まず、図1の(イ)と(ロ)に基づき本発明の考え方の概念を説明する。
図1(イ)は本発明のフィットネス水着(M)を着用した場合の概念図である。
図1(イ)において、フィットネス水着(M)は防水性が有るため、水着(M)の着用者がプールに入った時、例えば、図7の様な水着(図4と同様な水着)ならば、水着上着部(M1)の両袖部と裾部および水着パンツ部(M2)の両裾部から水着内部へ進入する水以外に、水着(M)の表側を通じて内側へ体温より低いプール水の出入りがない。
また、図6の様な水着ならば、水着(M)の首周り部と両腕の付け根部および両大腿付け根部から水着内部へ進入する水以外に、水着(M)の表側を通じて内側へ体温より低いプール水の出入りがない。
このため、身体(S)が物質を代謝して熱を発生する熱産生(J)が、身体(S)の熱を外部に放散する熱放散(X)より大きくなる。この結果、身体(S)とフィットネス水着(M)との間に、前記の水着内部へ進入した水により形成された水層(W)は、体温により暖められた温水層となる。さらには、体温が上昇し、温熱性発汗を促進することになる。
すなわち、水着内側の保温性が高まり、かつ、発汗促進効果が得られる一連の現象は、(1)熱放散量の抑制(熱産生>>熱放散)、(2)身体と水着間の水層水温の上昇、(3)体温の上昇、(4)発汗の促進である。
これに対し、図1(ロ)は従来からの一般的な水着(競泳水着または遊泳水着)(A)を着用した場合の概念図である。
図1(ロ)において、水着(A)は透水性が有るため、水着(A)の内側へ体温より低いプール水の出入りが有る。このため、身体(S)の熱産生(J)より、身体(S)からの熱放散(X)が大きくなる。この結果、身体(S)と水着(A)との間の水層(W)は、体温により暖められることはない。さらには、体温が下がり寒さを感じることになる。
次に、図2に基づき本発明のフィットネス水着(M)の断面構造概要について、前記の特許文献3、4、5、6をモデルとする図3を参考比較にして説明する。
図2におけるフィットネス水着(M)は、従来からの一般的な水着に使用される編物(K)の一面にストレッチ性樹脂フィルム(F)が貼り合わされ、さらに該ストレッチ性樹脂フィルム(F)における編物(K)を貼り合わせた側とは反対側の肌面(S)側に、編物(B)が裏地として縫い糸(Y)にて縫い合わされて取り付けられている。
このストレッチ性樹脂フィルム(F)が貼り合わされた側、すなわち裏地の編物(B)が縫い合わされて取り付けられている側が、フィットネス水着(M)の内側面(肌側面)となる。
ここで、編物(B)が裏地として縫い糸(Y)にて縫い合わされて取り付けられているため、肌面(S)と編物(K)とストレッチ性樹脂フィルム(F)の貼合わせ積層体の間の水層部(図1のW)が裏地である編物(B)で肌面(S)周りを狭く2分割(図1のW1とW2)された状態となる。このため、この水層部内(図1のW)での水の対流が起き難く、体温で水層部が効率良く暖められ、かつ、保持され、裏地である編物(B)で狭く分割(図1のW1とW2)された温水層が形成される。
また、編物(K)とストレッチ性樹脂フィルム(F)の貼合わせ二層体と裏地である編物(B)が貼合わせではなく、縫い糸(Y)にて縫い合わされて取り付けられているため、表地となるこの貼合わせ二層体と裏地である編物(B)の各々は軽く、柔らかく、ストレッチ性が有ることから、身体へのフィット感も有り、軽く、動き易いフィットネス水着(M)となる。
一方、図3におけるフィットネス水着(M)は、一般的な水着に使用される編物(K)の一面にストレッチ性樹脂フィルム(F)が貼り合わされ、さらに、該ストレッチ性樹脂フィルム(F)層側に編物(B)が裏地として貼り合わされた三層貼り合わせ構造体である。このため、前記図2の構造体に比べ、肌面(S)とフィットネス水着(M)との間の水層部(W)での対流が起き易いことから体温での温水層形成の効率が劣ることになる。
また、三層貼り合わせ構造体のため、布帛のストレッチ性と身体へのフィット感が劣ると共に、重く感じ、粗硬感も有り、かつ、動き難いフィットネス水着となる。
これは、貼り合わせ層が増す毎に、接着剤が編物内部まで浸透し、各編物を構成する単繊維同士まで接着されるため、貼り合わされた布帛はさらに重くなると共に、ストレッチ性は大幅に低下することになる。
図4に本発明の一例であるフィットネス水着の表側面と肌側面の外観図を示す。この水着のデザインは、後述する図7に対応し、水着上着部が半袖タイプ、水着パンツ部がハーフパンツタイプである。
このフィットネス水着上着部(M1)は前記編物(K)とストレッチ性樹脂フィルムを貼り合わせた積層体布帛の内側に裏地用の編物(B)が縫い合わされて総裏地として取り付けられている。同様にフィットネス水着パンツ部(M2)も同様に積層体布帛の内側面(肌側面)に裏地用の編物(B)が同様に縫い合わされて総裏地として取り付けられている。
上記本発明の考え方の概念を基に、以下、その考え方を具体的な水着に取り入れたフィットネス水着について詳細に説明する。
なお、裏地用編物(B)が裏地として縫い糸(Y)にて縫い合わされて取り付けられている手法について、図4を参考に説明する。
図4の上着部(M1)における裏地用編物(B)は、表地となる編物(K)とストレッチ性樹脂フィルムを貼り合わせた積層体布帛の内側における左右前身頃の襟首部、前端部、裾端部、脇部および後身頃の襟首部、両脇部、裾端部の各々を縫い糸(Y)にて縫い合わされて取り付けられている。
また、両袖部における裏地用編物(B)は、各袖ぐり部と袖端部の各々を縫い糸(Y)にて縫い合わされて総裏地として取り付けられている。
