JP5761413B2 - ラジカル系光硬化型インク組成物 - Google Patents

ラジカル系光硬化型インク組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ラジカル系光硬化型インク組成物に関する。
近年、優れた耐水性、耐溶剤性や耐擦過性等を有する画像を形成するために、光硬化型インク組成物が使用されている。この光硬化型インク組成物は光重合性化合物及び光重合開始剤を含む。そして、当該インク組成物を被記録媒体に塗布し、光の照射によりインク組成物中の光重合性化合物を重合させてインクを固化することにより、画像が形成される(印刷が行われる)。
高品質の画像を形成するためには、光硬化型インク組成物の保存安定性が良好であることが望まれる。そこで、保存安定性に優れた光硬化型インク組成物を得るために様々な試みがなされている。例えば特許文献1には、カチオン重合性モノマー、開始剤、及び所定範囲のpHの顔料を含有し、かつ含水率が所定範囲である活性光線硬化型インクジェット記録用インクが開示されている。
特開2005−239808号公報
しかしながら、特許文献1に開示のインクはカチオン重合性化合物に言及したものであり、光重合性化合物として一般的な(メタ)アクリレートモノマーを使用した場合においては、殆ど特許文献1に記載されたような効果はない。一般的な(メタ)アクリレートモノマーは、ラジカル重合性化合物であり、特許文献1に開示された処方のように水を含むことがなく、且つ、保存安定性を確保する場合には重合禁止剤など、特許文献1の処方とは別の処方が選択される。
一方、一般的な(メタ)アクリレートモノマーを使用したインク組成においては、保存安定性の問題に加えて、析出物が発生するという問題もある。
そこで、本発明は、析出物の発生を防止でき、保存安定性に優れたラジカル系光硬化型インク組成物を提供することを目的の一つとする。
本願発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。まず、本願発明者らは、光重合性化合物としての(メタ)アクリレートモノマーを含むラジカル系光硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)において、析出物が発生する現象を調査した。その結果、(メタ)アクリレートモノマーを合成する際に用いられる酸触媒が残留し、それが析出物の発生の原因となっていることを見出した。酸触媒としては、主にメタンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸が使用されている。
続いて、本願発明者らは、メタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸を酸触媒として合成した(メタ)アクリレートモノマーを含有するインク組成物をそれぞれ製造した。その結果、前者の場合、合成した(メタ)アクリレートモノマーが着色したり、合成時に副生成物が発生したりすることは殆ど無いものの、残留したメタンスルホン酸が、インク組成物中の他の成分に含まれるナトリウムやカリウム等の金属イオンと塩を形成して析出し得ることが分かった。一方、後者の場合、塩形成時の析出は殆ど無いものの、合成した(メタ)アクリレートモノマーが着色したり、合成時に副生成物が発生したりするため、それらに起因してインクの保存安定性に劣る欠点があることが分かった。
特許文献1はカチオン重合性インクの保存安定性向上について言及したものであり、(メタ)アクリレートモノマーを用いたラジカル重合性のインク組成物における酸触媒の析出課題の解決を図ったものではない。ラジカル重合性のインク組成物において使用するモノマーの合成では、(メタ)アクリレートモノマーのように酸触媒を用いたエステル化により合成する場合が多い。ところが、精製度が低いと、モノマーに残留した酸触媒が析出する場合があった。本願発明者らは、この点に着目した。
そこで、本願発明者らは更に検討を重ねて、メタンスルホン酸を用いて合成した(メタ)アクリレートモノマーを含む非水系のラジカル系光硬化型インク組成物に、所定量の水を含有させる試みを行った。すると、これにより、インク組成物中に析出物が発生することを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
つまり、本発明は、このような酸触媒に起因してラジカル重合性インクから析出物が発生することを防止する上で、含水が有効であり、且つ保存安定性を確保しつつ、析出物が防止できる含水率を本願発明者らが見出した結果として、完成に至ったものである。
[1]
光重合性化合物として酸触媒であるメタンスルホン酸を含有する2官能(メタ)アクリレート系化合物、及び光重合開始剤を含むラジカル系光硬化型インク組成物であって、該インク組成物の総量に対して10質量%未満であり、かつ、前記光重合性化合物の総量に対して1/200以上である水をさらに含む、ラジカル系光硬化型インク組成物。
[2]
前記メタンスルホン酸の含有量は、インク組成物の総量に対して、100〜500ppmである、[1]に記載のラジカル系光硬化型インク組成物。
[3]
前記2官能(メタ)アクリレート系化合物として、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくともいずれれかを含む、[1]又は[2]に記載のラジカル系光硬化型インク組成物
