本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
図1は、本発明における潜像画像を有する印刷物(1)(以下「印刷物」という。)の一例を示す図である。この印刷物(1)は、図1(a)に示すように、少なくとも一部に本発明における潜像画像が形成されている印刷領域(2)を有している。
この印刷物(1)は、可視光源下における拡散光領域では、図2(a)に示すような可視画像(3)が視認され、印刷物(1)を傾けることにより、正反射光領域では、図2(b)に示すような第一の潜像画像(4)を視認することができる効果を奏するものである。この二つの画像の視認原理については後述する。
この印刷領域(2)は、印刷物(1)の断面図である図1(b)に示すように、三つの層から構成されている。印刷領域(2)については、図1に示すように、印刷物(1)の一部に形成してもよいが、印刷物(1)の全面を印刷領域(2)として形成してもよい。また、印刷領域(2)を構成している三つの層については、第1の層(5)、第2の層(6)及び第3の層(7)から形成されている。この三つの層について次に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の層(5)について説明する。第1の層(5)は、定位置の可視光源に対して観察角度を拡散光領域から正反射光領域へ変化させると色が変化し、他の領域との色差ΔEが所定の値変化する材料を用いて形成されている。なお、本発明における色差は、CIE1976L*a*b*表色系のΔEで定義するものとする。CIE1976L*a*b*表色系とは、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間のことであり、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。色差は、ある二色の色空間中における距離のことであり、CIE1976L*a*b*表色系での色差は、二色のL*の差、a*の差及びb*の差をそれぞれ二乗して加え、その平方根をとることで求めることができる。
色差ΔEが変化するとは、例えば、定位置の可視光源に対して観察角度を変化させることで、明度及び/又は色が変化する材料を用いて印刷インキを作製し、紙等の基材(8)上に印刷領域として付与して印刷物Aを作製する。同様に定位置の可視光源に対して観察角度を変化させることで明度及び/又は色が変化しない材料を用いて印刷インキを作製し、前述の紙等の基材上に印刷部として付与して印刷物Bを作製する。印刷物Aと印刷物Bの色差ΔEがXとする。次に、印刷物A及び印刷物Bを定位置に設置した可視光源下において、観察角度を変化させたのち、再度、印刷物Aと印刷物Bの色差ΔEを測定する。その測定した際の色差ΔEが前述したXとは異なる値であるならば、色差ΔEが変化したことになる。前述のとおり、定位置の可視光源に対して観察角度を変化させることで明度及び/又は色が変化する材料であれば、その材料は、観察角度によって色差ΔEが変化する材料となる。
本発明における観察角度については、基材に対して垂直方向を0°とした場合で説明する。拡散光領域とは、定位置の可視光源からの入射光角度が45°の場合において、受光角度が−10〜10°となる領域であり、正反射光領域とは、定位置の可視光源からの入射光角度が45°の場合において受光角度が35〜55°となる領域のことを指す。なお、色差ΔEが所定の値変化する原理については、後述する。
観察角度によって色が変化する材料としては、例えば、光輝性材料があげられる。光輝性材料とは、金属粉インキ、フォイル(金属箔)、金属蒸着により基材(8)上に形成したもの、金属又は金属光沢調フィルム等がある。金属粉インキとは、一回の印刷で金属色を示すインキである。金属粉インキは、ビヒクルに微細な金属粉を混和して作製する。金属粉インキには、金インキ及び銀インキがある。金インキとは、ビヒクルに微細な黄銅粉末を混和して作製したインキであり、銀インキとは、ビヒクルに微細なアルミニウム粉末を混和して作製したインキである。
また、金属粉インキの代わりにフォイル(金属箔)を上質紙、コート紙及びアート紙等の紙葉類、プラスチックフィルム等の基材の上に形成してもよい。フォイルとしては、金箔や銀箔等がある。フォイルは、ホットスタンプ方式又はコールドフォイル方式により基材上へ付与する。ホットスタンプ方式は、シート状のフォイルを基材に重ね、高温の金属刻印で加圧して基材に箔押しする方式である。また、コールドフォイル方式は、基材に接着剤を塗布し、シート状のフォイルを基材に重ね、加圧して箔を転写する方式である。
フォイル(金属箔)の代わりに金属蒸着によりアルミ等を基材(8)上に形成したもの(株式会社竹尾製、オフメタルN 銀 165kg等)でもよい。また、基材(8)自体をステンレスやアルミ等の金属としてもよい。また、光輝性材料が形成された基材上に有色インキや有色フィルム等の透過性材料を形成したものでもよい。この場合、透過性材料は、光輝性材料の光沢を視認することができる材料とする必要がある。さらに、基材(8)に金属光沢調フィルム(東レ株式会社製、PICASUS等)を用いてもよい。金属光沢調フィルムとは、異種ポリマーを多層積層し形成したポリエステルフィルムであり、金属を使用せずに金属調の光沢を得ることが可能な材料のことである。
ただし、金属粉インキや金属箔を付与する場合には、基材の平滑度が1,000秒以上2,000秒未満であることが好ましい。なお、平滑度の測定は、日本工業規格のJIS P 8119に規定されている試験方法で行い、デジベック平滑度試験機(株式会社東洋精機製作所製。DB−2型)を用いて測定した。
第1の層(5)について、基材(8)の上に定位置の可視光源に対して観察角度を拡散光領域から正反射光領域へ変化させることで色が変化する材料を、印刷インキ又はフォイルにより形成する例で説明したが、本発明の第1の層(5)は、これに限定されるものではなく、基材自体の色が変化する材料により形成されていてもよい。
例えば、図3(a)に示すように、印刷物(1)の一部に印刷領域(2)を形成する場合、基材(8)の一部が第1の層(5)により形成されていてもよいし、図3(b)に示すように、基材(8)全体が第1の層(5)により形成されていてもよい。なお、印刷物(1)の全面を印刷領域(2)とする場合には、図3(b)に示すように、第1の層(5)、第2の層(6)及び第3の層(7)は、いずれも印刷物(1)の全面に形成されることとなる。
次に、第2の層(6)について説明する。第2の層(6)は、下層に当たる第1の層(5)の光沢を抑えるための隠蔽層の役割を担っている。また、第2の層(6)は、後述する上層の第3の層(7)により形成される可視画像に影響を与えない色彩を有する必要がある。したがって、第2の層(6)は、白インキ、マットインキ(マットタイプのOPニス)等を用いることが可能であるが、下層の光沢を抑えられる隠蔽材料で、かつ、上層の可視画像(3)に影響を与えない材料であれば特に限定されない。本実施の形態では、白インキを用いて形成することで説明する。なお、白インキには、オフセット印刷用UVインキとしてDIC株式会社製 ダイキュアRTX 白、インクジェット印刷用UVインクとして東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト等がある。なお、本発明において、インクジェット印刷方式のインキは、「インク」と定義し、その他の印刷方式のインキは、「インキ」と定義する。
この第2の層(6)は、図4に示すように、一部に隠蔽材料が施されていないくり抜き部(9)を有している。図4(a)に示した第2の層(6)の構成については、後述する第3の層(7)の網点構成に対応した構成となっている。この網点構成は、本発明に用いる微細な網点構成となるものであるが、詳細は第3の層(7)の説明の際に行うこととする。
図4(a)は、第2の層(6)の一部を拡大した模式図であるが、第2の層(6)は、後述する第3の層(7)に対応するように、二つの領域から形成されている。この二つの領域は、前述のとおり、下層である第1の層(5)の光沢を隠蔽する役割を持っていることから、第1の隠蔽領域(10)と第2の隠蔽領域(11)で構成されている。また、第2の隠蔽領域(11)は、隠蔽材料が施されている第2aの隠蔽部(12)と隠蔽材料が施されていないくり抜き部(9)によって構成されている。
ここで、隠蔽面積率とは、第2の層(6)における第1の隠蔽領域(10)又は第2aの隠蔽部(12)の単位面積当りの隠蔽材料を形成する面積の割合のことである。例えば、第2aの隠蔽部(12)において、隠蔽面積率80%とは、第2aの隠蔽部(12)の面積の内、隠蔽材料を形成した面積の割合が80%のことである。この場合、第2aの隠蔽部(12)の面積の20%は、隠蔽材料が形成されていないため、下層である第1の層(5)が露出した状態となる。
よって、第2aの隠蔽部(12)を第1の隠蔽領域(10)よりも隠蔽面積率を低くするというのは、隠蔽面積率を下げることにより、下層である第1の層(5)の露出面積率を上げ、第1の隠蔽領域(10)よりも第2aの隠蔽部(12)の光輝性の低下を抑えることになる。つまり、印刷物(1)を定位置の可視光源に対して、拡散光領域から正反射光領域へ変化させた際に、第1の隠蔽領域(10)に対応する第3の層(7)の第1の領域(13)の正反射光よりも、第2aの隠蔽部(12)に対応する第3の層(7)の第1のカムフラージュ部(16)正反射光の単位面積当たりの光の強さが高くなり、結果的に正反射光領域における第一の潜像画像(4)の視認性が向上することがあるからである。
しかし、隠蔽面積率を低くしたことにより、くり抜き部(9)である、すなわち、第1の層(5)の正反射光と第2の隠蔽領域(11)の正反射光の強さが近似し、正反射光領域における第一の潜像画像(4)の視認性が低下するおそれもある。よって、第2の隠蔽領域(11)の隠蔽面積率は、適宜設定する必要がある。
また、前述したように、第2の隠蔽領域(11)は、くり抜き部(9)を有しており、この図4(a)のX1−X2における(拡大)断面図である図4(b)に示すように、くり抜き部(9)には、白インキが施されていない。
このくり抜き部(9)の大きさは、後述する第3の層(7)における第2の領域(14)を用いて形成する第一の潜像画像(4)の階調に合わせて適宜設定するものである。これは、通常の網点を用いて階調画像を形成するときに、網点の大小により階調を表現するものと同じ考え方である。
