JP5755156B2 - ピストンリングおよび、そのピストンリングを備えたエンジン - Google Patents

ピストンリングおよび、そのピストンリングを備えたエンジン Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関(以後「エンジン」と称する)のピストンリングに関し、特に大型舶用2サイクルエンジンのシリンダ内を摺動するピストン外周部に外嵌するピストンリングおよび、該ピストンリングを備えたエンジンに関する。
大型舶用2サイクルエンジンのピストンに装着されて、燃焼室内の圧力を保持するピストンリングは、ピストン外周部に形成されたピストンリング溝に装着されている。
図9(A)はエンジン5の理想状態のピストンリング6とシリンダライナ51との関係を示し、シリンダライナ51の径は上下において略同じになっている。ピストンリング6はシリンダライナ51に規定の面圧を有して接触し、燃焼室52の圧力を保持するようになっている。
図9(B)はエンジンの実際のピストンリング6とシリンダライナ51との関係を拡大して示したもので、理想状態すなわち、図面上で各部品を組合せた状態に対して、実際の状態は、部品の自重や、部品を組み立てるためにボルト締め付けによる変形、さらに温度による変形等により、シリンダライナ51が拡径(54部分)し、ピストン3が上死点近傍に位置するときには、該シリンダライナ51の拡径に伴いピストンリング6も拡径する。
これは、燃焼室52内の圧力を保持するため、シリンダライナ51の内周面に適度の面圧を有して摺接するように、ピストンリング6自体に弾力性を持たせていることによる。
また、ピストンリング6はエンジンの稼働と共に熱負荷を受け、線膨張するため、および前記弾力性を持たせて拡径、縮径可能なようにするため、リング状の一箇所に合口61〔図10参照〕と称される切断部分が設けられている。
このピストンリング6の合口の切り欠き長さは、短い場合には、ピストンリング6の線膨張によって、ピストンリング6の合口の端面が押し合って、ピストンリング外形が拡大し、シリンダライナ51との焼き付きを生じるおそれがあるため、燃焼室内温度の上昇量に対応した切欠き長さとなっている。
しかし、図10に示すように、合口61を上下方向(ピストンの軸線方向)に切欠いた形状になっているので、ライナの上方にあるときは合口61が開くため、合口61を通過するガス流量が増大して、ピストンリング6及び、ピストンリング溝31周辺への入熱増大につながり、シール不良や、スラッジ生成増大につながる。
また、合口61のガス流量を小さくする構造にすると、ピストンリング6の上下面に作用する圧力差が大きくなり、ピストンリングの変形により、シリンダライナ2への押付け力が部分的に過大となり、摩耗の促進、内部抵抗増大が懸念される。
このような、対応策として、合口を通過するガス流量を適正に維持する、いわゆるガスタイトリング形状の技術が知られている。
その一例として、特表2004−522914号公報(特許文献1)によると、ピストンリングの合口の形状を、突合せ領域に円周面を上から下まで貫通する隙間が生じないように入れ子状態に形成している。入れ子状態の形状は、一端側が半径方向外側且つ、下側が開放された溝が設けられ、他端側が一端側の開放された溝に導入可能に形成された断面となっている。
そして、トップリングとして使用された場合、ピストンリングの負荷を緩和するため、ピストンリングの外周面にピストンリングの軸線に沿って上側から下側まで貫通する漏出溝が設けられ、後続のピストンリングに確実に圧力が作用するようになっている。
特表2004−522914号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、トップリングとして使用された場合、合口部の形状を、突合せ領域の円周面に上から下まで貫通する隙間が生じないように入れ子状態に形成するとともに、ピストンリングの上側から下側まで貫通する漏出溝を設けてトップリングの上下面に作用する圧力差の過大を防止するものである。
