(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
<<需要予測装置とその周辺システムの構成>>
図1は、本実施形態にかかる需要予測装置を含んだ本部のシステム構成を示すブロック図である。図1に示すように、小売業者のシステムでは、本部に、需要予測装置1と、データ収集・変換システム2と、予定データ収集・変換システム3と、業務支援端末4と、業務システム5と、を備える。
<需要予測装置>
需要予測装置1は、小売業における店舗における、販売側の商品の売価(販売価格)・陳列・販促等の販売状態に対する購買客の商品の購買状況をシミュレーションする。需要予測装置1は、現時点から過去の所定の時点までの販売状態と購買状況とを示す過去情報を用いて、例えば数週間、数か月、もしくは1年間程度なら時間的に変化しないと見なせる部分の購買数の回帰係数と、その回帰係数に対してより早く変化する部分である変動因子とに分割した購買客の購買モデルを構築する。そして、需要予測装置1は、構築した購買モデルの、変動因子に対して、現時点から未来の所定の時点での販売状態と購買環境とを示す未来予定情報を当てはめ、その未来の所定の時点での各商品別の購買数を予測する。
<データ収集・変換システム>
データ収集・変換システム2は、現時点から過去の所定の時点までの、店舗における複数の商品の購買データ、売価データ、発注データ、在庫データ、気象データ、曜日データ、および地域のイベントデータなどの過去情報を収集する。そして、データ収集・変換システム2は、複数の各種データ(収集した過去情報)を所定のデータ構造に変換して、需要予測装置1の過去情報データベース6にデータを送信するものである。データ収集・変換システム2は、公知のPOSシステム、発注システム、納入商品の検品システム、気象データの受信システム、地域のイベントの入力システム等の各種データ収集システムと、データ変換システムと、を有している。
<予定データ収集・変換システム>
予定データ収集・変換システム3は、現時点から未来の所定の時点までの、店舗における複数の商品の予定売価データ、予定入荷データ、予定気象データ、曜日データ、予定地域のイベントデータなどの未来予定情報を収集する。そして、予定データ収集・変換システム3は、複数の各種データ(収集した未来予定情報)を所定のデータ構造に変換して、需要予測装置1の未来情報データベース7にデータを送信するものである。予定データ収集・変換システム3は、公知の売価入力システム、発注システム、気象情報データの受信システム、予定されている地域のイベントの入力システム等の各種予定データ収集システムと、データ変換システムと、を有している。
<業務支援端末>
業務支援端末4は、需要予測装置1に対するユーザーインターフェースであり、購買状況のシミュレーションを制御するデータを入力するものである。例えば、初期に設定した未来予定情報に対する予測購買数が、需要予測装置1のユーザにとって目標とした値ではない場合、ユーザは、業務支援端末4から、予定売価等の未来予定情報の一部を変化させて再予測するように、需要予測装置1に対して制御データを入力する。若しくは、特定商品の生産・輸送が間に合わず品切れになるというような危機的状態を仮定して、特定商品が店舗の全商品の購買状況に対する影響を把握したい場合、ユーザは、業務支援端末4から、予定陳列データ等の未来予定情報の一部を変化させて再予測するように、需要予測装置1に対して制御データを入力する。
<業務システム>
業務システム5は、需要予測装置1で算出した予測購買データ等を利用する各種システムであり、発注システム、加工指示システム、価格表示システム、売価登録システム等を有している。例えば、業務システム5の一つである加工指示システムは、予測購買データを、所定の発注単位や発注リードタイムに従って推奨発注データに加工して、業務システム5の一つである公知の発注システムに送る。発注システムでは、発注データを、商品毎に所定の生鮮加工センター、卸、生産者等に、所定の日時までに送信する。
以上の需要予測装置1、各種システム2,3,5、および業務支援端末4は、何れも汎用的なコンピュータシステム、および汎用的なコンピュータシステムと同様の機能を有する携帯機器を備え、その機能は、各システムに対応するコンピュータプログラムを実行することで実現される。また、需要予測装置1、各種システム2,3,5、および業務支援端末4で扱われる大規模データは、汎用的なデータベース・ソフト・ウエアによって、汎用的なコンピュータシステムの記憶装置上にデータベースとして構築される。
図1に示した需要予測装置1およびその周辺システムの構成は、1店舗あるいは複数店舗からなる小売業に対して実施可能である。
<<需要予測装置の構成および処理>>
<需要予測装置の処理>
需要予測装置1では、過去情報データベース6には、過去の店舗別・日別・時間別・商品別・販売条件別に、商品群に含まれる商品毎の第1所定期間における購買数データ(売上データ)66、発注データ68、在庫データ67、分類・属性データ63、売価・販促データ64、陳列データ65、店舗・地域データ60、日付・時刻データ61、気象・行事データ62等の過去情報が格納されている。過去情報データベース6に格納された過去情報のうち、購買数を予測する対象の所定の商品(目的商品)の購買数データ66を目的変数とし、当該目的変数を変動させる変動因子を数値化した当該目的変数以外の過去情報を過去の変動因子情報とする。
回帰係数算出部8は、目的変数以外の過去の変動因子情報が目的変数の変動に寄与する度合いを示す回帰係数を算出する。
回帰係数データベース(DB)9は、回帰係数算出部8により目的商品毎に算出された各種回帰係数を格納するものである。
未来情報データベース(DB)7は、予定情報7Aを有している。予定情報7Aには、過去情報データベース6に格納された過去情報が取得された時点より未来の時点(つまり、第1所定期間以降の期間である第2所定期間)における、店舗別・日別・時間別・商品別に、予定分類・属性データ73、販売条件である予定売価・販促データ74、予定陳列データ75、予定店舗・地域データ70、予定日付・時刻データ71、予定気象・行事データ72等の未来情報が格納されている。未来情報データベース7に格納された未来情報のうち、未来の設定された時点(第2所定期間)における目的変数を変動させる変動因子を数値化した未来情報を未来の変動因子情報とする。
定数項算出部10では、予定情報7Aに格納されている各種の未来の変動因子情報、および回帰係数データベース9に格納されている各種の未来の変動因子情報に対応する回帰係数を含み、未来の設定された時点に対する定数項を目的商品毎に算出する。
定数項データベース11は、複数の目的商品に対して算出された定数項を格納する。
予測購買数算出部12では、予定情報7Aに格納されている各種の未来の変動因子情報と、回帰係数データベース9に格納されている回帰係数と、定数項データベース11に格納されている定数項とを有し、第2所定期間における、商品群に含まれる商品毎の購買数である予測購買数を算出する予測式によって、当該予測購買数を算出する。
未来情報データベース7は、予測情報7Bを有している。予測情報7Bは、商品群に含まれる商品毎に算出された予測購買数(予測購買データ76)を格納する。
発注・在庫数算出部13は、現在の在庫数から、予測購買数算出部12により算出された予測購買数を減算して、未来の設定された時点(第2所定期間)での予測在庫数を算出する。さらに、発注・在庫数算出部13は、算出した予測在庫数に基づいて、例えば予測在庫数が最低在庫数未満ならば推奨発注数を増加させ、予測在庫数が最低在庫数を超えるならば推奨発注数を減少させて、最終的に所定の発注単位や発注リードタイムに従って推奨発注データに加工する。予測情報7Bは、発注・在庫数算出部13により算出された予測在庫数(予測在庫データ77)、および推奨発注数(推奨発注データ78)を格納する。
条件修正再計算部14では、業務支援端末4から入力されたデータに従って、予測条件である予定情報7Aに格納されている各種の未来の変動因子情報を修正する。これによって定数項算出部10で定数項が再計算され、予測購買数算出部12で予測購買数が再計算される。
また、条件修正再計算部14では、算出された予測購買数、予測在庫数、推奨発注数が、業務支援端末4から入力された予測購買数の目標値、予測在庫数の目標値、推奨発注数の目標値を満たしていない場合に、予測条件である予定情報7Aに格納されている各種の未来の変動因子情報を修正して予測購買数を再計算し、算出された各予測値(予測購買数、予測在庫数、推奨発注数)を目標値に近づける。
<過去情報データベースのデータ構造>
図2は、過去情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。現在から過去の任意の時点までの情報を格納する過去情報データベース6は、図2に示すように、数値化された過去情報データテーブル6Tで構成されている。
過去情報データテーブル6Tに格納されたデータ種類としては、空間的な位置を示す店舗・地域データ60と、時間を示す日付・時刻データ61と、それらの店舗と時刻で定められる気象情報と行事情報を示す気象・行事データ62と、商品の階層的分類および商品の属性を示す分類・属性データ63と、店舗と時刻で識別される商品毎の販売・販売促進(以下、販促とする)状態を示す売価・販促データ64と、その商品毎の販売・販促状態で識別される陳列状態を示す陳列データ65と、店舗と時刻と販売・販促状態と陳列状態とで識別される各商品の購買数を示す購買数データ66と、店舗と時刻で識別される商品毎の在庫状態を示す在庫データ67と、店舗と時刻で識別される商品毎の発注状態を示す発注データ68とを有する。
データ項目としては、店舗・地域データ60は、店舗コード601、図示していないが店舗グループコード、地域コード、ショッピングセンター、等の施設コードなどを有する。
日付・時刻データ61は、年月日を示す日付データ611、曜日データ612(該当曜日の場合に1、それ以外で0)、祝日データ613(祝日の場合に1、それ以外で0)、営業時間内の購買発生時刻(時分秒)に対応する時刻データ614(実際はレジでの商品購入登録時刻)、図示していないが、店休日データ、商品購入登録時のレジ番号、商品購入登録時のレジ別のレシート発行通し番号などを有する。
気象・行事データ62は、店舗・地域データ60と日付・時刻データ61により店舗と時刻が限定できるので、例えば、日付データ611と店舗コード601を用いて、公開されている気象情報や有料の気象情報データサービスから入手される各種気象データを有する。例えば、気象・行事データ62は、日別の、最高気温621、最低気温622、降水量623、図示していないが、湿度、風速、日照時間、積雪などである。また、図示していないが、同様に地域情報と時間情報が限定できるので、気象・行事データ62は、地域の行事データである、運動会、お祭り、ゴミ収集日データなどを有する。
分類・属性データ63は、例えばJANコードのような商品を識別する商品コード633、複数の商品を含む商品群をクラスとして分類するクラスコード632、複数のクラスを含むクラス群をラインとして分類するラインコード631、図示していないが、さらに複数のラインを含むライン群をデプト(department:部門)として分類するデプトコードなど階層化された商品分類コード体系を有する。具体例としては、分類・属性データ63は、あるメーカーの特定銘柄の牛乳1リットルパックを示すものが商品コード633であり、その上位カテゴリーである牛乳を示すものがクラスコード632であり、さらにその上位カテゴリーである要冷蔵飲料を示すものがラインコード631であり、そのまた上位カテゴリーである日配食品(食品工場等で生産されて毎日配送され、数日中には消費される食品)を示すものがデプトコードである。また、図示していないが色、サイズ、柄、ブランド、産地、風味、有効成分、カロリー、賞味期限、製造年月日等の商品固有の属性をコード化することによって、商品を商品コード633以下にさらに細かく分類するとともに、階層化された商品識別コード体系を横断的に分類する。
売価・販促データ64は、商品コード633で識別される商品に対して、例えば、通常の販売状態での価格を示す定番価格641と、季節遅れ商品や賞味期限に近づいた売れ残り商品を一掃するための値下げ額を示す値引額643と、特売や値引額643により定番価格641から変動する実際の販売金額を示す売価642、チラシ掲載の有無を示すチラシ掲載644を有する。また、売価・販促データ64は、図示していないが、分類・属性データ63で識別される商品に対しての、テレビ番組や店舗内での画像・音声表示での宣伝・広告、割引クーポンなどを有する。これら売価・販促データ64は、店舗・地域データ60と日付・時刻データ61により定められる店舗と時刻によって異なる。