この第2の隠蔽領域(11)にくり抜き部(9)が形成されていることで、印刷物(1)を上方から観察すると、光輝性の基材(8)からの反射光がくり抜き部(9)を経て最上層の第3の層(7)の第2の領域(14)で形成している第一の潜像画像(4)を視認することができることとなる。この観察原理の詳細については後述する。
次に、第3の層(7)について説明する。第3の層(7)は、可視光源下の拡散光領域において視認可能な連続階調画像を含む可視画像(3)を網点により形成する。そこで、第3の層(7)の網点構成について図5を用いて説明する。
第3の層(7)は、図5(a)に示す可視画像(3)を形成しており、その網点構成は、図5(b)に一部拡大図として示した構成である。この網点構成は、第1の領域(13)及び第2の領域(14)により形成され、この第1の領域(13)と第2の領域(14)がマトリックス状に複数配置されている。この二つの領域をマトリックス状に配置することで、可視画像(3)及び第一の潜像画像(4)は、モアレを発生することがなくなる。
図5(b)に示すように、第1の領域(13)に囲まれるように第2の領域(14)が配置され、第2の領域(14)は、第1の領域(13)よりも小さい面積で第1の領域(13)の外周に沿って、等間隔に配置されている。第2の領域(14)を第1の領域(13)よりも大きい面積で形成した場合には、第2の領域(14)がノイズとなって、可視光源下における可視画像(3)の視認性を低下させてしまうこととなる。この網点構成の詳細については、本出願人が既に出願している特許第3544536号公報に開示されている。
第1の領域(13)内には、第1の網点部(13a)が配置され、可視画像(3)は、第1の領域(13)内における第1の網点部(13a)と第1の網点部(13a)以外の領域との面積比率に応じて、複数配置された第1の領域(13)により階調を付与することが可能となる。
また、第2の領域(14)は、可視光源下において印刷物(1)を傾けることにより視認可能な第一の潜像画像(4)を形成するための領域である。この第2の領域(14)は、本発明の特徴点である第一の潜像画像(4)をフルカラー又は複数色で表現するための重要な要素である。そのために、第一の潜像画像(4)となる原画像をイエロー(以下「Y」という。)、シアン(以下「C」という。)、マゼンタ(以下「M」という。)、ブラック(以下「Bk」という。)及び特色の色成分のうち、少なくとも二つの成分に分解する。色成分の色数は2色以上4色以下にすることが望ましい。色成分の色数が3色の場合において、一つの第1の領域(13)を囲む四つの第2の領域(14)に対して、少なくとも二つの色成分の第2の領域(14)が配置される。
例えば、図5(b)に示すように、第1の領域(13)の一つを囲むように第2の領域(14)が四つ配置されているが、その四つの第2の領域(14)においては、Y成分から成る有色の色材により形成された第2の領域(14y)が一つ、M成分から成る有色の色材により形成された第2の領域(14m)が一つ、更にはC成分から成る有色インキにより形成された第2の領域(14c)が二つとなっている。
図6は、第2の領域(14)に配置された色成分の配置例を説明するための図である。図6(a)は、一つの第1の領域(13)に対して、一つの色成分(例えば、Y)から成る有色の色材により形成された第2の領域(14y)が第1の網点部(13a)を挟んで対向するように配置され、残りの色成分(例えば、M及びC)から成る有色の色材により、二つの第2の領域(14m及び14c)が、同じ第1の網点部(13a)を挟んで対向するように配置され、全ての色成分から成る有色の色材により形成された第2の領域(14)が一つの第1の領域(13)を囲むように配置されている。この場合、図6(a)に示したように、同じ色成分から成る有色の色材は、複数配置されている中で、仮想線(T1−T2)上に配置されているように、規則性を有している。
一つの第1の領域(13)を囲む四つの第2の領域(14)において、一つの色成分から成る有色の色材を二つ配置する場合に、第1の網点部(13a)を挟んで対向するように二つ配置することにより、前述したような仮想線(T1−T2)上に同じ色成分から成る第2の領域(14)が配置されることとなる。
また、図6(b)に示す配置は、第1の領域(13)に隣接して配置された第2の領域(14)において、同じ色成分から成る有色の色材により形成された二つの第2の領域(14)が隣り合うように配置するものである。例えば、一つの第1の領域(13)に対して、Y成分から成る有色の色材により形成された第2の領域(14y)と、M成分から成る有色の色材により形成された第2の領域(14m)を二つ配置する場合、同じ色成分の二つの第2の領域(14y)は、図6(a)のように、第1の網点部(13a)を挟んで対向するように配置されるのではなく、隣り合うように配置され、同様に、同じ色成分の二つの第2の領域(14m)も隣り合うように配置される。
また、二つの色成分(例えば、Y及びM)により囲まれている第1の領域(13)と隣接する別の第1の領域(13)においては、その二つの色成分(例えば、Y及びM)とは異なる色成分(例えば、C)から成る第2の領域(14c)を隣り合うように配置する。この規則に基づいて、第1の領域(13)及び第2の領域(14)を複数配置すると、図6(b)のように、仮想線(T1−T2)上に同じ色成分から成る第2の領域(14)が配置されることとなる。
なお、前述した色成分の配置については一例であって、どこにYMCを配置するかについては、前述した配置の規則に基づいていれば、出現させたい第一の潜像画像(4)の色彩に合わせて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。各々の第2の領域については、一つの色成分から成る有色の色材のみで形成されていてもよいが、二つ以上の色成分から成る有色の色材が混合された色材を用いて形成されていてもよく、さらには、一つの色成分から成る有色の色材を二つ以上重ね合わせて形成してもよい。いずれにしても、形成された第2の領域の色が同じか、又は異なることで本発明のフルカラー潜像を形成するものであり、形成前の段階の色材の色にとらわれるものではない。
以下、図6(a)で説明した、同じ色成分から成る有色の色材を用いて同じ色に形成された二つの第2の領域(14)が第1の網点部(13a)を挟んで対向するように配置した構成で説明する。
次に、第2の層(6)に形成されているくり抜き部(9)により、第3の層(7)の第2の領域(14)に形成される潜像部(15)及びその周囲の第1のカムフラージュ部(16)について説明する。
図7(a)は、図5(b)で示した複数配置された第1の領域(13)及び第2の領域(14)の中の一組を取り出した際における第1の層(5)、第2の層(6)及び第3の層(7)の積層状態を示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)のY1−Y2の断面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、第2の層(6)の第1の隠蔽領域(10)と第3の層(7)の第1の領域(13)が同じ位置に、同様に、第2の隠蔽領域(11)と第2の領域(14y)は、同じ位置に積層されている。この第2の領域(14y)は、Y成分の1色により形成されているが、図7(b)に示すように、くり抜き部(9)上に積層されている第2の領域(14y)の一部は、隠蔽材料がないために、第1の層(5)の上に積層されている状態となっている。第1の層(5)は、光輝性の材料により形成されているため、観察角度を拡散光領域から正反射光領域へ変化させると、第1の層(5)自体は、色変化を生じることとなる。そこで、光輝性の光沢を抑える役目の隠蔽材料を施していないくり抜き部(9)の上の第2の領域(14)に該当する箇所は、観察角度を異ならせると、第1の層(5)の光輝性の影響を受ける領域と、隠蔽材料が施されていることにより、第1の層(5)の光輝性の影響を受けない領域に分かれる。この光輝性の影響を受ける箇所を本発明では潜像部(15)とし、その潜像部(15)の周囲の光輝性の影響を受けない箇所を第1のカムフラージュ部(16)と定義する。
そこで、第3の層(7)の構成を既に説明した図5及び図6の第2の領域(14)では、点線によりこの潜像部(15)を示したところである。
第2の領域(14)は、光輝性を有する第1の層(5)(基材(8)自体が光輝性の材料の場合には、光輝性の基材(8))からの反射光を直接受ける潜像部(15)と、隠蔽材料により反射光が抑えられている第1のカムフラージュ部(16)から構成されているため、この構成の違いにより、印刷物(1)を拡散光領域から正反射光領域へと変化させると、第1の層(5)は、色差ΔEが変化する特性を有していることから、第2の層(6)のくり抜き部(9)の上層にある潜像部(15)は、第1の層(5)の色変化の影響を実質的に直接受けるため、他の第2aの隠蔽部(12)の上層にある第1のカムフラージュ部(16)とは色彩が異なって視認され、第一の潜像画像(4)が形成される。さらに、くり抜き部(9)と第2aの隠蔽部(12)との面積比率に応じて、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)も面積比率に差が生じ、複数配置された第2の領域(14)の潜像部(15)により階調を付与することが可能となる。
第2の領域(14)については、前述のとおり、第2の層(6)におけるくり抜き部(9)を介して、第1の層(5)の光輝性材料の光沢により潜像部(15)を形成可能とするため、第2の領域(14)は、透過率20%以上100%以下の範囲で形成する。この範囲よりも低いと、最下層の第1の層(5)の光沢を視認することができなくなる。
前述のとおり潜像部(15)は、第1の層(5)上に、最上層である第3の層(7)の第2の領域(14)が形成されていることとなるが、第1の層(5)は、定位置の可視光源に対して観察角度を拡散光領域から正反射光領域へ変化させると、色が変化し、他の領域との色差ΔEが所定の値変化する材料によって形成されているため、本発明における第一の潜像画像(4)を出現させるには、正反射光領域においてのみ、第1の層(5)の光沢感を利用した潜像部(15)を視認させることが必要となる。したがって、拡散光領域においては、第2の領域(14)内の第1のカムフラージュ部(16)と潜像部(15)を等色とする必要がある。