しかし、合口部の一端側及び他端側の外周面と、シリンダライナとの摺接面の面圧を適正にして、ガス抜け防止と、過大な接触面圧による摩耗増大防止を図る技術までは開示されていない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、合口部が入れ子構造からなるガスタイトリング形状のピストンリングにおいて、合口外周面のシリンダライナとの摺接部の面圧を適正に保持することで、ガス抜け防止及び、摩耗増大防止を図ることにより、エンジンの信頼耐久性を向上させることを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するため、エンジンのシリンダ内を摺動するピントン外周部に外嵌し、合口部が入れ子構造からなるガスタイトリング形状のピストンリングであって、
該ピストンリングの合口部の一端側は、断面形状が上片と該上片に連続して前記ピストンリングの内周側を形成する内周片とで溝部が形成された上舌部と、
前記合口の他端側は、前記溝部に重合し、前記上片及び、前記内周片に夫々対向した面を有した断面形状が略矩形状の下舌部と、
前記ピストンリングのピストン軸線方向の上面側と、下面側とをガスが流通する流通部とを備え、
前記流通部を前記合口部に配設すると共に、前記上舌部と前記下舌部との前記ピストンリングのピストン軸線方向の厚さを略同等にすることを特徴とする。
かかる発明によれば、上舌と下舌とのピストンリング軸線方向の厚さを略同等にすることにより、シリンダライナとの接触面圧が略同等になるので、最適な接触面圧を保持しやすくなると共に、流通部が備えられているので、ピストンリングの上面側に作用するガスが、下面側に導かれることにより、上面側と下面側との圧力差を最適に調整することでピストンリング自体の受ける圧力負担(変形)を軽減させることで、エンジンの内部負荷を軽減させ出力向上を図ることができる。
また、本発明において好ましくは、前記上舌部の厚さは前記ピストンリング全体の厚さに対し厚さ比率を0.4〜0.6にするとよい。
このような構成により、上舌部の厚さは前記ピストンリング全体の厚さに対し厚さ比率を0.4〜0.6としたので、シリンダライナとの接触面圧が略同等になり、最適な接触面圧を保持しやすく、合口部の剛性の差が小さくなるので、夫々が受ける負荷が均等化されて、耐久性、シール性及び、耐摩耗性を向上させることができる。
また、本発明において好ましくは、前記流通部は、前記内周片と、前記下舌部の前記内周片と対向する面との間に周方向に延在した流通路であって、該流通路は、前記上舌部の端縁側が前記ピストンリングの上側に開口し、前記下舌部の端縁側が前記ピストンリングの下方に開口させるとよい。
このような構成により、上舌部と下舌部の断面形状を含めて形状を変えることにより、流通部の形状が形成されるので、ピストンリング製作時に、流通路用の特別な追加加工が必要ないので、コスト上昇を抑制できる。
また、本発明において好ましくは、前記流通部は、前記上舌部と前記下舌部とが重合しない部分の前記上片、または前記内周片の少なくともいずれかに配設した流通孔とするとよい。
このような構成により、ピストンリングの上面側と下面側とを連通する流通孔を上舌部と下舌部が重合していない部分に設けたので、重合部に円周方向に設けた隙間部が不要となるので、合口部の上舌部及び、下舌部のピストンリング径方向の幅を増大することができ、当該部の剛性を向上することにより変形を抑制することができ、ピストンリングの耐久性を向上できる。
また、本発明において好ましくは、前記下舌部の前記流通路を形成する面の前記端縁側は、該端縁に向け前記ピストンリングの外周側へ傾斜する第1傾斜面を設けるとよい。
また、本発明において好ましくは、前記上舌部の前記内周片の前記流通路を形成する面は、前記内周片の基部に向け前記ピストンリング内周側に傾斜した第2傾斜面を設けるとよい。
また、本発明において好ましくは、前記上舌部の前記内周片基部は、前記流通路の前記ピストンリングの周方向に沿った面と、前記流通路の前記ピストンリングの半径方向に沿った面との成す角度を鈍角に傾斜した第3傾斜面を設けるとよい。
また、本発明において好ましくは、前記流通孔と、前記下舌部の前記流通路を形成する面の前記端縁側を前記端縁に向け前記ピストンリングの外周側へ傾斜する第1傾斜面と、前記上舌部の前記流通路を形成する面の前記内周片の基部に向け前記ピストンリング内周側に傾斜した第2傾斜面と及び、前記上舌部の前記流通路の前記ピストンリング周方向に沿った面と前記流通路の前記ピストンリングのラジアル方向に沿った面とが成す角度を鈍角に傾斜した第3傾斜面とのうち、少なくとも2つ以上を併用するとよい。
このような構成にすることにより、傾斜面を設けることにより、流通路の下流側の断面積が大きくなり、ガスの流通速度が遅くなると共に、膨張するため、上舌側の基部が受ける熱負荷が緩和され、ピストンリングの耐久性向上が図れる。