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルを意味する。
また、本明細書における「オリゴマー」とは、二個〜数十個程度のモノマーが反応することにより合成され、比較的少ない数の繰り返し単位を持ち、かつ、一以上の光重合性基を有する分子を意味する。
[ラジカル系光硬化型インク組成物]
本発明の一実施形態は、ラジカル系光硬化型インク組成物に係る。当該インク組成物は、光重合性化合物として酸触媒であるメタンスルホン酸を含有する(メタ)アクリレート系化合物、及び光重合開始剤を含み、含有量が、該インク組成物の総量に対して10質量%未満であり、かつ、前記光重合性化合物の総量に対して1/200以上である水をさらに含む。また、本実施形態のラジカル系光硬化型インク組成物は非水系である。以下、インク組成物に含まれる各成分を詳細に説明する。
〔酸触媒〕
本実施形態のインク組成物に含まれる酸触媒は、メタンスルホン酸である必要がある。酸触媒がメタンスルホン酸であることにより、安価にインクを供給でき、且つ着色にも優れる。具体的にいえば、インク組成物にメタンスルホン酸を用いて合成したモノマーを使用することにより、p−トルエンスルホン酸を用いて合成したモノマーを使用した場合と異なり、合成した光重合性化合物が着色したり、副生成物が発生したりすることは殆ど無いといった利点や、酸触媒を使用しない合成法及びその際の精製度と比較して、一層安価に同等のインクを提供できるといった利点がある。
上記のうち、析出物の発生を防止できる点をより詳細に説明する。メタンスルホン酸塩は、光重合性化合物の合成における酸触媒として用いられるメタンスルホン酸が、得られた光重合性化合物中に残存し、それがインク組成物中の金属イオンと塩を形成することで生じるが、極めて良好な水溶性を有する。一方で、メタンスルホン酸塩は、極性の小さな溶剤中では不溶又は難溶性となる。そこで、メタンスルホン酸塩が水溶性であるという性質を利用し、上記溶剤中に水を含ませることにより、メタンスルホン酸塩が水中で溶解するため析出を防止することができる。他方、不溶又は難溶性である上記溶剤中に水を多量に含ませた場合、溶剤に合わせて設計した顔料分散が破壊されて顔料が凝集してしまう。このような状況に鑑みて、本願発明者は、塩の析出防止と顔料の凝集防止とを両立できる、インク組成物に占める含水量を見出したのである。この含水量については後述する。
メタンスルホン酸の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは100〜500ppmであり、より好ましくは200〜400ppmである。上記範囲が、析出や残存する酸による保存安定性劣化を防ぎ、且つ過度な精製することなくコストを抑えられる範囲である。
〔水〕
本実施形態のインク組成物は、水を含む。上述のように、本実施形態のインク組成物は非水系(溶剤系)であるが、所定量の水を含有させることにより、析出物の発生を防止でき、保存安定性に優れたインク組成物が得られる。
本実施形態のインク組成物に含まれる水としては、特に限定されないが、例えば、脱イオン水、蒸留水、及び超純水が挙げられる。
上記所定量、即ちインク組成物中の含水量は、インク組成物の総量に対して10質量%未満であり、かつ、光重合性化合物の総量に対して1/200以上である。含水量がインク組成物の総量に対して10質量%未満であると、顔料の凝集を防止でき、インク組成物の保存安定性を良好にすることができる。一方、含水量が光重合性化合物の総量に対して1/200以上であると、析出物(スルホン酸塩)の発生を防止できる。
含水量の上限は、インク組成物の総量に対して、9質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。一方、含水量の下限は、光重合性化合物の総量に対して、1/200が好ましく、1/100がより好ましい。
なお、本実施形態の非水系インク組成物とは異なる、水系インク組成物に含まれる含水量は、インク組成物の総量に対して、通常50質量%以上である。
〔光重合性化合物〕
本実施形態のラジカル系光硬化型インク組成物に含まれる光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。光重合性化合物は、ラジカル系光硬化型インク組成物に含まれるため、少なくとも光ラジカル重合性化合物を含む。
光重合性化合物としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。モノマーとしては、例えば、光重合性基(ラジカル重合性基)を有する化合物、エステル結合を有する化合物、並びに(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン、並びにラクタム類が挙げられる。また、オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記で列挙したものの中でも、硬化速度の観点から、ラジカル重合性基及びエステル結合のうち少なくとも一方を有する化合物が好ましい。ラジカル重合性基としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、及びアリル基が挙げられる。