拡散光領域において、第2の領域(14)内の潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)が等色となることで、第一の潜像画像(4)は視認されず、印刷物(1)を傾けて正反射光領域とすることで、潜像部(15)における第1の層(5)が光輝性を発揮することにより、潜像部(15)は、第1のカムフラージュ部(16)との色差ΔEが所定の値変化し、潜像部(15)により形成された第一の潜像画像(4)を視認することができることとなる。
本発明における等(同)色とは、可視光源下の拡散光領域で観察した際に、色差ΔEが6未満のことを示す。一般的に、色差ΔEが6前後においては、異なった色として視認される可能性がある。ただし、前述のとおり、本発明においては、第1の領域(13)及び第2の領域(14)は、肉眼ではそれぞれの領域を区別して視認することができない微細な大きさにより構成している。そのことから、色差ΔEが6未満であれば、可視光源下の拡散光領域において、肉眼では、第2の領域(14)内における潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、等色として視認される。
なお、メタメリズムの関係により、可視光源下の拡散光領域において観察した際に、肉眼で等しい色に視認された色が、特定の光源下の拡散光領域において観察した際に、異なる色で視認された場合においても、本発明においては、第2の領域(14)における潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、等色に形成されていることとする。
図5(b)に示した第3の層(7)を構成する網点構成における各領域の面積(縦×横)は、例えば、第1の領域(13)をm×mで形成し、第2の領域(14)をn×nで形成すると、m>n>0の範囲内で適宜設定することが可能である。
第3の層(7)を構成する第1の領域(13)及び第2の領域(14)を印刷するインキは、一般の商業印刷に用いるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(Bk)のプロセスインキや、更にはプロセスインキを除く特殊な色を有する特色インキがある。インキの種別としては、オフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ及びインクジェットプリンタ用インク等がある。
(各画像の観察原理)
各層の構成及び積層状態における位置関係等について説明したところであるが、ここで、前述した各層の構成及び位置関係における本発明の可視画像(3)及び第一の潜像画像(4)の視認原理について説明する。
まず、可視画像(3)及び第一の潜像画像(4)を視認するために必要となる観察位置について説明する。前述のとおり、第3の層(7)における潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、可視光源下の拡散光領域においては、等色で視認されることで、肉眼では、潜像部(15)(実際には、潜像部(15)から視認される第1の層(5))を視認することができず、反対に、可視光源下の正反射光領域においては、肉眼で潜像部(15)を視認可能とするように構成する。一般的に物体の色は、光源及び観察環境(温度)、物体の分光反射率等により決定される。これらの観察条件により視認する色の感じ方は、それぞれ異なるが、本発明においての観察条件は、一定の条件であるものとする(例えば、観察条件:光源がD65で観察環境が20℃)。
図8は、本発明に関わる印刷物(1)を、定位置の可視光源(R)に対して、観察角度を拡散光領域及び正反射光領域で観察した際の可視光源(R)、視点(E1、E2)及び印刷物(1)の三つの位置関係を示した図である。可視光源(R)と視点(E1)と印刷物(1)が図8(a)に示す位置関係にあるとき、拡散光領域で観察したこととなる。また、可視光源(R)と視点(E2)と印刷物(1)が図8(b)に示す位置関係にあるときは、正反射光領域で観察したこととなる。
次に、観察角度の変化により、第3の層(7)における潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)との色差ΔEが所定の値変化する原理について説明する。前述のとおり、本発明における拡散光領域とは、定位置の可視光源からの入射光角度が45°の場合において、受光角度が−10〜10°となる領域であり、正反射光領域とは、定位置の可視光源からの入射光角度が45°の場合において、受光角度が35〜55°となる領域のことである。印刷物(1)において、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、図9(a)に示す拡散光領域の位置関係では等色であり、肉眼では、それぞれの領域を区別することができず、可視画像(3)のみが視認される。
反対に、図8(b)に示す正反射光領域において、少なくとも印刷領域(2)の第1の層(5)は、観察角度を変化させることで、色が変化する材料を用いて形成しているため、観察角度を可視光源に対して拡散光領域から正反射光領域へ変化させることで、明度及び/又は色が変化し、第3の層(7)における潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)との色差ΔEが所定の値変化する。よって、潜像部(15)は、視認可能となり、複数配置された潜像部(15)によって形成された第一の潜像画像(4)が視認可能となる。
図9(a)は、拡散光領域における第3の層(7)の潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEを示すグラフであり、図9(b)は、正反射光領域における潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEを示すグラフである。なお、図9における網点構成は、図5(b)に示した構成と同じとする。
測定サンプルは、まず、測定サンプルA(4×4cm)として、第1の領域(13)を解像度600dpi(以下、同じ解像度のものとする。)で30×30ピクセルに相当する面積及び第2の領域(14)を6×6ピクセルに相当する面積とし、YMCの色成分により、第2の領域(14y、14m及び14c)として、第1の層(5)である基材(株式会社竹尾製、オフメタルN 銀 165kg)上に、第2の層(6)として第2の隠蔽領域(11)におけるくり抜き部(9)の面積率を100%(第2の隠蔽領域(11)が全てくり抜き部(9)になっている状態)とし、白インク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト)を用いて、インクジェット印刷により第1の隠蔽領域(10)のみを隠蔽面積率100%(ベタ印刷)とし、第3の層(7)として第1の領域(13)を印刷せずに第2の領域(14)の第1のカムフラージュ部(16)の面積率を0%とし、YMCの色成分による三つの第2の領域(14y、14m及び14c)をプロセスインク(東洋インキ製造株式会社製、LIOJET FV03 シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)を用いて、インクジェット印刷により作製した。
また、測定サンプルB(4×4cm)は、第1の領域(13)を30×30ピクセルに相当する面積、第2の領域(14)を6×6ピクセルに相当する面積とし、YMCの色成分により、第2の領域(14y、14m及び14c)として、第1の層(5)である基材(株式会社竹尾製、オフメタルN 銀 165kg)上に、第2の層(6)として第2の隠蔽領域(11)におけるくり抜き部(9)の面積率を0%(第2の隠蔽領域(11)にくり抜き部(9)がない状態)とし、白インク(東洋インキ製造株式会社製、LIOJET FV03 ホワイト)を用いて、インクジェット印刷により第1の隠蔽領域(10)及び第2の隠蔽領域(11)を隠蔽面積率100%(ベタ印刷)し、第3の層(7)として第1の領域(13)を印刷せずに第2の領域(14)の第1のカムフラージュ部(16)の面積率を100%とし、YMCの色成分による三つの第2の領域(14y、14m及び14c)をプロセスインク(東洋インキ製造株式会社製、LIOJET FV03 シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)を用いて、インクジェット印刷により作製した。
図9(a)に示した拡散光領域における潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEを示すグラフと、図9(b)に示した正反射光領域における潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEは、変角分光光度計GSP−2型((株)村上色彩技術研究所製。以下「測定装置」という。)を用いて、測定サンプルA及び測定サンプルBのL*の値、a*の値、及びb*の値を測定し、得られた値から色差ΔEを算出した。なお、測定サンプルA及び測定サンプルBは、第3の層(7)として第1の領域(13)を印刷していないため、測定サンプルA(第1のカムフラージュ部(16)の面積率を0%すなわち潜像部(15)の面積率を100%)及び測定サンプルB(第1のカムフラージュ部(16)の面積率を100%)との色差ΔEを、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)との色差ΔEとして表記する。
ただし、図8(a)に示した拡散光領域を意味する位置関係を測定装置上で再現するために、各測定サンプルに対する可視光源の入射光を45゜に固定し、受光角度を−10゜から10゜まで変化させて測定した。また、図8(b)に示した正反射光領域を意味する位置関係を測定装置上で再現するために、各測定サンプルに対する可視光源の入射光を45゜に固定し、受光角度を35゜から55゜まで変化させて測定した。なお、測定装置の校正は、標準白色板4020Aを用いて、入射光角度45゜及び受光角度0゜である、すなわち、標準白板に対して完全拡散面により校正を実施した。