また、本発明において好ましくは、上述のピストンリングのいずれかを装着したピストンを備えたエンジンとするとよい。
上舌部のピストンリング軸線方向の厚さを前記ピストンリング全体の厚さに対し厚さ比率を0.4〜0.6としたので、シリンダライナとの接触面圧が略同等になり、最適な接触面圧を保持しやすく、合口部の剛性の差が小さくなるので、夫々が受ける負荷が均等化されて、耐久性、シール性及び、耐摩耗性を向上させることができる。
また、このようなピストンリングを備えたエンジンとすることで、エンジンの信頼性及び、耐久性の向上を図ることができる。
本発明に係るピストンリングの外嵌斜視図を示す。 図1A部の部分拡大斜視図を示す。 (A)は図2のA−A断面拡大図、(B)は図3(A)のA−A断面を示す。 ピストンリング全体の厚さに対する上舌部の厚さ比率と、シリンダライナとピストンリングの面圧比率特性曲線図を示す。 ピストンリング上方と下方とを連通する連通孔の概略形状図を示す。 ストンリング上方と下方とを連通する連通孔の他の実施例概略形状図を示す。 図3のA−A断面拡大図を示し、流通路下流側の流路断面積の拡大形状で、(A)は下舌部側の実施形態、(B)は上舌部側の実施形態、(C)は上舌部側の下流側端部の形状を示す。 ピストンリング全体の厚さに対する上舌部の厚さ比率によるピストンリングとシリンダライナとの面圧発生状況比較図で、(A)は比率0.47、(B)は0.34を示す。 ピストンリング装着の概略説明図を示す。 従来のピストンリング概略斜視図を示す。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
尚、発明の方向性を呼称する場合、上下方向は燃焼室側を「上」とし、クランクシャフト側を「下」とする。
(第1実施形態)
本発明にかかるピストンリングについて図1、図2、図3及び図9(A)に基づいて説
明する。
図9は舶用2サイクル大型ディーゼルエンジン5(以後「エンジン」と称す)の燃焼室
52を形成する概略図である。
図1は、図9のピストン3外周部のピストンリング溝31に嵌合した、本実施形態に係
るピストンリング1の外観斜視図である。図2は図1のA部(2点鎖線包囲部)の部分
拡大図、図3は図2のA−A断面図を示す。
図9において、燃焼室52は、エンジン5に嵌挿されたシリンダライナ51と、該シリンダライナ51の内部に、シリンダライナ51の軸線に沿って摺動するピストン3の頂部32と、前記シリンダライナ51の頂部を閉塞するシリンダヘッド53とで構成されている。
ピストン3には、該ピストン3の外周に形成されたピストンリング溝31がピストン頂部32とスカート部33との間にピストン軸線方向に間隔を有して複数(本実施形態では4本)配設されている。
そして、ピストンリング1はピストン3とシリンダライナ51との隙間を閉塞して、燃焼室52内の圧力を保持している。
ピストンリング1は断面が略矩形状をしたリング状に形成されている。また、ピストンリング溝31には夫々の作用に沿った形状をしたピストンリング1が配設されている。一番上のピストンリング1は燃焼室52の圧力を保持するために配設されており、図1に示すように、リング状の一部が合口(合口部)11と称され周方向に分断された構造となっている。
図2にガスタイトリング形状の合口11の部分拡大斜視図、図3(A)に図2のA−A断面を示す。ガスタイトリング形状の合口11は、一端側である上舌部12と、他端側である下舌部13とで構成されている。
上舌部12は、ピストンリング1の略矩形状断面の上片12aと、該上片12aに連続して、ピストンリング1の内周側を形成する内周片12bとで構成されている。
従って、上舌部12の断面形状は、略矩形状断面の下片と、シリンダライナ51と摺接する面の下半分が溝部である略矩形状の切欠き部12eを形成する鉤状(図3のZ部)となっており、周方向に長さL1が形成されている。
また、図3(B)に図3(A)のA−A断面矢視を示すように、流通路8の下流側(上舌部12の切欠き部12e側)で、下舌部13の流通路8の下流側端縁で、流通路8側の面をシリンダライナ側(ピストンリング1の外周側)に向けて傾斜した傾斜面13fが形成されている。
傾斜面13fを設けることにより、当該部の流通断面積がピストンリング1の外周側へ向け拡大しているので、排ガスは膨張し温度を下げると共に、速度も減少するので、上舌部12の基部および、切欠き部12e部の熱負荷が軽減され、ピストンリング1の耐久性の向上が図れる。
