ところで、上記各特許文献に示された方法、装置及びシステムにおいては、予め設定された状況における運転者や車両の挙動を評価分析して一方的にメッセージやアドバイスが与えられる。すなわち、上記各特許文献に示された方法、装置及びシステムにおいては、一旦状況が設定されると、運転者のエコ運転に対する感覚や意識を考慮することなく、単に運転者や車両の挙動を評価分析して一方的にメッセージやアドバイスが与えられる。このため、車両の運転者においては、例えば、運転者がエコ運転を行っているつもりであっても実際にはエコ運転ではない状況や、運転者がエコ運転を意識していなくても実際にはエコ運転となっている状況等、自身の運転に対するエコ感覚(エコ意識)と実際の車両のエコ状態との差異が生じる場合がある。そして、この場合には、運転者は、エコ運転を意識したりエコ運転と感じたタイミングであってもエコ運転と判定されなかったり、エコ運転を意識していない或いはエコ運転と感じていないタイミングでエコ運転と判定されたりして、なぜそのように自身の運転が判定されるのかが理解できない可能性がある。
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、車両の運転者のエコ運転に対する感覚を考慮して、エコ運転するためのアドバイスを行うことができる運転支援装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明による運転支援装置は、運転者による車両のエコ運転を支援するものである。そして、本発明による運転支援装置の特徴は、通知手段と、車両運転状態取得手段と、分析手段と、アドバイス情報出力手段と、情報提示手段とを備えたことにある。
前記通知手段は、運転者が主観的に環境に優しいエコ運転状態によって車両を走行させていると感じたとき、又は、前記運転者が主観的に前記エコ運転状態によって車両を走行させていないと感じたときに前記運転者によって操作されて、前記運転者の車両のエコ運転に関するエコ感覚を入力して通知する。
前記車両運転状態取得手段は、前記運転者の運転によって走行している車両に生じる客観的な運転状態を取得する。
前記分析手段は、前記通知手段を介して前記運転者の前記エコ感覚が通知された時点に対応して前記車両運転状態取得手段によって取得された前記客観的な運転状態を用いて、前記通知された時点における前記運転者の前記エコ感覚と、前記客観的な運転状態によって表される車両のエコ運転状態とを比較し、前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態との差異を分析する。
前記アドバイス情報出力手段は、前記分析手段による前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態との分析に基づくアドバイス情報を出力する。
前記情報提示手段は、前記アドバイス情報出力手段によって出力された前記アドバイス情報を前記運転者に提示する。
この場合、本発明の運転支援装置は、更に、情報蓄積手段を備えることができる。前記情報蓄積手段は、前記運転状態取得手段によって取得された前記客観的な運転状態を表す客観的な運転状態情報を検索可能に蓄積する。そして、この場合においては、前記分析手段は、前記情報蓄積手段から蓄積された前記客観的な運転状態情報を取得し、この客観的な運転状態情報によって表される前記客観的な運転状態を用いて、前記通知された時点における前記運転者の前記エコ感覚と、前記客観的な運転状態によって表される車両のエコ運転状態とを比較し、前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態との差異を分析することができる。
この場合、より具体的に、前記分析手段は、前記情報蓄積手段に蓄積された前記客観的な運転状態情報のうち、前記通知手段を介して前記運転者の前記エコ感覚が通知された時点から予め設定された一定期間だけ遡った時点までの間における前記客観的な運転状態情報を取得することができる。そして、前記分析手段は、この客観的な運転状態情報によって表される前記客観的な運転状態を用いて、前記通知された時点における前記運転者の前記エコ感覚と、前記客観的な運転状態によって表される車両のエコ運転状態とを比較し、前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態との差異を分析することができる。
これらによれば、運転者が感じた主観的なエコ運転状態に応じて通知手段を操作してエコ感覚を通知すると、エコ感覚を通知した時点における客観的な運転状態に基づき運転者のエコ感覚が車両のエコ運転状態に一致しているか否かを分析することができ、この分析に基づく最適なアドバイス情報を提示することができる。これにより、運転者は、自身のエコ感覚と実際のエコ運転状態との一致又は差異を容易にかつ明りょうに理解することができ、提示されるアドバイス情報を参考にすることによって極めて容易にエコ運転を実現することができる。
すなわち、運転者は、エコ運転状態で車両を運転していると感じていても実際にはエコ運転状態ではない(非エコ運転状態)で車両を運転していたり、非エコ運転状態で車両を運転してしまったと感じても実際にはエコ運転状態で車両を運転していることを容易に認識することができる。そして、エコ感覚が一致しない場合には、運転者にエコ感覚の差異(ずれ)を一致させる(改善する)ように最適なアドバイス情報を提示することができるため、運転者はエコ感覚がずれた原因を速やかに把握することができ、その後、エコ運転状態によって車両を運転できるようになる。又、意識することなくエコ運転状態で車両を運転することができていてエコ感覚が一致する場合には、運転者は提示されるアドバイス情報に基づいてどのようにすればエコ運転状態を実現することができるのかを容易に理解することができ、引き続き、エコ運転状態によって車両を運転できるようになる。
又、本発明による運転支援装置の他の特徴の一つは、前記アドバイス情報出力手段を、外部に設けられていて、複数の運転者のエコ感覚と車両のエコ運転状態との差異をそれぞれ分析し、この分析に基づいてアドバイス情報を生成して蓄積するセンタと通信可能に設けることができることにもある。そして、前記アドバイス情報出力手段が、前記センタから、前記分析手段による前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態との分析に基づくアドバイス情報を取得して出力することにもある。