図9(a)に示したように、拡散光領域においては、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEは、いずれの受光角度においても0.15〜0.31と相対的に小さい値を示している。前述したとおり、色差ΔEが6未満であれば等色であることから、拡散光領域においては、常に潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は等色といえる。よって、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、肉眼で識別することが困難であり、その結果、可視画像(3)内に形成された第一の潜像画像(4)は視認することができない。
反対に、図9(b)に示した正反射光領域においては、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEが、6.64を示す受光角度が存在する。拡散光領域(例えば、受光角度0°)における、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEが0.22に対して、正反射光領域(例えば、受光角度45°)における、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)の色差ΔEは6.64である。つまり、観察角度を拡散光領域から正反射光領域へ変化させることで、色差ΔEは、0.22から6.64へと、6.42変化する。よって、色差ΔEが5以上変化することで、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、肉眼で識別することが可能となり、その結果、可視画像(3)内に形成された第一の潜像画像(4)を視認することが可能となる。
なお、印刷物(1)を傾けることにより、拡散光領域と正反射光領域は切り替えられる。つまり、印刷物(1)を傾けることで、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、肉眼で識別することが可能となる。その結果、可視画像(3)内に形成された第一の潜像画像(4)を視認することが可能となる。
(本発明における可視画像の視認原理)
さらに、詳細に可視画像が視認される原理を説明する。図10は、本発明に関わる印刷物(1)に形成された印刷領域(2)を、定位置の可視光源(R)下の拡散光領域において、肉眼で視認した場合の平面図及び一部拡大図を示す模式図である。印刷領域(2)は、可視光源(R)下の拡散光領域において、図10(b)に示した一部拡大図のように、第1の網点部(13a)が視認可能となり、逆に、第3の層(7)における潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、等色として視認されるため、それぞれの領域を区別することはできない。したがって、潜像部(15)によって形成される第一の潜像画像(4)を視認することはできず、図10(a)に示した可視画像(3)のみが視認される。
図10(c)は、可視画像(3)が視認されるときの印刷物(1)、光源(R)及び視点との関係を示す模式図である。印刷物(1)を可視光源(R)下の拡散光領域において、肉眼で視認した際には、まず、第1の領域(13)において、可視光源(R)からの入射光(R1)によって、正反射光(R2)と拡散光(R3)が生じ、拡散光領域では、拡散光(R3)が得られる。
第2の領域(14)においては、可視光源(R)からの入射光(R1)によって、正反射光(R4)と拡散光(R5)が生じ、拡散光領域では、拡散光(R5)が得られる。また、第2の領域(14)は、潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)で構成されていることから、双方に対してそれぞれ正反射光(図示せず)と拡散光(図示せず)が得られる。潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、可視光源下の拡散光領域で観察したときに等色となるように形成されていることから、それぞれの領域における拡散光の差異は、肉眼では視認することができない。
本発明における第3の層(7)を構成する網点構成において第1の領域(13)は、第2の領域(14)より面積を大きく構成する。したがって、可視光源下における拡散光領域においては、第1の領域(13)が、第2の領域(14)よりも支配的に観察される。また、前述のとおり第2の領域(14)における潜像部(15)及び第1のカムフラージュ部(16)は、可視光源下の拡散光領域で観察したときに等色となるように形成されていることから、潜像部(15)によって形成されている第一の潜像画像(4)を視認することはできず、可視画像(3)のみが視認可能となる。
(本発明における第一の潜像画像の視認原理)
次に、第一の潜像画像(4)が視認される原理の詳細を説明する。図11は、本発明に関わる印刷物(1)に形成された印刷領域(2)を、定位置の可視光源(R)下の正反射光領域において、肉眼で視認した場合の平面図及び模式図である。印刷領域(2)は、可視光源(R)下の正反射光領域において、図11(b)に示した一部拡大図のように、潜像部(15)(第2の層(6)のくり抜き部(9)に対応した位置)は、肉眼で視認可能となる。つまり、第一の潜像画像(4)を視認することが可能となる。特に、本発明では、第2の領域(14)が、YMCのそれぞれの色成分から成るため、第一の潜像画像(4)は、色彩を有したフルカラーの画像として視認することができることが特徴である。
これは、拡散光領域において等色となって区別することができなかった第2の領域(14)における潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)が、正反射光領域においては、潜像部(15)の下部に当たる第1の層(5)の色が変化し、その上の層のくり抜き部(9)を介して第3の層(7)の潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)との色差ΔEが所定の値変化し、同じ第2の領域(14)内において、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)とを肉眼で区別することが可能となったからである。
図11(c)は、第一の潜像画像(4)が視認されるときの印刷物(1)、光源(R)及び視点との関係を示す模式図である。印刷物(1)を可視光源(R)下の正反射光領域において肉眼で視認した際には、まず、第1の領域(13)においては、可視光源(R)からの入射光(R1)によって、正反射光(R2)と拡散光(R3)が生じ、正反射光領域では、正反射光(R2)が得られる。
また、第一の潜像画像(4)を形成する潜像部(15)では、正反射光(R4)と拡散光(R5)が生じ、正反射光領域では、強い正反射光(R4)が得られる。さらに、第2の領域(14)内の第1のカムフラージュ部(16)では、正反射光(R6)と拡散光(R5)が生じ、正反射光領域では、正反射光(R6)が得られる。
したがって、潜像部(15)の正反射光(R4)は、第1の領域(13)及び第1のカムフラージュ部(16)の正反射光(R2、R6)よりも強くなり、その光沢値の差異によって第2の領域(14)内で高い色差ΔEが生じ、第一の潜像画像(4)として視認することが可能となる。よって、可視光源下の正反射光領域においては、印刷物(1)の印刷領域(2)を観察した場合に、第一の潜像画像(4)を視認することができる。
(第1の実施形態の変形例)
次に第1の実施形態の変形例について説明するが、第1の層(5)及び第2の層(6)については、第1の実施形態と同様であるため省略することとし、併せて第3の層(7)の一部についても、第1の実施形態と重複するところは省略することとする。
第1の実施形態の変形例では、第1の実施形態と異なるところとして、図12(a)及び(b)に示すように、第2の領域(14)が潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)とで異なる2色の有色の色材により形成されているところである。ただし、潜像部(15)については、前述のとおり、くり抜き部(9)を介して第1の層(5)の光沢を視認することができない構成としなければならないため、透過率20%以上100%以下の範囲で形成する。この範囲よりも低いと、最下層の第1の層(5)の光沢を視認することができなくなる。
また、拡散光領域においては、第一の潜像画像(4)を視認不可能とするため、第1のカムフラージュ領域(16)と潜像部(15)は、等色となるように形成する。
第1の実施形態の変形例における層構成を図示したものが図13である。図13(a)及び(b)に示すように、第2の層(6)のくり抜き部(9)と、その上に形成する第3の層(7)の潜像部(15)は、同じ位置に配置され、同様に、第2aの隠蔽部(12)と、第1のカムフラージュ部(16)は、同じ位置に配置される。
図13に示した層構成とすることで、第1の実施形態と同様に、可視光源下における拡散光領域では、異なる2色の有色インキで形成された潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、等色として視認されるために、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、区別することができず、第3の層(7)の第1の領域(13)によって形成された可視画像(3)のみが視認され、印刷物(1)を傾けて正反射光領域としたときに、透過率の高い潜像部(15)とくり抜き部(9)を介して第1の層(5)が視認されることで、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)に色差が生じ、この潜像部(15)が複数配置されたことにより形成された第一の潜像画像(4)を視認することが可能となる。