一方、下舌部13は、断面形状が上舌部12の上片12aと内周片12bとに対向した面を有する断面が略矩形形状(切欠き部12eに近似した形状)となっており、周方向に長さL2が形成されている。
上舌部12の切欠き部12eに、下舌部13とが嵌入する状態で重合して、ピストンリング1の周方向に沿って、重合代の変化(エンジンの温度変化による線膨張)を吸収することができるようになっている。
切欠き部12eの長さL1及び、下舌部13の長さL2は燃焼室52(図9参照)の温度が低い時には重合状態が解消しない嵌合代を有し、温度が最も高くなる状態においても突当たらないように長さを調整してある。
また、内周片12bの切欠き側の面である切欠き面12dと、該切欠き面12dと対向した下舌部13の対向面13dとの間には流通部である流通路8となる隙間αが形成されている。
流通路8は、上舌部12の端縁側である上舌端縁12cにおいてピストンリング1の軸線方向上側に開口しており、下舌部13の端縁側である下舌端縁13cにおいてピストンリング1の軸線方向下側に開口している。
従って、ピストンリング1の上側と下側とが連通した流通路8が形成されることになる。
この流通路8によって、ピストンリングの上側に作用するガスが、下側に導かれることにより、上側と下側との圧力差を最適に調整することでピストンリング自体の受ける圧力負担(変形)を軽減させることで、シリンダライナ51とピストンリング1との摩擦抵抗を低減させて、エンジンの内部負荷を軽減させ出力向上を図ることができる。
尚、流通路8は図5及び、図6に示すようにすることも可能である。
即ち、図5に示すように、上舌部15のピストンリング1の内周壁を形成する内周片15bで、エンジン温度が冷態時においても、下舌部13の先端部が重合しない部分に、ピストンリングのラジアル方向に流通部である第1流通孔81を設けてもよい。
また、図6に示すように、上舌部16の上片16aで、エンジン温度が冷態時においても、下舌部13の先端部が重合しない部分に、ピストンリング1の軸線方向(図6において上下方向)第2流通孔82を設けてもよい。
上述のようにピストンリングの上側と下側との圧力差を最適に調整するために、第1流通路8、第1、2流通孔81、82、夫々を適宜組合せて使用することも可能である。
また、第1流通孔81,第2流通孔82を併用することは、流通路8の隙間αを小さくすることで、合口11を形成する上舌部12及び、下舌部13夫々のラジアル方向幅が大きくすることができ、当該部の剛性向上と、剛性向上に伴う合口部の変形量低減に伴う摩擦抵抗低減も期待できる。
また、合口11の構造として、シリンダライナ51と、上舌部12及び、下舌部13との適正面圧の維持が重要となる。即ち、上舌部12側と下舌部13側に作用する圧力状況の違いにより、シリンダライナ51への面圧が変化してくる。
図4は、ピストンリング1のピストンリング軸線(ピストンリングのリング中心を上下方向に延在する線)方向の全体厚さHに対する、上舌部12の厚さについて検討した結果をグラフにしたものである。
横軸に上舌部12の上片12aの厚みh/ピストンリング全体厚みHの比(h/H)を表わし、縦軸にピストンリング1とシリンダライナ51の接触面圧比率を表わしたものである。
△―△印は上舌部12側を表わし、■−■印は下舌部13側を表わしている。
そして、グラフはピストンリング1の本来の作用から、上舌部12及び、下舌部13の上面側と、下面側では圧縮圧力の作用力が異なるので、シリンダライナ51との面圧(シール性に影響)を確保するリング厚さについて検討したものである。
上舌部12側の△―△印の特性(面圧比率)は、h/H比率の増加に対し略直線的に増加する値になっている。
一方、下舌部13側の■−■印の特性(面圧比率)は、h/H比率の増加に対し、略二次曲線的に減少する値になっている。
上舌部12側の特性と、下舌部13側の特性とが交差する部分の面圧比率=1、h/H比率=0.47になっている。
従って、h/H比率=0.47が最適値となる。
また、上舌部12側の△―△印においては、h/Hが0.35位では接触面圧比率が0(ゼロ)に近く、面圧が生じていないことを示している。
更に、下舌部13側の■−■印においては、h/Hが0.35位(下舌部側の厚みが上舌側の略2倍)では面圧が上舌部に比べ高すぎる。