この場合、更に、前記分析手段が、前記センタに対して、前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態との差異を分析した分析結果を供給することができる。
これらによれば、外部(例えば、カーメーカ等)に設けられたセンタから複数の運転者に対する分析に基づくアドバイス情報を取得し、この取得したより具体的かつ詳細なアドバイス情報を運転者に提示することができる。これにより、特に、エコ感覚が一致しない場合において、センタにて生成されたアドバイス情報を提示することができるため、運転者は、自身のエコ感覚と実際のエコ運転状態との一致又は差異をより容易にかつ明りょうに理解することができ、その後、エコ運転状態による車両の運転を実現することができるようになる。又、センタを、例えば、カーメーカ等に設置することにより、複数の運転支援装置を構成するそれぞれの分析手段から分析結果を取得することができるため、複数の運転者のエコ感覚を入手することができる。これにより、カーメーカにおいては、アドバイス情報出力手段によるアドバイス情報の内容や提示方法を適切に改善したり、車両の走行特性やHMI(Human Machine Interface)を研究することができて、より利便性の高い車両を提供することができるようになる。
又、本発明による運転支援装置の他の特徴の一つは、前記分析手段によって前記運転者の前記エコ感覚と車両の前記エコ運転状態とが一致すると分析されたときに、前記運転者が利用可能な所定のポイントを付与するポイント付与手段を備えたことにもある。
これによれば、運転者による主観的なエコ感覚と車両の客観的なエコ運転状態とが一致した状態で車両を運転することができている場合においては、ポイント付与手段は、運転者がエコ運転状態を継続する限り、利用可能な所定のポイントを付与することができる。又、逆に、運転者による主観的な非エコ感覚と車両の客観的な非エコ運転状態とが一致した状態で車両を運転している場合においても、運転者が非エコ運転状態によって車両を運転していることを認識している、或いは、無意識であれば非エコ運転状態を自覚させるため、ポイント付与手段は、利用可能な所定のポイントを付与することができる。これにより、運転者は、例えば、外部から充電可能なバッテリを設けた車両のバッテリを充電するときの一部料金として付与されたポイントを利用することができ、利益を与えることによって運転者に対して効果的にエコ運転の継続又は開始を促すことができる。
更に、本発明による運転支援装置の他の特徴の一つは、前記車両が、少なくとも、前記車両とは別体の充電スタンドから充電可能なバッテリを設けた車両であり、前記充電スタンドは、該充電スタンドに対する電力の供給元における発電方法を特定することにより電力由来識別情報を取得し、前記分析手段が、前記バッテリに充電される電力の前記電力由来識別情報を前記充電スタンドから取得し、取得した該電力由来識別情報に応じて、車両の前記エコ運転状態を変更することができることにもある。この場合、より具体的に、前記分析手段は、前記電力由来識別情報が、再生エネルギー外を利用して発電された電力であることを表すとき、又は、電力の需給が逼迫する時間帯及び電力の節電が要求された時間帯に充電された電力であることを表すときには、車両のエコ運転状態を環境に優しくない非エコ運転状態に変更することができる。
これらによれば、車両を走行させる際の運転者の運転状態に限らず、車両を走行させるエネルギーの由来をも勘案して、運転者のエコ感覚が車両のエコ運転状態に一致しているか否かを分析することができる。これにより、運転者は、車両を走行させること全般について、環境に優しいエコ運転をしているか否かを把握することができ、効果的に環境保全を促すことができる。
以下、本発明の実施形態に係る運転支援装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係り、車両に搭載された運転支援装置10を概略的に示した概略ブロック図である。ここで、本実施形態においては、運転支援装置10が搭載される車両として、例えば、バッテリの電力で走行用モータを駆動する電気自動車(EV)、或いは、走行用モータとエンジンとを備えてバッテリを充電器により充電可能なプラグイン式ハイブリッド車(PHV)等を採用して実施する。しかしながら、運転支援装置10が搭載される車両としては、走行用モータを備えずにエンジンの駆動力により走行する従来からの車両を採用可能であることは言うまでもなく、何ら駆動形式を問うものではない。
運転支援装置10は、環境に優しく車両を運転している、所謂、エコ運転しているか否かに関し、車両を走行させている運転者により主観的なエコ感覚として通知(入力)された運転状態(以下、「主観的な運転状態」と称呼する)と、走行に伴って変化する実際の車両の状態に基づく客観的な運転者による車両の運転状態(以下、「客観的な運転状態」と称呼する)とを比較し、この主観的な運転状態(エコ感覚)と客観的な運転状態(エコ運転状態)との比較分析に基づくアドバイス情報を運転者に提示することによって、環境に優しい車両のエコ運転を支援するものである。このため、運転支援装置10は、図1に示すように、互いに通信可能に接続された電子制御ユニット11(分析手段、アドバイス情報出力手段)、通知ボタン12(通知手段)、車両運転状態検出センサ13(車両運転状態取得手段)、情報提示ユニット14(情報提示手段)、記憶ユニット15(情報蓄積手段)及び通信ユニット16を備えている。尚、情報提示ユニット14及び通信ユニット16については、運転支援装置10に一体的に設けることに代えて、例えば、運転者が携帯している携帯情報端末装置(具体的には、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等)を電子制御ユニット11に対して周知の通信方法(例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等)を用いて通信可能に接続し、この携帯情報端末装置を情報提示ユニット14及び通信ユニット16として利用することも可能である。
