニメーションで表した表示データが生成される。
例えば、図10に示すようにユーザ3の下半身が例えば棒状の模擬体で表され、この模擬体の脚の各関節角がユーザ3の推定された角関節角の経時変化に従って動作するようなアニメーション画像が生成される。これにより、ユーザ3又はその家族もしくは医療担当者は、カメラに頼らずともユーザ3の歩行の際の関節角の経時変化を視認することが可能となる。
(4−4)関節角の参照値との比較
推定結果出力処理部18では、上記推定結果記憶部33に保存された関節角の推定結果を表す情報が、記憶ユニット30内の参照値記憶部(図示せず)に記憶された関節角の参照用の関節角情報と比較され、その比較結果を表す表示データが生成される。参照用の関節角情報としては、例えば同じユーザの過去に測定された歩行動作の関節角情報や、一般に綺麗とされる歩容の関節角情報が用いられる。
一般に綺麗とされる歩容の関節角情報と比較する場合を例にとって説明する。例えば、ユーザ3の歩行中の各関節の可動の最大値と参照用の関節角の可動域の最大値とが比較される。この比較の結果、ユーザ3の歩行中の関節角の可動の最大値が、参照用の関節角の可動域の最大値を越えていれば、例えば図11に示すように“大きい”とされている右側の領域にマーカ(図中星印)が表示される。一方、参照用の関節域の可動域の最大値を超えていなければ、図11に示すように“小さい”とされている左側の領域にマーカ(図中星印)が表示される。
このようにすることで、ユーザ3は参照値との差異がどの関節角ではどの程度隔てているのか確認することができ、この表示データを見ることで歩容を改善することができる。また、ユーザ3の過去の歩行中の関節角情報との差異を表示するようにすれば、臨床における改善の程度を定量的に確認することができる。
さらに、上記差異の量を予め設定した閾値と比較して、差異の量がしきい値を超えた場合にはその時の推定結果情報にアラーム情報を付加し、このアラーム情報をもとに上記表示データにアラームマークを併せて表示させたり、アラーム音等を発生させるようにしてもよい。
(実施形態の効果)
以上詳述したようにこの実施形態では、歩容測定装置1において、ユーザ3の個人情報をもとに当該ユーザ3の歩行に使用する各関節の角度と加速度センサの装着位置との関係を表す関節角表データを作成して関節角表記憶部32に格納する。この状態で、ユーザ3の腰部又は腹部に装着した加速度センサ2から送信される加速度データを受信し、この受信した加速度データを平滑化してその最大値及び最小値を検出することにより加速度データを時間分割する。そして、この時間分割された加速度データの各々について二階の時間積分を行うことにより上記加速度センサ2の接地点に対する位置座標を算出し、上記関節角表記憶部33からこの位置座標に近いものを複数個推定候補として読み出して、これらの候補をもとにユーザ3の各関節の角度を推定するようにしている。
したがって、ユーザ3に装着された加速度センサ2により得られる加速度データに基づいてユーザ3の歩容が測定される。このため、カメラを用いてユーザ3の歩行動作を撮像する必要がなくなり、これにより測定範囲がカメラの視野に制限されることなく、また設置場所の制約を受けることなく測定が可能となる。また、カメラの設置や管理に要する手間を不要にすることもできる。さらに、歩容測定装置1と加速度センサ2とを別に構成しているので、加速度センサ2のみをユーザ3に装着し、歩容測定装置1を机上等に設置するといった形態を採用できる。このため、ユーザ3は小型軽量の加速度センサ2を装着するだけで良くその分負担が軽減され、また歩容測定装置1として高性能の演算処理機能を備えた例えばデスクトップ型のパーソナル・コンピュータ等の情報処理装置を使用することが可能となる。
また、関節角表データの作成に当たり、かかと軸モデルとつま先軸モデルの数式を用意し、これらの数式モデルに、ユーザ3のかかと又はつま先と加速度センサ2の装着位置との間の身体部位の寸法を固定値として代入し、かつ身体部位に含まれる関節の角度を一定間隔で変化させて順次代入することにより、当該関節の角度ごとの上記加速度センサ装着位置の位置座標をそれぞれ算出し、この算出された各位置座標を当該位置座標を算出したときの関節の角度に対応付けて上記関節角表データを作成するようにしている。
このようにすると、かかと軸モデルとつま先軸モデルの数式を用いて、ユーザ3に対応する関節角表データが自動的に作成されて関節角表記憶部32に記憶される。したがって、ユーザ3ごとにシステム管理者がその都度手計算により関節角表データを作成する必要がなくなる。
さらに、推定結果記憶部33に保存された関節角の推定結果を、汎用のコンピュータ等で簡便に読み込み可能なCSV等のデータ形式に変換することにより、汎用のコンピュータにおいて利用可能な様々な数値解析アプリケーション・プログラムにより解析処理や統計処理を行うことが可能となる。