すなわち、縫い合わされた各端部以外は、表地と裏地用編物(B)は分離されている形態となる。これは秋冬用の紳士ジャケットの総裏地が、縫い合わされて取り付けられる手法に類似したものである。
一方、水着パンツ部(M2)における裏地用編物(B)は、前身頃部と後身頃部における胴回り部と両足裾周り部および両脇部等の表地パーツが縫い合わされる部分に裏地用編物(B)が縫い糸(Y)にて縫い合わされて総裏地として取り付けられている。
なお、縫い糸(Y)の糸種は特に限定されるものではないが、通常はポリエステル系繊維やポリアミド系繊維からなるミシン糸が使用される。
本発明のフィットネス水着は、合成繊維マルチフィラメントと弾性繊維とから交編された編物(K)の一面に樹脂フィルムが貼り合わされた積層体布帛のストレッチ樹脂フィルム層側に、裏地用編物(B)が裏地として縫い合わされて取り付けられているものである。
本発明を構成する編物(K)は、合成繊維マルチフィラメントと水着としてのストレッチ性を得るための弾性繊維とから交編されたものからなる。
該編物(K)を構成する合成繊維マルチフィラメントが、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維およびポリプロピレン系繊維の内の少なくとも一種から選択されたものを使用することが好ましいものである。
すなわち、合成繊維マルチフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル系繊維、芳香族ポリエステルに第三成分を共重合した芳香族ポリエステル系繊維、L-乳酸を主成分とするもので代表される脂肪族ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維などの合成繊維などが挙げられる。
本発明では、これらの合成繊維を単独または2種以上の混合物として使用することができるが、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を主成分にした繊維が好ましい。
なお、ポリエステル系繊維を採用する場合、通常のポリエステル系繊維は一般に分散染料を用いて染められるが、分散染料はポリウレタン系繊維に汚染してしまうため、最終製品において色移り等の堅牢度不良を発生させることがある。そのためカチオン染料で染色することの出来るカチオン可染型ポリエステル系繊維を用いることがより好ましい。
また、本発明に用いられる合成繊維は、通常のフラットヤーン以外に、仮撚り加工糸、流体攪乱加工糸(“タスラン”(登録商標)加工糸など)、混繊糸等のフィラメントヤーンであってもよい。
合成繊維の糸形態としてはモノフィラメントではなく、マルチフィラメントを用いるものである。モノフィラメントの場合は肌触りが悪く、着用感に劣るものとなる。
マルチフィラメントのフィラメント数としては、5〜100フィラメントが好ましく、24〜72フィラメントがより好ましい。このフィラメント数が、5フィラメント未満では風合いが粗硬気味となり好ましくない。また、100フィラメントを超えるとスナッグ、ピリング等の物性が劣ることになり好ましくない。
一方、単繊度としては、0.5〜5.5デシテックスが好ましく、0.5〜3.0デシテックスがより好ましい。単繊度が0.5デシテックス未満ではスナッグ、ピリング等の物性が劣ることになり好ましくない。また、5.5デシテックスを超えると風合いが粗硬気味となり好ましくない。
糸の太さも特に限定されることなく、総繊度が33デシテックスから110デシテックスまで好ましく使用することができ、特に、33デシテックスから55デシテックスまでがより好ましく使用することができる。総繊度が33デシテックス未満ではフィットネス水着としての生地の厚さが薄くなり保温性に劣ることがあり好ましくない。また、破裂強力等の物性にも劣る場合がある。また、110デシテックスを越えると生地の目付が重くなり運動性に劣ることがあり好ましくない。
また、単繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、Y型断面、その他の異形断面などを限定されることなく用いることができる。
また、交編される弾性繊維について、JIS規格によると、弾性繊維とは「ゴム状弾性を持っている繊維」(JIS L 0204 742)と定義されている。これに該当し、また、本発明に使用できる弾性繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維等の通常の仮撚加工糸等も採用されるが、好ましくはポリウレタン系弾性繊維やポリエステル系弾性繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリスチレン系弾性繊維あるいはポリトリメチレンテレフタレート複数成分同士のバイメタル構造に代表されるコンジュゲート繊維、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのコンジュゲート繊維等が採用できる。なかでも、ポリウレタン系弾性繊維が特に好ましく使用することができる。
さらに、プールで使用される水着であることから、耐塩素性ポリウレタン系弾性繊維であることがより好ましい。
この糸の太さも特に限定されることなく、繊度が22デシテックスから88デシテックスまで好ましく使用することができ、特に、33デシテックスから55デシテックスまでがより好ましく使用することができる。繊度か22デシテックス未満では、フィットネス水着としての生地のパワーが弱くなることから生地の伸長回復率に劣ることになり好ましくない。また、88デシテックスを越えると、生地のパワーが強くなり過ぎたり、目付が重くなり過ぎたりすることになり好ましくない。