陳列データ65は、商品コード633で識別される一つ一つの商品に対して、販売状態で異なる陳列状態を示し、例えば、品切れ、通常陳列、特売用の大量陳列、陳列位置などを数値化した陳列状態651を有する。陳列状態651は、店舗・地域データ60と日付・時刻データ61により定められる店舗と時刻によって異なる。
購買数データ66は、例えば、店舗コード601、日付データ611、時刻データ614、商品コード633、売価642で一意的に識別される購買数661を有する。言い換えれば、購買数661は、一般的なPOSシステムにおいて、購買客への商品購入登録時のレジで発行するレシートで、店舗コード601、日付データ611、時刻データ614、商品コード633、売価642が同じ商品購買記録の購買数の合計である。日別購買数662は、商品コード633で識別される各商品の店舗別・日別の購買数合計である。
また、一般的なPOSシステムにおいては、陳列状態651は認識できないが、同じ商品コード633で識別される商品に対しても、さらに、陳列してある一つ一つの商品である個品に対して異なる識別コードを付与する。例えば、公知の無線タグ等を使用する場合には、購買数データ66は、例えば、店舗コード601、日付データ611、時刻データ614、商品コード633、売価642、陳列状態651で一意的に識別される購買数661を有する。
在庫データ67は、例えば、店舗コード601、日付データ611、時刻データ614、商品コード633で異なる商品毎の店舗にある在庫数671を有する。
発注データ68は、例えば、店舗コード601、日付データ611、時刻データ614、商品コード633で異なる商品毎の発注した入荷予定の商品数である発注数681、商品毎の発注から納品までに必要な最短時間を示す発注リードタイム682、例えば10個単位発注のような予定発注単位783を有する。また、発注データ68は、図示していないが、発注数681と実際の店舗への納品日時がずれる場合もあるので入荷数、賞味期限切れ・季節遅れ商品の廃棄数、商品の店舗間移動数など、商品の店舗への入出データを示すデータを有する。
<未来情報データベースのデータ構造>
現在から未来の所定の時刻までの情報を格納する未来情報データベース7は、例えば図3に示すような、数値化された未来情報データテーブル7Tで構成されている。その構成は、過去情報データベース6の過去情報データテーブル6Tと同様な構成であり、データの数値が未来の所定の時刻までの情報に対応したものとなっている。図3は、未来情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
未来情報データベース7は、予測計算の条件部分である予定情報7Aと、予測計算の結果部分である予測情報7Bと、を有する。
予定情報7Aには、データ種類として、未来の所定の時刻での空間的な位置を示す予定店舗・地域データ70と、未来の所定の時刻そのものに対応する予定日付・時刻データ71と、それらの店舗と時刻での気象情報と行事情報を示す予定気象・行事データ72と、未来の所定の時刻での階層的分類および商品の属性を示す予定分類・属性データ73と、未来の所定の時刻と店舗により識別される商品毎の販売状態・販売促進状態を示す予定売価・販促データ74と、その商品毎の予定売価・販促データ74より識別される陳列状態を示す予定陳列データ75を有する。
予測情報7Bには、データ種類として、未来の所定の時刻と店舗と販売状態・販促状態と陳列状態での各商品の購買数を示す予測購買データ76と、未来の所定の時刻と店舗とでの商品毎の在庫状態を示す予測在庫データ77と、未来の所定の時刻と店舗での商品毎の発注状態を示す推奨発注データ78とを有する。
まず、予定情報7Aのデータ項目としての予定店舗・地域データ70は、店舗コード701、図示していないが店舗グループコード、地域コード、ショッピングセンター等の施設コードなどを有する。予定店舗・地域データ70は、基本的には過去情報データベース6に格納された店舗・地域データ60と同じデータであり、条件修正再計算部14からの変更は不可である。
予定日付・時刻データ71は、未来の所定の時刻をデータとして定める、日付データ711、営業時間内に対応する予定時間帯714、曜日データ712(該当曜日の場合に1、それ以外で0)、祝日データ713(祝日の場合に1、それ以外で0)、図示していないが、店休日データなどを有する。日付データ711、曜日データ712、祝日データ713はカレンダーから決定されるので、条件修正再計算部14からの変更は不可である。予定時間帯714は、統計的な購買数の予測に対応するため時間帯で示される。時間帯は2時間単位、1時間単位、30分単位等任意に設定される。また、予定時間帯714は、営業時間内に対応するので営業時間の変更に伴う変更が可能である。店休日データも変更が可能である。
予定気象・行事データ72は、予定店舗・地域データ70と予定日付・時刻データ71により店舗と時刻が限定できるので、例えば、日付データ711と店舗コード701を用いて、未来の所定の時刻での、各種気象予報データを有する。例えば、予定気象・行事データ72は、日別の、予報最高気温721、予報最低気温722、予報降水量723、図示していないが、湿度、風速、日照時間、積雪など各種気象予報データである。各種気象予報データは、条件修正再計算部14からの変更が可能である。予定気象・行事データ72は、図示していないが、同様に地域情報と時間情報が限定できるので、地域の予定行事データである、運動会、お祭り、ゴミ収集日などを有する。
予定分類・属性データ73は、例えば、商品を識別する商品コード733、クラスコード732、ラインコード731、図示していないが、デプトコードなど階層化された商品分類コード体系を有する。また、予定分類・属性データ73は、図示していないが、色、サイズ、柄、ブランド、産地、風味、有効成分、カロリー、賞味期限、製造年月日等の商品固有の属性等をデータとして有する。予定分類・属性データ73は、初期的には過去情報データベース6に格納された分類・属性データと同じデータであるが、商品コード733を除いて条件修正再計算部14からの変更が可能である。
予定売価・販促データ74は、商品コード733で識別される商品に対して、未来の所定の時刻での販売状態や販促状態を示すもので、例えば、予定定番価格741と、予定値引き額743と、予定売価742、予定チラシ掲載744を有する。また、予定売価・販促データ74は、図示していないが、予定分類・属性データ73で識別される商品に対しての、テレビ番組や店舗内での画像・音声表示での宣伝・広告、割引クーポンなどを有する。予定売価・販促データ74は、条件修正再計算部14からの変更が可能である。
予定陳列データ75は、商品コード733で識別される一つ一つの商品に対して、未来の所定の時刻での販売状態で異なる陳列状態を示し、例えば、予定陳列状態751を有する。予定陳列データ75は、条件修正再計算部14からの変更が可能である。
また、予定店舗・地域データ70、予定日付・時刻データ71、予定気象・行事データ72は、環境パラメータ7Cと呼ばれ、全商品に対して共通である。
また、予定分類・属性データ73、予定売価・販促データ74、予定陳列データ75は、個別パラメータ7Dと呼ばれ、商品毎に個別に設定される。特に、予定売価・販促データ74、予定陳列データ75は、予測計算を直接的に制御するので制御パラメータ7Eと呼ばれる。
予測情報7Bのデータ項目としての予測購買データ76は、商品コード733で識別される一つ一つの商品に対して、予定情報7Aに含まれる未来の所定の時刻での予定購買環境条件、予定販売・販促条件で算出された予測購買数761と、時刻別の予測購買数761を1日単位で集計した、各商品の店舗別・日別の購買数合計である予測日別購買数762を有する。
予測在庫データ77は、商品コード733で識別される一つ一つの商品に対して、未来の所定の時刻での、店舗にあると予測される予測在庫数771を有する。
推奨発注データ78は、商品コード733で識別される一つ一つの商品に対して、未来の所定の時刻での、予測購買数761から予測在庫数771を引いた値が正の場合に、その値を未来の所定の時刻での入荷予定の商品数である推奨発注数781を有する。また、推奨発注データ78は、未来の所定の時刻での、予定発注リードタイム782、予定発注単位783と、図示していないが、入荷数、商品の廃棄数、商品の店舗間移動数など、商品の店舗への予定入出データを示すデータを有する。推奨発注数781を除く、予測購買データ76および予測在庫データ77は、条件修正再計算部14からの変更が可能である。
<<相関重回帰アルゴリズム>>
<商品購買間相互作用>
本実施形態では、公知の重回帰分析に対して(非特許文献1を参照)、商品購買間の相互作用の影響を加味したものを提供し、これを相関重回帰分析、そのモデルを相関重回帰モデルと称する。
例えば、スーパーマーケットなどの小売店の特売では、特売対象の商品の大量の購買が、他の商品の購買を抑制する、あるいは他の商品の購買を活性化するという、異なる商品を購買する場合における商品購買間の相互作用の影響が大きい。ところが、従来の重回帰分析では、個別の商品に限った予測式のため、商品購買間の相互作用を予測に加味することが不可能であり、このため需要予測、すなわち購買数予測の確度が低くなっていた。そこで、本実施形態では、これに鑑み、商品購買間の相互作用の影響を加味した購買数予測を可能にする、需要予測装置及びそのプログラム提供する。
<目的変数>
本実施形態では、複数の種類の商品を含む商品群に含まれる所定の商品n{商品1,商品2,・・・,商品n,・・・}に対して、その商品nを目的商品nと設定し、その目的商品nの購買数を過去情報データベース6の購買数661から抽出し、目的変数
として設定する。目的変数が、本実施形態で示す回帰式で推定する対象、すなわち「目的」であり、目的変数が属する商品が目的商品と呼ばれる。
商品群に含まれる目的商品n以外の商品を目的商品nに対する非自己商品と設定する。
<回帰式>
回帰係数算出部8では、過去情報データベース6から購買数661以外の目的商品nの各種データを抽出し、これを過去の変動因子とし、この変動因子が目的変数の変動に寄与する度合いを示す第1回帰係数を変動回帰係数とし、過去情報データベース6から目的商品n以外の商品である非自己商品の購買数661を抽出し、この非自己商品の購買数661を非自己因子とし、この非自己因子が目的変数の変動に寄与する度合いを示す第2回帰係数である非自己回帰係数として、重回帰分析での手法に従ってこれらの回帰係数を算出する。この非自己因子により、商品購買間の相互作用が目的変数の予測に加味される。この非自己因子が、商品購買間相互作用を表す相互作用因子となる。
商品群に含まれる商品をK種類、変動因子をH種類と設定する。本実施形態では説明の簡略化のために商品群に含まれる商品を3種類、変動因子を1種類とし、
とすると、
各目的変数を推定する各回帰式(1)は、
ここで回帰係数は
である。ただし、一般の重回帰分析における回帰式での、ゼロ次因子項に対する係数は、商品1の回帰式を例にとると、
となり、この式の
に相当するが、本実施形態では変動因子の中で、常に任意の一つ因子が1であるという定義に含まれるとする。
<集計レコード>
目的変数の回帰係数を算出するには、過去情報データテーブル6Tから、所定の過去の期間(第1所定期間)内のすべての目的商品nのデータを抽出する。一つの回帰式(1)を構成するのに必要な、すべての目的変数および非自己因子と変動因子に代入されるデータのセット(集合)を、一つの集計レコードとして設定する。
例えば、店舗別に商品の売価別の1日当りの購買数を目的変数とする場合には、まず、過去情報データテーブル6Tから、店舗コード601、日付データ611、商品コード633、売価642が一致する、レコード行3Rを抽出し、購買数661の値を集計し、その他のデータ項目は集計、平均、最大値抽出、最小値抽出、最頻値抽出等の所定の処理を施し、一つの集計レコードに対応する目的変数と変動因子を生成する。
集計レコードのデータ項目の構成は、基本的には過去情報データテーブル6Tと同様だが、変動因子は過去情報データテーブル6Tのすべてのデータ項目である必要はなく、所定のデータ項目が変動因子として選択され抽出される。
また、この生成処理で日別購買数662は、抽出されたすべてのレコード行3Rで同一の値であるので、最初のレコード行3Rの値、もしくは平均値で一つの集計レコードの日別購買数のデータ項目に対応する。この集計レコードの日別購買数662が、他の目的商品の非自己因子となる。
