JP5766373B1 - 難燃性立体格子形状クッション - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な難燃性を備えながら、クッションとして必要な適度な柔らかさと圧縮性、振動吸収性、除湿性、変形追従性やへたりのないといった優れた機械的特性を有する難燃性立体格子形状クッションの提供。【解決手段】 粘弾性エラストマーコンパウンドからなる、繰り返し圧縮残留ひずみ試験(JIS K‐6400‐4:2004 B法に準拠)において厚さ低下率5.0%以下である、連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成した立体格子形状クッションであって、該粘弾性エラストマーコンパウンドが、オイルとスチレン系熱可塑性エラストマーと臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。【選択図】 なし

Description

本発明は、シート及びベッド等に用いる難燃性立体格子形状クッションに関する。
シートやベッド等に用いられるクッションには、人間の体重を支え、保持する機能のほかに、心地のよさが要求される。心地のよいクッションには、機械的な特性として、適度な柔らかさと圧縮性、振動吸収性、除湿性、変形追従性やへたりのないことが要求される。さらに、これらのクッションを乗り物のシートとして使用する場合は、火災時における安全性を重視する必要があり、難燃性の機能も要求される。
特許文献1には、上記クッションが要求される機械的な特性を有する成形体が開示されている。該特許文献1によれば、内蔵された隆起部に、作用エレメントを有するため、上記機械的な特性を向上させることが可能であるが、シート及びベッド等に用いるクッションとして機械的特性を十分に満足するものではなかった。
そこで、機械的特性をさらに、向上させたクッションとして、特許文献2のように、隔壁を格子状に並立させたものが開発されている。
さらに、特許文献3には、上層部と下層部において構造を異ならせることにより、耐久性と追従性を兼ね備える、優れた機械特性を有するクッションが開示されている。
特表2001−514911号公報 実開昭52−15307号公報 実用新案登録3140168号公報
しかしながら、上記特許文献においては、シートやベッド等に用いられるクッションに難燃性を付与することは検討されておらず、クッションに必要な機械的特性を保持しながら十分な難燃性の機能をも併せ持つクッションは存在しなかった。そこで、本発明は、十分な難燃性を備えながら、クッションとして必要な適度な柔らかさと圧縮性、振動吸収性、除湿性、変形追従性やへたりのないといった、優れた機械的特性を有する難燃性立体格子形状クッションを提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の構造を有するクッションにおいて、特定の粘弾性エラストマーコンパウンドを採用することにより、十分な難燃性とクッションとしての機械的特性とを両立できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明は、
[1]粘弾性エラストマーコンパウンドからなる、繰り返し圧縮残留ひずみ試験(JIS K‐6400‐4:2004 B法に準拠)において厚さ低下率5.0%以下である、連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成した立体格子形状クッションであって、
該粘弾性エラストマーコンパウンドが、オイルとスチレン系熱可塑性エラストマーと臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。
[2]連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成し、前記格子体の上層部と下層部との間で圧縮性、屈曲性及び座屈性を異なるように設定し、上記下層部は、前記格子体を構成するハニカム形状構造体の多角形内にその底部から格子壁の高さより低い高さの平面形状が+形状のリブの両端を格子壁の内壁に一体に形成した、粘弾性エラストマーコンパウンドからなる立体格子形状クッションであって、
該粘弾性エラストマーコンパウンドが、オイルとスチレン系熱可塑性エラストマーと臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。
[3]連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成し、前記格子体の上層部と下層部との間で圧縮性、屈曲性及び座屈性を異なるように設定し、上記上層部は、前記格子体を構成するハニカム形状構造体の多角形内にその上面部から格子壁の高さより低い高さの平面形状が+形状のリブの両端を格子壁の内壁に一体に形成した、粘弾性エラストマーコンパウンドからなる立体格子形状クッションであって、
該粘弾性エラストマーコンパウンドが、オイルとスチレン系熱可塑性エラストマーと臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。
[4]前記粘弾性エラストマーコンパウンドが、前記オイル及び前記スチレン系熱可塑性エラストマーの合計重量に対し、重量比で0.10〜0.40の前記臭素系難燃剤と、0.03〜0.15の前記三酸化アンチモンと、を含むことを特徴とする、[1]〜[3]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[5]前記粘弾性エラストマーコンパウンドが、前記オイルの重量に対し、重量比で0.10〜0.50の前記スチレン系熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする、[1]〜[4]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[6]前記スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が、100,000〜500,000であることを特徴とする、[1]〜[5]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[7]前記スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が、15〜50重量%であることを特徴とする、[1]〜[6]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[8]前記臭素系難燃剤の融点が、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの融点よりも高いことを特徴とする、[1]〜[7]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[9]前記臭素系難燃剤が、複数の臭素原子を有する芳香族環を分子構造内に有する成分であることを特徴とする、[1]〜[8]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[10]前記オイルが、パラフィン系オイルである、[1]〜[9]に記載の難燃性立体格子形状クッション。
[11]自動車内装用であることを特徴とする、[1]〜[10]に記載の難燃性立体格子状クッション。
本発明によれば、十分な難燃性を備えながら、クッションとして必要な適度な柔らかさと圧縮性、振動吸収性、除湿性、変形追従性やへたりのないといった機械的特性を有する難燃性立体格子形状クッションを提供することが可能となる。