電子制御ユニット11は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータである。そして、電子制御ユニット11は、後述するように、各種プログラムを実行することによって運転支援装置10の作動を統括的に制御する。
通知ボタン12は、運転者によって操作されて、エコ運転に関し、主観的な運転状態を通知(入力)するものである。このため、通知ボタン12は、図2に示すように、環境に優しい運転状態(以下、この運転状態を「エコ運転状態」と称呼する。)によって車両を走行させていると主観的に感じていることを通知するために運転者が押下操作するエコ感覚通知ボタン12Aと、環境に優しくない運転状態(以下、この運転状態を「非エコ運転状態」と称呼する。)によって車両を走行させていると主観的に感じていることを通知するために運転者が押下操作する非エコ感覚通知ボタン12Bとから構成される。
これらのエコ感覚通知ボタン12A及び非エコ感覚通知ボタン12Bは、図2に示すように、それぞれ、運転者によって回動操作されるステアリングホイールHに組み付けられる。これにより、車両を走行させているときに、運転者がエコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bを押下操作する場合には、ステアリングホイールHを把持した状態を維持することができ、車両の運転に影響を与えることがない。従って、運転者は、いつでもエコ感覚通知ボタン12Aを押下操作することができて、主観的なエコ運転状態(すなわち、エコ感覚)を通知するための情報(以下、この情報を「主観的なエコ運転通知情報」と称呼する。)を容易に入力することができる。又、運転者は、いつでも非エコ感覚通知ボタン12Bを押下操作することができて、主観的な非エコ運転状態(すなわち、非エコ感覚)を通知するための情報(以下、この情報を「主観的な非エコ運転通知情報」と称呼する。)を容易に入力することができる。
車両運転状態検出センサ13は、運転者による運転に起因して時々刻々と変化する車両の走行状態すなわち運転者の運転によって走行している車両に生じる客観的な運転状態を表す各種物理量を検出して出力するものである。このため、車両運転状態検出センサ13は、複数の各種センサから構成されている。ここで、車両運転状態検出センサ13を構成するセンサとしては、例えば、ステアリングホイールHに対する運転者の操作量(操舵角)を検出する操舵角センサや、車両のアクセルペダル(図示省略)に対する運転者の操作量(踏み込み量や、角度、圧力等)を検出するアクセルセンサ、車両のブレーキペダル(図示省略)に対する運転者の操作量(踏み込み量や、角度、圧力等)を検出するブレーキセンサ、車両の車速を検出する車速センサ、車両の加速度(又は減速度)を検出する加速度センサ、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)の充電状態すなわちバッテリに充電されている電力量を表すSOC(State OF Charge)を検出するバッテリセンサ、車両に搭載された燃料タンク(図示省略)の燃料充填量すなわち燃料タンクに充填されている燃料の残量を検出するフューエルセンサ、車両のエンジン(図示省略)の回転数を検出するエンジン回転数センサ等が含まれる。
情報提示ユニット14は、詳細な図示を省略するが、液晶表示部(ディスプレイ)や音声出力部(スピーカ)等から構成されるものであり、電子制御ユニット11による制御に従い、文字及び図形等を表示したり、音声を出力したりして、運転者(乗員)に対して後述するエコ運転アドバイス情報を提示(報知)するものである。記憶ユニット15は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット11が運転支援装置10の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能かつ検索可能に記憶している。
通信ユニット16は、車両外部との通信を可能とする通信手段である。このため、通信ユニット16は、図1に概略的に示すように、例えば、インターネット等の外部通信ネットワークと接続してこのネットワークに接続された外部のセンタ(管理センタ)と通信するための周知のデータコミュニケーションモジュール(DCM)や、バッテリを充電するために設けられている充電スタンドと近距離通信するためのBluetooth(登録商標)通信モジュール或いはWi-Fi(登録商標)通信モジュール等(以下、これらをまとめて「近距離通信モジュール」と称呼する。)を備えている。これにより、通信ユニット16は、電子制御ユニット11による制御に従い、例えば、DCMを利用して外部に設置されたセンタから電力の需給情報や節電要請情報等を外部通信ネットワークを介して取得したり、後述するように近距離無線モジュールを利用して充電スタンドからバッテリに充電される電力の由来を識別するための電力由来識別情報及び識別した電力の供給量(充電量)を表す充電量情報を取得する。
ここで、例えば、自宅や公共場所に設置される充電スタンドを簡単に説明しておく。充電スタンドは、図1に簡単に概略を示すように、電力供給制御ユニットと通信ユニットとを備えている。そして、充電スタンドは、車両のバッテリに電力を供給する際に、電力供給制御ユニットが現在車両のバッテリに供給できる電力の電力由来識別情報を取得し、この電力由来識別情報を通信ユニットが近距離無線通信により通信ユニット16に送信するようになっている。尚、電力由来識別情報については、例えば、充電スタンドの近傍に設けられたスマートメータが電力の供給元(由来)における発電方法を特定することによって電力供給制御ユニットに供給される。
具体的には、スマートメータは、電力の供給元が、温室効果ガスや有害ガスの排出が少なく環境への負荷が小さい自然エネルギー(太陽光や、地熱、風力、水力、バイオマス等の再生可能エネルギー)を利用する発電システムであれば、現在供給されている電力が自然エネルギーを利用して発電された電力、所謂、グリーン電力であるため、電力由来識別情報としてグリーン電力を表す情報を電力供給制御ユニットに出力する。一方、スマートメータは、電力の供給元が、再生エネルギー外の環境への負荷が総じて大きい化石エネルギー(石油や、石炭、天然ガス等の再生不能エネルギー)を利用する発電システムであれば、現在供給されている電力が化石エネルギーを利用して発電された電力であってグリーン電力ではない(以下、グリーン電力ではない電力を「非グリーン電力」と称呼する。)ため、電力由来識別情報として非グリーン電力を表す情報を電力供給制御ユニットに出力する。