また、上舌部12側の△―△印においては、h/Hが0.8位では接触面圧比率が4と高いが、一方の下舌部13側の■−■印においては接触面圧比率が0(ゼロ)に近く、面圧が生じていないことを示している。
従って、h/H比率の好適範囲を求める場合、ピストンリング1とシリンダライナ51とのあいだに、ガスの吹き抜け箇所が発生しないようにするためには、面圧が生起されていることが必要となる。
このため、上舌部12側の△―△印においては、確実に面圧(kgf/mm2)が生起する接触面圧比率が0.5以上となることが必要であり。即ち、h/H比率が0.4以上あることが好ましい値となる。
一方、下舌部13側の■−■印においても、上舌部12側と同様に必要な接触面圧比率が0.5以上必要となる。即ち、h/H比率は0.6以下が好ましい値となる。
上述の結果から、上舌部12の厚さhのピストンリング全体厚さHに対する比率h/Hは、0.4≦h/H≦0.6 が好ましいことが分かった。
図8に、合口11がガスタイトリング形状の場合と、上下切欠き形状(従来技術)の場合とにおいて、ピストンリング1の外周面に生起されたシリンダライナ51に対する圧力分布の比較図を示す。
図8(A)はh/H=0.47(0.4≦h/H≦0.6)の場合を示し、合口全域にわたって高い面圧が生起されており、ガスの吹き抜けが抑えられている。
また、本実施形態では、上舌側及び、下舌側共に、面圧の高い部分の上下幅変化の少ない連続した圧力分布となっており、安定した高いシール性が得られていることが判明した。
図8(B)はh/H=0.34(好適範囲外)の場合を示し、上舌部は略全域にわたり面圧が低く、ガス抜けのおそれがある。
このような構造にすることにより、上舌部12のピストンリング軸線方向の厚さhを、ピストンリング1の全体厚さHに対する比率を0.4〜0.6としたことによって、シリンダライナとの接触面圧比率が略同等になり、シリンダライナ51と接触するピストンリング1の摺接面には合口全域にわたり面圧が生起されており、最適な接触面圧を保持しやすく、ガス抜けが防止できると共に、合口11の上舌部12と下舌部13との剛性の差が少なくなることに伴う耐久性、シール性及び、耐摩耗性を向上させることができ、エンジンの出力及び、信頼耐久性が向上する。
(第2実施形態)
本実施形態は、流通路の下流側の流通断面形状を変更した以外は、第1実施形態と同じなので、当該部のみの説明とし、他は省略する。
流通路85の下流側(上舌部25の上舌端縁25cの開口を上流側開口83、下舌部26の下舌端縁26cの開口を下流側開口84とする)は、図7(A)に図3のA−A断面矢視図を示す。
図7(A)はピストンリング20の下舌部22の下流側で、流通路85を形成する下舌部26の面に、端縁に向けてピストンリング2の外周側へ傾斜した第1傾斜面27が形成されている。第1傾斜面27部分は下流側開口84に向けて流路断面積が拡大するようになっている。
従って、上流側開口部83からのガスは、当該部(第1傾斜面27部分)で膨張しながら流速を減じることになり、上舌部21の基部28に接するガスの温度の低下(ガスの膨張による)、ガスの膨張による上舌部21の基部28との接触面積の増大(単位面積あたりの受熱量の減少)等により、当該部の熱負荷が軽減され、ピストンリング2の耐久性の向上が図れる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の変形例を示し、流通路の下流側の流通断面形状を変更した以外は、第1実施形態と同じなので、当該部のみの説明とし、他は省略する。
図7(B)において、ピストンリング30の上舌部35の下流側で、流通路86を形成する上舌部35の面に、基部38に向けてピストンリング30の内周側へ傾斜した第2傾斜面37が形成されている。
一方、この場合には、下舌部36の上側コーナ部にはピストンリング30の外周に向けて傾斜面Cが形成されており、更なる流路拡大を促進させてある。
第2傾斜面37部分は下流側に向けて流路断面積が拡大するようになっている。効果については第2実施形態と同じなので省略する。
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の変形例を示し、流通路の下流側の流通断面形状を変更した以外は、第1実施形態と同じなので、当該部のみの説明とし、他は省略する。