本発明の第一の構造例を示す図である。 本発明の第二の構造例を示す図である。 本発明の第三の構造例を示す図である。 1層のハニカム状の格子壁からなる空間構造を持つクッション体の体圧分散を測定した図である。 本発明の構造を適用したクッション体の体圧分散を測定した図である。 格子壁に対して大きなねじれ(せん断力)が作用した場合の挙動について例示した図である。
本発明の好適な実施形態に係る難燃性立体格子形状クッションに関して、以下の順番で説明する。
1)難燃性立体格子形状クッションの材料
1−1)粘弾性エラストマーコンパウンドの成分
1−2)粘弾性エラストマーコンパウンドの製造方法
1−3)粘弾性エストラマーコンパウンドの性状
1−4)粘弾性エラストマーコンパウンドの物性
2)難燃性立体格子形状クッションの構造
3)難燃性立体格子形状クッションの製造方法
4)難燃性立体格子形状クッションの物性
5)難燃性立体格子形状クッションの作用・効果
6)難燃性立体格子形状クッションの使用方法
≪難燃性立体格子形状クッションの材料≫
<粘弾性エラストマーコンパウンドの成分>
(成分)
・スチレン系熱可塑性エラストマー
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマーは特に限定はされない。本発明の実施形態におけるスチレン系熱可塑性エラストマーの具体例として、例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン(SEEPS)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン−ブタジエン−高結晶エチレン共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体)等が挙げられる。また、トリブロックでもジブロックでもよい。但し、理由は定かでないが、難燃剤や難燃助剤を添加した際、これらエラストマーが元々有していた特性の損なわれる程度がジブロックと比較して低いため、トリブロックが好適である。これらの一種又は、二種以上を混合して使用することも可能である。
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、100,000〜500,000であることが好適である。より好適には、150,000〜400,000であり、最も好適には、200,000〜350,000である。重量平均分子量が100,000以上であれば、成形性が向上し、500,000以下であれば、構造体としての高い追従性を満足することができる。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。測定条件は下記の通りである。
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、試料濃度(THF溶液):0.1%(W/V)、カラム:G4000HXL+G2000HXL+G1000HXL(東ソー(株)製、各7.8mmφ×300cm)、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計(RI)
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有率は、15〜50重量%であることが好適である。より好適には、20〜40重量%であり、最も好適には、25〜35重量%である。スチレン含有率がこの範囲を満たすことで、クッションとしての適性な硬度を得ることができる。また、後述するように臭素系難燃物の芳香環との関係においても、柔軟性、可塑性等の機械特性を備えることができる。本発明に記載のスチレン含有量は一般的な方法により、測定することができる。例えば、紫外分光光度計やH‐NMRスペクトル用いて測定することができる。
・オイル
本発明に用いるオイルとしては特に限定されない。鉱油類以外にも合成油を用いることも可能である。ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の鉱油類よりなることが好適である。但し、スチレン系熱可塑性エラストマーと臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを組み合わせた本発明の系においては、理由は定かでないが、パラフィン系オイルを用いた方が、他のオイルと対比して本発明の効果がより高まるために好適である。これを熱可塑性エラストマー等の可塑剤又は軟化剤として用いる。ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、合成油又はそれらの混合物であるオイルのいずれを用いても、上述した可塑剤又は軟化剤としての効果は同様に得られる。
・臭素系難燃剤
本発明に用いる難燃剤は、臭素系難燃剤である。そのような臭素系難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン(BPBPE)、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂(TBBAエポキシ)、テトラブロモビスフェノールAカーボネート(TBBA‐PC)、エチレン(ビステトラブロモフタル)イミド(EBTBPI)、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン(TTBPTA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP-TBBA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールS(DBP‐TBBS)、テトラブロモビスフェノールS(TBBS)、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート(TTBNPP)、ポリブロモトリメチルフェニルインダン(PBPI)、トリス(ジブロモプロピル)‐イソシアヌレート(TDBPIC)等が挙げられる。これらの難燃剤は、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
本発明に用いる臭素系難燃剤は、複数の臭素原子を有する芳香族環を分子構造内に有する成分が好適である。スチレン系熱可塑性エラストマーの分子骨格内の芳香環と臭素系難燃剤の芳香環との相互作用により臭素系難燃剤がスチレン系熱可塑性エラストマーのハードブロック部に結合するため(即ち、可塑剤側で分散する可塑剤難燃剤の量を相対的に低減させることが可能になるため)、難燃剤の使用量を低減させることができる結果、粘弾性エラストマーコンパウンドからなる立体格子形状クッションの元々の物性(粘弾性、伸縮性、耐久性等)を損ねることなく難燃性を付与できるものと推定される。また、臭素含有率としては60質量%(分子量全体に対する理論値)以上であることが好適である。
(ベンゼン環の機械特性への影響)
また、上記の機序に加えて、相対的に臭素系難燃剤の含有量を低減させる結果、十分な難燃性を付与できることと共に、構造自体がリジッドである芳香環の含有量を全体として減らすことが可能となる。この結果、構造体としてクッション等に適用した場合に、所望の機械特性と難燃性の両立が実現できるものと推定される。
本発明に用いる臭素系難燃剤は、臭素系難燃剤の融点が、スチレン系熱可塑性エラストマーの融点よりも高いことが好適である。融点の方が低い場合には、難燃剤としての効果が発揮できない場合が生じるからである。融点は、一般的な方法により測定することができる。例えば、示差走査熱量計を用い、昇温速度10℃/分で昇温させた時の融解ピークの温度として、測定することができる。