尚、通信ユニット16が近距離無線通信を利用して電力由来識別情報及び充電量情報を取得することによって、電子制御ユニット11は、車両のバッテリに充電されている電力の内訳を適切に把握することができる。具体的に、通信ユニット16は充電スタンドの電力供給制御ユニットとの間で予め設定された周期によって充電実行に必要な種々の情報(例えば、充電におけるリクエストコードやレスポンスコード、車両を特定する車両ID、バッテリのSOC情報等)を送受信するようになっている。これにより、充電スタンドの電力供給制御ユニットは、車両側から取得した車両IDによって車両を特定する。そして、充電スタンドの電力供給制御スタンドは、車両側から取得したバッテリのSOC情報に基づいて所望の電力量を供給するとともに、供給した電力量すなわち充電量を表す充電量情報及び電力由来識別情報を電子制御ユニット11に供給する。従って、電子制御ユニット11は、供給された充電量情報及び電力由来識別情報を取得することにより、現在、車両のバッテリに充電されている電力の内訳、すなわち、グリーン電力の電力量(充電量)と非グリーン電力の電力量(充電量)とを把握することができる。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る運転支援装置10の作動について、電子制御ユニット11内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図3の機能ブロック図を用いて説明する。電子制御ユニット11は、運転者によるエコ感覚と車両のエコ運転状態との差異を分析してエコ運転アドバイス情報を提示し、運転者によるエコ運転を支援するエコ運転支援部50を備えている。エコ運転支援部50は、図3に示すように、通知手段を構成するエコ感覚通知入力部51、情報蓄積手段を構成するエコ状態情報蓄積部52、分析手段としてのエコ感覚差異分析部53及びアドバイス情報出力手段としてのエコ運転アドバイス出力部54から構成されている。
エコ感覚通知入力部51は、運転者による操作に応じて、通知ボタン12を構成するエコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bからの通知(信号)を入力する。すなわち、エコ感覚通知入力部51は、運転者が主観的に環境に優しいエコ運転状態で車両を運転していると感じてステアリングホイールHに設けられたエコ感覚通知ボタン12Aを押下操作したことに伴って通知される主観的なエコ運転通知情報を表す信号を取得し、この主観的なエコ運転通知情報を取得した時刻と関連付けてエコ感覚差異分析部53に出力する。又、エコ感覚通知入力部51は、運転者が主観的に環境に優しくない非エコ運転状態で車両を運転してしまったと感じてステアリングホイールHに設けられた非エコ感覚通知ボタン12Bを押下操作したことに伴って通知される主観的な非エコ運転通知情報を表す信号を取得し、この主観的な非エコ運転通知情報を取得した時刻と関連付けてエコ感覚差異分析部53に出力する。
エコ状態情報蓄積部52は、車両運転状態検出センサ13から検出された客観的な運転状態を表す各種物理量を表す信号を入力し、これら各種物理量に基づく客観的な運転状態、より詳しくは、客観的なエコ運転状態又は客観的な非エコ運転状態を表す客観的な運転状態情報を検索可能に記憶ユニット15の所定記憶位置に記憶する。このとき、エコ状態情報蓄積部52は、車両運転状態検出センサ13から所定の一定時間間隔により連続的に信号(各種物理量)を取得するようになっており、客観的な運転状態情報を所定の一定時間間隔により連続的に記憶ユニット15の所定記憶位置に記憶する。又、エコ状態情報蓄積部52は、車両のバッテリが充電スタンドを介して充電される場合には、通信ユニット16から現在バッテリに充電されている電力に関し、電力由来識別情報や、充電量情報、充電の時刻情報を取得するとともに、例えば、外部のセンタ等から受信された電力の需給情報や、節電要請情報を取得し、これら取得した各情報を検索可能に記憶ユニット15の所定記憶位置に記憶する。尚、以下の説明においては、通信ユニット16から取得される充電に関する各種情報をまとめて単に「充電関連情報」とも称呼する。そして、エコ状態情報蓄積部52は、記憶ユニット15の所定記憶位置に記憶した客観的な運転状態情報及び充電関連情報を、例えば、エコ感覚差異分析部53による提供要求に応じて同分析部53に対して出力する。
エコ感覚差異分析部53は、運転者によってエコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bが押下操作された、言い換えれば、エコ感覚としての主観的な運転状態が通知された時点(タイミング)において、実際の車両の走行状態、すなわち、車両のエコ運転状態としての客観的な運転状態と通知された主観的な運転状態とを比較する。そして、エコ感覚差異分析部53は、運転者が感じている車両の運転に対するエコ感覚(主観的な運転状態)が実際の車両におけるエコ運転状態(客観的な運転状態)と一致しているか否か、すなわち、運転者が感じているエコ運転(又は、非エコ運転)と実際のエコ運転(又は、非エコ運転)との感覚的な差異を分析するものである。以下、この分析を図4を用いて具体的に説明する。
図4は、運転者が通知ボタン12を押下操作することよって通知された主観的な運転状態(すなわち、主観的なエコ運転状態又は主観的な非エコ運転状態)と、車両運転状態検出センサ13によって検出された各種物理量に基づく客観的な運転状態の時間変化とを合わせて示したタイムチャートである。尚、図4に示すタイムチャートにおいて、白抜きの上向き三角印は運転者によってエコ感覚通知ボタン12Aが押下操作されたタイミングを表し、白抜きの下向き三角印は運転者によって非エコ感覚通知ボタン12Bが押下操作されたタイミングを表している。ここで、太実線により表される客観的な運転状態の時間変化は、エコ状態情報蓄積部53に蓄積された客観的な運転状態情報(すなわち、連続的に検出された各種物理量)に基づくものであり、例えば、運転者によるアクセルペダル及びブレーキペダルの操作が緩やかで車両に急な加減速度が発生していない、或いは、一定時間における電力消費量が少ない(電費が良い)等であるときには、エコ運転状態として、客観的にエコ側(+側)であるとされる。一方、客観的な運転状態の時間変化は、例えば、運転者によるアクセルペダル及びブレーキペダルの操作が急峻で車両に急な加減速度が発生している、或いは、一定時間における電力消費量が多い(電費が悪い)等であるときには、エコ運転状態として、客観的に非エコ側(−側)であるとされる。