弾性繊維と交編される編物(K)は、丸編地であるシングル丸編地やダブル丸編地、経編地であるシングルトリコット編地やダブルトリコット編地、シングルラッシェル編地やダブルラッシェル編地があり特に限定されるものではない。
また、編組織としては、丸編地の天竺組織、インターロック組織、ジャカード組織、経編地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織などの編組織が適用され、特に限定されるものではないが、編地が薄くて安定性が有り、かつ、伸長率にも優れる点からポリウレタン系弾性繊維を交編したシングルトリコット編地のハーフ組織地を好ましく使用することができる。
製編された生機編地の精練や染色等の加工は、通常の水着用の編地の加工法に準じて行えばよい。また、染色段階での付帯加工として、撥水加工、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、防カビ加工、紫外線吸収加工、さらに、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、プリント加工など要望に応じて適宜付与することが好ましい。
特に撥水加工を施すことにより、プールから上がった後に水着が水を含み難いことから身体の冷感を軽減させることができ、好ましく使用できる。
このようにして得られた編物(K)の一面にストレッチ性樹脂フィルムを貼り合わせて二層構造体布帛とする。
ストレッチ性樹脂フィルムとしては、ポリウレタン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムなどのストレッチ性を有するエラストマー樹脂フィルムなど、特に限定されるものではないが、ストレッチ性に優れたポリウレタン系樹脂フィルムを適用することが好ましい。
また、フィルム単体のストレッチ性としては、100〜800%有ることが好ましく、150〜600%有ることがより好ましい。上記下限および上限のいずれかまたはいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
100%未満の場合は、後述する編地に貼り合わせた後の二層積層体布帛のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率が55%未満になる場合があり好ましくない。また、800%を越えると、伸長率が大きすぎることから、編地との貼り合わせ加工時に、加工シワ等の加工ムラが発生し易く好ましくない。
なお、このストレッチ性の数値は、試験法ASTM-D-882法(2009年度版)の引張り試験に基づく破断伸度を示すものである。
さらに、プールを中心に使用される水着であることから、耐塩素性フィルムであることがより好ましい。
また、フィルムにアルミやチタンなど金属の蒸着加工や着色加工が施されていることで、輻射熱反射保温性効果が訴求でき好ましく使用できる。
フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、15〜100μmが好ましく、15〜50μmがより好ましく使用できる。上記下限および上限のいずれかまたはいずれを組み合わせた範囲であってもよい。この厚さが15μm未満の場合は、編地に貼り合わせ加工時や水着とし着用時にフィルムの破れが発生し易く好ましくない。また、100μmを越えると布帛の厚さが過度に厚くなったりすることから好ましくない。
編物(K)の一面に前記のストレッチ性樹脂フィルムを貼り合わせるための接着剤は、特に限定されるものではなく、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の従来から使用されている熱可塑性樹脂接着剤を適宜選択して使用すればよい。
本発明のフィットネス水着のようにストレッチ性を要求されるものには、ポリウレタン樹脂が好ましく使用できる。
接着法も特に限定されるものではなく、水着の風合いを重視する場合はドット接着法を、編物(K)とフィルムとの剥離強力を重視する場合は全面接着法を採用すればよい。
この積層体布帛のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が80%以上であることが好ましい。
平均伸長率および平均伸長回復率は実施例に示す方法で測定することができるが、伸長率とは、編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、水着にして着用した時、水着を構成する編地が身体の動きに追従し易く、運動による激しい動きにも編地が追従し、動き易く、疲れ難い。
また、伸長回復率とは身体の動きで伸長した編地が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、水着として着用した時、水着がよりフィット性に富み、動き易い。
この伸長率と伸長回復率は編地のタテ方向とヨコ方向の各々の数値を平均して考える必要がある。これは、水着にして実際着用して動く場合、編地のタテ方向あるいはヨコ方向の一方向のみ伸長されるわけではなく、人間の身体の丸みに応じて三次元的に編地が伸長されるためである。この三次元的な伸長特性が編地のタテ方向とヨコ方向の平均した伸長率である平均伸長率、および平均伸長回復率と相関し、よく一致するものである。