上記の処理を、商品群に含まれる全ての目的商品nに対して、かつ所定の過去の期間(第1所定期間)内のすべてのデータに対して施し、一つ以上の集計レコードを生成する。
<回帰係数算出>
例えば、一つの目的商品nに対して抽出されたデータのセットである集計レコードの数をJ個とし、目的商品1に対する任意のj番目(j=1,2,・・・j,・・・,J)の集計レコードを回帰式(1)に代入すると、後述する回帰式(5)の左辺であるj番目の集計レコードによる目的変数の値
と、回帰式(5)の右辺であるj番目の集計レコードによる目的変数の推定値
から、全ての集計レコードに対する、目的変数と目的変数の推定値の差の2乗和
が最小になるように、公知の重回帰分析の手法を用いて変動回帰係数および非自己回帰係数を算出する。同様にすべての目的商品に対して変動回帰係数および非自己回帰係数を算出する。
この商品群の各目的変数の回帰式(1)の各回帰係数を算出するには、目的変数一つに対して
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。
<回帰係数データベース>
回帰係数算出部8で算出された、変動回帰係数および非自己回帰係数は回帰係数データベース9に格納される。
図4は、回帰係数データベースのデータ構成を示す図である。回帰係数データベース9は、例えば、商品の売価別の1日当りの購買数を目的変数とする場合には、図4に示すような、回帰係数データテーブル9Tで構成されている。
回帰係数データテーブル9Tに含まれるデータ項目としては、ヘッダ部分として、回帰係数の算出に使用された、過去データの対象店舗を示す店舗コード921、過去データの対象期間を示す、開始データ年月日922と最新データ年月日923、過去データの対象とする目的商品を示す商品コード924を有する。
さらに、回帰係数データテーブル9Tのデータ部分としては、非自己回帰係数925、変動回帰係数926を有する。非自己回帰係数925は、目的商品を示す商品コード924の項目と同じだけの商品コードに対応する非自己回帰係数925の項目からなる。ここで、商品コード924と非自己回帰係数925の項目の対応する商品コードが同一の場合は、非自己回帰係数925はその値は「1」である。
変動回帰係数926は、変動因子は過去情報データテーブル6Tから選択された所定のデータ項目に対応した項目からなる。
以上説明した処理によれば、特売価格パターンが多い単品については、売価変動に対する購買数変動から回帰係数算出部8で特定の変動因子(例えば価格)に対する有効な回帰係数を算出することができる。
ところが、実際の特売オペレーションでは、すべての特売対象商品が一定の期間内(例えば2〜3ヶ月)で様々な価格(特売価格)で販売されるわけではない。一般には、いつでも同じ特売価格で販売されている商品や、多くとも2〜3種類の特売価格しか持たない商品も多く見受けられる。このような特売価格パターンが少ない単品については、特定の変動因子(例えば価格)に対する有効な回帰係数を算出できない。
そこで、本実施形態においては、回帰係数算出部8は、特売価格パターンが少ない単品については、同一商品カテゴリー(クラスやラインなど)内の他の単品の特売実績データを使用して、予測対象の単品についての特定の変動因子(例えば、価格)が目的変数(1日当たりの購買数)の変動に寄与する度合いを示す回帰係数を算出するようにした。
図5は、特売価格パターンが少ない単品についての回帰係数の算出手法を概略的に示す図である。図5に示すように、回帰係数算出部8は、特売価格パターンが少ない単品(D社マヨネーズ)については、回帰係数データベース9に格納されている同一商品カテゴリー(「マヨネーズ」クラス)内の他の単品(A社マヨネーズ、B社マヨネーズ、C社マヨネーズ)の特売実績データから「マヨネーズ」クラスの売価係数の傾向を導き出す。その後、回帰係数算出部8は、特売価格パターンが少ない単品(D社マヨネーズ)の特売実績データに対して、「マヨネーズ」クラスの売価係数を用いて購買数データを補完する。
ここで、図6は売価についての単回帰係数と購買数の標準偏差との関係を例示的に示す図である。図6に示すように、回帰係数算出部8は、同一商品カテゴリー(「マヨネーズ」クラス)内の他の商品毎の第1の所定期間における購買数の標準偏差と、当該商品毎の補完対象因子(売価)の回帰係数(補完対象単回帰係数)とから第1の所定期間における回帰曲線(回帰係数=傾きa1)を算出する。
そして、図6に示すように、回帰係数算出部8は、算出した回帰係数と変動因子を用いて補完対象因子(売価)に対する購買数の補完式を生成する。
推測購買数=a1×売価+b
a1:売価変動がほとんどない商品の回帰係数の推定値
b:定数項
回帰係数算出部8は、上述した補完式を用いて算出された推測購買数を特売価格パターンが少ない単品(D社マヨネーズ)の特売実績データに対して補完する。
より詳細には、回帰係数算出部8は、まず、変動因子の1つを補完対象因子として選定し(例えば、売価を選定)、その補完対象因子のみを変動因子として、補完対象因子(売価)の回帰係数を算出し補完対象単回帰係数とする。
次いで、回帰係数算出部8は、商品毎に第1の所定期間における購買数の標準偏差を算出し、その標準偏差の小さい順に並べた商品カテゴリー(クラスやラインなど)の商品に対して補完対象単回帰係数を対応付ける。
次いで、回帰係数算出部8は、補完対象単回帰係数を目的変数とし、その商品並び順もしくは標準偏差を変動因子とし、第1の所定期間における対応する回帰係数を算出するとともに、その回帰係数と変動因子を用いて補完対象因子(売価)に対する購買数の補完式を構成する。
次いで、回帰係数算出部8は、商品カテゴリー(クラスやラインなど)に含まれる全商品の補完対象因子に対して、第1の所定期間における平均変動幅を算出する。
次いで、回帰係数算出部8は、算出した平均変動幅よりも小さい変動幅である商品を抽出して、補完式により平均変動幅に対する購買数を補完する。
最後に、回帰係数算出部8は、補完された購買数を用いて、第1の所定期間における、商品カテゴリー(クラスやラインなど)の商品の各変動因子が目的変数の変動に寄与する度合いを示す回帰係数を算出する。
これにより、特定の因子のバリエーションが不足する商品の購買数を補完し、有効な重回帰分析に基づく購買数予測式を提供することができる。
<連立予測式>
商品群に含まれる複数の商品に対するそれぞれの回帰式(1)から、商品群に含まれる商品の購買数を未知数とした連立予測式(2)
が生成される。ここで、
である。
<定数項算出>
定数項算出部10では、連立予測式(2)の右辺の定数項が算出される。
例えば、店舗別に商品の売価別の1日当りの購買数を予測する場合には、連立予測式(2)の右辺の変動回帰係数は、
を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、連立予測式(2)の右辺の予定変動因子
を未来情報データテーブル7Tの予定情報7Aの各種データから、予測しようとする未来の日付データ711を参照して、抽出された変動因子と同一項目の予定変動因子(例えば売価642に対して予定売価742)を抽出し、抽出された予定変動因子と変動回帰係数とから連立予測式(2)の右辺の定数項
が算出される。
<定数項データベース>
定数項算出部10で算出された、連立予測式(2)の右辺の定数項は定数項データベース11に格納される。
図7は、定数項データベースのデータ構成を示す図である。定数項データベース11は、例えば、商品の売価別の1日当りの購買数を目的変数とする場合には、図7に示すような、定数項データテーブル5Tで構成されている。
定数項データテーブル5Tのデータ項目としては、ヘッダ部分として、未来データの対象店舗を示す店舗コード541、未来データの対象日付を示す年月日542、および未来データの対象とする目的商品を示す商品コード543を有する。
定数項データテーブル5Tのデータ部分としては、未来データの対象とする定数項を示す定数項544を有する。定数項544は、回帰係数データテーブル9Tの変動回帰係数926のデータ項目に対応した項目からなる。
<予測購買数算出>
予測購買数算出部12では、例えば、店舗別に商品の売価別の1日当りの購買数を予測する場合には、連立予測式(2)の左辺の非自己回帰係数
を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、連立予測式(2)の右辺の予定変動因子と変動回帰係数からなる定数項
を、定数項データテーブル5Tから、予測しようとする未来の年月日542を参照して抽出し、連立予測式(2)を解き、その解
が、それぞれ商品1、商品2、商品3の予測しようとする未来の年月日542に対応する予測購買数である。算出された予測購買数は、未来情報データテーブル7Tの予測購買数761に格納される。
<<非自己和回帰係数>>
<集計データレコード数の不足>
前述のように、商品群の各目的変数の回帰式(1)の各回帰係数算出をするには、商品群に含まれる商品をK種類、変動因子をH種類と設定すると、目的変数一つに対して
個以上の集計データレコード数が必要とされる。したがって、予測対象商品の数を増やす目的で商品群に含まれる商品を増加する場合、または予測確度向上の目的で変動因子の種類を増加する場合、これらに対応して集計データレコード数を増加させる必要がある。
ところが、集計データレコード数を増加するために過去情報データの収集期間を長くすることは、回帰係数は時間の経過とともに変化するので測確度向上にとって逆効果であり、また実用上も困難がある。
<回帰式>
そこで、本実施形態では、集計データレコード数の増加を最小にして、商品群に含まれる商品や変動因子の種類を増加させるために、非自己商品の購買数の和を新たに非自己和因子とし、この非自己和因子が目的変数の変動に寄与する度合いを第3回帰係数である非自己和回帰係数とする。この非自己和因子が、商品購買間相互作用を表す新たに追加された相互作用因子である。
また、非自己和因子を構成する購買数の和を算出する、複数の非自己商品からなる商品群を非自己和商品群と呼ぶ。この非自己和商品群は、商品群から任意に選択された商品からなる。例えば、商品群に含まれる商品を新たに(L−K)種類増加させ合計L種類、変動因子をH種類と設定する。説明の簡略化のために商品群に含まれる商品を5種類、変動因子を1種類とし、
とすると、各目的変数を推定する各回帰式(3)は、新たに非自己和因子を用いて
ここで、回帰係数は
である。
<サブ商品群>
また、商品群は、購買数の集合に商品の集合を代表させて
に分割される。
また、第1のサブ商品群は、商品の購買数が非自己因子となるので、他の商品の購買数変動への相互作用が、第2のサブ商品群と比較して大きいとみなすことができる。そこで例えば、購買数の標準偏差の比較的大きいものを第1のサブ商品群とし、それ以外を第2のサブ商品群と設定する。これに対応して、第1のサブ商品群に属する商品を高変動商品、第2のサブ商品群に属する商品を低変動商品と称する。
これを用いると
となる。
これら、各サブ商品群の商品に対する回帰式で、非自己和回帰係数の数は異なるので、これをそれぞれ
とする。例えば、回帰式(3)の場合は
となる。このQ
1,Q
2を用いると、商品群の各目的変数の回帰式(3)の各回帰係数を算出するには、目的変数一つに対して、第1のサブ商品群においては
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。第2のサブ商品群においては
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。
上記の必要な数以上の集計レコードを用いて、回帰式(1)の回帰係数算出と同様の方法で、各目的変数の回帰式(3)から変動回帰係数および非自己回帰係数を算出する。
以上のように、集計データレコード数の増加を最小にして、商品群に含まれる商品や変動因子の種類の増加に対応した回帰係数を算出することができる。
<連立予測式>
回帰式(3)から、商品群に含まれる商品の購買数を未知数とした連立予測式(4)
が生成される。ここで
である。連立予測式(4)の左辺の非自己回帰係数を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、連立予測式(4)の右辺の予定変動因子と変動回帰係数からなる定数項を定数項データテーブル5Tから抽出し、連立予測式(4)を解く。その解が予測購買数である。算出された予測購買数は未来情報データテーブル7Tの予測購買数761に格納される。