そして、エコ感覚差異分析部53は、運転者によってエコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bが押下操作されて、エコ感覚通知入力部51から主観的なエコ運転通知情報及び時刻情報、又は、主観的な非エコ運転通知情報及び時刻情報が出力されると、エコ状態情報蓄積部52に対して、エコ感覚通知入力部51が出力した時刻情報によって表されるタイミング(時点)から予め設定された一定時間だけ遡った時点までの分析期間における客観的な運転状態情報の出力を要求する。尚、図4のタイムチャートにおいては、分析期間を破線により示す。これにより、例えば、運転者によってエコ感覚通知ボタン12Aが押下操作されてエコ感覚通知入力部51から主観的なエコ運転通知情報及び時刻情報が出力された場合、エコ感覚差異分析部53は、エコ状態情報蓄積部52から取得した分析期間における客観的な運転状態情報によって表される客観的な運転状態が、エコ運転状態としてエコ側にあれば、運転者によるエコ感覚が車両のエコ運転状態と感覚的に一致していると分析する。一方、エコ感覚差異分析部53は、エコ状態情報蓄積部52から取得した分析期間における客観的な運転状態情報によって表される客観的な運転状態が、エコ運転状態として非エコ側にあれば、運転者によるエコ感覚が車両のエコ運転状態と感覚的に不一致であると分析する。
ここで、運転者によるエコ感覚が車両のエコ運転状態と感覚的に不一致となる場合を、図4におけるケースA、ケースB及びケースCとして例示して説明する。
まず、ケースAの場合においては、運転者は、継続してエコ運転状態で車両をエコ運転していると感じており、エコ感覚通知ボタン12Aを押下操作してエコ感覚通知入力部51に主観的なエコ運転通知情報及び時刻情報を入力して通知している。ところが、例えば、緩やかな登坂路を走行していて車両の車速を維持するためにアクセルペダルの踏み込み量を徐々に大きくする状況等では、客観的な運転状態がエコ運転状態としてエコ側から非エコ側に状態が変化する。このため、エコ感覚差異分析部53は、エコ状態情報蓄積部52から取得した分析期間における客観的な運転状態情報によって表される客観的な運転状態が、図4に示すように、エコ運転状態として非エコ側にあるため、運転者によるエコ感覚が車両のエコ運転状態と一致しておらず感覚的に不一致であると分析する。
次に、ケースBの場合においては、運転者は、例えば、アクセルペダルを急峻に操作して急加速させてしまい非エコ運転状態で車両を運転していると感じており、非エコ感覚通知ボタン12Bを押下操作してエコ感覚通知入力部51に主観的な非エコ運転通知情報及び時刻情報を入力して通知している。ところが、例えば、車両が運転者による急峻なアクセルペダル操作に対して自動的に緩やかに発進させる等のエコ運転制御を実施したとすると、図4に示すように、客観的な運転状態はエコ運転状態として非エコ側からエコ側に状態が速やかに変化する。このため、エコ感覚差異分析部53は、エコ状態情報蓄積部52から取得した分析期間における客観的な運転状態情報によって表される客観的な運転状態が、図4に示すように、エコ運転状態として速やかにエコ側に変化しているため、運転者によるエコ感覚が車両のエコ運転状態と一致しておらず感覚的に不一致であると分析する。
更に、ケースCの場合においては、ケースBの場合と異なり、運転者は、例えば、アクセルペダルを急峻に操作して急加速させてしまった後、速やかにアクセルペダルを緩やかに操作するように改めたことによって、エコ運転状態で車両を運転していると感じており、エコ感覚通知ボタン12Aを押下操作してエコ感覚通知入力部51に主観的なエコ運転通知情報及び時刻情報を入力して通知している。ところが、例えば、運転者がアクセルペダルを緩やかに操作するようにしても、客観的な運転状態がエコ運転状態として非エコ側からエコ側に変化するまでに時間を要する場合がある。このため、このような場合には、エコ感覚差異分析部53は、エコ状態情報蓄積部52から取得した分析期間における客観的な運転状態情報によって表される客観的な運転状態が、図4に示すように、エコ運転状態として未だ非エコ側にあるため、運転者によるエコ感覚が車両のエコ運転状態と一致しておらず感覚的に不一致であると分析する。
又、上述したように、EVやPHVのバッテリには、充電スタンドを介して、グリーン電力又は非グリーン電力を選択して充電することができる。又、車両の運転者(乗員)は、原則、いつでもバッテリに充電することができる。このため、運転者が車両を運転することに関して、主観的にエコ運転状態で運転していると感じている場合であっても、例えば、バッテリに充電されている非グリーン電力を利用して走行している状況や、電力受給が逼迫している時間帯や節電要請されている時間帯に充電した電力を利用して走行している状況、すなわち、利用エネルギーが非エコな状況では総じてエコ運転であるとは言えない。
このため、エコ感覚差異分析部53は、バッテリに充電された電力に関して、上述したような非エコな状況が生じた場合には、エコ状態情報蓄積部52から取得する客観的な運転状態情報によって表される客観的なエコ運転状態を、図5に示すように、強制的に非エコ側に変化させて非エコ運転状態とする。そして、エコ感覚差異分析部53は、この変化させた客観的な非エコ運転状態を用いて、上述したように運転者のエコ感覚を分析する。尚、上述した非エコな状況が生じた後において、例えば、運転者(乗員)がバッテリにグリーン電力を充電する、或いは、運転者(乗員)が電力需給の逼迫する時間帯外や節電要請時間帯外に充電すると、エコ感覚差異分析部53は、強制的に非エコ側に変化させた客観的な非エコ運転状態を、図5に示すように、車両運転状態検出センサ13によって検出された各種物理量に基づく客観的なエコ運転状態となるように元に戻す。そして、エコ感覚差異分析部53は、元に戻したエコ運転状態を用いて、上述したように運転者によるエコ感覚を分析する。