本発明における難燃性については、自動車用シートの用途を考慮した場合に、米国の自動車用内装材料の規格であるFMVSS No.302を満たしていることが好適である。
本発明は、難燃剤と共に難燃助剤として無機系難燃剤である三酸化アンチモンを含有する。臭素系難燃剤と併用することにより難燃性を高めることができる。さらに三酸化アンチモンに加えて、他の難燃助剤を併用することも可能であり、このような難燃助剤としては、例えば、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン、三硫化アンチモン、オキシ塩化アンチモン、二塩化アンチモンパークロロペンタン、アンチモン酸カリウムなどのアンチモン化合物、メタホウ酸亜鉛、四ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛などのホウ素化合物、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、モリブデン酸化物などが挙げられ、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、三硫化アンチモン、ホウ酸亜鉛が好適である。
・その他の成分
なお、本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドは、本発明の目的を損なわない範囲において、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、アルミナ等の無機充填剤、発泡剤(有機系、無機系、マイクロカプセル系)などの公知の添加剤を配合することができる。
<各成分の配合比率>
(スチレン系熱可塑性エストラマーの配合比率)
本発明の粘弾性エストラマーコンパウンドは、スチレン系熱可塑性エストラマー成分を全組成物に対して、5〜30重量%含むことが好適であり、10〜20重量%含むことがより好適である。5重量%以上であれば成形性が向上し、30重量%以下であれば十分な耐熱性が得られると考えられる。
(オイルの配合比率)
本発明の粘弾性エストラマーコンパウンドは、オイル成分を全組成物に対して、30〜80重量%含むことが好適であり、40〜70重量%含むことがより好適である。30重量%以上であれば所望の柔軟性及び圧縮性が得られ、80重量%以下であれば十分な成形性が得られると考えられる。
(スチレン系熱可塑性エラストマーとオイル成分の配合比率)
本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドに含まれるオイルとスチレン系熱可塑性エラストマーの重量比率は、オイルに対してスチレン系熱可塑性エラストマーを0.10〜0.50で含有することが好適であり、より好適には0.15〜0.35である。0.10以上であれば、成形性が向上し、0.50以下であることにより、十分な耐熱性を有することが予想される。
(難燃成分の配合比率)
本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドは、オイル及びスチレン系熱可塑性エストラマーの合計重量に対し、重量比で0.10〜0.40の臭素系難燃剤と、0.03〜0.15の三酸化アンチモンを含むことが好適であり、重量比で0.20〜0.30の臭素系難燃剤と、0.06〜0.10の三酸化アンチモンを含むことがより好適である。元来、粘弾性エストラマーコンパウンドの構成素材であるオイルやスチレン系熱可塑性エストラマーといったものは燃えやすい性質であるため、それに難燃性を付与することは、素材のもつ粘弾性や伸縮性及び耐久性を阻害しやすくなる。それに加えて、クッションとして要求される機械特性を満足するためには、非常に細密な調合が求められることとなる。例えば、クッションとして商品化した場合の耐久性を保つためには、後述する繰り返し圧縮残留ひずみ試験の結果が所定値を満たすことが要求される。このためには、上述した難燃素材の選定に加えて、上記の4つの主成分(オイル、スチレン系熱可塑性エストラマー、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモン)の配合比率の選定も重要となってくる。ここで、難燃素材である臭素系難燃剤と三酸化アンチモンを上述した上限比率以下にすることで、繰り返し圧縮残留ひずみ試験の試験において要求される品質を満たす。逆に、下限値以上とすることで、容易に燃焼してしまう場合が生じにくい。
(その他の成分の比率)
その他の成分の配合比率は特に限定されない。本発明の要求する効果を損なわない範囲内において、添加剤等のその他の成分を含有することができる。
≪粘弾性エラストマーコンパウンドの製造方法≫
本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドを得るために用いられる溶融混練装置としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が挙げられる。また、溶融混練は、混練する全成分を一括して溶融混練してもよいし、一部の成分を混練した後にその他の成分を加え溶融混練してもよく、溶融混練は1回又は2回以上行ってもよい。混練状態を向上させるためには、二軸の押出機を使用することが好適である。スチレン系熱可塑性エストラマーのガラス転移点よりも低い温度で溶融することもあり、温度が高いほど溶融粘度が小さくなって混合しやすくなるが、高過ぎると熱分解が起きる恐れがある。溶融混練における温度は、通常100〜250℃であり、時間は、通常1〜30分間が好適である。温度及び溶融混練時間は用途に応じて適宜調整可能である。
≪粘弾性エラストマーコンパウンドの性状≫
スチレン系熱可塑性エラストマーは室温においては、通常ゴム状であるが、温度上昇により架橋構造がこわれることで、軟化し自由な変形が可能となる熱可塑性を有する。粘弾性エラストマーコンパウンドにおけるこれらの構造は、一般的に室温においては、スチレンブロック部位が物理架橋をすることにより、オイル分子がその物理架橋により形成される網目構造体内に取り込まれることにより構成される、ゲル(ジェル)構造をとっている。このような有機物が取り込まれるゲルは一般にオルガノゲルに分類される。
≪粘弾性エラストマーコンパウンドの物性≫
<燃焼性試験>
本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドの難燃性については、FMVSS(Federal Motor−Vehicle Safety Standard)No.302 燃焼試験に準じて評価を行う。その難燃性の基準については、適用用途によって適宜変更可能であるが、その燃焼速度が150mm/min以下であることが好適であり、102mm/min以下であることがより好適であり、80mm/min以下であることが最も好適である。本発明の好適な用途である自動車用シートの場合、102mm/min以下であることが好適であるとされる。乗り物の火災時において脱出するための時間を十分確保するためである。
本発明の粘弾性エストラマーコンパウンドの物性値であって、立体格子形状の構造体にした場合に、クッションとしての優れた機械特性(ねじれの追従性・吸収性及び縦横隔壁の変形やへたり等の防止)を実現するために必要とされる物性値の測定方法として、以下の3つの試験が挙げられる。
<引張強さ試験>
引張強さ試験は、JIS K 6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に従い、試験片の形状として「ダンベル状3号形」にて、切断に至る最大応力である引張強さ(MPa)を測定する。本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドにおける引張強さは、0.8MPa以上であることが好適であり、1.2MPa以上であることがより好適である。0.8MPa以上の引張強さを有することで、特に耐久性及び追従性・吸収性の特性を向上させることができる。