<<低頻度出現商品>>
<集計データレコード数の不足>
特定の商品に対する一定の過去情報の収集期間において、店舗へのその特定の商品の投入がなされない期間、あるいはその特定の商品が品切れしている期間に対しては、集計データレコードを生成することができない。
例えば、店舗別に商品の売価別の1日当りの購買数を目的変数とする場合、店舗に特定の商品が陳列されていて購入されない場合は、商品の売価別の1日当りの購買数はゼロと算出できるが、店舗に特定の商品が陳列されていない場合は、商品の売価別の1日当りの購買数は不定であり算出することができなない。したがって、このような特定の商品に対しては、回帰式(1)や回帰式(3)から回帰係数を算出するのに十分なだけの集計データレコードを生成することができない。このように店舗に陳列されている場合が少ない商品を低頻度出現商品とする。
<回帰式>
本実施形態では、低頻度出現商品を非自己和商品群として、集計データレコード数の不足する条件下でも、低頻度出現商品に対する回帰係数を算出できる回帰式を提供する。例えば、商品群に含まれる低頻度出現商品を、回帰式(3)に対して新たに(M−L)種類増加させ合計M種類、変動因子をH種類と設定する。説明の簡略化のために商品群に含まれる商品を7種類、変動因子を1種類とし、
とすると、各目的変数を推定する各回帰式(5)は、新たに
ここで回帰係数は
である。
<サブ商品群>
また、商品群は購買数の集合に商品の集合を代表させて
に分割される。
第1のサブ商品群は、商品の購買数が非自己因子となるので、他の商品の購買数変動への相互作用が、第2のサブ商品群と比較して大きいとみなすことができる。そこで、例えば、集計データレコード数が少ない商品、すなわち低頻度出現商品を第3のサブ商品群とし、残余の商品で購買数の標準偏差の比較的大きいものを第1のサブ商品群とし、それ以外を第2のサブ商品群と設定する。
これら、各サブ商品群の商品に対する回帰式で、非自己和回帰係数の数は異なるので、これをそれぞれ
とする。
このQ
1,Q
2,Q
3を用いると、商品群の各目的変数の回帰式(5)の各回帰係数を算出するには、目的変数一つに対して、第1のサブ商品群においては
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。第2のサブ商品群においては
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。
第3のサブ商品群においては
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。
上記の必要な数以上の集計レコードを用いて、回帰式(1)の回帰係数算出と同様の方法で、各目的変数の回帰式(5)からは変動回帰係数および非自己回帰係数を算出する。以上のように第3のサブ商品群に対しては、第1、第2のサブ商品群に対するよりも、少ない集計レコード数で回帰係数の算出が可能である。
<連立予測式>
回帰式(5)から、商品群に含まれる商品の購買数を未知数とした連立予測式(6)
が生成される。ここで
である。
連立予測式(6)の左辺の非自己回帰係数を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、連立予測式(6)の右辺の予定変動因子と変動回帰係数からなる定数項を定数項データテーブル5Tから抽出し、連立予測式(6)を解く。その解が予測購買数である。算出された予測購買数は未来情報データテーブル7Tの予測購買数761に格納される。
<<非自己和因子の効果>>
このように、非自己商品の購買数の和を非自己和因子とし、この非自己和因子が目的変数の変動に寄与する度合いを非自己和回帰係数とすることにより、集計データレコード数の増加を最小にして、商品群に含まれる商品や変動因子の種類を増加することができ、予測対象商品の数の増加や、予測確度向上が実現できる。また、低頻度出現商品に対する購買数予測も可能になる。
(第2の実施形態)
<<共通の回帰式>>
<極低頻度出現商品>
一定の過去情報の収集期間において、店舗への新商品、または季節性のある商品を投入する場合に、過去情報の収集期間の設定によっては、過去情報の収集期間に最後の数日間しか商品の投入がない場合がある。このように店舗に陳列されている場合が極めて少ない商品を極低頻度出現商品とする。このような極低頻度出現商品の場合、回帰式(5)をもっても、回帰係数を算出するのに十分なだけの集計データレコードを生成することができない。本実施形態では、このような極低頻度出現商品に対して、好適な実施形態ついて説明する。
<極低頻度出現因子>
一方、変動因子については、集計データレコード数が十分なだけあっても、変動因子の値のバリエーションが豊富ではない場合には、予測確度の高い回帰係数を算出することができない。
回帰式(1)、(3)、(5)においては、線型モデルを適用しているので、最小2つの変動因子の値のバリエーションが必要であるが、統計値として有効にするためには、3つ以上の変動因子の値のバリエーションが必要である。ところが、有効なデータが得られない場合が往々にしてある。例えば、変動因子として売価642を選択した場合には、特売対象に一度もなったことのない商品は、売価642は定番価格641と同じで、バリエーションは1つだけである。
このような場合、変動因子としての売価642に対する回帰係数はゼロと設定される。これでは、該当商品を初めて特売対象として売価642を変更したとき、該当商品の購買数の予測確度が低下する恐れがある。このように、一つの商品に対して、数値のバリエーションが極めて少ない因子を、その商品の極低頻度出現因子とする。以下、極低頻度出現商品と極低頻度出現因子を有する商品を、極低頻度事象商品と呼ぶ。言い換えると、極低頻度事象商品は、購買数を変動させる変動因子の数が予め設定された数より少ない商品である。
<共通の回帰式>
本実施形態では、このような極低頻度事象商品に対する回帰係数を算出する回帰式を提供する。商品群から、極低頻度事象商品を含む複数の目的商品を選択し、選択した目的商品を含む商品群を部分商品群とする。この部分商品群に含まれる所定の目的商品を個別の目的商品(平均化目的商品)と設定し、この個別の目的商品以外の商品群に含まれる商品が、その個別の目的商品に対する非自己商品(非平均化目的商品)と設定される。
例えば、この部分商品群に含まれる商品をP種類、変動因子をH種類と設定する。説明の簡略化のために、商品群に含まれる商品を8種類、部分商品群に含まれる個別の目的商品も同一のこの8種類の商品とし、変動因子を1種類、商品群と部分商品群は同一とし、
とすると、部分商品群に含まれるすべての個別の目的商品を推定する、一つの共通の目的変数に対する一つの共通の回帰式(7)は、回帰式(5)の第3のサブ商品群に対応する形式と同様な形式になるようにすると、個別の目的商品に対応した形式では
となり、回帰係数は
である。
ここで共通の回帰式(7)で
はy
0にy
1の値を代入する操作
を示す。共通の回帰式(7)の一般形(8)は
ここで、共通の非自己和回帰係数は
と表される。また、個別の目的商品の購買数は、共通の回帰式(7)(8)の右辺においては、非自己和因子となり、非自己和回帰係数に対応する形式となる。さらに、
は共通の目的変数y
0に個別の目的商品の購買数y
pの値を代入する操作
と示す。
<共通の回帰係数算出>
共通の回帰係数の算出は、回帰式(1)の回帰係数算出と基本的に同様の方法で行われる。例えば、すべての個別の目的商品に対して、すなわち部分商品群に対して抽出されたデータのセットである集計レコードの数をJ個とし、部分商品群に対する任意のj番目(j=1,2,・・・,j,・・・,J)の集計レコードを共通の回帰式(7)に代入する。
このときj番目の集計レコードが商品1に対する集計レコードの場合は、共通の回帰式(7)において、
で示される形式が用いられる。
一般には、j番目の集計レコードが商品pに対する集計レコードの場合は、共通の回帰式の一般形(8)の左辺であるj番目の集計レコードによる目的変数の推定値
と、共通の回帰式の一般形(8)の右辺であるj番目の集計レコードによる共通の目的変数の推定値
から、部分商品群に属するすべての個別の目的商品に対してのすべての集計レコードによる、共通の目的変数と共通の目的変数の推定値の差の2乗和
が最小になるように、共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数を定める。この部分商品群の一つの共通の目的変数の回帰式の一般形(8)の共通の回帰係数を算出するには、
としたときに、
を満たす、J個の集計レコードが必要で、好ましくは
を満たす、J個の集計レコードが必要である。形式的には、回帰式(5)の第3のサブ商品群に対応する回帰係数を算出する場合の条件と同一だが、部分商品群のすべての個別の目的商品に対しての集計レコードの数であるから、部分商品群に含まれる個別の目的商品の数が十分にあるのなら、集計レコードの数が不足することはない。
回帰係数算出部8で、上記の共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数が算出され、回帰係数データベース9に格納される。
また、商品8は、極低頻度事象商品であり、その購買数
は共通の回帰式(8)で推定されることから、平均化目的商品と称する。この平均化目的商品から平均化商品群が構成される。
<回帰式>
商品群に含まれ、平均化商品群に含まれない商品は、一般商品群に含まれるとする。この一般商品群に含まれる商品1から商品7の各目的変数
は回帰式(5)で推定されるとし、商品1から商品7の各目的変数に対する回帰式(9)は、回帰式(5)に商品8が商品群に追加されたとして
となる。ここで回帰係数は回帰式(5)と同様に、
である。
<連立予測式>
共通の回帰式(8)、詳しくは共通の回帰式(7)のy
0|=8に対応する形式と、回帰式(9)から、部分商品群に含まれる商品の購買数を未知数とした連立予測式(10)
が生成される。ここで
である。連立予測式(10)の左辺の非自己回帰係数および非自己回帰係数を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、連立予測式(10)の右辺の予定変動因子と変動回帰係数および共通の変動回帰係数とからなる定数項を定数項データテーブル5Tから抽出し、連立予測式(10)を解く。その解が予測購買数である。算出された予測購買数は未来情報データテーブル7Tの予測購買数761に格納される。
<<共通の回帰式の効果>>
このように、部分商品群は商品群から選択された複数の商品からなり、部分商品群を構成するすべての個別の目的商品に対する集計レコードの数を、共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数の算出に使用できる。すなわち、目的商品としては、極低頻度事象商品は、回帰式(5)の変動回帰係数および非自己回帰係数を算出するには集計レコードの数が不十分であるが、平均化目的商品としては、部分商品群に含まれるすべての商品のすべての集計レコードが使用できるので、共通の回帰式(8)の共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数は算出可能となる。したがって、極低頻度事象商品を、部分商品群全体の平均的な回帰係数である、共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数を用いて予測することになる。
(第3の実施形態)
<<新規商品対応>>
<過去出現なし商品>
新規商品または季節性のある商品をその季節で初めて投入する場合には、過去情報の収集期間に商品の投入がまったくない場合がある。このような現時点で店舗に陳列されていたデータがない商品を新規商品とする。言い換えると、新規商品は、商品群に含まれる商品のうち購買数が過去情報データテーブル6Tに記憶されていない商品である。このような新規商品の場合は、その新規商品を、部分商品群に新たに追加された平均化目的商品として扱う。部分商品群に属する個別の商品は、部分商品群に含まれるすべての商品のすべての集計レコードを使用して共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数が算出可能となるからである。本実施形態では、このような新規商品に対して、好適な実施形態ついて説明する。
<共通の回帰式と回帰式〉