このように、運転者のエコ感覚を分析すると、エコ感覚差異分析部53は、エコ感覚について主観的な運転状態と客観的な運転状態との感覚的な一致又は感覚的な不一致を表すエコ感覚の分析結果をエコ運転アドバイス出力部54に出力する。
エコ運転アドバイス出力部54は、エコ感覚差異分析部53による運転者のエコ感覚の分析結果に基づき、エコ感覚が車両のエコ運転状態と一致していることを報知するためのエコ運転アドバイス情報及びエコ感覚が車両のエコ運転状態と不一致となることを改善するためのエコ運転アドバイス情報を出力する。すなわち、エコ運転アドバイス出力部54は、エコ感覚差異分析部53から供給されたエコ感覚の分析結果に基づき、エコ感覚が車両のエコ運転状態に一致している(或いは、非エコ感覚が車両の非エコ運転状態に一致している)ときには、エコ感覚が一致していてこのままの運転を継続するように、記憶ユニット15の所定記憶位置に記憶されているエコ運転アドバイス情報のうちから対応するエコ運転アドバイス情報を選択して取得する。具体的に、エコ運転アドバイス出力部54は、「エコ運転が続いています。今までのようにアクセルペダルを一定に操作しているとエコ運転になって電費が良くなりますよ。」等のテキストデータのエコ運転アドバイス情報やエコ運転状態が継続していることを表す画像(動画)データのエコ運転アドバイス情報を記憶ユニット15の所定記憶位置から取得する。
一方、エコ運転アドバイス出力部54は、エコ感覚差異分析部53から供給されたエコ感覚の分析結果に含まれていて分析期間における主観的な運転状態と客観的な運転状態との差異に基づき、例えば、車両をより効率よく走行させるためにアクセルペダルの操作を緩やかにして車速を低下させたり、逆に、車速を増加させたりすることを促すように、記憶ユニット15の所定記憶位置に記憶されているエコ運転アドバイス情報のうちから選択して取得する。具体的に、エコ運転アドバイス出力部54は、「現在、エコ運転ではありません。もう少し、アクセルペダルを戻し気味にするとエコ運転となって電費が良くなりますよ。」や、「現在、エコ運転ではありません。もう少し、アクセルペダルを踏み気味にするとエコ運転となって電費が良くなりますよ。」等のテキストデータのエコ運転アドバイス情報やアクセルペダルを戻す画像(動画)データのエコ運転アドバイス情報を記憶ユニット15の所定記憶位置から取得する。
更に、例えば、運転者が非グリーン電力を充電しており、強制的に非エコ側に変化させて車両の非エコ運転状態となっているときには、エコ運転アドバイス出力部54は、「現在、非グリーン電力を利用しているためエコ運転ではありません。次回の充電時には、是非、グリーン電力を充電してください。」等のテキストデータのエコ運転アドバイス情報やアクセルペダルを戻す画像(動画)データのエコ運転アドバイス情報を記憶ユニット15の所定記憶位置から取得する。そして、エコ運転アドバイス出力部54は、取得したエコ運転アドバイス情報を情報提示ユニット14に出力する。
情報提示ユニット14においては、エコ運転アドバイス出力部54から取得したエコ運転アドバイス情報を運転者(乗員)に報知する。すなわち、情報提示ユニット14は、例えば、テキストデータのエコ運転アドバイス情報や画像(動画)データのエコ運転アドバイス情報に基づいてディスプレイ上に文字や図形(動画)を表示してアドバイスの内容を提示したり、或いは、テキストデータのエコ運転アドバイス情報に基づいてスピーカから音声を出力してアドバイスの内容を提示したりする。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、運転者が感じた主観的な運転状態すなわちエコ感覚に応じてエコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bを押下操作すると、押下操作した時点における客観的な運転状態に基づき運転者のエコ感覚が実際の車両のエコ運転状態に一致しているか否かを分析することができる。これにより、運転者は、自身のエコ感覚と実際のエコ運転状態との一致又は差異を容易にかつ明りょうに理解することができ、提示されるエコ運転アドバイスを参考にすることによって極めて容易にエコ運転を実現することができる。
すなわち、運転者は、エコ運転状態で車両を運転していると感じていても実際には非エコ運転状態で車両を運転していたり、非エコ運転状態で車両を運転してしまったと感じても実際にはエコ運転状態で車両を運転していることを容易に認識することができる。そして、エコ感覚が一致しない場合には、運転者にこの感覚の差異(ずれ)を一致させる(改善する)ようにエコ運転アドバイス情報を提示することができるため、運転者は感覚がずれた原因を速やかに把握することができ、その後、エコ運転状態によって車両を運転できるようになる。又、意識することなくエコ運転状態で車両を運転することができていてエコ感覚が一致する場合には、運転者はどのようにすればエコ運転状態を実現することができるのかを容易に理解することができ、引き続き、エコ運転状態によって車両を運転できるようになる。
上記実施形態においては、車両に搭載された運転支援装置10のエコ運転アドバイス出力部54がエコ感覚差異分析部53から取得したエコ感覚についての分析結果、すなわち、主観的な運転状態と客観的な運転状態との一致又は差異に基づいて、エコ運転アドバイス情報を出力して提示するように実施した。この場合、他の運転者に対する分析結果をも参照し、より適切なエコ運転アドバイス情報を提示するように実施することも可能である。以下、この変形例を詳細に説明する。
この変形例においては、車両に搭載された運転支援装置10が外部(例えば、カーメーカ等)に設けられた管理センタ20から他の運転者に対する分析結果も考慮して生成されたエコ運転アドバイス情報を取得し、エコ運転アドバイス出力部54が出力するように実施する。このため、管理センタ20は、図6に示すように、マイクロコンピュータを主要構成部品とするサーバ21が設けられる。そして、管理センタ20は、このサーバ21に接続されていて、外部のネットワークを介して複数の運転支援装置10との通信を制御する通信制御ユニット22と、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含んでいてサーバ21が管理センタ20の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを更新可能に記憶している記憶ユニット23とを備えている。そして、記憶ユニット23には、複数の運転支援装置10から取得し、それぞれ運転者を対象としたエコ感覚の差異を分析した分析結果と、この分析結果に対して生成した或いは選択したエコ運転アドバイス情報とを検索可能に記憶しているデータベース23aが構築されている。