<切断時伸び試験>
引張強さ試験は、JIS K 6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に従い、試験片の形状として「ダンベル状3号形」にて切断時伸び(%)を測定する。本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドにおける引張強さは、850%以上であることが好適であり、1000%以上であることがより好適である。850%以上の引張強さを有することで、特に耐久性及び追従性・吸収性の特性を向上させることができる。
<引裂強さ試験>
引裂強さ試験は、JIS K 6252:2007「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方」に従い、試験片の形状として「クレセント形」にて引裂強さ(kN/m)を測定する。本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドにおける引張強さは、8.0kN/m以上であることが好適であり、10.0kN/m以上であることがより好適である。8.0kN/m以上の引張強さを有することで、特に耐久性の特性を向上させることができる。
≪難燃性立体格子形状クッションの構造≫
本実施形態に係るクッションにおいて、粘弾性エラストマーコンパウンド製の連続した格子壁により多角形のハニカム形状構造とした格子体を形成し、その上下方向の圧縮性、屈曲性及び座屈性を異なるように設定する構成により、上層のハニカム形状構造の圧縮性、屈曲性及び座屈性を大きくし、下層のハニカム形状構造の圧縮性、屈曲性及び座屈性を小さく設定して、上層において小さな荷重に対する追従性を向上させ、下層で荷重による底つきを感じるような沈み込みを防止する機能を持たせて寝心地を良くし、且つ、病人や介護を必要とする人等長くベッドに横たわらなければならない人の荷重を分散し血行障害等の障害を防止可能とする。
格子体を構成するハニカム形状構造体の多角形内にその底部から格子壁の高さの約半分の高さの平面形状が+形状(×形状や井形状等の升目形状も含む。)の粘弾性エラストマーコンパウンド製のリブを格子壁の内壁に一体に形成する構成により、クッションの上下方向の圧縮性、屈曲性及び座屈性を異ならせ、小さな荷重に対する追従性を向上させ、荷重による底つき感を感じるような沈み込みを防止し、荷重の分散性に優れたクッションとすることが可能となる。
格子体を構成するハニカム形状構造体の多角形の断面大きさを上下積層方向で異なるように一体成形する構成により、クッションの上下方向の圧縮性、屈曲性及び座屈性を異ならせ、小さな荷重に対する追従性の向上と底つき感を感じるような沈み込みを防止し、荷重の分散性に優れたクッションとすることが可能となる。
格子体を構成するハニカム構造体の多角形の断面大きさが小さいハニカム形状構造体と多角形の断面大きさが大きいハニカム形状構造体をその周囲のみを固定して積層する構成により、多角形の断面大きさが大きいハニカム形状構造体の中心部が固定されていないため、その構造体が寝返りなどの移動の際発生するねじれ、つぶれといった上下垂直方向以外の運動を吸収しながら皮膚表面の快適さを保ちながらその力を広範囲に広げ、さらに断面大きさの大きい多角形のハニカム形状構造体のねじれつぶれの運動がハニカム形状構造体の側面だけでなく広範囲に動くことが可能になるため、荷重の分散性が一段と向上し、寝心地の良く、血行障害を防止できるクッションを提供できる。
連続した格子壁により多角形のハニカム形状構造とした格子体を形成し、その上下方向の圧縮性、屈曲性及び座屈性を異なるように設定する構成により、上層のハニカム形状構造の圧縮性、屈曲性及び座屈性を小さくし、下層のハニカム形状構造の圧縮性、屈曲性及び座屈性を大きく設定して、上層において皮膚の接触面積を増やすことにより皮膚のストレスを小さくし、下層で鉛直方向以外のずれ・ねじれの動きに対する追従性を向上させ、底つきを感じるような沈み込みを防止可能とする。
上層と下層のハニカムの構造が異なるものを一体で形成しているため押圧による壁の傾動距離が小さくなるので使用者は横揺れの感覚を軽減することができ、さらに縦横隔壁の傾動が少ないため、長期間の使用により発生する縦横隔壁の変形やへたり等を防止する効果もある。さらに、乗り物の振動や体動によって発生するねじれ(せん断力)を吸収し、血行障害等を防止可能とする。
以下本発明の難燃性立体格子形状クッションの具体的な構造例について、図1〜6を参照しながら詳細に説明する。
<第一の構造例>
本発明の構造に係る実施形態を図により説明する。図1(a)(b)(c)は、本発明のクッションの第一の構造例を示すものである。クッション1は、エラストマー及び粘弾性エラストマーから成る集合体から選択され、難燃剤をさらに含む粘弾性エラストマーコンパウンドにより形成される。クッション1は、横方向側壁2、縦方向側壁3、横方向隔壁4及び縦方向隔壁5とで複数の断面矩形の集合体であるハニカム形状構造体に形成される。ハニカム形状構造体の単位多角形の断面形状は、実施例に示された矩形に限らず、他の多角形であってもよい。ハニカム形状構造体の横方向隔壁4と縦方向隔壁5とで囲まれた断面多角形の底部から前記横縦隔壁4、5の高さより低い高さまで伸びる粘弾性エラストマーコンパウンドで形成される平面形状が図1(a)(b)に示されるように×形状又は図1(c)に示されるように+形状のリブ6が形成される。リブ6の両端は前記横縦隔壁4、5の内壁に一体に連結される。リブ6の形状は、クッション1の上下方向の圧縮性、屈曲性及び座屈性が適度に異なるようにするものであれば形状はどのような形状であってもよい。また、リブ6の底部からの高さは、リブ6の厚みを厚くすることにより低くすることができる。クッション1をこのように構成することにより、リブ6の形成されていない部分の圧縮性、屈曲性及び座屈性は、リブ6の形成されている部分の圧縮性、屈曲性及び座屈性に比較して大きいため、クッション1の上部は、小さい荷重に対しても追従し、その荷重を分散し、クッション1の下部は圧縮性、屈曲性及び座屈性が上部に比較して小さいため荷重による沈み込みを防止する。
<第二の構造例>
図2(a)(b)は、本発明のクッションの第二の構造例を示すものである。この第二の構造例に示すクッション7は、エラストマー及び粘弾性エラストマーから成る集合体から選択され、難燃剤をさらに含む粘弾性エラストマーコンパウンドにより形成される。クッション7は、上下2つの部分8及び9により構成される。図2(a)に示されるように、クッション7の上部分8は、第二の構造例のクッション1と同様に、横方向側壁10、縦方向側壁11、横方向隔壁12及び縦方向隔壁13とで複数の断面矩形の集合体であるハニカム形状構造体に形成される。また、クッション7の下部分9は、横方向側壁14、縦方向側壁15、横方向隔壁16及び縦方向隔壁17とで複数の断面矩形の集合体であるハニカム形状構造体に形成される。クッション7の上下部分8,9で相違するのは、ハニカム形状構造体を構成する多角形の断面大きさが、上部分8が下部分9より大きく形成される点である。図2(b)に示されるように、クッション7の上下部分8,9は一体成形される。クッション7の上部分8のハニカム形状構造体を構成する多角形の断面大きさが下部分9のハニカム形状構造体を構成する多角形の断面大きさより大きくして一体成形することにより、クッション7の上部分8は、小さい荷重に対しても追従し、その荷重を分散し、クッション7の下部分9は圧縮性、屈曲性及び座屈性が上部に比較して小さいため荷重による沈み込みを防止する。