本実施形態では、このような新規商品に対する回帰係数を算出する回帰式を提供する。商品群から所定の部分商品群を選択し、この部分商品群に含まれる所定の商品を個別の目的商品と設定し、この個別の目的商品以外の商品群に含まれる商品が、その個別の目的商品に対する非自己商品と設定される。このとき、現在より過去の時点でのデータを対象としているので、新規商品はまだ部分商品群に含まれていないとする。
例えば、この部分商品群に含まれる商品をP種類、変動因子をH種類と設定する。説明の簡略化のために商品群に含まれる商品を8種類、部分商品群に含まれる個別の目的商品も同一のこの8種類の商品とし、変動因子を1種類、商品群と部分商品群は同一とする。新たに、9番目の商品である商品9が、新規商品として現在より未来の所定の時点で追加されるとする。
商品1から商品8に対する、部分商品群に含まれるすべての個別の目的商品を推定する、一つの共通の目的変数に対する一つの共通の回帰式は、共通の回帰式(8)と同じものが使用される。したがって、共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数は、共通の回帰式(8)に対する場合と同じものとなり、新たに算出される必要はない。
商品8は極低頻度事象商品であり、平均化商品群に含まれる平均化目的商品とし、その購買数
は共通の回帰式(8)で推定されるとする。新規商品である商品9は、平均化商品群に含まれる平均化目的商品とし、その購買数
現在より未来の時点で、共通の回帰式(8)で推定されるとする。一般商品群に含まれる、商品1から商品7の各目的変数
は回帰式(9)で推定される。したがって、その変動回帰係数、非自己回帰係数、非自己和回帰係数は回帰式(9)に対する場合と同じものとなり、新たに算出される必要はない。
<連立予測式>
新規商品である商品9に対しての、共通の回帰式(8)、詳しくは共通の回帰式(7)のy
0|=9に対応する形式と、商品8に対しての、共通の回帰式(8)、詳しくは共通の回帰式(7)のy
0|=8に対応する形式と、回帰式(9)から、部分商品群に含まれる商品の購買数を未知数とした各予測式に、商品9の購買数に対応した項を付加した連立予測式(11)
が生成される。ここで
である。連立予測式(11)の左辺の非自己回帰係数および非自己回帰係数を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、連立予測式(11)の右辺の予定変動因子と変動回帰係数および共通の変動回帰係数とからなる定数項を定数項データテーブル5Tから抽出し、連立予測式(10)を解く。その解が予測購買数である。算出された予測購買数は未来情報データテーブル7Tの予測購買数761に格納される。
<<共通の回帰式の効果>>
このように、目的商品としては、新規商品は、回帰式(5)の変動回帰係数および非自己回帰係数を算出するのに必要な集計レコードは全くないが、平均化目的商品としては、部分商品群に含まれるすべての商品のすべての集計レコードが使用した、共通の回帰式(8)の共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数をそのまま用いることができる。また、平均化商品群に含まれない各目的変数に対しても、非自己和回帰係数をそのまま用いることができる。したがって、現時から過去の時点で、極低頻度事象商品よりもさらに出現頻度の低い、空事象商品、あるいは無事象商品ともいうべき、過去情報がまったくない新規商品を、部分商品群全体の平均的な回帰係数である、共通の変動回帰係数および共通の非自己回帰係数を用いて予測する。
(第4の実施形態)
<<回帰式・予測式の変形例>>
回帰式・予測式の形式は、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態で示した形式だけではなく、いくつかの変形例が使用できる。第4の実施形態では、各種実施形態ついて説明する。
<<整合化形式>>
<回帰式>
回帰式(9)においては、平均化商品群に含まれない、商品1から商品5の各目的変数
に対する回帰式で、
に対する非自己和回帰係数がないので、これを付加して予測式の整合性を向上させ、回帰係数の、平準化を図と、回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(12)は
となる。ここで、新たに回帰係数、
を設定する。また、記述の簡略化のために、共通の回帰式は、y
8に対応する形式のみを記載してある。
<連立予測式>
回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(12)に対応する連立予測式(13)は、新規商品の予測を可能にする形式では
となる。
<<サブ商品群別非自己和回帰係数>>
<サブ商品群>
回帰式(5)においては商品群を分割し、その購買数に代表させ
とした。
各サブ商品群は、高変動商品、低変動商品、低頻度出現商品、のようにそれに属する商品の性質が異なるので、非自己和係数も分割した方が最終的な予測確度が高まる場合もある。そこで、サブ商品群別に非自己和商品群を構成し非自己和係数を算出する。
また、極低頻度事象商品と新規商品は、平均化商品群に属するとし、回帰式では第3のサブ商品群と同じ非自己和回帰係数に対応し、共通の回帰式では第3のサブ商品群と同じ共通の非自己和回帰係数に対応すると設定する。この条件での平均化商品群を第3のサブ平均化商品群と称し、第3のサブ商品群と第3のサブ平均化商品群、非自己因子を算出するのに同じ商品を用いる、第3の非自己和商品群を構成している。
まとめると
となる。
<回帰式>
回帰式(13)をさらに、上記の3つのサブ商品ごとに別々の非自己和回帰係数を持つように変形すると、回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(12)は
となる。ここで、新たに回帰係数として
が設定されている。
<連立予測式>
この回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(12)に対応する連立予測式(15)は、新規商品の予測を可能にする形式では
となる。
<極低頻度の第2サブ商品群所属>
回帰式(14)および連立予測式(15)においては、極低頻度事象商品と新規商品は第3の非自己和商品群に属するとしたが、これを、回帰式では第2のサブ商品群と同じ非自己和回帰係数に対応し、共通の回帰式では第2のサブ商品群と同じ共通の非自己和回帰係数に対応すると設定する。この条件での平均化商品群を第2のサブ平均化商品群と称する。このとき、
となる。
この場合の回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(16)は
となる。
対応する連立予測式(17)は、新規商品の予測を可能にする形式では
となる。
<極低頻度の第1サブ商品群所属>
回帰式(14)および連立予測式(15)においては、極低頻度事象商品と新規商品は第3の非自己和商品群に属するとしたが、これを、回帰式では第1のサブ商品群と同じ非自己和回帰係数に対応し、共通の回帰式では第1のサブ商品群と同じ共通の非自己和回帰係数に対応すると設定する。この条件での平均化商品群を第1のサブ平均化商品群と称する。このとき、
となる。
この場合の回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(18)は
となる。
対応する連立予測式(19)は、新規商品の予測を可能にする形式では
となる。
<<回帰係数の個数均一化>>
<低頻度出現商品の平均化商品群所属>
回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(14)においても、
と
では、回帰係数の個数の差が大きく、回帰係数の数値の大きな差につながる恐れがある。この大きな差により、一般の汎用的なコンピュータシステムでは、回帰係数を算出する際に大きな誤差が発生する可能性がある。
このため、本実施形態では、低頻度出現商品を平均化商品群に属する平均化目的商品とし、さらに、この平均化目的商品に対して、部分商品群に含まれるすべての商品のすべての集計レコードが使用できることから、共通の回帰式において非自己回帰係数を設定して、回帰係数の個数の均一化を図る。
有害事象としては、低頻度出現商品が平均化目的商品となるので、低頻度出現商品の予測精度が低下する可能性もある。したがって、どのような回帰式が最適かは、各商品の集計データレコードの数やバリエーションに依存するので、商品ごとに実際の取集データから判断することになる。
<回帰式>
共通の回帰式においては、個別の目的商品は非自己和因子となる。このため、共通の回帰式において非自己因子を設定する場合には、非自己因子の対象となる商品は個別の目的商品とすることはできない。したがって、非自己因子の対象となる商品は部分商品群に属することはできない。本実施形態においては、第1のサブ商品群を部分商品群から外す必要があり、まとめると、
となる。これに基づいて、回帰式(14)をさらに変形すると、回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(20)は
となる。ここで、新たに回帰係数として
が設定されている。この共通の非自己回帰係数を用いた共通の回帰式の一般形(21)は
ここで、共通の非自己和回帰係数は
と表される。
<連立予測式>
この回帰式および共通の回帰式の組み合わせ(20)に対応する連立予測式(22)は、新規商品の予測を可能にする形式では
となる。
<<一般式>>
本実施形態で示した回帰式および共通の回帰式と、連立予測式は実施形態の一例であり、他の変形例も実施可能である。そこで、これらの式をコンピュータのプログラムに実装するには、様々な実施形態においても適用可能にするために、式の一般化が必要となる。以下その一般化された回帰式および共通の回帰式と、連立予測式について説明する。
<サブ商品群>
まず、T種類の商品からなる商品群{商品1,商品2,・・・,商品n,・・・,商品T}に含まれる任意の商品nに対して、所定の過去の時点から現時点までの期間の商品nの購買数を
とし、商品群を表す各商品の購買数の集合を
とする。
次に、条件
を満たす整数K、L、M、Tに対して、商品群に含まれ、M種類の商品からなる商品群{商品1,商品2,・・・,商品M}を一般商品群とする。この一般商品群に含まれ、K種類の商品からなる商品群{商品1,商品2,・・・,商品K}を第1のサブ商品群とする。
第1のサブ商品群に含まれる商品nの購買数は
第1のサブ商品群を表す各商品の購買数の集合は
である。
この一般商品群に含まれ、第1のサブ商品群に含まれない、(L−K)種類の商品からなる商品群{商品(K+1),商品(K+2),・・・,商品L}を第2のサブ商品群とする。第2のサブ商品群に含まれる商品nの購買数は
第2のサブ商品群を表す各商品の購買数の集合は
である。この一般商品群に含まれ、第1のサブ商品群に含まれず、かつ第2のサブ商品群にも含まれない、(M−L)種類の商品からなる商品群{商品(L+1),商品(L+2),・・・,商品M}を第3のサブ商品群とする。第3のサブ商品群に含まれる商品nの購買数は
第3のサブ商品群を表す購買数の集合は
である。
<平均化サブ商品群>
さらに、条件
を満たす整数M、R、S、Tに対して、商品群に含まれ、一般商品群に含まれない、(T−M)種類の商品からなる商品群{商品(M+1),商品(M+2),・・・,商品T}を平均化商品群とする。
この平均化商品群に含まれ、(R−M)種類の商品からなる商品群{商品(M+1),商品(M+2),・・・,商品R}を第1のサブ平均化商品群とする。第1のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
第1のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
である。この平均化商品群に含まれ、第1のサブ平均化商品群に含まれない、(S−R)種類の商品からなる商品群{商品(R+1),商品(R+2),・・・,商品S}を第2のサブ平均化商品群とする。第2のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
第2のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
である。この平均化商品群に含まれ、第1のサブ平均化商品群に含まれず、かつ第2のサブ平均化商品群にも含まれない、(T−S)種類の商品からなる商品群{商品(S+1),商品(S+2),・・・,商品T}を前記第3のサブ平均化商品群とする。第3のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