本発明における編地のタテ方向およびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。平均伸長率が55%未満であると水着として着用し、激しい運動を行った場合、身体の動きに水着が追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。
また、本発明における編地のタテ方向およびヨコ方向の平均伸長回復率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。平均伸長回復率が80%未満であると運動などにより伸長された水着が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから身体の動きに追従しにくくなる。また、フィットネス水着としての見映えにも劣ることになる。
本発明において積層体布帛の目付を170〜320g/m2とすることが好ましい。
180〜280g/m2とすることがより好ましい。目付を170g/m2以上とすることで、保温性を低下させることなく、水着としての防透け性効果も得ることができる。一方、320g/m2以下とすることで、重くなり過ぎないことから動きも妨げられず、フィットネス水着としての着用性も良好なものとなる。上記下限および上限のいずれかまたはいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
本発明において積層体布帛の厚さを0.6〜1.0mmとすることが好ましい。
0.7〜0.9mmとすることがより好ましい。上記下限および上限のいずれかまたはいずれを組み合わせた範囲であってもよい。厚さを0.6mm以上とすることで、保温性を低下させることなく、水着としての防透け性効果も得ることができる。
一方、1.0mm以下とすることで、嵩張らず、動きも妨げられないことから着用性も良好なものとなる。
従来から使用されているフィットネス水着の裏地は、水着上着部は胸部に、水着パンツ部はクロッチ部のみに縫い合わされて取り付けられているのが一般的であるが、本発明のフィットネス水着の裏地は、水着上着部もパンツ部も肌側前面に総裏地として縫い合わされて取り付けられているものである。
この本発明の裏地用の編物(B)は、合成繊維マルチフィラメントからなるポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維およびポリプロピレン系繊維の内の少なくとも一種から選択されたものを使用することが好ましいものである。
これらの合成繊維マルチフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル系繊維、芳香族ポリエステルに第三成分を共重合した芳香族ポリエステル系繊維、L-乳酸を主成分とするもので代表される脂肪族ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維などの合成繊維などが挙げられる。
これらの合成繊維を単独または2種以上の混合物として使用することができるが、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を主成分にした繊維が好ましい。
合成繊維の糸形態としてはモノフィラメントではなく、マルチフィラメントを用いるものである。モノフィラメントの場合は肌触りが悪く、着用感に劣るものとなる。
マルチフィラメントのフィラメント数としては、5〜100フィラメントが好ましく、24〜72フィラメントがより好ましい。上記下限および上限のいずれかまたはいずれを組み合わせた範囲であってもよい。このフィラメント数が5フィラメント未満では裏地としての風合いが粗硬気味となることがあり、肌触りが劣ることから好ましくない。
また、100フィラメントを超えるとスナッグ、ピリング等の物性が劣ることがあり好ましくない。
一方、単繊度としては、0.5〜5.5デシテックスが好ましく、0.5〜3.0デシテックスがより好ましい。単繊度が0.5デシテックス未満ではスナッグ、ピリング等の物性が劣ることになり好ましくない。また、5.5デシテックスを超えると裏地としての風合いが粗硬気味となり、肌触りが劣ることから好ましくない。
また、単繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、Y型断面、その他の異形断面などを限定されることなく用いることができる。
糸の太さも特に限定されることなく、総繊度が22デシテックスから84デシテックスまで好ましく使用することができ、特に、22デシテックスから55デシテックスまでがより好ましく使用することができる。総繊度が22デシテックス未満ではフィットネス水着用の裏地としての厚さが薄くなり保温性に劣ることになり好ましくない。また、破裂強力等の物性にも劣ることになる。また、84デシテックスを越えると裏地の目付が重くなり運動性に劣ることになり好ましくない。
この裏地用編物(B)は、編物(K)にストレッチ性樹脂フィルム(F)が貼り合わされた積層体布帛のストレッチ性に追従するために、弾性繊維と交編された裏地であることが好ましい。