<第三の構造例>
図3(a)(b)は、本発明のクッションの第三の構造例を示すものである。この第三の構造例に示すクッション18は、エラストマー及び粘弾性エラストマーから成る集合体から選択され、難燃剤をさらに含む粘弾性エラストマーコンパウンドにより形成される。クッション18は、上下2つの部分19及び20により構成される。図3(a)に示されるように、クッション18の上部分19は、横方向側壁21、縦方向側壁22、横方向隔壁23及び縦方向隔壁24とで複数の断面矩形の集合体であるハニカム形状構造体に形成される。また、クッション18の下部分20は、横方向側壁25、縦方向側壁26、横方向隔壁27及び縦方向隔壁28とで複数の断面矩形の集合体であるハニカム形状構造体に形成され、その上面の周囲のみに不織布、布、テープ、紙等のシート状物29が接着される。図3(b)に示されるように、クッション18の上下部分19、20はそれぞれ別体として成形され、クッション18の上部分19は、下部分20の上面の周囲のみに接着されたシート状物29を挟んで接着剤や熱溶着により接着して一体とされる。クッション18の上部分19のハニカム形状構造体を構成する多角形の断面大きさは、下部分20のハニカム形状構造体を構成する多角形の断面大きさより大きくする。クッション18の上部分19の圧縮性、屈曲性及び座屈性は、下部分20の圧縮性、屈曲性及び座屈性に比較して大きく、上部分19は下部分20に対して周囲のみを固定された状態であるため、寝返りなどの移動の際、断面大きさの大きい多角形のハニカム形状構造体のねじれつぶれの運動がハニカム形状構造体の側面だけでなく広範囲に動くことが可能になるため、荷重の分散性が一段と向上し、クッション18の上部分19は、小さい荷重に対しても追従し、その荷重を分散し、クッション18の下部分20は圧縮性、屈曲性及び座屈性が上部に比較して小さいため荷重による沈み込みを防止する。
本発明の構造例は、あくまで格子壁より低い高さの平面形状が+形状のリブを内壁に一体に形成した旨につき、さらに構成上の限定を付加している。また、本発明の構造例は、いわゆるヘタリが早い等の耐久性に欠けるという問題点を解決するとともに、クッションに負荷される小さな荷重に対しても追従し、さらに寝返り時のねじれ(せん断力)を吸収し、ユーザに対して底つきを感じさせないように荷重を分散させることで沈みこみを無くし、ひいては寝心地や座り心地を向上させたクッションを提供することを目的としている。
かかる目的の下、本発明の構造例では、格子体を構成するハニカム形状の多角形内にその底部から格子壁の高さより低い高さの平面形状が×又は+形状のリブを格子壁の内側に一体に形成する構成としている。即ち、本発明の構造例では、×又は+形状のリブが形成されている下層部と、これらリブが形成されていない上層部の2段構成としている(以下、このような設置方法を第1の設置方法という)。これにより、クッションの上下方向の圧縮性、屈曲性及び座屈性を上層部と下層部の間で大幅に異ならせることができる。
仮にこのクッションに対して小さな荷重が負荷された場合には、リブを有しない上層部でこれを受け止めることができ、また上層部のみをこれに追従させることができる。これに対して上層部のみで受け止めきれない大きな荷重が負荷された場合には、上層部の格子壁の壁面が下層部まで傾き、かかる壁面が下層部と接する状態となる。このとき、下層部のリブ構造によってその大きな荷重を受け止めることができるため、ユーザが底つきを感じるような沈みこみを防止し、荷重の分散性に優れたクッションとすることが可能となる。
本発明の構造例は、鉛直方向に向かって上層部と下層部を明確に分離して構成している。しかも下層部を構成するリブは、その周囲の格子壁に対して一体に形成し、しかもこれを突起状に形成していないため、仮に大きなねじれ(せん断力)が作用しても殆ど傾動することはない。
また、本発明の構造例は、リブの平面形状が×又は+形状となるように限定をかけているところ、そのリブの交錯角につき略90°となるように限定している。即ち、リブの交錯角につき略90°となるように限定していることで、いかなる方向からねじれが作用しても殆ど傾動することはない。
即ち、本発明の構造例では、リブが形成されていない上層部と、リブが形成されている下層部との間でそれぞれの圧縮性、屈曲性及び座屈性を互いに大幅に異ならせることができる。従って、荷重が負荷された場合において、リブ構造を有する下層部を殆ど傾動させることなく、上層部を構成する格子壁のみを主として傾動させることが可能となる。換言すれば、トータルの傾動距離は、リブが形成されていない上層部のみが担い、下層部が担う傾動距離を少なくすることが可能となる。このため、ユーザに対して与えてしまう横ぶれ感を大幅に軽減させることができる。
また、本発明に係るクッションでは、トータルの傾動距離を減らすことができる。このため、本発明にかかるクッションを車椅子等の座面に配設することにより、単なる格子状のクッション体と比較して座位の安定性を向上させることができ、特に座位姿勢の保持が困難な高齢者や身体障害者に対して、より傾動距離を抑えつつ、しかも横ぶれ感を軽減させたクッション体を提供することも可能となる。また、上述の如き構成からなるクッションを車椅子等に配設することにより、高齢者等の座位姿勢を常に保持安定させることが可能な画期的な車椅子を提供することも可能となる。
また、本発明の構造例は、上下を逆にして設置する第2の設置方法を採用することも可能である。この第2の設置方法では、平面形状が×又は+形状のリブ構造体を上層部にし、かかるリブを有しないハニカム状の格子壁を下層部として使用することになる。かかる場合には、上層部表面と、これに接触するユーザの体表面との間で接触面積を大きくすることができ、ユーザに対してソフトな接触感覚を与えることができ、安定したやさしい皮膚感覚を与え続けることも可能となり、より快適なクッション体となり得るのである。このような使用形態におけるクッションの変形形態は、例えば小さな荷重が上層部表面に負荷された場合に、かかる上層部は殆んど変形することなくその荷重を下層部の格子壁へと伝え、下層部はその伝えられた荷重に基づいて湾曲することにより、その荷重を分散することになる。また、上層部表面に大きな荷重が負荷された場合においても、上層部はその形態を維持したまま徐々に下層部内へ沈み込み、当該上層部がクッション底部まで到達した後に、上層部自身がつぶれ込みながらその荷重を分散させることになる。特に、クッションの底部を不織布等によって固定した場合に、そのクッション体そのものの傾動距離は、第1の設置方法におけるクッション体の傾動距離と比較して小さくなり、より安定的に座位姿勢の保持が図れることになる。
このように、本発明に係るクッションの構造例は、粗く分割されたハニカム状の格子壁からなる空間構造と、細かく分割されたリブ構造体で囲まれる空間構造を2層に亘って形成している。これら2層間の間で、傾動の傾向を大幅に異ならせることができる。そして、このクッションでは、上層部と下層部を入れ替えることにより、第1の設置方法と第2の設置方法とを自在に使い分けることが可能となる。
即ち、第1の設置方法は、かかと等のように局部的に大きな力が加わる場合において望ましく、また第2の設置方法は、背中等のように広範囲に亘って身体とクッション体が接触する場合において望ましい。特に第2の設置方法は、寝台の背もたれを持ち上げて座位姿勢をとる必要がある場合において、底つきそのものを無くして横ぶれを軽減させる際において特に優れた効果を発揮する。さらに、この第2の設置方法では、ソフトな接触感覚をユーザに与えることができることから、皮膚の接触感覚が敏感なユーザや浮腫による皮膚のダメージが心配されるユーザにとって、より快適な使用環境を提供することも可能となる。