第3のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
である。
<回帰式>
以上の設定から、平均化商品群に含まれる、任意の商品を平均化目的商品nとし、その平均化目的商品の購買数は
となる。また、一般商品群に含まれる、任意の商品を目的商品nとし、その目的商品の購買数
を目的変数とする。この目的商品以外の商品群に含まれる商品を、この目的商品の非自己商品と設定する。
この目的商品nに対して、係数及び変数を下記のように設定する。
これらより、目的変数は、第1〜3回帰係数の任意の組合せを使用する下記の回帰式(23)
で示される。
ここで、第2回帰係数に対しては、
である。
また、ここで、第3回帰係数に対しては、
である。
<共通の回帰式>
次に条件
を満たす整数P、Tに対して、商品群に含まれ、平均化商品群を含む、任意のP種類の商品からなる商品群{(商品1,商品2,・・・,商品n,・・・,商品T)から選択された所定のP種類の商品}を部分商品群とする。この部分商品群の任意の商品pを個別の目的商品pとする。この個別の目的商品以外の商品群に含まれる商品を、この個別の目的商品の非自己商品と設定する。
また、所定の過去の時点から現時点までの期間の、すべての個別の目的商品pの各購買数を、一つの共通の目的変数
で代表する。この個別の目的商品pに対して、回帰係数及び因子を下記のように設定する。
これらより、共通の目的変数は、個別の目的商品pに対して、第1〜3共通回帰係数の任意の組合せを使用する下記の共通の回帰式(24)
で示される。ここで
は、共通の目的変数y
0に個別の目的商品pの購買数y
pの値を代入する操作
を示す。また、ここで、P種類の商品からなる部分商品群を
と表記し、第1のサブ商品群と第1のサブ平均化商品群の和集合を第1の非自己和商品群とし、この第1の非自己和商品群に含まれる任意の商品を
と表記すると、第2共通回帰係数は
である。ここで、第3共通回帰係数は、
である。
<回帰係数算出>
次に、一つの回帰式(23)を構成するのに必要な、目的変数および非自己因子と変動因子に対応する、過去情報データベース6から抽出される購買数と変動因子のセットを、一つの集計レコードとし、一般商品群に含まれる一つの商品nに対して、
としたときに、第1のサブ商品群に含まれる商品nに対しては、
個以上の集計レコードをもって、第2のサブ商品群に含まれる商品nに対しては、
個以上の、集計レコードをもって、第3のサブ商品群に含まれる商品nに対しては、
個以上の、集計レコードをもって、各商品の購買数を回帰式(23)の
に当てはめ、各商品の変動因子を回帰式(23)の
に当てはめ、一つの目的商品nに対して、複数の回帰式(23)を生成し、第1、第2、および第3回帰係数を、回帰係数算出部8で算出する。この回帰係数算出処理を、一般商品群に含まれるすべての目的商品に対して施す。
<共通の回帰係数算出>
一方、部分商品群に含まれる任意の個別の目的商品pに対しては、一つの共通の回帰式(24)を構成するのに必要な、個別の目的変数および非自己因子と変動因子に対応する、過去情報データベース6から抽出される購買数と変動因子のセットを、一つの集計レコードとし、この一つの集計レコードを用いて、共通の目的変数の対象となった個別の目的商品pの購買数を共通の回帰式(24)の
に当てはめ、個別の目的商品p以外の各商品の購買数を共通の回帰式(24)の、非自己因子
に当てはめ、個別の目的商品pの各変動因子を共通の回帰式(24)の
に、当てはめ、一つの共通の回帰式(24)を生成し、この共通の回帰式(24)の生成を、部分商品群のP種類のすべての商品のすべての集計レコードに対して施し、
としたときに、第1のサブ結合商品群が部分商品群に含まれない場合、合計
個以上の共通の回帰式(24)を生成し、第1のサブ結合商品群が部分商品群に含まれる場合、合計
個以上の共通の回帰式(24)を生成し、部分商品群に対応する、第1〜3共通回帰係数を、回帰係数算出部8で算出する。
<新規商品の追加>
次に、条件
を満す整数T、U、V、Wに対して、現時点から所定の未来の時点までの期間において商品群に新たに追加し、所定の過去の現時点から時点までの期間に含まれない、(W−T)種類の前記新規商品からなる商品群{商品(T+1),商品(T+2),・・・,商品W}を新規商品群とし、第1のサブ平均化商品群に、所定の(U−T)種類の新規商品{商品(T+1),商品(T+2),・・・,商品U}を追加し、第1のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
第1のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
である。第2のサブ平均化商品群に、所定の(V−U)種類の新規商品{商品(U+1),商品(U+2),・・・,商品V}を追加し、第2のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
第2のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
である。
第2のサブ平均化商品群に、所定の(W−V)種類の新規商品{商品(V+1),商品(V+2),・・・,商品W}を追加し、第3のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
第3のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
である。
<連立予測式>
次に、未来情報データベース7から抽出される、0日目までの期間における、商品群の各商品の予測購買数を変動させる要因を数値化した、商品毎の予定変動因子
と、
新規商品群の商品の購買数を変動させる要因を数値化した、新規予定変動因子
と、回帰係数算出部8で算出された、第1〜3回帰係数と、第1〜3共通回帰係数と、現時点から所定の未来の時点までの期間における未知数である、新規商品を含む商品群の各商品の予測購買数およびの予測購買数
と、を用いて、新規商品が追加された商品群の、一般商品群に含まれる目的商品nの予測購買数は下記第2の予測式(25)
で示される。
また、新規商品が追加された商品群の、平均化商品群に含まれる平均化目的商品nの予測購買数は下記第2の平均化予測式(26)
で示される。以上より、予測購買数算出部12では、予測式(25)の左辺の非自己回帰係数と、平均化予測式(26)の左辺の共通の非自己回帰係数と、を回帰係数データテーブル9Tから抽出し、予測式(25)の右辺の予定変動因子と変動回帰係数からなる定数項と、平均化予測式(26)の右辺の予定変動因子と共通の変動回帰係数からなる定数項と、を定数項データテーブル5Tから抽出し、新規商品を含む商品群を構成するW個の商品に対して、予測式(25)と平均化予測式(26)の両方またはいずれか一方を合計W個生成し、そのW個の予測式を一つの連立方程式とし、その連立方程式の解
を、現時点から所定の未来の時点までの期間における、新規商品を含む商品群の各商品の予測購買数として算出する。
<<ロジステック回帰式>>
第1の実施形態から第4の実施形態で使用した回帰式はすべて線型モデルであるが、本実施形態では、非特許文献2に示されるような各種のモデルが使用可能であり、予測対象の商品、対象とする小売業の業態等を考慮して最適なモデルを選択できる。
<ロジステックモデル>
例えば、ロジステックモデルを適用する場合には、目的商品nと設定し、その目的商品nの購買数
に対して、目的商品nの購買数の上限を
と設定する。 購買数の上限に対する比率を
とすれば、新たな目的変数として、
を採用し、この目的変数の単回帰式は
となる。ここで
である。目的変数から購買数を求めるには逆変換して
を使用する。
<回帰式>
新たな目的変数η
nに対して、第1の実施形態の回帰式(1)と同様な回帰式(27)を構築すると
ここで回帰係数は
となり、回帰式(1)と同一の形式となる。
<連立予測式>
同様に、商品群に含まれる複数の商品に対するそれぞれの連立予測式(19)から、商品群に含まれる商品の目的変数を未知数とした連立予測式(28)
が生成される。ここで
である。以上のように、新たな目的変数η
nに対しては、第1の実施形態から第4の実施形態で示したすべての線型モデルが利用できる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、本実施形態が提供する需要予測装置およびそのプログラム関して、その利用形態や運用形態等について説明する。
<<在庫・発注数算出>>
まず、需要予測装置1の予測購買数算出部12で算出された各商品の予測購買数を用いる、発注・在庫数算出部13での最適発注量算出について説明する。
<在庫数算出>
発注・在庫数算出部13では、まず以下のような処理を行う。例えば、商品nの購買数の時間推移が1日単位でデータ収集される場合は、これに合わせて、予測の最小間隔は1日、発注の最小間隔は1日とし、発注データは納品日基準で設定する。現時点を示す0日目は本日の営業時間終了時点で、本日の購買数、本日の納品数が確定し過去情報データベース6に情報が格納済みの時点である。ここで、
となる。算出された、予測在庫数は未来情報データテーブル7Tの予測在庫数771に格納される。ここで、納品が営業時間前、発注間隔が1日、発注単位が商品1個とすれば、理想状態の購買数の予測確度100%では、予定納品数は予測購買数と同じでよく、
となり、理想状態の予測最終在庫数は
となる。ここで、
は、品切れゼロの条件では、予測確度およびそのバラつきを考慮した、正の値が設定される。
<発注数算出>
次に、商品nのj日目の発注数は
であり、品切れも、売れ残りもない状態を目標とすると、
である。例えば、毎日の午前中に発注、翌日の営業時間前に全数納品とし、1日目の午前中において、2日目に納品分の商品nの発注数は
となる。
一方、発注にかかわるデータは、未来情報データテーブル7Tの予定発注リードタイム782、予定発注単位783から抽出される。ここで、1日目の午前中を現在時点とし
と設定すると、午前中に発注、翌日の営業時間前に全数納品の場合は
となるので、1日目の午前中において、必要な商品nの発注数は
となる。算出された、発注リードタイムが考慮された発注数は、さらに発注データ68で量子化されて、未来情報データテーブル7Tの推奨発注数781に格納される。商品ごとの推奨発注数781は、例えば、業務システム5に含まれる発注システムに送信され発注業務に使用される。
さらに、需要予測装置1と連動した業務システム5に含まれる発注システムでは、購買数の予測確度が高いので、発注担当者の発注数の確認・修正が不要な自動発注システムとして利用が可能である。
<<最適化アルゴリズム>>
次に、業務支援端末4と需要予測装置1の条件修正再計算部14とを用いた、予定情報の最適化アルゴリズムとその利用形態について図8を用いて説明する。図8は、予定情報を決定する最適化アルゴリズムを示すフローチャートである。
<最適発注数決定シナリオ>
上記で開示したものは、需要予測装置1の最も単純な利用シナリオの一つとして、未来情報データテーブル7Tの予定情報7Aのデータをすべて既知として、その条件下での予測購買数を算出する購買数予測シナリオである。最終的に設定された予定情報7Aの条件下での、推奨発注数781をユーザに提供し、商品の売れ残りによる値下げロス・廃棄ロスと、発注量過少に起因する商品の品切れによる機会ロスとを最小化する最適発注数決定シナリオである。
<最適売価決定シナリオ>
これ以外の、需要予測装置1の利用方法として、予測購買数の目標値を設定し、目標値に予測購買数が接近するように、最適な予定情報7A(例えば予定売価742)を、条件修正再計算部14を用いて求める方法がある。まず
とし、商品nに対する予定情報最適化評価式(29)を
と設定する。また、商品群の全商品に対する予定情報最適化評価式(30)を
と設定する。これらの予定情報最適化評価式を用いた、最適売価決定シナリオの予定情報最適化アルゴリズムは以下のようになる。
始めに、ステップ601では、業務支援端末4から、すべての商品の予定売価742の初期値(予定情報)が入力され、条件修正再計算部14が、その予定売価742の初期値を予定売価・販促データ74の予定売価742に格納する。
次に、ステップS602では、定数項算出部10が、未来情報データテーブル7Tからの予定情報7Aと、回帰係数データテーブル9Tの既に算出済みの変動回帰係数926から、定数項を算出し、定数項データテーブル5Tの定数項544に格納する。さらに、予測購買数算出部12が、格納された定数項544と、回帰係数データテーブル9Tの既に算出済みの非自己回帰係数925から、すべての商品の予測購買数を算出し、未来情報データテーブル7Tの予測情報7Bにある予測購買数761のデータ項目に格納する。