これらの中でも、硬化速度の観点から、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、光重合性化合物は単官能(メタ)アクリレート又は2官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物は低粘度となり、光重合開始剤などの添加剤の溶解性に優れ、かつ、記録時の吐出安定性が得られやすい。さらにインク硬化層の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すという観点から、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。
上記で列挙した(メタ)アクリレートの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートより選択される一種以上が好ましい。この場合、硬化性、粘度、及び皮膚刺激性のバランスに優れる。
また、光重合性化合物は、(メタ)アクリレートモノマーに加えて従来公知の(メタ)アクリレートオリゴマーをさらに含んでもよい。
さらに別の観点から、光重合性化合物としては、酸触媒を用いて合成されたものが本発明に好ましく、酸触媒の中でもメタンスルホン酸を用いて合成されたものがより好ましい。そのような光重合性化合物として、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
上記の光重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。光重合性化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは60〜90質量%である。含有量が上記範囲内であると、充分な膜堅牢性を維持しつつ、充分な顔料量や開始剤量を含有することができる。
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、光の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて画像を形成するために用いられる。ここで、光源としては、γ線、β線、電子線、紫外線(UV)、可視光線、及び赤外線が挙げられる。中でも、安全性や光源ランプのコストの観点から、紫外線(UV)が好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤といった公知の重合開始剤を使用することができる。中でも、本実施形態の光硬化型インク組成物はラジカル系であるため、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、Kayacure DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)が挙げられる。
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは1〜20質量%である。含有量が上記範囲内である場合、光硬化速度が十分大きく、且つ光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色が殆ど無い。
〔色材〕
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。光重合性化合物の主成分に溶解又は分散できる色材が使用でき、そのような色材は顔料及び染料のうち少なくとも一方である。なお、本実施形態のインク組成物が無色透明のクリアインク組成物である場合には、色材は含まれない。
(顔料)
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐候性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
まず、カラーインクに用いられる顔料としては以下のものを使用できるが、これらに限定されることはない。
無機顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、及び酸化チタンが挙げられる。
有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、及び昼光蛍光顔料が挙げられる。
具体例を挙げると、イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、22、38、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、63:1、101、112、122、123、144、146、168、184、185、188、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
ブラックインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
その他には、オレンジインクとして、C.I.ピグメントオレンジ−16、36、38、グリーンインクとして、C.I.ピグメントグリーン−7、36が挙げられる。
次に、ホワイトインクに用いられる色材として、白色顔料を用いることができる。白色顔料はインク組成物を白色にするものであればよく、通常、この分野に用いられる白色顔料を用いることができる。このような白色顔料として、例えば白色無機顔料及び白色有機顔料が挙げられる。
