JP5766484B2 - 波力発電装置 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明にかかる波力発電装置は、バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機とを備えた波力発電装置において、前記振動体は、シリンダ内に収容され、その往復直線運動に基づいて該シリンダ内の流体を圧縮するピストンとして用いられ、前記シリンダには、前記振動体によって圧縮された圧縮流体を該シリンダ外に取り出す圧縮流体取出部が設けられていることを特徴とする。
本発明では、往復直線運動を行う振動体をシリンダ内に収容し、その往復直線運動に基づいてシリンダ内の流体を圧縮するピストンとして振動体を用いることとした。そして、振動体によって圧縮された圧縮流体をシリンダ外に取り出す圧縮流体取出部をシリンダに設けることとした。これにより、圧縮流体取出部から得た圧縮流体を、波力発電装置の運転に必要な動作の駆動源として用いることができる。
なお、振動体によって圧縮される流体としては、典型的には空気である。
内部機器としては、例えば、発電機、ベアリング、摺動摩擦部等の発熱部が挙げられる。
油圧機器としては、例えば油圧制御弁 等が挙げられる。
また、タービンを浮体内に設けることとすれば、タービンに海水が飛散することがないので、海水による腐食の影響を避けることができる。
また、付加質量体の質量を適宜調整することにより振動体の質量を小さくすることができ、さらに波力発電装置を小型化することができる。
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態にかかる波力発電装置の概略構成が示されている。
波力発電装置1は、海洋の水面7上に上部が露出して浮かぶ箱形の浮体2を備えている。浮体2内には、バネ4を介して浮体2内に取り付けられたウェイト(振動体)3と、ウェイト3に対して回転するボールネジ軸5と、ボールネジ軸5に固定されたイナーシャディスク(付加質量体)6と、ボールネジ軸5によって駆動されて発電する発電機8とを備えている。
一方、ウェイト3が下方向へ変位すと、シリンダ9の下部空間9b内の圧力が上昇して空気圧が所定値以上になると、空気吐出配管13の開閉弁13aが開き、圧縮空気はリザーバタンク16内へと導かれる。このとき、シリンダ9の上部空間9aには、空気吸入配管17及び開閉弁17aを介してシリンダ9外から空気が導入され、ウェイト3の下方向への変位を妨げないようになっている。
例えば、発電機、ベアリング、摺動摩擦部等の発熱部となる内部機器の冷却用流体として用いることができる。さらに、海水との熱交換によって圧縮空気を冷却しておけば、冷却効果を向上させることができる。特に、本実施形態の波力発電装置1は、浮体2内の密閉空間内に各種機器が設置され、熱が内部に籠もり浮体2外へと放熱し難いため有効である。
また、リザーバタンク15,16から得られた圧縮空気を用いてブースタによって油圧を増圧し、浮体2内に設けた油圧制御弁等の油圧機器に対して油圧を供給することとしても良い。
図2には、図1に示した波力発電装置1の振動系モデルが示されている。
同図において各記号は以下の通りである。
zm : ウェイト3の変位
zb : 浮体2の変位
mm : ウェイト3の質量
mb : 浮体2の質量
k : 浮体2−ウェイト3間バネ定数
kb : 浮力バネ定数
c : 浮体2−ウェイト3間の減衰定数(例えば発電機8)
cb : 造波減衰定数
cf : イナーシャディスク6の減衰定数
I : イナーシャディスク6の慣性モーメント
mba : 付加水質量
Ff : 波外力
往復直線運動を行うウェイト3をシリンダ9内に収容し、その往復直線運動に基づいてシリンダ9内の空気を圧縮するピストンとしてウェイト3を用いることとした。そして、ウェイト3によって圧縮された圧縮空気をシリンダ9外に取り出す圧縮空気吐出配管12,13をシリンダ9に設けることとした。これにより、圧縮空気吐出配管12,13から得た圧縮空気を、波力発電装置1の運転に必要な動作の駆動源として用いることができる。したがって、電池や油圧ポンプ等を省略でき、波力によって発電した電力を有効に取り出すことができる。
特に、本実施形態では、圧縮空気をリザーバタンク15,16に貯留することとしたので、所定量の圧縮空気を蓄積できる、安定した圧縮空気の供給が可能となる。
また、リザーバタンク15,16から得られた圧縮空気を、内部機器の冷却用流体として用いることとしたので、内部機器の耐久性を向上させることができ、海上での高いメンテナンス費用を低減することができる。
また、圧縮空気を用いてブースタによって増圧された油圧を得て、この油圧によって油圧制御弁等の油圧機器を駆動することとした。このように、ウェイト3の往復直線運動に伴い得られた圧縮空気を動力源として油圧機器を駆動するので、油圧を得るために油圧ポンプ等によって不必要に電力を消費することがなく、波力発電装置1によって得られた電力を有効に外部へと出力することができる。
また、イナーシャディスク6による付加質量体の質量を適宜調整することによりウェイト3の質量を小さくすることができ、さらに波力発電装置を小型化することができる。
このように、上下方向に往復直線運動するウェイト3’を利用して発電するだけでなく、水平方向に往復直線運動するウェイト3”を利用して発電をすることができるので、浮体2の鉛直方向のヒーブ運動だけでなく、ロールやピッチに基づく水平方向運動をも利用することができる。これにより、更なる発電量の増大を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、ウェイト3が往復直線運動を行い発電機8にて発電する構成は第1実施形態と同様なので、同一符号を付しその説明を省略する。本実施形態の波力発電装置20は、ウェイト3の動作によって得られた圧縮空気を用いてタービン22を回転させて発電させる点で第1実施形態と異なる。