以上説明したとおり、第1の実施形態の変形例では、第3の層(7)における第2の領域(14)において、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)を異なる2色のインキで形成することとするが、潜像部(15)の透過率を20%以上100%以下の範囲で形成すること、かつ、拡散光領域において、第一の潜像画像(4)を視認不可能とするため、第1のカムフラージュ領域(16)と潜像部(15)は、等色となるように形成することが重要となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の別の形態について説明するが、第1の層(5)及び第3の層(7)については、第1の実施形態及び変形例と同様であるため省略することとし、併せて、第2の層(6)の一部についても第1の実施形態と重複するところは省略することとする。なお、第3の層(7)における第2の領域(14)については、第1の実施形態で説明したような1色で形成したこととして説明する。
第2の実施形態では、前述までの実施形態と異なるところとして、第2の層(6)においてくり抜き部(9)を形成せず、第2aの隠蔽部(12)よりも隠蔽面積率の低い面積率の第2bの隠蔽部(17)を形成することで、隠蔽面積率及び透過率の差異により、潜像部(15)を形成するところである。
まず、第2の層(6)における層構成について、図14を用いて説明する。第2の層(6)は、第1の実施形態及び変形例と同様に、第1の層(5)の光沢を隠蔽する役割を担っているため、白インキを用いて形成する。ただし、前述までの実施形態におけるくり抜き部(9)に該当する箇所にも、図14(c)に示すように白インキを印刷することとするが、第1の隠蔽領域(10)及び第2aの隠蔽部(12)の隠蔽面積率よりも低い隠蔽面積率によって形成することとし、この領域を、第2bの隠蔽部(17)と定義する。
したがって、第2の層(6)を構成している第1の隠蔽領域(10)、第2aの隠蔽部(12)及び第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率の関係は、第1の隠蔽領域(10)≧第2aの隠蔽部(12)>第2bの隠蔽部(17)となる。ただし、第2bの隠蔽部(17)は、正反射光領域において下層の第1の層(5)の光沢を伴わせる必要があるため、隠蔽面積率については、0%以上100%未満の範囲とする必要がある。
また、第1の隠蔽領域(10)及び第2aの隠蔽部(12)は、正反射光領域において下層の第1の層(5)の光沢を抑える必要があるため、隠蔽面積率については、0%よりも大きく、100%以下の範囲とする必要がある。なお、前述のとおり、第2bの隠蔽部(17)は、白インキを印刷することで、第1の実施形態及び変形例におけるくり抜き部(9)と区分けして定義しているが、第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率を0%としてもよい。例えば、第1の実施形態と同様に、第1の隠蔽領域(10)の隠蔽面積率を100%、第2aの隠蔽部(12)の隠蔽面積率を100%、第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率を0%としてもよい。なお、第2の層(6)の透過率(例えば、白インキで形成した隠蔽面積率100%の第2の層(6)の光透過率)によって、前述の第1の隠蔽領域(10)、第2aの隠蔽部(12)及び第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率の適正範囲は異なるため、前述の適正範囲に限定するものではない。
第2bの隠蔽部(17)を、第1の隠蔽領域(10)及び第2aの隠蔽部(12)よりも隠蔽面積率を低くすることにより、前述のとおり、正反射光領域において第1の層(5)における光沢が視認されることとなるため、第2bの隠蔽部(17)を複数配置することで、第一の潜像画像(4)を形成することとなる。なお、第1の隠蔽領域(10)、第2aの隠蔽部(12)及び第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率を0%若しくは0%に近似した設定である、すなわち、第2の層(6)を略除いた設定とした場合でも、印刷物として第2bの隠蔽部(17)の光沢が第1の領域(13)及び第2の領域(14)よりも高ければ、正反射光領域における第一の潜像画像(4)は視認可能である。しかし、第1の隠蔽領域(10)及び第2aの隠蔽部(12)と第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率が近似すると、正反射光領域における第一の潜像画像(4)の視認性が低下するおそれもあるので、第1の隠蔽領域(10)、第2aの隠蔽部(12)及び第2bの隠蔽部(17)の隠蔽面積率を適宜設定する必要がある。
第2の層(6)をこのような構成とすることで、第2bの隠蔽部(17)が他の隠蔽領域よりも隠蔽面積率が低いため、正反射光領域では、第1の層(5)の反射光の強度が他の隠蔽領域よりも大きくなり、第3の層(7)の第2の領域(14)内において、第2の層(6)の第2bの隠蔽部(17)に相当する領域が第1の層(5)の反射光(光沢)により、第1の実施形態で説明した第一の潜像画像(4)を形成するための潜像部(15)となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の別の形態について説明するが、第1の層(5)、第2の層(6)及び第3の層(7)の三つの層構成自体は、前述の第1の実施形態、変形例及び第2の実施形態と同様であるため、重複するところは省略することとする。
第1の実施形態、変形例及び第2の実施形態では、拡散反射光領域で視認可能な可視画像(3)と正反射光領域で視認可能な第一の潜像画像(4)を形成するものであったが、本第3の実施形態では、更に赤外線光源下において視認可能となる第二の潜像画像(18)を形成するものである。
第3の実施形態における印刷物(1)については、外観上、図1と同様である。ただし、形成されている画像については、図15(a)及び(b)に示すように、第1の実施形態、変形例及び第2の実施形態で説明した拡散反射光領域で視認可能な可視画像(3)及び正反射光領域で視認可能な第一の潜像画像(4)と、図15(c)で示すように、本実施形態で新たに加えられた赤外線光源下で視認可能となる第二の潜像画像(18)の三つである。
この第二の潜像画像(18)を形成するには、第3の層(7)において前述までの実施形態とは異なる構成とする必要があり、以下、第3の層(7)の構成について説明する。なお、第1の層(5)及び第2の層(6)については、前述までの実施形態と同様であり、特に第2の層(6)については、くり抜き部(9)を有する形態とした。
第3の層(7)における印刷領域(2)の一例を示したのが図16(a)であり、その一部拡大図が図16(b)である。図16(b)に示すように、基本の網点構成は、前述した第1の実施形態、変形例及び第2の実施形態と同様であり、第1の領域(13)を囲むように第2の領域(14)が隙間なく配置されている。ここで、前述の実施形態と異なるところとして、第1の領域(13)内又は第2の領域(14)内に別の第3の領域(19)が配置されているところである。
図16(c1)は、可視画像(3)及び第1の領域(13)の一例を示す図である。第1の領域(13)は、可視光源下における反射光(拡散光)下において視認可能な可視画像(3)を形成する領域である。可視画像(3)を形成するための構成については、既に説明したため省略するが、本実施形態における第二の潜像画像(18)は、赤外線光源下において視認可能となるため、第1の網点部(13a)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材(特に、有色インキ)を用いて形成する。第1の網点部(13a)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材によって形成することで、赤外線カメラ等の特殊な鑑定装置を用いて観察した場合においては、可視画像(3)を視認することができなくなる。
なお、赤外線吸収色素を含まない有色の色材は、赤外線吸収特性を有さなければ特に限定されず、公知のグラビアインキ、スクリーンインキ及びプロセスインキ等を使用することができる。例えば、一般的な基本4色インキのうち、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)は、赤外線を吸収しない性質を持っており、これら3色を重ね合わせたもので黒色系を表現すれば、赤外線を吸収しない色素と同様な効果が得られる。また、赤外線透過特性を有する黒インキとして、クロモファインブラックインキ(大日精化工業株式会社製)やインクジェットプリンタ用の染料系インク(例えば、Canon製染料系ブラックインク等)を使用することもできる。
図16(c2)は、第一の潜像画像(4)及び第2の領域(14)の一例を示す図である。第2の領域(14)は、可視光源下における反射光(正反射光)下において視認可能な第一の潜像画像(4)を形成する領域である。この構成についても前述してあるため、省略する。なお、本実施形態では、一つの第1の領域(13)を囲む四つの第2の領域(14)について、YMCの三つの色成分のうち、一つの色成分により二つの第2の領域(14)を形成し、残りの二つの第2の領域(14)については、残りの二つの色成分から成る第2の領域(14)を形成した形態とした。
図16(c3)は、第二の潜像画像(18)及び第3の領域(19)の一例を示す図である。第3の領域(19)は、図16(c3)に示した、赤外線光源下において視認可能な第二の潜像画像(18)を形成する領域であり、第3の網点部(19a)及び第2のカムフラージュ部(19b)により構成され、第1の領域(13)内に配置されている。第二の潜像画像(18)は、第3の領域(19)における第3の網点部(19a)と第2のカムフラージュ部(19b)との面積比率に応じて、複数配置された第3の領域(19)により階調を付与することが可能となる。第3の領域(19)において、第3の網点部(19a)は、赤外線吸収色素を含む有色の色材を用いて形成する。
なお、赤外線吸収色素を含む有色の色材には、カーボンブラックを主体としたブラック(Bk)がある。ただし、赤外線吸収特性を有する有色の色材であればこれに限定しない。例えば、赤外領域に吸収を持つ有機色素として、ポリメチレン系、フタロシアニン系、アゾ系及びアントラキノン系等の化合物が挙げられ、無機系の赤外線吸収剤として、アンチモンドープ酸化錫や錫ドープ酸化インジウムが挙げられる。