さらに、推定結果記憶部33に保存された関節角の推定結果を表す情報をもとに、関節角の経時変化を表したグラフ、又は関節角の経時変化をアニメーションで表した表示データを生成して表示するようにしている。このため、ユーザ3又はその家族もしくは医療担当者は、カメラに頼らずともユーザ3の歩行の際の関節角の経時変化を視認することが可能となる。
さらに、関節角の推定結果を表す情報を予め用意された関節角の参照値と比較し、その比較結果を表す表示データを表示するようにしている。したがって、ユーザ3は参照値との差異がどの関節角ではどの程度隔てているのか確認することができ、この表示データを見ることで歩容を改善することができる。また、ユーザ3の過去の歩行中の関節角情報との差異を表示するようにすれば、臨床における改善の程度を定量的に確認することができる。
[第2の実施形態]
前記第1の実施形態では、ユーザ3には加速度センサ2のみを装着し、この加速度センサ2から無線送信される加速度データを歩容測定装置1で受信し、この受信された加速度データをもとにユーザ3の接地点に対する上記加速度センサ2の位置座標を算出して関節角を推定するようにした。しかし、それに限らず、歩容測定装置を例えばスマートホン等の携帯型情報端末により構成してこの携帯型情報端末内に加速度センサを収容し、この携帯型情報端末をユーザに装着するようにしてもよい。なお、本実施形態における歩容測定装置の構成及び動作は、加速度センサ2が歩容測定装置1内に設けられる点を除き、先に述べた第1の実施形態と同じであるので、ここでの再度の説明は省略する。
このように構成すると、先に述べた第1の実施形態と同様に、カメラを用いずに済むので、測定範囲や測位場所の制約を受けずに、また設置及び管理上の手間を要することなく、ユーザの歩容を測定することが可能となる。さらには、スマートホンのように加速度センサを内蔵した携帯型情報端末や歩数計を利用することができ、これにより大掛かりな情報処理装置を使用することなく、歩容測定をさらに手軽に行うことが可能となる。
[その他の実施形態]
前記各実施形態では加速度センサ又は歩容測定装置をユーザの腹部又は腰部に装着する場合を例にとって説明したが、角度の測定対象となる関節数の増加に伴う関節角表データの巨大化が特に問題にならなければ、ユーザの身体のどの位置に装着するようにしてもよい。
また、前記第2の実施形態では歩容測定装置としてスマートホン等の携帯型情報端末を利用する場合について述べたが、他に歩数計や携帯型のオーディオビデオプレーヤ、携帯電話機、カメラ、ゲーム機器、ナビゲーション端末等を利用してもよい。その他、歩容測定装置の構成、処理手順及び処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1…歩容測定装置、2…加速度センサ、3…ユーザ、10…制御ユニット、11…ユーザ情報受付処理部、12…関節角表作成部、13…加速度情報受信処理部、14…平滑化処理部、15…ピーク検出部、16…積分処理部、17…関節角推定部、18…推定結果出力処理部、20…インタフェースユニット、21…入力インタフェース、22…出力インタフェース、23…通信インタフェース、30…記憶ユニット、31…ユーザ情報記憶部、32…関節角表記憶部、33…推定結果記憶部、41…キーボード、42…ポインタデバイス、51…ディスプレイ、61…アンテナ。

Claims (8)

  1. ユーザに装着された加速度センサにより計測された加速度データをもとに前記ユーザの歩容を測定する歩容測定装置であって、
    前記ユーザの脚部の接地点に対する加速度センサ装着位置と、当該脚部の接地点と加速度センサ装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度との対応関係を表す関節角表データを関節角表記憶部に記憶させる手段と、
    前記ユーザの歩行動作中に前記加速度センサにより時系列的に計測された加速度データを取り込み、この取り込んだ加速度データをもとに、予め設定された時間間隔で前記ユーザの脚部の接地点を基準とする前記加速度センサ装着位置の位置座標を算出する位置算出手段と、
    前記算出された位置座標をもとに、当該位置座標に対応する関節の角度を前記関節角表記憶に記憶された関節角表データから読み出し、この読み出された関節の角度を含む情報を前記ユーザの歩容推定情報として出力する歩容推定手段と
    を具備することを特徴とする歩容測定装置。
  2. ユーザに装着され、かつ前記ユーザの歩行動作中に当該歩行動作の加速度を時系列的に計測してその計測結果を表す加速度データを出力する加速度センサを収容し、当該加速度センサから出力される加速度データをもとに前記ユーザの歩容を測定する携帯型の歩容測定装置であって、