この裏地に使用できる弾性繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維等の通常の仮撚加工糸等も採用されるが、好ましくはポリウレタン系弾性繊維やポリエステル系弾性繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリスチレン系弾性繊維あるいはポリトリメチレンテレフタレート複数成分同士のバイメタル構造に代表されるコンジュゲート繊維、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのコンジュゲート繊維等が採用できる。なかでも、ポリウレタン系弾性繊維が特に好ましく使用することができる。さらに、プールで使用される水着であることから、耐塩素性ポリウレタン系弾性繊維であることがより好ましい。
この糸の太さも特に限定されることなく、繊度が22デシテックスから88デシテックスまで好ましく使用することができ、特に、22デシテックスから55デシテックスまでがより好ましく使用することができる。繊度が22デシテックス未満では、フィットネス水着用の裏地としてのパワーが弱くなることから裏地としての伸長回復性に劣ることになり好ましくない。また、88デシテックスを越えると、裏地としてのパワーが強くなり過ぎたり、目付が重くなり過ぎたりすることになり好ましくない。
この裏地のストレッチ性は、前記した水着の表地である積層体布帛のストレッチ性に追従できることが望ましいものである。このことから、裏地のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が80%以上であることが好ましい。
したがって、裏地のタテ方向およびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
同様に、裏地のタテ方向およびヨコ方向の平均伸長回復率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましいものである。
裏地の平均伸長率と平均伸長回復率の測定法は、実施例に示す前記の積層体布帛の測定法と同様に行えばよい。
弾性繊維と交編される裏地用編物(B)は、丸編地であるシングル丸編地やダブル丸編地、経編地であるシングルトリコット編地やダブルトリコット編地、シングルラッシェル編地やダブルラッシェル編地があり特に限定されるものではない。
また、編組織としても裏地用編物として一般的に使用されているものであればよく、特に限定されるものではないが、丸編地の天竺組織、インターロック組織、メッシュ組織、経編地のハーフ組織、サテン組織、ダブルデンビー組織、マーキーゼット組織、クインズコード組織、メッシュ組織、パワーネット組織などの編組織が適用され、特に限定されるものではないが、編地が薄くて、軽量で安定性が有り、肌離れ性にも優れ、かつストレッチ性にも優れる点からポリウレタン系弾性繊維を交編したシングルトリコット編地のメッシュ組織地やシングルラッセル編地のパワーネット組織地を好ましく使用することができる。
裏地用編物(B)の目付としては、60〜180g/m2が好ましく、70〜150g/m2がより好ましい。上記下限および上限のいずれかまたはいずれを組み合わせた範囲であってもよい。目付が60g/m2未満となると水着用裏地としての破裂強力が劣り好ましくない。また、180g/m2を越えると重くなり過ぎ、動きづらくなることから好ましくない。
裏地用編物(B)の厚さとしては、0.4〜0.8mmとすることが好ましい。0.4〜0.6mmとすることがより好ましい。厚さを0.4mm以上とすることで、保温性を低下させることがなく、好ましく使用できる。一方、0.8mm以下とすることで、嵩張らず、動きも妨げられないことから着用性も良好なものとなる。
製編された裏地用生機編地の精練や染色等の加工は、通常の裏地用編物の加工法に準じて行えばよい。また、染色段階での付帯加工として、撥水加工、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、防カビ加工など、編物裏地用としての要望に応じて適宜付与することが好ましい。
特に撥水加工を施すことにより、プールから上がった後に水着が水を含み難いことから身体の冷感を軽減させることができ好ましく使用できる。
本発明のフィットネス水着は、前記積層体布帛と裏地が、145〜175cmの身長の女性に対し、50〜85%の被覆率であることが好ましいものである。好ましくは、バストサイズ75〜95cm、ウェストサイズ55〜75cm、ヒップサイズ75〜95cmの女性に対し上記被覆率であることである。
本発明のフィットネス水着の保温性は、水着を構成する素材、構造体、目付、厚さ以外に、水着を構成する素材が身体を覆う被覆率の影響が大きいものである。
145〜175cmの身長の女性に対し、50%未満の被覆率では、図6に示すような従来からの一般水着のデザインに近くなり満足する保温性を得ることができない。一方、上限被覆率としては、頭部と足部を除いた85%の被覆率となる。
図5には発行元(社団法人)人間生活工学研究センターの「日本人の人体寸法データブック2004−2006」を参考として、日本人女性20〜29歳における身体の各部位別平均寸法の中からH、E、D、Cを示すと、H=1,586mm、E=1,351mm、D=939mm、C=631mmとなる。ここで、
H:身長
E:頚側点(けいそくてん)から下腿最小囲(かたいさいしょうい)までの鉛直距離
D:頚側点(けいそくてん)から脛骨点(けいこつてん)までの鉛直距離
C:頚側点(けいそくてん)から恥骨点(ちこつてん)までの鉛直距離
である。
また、身長(H)に対するE、D、Cの割合は、E=(E/H)×100=85.2%、D=(D/H)×100=59.2%、C=(C/H)×100=39.8%となる。
なお、着用者の身長が145cm未満の場合や175cmを越える場合は、前記の身体の各部位別平均寸法であるE、D、Cの数値が外れる場合が生じる。