第3の領域(19)において、第2のカムフラージュ部(19b)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて、第3の網点部(19a)と等色に形成する。前述のとおり、本発明における等色とは、可視光源下の反射光(拡散光)下で観察した際に、肉眼で等しい色に視認される色を指し、具体的には、色差ΔEが6未満の色とする。なお、メタメリズムの関係により、可視光源下の反射光(拡散光)下において観察した際に、肉眼で等しい色に視認された色が、特定の光源下の反射光(拡散光)下において観察した際に、異なる色で視認された場合においても、本発明においては、第2のカムフラージュ部(19b)及び第3の網点部(19a)は、等色に形成されていることとする。
第3の網点部(19a)については、赤外線吸収色素を含む有色の色材を用いて形成し、第2のカムフラージュ部(19b)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて、第3の網点部(19a)と等色に形成することで、可視光源下においては、第3の網点部(19a)及び第2のカムフラージュ部(19b)は、等色として視認される。そのため、第3の領域(19)は、均一な平網状態となり、肉眼では、第二の潜像画像(18)を認識することはできないが、赤外線カメラ等の特殊な鑑定装置を用いて観察した場合においては、第二の潜像画像(18)を視認することが可能となる。
第3の網点部(19a)及び第2のカムフラージュ部(19b)は、第3の領域(19)内に重畳又は毛抜き合わせにより形成することが可能であるが、本発明においては重畳により形成することが好ましい。毛抜き合わせにより形成した際には、高い刷り合せ精度が要求される。刷り合わせ精度が低い際には、第3の網点部(19a)の周囲に被印刷部が発生する。それにより、可視光源下において、第3の領域(19)は、均一な平網状態とはならず、肉眼で第二の潜像画像(18)が視認可能となるおそれがある。
以上の第3の層(7)の構成を用いた状態で三つの層により印刷領域(2)を構成した状態を示した図が図17(a)であり、図17(a)におけるY1−Y2断面図が図17(b)である。第1の実施形態において図7を用いて説明した構成に、前述の第3の領域(19)が加わった構成となっている。なお、本第3の実施形態は、第3の網点部(19a)を、赤外線吸収色素を含む色材で形成するため、第2の層(6)については、赤外吸収色素を含まないことが必要となる。仮に、第2の層(6)が赤外線吸収色素を含むような場合、赤外線光源下において、第3の網点部(19a)で形成した第二の潜像画像(18)を視認することができなくなる。
さらに、隠蔽材料により形成された第2の層(6)は、赤外線領域での透過率が80%以下であることが好ましい。第2の層(6)の赤外線領域での透過率が80%以上となった場合には、第3の実施形態により得られた印刷物を赤外線光源下において観察した際、基材(8)を隠蔽する第2の層(6)が透過し、第1の領域(13)、第2の領域(14)及び第3の領域(19)は、全て透過して基材(8)が観察される。そのため、基材が赤外線吸収色素を含んでいる場合、濃度が高く(黒っぽく)観察される。したがって、第3の網点部(19a)を、他の領域と識別することができず、その結果、赤外線光下において観察可能な第二の潜像画像(18)を視認することができなくなってしまうため、第2の層(6)の赤外線領域での透過率を80%以上とすることは、好ましくない。
図18は、本発明に関わる白インキ及びマゼンタインキの分光透過率の一例を示すグラフである。図18における(a)は、本発明における隠蔽材料の分光透過率であり、測定サンプルとして、白インキ(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト)を用いてインクジェット印刷により、無色(透明)のPETフィルムにベタ印刷を施したものを用いた。図18における(b)は、本発明における隠蔽材料の分光透過率であり、測定サンプルとして、白インキ(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト)を用いてインクジェット印刷により、PETフィルムに図18における(a)に示したサンプルに対し印刷濃度を下げて印刷を施したものを用いた。
図18における(c)は、本発明における赤外線吸収色素を含まない色材の分光透過率であり、測定サンプルとして、マゼンタインキ(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 マゼンタ)を用いてインクジェット印刷により、PETフィルムにベタ印刷を施したものを用いた。なお、図18に示した分光透過率は、各測定サンプルの分光透過率から、基材である無色(透明)のPETフィルム単体の分光透過率を除算したものを示しており、分光透過率は、自記分光光度計(HITACHI製 U−4000形)を用いて測定した。
760〜800nmの赤外線領域において、分光透過率の変化をそれぞれ比較すると、隠蔽材料(a)における分光透過率は、いずれの領域においても50%程度と略一定である。印刷濃度を下げて印刷した隠蔽材料(b)における分光透過率は、赤外線領域において80%程度とベタ印刷した隠蔽材料(a)と比べると高い値となっている。赤外線吸収色素を含まない赤外線透過材料(c)は、赤外線領域においては、95%程度とベタ印刷した白インキ(a)及び印刷濃度を下げて印刷した白インキ(b)に比べ、高い値となっている。なお、同一の波長においては、赤外線吸収色素を含まない色材の場合、分光透過率の低い方が、濃度が高く(白っぽく)視認され、反対に分光透過率の高い方が、濃度が低く(透明っぽく)視認される。なお、赤外線カメラを用いて観察した際には、隠蔽材料(a)は白く、印刷濃度を下げて印刷した隠蔽材料(b)は淡い白に、また、赤外線透過材料(c)は略透明に観察された。
第2の領域(14)において、第1のカムフラージュ部(16)は、拡散反射光領域において潜像部(15)と等色であり、潜像部(15)の周囲に赤外線吸収色素を含む有色の色材か、又は含まない有色の色材を用いて形成する。前述のとおり、潜像部(15)は、隠蔽材料を施さないくり抜き部(9)を介して、基材(8)である光輝性材料を一部露出させることにより形成されている。このため、基材(8)が赤外線吸収色素を含んでいる場合、第1のカムフラージュ部(16)は、赤外線吸収色素を含む有色の色材で形成する必要があり、基材(8)が赤外線吸収色素を含まない場合、第1のカムフラージュ部(16)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材で形成する必要がある。これは、第二の潜像画像(18)を赤外線カメラ等の装置で観察した際に、第二の潜像画像(18)の視認性に影響を及ぼすからである。
基材(8)が赤外線吸収色素を含む場合及び含まない場合である、第1のカムフラージュ部(16)を形成する有色の色材が赤外線吸収色素を含む場合及び含まない場合の第二の潜像画像(18)の観察画像の違いについては、後述する。
第3の実施形態の網点構成におけるそれぞれの領域の面積(縦×横)は、第1の領域(13)をm×mで形成し、第2の領域(14)をn×nで形成し、第3の領域(19)をk×kで形成したとすると、m>n>0及びm>k>0の範囲内で適宜設定することが可能である。好ましくは、第1の領域(13)をm×m(m≧2、mは整数)、第3の領域(19)をk×k(k≧1、kは整数)、第2の領域(14)をn×n(n≧1、nは整数)で形成し、更に第1の領域(13)の面積が、第2の領域(14)及び第3の領域(19)の面積の和よりも大きい(m2>n2+k2)ことが好ましい。第1の領域(13)の面積が、第2の領域(14)及び第3の領域(19)の面積の和よりも小さい場合には、可視光源下の反射光(拡散光)下で観察した際に、第2の領域(14)及び第3の領域(19)がノイズとなり、可視画像(3)の視認性を低下させ好ましくない。
図19は、本発明に関わる第1の層(5)の基材(8)、第2の層(6)を形成する隠蔽材料、赤外線吸収色素を含まないインキ及び赤外線吸収色素を含むインキの分光反射率の一例を示すグラフである。図19における(a)は、本発明における基材(8)の分光反射率であり、測定サンプルとして赤外線吸収色素を含まないアルミ蒸着により、紙基材の上に形成したもの(株式会社竹尾製、オフメタルN 銀 165kg)を用いた。図19における(b)は、本発明における第2の層(6)の分光反射率であり、測定サンプルとして、白インク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト)を用いてインクジェット印刷により、前述のPETフィルムにベタ印刷を施したものを用いた。図19における(c)は、本発明における赤外線吸収色素を含まない色材の分光反射率であり、測定サンプルとしてマゼンタインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 マゼンタ)を用いてインクジェット印刷により、PETフィルムにベタ印刷を施したものを用いた。図19における(d)は、本発明における赤外線吸収色素を含む色材の分光反射率であり、測定サンプルとしてブラックインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ブラック)を用いてインクジェット印刷により、PETフィルムにベタ印刷を施したものを用いた。
なお、図19に示した分光反射率は、自記分光光度計(HITACHI製、U−4000形)を用いて測定した。
400〜760nmの可視光領域と、760〜800nmの赤外線領域において、分光反射率の変化をそれぞれ比較すると、基材(a)における分光反射率は、可視光領域では85%前後であり、赤外線領域では80%前後である。白インク(b)における分光反射率は、可視光領域の短波長を除き、可視光領域及び赤外線領域のいずれの領域においても基材(a)に比べ高い反射率を示している。また、マゼンタインク(c)における分光反射率は、赤外線領域においては、95%前後と略一定である。ブラックインク(d)における分光反射率は、赤外線領域においては、5%前後と略一定である。なお、同一の波長においては、分光反射率が高い方が、濃度が低く(白っぽく)視認され、反対に分光反射率が低い方が、濃度が高く(黒っぽく)視認される。なお、赤外線カメラを用いて観察した際には、基材(a)はやや黒く、マゼンタインク(c)は、白っぽく(略透明)、白インク(b)は白く、ブラックインク(d)は黒く観察された。