また、第1の設置方法並びに第2の設置方法では、2つの形状の異なる空間構造を持たせることによって、特に小さく分割された空間構造部分に大きな荷重が負荷されてクッションが変形した場合であっても、常にハニカム状構造体の壁により囲まれる空間を保持し続けることができるため、体温の保温性に優れ、さらに汗等の湿気を放出しやすいという特性も有するため、快適な寝具ともなりえるのである。
上述の内容は図1のクッション1の設置方法についての説明であるが、ここで図2のクッション7については、上部分8及び下部分9のどちらも第1の設置方法による組み合わせであるが、上部分8及び下部分9のどちらも第2の設置方法による組み合わせとすることも可能である。また、この組み合わせについては上部分8を第1の設置方法とし下部分9を第2の設置方法にしてクッション7を構成することも可能であり、さらに上部分8を第2の設置方法とし下部分9を第1の設置方法としてクッション7を構成することも可能である。また、他の組み合わせとしてクッション7を構成する場合、上部に下部分9を配し、下部に上部分8を配することも可能であり、この場合の組み合わせは上記の通り4つの組み合わせが可能となる。よってクッション7を構成する組み合わせ方法として合計8つの組み合わせが可能となる。このことは、図3のクッション18を構成する場合においても同じである。これらの組み合わせは求められるクッション性の強度や状況に応じて決定し、最適な構成を作り上げることが可能である。
また、鉛直方向に向かって上層部と下層部を明確に分離した2層構造からなる本発明の構造例は、上層部と下層部間で変形挙動につき大幅な差異を出すことができるため、クッション体に生じるズレ力を効果的に吸収することができる。このため、ズレによって体表面に発生するせん断力をも吸収することにより毛細血管の血流量の低下を大きく軽減させることが可能となり、ひいては床ズレの発生そのものを防止することも可能となる。
その裏付けとして、図4は、1層のハニカム状の格子壁からなる空間構造を持つクッション体(以下、比較構造例という。)の体圧分散を測定したデータであり、図5は、本発明の構造を適用したクッション体の体圧分散を測定したデータである。これら各データは、比較構造例を適用したクッション体、本発明の構造を適用したクッション体を実際使用時において最も局所的な圧力が発生し得る状況である背上げ角度が80°となるようにそれぞれ寝台に配設し、人体を座らせた状態とし、各クッション体に負荷される圧力分布を測定したものである。
その結果、図4には、40mmHgを超える領域が僅かながら表示されており、局所的に圧力が高くなる領域が発生する旨が示されている。荷重によってハニカム状の格子壁が大きく傾動して沈み込み、荷重を分散させることができなかったことにより発生したものである。
これに対して、図5には、40mmHgを超える領域が全く表示されていないことから、局所的に圧力が高くなる領域は発生することなく、荷重を分散させることで沈みこみが抑えられている旨が示されている。また、睡眠中におけるこの体圧分散の差異による効果は、特に人体を仰臥姿勢より側臥姿勢とした状態においてより顕著になる。
上述のような裏付け結果からも、比較構造例と異なる構造である構成を採用する本発明は、特に使用者の健康面を重視してより快適な寝具や椅子を提供しなければならないケースにおいて、上記比較構造例に記載されている発明では生じない本発明の構造例特有の作用効果を有するものである。
本発明の構造例では、あくまで上方が開放された格子体を形成するようにしてもよい。このように上方を開放させることにより、コラム内を密閉させる場合と比較して、除湿性を向上させることが可能となり、せん断力(ねじり力)を効果的に吸収させることが可能となる。
また、格子体内部が密閉されていない本発明の構造例では、直下型沈下動作を示すとは限らず、物体の重力に応じて多様な屈曲動作を示す。このため、本発明の構造例では、直下型沈下のみに着目して固形突起物を配設するだけでは、クッション要素の沈み込みを効果的に防止することができない。
従って、本発明の構造例では、平面形状が+形状の粘弾性エラストマーコンパウンド製のリブの両端を格子壁の内壁に一体に形成する。これにより、仮に格子壁に対して大きなねじれ(せん断力)が作用しても、この内壁とリブ両端を一体に形成しておくことにより、その傾動距離を小さくすることが可能となる。その裏付けとして、図6において、格子壁の内壁とリブの両端を一体に形成した実験例1は、格子壁の内壁にリブ両端を一体形成していない実験例2と比較して、その傾動距離(A−A’の距離)が小さくなっていることが示されている。このため、傾動距離の小さい本発明の構造例をクッションとして適用した場合に体の沈み込みを防止することで、その安定保持を図ることができる。
これに対して、密閉させた格子体内に形成させた固形突起を、本発明の構造例のリブの代替として配設した場合に、かかる固形突起は、図6の実験例3に示すように、垂直に立設された垂直壁の傾動傾向とほぼ同様に大きく傾動し、傾動距離そのものが大きくなり、ユーザに対していわゆる横ぶれ感を与えてしまうことになる。特に、寝返り時のねじれ(せん断力)が加わった場合において、このコラムや固形突起物は大きく傾動することとなるため、これを利用する高齢者や身体障害者に対して大きな不快感を与えてしまうことにもなる。
即ち、本発明の構造例は、あくまで上方が開放された格子体に荷重が負荷された場合の傾動傾向や傾動距離を十分に洞察した上で、体の安定保持に寄与するための最適な格子体の傾動を実現するための構成を新たに見出し、これを発明の構成要件としている。
このような本発明に係るクッションの構造例では、従来例と比較して、トータルの傾動距離を減らすことができる。このため、本発明に係るクッションの構造例を車椅子等の座面に配設することにより、単なる格子状のクッション体と比較して座位の安定性を向上させることができ、特に座位姿勢の保持が困難な高齢者や身体障害者に対して、より傾動距離を抑えつつ、しかも横ぶれ感を軽減させたクッション体を提供することも可能となる。特に、車椅子等に配設するクッション体は、高齢者等が長時間に渡り連続的に座るケースが多くなることから、湿気が高くなりがちだが、格子体の上方を開放させた本発明の構造例では、クッション体に対して除湿性を持たせることが可能となる。
≪難燃性立体格子形状クッションの製造方法≫
本発明の難燃性立体格子形状クッションの製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の構造体の製造方法は、特に限定されない。スチレン系熱可塑性エラストマーやミネラルオイルの融点や混合比等に合わせて、変更が可能である。具体的な本発明の構造体の製造方法としては、例えば、以下の工程を含む。
(1)スチレン系熱可塑性エラストマーと可塑剤とを練り合わせて成形材料とする混練工程と、
(2)(1)で得られた成形材料を金型のキャビティ内へ所定温度で圧入する成形工程と、
(3)(2)の後、キャビティ内の成形品の形状が安定した後に金型を開いて成形品を取り出す離型工程と、からなる製造方法である。
材料を「混練」する工程としては、既に上述した通りであり、各種成分が良好に混合される方法であれば特に限定はされない。また、各種成分を溶解可能な有機溶媒中に溶解させて混合することもできる。
本発明の粘弾性エラストマーコンパウンドを用いた成形工程に用いられる方法としては、例えば射出成形や押出成形等が適用可能である。これには、一般的な成形材料を溶融できる成形機を用いることができる。射出成形機や押出成形機等が挙げられる。成形条件としては、一般に100〜300℃が好適であり、120℃〜280℃がより好適である。この場合、使用する金型の温度は、50℃〜210℃に設定することが好適である。
≪難燃性立体格子形状クッションの物性≫