シリンダ9の上部空間9aおよび下部空間9bのそれぞれに連通するように、これら空間9a,9b内の空気を取り出す圧縮空気吐出配管(圧縮流体取出部)24,25が接続されている。圧縮空気吐出配管24,25には、それぞれ、開閉弁24a,25aが設けられている。これら開閉弁24a,25aは、空間9a,9b内の空気が所定圧以上になったときに開とされるように制御される。空気吐出配管24,25には、それぞれ、タービン用ダクト27の上端側および下端側に接続されている。タービン用ダクト27は、上端および下端が大きな流路断面積を有し、上下方向における中央部に近づくほど徐々に流路断面積が減少する形状となっている。流路断面積が減少して流路が絞られた中央位置には、タービン22が設置されている。タービン22は、例えばウエルズタービンのような往復流型タービンが用いられる。タービン22は、回転軸29に取り付けられており、この回転軸29によって伝達された回転力によって浮体2の下端に設置したタービン用発電機30が発電するようになっている。
一方、ウェイト3が下方向へ変位すると、シリンダ9の下部空間9b内の圧力が上昇して空気圧が所定値以上になると、空気吐出配管25の開閉弁25aが開き、圧縮空気はタービン用ダクト27の下方空間27bへと導かれる。タービン用ダクト27の下方空間27bへと流れ込んだ圧縮空気は、上方へと流れ、流路断面積の減少に伴い増速された後にタービン22に衝突し、タービン22を回転駆動する。タービン22の回転力は回転軸29に伝達され、発電機30を駆動する。タービン22を回転させて通過した空気は、タービン用ダクト27の上方空間27aを流れ、空気吸入配管24及び開閉弁24aを介してシリンダ9の上部空間9aへと流れ込み、ウェイト3の下方向への変位を妨げないようになっている。
圧縮空気によってタービン22を回転させ、このタービンによって駆動されて発電するタービン用発電機30を設けることとしたので、ウェイト3によって得られる電力だけでなく、タービン22によっても電力を得ることができる。そして、タービン用発電機30は、制御、照明用などの系内設備用電源といった補助電源として用いることができるので、発電機8によって発電した電力を用いる必要がない。
また、タービン22を浮体2内に設けることとしたので、タービン22に海水が飛散することがないので、海水による腐食の影響を避けることができる。
上述した各実施形態では、ウェイトによって圧縮される流体を空気として説明したが、窒素等の他の流体であっても良い。
また、第1実施形態にて説明したリザーバタンク15,16と、第2実施形態で説明したタービン22とを組み合わせても良い。
上述した各実施形態では、ウェイト3が上下方向に往復直線運動し、ボールネジ軸5が回転する変換機構を一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ラック(振動体)が上下方向に往復直線運動し、このラックによりピニオン(回転体)が回転させられるようなものであってもよい。この場合、ピニオンに、発電機の回転軸に取り付けられたギア(歯車)およびフライホイール(付加質量体)が噛合することになる。
また、発電機8は、ウェイト3の往復直線運動をボールネジ軸5を介して得た駆動力を利用するものに限定されるものではなく、振動体(ウェイト)の往復直線運動に基づいて駆動されて発電するものであればよい。例えば、発電機に伝達される駆動力は振動体から直接得てもよく(例えばリニア発電機)、あるいは間接的に他の機構を介して得ても良く、さらには、付加質量体を介して駆動力を得ても良い。
2 浮体
3 ウェイト(振動体)
4 バネ
8 発電機
9 シリンダ
12,13,24,25 圧縮空気吐出配管(圧縮流体取出部)
15,16 リザーバタンク
22 タービン
30 タービン用発電機
Claims (5)
- バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、
該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機と、
を備えた波力発電装置において、
前記振動体は、シリンダ内に収容され、その往復直線運動に基づいて該シリンダ内の流体を圧縮するピストンとして用いられ、
前記シリンダには、前記振動体によって圧縮された圧縮流体を該シリンダ外に取り出す圧縮流体取出部が設けられ、
前記圧縮流体取出部から得られた圧縮流体を、内部機器の冷却用流体として用いることを特徴とする波力発電装置。 - バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、
該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機と、
を備えた波力発電装置において、
前記振動体は、シリンダ内に収容され、その往復直線運動に基づいて該シリンダ内の流体を圧縮するピストンとして用いられ、
前記シリンダには、前記振動体によって圧縮された圧縮流体を該シリンダ外に取り出す圧縮流体取出部が設けられ、
前記圧縮流体取出部から得られた圧縮流体を用いて増圧された油圧を得るブースタを備え、
該ブースタによって得られた油圧によって駆動される油圧機器を備えていることを特徴とする波力発電装置。 - バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、
該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機と、
を備えた波力発電装置において、
前記振動体は、シリンダ内に収容され、その往復直線運動に基づいて該シリンダ内の流体を圧縮するピストンとして用いられ、
前記シリンダには、前記振動体によって圧縮された圧縮流体を該シリンダ外に取り出す圧縮流体取出部が設けられ、
前記圧縮流体取出部には、圧縮流体を貯留するリザーバタンクが接続されていることを特徴とする波力発電装置。 - バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、
該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機と、
を備えた波力発電装置において、
前記振動体は、シリンダ内に収容され、その往復直線運動に基づいて該シリンダ内の流体を圧縮するピストンとして用いられ、
前記シリンダには、前記振動体によって圧縮された圧縮流体を該シリンダ外に取り出す圧縮流体取出部が設けられ、
前記圧縮流体取出部から導かれた圧縮流体によって回転するタービンと、
該タービンによって駆動されて発電するタービン用発電機と、
を備えていることを特徴とする波力発電装置。 - 前記振動体の質量に対して、質量を付加する付加質量体を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の波力発電装置。
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