(第二の潜像画像の視認原理)
図20は、本発明に関わる第3の実施形態の網点構成により形成した印刷物(1)の印刷領域(2)を、赤外線カメラを介して観察した状態(以下「赤外線光源下」という。)の平面図及び模式図である。図20を用いて、赤外線光源下における第二の潜像画像(18)の観察原理について説明する。図20(a2)に示すように、赤外線光源下で印刷領域(2)を観察した場合、第3の層(7)の下層となる第2の層(6)は、白インキを用いて構成されているため、前述のとおり白く観察される。また、第1の領域(13)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて構成されているため、白く観察される。
潜像部(15)が赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて形成されている場合は、下層である第2の層(6)のくり抜き部(9)を介して基材(8)が観察され、基材にアルミ蒸着により紙基材の上に形成したものを用いた場合、前述のとおり赤外線領域において分光反射率が80%程度であり、若干黒く観察される。また、基材(8)が赤外線吸収色素を含む場合も黒く観察される。同様に、潜像部(15)が、赤外線吸収色素を含む有色の色材を用いて形成されている場合も黒く観察される。そのため、第1のカムフラージュ部(16)は、赤外線光源下において観察した場合に潜像部(15)と同程度の濃度になるようにする必要があり、適宜赤外線吸収色素を含む有色の色材を用いて形成することになる。この場合、赤外線領域において観察した際に、第1のカムフラージュ部(16)は、若干黒く観察される。
つまり、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、赤外線領域において若干黒っぽく観察される。よって、第2の領域(14)は、図20(a1)及び図20(a2)に示すように、一様な濃度を有するベタ領域(20)として観察される。つまり、潜像部(15)で構成された第一の潜像画像(4)は、観察されない。また、第3の網点部(19a)は、赤外線吸収色素を含む有色の色材で形成されており、前述のとおり赤外線領域において黒っぽく観察される。一方、第2のカムフラージュ部(19b)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材で形成されており、前述のとおり赤外線領域において白っぽく観察される。よって、赤外線光源下において観察した場合、第2の領域(14)で構成された一様な濃度のベタ領域(20)を背景として第3の網点部(19a)で構成された第二の潜像画像(18)を観察することができる。
なお、前述のとおり赤外線光源下においては、基材(8)に赤外線吸収色素を含む光輝性材料を用いた場合、ベタ領域(20)も観察可能であるが、本発明における第二の潜像画像(18)は、第3の領域(19)により形成された画像のみをいう。
基材(8)が赤外線領域において若干黒く観察される場合や、潜像部(15)が、赤外線吸収色素を含む有色の色材を用いて形成されている場合について、図20を用いて説明したが、次に、基材(8)に赤外線吸収色素を含まず、赤外線領域において分光反射率が高く(90%以上)、潜像部(15)が、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて形成されている場合について、図21を用いて説明する。
図21は、本発明に関わる第3の実施形態の網点構成により形成した印刷物(1)の
印刷領域(2)を、赤外線光源下において観察した場合の平面図及び模式図である。図21を用いて、赤外線光源下において第二の潜像画像(18)が観察可能となる原理について説明する。図21(a2)に示すように、赤外線光源下において印刷領域(2)を観察した場合、第3の層(7)の下層となる第2の層(6)は、白インキを用いて構成されているため、前述のとおり白く観察される。また、第1の領域(13)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて構成されているので白く観察される。
潜像部(15)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて形成されており、基材(8)も赤外線吸収色素を含まず、赤外線領域において分光反射率が高い(90%以上)ことから、赤外線領域において白っぽく観察される。これに伴い、第1のカムフラージュ部(16)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材を用いて形成する必要があり、赤外線領域において観察した際に、白っぽく観察される。
つまり、潜像部(15)と第1のカムフラージュ部(16)は、赤外線領域において白っぽく観察される。よって、第2の領域(14)は、図21(a1)及び図21(a2)に示すように、ベタ領域(20)は観察されず、一様な白い画像として観察される。つまり、潜像部(15)で構成された第一の潜像画像(4)は、観察されない。また、第3の網点部(19a)は、赤外線吸収色素を含む有色の色材で形成されており、前述のとおり赤外線領域において黒っぽく観察される。一方、第3のカムフラージュ部(19b)は、赤外線吸収色素を含まない有色の色材で形成されており、前述のとおり赤外線領域において白っぽく観察される。よって、赤外線光源下において印刷物(1)を観察した場合、第3の網点部(19a)で構成された第二の潜像画像(18)を観察することができる。
本発明の第3の層(7)の第1の領域(13)により形成する可視画像(3)、潜像部(15)により形成する第一の潜像画像(4)及び第3の網点部(19a)により形成する第二の潜像画像(18)は、文字、数字、記号、絵柄及び風景等を適宜設定することが可能であるが、第一の潜像画像(4)については、文字、数字、記号及び絵柄等の場合、ポジ画像で形成することが好ましく、人物や風景等の場合には、ネガ画像で形成することが好ましい。
また、前述の説明では、くり抜き部(9)、第1の網点部(13a)、第2bの隠蔽部(17)及び第3の網点部(19a)は、形状として円形を用いており、また、第1の隠蔽領域(10)、第2の隠蔽領域(11)、第1の領域(13)、第2の領域(14)及び第3の領域(19)は、形状として四角形を用いていたが、円形や四角形に限定されるものではなく、三角、多角形等の形状、ランダムな形状又は本出願人が出願した特許第3478474号公報で開示している自由度のある網点形状を用いてもよい。
また、前述の説明では、第一の潜像画像(4)の原画像をYMCのそれぞれの色成分に色分解したが、RGBカラーモードのRGBの各色成分で色分解し、第2の領域(14)をRGBの三つの色成分で構成し、各領域をYMCプロセスインキで構成するか、又はRGBインキで構成してもよい。同様に、第一の潜像画像(4)の原画像を2色で色分解し、2色の特色インキで第2の領域(14)をそれぞれ構成してもよい。
また、第3の実施形態において、第1の実施形態の変形例にて説明した第2の領域(14)の配置及び第2の実施形態にて説明したようなくり抜き部を形成せずに、第2の隠蔽領域(11)を第2aの隠蔽部(12)及び第2bの隠蔽部(17)によって構成した形態としてもよい。
本網点構成を形成する材料としては、公知のグラビアインキ、スクリーンインキ、プロセスインキ及びインクジェットプリンタ用インク等を使用することができる。
第1の層(5)、第2の層(6)及び第3の層(7)をそれぞれ形成する方法としては、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、金属蒸着、ホットスタンプ及びコールドスタンプ等、特に限定されるものではない。
以下、本発明における潜像画像を有する印刷物について、実施例を用いて詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的な範疇であれば、適宜、変更が可能なことはいうまでもない。
実施例1として、図1(a)に示すように、左下部に本発明における印刷領域(2)を形成した商品券(1)を作製した。この商品券(1)を可視光源下における拡散光領域で観察すると、印刷領域(2)は、図2(a)に示したゴシック体の「NPB」が視認され、商品券(1)を傾けて正反射光領域で視認すると、印刷領域(2)は、図2(b)に示した明朝体の「NPB」をフルカラー画像として視認することができるものである。
本実施例1における商品券(1)の基材(8)は、インクジェットプリンタ用写真用紙(EPSON製 写真用紙 光沢)を用い、この基材(8)上の印刷領域(2)に当たる領域に、金インキ(日本ペイント株式会社製 金コロイドインキ)を用いて、インクジェットプリンタ(EPSON製 PX−G930)により、網点面積率100%(ベタ)の第1の層(5)を形成した。
次に、金インクにより形成した印刷領域(2)上に、白インク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト)を用いて、インクジェット印刷装置(株式会社トライテック製 Patterning JET)により印刷を行い、図4に示すような、第1の層の金インクの光沢を抑えるための第1の隠蔽領域(10)及び第2の隠蔽領域(11)、さらには、第2の隠蔽領域内に、白インキを印刷しない領域(前述した第1の実施形態における「くり抜き部(9)」)を有するように、第2の層(6)を形成した。
なお、第1の隠蔽領域(10)とくり抜き部(9)を除いた第2aの隠蔽部(12)は、ともに隠蔽面積率100%(ベタ)で印刷した。また、くり抜き部(9)を含めた第2の隠蔽領域(11)は、この白インクの上に印刷する第3の層(7)の第2の領域(14)と対応した位置となっている。
次に、白インクにより形成した第2の層(6)の上に、プロセスインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 イエロー、シアン、マゼンタ及びブラック)を用いて、図5(b)に示すような網点構成により、図5(a)の模様となる第3の層(7)である、すなわち、第1の領域(13)及び第2の領域(14)を形成した。
なお、図5(b)に示した網点構成において、第1の領域(13)の面積は、30×30ピクセルに相当する面積で形成し、第2の領域(14)は、6×6ピクセルに相当する面積で形成した。