白色無機顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、及びクレイ等が挙げられる。中でも酸化チタンは、隠蔽性、着色性、及び分散粒径の観点から好ましい。
白色有機顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平11−140365号、特開2001−234093に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。白色有機顔料の具体的な商品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、及びShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。
白色顔料の具体例として、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、18、21が挙げられる。
インク組成物が色材として顔料を含む場合、顔料の凝集を一層防止するため、インク組成物を製造する前に予め顔料分散液を作製しておくことが好ましい。この顔料分散液に用いる分散媒は、光重合性化合物(モノマー成分やオリゴマー成分)であってもよく、別途添加される分散剤であってもよい。後者の場合、分散剤としては、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン等、従来公知の成分を使用することができる。
(染料)
本実施形態において、色材として染料を用いることにより、インクの低粘度化が一層容易になり、かつ、顔料の付着や分散性の低下による吐出不良を防止できる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
上記の色材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。色材の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1〜20質量%である。含有量が上記範囲内である場合、所望の発色性を維持しつつ、充分な硬化性も維持できる。
〔その他の成分〕
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた成分以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、溶剤、重合促進剤、熱重合禁止剤、及びスリップ剤、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
[被記録媒体]
被記録媒体として、例えば、非吸収性又は吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施形態のインク組成物は、インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。
非吸収性被記録媒体として、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレート、ステンレスや真鋳等の合金が挙げられる。
吸収性被記録媒体として、特に限定されないが、例えば、電子写真複写用紙などの普通紙、シリカ、アルミナ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等を含むインク吸収層を備えた用紙等が挙げられる。また、インクの浸透速度が比較的小さなタイプの吸収性被記録媒体として一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、着色の影響が小さいメタンスルホン酸を酸触媒として合成した光重合性化合物をインク組成物に含有させる場合に、微量に含まれるメタンスルホン酸に起因する塩(スルホン酸塩)の析出を防ぐことができ、保存安定性に優れたインク組成物を提供することができる。また、このインク組成物を用いることにより、析出物によるプリントヘッドの目詰まりを防止できることからインクの吐出信頼性が確保でき、かつ、析出物による画像の乱れを防止できることから良好な画像品質が得られる。
[ラジカル系光硬化型インク組成物の製造方法]
本発明の一実施形態は、ラジカル系光硬化型インク組成物の製造方法に係る。当該製造方法は、光重合性化合物と、光重合開始剤と、メタンスルホン酸と、含水量が、インク組成物の総量に対して10質量%未満であり、かつ、前記光重合性化合物の総量に対して1/200以上となる量の水と、を少なくとも混合することを含む。
以下、本実施形態を説明するが、上記のラジカル系光硬化型インク組成物に係る実施形態の項で説明した内容は、重複した説明を避けるため、省略する。
インク組成物を製造する際、材料の混合方法は、全ての材料を混合してもよいし、一部の材料を予め混合した後、残りの材料を混合してもよい。
これらの中でも、一部の材料を予め混合した後、残りの材料を混合することが好ましい。一つの具体例として、光重合性化合物と、光重合開始剤と、メタンスルホン酸とを予め混合して予備混合物を得た後に、その予備混合物に水を添加し混合することが好ましい。この場合、後記の実施例において実証しているように、最後に水を添加して混合する方が、他の成分に含まれる不純物(例えば、ナトリウムイオン等の金属イオン)とメタンスルホン酸とが塩形態になっている可能性が高いため、一層効果的に析出を防止できる。