又、この変形例の運転支援装置10においては、図7に示すように、上述した実施形態の構成に対して、新たにエコ感覚差異送信部55が設けられている。エコ感覚差異送信部55は、エコ感覚差異分析部53によるエコ感覚の分析結果及び分析結果に含まれる各種情報を取得し、この取得した分析結果及び各種情報を通信ユニット16を利用して管理センタ20に送信するものである。このとき、エコ感覚差異送信部55は、主観的な運転状態と客観的な運転状態とが異なる場合、すなわち、エコ感覚が不一致となる場合を優先し、各種情報として、通知ボタン12(エコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12B)が押下されたタイミングと分析期間内における客観的な運転状態とを管理センタ20に送信するようになっている。尚、エコ感覚差異送信部55は、分析結果及び各種情報を管理センタ20に送信する際には、車両を識別するために予め割り当てられた識別情報である車両IDを併せて送信するようにもなっている。
又、この変形例においては、図7に機能ブロック図を示すように、管理センタ20のサーバ21は、エコ運転アドバイス支援部60を備えており、同支援部60は、エコ運転アドバイス抽出部61、エコ運転アドバイス送信部62及びポイント付与手段としてのエコ運転ポイント付与連動部63から構成される。
エコ運転アドバイス抽出部61は、複数の運転支援装置10(より詳しくは、エコ感覚差異送信部55)から送信されたエコ感覚の分析結果及び各種情報を取得して記憶ユニット23のデータベース23aに検索可能に蓄積する。そして、エコ運転アドバイス抽出部61は、データベース23aに蓄積された複数の運転者に対するエコ感覚の差異、すなわち、主観的な運転状態と客観的な運転状態とが異なるタイミングを統計的に処理する。この統計的な処理に基づき、エコ運転アドバイス抽出部61は、主観的運転状態と客観的な運転状態とが異なるタイミングが統計的に多い場合(状況)を抽出し、この状況を改善するためのエコ運転アドバイス情報を出力する。
すなわち、主観的なエコ運転状態又は主観的な非エコ運転状態と客観的なエコ運転状態又は客観的な非エコ運転状態とが異なるタイミングが統計的に多い場合(状況)は、運転支援装置10の記憶ユニット15に予め記憶されているエコ運転アドバイス情報を提示してもエコ運転が実現され難い状況である可能性が高い。従って、エコ運転アドバイス抽出部61は、主観的なエコ運転状態又は主観的な非エコ運転状態と客観的なエコ運転状態又は客観的な非エコ運転状態とが異なるタイミングが統計的に多くなる状況について、主観的な運転状態と客観的な運転状態との差異を分析する。そして、エコ運転アドバイス抽出部61は、この分析に基づき、例えば、緩やかな登坂路を走行するときのアクセルの踏み込み量を適切にすることを促すように、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されているテキストデータ等を用いてエコ運転アドバイス情報を生成したり、或いは、記憶ユニット23に構築されたデータベース23aの所定記憶位置に検索可能に記憶されているエコ運転アドバイス情報のうちから選択して取得する。
具体的に、エコ運転アドバイス抽出部61は、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されているテキストデータ等を用いて、例えば、「現在、エコ運転ではありません。緩やかに続く登坂路では、手前からもう少しアクセルペダルを踏み気味にするとスピートが落ちずにエコ運転となって電費が良くなりますよ。」等のテキストデータのエコ運転アドバイス情報やアクセルペダルを踏み込む画像(動画)データのエコ運転アドバイス情報を生成する。そして、エコ運転アドバイス抽出部61は、生成したエコ運転アドバイス情報を、記憶ユニット23に構築されたデータベース23aの所定記憶位置に検索可能に記憶するとともに、エコ運転アドバイス送信部62に出力する。
エコ運転アドバイス送信部62は、エコ運転アドバイス抽出部61から取得したエコ運転アドバイス情報を車両に搭載された運転支援装置10に送信する。すなわち、エコ運転アドバイス送信部62は、通信制御ユニット22及び外部のネットワーク回線網を介して、運転支援装置10のエコ運転アドバイス出力部54に向けてエコ運転アドバイス情報を供給(送信)する。
車両に搭載された運転支援装置10においては、エコ運転アドバイス出力部54が通信ユニット16を介して、管理センタ20のエコ運転アドバイス送信部62から送信されたエコ運転アドバイス情報を取得し、この取得した取得したエコ運転アドバイス情報を情報提示ユニット14に出力する。これにより、情報提示ユニット14は、例えば、テキストデータのエコ運転アドバイス情報や画像(動画)データのエコ運転アドバイス情報に基づいてディスプレイ上に文字や図形(動画)を表示してアドバイスの内容を提示したり、或いは、テキストデータのエコ運転アドバイス情報に基づいてスピーカから音声を出力してアドバイスの内容を提示したりする。尚、この場合、エコ運転アドバイス出力部54は、管理センタ20から取得したエコ運転アドバイス情報を記憶ユニット15の所定記憶位置に検索可能に記憶する。
又、管理センタ20において、エコ運転アドバイス抽出部61は、特に、車両に搭載された運転支援装置10のエコ感覚差異送信部55から、運転者が通知した主観的なエコ運転状態(すなわち、エコ感覚)が客観的なエコ運転状態に一致しているときに、エコ感覚一致情報及び車両IDをエコ運転ポイント付与連動部63に出力する。これにより、エコ運転ポイント付与連動部63は、出力されたエコ感覚一致情報に基づき、エコ感覚が一致している状況(時間や回数等)に応じて付与されて運転者が利用することができるエコ感覚一致ポイント及び車両IDを互いに関連付けて記憶ユニット23に構築されたデータベース23aの所定記憶位置に検索可能に記憶する。