図7(C)において、上舌部45の内周片基部48は、流通路87のピストンリング40の周方向に沿った面49と、流通路87のピストンリング4の半径方向に沿った面である第3傾斜面47とで成す角度θが鈍角を成すような傾斜面即ち第3傾斜面47が設けられている。
従って、流通路87の下流側の流通断面積が拡大されると共に、ガスは第3傾斜面47に沿ってシリンダライナ側へ流れ、上舌部35の基部38および、第3傾斜面47へのガスの接触量は少なくなり、当該部の熱負荷が低減できる。
大型舶用2サイクルエンジンのシリンダ内を摺動するピストン外周部に外嵌するピストンリングに提供できる。
1,2,3,4 ピストンリング
3 ピストン
5 エンジン
8,85,86,87 流通路(流通部)
11 合口(合口部)
12,15,16,25,35,45 上舌部
12a 上片
12b 内周片
12c 上舌端縁
13,26,36,46 下舌部
13c 下舌端縁
27 第1傾斜面
28,38,48 基部
31 ピストンリング溝
32 ピストン頂部
33 ピストンスカート部
37 第2傾斜面
47 第3傾斜面
51 シリンダライナ
52 燃焼室
81、 第1流通孔(流通部)
82 第2流通孔(流通部)
83 上流側開口
84 下流側開口

Claims (7)

  1. エンジンのシリンダ内を摺動するピントン外周部に外嵌し、合口部が入れ子構造からなるガスタイトリング形状のピストンリングであって、
    該ピストンリングの合口部の一端側は、断面形状が上片と該上片に連続して前記ピストンリングの内周側を形成する内周片とで溝部が形成された上舌部と、
    前記合口の他端側は、前記溝部に重合し、前記上片及び、前記内周片に夫々対向した面を有した断面形状が略矩形状の下舌部と、
    前記ピストンリングのピストン軸線方向の上面側と、下面側とをガスが流通する流通部とを備え、
    前記流通部を前記合口部に配設すると共に、前記上舌部の上片と前記下舌部との前記ピストンリングのピストン軸線方向の厚さを略同等にし、
    前記流通部は、前記内周片の前記ピストンリングの周方向に沿った面と該周方向に沿った面に対向する面との間において周方向に延在する流通路と、前記流通路に連通するとともに前記上舌部の端縁側が前記ピストンリングの上方に開口してなる上流側開口部と、前記流通路に連通するとともに前記下舌部の端縁側が前記ピストンリングの下方に開口してなる下流側開口部と、を含み、
    前記流通路の下流側の断面積が上流側よりも大きくなるように形成されるか、又は、前記下流側開口部の下流側の断面積が上流側よりも大きくなるように形成されることを特徴とするエンジンのピストンリング。
  2. 前記上舌部の上片の厚さは前記ピストンリング全体の厚さに対し厚さ比率を0.4〜0.6としたことを特徴とする請求項1記載のエンジンのピストンリング。
  3. 前記流通部は、前記上舌部と前記下舌部とが重合しない部分の前記上片、または前記内周片の少なくともいずれかに配設した流通孔をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのピストンリング。
  4. 前記下舌部の前記流通路を形成する面の端縁側、前記端縁に向け前記ピストンリングの外周側へ傾斜する第1傾斜面を設けることで、前記流通路の下流側の断面積が上流側よりも大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンのピストンリング。
  5. 前記上舌部の前記内周片の前記流通路を形成する面に、前記内周片の基部に向け前記ピストンリング内周側に傾斜した第2傾斜面を設けることで、前記流通路の下流側の断面積が上流側よりも大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンのピストンリング。
  6. 前記上舌部の前記下流側開口部を形成する面が、前記内周片の周方向に沿った面との成す角度が鈍角になるように傾斜した第3傾斜面からなることで、前記下流側開口部の下流側の断面積が上流側よりも大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジンのピストンリング。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のピストンリングを装着したピストンを備えたことを特徴とするエンジン。
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