以下、本発明の実施形態を実施例、比較例、及び参考例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用成分]
後述の実施例、比較例、及び参考例において使用した成分は、以下の通りである。
〔光重合性化合物〕
・ジプロピレングリコールジアクリレート(2官能モノマー、表1ではDPGDAと略記した。)
・トリプロピレングリコールジアクリレート(2官能モノマー、表1ではTPGDAと略記した。)
まず、3種類のジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA−1、−2、及び−3)は、それぞれ下記のようにして合成した。
(DPGDA−1)
攪拌機、温度計を取り付けた1L容フラスコに、ジプロピレングリコールを200g、トルエンを270g添加し、60℃で加温した。そのまま攪拌を2時間続けた後得られた液を、攪拌機、温度計、空気導入管、Dean−Starkトラップ、及び冷却管を取り付けた1L容フラスコに入れ、さらにアクリル酸を430g、メタンスルホン酸を30g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.4g添加した。系内は53kPaとし、乾燥空気を100mL/分の導入速度で吹き込みながら昇温した。反応と共に生成する水を除去しながら反応温度が90℃になるよう圧力を調節しながら反応を行った。3時間後、理論量の水が留出したため、ガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、反応生成物であるジプロピレングリコールジアクリレートの面積率(%)が97%であったので反応を終了した。得られた反応液を冷却し、40℃以下になったところで17質量%食塩水を100g添加し、300rpmで攪拌した。有機層を分液ロートに移し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して過剰なメタクリル酸を除去した。水層を除去した後、有機層をさらに17質量%食塩水300gで洗浄して水層のpHを8とした。有機層を1L容ナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを減圧下で留去してから、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過して目的とするジプロピレングリコールジアクリレートを得た(収率89%)。
なお、DPGDA−1は、酸触媒として用いたメタンスルホン酸を含むものであった。
(DPGDA−2)
攪拌機、温度計を取り付けた1L容フラスコに、ジプロピレングリコールを200g、トルエンを270g添加し、60℃で加温した。そのまま攪拌を2時間続けた後得られた液を、攪拌機、温度計、空気導入管、Dean−Starkトラップ、及び冷却管を取り付けた1L容フラスコに入れ、さらにアクリル酸を430g、p−トルエンスルホン酸を60g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.4g添加した。系内は53kPaとし、乾燥空気を100mL/分の導入速度で吹き込みながら昇温した。反応と共に生成する水を除去しながら反応温度が90℃になるよう圧力を調節しながら反応を行った。3時間後、理論量の水が留出したため、ガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、反応生成物であるジプロピレングリコールジアクリレートの面積率(%)が97%であったので反応を終了した。得られた反応液を冷却し、40℃以下になったところで17質量%食塩水を100g添加し、300rpmで攪拌した。有機層を分液ロートに移し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して過剰なメタクリル酸を除去した。水層を除去した後、有機層をさらに17質量%食塩水300gで洗浄して水層のpHを8とした。有機層を1L容ナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを減圧下で留去してから、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過して目的とするジプロピレングリコールジアクリレートを得た(収率82%)。
なお、DPGDA−2は、酸触媒として用いたp−トルエンスルホン酸を含むものであった。
(DPGDA−3)
攪拌機、温度計を取り付けた1L容フラスコに、ジプロピレングリコールを200g、アクリル酸メチルを660g添加し、60℃で加温した。そのまま攪拌を2時間続けた後、吸引ろ過により不溶分を除去した。得られたろ液を、攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(15段)を取り付けた1L容フラスコに入れ、さらにハイドロキノンモノメチルエーテルを0.22g添加して圧力を40kPaに調節し、乾燥空気を100mL/分の導入速度で吹き込みながら過熱還流し、系内の水分を除去した。次いでオルトチタン酸イソプロピルを6.0g加えて反応を開始させた。反応時は系内圧力を69kPaに調節した。反応液を加熱還流し、精留塔上部の温度(塔頂温度)を監視していると、生成するメタノールとアクリル酸メチルの共沸点に近づいたので、塔頂温度が60℃になるように還流比を調節してメタノールをアクリル酸メチルの共沸物として留去しながら反応を行った。