この被覆率は、頭部と足部および両腕部を除いたものであり、図5の体長方向である身長Hに対する着用時の水着の高さ方向における最大長さ、すなわち図6においては水着の長さC1、図7においては水着の長さD1、図8においては水着の長さE1の各々の割合をいう。
図6は、身体の部位長Cに対応する水着であり、従来からの一般水着デザインの模式図を示し、身体への水着の被覆率は39.8%である。
図7は、身体の部位長Dに対応する本発明のフィットネス水着デザインの一態様模式図を示し、身体への水着の被覆率は59.2%である。
図8は、身体の部位長Eに対応する本発明のフィットネス水着デザインの一態様模式図を示し、身体への水着の被覆率は85.2%である。
ここで、図6の場合は、従来からの一般水着のデザインとほぼ同様のデザインであり、本発明の水着用素材を使用しても、水着の被覆率が39.8%と少ないため、十分な保温性を得ることができない。
図7の場合は、水着上着部が半袖タイプ、水着パンツ部がハーフパンツタイプであり、運動し易く、かつ、水着の被覆率も59.2%と多いことから本発明の水着用素材を使用すれば十分な保温性を得ることができる。また、運動量が少なくても発汗促進効果が期待できるものである。
さらに、図8の場合は、水着上着部が半袖タイプ、水着パンツ部がロングパンツタイプであり、前記の図7のハーフパンツに比べ、水着の被覆率が85.2%と最も多いことから運動性は若干劣るものの、本発明の水着用素材を使用すれば十分な保温性を得ることができる。また、運動量が少なくても発汗促進効果が期待できるものである。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明で用いた評価は、それぞれ次の方法で行ったものである。
(1)編物または布帛の目付
染色加工上がりの編物または該編物とストレッチ性樹脂フィルムが貼り合わされた二層積層体布帛からタテ100cm×ヨコ100cmの評価サンプルを3枚ずつ採取した後、重量を計量し、3枚の平均値(g/m2 )で表した。
(2)編物または布帛の厚さ
JIS(2010年度版)「織物及び編物の生地試験方法」であるJIS L 1096A法(JIS法)に準じて行った。
すなわち、試料の異なる5か所について厚さ測定器を用いて、一定時間及び一定圧力の下で厚さ(mm)を測り、その平均値を算出し、四捨五入して小数点以下2桁で表した。なお、測定時の一定圧力は、0.7kPaとした。
(3)ストレッチ性樹脂フィルムの厚さ
ダイヤルシックネスゲージ(テトロック社製、1/1000mmダイヤルシックネスゲージ)を用い、試料の異なる10ヵ所について厚さを測り、その平均値(μm)で表した。
(4)編物または布帛の伸長率
JIS(2010年度版)「織物及び編物の生地試験方法」であるJIS L 1096の「伸縮織物及び編物の伸縮性」の伸び率D法(編物の定荷重法)に準じて行った。
なお、グラブ法の14.7N(1.5kg)荷重時を採用し、試験条件は、サンプル幅10cm×長さ15cm、クランプ間隔7.6cm、引張速度10cm/分。初荷重は29mNを加えた。
試料のタテ方向及びヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
(5)編物または布帛のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率
前記編物または布帛の伸長率のタテ方向及びヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値から、[タテ方向の試験結果の平均値(%)+ヨコ方向の試験結果の平均値(%)]/2を算出し、織物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率(%)を四捨五入し小数点以下1桁で表した。
(6)編物または布帛の伸長回復率
JIS(2010年度版)「織物及び編物の生地試験方法」であるJIS L 1096の「伸長弾性率(伸長回復率)及び残留ひずみ率」のD法(繰返し定伸長法)に準じて行った。
なお、前記(3)のグラブ法定荷重時の伸長率の80%伸長率で繰返し5回後を採用し、試験条件は、サンプル幅10cm×長さ15cm、クランプ間隔7.6cm、引張速度10cm/分。初荷重は29mNを加えた。
試料のタテ方向及びヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
(7)編物または布帛のタテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率
前記編物または布帛の伸長回復率のタテ方向及びヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値から、[タテ方向の試験結果の平均値(%)+ヨコ方向の試験結果の平均値(%)]/2を算出し、織物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率(%)を四捨五入し小数点以下1桁で表した。
(8)直腸温(深部体温)の時間変化
19〜22歳の女性大学生5名が水着を着用し、室温29〜30℃、水温28℃の屋内プールにて、水深140cmの水中立位姿勢20分間(安静状態)の直腸温(深部体温)を1分毎に20分間測定した。直腸温は、サーミスター温度プローブ(YSI社製)を直腸温計(YSI4000サーモメータ)に接続して連続表示させた。
(9)体重減少量(発汗量)