また、第2の領域(14)は、YMCの三つの色成分から成る有色インキにより形成しており、その配置については、第1の実施形態で説明したように、一つの第1の領域(13)を囲む四つの第2の領域(14)において、一つの色成分から成る有色インキにより二つの第2の領域(14)を形成し、残りの二つの第2の領域(14)には、残りの色成分から成る有色インキにより第2の領域(14)をそれぞれ一つずつ形成した。なお、この第2の領域(14)の下層の第2の層(6)には、前述のとおり、白インキを印刷していないくり抜き部(9)が配置されているが、拡散光領域においては、この第2の領域(14)の下層にくり抜き部(9)が形成されていることは視認されない。
第2の層(6)のくり抜き部(9)と同じ位置となる上層の第3の層(7)における第2の領域(14)は、潜像部(15)となって、正反射光領域において光輝性の第1の層(5)の反射光の影響を受けて第一の潜像画像(4)を形成するものである。
潜像部(15)によって形成する第一の潜像画像(4)を、拡散光領域において視認させないために、第2の領域(14)における潜像部(15)以外の領域である第1のカムフラージュ部(16)は、拡散光領域において潜像部(15)と等色となるように形成した。拡散光領域(例えば、受光角度0°)における、第1のカムフラージュ部(16)と潜像部(15)との色差ΔEは1.35であった。
なお、第1の網点部(13a)の形状については、円形ドットで形成した。
以上の構成により形成した商品券(1)の印刷領域(2)を、可視光源下の拡散光領域において肉眼で観察したところ、図2(a)に示した可視画像(3)が視認され、図2(b)に示した第一の潜像画像(4)は視認することができなかった。
また、その位置から正反射光領域まで商品券(1)を傾けて印刷領域(2)を観察したところ、図2(b)に示した第一の潜像画像(4)がフルカラー画像として視認され、逆に、図2(a)に示した可視画像(3)を視認することはできなかった。
実施例2として、図22に示すように、右下部に本発明における印刷領域(2´)を形成したカード型の証明書(1´)を作製した。この証明書(1´)を可視光源下における拡散光領域で観察すると、印刷領域(2´)は、図23(a)に示した「複数の星」が視認され、証明書(1´)を傾けて正反射光領域で視認すると、印刷領域(2´)は、図23(b)に示した「合格」の文字が視認され、更に赤外線光源下において観察した場合には、印刷領域(2´)は、図23(c)に示すような「スマイル」の画像を視認することができるものである。
本実施例2における証明書(1´)の基材(8´)は、定位置の可視光源に対して観察角度を拡散光領域から正反射光領域へ変化させることで、明度及び/又は色が変化する材料をアルミ蒸着により紙基材の上に形成したもの(株式会社竹尾製、オフメタルN 銀 165kg)を用いた。この基材(8´)に対して、インクジェット印刷装置(株式会社トライテック製 Patterning JET)により印刷を行った。なお、印刷領域(2´)における第1の領域(13)及び第3の領域(19)の網点構成は、円形ドットの網点構成としたものである。
次に、基材(8´)上の印刷領域(2´)に当たる領域以外を、白インク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ホワイト)を用いてベタ刷りし、印刷領域(2´)は、同じ白インクを用いて、(後述する)基材(8´)のアルミ蒸着の光輝性を抑えるための第1の隠蔽領域(10´)及び第2aの隠蔽部(12´)と、さらには、第2aの隠蔽部(12´)に隣接する箇所(実施例1におけるくり抜き部(9)に対応する位置)に、基材(8´)の光輝性を視認可能な程度の隠蔽面積率となる第2bの隠蔽部(17´)を有するように第2の層(6´)を形成した。
なお、第1の隠蔽領域(10´)及び第2aの隠蔽部(12´)は、隠蔽面積率100%、第2bの隠蔽部(17´)は、隠蔽面積率10%で印刷した。また、第2aの隠蔽部(12´)及び第2bの隠蔽部(17´)は、この白インクの上に印刷する第3の層(7´)の潜像部(15´)と対応した位置関係を有している。
次に、白インクにより形成した第2の層(6´)上の全面に、プロセスインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 イエロー、シアン、マゼンタ及びブラック)を用いて第3の層(7´)を形成した。この第3の層(7´)については、印刷領域(2´)以外を網点による通常の印刷とし、印刷領域(2´)については、第1の領域(13´)内に第3の領域(19´)を配置した第2の実施形態と同じ網点構成とし、第2の領域(14´)は、第1の実施形態及び第1の実施形態の変形例と同じ円形ドットの網点構成とした。
なお、少なくとも第3の層(7´)の印刷領域(2´)の網点構成は、第1の領域(13´)を30×30ピクセルに相当する面積、第2の領域(14´)を14×14ピクセルに相当する面積及び第3の領域(19´)を9×9ピクセルに相当する面積で形成した。
第1の領域(13´)において、第1の網点部(13a´)は、円形ドットであり、プロセスインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 イエロー、シアン及びマゼンタ)を用いて印刷した。第1の網点部(13a´)と第1の網点部(13a´)以外の領域との面積比率を変化させ、可視画像(3´)を形成した。
第2の領域(14´)は、前述のとおり、第1の領域(13´)の一つの角を挟んで隣り合う辺に対して同じ色成分から成る有色インキにより形成された第2の領域(14´)を配置し、二つの色により囲まれている第1の領域(13´)と隣接する別の第1の領域(13´)においては、残りの2辺に対して、その二つの色成分とは異なる色成分から成る有色インキにより形成された第2の領域(14´)を配置する構成とした。
また、第2の領域(14´)は、第1の実施形態の変形例と同様に、潜像部(15´)と第1のカムフラージュ部(16´)とで異なる2色の有色インキにより形成した。その中の潜像部(15´)は、下層の第2bの隠蔽部(17´)を介して基材(8´)の光輝性の光沢を視認することができる程度の透過率を有する必要があるため、透過率85%で形成した。
第2の領域(14´)の下層には、基材(8´)の光輝性を隠蔽する第2の隠蔽領域(11´)と、基材(8´)の光輝性を視認可能な程度の隠蔽率を有する第2bの隠蔽部(17´)が形成されている。この第2bの隠蔽部(17´)に対応する位置の第2の領域(14´)は、潜像部(15´)となって第一の潜像画像(4´)を形成する。
潜像部(15´)によって形成する第一の潜像画像(4´)を、拡散光領域において視認させないために、第2の領域(14´)における潜像部(15´)以外の第1のカムフラージュ部(16´)は、反射光(拡散光)下において潜像部(15´)と等色となるように印刷した。第2の層(6´)における第2aの隠蔽部(12´)及び第2bの隠蔽部(17´)の面積比率を変化し、第一の潜像画像(4´)を形成した。拡散光領域における、潜像部(15´)と第1のカムフラージュ部(16´)との色差ΔEは1.2であった。
第3の領域(19´)において、第3の網点部(19a´)は、円形ドットであり、ブラックインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 ブラック)を用いて印刷した。第2のカムフラージュ部(19b´)は、プロセスインク(東洋インキ製造株式会社製 LIOJET FV03 イエロー、シアン及びマゼンタ)を重ね合わせた減法混色による黒色として印刷した。第3の網点部(19a´)及び第2のカムフラージュ部(19b´)の面積比率を変化させ、第二の潜像画像(18´)を形成した。
本実施例2の証明書(1´)における印刷領域(2´)の構成と、その印刷領域(2´)以外の領域の構成を模式的に示したのが図24である。図24(a)は、印刷領域(2´)以外の領域の構成を示しており、紙の上にアルミ蒸着することで形成した光輝性の第1の層(5´)の上に白インクが印刷され、更にその上に、プロセスインクにより可視画像を形成するための網点が印刷されている。
図24(b)は、印刷領域(2´)の構成を示しており、光輝性の第1の層(5´)の上に、第1の隠蔽領域(10´)、第2aの隠蔽部(12´)及び第2bの隠蔽部(17´)が白インクにより印刷され、第1の隠蔽領域(10´)上には、第1の領域(13´)を印刷し、第2aの隠蔽部(12´)及び第2bの隠蔽部(17´)上には、第2の領域(14´)を印刷し、第1の領域(13´)内に第3の領域(19´)を印刷した。
このような層構成及び網点構成の位置関係としたことで、第2の領域(14´)において、第2bの隠蔽部(17´)を介して光輝性の基材(8´)の反射光を受けた潜像部(15´)と第1のカムフラージュ部(16´)との色差ΔEが変化し、潜像部(15´)により形成された第一の潜像画像(4´)を視認することが可能となる。また、第2bの隠蔽部(17´)以外の領域については、白インクにより基材(8´)の光輝性を抑えているため、光輝性のない状態で、白インクの上に印刷されているプロセスインクにより可視画像(3´)が形成されていることとなる。
実施例2にて作製した証明書(1´)を、可視光源が定位置の可視光源下の拡散光領域において肉眼で観察したところ、可視画像(3´)として「複数の星」が視認され、第一の潜像画像(4´)及び第二の潜像画像(18´)は、視認することができなかった。次に、実施例2にて作製した証明書(1´)を、観察角度を異ならせて可視光源が定位置の可視光源下の正反射光領域において肉眼で観察したところ、第一の潜像画像(4´)として「合格」の文字がフルカラー画像として視認された。このとき、可視画像(3´)及び第二の潜像画像(18´)は視認することができなかった。
さらに、実施例2にて作製した証明書(1´)を、赤外線光源下(ワテック株式会社製、CCDカメラWAT−704Rに富士写真フィルム株式会社製、シャープカットフィルターIR−80を装着したもの)において観察したところ、可視画像(3´)及び第一の潜像画像(4´)は観察されなかったが、第3の網点部(19a´)で構成された第二の潜像画像(18´)が暗く(黒っぽく)表示され、第二の潜像画像(18´)として「スマイル」を明瞭に視認することができた。