次に、ステップS603では、条件修正再計算部14が、業務支援端末4から入力された商品nの目標購買数と未来情報データテーブル7Tから抽出された商品nの予測購買数との残差を、商品nに対する予定情報最適化評価式(29)で評価する。残差が商品nに対する予定情報最適化評価式(29)を満たすか、もしくは残差の変化がなくなれば(ステップS603:Yes)、ステップS604において、条件修正再計算部14が、現状の予定売価742を商品nの最適な予定売価742として決定し、商品nの予定売価742の最適化を終了する。
一方、残差が商品nに対する予定情報最適化評価式(29)を満たしていない場合は(ステップS603:No)、ステップS605において、条件修正再計算部14が、残差が減少する方向に予定売価742を修正し、ステップS602に戻り、再び修正された条件で予測購買数の計算を行う。ここで、残差が減少する方向への予定売価742の修正は公知の「2分法」などを使用することができる。この予定情報最適化アルゴリズムの手順を繰り返し処理することにより、最終的に商品nの最適な予定売価742を決定することができる。
しかしながら、連立予測式(2)に代表される連立予測式に示されるように、商品nの予定売価742を変更した影響は、商品nの購買数の変化に影響され、他の商品の予測購買数も変化する。このため、すべての商品の目標購買数と予測購買数の残差の評価が必要になる場合があり、この場合は、ステップS603で、商品群の全商品に対する予定情報最適化評価式(30)を併用する。
<最適予定情報決定シナリオ>
以上のような、最適な予定売価742の決定シナリオは、他の予定情報、例えば予定チラシ掲載744、予定陳列状態751の最適値の決定に使用でき、陳列方法・販促方法の検討に利用される。
目標値としては購買数が直接評価されるが、予測在庫数も業務支援端末4から入力され、間接評価され使用可能である。例えば、在庫数ゼロを目標値として、それに最適な予定売価742を決定し、在庫一掃、リニューアル・新商品導入のためのスペース作りなどの小売業の業務上の要求に答えることができる。
予測発注数も同様に、予測在庫数771も業務支援端末4から入力され、間接評価され使用可能である。例えば、特売商品ように一時期に多量に発注する必要のあるものに関しては、小売業のバイヤー(購買担当者)は、メーカーや卸との交渉で、全店舗分の発注を1度に行う大量仕入れをおこない、商品の購入原価を低減させている。このような場合には、例えば、購入原価を下回らない範囲で、一定期間に大量仕入れした全商品を売り切る、最適な予定売価742を決定することができる。
<リスク評価シナリオ>
あるいは、予定気象データは通常、予定データ収集・変換システム3において、各種外部ソースの天気予報から収集されるが、業務支援端末4からわざと、天気予報にない天候の激変等を入力して、その、予測購買数に対する影響を評価することができる。例えば、特売企画においては、2週間程度前から商品選定とその価格決定を行う必要がある場合もある、一般に天気予報では、1週間程度の十分な確度の予報が入手可能だが、2週間程度前では十分な確度の予報が得られないので、このような、天候急変のリスク評価を予め行い、リスクの評価に役立てることができる。
<<業務フロー>>
次に、本実施形態の需要予測装置1を含むシステムによる、スーパーマーケットにおける、本部での特売企画から店舗での商品発注までの一連の業務の流れを、図9を用いて説明する。図9は、スーパーマーケットにおける、本部での特売企画から店舗での商品発注までの一連の業務の流れを示すフローチャートである。
<特売企画>
特売企画は、例えば、スーパーマーケットの本部において、商品カテゴリー別のバイヤーの特売企画担当者としての業務である。特売企画担当者は需要予測装置1に対して、業務支援端末4を介してアクセスする。
まず、ステップS701では、業務支援端末4を介して、特売企画の設定値である、将来の特売日、特売対象商品である複数の商品コード733、特売での予定売価742、予定チラシ掲載744有無、予定陳列状態751等の特売企画の設定値(初期値)が入力される。なお、気温、湿度、降水量等の気象データは、特売日の天気予報データが、予定データ収集・変換システム3から抽出されるので入力する必要はない。需要予測装置1は、入力された特売企画の設定値に対する、店舗ごとの商品別の予測購買数761を算出する。同時に、需要予測装置1は、特売商品以外の商品、すなわち予定売価742が予定定番価格741と同一である定番商品に対しても、店舗ごとの商品別の予測購買数を算出し、合わせて全店舗分の全商品別の予測購買数が集計される。
ステップS702では、需要予測装置1は、業務支援端末4等を介して特売企画担当者によって入力された情報に従って、算出した予測購買数に基づく全店舗の全商品の売上や利益の合計から、特売企画の設定値の良否を判定する。このとき、需要予測装置1は、売上や利益だけでなく、特定の店舗の売上、あるいは特定の商品の販売数などを判定基準の一つとすることができる。
特売企画の設定値が良ならば(ステップS702:OK)、ステップS703に移行する。一方、特売企画の設定値が否ならば(ステップS702:NG)、ステップS701に戻り、特売企画の設定値の再入力を行う。特売企画の設定値の再入力では、例えば、特売対象の商品の候補を絞り込む場合、複数の特売商品とその価格の組合せを入力し、すべての組合せの売上や利益等を評価し、最適な特売商品とその価格の組合せを抽出することが可能である。
例えば、一つの特売商品の組合せに対して、各商品別に、特売の販売価格として、例えば10円ごとの価格変動に対する予測購買数をすべて算出して、最大売上となる特売価格を抽出させることも可能である。
特売商品の発注数の決定は、各店舗において、商品カテゴリー別あるいは店舗全体の発注担当者の業務である。発注担当者は需要予測装置1に対して、業務支援端末4を介してアクセスする。具体的には、需要予測装置1は、ステップS703では、ステップS701で既に入力された特売企画の設定値である、特売日、特売商品、特売売価等の変更はできないが、予定陳列状態751、予測購買数等の変更は可能である。
ここで、予測購買数の変更は、連立予測式(2)の解を算出した後に、それぞれ商品の予測購買数をマニュアルで修正する方法と、連立予測式(2)の解を算出する前に、変更しようとする商品の予測購買数を固定し、変数から右辺定数項へ移動させる方法とがある。前者は商品購買間の相互作用に変更を加えることができ、後者は過去情報から算出された商品購買間の相互作用には変更を与えずに予測購買数に変更を与えることができる。
また、ステップS701で特売商品と定番商品の店舗別の予測購買数は算出済みであるが、特売企画時点と発注時点では時間的なずれがあり、天気予報等の予定情報7Aが異なる可能性があるので、ステップS703で再度予測購買数を算出して、正確な発注数を決定する。この予定情報7Aの変化には、企画時点では収集できなかった突発的なテレビ番組での需要喚起等も含まれる。
このような、この予定情報7Aの変化と発注数の調整に対する、店舗ごとの商品別予測購買数が需要予測装置1で再度算出される。さらに、特別企画が企画された時点では、発注までの在庫の累積は最小であると予測しているので、特別企画が企画された時点の在庫数と発注時点の在庫数のずれは避けられない。このため予測購買数に店舗の最新の在庫数を引いて推奨発注数781が算出される。
ステップS704では、需要予測装置1は、発注担当者が業務支援端末4を介して入力した情報に基づいて、例えば予測購買数から算出されたその店舗の売上や利益の合計から、発注数の良否を判定する。このとき、売上や利益だけでなく、予測客数や該当店舗の購買客に強く支持されている特定商品の予測購買数などを判定基準の一つとすることができる。
店舗固有の発注数が良ならば(ステップS704:OK)、次のステップS705に移行する。一方、店舗固有の発注数が否ならば(ステップS704:NG)、再度ステップS703に戻り、予定情報7Aや発注数の再修正を行う。
ステップS705では、需要予測装置1で算出された全商品の推奨発注数781を、業務支援端末4を介して、商品ごとに確認して、業務システム5の一つである公知の発注システムに転送する。
需要予測装置1では、購買数の予測確度が高いので、発注担当者の発注数の確認・修正が不要な自動発注システムとして利用が可能である。しかしながら、特売商品のように変動が激しくかつ発注数も多い商品は、購買数の予測確度が悪化したときのリスク回避のために、このような発注担当者の発注数確認作業が必要な場合もある。一方、定番商品は、特売商品に比べれば、購買数は安定していて残差は小さく、予測確度も高く、さらに発注量も少ないため発注数が実需要とずれていても損害は少ない。また、加工食品や住関連商品は在庫可能日数が1〜3ヶ月以上の商品は、発注数が実需要とずれていても、次の発注タイミングで修正できるので損害は回復可能である。
したがって、定番商品は、発注担当者の最終確認を経なくとも、需要予測装置1が算出する購買予測値をそのまま発注システムに送ることができる自動発注で処理することができる。
<<商品カテゴリーの予測>>
第1の実施形態から第5の実施形態までは、個別の商品の予測購買数を算出しそれを利用してきたが、個別の商品の上位カテゴリーであるクラスコード732のように、対象を商品カテゴリーに対して予測購買数を算出することも可能である。これは、売場のレイアウト変更などの場合は、商品カテゴリー単位の売り場面積比率が必要になる場合があり、このような場合では比較的長期の予測が必要になり、日々変動する売価や陳列状態、気象情報などは因子として不適当になるからである。また、購買客ごとの購入商品を複数の不特定商品からなる集合とみなして、これを商品カテゴリーとすると、予測購買客数を算出することができる。このとき、購買客数は他の商品や商品カテゴリーと同様に相互作用因子である。
<<小売業の業務適合の効果>>
以上のように本実施形態の需要予測装置1によれば、スーパーマーケットにおける、本部での特売企画から、店舗での商品発注までの一連の業務に適合している。このため、特売企画で段階での全店舗総計レベルでの売上・利益の維持拡大、店舗発注レベルでの廃棄ロス・機会ロスの削減、さらには推奨発注数781の利用、自動発注の採用により省力化にも貢献する。
以上第1〜5の実施形態において説明した需要予測装置1によれば、以下に示す構成を実現することができる。需要予測装置1は、商品群に含まれる商品毎の第1所定期間における購買数と、商品群に含まれる各商品の購買数を変動させる変動因子を数値化した変動因子情報と、を記憶する記憶部(過去情報データベース6、および未来情報データベース7)と、商品群に含まれる所定の商品である目的商品以外の非自己商品の購買数の和が目的商品の購買数の変動に寄与する度合いを示す非自己和回帰係数(第3回帰係数)と、目的商品の変動因子情報が当該目的商品の購買数の変動に寄与する度合いを示す変動回帰係数(第1回帰係数)と、目的商品の変動因子情報と、を用いて、第1所定期間以降の期間である第2所定期間における、商品群に含まれる商品毎の予測購買数を算出する予測購買数算出部12と、を備える。
また、予測購買数算出部12は、非自己和回帰係数と、第2所定期間における非自己商品の予測購買数および第2所定期間における目的商品の予測購買数を含む未知数と、変動回帰係数および目的商品の変動因子情報を含む定数項と、を有する目的商品毎の予測式を用いて、第2所定期間における、商品群に含まれる商品毎の予測購買数を算出する。
また、予測購買数算出部12は、購買数を変動させる変動因子の数が予め設定された数より少ない目的商品を含む部分商品群に含まれる所定の目的商品である平均化目的商品以外の非平均化目的商品の購買数の和が、平均化目的商品の購買数の変動に寄与する度合いを示す共通の非自己和回帰係数と、第2所定期間における非平均化目的商品の予測購買数および第2所定期間における平均化目的商品の予測購買数を含む未知数と、平均化目的商品の変動因子情報が当該平均化目的商品の購買数の変動に寄与する度合いを示す共通の変動回帰係数926および平均化目的商品の変動因子情報を含む定数項544と、を有する平均化目的商品毎の平均化予測式と、平均化目的商品の予測購買数を未知数として追加した目的商品毎の予測式とを用いて、第2所定期間における、商品群に含まれる商品毎の予測購買数を算出する。