難燃性立体格子形状クッションの構造体としての物性値について以下の2項目において評価を行う。本発明のように難燃性物質を含むことにより、硬度は一般に高くなる。また、難燃性の種類と量によっても、得られる物性は大きく異なる。例えば、難燃剤として水酸化Al、水酸化Mgを用いた場合には、難燃性は十分であっても、伸縮性がなく本発明の構造例においてもクッションとしての機能を十分に果たさない場合が生じる。また、一般的に、本発明のオイルと熱可塑性エラストマーの所定の混合比においては、柔軟過ぎて複雑な構造において成形性および形態保持性において問題を生ずる場合がある。しかしながら、難燃成分を本発明の範囲にすることで、本発明のリブ構造を介した二層構造により、成形性および形態保持性を付与することができ、同時に柔軟性による追従性に基づくクッションとしての機械特性を満足するものである。よって、その構造との相関においても、オイル及びスチレン系熱可塑性エストラマーの含量も同時に調節する必要がある。つまり、難燃性立体格子状クッションにおいて必要とされる難燃性及び上述した機械特性を同時に達成するためには、下記の物性値の結果を測定しながら、主要な成分(オイル、スチレン系熱可塑性エストラマー、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン)の配合比を厳密に調整することが必須となる。
<圧縮残留ひずみ試験>
本発明に係る粘弾性エラストマーコンパウンドがクッションの構造体として求められる弾性(形状の再現性)については、JIS K 6400−4:C法に準拠し、圧縮残留ひずみ(C)を求めることにより評価する。本発明の難燃性立体格子形状クッションの圧縮残留ひずみは10.0%以下であることが好適であり、5.0%以下であることが、より好適であり、3.0%以下であることが最も好適である。10.0%以下であれば、本発明に係る構造を有するクッションとして、要求される優れた耐久性及びクッション機能の再現性を満足することとなるからである。
<繰り返し圧縮残留ひずみ試験>
本発明に係る粘弾性エラストマーコンパウンドがクッションの構造体として求められる耐久性については、JIS K 6400−4:B法に準拠し、厚さ低下率(Cfd)を求めることにより評価する。本発明の難燃性立体格子形状クッションの厚さ低下率は5.0%以下である。2.0%以下であることが好適であり、1.0%以下であることがより好適であり、0.5%以下であることが最も好適である。5.0%以下であれば、本発明に係る構造を有するクッションとして、使用によるへたりを防止し、要求される優れた耐久性を満足することとなるからである。
≪難燃性立体格子形状クッションの作用・効果≫
従来のクッションでは、」クッションに難燃性を付与する場合、クッションとして、上述したようなずれ・ねじれの追従性・吸収性及び縦横隔壁の変形やへたり等を防止する効果を維持することが非常に困難となる。その材料の種類及び配合量が、粘弾性エラストマーコンパウンド材料としての難燃性やひずみ試験等を満足するような物性を得ることだけでなく、構造体としても機能することを満足する必要があるからである。本発明に係る難燃性立体格子形状クッションによれば、十分な難燃性を備えながら、従来品と変わらないクッションとしての機械特性を得ることができる。
≪難燃性立体格子形状クッションの使用方法≫
本実施形態に係る難燃性立体格子状クッションは、以下のように使用することができる。例えば、防振用(ボルト付き)インシュレーター、ボルト貫通ブッシュ、(凹凸)防振シート、テープ、シール、チップ状等の防振部材、鞄の緩衝材(例えばランドセルの肩掛け部、手提げ部等)、パソコン用アームレストやリストレスト(マウスパットにも応用)、紙送りローラ、オーディオ関係部材(ターンテーブル、インシュレーター、スぺーサー等)、ケース用防振ゴム足、靴エステ用人形の顔(皮膚等)、テニスラケット、断熱用シート、電柱保護用等の防水シート、床ずれ防止マット等、フィルムシーリング品(例えば老人大腿部骨折防止ヒッププロテクター、術後の身体形状補助材、ライダー用スーツ、グローブ(サッカーのキーパー、ゴルフ、スキー、ライダー用)、ライフルジャケット(例えば肩パット)、スポーツシューズ、ベッド、高温高圧成形機クッション(セラミック成形等)、熱伝導ゲルシート(例えば、放熱用CPUコア外周用等)、ゲーム機の制振パット、ヘルスケア関係、自動車部材(ウインドーパッキンの緩衝材等)、自動車ドアの衝撃吸収材(側面等)、自動車内のシート、靴の中敷き、靴にあたると痛い外反母趾や巻き爪等による痛みを緩和するためのフットケア用衝撃吸収剤、バンパーやヘルメットの衝撃吸収剤、ベット、マットレス、枕、クッション、座布団などの雑貨、寝具類としての衝撃吸収剤、肘あて、膝あて、鞍による馬の背中の鞍ずれ防止、スキー靴、トゥ・シューズ、バレエシューズ、グローブのようなスポーツ関係の衝撃吸収剤、荷物の輸送での衝撃吸収剤、骨折、怪我や傷を守り、義足と皮膚がこすれないための医療用衝撃吸収剤、乳がん等で乳房を切り取った人、水着や豊胸用の胸パット、魚つり用等の疑似餌、また、机や椅子、パソコン、本棚、床等の生活用品の埃やゴミを吸着する掃除用品、加えて油剤の徐放性を利用してパック等の化粧品や湿布、芳香剤等に応用が可能である。中でも、特に難燃性とねじれ(せん断力)吸収特性のため、床ずれ防止マット、ベッド、自動車用シートへの応用が好適である。
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(材料)
実施例に係る粘弾性エラストマーコンパウンドの作成に際して、以下の材料を使用した。
オイル:モレスコホワイトP−100(商品名、株式会社MORESCO製、パラフィン系オイル)
スチレン系熱可塑性エラストマー:タフテックN504(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製、重量平均分子量:約30万、スチレン含有量:30重量%)
臭素系難燃剤:FR−B(商品名、日宝化学株式会社製、ヘキサブロモベンゼン、融点:315℃)
三酸化アンチモン:AT−3CN(商品名、鈴裕化学社製)
その他の成分:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤)
(実施例1)
表1の配合に従い、実施例1について上述した製法に準じて製造を行った。より詳細には、配合成分をよく予備混練し、二軸押出機等でφ5mm程度のストランドに140℃で押し出し、適当な長さにカットした。得られたコンパウンドのペレットを170℃で溶融させ、金型(FMVSS No.302に準拠)に流し込み、冷却させて試験片1を得た。尚、表1記載の数値は、オイルとスチレン系熱可塑性エラストマーの合計を100重量部とした場合の各成分の重量部を表示している。
Figure 0005766373
(比較例1)
表1の比較例1の配合に従った事以外は、実施例1と同じ方法により製造し、試験片2を得た。
<燃焼性試験>
上述した試験方法に準じて、試験片1〜2について燃焼性試験を実施した。
(燃焼性の評価)
燃焼性試験の結果については、以下のように評価を行った。150mm/minを超える場合は×、150mm/min以下を○とした。結果を表2に示す。
Figure 0005766373
<引張強さ試験>
上述の試験方法に従い、燃焼試験と同様の条件において、試験片1〜2(試験片形状:ダンベル状3号形)を作成し、それぞれ引張強さ試験を実施した。
(引張強さの評価)
引張強さ試験の結果については、以下のように評価を行った。0.8MPa以上の場合は○、0.8MPaを下回る場合は、×とした。結果を表2に示す。
<切断時伸び試験>