触媒である上記オルトチタン酸イソプロピルを加えて2時間ほど経過したころから塔頂温度が上昇し始め、最終的には80℃まで上昇したので、還流比を徐々に大きくして反応を続けた。反応開始から3時間後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、反応性生物であるジプロピレングリコールジアクリレートの面積率(%)が97%以上になっていたので反応を終了した。得られた反応液を冷却し、反応液の温度が75℃となったところで、17質量%食塩水100gを加えて触媒を加水分解した。30分静置した後、デカンテーションにより有機層を1L容ナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いて過剰なメタクリル酸メチルを減圧下で留去してから、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過して目的とするジプロピレングリコールジアクリレートを得た(収率79%)。
なお、酸触媒を用いずにジプロピレングリコールジアクリレートを合成したので、DPGDA−3は、当然に酸触媒を含まないものであった。
次に、3種類のトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA−1、−2、及び−3)は、それぞれ下記のようにして合成した。
(TPGDA−1)
攪拌機、温度計を取り付けた1L容フラスコに、トリプロピレングリコールを280g、トルエンを270g添加し、60℃で加温した。そのまま攪拌を2時間続けた後得られた液を、攪拌機、温度計、空気導入管、Dean−Starkトラップ、及び冷却管を取り付けた1L容フラスコに入れ、さらにアクリル酸を430g、メタンスルホン酸を30g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.4g添加した。系内は53kPaとし、乾燥空気を100mL/分の導入速度で吹き込みながら昇温した。反応と共に生成する水を除去しながら反応温度が90℃になるよう圧力を調節しながら反応を行った。3時間後、理論量の水が留出したため、ガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、反応生成物であるトリプロピレングリコールジアクリレートの面積率(%)が97%であったので反応を終了した。得られた反応液を冷却し、40℃以下になったところで17質量%食塩水を100g添加し、300rpmで攪拌した。有機層を分液ロートに移し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して過剰なメタクリル酸を除去した。水層を除去した後、有機層をさらに17質量%食塩水300gで洗浄して水層のpHを8とした。有機層を1L容ナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを減圧下で留去してから、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過して目的とするトリプロピレングリコールジアクリレートを得た(収率88%)。
なお、TPGDA−1は、酸触媒として用いたメタンスルホン酸を含むものであった。
(TPGDA−2)
攪拌機、温度計を取り付けた1L容フラスコに、トリプロピレングリコールを280g、トルエンを270g添加し、60℃で加温した。そのまま攪拌を2時間続けた後得られた液を、攪拌機、温度計、空気導入管、Dean−Starkトラップ、及び冷却管を取り付けた1L容フラスコに入れ、さらにアクリル酸を430g、p−トルエンスルホン酸を60g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.4g添加した。系内は53kPaとし、乾燥空気を100mL/分の導入速度で吹き込みながら昇温した。反応と共に生成する水を除去しながら反応温度が90℃になるよう圧力を調節しながら反応を行った。3時間後、理論量の水が留出したため、ガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、反応生成物であるトリプロピレングリコールジアクリレートの面積率(%)が97%であったので反応を終了した。得られた反応液を冷却し、40℃以下になったところで17質量%食塩水を100g添加し、300rpmで攪拌した。有機層を分液ロートに移し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して過剰なメタクリル酸を除去した。水層を除去した後、有機層をさらに17質量%食塩水300gで洗浄して水層のpHを8とした。有機層を1L容ナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを減圧下で留去してから、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過して目的とするトリプロピレングリコールジアクリレートを得た(収率81%)。
なお、TPGDA−2は、酸触媒として用いたp−トルエンスルホン酸を含むものであった。
(TPGDA−3)