そして、エコ運転ポイント付与連動部63は、例えば、車両が充電に利用する充電スタンドの電力供給制御ユニットから車両IDが照会されたときに、この車両IDに関連付けられて記憶されているエコ感覚一致ポイントを充電スタンドに供給(送信)することができる。これにより、車両の運転者(乗員)は、付与されたエコ感覚一致ポイントを利用して車両の充電に必要な充電費用を支払うことが可能となる。尚、このようにエコ感覚一致ポイントを付与する場合、エコ運転ポイント付与連動部63は、運転者が主観的に非エコ運転状態を通知するタイミングが客観的な非エコ運転状態に一致しているとき(運転者が非エコ運転状態を認識しているとき或いは無意識に非エコ運転状態で運転しているとき)にも、エコ感覚一致ポイントを付与することも可能である。この場合、付与されるエコ感覚一致ポイントについては、エコ運転状態によって運転している場合に比して付与割合が悪くなるものの、運転者に非エコ運転状態を自覚させる点で有効である。
以上の説明からも理解できるように、この変形例においては、運転支援装置10が、管理センタ20から複数の運転者に対する分析結果を用いた統計的な傾向に基づくエコ運転アドバイス情報を取得し、この取得したエコ運転アドバイス情報を運転者に提示することができる。これにより、特に、エコ感覚が一致しない場合において、統計的に多発する状況に応じて生成されたより適切なエコ運転アドバイス情報を提示することができるため、運転者は、自身のエコ感覚と実際の車両のエコ運転状態との一致又は差異を容易にかつ明りょうに理解することができ、その後、エコ運転状態による車両の運転を実現することができるようになる。
又、運転者のエコ感覚と車両のエコ運転状態とが一致した状態で車両を運転することができている場合においては、管理センタ20のエコ運転ポイント付与連動部63は、運転者がエコ運転状態を継続する限り、エコ感覚一致ポイントを付与することができ、例えば、このエコ感覚一致ポイントを車両のバッテリを充電するときの一部料金として利用することができる。これにより、運転者に対して、効果的にエコ運転を継続させことを促すことができる。
更に、管理センタ20を、例えば、カーメーカ等に設置することにより、複数の運転支援装置10から分析結果及び各種情報を取得することができるため、運転者が主観的に感じているエコ運転状態や非エコ運転状態、すなわち、エコ感覚を入手することができる。これにより、カーメーカにおいては、運転支援装置10に予め記憶させておくエコ運転アドバイス情報の内容や提示方法を適切に改善したり、車両の走行特性やHMI(Human Machine Interface)を研究することができて、より利便性の高い車両を提供することができるようになる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例においては、運転者が主観的にエコ運転状態又は非エコ運転状態であると感じたときに、通知ボタン12(エコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12B)を押下操作するように実施した。この場合、例えば、EVやPHVの運転に慣れていない運転者が乗車するときには、この運転者からの要求により或いは予め設定された時期において、運転支援装置10の電子制御ユニット11が客観的な運転状態に基づき、例えば、エコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bを発色させたり、点灯、点滅させることによって運転者に押下操作タイミングを知らせて、EVやPHVにおけるエコ感覚を定着させることも可能である。これにより、EVやPHVを運転する運転者のエコ感覚を定着させて、環境に優しいエコ運転を効果的に促すことができる。
又、上述したように、エコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12Bを発色させたり、点灯、点滅させる場合、例えば、高速道路を走行している車両に対して管理センタ20から前方に渋滞の発生を予測する情報が提供されると、運転支援装置10の電子制御ユニット11は、エコ感覚通知ボタン12Aを発色、点灯、点滅させている状態から非エコ感覚通知ボタン12Bを発色、点灯、点滅させる状態に変更することができる。これにより、運転者に対して、前方の状況を適切に報知することができる。
又、上記実施形態及び変形例においては、運転支援装置10がエコ状態情報蓄積部52を備えるように実施した。この場合、エコ感覚差異分析部53による分析精度に若干の影響を及ぼす可能性があるが、エコ状態情報蓄積部52を省略し、エコ感覚差異分析部53がエコ感覚通知入力部51からの通知情報を取得した時点で直接的に車両運転状態検出センサ13から客観的な運動状態を表す各種物理量を取得するように実施することも可能である。この場合には、電子制御ユニット11の構成を簡略化することができる。
又、上記変形例においては、管理センタ20にポイント付与手段としてのエコ運転ポイント付与連動部63を設けて実施した。この場合、車両に搭載した運転支援装置10にエコ運転ポイント付与連動部を設けて実施可能であることは言うまでもない。この場合においても、例えば、車両を充電するときに、運転者は、付与されたエコ感覚一致ポイントを利用することができる。
更に、上記実施形態及び変形例においては、運転支援装置10にエコ感覚差異分析部53を設け、運転者におけるエコ感覚の一致又は差異を車両側で分析するように実施した。この場合、エコ感覚差異分析部53を、例えば、管理センタ20に設けるように実施することも可能である。この場合においては、車両に搭載された運転支援装置10の通知ボタン12(エコ感覚通知ボタン12A又は非エコ感覚通知ボタン12B)が運転者によって押下操作されると、エコ感覚通知入力部51から主観的なエコ運転通知情報及び時刻情報、又は、主観的な非エコ運転通知情報及び時刻情報が管理センタ20に設けられたエコ感覚差異分析部に送信されるとともに、エコ状態情報蓄積部52から分析期間における客観的な運転状態情報が管理センタ20に設けられたエコ感覚差異分析部に送信される。これにより、管理センタ20に設けられたエコ感覚差異分析部は、上述した実施形態及び変形例におけるエコ感覚差異分析部53と同様に、運転者のエコ感覚を分析することができ、分析結果をエコ運転アドバイス出力部54に送信することによって運転者に対してエコ運転アドバイス情報を提示することができる。従って、この場合においても、上記実施形態及び変形例と同様の効果が期待できる。