上述の試験方法に従い、燃焼試験と同様の条件において、試験片1〜2(試験片形状:クレセント形)を作成し、それぞれについて切断時伸び試験を実施した。
(切断時伸び率の評価)
切断時伸び試験の結果については、以下のように評価を行った。切断時伸び率が850%以上の場合は○、850%を下回る場合は、×とした。結果を表2に示す。
<引裂き試験>
上記の試験方法に従い、試験片1〜2について引裂き試験を実施した。
(引裂き試験の評価)
引裂き試験の結果については、以下のように評価を行った。8.0kN/m以上の場合は○、8.0kN/mを下回る場合は、×とした。結果を表2に示す。
表1の配合表に従い、上述した製造方法に準じて実施例1及び比較例1の粘弾性エラストマーコンパウンドについて、構造例1の立体格子形状クッションの構造体を作成した。詳細には、配合成分をよく予備混練し、二軸押出機等でφ5mm程度のストランドに140℃で押し出し、適当な長さにカットした。その材料を成形機の材料供給口から投入し、170℃にて可塑化し、目的の形状のキャビティを有する金型に上記の溶融材料を注入した。金型の温度は60℃程度に設定した。適当な冷却時間を経過後、金型から突き出し、構造体を受けた。
<圧縮残留ひずみ試験>
上述した試験方法に従い、上記得られた実施例1及び比較例1に係る構造体について、圧縮残留ひずみ試験を実施した(試験片形状:5×5×3cm、35±1℃、70±5%RH×72時間、圧縮率50%)。
(圧縮残留ひずみ試験の評価)
圧縮残留ひずみ繰り返し試験の結果については、以下のように評価を行った。圧縮残留ひずみが10.0%を超える場合は×、10.0%以下は○とした。結果を表3に示す。
Figure 0005766373
<繰返し圧縮残留ひずみ試験>
上述した試験方法に従い、実施例1及び比較例1に係る構造体について、繰り返し圧縮残留ひずみ試験を実施した(試験片形状:5×5×3cm、80000回、圧縮率50%)。
(繰り返し圧縮残留ひずみ試験の評価)
繰り返し圧縮残留ひずみ試験の結果については、以下のように評価を行った。厚さ低下率が5.0%を超える場合は×、5.0%以下は○とした。結果を表3に示す。
1 クッション
2 横方向側壁
3 縦方向側壁
4 横方向隔壁
5 縦方向隔壁
6 リブ
7 クッション
8 上部分
9 下部分
10 横方向側壁
11 縦方向側壁
12 横方向隔壁
13 縦方向側壁
14 横方向側壁
15 縦方向側壁
16 横方向隔壁
17 縦方向隔壁
18 クッション
19 上部分
20 下部分
21 横方向側壁
22 縦方向側壁
23 横方向隔壁
24 縦方向隔壁
25 横方向側壁
26 縦方向側壁
27 横方向隔壁
28 縦方向隔壁
29 シート状物

Claims (10)

  1. 粘弾性エラストマーコンパウンドからなる、繰り返し圧縮残留ひずみ試験(JIS K‐6400‐4:2004 B法に準拠)において厚さ低下率5.0%以下である、連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成した立体格子形状クッションであって、
    該粘弾性エラストマーコンパウンドが、
    該コンパウンドの全重量を基準として30〜80重量%のオイル成分
    スチレン系熱可塑性エラストマーと
    該オイル成分及び該スチレン系熱可塑性エラストマーの合計重量に対し、重量比で0.10〜0.40の臭素系難燃剤と、0.03〜0.15の三酸化アンチモンと
    を含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。
  2. 連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成し、前記格子体の上層部と下層部との間で圧縮性、屈曲性及び座屈性を異なるように設定し、上記下層部は、前記格子体を構成するハニカム形状構造体の多角形内にその底部から格子壁の高さより低い高さの平面形状が+形状のリブの両端を格子壁の内壁に一体に形成した、粘弾性エラストマーコンパウンドからなる立体格子形状クッションであって、
    繰り返し圧縮残留ひずみ試験(JIS K‐6400‐4:2004 B法に準拠)において厚さ低下率5.0%以下であり、
    該粘弾性エラストマーコンパウンドが、
    該コンパウンドの全重量を基準として30〜80重量%のオイル成分
    スチレン系熱可塑性エラストマーと
    該オイル成分及び該スチレン系熱可塑性エラストマーの合計重量に対し、重量比で0.10〜0.40の臭素系難燃剤と、0.03〜0.15の三酸化アンチモンと
    を含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。
  3. 連続した格子壁により複数の多角形の集合体であるハニカム形状構造とし、少なくとも上方が開放された格子体を形成し、前記格子体の上層部と下層部との間で圧縮性、屈曲性及び座屈性を異なるように設定し、上記上層部は、前記格子体を構成するハニカム形状構造体の多角形内にその上面部から格子壁の高さより低い高さの平面形状が+形状のリブの両端を格子壁の内壁に一体に形成した、粘弾性エラストマーコンパウンドからなる立体格子形状クッションであって、
    繰り返し圧縮残留ひずみ試験(JIS K‐6400‐4:2004 B法に準拠)において厚さ低下率5.0%以下であり、
    該粘弾性エラストマーコンパウンドが、
    該コンパウンドの全重量を基準として30〜80重量%のオイル成分
    スチレン系熱可塑性エラストマーと
    該オイル成分及び該スチレン系熱可塑性エラストマーの合計重量に対し、重量比で0.10〜0.40の臭素系難燃剤と、0.03〜0.15の三酸化アンチモンと
    を含むことを特徴とする難燃性立体格子形状クッション。
  4. 前記粘弾性エラストマーコンパウンドが、前記オイルの重量に対し、重量比で0.10〜0.50の前記スチレン系熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子形状クッション。
  5. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が、100,000〜500,000であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子形状クッション。
  6. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が、15〜50重量%であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子形状クッション。
  7. 前記臭素系難燃剤の融点が、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの融点よりも高いことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子形状クッション。
  8. 前記臭素系難燃剤が、複数の臭素原子を有する芳香族環を分子構造内に有する成分であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子形状クッション。
  9. 前記オイルが、パラフィン系オイルである、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子形状クッション。
  10. 自動車内装用であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項記載の難燃性立体格子状クッション。
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