    前記ユーザの脚部の接地点に対する前記歩容測定装置の装着位置と、当該脚部の接地点と前記歩容測定装置の装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度との対応関係を表す関節角表データを関節角表記憶部に記憶させる手段と、
    前記加速度センサから出力された加速度データをもとに、予め設定した測定時間間隔で前記ユーザの脚部の接地点を基準とする前記歩容測定装置の装着位置の位置座標を算出する位置算出手段と、
    前記算出された位置座標をもとに、当該位置座標に対応する関節の角度を前記関節角表記憶に記憶された関節角表データから読み出し、この読み出された関節の角度を含む情報を前記ユーザの歩容推定情報として出力する歩容推定手段と
    を具備することを特徴とする歩容測定装置。
  3. 前記ユーザの脚部のかかとを接地点としたときの、当該かかとと前記装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度と、当該かかとを基準とする前記装着位置の座標との関係を表す第1の数式モデルと、前記ユーザの脚部のつま先を接地点としたときの、当該つま先と前記装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度と、当該つま先を基準とする前記装着位置の座標との関係を表す第2の数式モデルに、ユーザのかかと又はつま先と前記装着位置との間の身体部位の寸法を固定値として代入し、前記身体部位に含まれる関節の角度を一定間隔で変化させて順次代入することにより、当該関節の角度ごとの前記装着位置の位置座標をそれぞれ算出する手段と、
    前記第1及び第2の数式モデルのそれぞれにより算出された各位置座標を、当該位置座標を算出したときの関節の角度に対応付けて前記関節角表データを作成し、この作成された関節角表データを前記関節角表記憶部に記憶させる手段と
    を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の歩容測定装置。
  4. 前記位置算出手段は、
    前記加速度センサから出力された加速度データに対して平滑化処理を行う手段と、
    前記平滑化処理後の加速度データからその極大値及び極小値を検出し、この極大値及び極小値が生じた時刻を境界点として前記平滑処理後の加速度データを時間分割する手段と、
    前記時間分割された加速度データに対してそれぞれ積分を行うことで、前記分割された期間ごとに前記装着位置の位置座標を算出する手段と
    備えることを特徴とする請求項1又は2記載の歩容測定装置。
  5. 前記歩容推定手段は、前記読み出された関節の角度を対応する時刻と関連付けた情報を出力する手段と、前記読み出された関節の角度の経時変化を表す複数の静止画像データ又は動画像データを生成して出力する手段の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の歩容測定装置。
  6. 前記歩容推定手段は、
    前記関節角度の参照値を時刻と対応付けて記憶する手段と、
    前記読み出された関節の角度を前記記憶された参照値と時刻が対応するもの同士で比較し、その差に基づいてユーザの歩容の評価データを生成する手段と
    を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の歩容測定装置。
  7. ユーザに装着された加速度センサにより計測された加速度データをもとに、コンピュータにより前記ユーザの歩容を測定する歩容測定方法であって、
    前記コンピュータが、前記ユーザの脚部の接地点に対する加速度センサ装着位置と、当該脚部の接地点と加速度センサ装着位置との間の身体部位に含まれる関節の角度との対応関係を表す関節角表データを関節角表記憶部に記憶させる過程と、
    前記コンピュータが、前記ユーザの歩行動作中に前記加速度センサにより時系列的に計測された加速度データを取り込み、この取り込んだ加速度データをもとに、予め設定された時間間隔で前記ユーザの脚部の接地点を基準とする前記加速度センサ装着位置の位置座標を算出する過程と、
    前記コンピュータが、前記算出された位置座標をもとに、当該位置座標に対応する関節の角度を前記関節角表記憶部に記憶された関節角表データから読み出し、この読み出された関節の角度を含む情報を前記ユーザの歩容を表す情報として出力する過程と
    を具備することを特徴とする歩容測定方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載の歩容測定装置が具備する前記各手段を、当該歩容測定装置が備えるコンピュータに実行させるプログラム。
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