19〜22歳の女性大学生12名が水着を着用し、室温29〜30℃、水温31℃の屋内プールにて、水中ウォーキング(前進運動)を水深120cmで40分間行った。この水中ウォーキング前後の体重減少量を測り、被験者12名の平均値(g)を算出して表した。
(10)フィットネス水着としての評価結果
○:フィットネス水着として非常に適していると判断されるもの
△:フィットネス水着としてやや不満足だが、使用できると判断されるもの
×:フィットネス水着として優れていないと判断されるもの
[実施例1]
フロント筬とバック筬の2枚筬からなる28ゲージのシングルトリコット機を用い、フロント筬にポリエステル56デシテックス24フィラメントの三角断面糸であるフラットヤーン原糸(東レ(株)製“テトロン”(登録商標))を、また、バック筬に44デシテックスのポリウレタン系弾性繊維(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を配して、ハーフ編組織で編成した。各繊維の混率はポリエステルを82%、ポリウレタン系弾性繊維を18%とした。
その後、通常のポリエステルとポリウレタン系弾性繊維交編経編地の染色加工条件に準じて、リラックス・精練、中間セット、染色を行った後、最終仕上げセットを行い、目付215g/m2、厚さ0.70mmの編物を得た。この編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率が116.1%、タテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率が84.4%であった。
この編物は、平均伸長率と平均伸長回復率にも優れ、また、生地目付、厚さも水着用として適しているため、通常の競泳水着用に多く使用されているものである。この編物を編物(K)とした。
一方、この編物(K)の一面に、厚さ50μmのストレッチ防水性樹脂フィルムであるポリウレタン系樹脂フィルム膜をポリウレタン樹脂にて全面接着で貼り合わせ積層体布帛を得た。このポリウレタン系樹脂フィルム膜は、耐塩素性の無透湿透明膜でストレッチ性が400%の膜を使用した。
得られたこの積層体布帛は、目付263g/m2、厚さ0.75mm、タテ方向とヨコ方向の平均伸長率が63.5%、タテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率が92.1%であった。
次に裏地用編物を作製するために、フロント筬とミドル筬およびバック筬の3枚筬からなる28ゲージのシングルトリコット機を用い、フロント筬とミドル筬にポリエステル56デシテックス24フィラメントの丸断面糸であるフラットヤーン原糸(東レ(株)製“テトロン” (登録商標))を、またバック筬に44デシテックスのポリウレタン系弾性繊維(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ” (登録商標))を配して、メッシュ編組織で編成した。各繊維の混率はポリエステルを80%、ポリウレタン系弾性繊維を20%とした。 その後、前記と同様に、通常のポリエステルとポリウレタン系弾性繊維交編経編地の染色加工条件に準じて、リラックス・精練、中間セット、染色を行った後、最終仕上げセットを行い、目付190g/m2、厚さ0.65mmのメッシュ編物を得た。この編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率が120.5%、タテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率が82.3%であった。
このメッシュ編物は、平均伸長率と平均伸長回復率にも優れ、また、生地目付、厚さも裏地用として適しているため、通常のスポーツウエアの裏地用に多く使用されているものである。このメッシュ編物を裏地用編物(B)とした。
次に、前記編物(K)の一面に、厚さ50μmの防水性樹脂フィルムであるポリウレタン系樹脂フィルム膜をポリウレタン樹脂にて全面接着で貼り合わせた積層体布帛を表地に、メッシュ編物の裏地用編物(B)を、図4の水着外観図のように総裏地として表地に縫い合わせて取り付け、図7の模式図の水着上着部(M1)が半袖タイプ、水着パンツ部(M2)がハーフパンツタイプで、かつ、水着の被覆率が59.2%のフィットネス水着を試作した。
この水着を19〜22歳の女性大学生5名が着用し、室温29〜30℃、水温28℃の屋内プールにて、水深140cmの水中立位姿勢の安静状態で直腸温(深部体温)を1分間毎に20分間測定した。
その代表実験結果例を図9に示す。被験者の水中での直腸温(深部体温)は、プールへ入水直後の37.8℃に対し、20分後は37.6℃と僅か0.2℃の低下であった。
すなわち、本発明品は、保温効果が高いため、水中での深部体温低下が少なく、余り寒さを感じていないことを示した。また、被験者5名の内、3名までが同様な傾向を示した。
評価結果として、フィットネス水着として非常に適していると判断されるものであった。
評価結果を表1に示す。
[比較例1]
前記実施例1で作製したポリエステルを82%とポリウレタン系弾性繊維を18%交編した編物(K)を用い、実施例1と同じ図7の模式図のフィットネス水着上下を試作した。この水着は、素材、デザインとも一般に販売されているフィットネス水着とよく類似するものである。
なお、裏地用編物(B)は、水着上着部は胸部に、水着パンツ部はクロッチ部のみに縫い合わせて取り付けた。
この水着を実施例1と同じ女性大学生5名が着用し、同一のプール条件・試験条件で直腸温(深部体温)を1分間毎に20分間測定した。