攪拌機、温度計を取り付けた1L容フラスコに、トリプロピレングリコールを280g、アクリル酸メチルを660g添加し、60℃で加温した。そのまま攪拌を2時間続けた後、吸引ろ過により不溶分を除去した。得られたろ液を、攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(15段)を取り付けた1L容フラスコに入れ、さらにハイドロキノンモノメチルエーテルを0.22g添加して圧力を40kPaに調節し、乾燥空気を100mL/分の導入速度で吹き込みながら過熱還流し、系内の水分を除去した。次いでオルトチタン酸イソプロピルを6.0g加えて反応を開始させた。反応時は系内圧力を69kPaに調節した。反応液を加熱還流し、精留塔上部の温度(塔頂温度)を監視していると、生成するメタノールとアクリル酸メチルの共沸点に近づいたので、塔頂温度が60℃になるように還流比を調節してメタノールをアクリル酸メチルの共沸物として留去しながら反応を行った。触媒である上記オルトチタン酸イソプロピルを加えて2時間ほど経過したころから塔頂温度が上昇し始め、最終的には80℃まで上昇したので、還流比を徐々に大きくして反応を続けた。反応開始から3時間後の反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ、反応性生物であるトリプロピレングリコールジアクリレートの面積率(%)が97%以上になっていたので反応を終了した。得られた反応液を冷却し、反応液の温度が75℃となったところで、17質量%食塩水100gを加えて触媒を加水分解した。30分静置した後、デカンテーションにより有機層を1L容ナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いて過剰なメタクリル酸メチルを減圧下で留去してから、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過して目的とするトリプロピレングリコールジアクリレートを得た(収率77%)。
なお、酸触媒を用いずにトリプロピレングリコールジアクリレートを合成したので、TPGDA−3は、当然に酸触媒を含まないものであった。
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(チバジャパン社製)
・DAROCUR TPO(チバジャパン社製)
・DETX−S(日本化薬社製)
〔顔料〕
・C.I.ピグメントブラック−7(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、表1ではピグメントブラック−7と略記した。)
〔分散剤〕
・ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン(表1では分散剤と略記した。)
〔水〕
・超純水
[実施例1〜10、比較例1〜5、参考例1]
〔インク組成物の製造〕
下記表1に記載の成分を、表1に記載の組成(単位:質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、ブラック色のUV硬化型インク組成物を得た。
実施例1〜8においては、水を除く全ての成分を混合して予備混合物を得、その後、この予備混合物に水を添加して混合した。実施例9、10においては、まず光重合性化合物(DPGDA、TPGDA)と水とを混合し、その後に残りの成分を添加して混合した。比較例1〜5においては、水を除く全ての成分を混合して予備混合物を得、その後、この予備混合物に水を添加して混合した。また、参考例1においては、水を除く全ての成分を混合して予備混合物を得、その後、この予備混合物に水を添加して混合した。
[実施例11〜13、比較例6〜10]
〔インク組成物の製造〕
下記表3に記載の成分を、表3に記載の組成(単位:質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、UV硬化型のクリアインク組成物を得た。実施例11〜13、比較例6〜10においては、全ての成分を一度に添加して混合した。
以下は、実施例1〜13、比較例1〜10、及び参考例1において共通の事項である。
〔評価1:スルホン酸塩の析出評価〕
インク組成物をボトルに入れた状態で、60℃で1週間放置した。その後、室温(RT)にて1週間静置し、孔径が10μmの金属フィルター上に10ccろ集した。フィルター上をフーリエ変換赤外分光(FTIR)観察し、ろ集物の内容を確認した。評価基準は下記A〜Cのとおりである。評価結果は、実施例1〜10、比較例1〜5、及び参考例1については下記表2に示し、実施例11〜13及び比較例6〜10については下記表4に示した。
A:スルホン酸塩は確認されなかった。
B:スルホン酸塩が確認された。ろ集において10ccのインクを全て通過させることが出来た。
C:スルホン酸塩が確認された。ろ集において析出物によるフィルター詰まりによって10ccのインクを全て通過させることが出来なかった。
〔評価2:顔料の凝集評価〕
顔料の凝集評価は、インク組成物中に分散する顔料の粒度(平均粒径)を測定することにより評価した。平均粒径は、日機装社(NIKKISO CO., LTD.)製のMicrotrac UPAにより測定し、表1中のそれぞれの組成において水未添加インクを作成し、それと比較することで評価した。評価基準は下記A〜Cのとおりである。評価結果は、実施例1〜10、比較例1〜5、及び参考例1については下記表2に示し、実施例11〜13及び比較例6〜10については下記表4に示した。
A:対応する水未添加インクに比べて平均粒径の変化は2倍未満であった。