ここで、予測購買数の算出方法について簡単に説明する。回帰係数算出部8は、T種類の商品からなる商品群{商品1,商品2,・・・,商品n,・・・,商品T}に含まれる任意の商品nに対して、第1所定期間の商品nの購買数を
とし、商品群を表す購買数の集合を
とすると、条件
を満たす整数K、L、M、Tに対して、商品群に含まれ、M種類の商品からなる商品群{商品1,商品2,・・・,商品T}を一般商品群とし、一般商品群に含まれ、K種類の商品からなる商品群{商品1,商品2,・・・,商品K}を第1のサブ商品群とし、当該第1のサブ商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第1のサブ商品群を表す購買数の集合は
であり、一般商品群に含まれ、第1のサブ商品群に含まれない、(L−K)種類の商品からなる商品群{商品(K+1),商品(K+2),・・・,商品L}を第2のサブ商品群とし、当該第2のサブ商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第2のサブ商品群を表す購買数の集合は
であり、一般商品群に含まれ、第1のサブ商品群に含まれず、第2のサブ商品群にも含まれない、(M−L)種類の商品からなる商品群{商品(L+1),商品(L+2),・・・,商品M}を第3のサブ商品群とし、当該第3のサブ商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第3のサブ商品群を表す購買数の集合は
であり、条件
を満たす整数M、R、S、Tに対して、商品群に含まれ、一般商品群に含まれない、(T−M)種類の商品からなる商品群{商品(M+1),商品(M+2),・・・,商品T}を平均化商品群とし、平均化商品群に含まれ、(R−M)種類の商品からなる商品群{商品(M+1),商品(M+2),・・・,商品R}を第1のサブ平均化商品群とし、当該第1のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第1のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
であり、平均化商品群に含まれ、第1のサブ平均化商品群に含まれない、(S−R)種類の商品からなる商品群{商品(R+1),商品(R+2),・・・,商品S}を第2のサブ平均化商品群とし、当該第2のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第2のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
であり、平均化商品群に含まれ、第1のサブ平均化商品群に含まれず、第2のサブ平均化商品群にも含まれない、(T−S)種類の商品からなる商品群{商品(S+1),商品(S+2),・・・,商品T}を第3のサブ平均化商品群とし、当該第3のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第3のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
であり、平均化商品群に含まれる、任意の商品を平均化目的商品nとし、当該平均化目的商品nの購買数を
とし、一般商品群に含まれる、任意の商品を目的商品nとし、当該目的商品の購買数
を目的変数とし、当該目的商品以外の商品群に含まれる商品を、当該目的商品の非自己商品と設定し、目的商品nに対して、回帰係数及び因子を下記のように設定し、
目的変数は、第1〜3回帰係数の任意の組合せを使用する下記の回帰式(31)
で示され、
第2回帰係数に対しては、
であり、
第3回帰係数に対しては、
であり、条件
を満たす整数Tに対して、商品群に含まれ、平均化商品群を含む、任意のP種類の商品からなる商品群{(商品1,商品2,・・・,商品n,・・・,商品T)から選択された所定のP種類の商品}を部分商品群とし、部分商品群の任意の商品pを個別の目的商品pとし、当該個別の目的商品以外の商品群に含まれる商品を、当該個別の目的商品の非自己商品と設定し、第1所定期間の、すべての個別の目的商品pの各購買数を、一つの共通の目的変数
で代表し、個別の目的商品pに対して、回帰係数及び因子を下記のように設定し、
共通の目的変数は、個別の目的商品pに対して、第1〜3共通回帰係数の任意の組合せを使用する下記の共通の回帰式(32)
で示され、当該共通の回帰式(32)で
は、共通の目的変数y
0に個別の目的商品pの購買数y
pの値を代入する操作
を示し、P種類の商品からなる部分商品群を
と表記し、第1のサブ商品群と第1のサブ平均化商品群の和集合を第1の非自己和商品群とし、当該第1の非自己和商品群に含まれる任意の商品を
と表記し、第2共通回帰係数は
第3共通回帰係数は、
であり、一つの回帰式(31)を構成するのに必要な、目的変数および非自己因子と変動因子に対応する、記憶部から抽出される購買数と変動因子情報のセットを、一つの集計レコードとし、一般商品群に含まれる一つの商品nに対して、
としたときに、第1のサブ商品群に含まれる商品nに対しては、
個以上の集計レコードをもって、第2のサブ商品群に含まれる商品nに対しては、
個以上の集計レコードをもって、第3のサブ商品群に含まれる商品nに対しては、
個以上の集計レコードをもって、各商品の購買数を回帰式(31)の
に当てはめ、各商品の変動因子を回帰式(31)の
に当てはめ、一つの目的商品nに対して、複数の回帰式(31)を生成し、第1〜3回帰係数を、回帰係数算出処理で算出し、当該回帰係数算出処理を、一般商品群に含まれるすべての目的商品に対して施し、部分商品群に含まれる任意の個別の目的商品pに対しては、一つの共通の回帰式(32)を構成するのに必要な、個別の目的変数および非自己因子と変動因子に対応する、記憶部から抽出される購買数と変動因子情報のセットを、一つの集計レコードとし、当該一つの集計レコードを用いて、共通の目的変数の対象となった個別の目的商品pの購買数を前記共通の回帰式(32)
に当てはめ、個別の目的商品p以外の各商品の購買数を共通の回帰式(32)の非自己因子
に当てはめ、個別の目的商品pの各変動因子を前記共通の回帰式(32)の
に、当てはめ、一つの共通の回帰式(32)を生成し、当該共通の回帰式の生成を、部分商品群のP種類のすべての商品のすべての集計レコードに対して施し、
とした場合に、第1のサブ結合商品群が部分商品群に含まれない場合の合計
個以上の共通の回帰式(32)を生成し、第1のサブ結合商品群が部分商品群に含まれる場合の合計
個以上の共通の回帰式(32)を生成し、部分商品群に対応する、第1〜3共通回帰係数を、回帰係数算出処理で算出し、予測購買数算出部12は、記憶部から抽出された、第1所定期間以降の期間である第2所定期間における、商品群の各商品の予測購買数を変動させる要因を数値化した、商品毎の予定変動因子
と、回帰係数算出部8により算出された第1〜3回帰係数と、第1〜3共通回帰係数と、第2所定期間おける未知数である、商品群の各商品の予測購買数
を用いて、一般商品群に含まれる目的商品nの予測購買数は、下記第1の予測式(33)
で示され、平均化商品群に含まれる平均化目的商品nの予測購買数は、下記第1の平均化予測式(34)
であり、商品群を構成するT個の商品に対して、第1の予測式(33)と第1の平均化予測式(34)の両方またはいずれか一方を合計T個生成し、当該T個の予測式を一つの連立方程式とし、当該連立方程式の解
を、第2所定期間における商品群の各商品の予測購買数として算出する。
さらに、記憶部(過去情報データベース6、および未来情報データベース7)は、商品群に含まれる商品のうち購買数が記憶されていない新規商品の第2所定期間における予測購買数を変動させる新規変動因子を数値化した変動因子情報を記憶し、予測購買数算出部12は、部分商品群に含まれる新規商品である平均化目的商品以外の非平均化目的商品の購買数の和が、平均化目的商品の購買数の変動に寄与する度合いを示す共通の非自己和回帰係数と、第2所定期間における非平均化目的商品の予測購買数および第2所定期間における平均化目的商品の予測購買数を含む未知数と、平均化目的商品の変動因子情報が当該平均化目的商品の購買数の変動に寄与する度合いを示す共通の変動回帰係数および平均化目的商品の変動因子情報を含む定数項と、を有する平均化目的商品毎の平均化予測式と、平均化目的商品の予測購買数を未知数として追加した目的商品毎の予測式とを用いて、第2所定期間における、商品群に含まれる商品毎の予測購買数を算出する。
ここで、商品群に新規商品が追加された場合の予測購買数の算出方法について簡単に説明する。商品群に新たに追加される新規商品は、条件
を満す整数T、U、V、Wに対して、第1所定期間以降の期間である第2所定期間において、商品群に新たに追加する、第1所定期間に含まれない、(W−T)種類の新規商品からなる商品群{商品(T+1),商品(T+2),・・・,商品W}を新規商品群とし、第2所定期間において、第1のサブ平均化商品群に、所定の(U−T)種類の新規商品{商品(T+1),商品(T+2),・・・,商品T}を追加し、当該第1のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第1のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
であり、第2のサブ平均化商品群に、所定の(V−U)種類の新規商品{商品(U+1),商品(U+2),・・・,商品V}を追加し、当該第2のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
該第2のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
であり、第2のサブ平均化商品群に、所定の(W−V)種類の新規商品{商品(V+1),商品(V+2),・・・,商品W}を追加し、当該第3のサブ平均化商品群に含まれる商品nの購買数は
当該第3のサブ平均化商品群を表す購買数の集合は
であり、
予測購買数算出部12は、記憶部から抽出された、第1所定期間以降の期間である第2所定期間における、商品群の各商品の予測購買数を変動させる要因を数値化した、商品毎の予定変動因子
と、新規商品群の各商品の購買数を変動させる要因を数値化した、商品毎の新規予定変動因子
と、回帰係数算出部8により算出された第1〜3回帰係数と、第1〜3共通回帰係数と、第2所定期間における未知数である、新規商品を含む商品群の各商品の予測購買数、
と、を用いて、一般商品群に含まれる目的商品nの予測購買数は、下記第2の予測式(35)
で示され、平均化商品群に含まれる平均化目的商品nの予測購買数は、下記第2の平均化予測式(36)
で示され、新規商品を含む商品群を構成するW個の商品に対して、第2の予測式(35)と第2の平均化予測式(36)の両方またはいずれか一方を合計W個生成し、当該W個の予測式を一つの連立方程式とし、当該連立方程式の解
を、第2所定期間における新規商品を含む商品群の各商品の予測購買数として算出する。
以上説明したとおり、第1から第5の実施形態によれば、目的商品以外の商品を非自己商品とし、当該非自己商品の購買数の和を購買数の予測に用いることにより、スーパーマーケットなどの小売店での特売のように購買数の変動が激しい販売形態に対しても、商品購買間の相互作用の効果を取り入れることができるので、確度の高い予測購買数を提供できる。また、新規商品等の過去の購買データが少ない商品に対しても、高い確度で予測購買数を算出することができる。
本実施形態の需要予測装置1は、CPU(Central Processing Unit)などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
本実施形態の需要予測装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態の需要予測装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の需要予測装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
本実施形態の需要予測装置1で実行されるプログラムは、上述した各部(回帰係数算出部、定数項算出部、予測購買数算出部、発注・在庫数算出部、条件修正再計算部など)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、回帰係数算出部、定数項算出部、予測購買数算出部、発注・在庫数算出部、条件修正再計算部などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。