その代表実験結果例を実施例1と同一の図9に示す。被験者の水中での直腸温(深部体温)は、プールへ入水直後の37.8℃に対し、20分後は37.3℃と0.5℃の低下であり、直腸温(深部体温)としては大きな低下であった。
すなわち、前記従来の類似品は、保温効果が低いため、水中での深部体温低下が大きく、寒さを感じていることを示している。また、被験者5名の内、3名までが同様な傾向を示した。
評価結果として、フィットネス水着として優れていないと判断されるものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
[実施例2]
実施例1と同一の、図7の模式図に基づく被覆率59.2%の本発明品のフィットネス水着を、19〜22歳の女性大学生12名が着用し、室温29〜30℃、水温31℃の屋内プールにて、水深120cmで時速3Km/hrの水中ウォーキングを40分間行った。
この水着を着用した被験者は、水中ウォーキング中の寒さを感じず、むしろ運動時間とともに暖かく感じるものであり、また、運動もし易いものであった。この結果、被験者12名における水中ウォーキング前後の体重減少量の平均値は、250gであった。この体重減少量は、発汗量に相当するものである。
総合評価として、フィットネス水着として非常に適していると判断されるものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
比較例1と同一の、図7の模式図に基づく被覆率59.2%で素材、デザインとも一般に販売されているものと類似するフィットネス水着を、実施例2と同一の女性大学生12名が着用し、また、実施例2と同一プール、同一条件にて、時速3Km/hrの水中ウォーキングを40分間行った。
この水着を着用して水中ウォーキングを行った結果、目付が軽く、薄いため、運動はし易いものの、運動時間とともに寒く感じるものであった。この結果、被験者12名における水中ウォーキング前後の体重減少量の平均値は、101gであった。この体重減少量は、発汗量に相当するものである。
総合評価として、フィットネス水着として優れていないと判断されるものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
[実施例3]
実施例1と同一の素材を用い、図8の模式図に基づく被覆率85.2%の本発明品のフィットネス水着を、実施例2と同一の女性大学生12名が着用し、実施例2と同一プール、同一条件にて、時速3Km/hrの水中ウォーキングを40分間行った。
実施例2に比べ、被覆率が85.2%と高いため、若干運動はし難いものの、この水着を着用した水中ウォーキング中の寒さは感じられず、実施例2と同様に、運動時間とともに暖かく感じるものであった。
この結果、被験者12名における水中ウォーキング前後の体重減少量の平均値は、265gであった。この体重減少量は、発汗量に相当するものである。
総合評価として、フィットネス水着として非常に適していると判断されるものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
[実施例4]
実施例1と同一の素材を用い、図6の模式図に基づく被覆率39.8%で一般水着のデザインとほぼ同様のフィットネス水着を、実施例2と同一の女性大学生12名が着用し、実施例2と同一プール、同一条件にて、時速3Km/hrの水中ウォーキングを40分間行った。
この水着は、実施例1と同一の本発明素材を用いたものであるが、被覆率が39.8%と低いため、運動はし易いものの、実施例2、3に比べて暖かく感じられるものではなかった。この結果、被験者12名における水中ウォーキング前後の体重減少量の平均値は、163gであった。この体重減少量は、発汗量に相当するものである。
総合評価として、フィットネス水着としてやや不満足だが、使用できると判断されるものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
[比較例3]
実施例1で作製した編物(K)の一面に、厚さ25μmのストレッチ防水性樹脂フィルムであるポリウレタン系樹脂フィルム膜をポリウレタン樹脂にて全面接着で貼り合わせた積層体布帛に、さらに実施例1で作製した裏地用編物(B)のメッシュ編物を、先のストレッチ性樹脂フィルムであるポリウレタン系樹脂フィルム膜の他面側にポリウレタン樹脂にて全面接着で貼り合わせて図3の断面構造模式図のような三層からなる積層構造体布帛を作製した。
得られたこの三層積層体布帛は、目付433g/m2、厚さ1.33mm、タテ方向とヨコ方向の平均伸長率が44.5%、タテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率が91.3%であった。
この生地を用い、図7の模式図に基づく被覆率59.2%のフィットネス水着を作製し、実施例2と同一の女性大学生12名が着用し、実施例2と同一プール、同一条件にて、時速3Km/hrの水中ウォーキングを40分間行った。
この水着を着用した水中ウォーキング中の寒さは、あまり感じられなかったが、布帛の目付が大きいため水着が重く、かつ、タテ方向とヨコ方向の平均伸長率が少ないため、身体が動かし難く、非常に疲れるものであった。また、被験者12名における水中ウォーキング前後の体重減少量の平均値は、200gであった。この体重減少量は、発汗量に相当するものである。
総合評価として、フィットネス水着として優れていないと判断されるものであった。
評価結果を表1に併せて示す。