B:対応する水未添加インクに比べて平均粒径が2倍以上に上昇した。
C:顔料の凝集による沈降が発生した。
〔記録物の製造〕
印刷方法は、下記のとおりである。
実施例、比較例、及び参考例により得られた各インク組成物を、記録装置(インクジェットプリンタPX−G920、セイコーエプソン株式会社製)に充填し、PETフィルム上に印字して画像を得た。各印刷物の膜厚は、10μmになるようにインク吐出量を調整した。上記の各インク組成物の吐出性は良好であり、良好な各種画像が得られた。得られた画像は、メタルハライドランプで1PASS当たり200mJ/cm2の照射エネルギー条件で硬化を行い、表面タックがなくなるまでPASS数を追加した上で、以下の評価を行った。
〔評価3:インク熱履歴による塗膜の色差〕
上記のように製造したインク組成物を分けて、一方を60℃で1週間保管し、他方を常温で1週間保管した。その後、これらを印刷硬化して記録物を作製した。60℃で保管したインク組成物から得られた記録物と、常温で保管したインク組成物から得られた記録物との間で、記録物上の塗膜(硬化層)の色差(ΔE*)を測色計(Eye−One(Gretag社製)を用いて測定し、評価を行った。評価基準は下記A〜Cのとおりである。評価結果は、実施例1〜10、比較例1〜5、及び参考例1については下記表2に示し、実施例11〜13及び比較例6〜10については下記表4に示した。
A:ΔE*が1未満
B:ΔE*が1以上1.5未満
C:ΔE*が1.5以上
Figure 0005761413
Figure 0005761413
Figure 0005761413
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実施例1〜10、比較例1〜5(表1)より、メタンスルホン酸を用いた場合に析出を防止するためには、所定量の水を含むのがよいことが明らかになった。特に、残留したメタンスルホン酸と他の成分に含まれるナトリウムイオン(不純物)とが塩形態をとり、所定量の水を含む液に溶解している方が、有利であることが明らかとなった。したがって、最後に水を別途添加した方が塩形態になっている可能性が高いため、インク組成物において析出を抑える上で有利となることを知見した。
また、参考例1(表1)を見ると、インク組成物及びその印刷物の特性は酸触媒を用いた系(実施例)と比較して同等以上であるものの、光重合性化合物の合成時の収率がより劣っており、そのためコストが顕著に高くなり実用上適さない。
なお、補足的に述べておくと、メタンスルホン酸を用いて合成した光重合性化合物は収率として優れるものの、メタンスルホン酸を酸触媒として用いた合成法は、従来技術において析出の問題がある。逆に、酸触媒を用いない合成法は析出の問題はないものの、酸触媒を含有しない光重合性化合物は収率が劣るという問題がある。
一方、実施例11〜13、比較例6〜10(表2)より、p−トルエンスルホン酸を酸触媒で使用した場合は、メタンスルホン酸使用時と比較して析出のマージンは広がるものの、光重合性化合物の合成時に収率が低下して不純物が多くなったり、酸化による着色を受けやすくなったりすることが分かった。
なお、収率の点では、p−トルエンスルホン酸を用いて合成した光重合性化合物は、酸触媒以外の触媒を用いて合成した光重合性化合物よりも優れ、メタンスルホン酸を用いて合成した光重合性化合物よりも劣ることが判明した。また、p−トルエンスルホン酸を酸触媒として用いた合成法は、メタンスルホン酸を酸触媒として用いた合成法の場合よりも析出物が発生しにくいものの、酸触媒以外の触媒を用いた合成法の場合よりも析出物が発生しやすいことがわかった。

Claims (5)

  1. 光重合性化合物として酸触媒であるメタンスルホン酸を含有していた2官能(メタ)アクリレート系化合物、及び光重合開始剤を含むラジカル系光硬化型インク組成物であって、
    該インク組成物の総量に対して10質量%未満であり、かつ、前記メタンスルホン酸を含有していた2官能(メタ)アクリレート系化合物の総量に対して1/200以上である水をさらに含み、
    前記メタンスルホン酸を含有していた2官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、20〜92質量%である、ラジカル系光硬化型インク組成物。
  2. 前記メタンスルホン酸の含有量は、インク組成物の総量に対して、100〜500ppmである、請求項1に記載のラジカル系光硬化型インク組成物。
  3. 前記メタンスルホン酸を含有していた2官能(メタ)アクリレート系化合物として、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載のラジカル系光硬化型インク組成物。
  4. 前記メタンスルホン酸を含有していた2官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、60〜90質量%である、請求項1から3の何れか一項に記載のラジカル系光硬化型インク組成物。
  5. 前記メタンスルホン酸を含有していた2官能(メタ)アクリレート系化合物は、酸触媒として前記メタンスルホン酸を用いて合成されたものである、請求項1から4の何れか一項に記載のラジカル系光硬化型インク組成物。
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